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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ワーク搬送システム及びワーク搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/10 20060101AFI20240529BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020180480
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071491
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 聡志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 尚史
(72)【発明者】
【氏名】寺▲崎▼ 周平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 輝幸
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-136965(JP,A)
【文献】特開2000-061778(JP,A)
【文献】特開2017-098287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0184992(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10-15/06
B23Q 15/00
B65G 61/00
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置可能な載置台と、
前記載置台上に載置されたワークを該載置台上から搬送可能に構成されたワーク保持用ロボットと
を備えるワーク搬送システムであって、
前記ワーク保持用ロボットは、ワークを保持可能なワーク保持部と、該ワーク保持部を検出対象物に対して接近又は離間させるアーム部と、該ワーク保持部が検出対象物に接触したことを検出可能な表面検出センサとを備えており、
前記ワーク保持用ロボットは、前記表面検出センサにより前記検出対象物との接触が検出された時点における、前記載置台が載置された載置台側床面から前記ワーク保持部と前記アーム部との接続点までの手先高さ(Ht)を検出可能に構成されており、
前記ワーク搬送システムは、検出された前記手先高さ(Ht)と、予め特定された前記載置台側床面から前記検出対象物の表面までの高さと、予め特定された前記ワーク保持部の高さの理論値(Hgr)とに基づいて、前記ワーク保持部の高さ誤差(Ho)を検出し、該ワーク保持部の高さ誤差(Ho)を加味して、前記載置台上に載置されたワークの実積載高さ(Hw)を検出するよう構成されている
ことを特徴とするワーク搬送システム。
【請求項2】
前記載置台側床面から前記検出対象物の表面までの高さは、
予め特定された該載置台側床面から前記載置台の表面までの高さと、
予め特定された該載置台上に載置された前記検出対象物の高さ(Hs)
を含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送システム。
【請求項3】
前記ワーク搬送システムは、事前のキャリブレーション処理により、
前記ワーク保持用ロボットが設置されるロボット側床面から前記載置台の表面までの載置台高さ(Hp)と、
前記載置台側床面と前記ロボット側床面との高低差(Hgap)
を特定可能に構成されており、
前記ワーク搬送システムは、特定した前記載置台高さ(Hp)及び前記高低差(Hgap)に基づいて、前記載置台側床面から前記載置台の表面までの高さを特定するよう構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のワーク搬送システム。
【請求項4】
前記ワーク搬送システムは、
前記載置台上に載置されたキャリブレーションジグの高さ(Hj)と、
前記ワーク保持部に代えて前記アーム部に装着されたキャリブレーショングリッパの高さ(Hgr)と、
前記キャリブレーショングリッパが前記キャリブレーションジグに接触した時点における、前記ロボット側床面から前記ワーク保持用ロボットの所定の基準部位までのベース座標原点高さと、
同時点における、前記基準部位から前記キャリブレーショングリッパと前記アーム部との接続点までのベース座標原点基準手先高さ(Hbt)
に基づいて、前記載置台高さ(Hp)を特定するよう構成されており、
前記キャリブレーションジグの高さ(Hj)及び前記キャリブレーショングリッパの高さ(Hgr)は、前記ワーク搬送システムに予め登録されており、
前記ワーク搬送システムは、前記キャリブレーション処理により前記ベース座標原点高さ及び前記ベース座標原点基準手先高さ(Hbt)を特定可能に構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のワーク搬送システム。
【請求項5】
前記載置台上に載置されたワークを撮影し、該撮影されたワークの画像に基づいてワークの位置及び積載高さを検出するカメラシステムを更に備え、
前記カメラシステムは、
前記載置台上に載置されたワークを撮影可能なカメラと、
前記カメラにより撮影されたワークの撮影画像に基づいて、ワークの位置及び積載高さを検出する画像処理部と
を備え、
前記画像処理部は、前記ワーク保持部の高さ誤差を加味して、前記実積載高さを算出するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のワーク搬送システム。
【請求項6】
前記画像処理部は、
前記載置台が載置された載置台側床面から前記ワーク保持部と前記アーム部との接続点までの高さと、
前記ワーク保持部の高さ誤差と、
前記載置台側床面から前記載置台の表面までの高さと、
前記ワーク保持部の高さの理論値と
に基づいて、前記実積載高さを算出するよう構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のワーク搬送システム。
【請求項7】
前記カメラは、前記載置台上に載置されたワークを斜め上方から撮影するよう構成されている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のワーク搬送システム。
【請求項8】
載置台上に載置されたワークをワーク保持用ロボットによって該載置台上から搬送するワーク搬送方法であって、
前記ワーク保持用ロボットは、ワークを保持可能なワーク保持部と、該ワーク保持部を検出対象物に対して接近又は離間させるアーム部と、該ワーク保持部が検出対象物に接触したことを検出可能な表面検出センサとを備えており、
前記ワーク保持用ロボットにより、前記表面検出センサにより前記検出対象物との接触が検出された時点における、前記載置台が載置された載置台側床面から前記ワーク保持部と前記アーム部との接続点までの手先高さ(Ht)を検出し、
検出された前記手先高さ(Ht)と、予め特定された前記載置台側床面から前記検出対象物の表面までの高さと、予め特定された前記ワーク保持部の高さの理論値(Hgr)とに基づいて、前記ワーク保持部の高さ誤差(Ho)を検出し、該ワーク保持部の高さ誤差(Ho)を加味して、前記載置台上に載置されたワークの実積載高さ(Hw)を検出する
