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特許7495930車両用クリーナシステム及び車両用クリーナ付きセンサシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車両用クリーナシステム及び車両用クリーナ付きセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20240529BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20240529BHJP
   B60S 1/56 20060101ALI20240529BHJP
   B60S 1/54 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B60S1/46 E
B60S1/62 110B
B60S1/62 110A
B60S1/62 120B
B60S1/62 120C
B60S1/56 120Z
B60S1/54 C
B60S1/56 120B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021528098
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022569
(87)【国際公開番号】W WO2020255781
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2019113845
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019113846
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一弘
(72)【発明者】
【氏名】舟見 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】速水 寿文
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114853(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105905075(CN,A)
【文献】特開2015-216463(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198465(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードと、待機モードで動作可能なセンサと、
前記センサの汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて前記センサを洗浄可能なクリーナユニットと、
前記センサおよび前記クリーナユニットを制御する制御部と、を有し、
前記センサは、所定間隔で動作する前記通常モードと、前記通常モードよりも長い時間間隔で動作する前記待機モードで動作可能であり、
前記クリーナユニットは、前記作動信号に応じて作動する正常モードと、前記作動信号が入力されても作動しない禁止モードで動作可能であり、
前記制御部は、
前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないことを判定する固着汚れ判定部と、
前記固着汚れ判定部が前記センサの汚れが落ちないと判定した時に前記センサを前記通常モードから前記待機モードに移行させる第一モード切替部と、
前記センサを前記待機モードで動作させている際に、前記待機モードで取得したセンサ出力に基づいて汚れが落ちたか否かを判定するセンサ復活判定部と、
前記センサ復活判定部が前記センサの汚れが落ちたと判定した時に前記センサを前記待機モードから前記通常モードに復帰させる第二モード切替部と、を有し、
前記制御部は、前記センサが前記通常モード時に前記クリーナユニットを前記正常モードで動作させ、前記センサが前記待機モード時に前記禁止モードで動作させるように構成されている、車両用クリーナ付きセンサシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記クリーナユニットの前記正常モード時に前記センサの出力に応じて前記センサに汚れが付着したと判定し前記クリーナユニットに前記作動信号を出力する通常汚れ判定部を有し、
前記通常汚れ判定部と、前記固着汚れ判定部と、前記センサ復活判定部と、前記第一モード切替部と、前記第二モード切替部とが、車両の走行を制御する車両制御部から出力される信号に基づき前記センサおよび前記クリーナユニットを制御するセンサ制御部に含まれている、請求項に記載の車両用クリーナ付きセンサシステム。
【請求項3】
前記固着汚れ判定部は、前記クリーナユニットが所定回数動作しても前記センサから汚れが落ちていないと通知される、あるいは、前記クリーナユニットが所定時間内に所定回数以上作動された時に、前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないと判定するように構成されている、請求項に記載の車両用クリーナ付きセンサシステム。
【請求項4】
車両に搭載されるセンサと、
前記センサの汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて前記センサを洗浄可能なクリーナユニットと、
前記クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を有し、
前記クリーナユニットは、前記作動信号に応じて作動する正常モードと、前記作動信号が入力されても作動しない禁止モードで動作可能であり、
前記クリーナ制御部は、
前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないと判定する固着汚れ判定部と、
前記固着汚れ判定部が前記センサの汚れが落ちないと判定した時に前記クリーナユニットを前記正常モードから前記禁止モードに移行させる第一モード切替部と、
前記第一モード切替部による前記禁止モードへの切替時から、所定時間が経過した、天候が変化した、気温が所定温度以上変化した、車速が所定速度以上変化した、走行距離が所定距離以上となった、のいずれか1つ以上の所定条件を満たすか否かを判定する条件変化判定部と、
前記条件変化判定部が前記所定条件が満たしたと判定した時に、前記クリーナユニットを前記禁止モードから前記正常モードに移行させる第二モード切替部と、を有する、車両用クリーナ付きセンサシステム。
【請求項5】
車両に搭載されるセンサと、
前記センサの汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて前記センサを洗浄可能なクリーナユニットと、
前記クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を有し、
前記クリーナユニットは、前記作動信号に応じて作動する正常モードと、前記作動信号が入力されても作動しない禁止モードで動作可能であり、
前記クリーナ制御部は、
前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないと判定する固着汚れ判定部と、
前記固着汚れ判定部が前記センサの汚れが落ちないと判定した時に前記クリーナユニットを前記正常モードから前記禁止モードに移行させる第一モード切替部と、
前記第一モード切替部による前記禁止モードへの切替時から、所定時間が経過した、天候が変化した、気温が所定温度以上変化した、車速が所定速度以上変化した、走行距離が所定距離以上となった、のいずれか1つ以上の所定条件を満たすか否かを判定する条件変化判定部と、
所定回数以上前記クリーナユニットを作動させた後に前記センサの汚れが落ちたか否かを判定するテストモードに前記クリーナユニットを移行させる第二モード切替部と、を有し、
前記第二モード切替部は、前記テストモードにおいて前記センサの汚れが落ちたと判定されたら前記クリーナユニットを前記正常モードに移行させ、前記テストモードにおいて前記センサの汚れが落ちないと判定されたら前記禁止モードに移行させる、車両用クリーナ付きセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用クリーナシステム及び車両用クリーナ付きセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両周囲の状況を撮影する車載カメラが搭載された車両が増えてきている。車載カメラは取得した情報を、自車両を制御する車両用ECUなどに出力する。車載カメラは、撮像面であるレンズが雨や泥等で汚れてしまう場合がある。このため、従来、レンズ上に付着した水滴等の異物を除去するために、車載カメラのレンズに洗浄液や圧縮空気等を吹き付けて異物を除去する装置が特許文献1などに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2001-171491号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のような車両用クリーナにおいて、同じ洗浄対象物を複数回洗浄する場合の洗浄方式には改善の余地がある。
【0005】
車両には、複数のカメラやセンサが搭載されるようになってきている。これら複数のカメラやセンサを上述した車両用クリーナで洗浄することが考えられる。すると、車両用クリーナの消費電力が多くなる。
【0006】
そこで、本発明は、同じ洗浄対象物を複数回洗浄する場合に効果的な洗浄方式が実現可能な車両用クリーナシステムを提供することを目的の一つとする。
【0007】
加えて、本発明は、消費電力が抑制された車両用クリーナ付きセンサシステムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の少なくとも一つを達成するために、本発明の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両に搭載された洗浄対象物を洗浄するための車両用クリーナシステムであって、
洗浄媒体を前記洗浄対象物へ向けて噴射するクリーナと、
前記クリーナを作動させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、作動信号に応じて前記クリーナを第一の態様で作動させた後に、所定時間内に再び前記クリーナを作動させるときは、前記クリーナを前記第一の態様とは異なる第二の態様で作動させる。
【0009】
上記構成によれば、同じ洗浄対象物を複数回洗浄する場合に、洗浄の態様(洗浄方法)を変化させることで、効果的な洗浄が可能となる。
【0010】
また、本発明の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
車両に搭載された洗浄対象物を洗浄するための車両用クリーナシステムであって、
洗浄媒体を前記洗浄対象物へ向けて噴射するクリーナと、
前記洗浄対象物に付着した異物に応じて前記クリーナを作動させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記クリーナを第一の態様で作動させた後に、前記異物が除去できていないと判断した場合には、前記クリーナを前記第一の態様とは異なる第二の態様で作動させる。
【0011】
上記構成によれば、洗浄後にも洗浄対象物に付着した異物が除去できない場合に、洗浄の態様を変化させることで、効果的な洗浄(異物除去)が可能となる。
【0012】
