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特許7495882マルチゾーンインジェクターブロックを備える化学蒸着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】マルチゾーンインジェクターブロックを備える化学蒸着装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240529BHJP
   H01L 21/205 20060101ALN20240529BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/205
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020555785
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019027312
(87)【国際公開番号】W WO2019200312
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】62/657,255
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504225666
【氏名又は名称】ビーコ・インストゥルメンツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ボージャン ミトロヴィク
(72)【発明者】
【氏名】イアン クンスチ
(72)【発明者】
【氏名】フアン ガマラ
(72)【発明者】
【氏名】マンダル デシュパンデ
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0284404(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0010210(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0368799(US,A1)
【文献】特表2012-511259(JP,A)
【文献】特開2001-077109(JP,A)
【文献】特開2002-110567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の断面形状を有するウェハーキャリアーを含む化学蒸着反応器内に1種以上の反応ガスを供給するためのインジェクターブロックであって、
該インジェクターブロックが、
円筒形の形状であって、円形の水平断面、該円形の水平断面の直径、該直径を通る垂直断面、及び該直径と一致する対称軸を有し、該円形の水平断面が、前記ウェハーキャリアーの円形の断面形状に対応する、前記円筒形の形状;
第1反応ガスを前記反応器内に送達する、複数の第1反応ガス入口と複数の第1反応ガス分配出口との間の複数の第1反応ガス分配チャネルであって、該複数の第1反応ガス分配チャネルが、該円形の水平断面に沿って水平に配置され、かつ該インジェクターブロックの一部における直線状チャネルとして構成され、該複数の第1反応ガス分配出口が、対応する第1反応ガス分配チャネルの少なくとも一部に沿って長手方向に延びており
複数の第1反応ガス入口が、該インジェクターブロックの外辺部の近くの第1反応ガス流路と流体連通しており、該第1反応ガス流路が、少なくとも1つの第1の仕切りによって、第1反応ガス分配出口の第1セットを供給するように構成された第1反応ガス第1ゾーンを規定する第1の環状の溝、及び、第1反応ガス分配出口の第2セットを供給するように構成された第1反応ガス第2ゾーンを規定する第2の環状の溝に分割されており、
該第1反応ガス第1ゾーンが、第1反応ガス第1入口と連通しており、かつ該第1反応ガス第2ゾーンが、第1反応ガス第2入口と連通しており、これによって、該第1反応ガスが、該第1反応ガス第1ゾーンと該第1反応ガス第2ゾーンとに独立して供給される、前記複数の第1反応ガス分配チャネル;並びに
第2反応ガスを前記反応器内に送達する、複数の第2反応ガス入口と複数の第2反応ガス分配出口との間の複数の第2反応ガス分配チャネルであって、該複数の第2反応ガス分配チャネルが、該円形の水平断面に沿って水平に配置され、かつ該インジェクターブロックの一部における第1の環状チャネル及び第2の環状チャネルとして構成され、該複数の第2反応ガス分配出口が、対応する第2反応ガス分配チャネルの少なくとも一部に沿って延びており、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも1つの第2の仕切りによって、それぞれ少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンを規定する該第1の環状チャネル及び第2の環状チャネルに分割され、該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを取り囲み、
該第2反応ガス第1ゾーンが、第2反応ガス第1入口と連通しており、かつ該第2反応ガス第2ゾーンが、第2反応ガス第2入口と連通しており、これによって、該第2反応ガスが、該第2反応ガス第1ゾーンと該第2反応ガス第2ゾーンとに独立して供給される、前記複数の第2反応ガス分配チャネル
を備え、
該複数の第1反応ガス分配出口が、前記対称軸の両側に配置されており、かつ
長手方向であって、それに沿って該複数の第1反応ガス分配出口が延びる、前記長手方向に対して垂直である該インジェクターブロックの断面において、該複数の第1反応ガス分配出口の対称軸が、該インジェクターブロックの前記対称軸から水平方向にオフセットされるように、該複数の第1反応ガス分配出口が互いから離間し、かつ前記円形のインジェクターブロックの対称軸から等しくない距離で配置される、前記インジェクターブロック。
【請求項2】
前記第2反応ガス第1ゾーンの前記第2反応ガス分配出口が、前記第1反応ガス分配出口と交互に散在する、請求項1記載のインジェクターブロック。
【請求項3】
前記第1反応ガス流路が、該第1反応ガス流路を前記第1の環状の溝及び前記第2の環状の溝に分離する2つ以上の第1の仕切りを含む環状チャネルを表す、請求項1記載のインジェクターブロック。
【請求項4】
前記第1反応ガス第1ゾーンが、前記第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する、請求項3記載のインジェクターブロック。
【請求項5】
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速が実質的に等しい、請求項3記載のインジェクターブロック。
【請求項6】
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速が異なる、請求項3記載のインジェクターブロック。
【請求項7】
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンが、別個の第1反応ガス入口を備える、請求項3記載のインジェクターブロック。
【請求項8】
前記第1反応ガス第2ゾーン用の第1反応ガス入口が、前記第1反応ガス第1ゾーンへ供給される第1反応ガスの濃度と異なる濃度で、前記第1反応ガスを供給するように構成される、請求項7記載のインジェクターブロック。
【請求項9】
前記第1反応ガス第2ゾーン用の第1反応ガス入口が、前記第1反応ガス第1ゾーンへ供給される第1反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で、前記第1反応ガスを供給するように構成される、請求項7記載のインジェクターブロック。
【請求項10】
1つ以上の基板を処理するための化学蒸着反応器であって:
該1つ以上の基板を支持する、上下方向に延びる軸の周りの回転のために該反応器内に取り外し可能に取り付けられたウェハーキャリアーであって、円形の断面形状及び上面を有する前記ウェハーキャリアー;及び
該上面へ1種以上の反応ガスを供給するように構成されたインジェクターブロックを備え、
該インジェクターブロックが、