ことを特徴とするワーク搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置場所に配置されているワークを自動で搬送するワーク搬送システム及びワーク搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パレット等の載置場所に配置されているワークをワーク保持用ロボットで保持し、曲げ加工機(ベンディングマシン)等の加工機へと搬送するように構成された加工システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の加工システムは、載置場所の中央の直上に設置された1台のカメラにより載置場所全体を撮影すると共に、該撮影されたワークの画像に基づいてワークの位置及び積載高さを検出し、該検出されたワークの位置及び積載高さの情報に基づいてワーク保持用ロボットを制御するよう構成されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の加工システムは、ワーク保持用ロボットのワークを保持する部分に、ワークの実積載高さを検出するセンサ(実積載高さ検出部)が取り付けられており、該センサで検出したワークの実積載高さからワーク1枚分の厚さを減じた最新の実積載高さを、最上部のワークを搬送した後のワークの積載高さとして更新するよう構成されている。このような構成を備える特許文献1に記載の加工システムによれば、ワークの積載高さの検出精度を高めることが可能となるため、ワーク保持用ロボットの動作精度を高い水準で維持することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-120388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の加工システムでは、センサが反応した時点における機械的な理論値のみでワークの実積載高さを特定しているため、例えばユーザによるセンサの調整乃至取り付け位置の変更や、該センサが取り付けられるフレームの撓み等の機械的な要因により、機械的な理論値により特定されたワークの積載高さと、ワークの実際の積載高さとの間に誤差が生じ、ワークの実積載高さの検出精度が低下するおそれがある。また、このようなワークの実積載高さの検出精度の低下は、ワークの位置検出精度の低下にも直結するため、ワーク保持用ロボットの動作精度が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、ワークの実積載高さを高精度に検出することが可能なワーク搬送システム及びワーク搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るワーク搬送システムは、ワークを載置可能な載置台と、前記載置台上に載置されたワークを該載置台上から搬送可能に構成されたワーク保持用ロボットとを備えるワーク搬送システムであって、前記ワーク保持用ロボットは、ワークを保持可能なワーク保持部と、該ワーク保持部を検出対象物に対して接近又は離間させるアーム部と、該ワーク保持部が検出対象物に接触したことを検出可能な表面検出センサとを備えており、前記表面検出センサにより前記検出対象物との接触が検出された時点における、前記載置台が載置された載置台側床面から前記ワーク保持部と前記アーム部との接続点までの高さと、前記載置台側床面から前記検出対象物の表面までの高さと、前記ワーク保持部の高さの理論値とに基づいて、前記ワーク保持部の高さ誤差を検出し、該ワーク保持部の高さ誤差を加味して、前記載置台上に載置されたワークの実積載高さを検出するよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るワーク搬送方法は、載置台上に載置されたワークをワーク保持用ロボットによって該載置台上から搬送するワーク搬送方法であって、前記ワーク保持用ロボットは、ワークを保持可能なワーク保持部と、該ワーク保持部を検出対象物に対して接近又は離間させるアーム部と、該ワーク保持部が検出対象物に接触したことを検出可能な表面検出センサとを備えており、前記表面検出センサにより前記検出対象物との接触が検出された時点における、前記載置台が載置された載置台側床面から前記ワーク保持部と前記アーム部との接続点までの高さと、前記載置台側床面から前記検出対象物の表面までの高さと、前記ワーク保持部の高さの理論値とに基づいて、前記ワーク保持部の高さ誤差を検出し、該ワーク保持部の高さ誤差を加味して、前記載置台上に載置されたワークの実積載高さを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ワークの実積載高さを高精度に検出することが可能なワーク搬送システム及びワーク搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に一実施形態に係るワーク搬送システムの構成例を概略的に示す斜視図である。
図2】本実施形態に係るロボットハンドを概略的に示す正面図である。
図3】本実施形態に係るロボットハンドを概略的に示す底面図である。
図4】キャリブレーション処理時における各構成の高さ関係を示す模式図である。
図5】オフセット高さ測定処理時における各構成の高さ関係を示す模式図である。
図6】本実施形態に係るカメラシステム及びワーク保持用ロボットにおける機能的構成を概略的に示すブロック図である。
図7】本実施形態に係るワーク搬送方法のオフセット高さ測定処理工程の流れを示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係るオフセット高さ登録画面の一例を示す画面図である。
図9】本実施形態に係るワーク搬送方法のワーク搬送処理工程の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0013】
[ワーク搬送システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク搬送システム1の構成例を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るワーク搬送システム1は、ワークWを載置可能な積載エリアTAを有する載置台Pと、載置台P上に載置されたワークWを該載置台P上から搬送(搬出)可能に構成されたワーク保持用ロボット10と、載置台P上に載置されたワークWを撮影し、該撮影されたワークWの画像に基づいてワークWの位置及び積載高さを検出するカメラシステム30(図6参照)とを備えている。また、本実施形態に係るワーク搬送システム1は、曲げ加工機等の加工機を更に含んでいても良く、該加工機と共にワークWの自動加工システムを構成しても良い。
【0014】
本実施形態に係るワーク搬送システム1において、載置台P及びワーク保持用ロボット10は、図1に示すように、作業場の床面F上に設置されている。具体的には、ワーク保持用ロボット10は、加工機近傍の床面(以下、「ロボット側床面FR」という)上に設置されており、載置台Pは、例えば、ワーク保持用ロボット10を境として加工機の反対側の領域の床面(以下、「載置台側床面FP」という)上に設置されている。これらロボット側床面FR及び載置台側床面FPは、高低差のない面一の床面Fを構成することが好ましいが、床面Fの歪みや段差等により、これらの間に高低差が存在しても良い。以下、ロボット側床面FRと載置台側床面FPとの当該高低差を「床面高低差Hgap」という。なお、該床面高低差Hgapは、後述するキャリブレーション処理によって特定することが可能である。
【0015】
[載置台の構成]
載置台Pは、図1に示すように、載置台側床面FP上に載置されたパレットであり、その上面に、ワークWを載置可能な積載エリアTAを有している。載置台Pの高さ(以下、「載置台高さHp」という)は、機械的に固定又は一義的に特定可能となっており、例えば、後述するキャリブレーション処理によって特定することが可能である。なお、本明細書において、載置台高さHpは、ロボット側床面FRを基準とした高さ、すなわち、ロボット側床面FRから載置台Pの積載エリアTAにおける上面までの鉛直方向に沿った直線長さであり、例えば図4に示すように床面高低差Hgapが存在する場合には、該床面高低差Hgapを含む高さを意図している。
【0016】
また、載置台Pの周囲所定箇所には、積載エリアTAに積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWを磁力によって浮上させるマグネットフロータM(図1では図示省略。図4等参照)と、積載エリアTAに積載されたワークWに照射光を照射可能な複数個の発光ダイオード(LED)等を有する照明設備Lとが設けられている。本実施形態に係るワーク搬送システム1は、マグネットフロータMによって、ワーク保持用ロボット10によるワークWの保持を補助すると共に、照明設備Lによって、後述するカメラ40によるワークWの撮影を補助するよう構成されている。なお、これら載置台P、マグネットフロータM及び照明設備Lは、種々の公知の構成を任意に採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0017】
