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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/36 20200101AFI20240529BHJP
   D06F 33/34 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/42 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20240529BHJP
   D06F 33/38 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/37 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/54 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/56 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/57 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/58 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 33/62 20200101ALI20240529BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
D06F33/36
D06F33/34
D06F33/42
D06F39/08 311Z
D06F39/08 301Z
D06F33/38
D06F33/37
D06F33/54
D06F33/56
D06F33/57
D06F33/58
D06F33/62
D06F39/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020161655
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022001245
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2020106080
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】林 美穂
(72)【発明者】
【氏名】増田 美穂
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121899(JP,A)
【文献】特開2020-054688(JP,A)
【文献】特開2008-183122(JP,A)
【文献】特開2013-128535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/36
D06F 33/34
D06F 33/42
D06F 39/08
D06F 33/38
D06F 33/37
D06F 33/54
D06F 33/56
D06F 33/57
D06F 33/58
D06F 33/62
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられた水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、
外部の給水源から供給される水を前記水槽に給水する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、
前記水槽から水を排水させるための排水経路と、
前記排水経路を開閉する排水弁と、
前記水槽内に洗濯処理剤を自動的に投入する処理剤自動投入装置と、
前記給水弁と前記排水弁と前記処理剤自動投入装置とを制御することによって、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を含む一連の洗濯運転を実行可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記水槽内に前記処理剤自動投入装置から前記洗濯処理剤の投入と前記給水弁を開放して前記水槽内に給水と洗い動作とを行った後に、前記排水弁を開放して汚れを含んだ洗濯水を前記排水経路から排水する予洗い処理と、
前記予洗い処理の実行後、前記水槽内に前記処理剤自動投入装置から前記洗濯処理剤の投入及び前記給水弁を開放して前記水槽内に給水を行った後に前記洗い動作を行う本洗い処理と、を実行可能であ
前記予洗い処理は、前記洗濯運転中に複数回実行することが可能であり、
前記予洗い処理を複数回実行する場合に、今回の予洗い処理時に投入する前記洗濯処理剤の投入量を前回の予洗い処理時に投入する前記洗濯処理剤の投入量と同量以上にする、
洗濯機。
【請求項2】
前記制御装置は、洗濯運転の内容又はユーザの設定に基づき前記予洗い処理と前記本洗い処理とにおける前記洗濯処理剤の投入量を設定する設定処理を更に実行可能であり、
前記設定処理は、前記予洗い処理と前記本洗い処理とにおける前記洗濯処理剤の投入量を異なる量に設定する処理を含む、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記設定処理は、前記予洗い処理における前記洗濯処理剤の投入量を前記本洗い処理における前記洗濯処理剤の投入量以下に設定する処理を更に含む、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記すすぎ工程におけるすすぎ回数は、前記予洗い処理を実行した場合と予め設定された通常のすすぎ回数とにおいて同じである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記水槽内の前記洗濯水の汚れ具合を検知する汚れ検知処理と、
前記汚れ検知処理の結果に基づいて前記予洗い処理の実行回数を調整する予洗い回数調整処理と、を更に実行可能である、
請求項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記予洗い処理は、前記水槽内の洗濯水に洗濯物を所定時間浸しておく漬け置き動作を更に含んでいる、
請求項1からのいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記予洗い処理が複数回実行される場合、2回目以降の前記予洗い処理に前記漬け置き動作を含ませる割当て処理を更に実行可能である、
請求項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば洗濯物の黒ずみを防止するためには、予洗いを含んだ洗い工程を行うことによって効率よく洗浄性能を高める方法がある。この場合、予洗いにより汚れを含んだ洗濯水は本洗いの実行前に排水されるため、本洗い時に洗剤が不足しないように例えば必要な洗剤量の2倍量の洗剤を予洗い時に水槽内に投入しておく。このようにして、予洗い後に排水をしても本洗い時に洗剤が水槽内に残存されるようにしている。しかしながら、洗濯物の汚れ具合によっては予洗い時に多くの洗剤が使用されてしまうと、本洗い時には有効な洗剤の残存量が減少してしまい、その結果、十分な洗浄効果が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-75505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、洗浄性能の向上を図ることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、外箱と、前記外箱内に設けられた水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、外部の給水源から供給される水を前記水槽に給水する給水経路と、前記給水経路を開閉する給水弁と、前記水槽から水を排水させるための排水経路と、前記排水経路を開閉する排水弁と、前記水槽内に洗濯処理剤を自動的に投入する処理剤自動投入装置と、前記給水弁と前記排水弁と前記処理剤自動投入装置とを制御することによって、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を含む一連の洗濯運転を実行可能な制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記水槽内に前記処理剤自動投入装置から前記洗濯処理剤の投入と前記給水弁を開放して前記水槽内に給水と洗い動作とを行った後に、前記排水弁を開放して汚れを含んだ洗濯水を前記排水経路から排水する予洗い処理と、前記予洗い処理の実行後、前記水槽内に前記処理剤自動投入装置から前記洗濯処理剤の投入及び前記給水弁を開放して前記水槽内に給水を行った後に前記洗い動作を行う本洗い処理と、を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による洗濯機の一例を概略的に示す図
