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特許7495949平坦化方法、物品を製造する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】平坦化方法、物品を製造する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240529BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240529BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
H01L21/68 N
B29C59/02 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021568422
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020070290
(87)【国際公開番号】W WO2021030822
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】16/542,066
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ビュン-ジン
(72)【発明者】
【氏名】バーメスバーガー, セス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真樹
(72)【発明者】
【氏名】ウストゥルク, ウスカン
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-524505(JP,A)
【文献】特表2012-532448(JP,A)
【文献】特開2020-107863(JP,A)
【文献】国際公開第2013/183263(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/683
B29C 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーストレートをスーパーストレートチャックで保持する第1工程と、
前記スーパーストレートを前記スーパーストレートチャックで保持しながら前記スーパーストレートの中央領域に圧力を与えて、前記スーパーストレートの前記中央領域を基板に向けて反らせる第2工程と、 前記中央領域が反った前記スーパーストレートと前記基板上の成形可能材料との接触を開始させる第3工程と、
前記スーパーストレートチャックで前記中央領域が反った前記スーパーストレートの周辺領域を保持しながら、前記スーパーストレートの前記中央領域と前記周辺領域との間の複数の領域に対して前記スーパーストレートの前記中央領域に近い側から順次に圧力を与えることによって前記スーパーストレートの反りを前記中央領域から前記スーパーストレートの径方向外側に拡げる第4工程と、
前記スーパーストレートの前記周辺領域を開放することによって、前記スーパーストレートチャックから前記スーパーストレートを離す第5工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スーパーストレートチャックは中心ゾーンと、一連のリングゾーンとを含み、前記一連のリングゾーンは、前記スーパーストレートの周辺に対応する周辺リングゾーンと、前記中心ゾーンと前記周辺リングゾーンとの間の少なくとも1つの内側リングゾーンとを含み、

前記第2工程において、前記一連のリングゾーンの真空を維持しながら、前記中心ゾーンを通して前記スーパーストレートの前記中央領域に圧力を与え、
前記第4工程において、前記少なくとも1つの内側リングゾーンを通して前記スーパーストレートに圧力を与え、
前記第5工程において、前記周辺リングゾーンを開放すること、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一連のリングゾーンは、複数の内側リングゾーンを含み
前記第4工程において、前記複数の内側リングゾーンの内側から前記径方向外側に順次に前記スーパーストレートに圧力を与える
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2工程において、前記スーパーストレートの所定の曲率を維持するように、前記中央領域に圧力を与える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記成形可能材料を硬化させる工程と、
硬化中に前記スーパーストレートの横方向の位置を硬化源に対して移動させる工程と、