[ワーク保持用ロボットの構成]
ワーク保持用ロボット10は、図1に示すように、載置台Pと、ワークWの搬送先(例えば、加工機等)との間に配置されており、積載エリアTAに積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWを保持し、該ワークWを加工機等の搬送先に向けて搬送するように構成されている。
【0018】
具体的には、ワーク保持用ロボット10は、ロボット側床面FR上においてワーク保持用ロボット10を移動させるための移動機構14と、ワークWを保持可能なロボットハンド(ワーク保持部)20と、ロボットハンド20をワークW(検出対象物)に対して接近又は離間させるアーム部12と、ロボットハンド20がワークW(検出対象物)に接触したことを検出可能な表面検出センサ50と、ワーク保持用ロボット10の制御を行うロボット制御部60とを備えている。
【0019】
移動機構14は、ロボット側床面FR上に敷設されたレール部14aと、該レール部14a上に沿って移動可能なベース台14bと、ベース台14bを駆動させるベース台駆動手段(図示せず)とを有する所謂直動機構であり、ロボット制御部60からの制御信号に基づいて、ロボット側床面FR上においてワーク保持用ロボット10を移動させるよう構成されている。なお、移動機構14は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0020】
アーム部12は、一端部が移動機構14のベース台14bに連結されると共に、他端部がロボットハンド20に連結されており、ロボット制御部60からの制御信号に基づいて、ロボットハンド20をワークWに対して接近又は離間させるよう構成されている。本実施形態において、アーム部12は、6軸の制御軸を有する多関節アームであり、載置台PからのワークWの搬送だけではなく、加工機等へのワークWの搬送(搬入)、ワークWの加工(曲げ加工)の補助、及び、加工機等からの製品(曲げ加工品)の搬送(搬出)等を実行可能に構成されている。
【0021】
具体的には、アーム部12は、図1に示すように、ベース台14bの上部に設けられたアーム支持部材12aと、アーム支持部材12aの先端部に連結された下部アーム12bと、下部アーム12bの先端部に連結された第1上部アーム12cと、第1上部アーム12cの先端部に連結された第2上部アーム12dと、第2上部アーム12dの先端部に連結された第1リスト12eと、第1リスト12eの先端部に連結された第2リスト12fと、これら各構成要素をそれぞれ駆動させるモータ等の駆動手段(図示せず)とを備えている。
【0022】
アーム支持部材12aは、鉛直(垂直)な軸を中心として、ベース台14bに対して水平方向に旋回可能となっており、下部アーム12bは、水平な軸を中心として、アーム支持部材12aに対して鉛直方向に揺動可能となっており、第1上部アーム12cは、水平な軸(図1に示す制御軸S)を中心として、下部アーム12bに対して鉛直方向に揺動可能となっている。また、第2上部アーム12dは、該第2上部アーム12dの中心軸を中心として回転可能となっており、第1リスト12eは、水平な軸を中心として、第2上部アーム12dに対して鉛直方向に揺動可能となっている。さらに、第2リスト12fは、その先端部にロボットハンド20が着脱可能となっており、かつ、該第2リスト12fの中心軸を中心として回転可能となっている。
【0023】
アーム部12は、後述するキャリブレーション処理工程において、ワーク保持用ロボット10の底面(すなわち、ロボット側床面FR)から所定の基準部位までの高さ(以下、「ベース座標原点の高さ」という)を機械的に固定又は一義的に特定可能に構成されている。本実施形態において、「ベース座標原点の高さ」は、ロボット側床面FRから第1上部アーム12cの制御軸Sまでの鉛直方向に沿った直線長さをいうものとするが、これに限定されるものではなく、基準部位は任意に変更可能である。
【0024】
なお、アーム部12は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、アーム部12は、上述した6軸の制御軸を有する多関節アームの構成に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0025】
ロボットハンド20は、図2及び図3に示すように、アーム部12の第2リスト12fの先端部に着脱可能に装着されるハンド本体22と、ハンド本体22に取り付けられ、ワークWを保持可能に構成された複数のグリッパ24とを備えている。
【0026】
ハンド本体22は、アーム部12の第2リスト12fの先端部に着脱可能に装着される装着部22aと、装着部22aに結合された第1支持バー22bと、第1支持バー22bにその長手方向に間隔を置いて設けられた複数の第2支持バー22cとを有している。なお、ハンド本体22の形状は、図示の例に限定されず、ワークWの形状等に応じて任意に変更することが可能である。
【0027】
グリッパ24は、各第2支持バー22cの両末端部にそれぞれ取り付けられており、それぞれ、エアを吸引するエア吸引源(図示せず)に配管を介して接続されている。各グリッパ24は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型の吸着パッド26を備えており、エア吸引源によるエアの吸引力によって、積載エリアTAに積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWの表面に吸着するよう構成されている。エア吸引源は、表面検出センサ50によってロボットハンド20とワークWとの接触が検出された際(具体的には、後述する近接センサ56によって後述するドグ57が検出された際)に、吸引動作を開始するように構成されている。
【0028】
ロボットハンド20の高さ(以下、「グリッパ高さHgr」という)は、機械的に固定又は一義的に特定可能となっており、例えばロボットハンド20の規格等によって特定することが可能である。なお、本明細書において、グリッパ高さHgrは、図2に示すように、ロボットハンド20の基端部(本実施形態では装着部22aの上端部)から先端部(本実施形態では吸着パッド26の下端部)までの鉛直方向に沿った直線長さであり、表面検出センサ50の検出精度に起因する誤差(後述するオフセット高さHo)を含まないロボットハンド20の機械的な高さの理論値を意図している。
【0029】
なお、ロボットハンド20は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、ロボットハンド20は、上述した吸着方式に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0030】
[表面検出センサ]
表面検出センサ50は、図2及び図3に示すように、ロボットハンド20のハンド本体22の任意の位置に取り付けられており、吸着パッド26がワークWの表面に接触したことを検出することが可能に構成されている。なお、本明細書において、「ワークWの表面に接触した」には、ワークWの表面に完全に接触した場合に加え、ワークWの表面に接触したと評価し得る程度に近接した場合も含むこととする。
【0031】
具体的には、表面検出センサ50は、ロボットハンド20のハンド本体22に取り付け可能に構成されたブラケット52と、吸着パッド26に先立ってワークWの表面に接触する接触ピン54と、接触ピン54がワークWの表面に接触したことを検出する近接センサ56とを備えている。
【0032】
ブラケット52は、ハンド本体22の第1支持バー22b及び第2支持バー22cに対して平行な平行部と、該平行部に対して垂直な垂直部とを有するL型のブラケットであり、該垂直部が接触ピン54の進退方向に沿って延びるよう、ハンド本体22に対して取り付け可能に構成されている。ブラケット52は、ハンド本体22の第1支持バー22b及び第2支持バー22cに対して着脱可能に構成されている。すなわち、表面検出センサ50は、接触ピン54や吸着パッド26がワークWの表面に確実に接触できるよう、ワークWに形成された穴の位置やワークWの形状及び表面の凹凸等に応じて、ハンド本体22に対する取り付け位置を変更可能となっている。
