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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/557 20210101AFI20240529BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240529BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20240529BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240529BHJP
【FI】
H01M50/557
H01M50/176
H01M50/188
H01M50/184 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021172985
(22)【出願日】2021-10-22
(65)【公開番号】P2023062843
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】米田 幸志郎
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-129488(JP,A)
【文献】特開2017-130386(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103874(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/151359(WO,A1)
【文献】特開2022-36463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
開口を有するケース本体と前記ケース本体の前記開口を塞ぐ蓋とを有する電池ケースと、
前記電極体と電気的に接続され、前記電池ケースの外部に露出する外部端子と、
前記電池ケースの外部において、前記蓋と前記外部端子とを絶縁するガスケットと
を備えた二次電池であって、
前記蓋は、前記外部端子が取り付けられる取付孔を有し、
前記外部端子は、前記取付孔に挿通される軸部と、前記電池ケースの外部に配置され、前記軸部の一端から外径方向に延びた頭部とを有し、
前記ガスケットは、前記頭部と前記蓋との間に配置される座部と、前記座部から上方に立ち上がる側壁とを有し、
前記外部端子の前記頭部は
前記ガスケットの前記座部に沿った平坦な底面と、
前記ガスケットの前記側壁に囲まれた側周面と、
前記底面と前記側周面の間において面取りされた面取部
を有し、
前記面取部と、前記座部と、前記側壁との間には隙間が形成されており、
前記ガスケットは、前記頭部の前記底面と前記蓋によって、前記座部の厚みが圧縮率50%以上に圧縮されており、
前記側壁は、前記頭部の前記側周面に向かって傾いている、
二次電池。
【請求項2】
前記面取部は、C面形状またはR面形状である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記蓋は、前記ガスケットの前記座部を挟んで前記面取部と重なる位置に、周方向に連続した突起を有し、
前記ガスケットの前記座部は、前記蓋の前記突起と、前記面取部とによって圧縮されている、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記面取部は、前記頭部の周方向に連続して設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記蓋は、矩形状であり、
前記面取部は、前記蓋の長辺方向に沿って設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記蓋は、矩形状であり、
前記ガスケットの前記側壁は、前記蓋の周縁部から1.8mm以下である部分を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2008-270167号公報には、鍔部と柱状挿入部とを有する電極外部端子と、絶縁ガスケットと、封口板と、を有する密閉型電池が開示されている。同公報に開示されている密閉型電池は、電極外部端子の柱状挿入部は、断面が非真円状である。それによって、柱状挿入部が回転しにくく、電極外部端子の回転に起因する液漏れが生じにくいとされている。
【0003】
特開2008-192552号公報には、電池ケースの内部から延び、外部でかしめられて先端が拡大した、導通部となる金属製のリベットと、貫通孔が設けられた部分を有し、リベットが貫通孔を貫通することで電池ケースに固定された金属端子と、を備えた電極が開示されている。電極は、絶縁体によって蓋体と絶縁されている。同公報に開示されている電極は、金属端子の貫通孔の少なくともリベットの先端側をリベットの先端側に向かって拡大するテーパ孔になっている。それによって、電極を固定するリベット先端側における応力集中を緩和することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-270167号公報