円筒形の形状であって、円形の水平断面、該円形の水平断面の直径、該直径を通る垂直断面、及び該直径と一致する対称軸を有し、該円形の水平断面が、前記ウェハーキャリアーの円形の断面形状に対応する、前記円筒形の形状;
第1反応ガスを前記反応器内に送達する、複数の第1反応ガス入口と複数の第1反応ガス分配出口との間の複数の第1反応ガス分配チャネルであって、該複数の第1反応ガス分配チャネルが、該円形の水平断面に沿って水平に配置され、かつ該インジェクターブロックの一部における直線状チャネルとして構成され、該複数の第1反応ガス分配出口が、対応する第1反応ガス分配チャネルの少なくとも一部に沿って長手方向に延びており
複数の第1反応ガス入口が、該インジェクターブロックの外辺部の近くの第1反応ガス流路と流体連通しており、該第1反応ガス流路が、少なくとも1つの第1の仕切りによって、第1反応ガス分配出口の第1セットを供給するように構成された第1反応ガス第1ゾーンを規定する第1の環状の溝、及び、第1反応ガス分配出口の第2セットを供給するように構成された第1反応ガス第2ゾーンを規定する第2の環状の溝に分割されており、
該第1反応ガス第1ゾーンが、第1反応ガス第1入口と連通しており、かつ該第1反応ガス第2ゾーンが、第1反応ガス第2入口と連通しており、これによって、該第1反応ガスが、該第1反応ガス第1ゾーンと該第1反応ガス第2ゾーンとに独立して供給される、前記複数の第1反応ガス分配チャネル;並びに
第2反応ガスを前記反応器内に送達する、複数の第2反応ガス入口と複数の第2反応ガス分配出口との間の複数の第2反応ガス分配チャネルであって、該複数の第2反応ガス分配チャネルが、該円形の水平断面に沿って水平に配置され、かつ該インジェクターブロックの一部における第1の環状チャネル及び第2の環状チャネルとして構成され、該複数の第2反応ガス分配出口が、対応する第2反応ガス分配チャネルの少なくとも一部に沿って延びており、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも1つの第2の仕切りによって、それぞれ少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンを規定する該第1の環状チャネル及び第2の環状チャネルに分割され、該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを取り囲み、
該第2反応ガス第1ゾーンが、第2反応ガス第1入口と連通しており、かつ該第2反応ガス第2ゾーンが、第2反応ガス第2入口と連通しており、これによって、該第2反応ガスが、該第2反応ガス第1ゾーンと該第2反応ガス第2ゾーンとに独立して供給される、前記複数の第2反応ガス分配チャネル
を備え、
該複数の第1反応ガス分配出口が、前記対称軸の両側に配置されており、かつ
長手方向であって、それに沿って該複数の第1反応ガス分配出口が延びる、前記長手方向に対して垂直である該インジェクターブロックの断面において、該複数の第1反応ガス分配出口の対称軸が、該インジェクターブロックの前記対称軸から水平方向にオフセットされるように、該複数の第1反応ガス分配出口が互いから離間し、かつ前記円形のインジェクターブロックの対称軸から等しくない距離で配置される、前記化学蒸着反応器。
【請求項11】
前記複数の第2反応ガス入口が、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度と異なる濃度で該第2反応ガスを供給するように構成されている、前記第2反応ガス第2ゾーン用の第2反応ガス入口を含む、請求項10記載の反応器。
【請求項12】
前記複数の第2反応ガス入口が、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で該第2反応ガスを供給するように構成されている、前記第2反応ガス第2ゾーン用の第2反応ガス入口を含む、請求項10記載の反応器。
【請求項13】
前記第2反応ガス第1ゾーンの前記第2反応ガス分配出口が、前記第1反応ガス分配出口と交互に散在する、請求項10記載の反応器。
【請求項14】
前記第1反応ガス流路が、該第1反応ガス流路を前記第1の環状の溝及び前記第2の環状の溝に分離する2つ以上の第1の仕切りを含む環状チャネルを表す、請求項10記載の反応器。
【請求項15】
前記第1反応ガス第1ゾーンが、前記第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する、請求項14記載の反応器。
【請求項16】
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速が実質的に等しい、請求項14記載の反応器。
【請求項17】
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速が異なる、請求項14記載の反応器。
【請求項18】
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンが、別個の第1反応ガス入口を備える、請求項14記載の反応器。
【請求項19】
前記第1反応ガス第2ゾーン用の第1反応ガス入口が、前記第1反応ガス第1ゾーンへ供給される第1反応ガスの濃度と異なる濃度で、前記第1反応ガスを供給するように構成される、請求項18記載の反応器。
【請求項20】
前記第1反応ガス第2ゾーン用の第1反応ガス入口が、前記第1反応ガス第1ゾーンへ供給される第1反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で、前記第1反応ガスを供給するように構成される、請求項18記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、概して、半導体製作技術に関する。より具体的には、本開示は、CVD反応器から排出される未利用反応ガスの量を減少させること、及び成長表面全体の蒸着均一性を向上させることによって蒸着プロセスにおける効率を向上させるよう構成された化学蒸着(CVD)反応器用のインジェクターブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
半導体の製作のためのあるプロセスは、エピタキシャル層を成長させて、高性能デバイス、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、光学検出器、パワーエレクトロニクス、及び電界効果トランジスターの製作における使用のための多層半導体構造を生じさせるための複雑なプロセスを必要とすることがある。該プロセスにおいては、エピタキシャル層を、化学蒸着(CVD)と呼ばれる一般的なプロセスによって成長させる。CVDプロセスの1種は、金属有機化学蒸着(MOCVD)と呼ばれている。MOCVDにおいては、(通常、ウェハーと呼ばれる)基板上に反応ガスが堆積されることを可能とする制御された環境内の密閉された反応器チャンバー内に、反応ガスを導入して、薄いエピタキシャル層を成長させる。そのような生産設備用の現行の製品ラインの例としては、全てがニューヨーク州PlainviewのVeeco Instruments社製である、MOCVDシステムのTurboDisc(登録商標)、MaxBright(登録商標)、EPIK(登録商標)ファミリー、及びPROPEL(登録商標) Power GaN MOCVDシステムがあげられる。
【0003】
エピタキシャル層成長の間、温度、圧力、及びガス流速などのいくつかのプロセスパラメーターが制御され、該エピタキシャル層において所望の品質が達成される。異なる層は、異なる材料及び異なるプロセスパラメーターを用いて成長させる。例えば、化合物半導体、例えば、III-V半導体から形成されるデバイスは、典型的には、一連の別個の層を成長させることによって形成される。該プロセスにおいては、ウェハーは、典型的には、ガリウム、インジウム、アルミニウム、及びそれらの組合せなどの第3族金属を含むアルキル原料、並びにNH3、AsH3、PH3などの第5族元素を含む水素化物原料又はSb有機金属(例えば、テトラメチルアンチモンなど)を用いて形成される金属有機化合物を含む反応ガスの組合せに曝される。一般に、このアルキル原料及び水素化物原料は、感知できるほどには反応に関与しないN2及び/又はH2などのキャリアーガスと組み合わされる。これらのプロセスにおいて、アルキル原料及び水素化物原料は、ウェハーの表面上を流れ、互いに反応して、一般式InXGaYAlZNAAsBPCSbD(式中、X+Y+Zは、約1に等しく、A+B+C+Dは、約1に等しく、かつX、Y、Z、A、B、C、及びDのそれぞれは、0と1との間とすることができる)のIII-V化合物を形成する。通常「ハロゲン化物」又は「塩化物」プロセスと呼ばれる別のプロセスにおいては、第3族金属源は、金属(1種又は複数種)の揮発性ハロゲン化物、最も一般的には、GaCl2などの塩化物である。さらに別のプロセスにおいては、ビスマスが、他の第3族金属の一部又は全てに代えて用いられる。