【0033】
接触ピン54は、ハンド本体22の第1支持バー22b及び第2支持バー22cを境として、その先端部がワークWと接触する側(ハンド本体22のグリッパ24側)に位置し、基端部がその反対側(ハンド本体22の装着部22a側)に位置するよう、ブラケット52の平行部を貫通して設けられている。
【0034】
接触ピン54は、コイルスプリング55によってその先端方向(ワークWに向かう方向)に向けて付勢されており、ワークWと接触する前の状態(コイルスプリング55が圧縮していない状態)において、その先端部がグリッパ24の吸着パッド26よりもワークWに近い側に位置する長さを有している。また、接触ピン54は、ワークWとの接触によってコイルスプリング55が圧縮することにより、基端部側に後退するよう構成されている。
【0035】
接触ピン54の基端部には、近接センサ56により検出されることが可能なドグ57が設けられている。ドグ57は、接触ピン54がワークWと接触する前の状態(コイルスプリング55が圧縮していない状態)においては近接センサ56により検出されず、かつ、接触ピン54がワークWと接触して基端部側に規定量d(図2参照)分後退した状態(コイルスプリング55が圧縮した状態)において、近接センサ56により検出されることが可能な位置に配されている。
【0036】
近接センサ56は、ブラケット52の垂直部に設けられており、接触ピン54がワークWと接触して基端部側に規定量d分後退した際に、接触ピン54のドグ57を検出するよう構成されている。すなわち、本実施形態に係る表面検出センサ50は、接触ピン54の先端部が載置台P上に載置されたワークWの表面に接触し、該接触ピン54がコイルスプリング55の付勢力に抗しつつ基端部側(上方向)へ規定量d分後退することにより、近接センサ56によってドグ57が検出されるように構成されており、該ドグ57の検出により、吸着パッド26がワークWの表面に接触したことを検出可能に構成されている。
【0037】
なお、表面検出センサ50は、上述した構成に限定されず、ロボットハンド20がワークWに接触したことを検出可能な構成であれば、非接触式のセンサやワーク保持用ロボット10の力覚センサ等も含め、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0038】
[ロボット制御部]
ロボット制御部60は、カメラシステム30の後述する画像処理部32から供給されるワークWの位置(x,y)及び積載高さ(h)の情報に基づいて、積載エリアTAに積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWにロボットハンド20が到達するよう、移動機構14及びアーム部12を制御するよう構成されている。また、ロボット制御部60は、最上部のワークWにロボットハンド20が到達し、表面検出センサ50によりロボットハンド20と該最上部のワークWとの接触が検出された際に、ロボットハンド20により該最上部のワークWを保持するようエア吸引源を制御すると共に、該保持したワークWを加工機等の搬送先に向けて搬送するよう、移動機構14及びアーム部12を制御するよう構成されている。
【0039】
また、ロボット制御部60は、表面検出センサ50の検出精度に起因するロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ測定誤差(オフセット高さHo)を検出するオフセット高さ測定部62を備えている。さらに、ロボット制御部60は、後述するオフセット高さ測定処理工程において、オフセット高さ測定部62により検出したオフセット高さHoをカメラシステム30に送信可能に構成されると共に、後述するワーク搬送処理工程において、表面検出センサ50によってワークWの表面が検出された際の手先高さHt(後述する「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」)をカメラシステム30に順次送信可能に構成されている。以下、オフセット高さ測定部62の具体的な構成について説明する。
【0040】
オフセット高さ測定部62は、図4に示すように、後述するキャリブレーション処理工程において、載置台P上に載置された「キャリブレーションジグCJの高さHj」と、ロボットハンド20(ワーク保持部)に代えてアーム部12に装着された「キャリブレーショングリッパCGの高さHgr」と、キャリブレーショングリッパCGがキャリブレーションジグCJに接触した時点における、ロボット側床面FRからワーク保持用ロボット10の所定の基準部位までの高さ(ベース座標原点の高さ)と、同時点における、同基準部位からキャリブレーショングリッパCGとアーム部12との接続点までの高さ(ベース座標原点を基準とした場合の手先高さHbt)とに基づいて、「載置台高さHp」を検出するよう構成されている。すなわち、「ベース座標原点の高さ」については、図4に示すように以下の計算式(1)が成立するところ、これを以下の計算式(2)のとおり変形することで、「載置台高さHp」を一義的に算出することができる。
【0041】
[計算式(1)]
「ベース座標原点の高さ」=Hp+Hj+Hgr+Hbt
[計算式(2)]
Hp=「ベース座標原点の高さ」-Hj-Hgr-Hbt
【0042】
なお、キャリブレーションジグCJとは、後述するキャリブレーション処理工程において使用する板状の部材であり、その高さHj(厚さ)を一義的に特定することが可能に構成されている。また、キャリブレーショングリッパCGとは、後述するキャリブレーション処理工程において使用するキャリブレーション専用のロボットハンドであり、表面検出センサの調整が不可能とされることにより、その高さHgrを一義的に特定することが可能に構成されている。
【0043】
また、上記計算式(1)及び(2)において、「ベース座標原点を基準とした場合の手先高さHbt」とは、キャリブレーショングリッパCGとキャリブレーションジグCJとの接触時における、ベース座標原点からロボットハンド20の基端部(本実施形態では装着部22aの上端部)までの鉛直方向に沿った直線長さをいい、機械的に固定又は一義的に特定可能となっている。
【0044】
また、オフセット高さ測定部62は、図5に示すように、後述するオフセット高さ測定処理工程において、表面検出センサ50によりワークW(検出対象物)との接触が検出された時点における、載置台側床面FPからロボットハンド20(ワーク保持部)とアーム部12との接続点(本実施形態では装着部22aの上端部)までの高さ(載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt)と、載置台側床面FPからワークW(検出対象物)の表面までの高さ(「検出対象高さHs」+「載置台高さHp」-「床面高低差Hgap」)と、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さの理論値(グリッパ高さHgr)とに基づいて、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ誤差(オフセット高さHo)を検出するよう構成されている。
【0045】
ここで、載置台側床面FPからワークW(検出対象物)の表面までの高さは、載置台側床面FPから載置台Pの表面までの高さ(「載置台高さHp」-「床面高低差Hgap」)と、載置台P上に載置されたワークW(検出対象物)の高さ(検出対象高さHs)とを含んでいる。また、載置台側床面FPから載置台Pの表面までの高さは、ロボット側床面FRから載置台Pの表面までの載置台高さ(載置台高さHp)と、載置台側床面FPとロボット側床面FRとの高低差(床面高低差Hgap)とを含んでおり、これら載置台高さHp及び床面高低差Hgapに基づいて検出することが可能である。
【0046】
具体的には、オフセット高さ測定部62は、「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」と、「床面高低差Hgap」、「載置台高さHp」、「検出対象高さHs」及び「グリッパ高さHgr」とに基づいて、「オフセット高さHo」を特定するよう構成されている。
