(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】既存岸壁の改良構造及び改良方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/06 20060101AFI20240529BHJP
E02D 27/52 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
E02B3/06
E02D27/52 A
(21)【出願番号】P 2021070783
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 禎郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 慧
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】海老原 俊広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐人
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-056663(JP,A)
【文献】特開昭51-022243(JP,A)
【文献】特開2020-204151(JP,A)
【文献】特開2010-156192(JP,A)
【文献】特開2010-156191(JP,A)
【文献】特開2005-139680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/06
E02D 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存岸壁における
既存上部工を有する既存壁体の水域側
近傍に新たに地中に根入れされ、鋼矢板、鋼管矢板、鋼矢板と鋼管矢板の組合せ、又は直線型鋼矢板にH鋼やCT鋼を取り付けたものからなる新設壁体と、
該新設壁体の上端部に設けられ、上面が水面よりも上方に設定され
て前記既存上部工に接合される新設上部工と、
前記新設壁体と前記既存岸壁との隙間に該隙間を埋めるように配設され、前記既存壁体に作用する荷重
を水平方
向のみの圧縮力として前記新設壁体に伝達する間詰材と、
前記新設壁体の水域側の水底面に打設された杭と、
該杭の杭頭部を連結一体化すると共に前記新設壁体の水域側に接するように設けられて前記新設壁体から水平力のみを前記杭に伝達する杭頭連結構造とを備え、
前記杭頭連結構造は、その上面が改良前の水底面よりも下方になるように設置されていることを特徴とする既存岸壁の改良構造。
【請求項2】
鋼矢板、鋼管矢板、鋼矢板と鋼管矢板の組合せ、又は直線型鋼矢板にH鋼やCT鋼を取り付けたものからなる新設壁体を、既存岸壁における
既存上部工を有する既存壁体の水域側
近傍に新たに地中に根入れする新設壁体根入れ工程と、
前記既存壁体と前記新設壁体との隙間に該隙間を埋めて、前記既存壁体に作用する荷重の水平力のみを前記新設壁体に伝達するように間詰材を配設する間詰工程と、
前記新設壁体の水域側の水底面に杭を打設する杭打設工程と、
該杭の杭頭部を連結一体化すると共に前記新設壁体の水域側に接するように設けられて前記新設壁体から水平力のみを前記杭に伝達するように杭頭連結構造を設置する杭頭連結構造設置工程と、
前記新設壁体の上端部に上面が水面より上方となるように新設上部工を設けて
前記既存上部工と接合する上部工設置工程とを備え、
前記新設壁体根入れ工程の後に、前記水域側水底面を掘削して水深を深くする水底面掘削工程を備えたことを特徴とする既存岸壁の改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の岸壁における水域側に設けられて既存の岸壁を改良する既存岸壁の改良構造、及び改良方法に関する。
なお、本明細書における岸壁には、直立壁を有する矢板式岸壁、重力式岸壁、セル式岸壁等の船舶の接岸機能を有するものの他、同様の直立壁を有して船舶の接岸機能を有していない護岸も含む。
ここで改良が必要となる要因としては、耐震性向上(技術基準見直しと、用途変更(例えば耐震強化岸壁への指定)、既存構造の経年による劣化対応、供用期間の延長等である。
【背景技術】
【0002】
既存岸壁の改良方法の一例として、既存岸壁又は護岸の水域側に新設の矢板壁などを設け、既設岸壁又は護岸との間を間詰めなどの処理を行い、さらに、水底地盤の地盤改良を行う工法が採用されてきた(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】東京都港湾局、護岸ができるまで、[online]、[令和3年4月1日検索],インターネット<URL:https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/yakuwari/takashio/shisetsu/gogan-kouji.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記非特許文献1に開示の方法による場合、地盤改良時にセメントミルクを注入するため環境への影響が懸念される。
