IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチコン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電解コンデンサ 図1
  • 特許-電解コンデンサ 図2
  • 特許-電解コンデンサ 図3
  • 特許-電解コンデンサ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/008 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
H01G9/008 301
H01G9/008 303
H01G9/008 305
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020144065
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039173
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 吉峻
(72)【発明者】
【氏名】米田 満
(72)【発明者】
【氏名】酒井 孝也
(72)【発明者】
【氏名】大下 賢一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 稜大
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼原 祐樹
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-189038(JP,A)
【文献】中国実用新案第206349253(CN,U)
【文献】特開平7-283079(JP,A)
【文献】特開2001-284174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/008
H01G 4/32
H01G 9/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリードタブが接続された弁金属の陽極箔と、第2のリードタブが接続された陰極箔とを、セパレータを介して重ね合わせ、巻回してなるコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子を収納する有底円筒状の外装ケースと、
前記外装ケースの開口部を封止する封口体と、を備えた電解コンデンサであって、
前記第1のリードタブおよび前記第2のリードタブはいずれも酸化皮膜を有し、前記第2のリードタブの酸化皮膜の耐電圧が前記第1のリードタブの酸化皮膜の耐電圧よりも高く、前記第1のリードタブの酸化皮膜の耐電圧および前記第2のリードタブの酸化皮膜の耐電圧の比率は1:1.25以上であり、
前記第1のリードタブの酸化皮膜の耐電圧が200Vであることを特徴とする電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサに関し、電極箔にリードタブが接続された電解コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電解コンデンサとして、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子と、該コンデンサ素子を収納する有底筒状のコンデンサケースと、このコンデンサケースの開放端側を塞ぐ封口体とを有するものが知られている。封口体の外端面には陽極端子および陰極端子が引き出され、これらの端子の基端部には、陽極内部端子および陰極内部端子として陽極リードタブおよび陰極リードタブが、それぞれ陽極箔および陰極箔に接続されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の電解コンデンサとして、リードタブに陽極酸化皮膜を有するものを用いることにより、リードタブの腐食を防止するようにしたものが考えられている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平04-352313号公報
【文献】特開平06-176975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電解コンデンサの長寿命化に伴い、従来の電解コンデンサにおいては、電解質の存在による漏れ電流の発生により、寿命末期において陽極リードタブの封口体近傍に腐食が発生する問題があった。
【0006】
本発明は、リードタブにおける腐食の発生を抑制し得る電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の巻回形コンデンサは、第1のリードタブが接続された弁金属の陽極箔と、第2のリードタブが接続された陰極箔とを、セパレータを介して重ね合わせ、巻回してなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納する有底円筒状の外装ケースと、前記外装ケースの開口部を封止する封口体と、を備えた電解コンデンサであって、前記第1のリードタブおよび前記第2のリードタブはいずれも酸化皮膜を有し、前記第2のリードタブの酸化皮膜の耐電圧が前記第1のリードタブの酸化皮膜の耐電圧よりも高いことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、陽極側のリードタブおよび陰極側のリードタブの両方に対して酸化皮膜を形成することにより耐電圧特性を持たせ、さらに、陰極側のリードタブに形成した酸化皮膜の耐電圧を陽極側のリードタブに形成した酸化皮膜の耐電圧よりも高くすることにより、陽極側のリードタブに腐食が発生するまでの時間を延ばすことができる。