【文献】特開2008-192552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池ケース外部に露出する外部端子は、ガスケットを介して電池ケースの蓋に取り付けられている。ガスケットは、電池ケース内部の気密性を保つシール機能や、外部端子と蓋との絶縁機能を有している。例えば、ガスケットに高電圧、高温、高圧力等が付与された場合、ガスケットが損傷されてシール機能や絶縁機能が損なわれるおそれがある。本発明者は、ガスケットの損傷を抑制する二次電池の構造を提案したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される二次電池は、電極体と、開口を有するケース本体と、ケース本体の開口を塞ぐ蓋とを有する電池ケースと、電極体と電気的に接続され、電池ケースの外部に露出する外部端子と、電池ケースの外部において、蓋と外部端子とを絶縁するガスケットとを備えている。蓋は、外部端子が取り付けられる取付孔を有している。外部端子は、取付孔に挿通される軸部と、電池ケースの外部に配置され、軸部の一端から外径方向に延びた頭部とを有している。ガスケットは、頭部の底面と蓋との間に配置される座部と、座部から上方に立ち上がる側壁とを有している。外部端子の頭部は、底面の外周の少なくとも一部に、面取りされた面取部を有している。面取部と、座部と、側壁との間には隙間が形成されている。
かかる構成によって、ガスケットの損傷が抑制される。
【0007】
面取部は、C面形状またはR面形状であってもよい。
ガスケットは、頭部の底面と接している面において、座部の厚みが圧縮率50%以上に圧縮されている部位を有していてもよい。
面取部は、頭部の周方向に連続して設けられていてもよい。
蓋は、矩形状であってもよい。面取部は、蓋の長辺方向に沿って設けられていてもよい。また、ガスケットの側壁は、蓋の周縁部から1.8mm以下である部分を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
図2図2は、蓋体41bと外部端子61の位置関係を示す平面図である。
図3図3は、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、外部端子61の頭部63とガスケット70の形状を模式的に示す断面図である。
図5図5は、面取部が設けられていない外部端子161とガスケット170の形状を模式的に示す断面図である。
図6A図6Aは、他の実施形態にかかる頭部63の形状を模式的に示す断面図である。
図6B図6Bは、他の実施形態にかかる頭部63の形状を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ここで開示される二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、数値範囲を示す「A~B」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味する。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、本明細書において参照する各図における符号Xは「長辺方向」を示し、符号Yは「短辺方向」を示し、符号Zは「高さ方向」を示す。
【0010】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。以下では、上述した二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0011】
〈リチウムイオン二次電池10〉
図1は、リチウムイオン二次電池10(以下、単に二次電池10とも称する)の部分断面図である。図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。図1に示された二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。図2は、蓋体41bと外部端子61を示す平面図である。リチウムイオン二次電池10は、図1に示されているように、電極体20と、開口41a1を有するケース本体41aとケース本体41aの開口41a1を塞ぐ蓋41bとを有する電池ケース41と、電極体20と電気的に接続され、電池ケース41の外部に露出する外部端子61と、電池ケース41の外部において、蓋41bと外部端子61とを絶縁するガスケット70とを備えている。
【0012】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0013】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向(長辺方向X)の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0014】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0015】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0016】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられている。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃えられ、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側からはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0017】
