(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】周囲環境で乾燥された安定なフォーム用の水性ポリウレタン分散体調合組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/40 20060101AFI20240529BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20240529BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240529BHJP
F16J 15/14 20060101ALI20240529BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240529BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240529BHJP
【FI】
C08G18/40 009
C08G18/75 010
C08G18/00 F
C08G18/00 C
F16J15/14 B
F16J15/14 C
F16J15/10 X
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021529075
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063281
(87)【国際公開番号】W WO2020112795
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-11
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ブロデリック、アダム ホーレット
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-049115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0234284(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁内の隙間にある表面の近傍又は表面上
に空間充填用塊状物を提供する方法であって、
(a)前記表面に、
イソホロンジイソシアネートと、1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリエステルポリオールを含む少なくとも2つの異なるポリオール成分とから形成されるポリウレタン重合体を含んでなる発泡性水性分散体の発泡試料を塗工すること、及び
(b)前記発泡性水性分散体の発泡試料を
、温度4℃~32℃及び相対湿度0%~90%の周囲環境条件下で乾燥させて安定
なフォームを製造することを含み、
前記安定なフォームは、建物の外壁内の隙間にある表面の近傍又は表面上に空間充填用塊状物を提供することにより空気の透過を防止し、さらに
前記安定なフォームは、温度32℃及び相対湿度90%の条件下でも潰れず、かつ、15 psi以下の圧力での圧縮率が元の高さの30%未満であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記発泡性水性分散体の前記発泡試料を塗工するステップは、加圧容器から前記発泡性水性分散体を分注することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
得られた前記安定なフォームの密度が0.04~0.4g/cm
3である、請求項1に記載の
方法。
【請求項4】
前記
安定なフォームの高さが3mm超である、請求項3に記載の
方法。
【請求項5】
前記
安定なフォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する、請求項1に記載の
方法。
【請求項6】
前記発泡性水性分散体が、前記発泡性水性分散体全体に対し0.3重量%未満のイオン性界面活性剤、石けん、又はワックスを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリエステルポリオールに対するポリエーテルポリオールの重量比が5:95~90:10である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、周囲環境で乾燥された安定なフォーム用の水性ポリウレタン分散体調合組成物及びその製造方法を記載する。より詳しくは、フォームは、分注されて、約4℃~約32℃(華氏40°F~約90°F)の温度で、且つ80%或いは90%の相対湿度(RH)といった高湿度条件を含む日常的に遭遇する湿度範囲の周囲環境条件下で乾燥されて乾燥軟質フォームが製造される。ある実施形態においては、フォームはエアロゾル缶から分注されてもよく、塗布が簡単で且つ後片付けが簡単という特徴を有していてもよい。更に、これらの組成物を製造し使用する方法もまた本明細書で述べる。本明細書に開示された組成物及び方法は、例えば建築業及び建設業において、建物の外壁にある隙間を通して入り込む空気を防ぐための発泡シーラントなどの、柔軟な空間充填用途に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルが分散された水性ラテックスフォームは多く報告されており、建物の外壁内の隙間を通して空気が入り込むのを防ぐための、後片付けが簡単な発泡シーラントとして建築業及び建設業向けに現在製造販売されている。この市場における製品は周囲環境条件によって乾燥されることが可能でなければならないが、温度及び湿度は地形及び季節ごとに変わる。特に屋内での塗工のためには、溶剤型組成物の高揮発性有機成分(VOC)に伴う臭気及び環境問題を避けるために、水性の組成物が明らかに好まれる。しかしながら、フォーム構造を所定の場所に固定するための主たる機序は水の蒸発と重合体フィルム形成であることから、ラテックスエアロゾルフォームは高相対湿度条件(例えば80%RH超)に特に弱い。高湿度は、高温(例えば華氏80°F超)と組み合わされると最も難易度の高い乾燥環境となる。乾燥時間が長くなると、例えば隙間又は建物の骨格に塗工されるビーズ状フォーム等の塗工されたフォームが扁平になったり又は潰れたりすることがよくある。多くの意図した用途において、フォームが潰れるなどしてビーズが扁平になると、隙間を埋める効果が減少し、建物の空調ロスが増える。
【0003】
周囲環境で乾燥されたラテックスフォームに関する過去の研究では、主に、界面活性剤、石けん、ワックス、及び/又はレオロジー改質剤を含有する添加剤配合物の設計によりフォームの粗化と湿潤フォームの潰れを遅延させることで湿度によって誘導されるフォームの潰れの問題に対処することを課題としていた。例えば、H.Sommerによる米国特許第7,029,609B2号明細書を参照のこと。そのような成分は、低相対湿度での乾燥中は安定なポリウレタン分散体(PUD)及び/又はアクリルラテックスからフォームを作成するのに効果的に使用することができるが、高温度及び/又は高湿度で乾燥している間のビーズの潰れに対しては十分な安定性を得ることができない。
【0004】
特許文献に記載の第2のアプローチは、添加される水の一部又は全部に代えて、より揮発性の高い溶媒(例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール等)を用いることである。(例えば、米国特許第6,333,365B1号明細書を参照のこと)。こうすることにより溶媒の蒸発速度は上昇し、重合体フィルムの形成とフォーム構造の固定は促進される。しかしながら、このアプローチを用いて作成したフォームは、依然として乾燥中に湿度によって誘導されるビーズが扁平になるか、或いは極端に脆くなることが観察され、物理的に操作され、又は酷使される場合、封止が維持されるために必要な靱性を欠く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、分注が可能で、周囲環境条件下で乾燥することにより軟質フォームが作成でき、高温多湿条件(例えば32℃、90%RH)下でも潰れに対して安定で、且つフォームの靭性と完全性(例えば脆くない)及び復元力(例えばフォームビーズを少しの間圧縮しても直ぐに元に戻る)を維持できる、水性ポリウレタン組成物に対するニーズがある。本発明は、そのような組成物、その製造方法、及びその使用方法、並びに他の重要な目的物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態においては、安定な軟質フォームを周囲硬化条件下で形成する発泡性水性分散体であって、前記発泡性水性分散体は、1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと、(i)ポリエーテルポリオール、(ii)ポリエステルポリオール、及び(iii)ポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分とから形成されるポリウレタン重合体を含有し、それからなり、又はそれから実質的になり、2つの異なる高分子ポリオール成分は、3つの高分子ポリオールカテゴリー(i)、(ii)及び(iii)のうち少なくとも2つのカテゴリーから高分子ポリオールを含有し、周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、を含む、発泡性水性分散体を提供する。
