(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240529BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B25F5/00 B
B25F5/00 C
F04B49/06 341E
(21)【出願番号】P 2020152367
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸市
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231779(US,A1)
【文献】特開2018-111187(JP,A)
【文献】特開2019-063927(JP,A)
【文献】特開2018-107088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
F04B 49/06
H01H 19/00 - 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動
モータと、
前記電動
モータを制御する制御部と、
作業者に操作され、第1位置まで移動可能な操作部材と、
前記操作部材が前記第1位置まで移動する間に前記操作部材により操作される第1スイッチと、
前記操作部材が前記第1位置まで移動する間に前記操作部材により操作される第2スイッチと、を備えており、
前記操作部材
は、第2位置と、第3位置と、前記第1位置の順番で移動し、
前記第1スイッチは、前記操作部材が前記第2位置と前記第
3位置との間を移動する場合に、前記操作部材が前記第2位置から前記第
3位置に向かうにつれて変化する第1信号を前記制御部に送信し、
前記第2スイッチは、前記操作部材が前記第1位置に向かって移動し、前記第3位置を超えた場合に、第2信号を前記制御部に送信し、
前記制御部は、
前記操作部材が前記第2位置から前記第3位置まで移動するときには、前記第1信号に基づいて、前記操作部材が前記第2位置から前記第3位置に向かうにつれて前記電動モータの回転数を高くする制御を実行し、前記操作部材が前記第3位置を超えて前記第1位置まで移動するときには、前記第2信号に基づいて、前記電動モータの回転数を第1回転数に変更する制御を実行し、
前記第1回転数は、前記制御部が前記第1信号に基づいて前記電動モータを制御する場合の最大の前記電動モータの回転数よりも高い回転数である、電動作業機。
【請求項2】
前記第3位置は、前記第2位置よりも前記第1位置の近くに位置する、請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1信号と前記第2信号との2つの信号が前記制御部に送信された場合、前記第2信号に基づいて前記電動
モータを制御する、請求項2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記電動モータにより駆動されるファンと、
前記ファンにより送り出された空気が流れる噴出ノズルと、をさらに備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1信号
と前記第2信号との2つの信号が前記制御部に送信された場合、前記第2信号に基づいて前記電動モータを制御し、前記第2信号に基づいて前記電動モータを制御する期間が第1期間を超えるときに前記第1信号に基づいて前記電動モータを制御する、請求項
3に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記操作部材は、前記作業者により押し込み操作されるトリガである、請求項1から
5のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記操作部材を前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備えている、請求項1から
6のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記操作部材が前記第1位置に向かって移動し、前記第3位置を超えた場合に、前記操作部材により操作される抵抗部材をさらに備えており、
前記抵抗部材は、前記操作部材が前記第3位置を超えることに抗う力を前記操作部材に付与する、請求項
7に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動作業機が開示されている。電動作業機は、電動ユニットと、電動ユニットを制御する制御部と、作業者に操作され、第1位置まで移動可能な操作部材と、操作部材が第1位置まで移動する間に操作部材により操作されるスイッチと、を備えている。操作部材が第1位置に移動するまでの間に、切替位置が位置している。スイッチは、操作部材が切替位置まで移動する場合に、操作部材が切替位置に向かうにつれて変化する第1信号を制御部に送信し、操作部材が切替位置を超えた場合に、第2信号を送信する。制御部は、第1信号と第2信号とに基づいて電動ユニットの回転数を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、1つのスイッチが、操作部材の位置に応じて、異なる種類の信号を制御部に送信する。このようなスイッチは、製造公差により、切替位置にばらつきが生じやすく、電動作業機毎に、スイッチが制御部への第1信号の送信を停止して第2信号の送信を開始するタイミングがばらついてしまう。これにより、電動作業機の性能にばらつきが生じてしまう。本明細書では、電動作業機の性能にばらつきが生じることを抑制することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、電動作業機を開示する。電動作業機は、電動ユニットと、電動ユニットを制御する制御部と、作業者に操作され、第1位置まで移動可能な操作部材と、操作部材が第1位置まで移動する間に操作部材により操作される第1スイッチと、操作部材が第1位置まで移動する間に操作部材により操作される第2スイッチと、を備えている。操作部材が第1位置に移動するまでの間に、第2位置と、第3位置とが位置している。第1スイッチは、操作部材が第2位置と第1位置との間を移動する場合に、操作部材が第2位置から第1位置に向かうにつれて変化する第1信号を制御部に送信する。第2スイッチは、操作部材が第1位置に向かって移動し、第3位置を超えた場合に、第2信号を制御部に送信する。制御部は、第1信号と第2信号とに基づいて、電動ユニットを制御する。