本発明の一側面に係る車両用クリーナ付きセンサシステムは、
通常モードと、待機モードで動作可能なセンサと、
前記センサの汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて前記センサを洗浄可能なクリーナユニットと、
前記センサおよび前記クリーナユニットを制御する制御部と、を有し、
前記センサは、所定間隔で動作する前記通常モードと、前記通常モードよりも長い時間間隔で動作する前記待機モードで動作可能であり、
前記クリーナユニットは、前記作動信号に応じて作動する正常モードと、前記作動信号が入力されても作動しない禁止モードで動作可能であり、
前記制御部は、
前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないことを判定する固着汚れ判定部と、
前記固着汚れ判定部が前記センサの汚れが落ちないと判定した時に前記センサを前記通常モードから前記待機モードに移行させる第一モード切替部と、
前記センサを前記待機モードで動作させている際に、前記待機モードで取得したセンサ出力に基づいて汚れが落ちたか否かを判定するセンサ復活判定部と、
前記センサ復活判定部が前記センサの汚れが落ちたと判定した時に前記センサを前記待機モードから前記通常モードに復帰させる第二モード切替部と、を有し、
前記制御部は、前記センサが前記通常モード時に前記クリーナユニットを前記正常モードで動作させ、前記センサが前記待機モード時に前記禁止モードで動作させるように構成されている。
【0013】
また、本発明の一側面に係る車両用クリーナ付きセンサシステムは、
車両に搭載されるセンサと、
前記センサの汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて前記センサを洗浄可能なクリーナユニットと、
前記クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を有し、
前記クリーナユニットは、前記作動信号に応じて作動する正常モードと、前記作動信号が入力されても作動しない禁止モードで動作可能であり、
前記クリーナ制御部は、
前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないと判定する固着汚れ判定部と、
前記固着汚れ判定部が前記センサの汚れが落ちないと判定した時に前記クリーナユニットを前記正常モードから前記禁止モードに移行させる第一モード切替部と、
前記第一モード切替部による前記禁止モードへの切替時から、所定時間が経過した、天候が変化した、気温が所定温度以上変化した、車速が所定速度以上変化した、走行距離が所定距離以上となった、のいずれか1つ以上の所定条件を満たすか否かを判定する条件変化判定部と、
前記条件変化判定部が前記所定条件が満たしたと判定した時に、前記クリーナユニットを前記禁止モードから前記正常モードに移行させる第二モード切替部と、を有する。
【0014】
また、本発明の一側面に係る車両用クリーナ付きセンサシステムは、
車両に搭載されるセンサと、
前記センサの汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて前記センサを洗浄可能なクリーナユニットと、
前記クリーナユニットを制御するクリーナ制御部と、を有し、
前記クリーナユニットは、前記作動信号に応じて作動する正常モードと、前記作動信号が入力されても作動しない禁止モードで動作可能であり、
前記クリーナ制御部は、
前記クリーナユニットによる洗浄によっても前記センサの汚れが落ちないと判定する固着汚れ判定部と、
前記固着汚れ判定部が前記センサの汚れが落ちないと判定した時に前記クリーナユニットを前記正常モードから前記禁止モードに移行させる第一モード切替部と、
前記第一モード切替部による前記禁止モードへの切替時から、所定時間が経過した、天候が変化した、気温が所定温度以上変化した、車速が所定速度以上変化した、走行距離が所定距離以上となった、のいずれか1つ以上の所定条件を満たすか否かを判定する条件変化判定部と、
所定回数以上前記クリーナユニットを作動させた後に前記センサの汚れが落ちたか否かを判定するテストモードに前記クリーナユニットを移行させる第二モード切替部と、を有し、
前記第二モード切替部は、前記テストモードにおいて前記センサの汚れが落ちたと判定されたら前記クリーナユニットを前記正常モードに移行させ、前記テストモードにおいて前記センサの汚れが落ちないと判定されたら前記禁止モードに移行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同じ洗浄対象物を複数回洗浄する場合に効果的な洗浄方式が実現可能な車両用クリーナシステムを提供することができる。
【0016】
加えて、本発明によれば、消費電力が抑制された車両用クリーナ付きセンサシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係る車両用クリーナシステム及び第二実施形態に係るセンサシステムを搭載した車両の上面図である。
図2】第一実施形態に係る車両システムのブロック図である。
図3】第一実施形態に係る車両用クリーナシステムのブロック図である。
図4】洗浄対象物と、クリーナ装置と、エアカーテン装置の一例を示す斜視図である。
図5図4のクリーナ装置の斜視図である。
図6図4のクリーナ装置の液ノズルの回転状態を示す図である。
図7図4のエアカーテン装置の分解斜視図である。
図8】車両用クリーナシステムの動作を説明するフローチャートである。
図9】車両用クリーナシステムにおける、ウォッシャ作動信号と、クリーナ装置の作動状態と、の関係を示すタイミングチャートである。
図10】変形例に係る、ウォッシャ作動信号と、クリーナ装置の作動状態と、の関係を示すタイミングチャートである。
図11】第二実施形態に係る車両システムのブロック図である。
図12】センサシステムのブロック図である。
図13】第二実施形態に係るセンサシステムが実行するフローチャートである。
図14】第三実施形態に係るセンサシステムのブロック図である。
図15】第四実施形態および第五実施形態に係るセンサシステムのブロック図である。
図16】第四実施形態に係るセンサシステムが実行するフローチャートである。
図17】第五実施形態に係るセンサシステムが実行するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0019】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0020】
(第一実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両用クリーナシステム100(以下、クリーナシステム100と称す)が搭載された車両1の上面図である。車両1は、クリーナシステム100を備えている。本実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0021】
まず、図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。図2は、車両システム2のブロック図を示している。図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0022】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。車両制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されるプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。
【0023】
内部センサ5は、自車両の情報を取得可能なセンサである。内部センサ5は、例えば、加速度センサ、速度(車速)センサ、車輪速センサ及びジャイロセンサ等の少なくとも一つである。内部センサ5は、車両1の走行状態を含む自車両の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。内部センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ、外部センサ6に異物が付着しているかどうかを検出する汚れセンサなどを備えていてもよい。
【0024】
外部センサ6は、自車両の外部の情報を取得可能なセンサである。外部センサは、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の少なくとも一つである。外部センサ6は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を含む自車両の外部の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。あるいは、外部センサ6は、天候状態を検出する天候センサや車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサなどを備えていてもよい。
カメラは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。
レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。
LiDARとは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略語である。LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の形状、物体の材質、物体の色などの情報を取得するセンサである。
【0025】
ランプ7は、車両1の前部に設けられるヘッドランプやポジションランプ、車両1の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両の前部または側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両のドライバーに自車両の状況を知らせる各種ランプなどの少なくとも一つである。
【0026】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0027】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0028】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0029】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0030】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0031】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0032】
図1に戻り車両1は、外部センサ6として、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、前カメラ6c、後カメラ6dを有している。前LiDAR6fは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後LiDAR6bは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。右LiDAR6rは車両1の右方の情報を取得するように構成されている。左LiDAR6lは車両1の左方の情報を取得するように構成されている。前カメラ6cは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後カメラ6dは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。