図2】第1実施形態による洗濯機について、制御装置の電気的構成の一例を示すブロック図
図3】第1実施形態による洗濯機について、洗剤投入量の設定例を示す図
図4】第1実施形態による洗濯機について、洗濯運転全体の工程の一例を示すフローチャート
図5】第1実施形態による洗濯機について、予洗い処理を実行する場合と実行しない場合の各工程の具体的内容の一例を示す図
図6】第1実施形態による洗濯機について、洗い工程の一例を示すフローチャート
図7】第1実施形態による洗濯機について、予洗い処理における制御内容の一例を示すフローチャート
図8】第1実施形態による洗濯機について、本洗い処理における制御内容の一例を示すフローチャート
図9】第1実施形態による洗濯機について、洗剤投入量の設定例の他の例を示す図
図10】第1実施形態による洗濯機について、洗剤投入量の設定例の他の例を示す図
図11】第2実施形態による洗濯機について、漬け置き処理の設定例を示す図
図12】第3実施形態による洗濯機の一例を概略的に示す図
図13】第3実施形態による洗濯機について、予洗い処理における制御内容の一例を示すフローチャート
図14】第4実施形態による洗濯機について、予洗い処理における制御内容の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1から図8を参照して第1実施形態について説明する。図1に示す洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、洗濯機10は、回転槽13の回転軸が垂直方向へ向いた縦軸型の洗濯機でも良い。本実施形態の洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、排水経路15、排水弁16、循環経路17、循環ポンプ18、及びヒータ19を備えている。なお、図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10のユーザから見て手前側を洗濯機10の前側とし、ユーザの反対側つまり洗濯機10の背面側を洗濯機10の後側とする。
【0009】
外箱11は、例えば鋼板などによって略矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒形状の軸方向の一方側つまり前方側が開口し、他方側つまり後方側に底部を有する、いわゆる有底円筒状に形成されている。
【0010】
また、回転槽13は、バッフル131と多数の孔132とを有している。バッフル131は、回転槽13の内周壁に複数例えば3つ設けられており、回転槽13内に収容された洗濯物を撹拌及び掻き上げる機能を有する。孔132は、回転槽13の内周壁の全域にわたって形成されており、例えば脱水工程時においては水が出入りする通水孔としての機能を有する。
【0011】
モータ14は、水槽12の底部外側に設けられている。モータ14は、回転槽13に接続されており、回転槽13を直接的に回転駆動させる機能を有する。モータ14は、詳細は図示しないが、例えば回転数を変更可能なブラシレスのダイレクトドライブモータで構成されている。なお、モータ14は、ダイレクトドライブモータに限らず、クラッチ機構及びブレーキ装置等を有する構成であっても良い。
【0012】
排水経路15は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための経路である。排水経路15は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁16に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外に引き出されている。
【0013】
排水弁16は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。排水弁16は、水槽12の底部に設けられた排水口121と排水経路15との間に設けられている。排水弁16は、制御装置50からの制御信号に基づき、排水経路15を開閉する。
【0014】
循環経路17は、水槽12の外部に設けられている。循環経路17は、水槽12内に貯留されている水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上部から再び水槽12内に供給するための経路である。循環経路17は、一方の端部が循環ポンプ18を介して排水口121に接続され、他方の端部が水槽12の上部に設けられたノズル部171に接続されている。ノズル部171は、詳細は図示しないが、ノズル部171から吐出された水が水槽12の中央側へ向かってシャワー状に放出されるように構成されている。
【0015】
循環ポンプ18は、循環経路17上に設けられている。排水弁16によって排水経路15が閉じられた状態で循環ポンプ18が駆動すると、循環ポンプ18は、排水口121を通して水槽12内の水を汲み上げて、ノズル部171から再び水槽12内へ注水する。これにより、循環ポンプ18は、循環経路17を通して水槽12内に貯留されている水を循環させる。
【0016】
ヒータ19は、水槽12の底部に設けられている。ヒータ19は、水槽12に供給される水を加熱して温水化する機能を有する。これにより、洗濯機10は、温水を用いて洗い工程又はすすぎ工程を実行することができる。
【0017】
また、洗濯機10は、図1及び図2に示すように、温風供給経路61、加熱装置62、及び送風機63を備えている。温風供給経路61は、水槽12の外部に設けられており、水槽12内に乾燥用の温風を供給する機能を有する。本実施形態の場合、温風供給経路61は、水槽12の内部と外部とを循環する循環風路として構成されている。この場合、温風供給経路61は、水槽12及び回転槽13内の空気が吸い込まれ、その吸い込まれた空気を水槽12の上部から再び水槽12内に供給する。温風供給経路61は、一方の端部が水槽12の背面側の下端部付近に接続され、他方の端部が水槽12の前面側の上部前端部付近に接続されている。
【0018】
加熱装置62や送風機63は、温風供給経路61の途中に設けられている。加熱装置62は、温風供給経路61の空気を温めて温風供給経路61から水槽12内に供給する温風を生成する機能を有する。加熱装置62で生成された温風は、送風機63の作用によって水槽12内に供給される。この場合、加熱装置62の加熱方式は、例えばヒートポンプ式やヒータ式等を採用することができる。
【0019】
また、洗濯機10は、接続口21、給水経路22、給水弁23、及び処理剤自動投入装置30を有している。接続口21は、ホース100を介して水道の蛇口等の外部の給水源に接続される。給水経路22は、外部の給水源から供給された水を水槽12及び回転槽13内に給水するための経路である。給水経路22は、一方の端部が給水弁23に接続され、他方の端部が水槽12に接続されている。給水弁23は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。給水弁23は、接続口21と給水経路22との間に設けられている。給水弁23は、制御装置50からの制御信号に基づき、給水経路22を開閉する。
【0020】