【0006】
上記の構成では、第1スイッチが第1信号を制御部に送信し、第2スイッチが第2信号を制御部に送信する。即ち、2つのスイッチとも、送信する信号の種類が操作部材の位置に応じて切り換わることがない。このような構成とした場合、第1スイッチや第2スイッチとして、従来から汎用されている信頼性の高い部品を使用することができ、第1スイッチにおける第2位置や、第2スイッチにおける第3位置について、製造公差に起因するばらつきを生じにくくすることができる。このため、第1スイッチが第1信号の送信を開始するタイミングや、第2スイッチが第2信号の送信を開始するタイミングがばらつくことを抑制することができる。これにより、電動作業機の性能にばらつきが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施例の電動作業機2を後方右側から見た斜視図である。
【
図2】第1実施例の電動作業機2を前方左側から見た斜視図である。
【
図3】第1実施例のトリガ14と、クルーズコントロールレバー16と、第1スイッチ118と、第2スイッチ120と、付勢部材122と、板部材124と、抵抗部材126との斜視図である。
【
図4】第1実施例の右側グリップハウジング20を取り外した電動作業機2を後方右側から見た斜視図である。
【
図5】第1実施例のグリップハウジング10を取り外した電動作業機2の断面図である。
【
図6】第1実施例の右側グリップハウジング20を取り外した状態で、トリガ14が第2位置に位置する場合のトリガ14の近傍を右側から見た図である。
【
図7】第1実施例の右側グリップハウジング20を取り外した状態で、トリガ14が第3位置に位置する場合のトリガ14の近傍を右側から見た図である。
【
図8】第1実施例の右側グリップハウジング20を取り外した状態で、トリガ14が第1位置に位置する場合のトリガ14の近傍を右側から見た図である。
【
図9】第1実施例のトリガ14の操作量と電動モータ106の回転数との関係を示す図である。
【
図10】第1実施例の第1変形例のトリガ14の操作量と電動モータ106の回転数との関係を示す図である。
【
図11】第1実施例の第2変形例のトリガ14の操作量と電動モータ106の回転数との関係を示す図である。
【
図12】第2実施例の電動作業機2を右側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電動作業機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第3位置は、第2位置よりも第1位置の近くに位置していてもよい。
【0012】
上記の構成では、操作部材が第2位置と第3位置との間で移動する場合に、第1信号のみが制御部に送信され、第2信号は制御部に送信されない。作業者は、操作部材を第2位置と第3位置との間で移動させることにより、第1信号に基づいた制御部の制御により電動ユニットを駆動することができる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、制御部は、第1信号と第2信号との2つの信号が制御部に送信された場合、第2信号に基づいて電動ユニットを制御してもよい。
【0014】
上記の構成では、制御部は、操作部材が第2位置と第3位置との間で移動する場合に、第1信号に基づいて電動ユニットを制御し、操作部材が第3位置を超えた場合に、第2信号に基づいて電動ユニットを制御する。作業者は、操作部材の位置を調節することにより、電動ユニットの第1信号に基づいた動作と電動ユニットの第2信号に基づいた動作とを使い分けることができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動ユニットは、電動モータを含んでいてもよい。電動作業機は、電動モータにより駆動されるファンと、ファンにより送り出された空気が流れる噴出ノズルと、をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記の電動作業機は、ブロワとして機能する。上記の構成では、制御部が第1信号と第2信号とに基づいて電動モータを制御することにより、それぞれの信号に基づいて噴出ノズルから流出される空気の流量を調節することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、制御部は、第1信号に基づいて、操作部材が第2位置から第1位置に向かうにつれて電動モータの回転数を高くする制御を実行し、第2信号に基づいて、電動モータの回転数を第1回転数に変更する制御を実行してもよい。
【0018】
上記の構成では、制御部は、第1信号と第2信号とに基づいて電動モータの回転数を制御する。作業者は、操作部材の位置を調節することにより、電動モータの回転数を所望の回転数に調整することができ、噴出ノズルから流出される空気の流量を所望の流量に調節することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1回転数は、制御部が第1信号に基づいて電動モータを制御する場合の最大の電動モータの回転数よりも高い回転数であってもよい。
【0020】