上述した電極体20は、図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0018】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口41a1に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aと蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保する観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。なお、図1に示されている実施形態では、捲回型の電極体20が例示されているが、電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0019】
電池ケース41は、電極体20と一緒に、図示しない電解液を収容していてもよい。電解液としては、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0020】
〈ケース本体41a〉
ケース本体41aは、一側面が開口した略直方体の形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部42と、一対の幅広面部43,44(図2参照)と、一対の幅狭面部45,46とを有している。一対の幅広面部43,44は、それぞれ底面部42のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部45,46は、それぞれ底面部42のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部43,44と一対の幅狭面部45,46で囲まれた開口41a1が形成されている。
【0021】
〈蓋41b〉
蓋41bは、ケース本体41aの開口41a1を封口する。この実施形態では、蓋41bは、平面視において矩形状である。蓋41bには、正極端子50と、負極端子60とが取り付けられている。正極端子50は、外部端子51と、内部端子55とを備えている。負極端子60は、外部端子61と、内部端子65とを備えている。内部端子55,65は、それぞれインシュレータ80を介して蓋41bの内側に取り付けられている。外部端子51,61は、それぞれガスケット70を介して蓋41bの外側に取り付けられている。内部端子55,65は、それぞれケース本体41aの内部に延びている。電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、蓋41bの長辺方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子55,65に取り付けられている。
【0022】
内部端子55,65は、金属製である。正極の内部端子55としては、正極集電箔21aとの接合強度を向上させる観点から、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等が用いられうる。負極の内部端子65としては、負極集電箔22aとの接合強度を向上させる観点から、例えば、銅や銅合金等が用いられうる。
【0023】
外部端子51,61は、金属製である。外部端子51,61として用いられる金属は、バスバ等の外部の接続部品の種類等に応じて適宜選択される。外部端子51,61としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等が用いられうる。外部端子51,61は、例えば、複数の金属が異種金属接合によって接合されて構成されていてもよい。
【0024】
図3は、図1のIII-III断面図である。図3では、負極端子60が蓋41bに取り付けられた部位の断面が示されている。なお、正極端子50が蓋41bに取り付けられた部位も同様の構成とすることができるので、説明は省略する。蓋41bは、図3に示されているように、外部端子61が取り付けられる取付孔41b2を有している。取付孔41b2は、蓋41bの予め定められた位置において蓋41bを貫通している。蓋41bの取付孔41b2には、ガスケット70とインシュレータ80を介在させて、内部端子65と外部端子61とが取り付けられる。取付孔41b2の外側には、取付孔41b2の周りにガスケット70が装着される座面41b3が設けられている。座面41b3には、ガスケット70を位置決めするための突起41b4が設けられている。突起41b4は、取付孔41b2を囲うように、周方向に連続して予め定められた位置に設けられている。
【0025】
〈外部端子61〉
外部端子61は、取付孔41b2に挿通される軸部62と、電池ケース41の外部に配置され、軸部62の一端から外径方向に延びた頭部63とを有している。頭部63は、蓋41bと平行な断面が取付孔41b2の開口面積よりも大きな略平板状の部位である。頭部63は、平面視において、略矩形状である(図2参照)。頭部63は、バスバと接続される部位である。バスバは、例えば、頭部63の上面63aに溶接によって接続されうる。軸部62は、ガスケット70を介して取付孔41b2に装着される部位である。軸部62は、頭部63の略中央部から下方に突出している。
【0026】
また、外部端子61は、カシメ片64を有している。カシメ片64は、蓋41bの内部において、内部端子65にかしめられる部位である。カシメ片64は、軸部62から延びており、蓋41bに挿通された後で折曲げられて負極の内部端子65にかしめられている。
【0027】
外部端子61の頭部63の底面63bと蓋41bとの間には、後述するガスケット70が配置されている。また、外部端子61の頭部63の側周面63cは、一部が上方に露出した状態でガスケット70の側壁72に囲まれている。
【0028】
