(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240529BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240529BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240529BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240529BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20240529BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240529BHJP
H01G 11/52 20130101ALI20240529BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/46
H01M50/531
H01M50/536
H01M50/55 101
H01G11/52
(21)【出願番号】P 2021204253
(22)【出願日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 洋明
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035641(JP,A)
【文献】特開2020-177861(JP,A)
【文献】特開2015-088247(JP,A)
【文献】特開2014-216194(JP,A)
【文献】特開2010-073408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/00- 10/39
H01M 50/50- 50/598
H01M 50/40- 50/497
H01G 11/00- 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捲回電極体と、
前記捲回電極体に接続された正極集電体と負極集電体と
を有しており、
前記捲回電極体は、帯状の第1セパレータと、帯状の負極板と、帯状の第2セパレータと、帯状の正極板とを備えており、
前記第1セパレータと、前記負極板と、前記第2セパレータと、前記正極板とは、
長さ方向を揃えられ、順に重ねられ、前記正極板の幅方向に設定された捲回軸周りに捲回されており、かつ、
前記捲回軸方向の第1側に前記正極板が前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出ており、前記捲回軸方向における前記第1側と異なる第2側に前記負極板が前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出ており、
前記正極集電体は、前記正極板のうち、前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出た部位に重ねられて接合されており、
前記負極集電体は、前記負極板のうち、前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出た部位に重ねられて接合されており、
前記負極板の最外周は、前記第1セパレータまたは前記第2セパレータを介在させて、前記正極板の最外周よりも外周側に巻かれており、
前記第1セパレータまたは前記第2セパレータは、前記負極板の最外周よりも外周側に巻かれており、
前記第1セパレータまたは前記第2セパレータのうち、前記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分
の前記第1側の周縁は、当該負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分を含む前記第1セパレータまたは前記第2セパレータの最内周の前記第1側の周縁よりも前記正極集電体と前記正極板とが接合された部位に寄せて巻かれた部位を有しており、
前記正極集電体と前記正極板とが接合された部位に寄せて巻かれた部位の少なくとも一部は、前記正極集電体と前記正極板とが接合された部位に止められている、二次電池。
【請求項2】
捲回電極体と、
前記捲回電極体に接続された正極集電体と負極集電体と
を有しており、
前記捲回電極体は、帯状の第1セパレータと、帯状の負極板と、帯状の第2セパレータと、帯状の正極板とを備えており、
前記第1セパレータと、前記負極板と、前記第2セパレータと、前記正極板とは、
長さ方向を揃えられ、順に重ねられ、前記正極板の幅方向に設定された捲回軸周りに捲回されており、かつ、
前記捲回軸方向の第1側に前記正極板が前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出ており、前記捲回軸方向における前記第1側と異なる第2側に前記負極板が前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出ており、
前記正極集電体は、前記正極板のうち、前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出た部位に重ねられて接合されており、
前記負極集電体は、前記負極板のうち、前記第1セパレータと前記第2セパレータとからはみ出た部位に重ねられて接合されており、
前記負極板の最外周は、前記第1セパレータまたは前記第2セパレータを介在させて、前記正極板の最外周よりも外周側に巻かれており、
前記第1セパレータまたは前記第2セパレータは、前記負極板の最外周よりも外周側に巻かれており、
前記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分を含む前記第1セパレータまたは前記第2セパレータは、