【0033】
なお、図1に示した例では、前LiDAR6fは車両1の前部に設けられ、後LiDAR6bは車両1の後部に設けられ、右LiDAR6rは車両1の右部に設けられ、左LiDAR6lは車両1の左部に設けられた例を示しているが、本発明はこの例に限られない。例えば車両1の天井部に前LiDAR、後LiDAR、右LiDAR、左LiDARがまとめて配置されていてもよい。
【0034】
車両1は、ランプ7として、右ヘッドランプ7rと左ヘッドランプ7lを有している。右ヘッドランプ7rは車両1の前部のうちの右部に設けられ、左ヘッドランプ7lは車両1の前部のうちの左部に設けられている。右ヘッドランプ7rは左ヘッドランプ7lよりも右方に設けられている。
【0035】
車両1は、フロントウィンドウ1fと、リヤウィンドウ1bを有している。
【0036】
車両1は、本発明の実施形態に係るクリーナシステム100を有している。クリーナシステム100は、対象物に付着する水滴や氷(雪)や泥や埃などの異物を除去、あるいは、対象物へ異物が付着することを防止するシステムである。
本実施形態において、クリーナシステム100は、フロントウィンドウ1fを洗浄可能な前ウィンドウウォッシャユニット(以降、前WWと称す)101と、リヤウィンドウ1bを洗浄可能な後ウィンドウウォッシャユニット(以降、後WWと称す)102を有する。
また、クリーナシステム100は、前LiDAR6fを洗浄可能な前LiDARクリーナユニット(以降、前LCと称す)103と、後LiDAR6bを洗浄可能な後LiDARクリーナユニット(以降、後LCと称す)104を有する。
また、クリーナシステム100は、右LiDAR6rを洗浄可能な右LiDARクリーナユニット(以降、右LCと称す)105と、左LiDAR6lを洗浄可能な左LiDARクリーナユニット(以降、左LCと称す)106を有する。
また、クリーナシステム100は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能な右ヘッドランプクリーナユニット(以降、右HCと称す)107と、左ヘッドランプ7lを洗浄可能な左ヘッドランプクリーナユニット(以降、左HCと称す)108を有する。
また、クリーナシステム100は、前カメラ6cを洗浄可能な前カメラクリーナユニット109aと、後カメラ6dを洗浄可能な後カメラクリーナユニット109bを有する。各々のクリーナ101~109bは一つ以上のノズルを有し、ノズルから洗浄液や水や空気等の洗浄媒体を対象物に向けて噴射する。
【0037】
図3は、クリーナシステム100のブロック図である。クリーナシステム100は、上述したクリーナ101~109bと、これらのクリーナ101~109bを制御する統合制御部111を有している。なお、図3では、上述したクリーナ101~109bのうち、前LC103と、前カメラクリーナユニット109aと、後LC104と、後カメラクリーナユニット109bが示されており、前WW101、後WW102、右LC105、左LC106、右HC107、および左HC108は省略されている。
【0038】
前LC103は、前LiDAR6fに付着した異物を除去する第一クリーナ装置120(クリーナの一例)と、前LiDAR6fに異物が付着することを防止する第一エアカーテン装置130とを有している。
前カメラクリーナユニット109aは、前カメラ6cに付着した異物を除去する第二クリーナ装置140(クリーナの一例)と、前カメラ6cに異物が付着することを防止する第二エアカーテン装置150とを有している。
後LC104は、後LiDAR6bに付着した異物を除去する第三クリーナ装置160(クリーナの一例)と、後LiDAR6bに異物が付着することを防止する第三エアカーテン装置170とを有している。
後カメラクリーナユニット109bは、後カメラ6dに付着した異物を除去する第四クリーナ装置180(クリーナの一例)と、後カメラ6dに異物が付着することを防止する第四エアカーテン装置190とを有している。
【0039】
ここで、エアカーテン装置とは、車載センサや車両用灯具などの洗浄対象物に対して、所定風速または所定風量で連続的に風を吹き付け、洗浄対象物の表層に常に一定の風が流れるようにすることで、洗浄対象物に異物が付着することを防止するエアカーテン機能を実現する装置である。
【0040】
各々のクリーナ装置120,140,160,180には、クリーナ制御部(図示省略)が設けられている。また、各々のエアカーテン装置130,150,170,190には、エアカーテン制御部(図示省略)が設けられている。各々のクリーナ制御部およびエアカーテン制御部は、統合制御部111に電気的に接続されている。各々のクリーナ制御部およびエアカーテン制御部は、統合制御部111から入力される信号に基づいて、各々のクリーナ装置120,140,160,180およびエアカーテン装置130,150,170,190の動作を制御する。統合制御部111は、車両制御部3に電気的に接続されている。
【0041】
なお、本実施形態では、クリーナ制御部と、エアカーテン制御部と、統合制御部111とは、別個の構成として設けられているが、これらの制御部は一体的に構成されてもよい。この点において、クリーナ制御部、エアカーテン制御部、および統合制御部111は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。また、車両制御部3と統合制御部111とは、別個の構成として設けられているが、車両制御部3と統合制御部111とは一体的に構成されてもよい。この点において、車両制御部3と統合制御部111は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
【0042】
また、図3に図示したクリーナシステム100は、前LiDAR6fや前カメラ6cなど各種外部センサを含むセンサ付きクリーナシステムである。なお、クリーナシステム100は、車両1の側方の画像を取得するサイドカメラなど、図示しないセンサに対して、異物を除去するクリーナ装置や異物の付着を防止するエアカーテン装置を含んでもよい。
【0043】
次に、図4から図7を参照して、洗浄対象物と、当該洗浄対象物へ向けて洗浄液を噴射するクリーナ装置および洗浄対象物に向けて空気(風)を噴射するエアカーテン装置の詳しい構成を説明する。
図4は、洗浄対象物の一例である前LiDAR6fと、当該前LiDAR6fへ洗浄液を噴射する第一クリーナ装置120および当該前LiDAR6fへ空気を噴射する第一エアカーテン装置130を示す。
【0044】
洗浄対象物である前LiDAR6fの洗浄面21は、例えば、矩形状(本例では横長の矩形状)に形成されている。第一クリーナ装置120は、液ノズル121を介して、洗浄液を前LiDAR6fの洗浄面21へ向けて噴射する。第一エアカーテン装置130は、エアノズル136を介して、空気を前LiDAR6fの洗浄面21へ向けて噴射する。洗浄面21は、前LiDAR6fの検出面を意味する。
【0045】
第一クリーナ装置120の液ノズル121は、前LiDAR6fの洗浄面21の上辺22に対向する位置に配置されている。すなわち、液ノズル121は、横長矩形状の洗浄面21における長辺に対向する位置に配置されていることが好ましい。液ノズル121は、洗浄面21の下辺23に対向する位置に配置されるようにしてもよいが、下辺23側に液ノズル121を配置すると液ノズル121の開口部内に水や泥などが侵入する可能性があるため、液ノズル121は上辺22に対向する位置に配置されることがより好ましい。
【0046】
第一エアカーテン装置130のエアノズル136は、前LiDAR6fの洗浄面21における上辺22と直交する左辺24に対向する位置に配置されている。すなわち、エアノズル136は、横長矩形状の洗浄面21における短辺に対向する位置に配置されていることが好ましい。エアノズル136は、洗浄面21の右辺25に対向する位置に配置されるようにしてもよい。
【0047】
なお、他の洗浄対象物と、その洗浄対象物に対するクリーナ装置およびエアカーテン装置との構成は、図4と同様の構成であるのでその説明は省略する。他の洗浄対象物には、外部センサである後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、前カメラ6c、後カメラ6dや、車両用灯具である右ヘッドランプ7r、左ヘッドランプ7lや、フロントウィンドウ1f、リヤウィンドウ1b等が含まれる。
【0048】
図5は、第一クリーナ装置120の斜視図である。図5に示すように、第一クリーナ装置120は、シリンダ122と、ピストン123と、一対の液ノズル121,121と、を備えている。
【0049】
シリンダ122は、円筒状に形成され、その後方側には連結部124が設けられている。連結部124には、洗浄液を供給するためのホースが接続される。ホースは、洗浄液が貯留されている洗浄液タンク(図示省略)に接続されている。当該ホースが連結部124に接続されることで、洗浄液が洗浄液タンクからシリンダ122内に供給される。
【0050】
ピストン123は、円筒状のシリンダ122に摺動自在に収容されている。ピストン123は、シリンダ122の中心軸に沿って前後方向へ進退可能である。
【0051】
液ノズル121,121は、ピストン123の先端近傍において左右一対に設けられている。液ノズル121,121には、洗浄液を噴射するための噴射口125が設けられている。液ノズル121,121は、噴射口125から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて洗浄液を噴射可能なノズルである。一対の液ノズル121,121は、互いに同一の構成を有しているため、以降の説明では、左側の液ノズル121について説明する。
【0052】
液ノズル121は、フルイディクス式ノズル(揺動噴射ノズル)として機能する。フルイディクス式ノズルとは、ノズル内部を流れる流体を互いに干渉させることにより流体の噴射方向を変化させるノズルである。液ノズル121は、フルイディクス式ノズルとしての構成を備えることにより、前LiDAR6fの洗浄面21の広い範囲に洗浄液を高圧で噴射することができる。なお、液ノズル121は、洗浄液の噴射方向を変化させることなく噴射口125から噴射させてもよい。
【0053】
図6は、第一クリーナ装置120における液ノズル121の回動状態を示す図である。図6に示すように、液ノズル121は、ノズルホルダ126に取り付けられている。ノズルホルダ126は、ピストン123に対して左右方向に沿った軸Lを中心に回動可能に取り付けられている。また、液ノズル121は、ノズルホルダ126に対して上記の軸L方向に垂直な軸Mを中心に回動可能に取り付けられている。液ノズル121およびノズルホルダ126を適宜に回動させておくことで、前LiDAR6fと液ノズル121との位置関係に応じて適切な位置に液ノズル121の噴射口125を向けることができる。これにより、前LiDAR6fに対して洗浄液が適切に当たるよう、液ノズル121の位置を調整することができる。
【0054】
なお、液ノズル121は、ピストン123の先端近傍において片側一方のみに設けられていてもよい。また、液ノズル121は、洗浄面21の上辺22に沿って3個以上設けられていてもよい。あるいは、液ノズル121は、ピストン123の先端部に1個設けられるようにしてもよい。その場合、液ノズル121は、横長矩形状の洗浄面21に対応するように広角の噴射口を備えていることが好ましい。複数の噴射口あるいは広角の噴射口を備えることにより、洗浄面21のような横長矩形状の洗浄面に対して洗浄面全体に洗浄液を付着させることができる。