上記の構成では、第2信号に基づいて制御部により電動モータを制御するときに、第1信号に基づいて制御部により制御される電動モータの回転数の範囲を超えた回転数を実現することができる。これにより、作業者の利便性を向上することができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材は、作業者により押し込み操作されるトリガであってもよい。
【0022】
上記の構成では、作業者は、簡便な操作により、電動作業機の動作を制御することができる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動作業機は、操作部材を第1位置から第2位置に向けて付勢する付勢部材をさらに備えていてもよい。
【0024】
上記の構成では、作業者が操作部材から手を離したときに、付勢部材による付勢力により、操作部材を第2位置まで復帰させることができる。
【0025】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電動作業機は、操作部材が第1位置に向かって移動し、第3位置を超えた場合に、操作部材により操作される抵抗部材をさらに備えていてもよい。抵抗部材は、操作部材が第3位置を超えることに抗う力を操作部材に付与してもよい。
【0026】
上記の構成では、作業者は、第3位置を超えて操作部材を操作する場合、操作部材を第3位置まで操作する場合に必要とする力よりも大きな力を操作部材に加える必要がある。これにより、作業者は、操作部材を操作しているときに、操作部材が第3位置を超えたか否か、即ち、第2スイッチが第2信号を制御部に送信する状態に切り替わったか否かを、容易に認識することができる。
【0027】
(第1実施例)
図1から
図9を参照して、第1実施例の電動作業機2を説明する。電動作業機2は、落ち葉等を吹き集めるために使用されるブロワである。
図1および
図2に示すように、電動作業機2は、グリップハウジング10と、電源コード12と、トリガ14と、クルーズコントロールレバー16と、制御部18(
図4参照)と、を備えている。なお、以下の説明では、電動作業機2の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を電動作業機2の上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を電動作業機2の左右方向と呼ぶ。
【0028】
グリップハウジング10は、右側グリップハウジング20と、左側グリップハウジング22と、から構成されている。右側グリップハウジング20は、グリップハウジング10の右半分の外形形状を規定し、左側グリップハウジング22は、グリップハウジング10の左半分の外形形状を規定する。グリップハウジング10は、第1ハウジング26と、第2ハウジング28と、第3ハウジング30と、第4ハウジング32と、を備えている。第1ハウジング26と、第2ハウジング28と、第3ハウジング30と、第4ハウジング32とは、一体的に形成されている。第1ハウジング26は、長手方向に延びている。
【0029】
第2ハウジング28は、第1ハウジング26の上面前部から後方上側に向かって延びている。第3ハウジング30は、第1ハウジング26の上面後部から後方上側に向かって延びている。第4ハウジング32は、第2ハウジング28の後面上部から第3ハウジング30の前面上部に向かって延びている。第4ハウジング32の断面形状は、略円形状である。第4ハウジング32は、作業者により把持される。電源コード12は、第3ハウジング30の後面に接続されている。電源コード12を介して、電動作業機2に電力が供給される。電源コード12は、例えば、作業者により背負われる背負い式のバッテリ、または外部電源に接続される。
【0030】
第3ハウジング30の上面には、主電源スイッチ36と、主電源LED38とが配置されている。主電源スイッチ36は、電動作業機2のオン状態とオフ状態とを切り替えるための作業者からの操作を受け入れる。主電源LED38は、電動作業機2のオン状態とオフ状態を表示する。
【0031】
トリガ14は、第4ハウジング32の前側下部に取り付けられている。作業者は、第4ハウジング32を把持した手の指でトリガ14を操作することができる。トリガ14は、トリガ14が押し込まれていない初期位置とトリガ14が完全に押し込まれた第1位置との間を移動する。
図3に示すように、トリガ14は、トリガ操作部42と、トリガ突部44と、スイッチ押し込み部46と、を備えている。トリガ操作部42と、トリガ突部44と、スイッチ押し込み部46とは、一体的に形成されている。トリガ操作部42は、回動軸AX1の周りに回動可能に、第2ハウジング28に支持されている。トリガ操作部42が作業者により押し込み操作されると、トリガ操作部42は、回動軸AX1の周りを回動する。回動軸AX1は、トリガ操作部42の前端部に配置されている。トリガ14が第2位置に位置する場合であっても、トリガ操作部42は、第4ハウジング32の下面から下側に突出している。
【0032】
図6に示すように、トリガ突部44とスイッチ押し込み部46とは、第2ハウジング28の内部に配置されている。
図3に示すように、トリガ突部44は、トリガ操作部42の前端部に配置されている。トリガ突部44は、トリガ操作部42の上面に略直交する方向に延びている。スイッチ押し込み部46は、トリガ操作部42の前端部に配置されている。スイッチ押し込み部46は、トリガ操作部42から前方上側に向かって延びている。トリガ突部44とスイッチ押し込み部46は、トリガ操作部42と一体となって回動軸AX1の周りを回動する。
【0033】
クルーズコントロールレバー16は、レバー操作部50と、連結部52と、回動部54と、ストッパ部56と、を備えている。
図2に示すように、レバー操作部50は、第2ハウジング28と第4ハウジング32との接続箇所近傍の第2ハウジング28の外部に配置されている。レバー操作部50は、作業者により操作される。