【0007】
別の実施形態においては、本発明の発泡性水性分散体から製造される軟質フォームが提供される。
【0008】
更に別の実施形態においては、表面の近傍又は表面上に空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する方法であって、(a)前記表面に、本発明の発泡性水性分散体の発泡試料を塗工すること、及び(b)発泡性水性分散体の発泡試料を周囲環境条件下で乾燥させて安定な軟質フォームを製造することを含み、それらからなり、又はそれらから実質的になり、周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、を含む、方法が提供される。ある実施形態においては、発泡性水性分散体の前記発泡試料を塗工するステップは、加圧エアロゾル容器などの加圧容器から前記発泡性水性分散体を分注することによって行われる。
【0009】
本発明を更に理解できるように含まれ、本明細書の一部として組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、明細書と共に、本発明の基本原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】32℃(華氏90°F)、相対湿度80%で乾燥した水性ポリウレタン分散体フォームを示す。左側のフォームは市販のポリエーテルポリオール系水性ポリウレタン分散体から作成されたフォームであり、右側のフォームはポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの50:50混合物に基づく水性ポリウレタン分散体から作成されたフォームである。フォームは両方ともPUDにそれぞれ添加された添加成分の同一の混合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明、例、図面、及び特許請求の範囲、並びにそれらの前述及び後述の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本発明は、別途規定のない限り、開示された具体的な組成物、系、及び/又は方法に限定されず、そのため当然変動し得ることが理解されるべきである。本発明の態様は、物質組成の法定分類などの特定の法定分類で説明及び特許請求され得るが、これは便宜上に過ぎず、当業者であれば、本発明の各態様を任意の法定分類において説明及び特許請求できることを理解するであろう。
【0012】
以下の本発明の詳細な説明は、本発明の、現在知られている最良の態様を実施可能にする教示としても提供される。この目的を達成するために、本明細書に記載の様々な本発明の態様に対して変更及び改変を行ってもよく、その場合でも本発明の有益な結果が得られることを当業者であれば認識し、正しく理解するであろう。本発明の特徴の一部を選択することによって他の特徴を用いることなく本発明の利益の一部が得られることもまた理解されるであろう。したがって、本発明に対する多くの改変及び適合が可能であること、及びある状況下においてはそのような多くの改変及び適合が望ましい場合さえあり、そのためそのような多くの改変及び適合は本発明の一部でもあることを当業者であれば認識するであろう。
【0013】
本発明は、様々な形態で具体化することができるが、いくつかの実施形態の以下の説明は、本開示が本発明の例示と見なされるものとし、また本発明を、例示された特定の実施形態に限定することを意図されていないと理解したうえでなされる。見出しは、便宜上与えられているに過ぎず、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の任意の見出し又は任意の部分で示される実施形態は、本開示の同じ若しくは任意の他の見出し又は他の部分で示されている実施形態と組み合わされ得る。
【0014】
本明細書に記載されている要素のあらゆる可能な変形形態での任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0015】
別段の明らかな記載のない限り、本明細書で説明する任意の方法又は態様は、その工程が特定の順序で実施されることを要求すると解釈されるべきでは決してない。したがって、方法の請求項が、工程が特定の順序に限定されると特許請求の範囲又は明細書において具体的に述べられていない場合、いかなる意味においても、順序を推論させようとするものでは決してない。これは、工程の配置若しくは動作フローに関する論理的事柄、文法構成若しくは句読点から導出される単純な意味、又は本明細書に記載される実施形態の数若しくはタイプを含む、解釈のためのあらゆる可能な非表現ベース(non-express basis)に当てはまる。上述の一般的な説明及び以下に述べる詳細な説明は両方とも具体例であり、例示だけを目的としており、限定ではないことを理解されたい。
【0016】
本明細書で言及する全ての刊行物は、刊行物に引用されるものと関連して方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の態様を説明するためのものであり、限定を目的とするものではないことが理解されるべきである。特に定義しない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。この後に続く本明細書及び特許請求の範囲においては、本明細書で定義する多くの用語について言及する。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈からそうでないことが明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
本明細書で使用される「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、後述する事象、状態、構成要素、又は状況が生じても生じなくてもよく、その説明には、前記事象、状態、構成要素、又は状況が生じる事例と生じない事例が含まれることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される「に対して十分な」(例えば、「に対して十分な条件」)という句は、十分な値又は十分な条件が発現されるための機能又は物性を実施することを可能にする値又は条件を意味する。下記に示すように、要求される正確な値又は特定の条件は使用された材料及び/又は加工条件などの認識された変数に応じて実施形態ごとに変わり得る。
【0021】
「重量による」という用語は、そうでないとの明記がない限り、成分と組み合わせて使用される場合、その構成要素が含まれる配合物又は組成物の総重量を基準とする。例えば、組成物又は物品中の特定の要素又は成分が8重量%の量で存在するとされる場合、このパーセンテージは100%の総組成割合に対するものであると理解される。いくつかの例では、成分の重量パーセントは、「乾量基準」又は「固形分基準」の組成物の総重量に基づいており、これらは水を含まない(例えば組成物の総重量を基準として約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、又は約0重量%の水)組成物の重量を示す。
【0022】