帯状であり、当該負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分を含む前記第1セパレータまたは前記第2セパレータの長手方向の一方の端部から、同方向に沿って、同じ幅W1を有する帯部と、
前記帯部における前記長手方向の一方の端部に設けられた矩形状の幅広部と、
を有しており、
前記幅広部は、
前記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分を構成し、
前記帯部の前記幅W1よりも大きい幅W2を有しており、
前記帯部の短手方向の端部よりも、前記第1側において延びた領域を有しており、
前記幅広部における、前記第1側において延びた領域は、前記正極集電体と前記正極板とが接合された部位に止められている、二次電池。
【請求項3】
前記第1セパレータまたは前記第2セパレータのうち、前記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分は、前記正極板と前記正極集電体との少なくとも一方に溶着されている、請求項1または2に記載された二次電池。
【請求項4】
前記正極板と前記正極集電体とが溶接されている、請求項1~3のいずれか一項に記載された二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-195122号公報には、帯状のセパレータと、帯状の負極板と、帯状の正極板とが重ねられて捲回軸方向に捲回された捲回電極体、および、該捲回電極体に接続される電極端子を備えた二次電池が開示されている。同公報で開示された二次電池では、捲回電極体と電極端子とが、電極タブを介して接続されている。また、捲回電極体では、捲回軸方向において、セパレータが電極板から外方に突出している。この突出部分は、負極タブの一部分を覆った状態で熱溶着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、捲回電極体が用いられた二次電池において、最外周の正極板と負極板との間隙に異物が入り込むことを低減したい、と考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される二次電池は、捲回電極体と、上記捲回電極体に接続された正極集電体と負極集電体とを有している。上記捲回電極体は、帯状の第1セパレータと、帯状の負極板と、帯状の第2セパレータと、帯状の正極板とを備えている。上記第1セパレータと、上記負極板と、上記第2セパレータと、上記正極板とは、長さ方向を揃えられ、順に重ねられ、上記正極板の幅方向に設定された捲回軸周りに捲回されており、かつ、上記捲回軸方向の第1側に上記正極板が上記第1セパレータと上記第2セパレータとからはみ出ており、上記捲回軸方向における上記第1側と異なる第2側に上記負極板が上記第1セパレータと上記第2セパレータとからはみ出ている。上記正極集電体は、上記正極板のうち、上記第1セパレータと上記第2セパレータとからはみ出た部位に重ねられて接合されている。上記負極集電体は、上記負極板のうち、上記第1セパレータと上記第2セパレータとからはみ出た部位に重ねられて接合されている。上記負極板の最外周は、上記第1セパレータまたは上記第2セパレータを介在させて、上記正極板の最外周よりも外周側に巻かれている。上記第1セパレータまたは上記第2セパレータは、上記負極板の最外周よりも外周側に巻かれている。上記第1セパレータまたは上記第2セパレータのうち、上記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分は、上記第1側において延びており、当該第1側において延びた部位は、上記正極集電体と上記正極板とが接合された部位に止められている。
【0006】
上記構成の二次電池では、捲回電極体の外周側から内側に向かって、セパレータ(第1セパレータと第2セパレータとを区別しない場合、単に「セパレータ」ともいう。)、負極板、セパレータ、および、正極板、の順に積層されている。そして、セパレータのうちの負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分が、第1側において延び、かつ、正極集電体と正極板とが接合された部位に止められている。これによって、第1側における負極板の最外周の縁が、セパレータのうちの負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分によって、正極板の最外周側に寄せられる。このため、セパレータを介在させた、負極板の最外周と正極板の最外周との間に生じる隙間が閉じられ、当該隙間に異物が入り込みにくくなる。
【0007】
ここで開示される二次電池の好適な一態様では、上記第1セパレータまたは上記第2セパレータのうち、上記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分の上記第1側の周縁は、当該負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分を含む上記第1セパレータまたは上記第2セパレータの最内周の上記第1側の周縁よりも上記正極集電体と上記正極板とが接合された部位に寄せて巻かれた部位を有している。上記正極集電体と上記正極板とが接合された部位に寄せて巻かれた部位の少なくとも一部は、上記正極集電体と上記正極板とが接合された部位に止められている。かかる構成によると、ここで開示される技術の効果が適切に実現されうる。
【0008】
また、ここで開示される二次電池の好適な他の一態様では、上記第1セパレータまたは上記第2セパレータのうち、上記負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分は、上記正極板と上記正極集電体との少なくとも一方に溶着されている。かかる構成によると、セパレータをより安定的に正極集電体と正極板とが接合された部位に止めることができる。そのため、ここで開示される技術の効果をよりよく実現することができる。