前記スーパーストレートを前記スーパーストレートチャックで再保持する工程と、
前記スーパーストレートを前記硬化された成形可能材料から分離する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
平坦化システムであって、
基板を保持する基板チャックと、
スーパーストレートを保持するスーパーストレートチャックと、
前記スーパーストレートチャックの複数のポートを介して前記スーパーストレートに圧力又は真空を与える圧力源と、を備え、
前記スーパーストレートチャックは、中心ゾーンと、一連のリングゾーンとを含み、前記一連のリングゾーンは、前記スーパーストレートの周辺に対応する周辺リングゾーンと、前記中心ゾーンと前記周辺リングゾーンとの間の複数の内側リングゾーンとを含み、
前記圧力源は、前記一連のリングゾーンの真空を維持しながら、前記中心ゾーンを通して前記スーパーストレートの中央領域に圧力を与えて、前記スーパーストレートの前記中央領域を基板に向けて反らせた後、前記複数の内側リングゾーンの内側から外側に順次に圧力を与えることによって前記スーパーストレートの反りを前記中央領域から前記スーパーストレートの径方向外側に拡げ、その後、前記周辺リングゾーンを開放する
ことを特徴とする平坦化システム。
【請求項7】
前記スーパーストレートチャックの前記中心ゾーンは前記スーパーストレートの中心と整列されるエアキャビティを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の平坦化システム。
【請求項8】
成形可能材料の複数の液滴を前記基板上に分配するように構成された成形可能材料ディスペンサをさらに備え、
前記スーパーストレートチャックは、前記基板上の前記成形可能材料と接触するように前記スーパーストレートを移動させる、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の平坦化システム。
【請求項9】
記成形可能材料を硬化させる硬化源をさらに備える、
ことを特徴とする請求項に記載の平坦化システム。
【請求項10】
前記基板を保持する基板チャックは、前記硬化源に対して前記基板の横方向の位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項に記載の平坦化システム。
【請求項11】
前記硬化源は、硬化中に前記スーパーストレートの直径を基準として光ビームの大きさを制御する、
ことを特徴とする請求項に記載の平坦化システム。
【請求項12】
前記硬化源は、前記スーパーストレートに入射する光ビームの傾斜角を制御する、
ことを特徴とする請求項に記載の平坦化システム。
【請求項13】
前記スーパーストレートチャックから前記スーパーストレートをした後に、硬化源を使って前記成形可能材料を硬化させることと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記スーパーストレートの直径を基準として前記硬化源の光ビームの大きさを制御すること、
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スーパーストレートに入射する前記硬化源の光ビームの傾斜角を制御すること、
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理に関し、より詳細には、半導体製造における表面の平坦化に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦化技術は、半導体デバイスを製造する際に役立つ。例えば、半導体デバイスを作成するための工程は、基板への材料の追加および除去を繰り返し含む。このプロセスは、不規則な高さ変動(すなわち、トポグラフィ)を有する層状基板を生成する可能性があり、より多くの層が追加されるにつれて、基板高さ変動が増大する可能性がある。高さの変動は、層状基板にさらなる層を追加する能力に負の影響を及ぼす。他方、半導体基板(例えば、シリコンウェハ)自体は常に完全に平坦ではなく、初期表面高さ変動(すなわち、トポグラフィ)を含んでもよい。この問題に対処する一つの方法は、積層ステップ間で基板を平坦化することである。種々のリソグラフィパターニング方法は、平面表面上のパターニングから利益を得る。ArFiレーザベースのリソグラフィにおいて、平坦化は焦点深度(DOF)、臨界寸法(CD)、および臨界寸法均一性を改善する。極端紫外リソグラフィー(EUV)では、平坦化は特徴配置とDOFを改善する。ナノインプリントリソグラフィー(NIL)では、平坦化により、パターン転写後の特徴充填とCD制御が改善される。
【0003】