【0055】
図7は、第一エアカーテン装置130の分解斜視図である。図7に示すように、第一エアカーテン装置130は、ハウジング131と、羽根車132と、エアカーテンモータ133と、フレーム134と、モータケース135と、を備えている。
【0056】
羽根車132は、エアカーテンモータ133により回転軸線Axの回りに回転可能である。羽根車132は、円板状のプレート132aと、複数の羽根132bと、を有している。複数の羽根132bのそれぞれは、羽根車132の径方向に延びるように設けられている。複数の羽根132bは、プレート132aに環状をなすように配置されている。
【0057】
ハウジング131は、羽根車132を覆っている。ハウジング131は、羽根車132の回転軸線Axの一方側と他方側とに分割されている。ハウジング131は、その内部に略ドーナツ状の内部空間を有している。羽根車132は、この内部空間に収容されている。ハウジング131は、空気を吸い込むための吸込み口131aと、吸い込んだ空気を吹き出すための吹出し口131bと、を有している。吸込み口131aは、羽根車132の複数の羽根132bに対応した位置において回転軸線Ax方向に開口している。吹出し口131bは、羽根車132の回転軸線Axに対して交差する方向に開口している。
【0058】
羽根車132が回転すると、吸込み口131aから吸い込まれた空気が羽根132bによってハウジング131の内周面131cに押し付けられる。押し付けられた空気は、ハウジング131の内周面131cに沿って案内され、吹出し口131bまで導かれる。吹出し口131bまで導かれた空気は、吹出し口131bから第一エアカーテン装置130の外部へ送り出される。つまり、羽根車132の回転軸線Ax方向から吸い込まれた空気は、回転する羽根132bによって径方向に押し出されてハウジング131の内周面131cに押し付けられ、径方向に開口した吹出し口131bから第一エアカーテン装置130の外部へ送り出される。そして、吹出し口131bから外部へ送り出された空気は、吹出し口131bに取り付けられているエアノズル136(図4参照)を介して、前LiDAR6fの洗浄面21へ向けて吹き付けられる。複数の羽根132bを有する羽根車132が回転することにより、空気(風)が連続的に洗浄面21へ向けて吹き付けられる。洗浄面21に吹き付けられた空気は洗浄面21に沿って流れる。ところで、洗浄面21に近づいた埃は洗浄面21に沿って流れる気流に乗って気流とともに洗浄面21以外に運び去られて、洗浄面21に付着しない。このようにして、第一エアカーテン装置130は、洗浄面21に埃等の異物が付着することを防止している。
【0059】
なお、上述した例以外に、第一エアカーテン装置130の送風機構として、プロペラファン、シロッコファン、ターボファン、斜流ファンなどを採用してもよい。これらの非容積式送風手段は、比較的大きな風量が得られやすい。また、第一エアカーテン装置130の送風機構として、レシプロ式、ねじ式、ルーツ式、ベーン式などの、容積式のファンを採用してもよい。なお送風機構は、ファンの他に、ブロア、ポンプなどと呼ばれることがある。
【0060】
次に、図8および図9を参照して、クリーナシステム100の動作例を説明する。
図8は、クリーナシステム100の動作を説明するフローチャートである。図9は、クリーナシステム100における、ウォッシャ作動信号と、クリーナ装置の作動状態と、の関係を示すタイミングチャートである。
【0061】
ウォッシャ作動信号は、クリーナ装置を作動させるための信号である。ウォッシャ作動信号は、例えば車両1のイグニッションスイッチがONされたときや、運転者によりクリーナ装置を作動させるためのウォッシャスイッチが操作されたときに出力される。また、ウォッシャ作動信号は、例えば前LiDAR6fの洗浄面21の汚れを検知する汚れセンサによって汚れが検知されたときや、前LiDAR6fによって取得された車両周辺情報に基づいて洗浄面21の汚れが検知されたときに出力される。また、ウォッシャ作動信号は、例えば自動運転モードが開始されるときや、天候センサにより雨、雪等の悪天候が検知されたときや、温度センサにより気温の低下が検知されたときに出力される。さらに、ウォッシャ作動信号は、例えば車速センサによって速度の上昇が検知されたときや、日本道路交通情報センタ(JARTIC)などの道路交通情報によって車両1が高速道路へ進入したことが検知されたとき等に出力される。出力されたウォッシャ作動信号は、車両制御部3に入力され、車両制御部3を介して統合制御部111に入力される。
【0062】
先ず、クリーナ装置の作動例1について説明する。
ステップS1において、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号が入力されたか否かを判断する。ウォッシャ作動信号が入力されていないと判断された場合(ステップS1のNo)、統合制御部111は、ステップS1の処理を繰り返す。一方、ウォッシャ作動信号の入力があったと判断された場合(ステップS1のYes)、統合制御部111は、ステップS2に移行する。本例では、車両1の運転モードを自動運転モードに切替える運転モード切替スイッチが操作されてウォッシャ作動信号(例えば図9のウォッシャ作動信号205)が統合制御部111に入力されたものとして説明する。
【0063】
ステップS2において、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号205に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様A(第一の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様A」とは、図9の作動状態211に示されるように、第一クリーナ装置120を時間t1だけ動作させる動作態様のことを言う。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が時間t1だけ噴射される。
【0064】
次に、ステップS3において、統合制御部111は、ステップS2における動作態様Aの作動により前LiDAR6fの洗浄面21が洗浄されたか否か(清浄状態となったか否か)を判断する。統合制御部111は、前LiDAR6fの洗浄面21に水滴や氷(雪)や泥や埃などの異物が付着しているかどうかを、例えば汚れセンサの検出結果に基づいて判断する。なお、統合制御部111は、例えば前LiDAR6fによって取得される情報に基づいて洗浄面21に異物が付着しているかどうかを判断してもよい。
【0065】
ステップS3において、洗浄面21が洗浄されていると判断された場合(ステップ3のYes)、統合制御部111は、第一クリーナ装置120による洗浄処理を終了する。一方、洗浄面21が洗浄されていない(清浄状態となっていない)と判断された場合(ステップ3のNo)、統合制御部111は、ステップS4に移行する。
【0066】
統合制御部111は、ステップS4において、第一クリーナ装置120の動作を一旦停止させる。
【0067】
次に、統合制御部111は、ステップS5において、第一クリーナ装置120を停止させてから所定時間T1(例えば1~2時間程度)が経過したか否かを判断する。所定時間T1が経過していないと判断された場合(ステップS5のNo)、統合制御部111は、所定時間T1が経過するまでステップ5の処理を繰り返す。一方、所定時間T1が経過したと判断された場合(ステップS5のYes)、統合制御部111は、ステップS6に移行する。
【0068】
統合制御部111は、ステップS6において、前LiDAR6fの洗浄面21に付着している異物の付着状態に変化があるか否か判断する。例えば、統合制御部111は、ステップS6における汚れセンサの検出結果と、ステップS3における汚れセンサの検出結果とを比較して異物の付着状態が変化しているか否かを判断する。なお、統合制御部111は、前LiDAR6fによって取得される情報を比較して異物の付着状態に変化があるか否かを判断してもよい。
【0069】
ステップS6において、異物の付着状態に変化がないと判断された場合(ステップS6のNo)、統合制御部111は、ステップS5に戻って処理を繰り返す。一方、異物の付着状態に変化があると判断された場合(ステップS6のYes)、統合制御部111は、第一クリーナ装置120を作動させるためのウォッシャ作動信号を統合制御部111自らが入力する。
【0070】
次に、統合制御部111は、ステップS7において、ウォッシャ作動信号が入力されたか否かを判断する。ウォッシャ作動信号の入力がないと判断された場合(ステップS7のNo)、統合制御部111は、ステップS5に戻って処理を繰り返す。一方、ウォッシャ作動信号の入力(例えば図9のウォッシャ作動信号206)があったと判断された場合(ステップS7のYes)、統合制御部111は、ステップS8に移行する。
【0071】
統合制御部111は、ステップS8において、停止させていた第一クリーナ装置120を起動させる。
【0072】
次に、統合制御部111は、ステップS9において、クリーナ制御部を制御して第一クリーナ装置120を動作態様B(第二の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様B」とは、図9の作動状態212に示されるように、第一クリーナ装置120を時間t2だけ動作させる動作態様のことを言う。動作態様Bは、動作態様Aとは異なる動作態様である。動作態様Bにおける第一クリーナ装置120の動作時間t2は、動作態様Aにおける第一クリーナ装置120の動作時間t1よりも長い動作時間となるように設定されている。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が時間t2だけ噴射される。
【0073】
なお、図8において、統合制御部111は、例えば、動作態様Aによる作動によって前LiDAR6fの洗浄面21の異物が除去されなかった場合(ステップ3のNo)、洗浄面21が汚れているため運転モードを自動運転モードに切替えることができない旨の警告を運転者に通知するようにしてもよい。この場合、除去できない付着状態の異物に対する不必要な洗浄の繰り返しを抑制することができる。また、運転者は警告に対応して、例えば車両を停車させて洗浄面21を清掃し、その後の運転における適切な処置を施すことが可能になる。また、統合制御部111は、例えば、第一クリーナ装置120を動作態様Bで作動(ステップS9)させた後、洗浄面21の異物が除去されたかどうか汚れセンサの検出結果に基づいて判断し、異物が除去された場合には、異物が除去された旨を運転者に通知するようにしてもよい。この場合、清掃された状態の洗浄面21に対する不必要な洗浄を抑制することができる。
【0074】