図3に示すように、レバー操作部50が作業者により操作されると、レバー操作部50は、回動軸AX2の周りを回動する。連結部52は、レバー操作部50の右面から右側に向かって延びている。図示省略しているが、連結部52は、第2ハウジング28の左面を貫通して、第2ハウジング28の内部まで延びている。回動部54とストッパ部56とは、第2ハウジング28の内部に配置されている。回動部54は、連結部52に連結している。ストッパ部56は、回動部54の右面から右側に向かって突出している。ストッパ部56は、トリガ突部44に後側から当接可能である。回動部54とストッパ部56とは、レバー操作部50と一体となって回動軸AX2の周りを回動する。
【0034】
回動部54と第2ハウジング28の内面との間にはクッション(図示省略)が挟まれており、回動部54は、クッションから受ける摩擦力により所望の位置に固定される。作業者がレバー操作部50を所望の位置まで回動することにより、ストッパ部56を所望の位置に固定することができる。ストッパ部56がトリガ突部44に当接して所望の位置に固定されている状態では、作業者がトリガ14から手を離している場合であっても、トリガ14が押し込まれた状態に維持される。
【0035】
図4に示すように、第1ハウジング26の前面には、開口62が形成されている。開口62は、第1ハウジング26と第2ハウジング28との接続箇所の近傍に配置されている。開口62は、グリップハウジング10の内部と外部とを連通する。
【0036】
制御部18は、第1ハウジング26の内部に配置されている。制御部18は、前後方向および左右方向に沿って配置されている。制御部18は、第1ハウジング26と第2ハウジング28との接続箇所の近傍に配置されている。上下方向に関して、制御部18は、開口62よりも上側に配置されている。図示省略されているが、制御部18は、マイコンと複数のスイッチング素子とを有する制御基板と、制御基板が取り付けられるケースから構成されている。スイッチング素子は、例えば、IGBTまたはMOSFETである。スイッチング素子は、マイコンに制御されることにより、オン状態とオフ状態とに切り替えられる。
【0037】
電動作業機2は、モータハウジング66と、リアハウジング68と、噴出ノズル70と、カバー部材72と、をさらに備えている。モータハウジング66は、第1ハウジング26の内部に配置されている。リアハウジング68は、モータハウジング66の後端部に連結されており、第1ハウジング26の後端部から後側に向かって突出している。また、リアハウジング68は、第1ハウジング26に固定されている。噴出ノズル70は、モータハウジング66の前端部に連結されており、第1ハウジング26の前端部から前側に向かって突出している。また、噴出ノズル70は、第1ハウジング26に固定されている。
【0038】
図5に示すように、リアハウジング68は、後側から前側に向かうにつれて内周面の直径が小さくなる筒形状を有する。リアハウジング68は、内部に上流通路84を有する。リアハウジング68の後端部には、カバー部材72が取り付けられている。カバー部材72は、リアハウジング68の後端開口を覆っている。カバー部材72は、複数の吸気孔72aを有する。複数の吸気孔72aは、カバー部材72を前後方向に貫通している。複数の吸気孔72aは、電動作業機2の外部とリアハウジング68の上流通路84とを連通している。
【0039】
噴出ノズル70は、第1噴出ノズル86と、第2噴出ノズル88(
図1参照)と、を備えている。第2噴出ノズル88は、第1噴出ノズル86の前部に着脱可能に取り付けられている。第1噴出ノズル86と第2噴出ノズル88とは、筒形状を有する。第1噴出ノズル86と第2噴出ノズル88とは、内部に下流通路90を有する。第1噴出ノズル86の上端部には、開口86aが形成されている。開口86aは、制御部18の下側に配置されている。
【0040】
モータハウジング66は、外側筒部材80と、複数のフィン96と、内側筒部材98と、蓋部材100と、を備えている。外側筒部材80と複数のフィン96と内側筒部材98とは、一体的に形成されている。外側筒部材80は、前後方向に延びる筒形状を有する。外側筒部材80は、内部に空気通路82を有する。空気通路82の上流端は、リアハウジング68の上流通路84に連通しており、空気通路82の下流端は、噴出ノズル70の下流通路90に連通している。複数のフィン96は、外側筒部材80の内周面から外側筒部材80の中心軸に向かって延びている。図示省略しているが、複数のフィン96は、外側筒部材80の内周面の周方向に互いに等間隔に配置されている。
【0041】
内側筒部材98は、外側筒部材80の内部に配置されている。内側筒部材98は、前後方向に延びている。内側筒部材98の外周面には、外側筒部材80の内周面から延びる複数のフィン96が接続されている。内側筒部材98の後端部には、蓋部材100が取り付けられている。蓋部材100は、内側筒部材98の後端開口102を閉じる。蓋部材100の後端部には、複数の孔(図示省略)が形成されている。内側筒部材98の前端部には、コーン104が取り付けられている。コーン104の外周面の直径は、後側から前側に向かうにつれて小さくなる。コーン104の先端部には、先端開口が形成されている。
【0042】
電動作業機2は、電動モータ106と、ファン108と、をさらに備えている。電動モータ106は、例えば、インナロータ型のブラシレスモータである。電動モータ106は、内側筒部材98の内部に配置されている。電動モータ106の動作は、制御部18のマイコン(図示省略)がスイッチング素子(図示省略)のオン状態とオフ状態とを切り替える制御を実行することにより、制御される。
【0043】