【0004】
該反応に適した基板は、金属性、半導体性、及び/又は絶縁性の性質を有するウェハーの形態であり得る。いくつかのプロセスにおいて、ウェハーは、サファイア、酸化アルミニウム、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化ガリウム(GaP)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化ケイ素(SiO2)などで形成することができる。
【0005】
CVDプロセスチャンバーでは、1枚以上のウェハーが、通常、ウェハーキャリアーと呼ばれるトレー内に配置され、その結果、各ウェハーの上面が露出され、それにより、該ウェハーの上面の半導体材料の堆積のための反応器チャンバー内部の雰囲気への一様な曝露がもたらされる。ウェハーキャリアーは、通常、約50~1500RPMのオーダーまたはそれを超える回転速度で回転される。ウェハーキャリアーを回転させながら、ウェハーキャリアーの上流に位置するガス分配デバイスから、反応ガスをチャンバー内に導入する。流れるガスは、ウェハーキャリアー及びウェハーに向かって、好適には、層流で下流に進む。そのようなCVDプロセスチャンバーの一例が、その内容が、これにより引用により本明細書に組み込まれる、米国特許公開公報第2017/0253967号に開示されている。
【0006】
このCVDプロセスの間、ウェハーキャリアーは、多くの場合、該ウェハーキャリアーの下に配置される加熱要素によって所望の高い温度に維持される。従って、熱が、加熱要素からウェハーキャリアーの底面へと伝わり、ウェハーキャリアーを経て1つ以上のウェハーまで上方向に流れる。プロセスに応じて、ウェハーキャリアーの温度は、700~1200℃のオーダーに維持される。しかしながら、反応性ガスは、早すぎるガスの反応を阻止するために、かなり低い温度で、典型的には、200℃又はそれよりも低い温度で、ガス分配デバイスによってチャンバー内に導入される。
【0007】
反応ガスが、回転しているウェハーキャリアーに近づくと、反応ガスの温度が、かなり上昇し、回転しているウェハーキャリアーの粘性抵抗が、該ガスをウェハーキャリアーの軸の周りに回転させ、その結果、該ガスは、軸の周りを、ウェハーキャリアーの表面近くの境界領域にあるウェハーキャリアーの外辺部に向かって外方に流れる。プロセスに用いられる反応ガスによっては、この境界領域内又はその近傍で、ガス分配デバイスの温度とウェハーキャリアーの温度の中間の温度で、熱分解が生じることがある。この熱分解は、反応ガス間の相互作用及び結晶構造の成長を促進する。堆積しなかったガスは、外辺部に向かい該キャリアーの外縁を超えて流れ続け、そこで、ウェハーキャリアーの下に配置された1つ以上の排気ポートを通じてプロセスチャンバーから除去され得る。
【0008】
最も通常には、このプロセスは、連続する種々のガス組成、及び、場合によっては、種々のウェハー温度を用いて行われて、所望の半導体デバイスを形成するのに必要とされる異なる組成を有する複数の半導体の層を堆積させる。例えば、LED及びダイオードレーザーの形成においては、多重量子井戸(MQW)構造を、種々の比率のGa及びInを有するIII-Vの層を堆積させることによって形成することができる。各層は、数十オングストロームのオーダーの厚み、すなわち、数原子層であり得る。
【0009】
この種のプロセスチャンバーは、ウェハーの表面上に安定かつ順序正しい反応ガスの流れを提供することができ、その結果、ウェハーキャリアー上のウェハーのそれぞれの全ての領域が、実質的に均一な条件に曝される。このことは、次いで、ウェハー上への材料の均一な堆積を促進する。そのような均一性は、ウェハー上に堆積した材料の層の組成及び厚さの僅かな差でさえ、結果として得られるデバイスの性質に影響を及ぼすことがあるために、重要である。
【0010】
本技術分野では、均一性を向上させるように改良されたガス分配デバイスの開発に向けて、かなりの検討が行われている。通常、インジェクターブロック又はコールドプレートとも称されるガス分配デバイスは、ウェハーキャリアーと大きさがほぼ等しい活性ガス放出領域の上方の反応ガスの分配(disbursement)のための複数のガス分配出口を備える。ガス分配出口の一部を、第3族アルキルの混合物などの第1反応ガスを分配するよう構成することができ、その一方で、別のガス分配出口が、第5族水素化物の混合物などの第2反応ガスを分配するよう構成される。さらに、反応ガスは、通常、熱分解温度よりもかなり低く維持されるために、ガス分配デバイスには、通常、冷媒チャネルが備えられる。冷媒チャネルは、水又は他の液体の循環流を運び、従って、早すぎるガスの反応を阻止するようにガス分配出口の温度を維持する。
【0011】
さらに、ガス分配デバイスは、一般に、ガス分配出口を出た直後の反応ガスの再循環を阻止するよう構築される。場合によっては、ガス分配出口の近傍での放出されたガスの再循環が、ガス分配出口の表面から下流に突き出る刃のような拡散器の使用によって低減される。そのようなガス分配デバイスの一例が、その内容がこれにより引用により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,303,713号に開示されている。
【0012】
これらの進展にもかかわらず、CVD反応器内部の反応ガス分配は、幾分予測不可能なものとなることがある。さらなる改善が、特に、CVDプロセスの間の成長ウェハーの表面全体にわたる反応ガス分配の予測可能性の改善、及び製造の間の付加価値を生まない費用となるプロセスチャンバーから排出される利用反応ガスの量を減少させることによる、堆積プロセスの効率の改善において望ましい。
【発明の概要】
【0013】
(開示の概要)
本開示の実施態様は、第1及び第2反応ガス出口を有する改良されたガス分配デバイス又はインジェクターブロックであって、該反応ガス出口が、少なくとも第1ゾーン及び第2ゾーンに分割され、それにより、CVDプロセスの間の成長ウェハーの表面全体にわたる反応ガス分配の予測可能性が改善され、かつCVDチャンバーから排出される未利用反応ガスの量を減少させることによって効率が改善された、前記ガス分配デバイス又はインジェクターブロックを提供する。
【0014】
本開示の一実施態様は、1種以上の反応ガスをCVD反応器内に供給するためのインジェクターブロックを提供する。インジェクターブロックは、第1反応ガスを該反応器内に送達する、1つ以上の第1反応ガス入口と複数の第1反応ガス分配出口との間の複数の第1反応ガス分配チャネルを備えることができる。インジェクターブロックは、第2反応ガスを該反応器内に送達する、1つ以上の第2反応ガス入口と複数の第2ガス分配出口との間の複数の第2ガス分配チャネルをさらに備えることができ、ここで、該複数の第2反応ガス分配出口は、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、該第2反応ガス第2ゾーンは、第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む。
【0015】