処理剤自動投入装置30は、複数回分の洗濯運転に必要な洗剤などの洗濯処理剤を貯留しておき、洗濯運転の進行に伴い必要量の洗濯処理剤を自動的に水槽12に投入する機能を有する。処理剤自動投入装置30は、例えば外箱11の上部に設けられており、給水経路22に接続されている。外部の給水源から供給された水は、処理剤自動投入装置30から供給される洗濯処理剤と給水経路22内にて直接的に混合し水槽12内に供給される。
【0021】
この場合、処理剤自動投入装置30は、例えば図示しないピストンポンプを用いて予め処理剤自動投入装置30に貯留された洗濯処理剤を自動で水槽12内に供給することが可能な構成としている。なお、洗濯機10は、処理剤自動投入装置30に加えて手動投入装置を備え、ユーザが洗濯運転の開始前に手動投入装置に手動で1回の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を投入する構成としても良い。なお、本実施形態において、洗濯処理剤とは、例えば粉末洗剤や液体洗剤等の洗剤、及び柔軟剤や香り付け剤等の仕上げ剤を含む概念である。この場合、処理剤自動投入装置30は、液体洗剤及び液体の仕上げ剤に対応し、手動投入装置は、液体洗剤と粉末洗剤との両方、及び液体の仕上げ剤に対応している。
【0022】
洗濯機10は、図2に示すように、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、汚れ検知部44、及び制御装置50を備えている。操作パネル41は、表示部や操作部を有しており、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、入力された操作内容及び運転状況等を表示する。電流センサ42は、モータ14に流れる電流を検知することができる。水位センサ43は、水槽12内の水位を検出することができる。
【0023】
汚れ検知部44は、例えば水槽12内又は循環経路17内に設けられている。汚れ検知部44は、洗濯水の汚れ具合を測定することができる。この場合、汚れ検知部44は、詳細は図示しないが、例えば濁度センサで構成することができる。濁度センサは、例えば洗濯水に対する光の透過率や洗濯水の導電率を測定することにより、洗濯水の濁り度合いすなわち濁度を測定する機能を有する。
【0024】
制御装置50は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全般の制御を行う。制御装置50には、モータ14、排水弁16、循環ポンプ18、ヒータ19、給水弁23、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、汚れ検知部44、加熱装置62、及び送風機63が電気的に接続されている。これらモータ14、排水弁16、循環ポンプ18、ヒータ19、給水弁23、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、汚れ検知部44、加熱装置62、及び送風機63は、制御装置50により制御される。
【0025】
また、制御装置50は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、重量検知処理部51、汚れ検知処理部52、予洗い処理部53、予洗い回数調整処理部54、割当て処理部55、本洗い処理部56、及び設定処理部57をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御装置50は、これらの処理部51~57を集積回路等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現しても良い。
【0026】
重量検知処理部51は、重量検知処理を実行することができる。重量検知処理は、通常脱水処理の実行前に実行されて回転槽13内の洗濯物の重量を検知する処理を含む。重量検知処理部51は、洗濯運転の初期の段階、具体的には給水工程前に実行されて、乾燥状態つまり給水による水を含んでいない状態の洗濯物の重量を検知する。重量検知処理部51は、例えば回転槽13を低速で回転させ、その際にモータ14のq軸電流を電流センサ42が測定することにより洗濯物の重量を検知する。なお、重量検知処理部51は、回転槽13内の洗濯物の重量を重量計等によって直接物理的に測定する構成でも良い。
【0027】
汚れ検知処理部52は、汚れ検知処理を実行可能である。汚れ検知処理は、汚れ検知部44が測定した例えば洗濯水の濁度に基づいて水槽12内の洗濯水の汚れ具合を検知する処理を含む。
【0028】
予洗い処理部53は、予洗い処理を実行可能である。予洗い処理は、水槽12内に処理剤自動投入装置30から洗濯処理剤の投入と給水弁23を開放して水槽12内に給水と洗い動作とを行った後に、排水弁16を開放して汚れを含んだ洗濯水を排水経路15から排水し、その後、回転槽13を回転させて回転槽13内の洗濯物の脱水を行う処理を含む。すなわち、予洗い処理は、洗剤を溶解させた洗濯水を用いて洗い動作を行い、その後、排水及び脱水を行う処理を含む。
【0029】
ここで、洗い動作とは、ドラム式洗濯機の場合、回転槽13を所定回転数例えば50rpmによって、正転及び反転を所定時間例えば20秒ずつ交互に繰り返し行う動作である。一方、縦軸型の洗濯機の場合、図示しない撹拌翼を所定回転数例えば50rpmによって、正転及び反転を所定時間例えば20秒ずつ交互に繰り返し行う動作である。更に、予洗い処理は、洗濯運転中に複数回実行することが可能である。これにより、予洗い処理を複数回実行することによって、適切に洗濯物から汚れを除去しやすい状態にすることができ、洗浄効率を向上することができる。なお、予洗い処理は、排水後に脱水を行う構成に限らず、排水後に脱水を行わず本洗い処理に移行する構成としても良い。
【0030】
また、予洗い処理は、水槽12内の洗濯水に洗濯物を所定時間例えば1時間浸しておく漬け置き動作を更に含む。これにより、洗濯物の繊維の間に洗剤を十分に浸透させ、洗濯物に付着した汚れを洗濯物から剥がれやすくすることができる。
【0031】
予洗い回数調整処理部54は、予洗い回数調整処理を実行可能である。予洗い回数調整処理は、汚れ検知処理の結果つまり洗濯水の汚れ具合に基づいて予洗い処理の実行回数を調整する処理を含む。これにより、水槽12内の洗濯水の汚れ具合に応じて予洗い処理の実行回数を調整することができるため、効果的に予洗い処理を実行することができる。
【0032】
割当て処理部55は、割当て処理を実行可能である。割当て処理は、予洗い処理が複数回実行される場合、2回目以降の予洗い処理に漬け置き動作を含ませる処理を含む。このようにして、1回目の予洗い処理は例えば泥等の固体汚れを洗濯物から除去するために行い、その後2回目以降の予洗い処理において漬け置き動作を実行することで固体汚れが落ちた状態の洗濯物に対して洗濯物の繊維の間に洗剤を十分に浸透させることができる。これにより、洗濯物から汚れを剥がれやすくすることができる。
【0033】
本洗い処理部56は、本洗い処理を実行可能である。本洗い処理は、予洗い処理の実行後、水槽12内に処理剤自動投入装置30から洗濯処理剤の投入及び給水弁23を開放して水槽12内に給水を行った後に洗い動作を行う処理を含む。このようにして、本洗い処理においても処理剤自動投入装置30から洗剤を水槽12内に投入することによって、適正量の洗剤を水槽12内に供給することができ、洗浄性能を向上させることができる。また、処理剤自動投入装置30に貯留された洗剤が自動的に投入されるため、ユーザが手動で洗剤を追加投入する必要がなくユーザの利便性が損なわれることもない。
【0034】
設定処理部57は、設定処理を実行可能である。設定処理は、洗濯運転の内容又はユーザの設定に基づき予洗い処理と本洗い処理とにおける洗濯処理剤の投入量を設定する処理を含む。この場合、設定処理は、洗い工程の実行中に、予洗い処理の実行された回数によって本洗い処理において投入する洗濯処理剤の量を補正する補正処理を更に含む。具体的には、補正処理は、例えば洗濯物の重量が一定である場合、図3に示すように洗濯物の汚れ具合に応じて予洗い処理の実行回数が増えるほど本洗い処理において水槽12内に投入する洗濯処理剤の量を減らす。これにより、予洗い処理の回数を増加した場合であっても洗い工程全体で使用される洗剤量を極力抑えることができ、すすぎ時の水量の増加を抑制することができる。