ファン108は、例えば、軸流ファンである。ファン108は、電動モータ106の駆動により回転する。ファン108が回転すると、ファン108の後側に負圧が発生する。これにより、空気は、カバー部材72の複数の吸気孔72aからリアハウジング68の上流通路84に流入し、外側筒部材80の空気通路82に流れる。その後、空気は、ファン108により前側に送り出され、空気通路82、下流通路90を順番に流れ、第2噴出ノズル88の先端開口から流出する。また、ファン108により前側に送り出された空気の一部は、蓋部材100の後端部に形成されている複数の孔(図示省略)から内側筒部材98の内部に侵入し、内側筒部材98の内部を前側に向かって流れた後、コーン104の先端開口から下流通路90に流れる。これにより、電動モータ106が冷却される。さらに、下流通路90を流れる空気の一部は、開口86aを通り、第1噴出ノズル86の外部に流出する。流出した空気は、制御部18の下面と第1噴出ノズル86の外周面との間を流れ、開口62からグリップハウジング10の外部に流出する。これにより、制御部18が冷却される。
【0044】
図6に示すように、電動作業機2は、第1スイッチ118と、第2スイッチ120と、付勢部材122と、板部材124と、抵抗部材126と、をさらに備えている。第1スイッチ118と第2スイッチ120とは、制御部18に電気的に接続されている。第1スイッチ118と付勢部材122とは、第2ハウジング28の内部に配置されている。第1スイッチ118は、第1スイッチボタン118aを有する。第1スイッチボタン118aは、トリガ14が初期位置と第2位置との間を移動する間、押し込まれない。なお、第2位置は、初期位置から第1位置側にわずかに寄った位置に位置している。これにより、作業者が初期位置に位置しているトリガ14に誤って触れた場合であっても、第1スイッチボタン118aが押し込まれることを抑制することができる。
図7および
図8に示すように、トリガ14が第3位置を超えと、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれる。第1スイッチボタン118aが押し込まれると、第1スイッチ118から制御部18に第1信号が送信される。第1信号は、第1スイッチボタン118aの押し込み量に応じて変化する信号である。本実施例では、第1スイッチボタン118aの押し込み量が増加するにつれて、第1信号の大きさが徐々に大きくなる。付勢部材122は、第1スイッチボタン118aの周りを囲んでいる。付勢部材122は、第1スイッチボタン118aを、第2位置に戻るように付勢する。これにより、作業者がトリガ操作部42から手の指を離した場合であっても、スイッチ押し込み部46は、トリガ14が第1位置から第2位置に向かう方向に付勢され、第2位置に復帰する。
【0045】
図6に示すように、第2スイッチ120と板部材124と抵抗部材126とは、第4ハウジング32の内部に配置されている。板部材124は、直線部124bと、湾曲部124aと、を備えている。直線部124bは、第2スイッチ120の前側に配置されている。直線部124bの下端部は、第2スイッチ120の下部に固定されている。湾曲部124aは、直線部124bの上端部から前側に向かって湾曲し、その後、後側に向かって湾曲している。
【0046】
抵抗部材126は、固定部126aと、第1直線部126bと、第2直線部126cと、第3直線部126dと、を備えている。固定部126aは、第4ハウジング32に固定されている。固定部126aは、略下側に向かって延びた後、屈曲して略前側に向かって延びている。第1直線部126bは、固定部126aの前端部から略上側に向かって延びている。第2直線部126cは、第1直線部126bの上端部から略前側に向かって延びている。第3直線部126dは、第2直線部126cの前端部から上方前側に向かって延びている。
【0047】
湾曲部124aと第2直線部126cとは、トリガ14が初期位置と第3位置との間で移動する場合、トリガ操作部42から離れている。なお、第3位置は、初期位置と第1位置との間に位置しており、第2位置よりも第1位置の近くに位置している。
図7に示すように、トリガ14が初期位置から第3位置まで移動すると、湾曲部124aと第2直線部126cとは、トリガ操作部42に当接する。
図8に示すように、トリガ14が第3位置を超えて第1位置に向かって移動すると、湾曲部124aは、トリガ操作部42により後側に押される。これにより、直線部124bが後側に押され、第2スイッチ120の第2スイッチボタン120a(
図6および
図7参照)が直線部124bにより押し込まれる。第2スイッチボタン120aが押し込まれると、第2スイッチ120から制御部18に第2信号が送信される。第2信号は、第2スイッチボタン120aの押し込み量とは無関係な一定の信号である。一方、トリガ14が第3位置を超えて第1位置に向かって移動すると、トリガ操作部42により、第2直線部126cが上側に押されて、第1直線部126bと、第2直線部126cと、第3直線部126dとが弾性変形により後側に向かって撓む。このとき、トリガ操作部42は、第2直線部126cに当接する状態から、第3直線部126dに当接する状態に切り替わる。トリガ14が第2位置と第3位置との間で移動する場合、トリガ14には第2位置に向けた付勢部材122による付勢力が作用している。これに対して、トリガ14が第3位置を超えて第1位置に向かって移動するときには、トリガ14には第2位置に向けた付勢部材122による付勢力に加えて、第2位置に向けた抵抗部材126の弾性復元力が作用する。即ち、トリガ14が第3位置を超えて移動する場合、トリガ14が第3位置を超えることに抗う力がトリガ操作部42に付与される。作業者がトリガ14を第3位置を超えて操作するのに必要な力は、作業者がトリガ14を第3位置まで操作するのに必要な力よりも大きくなる。
【0048】
次に、
図6から
図9を参照して、制御部18が実行する電動モータ106の制御について説明する。トリガ14が初期位置と第2位置との間を移動する間、