インクジェットベース適応平坦化(IAP)と呼ばれることもある平坦化技術は、基板とスーパーストレートとの間に重合性材料の可変のドロップパターンを分配することを含み、ここで、ドロップパターンは、基板トポグラフィーに依存して変化する。次に、スーパーストレートを重合性材料に接させ、その後、材料を基板上で重合させ、スーパーストレートを除去する。IAP技術を含む平坦化技術の改良は、例えば、全ウエハ処理および半導体デバイス製造を改良するために望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本願の特許請求の範囲に記載された1つの発明は、方法に係り、前記方法は、スーパーストレートをスーパーストレートチャックで保持する第1工程と、前記スーパーストレートを前記スーパーストレートチャックで保持しながら前記スーパーストレートの中央領域に圧力を与えて、前記スーパーストレートの前記中央領域を基板に向けて反らせる第2工程と、前記中央領域が反った前記スーパーストレートと前記基板上の成形可能材料との接触を開始させる第3工程と、前記スーパーストレートチャックで前記中央領域が反った前記スーパーストレートの周辺領域を保持しながら、前記スーパーストレートの前記中央領域と前記周辺領域との間の複数の領域に対して前記スーパーストレートの前記中央領域に近い側から順次に圧力を与えることによって前記スーパーストレートの反りを前記中央領域から前記スーパーストレートの径方向外側に拡げる第4工程と、前記スーパーストレートの前記周辺領域を開放することによって、前記スーパーストレートチャックから前記スーパーストレートを離す第5工程と、を含む。
本明細書の記載された発明は、以下の発明を含む。
本明細書に記載された1つの方法は、スーパーストレートチャックでスーパーストレートを保持することを含む。前記スーパーストレートを前記基板に向けて反らせるように圧力が与えられる。前記スーパーストレートの反りは、半径方向に沿って徐々に拡大される。前記圧力によって前記スーパーストレートを反らせながら、前記スーパーストレートの周囲に与えられる真空の印加は維持され、前記スーパーストレートは前記スーパーストレートチャックによって継続的に保持される。前記真空は、前記スーパーストレートの前記周囲から解放され、前記スーパーストレートは、前記スーパーストレートチャックから解放される。
【0005】
前記スーパーストレートチャックは、前記スーパーストレートの中心部分と整列した中心ゾーンと、一連のリングゾーンとを含みうる。前記一連のリングゾーンは、前記スーパーストレートの前記周囲と整列した周辺リングゾーンと、前記中心ゾーンと前記周辺リングゾーンとの間の少なくとも1つの内側リングゾーンとを含む。前記スーパーストレートを反らせる前記圧力を与えるステップは、前記中心ゾーンを通して前記圧力を与え、前記一連のリングゾーンを通して与えられる前記真空を維持することと、前記スーパーストレートの前記中心部分が前記圧力によって反った後に、前記リングゾーンから前記真空を解放し、前記内側リングゾーンを通して前記圧力を与えることと、前記周辺リングゾーンから前記真空を解放すること、を更に含んでもよい。
【0006】
前記一連のリングゾーンは、複数の内側リングゾーンを含でもよい。前記真空は、内側ゾーンから順次に解放され、前記圧力は、前記内側リングを通して前記半径方向に順次に前記スーパーストレートに与えられる。前記方法は、前記基板上に成形可能材料コンタクトを分配することと、前記スーパーストレートを前記成形可能材料コンタクトと接触させることと、前記成形可能材料コンタクトの流れの先端に対応する前記スーパーストレートに圧力を与えることと、を更に含んでもよい。前記成形可能材料コンタクトは、前記基板上に堆積された複数の液滴として分配される。前記圧力は、所定の範囲で初期高さを制御し、前記スーパーストレートの所定の曲率を維持するように、前記中心ゾーンに与えられうる。
【0007】
前記方法は、前記スーパーストレートが前記スーパーストレートチャックから解放された後、前記成形可能材料コンタクトを硬化させることと、硬化中に前記スーパーストレートの横方向の位置を硬化源に対して移動させることと、前記スーパーストレートを前記スーパーストレートチャックで再保持することと、前記スーパーストレートを前記硬化された成形可能材料コンタクトから分離することと、を更に含んでもよい。
【0008】
また、マルチゾーンチャッキングシステムが提供される。前記マルチゾーンチャッキングシステムは、基板を保持する基板チャックと、スーパーストレートを保持するスーパーストレートチャックとを備える。前記システムは、前記スーパーストレートチャックの複数のポートを介して前記スーパーストレートに圧力および真空を与える圧力源を更に備える。好ましくは、前記圧力は、前記スーパーストレートの1つの領域から他の領域が徐々に前記基板に向かって反るように、前記スーパーストレートの複数の領域に順次に与えられる。前記真空は、前記圧力によって前記スーパーストレートが反っている間、前記スーパーストレートの周囲に与えられる。