【0009】
また、本発明の電解コンデンサは、上記構成において、前記第1のリードタブの酸化皮膜の耐電圧および前記第2のリードタブの酸化皮膜の耐電圧の比率は1:2以上であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、陰極側のリードタブに形成する酸化皮膜の耐電圧を陽極側のリードタブに形成する酸化皮膜の耐電圧の2倍以上とすることにより、陽極側のリードタブに腐食が発生することを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電解コンデンサによると、陽極側のリードタブにおける腐食の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る巻回形コンデンサの構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るコンデンサ素子を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る加締め部を示す断面図および平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るリードタブの化成処理の説明に供する略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における巻回形の電解コンデンサ1は、主として、コンデンサ素子2と、外装ケース12と、封口体11とから構成される。
【0014】
図2に示すように、コンデンサ素子2は、エッチング処理および誘電体酸化皮膜形成処理が施された陽極箔(陽極アルミニウム箔)3aと陰極箔(陰極アルミニウム箔)3bとがセパレータ4を介して巻回され、素子止めテープ9(図1)で固定される。このコンデンサ素子2は、有底筒状の外装ケース12(図1)に収納される。
【0015】
外装ケース12の開口部には樹脂やゴム等で形成された封口体11が装着され、該開口部は絞り加工により密閉された構造を有する。
【0016】
コンデンサ素子2から引き出されるリードタブ5、15にはそれぞれリード線6、16が溶接され、封口体11を介して外部に引き出されている。外装ケース12は、スリーブ13によって被覆される。
【0017】
リードタブ5は、陽極箔3aに対して加締めまたは溶接等の方法により接続された陽極側のリードタブであり、リードタブ15は、陰極箔3bに対して加締めまたは溶接等の方法により接続された陰極側のリードタブである。
【0018】
図3(a)および(b)に示すように、陽極側のリードタブ5は、コンデンサ素子2の端面から突出する丸棒部5aと、この丸棒部5aの一端に形成されており、陽極箔3aが加締め部7によって接続される扁平部5bとから構成されている。
【0019】
このように、リードタブ5は、アルミニウムからなる丸棒状の部材の一端部を、所定長さだけプレスして扁平部5bを形成し、残りの部分を丸棒部5aとすることによって形成されている。
【0020】
また、丸棒部5aの先端(扁平部5bと反対側の端部)には、リード線6が溶接されている。
【0021】
また、陰極側のリードタブ15も、陽極側のリードタブ5と同様に、コンデンサ素子2の端面から突出する丸棒部15aと、この丸棒部15aの一端に形成されており、陰極箔3bが加締め部7によって接続される扁平部15bとから構成されている。
【0022】
このように、リードタブ15は、アルミニウムからなる丸棒状の部材の一端部を、所定長さだけプレスして扁平部15bを形成し、残りの部分を丸棒部15aとすることによって形成されている。
【0023】
また、丸棒部15aの先端(扁平部15bと反対側の端部)には、リード線16が溶接されている。
【0024】
本実施形態においては、かかる構成の陽極側のリードタブ5および陰極側のリードタブ15のいずれに対しても、化成処理を施しその表面に酸化皮膜を形成している。
【0025】
図4は、化成処理の説明に供する略線図である。図4に示すように、液槽30には化成液31が貯留され、その中にリードタブ5(15)が浸漬される。液槽30の上部には、リードタブ5(15)に溶接されたリード線6(16)を保持する保持具36が設けられており、保持具36にリード線6(16)が保持されたリードタブ5(15)は、その扁平部5b(15b)および丸棒部5a(15a)を含む所定領域が化成液31内に浸漬される高さに吊下された状態で保持される。
【0026】
保持具36は電源40の陽極に接続されており、陰極は液槽30中の化成液31に接続されている。電源40の電圧を所定の化成電圧に設定して印加することにより、化成液中のリードタブ5(15)に対して化成処理を施すことができ、当該化成処理によって、リードタブ5(15)の化成液中の領域AR1(図4)に酸化皮膜を形成することができる。
【0027】
本実施形態では、この化成電圧を調整することにより、陽極側のリードタブ5に形成する酸化皮膜の耐電圧(リードタブの耐電圧と称することもある)と陰極側のリードタブ15に形成する酸化皮膜の耐電圧との比率を1:1超とする(すなわち、陽極側のリードタブ5の耐電圧に対して、陰極側のリードタブ15の耐電圧を高くする)。