図6に示すように、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれておらず、第2スイッチボタン120aは、トリガ操作部42により押し込まれていない。このため、第1信号と第2信号との2つの信号ともに制御部18に送信されず、制御部18は、電動モータ106を制御しない。この結果、ファン108が回転しないため、第2噴出ノズル88の先端開口から空気が流出しない。
【0049】
トリガ14が第2位置から第3位置に向かって移動すると、
図7に示すように、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれる。第1スイッチボタン118aの押し込み量は、トリガ14が第2位置から第3位置に向かうにつれて大きくなる。一方、第2スイッチボタン120aは、トリガ操作部42により押し込まれてない。このため、第1信号のみが制御部18に送信され、第2信号は制御部18に送信されない。送信される第1信号の大きさは、第1スイッチボタン118aの押し込み量が大きくなるにつれて大きくなる。
図9に示すように、この場合、制御部18は、第1スイッチボタン118aの押し込み量が大きくなるにつれて電動モータ106の回転数が高くなるように、電動モータ106を制御する。以下では、制御部18が第1信号に基づいて電動モータ106を制御するモードを、第1モードと呼ぶ。電動モータ106の回転数が高くなるにつれて、ファン108の回転数が高くなり、第2噴出ノズル88の先端開口から流出する空気の流量が高くなる。
【0050】
トリガ14が第3位置を超えて第1位置に向かって移動すると、
図8に示すように、第2スイッチボタン120aがトリガ操作部42により押し込まれる。また、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれ続けている。このため、第1信号と第2信号との2つの信号ともに制御部18に送信される。第2信号の大きさは、第2スイッチボタン120aの押し込み量に関わらず一定である。
図9に示すように、制御部18は、第1信号に基づいた第1モードを実行している間に第2信号を受信すると第1モードによる電動モータ106の制御を停止し、第2信号に基づいて、第1回転数で回転するように電動モータ106を制御する。以下では、制御部18が第2信号に基づいて電動モータ106を制御するモードを第2モードと呼ぶ。第2モードで駆動する場合における電動モータ106の第1回転数は、第1モードで駆動する場合における電動モータ106の最大の回転数よりも高い回転数である。本実施例では、第1回転数は、第1モードで駆動する場合における電動モータ106の最大回転数の1.3倍である。電動モータ106が第2モードで駆動すると、電動モータ106が第1モードで駆動している場合と比較して、ファン108の回転数が高くなり、第2噴出ノズル88の先端開口から流出する空気の流量が高くなる。
【0051】
電動モータ106が第2モードで駆動している場合、電動モータ106が第1モードで駆動している場合と比較して、電動モータ106や制御部18の発熱量が大きく、電動モータ106と制御部18が過熱しやすくなる。このため、電動モータ106を第2モードで長期間駆動することができない。本実施例では、制御部18は、第2信号が送信されてから第1期間が経過すると、即ち、電動モータ106を第2モードで駆動させてから第1期間が経過すると、第2モードによる電動モータ106の制御を停止し、電動モータ106を第1モードで駆動する。これにより、電動モータ106の回転数は、第2モードで駆動する場合における電動モータ106の第1回転数よりも低くなる。この結果、電動モータ106と制御部18とが過熱されることが抑制される。
【0052】
(効果)
本実施例の電動作業機2は、電動モータ106と、電動モータ106を制御する制御部18と、作業者に操作され、第1位置まで移動可能なトリガ14と、トリガ14が第1位置まで移動する間にトリガ14により操作される第1スイッチ118と、トリガ14が第1位置まで移動する間にトリガ14により操作される第2スイッチ120と、を備えている。操作部材が第1位置に移動するまでの間に、第2位置と、第3位置とが位置している。第1スイッチ118は、トリガ14が第2位置と第1位置との間を移動する場合に、トリガ14が第2位置から第1位置に向かうにつれて変化する第1信号を制御部18に送信する。第2スイッチ120は、トリガ14が第1位置に向かって移動し、第3位置を超えた場合に、第2信号を制御部18に送信する。制御部18は、第1信号と第2信号とに基づいて、電動モータ106を制御する。この構成では、第1スイッチ118が第1信号を制御部18に送信し、第2スイッチ120が第2信号を制御部18に送信する。即ち、2つのスイッチとも、送信する信号の種類がトリガ14の位置に応じて切り替わることがない。このような構成とした場合、第1スイッチ118や第2スイッチ120として、従来から汎用されている信頼性の高い部品を使用することができ、第1スイッチ118における第2位置や、第2スイッチ120における第3位置について、製造公差に起因するばらつきを生じにくくすることができる。このため、第1スイッチ118が第1信号の送信を開始するタイミングや、第2スイッチ120が第2信号の送信を開始するタイミングがばらつくことを抑制することができる。これにより、電動作業機2の性能にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0053】
また、第3位置は、第2位置よりも第1位置の近くに位置している。この構成では、トリガ14が第2位置と第3位置との間で移動する場合に、第1信号のみが制御部18に送信され、第2信号は制御部18に送信されない。作業者は、トリガ14を第2位置と第3位置との間で移動させることにより、第1信号に基づいた制御部18の制御により電動モータ106を駆動することができる。
【0054】