一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーン用の前記第2反応ガス入口は、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度とは異なる濃度で、該第2反応ガスを供給するよう構成される。一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーン用の前記第2反応ガス入口は、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度と実質的に等しい任意の濃度で、該第2反応ガスを供給するよう構成される。一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーンは、前記第2反応ガス第1ゾーンを取り囲む。一実施態様において、前記第2反応ガス第1ゾーンの前記第2反応ガス分配出口に、前記第1反応ガス分配出口を交互に散在させる。一実施態様において、前記第1反応ガス分配出口は、該第1反応ガス分配出口の対称軸が、水平方向に延びる中心平面に関して非対称となるように均等に離間している。一実施態様において、前記複数の第1反応ガス分配出口は、第1反応ガス第1ゾーン及び第1反応ガス第2ゾーンに分割される。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーンは、前記第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する。一実施態様において、前記前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速は、実質的に等しい。一実施態様において、前記前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速は、異なる。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンは、別個の第1反応ガス入口を備える。一実施態様において、前記第1反応ガスゾーン用の前記第1反応ガス入口は、前記第1反応ガス第1ゾーンに供給される前記第1反応ガスの濃度とは異なる濃度で、該第1反応ガスを供給するよう構成される。一実施態様において、前記第1反応ガス第2ゾーン用の前記第1反応ガス入口は、前記第1反応ガス第1ゾーンに供給される前記第1反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で、該第1反応ガスを供給するよう構成される。
【0016】
本開示の別の実施態様は、化学蒸着システムを改良する方法を提供する。本方法は、複数の第1反応ガス分配出口から第1反応ガス源を分配すること;複数の第2反応ガス分配出口から第2反応ガス源を分配することを含み、該複数の第2反応ガス分配出口は、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、該第2反応ガス第2ゾーンは、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む。
【0017】
一実施態様において、前記方法は、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給されている前記第2反応ガスの濃度とは異なる濃度で、前記第2反応ガス第2ゾーンに該第2反応ガスを供給することをさらに含む。一実施態様において、前記方法は、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給されている前記第2反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で、前記第2反応ガス第2ゾーンに該第2反応ガスを供給することをさらに含む。一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーンは、前記第2反応ガス第1ゾーンを取り囲む。一実施態様において、前記複数の第1反応ガス分配出口は、第1反応ガス第1ゾーン及び第1反応ガス第2ゾーンに分割される。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーンは、前記第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する。一実施態様において、前記方法は、前記第1反応ガスを、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンに実質的に等しい流速で供給することをさらに含む。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンは、別個の反応ガス入口を備える。一実施態様において、前記方法は、前記第1反応ガス第1ゾーンにおける前記第1反応ガス及び前記第1反応ガス第2ゾーンにおける該第1反応ガスを、異なる流速で供給することをさらに含む。
【0018】
本開示の別の実施態様は、CVD反応器を提供する。該反応器は、サセプター、ウェハーキャリアー、スピンドル、及びインジェクターブロックを備えることができる。ウェハーキャリアーは、軸から半径方向に外方に延在することができる。ウェハーキャリアーは、上面及び底面を有する。上面は、1つ以上のウェハー(又は基板)を保持又は支持するように適合させることができ、底面は、スピンドルの上部又は上端に係合するように適合させることができる。ウェハーキャリアーは、スピンドルに取り外し可能に取り付けられることができる。インジェクターブロックは、1種以上の反応ガスを、ウェハーキャリアーの上面に供給するよう構成することができる。インジェクターブロックは、第1反応ガスを反応器内に送達する、1つ以上の第1反応ガス入口と複数の第1反応ガス分配出口との間の複数の第1反応ガス分配チャネルを備えることができる。インジェクターブロックは、第2反応ガスを反応器内に送達する、1つ以上の第2反応ガス入口と複数の第2反応ガス分配出口との間の複数の第2反応ガス分配チャネルをさらに備えることができ、ここで、該複数の第2反応ガス分配出口は、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、該第2反応ガス第2ゾーンは、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む。
【0019】
一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーン用の前記第2反応ガス入口は、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度とは異なる濃度で、該第2反応ガスを供給するよう構成される。一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーン用の前記第2反応ガス入口は、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で、該第2反応ガスを供給するよう構成される。一実施態様において、前記第2反応ガス第2ゾーンは、前記第2反応ガス第1ゾーンを取り囲む。一実施態様において、前記第2反応ガス第1ゾーンの前記第2反応ガス分配出口に、前記第1反応ガス分配出口を交互に散在させる。一実施態様において、前記第1反応ガス分配出口は、該第1反応ガス分配出口の対称軸が、水平方向に延びる中心平面に関して非対称となるように、均等に離間している。一実施態様において、前記複数の第1反応ガス分配出口は、第1反応ガス第1ゾーン及び第1反応ガス第2ゾーンに分割される。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーンは、前記第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速は、実質的に等しい。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速は、異なる。一実施態様において、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンは、別個の第1反応ガス入口を備える。一実施態様において、前記第1反応ガス第2ゾーン用の前記第1反応ガス入口は、前記第1反応ガス第1ゾーンに供給される前記第1反応ガスとは異なる濃度で、該第1反応ガスを供給するよう構成される。一実施態様において、前記第1反応ガス第2ゾーン用の前記第1反応ガス入口は、前記第1反応ガス第1ゾーンに供給される前記第1反応ガスの濃度と実質的に等しい濃度で、該第1反応ガスを供給するよう構成される。ある実施態様において、前記第1反応ガス分配チャネルは、直線状のパターン、放射状のパターン、又はそれらの組み合わせで延在することができる。例えば、一実施態様において、前記第1反応ガス分配チャネルを、前記インジェクターブロックの外辺部の近くの環状チャネル及び前記インジェクターブロックの一部を直線的に横断する複数のチャネルとして構成することができる。ある実施態様において、前記第2反応ガス分配チャネルは、直線状のパターン、放射状のパターン、又はそれらの組み合わせで延在することができる。例えば、一実施態様において、前記第2反応ガス分配チャネルを、前記インジェクターブロックの外辺部の近くの環状チャネル及び該インジェクターブロック内に規定される環状チャンバーとして構成することができる。