【0035】
また、設定処理は、予洗い処理と本洗い処理とにおける洗濯処理剤の投入量を異なる量に設定する処理を更に含む。更に、設定処理は、予洗い処理における洗濯処理剤の投入量を本洗い処理における洗濯処理剤の投入量以下に設定する処理を更に含む。これにより、予洗い処理又は本洗い処理において過不足なく洗剤を水槽12内に投入することができるため、洗浄性能を向上させることができる。
【0036】
また、洗い工程で多くの洗剤が使用されると次工程のすすぎ工程において洗濯物に残存した洗剤を除去するために多くの水量を要することになる。これに対し、予洗い処理における洗剤の使用量を本洗い処理時における洗剤の使用量と比べ同量以下とすることで、予洗い処理を行ったとしても洗い工程全体で使用される洗剤量を極力抑えることができ、すすぎ時の水量の増加を防ぐことができる。
【0037】
以下に、洗い工程時における洗剤の投入量の一例について、図3も参照して説明する。図3において、洗剤投入量は、洗濯物の汚れ量つまり洗濯水の汚れ具合が標準的な汚れ具合であって洗濯物の重量が中、例えば5kgから6kgの場合に本洗い処理に対して設定される洗剤投入量を1として、各条件下における洗剤投入量を割合で示している。この場合、洗剤投入量の最小の割合は0.5となっているが、これは洗剤が洗浄効果を発揮するために最低限投入する必要がある洗剤量を意味している。このようにして、洗濯水の汚れ具合が多くなるにつれて予洗い処理の回数を増やして効率的に洗浄性能を向上させつつ、使用する洗剤量は最小限にとどめることで洗濯水の排水後の水環境への負荷を抑えることができる。
【0038】
また、予洗い処理を複数回実行する場合において、各予洗い処理時に投入する洗剤量は同量つまり減量しない構成とすることができる。予洗い処理の回数を増加すると水槽12内の洗濯水中の汚れは相対的に減少していくが、洗濯水中の洗剤成分が汚れ量に対して不足することで洗濯物への汚れの再付着が生じる場合がある。これに対し、複数回の予洗い処理を同量の洗剤を使用して繰り返し実行することによって、洗濯水中の汚れ量が減少しても供給される洗剤量は一定であるため、洗濯水中の汚れ量に対して洗剤量が不足することを回避することができる。したがって、洗濯物への汚れの再付着を防止することができる。
【0039】
更に、予洗い処理を複数回実行する場合において、各予洗い処理時に投入する洗剤量は、例えば図9及び図10に示すように、予洗い回数を重ねるほど増える構成であっても良い。つまり、予洗い処理を複数回実行する場合、図9の例では、1回目の予洗い処理時に投入する洗剤量に比べて2回目以降で投入する洗剤量を増量する構成としている。特に図9の例では、1回目の予洗い処理で使用する洗剤の量を、その後の予洗い処理で使用する洗剤の量に比べて少なく設定している。このようにして、1回目の予洗い処理時には、少量の洗剤を用いて洗濯物に付着した比較的落としやすい汚れ等を除去した後に、2回目以降の予洗い処理において洗剤量を増量した洗浄水によってしっかりと洗浄をすることができる。これにより、予洗い処理を複数回実行する場合の洗剤の使用量を抑えつつ、効率良く洗浄効果を高めることができる。この場合、2回目以降の各回における洗剤量は同量であっても良いし異なっていても良い。
【0040】
また、例えば図10の例では、予洗い処理を複数回実行する場合において、1回目の予洗い処理では洗剤を投入しない構成としている。すなわち、図10の例では、予洗い処理を複数回実行する場合において、1回目の予洗いは洗剤を含まない水で行う。これによっても、1回目の予洗い処理時には、洗剤を用いずに水によって例えば泥や固形の食品等の比較的大きな汚れを除去した後に、2回目以降の予洗い処理において洗剤を含む洗浄水によってしっかりと洗浄をすることができる。これによっても、予洗い処理を複数回実行する場合の洗剤の使用量を抑えつつ、効率良く洗浄効果を高めることができる。
【0041】
ここで、予洗いを複数回行う場合、少なくとも1回目の予洗い処理においては、シャワー給水を行う構成としても良い。本明細書において、シャワー給水とは、回転槽13内の上部から回転槽13内にシャワー状の水を給水する給水方式を意味する。このシャワー給水により、回転槽13内の洗濯物にシャワー状の水を当てることで、洗濯物の汚れを効率良く落とすことができる。なお、予洗いを複数回行う場合において、2回目以降の予洗いのいてもシャワー給水を行う構成としても良い。
【0042】
本実施形態の場合、シャワー給水は、図1に示す循環ポンプ18を動作させて水槽12内に溜まった水を水槽12と循環経路17との間で循環させ、これにより、ノズル部171からシャワー状の水を給水する方式を採用している。すなわち、本実施形態におけるシャワー給水は、水槽12内に溜まっている水を水源としている。なお、シャワー給水は、水槽12内の水を水源とするものすなわち水槽12内の水を循環させる構成に限られず、後述する第3実施形態で説明するように、外部の給水源からの水を用いたものでも良い。
【0043】
制御装置50は、操作パネル41に対するユーザからの操作を受けて又は予め設定された予約内容によって洗濯運転を実行する。制御装置50は、図4に示すように、洗濯運転が開始されると、重量検知処理部51によって洗濯物の重量を検知してから(ステップS11)、洗い工程(ステップS12)、すすぎ工程(ステップS13)、及び脱水工程(ステップS14)を順に行い、そして洗濯運転を終了する(エンド)。
【0044】
本実施形態における洗濯運転の具体的態様の一例について、図5を参照しながら説明する。図5において、予洗い処理なしの場合の運転内容はユーザによっていわゆる標準コース、換言すれば周知の一般的なコースが設定された場合を示している。このとき、予洗い処理における洗い動作と本洗い処理における洗い動作の回転槽13の回転制御の内容は同じであるが、洗い動作の実行時間が予洗い処理に比べて本洗い処理のほうが長い時間に設定されている。なお、予洗い処理で行う洗い動作と本洗い処理で行う洗い動作との回転槽13の回転制御の内容は、異ならせても良い。例えば、予洗い処理で行う洗い動作では、洗濯物が回転槽13に張り付かない程度の回転速度で正転、反転させる動作を行い、本洗い処理で行う洗い動作では、洗濯物が回転槽13の頂点付近からたたきつけられるような速度で回転槽13を回転させる動作を行っても良い。
【0045】
本実施形態の場合、図5に示すように、標準コースと予洗い処理を含む洗濯運転の場合とでは予洗い処理を含むか否か以外に差異がない、つまり予洗い処理後の工程に差異はない。したがって、すすぎ工程におけるすすぎ回数は、予洗い処理を実行した場合と予め設定された通常のすすぎ回数とにおいて同じである。このように、予洗い処理を実行した場合であっても、標準コースのすすぎ回数を同じとすることで、すすぎ工程に要する時間の延長及び水量の増加を防ぐことができる。
【0046】
なお、予洗い処理を含む洗濯運転の場合のすすぎ工程の内容は、標準コースのすすぎ工程の内容と異なっていても良い。具体的には、予洗い処理を含む洗濯運転の場合のすすぎ工程では、標準コースのすすぎ工程に比べて例えばすすぎ回数又はすすぎ時の水位つまり水量を増やしても良い。これにより、標準コースに比べてすすぎ工程に要する時間の延長又は水量の増加はするものの、予洗い処理によって残存した洗剤成分を十分にすすぐことが可能となる。特に、予洗い処理後に脱水をしない場合は、洗濯物により多くの洗剤成分が残る可能性があるため、標準コースのすすぎ工程に比べて例えばすすぎ回数又は水量を増加することによる効果を得ることができる。
【0047】
以下では、図6から図8も参照して、洗い工程における制御内容について説明する。なお、以下の説明において、汚れ検知処理部52、予洗い処理部53、予洗い回数調整処理部54、本洗い処理部56、及び設定処理部57で行われる処理は、全て制御装置50が主体となって行うものとして説明する。