本明細書で例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10などの数値を開示する場合、以下の文は典型的にはその数値に従う。「上述の数字はそれぞれ「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」という用語と共に用いることができ、また上記数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることもでき、又は限定的な範囲の説明と組み合わせて用いることもできる」。この文は、各々の上述の数字を単独で(例えば、4)使用することができ、「約」という語を前に付けることもでき(例えば、約8)、「少なくとも約」という句を前に付けることもでき(例えば、少なくとも約2)、「約~未満」という句と共に用いることもでき(例えば、約7未満)、又は範囲を画定するのに前置きの語又は句のいずれかを用いる、又は用いないあらゆる組み合わせ(例えば2~9、約1~4、8~約9、約1~約10等)で使用できることを意味する。更に、範囲が「約X以下」と記載されている場合、この句は「約X」及び「約X未満」の組み合わせの範囲と同じ意味の代替的表現である。例えば、「約10以下」は「約10、又は約10未満」と同じである。本明細書ではそのような交換可能な範囲の説明が企図されている。本明細書では他の範囲の形式も開示されるが、形式上の違いは物質としての違いを暗示するものとして解釈されるべきではない。
【0023】
本出願に明記した様々な定量値における数値の使用は、特に明示的に指示しない限り、記載された範囲内の最小値及び最大値の何れにも単語「約」が先行するかのように近似値として記載されていてもよい。このように、記述された値からのわずかな差は、記載された値と実質的に同じ結果を達成するために用いることができる。また、範囲の開示は、記載された最小値及び最大値の間の全ての値及びそのような値によって形成され得るあらゆる範囲を含む連続的な範囲であることを意図している。また本明細書では、記載された数値を任意の他の記載された数値に分割することによって形成されてもよい任意の及び全ての比率(及びそのような比率の任意の範囲)もまた開示される。多くのそのような比率、範囲、及びその比率の範囲は本明細書にて提示される数値に明確に由来するものであってもよく、全ての例において、そのような比率、範囲、及びその比率の範囲は本発明の様々な実施形態を表すことを当業者であれば正しく理解するであろう。
【0024】
本明細書では、「実質的に~を含まない」という用語は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%未満、例えば約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、又は約0.01重量%未満の記載された物質を有する組成物を意味する。
【0025】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、組成物について用いられた場合、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約60重量%、例えば少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約91重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約93重量%、少なくとも約94重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%の特定の特徴又は成分を意味する。
【0026】
本明細書で使用される「フォーム」という用語は、液体の表面中若しくは液体の表面上に形成される、又は液体由来の、軽量で多泡質の、微細な気泡の塊を意味する。ここで、文脈によっては「フォーム」という用語は乾燥前の湿潤フォームを指すこともあり、又はその乾燥フォームを説明するのに使用されることもある。
【0027】
本明細書で使用される「安定なフォーム」(又はフォームを指す「安定な」という語)は、周囲の大気以外の外力がない状態で乾燥過程における潰れに対して安定なフォームを意味する。
【0028】
本明細書で使用される「軟質フォーム」は、最小限の圧力、すなわち15psi以下の圧力で、元の高さの30%よりも小さく容易に圧縮することができる乾燥フォームを意味する。
【0029】
本明細書で使用される「周囲硬化条件」は、典型的には空調されていない屋外の場所において経験される条件であって、エアロゾルにより分注されるフォーム製品を分注し、乾燥させることができる条件の範囲を意味する。「周囲硬化条件」からは、強制環流及び/又は強制加熱の任意の形態を含む環境は除外されている。
【0030】
本明細書で開示する分子量及び分子量に関連する他の値は全てゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0031】
本明細書で使用されるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とは、溶液中の分子をその大きさによって分離する、サイズ排除クロマトグラフ分離法の1つである。分離は、分離カラムとして知られる多孔質粒子の層を試料分子が通過する際の、その試料分子の差分排除(differential exclusion)によって達成される。GPCは重合体分子の実質的に正確なモル質量分布を決定するのに使用してもよい。例えば、カラムを通過した液体画分(溶離液)を一定の量で回収する。重合体はカラムを通って溶離するため、大きすぎてカラムの孔を通れない分子は充填細孔容積から排除され早めの保持時間で溶出し、一方、より小さい分子はカラム孔に入り込んでより遅い時間で溶出する。溶出した重合体の濃度は、例えば屈折率(RI)及び紫外線(UV)などの分光技術によって測定することができる。溶離液の流れをRI、低角レーザ光散乱(LALLS)、多角度レーザ散乱(MALLS)、UV、及び/又は粘度測定により連続的に分析してもよい。
【0032】
本明細書で使用する「数平均分子量」(M
n、又は
【数1】
)という用語は、試料中の全高分子鎖の統計的平均分子量を意味し、下記式によって定義される。
【数2】
式中、M
iは鎖の分子量であり、N
iはその分子量の鎖の数である。M
nは、重合体、例えばポリカーボネート重合体に対し、分子量標準、例えばポリカーボネート標準又はポリスチレン標準、好ましくは検証済み又は追跡可能な分子量標準を用いて当業者に周知の方法によって測定してもよい。
【0033】
本明細書において使用される「重量平均分子量」(M
w、又は
【数3】
)という用語は下記式によって定義される。
【数4】
式中、M
iは鎖の分子量であり、N
iはその分子量の鎖の数である。M
nと比較して、M
wは分子量平均に対する寄与を決定するのに所定の鎖の分子量を考慮する。したがって、所定の鎖の分子量が大きくなるほど、鎖のM
wへの寄与が大きくなる。M
wは、重合体、例えばポリカーボネート重合体に対し、分子量標準、例えばポリカーボネート標準、ポリスチレン標準、又はポリ(メチルメタクリレート)標準、好ましくは検証済み又は追跡可能な分子量標準を用いて当業者に周知の方法によって測定してもよい。
【0034】
本明細書において、「ポリオール」という用語は、(R’-(OH)n)1分子あたり平均で2つ以上のヒドロキシル基を含む分子又は重合体を意味する。「ポリイソシアネート」という用語は(R-(N=C=O)n)1分子あたり平均で2つ以上のイソシアネート基を含む分子又は重合体を意味する。
【0035】
ある実施形態においては、本発明は、安定な軟質フォームを周囲硬化条件下で形成する発泡性水性分散体であって、1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと、(i)ポリエーテルポリオール、(ii)ポリエステルポリオール、及び(iii)ポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分とから形成されるポリウレタン重合体を含有し、2つの異なる高分子ポリオール成分は、3つの高分子ポリオールカテゴリー(i)、(ii)及び(iii)のうち少なくとも2つのカテゴリーから高分子ポリオールを含み、周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、を含む、発泡性水性分散体を提供する。
【0036】
ある実施形態においては、本発明は1つ以上の水性ポリウレタン分散体(PUD)を含有する組成物に関する。水性ポリウレタン分散体(PUD)のいくつかは、Dow Chemical Co.,Midland,MI,USA、C.L.Hauthaway and Sons,Corp.,Lynn,MA,USA、Lubrizol Advanced Materials,Inc.,Brecksville,OH,USA、Covestro AG,Leverkusen,Germany、及び、Brenntag Specialties,Inc.,South Plainfield,NJ,USAなどのサプライヤーから市販されている。しかしながら、市販のPUDの構成成分の多くは独自に調達する。
