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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240529BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240529BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/48 L
B60L3/00 J
E02F9/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021130004
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023994
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 俊平
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-14337(JP,A)
【文献】特開2000-116143(JP,A)
【文献】特開2008-214970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0030621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
B60L 1/00-58/40
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータが交流モータを作動させて油圧ポンプから作動油を吐出させることで作動する駆動部と、前記インバータへの直流給電を行うバッテリと、前記インバータに信号接続されたコントローラと、前記コントローラに信号接続されたバッテリマネジメントシステムと、スイッチと、前記バッテリマネジメントシステムの指令によって作動し前記バッテリと前記インバータとを接続するコンタクタと、前記コントローラに信号接続されたディスプレイ部とを備え、前記スイッチは停止信号を送信可能に前記コントローラに信号接続されており、前記駆動部は第1駆動部と第2駆動部とを含んでおり、前記インバータは第1インバータと第2インバータとを含んでおり、前記交流モータは第1モータと第2モータとを含んでおり、前記油圧ポンプは第1ポンプと第2ポンプとを含んでおり、前記第1駆動部は、前記第1インバータが前記第1モータを作動させることで前記第1ポンプを作動させる構成であり、前記第2駆動部は、前記第2インバータが前記第2モータを作動させることで前記第2ポンプを作動させる構成であり、前記停止信号を受信した前記コントローラは、前記第1インバータと前記第2インバータとをそれぞれ制御し、第1の期間は前記第1モータと前記第2モータとをそれぞれ作動させる構成であり、前記スイッチがOFFになって前記コントローラがシャットダウンモードに移行したときは、前記第1ポンプに対応して作動する第1アクチュエータへは前記第1ポンプからの前記作動油が吐出されない状態になっており、前記第2ポンプに対応して作動する第2アクチュエータへは前記第2ポンプからの前記作動油が吐出されない状態になっており、前記スイッチがOFFになることで前記バッテリマネジメントシステムによって前記コンタクタがOFF制御されるとともに前記停止信号が前記コントローラに送信され、前記停止信号を受信した前記コントローラは、前記スイッチをOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間である前記第1の期間において、前記交流モータを作動させることで前記所定時間に達した時点の前記インバータにおける残留電圧を予め設定された設定値よりも低下させる停止制御を行う構成であること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記残留電圧が前記設定値以上であると前記コントローラが判断した場合、前記コントローラは第1エラー信号を前記ディスプレイ部に送信し、前記第1エラー信号を受信した前記ディスプレイ部は第1エラー表示を表示する構成であること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記残留電圧が前記設定値以上であると前記コントローラが判断した場合、再起動したときに前記コントローラは第2エラー信号を前記ディスプレイ部に送信し、前記第2エラー信号を受信した前記ディスプレイ部は第2エラー表示を表示する構成であること