【0048】
制御装置50は、図4のステップS12の洗い工程を実行すると、まず図6のステップA11において、重量検知処理部51により検知された洗濯物の重量に基づいて給水量を決定する。その後、制御装置50は、ステップA12において設定処理部57の処理により予洗い処理と本洗い処理とにおける洗剤投入量を暫定的に設定する。この場合、予洗い処理及び本洗い処理における洗剤投入量は、いずれも図3における汚れ具合がかなり多い場合の洗剤投入量に設定される。すなわち、各処理における洗剤投入量の設定量のうち最も少ない洗剤量に設定される。次に、制御装置50は、ステップA13において予洗い処理部53の処理により予洗い処理を実行する。その後、制御装置50は、ステップA14に処理を移行させて、本洗い処理部56の処理により本洗い処理を実行する。この場合、制御装置50は、予洗い処理から本洗い処理へはすすぎ工程を行うことなく移行する。その後、制御装置50は、図4のフローに処理を戻し(図6のリターン)、図4に示すステップS13のすすぎ工程を実行する。
【0049】
図7に示すように、ステップA13の予洗い処理では、制御装置50は、ステップB11において、水槽12内に所定水量に達するまで給水を行う。この場合、給水経路22を用いて外部の水源からの水を水槽12内に給水するとともに、循環ポンプ18を動作させて水槽12内に溜まった水を、循環経路17を介して循環させても良い。これにより、ノズル部171からいわゆるシャワー給水を行い、水槽12内の洗濯物に対して効率良く水を降りかけることができる。ここで、後述する本洗い処理においてもノズル部171からのシャワー給水を行うことができる。この場合、予洗い処理におけるシャワー給水は、本洗い処理におけるシャワー給水に比べて、例えば水圧を高圧にしたり、単位時間当たりに噴射される水量を多くしたり、若しくはシャワー給水を実行する期間を長くする等して、より強力なものとなっている。
【0050】
その後、制御装置50は、ステップB12において水槽12内に洗剤を投入し、ステップB13に処理を移行させる。この場合、洗剤の投入量は、予洗い処理及び本洗い処理で投入される洗剤量における最も少ない量、具体的には図3に示す洗剤投入量の割合における0.5よりも少ない量とする。これにより、過剰な洗剤量を水槽12内に投入することを防ぐことができる。すなわち、後述する汚れ検知処理部52の処理によって検知した洗濯水の汚れ具合に応じて必要な洗剤量が変動した場合に、必要な洗剤量の下限値を超えた洗剤量が既に水槽12内に投入されているといった事態が生じることがない。
【0051】
次に、制御装置50は、ステップB13において汚れ検知処理部52の処理により汚れ検知処理を実行する。そして、制御装置50は、次のステップB14において、汚れ検知処理部52の処理により検知した洗濯水の汚れ具合が予め設定した設定値以上であるか否かを判断する。洗濯水の汚れ具合が設定値未満であった場合(ステップB14でNO)、制御装置50はステップA14に処理を移行させる。したがって、洗濯水の汚れ具合が設定値未満であった場合は予洗い処理は実行されず、そのまま本洗い処理が実行される(ステップA14)。
【0052】
一方、制御装置50は、洗濯水の汚れ具合が設定値以上であった場合(ステップB14でYES)、ステップB15に処理を移行させて、予洗い回数調整処理部54の処理により予洗い回数調整処理を実行する。制御装置50は、次のステップB16において予洗い回数調整処理によって決定した予洗い処理の所定回数に基づき水槽12内に投入されている洗剤量に対して不足分の洗剤量を追加投入して、ステップB17に処理を移行させる。
【0053】
制御装置50は、ステップB17において所定時間例えば3分間洗い動作を実行する。このステップB17の洗い動作では、制御装置50は、循環ポンプ18を動作させて、水槽12内の水を、循環経路17を介して循環させても良い。これにより、洗い動作における洗浄効果を向上させることができる。その後、制御装置50は、水槽12内の汚れを含んだ洗濯水を排水(ステップB18)する。その後、制御装置50は、ステップB19において所定時間例えば1分間脱水を行い、ステップB20に処理を移行させる。そして、制御装置50は、ステップB20において、予洗い処理が所定回数終了したか否かを判断する。予洗い処理が所定回数終了していない場合(ステップB20でNO)、制御装置50はステップB11に処理を移行させ、ステップB11以降の処理を再度実行する。また、予洗い処理が所定回数終了した場合(ステップB20でYES)、制御装置50は、図6のフローに処理を戻し(図7のリターン)、図6に示すステップA14の本洗い処理を実行する。
【0054】
本洗い処理を実行すると、図8に示すように、制御装置50は、まずステップC11において、予洗い処理が実行されたか否かを判断する。予洗い処理が実行されていない場合(ステップC11でNO)、制御装置50はステップC12に処理を移行させて、水槽12内に投入されている洗剤量に対して不足分の洗剤量を水槽12内に追加投入し、ステップC16に処理を移行させる。
【0055】
一方、予洗い処理が実行されていた場合(ステップC11でYES)、制御装置50は、ステップC13に処理を移行させて、設定処理部57の処理により実行された予洗い処理の回数に基づいて投入する洗剤量の補正を行う。そして、制御装置50は、次のステップC14において補正した洗剤の投入量を水槽12内に投入し、ステップC15に処理を移行させる。制御装置50は、ステップC15において、水槽12内に所定水量に達するまで給水を行う。その後、制御装置50は、ステップC16において所定時間例えば10分洗い動作を実行する。そして、制御装置50は、図8の本洗い処理を終了して図6のフローに処理を戻すとともに(図8のリターン)、図6の洗い工程を終了して図4のフローに処理を戻して(図6のリターン)、ステップS13のすすぎ工程に処理を移行させる。
【0056】
なお、本実施形態の場合、予洗い処理の要否及び実行回数は、汚れ検知処理部52の処理により検知した洗濯水の汚れ具合に基づいて設定される構成としたが、これに限らず、ユーザが洗濯物の汚れ具合に応じて操作パネル41に対して予洗い処理の実行要否及び実行回数を入力操作する構成であっても良い。これによれば、ユーザが予洗い処理の実行を意図的に選択することができるため、洗濯機10の利便性を向上することができる。
【0057】
以上説明した実施形態によれば、洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、給水経路22、給水弁23、排水経路15、排水弁16、処理剤自動投入装置30、及び制御装置50を備えている。処理剤自動投入装置30は、水槽12内に洗濯処理剤を自動的に投入する機能を有する。制御装置50は、給水弁23と排水弁16と処理剤自動投入装置30とを制御することによって、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を含む一連の洗濯運転を実行可能である。
【0058】
また、制御装置50は、予洗い処理と本洗い処理とを実行可能である。予洗い処理は、水槽12内に処理剤自動投入装置30から洗濯処理剤の投入と給水弁23を開放して水槽12内に給水と洗い動作とを行った後に、排水弁16を開放して汚れを含んだ洗濯水を排水経路15から排水する処理を含む。本洗い処理は、予洗い処理の実行後、水槽12内に処理剤自動投入装置30から洗濯処理剤の投入及び給水弁23を開放して水槽12内に給水を行った後に洗い動作を行う処理を含む。
【0059】
これによれば、本洗い処理の前に予洗い処理を実行することにより、予洗い処理では比較的表面に付着した落としやすい汚れを落とし、本洗い処理では洗濯物の奥にしみ込んだ汚れを効果的に落とすことができる。また、予洗い処理で使用した洗濯水は、本洗い処理の前に排水されるため、予洗い処理で洗濯物から剥がし落とした汚れが本洗い処理時に洗濯物に戻ってしまうことを抑制でき、その結果、洗浄効率を向上することができる。
【0060】