【0037】
汎用の水性ポリウレタン分散体を作成する方法は当該技術分野において一般的に知られている。より一般的には、ポリウレタン重合体は、下記に述べるように、最初にバルク又は溶液内で調製され、その後水中に分散される(又は溶解したポリウレタン重合体溶液に水を加える)。
【0038】
一般に、ポリウレタンは、(R-(N=C=O)n)1分子あたり2つ以上のイソシアネート基を含むイソシアネートを、任意選択的に触媒の存在下又は紫外線による活性化の下、(R’-(OH)n)1分子あたり平均で2つ以上のヒドロキシル基を含むポリオールと反応させることによって製造される。重合化反応によってウレタン結合-RNHCOOR’-を含む重合体が作成される。任意選択的な触媒には、例えば1,4-ジアザビシクロ-[2.2.2]オクタン(DABCOとも呼ばれる)などの三級アミン類、又はジブチル錫ジラウレート又はオクタン酸ビスマスなどの金属化合物が含まれてもよい。反応は、通常ポリウレタンプレポリマーを製造して、その後鎖延長剤の添加により鎖を延長するように行われる(後述)。
【0039】
ポリウレタンプレポリマーは1つ以上の高分子ポリオール成分、1つ以上のポリイソシアネート成分、及び任意選択的に鎖延長剤分子を含有する、又はそれらからなるプレポリマー反応物の反応生成物である。高分子ポリオール成分は1つ、又は1つを超える高分子ポリオールであり、平均して1.8以上、典型的には2.0~2.85のヒドロキシル官能価を有することを特徴とする。高分子ポリオール成分に対する平均ヒドロキシル官能価はASTM D4274-11(方法D)に準じて測定することができる。名目上のヒドロキシル官能価が知られている、n個の異なるポリオールを含有する高分子ポリオール成分に対する平均ヒドロキシル官能価
【数5】
は式(1)で表される。
【数6】
式中、f
iはポリオールiのヒドロキシル官能価であり、w
iはポリオールiの重量分率であり、M
iはゲル浸透クロマトグラフィーによって決定されるポリオールiの数平均分子量である。高分子ポリオール成分におけるポリオールのヒドロキシル官能価はどのような値であってもよいが、高分子ポリオール成分全体の平均ヒドロキシル官能価が所望の範囲(例えば2.0~2.85)になるように選択されるべきである。望ましくは、高分子ポリオール成分は、ジオール(ヒドロキシル官能価が2)及びトリオール(ヒドロキシル官能価が3)の組み合わせを含有する、又はそれからなる。
【0040】
ある実施形態においては、高分子ポリオール成分は各ジオールの数平均分子量が500~3000g/モルの範囲のジオールの混合物からなり、さらに言えば、まとめると、高分子ポリオール成分は500~3000g/モルの範囲の有効平均分子量を有していてもよい。有効平均分子量は式(2)を用いて決定される。
【数7】
【0041】
Miは数平均分子量であり、Wiはポリオールiの重量分率である。本明細書において言及される数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して決定されてもよい。典型的には、鎖延長剤分子は、数平均分子量が60~300g/モルの範囲内のオリゴマー型の鎖延長剤であり、ポリウレタン分散体全体を100重量部とした場合に0.5~5重量部(又は総ポリウレタン固形分100重量部に対して0.3~3部)の濃度で存在する。
【0042】
ポリウレタン合成に好適な高分子ポリオール成分には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールの他、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリブタジエンポリオール、及びポリスルフィドポリオールが含まれる。これらは個々に使用してもよく、又は他の成分との所望の混合物として用いてもよい。本発明のある実施形態においては、高分子ポリオール成分は、(i)ポリエーテルポリオール(「ポリオール-A」)、(ii)ポリエステルポリオール(「ポリオール-B」)、及び(iii)ポリカーボネートポリオール(「ポリオール-C」)から選択される少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分の混合物であり、前記2つの異なる高分子ポリオール成分は、3つの高分子ポリオールカテゴリー(i)、(ii)及び(iii)のうち少なくとも2つから高分子ポリオールを含む。
【0043】
本発明のある実施形態においては、少なくとも2つの高分子ポリオール成分は、1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリエステルポリオールを含有する混合物、又は1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリカーボネートポリオールを含有する混合物、又は1つ以上のポリエステルポリオール及び1つ以上のポリカーボネートポリオールを含有する混合物、又はポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールを含有する混合物である。
【0044】
ポリエーテルポリオールには、エポキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド、又はその組み合わせからなる群から選択されるようなアルキレンオキシド)を、(ジオールに対しては)2つの活性水素原子を有する開始剤、又は(トリオールに対しては)3つの活性水素原子を有する開始剤、又は(3つより多いヒドロキシル官能基を有するポリオールに対しては)3つより多い活性水素原子を有する開始剤と反応させる従来の合成手段を用いて得られるものが含まれる。好適な開始剤の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、スクロース、及び芳香族系開始剤、又はその混合物が含まれる。望ましいポリオールは、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシド、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの組み合わせを用いて得られるもの(すなわちポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド))である。他の汎用のポリエーテルポリオールはポリテトラメチレングリコールポリオールである。反応後は、ポリエーテルポリオールは単量体のアルキレンオキシドと開始剤を実質的に含まない。「実質的に含まない」は、高分子ポリオール成分の総重量に基づいて、特定の成分を、1wt%未満、好ましくは0.5wt%以下、より好ましくは0.1wt%以下含むことを意味し、0.05wt%以下、更には0.01wt%以下であっても、特定の成分を完全に含まなくてもよい。
【0045】
ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸と、炭素原子数が2~12の多官能アルコール等の多官能アルコールを用いて従来の合成手段から得られるものを含む。好適なポリカルボン酸の例には、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が含まれる。これらのポリカルボン酸のいずれかと組み合わせることができる好適な多官能アルコールの例には、エチレングリコール、プロパンジオール(プロピレングリコールなど)、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコールが含まれる。例えば、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)は、ネオペンチルグリコールとアジピン酸を用いて合成することができる。反応後は、ポリエステルポリオールはポリカルボン酸と多官能アルコールを実質的に含まない。
【0046】
ポリカーボネートポリオールには、多官能アルコール(例えば上述したものを含むジオール)と、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、又はホスゲン等のカルボン酸誘導体との反応から得られるものが含まれる。例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートは、エチレンカーボネート(又はジメチルカーボネート)と1,6-ヘキサンジオールとのエステル交換重縮合によって合成することができる。反応後は、ポリカーボネートポリオールはカルボン酸誘導体と多官能アルコールを実質的に含まない。