外部端子61の頭部63は、底面63bの外周の少なくとも一部に、面取りされた面取部63dを有している。面取部63dは、底面63bと側周面63cとの角部に形成されている。面取部63dは、底面63bとの境界を含んだ一部がガスケット70と接している。この実施形態では、面取部63dは、角度が45度のC面形状である。この実施形態では、面取部63dの上端は、頭部63の底面63bから厚みが50%程度の位置に形成されている。面取部63dは、頭部63の周方向に連続して形成されている。
【0029】
〈ガスケット70〉
ガスケット70は、蓋41bの取付孔41b2および座面41b3に取り付けられる部材である。ガスケット70は、蓋41bと外部端子61との間に配置され、蓋41bと外部端子61との絶縁性を確保している。また、ガスケット70は、圧縮されて蓋41bの取付孔41b2に取り付けられ、電池ケース41の気密性を確保している。この実施形態では、ガスケット70は、頭部63の底面63bと蓋41bとの間に配置される座部71と、座部71から上方に立ち上がる側壁72とを有している。ガスケット70は、また、座部71の底面から突出しているボス部73を有している。
【0030】
座部71は、蓋41bの取付孔41b2周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座部71は、平面視において、頭部63よりも一回り大きな外形寸法を有している。座部71は、座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71は、一部が外部端子61の頭部63の底面63b、座面41b3、突起41b4によって圧縮されている。ガスケット70の座部71は、電池ケース41が気密に密封される程度に圧縮されていることが好ましい。かかる観点から、ガスケット70は、頭部63の底面63bと接している面において、座部71の厚みが圧縮率40%以上に圧縮されている部位を有していてもよく、例えば、圧縮率50%以上に圧縮されている部位を有していることが好ましい。また、座部71の圧縮率は、ガスケット70を損傷しない程度に設定されているとよい。座部71は、例えば、最も圧縮される部分において圧縮率は70%以下であってもよく、60%以下であることが好ましい。
【0031】
なお、本明細書において、ガスケット70の座部71の圧縮率とは、圧縮されていない状態の座部71の厚みに対する、圧縮されている状態の座部71の厚みの割合のことをいう。座部71の圧縮率は、例えば、座部71の圧縮されている部分と圧縮されていない部分の厚みや密度を比較することによって求めることができる。
【0032】
側壁72は、座部71の周縁部から上方に立ち上がった部位である。側壁72は、座部71の周縁部の周方向に連続して設けられている。側壁72は、外部端子61の頭部63の側周面63c囲っている。側壁72の高さは特に限定されないが、この実施形態では、側壁72の上端が頭部63の上面63aよりも低くなるように設定されている。
【0033】
ボス部73は、蓋41bの取付孔41b2に装着されるように取付孔41b2の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部73の内側面は、外部端子61の軸部62が装着される装着孔となる。
【0034】
ガスケット70としては、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、ガスケット70には、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が用いられている。なお、ガスケット70に用いられる材料は、PFAに限定されない。ガスケット70には、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が用いられてもよい。
【0035】
〈インシュレータ80〉
インシュレータ80は、蓋41bの取付孔41b2の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ80は、ベース部81と、孔82と、側壁83とを備えている。ベース部81は、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部81は、略平板状の部位である。ベース部81は、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔82は、ガスケット70のボス部73の内側面に対応して設けられた穴である。この実施形態では、孔82は、ベース部81の略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔82の周りには凹んだ段差が設けられている。段差には、取付孔41b2に装着されたガスケット70のボス部73の先端が干渉しないように収められている。側壁83は、ベース部81の周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部81には、内部端子65の一端に設けられる基部65aが収められる。インシュレータ80は、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ80には、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)が用いられている。なお、インシュレータ80に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0036】
内部端子65は、基部65aと、接続片65b(図1参照)とを備えている。基部65aは、インシュレータ80のベース部81に装着される部位である。この実施形態では、基部65aは、インシュレータ80のベース部81の周りの側壁83の内側に応じた形状を有している。接続片65bは、基部65aの一端から延びており、ケース本体41a内に延びて電極体20の負極の未形成部22a1に接続されている(図1参照)。