また、地盤改良後にさらなる改良が必要となった場合、水底地盤が固化しているため掘削などで困難をともなうという問題もある。
【0005】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、環境や再改良に影響を与える水底地盤改良を必要としない既存岸壁の改良構造及び改良方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る既存岸壁の改良構造は、既存岸壁における既存壁体の水域側に新たに地中に根入れされた新設壁体と、
該新設壁体の上端部に設けられ、上面が水面よりも上方に設定された新設上部工と、
前記新設壁体と前記既存岸壁との隙間に該隙間を埋めるように配設された間詰材と、
前記新設壁体の水域側の水底面に打設された杭と、
該杭の杭頭部を連結一体化すると共に前記新設壁体の水域側に接するように設けられて前記新設壁体から水平力のみを前記杭に伝達する杭頭連結構造とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記杭頭連結構造は、その上面が改良前の水底面よりも下方になるように設置されていることを特徴とするものである。
【0008】
(3)本発明に係る既存岸壁の改良方法は、既存岸壁における既存壁体の水域側に新設壁体を新たに地中に根入れする新設壁体根入れ工程と、
前記既存壁体と前記新設壁体との隙間に該隙間を埋めるように間詰材を配設する間詰工程と、
前記新設壁体の水域側の水底面に杭を打設する杭打設工程と、
該杭の杭頭部を連結一体化すると共に前記新設壁体の水域側に接するように設けられて前記新設壁体から水平力のみを前記杭に伝達するように前記杭頭連結構造を設置する杭頭連結構造設置工程と、
前記新設壁体の上端部に上面が水面より上方となるように新設上部工を設ける上部工設置工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記新設壁体根入れ工程の後に、前記水域側水底面を掘削して水深を深くする水底面掘削工程を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明おいては、新設壁体を骨組構造と杭によって水域側から支持するようにしたので、新設壁体の水域側の水底地盤改良が必要なく、環境に影響を与えることがない。
また、水底地盤改良をしないので、さらなる改良の必要が生じた場合にも容易に対応できる。
さらに、本発明に係る既存岸壁の改良構造は、既存壁体と新設壁体との隙間に該隙間を埋めるように間詰材を配設しているので、既存岸壁(護岸)の構造が存在しないもの(地盤のみあるもの)としても設計が可能であり、既存岸壁の残存耐力が不明確(調査ができない)な場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る既存岸壁の改良構造の垂直断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る既存岸壁の改良構造の他の態様の垂直断面図である(その1)。
【
図5】本発明の実施の形態に係る既存岸壁の改良構造の他の態様の垂直断面図である(その2)。
【
図6】本発明の実施の形態に係る既存岸壁の改良構造の他の態様の垂直断面図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態に係る既存岸壁の改良構造1は、
図1、
図2に示すように、港湾、海岸、河川、運河などの水際線に設けられた既存岸壁3における水域側に水域と陸域を分けるように設けられた既存壁体5の水域側に新たに地中に根入れされた新設壁体7と、新設壁体7の上端部に設けられ、上面が水面8よりも上方に設定された新設上部工9と、新設壁体7と既存岸壁3との隙間に該隙間を埋めるように配設された間詰材11と、新設壁体7の水域側の水底面12に打設された杭13と、杭13の杭頭部を連結一体化すると共に新設壁体7の水域側に接するように設けられて新設壁体7から水平力のみを杭13に伝達する杭頭連結構造15とを備えている。
以下、各構成の詳細と各構成の関係を説明する。
【0013】
<既存岸壁>
改良の対象となる既存岸壁3は控え杭17を備えた矢板式岸壁であり、この矢板式岸壁を構成する既存壁体5は、
図1~
図3に示すように、矢板によって形成されたものである。
控え杭17や、既存壁体5と控え杭17とを結ぶタイ材18の残存耐力の調査は掘削が必要なため困難である。
なお、既存壁体5を構成する矢板は鋼矢板に限定されるものではなく、鋼管矢板や、鋼矢板と鋼管矢板の組み合わせによって構成されたものも含む。
【0014】
<新設壁体>
新設壁体7は、既存上部工19の水域側端の直下から水域側へ所定距離はなれた水面下に岸壁法線方向(
図2の矢印X-X方向)に新規設置したものである。
なお、本実施の形態では、新設壁体7として鋼矢板を用いた例を示したが、新設壁体7としては鋼矢板に限定されるものではなく、鋼管矢板、鋼矢板を単独あるいは組合せの他、直線型鋼矢板にH鋼やCT鋼を取り付けたものなどを含み、要するに岸壁法線方向に連続した壁となっていればよい。