更に、制御装置50は、予洗い処理後の本洗い処理において処理剤自動投入装置30から水槽12内に洗濯処理剤を投入するため、汚れに作用していない新鮮な洗濯処理剤が溶解された洗濯水で本洗い処理を行うことができる。これにより、本洗い処理において洗濯処理剤の洗浄作用を洗濯物に効果的に作用させることができ、その結果、洗浄性能の向上を図ることができる。
【0061】
更に、制御装置50は、本洗い処理において処理剤自動投入装置30を用いて自動で水槽12内に洗濯処理剤を投入する。これにより、洗濯運転の途中つまり予洗い処理後にユーザが洗濯処理剤を追加で投入する必要が無いため、ユーザの手間を増やすことなく洗濯性能を向上させることができる。
【0062】
また、制御装置50は、設定処理を更に実行可能である。設定処理は、洗濯運転の内容又はユーザの設定に基づき予洗い処理と本洗い処理とにおける洗濯処理剤の投入量を設定する処理を含む。また、設定処理は、予洗い処理と本洗い処理とにおける洗濯処理剤の投入量を異なる量に設定する処理を含む。
【0063】
これによれば、予洗い処理又は本洗い処理で使用する洗濯処理剤の量を変更することができる。したがって、洗い工程全体で使用される洗濯処理剤の量を調整することができるため、過剰に洗濯処理剤が水槽12内に投入されることがない。よって、洗濯処理剤が使用されないまま洗濯物に残存してしまうことを防ぐことができる。これにより、すすぎ工程において洗濯物に残存した洗剤を除去するために多くの水量を必要とすることがなく、予洗い処理を実行した場合であってもすすぎ工程に要する水量の増加及び時間の延長を招くことがなく、効率良く洗浄性能を向上することができる。
【0064】
更に、設定処理は、予洗い処理における洗濯処理剤の投入量を本洗い処理における洗濯処理剤の投入量以下に設定する処理を更に含む。これによれば、予洗い処理における洗剤の使用量を本洗い処理時における洗剤の使用量と比べ同量以下とすることで、予洗い処理を行ったとしても洗い工程全体で使用される洗剤量を極力抑えることができ、すすぎ時の水量の増加及び時間の延長を防ぐことができる。これにより、効率良く洗浄性能を向上することができる。
【0065】
また、すすぎ工程におけるすすぎ回数は、予洗い処理を実行した場合と予め設定された通常のすすぎ回数とにおいて同じである。これによれば、予洗い処理を実行した場合であっても、実行されるすすぎ回数は標準コースのすすぎ回数と同じ回数とすることで、すすぎ工程に要する時間の延長及び水量の増加を防ぐことができる。
【0066】
更に、予洗い処理は、洗濯運転中に複数回実行することが可能である。これによれば、予洗い処理を複数回実行することによって、適切に洗濯物から汚れを除去しやすい状態にすることができ、洗浄効率を向上することができる。
【0067】
また、制御装置50は、汚れ検知処理と予洗い回数調整処理とを更に実行可能である。汚れ検知処理は、水槽12内の洗濯水の汚れ具合を検知する処理を含む。予洗い回数調整処理は、汚れ検知処理の結果に基づいて予洗い処理の実行回数を調整する処理を含む。これによれば、水槽12内の洗濯水の汚れ具合に応じて予洗い処理の実行回数を調整することができる。したがって、効果的に予洗い処理を実行することができるため、洗浄効率を向上しつつ、洗い工程で使用される水量の増加及び時間の延長を防ぐことができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図11を参照して説明する。この第2実施形態では、洗濯物の汚れ具合に応じて予洗いの実行の有無、予洗いの回数、及び予洗いの具体的内容が異なる。なお、図11では、洗濯運転の各予洗い処理において実行される動作に丸印を付して示している。また、図11の表のうち丸印が無いものは、実行されない動作を意味する。
【0069】
本実施形態の構成は、予洗い処理の制御内容が上記第1実施形態と異なる。具体的には、予洗い処理が複数回行われる場合、割当て処理部55の処理により2回目以降の予洗い処理時に漬け置き動作が実行される点が異なる。この場合、割当て処理部55は、例えば汚れ検知処理部52が検知した水槽12内の洗濯水の汚れ具合に応じて、2回目以降のいずれかの予洗い処理に漬け置き動作を割当てることができる。
【0070】
具体的には、制御装置50は、図11に示すように、洗濯物の汚れ具合に応じて例えば複数回、最大で3回の予洗い動作を実行可能である。そして、制御装置50は、複数回実行される予洗い処理のうち1つに、漬け置き動作を含ませることができる。例えば図11に示すように、汚れ具合が「少ない」場合、制御装置50は、予洗い処理を実行しない。また、汚れ具合が「標準」である場合、制御装置50は、漬け置き動作を含まない予洗い処理を1回実行する。図11の例では、制御装置50は、最大3回の予洗い動作のうち「予洗い1回目」のみを実行する。
【0071】
また、汚れ具合が「やや多い」及び「多い」場合、制御装置50は、漬け置き動作を含まない予洗い処理と、漬け置き動作を含む予洗い処理とを、それぞれ1回ずつ実行する。この場合、制御装置50は、漬け置き動作を含まない予洗い処理を実行した後に、漬け置き動作を含む予洗い処理を実行する。例えば図11の例では、制御装置50は、まず漬け置き動作を含まない「予洗い1回目」を実行し、その後、漬け置き動作を含む「予洗い2回目」を実行する。
【0072】
そして、汚れ具合が「かなり多い」場合、制御装置50は、最大回数の予洗い処理、この場合、3回の予洗い処理を実行する。この場合、制御装置50は、漬け置き動作を含まない予洗い処理を2回実行した後に、漬け置き動作を含む予洗い処理を1回実行する。例えば図11の例では、制御装置50は、漬け置き動作を含まない「予洗い1回目」及び「予洗い2回目」を実行し、その後、漬け置き動作を含む「予洗い3回目」を実行する。
【0073】
このようにして、洗濯物の汚れが多い場合には予洗い処理に漬け置き動作を含ませることで、効率良く洗濯物から汚れを剥がれやすくすることができる。更に、制御装置50は、予洗い処理を複数回実行する場合に、複数回の予洗い処理のうち1つのみに漬け置き動作を含ませることで、洗濯運転の時間が過剰に延長されることを抑制することができる。
【0074】
また、漬け置き動作時には、制御装置50がヒータ19を駆動して水槽12内の洗濯水を加温する構成としても良い。これにより、水槽12内の洗濯水を例えば30℃から60℃の範囲内の温水にすることによって、常温時に比べて洗濯物からの汚れ落とし効果を向上させることができる。また、加温は、漬け置き動作時に限られず、例えば水槽12内に給水する水を加温しても良いし、洗い動作中に水槽12から出て循環経路17を通る水を加温して水槽12内に供給しても良い。また、水を加温する方式は、本実施形態のように専用のヒータ19を用いる方式に限られず、乾燥運転に用いる加熱装置62を利用して水を加温する方式でも良い。この場合、制御装置50は、加熱装置62及び送風機63を動作させて水槽12内に貯留されている水に温風を当てる。これにより、水槽12内の水が加温される。
【0075】
更に、加温は、予洗い処理だけでなく本洗い処理において行う構成としても良い。この場合、予洗い処理又は本洗い処理の一方あるいは両方において加温を行う構成とすることができる。以下に、予洗い処理と本洗い処理との加温の使い分けの一例として、3種類の態様を説明する。
【0076】
第1の態様は、予洗い処理において加温せず、本洗い処理において加温を行う態様である。これによれば、本洗い処理において温水を用いることで、常温の水を用いた場合に比べて本洗い処理時における洗浄効果の向上を図ることができる。更に、この第1の態様では、洗い動作の期間が短い予洗い処理においては温水を使用せず、洗い動作の期間が長い本洗い処理時にのみ温水を利用することになる。このため、第1の態様によれば、予洗い処理に比べて温水が寄与する期間が長い本洗い処理にのみ温水を利用するため、温水を効率良く利用し水を加温するエネルギーの消費を抑えることができる。
【0077】