【0028】
このように、陽極側のリードタブ5および陰極側のリードタブ15の両方に化成処理を施して酸化皮膜を形成するとともに、陽極側のリードタブ5および陰極側のリードタブ15に形成した酸化皮膜の耐電圧比率を1:1超とすることにより、漏れ電流を抑え、陽極側のリードタブ5における腐食の発生を抑制することができる。
【0029】
化成処理が施されたリードタブ5、15は、加締め・巻取工程において、扁平部5b、15bが陽極箔3a、陰極箔3bに加締めまたは溶接等の方法によって接続される。
【0030】
次に、電解コンデンサ1の製造工程について説明する。
所定の幅に切断された陽極箔3a(陽極アルミニウム箔)および陰極箔3b(陰極アルミニウム箔)に、上述の化成処理が施され酸化皮膜を形成した外部引き出し電極用のリードタブ5および15(アルミニウム製)を加締め接続する。陽極箔3aは弁金属としてアルミニウム箔を用い、弁金属の表面にエッチング処理および誘電体酸化皮膜形成処理を施すことによって、誘電体酸化皮膜が形成されたものを用いる。また、陰極箔3bも陽極箔3aと同様にアルミニウム箔を用い、アルミニウム箔の表面にエッチング処理が施されるとともに自然酸化皮膜が形成されている。なお、陰極箔3bについても誘電体酸化皮膜を形成したり、表面にカーボン、チタン、窒化チタン、炭化チタン等を形成したりしてもよい。陽極箔3aと陰極箔3bとを、セルロースを主体としたセパレータ4を介して巻回し、コンデンサ素子2を作製する。
【0031】
そして、電解質を含浸したコンデンサ素子2をアルミニウム金属ケース(外装ケース12)に収納し、外装ケース12の開口部をカーリングして封止した。電解質には、エチレングリコールやγ―ブチロラクトン等を主溶媒とし電解質を溶解した電解液、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸等の導電性高分子を主成分とする固体電解質、電解液と固体電解質の両方を使用することができる。その後、所定温度に設定された恒温槽内で、外装ケース12にコンデンサ素子2を収納したアルミニウム電解コンデンサ(電解コンデンサ1)に定格電圧を印加し、エージング処理を施すことにより、電解コンデンサ1の製造工程を終了する。
【実施例
【0032】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0033】
化成処理が施され所定の耐電圧特性を有するアルミニウムリードタブ(化成タブ)を陽極アルミニウム箔に加締め接続するとともに、陰極アルミニウム箔にも化成タブを加締め接続する。そして、セパレータを介して陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔を重ね合わせ、巻回したアルミニウム電解コンデンサ素子に電解液を含浸し、外装ケース内に封口体と共に挿入する。これにより、定格400V/150μFのアルミニウム電解コンデンサ(外形寸法:直径φ18mm×長さ40mmのアルミニウム電解コンデンサ)を製作し、カテゴリ上限温度を超える115℃の環境下にて定格電圧(400V)を印加した場合に、陽極側のリードタブ5の近傍に腐食が発生するまでの時間を測定した。腐食の発生とは、腐食生成物の付着、またはアルミニウムの溶解が見られた状態を意味する。この測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例1~4は、陽極側のリードタブの耐電圧および陰極側のリードタブの耐電圧を同等とした場合(比較例1)を基準として、陰極側のリードタブの耐電圧を陽極側のリードタブの耐電圧よりも大きくした場合の腐食発生時間を測定した結果を示すものである。
【0036】
(比較例1)
陽極側のリードタブの耐電圧を200V、陰極側のリードタブの耐電圧を200Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1:1とした場合)は、3000~3500時間でリードタブに腐食が発生した。
【0037】
(実施例1)
陽極側のリードタブの耐電圧を200V、陰極側のリードタブの耐電圧を250Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1:1.25とした場合)は、5000~5500時間でリードタブに腐食が発生した。
【0038】
(実施例2)
陽極側のリードタブの耐電圧を200V、陰極側のリードタブの耐電圧を300Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1:1.5とした場合)は、7500~8000時間でリードタブに腐食が発生した。
【0039】
(実施例3)
陽極側のリードタブの耐電圧を200V、陰極側のリードタブの耐電圧を400Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1:2とした場合)は、10000時間を超えてもリードタブに腐食が発生しなかった。
【0040】
(実施例4)
陽極側のリードタブの耐電圧を200V、陰極側のリードタブの耐電圧を450Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1:2.25とした場合)は、10000時間を超えてもリードタブに腐食が発生しなかった。
【0041】