【0009】
また、ここで開示される二次電池の好適な他の一態様では、上記正極板と上記正極集電体とが溶接されている。かかる構成によると、上記効果に加えて、正極集電体30と正極板21とをより安定的に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、捲回電極体20の構成を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、二次電池100の部分断面図である。
【
図6】
図6は、捲回電極体220の構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ここで開示される二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、数値範囲を示す「A~B」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを上回り、かつ、Bを下回る」の意味をも包含する。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0012】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。以下では、上述した二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0013】
〈二次電池1〉
図1は、二次電池1の部分断面図である。
図1では、略直方体のケース本体12の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。
図1に示されているように、二次電池1は、電池ケース10と、捲回電極体20と、正極集電体30および負極集電体40と、を有している。
【0014】
電池ケース10は、
図1に示されているように、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体12と、開口に装着された蓋14とを有している。例えば、ケース本体12および蓋14は、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主体とするアルミニウム合金で形成されている。
【0015】
ケース本体12は、
図1に示されているように、捲回電極体20を収容しており、捲回電極体20を収容するための開口12hを有している。ケース本体12は、一側面が開口した扁平な直方体の収容空間を有している。ケース本体12は、
図1に示されているように、略矩形の底面12aと、一対の幅広面12bと、一対の幅狭面12cとを有している。一対の幅広面12bは、それぞれ底面12aのうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面12cは、それぞれ底面12aのうち短辺から立ち上がっている。開口12hは、一対の幅広面12bの長辺と一対の幅狭面12cの短辺とで囲まれて形成されている。
【0016】
また、ケース本体12は、捲回電極体20と一緒に、図示しない電解液を収容しうる。電解液は、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液でありうる。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒でありうる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩でありうる。
【0017】
蓋14は、ケース本体12の開口12hに取り付けられている。そして、蓋14の周縁部が、ケース本体12の開口12hの縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接である。かかる溶接は、例えば、レーザー溶接によって実現されうる。ケース本体12および蓋14は、捲回電極体20の収容数、サイズ等に応じた大きさを有している。
【0018】
詳細な図示は省略するが、例えば、蓋14には、ガス排出弁および注液口が設けられている。ガス排出弁は、二次電池1の内圧が所定値以上になったときに破断して、二次電池1内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。注液口は、ケース本体12に蓋14を接合した後に電解液を注液するための貫通孔である。注液口は、例えば、封止部材により封止されている。
【0019】
例えば、正極集電体30と負極集電体40とが、捲回電極体20に接続されている。正極集電体30と負極集電体40とは、蓋14に取り付けられている。正極集電体30と負極集電体40とによって、電池ケース10と捲回電極体20とが接続されている。
【0020】
図1に示されているように、正極集電体30(例えば、アルミニウム製)は、第1集電部31と、第2集電部32とを備えている。負極集電体40(例えば、銅製)は、例えば、第1集電部41と、第2集電部42とを備えている。
図1に示されているように、第1集電部31,41は、それぞれインシュレータ72を介して蓋14の内側に取り付けられている。例えば、第2集電部32,42は、それぞれガスケット71を介して蓋14の外側に取り付けられている。第1集電部31,41は、それぞれケース本体12の内部に延びている。正極の第1集電部31の先端は、正極集電箔21aの未形成部21a1に接続されている。負極の第1集電部41の先端は、負極集電箔22aの未形成部22a1に接続されている。
【0021】
図1に示されているように、正極集電体30の第1集電部31は、ベース31aと、接続片31bとを備えている。ベース31aは、例えば、インシュレータ72を介して、蓋14の内表面に沿って配置される部位である。接続片31bは、例えば、ベース31aの一端から延びた部位である。例えば、接続片31bは、ケース本体12の底面12aに向かって延びている。