また、鋼矢板には、U型鋼矢板、ハット型鋼矢板、Z型鋼矢板、H型鋼矢板、直線型鋼矢板等が含まれる。
【0015】
<新設上部工>
新設上部工9は、新設壁体7の上端部に、上面が水面8よりも上方になるように設けられている。ここで言う水面8とは、水域が港湾の場合には計画潮位における水面であり、河川の場合には計画高水位における水面である。
なお、新設上部工9は、既存上部工19の劣化更新のため、既存上部工19を一部または全部を撤去して新たに構築したものを含む。
【0016】
<間詰材>
間詰材11は、既存壁体5と新設壁体7との隙間に該隙間を埋めるように配設されて既存壁体5が水域側に変形しようとする水平力を新設壁体7に伝達するものである。間詰材11はかかる機能を発揮できれば、その材料等は限定されず、例えば土砂、石材、改良土、水中コンクリート、水中モルタルなど、新設壁体7と既存壁体5の水平方向の圧縮力の伝達が可能なものであればよい。
【0017】
既存壁体5に作用する荷重(例えば地震時土圧やエプロン上に物を置いたときの荷重、増深によって生じた土圧増分等)は、間詰材11とその下方の地盤を介して新設壁体7に伝達されるため、新設壁体7には水平力のみが伝達される構造である。このため、既存壁体5と新設壁体7とを一体化する必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。
【0018】
<杭>
杭13は、例えば鋼管杭からなり、新設壁体7の水域側水底面12に打設されている。打設された杭13は複数本であり、これらの配置は、
図2に示すように、格子状に配置されてもよいし、千鳥状に配置されてもよく、配置は特に限定されない。
また、
図1、
図2に示す例では、直杭としているが、複数の杭13の全部又は一部を斜杭としてもよい。
【0019】
<杭頭連結構造>
杭頭連結構造15は、杭13の杭頭部を連結一体化すると共に新設壁体7の水域側に接するように設けられて新設壁体7から水平力のみを杭13に伝達し、新設した新設壁体7が水域側に倒れ込むのを防止するためのものであり、
以下、杭頭連結構造15をより具体的に説明する。
【0020】
杭頭連結構造15は、複数の杭13の頭部を連結一体化すると共に新設壁体7の水域側に接するように設けられるものであり、本実施の形態では、
図2に示すように、骨組構造21と水平部材23によって構成されている。
【0021】
《骨組構造》
骨組構造21は、
図2に示すように、格子状に形成された各桁材21aの交差部21bに杭13が挿入される開口部を有する構造である。杭頭と開口部とは一体化されるが、この一体化の手法は従来のジャケット式岸壁、ストラット式岸壁で用いられる手法、具体的にはグラウト材の注入によればよい。
【0022】
なお、骨組構造21は、例えば形鋼等の鋼製部材によって形成されてもよいし、あるいはプレキャストコンクリート構造、鋼コンクリート合成構造であってもよい。
また、杭頭連結構造15は、各桁材21aと交差部21bによって構成されてもよいが、各桁材21a及び交差部21bの全体をコンクリート等で覆うようにした床版状の構造であってもよい。
【0023】
《水平部材》
水平部材23は、新設壁体7と骨組構造21との間に介在して、新設壁体7から受ける水平力を骨組構造21に伝達するための部材である。水平部材23は、例えば骨組構造21と新設壁体7との間に両者に荷重伝達可能な状態で当接するように配設されたH形鋼等の鋼材によって構成できる。
【0024】
なお、水平部材23を骨組構造21に予め取り付けてユニット化してもよい。
また、水平部材23は、骨組構造21と同様に、例えば形鋼等の鋼製部材によって形成してもよいし、あるいはプレキャストコンクリート構造、鋼コンクリート合成構造であってもよい。
【0025】
水平部材23は、新設壁体7からの水平力を骨組構造21に伝達できればよく、それ故に水平部材23は新設壁体7及び骨組構造21と一体化される必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。
【0026】
また、水平部材23は、H形鋼等の鋼材及び水中コンクリート又は水中モルタルによって構成することもできる。具体的には、骨組構造21に当接するように例えばH形鋼等の鋼材を新設壁体7の幅方向に連続するように配置して、鋼材と新設壁体7との隙間に水中コンクリート又は水中モルタルを配設する。
【0027】
また、本実施の形態の杭頭連結構造15は、
図1に示されるように、平面的な形状であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば既存壁体5側に立ち上がり部を備えた側面視でL字状のような立体的な構造であってもよい。
また、本実施の形態の杭頭連結構造15は、骨組構造21を前提としているが、このような骨組構造21を前提とせず、
図3に示すような、鉄筋コンクリート造25で構成されるものでもよい。
図3に示すような構造であれば、鉄筋コンクリート造25が水平部材23を兼用できる。
【0028】
次に上記のような既存岸壁の改良構造の施工方法、すなわち既存岸壁3の改良方法について説明する。