【0047】
上で議論したように、本発明の高分子ポリオール成分は、1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリエステルポリオールの混合物(ポリオール-A/ポリオール-B)、又は1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリカーボネートポリオールの混合物(ポリオール-A/ポリオール-C)、又は1つ以上のポリエステルポリオール及び1つ以上のポリカーボネートポリオールの混合物(ポリオール-B/ポリオール-C)、又はポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールの混合物(ポリオール-A/ポリオール-B/ポリオール-C)である。
【0048】
特定の実施形態においては、ポリオール-A:ポリオール-Bの重量比、又はポリオール-A:ポリオール-Cの重量比、又はポリオール-B:ポリオール-Cの重量比は5:95、10:90、20:80、25:75、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、75:25、80:20、90:10、又は95:5である。上述の比はそれぞれ「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」という語と共に用いることもでき、上述の比はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることもでき、又は限定的な範囲の説明と組み合わせて用いることもできる。例えば、A:B、又はA:C、又はB:A、又はB:C、又はC:A、又はC:Bの重量比はいずれも少なくとも約20:80、約25:75~約75:25、約35:65~約60:40、又は約90:10未満であってもよい。ある実施形態においては、発泡性水性分散体のポリウレタン重合体における、ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールに対するポリエーテルポリオールの重量比は5:95~90:10、10:90~90:10、又は10:90~60:40、又は10:90~50:50である。
【0049】
一般的に、ポリウレタンの合成に好適なポリイソシアネートには、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、及び芳香族ポリイソシアネートが含まれる。好適なポリイソシアネートの例には、アルキレン部分の炭素数が4~12のアルキレンジイソシアネート(例えば1,12-ドデカンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、及びヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート等)、脂環式ジイソシアネート(例えばシクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、5-イソシアナート-1-(イソシアナートメチル)-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、又はIPDIとしても知られている)、2,4-及び2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート及び対応する異性体混合物、4,4’-、2,2’-及び2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び対応する異性体混合物等)、並びに芳香族ジイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネート(例えば2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート及びその対応する異性体混合物、4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びその対応する異性体混合物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)等)が含まれる。本発明のある実施形態においては、ポリウレタン重合体は1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート化合物から形成される。ある実施形態においては、1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネートを含む。ある実施形態においては、1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネートである。ある実施形態においては、トルエンジイソシアネートに関連する、起こりうる健康上の問題についての懸念を避けるために、本発明のPUDはトルエンジイソシアネート及びトルエンジイソシアネートの反応生成物を含まない。ある実施形態においては、芳香族ポリイソシアネートに関連する、起こりうる健康上の問題についての懸念を避けるために、本発明のPUDは芳香族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートの反応生成物を含まない。
【0050】
ある実施形態においては、本発明のPUDは高分子量芳香族イソシアネート及びその反応生成物を含まない。
【0051】
鎖延長剤分子は1種類の分子であってもよく、別々の分子の組み合わせであってもよい。望ましくは、鎖延長剤分子はヒドロキシル基及びアミン基から選択される2~4個の官能基を有する分子又はオリゴマーからなる群から選択される。ある実施形態においては、鎖延長剤はアミン官能基を1つのみ有する。ある実施形態においては、鎖延長剤は、例えば、1,2-エチレンジアミン、1,2-及び1,3-ジアミノプロパン、3-アミノ-1-メチルアミノ-プロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタンなどのように、2~4個のアミン基を有するものであってもよい。ある実施形態においては、鎖延長剤は、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アミノプロパノール等のようにヒドロキシル及びアミン官能基の両方を含み得る。ある実施形態においては、鎖延長剤はヒドロキシル官能基のみを有する。ある実施形態においては、鎖延長剤は2~4個のヒドロキシル官能基を有する。より望ましくは、鎖延長剤はエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、及びグリセロールからなる群から選択される。鎖延長剤は低分子量種(典型的にはゲル浸透クロマトグラフィーによる測定で300g/モル未満)である。したがって、鎖延長剤は高分子量の高分子ポリオール成分と異なる。
【0052】
鎖延長剤分子は、高分子ポリオール成分100重量部に基づき0.5重量部以上の濃度で存在し、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、更には4重量部以上の濃度で存在してもよく、一方、同時に典型的には5重量部以下の濃度で存在し、4重量部以下、3重量部以下、更には2重量部以下の濃度で存在してもよい。
【0053】
PUDは二段階プロセスで合成される。第1ステージは50℃~70℃で2~8時間、環境気圧でポリオールとイソシアネートとを反応させ、プレポリマーを形成することを含む。プレポリマーは、典型的には保温されて、その後攪拌された水中に分散される。このとき水は10℃~30℃に保温される。
【0054】