図1に示されているように、接続片31bが延びた方向における該接続片31bの端部は、未形成部21a1に接合されている。接続片31bと未形成部21a1との接合については、後でさらに述べる。なお、負極側の第1集電部41についても、正極側と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。
図1における符号「41a」および「41b」は、それぞれ負極側の第1集電部41のベースおよび接続片を示している。
【0022】
捲回電極体20は、二次電池1の発電要素であり、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、ケース本体12に収容されている。例えば、捲回電極体20は、扁平形状であり、一対の幅広な矩形状の端面20aを有している。
図1に示されているように、捲回電極体20は、一対の端面20aが、一対の幅広面12bに対向するように、ケース本体12に収容されている。
【0023】
図2は、捲回電極体20の構成を説明する模式図である。
図3は、
図1のIII-III断面図である。ただし、
図3に示される断面図では、電池ケースの図示を省略している。
図2に示されているように、捲回電極体20は、帯状の第1セパレータ25と、帯状の正極板21と、帯状の第2セパレータ26と、帯状の負極板22と、を備えている。捲回電極体20は、第1セパレータ25と負極板22と第2セパレータ26と正極板21とが、それぞれ長さ方向を揃えられ、順に重ねられ、正極板21の幅方向(例えば、正極板21の短手方向をいう。以下同じ。)に設定された捲回軸WL周りに螺旋状に捲回された、捲回電極体である。
【0024】
正極板21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0025】
負極板22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(例えば、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0026】
図2に示されているように、負極板22の幅方向(短手方向)における負極活物質層22bの幅は、同方向における正極活物質層21bの幅よりも大きい。
【0027】
第1セパレータ25および第2セパレータ26には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。第1セパレータ25および第2セパレータ26についても種々提案されており、特に限定されない。第1セパレータ25および第2セパレータ26は、例えば、同じ樹脂シートである。例えば、第1セパレータ25および第2セパレータ26は、同じ材料で構成されている。例えば、第1セパレータ25および第2セパレータ26は、同じ寸法を有している。本明細書では、負極板22の最外周221を挟みこむ2つのセパレータのうちの、正極板21の最外周211側に配置されたセパレータを「第1セパレータ25」とし、他方のセパレータを「第2セパレータ26」と定義している(
図3参照)。
【0028】
図3に示されているように、捲回電極体20では、負極板22の最外周221が、第1セパレータ25を介在させて、正極板21の最外周211よりも外周側に巻かれている。また、第2セパレータ26は、負極板22の最外周221よりも外周側に巻かれている(例えば、最外周261)。
【0029】
図1,2に示されているように、捲回電極体20では、正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、捲回軸WLに沿った方向(以下、「捲回軸方向」ともいう。)において互いに反対側に向けられている。
図1,2に示されているように、正極板21の未形成部21a1は、捲回軸方向の第1側Y1(
図2では左側)において、第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出ている。また、負極板22の未形成部22a1は、捲回軸方向における第1側Y1と異なる第2側Y2(
図2では右側)において、第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出ている。
【0030】
図1,3に示されているように、正極板21のうち、第1側Y1において第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出た部分は、捲回軸WLに直交した方向(
図3中では、方向Z)に沿って束ねられている。
図1,3に示されているように、かかる束ねられた部分に、第1集電部31の接続片31bが重ねられて接合された接合部位91が設けられている。また、例えば、負極板22のうち、第2側Y2において第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出た部分は、捲回軸WLに直交した方向に沿って束ねられている。
図1に示されているように、かかる束ねられた部分に、第1集電部41の接続片41bが接合された接合部位92が設けられている。
【0031】
ところで、
図1および
図2に示された形態では、
図3に示されているように、正極板21と正極集電体30(
図3では、接続片31b)とが接合される部分において、正極板21の最外周211が正極集電体30側に引っ張られる。このため、第1セパレータ25を介在させた状態で、正極板21の最外周211と負極板22の最外周221との間に隙間21s(
図3中の点線で示された、捲回電極体20の外部に開放された隙間)ができる場合がある。正極板21の最外周211と負極板22の最外周221との間に、このような隙間21sが生じることを抑制したいと、本発明者は考えた。
【0032】
《第1実施形態》
図4は、二次電池100の部分断面図である。
図5は、
図4のV-V断面図である。ただし、