【0009】
前記スーパーストレートチャックは、前記スーパーストレートチャックを中心ゾーンと、一連のリングゾーンとに画定する複数の同心ランドを含んでもよく、前記一連のリングゾーンは、前記スーパーストレートの周囲と位置合わせされる周辺ゾーンと、前記中心ゾーンと前記周辺リングゾーンとの間の少なくとも1つの内側リングゾーンとを含む。前記圧力源は、前記一連のリングゾーン内の前記ポートを介して前記真空を与えながら、前記中心ゾーン内の前記ポートを介して前記圧力を与え、前記内側リングゾーン内の前記ポートを介して前記圧力を与え、前記周辺リングゾーンにおける真空を維持し、前記周辺リングゾーン内の前記ポートから前記真空を解放する、ことを順に行う。前記スーパーストレートチャックの前記中心ゾーンは、前記スーパーストレートと前記成形可能材料とを接触させながら、前記スーパーストレートの中心と整列されるエアキャビティを含む。前記マルチゾーンチャッキングシステムは、成形可能材料の複数の液滴を前記基板上に分配するように構成された成形可能材料ディスペンサをさらに備えてもよい。前記スーパーストレートチャックは、前記基板上の前記成形可能材料と接触するように前記スーパーストレートを前進させ、前記圧力源は、前記成形可能材料の流れの先端に対応する前記領域に圧力を順次に与える。
【0010】
前記マルチゾーンチャッキングシステムは、前記スーパーストレートが前記スーパーストレートチャックから解放された後に前記成形可能材料を硬化させる硬化源をさらに備えてもよい。前記基板チャックは、前記硬化源に対して前記基板の横方向の位置を移動させる。前記硬化源は、硬化中に前記スーパーストレートの直径を基準として光ビームの大きさを制御する。前記硬化源は、前記スーパーストレートに入射する前記光ビームの傾斜角を制御する。
【0011】
また、層を形成するための方法が提供される。前記方法は、基板上に成形可能材料を分配することと、スーパーストレートをチャックで保持し、前記チャックで前記スーパーストレートを前進させて前記成形可能材料と接触させることとを含む。前記スーパーストレートのある領域から他の領域が徐々に前記基板に向かって反るように、前記スーパーストレートの複数の領域に順次に圧力が与えられる。前記圧力によって前記スーパーストレートが反っている間に、前記スーパーストレートの周囲に真空が与えられる。前記スーパーストレートは、その後、前記チャックから解放される。その後、硬化源を使って前記成形可能材料を硬化させる工程が実施される。
【0012】
前記方法は、硬化中に前記硬化源に対して前記基板の横方向の位置を移動させることを更に含んでもよい。前記硬化源の光ビームの大きさは、前記スーパーストレートの直径を基準として制御されてもよい。前記スーパーストレートに入射する前記硬化源の光ビームの傾斜角は、制御されてもよい。前記方法は、前記スーパーストレートチャックによって前記スーパーストレートを再保持することと、前記スーパーストレートを前記硬化した成形可能材料から分離することとを含む。
【0013】
本本開示のこれらおよび他のオブジェクト、特徴、および利点は、添付の図面および提供される特許請求の範囲と併せて、本本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の特徴および利点が詳細に理解され得るように、本発明の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面に示される実施形態を参照することによってなされ得る。しかし、添付の図面は本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、したがって、本発明は他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
図1】平坦化システムを示す図。
図2A】平坦化システムを示す図。
図2B】平坦化システムを示す図。
図2C】平坦化システムを示す図。
図3A】一実施形態におけるマルチゾーンストレートチャックを示す図。
図3B】一実施形態におけるマルチゾーンストレートチャックを示す図。
図4A】基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す図。
図4B】基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す図。