また、上述したステップS4からステップS6では、第一クリーナ装置120を一旦停止させてから所定時間T1経過後に異物の付着状態を判断する場合について説明したが、これに限られない。例えば、第一クリーナ装置120を一旦停止させた後、天候センサの検出結果に基づいて、雨または雪等が降っていた悪天候が晴れ等の好天候へと変化したと判断されたときに、異物の付着状態を判断するようにしてもよい。この判断は、例えば、所定時間T1が経過する前であってもよい。天候が雨または雪から晴れへと変化した場合、洗浄面21に付着した異物(特に凍り付いた雨・雪)の状態は変化しやすいため、再度の洗浄によって除去できる可能性が高くなる。また、例えば、第一クリーナ装置120を一旦停止させた後、温度センサの検出結果に基づいて、車両外部の気温が上昇したと判断されたときに、異物の付着状態を判断するようにしてもよい。この判断も、所定時間T1が経過する前であってもよい。気温が上昇した場合にも、洗浄面21に付着した異物の状態は変化しやすいため、再度の洗浄によって除去できる可能性が高くなる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態のクリーナシステム100は、洗浄媒体を前LiDAR6fの洗浄面21へ向けて噴射する第一クリーナ装置120と、第一クリーナ装置120を作動させる統合制御部111と、を備えている。そして、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号205に応じて第一クリーナ装置120を動作態様Aで作動させた後に、異物が除去できていないと判断した場合には、第一クリーナ装置120を一旦停止させ、所定時間T1経過後に再び第一クリーナ装置120を作動させるときは、第一クリーナ装置120を動作態様Aとは異なる動作態様Bで作動させる。この構成によれば、動作態様Aによる洗浄によって洗浄面21に付着した異物を除去することができない場合に、洗浄の態様を動作態様Bに変化させることで、効果的な洗浄(異物除去)が可能となる。また、動作態様Aで異物を除去できない場合に、所定時間T1の間、第一クリーナ装置120を停止させることで、洗浄除去が困難な付着物に対する第一クリーナ装置120の無駄な洗浄動作を抑制することができる。
【0076】
また、クリーナシステム100は、除去できなかった異物の付着状態を検出し、異物の付着状態に変化がある場合に、停止されていた第一クリーナ装置120を起動させ、再度、洗浄動作を行うように構成されている。異物の付着状態が変化することで異物が除去されやすくなる場合もあるため、付着状態が変化したときに洗浄することで無駄な洗浄を抑制し効果的な洗浄が可能になる。さらに、第一クリーナ装置120を起動させた後の再度の洗浄動作では、一度目の動作態様Aとは異なる動作態様Bで第一クリーナ装置120を作動させることにより、第一クリーナ装置120の動作時間すなわち洗浄液の噴射時間を一度目の噴射時間よりも長くすることができる。このため、動作態様Aでは除去できなかった異物を動作態様Bによって効果的に洗浄することができる。
【0077】
続いて、クリーナ装置の作動例2について説明する。
上述した作動例1では、一度クリーナ装置を作動させた後に再びクリーナ装置を作動させる場合、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射時間を増加して作動させているが、作動例2では、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射圧を増加して作動させる。
【0078】
図9に示すように、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号205に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様C(第一の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様C」とは、作動状態215に示されるように、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射圧を噴射圧p1で噴射させる動作態様のことを言う。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が噴射圧p1で噴射される。
【0079】
また、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号206に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様D(第二の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様D」とは、作動状態216に示されるように、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射圧を噴射圧p2で噴射させる動作態様のことを言う。動作態様Dは、動作態様Cとは異なる動作態様である。動作態様Dにおける洗浄液の噴射圧p2は、動作態様Cにおける洗浄液の噴射圧p1よりも噴射圧が高くなるように設定されている。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が噴射圧p2で噴射される。
【0080】
なお、第一クリーナ装置120を動作態様Cで作動させた後に動作態様Dで作動させる処理の流れは、図8で説明したクリーナ装置の作動例1における処理の流れと同様である。また、上記の動作態様C,Dでは洗浄液の噴射圧を変化させているが、例えば、動作態様C,Dにおいて洗浄液の噴射流量を変化させて作動させるようにしてもよい。
【0081】
続いて、クリーナ装置の作動例3について説明する。
クリーナ装置の作動例3では、一度クリーナ装置を作動させた後に再びクリーナ装置を作動させる場合、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射回数を増加して作動させる。
【0082】
図9に示すように、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号205に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様E(第一の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様E」とは、作動状態218に示されるように、液ノズル121から洗浄液をn回噴射させる動作態様のことを言う。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液がn回噴射される。
【0083】
また、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号206に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様F(F1,F2,F3)(第二の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様F」とは、作動状態219に示されるように、液ノズル121から洗浄液をm回噴射させる動作態様のことを言う。動作態様Fは、動作態様Eとは異なる動作態様である。動作態様Fにおける洗浄液の噴射回数mは、動作態様Eにおける洗浄液の噴射回数nよりも噴射回数が多くなるように設定されている。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液がm回噴射される。洗浄液のm回の噴射は、連続的な噴射(例えば5秒以下の間隔)であることが好ましい。
【0084】
上述したクリーナ装置の作動例2,3の場合にも、クリーナ装置の作動例1の場合と同様に、第一の態様(動作態様C,E)では除去できなかった洗浄面21に付着する異物を第二の態様(動作態様D,F)によって効果的に洗浄することができる。
【0085】
(変形例)
図10は、変形例に係る、ウォッシャ作動信号と、クリーナ装置の作動状態と、の関係を示すタイミングチャートである。
上述したクリーナ装置の作動例1~3では、一度クリーナ装置を作動させた後に再度クリーナ装置を作動させる場合、再度の動作態様を一度目の動作態様よりも強い洗浄方式として作動させる例を説明したが、変形例に係るクリーナ装置の作動例では、再度の動作態様を一度目の動作態様よりも弱い洗浄方式として作動させる例を説明する。なお、洗浄方式を弱くすること以外の動作は、図8で説明したクリーナ装置の作動例1における処理の流れと同様である。
【0086】
先ず、クリーナ装置の作動例4について説明する。
クリーナ装置の作動例4では、一度クリーナ装置を作動させた後に再びクリーナ装置を作動させる場合、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射時間を一度目の噴射時間よりも減少して作動させる。
【0087】
図10に示すように、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号301に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様G(第一の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様G」とは、作動状態311に示されるように、第一クリーナ装置120を時間t3だけ動作させる動作態様のことを言う。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が時間t3だけ噴射される。
【0088】
また、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号302に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様H(第二の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様H」とは、作動状態312に示されるように、第一クリーナ装置120を時間t4だけ動作させる動作態様のことを言う。動作態様Hは、動作態様Gとは異なる動作態様である。動作態様Hにおける第一クリーナ装置120の動作時間t4は、動作態様Gにおける第一クリーナ装置120の動作時間t3よりも短い動作時間となるように設定されている。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が時間t4だけ噴射される。
【0089】
続いて、クリーナ装置の作動例5について説明する。
クリーナ装置の作動例5では、一度クリーナ装置を作動させた後に再びクリーナ装置を作動させる場合、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射圧を減少して作動させる。
【0090】
図10に示すように、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号301に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様I(第一の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様I」とは、作動状態321に示されるように、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射圧を噴射圧p3で噴射させる動作態様のことを言う。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が噴射圧p3で噴射される。
【0091】
また、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号302に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様J(第二の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様J」とは、作動状態322に示されるように、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射圧を噴射圧p4で噴射させる動作態様のことを言う。動作態様Jは、動作態様Iとは異なる動作態様である。動作態様Jにおける洗浄液の噴射圧p4は、動作態様Iにおける洗浄液の噴射圧p3よりも噴射圧が低くなるように設定されている。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液が噴射圧p4で噴射される。