【0047】
すなわち、「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」については、図5に示すように、理論的には、以下の計算式(3)が成立するはずである。しかしながら、本発明者は、実際に計測すると以下の計算式(3)が成立しない場合があることを発見し、鋭意検討の結果、その原因が、例えばユーザによる表面検出センサ50の調整乃至取り付け位置の変更や、該表面検出センサ50が取り付けられるハンド本体22の撓みや高低差等の機械的な要因に起因することを見出した。そこで、本発明者は、以下の計算式(3)を、表面検出センサ50の検出精度に起因する誤差(オフセット高さHo)を考慮した以下の計算式(4)に改めると共に、これを以下の計算式(5)のとおり変形することで、「オフセット高さHo」を一義的に算出することとした。
【0048】
[計算式(3)]
Ht=(Hp-Hgap)+Hs+Hgr
[計算式(4)]
Ht=(Hp-Hgap)+Hs+(Hgr+Ho)
[計算式(5)]
Ho=Ht-Hp+Hgap-Hs-Hgr
【0049】
なお、上記計算式(3)~(5)において、「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」とは、表面検出センサ50によるワーク表面検出時における、載置台Pの底面(載置台側床面FP)からロボットハンド20の基端部(本実施形態では装着部22aの上端部)までの鉛直方向に沿った直線長さをいい、機械的に固定又は一義的に特定可能となっている。
【0050】
また、上記計算式(3)~(5)において、「検出対象高さHs」とは、載置台Pの上面からロボットハンド20が接触した部位の表面(表面検出センサ50により検出された表面)までの鉛直方向に沿った直線長さをいう。すなわち、ロボットハンド20をワークWに接触させる場合には、載置台P上に載置されたワークWの厚みが「検出対象高さHs」となり、例えば載置台P上に1枚のワークWのみが載置されている場合には、該ワークWの1枚の板厚であり、載置台P上に複数枚のワークWが積載されている場合には、該複数枚のワークWの板厚の合計値である。なお、この「検出対象高さHs」は、後述するオフセット高さ登録画面70(図8参照)を介してユーザが入力することが可能となっている。
【0051】
さらに、上記計算式(4)及び(5)において、「オフセット高さHo」は、表面検出センサ50の検出精度に起因する誤差であり、より具体的には、表面検出センサ50に関する上述した機械的な要因により、近接センサ56とドグ57との間の本来の検出距離(規定量d)と、実際の検出距離d´(図示せず)との間に生じた検出距離の差(Δd=d-d´)である。
【0052】
[カメラシステムの構成]
カメラシステム30は、図1及び図6に示すように、載置台P上に載置されたワークWを撮影可能な1台のカメラ40と、カメラ40により撮影されたワークWの撮影画像に基づいて、ワークWの位置及び積載高さを検出する画像処理部32と、作業者によって情報の入力や設定等が行われる操作入力部31とを備えている。
【0053】
[カメラ]
カメラ40は、例えば安価で汎用性の高い単眼カメラ(すなわち、レンズ及びイメージセンサが1つずつ配されたカメラ)により構成され、図1に示すように、積載エリアTAの全体又は一部を撮影範囲として撮影可能となるよう、載置台Pの積載エリアTAの上部に、カメラスタンド41等の支持部材を介して配置されている。
【0054】
本実施形態において、カメラ40は、図1に示すように、ワーク保持用ロボット10と干渉しない位置、例えば載置台Pの中央の直上よりもワーク保持用ロボット10から離れる方向に外れた位置(載置台Pの斜め上方位置)に配置されており、載置台Pの積載エリアTA及びワークWを斜め上方から撮影するよう構成されている。本実施形態では、このようにカメラ40が載置台Pの斜め上方位置に配置されることにより、ワークWをクレーン等を用いて載置台P上に搬入する際や、ワーク保持用ロボット10によってワークWを搬送する際におけるカメラ40の干渉リスクを低減させることができる。
【0055】
カメラ40は、撮影した撮影画像データを画像処理部32に供給するよう構成されている。なお、本実施形態に係るカメラシステム30は、カメラ40からデジタル信号(撮影画像データ)を直接出力する構成であっても良いし、カメラ40から出力されたアナログ信号(撮影画像信号)をA/Dコンバータ(図示せず)等でデジタル信号(撮影画像データ)に変換して出力する構成であっても良い。
【0056】
また、カメラ40は、載置台Pに積載されているワークWを撮影する際に該ワークWに照明光が照射されるよう、照明設備Lと連動可能に構成されている。このような構成によれば、ワークWのエッジが明確化され、後述するパターンマッチングによってワークWの位置を検出する際にワークWの位置が検出しやすくなるという利点がある。
【0057】
[画像処理部]
画像処理部32は、カメラ40から供給された撮影画像データに基づいて、積載エリアTAに積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWの位置及び積載高さを検出し、検出した位置及び積載高さの情報をロボット制御部60に供給するよう構成されている。すなわち、画像処理部32は、積載エリアTAに積載された複数のワークWのうちの最上部のワークWの位置及び積載高さを高精度に検出するワーク検出装置として機能することが可能に構成されている。
【0058】
具体的には、画像処理部32は、図6に示すように、カメラ40から供給された撮影画像データを補正する画像補正部33と、ワークWのモデルが複数記憶されているモデル記憶部35と、補正された撮影画像データの画像とモデル記憶部35に記憶されているワークWのモデルとのパターンマッチングを実行するパターンマッチング部34と、パターンマッチング部34の後述する第1パターンマッチング処理の結果に基づいて、ワークWの位置及び高さを検出する一次検出部36と、表面検出センサ50による表面検出に基づいて、積載エリアTAに積載されたワークWの実積載高さHwを算出する実積載高さ算出部37と、パターンマッチング部34の後述する第2パターンマッチング処理の結果に基づいて、ワークWの位置及び高さを再検出する二次検出部38と、ワーク保持用ロボット10との間においてデータ通信を行う送受信部39とを備えている。
【0059】
画像補正部33は、予め実行されたキャリブレーション処理に基づいて求められた変換パラメータを用いて、撮影画像データを補正するよう構成されている。具体的には、画像補正部33は、斜め上方から撮影された撮影画像を、本来のワークWの形状(すなわち、直上から撮影した場合のワークWの形状)に戻す変換処理(画像補正)を実行するよう構成されている。なお、このような画像補正は、種々の任意の方法により実行することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0060】
モデル記憶部35には、大きさが異なる複数のモデルが記憶されている。具体的には、モデル記憶部35は、積載エリアTAに1枚のワークWが配置された状態における撮影画像(最小のワークWの撮影画像)に対応するモデルから、積載エリアTAに最大枚数のワークWが積載された状態における撮影画像(最大のワークWの撮影画像)に対応するモデルまでの複数段階の大きさのモデルを記憶している。モデルは、搬送対象となるワークW(載置台Pの積載エリアTAに積載されたワークW)と同形の線画像とすることができる。
【0061】
なお、モデル記憶部35には、モデルの大きさ毎に、角度を異ならせた複数のモデルが更に記憶されていることが好ましく、これにより、ワークWの位置だけでなく、ワークWの角度(向き)を特定することも可能となる。この場合におけるモデルの角度は、1度ずつ異なること(すなわち、モデルの大きさ毎に1度ずつ角度が異なる360個のモデルが用意されること)が好ましい。
【0062】