【0020】
上記の概要は、本開示の各々の例示される実施態様又は全ての実施を説明することを意図していない。以下に続く図面及び詳細な説明は、これらの実施態様をより詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
(図面の簡単な説明)
添付の図面に関連して、以下の本開示のさまざまな実施態様の詳細な説明を考慮すれば、本開示をより完全に理解することができる。
図1図1は、本開示の実施態様によるCVD反応器を示す模式図である。
図2図2Aは、本開示の実施態様によるインジェクターブロックの斜視図である。 図2Bは、図2Aのインジェクターブロックを表す断面図である。
図3図3Aは、本開示の実施態様によるインジェクターブロック上の第1及び第2反応ガス出口の対称的な配置を表す。 図3Bは、本開示の実施態様によるインジェクターブロック上の第1及び第2反応ガス出口の非対称的な配置を表す。
図4図4は、本開示の実施態様による非対称的に配置されたインジェクターブロックの分配出口に沿った点の軌跡を示す。
図5図5は、本開示の実施態様による対称的及び非対称的に配列されたインジェクターブロックに対応するCVD成長速度のグラフによる表示である。
図6図6は、本開示の実施態様によるCVDプロセスの間のプロセスチャンバー内に流れ込む運転中の反応ガスの流れを表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施態様は、さまざまな変更及び代替形態を受け入れるが、図面において一例として示されるそれらの具体的なものが、詳細に説明される。しかしながら、その意図するところは、本開示を、説明される特定の実施態様に限定することではないことが理解されるべきである。それどころか、その意図するところは、特許請求の範囲によって規定される主題の主旨及び範囲に含まれる変更、等価物、及び代替手段の全てを含むことである。
【0023】
(詳細な説明)
図1を参照すると、本開示の実施態様によるCVD反応器100の模式図が示されている。反応器100は、プロセス環境空間として働くよう構成されたプロセスチャンバー102を規定する。ガス分配デバイス又はインジェクターブロック104が、プロセスチャンバー102の一端に配置される。このインジェクターブロック104が配置されるプロセスチャンバー102の端部が、プロセスチャンバー102の「上」端と呼ばれることもある。チャンバーのこの端部は、必須ではないが、通常、標準重力座標系における該チャンバーの上部に配置される。従って、指示が、重力上の上方向及び下方向と揃えられているかどうにかかわらず、本明細書で使用される下方向は、インジェクターブロック104から離れる方向を指し;一方で、上方向は、チャンバー内部でインジェクターブロック104に向かう方向を指す。同様に、要素の「上面」及び「底面」が、プロセスチャンバー102及びインジェクターブロック104の座標系を参照して本明細書に記載されることがある。
【0024】
インジェクターブロック104は、反応ガス及びキャリアーガスなどの、CVDプロセスで用いられるガスを供給するための1つ以上のガス供給部106A/Bに動作可能に連結することができる。インジェクターブロック104は、ガス供給部106A/Bからさまざまなガスを受け入れるように配置され、概して下方向に、ガス108A/Bの流れを反応器チャンバー102内に向かわせる。一実施態様において、インジェクターブロック104は、冷却液を循環させて運転の間インジェクターブロック104を所望の温度に維持するよう構成された冷媒系110を備える。冷媒系110を、プロセスチャンバー102の壁を通して冷却流体を循環させるよう構成することもできる。また、プロセスチャンバー102には、インジェクターブロック104から下方向へガスの連続的な流れを可能にするためにチャンバー102の内部から使用済みガスを除去するよう構成された排気システム112が取り付けられる。
【0025】
スピンドル114を、スピンドル114の中心軸116が上/下方向に延びるように、プロセスチャンバー102内に配置することができる。スピンドル114が、プロセスチャンバー102の壁との密閉を維持しつつ回転できるように、スピンドル114を、ベアリング及びシールを組み込んだ慣用の回転式貫通デバイスによってプロセスチャンバー102内に取り付けることができる。
【0026】
ウェハーキャリアー120を、スピンドル114の上端に着脱可能に取り付けることができる。ウェハーキャリアー120は、その中にウェハーが保持され、かつその上に半導体材料を、エピタキシャル成長させることができる、1つ以上のポケット122を有することができる。ウェハーキャリアー120は、中心軸116の周りに配置される概して円形の断面図を有することができる。加熱要素124を、プロセスチャンバー102内に取り付け、スピンドル114を少なくとも部分的に囲むことができる。従って、一実施態様において、プロセスチャンバー102、インジェクターブロック104、スピンドル114、ウェハーキャリアー120、及び加熱要素124は、中心軸116の周りに対称的に配置される。スピンドル114を、所望の速度でスピンドル114及びウェハーキャリアー120を回転させるよう構成された電動機などの回転式駆動機構126に接続することができる。一実施態様において、回転式駆動機構は、50~1500RPMの間の回転速度でスピンドル114を回転させるよう構成される。
【0027】
プロセスガスを、インジェクターブロック104を通じてプロセスチャンバー102内に導入することができる。導入後に、プロセスガスは、ウェハーキャリアー120に向かって下向きに進み、ウェハーが保持されるウェハーキャリアー120の上面128の上方を進む。プロセスガス108A/Bの流れは、ウェハーキャリアー120の周辺部の周囲を流れ続け、最終的に、排気システム112を通してプロセスチャンバー102から排気される。多くの場合、上面128の近くのプロセスガスは、主に、H2及び/又はN2などのキャリアーガスで構成され、いくらかの量の第1及び第2の反応性ガス成分を含む。一実施態様において、第1の反応性ガス成分を、アルキル原料第3族金属とすることができ、第2の反応性ガス成分を、水素化物原料第5族元素とすることができる。
【0028】
加熱要素124は、主として、放射伝熱によって、熱をウェハーキャリアー120へと移動させることができる。別の実施態様において、ウェハーキャリアー120を、誘導伝熱によって加熱することができる。加熱要素124から加えられた熱は、ウェハーキャリアー120の本体を通って上方向にその上面128まで運ばれる。ウェハーキャリアー120の上面128の熱の一部は、ウェハー及び上面120の上方を進んでいるプロセスガス108A/Bに伝えられる。また、意図せずに、熱の一部が、プロセスチャンバー102及びインジェクターブロック104の壁などのプロセスチャンバー102内のより冷たい要素に伝えられてしまう。
【0029】
特に、比較的冷たい表面では凝縮がより急速に生ずることがあるために、好適には、熱分解されたガスは、これらのより冷たい構造のいずれかの上に蓄積する前にプロセスチャンバー102から除去される。熱分解されたガスの除去を助けるために、一実施態様において、プロセスチャンバー102の壁構造は、下向きのガス流を促進し、それにより、そうしなかった場合には高温のパイレートタイ(pirate ties)熱分解されたガスをインジェクターブロック104などの比較的冷たい表面に向かって上方向に戻して再循環させ凝縮させてしまうであろう渦を低減又は除去するよう構成された上側及び下側シャッターを形成することができる。