図4C】基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す図。
図4D】基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す図。
図4E】基板上に層を形成するためのスーパーストレートチャックの動作を示す図。
図5図4A図4Eに示す平坦化処理のフローチャート。
図6A】1つの実施形態において基板とスーパーストレートとの積層体のエッジにおいて誘起される分離クラックを示す図。
図6B】分離クラックを誘起する基板ノッチと格納可能ピンとの位置合わせを示す図。
図6C】他の実施形態において基板とおよびスーパーストレートの積層体のエッジにおいて誘起される分離クラックを示す図。
図7A】分離クラックが誘起され、基板およびスーパーストレートの積層体の周辺に伝播されるときの積層体の上面図。
図7B】分離クラックが誘起され、基板およびスーパーストレートの積層体の周辺に伝播されるときの積層体の上面図。
図7C】分離クラックが誘起され、基板およびスーパーストレートの積層体の周辺に伝播されるときの積層体の上面図。
図8】分離された基板とスーパーストレートを示す図。
図9図7および図8に示す分離プロセスのフローチャート。
図10】基板およびスーパーストレートの積層体のエッジで誘起される分離クラックを示す図。
図11A】改良されたゾーンシールを有する他の実施形態におけるマルチゾーンスーパーストレートチャックを示す図。
図11B】改良されたゾーンシールを有する他の実施形態におけるマルチゾーンスーパーストレートチャックを示す図。
図12図11A図11Bのスーパーストレートチャックのゾーン内の例示的なトレンチ構造を示す拡大図。 図面全体を通して、特に明記しない限り、同じ符号および文字は、例示された実施形態の同様の特徴、要素、成分、または部分を示すために使用される。さらに、本開示は図面を参照して詳細に説明されるが、例示的な実施形態に関連してそのように行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される主題の開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、記載された例示的な実施形態に対して変更および修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、平坦化のためのシステムを示す。平坦化システム100は、基板102上の膜を平坦化するために使用される。基板102は、基板チャック104に結合されてもよい。基板チャック104はバキュームチャック、ピンタイプチャック、グルーブタイプチャック、静電チャック、電磁気チャック等であってもよいが、これらに限定されない。
【0016】
基板102および基板チャック104は、基板位置決めステージ106によってさらに支持されてもよい。基板位置決めステージ106は、x、y、z、θ、ψ、及びφ軸のうちの1つ以上の軸に沿って並進及び/又は回転運動を提供することができる。また、基板位置決めステージ106、基板102、及び基板チャック104は、ベース(図示せず)上に位置決めされてもよい。基板位置決めステージは、位置決めシステムの一部であってもよい。
【0017】
基板102から離間して配置されているのは、基板102に対向する作動面112を有するスーパーストレート108である。スーパーストレート108は、溶融シリカ、石英、ケイ素、有機ポリマー、シロキサンポリマー、ホウケイ酸ガラス、フルオロカーボンポリマー、メタル、硬化サファイヤなどを含むが、これらに限定されない材料から形成されてもよい。一実施形態では、スーパーストレートは、UV光に対して容易に透明である。表面112は、一般に、基板108の表面と同じ面積サイズであるか、またはわずかに小さい。
【0018】
スーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118に連結されていてもよく、又は保持されていてもよい。スーパーストレートチャック118は、バキュームチャック、ピンタイプチャック、溝タイプチャック、静電チャック、電磁気チャック、および/または他の同様のチャックタイプであってもよいが、これらに限定されない。スーパーストレートチャック118は、スーパーストレート108を横切って変化する応力、圧力、及び/又は歪みをスーパーストレート108に与えるように構成することができる。一実施形態では、スーパーストレートチャックは、同様に、UV光に対して容易に透過性である。スーパーストレートチャック118はゾーンベースの真空チャック、アクチュエータアレイ、圧力ブラダ等のシステムを含んでもよく、これは、スーパーストレート108の背面に圧力差分を与えてテンプレートを反らせたり、変形させたりすることができる。一実施形態では、スーパーストレートチャック118がスーパーストレートの裏面に圧力差を与えることができるゾーンベースの真空チャックを含み、以下でさらに詳述するように、スーパーストレートを反らせたり、変形させたりする。