を特徴とする請求項1または2に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車において、バッテリから切り離された後のインバータに蓄電された電荷を交流モータに消費させる方式や前記インバータに蓄電された電荷の放電時間を制御する方式が提案されている(特許文献1:特許第3289567号公報、特許文献2:特開2016-083977号公報)。また、交流モータをインバータ制御して油圧駆動する方式の作業用車両が知られている(特許文献3:特許第6463537号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3289567号公報
【文献】特開2016-083977号公報
【文献】特許第6463537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業用車両は、バッテリからインバータへの直流給電回路を形成するコンタクタに大電流が流れる構成上、スイッチをOFFにした直後にバッテリからインバータが切り離されないことがある。そのため、従来の油圧式作業用車両は、スイッチをOFFにしてメンテナンスする際のメンテナンス対象によっては、インバータの残留電圧によって感電する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、スイッチをOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間において、交流モータを作動させることで、メンテナンスする際の安全性を従来よりも高めた作業用車両を提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示する解決策により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る作業用車両は、インバータが交流モータを作動させて油圧ポンプから作動油を吐出させることで作動する駆動部と、前記インバータへの直流給電を行うバッテリと、前記インバータに信号接続されたコントローラと、前記コントローラに信号接続されたバッテリマネジメントシステムと、スイッチと、前記バッテリマネジメントシステムの指令によって作動し前記バッテリと前記インバータとを接続するコンタクタと、前記コントローラに信号接続されたディスプレイ部とを備え、前記スイッチは停止信号を送信可能に前記コントローラに信号接続されており、前記駆動部は第1駆動部と第2駆動部とを含んでおり、前記インバータは第1インバータと第2インバータとを含んでおり、前記交流モータは第1モータと第2モータとを含んでおり、前記油圧ポンプは第1ポンプと第2ポンプとを含んでおり、前記第1駆動部は、前記第1インバータが前記第1モータを作動させることで前記第1ポンプを作動させる構成であり、前記第2駆動部は、前記第2インバータが前記第2モータを作動させることで前記第2ポンプを作動させる構成であり、前記停止信号を受信した前記コントローラは、前記第1インバータと前記第2インバータとをそれぞれ制御し、第1の期間は前記第1モータと前記第2モータとをそれぞれ作動させる構成であり、前記スイッチがOFFになって前記コントローラがシャットダウンモードに移行したときは、前記第1ポンプに対応して作動する第1アクチュエータへは前記第1ポンプからの前記作動油が吐出されない状態になっており、前記第2ポンプに対応して作動する第2アクチュエータへは前記第2ポンプからの前記作動油が吐出されない状態になっており、前記スイッチがOFFになることで前記バッテリマネジメントシステムによって前記コンタクタがOFF制御されるとともに前記停止信号が前記コントローラに送信され、前記停止信号を受信した前記コントローラは、前記スイッチをOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間である前記第1の期間において、前記交流モータを作動させることで前記所定時間に達した時点の前記インバータにおける残留電圧を予め設定された設定値よりも低下させる停止制御を行う構成であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、メンテナンスする際に前記残留電圧によって感電することを防止することができるので、安全性を従来よりも高めた作業用車両にできる。
【0009】
前記残留電圧が前記設定値以上であると前記コントローラが判断した場合、前記コントローラは第1エラー信号を前記ディスプレイ部に送信し、前記第1エラー信号を受信した前記ディスプレイ部は第1エラー表示を表示する構成であることが好ましい。ここで、第1エラー表示が表示される第1期間は予め設定される。この構成によれば、オペレータまたは作業者に、異常を知らせることができる。
【0010】