パターンマッチング部34は、画像補正部33により補正された撮影画像データの画像と、モデル記憶部35に記憶されている全てのモデルとをパターンマッチングする第1パターンマッチング処理を実行可能に構成されており、該第1パターンマッチング処理により、最も一致度の高い大きさ(及び角度)のモデルを選択するよう構成されている。
【0063】
一次検出部36は、パターンマッチング部34の第1パターンマッチング処理により選択された最も一致度の高い大きさ(及び角度)のモデルに基づいて、積載エリアTAに実際に積載されている最上部のワークWの平面的な位置(x,y)(及び角度(θ))と、ワークWの積載高さ(h)とを検出するよう構成されている。
【0064】
具体的には、一次検出部36は、選択されたモデルの角部の位置(x,y)を積載エリアTA上の最上部のワークWの位置として検出するよう構成されており、また、ワークWの角度(θ)も検出する場合には、選択されたモデルの角度(θ)を積載エリアTA上の最上部のワークWの角度として検出するよう構成されている。なお、撮影画像の原点(0,0)は、積載エリアTAの角部の位置とすることができる。また、一次検出部36は、マッチングしたモデルの大きさに基づいて、積載エリアTAに実際に積載されているワークWの高さ(すなわち、積載エリアTAの上面から最上部のワークWの上面までの鉛直方向に沿った直線長さ)を検出するよう構成されている。なお、ワークWの撮影画像の大きさとモデルの大きさとの対応関係は、キャリブレーション処理等によって予め定められることが可能である。
【0065】
実積載高さ算出部37は、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ誤差(オフセット高さHo)を加味して、載置台P上に載置されたワークWの実積載高さHwを検出するよう構成されている。具体的には、実積載高さ算出部37は、ロボット制御部60から受信した「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」(載置台側床面FPからロボットハンド20(ワーク保持部)とアーム部12との接続点までの高さ)と、同じくロボット制御部60から受信した「オフセット高さHo」(ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ誤差)と、載置台側床面FPから載置台Pの表面までの高さ(「載置台高さHp」-「床面高低差Hgap」)と、ロボットハンド20(ワーク保持部)の「グリッパ高さHgr」の理論値とに基づいて、以下の計算式(6)により、積載エリアTA上に載置されたワークWの「実積載高さHw」を算出するよう構成されている。
【0066】
[計算式(6)]
Hw=Ht-Hp+Hgap-Hgr-Ho
【0067】
また、パターンマッチング部34は、実積載高さ算出部37により検出された実積載高さHwに基づいてパターンマッチングするモデルの範囲を絞り込んだ上で、画像補正部33により補正された撮影画像データの画像と、絞り込んだ範囲内のモデルとをパターンマッチングする第2パターンマッチング処理を実行可能に構成されており、該第2パターンマッチング処理により、第1パターンマッチング処理よりも高精度に、最も一致度の高い大きさ(及び角度)のモデルを再選択するよう構成されている。なお、パターンマッチング部34は、実積載高さHwに基づく一部のモデルを選択する構成に代えて、実積載高さHwに基づいた大きさの新たなモデルを作成する構成としても良い。
【0068】
二次検出部38は、パターンマッチング部34の第2パターンマッチング処理により選択された最も一致度の高い大きさ(及び角度)のモデルに基づいて、積載エリアTAに実際に積載されている最上部のワークWの平面的な位置(x,y)(及び角度(θ))と、ワークWの積載高さ(h)とを再検出するよう構成されている。
【0069】
[操作入力部]
操作入力部31は、図1に示すように、表示装置としてのディスプレイと、キーボードやマウス等の入力装置からなる入力部とを備えており、ワーク搬送システム1において通常必要とされる画面表示及び情報入力の機能に加え、ディスプレイ上に後述するオフセット高さ登録画面70を表示可能に構成されている。なお、操作入力部31は、ディスプレイと入力部とを備える構成に限定されず、これらディスプレイ及び入力部に代わり同等の機能を備えることができるものであれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0070】
[ワーク搬送方法]
次に、本実施形態に係るワーク搬送システム1を用いて行うワーク搬送方法について、説明する。本実施形態に係るワーク搬送方法は、載置台P上に載置されたワークWをワーク保持用ロボット10によって載置台P上から搬送(搬出)するワーク搬送方法であり、概略的には、載置台Pの高さ(載置台高さHp)の理論値を取得するキャリブレーション処理工程(前処理工程)と、表面検出センサ50の検出精度に起因する誤差(オフセット高さHo)を特定するオフセット高さ測定処理工程と、ワーク保持用ロボット10によるワークWの搬送処理を実行するワーク搬送処理工程とを含んでいる。
【0071】
[キャリブレーション処理工程(前処理工程)]
本実施形態に係るワーク搬送方法では、ワーク搬送処理工程に先立ち、まず、キャリブレーション処理工程が実行される。キャリブレーション処理工程は、機械システム納入時に通常一度だけ行われる校正処理であり、特徴点となる開口やARマーカ等が施されたキャリブレーションジグCJをワーク保持用ロボット10によって保持し、載置台Pの積載エリアTAの空間上において水平方向及び鉛直方向に沿って移動及び回転させながらカメラ40によって撮影し、これにより撮影された撮影画像とワーク保持用ロボット10の位置座標等の情報に基づいて、載置台Pの積載エリアTAにおける空間座標を特定するものである。なお、キャリブレーション処理工程は、機械システム納入時に加えて又はこれに代えて、載置台Pの高さを変更した時等の種々の任意のタイミングで実施しても良い。
【0072】
本実施形態に係るワーク搬送方法では、このキャリブレーション処理工程を利用して、載置台高さHpを特定する。具体的には、このキャリブレーション処理工程において、高さHj(厚さ)が不変のキャリブレーションジグCJと、高さHgrが不変のキャリブレーショングリッパCGとを使用することで、既述の計算式(2)により、載置台Pの高さ(載置台高さHp)の理論値を取得する。また、このキャリブレーション処理工程では、床面高低差Hgapも併せて特定(算出)する。
【0073】
さらに、本実施形態に係るワーク搬送方法では、このキャリブレーション処理工程において、撮影画像の歪み及び該撮影画像の撮影時における空間座標値等の情報に基づいて画像解析することにより、画像補正用の変換パラメータを生成する処理も実行する。
【0074】
[オフセット高さ測定処理工程]
次に、本実施形態に係るワーク搬送方法では、ワーク搬送処理工程の前又はこれと並行して、オフセット高さ測定処理工程が実行される。オフセット高さ測定処理工程は、概略的には、表面検出センサ50によりワークW(検出対象物)との接触が検出された時点における、載置台側床面FPからロボットハンド20(ワーク保持部)とアーム部12との接続点(本実施形態では装着部22aの上端部)までの高さ(載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt)と、載置台側床面FPからワークW(検出対象物)の表面までの高さ(「検出対象高さHs」+「載置台高さHp」-「床面高低差Hgap」)と、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さの理論値(グリッパ高さHgr)とに基づいて、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ誤差(オフセット高さHo)を検出する処理を実行する工程である。
【0075】
具体的には、オフセット高さ測定処理工程では、図7に示すように、まず、キャリブレーション処理工程で載置台高さHpが一義的に特定された載置台Pの積載エリアTA上に、検出対象高さHsが一義的に特定されている検出対象物を載置する(S1)。この際、検出対象物は、その角部を載置台Pの積載エリアTAの角部(原点(0,0))に合わせて載置されることが好ましい。検出対象物としては、例えば、板厚が予め特定されている1枚のワークWを使用することが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0076】