水性PUDを製造するための当該技術分野で公知の1つの方法では、イソシアネート末端プレポリマーを作成し、カルボン酸又はカルボキシレート官能基を有する改質ポリオール(又はイソシアネート反応性官能基を少なくとも1つ有する任意の他の化合物)を用いて主鎖にカルボン酸又はカルボキシレート官能基を導入する。同様に、スルホン酸若しくはスルホネート官能基、又はリン酸若しくはホスホネート官能基の導入もまた使用できる。例えば、モノ-及びジ-ヒドロキシカルボン酸若しくはカルボキシレート、モノ-及びジ-ヒドロキシスルホン酸若しくはスルホネート、又はモノ-及びジ-ヒドロキシリン酸若しくはホスホネートが好適な場合もある。また、モノ-及びジ-アミノカルボン酸若しくはカルボキシレート、モノ-及びジ-アミノスルホン酸若しくはスルホネート、又はモノ-及びジ-アミノリン酸若しくはホスホネートが好適な場合もある。ウレタン重合体(又はプレポリマー)は、次に、例えば三級アミンと共に水に分散させ、イオン中心を生成して重合体粒子を安定化させる。当該技術分野で知られているように、重合体粒子は、例えばポリオキシアルキレンエーテル等の非イオン性種を用いて水中で安定化してもよい。したがって、ポリウレタン主鎖は、例えばモノヒドロキシ官能ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを添加することにより改質してもよい。(カルボキシレート、スルホネート及び/又はホスホネートを介した)イオン性安定化及び(ポリオキシアルキレンエーテルを用いた)非イオン性安定化の両方を利用して水中で重合体を安定化することもまた好適である場合がある。鎖延長(上述)は(典型的ではないものの)分散の前に行ってもよく、この場合、鎖延長されたポリウレタン重合体を、高レベルの剪断(例えば激しい攪拌)をしながら分散水に導入するか、又はその逆の方法を使用して、すなわち鎖延長されたポリウレタン重合体溶液中に分散水を攪拌するかのいずれかを行う。一般的に、溶解した、鎖延長されたポリウレタン重合体に水を添加するのが好ましい。残留溶媒は蒸留又は蒸留に関連する手法によって除去してもよい。より典型的には(或いは付加的に)、鎖延長は水への分散の後に行うことができ、この場合、上述したように、安定化されたプレポリマーを次にポリヒドロキシ化合物、又はポリアミン、又はヒドロキシルアミン(又はその組み合わせ)を用いて鎖延長する。
【0055】
水性ポリウレタン分散体の固形分量は特に限定されないが、典型的には固形分量が35%~70%以上、より好ましくは固形分が40%~70%、又は固形分が45%~65%である。しかしながら、発泡性水性ポリウレタン組成物の固形分量は保存、封入及び分配のしやすさの問題、特に推進剤と共に加圧容器(エアロゾル缶など)から分注して乾燥前の湿潤フォーム材料を製造することに関する問題に対してより影響されやすい場合がある。そのような場合、望ましい固形分の範囲は、水性分散体中で固形分が35%~60%となることもある。
【0056】
発泡性水性ポリウレタン分散体は、微細な湿潤フォームの製造を促進し、及び任意選択的には、特定の用途のために物性を高めたものを提供するために、最小限配合して発泡性水性ポリウレタン分散体組成物を製造してもよい。例えば、エアロゾル缶などの加圧容器から分注するために、配合物は1つ以上の推進剤、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン及び1,2-ジフルオロエタン等の当該技術分野で公知の液化可能な吹き出しガスを含んでもよく、これらは単独で用いても組み合わせて使用してもよい。炭酸ガス、窒素、アルゴン等の他の補助ガスを使用してもよい。吹き出しガスの含有量は、発泡性水性ポリウレタン分散体組成物の総重量の3~25重量%、又はより一般的には3~10重量%であってもよい。当該技術分野において公知の他の任意選択的な添加材には、特に限定されないが、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、不凍剤、防腐剤、共溶媒、着色剤、充填剤、殺生物剤、殺菌剤、殺藻剤等が含まれる。そのような添加剤は発泡性水性ポリウレタン分散体全体の10%~30%で配合されてもよい。ある実施形態においては、発泡性水性分散体は発泡性水性分散体全体に対して10重量%以下のイオン性界面活性剤、石けん、又はワックスを含有する。ある実施形態においては、発泡性水性分散体は、発泡性水性分散体全体に対し0.3重量%未満のイオン性界面活性剤、石けん、又はワックスを含有する。ある実施形態においては、発泡性水性分散体はイオン性界面活性剤、石けん、又はワックスを含まない。
【0057】
特定の実施形態においては、本明細書に記載の発泡性水性ポリウレタン分散体を含有する配合物のpHは5、6、7、7.5、8、8.2、8.4、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6、9.8、10、10.2、10.4、10.6、10.8、11、11.2、11.4、11.6、11.8、12、又は12.5であり得る。上述の数字はそれぞれ「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」という語と共に用いることもでき、上述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることも、又は限定的な範囲の説明と組み合わせて用いることもできる。例えば、ある実施形態において、pHは少なくとも約7、約8.0~約12.0、又は約9.0~約11.5,又は約9.5~約11.0、又は約12.0未満であり得る。pHを決定するのにUSP<791>に準拠する試験方法を使用してもよく、その全内容は本明細書に参照により組み込まれる。
【0058】
ある実施形態においては、本明細書に記載の発泡性水性ポリウレタン分散体を含有する配合物の、ブルックフィールドRVスピンドルNo.3を用いて30rpmで測定した約23℃での粘度(cP又はmPa・s)は100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2800、3000、3500、又は4000であり得る。上述の数字はそれぞれ「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」という語と共に用いることもでき、また数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることもでき、限定的な範囲の説明と組み合わせて用いることもできる。例えば、ある実施形態においては、ブルックフィールドRVスピンドルNo.3を用いて30rpmで測定した約23℃での粘度(cP又はmPa・s)は、少なくとも約100、約200~約2,000、又は約250~約1,800、又は約300~約1,500、又は約500~約1,200、又は約3,000未満であり得る。
【0059】
特定の実施形態においては、本明細書に記載の発明は発泡性水性分散体の製造法に関する。有利には、これらの発泡性水性分散体は、分注して、高温高湿下、たとえば32℃、90%の相対湿度で乾燥したときであっても潰れない安定なフォームを製造する。例えば、湿潤フォームは潰れることなく、最小限の収縮のみで乾燥させて乾燥軟質フォームを得ることができ、ここでフォームの高さは3mm超、又は5mm超、更には3cm超である。
【0060】
ある実施形態においては、表面の近傍又は表面上に空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する方法であって、前記表面に、本発明の発泡性水性分散体の発泡試料を塗工すること、及び発泡性水性分散体の発泡試料を周囲環境条件下で乾燥させて安定な軟質フォームを製造することであって、周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度であること、を含む、それらからなる、又はそれらから実質的になる方法が提供される。例えば、本明細書で開示されるのは、表面の近傍又は表面上に空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する方法であって、(a)1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと、(i)ポリエーテルポリオール、(ii)ポリエステルポリオール、及び(iii)ポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分とから形成されるポリウレタン重合体を含有する発泡性水性分散体を提供することであって、2つの異なる高分子ポリオール成分は、(i)、(ii)及び(iii)の3つの高分子ポリオールカテゴリーのうち少なくとも2つのカテゴリーから高分子ポリオールを含むことと、(b)発泡性水性分散体の発泡試料を前記表面に塗布することと、(c)発泡性水性分散体の発泡試料を周囲環境条件下で乾燥させて安定な軟質フォームを製造することであって、周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、を含むことと、を含む、それらからなる、又はそれらから実質的になる方法である。ある実施形態において、方法により、32℃、相対湿度90%で発泡性水性分散体を乾燥したときに、表面の近傍又は表面上に空間充填層又は空間充填用塊状物が提供される。ある実施形態においては、発泡性水性分散体の発泡試料を塗工するステップは、加圧エアロゾル容器などの加圧容器から発泡性水性分散体を分注することによって行われる。