【0030】
インジェクターブロック104の改善は、ウェハーキャリアー120の上面128全体にわたるより均一な成長速度をさらに促進することができる。さらに、インジェクターブロック104の改善は、より少ない量の未利用反応性ガスが、プロセスチャンバー102から排出され、それにより、従来技術のCVD反応器と比較して著しい運転コストの節約となるように、プロセスチャンバー102内の反応ガスのより効率的な使用を促進することができる。
【0031】
図2Aを参照すると、本開示の実施態様によるインジェクターブロック104の斜視図が、図示されている。図2Bは、図2Aのインジェクターブロック104の断面図を示す。ある実施態様において、インジェクターブロック104は、ガス分配デバイス及び/又はコールドプレートと別名で呼ばれることもある。インジェクターブロック104は、プロセスチャンバー102の上端に配置される。インジェクターブロック104は、上流側表面130及び下流側表面132を有し得る(図2Bに示されるように)。インジェクターブロック104の下流側表面132は、ウェハーキャリアー120及びウェハーに向かって下流方向を向くことができる。インジェクターブロック104は、1つ以上のガスの供給源106A/Bに動作可能に連結されることができ、それにより、反応ガス及びキャリアーガスの分配を可能とする。インジェクターブロック104を、冷媒供給部110に動作可能にさらに連結することができ(図1に示されるように)、それにより、冷媒が、インジェクターブロック104の一部を通過して、反応ガス及びキャリアーガスを所望の温度に維持するのを助けることを可能とする。
【0032】
一実施態様において、1つ以上の第1のガスの供給源106A1-2(第1反応ガス入口とも呼ばれる)を、第3族アルキル金属などの第1反応ガスを、通常、H2及び/又はN2などのキャリアーガスと混合してインジェクターブロック104へと供給するよう構成することができる。第1反応ガス入口106A1-2を、第1の反応物流路134と流体連通させることができる。一実施態様において、流路134を、インジェクターブロック104の一部の中に規定された導管とすることができる。例えば、一実施態様において、流路134を、インジェクターブロック104の外辺部の近くに位置する1つ以上の環状チャネルとして構成することができる。一実施態様において、流路134は、1つ以上の仕切り138A/B(じゃま板とも呼ばれる)を有し、それにより、アルキル又は第1の反応物流路134が、第1反応ガス第1ゾーン140Aと第1反応ガス第2ゾーン140Bとに分割される環状の溝と定義される。さらに図2Bを参照して、ある実施態様において、第1反応ガス第1及び第2ゾーン140A/Bを、1つ以上のプレート141A/Bによって少なくとも部分的に密閉することができる。
【0033】
図2Bに示されるように、それぞれの第1反応ガス第1及び第2ゾーン140A/Bは、インジェクターブロック104の一部を横断する複数の分配チャネル142A/Bを備えることができる。ある実施態様において、分配チャネル142A/Bは、インジェクターブロック104の一部を直線的に横断することができる。一実施態様において、分配チャネル142A/Bを規定する壁の下部が、分配チャネル142A/Bに沿って長手方向に延びる分配出口144A/Bを規定することができ、それにより、分配チャネル142A/B内の第1反応ガスが、プロセスチャンバー102内に導入されることを可能とする。ある実施態様において、分配出口144A/Bは、さらにノズルを通り抜け、所望の分配流を提供することができる。
【0034】
ある実施態様において、第1の量の第1反応ガスが、第1反応ガス入口106A1に流れ込み、第1反応ガス第1ゾーン140Aを通過し、第1分配チャネル142Aによって規定される対応する分配出口144Aを通って流れ出る。第2の量の第1反応ガスが、第2の反応器ガス入口106A2に流れ込み、第2ゾーン140Bを通過し、第2分配チャネル142Bによって規定される対応する分配出口144Bを通って流れ出る。その後、第1反応ガスは、ウェハーキャリアー120及びウェハーに向かってプロセスチャンバー102内を下向きに流れる。
【0035】
ある実施態様において、第1反応ガス第1ゾーン140Aは、第1反応ガス第2ゾーン140Bよりも多くの数の分配チャネル142A及び/又は分配出口144Aを備えることができる。例えば、図示されるように、一実施態様において、14本の第1分配チャネル142A及び3本の第2分配チャネル142Bが存在する。別の実施態様において、別の数量の分配チャネルが想定される。ある実施態様において、第1反応ガスの流速を、インジェクターブロック104全体にわたり実質的に均一とすることができる(例えば、第1ゾーン140A及び第2ゾーン140Bの間の流速を、実質的に等しくすることができる)。別の実施態様において、前記第1ゾーン140A内の第1反応ガスの流速を、第2ゾーン140B内の流速よりも比較的高いか又は低いかのいずれかとすることができる。ある実施態様において、第2の入口106A2に対する第1反応ガス供給は、第1の入口106A1に供給される反応ガスの濃度と比較してより高い濃度の反応ガスを含むことができる。別の実施態様において、第1及び第2の入口106A1-2への反応ガス供給の濃度を、実質的に等しくすることができる。
【0036】
一実施態様において、インジェクターブロック104は、第5族水素化物などの第2反応ガスを、通常、H2及び/又はN2などのキャリアーガスと混合して、インジェクターブロック104へと供給するよう構成された1つ以上の第2反応ガス入口106B1-2を備えることができる。第2反応ガス入口106B1-2を、第2の反応物流路及び/又は分配チャネル150A-Bと流体連通させることができる。分配チャネル150は、1つ以上の環状チャネル、直線状チャネル、又はそれらの組み合わせとして構成することができる。一実施態様において、第2の反応物分配チャネル150A-Bを、第1ゾーン151Aと第2ゾーン151Bとに分割することができる。ある実施態様において、第2ゾーン151Bは、第1ゾーン151Aを少なくとも部分的に囲むことができる。一実施態様において、第1ゾーン151Aを、溝又は仕切り153によって第2ゾーン151Bから分割することができる。
【0037】
第1及び第2ゾーン151A/B内のそれぞれの第2反応ガスを、複数の第2反応ガス出口152A/Bと流体連通させることができる。一実施態様において、第2反応ガス出口152A/Bを、一般に、第1及び第2ゾーン151A/Bの下に配置することができ、それにより、第1及び第2ゾーン151A/B内の第2反応ガスが、プロセスチャンバー102内に導入されることを可能とする。ある実施態様において、分配出口152は、ある実施態様において、隣接する第1反応ガス出口ノズルの間に規定することができる拡散器を通過する。従って、一実施態様において、第2反応ガス分配出口152A-Bの少なくとも一部に、第1反応ガス分配出口144の少なくとも一部を散在させることができる。
【0038】
一実施態様において、第1の量の第2反応ガスが、第2反応ガス入口106B1に流れ込み、第2反応ガス第1ゾーン151Aのそれぞれの第1分配チャネル150Aに流れ込み、対応する分配出口152Aを通って流れ出る。第2の量の第2反応ガスが、第2反応ガス入口106B2に流れ込み、第2反応ガス第2ゾーン151Bの第2分配チャネル150Bに流れ込み、対応する第2の分配出口152Bを通って流れ出る。その後、第2反応ガスは、ウェハーキャリアー120及びウェハーに向かってプロセスチャンバー102内を下向きに流れる。
【0039】