次に、ユーザの操作により、カメラシステム30の操作入力部31のディスプレイ上にオフセット高さ登録画面70が立ち上げられる(S2)。オフセット高さ登録画面70は、図8に示すように、検出対象高さHsの理論値が表示される検出対象高さ表示欄71と、表面検出センサ50を用いて実際に測定された検出対象物のセンサ検出高さが表示されるセンサ検出高さ表示欄73と、オフセット高さHoが表示されるオフセット高さ表示欄74と、オフセット高さ測定処理の開始操作を受け付ける受信待ちボタン72と、オフセット高さ測定処理の中止操作を受け付けるキャンセルボタン75とを有している。
【0077】
ここで、検出対象高さ表示欄71には、予め登録された検出対象高さHsの理論値(本実施形態では、加工対象となるワークWの1枚の板厚)がプリセットされ、デフォルト表示される(S3)。検出対象高さ表示欄71は、デフォルト表示された理論値をユーザの入力操作により任意に変更することが可能に構成されている。これにより、例えば、予め登録された検出対象高さHsの理論値とは異なる検出対象高さHsを有する検出対象物を使用することが可能となっている。また、例えば、キャリブレーション処理工程で載置台高さHpが特定された載置台P以外の載置台Pを使用する場合等においても、その前後の高さ差分値(キャリブレーション処理工程で使用した載置台Pの載置台高さHpと、オフセット高さ測定処理工程で使用する載置台Pの載置台高さHpとの差分値)を検出対象高さHsの理論値に加算又は減算し、この値を検出対象高さ表示欄71に任意に入力することが可能となっている。
【0078】
次に、オフセット高さ登録画面70の受信待ちボタン72がユーザにより押下されると(S4)、積載エリアTA上に載置された検出対象物(ワークW)に向けて、ワーク保持用ロボット10が動作を開始する(S5)。そして、表面検出センサ50によりロボットハンド20と検出対象物(ワークW)との接触を検出することで、既述の「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」を検出する(S6)。
【0079】
その後、ロボット制御部60は、この検出した手先高さHtと、キャリブレーション処理工程で特定した「載置台高さHp」及び「床面高低差Hgap」と、ロボットハンド20の「グリッパ高さHgr」の理論値とに基づいて、以下の計算式(7)により、検出対象物のセンサ検出高さ(「オフセット高さHo」を含む「検出対象高さHs」)を算出する(S7)。また、ロボット制御部60は、このセンサ検出高さから、検出対象高さ表示欄71に入力された検出対象高さHsを減算することで、「オフセット高さHo」を算出する(S8)。
【0080】
[計算式(7)]
センサ検出高さ(Hs+Ho)=Ht-Hp+Hgap-Hgr
【0081】
そして、この算出されたセンサ検出高さとオフセット高さHoとがそれぞれオフセット高さ登録画面70のセンサ検出高さ表示欄73及びオフセット高さ表示欄74に自動で入力され(S8)、オフセット高さ測定処理工程の一連の処理が終了する。
【0082】
なお、本実施形態に係るワーク搬送方法において、以上のオフセット高さ測定処理工程は、新規ワーク立ち上げ時に通常行われるユーザによるチェック動作のタイミングを利用して、1種類のワークWに対して1回行うことが可能であるが、これに限定されず、任意のタイミングで任意の回数を実施することが可能である。
【0083】
[ワーク搬送処理工程]
そして、本実施形態に係るワーク搬送方法では、キャリブレーション処理工程が実行された後、かつ、オフセット高さ測定処理工程の後又はこれと並行して、ワーク搬送処理工程が実行される。なお、以下の説明では、ワークWの平面的な位置と、ワークWの積載高さとを検出するものとして説明するが、これに限定されず、ワークWの平面的な位置及び積載高さに加え、ワークWの角度等の情報も併せて検出可能としても良い。
【0084】
ワーク搬送処理工程では、図9に示すように、まず、カメラ40によって載置台Pの積載エリアTA上に載置されたワークWが撮影され(S10)、この撮影画像データが画像処理部32に送信される。画像処理部32は、カメラ40から撮影画像データを受信すると、これを補正する(S11)。
【0085】
また、画像処理部32は、補正された撮影画像データの画像と、モデル記憶部35に記憶されている全てのモデルとをパターンマッチングする第1パターンマッチング処理を実行し、最も一致度の高い大きさのモデルを選択する(S12)。なお、この第1パターンマッチング処理において、例えば、搬送予定のワークWが積載エリアTA上に載置されていない等の理由により、該当するモデルが存在しない場合には、ワークWを検出できない(非検出)と判定し、ワーク搬送処理工程を終了する(図示せず)。
【0086】
そして、画像処理部32は、第1パターンマッチング処理により選択された最も一致度の高い大きさのモデルに基づいて、積載エリアTAに実際に積載されている最上部のワークWの平面的な位置(x,y)と、ワークWの積載高さ(h)とを検出すると共に、これらの情報をワーク保持用ロボット10に送信する(S13)。
【0087】
ワーク保持用ロボット10は、カメラシステム30からワークWの位置及び積載高さに関する情報(x,y,h)を受信すると、これらの情報に基づいて、ロボットハンド20をワークWに対して接近させるセンシング動作を実行する(S14)。そして、ワーク保持用ロボット10は、表面検出センサ50によって積載エリアTAに積載されている最上部のワークWとの接触が検出されると、この接触時点における「載置台Pの底面(載置台側床面FP)を基準とした場合の手先高さHt」をカメラシステム30の画像処理部32に送信する(S15)。
【0088】
画像処理部32は、ワーク保持用ロボット10から手先高さHtを受信すると、該手先高さHtと、キャリブレーション処理工程で特定した「載置台高さHp」及び「床面高低差Hgap」と、ロボットハンド20の「グリッパ高さHgr」の理論値と、オフセット高さ測定処理工程で特定した「オフセット高さHo」とに基づいて、既述の計算式(6)により、ワークWの「実積載高さHw」を算出する(S16)。このように、本実施形態に係るワーク搬送処理工程では、「オフセット高さHo」(ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ誤差)を加味して、載置台P上に載置されたワークWの「実積載高さHw」を検出するため、例えばユーザによる表面検出センサ50の調整乃至取り付け位置の変更や、該表面検出センサ50が取り付けられるハンド本体22の撓みや高低差等の機械的な要因に起因する誤差(表面検出センサ50の検出精度に起因する誤差)を排して、ワークWの「実積載高さHw」を高精度に算出することができる。
【0089】
そして、画像処理部32は、第1パターンマッチング処理により検出されたワークWの積載高さ(h)と、ワーク保持用ロボット10のセンシング動作で実際に検出された「実積載高さHw」とを比較し、これらの高さの差分Δh(Δh=h-Hw)が許容範囲内か否かを判定する(S17)。なお、この場合における許容範囲は、任意に設定することが可能であり、例えば3mm程度に設定することが可能である。
【0090】
当該判定において、これらの高さの差分Δhが許容範囲内であれば(S17においてYESの場合)、カメラシステム30の第1パターンマッチング処理により検出されたワークWの積載高さ(h)には異常がないと判断し、第1パターンマッチング処理により検出されたワークWの位置(x,y)及び積載高さ(h)を用いてワーク保持用ロボット10が最上部のワークWの搬送処理を実行する(S20)。そして、該最上部のワークWに対するカメラシステム30及びワーク保持用ロボット10の搬送処理を終了し、次に最上部に位置することとなったワークWに対する搬送処理へと移行する。
【0091】