前記残留電圧が前記設定値以上であると前記コントローラが判断した場合、再起動したときに前記コントローラは第2エラー信号を前記ディスプレイ部に送信し、前記第2エラー信号を受信した前記ディスプレイ部は第2エラー表示を表示する構成であることが好ましい。ここで、第2エラー表示が表示される第2期間は予め設定される。この構成によれば、オペレータまたは作業者に、異常を知らせることができる。一例として、第2期間は第1期間よりも長い時間である。一例として、第2期間と第1期間とは同じ長さ時間の場合がある。一例として、第1エラー信号と第2エラー信号とは同じ信号の場合がある。一例として、第1エラー表示と第2エラー表示とは同じ表示の場合がある。
【0011】
前記インバータにおける残留電圧は、前記インバータの出力側に配設されたキャパシタに蓄電された電荷量に比例する。そこで、前記コントローラは前記所定時間が経過した時点で前記キャパシタに蓄電された電荷量をセンサにて検出し、検出した前記電荷量から残留電圧を算出する。または、前記コントローラは前記所定時間が経過した時点で前記キャパシタにおける残留電圧を電圧計にて検出する。このようにして、前記コントローラは前記インバータの残留電圧を監視する。そして、前記コントローラは前記所定時間が経過した時点の前記残留電圧が設定値未満のときは正常であると判断する。また、前記コントローラは前記所定時間が経過した時点の前記残留電圧が設定値以上のときは異常であると判断する。
【0012】
一例として、前記期間は、0.1~10.0[秒]に設定される。一例として、前記期間は0.5~3.0[秒]に設定される。一例として、前記残留電圧の設定値は、60[V]以下の任意の値に設定される。一例として、前記期間および前記残留電圧の設定値は、ECU書き換えによって設定される。
【0013】
前記コントローラの前記停止制御における前記交流モータへの指示回転数は、アクチュエータを駆動する際の前記油圧ポンプの回転数よりも低速度であってもよく、前記油圧ポンプを待機状態にするときの回転数であってもよく、前記油圧ポンプが故障しない程度の必要最低回転数であってもよく、前記油圧ポンプが故障しない程度の必要最低回転数以上であればよい。また、前記交流モータへの指示回転数と前記油圧ポンプの回転数とは、同期されて、同じであっても、変速機等を介して異なっていてもよい。一例として、前記交流モータへの指示回転数は、100[min.―1]~3000[min.―1]の範囲内の任意の値に設定される。より好ましい一例として、前記交流モータへの指示回転数は、100[min.―1]~1000[min.―1]の範囲内の任意の値に設定される。ここで、前記交流モータがメインモータとサブモータとから構成される場合は、前記停止制御の対象をメインモータにして、サブモータを前記停止制御の対象から外す場合がある。
【0014】
前記コントローラは、前記停止制御における前記交流モータへの指示回転数を制御することができる。つまり、前記コントローラは、前記指示回転数および前記期間を組み合わせすることによって前記残留電圧の低下を制御することができる。一例として、前記指示回転数を大きくして、前記期間を短くする。一例として、前記期間を長くして、前記指示回転数を小さくする。これにより、前記残留電圧の低下レベルを制御することができる。これにより、前記残留電圧の低下速度を制御することができる。
【0015】
一例として、前記スイッチは起動信号を送信可能に前記コントローラに信号接続されており、前記スイッチがONになることで前記バッテリマネジメントシステムによって前記コンタクタがON制御されるとともに前記起動信号が前記コントローラに送信され、前記起動信号を受信した前記コントローラは前記交流モータの起動制御を行う構成である。これにより、起動用スイッチと停止用スイッチとを一つのスイッチで兼用することができて合理的な回路構成にできる。
【0016】
前記駆動部は第1駆動部と第2駆動部とを含んでおり、前記インバータは第1インバータと第2インバータとを含んでおり、前記交流モータは第1モータと第2モータとを含んでおり、前記油圧ポンプは第1ポンプと第2ポンプとを含んでおり、前記第1駆動部は前記第1インバータと前記第1モータと前記第1ポンプとを有し、前記第2駆動部は前記第2インバータと前記第2モータと前記第2ポンプとを有し、前記停止信号を受信した前記コントローラは、前記第1インバータと前記第2インバータとをそれぞれ制御し、前記期間は前記第1モータと前記第2モータとをそれぞれ作動させる構成である。これにより、多機能型の作業車両にできる。前記構成において、前記スイッチがOFFになって前記コントローラがシャットダウンモードに移行したときは、前記第1ポンプに対応して作動する第1アクチュエータへは前記第1ポンプから作動油が吐出されない状態になっており、前記第2ポンプに対応して作動する第2アクチュエータへは前記第2ポンプから作動油が吐出されない状態になってい。これにより、意図せずに各油圧アクチュエータが作動することが防止できて、安全性を従来よりも高めた多機能型の作業用車両にできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スイッチをOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間は交流モータが作動し、その後に停止する停止制御を行うことで、メンテナンスする際の安全性を従来よりも高めた作業用車両が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係る作業用車両におけるコントローラのインバータ制御を示す概略の回路図である。