【0061】
ある実施形態においては、本発明の発泡性水性分散体から製造される軟質フォームが提供される。ある実施形態においては、フォームは加圧容器、好ましくは加圧エアロゾル容器から分注され、乾燥されて軟質フォームを形成する。フォームの物性は、所望の用途に応じてある程度調整することができる。例えば、乾燥軟質フォームの密度は0.04~0.4g/cm3、好ましくは0.06~0.2g/cm3であってもよい。軟質フォームは、限定されないが、例えば包装、建築及び建設資材などの多くの分野及び用途で使用することができる。建築及び建設においては、軟質フォームは2つの表面又は2つの表面の部分の間の空間を充填したり、建物の外壁内の隙間に空気が入り込むのを防いだり、断熱性及び/又は防音性を提供したり、表面の不要な移動を防いだり、その表面の移動による摩耗及びガタつきを防いだりするのに使用してもよい。フォームは隙間充填剤、シーラント、又はガスケットとしても利用される。例えば、発泡性水性分散体は、表面上に、ビーズ又はフォームの層などの安定な軟質フォームを周囲環境条件下で形成することができる。この安定な軟質フォームは第2の表面によって圧縮される前に乾燥されてもよく、それによりガスケットとして機能する。
【0062】
本明細書に開示されるある実施形態は、以下の項に示され、これらの項(又はそれらの部分)のいずれかの組み合わせが、実施形態を明らかにするためになされてもよい。例えば、実施形態に記載される組成物が、さらなる特徴又は請求項要素によって変わることがあり得る場合、他の実施形態に記載される他の組成物もまた、その同じさらなる特徴又は請求項要素によって変わることがあり得ることが理解されるべきである。さらに、組成物を用いる本明細書に記載される方法はまた、このような組成物の変形によって変わることがあり得る。
【0063】
項1:安定な軟質フォームを周囲硬化条件下で形成する発泡性水性分散体であって、
1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと、(i)ポリエーテルポリオール、(ii)ポリエステルポリオール、及び(iii)ポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分とから形成されるポリウレタン重合体を含有し、2つの異なる高分子ポリオール成分は、(i)、(ii)及び(iii)の3つの高分子ポリオールカテゴリーのうち少なくとも2つのカテゴリーから高分子ポリオールを含み、周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、特に32℃の温度と相対湿度90%の湿度と、を含む、発泡性水性分散体。
【0064】
項1a:ポリウレタン重合体は、1つ以上の脂肪族又は単環脂環式ポリイソシアネートと、少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分とから形成される項1の発泡性水性分散体。
【0065】
項2:少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分は1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリエステルポリオールを含む項1又は1aの発泡性水性分散体。
【0066】
項3:少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分は1つ以上のポリエーテルポリオール及び1つ以上のポリカーボネートポリオールを含む項1又は項1aの発泡性水性分散体。
【0067】
項4:ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールに対するポリエーテルポリオールの重量比が5:95~90:10、又は10:90~90:10、又は10:90~60:40、又は10:90~50:50である、項1~3のいずれか一項の発泡性水性分散体。
【0068】
項5:1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネートである、又はイソホロンジイソシアネートを含む項1~4のいずれか一項の発泡性水性分散体。ある実施形態においては、発泡性水性分散体は芳香族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートの反応生成物を含まない。ある実施形態においては、発泡性水性分散体はトルエンジイソシアネート及びトルエンジイソシアネートの反応生成物を含まない。
【0069】
項6:安定な軟質フォームの密度は0.04~0.4g/cm3、好ましくは0.06~0.2g/cm3である項1~5のいずれか一項の発泡性水性分散体。
【0070】
項7:分散体は、発泡性水性分散体全体に対し0.3重量%未満のイオン性界面活性剤、石けん、又はワックスを含有する項1~6のいずれか一項の発泡性水性分散体。ある実施形態においては、項1~6のいずれか一項の発泡性水性分散体はイオン性界面活性剤、石けん、又はワックスを含まない。
【0071】
項7a:ポリウレタン重合体は、発泡性水性分散体の総固形分量に基づく固形分重量%として50%~98%、又は50%~95%、又は50%~90%、又は50%~85%である、項1~7のいずれか一項の発泡性水性分散体。
【0072】
項7b:32℃、相対湿度90%の硬化条件下で安定な軟質フォームが形成される項1~7aのいずれか一項の発泡性水性分散体。
【0073】
項8:項1~7bのいずれか一項の発泡性水性分散体から製造される安定な軟質フォーム。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0074】
項8a:ポリウレタン重合体は、安定な軟質フォームの総固形分量に基づく固形分重量%として50%~99%、50%~98%、又は50%~95%、又は50%~90%、又は50%~85%である、項8の安定な軟質フォーム。
【0075】
項9:密度が0.04~0.4g/cm3、好ましくは0.06~0.2g/cm3である項8又は8aの安定な軟質フォーム。
【0076】
項10:発泡性水性分散体は加圧容器、好ましくは加圧エアロゾル容器から分注される項8又は9の安定な軟質フォーム。
【0077】
項11:フォームの高さが3mm超、又は5mm超である項8~10のいずれか一項の安定な軟質フォーム。
【0078】
項12:表面の近傍又は表面上に空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する方法であって、
(a)前記表面に、項1~7のいずれか一項の発泡性水性分散体の発泡試料を塗工すること、及び
(b)発泡性水性分散体の発泡試料を周囲環境条件下で乾燥させて安定な軟質フォームを製造することを含み、
周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、を含み、特に32℃の温度と相対湿度90%の湿度である、方法。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0079】
項13:発泡性水性分散体の発泡試料を塗工するステップは、加圧エアロゾル容器などの加圧容器から発泡性水性分散体を分注することによって行われる項12の方法。
【0080】
項14:発泡性水性分散体の発泡試料は32℃、相対湿度90%で硬化したときに表面の近傍又は表面上に安定な空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する、項12の方法。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0081】
項14a:ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールに対するポリエーテルポリオールの重量比が5:95~90:10、又は10:90~90:10、又は10:90~60:40、又は10:90~50:50である、項12の方法。
【0082】