また、制御部18は、第1信号と第2信号との2つの信号が制御部18に送信された場合、第2信号に基づいて電動モータ106を制御する。上記の構成では、制御部18は、トリガ14が第2位置と第3位置との間で移動する場合に、第1信号に基づいて電動モータ106を制御し、トリガ14が第3位置を超えた場合に、第2信号に基づいて電動モータ106を制御する。作業者は、トリガ14の位置を調節することにより、電動モータ106の第1信号に基づいた動作と電動モータ106の第2信号に基づいた動作とを使い分けることができる。
【0055】
また、電動モータ106は、電動ユニットとして機能する。電動作業機2は、電動モータ106により駆動されるファン108と、ファン108により送り出された空気が流れる噴出ノズル70と、をさらに備えている。この電動作業機2は、ブロワとして機能する。この構成では、制御部18が第1信号と第2信号とに基づいて電動モータ106を制御することにより、それぞれの信号に基づいて噴出ノズル70から流出される空気の流量を調節することができる。
【0056】
また、制御部18は、第1信号に基づいて、トリガ14が第2位置から第1位置に向かうにつれて電動モータ106の回転数を高くする制御を実行し、第2信号に基づいて、電動モータ106の回転数を第1回転数に変更する制御を実行する。この構成では、制御部18は、第1信号と第2信号とに基づいて電動モータ106の回転数を制御する。作業者は、トリガ14の位置を調節することにより、電動モータ106の回転数を所望の回転数に調整することができ、噴出ノズル70から流出される空気の流量を所望の流量に調節することができる。
【0057】
また、第1回転数は、制御部18が第1信号に基づいて電動モータ106を制御する場合の最大の電動モータ106の回転数よりも高い回転数である。この構成では、第2信号に基づいて制御部18により電動モータ106を制御するときに、第1信号に基づいて制御部18により制御される電動モータ106の回転数の範囲を超えた回転数を実現することができる。これにより、作業者の利便性を向上することができる。
【0058】
また、トリガ14は、作業者により押し込み操作される操作部材として機能する。この構成では、作業者は、簡便な操作により、電動作業機2の動作を制御することができる。
【0059】
また、電動作業機2は、トリガ14を第1位置から第2位置に向けて付勢する付勢部材122をさらに備えている。この構成では、作業者がトリガ14から手を離したときに、付勢部材122による付勢力により、トリガ14を第2位置に復帰させることができる。
【0060】
また、電動作業機2は、トリガ14が第1位置に向かって移動し、第3位置を超えた場合に、トリガ14により操作される抵抗部材126をさらに備えている。抵抗部材126は、トリガ14が第3位置を超えることに抗う力をトリガ14に付与する。この構成では、作業者は、第3位置を超えてトリガ14を操作する場合、トリガ14を第3位置まで操作する場合に必要とする力よりも大きな力をトリガ14に加える必要がある。これにより、作業者は、トリガ14を操作しているときに、トリガ14が第3位置を超えたか否か、即ち、第2スイッチ120が第2信号を制御部18に送信する状態に切り替わったか否かを、容易に認識することができる。
【0061】
(対応関係)
電動モータ106は、「電動ユニット」の一例であり、トリガ14は、「操作部材」の一例である。
【0062】
(第1実施例の第1変形例)
図10を参照して、第1実施例の第1変形例を説明する。第1実施例の第1変形例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第1実施例の第1変形例では、第1スイッチボタン118aが操作される第2位置は、第1実施例の場合の第2位置よりも第1位置に寄った位置に位置している。また、第2スイッチボタン120aが操作される第3位置が、初期位置と第2位置との間に位置している。この構成では、トリガ14が初期位置と第3位置との間を移動する間、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれておらず、第2スイッチボタン120aは、トリガ操作部42により押し込まれていない。このため、第1信号と第2信号との2つの信号ともに制御部18に送信されず、制御部18は、電動モータ106を駆動しない。トリガ14が第3位置を超えて第1位置に向かって移動すると、第2スイッチボタン120aは、トリガ操作部42により押し込まれ、第2信号が制御部18に送信される一方、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれておらず、第1信号が制御部18に送信されない。本変形例では、電動作業機2が主電源スイッチ36の操作によりオフ状態からオン状態に切り替わったときに、第1信号と第2信号との2つの信号ともに制御部18に送信されておらず、その後、第2信号が制御部18に送信された場合にのみ、制御部18は、第2信号に基づいて電動モータ106をスタンバイモードにする。その後、制御部18は、電動モータ106がスタンバイモードにある場合で、かつ、第1信号が送信された場合にのみ、第1信号に基づく制御部18の制御を実行する。このため、例えば、電動作業機2がオフ状態のときにトリガ14が第3位置と第2位置との間のある位置まで操作され、その後、電動作業機2がオフ状態からオン状態に切り替わった場合、その後に、トリガ14が操作されることにより、第2位置を超えて第1信号が制御部18に送信されても、電動モータ106が駆動しない。なお、変形例では、制御部18は、電動モータ106をスタンバイモードにして所定期間経過しても第1信号が送信されない場合に、電動モータ106のスタンバイモードを解除してもよい。
【0063】
電動モータ106がスタンバイモードにある状態で、トリガ14が第2位置を超えると、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれ、第1信号が制御部18に送信される。制御部18は、第1信号に基づいて、スタンバイモードにある電動モータ106を駆動する。本変形例では、電動モータ106の回転数は、第1スイッチボタン118aの押し込み量が大きくなるにつれて高くなり、電動モータ106が第1回転数で回転することはない。