ある実施態様において、第2反応ガス第1ゾーンは、該第2反応ガス第2ゾーンよりも多い数の分配出口152を備えることができる。ある実施態様において、第2反応ガスの流速を、インジェクターブロック104の全体にわたって実質的に均一とすることができる(例えば、第1ゾーン151A及び第2ゾーン151Bの間の流速を、実質的に等しくすることができる)。別の実施態様において、第1ゾーン151A内の第2反応ガスの流速を、第2ゾーン151Bの流速よりも比較的高いか又は低いかのいずれかとすることができる。ある実施態様において、第1の入口106B1への第2反応ガスの供給は、第2の入口106B2に供給される反応ガスの濃度と比較してより高い濃度の反応ガスを含むことができる。例えば、一実施態様において、第2ゾーン151B内のガスを、主に、H2及び/又はN2で構成することができ、一方で、第1ゾーン151Aは、主要な水素化物源として働く。別の実施態様において、第1及び第2の入口106B1-2への反応ガス供給の濃度を、実質的に等しくすることができる。
【0040】
図3A~3Bを参照して、ガス分配出口144/152を、インジェクターブロック104の対称軸に関して対称又は非対称のいずれかとすることができる。図3Aに示されるように、対称軸の両側の分配出口144が、対称軸から同じ距離だけ離れて配置されている(例えば、D1が、D2に等しい);従って、図3Aは、分配出口144/152の対称的な配置を表す。これに対して、図3Bに図示されるように、対称軸の両側の分配出口が、対称軸から等しくない距離だけ離れて配置されている(例えば、D3が、D4と等しくない);従って、図3Bは、分配出口144/152の非対称的な配置を表す。いずれの場合でも、複数の分配出口144/152を、インジェクターブロック104上で互いに均等に離間させることができ;対称的な配置と非対称的な配置との間の差は、むしろ、対称軸からの分配出口ネットワーク間隔によるものである。
【0041】
図4に示されるように、非対称的な配置は、インジェクターブロック104の下の流れの均一性の改善を提供する。具体的には、ウェハーキャリアー120が、一般に、インジェクターブロック104の下の対称軸の周りを回転するために、対称軸の片側に位置する出口144/152に沿った所与の点P1は、対称軸の反対側に位置する出口144/152に沿った所与の点P2の同心円とは異なる同心円を描くであろう。従って、ある実施態様において、分配出口144/152の間の実効間隔(effective spacing)を、効果的に減少させることができ(例えば、50%減少させることができ)、それにより、反応ガスの分配及びCVD成長の均一性が改善される。図5を参照すると、本開示の実施態様による対称的及び非対称的な出口分配に対応するCVD成長速度のグラフでの表示が、図示されている。CVD成長速度の均一性の改善は、非対称的なインジェクターブロックの分配出口144/152がさらに間を空けて配置されることを可能とし、このことは、さまざまな分配チャネルをより大型にすることができるために、生産コストの減少、及び、場合によっては、改善したガス流を意味する。
【0042】
図6を参照すると、本開示の実施態様によるCVDプロセスの間のプロセスチャンバー102内の反応ガス濃度及び流れの線を示すCVD反応器100の断面図が図示されている。動作中は、H2及び/又はN2などの1種以上のキャリアーガスと混合された第3族アルキル金属などの第1反応ガスが、第1反応ガス入口106A1-2を通して、それぞれの第1及び第2ゾーン140A/B内に供給され、複数の第1反応ガス出口144A/Bを経てプロセスチャンバー102内に注入される。同様に、同じく1種以上のキャリアーガスと混合された第5族水素化物などの第2反応ガスが、第2反応ガス入口106B1-2に供給され、それぞれの第1及び第2ゾーン151A/B内に供給され、複数の第2反応ガス出口152A/Bを経てプロセスチャンバー102内に注入される。従って、第1及び第2反応ガスは、それぞれの第1反応ガス出口144A/B及び第2反応ガス出口152A/Bから一連の引き伸ばされたカーテン様のガスの流れとして流れ出る。
【0043】
第1及び第2反応ガスが回転しているウェハーキャリアー120に近づくにつれて、反応ガスの温度が、かなり上昇し、回転しているウェハーキャリアー120の粘性抵抗が、第1及び第2のガスをウェハーキャリアーの軸120の周りに回転させ、その結果、ガスは、軸の周りをウェハーキャリアー120の上面近くの境界領域におけるウェハーキャリアー120の外辺部に向かって外方に流れる。プロセスで用いられる反応ガスによっては、熱分解が、この境界領域内又はその近傍で、インジェクターブロック104の温度とウェハーキャリアー120の温度の中間の温度で生じることがある。この熱分解は、反応ガス間の相互作用及び結晶構造の成長を促進する。堆積しなかったガスは、外辺部に向かってキャリアー120の外縁を超えて流れ続け、そこで、ウェハーキャリアー120の下に配置された1つ以上の排気ポートを通じてプロセスチャンバー102から除去され得る。
【0044】
ある実施態様において、第2ゾーン140Bから放出される第1反応ガスは、第1ゾーン140Aから放出される第1反応ガスと比較してより高い濃度の第3族アルキル金属を含むことができ、第2反応ガス第2ゾーン151B(これは、第2反応ガス第1ゾーン151Aを少なくとも部分的に囲むことができる)は、第2反応ガス第1ゾーン151Aと比較してより高い濃度のキャリアーガスを含むことができる。第1反応ガス第2ゾーン140Bにおける第3族アルキル金属の増加した濃度及び該第2反応ガス第2ゾーン151Bにおける第5族水素化物の減少した濃度は、CVDプロセスの間の成長の均一性を改善し反応化学物質のより効率的な使用を促進するのに役立ち、それにより、生産コストを低下させ品質を向上させる可能性がある。
【0045】
本教示の方法で用いられる個々の工程を、該教示が機能し得るままである限りは、任意の順番でかつ/又は同時に実施し得ることが理解されるべきである。さらに、本教示の装置及び方法が、該教示が機能し得るままである限りは、記載された実施態様のうちの任意の数の又は全てを含むことができることが理解されるべきである。
【0046】
システム、デバイス、及び方法のさまざまな実施態様が、本明細書に記載されている。これらの実施態様は、一例としてのみ示されるものであり、特許請求される発明の範囲を限定することは意図されない。記載されている実施態様のさまざまな特徴を、さまざまなやり方で組み合わせて、多数の追加の実施態様を生み出し得ることがさらに認識されるべきである。さらに、さまざまな材料、寸法、形状、構成、及び場所などを、開示された実施態様と共に用いるために記載してきたが、これらの開示されたもの以外のものも、特許請求される発明の範囲を超えることなく利用し得る。さらに、明細書における「一実施態様」、「実施態様」、又は「ある実施態様」への言及は、実施態様と関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本教示の少なくとも1つの一実施態様に含まれることを意味する。本明細書内のさまざまな場所における「一実施態様において」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施態様を指しているわけではない。
【0047】
当業者は、本明細書の主題が、上述の任意の個々の実施態様において例示されたものよりも少ない数の特徴を含み得ることを認識しているであろう。本明細書に記載される実施態様は、本明細書の主題のさまざまな特徴を組み合わせ得る方法の網羅的な提示を意味しない。従って、実施態様は、相互に排他的な特徴の組合せではなく;むしろ、さまざまな実施態様は、当業者により理解されるように、異なる個々の実施態様から選択される異なる個々の特徴の組合せを含み得る。さらに、一実施態様に関して説明した要素は、たとえ他の実施態様において記載されていないとしても、特に断りのない限り、そのような実施態様において実行することができる。
【0048】
特許請求の範囲において従属請求項が、1つ以上の別の請求項との具体的な組合せに言及することがあるが、別の実施態様も、該従属請求項の各々の別の従属請求項の主題との組合せ、又は1つ以上の特徴の別の従属又は独立請求項との組合せを含むこともできる。そのような組合せは、具体的な組合せが意図されないことが明言されている場合を除き、本明細書において提案されている。
【0049】