項15:項12~14及び14aのいずれか一項の方法により製造される安定な軟質フォーム。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0083】
項15a:ポリウレタン重合体は、安定な軟質フォームの総固形分量に基づく固形分重量%として、50%~99%、50%~98%、又は50%~95%、又は50%~90%、又は50%~85%である、項12~14及び14aのいずれか一項の方法によって製造される安定な軟質フォーム。
【0084】
項16:密度が0.04~0.4g/cm3、好ましくは0.06~0.2g/cm3である項15又は15aの安定な軟質フォーム。
【0085】
項17:フォームの高さが3mm超、又は5mm超である項15、15a、又は16の安定な軟質フォーム。
【0086】
項18:表面の近傍又は表面上に空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する方法であって、
(a)1つ以上の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートと、(i)ポリエーテルポリオール、(ii)ポリエステルポリオール、及び(iii)ポリカーボネートポリオールから選択される少なくとも2つの異なる高分子ポリオール成分とから形成されるポリウレタン重合体を含有し、2つの異なる高分子ポリオール成分は、(i)、(ii)及び(iii)の3つの高分子ポリオールカテゴリーのうち少なくとも2つのカテゴリーから高分子ポリオールを含む、発泡性水性分散体を提供すること、
(b)発泡性水性分散体の発泡試料を前記表面に塗工すること、並びに
(c)発泡性水性分散体の発泡試料を周囲環境条件下で乾燥させて安定な軟質フォームを製造することを含み、
周囲硬化条件は、4℃~32℃の温度と、相対湿度0%~相対湿度90%の湿度と、を含み、特に32℃の温度と相対湿度90%の湿度である、方法。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0087】
項19:発泡性水性分散体の発泡試料を塗工するステップは、加圧エアロゾル容器などの加圧容器から発泡性水性分散体を分注することによって行われる項18の方法。
【0088】
項20:発泡性水性分散体の発泡試料は32℃、相対湿度90%で硬化したときに表面の近傍又は表面上に安定な空間充填層又は空間充填用塊状物を提供する、項18の方法。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0089】
項20a:ポリエステルポリオール又はポリカーボネートポリオールに対するポリエーテルポリオールの重量比が5:95~90:10、又は10:90~90:10、又は10:90~60:40、又は10:90~50:50である、項18の方法。
【0090】
項21:項18~20及び20aのいずれか一項の方法により製造される安定な軟質フォーム。ある実施形態においては、安定な軟質フォームは2つの表面の間で圧縮されてガスケットとして機能する。
【0091】
項21a:ポリウレタン重合体は、安定な軟質フォームの総固形分量に基づく固形分重量%として、50%~99%、50%~98%、又は50%~95%、又は50%~90%、又は50%~85%である、項18~20及び20aのいずれか一項の方法によって製造される安定な軟質フォーム。
【0092】
項22:密度が0.04~0.4g/cm3、好ましくは0.06~0.2g/cm3である項21又は21aの安定な軟質フォーム。
【0093】
項23:フォームの高さが3mm超、又は5mm超である項21、21a、又は22の安定な軟質フォーム。
【0094】
本発明は、以下の実施例でさらに明らかにされ、ここで、部及びパーセントは全て、別に明記されない限り、重量による。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、単に例証として与えられ、且ついかなる仕方でも限定すると解釈されるべきでないことが理解されるべきである。上記の考察及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認し得、その精神及び範囲から逸脱することなく、様々な用途及び条件にそれを適合させるために本発明の様々な変化及び修正をなし得る。
【実施例】
【0095】
実施例1
以下の実施例においては、水性ポリウレタン分散体(PUD)を最小限配合し、その後発泡させる。PUDは、当該技術分野で公知の標準的な手順(上述)に従って、表2に示すポリオール/ポリオール混合物及びイソシアネートを用いて調整した。
【0096】
PUDは二段階プロセスで調整した。第1のステップでは粗ポリウレタン(PU)プレポリマーを形成し、%-NCO測定で反応が完結したことを示すまで反応を続けた。また第2のステップでは冷却下(5℃~10℃)、高剪断混合しながらプレポリマーを水中に分散させた。1,3-プロピレンジアミン(1,3-PDA)を用いて10℃~15℃で鎖延長を行った。
【0097】
実施例2
下記処方に従ってPUDを配合し、最終発泡性製品とした(表1)。
【0098】
【0099】
表1に示すようにポリウレタン分散体を処方し、その後エアロゾル推進剤を用いたエアロゾル缶から分注することにより発泡させた。
【0100】
実施例3
この実施例においては、乾燥したフォームの性能と潜在的有用性を、以下の物性について1~5のスケール(1=性能が低い;5=優れた性能)を用いて定性的に評価した。
室内温度及び湿度(23℃、相対湿度50%)で乾燥した後のビーズの外観。スコアが1というのはフォームビーズが完全に潰れたことを表し、スコアが5というのはフォームビーズに収縮やシワがないことを表す。
高温高湿(32℃、相対湿度90%)で乾燥した後のビーズの外観。スコアが1というのはフォームビーズが完全に潰れたことを表し、スコアが5というのはフォームビーズに収縮やシワがないことを表す。
室内温度及び湿度(23℃、相対湿度50%)で乾燥した後のフォームビーズを少しの間(初期厚みの30%まで)圧縮した後のビーズの反発性。スコアが1というのはフォームビーズが全く戻らないことを表し、スコアが5というのはフォームビーズが直ちに完全に元に戻ることを表す。
室内温度及び湿度(23℃、相対湿度50%)で乾燥した後のビーズの靭性。スコアが1というのは乾燥したフォームが脆く容易に壊れることを示し、スコアが5というのはフォーム靭性が優れていることを示す。
【0101】
PUDを処方して発泡性水性分散体を作成し、エアロゾル推進剤を用いたエアロゾル缶から分注することにより発泡させた。フフフフォームビーズの結果を下記表2に示す。
【0102】
【0103】
満足な性能というためには全てのカテゴリーにおいて少なくとも3以上の評価が要求される(いずれかのカテゴリーで1又は2の評価がある場合は不合格製品の候補である)。ほぼ全ての単一成分ポリオールPUD(ポリエーテルポリオールPUD、ポリエステルポリオールPUD又はポリカーボネートポリオールPUD)が、高温高湿でフォームビーズを乾燥した後の収縮及び潰れに関して性能が劣ることがわかる。このカテゴリーで一応満足する性能であった単一成分PUD試料(試料8)は、ビーズの反発性で非常に低い評価であり、また靭性についても劣っていた。混合ポリオールPUD(ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオールPUD、又はポリエーテルポリオール/ポリカーボネートポリオールPUD)のみが物性の全範囲にわたって許容できる(又は優れた)性能を示した。本発明のフォームは、温度及び湿度条件の範囲にわたる潰れに関するビーズ安定性に加え、非常に良好な/優れたビーズ反発性及びビーズ靭性を有する。
【0104】
本明細書において、温度範囲及び圧力範囲などの物理的特性又は化学式などの化学的特性に対して範囲が使用される場合、その範囲内の範囲の特定の実施形態の全ての組み合わせ及びサブコンビネーションが含まれることが意図される。
【0105】
この文書に引用又は記載された各特許、特許出願、及び刊行物はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して多くの変更若しくは改変が可能なこと、及びそのような変更若しくは改変は発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲で行われることを正しく理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は発明の精神及び範囲に属する均等な変形形態を全てカバーすることを意図している。