【0092】
なお、上記の動作態様I,Jでは洗浄液の噴射圧を変化させているが、例えば、動作態様I,Jにおいて洗浄液の噴射流量を変化させて作動させるようにしてもよい。
【0093】
続いて、クリーナ装置の作動例6について説明する。
クリーナ装置の作動例6では、一度クリーナ装置を作動させた後に再びクリーナ装置を作動させる場合、液ノズル121から噴射される洗浄液の噴射回数を減少して作動させる。
【0094】
図10に示すように、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号301に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様K(K1,K2,K3)(第一の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様K」とは、作動状態331に示されるように、液ノズル121から洗浄液をq回噴射させる動作態様のことを言う。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液がq回噴射される。洗浄液のq回の噴射は、連続的な噴射(例えば5秒以下の間隔)であることが好ましい。
【0095】
また、統合制御部111は、ウォッシャ作動信号302に基づいてクリーナ制御部を制御し、第一クリーナ装置120を動作態様L(第二の態様の一例)で作動させる。ここで「動作態様L」とは、作動状態332に示されるように、液ノズル121から洗浄液をr回噴射させる動作態様のことを言う。動作態様Lは、動作態様Kとは異なる動作態様である。動作態様Lにおける洗浄液の噴射回数rは、動作態様Kにおける洗浄液の噴射回数qよりも噴射回数が少なくなるように設定されている。これにより、第一クリーナ装置120の液ノズル121から前LiDAR6fの洗浄面21に向けて、洗浄液がr回噴射される。
【0096】
ところで、クリーナ装置を第一の態様で作動させて洗浄動作を行った場合、該洗浄動作で全ての異物を除去することはできなくても、ある程度の部分的な異物の除去をすることができる場合はある。このような場合に、上述したクリーナ装置の作動例4から6によれば、第二の態様(動作態様H,J,L)を第一の態様(動作態様G,I,K)よりも弱い洗浄方式とすることで、第一クリーナ装置120の消費電力を抑えつつ、第一の態様では取りきれなかった軽微な汚れを第二の態様によって効果的に洗浄することができる。
【0097】
なお、上記実施形態では、クリーナ装置を第一の態様で作動させた後に、異物が除去できていないと判断された場合、クリーナ装置を一旦停止させ、所定時間T1経過後における異物の付着状態に応じて、第二の態様でクリーナ装置を作動させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、クリーナ装置を第一の態様で作動させた後、所定時間T2(例えば10分程度)内に再びウォッシャ作動信号を受信したときに、第二の態様でクリーナ装置を作動させ、それでも異物が除去できていないと判断された場合、クリーナ装置を一旦停止させるようにしてもよい。そして、その後に図8におけるステップS5以降の処理と同様の処理を行うようにしてもよい。
【0098】
また、例えば、クリーナ装置を第一の態様で作動させた後、所定時間T2(例えば10分程度)内に、運転者が繰り返し何度も(例えば5回以上)運転モード切替スイッチを操作して運転モードを自動運転モードに切り替えようとした場合(ウォッシャ作動信号が解除されない場合)に、第二の態様でクリーナ装置を作動させるようにしてもよい。
【0099】
(第二実施形態)
図1に示すように、車両1は、第二実施形態に係る車両用クリーナ付きセンサシステム100A(以下、センサシステム100Aと称す)を備えていてもよい。第二実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0100】
まず、図11を参照して車両1の第二実施形態に係る車両システム202について説明する。図11は、車両システム202のブロック図を示している。図11に示すように、車両システム202は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム202は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。これらの各部は第一実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0101】
図12は、センサシステム100Aのブロック図である。センサシステム100Aは、前WW101~後カメラクリーナ109bの他に、前タンク115、前ポンプ112、後タンク113、後ポンプ114、統合制御部220(センサ制御部の一例)を有している。
【0102】
前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、前カメラクリーナ109aは、前ポンプ112を介して前タンク115に接続されている。前ポンプ112は前タンク115に貯留された洗浄液を、前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、前カメラクリーナ109aに送る。
【0103】
後WW102と後LC104と後カメラクリーナ109bは、後ポンプ114を介して後タンク113に接続されている。後ポンプ114は後タンク113に貯留された洗浄液を後WW102と後LC104と後カメラクリーナ109bに送る。
【0104】
前WW101~後カメラクリーナ109bには、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象物に吐出させるアクチュエータ(図示省略)がそれぞれ設けられている。前WW101~後カメラクリーナ109bに設けられたアクチュエータは、統合制御部220に電気的に接続されている。また、統合制御部220は、前ポンプ112、後ポンプ114、車両制御部3にも電気的に接続されている。センサシステム100Aにおいて、前WW101~後カメラクリーナ109bおよびポンプ112,114は、統合制御部220から出力される作動信号に基づいて作動するように構成されている。なお、以降の説明で前WW101~後カメラクリーナ109bをまとめてクリーナユニット110と呼ぶことがある。
【0105】
図11に戻り車両システム202は、センサシステム100Aに電気的に接続されている。センサシステム100Aは、統合制御部220と、外部センサ6と、クリーナユニット110と、を有している。センサシステム100Aの統合制御部220は、車両システム202の車両制御部3に通信可能に接続されている。
【0106】
統合制御部220は、クリーナユニット110および外部センサ6に通信可能に接続されている。統合制御部220は、クリーナユニット110と外部センサ6の動作を制御する。
統合制御部220は、車両制御部3から出力される信号に応じて外部センサ6とクリーナユニット110を制御する。本実施形態においては、統合制御部220が車両制御部3からクリーナシステムをON状態とする信号を受信し、統合制御部220は外部センサ6からの入力に基づき各々のクリーナユニット110の動作を制御する。
外部センサ6は、統合制御部220を介して車両制御部3に情報を送信するように構成されていてもよいし、統合制御部220を介さずに直接車両制御部3に情報を送信するように構成されていてもよい。第二実施形態においては、外部センサ6は統合制御部220を介して車両制御部3に情報を送信するように構成されている。
【0107】
クリーナユニット110は、正常モードあるいは禁止モードで動作するように構成されている。正常モードとは、クリーナユニット110が統合制御部220から出力される作動信号に応じて作動するように設定されているモードである。禁止モードとは、クリーナユニット110が統合制御部220から作動信号が入力されても作動しないように設定されているモードである。
【0108】
外部センサ6は、通常モードあるいは待機モードで動作するように構成されている。通常モードとは、外部センサ6が予め定められた所定の時間間隔(通常間隔)で動作するように設定されているモードである。待機モードとは、外部センサ6が通常モードよりも長い時間間隔(待機間隔)で動作するように設定されているモードである。例えば待機モードは30分間隔、1時間間隔、2時間間隔、などで動作するように設定されているモードである。
【0109】
図11に示したように、統合制御部220は、通常汚れ判定部221と、固着汚れ判定部222と、センサ復活判定部223と、第一モード切替部224と、第二モード切替部225と、クリーナ作動部226と、を有している。
【0110】
次に、統合制御部220が外部センサ6とクリーナユニット110を制御するフローについて、図13を参照して説明する。
図13は、センサシステム100Aが実行するフローチャートである。また、図13においてフローチャートの右側に、各ステップで外部センサ6とクリーナユニット110に設定されるモードを示す。
なお、以降の説明では外部センサ6の一例として前カメラ6cを、クリーナユニット110の一例として前カメラクリーナ109aを挙げて説明する。
【0111】
車両1のイグニッションがONにされ、センサシステム100Aが起動されると、先ず、統合制御部220は、ステップS11において、前カメラ6cの動作モードを通常モードに設定し、前カメラクリーナ109aの動作モードを正常モードに設定する。通常モードに設定された前カメラ6cは、通常間隔で動作して、車両周辺の画像を撮像する。また、正常モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号の入力に応じて作動する入力待ち状態になる。
【0112】
次に、統合制御部220の通常汚れ判定部221は、ステップS12において、通常間隔おきに前カメラ6cから出力される撮像画像を解析し、前カメラ6cが汚れているか否かを判定する。
【0113】
前カメラ6cが汚れていないと判定された場合(ステップS12:No)、統合制御部220は、前カメラクリーナ109aを作動させない。一方、前カメラ6cが汚れていると判定された場合(ステップS12:Yes)、統合制御部220は、ステップS13に移行する。例えば通常汚れ判定部221は、前カメラ6cによって撮像された画像中に、汚れが付着している領域が検出範囲の20%を超えて含まれていると解析された場合に、前カメラ6cが汚れていると判定する。
【0114】
ステップS13において、統合制御部220のクリーナ作動部226は、前カメラクリーナ109aに作動信号を出力して前カメラクリーナ109aを作動させ、前カメラ6cに付着する汚れの除去を試みる。この場合、前カメラ6cの動作モードは通常モードに維持され、前カメラクリーナ109aの動作モードは正常モードに維持される。
【0115】