【0064】
(第1実施例の第2変形例)
図11を参照して、第1実施例の第2変形例を説明する。第1実施例の第2変形例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第1実施例の第2変形例では、制御部18は、第1信号が送信されていた状態で第2信号が送信された場合に、電動モータ106を駆動する。また、第1実施例の第2変形例では、第2スイッチボタン120aが操作される第3位置は、第1実施例の場合の第3位置よりも初期位置に寄った位置に位置している。この構成では、トリガ14が初期位置と第2位置との間を移動する間、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれておらず、第2スイッチボタン120aは、トリガ操作部42により押し込まれていない。このため、第1信号と第2信号との2つの信号ともに制御部18に送信されず、制御部18は、電動モータ106を駆動しない。トリガ14が第2位置を超えて、第3位置に向かって移動すると、第1スイッチボタン118aは、スイッチ押し込み部46により押し込まれ、第1信号が制御部18に送信される一方、第2スイッチ120は、トリガ操作部42により押し込まれておらず、第2信号が制御部18に送信されない。この場合、制御部18は、電動モータ106を駆動しない。トリガ14が第3位置を超えると、第2スイッチボタン120aは、トリガ操作部42により押し込まれ、第2信号が制御部18に送信される。即ち、第1信号が制御部18に送信されていた状態で、第2信号が制御部18に送信される。この場合、制御部18は、電動モータ106を駆動する。本変形例では、電動モータ106の回転数は、第1スイッチボタン118aの押し込み量が大きくなるにつれて高くなり、電動モータ106が第1回転数で回転することはない。なお、変形例では、制御部18は、第1信号が送信されてから所定期間経過しても第2信号が送信されない場合、所定期間が経過した後に第2信号が送信されても、電動モータ106を制御しなくてもよい。
【0065】
(第2実施例)
図12を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明し、第1実施例と同様の点については、同様の符号を付して説明を省略する。第2実施例は、電動作業機2が電源コード12に替えてバッテリパックBを備えている点で第1実施例と異なる。バッテリパックBは、リチウムイオンバッテリセルを含んでいる。バッテリパックBの電力は、電動モータ106に供給される。バッテリパックBは、第3ハウジング30の後面に着脱可能に取り付けられる。バッテリパックBを第3ハウジング30に対して右側にスライドさせることにより、バッテリパックBは第3ハウジング30に取り付けられ、バッテリパックBを第3ハウジング30に対して左側にスライドさせることにより、バッテリパックBは第3ハウジング30から取り外される。なお、変形例では、バッテリパックBを第3ハウジング30に対して下側にスライドさせることにより、バッテリパックBが第3ハウジング30に取り付けられ、バッテリパックBを第3ハウジング30に対して上側にスライドさせることにより、バッテリパックBが第3ハウジング30から取り外されてもよい。また、バッテリパックBは、第1ハウジング26や第2ハウジング28に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0066】
一実施形態に係る電動作業機2では、第2位置は、初期位置と同一であってもよい。
【0067】
一実施形態に係る電動作業機2は、薬液収容部と、電磁弁と、をさらに備えていてもよい。薬液収容部は、薬液を収容してもよい。また、電磁弁は、第2スイッチボタン120aが押し込まれた場合に開弁してもよい。電磁弁が開弁すると、薬液収容部に収容されていた薬液がモータハウジング66の空気通路82に供給される。これにより、薬液が空気とともに、第2噴出ノズル88の先端開口から流出する。
【0068】
一実施形態に係る電動作業機2では、第1スイッチ118と第2スイッチ120とが同一のケーシングの内部に配置されて、1つのスイッチユニットを構成していてもよい。
【0069】
一実施形態に係る電動作業機2は、電動モータ106または制御部18の温度を検出する温度センサをさらに備えていてもよい。制御部18は、第2信号に基づいて電動モータ106を駆動している場合、電動モータ106または制御部18の温度が所定の温度を超えると、第2信号に替えて第1信号に基づいて、電動モータ106を制御してもよい。
【0070】
一実施形態に係る電動作業機2は、ブロワに限られず、例えば、チェーンソーまたは芝刈機であってもよい。この場合、ソーチェーンや刈刃の回転数が制御部18により制御される。
【0071】
一実施形態に係る電動作業機2は、電動モータ106に限られず、例えば、LEDライトであってもよい。この場合、光度が制御部18により制御される。
【符号の説明】
【0072】
2 :電動作業機
10 :グリップハウジング
12 :電源コード
14 :トリガ
16 :クルーズコントロールレバー
18 :制御部
42 :トリガ操作部
44 :トリガ突部
46 :スイッチ押し込み部
50 :レバー操作部
52 :連結部
54 :回動部
56 :ストッパ部
66 :モータハウジング
68 :リアハウジング
70 :噴出ノズル
80 :外側筒部材
96 :フィン
98 :内側筒部材
106 :電動モータ
108 :ファン
118 :第1スイッチ
118a :第1スイッチボタン
120 :第2スイッチ
120a :第2スイッチボタン
122 :付勢部材
124 :板部材
126 :抵抗部材
AX1、AX2:回動軸