図2図2は、図1におけるコントローラの停止制御を示す概略のタイミングチャート図である。
図3図3は、図2におけるコントローラの停止制御の動作手順を示す概略のフローチャート図である。
図4図4は、本実施形態に係る作業用車両を示す概略の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。本実施形態は、一例として図4に示すパワーショベル、またはスキッドステアローダ、若しくはキャリア、などのバッテリを動力源にした作業用車両1であり、特に、交流モータをインバータ制御して油圧駆動する方式の作業用車両1である。作業用車両1の駆動部3は、バッテリ9から電力供給されて作動し、コントローラ4によって駆動制御される。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0020】
図1に示すように、作業用車両1は、リチウムイオンバッテリなどのバッテリ9と、バッテリ9から電力供給されて作動する駆動部3と、駆動部3を制御するコントローラ4と、コントローラ4に接続されるディスプレイ部5と、バッテリ9を監視するバッテリマネジメントシステム7と、バッテリマネジメントシステム7の制御によって作動するコンタクタ8と、スイッチ6と、コントローラ4およびバッテリマネジメントシステム7に電力供給する鉛バッテリ17を有する。スイッチ6は起動信号を送信可能にコントローラ4に信号接続されており、かつ、スイッチ6は停止信号を送信可能にコントローラ4に信号接続されている。スイッチ6は、起動用と停止用を兼用したスイッチであり、キースイッチやプッシュスイッチなどの既知の構成が適用できる。なお、配線図は要部以外の表記を一部省略している。
【0021】
図1の例では、バッテリマネジメントシステム7とコンタクタ8とバッテリ9とによってバッテリパック2が構成される。バッテリパック2は脱着可能に作業用車両1に装着される。一例として、コンタクタ8の接点が溶着して作動不良になったときはバッテリパック2を脱着して新品と交換する。一例として、バッテリ9が耐用寿命に達したときはバッテリパック2を脱着して新品と交換する。なお、バッテリ9の温度を検知する温度センサなどの各種センサがバッテリパック2に内蔵されており、それらの配線図は省略している。
【0022】
ディスプレイ部5は、駆動部3の作動情報、バッテリ9の残容量情報、その他既知の車両情報を表示可能な構成であって、異常時は警告をディスプレイ画面に表示可能な構成であり、かつ、異常時は警報をスピーカから発することが可能な構成である。
【0023】
図1の例は、バッテリマネジメントシステム7がコンタクタ8をオン制御することによってコンタクタ8がバッテリ9から第1インバータ11および第2インバータ12への直流給電回路を形成し、バッテリ9から第1インバータ11および第2インバータ12に電力供給される構成である。バッテリ9は、一例として、多数のセルを組み合わせた大容量のリチウムイオンバッテリであり、電源電圧は70~600[V]である。
【0024】
図1の例は、コントローラ4の指令によって第1インバータ11が第1モータ13を作動させることで第1ポンプ15を作動させる構成であり、また、コントローラ4の指令によって第2インバータ12が第2モータ14を作動させることで第2ポンプ16を作動させる構成である。第1モータ13と第2モータ14は、いずれも埋込磁石型モータ(IPMモータ)である。一例として、第1ポンプ15と第2ポンプ16は、ギアポンプである。一例として、第1ポンプ15によって走行、ブーム、アーム、バケットなどの主要動作を分担する複数のアクチュエータが作動する。また、第2ポンプ16によって旋回動作を分担するアクチュエータが作動する。なお、ひとつの油圧ポンプによって複数のアクチュエータが作動する構成にする場合もある。
【0025】
オペレータは、作業用車両1を起動する際にスイッチ6をONにする。スイッチ6をONにすると、コントローラ4に起動信号が送信され、前記起動信号を受信したコントローラ4は、第1インバータ11を制御して第1モータ13の起動制御を行い、また、前記起動信号を受信したコントローラ4は、第2インバータ12を制御して第2モータ14の起動制御を行う。
【0026】