図5に示される断面図では、電池ケースの図示を省略している。二次電池100は、ここで開示される二次電池の一例である。なお、以下の説明において、特に言及している点以外は、上述した二次電池1と略同等の構成が採用されうる。そのため、ここでの重複する記載は省略する。
【0033】
図4に示されているように、二次電池100は、発電要素として捲回電極体120を備えている。
図4,5に示されているように、捲回電極体120では、第2セパレータ26の最外周261が、負極板22の最外周221よりも外周側に巻かれている。この実施形態における第2セパレータ26の最外周261は、「負極板の最外周よりも外周側に巻かれた部分」の一例である。第2セパレータ26の最外周261は、第1側Y1において延びている。ここで、「第2セパレータ26の最外周261が第1側Y1において延びている」とは、例えば、捲回電極体120において、第2セパレータ26の最外周261の第1側Y1における周縁の少なくとも一部が、第2セパレータの最内周269の第1側Y1における周縁よりも第1側Y1に突出していることをいう。
【0034】
図4に示された実施形態では、第2セパレータ26の最外周261の第1側Y1の周縁は、第2セパレータ26の最内周269の第1側Y1の周縁よりも、正極集電体30と正極板21との接合部位91に寄せて巻かれた部位261aを有している。また、この実施形態では、捲回電極体120の、正極集電体30および負極集電体40が接合された面(
図4中の端面20a)における第2セパレータ26の最外周261の底面12a側の第1端部261bは、第2セパレータ26の最内周269の底面12a側の第2端部269bよりも、第1側Y1に寄せて設けられている。
【0035】
例えば、捲回電極体120を作製するときに、第2セパレータ26の最外周261を、最外周261を除いた内周よりも第1側Y1に向かって引っ張りながら捲回することで、第2セパレータ26の最外周261の周縁に、最内周269の周縁よりも接合部位91に寄せて巻かれた部位261aを設けることができる。
【0036】
また、この実施形態では、接合部位91に寄せて巻かれた部位261aの少なくとも一部は、正極集電体30と正極板21とが接合された部位91に止められている。部位261aは、例えば、接合部位91で正極集電体30と正極板21との間に挟み込まれて、動かないように固定されている。接合部位91における部位261aの固定に関しては、後でさらに述べる。
【0037】
図5に示された実施形態では、第2セパレータ26の最外周261の第1側Y1の周縁が接合部位91に寄せて巻かれた部位261aを有し、かつ、部位261aの少なくとも一部が接合部位91に止められている。この結果、第1側Y1における負極板22の最外周221の縁が、第2セパレータ26の最外周261によって、正極板21の最外周211側に寄せられる。このため、
図5に示されているように、第1セパレータ25を介在させた、負極板22の最外周221と正極板21の最外周211との間に生じる隙間21s(
図3参照)が閉じられ、当該隙間に異物が入り込みにくくなる。
【0038】
図5に示されているように、接合部位91では、接続片31bと未形成部21a1とが、接続片31bと未形成部21a1との間に第2セパレータ26の最外周261が挟まれた状態で、接合されている。この実施形態では、正極集電体30の接続片31bと、正極板21の未形成部21a1とは、溶接されている。この場合において、第2セパレータ26の最外周261は、溶接時に生じた熱によって、接続片31bと未形成部21a1とに溶着される。接続片31bと未形成部21a1とを溶接する手段としては、例えば、抵抗溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、TIG(Tungsten Insert Gas)溶接等が用いられうる。なかでも、上記溶接手段として、抵抗溶接が好ましく用いられうる。
【0039】
接続片31bと未形成部21a1との溶接によって、正極集電体30と正極板21とをより安定的に接合することができる。また、より安定的に第2セパレータ26の最外周261における上記部位261aを止めることができ、延いては負極板22の最外周221と正極板21の最外周211との間の隙間への異物の入り込みを抑制することができる。また、溶接熱によって、第2セパレータ26を接続片31bと未形成部21a1とに溶着することができる。
【0040】
この実施形態では、第2セパレータ26の最外周261は、接続片31bに溶着されている。例えば、接続片31bと未形成部21a1とを溶接することによって、かかる溶接熱で、第2セパレータ26の最外周261を接続片31bと未形成部21a1とに溶着することができる。第2セパレータ26の最外周261が接続片31bと未形成部21a1とに溶着されていると、より安定的に第2セパレータ26の最外周261における上記部位261aを止めることができ、延いては負極板22の最外周221と正極板21の最外周211との間の隙間への異物の入り込みを抑制することができる。
【0041】
上記のとおり、二次電池100は、捲回電極体120と、捲回電極体120に接続された正極集電体30と負極集電体40とを有している。捲回電極体120は、帯状の第1セパレータ25と、帯状の負極板22と、帯状の第2セパレータ26と、帯状の正極板21とを備えている。第1セパレータ25と、負極板22と、第2セパレータ26と、正極板21とは、長さ方向を揃えられ、順に重ねられ、正極板21の幅方向(短手方向)に設定された捲回軸WL周りに捲回されており、かつ、捲回軸方向の第1側Y1に正極板21の未形成部21a1が第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出ており、同方向の第2側Y2に負極板22の未形成部22a1が第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出ている。正極集電体30は、正極板21のうち、第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出た未形成部21a1に重ねられて接合されている。負極集電体40は、負極板22のうち、第1セパレータ25と第2セパレータ26とからはみ出た未形成部22a1に重ねられて接合されている。