次に、統合制御部220の固着汚れ判定部222は、ステップS14において、通常間隔おきに前カメラ6cから出力される撮像画像を解析し、前カメラクリーナ109aによる洗浄によって前カメラ6cの汚れが落ちているか否かを判定する。例えば固着汚れ判定部222は、クリーナユニット110が洗浄動作を行った後に、外部センサ6の出力に基づき、外部センサ6の検出範囲が広がらないと判定したときに、外部センサ6の汚れが落ちないと判定する。あるいは、固着汚れ判定部222は、クリーナユニット110が所定時間内に所定回数以上作動されたときに、クリーナユニット110による洗浄によっても外部センサ6の汚れは落ちないと判定してもよい。
【0116】
前カメラ6cの汚れが落ちたと判定された場合(ステップS14:No)、統合制御部220は、ステップS12に戻る。一方、前カメラ6cの汚れが落ちないと判定された場合(ステップS14:Yes)、統合制御部220は、ステップS15に移行する。
【0117】
ステップS15において、統合制御部220の第一モード切替部224は、前カメラ6cの動作モードを通常モードから待機モードに変更する。また、統合制御部220は、前カメラクリーナ109aの動作モードを正常モードから禁止モードに変更する。待機モードに設定された前カメラ6cは、通常モードの通常間隔よりも長い待機間隔(例えば10分~1時間間隔)で動作して、車両周辺の画像を撮像する。また、禁止モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号が入力されても作動しない作動禁止状態になる。
【0118】
次に、統合制御部220のセンサ復活判定部223は、ステップS16において、上記待機間隔おきに前カメラ6cから出力される撮像画像を解析し、前カメラ6cの汚れが落ちているか否かを判定する。例えば、待機モードに設定されてからある程度の時間(待機間隔)が経過すると、走行風によって埃が離脱したり、付着した雪が温度上昇によって溶融したりといったように、環境の変化に伴って汚れの付着状況が変化することが期待できる。そして、前カメラ6cによって撮像された画像において汚れと判定された領域の占める割合が減少していれば、そこに前カメラクリーナ109aによる洗浄を加えることでさらに汚れを落とすことが期待できる。このため、待機モードに設定されてから所定時間が経過した後に、センサ復活判定部223が前カメラ6cの汚れが落ちているか否かを判定する。
【0119】
例えば、センサ復活判定部223は、待機モードとなる直前の外部センサ6の検出範囲に比べて、外部センサ6の検出範囲が広がっているときに、外部センサ6の汚れが落ちたと判定する。あるいはセンサ復活判定部223は、外部センサ6の感度が外部センサ6の基準感度を上回っているときに、外部センサ6の汚れが落ちたと判定する。
【0120】
前カメラ6cの汚れが落ちていないと判定された場合(ステップS16:No)、統合制御部220は、再び上記待機間隔の経過後に汚れの有無が判定されるまで待機する。前カメラ6cの汚れが落ちていないときは、自車両の状況が変化していないと思われるため、前カメラクリーナ109aを作動させても汚れの除去が期待できないからである。
【0121】
一方、前カメラ6cの汚れが落ちたと判定された場合(ステップS16:Yes)、統合制御部220は、ステップS17に移行する。なお、センサ復活判定部223は、例えば、前カメラ6cによって撮像された画像において汚れと判定された領域の占める割合が1割以上減少していると解析された場合に、前カメラ6cの汚れが落ちたと判定する。
【0122】
ステップS17において、統合制御部220の第二モード切替部225は、前カメラ6cの動作モードを待機モードから通常モードに変更する。また、第二モード切替部225は、前カメラクリーナ109aの動作モードを禁止モードから正常モードに変更する。通常モードに設定された前カメラ6cは、通常間隔で動作して、車両周辺の画像を撮像する。また、正常モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号の入力に応じて作動する入力待ち状態になる。
【0123】
第二実施形態に係るセンサシステム100Aは、外部センサ6と、外部センサ6を洗浄可能なクリーナユニット110と、外部センサ6およびクリーナユニット110を制御する統合制御部220と、を備えている。外部センサ6は、所定間隔で動作する通常モードと、通常モードよりも長い時間間隔で動作する待機モードと、で動作可能である。クリーナユニット110は、外部センサ6の汚れ判定結果に応じて出力される作動信号に応じて洗浄動作を行う正常モードと、上記出力される作動信号に応じて洗浄動作を行わない禁止モードと、で動作可能である。統合制御部220は、クリーナユニット110の正常モード時に外部センサ6の出力に基づいて外部センサ6に汚れが付着したか否か判定する通常汚れ判定部221と、クリーナユニット110による洗浄によっても外部センサ6の汚れが落ちないことを判定する固着汚れ判定部222と、固着汚れ判定部222が外部センサ6の汚れが落ちないと判定した時に外部センサ6を通常モードから待機モードに変更させる第一モード切替部224と、外部センサ6の待機モード時に外部センサ6の出力に基づいて外部センサ6の汚れが落ちたか否か判定するセンサ復活判定部223と、センサ復活判定部223が外部センサ6の汚れが落ちたと判定した時に外部センサ6を待機モードから通常モードに復帰させる第二モード切替部225と、を有している。
【0124】
クリーナユニット110で外部センサ6を洗浄しても外部センサ6の汚れが落ちない時は、当該外部センサ6で情報を検出しても検出された情報に正確性を欠くことも多い。したがって、外部センサ6が汚れている状態では外部センサ6を通常間隔で検出動作させても無駄な場合が多い。そこで、統合制御部220は、外部センサ6の汚れが落ちないときは外部センサ6を待機モードに設定して外部センサ6が動作する時間間隔を長くし、外部センサ6で消費される電力を低減する。また、外部センサ6が待機モードで動作している時は、洗浄しても外部センサ6の汚れが落ちない状態なのでクリーナユニット110を作動させても無益である。そこで、統合制御部220は、外部センサ6が待機モードのときはクリーナユニット110を禁止モードにしてクリーナユニット110を動作させないように設定する。これによりクリーナユニット110で消費される電力や洗浄媒体を節約することができる。しかしながら、このように外部センサ6を待機モードにして外部センサ6を作動させないままにしておくことは好ましくない。また、車両の乗員に外部センサ6の汚れが落ちたと判定して外部センサ6を通常モードに設定しなおさせることは現実的ではない。そこで、統合制御部220は、待機モード時における外部センサ6の検出において外部センサ6の汚れが落ちている(汚れの付着状態が変化した)と判定されたときに、外部センサ6を通常モードに復帰させている。また、統合制御部220は、外部センサ6を通常モードに復帰させることに合わせてクリーナユニット110を正常モードに復帰させ、作動信号の入力に応じてクリーナユニット110が動作するようにしている。
【0125】
なお、第二実施形態においては、通常汚れ判定部221、固着汚れ判定部222、センサ復活判定部223、第一モード切替部224、第二モード切替部225、およびクリーナ作動部226が統合制御部220(センサ制御部の一例)に含まる構成とされているが、これに限られない。例えば、これらの各部221~226は、車両1の走行を制御する車両制御部3に含まれる構成であってもよいし、あるいはクリーナユニット110を制御するために設けられるクリーナ制御部に含まれる構成であってもよい。
【0126】
(第三実施形態)
図14は、第三実施形態に係るセンサシステム100Bのブロック図である。
図14に示すように、通常汚れ判定部221は、車両制御部3の一部として組み込まれていてもよい。本実施形態においては、外部センサ6の出力に基づき車両制御部3がクリーナユニット110の作動を決定する。統合制御部320が車両制御部3から、特定のクリーナユニット110を作動させよ、という信号に基づき特定のクリーナユニット110を作動させる。すなわち、外部センサ6が通常モードに設定されているときの外部センサ6の汚れの判定は、車両制御部3で行うように構成されていてもよい。この場合、センサシステム100B側の統合制御部320は、固着汚れ判定部222と、センサ復活判定部223と、第一モード切替部224と、第二モード切替部225と、クリーナ作動部226とを含む構成になる。
【0127】
第三実施形態のセンサシステム100Bが実行するフローチャートは図13と同様であるため、その詳細な説明は省略する。第三実施形態のセンサシステム100Bにおいて、車両制御部3は、車両1の制御を行うために外部センサ6が出力するセンサ情報を評価している。このため、車両制御部3が通常時における汚れ判定を行うように構成しても、車両制御部3への該機能の組み込み作業の負荷が大きくなりにくい。このように構成した場合、車両制御部3は、統合制御部320を介して外部センサ6からセンサ情報を受信し、受信しセンサ情報に基づいて、通常時における外部センサ6の汚れを除去するようにクリーナユニット110に作動信号を送信するように構成される。
【0128】
もっとも、クリーナユニット110による洗浄によっても落ちない固着汚れが外部センサ6に付着した際には、上記第二実施形態と同様に、センサシステム100B側の統合制御部320によって外部センサ6とクリーナユニット110が制御され外部センサ6の汚れが除去される。
【0129】
第三実施形態に係るセンサシステム100Bのように構成した場合にも、第二実施形態のセンサシステム100Aと同様に、消費電力を抑制することができる。
【0130】
(第四実施形態)
図15は、第四実施形態に係るセンサシステム100Cのブロック図である。また、図16は、第四実施形態に係るセンサシステム100Cが実行するフローチャートである。なお、図16においてもフローチャートの右側に、各ステップで前カメラ6cと前カメラクリーナ109aに設定されるモードを示す。
【0131】
第四実施形態のセンサシステム100Cは、統合制御部230(クリーナ制御部の一例)がクリーナユニット110を制御するクリーナ制御部として機能するように構成されている。統合制御部230は、図15に示すように、通常汚れ判定部231、固着汚れ判定部232、条件変化判定部233、第一モード切替部234、第二モード切替部235C、およびクリーナ作動部236を有している。
【0132】
通常汚れ判定部231、固着汚れ判定部232、およびクリーナ作動部236の機能は、第二実施形態の統合制御部220における通常汚れ判定部221、固着汚れ判定部222、およびクリーナ作動部226の機能と同様である。
【0133】
図16に示すように、車両1のイグニッションがONにされ、センサシステム100Cが起動されると、先ず、統合制御部230は、ステップS21において、前カメラクリーナ109aの動作モードを正常モードに設定する。正常モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号の入力に応じて作動する入力待ち状態になる。
【0134】
次に、統合制御部230の通常汚れ判定部231は、ステップS22において、前カメラ6cから出力される撮像画像を解析し、前カメラ6cが汚れているか否かを判定する。
【0135】
前カメラ6cが汚れていないと判定された場合(ステップS22:No)、統合制御部230は、前カメラクリーナ109aを作動させずに、前カメラ6cから撮像画像を取得し続ける。一方、前カメラ6cが汚れていると判定された場合(ステップS22:Yes)、統合制御部230は、ステップS23に移行する。
【0136】
ステップS23において、統合制御部230は、クリーナ作動部236により、前カメラクリーナ109aに作動信号を出力して前カメラクリーナ109aを作動させ、前カメラ6cに付着する汚れの除去を試みる。