杭頭連結構造15を予め工場等において製作し、改良する既存岸壁のある施工現場に搬入する。
【0029】
施工現場では、既存岸壁における既存上部工19の水域側端の直下から水域側へ所定距離はなれた水面下に、岸壁法線方向に新設壁体7を設置する(新設壁体設置工程)。
その後、新設壁体7と既存壁体5との間隙に、該隙間を埋めるように間詰材11を配設する(間詰工程)。間詰材11は、新設壁体7と既存壁体5の水平方向の圧縮力が伝われば良いので、適宜、土砂、石材、改良土、水中コンクリート、水中モルタルなどから選択すればよい。
【0030】
次に、新設壁体7の水域側の水底に、所定の位置、所定の高さまで複数の杭13を打設する(杭打設工程)。
次に、杭頭部を連結すると共に新設壁体7の水域側に接するように杭頭連結構造15を設置する(杭頭連結構造設置工程)。
このとき、杭頭連結構造15の上面が改良前の水底面12と同じかそれよりも下方になるように設置する場合、杭頭連結構造15の高さに相当する分だけ水底面12を掘削してから杭頭連結構造15を設置する。
なお、杭頭連結構造15が
図1、
図2に示した骨組構造21であって、予め工場で製作されたものである場合には、杭頭連結構造15の骨組構造21の交差部21bを、杭13の杭頭部にかぶせるように設置して杭13との連結をすればよい。
また、先に杭頭連結構造15を設置した後に、杭13を打設してもよい。
【0031】
また、船舶の大型化に伴う岸壁水深の増深が必要な場合や、河積を増やす必要があるような場合には、
図4に示すように、新設壁体7を設置した後に、水域側水底面12を掘削して水深を深くする水底面掘削工程を行うようにすればよい。
このようにすることで、杭頭連結構造15は、水底面12を改良前の状態よりも深い位置に設置される。
【0032】
次に、新設壁体7の上端部に上面が水面8より上方となるように新設上部工9を設ける(上部工設置工程)。
なお、既存の上部工の劣化更新のため、既存上部工19を一部または全部を撤去し、新設上部工9として新たに構築することを妨げるものではない。
【0033】
本実施の形態の既存岸壁の改良構造1によれば、以下の効果を奏することができる。
新設壁体7を骨組構造21と杭13によって水域側から支持するようにしたので、新設壁体7の水域側の水底地盤改良が必要なく、環境に影響を与えることがない。
また、水底地盤改良をしないので、さらなる改良の必要が生じたい場合にも容易に対応できる。
耐震性不足の懸念があるが背後地盤で工事が出来ないような場合、すなわち設計対象地震の見直しなどで土留め(背後地盤)の地盤改良などの工事を行いたいが、背後の利用上の問題などで工事が出来ないような場合でも、陸上部での施工がなく水域側のみでの施工が可能であるため適用可能である。
【0034】
また、新設壁体7と杭頭連結構造15との間では、水平力を伝達できればよく、新設壁体7と杭頭連結構造15とは一体化される必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。スタッド溶接の場合、鋼矢板又は鋼管矢板が溶接に対応した成分のものでないと溶接による脆化が懸念されるが、本実施の形態ではこのような懸念がない。
【0035】
さらに、新設壁体7を打設するので、船舶の大型化による増深が必要な場合にも、水域側水底面12を掘削して水深を深くする水底面掘削工程を問題なく行うことができる。
【0036】
なお、水平力伝達のために水平部材23を用いる場合には、水平部材23を、杭頭連結構造15を構成する例えば骨組構造21に予め取り付けてもよいし、骨組構造21を水底に配置した後で、骨組構造21に対して水平力伝達可能なように水底に配設するようにしてもよい。
【0037】
また、上述したように、新設壁体7として鋼矢板を用いた場合には、杭頭連結構造15(水平部材23)との接触が面接触になるので、新設壁体7と杭頭連結構造15との間に水中コンクリート又は水中モルタル等を配設する必要がない。
【0038】
上記の実施の形態では、既存壁体5として控え杭式の矢板式岸壁を例示して説明したが、既存壁体5はこれに限られず、重力式岸壁であっても同様の対応が可能である。
また、
図5に示すように、既存壁体5がコンクリートからなる堤体27を鋼管杭29で支持した防潮堤31であっても、上記実施の形態と同様の対応が可能である。
【0039】
また、上記の実施の形態では、新設壁体7を既存壁体5の比較的近傍に設置して、新設上部工9と既存上部工19が接合される態様であったが、
図6に示すように、新設壁体7を既存壁体5から離して打設する態様も本発明に含まれる。この場合、新設上部工9と既存上部工19との間にはアスファルト33(又はモルタル、コンクリート等)を施工するようにすればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 既存岸壁の改良構造
3 既存岸壁
5 既存壁体
7 新設壁体
8 水面
9 新設上部工
11 間詰材
12 水底面
13 杭
15 杭頭連結構造
17 控え杭
18 タイ材
19 既存上部工
21 骨組構造
21a 桁材
21b 交差部
23 水平部材
25 鉄筋コンクリート造
27 堤体
29 鋼管杭
31 防潮堤
33 アスファルト