第2の態様は、予洗い処理及び本洗い処理の両方にて加温を行う態様である。この場合、例えば予洗い処理では低温で加温し、本洗い処理では高温で加温を行う態様とすることができる。すなわち、この場合、本洗い処理では、予洗い処理に比べて水温が高い温水を使用する。ここで、低温とは、例えば常温以上30℃未満の水温を意味し、高温とは例えば50℃以上の水温を意味する。
【0078】
これにより、予洗い処理及び本洗い処理の両方において常温よりも温かい水を使用することで洗浄効果の向上を図ることができる。そして、更には予洗い処理時に使用される熱量を極力抑えつつ、予洗い処理と本洗い処理とにおいて加温を継続することによって温水状態を長時間化して、洗濯物からの汚れ落とし効果を更に向上することができる。なお、予洗い処理と本洗い処理とにおける温水の水温が異なる構成に限らず、同程度の水温を使用する構成であっても良い。
【0079】
第3の態様は、予洗い処理において加温を行い、本洗い処理において加温をしない態様である。これによれば、本洗い処理時における洗浄効果の向上を図ることができる。更に、予洗い処理において温水を使用することによって回転槽13内の温度が上昇した状態となるため、その後の本洗い処理において予洗い処理時の余熱を利用して洗浄効果の向上を図ることができる。
【0080】
なお、上述した3つの態様では、洗剤を用いた予洗い処理や本洗い処理の比較的初期の段階で、水を加温して洗剤の効果を向上させる処理を行い、その後、予洗い処理や本洗い処理の途中で、追加で給水を行ったり、回転槽13の回転数を上げて洗濯物に与える機械力を増大させたりしても良い。これにより、追加の給水で汚れが希釈されるとともに、機械力の増大で汚れが剥がれ易くなり、更に洗浄性能を向上させることができる。
【0081】
また、本願発明者は、洗剤を含んだ洗濯水自体を温めた場合だけでなく、洗濯水が洗濯物に接触する際に洗濯物が温まっているだけでも洗剤成分の働きが向上し、洗濯物に付着した汚れを洗濯物表面から浮かせる効果が高まることを見出した。そのため、洗剤を使用した予洗いを行う際に、洗濯水に接触する前の洗濯物の温度を上げておくことで、洗濯水に接触する際の洗濯物が常温である場合に比べて洗浄効果を向上させることができる。ここで、本願発明者は、回転槽12内の洗濯物を温める方法として、水を介して洗濯物を間接的に温める方式と、洗濯物に乾燥用の温風を当てて直接的に温める方式と、の2通りについて検討した。
【0082】
例えば水を加温するための専用のヒータ19を用いて水を加温し、その加温された水を介して水槽12内の洗濯物を加温しようとする場合、洗濯物は、ヒータ19によって温められた水の温度以上には温められない。このため、水槽12内の洗濯物をある温度まで上げようとすると、水槽12内の水自体もその温度まで上げる必要があり、多くのエネルギーを消費する。
【0083】
一方、乾燥運転に用いる加熱装置62を利用して水槽12内に温風を供給する場合、その温風を洗濯物に当てることで洗濯物自体を直接的に温めることができる。この場合、水槽12内の水自体を洗濯物の温度まで上げる必要はないため、エネルギーの消費が少なくて済む。このように、専用のヒータ19を用いて水を加温する方式に比べて、乾燥運転に用いる加熱装置62を利用して水を加温する方式の方が、回転槽13内の洗濯物を直接的に効率良く温めることができる。
【0084】
更に、乾燥運転に用いる加熱装置62で生成された温風によって洗濯物を温める場合、その温風によって水槽12内の洗濯水自体もある程度温められる。これにより、上述したような洗濯水自体を温めることによる洗濯性能の向上効果も得ることができる。そのため、ヒータ19を用いて水を加温する場合に比べて、乾燥運転に用いる加熱装置62を利用して水槽12内に温風を供給する場合の方が、同等の洗浄効果を得ようとした場合にエネルギー消費が少なくて済むと考えられる。
【0085】
更に、専用のヒータ19を用いて水を加温した場合、排水の際にはヒータ19で発生した熱の大部分が温められた水とともに排出されてしまう。これに対し、乾燥運転に用いる加熱装置62を活用した場合、洗濯物は温風により十分に温められるが、水の温度上昇は洗濯物に比べて比較的小さくて済むため、排水とともに排出されてしまう熱量も少なくて済む。つまり、乾燥運転に用いる加熱装置62を利用して水を加温する方式を採用した場合、排水によって熱が排出されることを抑制することができ、その結果、エネルギーの消費を抑えることができる。
【0086】
水槽12内への温風の供給は、洗剤を用いる予洗い処理や本洗い処理における給水前に行われることが好ましい。これによれば、洗濯物が水に浸かっていない状態において予め洗濯物を円滑に温めることができ、その結果、その後の給水や洗い動作における汚れ落としの効果を更に向上することができる。すなわち、水槽12内に温風を供給して洗濯物を温める場合、予洗いを1回のみ行う場合はその予洗いにおいて、予洗いを複数回行う場合は少なくとも最初の予洗いにおいて、回転槽13内の洗濯物が水に浸かりきってしまう前までに、温風の供給を行うことが好ましい。
【0087】
なお、温風による加温は、予洗い処理において加温を行い、本洗い処理において加温をしない第3の態様に限らず、予洗い処理において加温せず、本洗い処理において加温を行う第1の態様、又は予洗い処理及び本洗い処理の両方にて加温を行う第2の態様で実施しても良い。また、予洗い処理を複数回実行する場合、予洗い処理における加温は最後の予洗い処理時のみ行う構成としても良い。これにより、予洗い処理の排水によって損失される熱の抑制を図ることができる。
【0088】
また、加温は、漬け置き動作時に限らず、給水又は洗い動作時に行う構成であっても良い。そして、水槽12内に温風を供給し始めるタイミングは、回転槽13内の洗濯物が水没していない状態すなわち水面から露出している状態であれば、給水前、給水中、給水後のいずれでも良い。また、温風による洗濯物の加温の効果を高めるため、例えば温風による加温を行う際の予洗いの水位を、温風による加温を行わない場合の予洗いの水位又は本洗いの水位に比べて低く設定しても良い。
【0089】
以上説明した第2実施形態によれば、予洗い処理は、水槽12内の洗濯水に洗濯物を所定時間浸しておく漬け置き動作を更に含んでいる。これによれば、洗濯物の繊維の間に洗剤を十分に浸透させ、洗濯物に付着した汚れを洗濯物から剥がれやすくすることができる。また、制御装置50は、割当て処理を更に実行可能である。割当て処理は、予洗い処理が複数回実行される場合、2回目以降の予洗い処理に漬け置き動作を含ませる処理を含む。これによれば、予洗い処理時に漬け置き動作を効果的に実行することによって洗濯物から汚れが剥がれ落ちやすくなり、結果として洗浄性能をより向上させることができる。
【0090】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図12及び図13を参照して説明する。
本実施形態において、洗濯機10は、図12に示すように、第2給水経路24と第2給水弁25とを更に備えている。なお、本実施形態においては、第2給水経路24及び第2給水弁25との区別を明確にするため、上記各実施形態における給水経路22及び給水弁23を、それぞれ便宜的に第1給水経路22及び第1給水弁23と称する。すなわち、本実施形態における第1給水経路22及び第1給水弁23は、それぞれ上記各実施形態における給水経路22及び給水弁23に相当する。
【0091】
第2給水経路24は、外部の給水源から供給された水をシャワーノズル26に給水するための経路である。このため、第2給水経路24は、シャワー給水経路とも称することができる。第2給水経路24は、一方の端部が第2給水弁25に接続され、他方の端部がシャワーノズル26に接続されている。第2給水弁25は、第1給水弁23と同様に、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。第2給水弁25は、接続口21と第2給水経路24との間に設けられている。第2給水弁25は、制御装置50からの制御信号に基づき、第2給水経路24を開閉する。制御装置50は、第1給水弁23又は第2給水弁25の一方又は両方を開くことで、第1給水経路22又は第2給水経路24の一方又は両方を用いて外部の水源からの水を水槽12内に給水することができる。