上述の参照による文書の組み込みはいかなるものであれ、本明細書における明示的な開示に反する主題が組み込まれないよう制限される。上述の参照による文書の組み込みはいかなるものであれ、該文書に含まれる請求項が引用により本明細書に組み込まれないようさらに制限される。上述の参照による文書の組み込みはいかなるものであれ、該文書において提供されるいかなる定義も、本明細書に明示的に含まれる場合を除き、引用により本明細書に組み込まれないようさらにまた制限される。
【0050】
特許請求の範囲を解釈する目的のために、「ための手段(means for)」又は「ための工程(step for)」という特定の用語が請求項に記載されている場合を除き、米国特許法第112条(f)の規定が適用されないことが明示的に意図される。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
1種以上の反応ガスを化学蒸着反応器内に供給するためのインジェクターブロックであって、
第1反応ガスを該反応器内に送達する、1つ以上の第1反応ガス入口と複数の第1反応ガス分配出口との間の複数の第1反応ガス分配チャネル;及び
第2反応ガスを該反応器内に送達する、1つ以上の第2反応ガス入口と複数の第2反応ガス分配出口との間の複数の第2反応ガス分配チャネルを備え、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、
該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む、前記インジェクターブロック。
(態様2)
化学蒸着反応器を動作させる方法であって、
複数の第1反応ガス分配出口から第1反応ガス源を分配すること;及び
複数の第2反応ガス分配出口から第2反応ガス源を分配すること、
を含み、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、
該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む、前記方法。
(態様3)
前記第2反応ガス第1ゾーンに供給されている前記第2反応ガスの濃度と異なるか又はそれと実質的に等しいかのいずれかの濃度で、前記第2反応ガス第2ゾーンに該第2反応ガスを供給することをさらに含む、態様2記載の方法。
(態様4)
前記複数の第1反応ガス分配出口が、第1反応ガス第1ゾーン及び第1反応ガス第2ゾーンに分割され、かつ、任意に、該第1反応ガス第1ゾーンが、該第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する、態様2記載の方法。
(態様5)
前記第1反応ガスを、前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンに、実質的に等しい流速で供給することをさらに含む、態様4記載の方法。
(態様6)
前記第1ゾーンにおける前記第1反応ガス及び前記第2ゾーンにおける前記第1反応ガスを、異なる流速で供給することをさらに含む、態様4記載の方法。
(態様7)
化学蒸着(CVD)システムを動作させるための方法であって、
逆方向を向いた上面及び底面、並びに該上面及び底面に対して実質的に直角をなす垂直回転軸を規定しているウェハーキャリアー上に、少なくとも1つのウェハーを配置すること;
該ウェハーキャリアーを、反応器チャンバー内に位置するスピンドル上に、該垂直回転軸の周りのそれと一緒の回転のために、該スピンドルのシャフトが、該ウェハーキャリアーの底面から該ウェハーキャリアーの中に延びる窪みの中にかみ合うように、着脱可能に取り付けること;並びに
該ウェハーキャリアーを、該スピンドルに取り付けた状態で、該スピンドル及び該ウェハーキャリアーを該回転軸の周りに回転させ、かつ複数の第1反応ガス分配出口から第1反応ガス源を分配すること及び複数の第2反応ガス分配出口から第2反応ガス源を分配することによって該少なくとも1つのウェハーのそれぞれの上面を処理することを含み、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、
該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む、前記方法。
(態様8)
化学蒸着(CVD)システムを動作させるための方法であって:
逆方向を向いた上面及び底面を規定しているウェハーキャリアー上に、少なくとも1つのウェハーを配置すること;
該ウェハーキャリアーを、反応器チャンバー内に位置するスピンドル上に、垂直回転軸の周りのそれと一緒の回転のために、該スピンドルのシャフトが、該ウェハーキャリアーの底面から該ウェハーキャリアーの中に延びる窪みの中にかみ合うように、着脱可能に取り付けること;並びに
該ウェハーキャリアーを、該スピンドルに取り付けた状態で、該スピンドル及び該ウェハーキャリアーを該回転軸の周りに回転させ、かつ複数の第1反応ガス分配出口から第1反応ガス源を分配すること及び複数の第2反応ガス分配出口から第2反応ガス源を分配することによって該少なくとも1つのウェハーのそれぞれの上面を処理することを含み、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、
該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む、
前記方法。
(態様9)
1つ以上の基板を処理するための化学蒸着反応器であって:
該1つ以上の基板を支持する、上下方向に延びる軸の周りの回転のために該反応器内に取り外し可能に取り付けられたウェハーキャリアーであって、上面を有する前記ウェハーキャリアー;及び
該上面へ1種以上の反応ガスを供給するよう構成されたインジェクターブロックを備え、
該インジェクターブロックが:
第1反応ガスを該反応器内に送達する、1つ以上の第1反応ガス入口と複数の第1反応ガス分配出口との間の複数の第1反応ガス分配チャネル;及び
第2反応ガスを該反応器内に送達する、1つ以上の第2反応ガス入口と複数の第2反応ガス分配出口との間の複数の第2反応ガス分配チャネルを備え、
該複数の第2反応ガス分配出口が、少なくとも第2反応ガス第1ゾーン及び第2反応ガス第2ゾーンに分割され、
該第2反応ガス第2ゾーンが、該第2反応ガス第1ゾーンを少なくとも部分的に囲む、前記化学蒸着反応器。
(態様10)
前記第2反応ガス第2ゾーン用の前記第2反応ガス入口が、前記第2反応ガス第1ゾーンに供給される前記第2反応ガスの濃度と異なるか又はそれと実質的に等しいかのいずれかの濃度で、該第2反応ガスを供給するよう構成される、態様1記載のインジェクターブロック又は態様9記載の反応器。
(態様11)
前記第2反応ガス第2ゾーンが、前記第2反応ガス第1ゾーンを取り囲む、態様1記載のインジェクターブロック又は態様9記載の反応器。
(態様12)
前記第2反応ガス第1ゾーンの前記第2反応ガス分配出口に、前記第1反応ガス分配出口を交互に散在させる、態様1記載のインジェクターブロック又は態様9記載の反応器。
(態様13)
前記第1反応ガス分配出口が、該第1反応ガス分配出口の対称軸が、水平方向に延びる中心平面に関して非対称となるように均等に離間している、態様1記載のインジェクターブロック又は態様9記載の反応器。
(態様14)
前記複数の第1反応ガス分配出口が、第1反応ガス第1ゾーン及び第1反応ガス第2ゾーンに分割される、態様1記載のインジェクターブロック又は態様9記載の反応器。
(態様15)
前記第1反応ガス第1ゾーンが、前記第1反応ガス第2ゾーンよりも多い数の第1反応ガス分配出口を有する、態様14記載のインジェクターブロック又は態様14記載の反応器。
(態様16)
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンの流速が、実質的に等しいか又は異なるかのいずれかである、態様14記載のインジェクターブロック又は態様14記載の反応器。
(態様17)
前記第1反応ガス第1ゾーン及び前記第1反応ガス第2ゾーンが、別個の第1反応ガス入口を備え、かつ、任意に、該第1反応ガス第2ゾーン用の第1反応ガス入口が、該第1反応ガス第1ゾーンへ供給される第1反応ガスの濃度と異なるか又はそれと実質的に等しいかのいずれかの濃度で、前記第1反応ガスを供給するよう構成される、態様14記載のインジェクターブロック又は態様14記載の反応器。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6