【0037】
二次電池10の製造時、蓋41bには、ガスケット70とインシュレータ80とが取り付けられた状態で、正極端子50および負極端子60が取り付けられる。次いで、正極端子50および負極端子60に電極体20が取付けられる。次いで、蓋41bは、一対の幅広面部43,44(図2参照)の長辺と、一対の幅狭面部45,46の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1(図1参照)に装着される。そして、蓋41bの周縁部41b1が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザ溶接によって実現されうる。
【0038】
ところで、二次電池には、寸法の制約がありうる。例えば、車両に用いられる二次電池は、車両の燃費向上、軽量化、車内空間確保の観点から小型化されることが好ましい。また、二次電池の蓋の中央部には電解液の注液口や安全弁等が設けられうることや、電池容量を大きくするために集電箔に配置される活物質の量を増やすこと等から、外部端子は蓋の長辺方向においてなるべく外側に配置されうる。それに伴い、蓋と外部端子の間に配置されるガスケットも蓋の長辺方向の外側に配置されうる。さらに、車両の燃費向上の観点から、大電流が流れうる外部端子の寸法(例えば、バスバと接続される、外部端子の上面)を大きくすることが好ましい。外部端子の寸法を大きくすると、外部端子と蓋との間に設けられているガスケットの寸法も大きくなりうる。
【0039】
本発明者の知見では、ガスケットを蓋の長辺方向の外側に配置したり、ガスケットの寸法を大きくしたりすることによって、ガスケットが損傷される懸念が大きくなる。例えば、図2に示されている実施形態では、上述した観点から外部端子61はより外側(図中X方向右側)に配置されることが好ましく、外部端子61の面積は大きいことが好ましい。そのため、ガスケット70が蓋41bの周縁部41b1の近くに配置されうる。上述したように、二次電池の製造時には、レーザ溶接によって蓋の周縁部がケース本体に溶接される。その際、ガスケットが蓋の周縁部に近接して配置されていると、レーザ光や、レーザ光が蓋やケース本体に反射した反射光によってガスケットが損傷されるおそれがある。
【0040】
図4は、外部端子61の頭部63とガスケット70の形状を模式的に示す断面図である。図4では、蓋41bの短辺方向Yに沿った外部端子61とガスケット70の断面が示されている。図4では、外部端子61の頭部63と蓋41bに挟まれることによって圧縮され、変形しているガスケット70が示されている。図5は、面取部が設けられていない外部端子161とガスケット170の形状を模式的に示す断面図である。図4と同様に、外部端子161の頭部163と蓋141bに挟まれることによって圧縮され、変形しているガスケット170が示されている。
【0041】
図5に示されているように、面取部を有しない外部端子161は、頭部163の底面163aと、ガスケット170の座部171とが接触する面積が大きい。その場合、内部端子と外部端子161とのかしめを強くする等、圧縮率を高くするためには大きな力が必要となる。本発明者の試行によると、ガスケット170を大きな力で圧縮すると、ガスケット170が外側(図中Y方向右側)に向かって変形する傾向があった。例えば、ガスケット170の座部171を強く圧縮すると、側壁172が外側に傾くことがあった。側壁172が外側に傾いて蓋141bの周縁部141b1に近くなると、蓋141bをケース本体141aに溶接する際に、レーザ光や、レーザ光が電池ケース141に反射した反射光が、ガスケット170の側壁172を損傷するおそれがある。また、大きな力でガスケット170の座部171を圧縮することによって、ガスケット170の変形が大きくなり、寸法精度が安定しないことがあった。このような場合にも溶接時にガスケット170の損傷が懸念される。
【0042】
この実施形態では、図4に示されているように、頭部63の底面63bの外周に面取部63dが設けられている。ガスケット70の座部71は、頭部63の底面63bと蓋41bの座面41b3とによって挟まれている部位において、圧縮されて変形している。底面63bと面取部63dの境界付近においては、座部71の一部が面取部63dによって押されている。さらに外側(図中Y方向右側)では、座部71と面取部63dとは離れている。そのため、面取部63dと、座部71と、側壁72との間には隙間90が形成されている。隙間90が形成されている部分では、ガスケット70の座部71は、圧縮されていない。
【0043】
この実施形態では、座部71の一部が面取部63dによって押されていることによって、側壁72が外部端子61に向かって傾いている。側壁72の上部は、外部端子61の頭部63の側周面63cに接しており、隙間90は、閉じられている。しかしながら、かかる形態に限定されず、側壁72は頭部63の側周面63cとは接しておらず、間が空いていてもよい。
【0044】
なお、本明細書において、「面取部」とは、面取部と、座部と、側壁との間に隙間が形成される程度に外部端子の頭部の側周面と底面が面取りされた形状の部位である。面取部の形状、寸法、位置等は、特に限定されない。この実施形態では、面取部63dは、角度が45度のC面形状である。しかしながら、C面形状の面取部63dの角度は特に限定されず、例えば、30度以上であってもよく、40度以上であってもよい。C面形状の面取部63dの角度は、例えば、60度以下であってもよく、50度以下であってもよい。また、上述した実施形態では、面取部63dの上端の位置は、頭部63の底面63bから厚みが50%程度の位置に形成されている。しかしながら、かかる形態に限定されない。面取部63dの上端の位置は、例えば、頭部63の底面63bから厚みが20%の位置よりも上方に設定されていてもよく、40%の位置よりも上方に設定されていてもよい。面取部63dの上端の位置は、例えば、頭部63の底面63bから厚みが80%の位置よりも下方に設定されていてもよく、60%の位置よりも下方に設定されていてもよい。