【0092】
シャワーノズル26は、シャワーノズル26から吐出された水が水槽12の中央側へ向かってシャワー状に放出されるように構成されている。シャワーノズル26は、詳細は図示しないが、例えば500μm以下の微細な水滴を生成可能に構成され、シャワーノズル26の先端部の開口面積を縮小する等によって微細な水滴を高圧で噴射する機能を有する。ここで、高圧とは、水圧が少なくとも第1給水経路22から水槽12内へ供給される水圧よりも高いことを意味する。
【0093】
また、本実施形態の構成は、予洗い処理の制御内容が上記各実施形態と異なる。本実施形態の制御装置50は、予洗い処理において、図7に示す制御内容に替えて、図13に示す制御内容を実行する。図13に示す予洗い処理は、図7に示すステップB11からステップB12の処理に替えて、ステップD11からステップD13の処理を有している。したがって、ステップB13以降の処理は、上記各実施形態と同様である。
【0094】
本実施形態の予洗い処理では、制御装置50は、予洗い処理を開始すると、まず、第1給水弁23を開くとともに処理剤自動投入装置30を動作させて、第1給水経路22から水槽12に洗剤を含んだ水を供給する。そして、洗濯物が低水位で湿潤した後、制御装置50は、回転槽13を回転させて洗い動作を開始するとともに、第2給水弁25を開いてシャワーノズル26から微細な水滴を高圧で洗濯物に当て、これにより叩き洗いの洗浄効果を高める。
【0095】
具体的には、制御装置50は、予洗い処理を実行すると、ステップD11において、第1給水弁23を開放して第1給水経路22から回転槽13内の洗濯物が湿潤する程度の水位まで給水を行う。その後、制御装置50は、ステップD12において処理剤自動投入装置30を動作させ、第1給水経路22を流れる水に洗剤を乗せて水槽12内に洗剤を投入する。この場合、洗剤の投入量は、予洗い処理及び本洗い処理で投入される洗剤量における最も少ない量、具体的には図3に示す洗剤投入量の割合における0.5よりも少ない量とする。
【0096】
そして、制御装置50は、ステップD13において、第2給水弁25を開いて第2給水経路24を介してシャワーノズル26から水槽12内に給水を行うとともに、モータ14を駆動させて回転槽13を回転させて所定時間例えば3分間洗い動作を実行する。この場合、第2給水経路24からの給水に追加又は替えて、制御装置50は、循環ポンプ18を駆動してノズル部171からの給水を行う構成としても良い。これにより、シャワーノズル26とノズル部171との注水による相乗効果によって洗浄効果をより高めることができる。その後、制御装置50は、ステップB13に処理を移行し、ステップB13以降の処理を進める。
【0097】
これによれば、予洗い処理は、第2給水弁25を開放して水槽12内に第2給水経路24から給水するとともに洗い動作を行う処理を更に含んでいる。これにより、第2給水経路24から供給される水によって洗濯物に付着した汚れ等を落としやすくすることができ、洗浄効果を更に向上させることができる。
【0098】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図14を参照して説明する。
本実施形態の制御装置50は、予洗い処理において、第3実施形態の図13に示す制御内容に替えて、図14に示す制御内容を実行する。つまり、本実施形態では、予洗い処理の制御内容以外は、上記第3実施形態の構成と同様である。本実施形態は、上記第3実施形態の図13に示す処理内容に対して、ステップE11、E12の処理が追加されている点で上記第3実施形態と異なる。
【0099】
本実施形態は、予洗い処理を1回又は複数回実行する場合において最初の予洗い処理つまり1回目の予洗い処理に洗剤を用いない場合の一例である。制御装置50は、予洗い処理を開始すると、まず、第1給水弁23を開いて第1給水経路22から水槽12に給水するとともに、第2給水弁25を開いて第2給水経路24からも水槽12に給水する。これにより、第1給水経路22と第2給水経路24との両方から給水されるため、回転槽13内の洗濯物が効率良く濡らされる。このとき、制御装置50は、処理剤自動投入装置30を動作させないため、水槽12内には洗剤が含まれていない水が給水される。
【0100】
具体的には、制御装置50は、予洗い処理を実行すると、ステップE11において、予洗いの実行回数が2回目以降であるか否かを判断する。予洗いの実行回数が2回目以降である場合(ステップE11でYES)、制御装置50は、上記第3実施形態と同様に、ステップD11以降の処理を実行する。一方、予洗いの実行回数が2回目以降でない場合すなわち1回目である場合(ステップE11でNO)、制御装置50は、ステップE12へ処理を移行させる。制御装置50は、ステップE12において、第1給水弁23を開放して給水経路22から回転槽13内の洗濯物が湿潤する程度の水位まで給水を行うとともに、第2給水弁25を開放して第2給水経路24を開いてシャワーノズル26からの水槽12内に給水を行う。
【0101】
更に、制御装置50は、ステップE12において、所定時間例えば3分間洗い動作を実行する。制御装置50は、1回目の予洗い処理において洗剤を水槽12内への投入を行わない。その後、制御装置50は、ステップB18へ処理を移行させ、排水弁16を開放して排水経路15からの水槽12内の水を排出する。これにより、第2給水経路24からの給水と洗い動作とによって洗濯物から除去された汚れを効率良く水槽12内から排除することができる。なお、ステップE12において、第1給水弁23は閉鎖したまま、第2給水弁を開放して第2給水経路24を開いてシャワーノズル26からの水槽12内に給水を行うとともに、洗い動作を実行する構成としても良い。
【0102】
これによれば、予洗い処理は、水槽12内に処理剤自動投入装置30から洗濯処理剤の投入をしないで給水弁23を開放して水槽12内に給水を行った後に、第2給水弁25を開放して水槽12内に第2給水経路24から給水と同時に、洗い動作と排水弁16を開放して水槽12内の水を排水経路15からの排水する処理を更に含んでいる。これにより、予洗い処理において洗剤を水槽12内に投入しないため、洗剤成分による泡が発生することがない。そのため、シャワーノズル26からの水の高圧噴射による洗浄力と洗い動作による機械力とを洗濯物に付着した汚れに対して直接的に作用させることができるとともに、いわゆる泡消しが不要となる。その結果、洗い工程の時間短縮ひいては洗濯運転全体に要する時間の短縮を図ることができる。
【0103】
なお、上記した第3実施形態及び第4実施形態では、予洗い処理において第2給水経路24からの給水を行う構成としたが、これに限らず、第2給水経路24からの給水は、本洗い処理においても行う構成としても良い。この場合、予洗い処理におけるシャワーノズル26から噴射される水の洗浄力は本洗い処理におけるシャワーノズル26から噴射される水の洗浄力よりも高くすることができる。ここで、洗浄力を高くするとは、例えば水圧を高圧にする、単位時間当たりに噴射される水量を多くする、及び噴射する時間を長くする、ことによって実現される。
【0104】
また、上記した各実施形態では、洗剤投入量、予洗い処理の実行回数等について、具体的数値を挙げながら説明したが、それら具体的数値は一例を示したに過ぎず、適宜変更が可能であることは勿論である。また、洗濯機10の全体のハードウェア構成、運転コースの種類等についても、様々な変更が可能である。更には、上記した複数の実施形態を任意に組み合わせて実施することも可能である。
【0105】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
10…洗濯機、11…外箱、12…水槽、13…回転槽、22…給水経路、23…給水弁、15…排水経路、16…排水弁、30…処理剤自動投入装置、50…制御装置、52…汚れ検知処理部、53…予洗い処理部、54…予洗い回数調整処理部、55…割当て処理部、56…本洗い処理部、57…設定処理部
図1
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