【0137】
次に、統合制御部230の固着汚れ判定部232は、ステップS24において、前カメラ6cから出力される撮像画像を解析し、前カメラクリーナ109aによる洗浄によって前カメラ6cの汚れが落ちていないかを判定する。
【0138】
前カメラ6cの汚れが落ちたと判定された場合(ステップS24:No)、統合制御部230は、ステップS22に戻る。一方、前カメラ6cの汚れが落ちないと判定された場合(ステップS24:Yes)、統合制御部230の固着汚れ判定部232は、ステップS25に移行する。
【0139】
ステップS25において、統合制御部230の第一モード切替部224は、前カメラクリーナ109aの動作モードを正常モードから禁止モードに変更する。禁止モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号が入力されても作動しない作動禁止状態になる。
【0140】
次に、統合制御部230の条件変化判定部233は、ステップS26において、前カメラクリーナ109aが禁止モードに切り替えられてから、自車両の周辺状況に所定条件を満たす変化が生じたか否かを判定する。所定の条件とは、例えば、所定の時間が経過したこと、天候が変化したこと、気温が所定温度以上変化したこと、車速が所定速度以上変化したこと、走行距離が所定距離以上となったこと等である。
【0141】
所定条件の変化が生じたと判定された場合(ステップS26:Yes)、統合制御部230は、ステップS27に移行する。一方、所定条件の変化が生じていないと判定された場合(ステップS26:No)、統合制御部230は、所定条件の変化が生じたと判定されるまで判定処理を繰り返す。所定条件の変化が生じていないときは、自車両の状況が変化していないと予測されるため、前カメラクリーナ109aを作動させても汚れの除去が期待できないからである。
【0142】
ステップS27において、統合制御部230の第二モード切替部235Cは、前カメラクリーナ109aの動作モードを禁止モードから正常モードに変更する。正常モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号の入力に応じて作動する入力待ち状態になる。
例えば、クリーナユニット110が禁止モードに切り替えられてから所定時間(例えば30分・1時間等)が経過すると汚れの付着状態に変化が生じて除去可能になる場合もある。また、天候が晴れから雨に変化することで、付着していた泥が落ちやすくなる場合もある。あるいは天候が雪から雨に変化することで、付着した雪が落ちやすくなる場合もある。また、気温が上昇することで付着していた雪がとける場合もある。また、車速が変化することにより雪や埃が走行風で吹き飛ばされる場合もある。また、所定距離以上を走行することで汚れの付着状態が変化する場合もある。このように、車両1の条件や車両1の周囲の条件が変化すると、汚れの付着状態に変化が生じて除去可能になっていることが期待される。このため、条件変化判定部233が所定条件の変化が生じたと判定した場合に、前カメラクリーナ109aの動作モードを禁止モードから正常モードに変更する。
【0143】
第四実施形態に係るセンサシステム100Cは、外部センサ6の汚れがクリーナユニット110の洗浄によって除去できないと判定されたときにクリーナユニット110を禁止モードに変更し、その後に外部センサ6の汚れの付着状態に変化が発生し得る所定の条件が満たされたと判定されたときにクリーナユニット110を正常モードに変更している。この構成によれば、汚れを除去しやすくなる所定の条件が満たされるまで禁止モードが維持されるので、クリーナユニット110の無駄な動作を抑制することが可能となり、システムの消費電力を抑制できる。
【0144】
(第五実施形態)
図17は、第五実施形態に係るセンサシステム100Dが実行するフローチャートである。また、図15は、第五実施形態に係るセンサシステム100Dのブロック図である。なお、図17においてもフローチャートの右側に、各ステップで前カメラ6cと前カメラクリーナ109aに設定されるモードを示す。
【0145】
第五実施形態のセンサシステム100Dは、第四実施形態のセンサシステム100Cと同様に、統合制御部230がクリーナユニット110を制御するクリーナ制御部として機能するように構成されている。図15に示すように、センサシステム100Dの統合制御部230は、通常汚れ判定部231、固着汚れ判定部232、条件変化判定部233、第一モード切替部234、第二モード切替部235D、およびクリーナ作動部236を有している。
【0146】
通常汚れ判定部231、固着汚れ判定部232、条件変化判定部233、第一モード切替部234、およびクリーナ作動部236の機能は、第四実施形態の統合制御部230における各部の機能と同様である。
【0147】
図17に示すように、センサシステム100DにおけるステップS31~ステップS36までの処理内容は、図16に示すセンサシステム100CにおけるステップS21~ステップS26までの処理内容と同様である。
【0148】
所定条件の変化が生じたと判定された場合(ステップS36:Yes)、統合制御部230は、ステップS37において、第二モード切替部135Dにより、前カメラクリーナ109aの動作モードを禁止モードからテストモードに変更する。テストモードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号の入力に応じて所定の回数以上作動する入力待ち状態になる。テストモードとは、クリーナユニット110が統合制御部230から出力される作動信号に応じて所定の回数作動するように設定されているモードである。
【0149】
次に、統合制御部230は、ステップS38において、クリーナ作動部236により、前カメラクリーナ109aに作動信号を出力して前カメラクリーナ109aを作動させ、前カメラ6cに付着する汚れの除去を所定の回数以上試みる。
【0150】
次に、統合制御部230は、ステップS39において、前カメラ6cから出力される撮像画像を解析し、前カメラクリーナ109aによる所定回数以上の洗浄によって前カメラ6cの汚れが落ちたか否かを判定する。
【0151】
前カメラ6cの汚れが落ちなかったと判定された場合(ステップS39:No)、統合制御部230の第二モード切替部235Dは、ステップS35に戻り、前カメラクリーナ109aの動作モードをテストモードから禁止モードに変更する。そして、統合制御部230は、再びステップS35以降の各処理を繰り返す。
一方、前カメラ6cの汚れが落ちたと判定された場合(ステップS39:Yes)、統合制御部230は、ステップS40に移行する。
【0152】
ステップS40において、統合制御部230の第二モード切替部235Dは、前カメラクリーナ109aの動作モードをテキストモードから正常モードに変更する。正常モードに設定された前カメラクリーナ109aは、作動信号の入力に応じて作動する入力待ち状態になる。
【0153】
第五実施形態に係るセンサシステム100Dは、禁止モードで動作するクリーナユニット110において、外部センサ6の汚れの付着状態に変化が発生し得る所定の条件が満たされたと判定されたときにクリーナユニット110をテストモードに変更し、前カメラ6cの汚れの除去を所定の回数以上試みて、汚れが落ちたと判定されたときにクリーナユニット110を正常モードに変更している。この構成によれば、汚れを除去しやすくなる所定の条件が満たされ、さらにテストモードにおいて汚れが落ちたと判定されるまで正常モードに復帰されないので、クリーナユニット110の無駄な動作をさらに抑制することが可能となり、システムの消費電力を抑制できる。
【0154】
<種々の変形例>
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0155】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードは、これら4つのモードの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、車両の運転モードは、いずれか一つのみを実行可能であってもよい。
【0156】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0157】
上述した実施形態では、クリーナシステム100及びセンサシステム100A~100Dを自動運転可能な車両に搭載した例を説明したが、クリーナシステム100やセンサシステム100A~100Dは自動運転不可能な車両に搭載してもよい。
【0158】
また、上述した実施形態では、クリーナシステム100は、外部センサ6を含む構成として説明したが、クリーナシステム100は、外部センサ6を含まない構成としてもよい。もっとも、クリーナシステム100が外部センサ6を含んだアセンブリ体として構成されていると、外部センサ6に対するクリーナ103~106,109a,109bの位置決め精度を高めやすいので好ましい。また、クリーナシステム100の車両1への搭載時に、外部センサ6も一緒に組み込むことができるので、車両1への組み付け性も高められる。
【0159】
上述した実施形態では、外部センサ6を洗浄および汚れの付着を防止するクリーナ・エアカーテン装置として、LiDAR6f,6b,6r,6lを洗浄する装置、および前カメラ6c,後カメラ6dを洗浄する装置を説明したが、本発明はこれに限られない。クリーナシステム100は、レーダを洗浄するクリーナ・エアカーテン装置などを、センサクリーナ103~106,109a,109bの代わりに有していてもよいし、センサクリーナ103~106,109a,109bと共に有していてもよい。
【0160】
なお、LiDAR6f,6b,6r,6lなどの外部センサ6は、検出面と、検出面を覆うカバーを有していることがある。外部センサ6を洗浄・汚れの付着を防止するクリーナ・エアカーテン装置は、検出面を洗浄・送風するように構成されていてもよいし、センサを覆うカバーを洗浄・送風するように構成されていてもよい。
【0161】
クリーナシステム100が吐出する洗浄液は、水、あるいは洗剤を含む。フロント・リヤウィンドウ1f,1b、ヘッドランプ7r,7l、LiDAR6f,6b,6r,6l、カメラ6c,6dのそれぞれに吐出する洗浄媒体は、相異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0162】
クリーナ101~109bには、洗浄媒体を吐出する1つ以上の吐出穴が設けられている。クリーナ101~109bは、洗浄液を吐出する1つ以上の吐出穴と、空気を吐出する1つ以上の吐出穴とが設けられていてもよい。
【0163】
各々のクリーナ101~109bは、それぞれ個別に設けてもよいし、複数をユニット化して構成してもよい。例えば、右LC105と右HC107を単一のユニットとして構成してもよい。右ヘッドランプ7rと右LiDAR6rとが一体化された態様に対して、右LC105と右HC107を単一のユニットとして構成するとよい。
【0164】
本出願は、2019年6月19日出願の日本特許出願2019-113845号、及び2019年6月19日出願の日本特許出願2019-113846号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
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図5
図6
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図15
図16
図17