図2はコントローラ4の停止制御を示す概略のタイミングチャート図であり、図3はコントローラ4の停止制御の動作手順を示す概略のフローチャート図である。引き続き、作業用車両1におけるコントローラ4の停止制御の動作手順について、以下に説明する。
【0027】
オペレータは、作業用車両1を停止するに際してスイッチ6をOFFにする。スイッチ6をOFFにすると、コントローラ4に停止信号が送信され、コントローラ4は前記停止信号を受信してシャットダウンモードに移行するステップS1になる。スイッチ6がOFFになってコントローラ4がシャットダウンモードに移行したときは、第1ポンプ15に対応して作動する第1アクチュエータへは第1ポンプ15から作動油が吐出されない状態になっており、第2ポンプ16に対応して作動する第2アクチュエータへは第2ポンプ16から作動油が吐出されない状態になっている。
【0028】
ステップS1に続いて、コントローラ4は、スイッチ6をOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間T1は回転数R1にてモータ作動を指示するステップS2に進む。ステップS2にて、期間T1における第1モータ13と第2モータ14はそれぞれ回転数R1で回転する。
【0029】
ステップS2に続いて、コントローラ4は、所定時間に達した時点の前記インバータにおける残留電圧V1を監視するステップS3に進む。一例として、コントローラ4は、所定時間に達した時点の第1インバータ11の出力側に配設されたキャパシタに蓄電された電荷量をセンサにて検出し、検出した前記電荷量から残留電圧V1を算出する。この例では、第1モータ13の定格出力は第2モータ14の定格出力よりも大きい値になっているので、第1インバータ11の残留電圧V1が予め設定された設定値未満である場合は第2インバータ12の残留電圧V1は設定値未満であるとみなすことができる。
【0030】
ステップS3に続いて、コントローラ4は残留電圧V1の異常の有無を判断するステップS4に進む。一例として、コントローラ4は、所定時間に達した時点の残留電圧V1が設定値V2未満であると判断したときは、正常であると判断しシャットダウンモードを終了して停止する。一方、コントローラ4は、所定時間に達した時点の残留電圧V1が設定値V2以上であると判断したときは、異常であると判断して、エラー信号をディスプレイ部5に送信するステップS5に進む。
【0031】
ステップS5において、異常であるとコントローラ4が判断した場合は、コントローラ4によって直ちに第1エラー信号がディスプレイ部5に送信され、前記第1エラー信号を受信したディスプレイ部5が第1エラー表示をする。前記第1エラー表示が表示される第1期間は予め設定される。一例として、ディスプレイ部5が停止する際に、第1エラー表示が0.1~10[秒]表示される。
【0032】
また、ステップS5において、異常であるとコントローラ4が判断した場合は、コントローラ4に付設の記憶部にエラー情報がエラー履歴として記憶され、ディスプレイ部5が再起動したときに、前記記憶部に前記エラー履歴として記憶された前記エラー情報に基づく第2エラー信号がディスプレイ部5に送信され、前記第2エラー信号を受信したディスプレイ部5が第2エラー表示をする。前記第2エラー表示が表示される第2期間は予め設定される。一例として、ディスプレイ部5が再起動したときに、前記第2エラー表示が10~30[秒]表示される。
【0033】
本実施形態によれば、スイッチ6をOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間T1は第1モータ13および第2モータ14が作動し、その後に停止する停止制御を行うことで、メンテナンスする際の安全性を従来よりも高めた作業用車両1になる。
【0034】
なお、インバータへの直流給電を行うバッテリは、上述したリチウムイオンバッテリに限られず、ニッケル水素電池、ナトリウム硫黄電池、硫化物電池などの二次電池が適用可能である。
【0035】
上述の作業用車両1は、仕様等に合わせて適宜仕様変更する場合がある。本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 作業用車両
2 バッテリパック
3 駆動部
4 コントローラ
5 ディスプレイ部
6 スイッチ(キースイッチ)
7 バッテリマネジメントシステム
8 コンタクタ
9 バッテリ(リチウムイオンバッテリ)
11 インバータ(第1インバータ)
12 インバータ(第2インバータ)
13 交流モータ(第1モータ)
14 交流モータ(第2モータ)
15 油圧ポンプ(第1ポンプ)
16 油圧ポンプ(第2ポンプ)
17 バッテリ(鉛バッテリ)
T1 期間(スイッチをOFFにした時点から所定時間に達するまでの期間)
V1 残留電圧
V2 設定値
図1
図2
図3
図4