一方、当該判定において、これらの高さの差分Δhが許容範囲外であると判定された場合(S17においてNOの場合)には、カメラシステム30の第1パターンマッチング処理により検出されたワークWの積載高さ(h)には異常があると判断し、第1パターンマッチング処理よりも検出精度を高めた第2パターンマッチング処理を実行する(S18)。
【0092】
すなわち、第1パターンマッチング処理により検出されたワークWの積載高さ(h)は、ワークWの撮影画像を基に検出をしているため、実際の積載高さを正確に検出できているとは限らないものである。特に、斜めから撮影された撮影画像においては、直上から撮影された撮影画像よりも、積載高さ(h)の検出誤差が与える平面的な位置(x,y)の検出精度への影響が特に大きい。そこで、本実施形態に係るワーク搬送処理工程では、上記高さの差分Δhが許容範囲外であると判定された場合に、第1パターンマッチング処理よりもパターンマッチングするモデルの範囲を絞り込んだ第2パターンマッチング処理を実行し、より精度良くワークWの平面的な位置(x,y)及び積載高さ(h)を再検出する処理を実行する。
【0093】
画像処理部32は、第2パターンマッチング処理に移行すると、まず、モデル記憶部35に記憶されているワークWを検出するための全ての大きさのモデルのうち、ワーク保持用ロボット10のセンシング動作で実際に検出された「実積載高さHw」に基づく一部のモデルを選択する。この場合における選択範囲は、例えば、実積載高さHwに誤差を加算した高さから実積載高さHwから誤差を減算した高さまでの範囲に設定することができ、この場合における誤差は、ワークWの板厚とすることができるが、これらに限定されるものではない。また、実積載高さHwに基づく一部のモデルを選択する処理に代えて、実積載高さHwに基づいた大きさの新たなモデルを作成する処理としても良い。
【0094】
また、画像処理部32は、第2パターンマッチング処理において、上記のように選択又は新たに作成した第2の複数のモデルを用いて、撮影画像データの画像とのパターンマッチング(第2のパターンマッチング)を実行し、最も一致度の高い大きさのモデルを再選択する。
【0095】
そして、画像処理部32は、第2パターンマッチング処理により選択された最も一致度の高い大きさのモデルに基づいて、積載エリアTAに実際に積載されている最上部のワークWの平面的な位置(x,y)と、ワークWの積載高さ(h)とを再検出する。この第2パターンマッチング処理により、第1パターンマッチング処理よりも精度良くワークWの平面的な位置(x,y)及び積載高さ(h)を検出することができる。また、画像処理部32は、第2パターンマッチング処理により再検出された最上部のワークWの平面的な位置(x,y)及び積載高さ(h)の情報をワーク保持用ロボット10に送信する(S19)。
【0096】
そして、ワーク保持用ロボット10は、カメラシステム30からワークWの位置及び積載高さに関する情報(x,y,h)を再度受信すると、これらの情報に基づいて、最上部のワークWの搬送処理を実行する(S20)。そして、該最上部のワークWに対するカメラシステム30及びワーク保持用ロボット10の搬送処理を終了し、次に最上部に位置することとなったワークWに対する搬送処理へと移行する。
【0097】
本実施形態に係るワーク搬送処理工程は、以上の処理をワークWが非検出となるまで繰り返し実行し、ワークWが非検出となると、ワーク搬送処理工程の一連の処理を終了する。
【0098】
[本実施形態に係るワーク搬送システムの利点]
以上説明したとおり、本実施形態に係るワーク搬送システム1は、表面検出センサ50によりワークW(検出対象物)との接触が検出された時点における、載置台Pが載置された載置台側床面FPからロボットハンド20(ワーク保持部)とアーム部12との接続点までの高さ(上述した「手先高さHt」)と、載置台側床面FPからワークW(検出対象物)の表面までの高さ(上述した「検出対象高さHs」+「載置台高さHp」-「床面高低差Hgap」)と、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さの理論値(上述した「グリッパ高さHgr」)とに基づいて、ロボットハンド20(ワーク保持部)の高さ誤差(上述した「オフセット高さHo」)を検出し、該高さ誤差を加味して、載置台P上に載置されたワークWの実積載高さHwを検出するよう構成されている。
【0099】
このような本実施形態に係るワーク搬送システム1によれば、「オフセット高さHo」を加味して、載置台P上に載置されたワークWの「実積載高さHw」を検出するため、例えばユーザによる表面検出センサ50の調整乃至取り付け位置の変更や、該表面検出センサ50が取り付けられるハンド本体22の撓みや高低差等の機械的な要因に起因する誤差(表面検出センサ50の検出精度に起因する誤差)を排して、ワークWの「実積載高さHw」を高精度に算出することが可能となるという利点がある。
【0100】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0101】
例えば、上述した実施形態では、ワーク保持用ロボット10がロボット制御部60を備え、カメラシステム30が画像処理部32を備えるものとして説明したが、これに限定されず、ロボット制御部60や画像処理部32を備える主体は任意に変更することが可能であり、また、ロボット制御部60及び画像処理部32の一方又は双方をクラウド化しても良い。さらに、上述した実施形態では、ロボット制御部60と画像処理部32とが互いに独立した別構成要素であるものとして説明したが、これに限定されず、ロボット制御部60としての機能と画像処理部32としての機能との双方を備える単一の制御部であっても良い。
【0102】
また、上述した実施形態では、ワーク保持用ロボット10がオフセット高さ測定部62を備えるものとして説明したが、これに限定されず、カメラシステム30がオフセット高さ測定部62を備える構成としても良いし、ワーク保持用ロボット10及びカメラシステム30とは別のシステムがオフセット高さ測定部62を備える構成としても良い
【0103】
さらに、上述した実施形態では、表面検出センサ50がロボットハンド20のハンド本体22に取り付けられるものとして説明したが、これに限定されず、表面検出センサ50の取り付け位置は任意に変更することが可能である。
【0104】
また、上述した実施形態では、「オフセット高さHo」の算出に用いた「検出対象高さHs」が、載置台P上に載置されたワークWの厚みであるもの(すなわち、ロボットハンド20をワークWに接触させるもの)として説明したが、これに限定されず、例えば、機械的に固定又は一義的に特定可能な高さを有する他の部位にロボットハンド20を接触させ、この部位の高さの値を「検出対象高さHs」として用いて「オフセット高さHo」を算出する構成としても良い。なお、このような「他の部位」としては、例えばマグネットフロータMの上面部等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0105】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0106】
1 :ワーク搬送システム
10 :ワーク保持用ロボット
12 :アーム部
20 :ロボットハンド(ワーク保持部)
30 :カメラシステム
32 :画像処理部
37 :実積載高さ算出部
40 :カメラ
50 :表面検出センサ
60 :ロボット制御部
62 :オフセット高さ測定部
70 :オフセット高さ登録画面
CG :キャリブレーショングリッパ
CJ :キャリブレーションジグ
F :床面
FP :載置台側床面
FR :ロボット側床面
Hbt :ベース座標原点を基準とした場合の手先高さ
Hgap :床面高低差
Hgr :グリッパ高さ
Hj :キャリブレーションジグの高さ
Ho :オフセット高さ(ワーク保持部の高さ誤差)
Hp :載置台高さ
Hs :検出対象高さ
Ht :載置台の底面を基準とした場合の手先高さ
Hw :ワークの実積載高さ
P :載置台
S :制御軸(ワーク保持用ロボットの所定の基準部位)
TA :積載エリア
W :ワーク
図1
図2
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図9