このように、陰極側のリードタブの耐電圧を陽極側のリードタブの耐電圧よりも大きくしていくと、腐食発生時間が延び、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1:2以上とした場合に、10000時間を超えてもリードタブに腐食の発生は認められず、腐食の発生を効果的に抑制することができた。
【0042】
また、比較例1~比較例5は、陽極側のリードタブの耐電圧および陰極側のリードタブの耐電圧を同等とした場合(比較例1)を基準として、陽極側のリードタブの耐電圧を陰極側のリードタブの耐電圧よりも大きくした場合の腐食発生時間を測定した結果を示すものである。
【0043】
(比較例2)
陽極側のリードタブの耐電圧を250V、陰極側のリードタブの耐電圧を200Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1.25:1とした場合)は、3500~4000時間でリードタブに腐食が発生した。
【0044】
(比較例3)
陽極側のリードタブの耐電圧を300V、陰極側のリードタブの耐電圧を200Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を1.5:1とした場合)は、3500~4000時間でリードタブに腐食が発生した。
【0045】
(比較例4)
陽極側のリードタブの耐電圧を400V、陰極側のリードタブの耐電圧を200Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を2:1とした場合)は、4000~4500時間でリードタブに腐食が発生した。
【0046】
(比較例5)
陽極側のリードタブの耐電圧を450V、陰極側のリードタブの耐電圧を200Vとした場合(すなわち、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率を2.25:1とした場合)は、4000~4500時間でリードタブに腐食が発生した。
【0047】
このように、陽極側のリードタブの耐電圧を陰極側のリードタブの耐電圧よりも大きくしていくと、その比率が大きくなるほど、腐食の発生が認められるまでの時間は僅かに長くなるが、陰極側のリードタブの耐電圧を陽極側のリードタブの耐電圧よりも高くした場合(実施例1~実施例4)に比べて、腐食発生時間は相対的に短くなっている。また、陽極側リードタブの耐電圧および陰極側リードタブの耐電圧の比率が2:1以上となっても、4000~4500時間で腐食が発生しており、陰極側のリードタブの耐電圧を陽極側のリードタブの耐電圧よりも大きくした場合に比べて、腐食の発生を抑制するという点において、その効果は限定的となっている。
【0048】
また、従来例1は、陽極側のリードタブおよび陰極側のリードタブのいずれも化成処理を施さない場合の腐食発生時間を測定したものであり、従来例2は、陽極側のリードタブのみに化成処理を施した場合の腐食発生時間を測定したものである。
【0049】
(従来例1)
陽極側のリードタブおよび陰極側のリードタブのいずれも化成処理を施さない電解コンデンサ(陽極側のリードタブの耐電圧および陰極側のリードタブの耐電圧はいずれも0V)においては、1500~1700時間でリードタブに腐食が発生した。
【0050】
(従来例2)
陽極側のリードタブの耐電圧を200V、陰極側のリードタブの耐電圧を0Vとした場合(すなわち、陰極側リードタブには化成処理を施していない場合)は、2000~2300時間でリードタブに腐食が発生した。
【0051】
このように、陰極側のリードタブに化成処理を施していない場合(すなわち、陰極側のリードタブの耐電圧が0Vである場合)、陰極側のリードタブの耐電圧を陽極側のリードタブの耐電圧よりも高くした場合(実施例1~実施例4)に比べて、リードタブに腐食が発生するまでの時間が短いことが分かる。
【0052】
以上の測定結果から以下のことが分かる。
陽極側のリードタブおよび陰極側のリードタブの両方に対して化成処理を施してそれぞれに所定の耐電圧特性を持たせ、さらに、陰極側のリードタブの耐電圧を陽極側のリードタブの耐電圧よりも大きくすることにより、腐食発生時間を延ばすことができることが分かる(実施例1~実施例4)。また、陽極側のリードタブの耐電圧および陰極側のリードタブの耐電圧の比率を1:2以上とすることにより、電解コンデンサのリードタブに腐食が発生することを効果的に抑制することができることが分かる(実施例3、実施例4)。
【0053】
なお、上述の実施形態においては、定格400V/150μFのリード線形アルミニウム電解コンデンサ(外形寸法:直径φ18mm×長さ40mmのアルミニウム電解コンデンサ)について述べたが、本発明はこれに限られず、チップ形、基板自立形、ネジ端子形のアルミニウム電解コンデンサ、導電性高分子アルミニウム電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミニウム電解コンデンサ等、種々のアルミニウム電解コンデンサに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 電解コンデンサ
2 コンデンサ素子
3a 陽極箔
3b 陰極箔
4 セパレータ
5、15 リードタブ
5a 丸棒部
5b 扁平部
7 加締め部
11 封口体
12 外装ケース
13 スリーブ
30 液槽
31 化成液
36 保持具
40 電源
図1
図2
図3
図4