【0042】
負極板22の最外周221は、第1セパレータ25を介在させて、正極板21の最外周211よりも外周側に巻かれている。第2セパレータ26は、負極板22の最外周221よりも外周側に巻かれている。第2セパレータ26のうち、負極板22の最外周221よりも外周側に巻かれた部分(上記実施形態では、第2セパレータ26の最外周261)は、第1側Y1において延びており、当該第1側Y1において延びた部位(上記実施形態では、第2セパレータ26の最外周261の周縁)は、正極集電体30と正極板21とが接合された部位91に止められている。
【0043】
換言すれば、二次電池100では、捲回電極体120の最外周から内側に向かって、第2セパレータ26、負極板22、第1セパレータ25、および、正極板21、の順に積層されている。そして、第2セパレータ26のうちの負極板22の最外周221よりも外周側に巻かれた部分が、第1側Y1において延び、かつ、正極集電体30と正極板21とが接合された部位91に止められていることによって、第1側Y1における負極板22の最外周221の縁が、第2セパレータ26の最外周261によって、正極板21の最外周211側に寄せられる。このため、第1セパレータ25を介在させた、負極板22の最外周221と正極板21の最外周211との間に生じる隙間21sが閉じられ、当該隙間に異物が入り込みにくくなる。
【0044】
二次電池100は、各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle(PHEV))、ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle(HEV))、電気自動車(Battery Electric Vehicle(BEV))等が挙げられる。
【0045】
以上、ここで開示される技術の第1実施形態について説明した。ただし、上述した実施形態は、ここで開示される技術が適用された二次電池の一例を示すものである。以下、ここに開示される技術の他の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、特に言及している点以外は、上記第1実施形態に係る二次電池100と略同等の構成を採用することができる。
【0046】
《第2実施形態》
上記第1実施形態では、第2セパレータ26の最外周261の第1側Y1における周縁の少なくとも一部が接合部位91に寄せて巻かれていた。しかし、これに限定されない。
図6は、捲回電極体220の構成を説明する模式図である。第2実施形態では、二次電池100の発電要素として、捲回電極体220が用いられている。
図6に示されているように、捲回電極体220は、第2セパレータ226を有している。例えば、第2セパレータ226は、帯部226aと幅広部226bとを有している。帯部226aは、例えば、帯状であり、第2セパレータ226の長手方向の一方の端部から、同方向に沿って、同じ幅W1を有する部位である。帯部226aの幅W1は、例えば、正極活物質層21bの幅および負極活物質層22bの幅よりも大きい。幅広部226bは、矩形状であり、例えば、帯部226aの幅W1よりも大きな幅W2を有する部位である。幅広部226bは、
図6に示されているように、帯部226aの短手方向の端部から第1側Y1において延びた領域226cを有している。
【0047】
この実施形態では、捲回電極体220を作製したときに、第2セパレータ26の最外周261に幅広部226bが配置される。例えば、幅広部226bの、帯部226aの短手方向の端部から第1側Y1において延びた領域226cは、正極板21と正極集電体30との接合部位91で止められる。第2セパレータ226を使用した場合であっても、ここで開示される技術の効果を実現することができる。
【0048】
《その他の実施形態》
また、上記第1実施形態では、第2セパレータ26の最外周を接合部位91に止めた。しかし、これに限定されない。第1セパレータ25の最外周を接合部位に止めてもよい。例えば、第1セパレータ25を、該第1セパレータ25の最外周が捲回電極体の最外周に配置されるように巻き、かかる第1セパレータ25の最外周を第1側Y1に引っ張って、第1側Y1に伸ばしてもよい。この場合であっても、ここで開示される技術の効果を実現することができる。なお、第1セパレータ25として、上記第2実施形態における第2セパレータ226の形状を有するセパレータを使用してもよい。
【0049】
また、上記第1実施形態では、捲回電極体120の最外周に配置された第2セパレータ26が、正極板21と正極集電体30との双方に溶着されている。しかし、これに限定されない。例えば、第2セパレータ26の最外周261が負極板22の最外周221の外周側に複数周巻かれている場合、第2セパレータ26の最外周261は、正極板21のみに溶着されうる。この場合であっても、ここで開示される技術の効果を実現することができる。
【0050】
以上、ここに開示される技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここに開示される発明には上記の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 二次電池
10 電池ケース
12 ケース本体
14 蓋
20,120,220 捲回電極体
21 正極板
21a 正極集電箔
21b 正極活物質層
22 負極板
22a 負極集電箔
22b 負極活物質層
25 第1セパレータ
26,226 第2セパレータ
30 正極集電体
40 負極集電体
71 ガスケット
72 インシュレータ
91 接合部
100 二次電池