【0045】
面取部63dの形状は、C面形状に限られない。図6Aおよび図6Bは、他の実施形態にかかる頭部63の形状を模式的に示す断面図である。面取部63dの形状は、例えば、角部が丸められたR面であってもよい(図6A参照)。面取部63dの形状は、角部の断面が略矩形状に切り取られたしゃくり面であってもよい(図6B参照)。また、面取部63dの形状は、これらが組み合わされた形状であってもよい。特に限定されないが、面取部63dは、例えば、切削加工や鍛造加工等、公知の加工方法によって形成されてもよい。
【0046】
ガスケット70に面取部63dと底面63bの境界や、面取部63dと側周面63cの境界が当たることによる負荷を低減する観点から、面取部63dは、C面形状またはR面形状であることが好ましい。
【0047】
上述した実施形態では、ガスケット70は、座部71と、座部71から上方に立ち上がる側壁72とを有している。外部端子61の頭部63は、底面63bの外周に面取部63dを有している。面取部63dと、座部71と、側壁72との間には隙間90が形成されている。かかる構成によって、隙間90が形成されている部位では、座部71の一部が圧縮されることによるガスケット70の変形が緩和される。例えば、ガスケット70の側壁72が外側(例えば、図4のY方向右側)に傾くようなガスケット70の変形が抑制される。また、ガスケット70の変形を緩和する隙間90を形成するための構造である面取部63dが、底面63b側に設けられている。そのため、バスバ等の外部の接続部品との溶接面である頭部63の上面63aの面積を確保しつつもガスケット70が外側に変形することを抑制することができる。また、隙間90が設けられていることによって、ガスケット70の座部71が強く圧縮される場合にも寸法精度が安定し、ガスケット70が外側に向かって変形することが抑制される。このように、ガスケット70の変形が抑制されることによって、例えば、製造時に蓋41bとケース本体41aを溶接する際のレーザ光や反射光がガスケット70に当たりにくくなる。その結果、ガスケット70が損傷されにくくなる。
【0048】
上述した実施形態では、ガスケット70は、頭部63の底面63bと接している面において、座部71の厚みが圧縮率50%以上に圧縮されている部位を有している。このような圧縮率で圧縮されている部位を有していることによって、電池ケース41の気密性が保たれやすくなる。また、隙間90が形成されていることによって、圧縮率を高くした場合にもガスケット70の変形が抑えられうる。
【0049】
上述した実施形態では、面取部63dは、頭部63の周方向に連続して設けられている。それによって、隙間90は、頭部63の周方向に連続して形成されている。かかる構成によって、頭部63の周方向の全周に亘って寸法精度が向上する。また、頭部63の周方向の全周に亘ってガスケット70の変形が抑えられる。
【0050】
また、面取部63dは、底面63bの外周に必ずしも周方向に連続して設けられている必要はなく、底面63bの外周の少なくとも一部に設けられているとよい。面取部63dは、外部端子61の頭部63のうち、レーザ溶接によって溶接されうる蓋41bの周縁部41b1と近接する部位に設けられていることが好ましい。例えば、蓋41bが矩形状である場合には、面取部63dは、蓋41bの長辺方向Xに沿って設けられていることが好ましい。かかる構成によって、頭部63の上面63aの幅をより広くすることができる。それによって、ガスケット70の変形を抑制しながらもバスバと接続される部位の面積を広くすることができる。
【0051】
ガスケット70の側壁72は、例えば、蓋41bの周縁部41b1から1.8mm以下である部分を有していてもよい。このようにガスケット70と蓋41bの周縁部41b1が近接していても、頭部63のうち面取部63dが設けられている部位においては、ガスケット70が損傷されにくくなっている。
【0052】
以上、ここで開示される二次電池について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた二次電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0053】
10 リチウムイオン二次電池(二次電池)
20 電極体
21 正極シート
22 負極シート
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 蓋
41b1 周縁部
41b2 取付孔
41b3 座面
41b4 突起
50 正極端子
51 正極の外部端子
55 正極の内部端子
60 負極端子
61 負極の外部端子
62 軸部
63 頭部
63a 上面
63b 底面
63c 側周面
63d 面取部
64 カシメ片
65 負極の内部端子
70 ガスケット
71 座部
72 側壁
73 ボス部
80 インシュレータ
81 ベース部
82 孔
83 側壁
90 隙間
141a ケース本体
141b 蓋
161 外部端子
170 ガスケット

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B