【0019】
スーパーストレートチャック118は、位置決めシステムの一部である平坦化ヘッド120に結合することができる。平坦化ヘッド120は、ブリッジに移動可能に結合されてもよい。平坦化ヘッド120は、スーパーストレートチャック118を少なくともz軸方向、および潜在的に他の方向(例えばx、y、θ、ψ、φ軸)に基板102に対して移動させるように構成された、ボイスコイルモータ、圧電モータ、リニアモータ、ナットおよびスクリューモータなどの1つ以上のアクチュエータを含んでもよい。
【0020】
平坦化システム100は、流体ディスペンサ122をさらに備えることができる。流体ディスペンサ122はまた、ブリッジに移動可能に連結されてもよい。一実施形態では、流体ディスペンサ122および平坦化ヘッド120が全ての位置決め成分のうちの1つ以上を共有する。代替の実施形態では、流体ディスペンサ122および平坦化ヘッドが互いに独立して移動する。流体ディスペンサ122を使用して、基板102上に液状成形可能材料124(例えば、光硬化性重合性材料)の液滴を堆積させることができ、堆積される材料の体積は、そのトポグラフィプロファイルに少なくとも部分的に基づいて、基板102の領域にわたって変化する。異なる液体ディスペンサ122は、成形可能材料124を分配するために様々な技術を使用することができる。成形可能材料124が噴射可能である場合、インクジェットタイプディスペンサを使用して成形可能材料を分配することができる。例えば、サーマルインクジェッティング、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ベースのインクジェッティング、弁ジェット、および圧電インクジェッティングは、ジェッタブル液体を分配するための一般的な技術である。
【0021】
平坦化システム100は、化学線エネルギ、例えば紫外線を露光経路128に沿って方向付ける放射線源126を含む硬化システムをさらに含むことができる。平坦化ヘッド120及び基板位置決めステージ106は、露光経路128と重ね合わせてスーパーストレート108及び基板102を位置決めするように構成することができる。放射源126は、スーパーストレート108が成形可能材料128に接触した後、露光経路128に沿って化学線エネルギを送る。図1は、スーパーストレート108が成形可能材料124と接していないときの露光経路128を示す。これは、個々の成分の関連する配置を容易に識別することができるように、例示の目的で行われる。当業者であれば、スーパーストレート108を成形可能材料124に当接させても、露光経路128は実質的に変化しないことを理解するのであろう。
【0022】
平坦化システム100はさらに、平坦化処理中にスーパーストレート108が成形可能材料124に接触するときに、成形可能材料124の広がりを見るように配置されたカメラ136を備えることができる。図1は、フィールドカメラの画像フィールドの光軸138を示している。図1に示されるように、平坦化システム100は、化学線とカメラ136によって検出される光とを組み合わせる1つまたは複数の光学構成要素(ダイクロイックミラー、ビームコンバイナ、プリズム、レンズ、ミラーなど)を含んでもよい。カメラ136は1つ以上のCCD、センサアレイ、ラインカメラ、および光検出器を含むことができ、これらは、スーパーストレート108の下で成形可能材料124と接触している領域と、スーパーストレート108の下であるが成形可能材料124と接触していない領域との間の対比を示す波長で光を集めるように構成される。カメラ136は、スーパーストレート108の下の成形可能材料124の広がり、および/または硬化した成形可能材料124からのスーパーストレート108の分離の画像を提供するように構成されてもよい。また、成形可能材料124が表面112と基板表面との間のギャップに広がるにつれて変化する干渉縞を測定するようにカメラ136を構成することもできる。
【0023】
平坦化システム100は、基板チャック104、基板位置決めステージ106、スーパーストレートチャック118、平坦化ヘッド120、液体ディスペンサ122、放射源126、および/またはカメラ136などの1つまたは複数の構成要素および/またはサブシステムと通信する1つまたは複数のプロセッサ140(制御装置)によって、調整、制御、および/または指示されてもよい。プロセッサ140は、非一時的コンピュータメモリ142に記憶されたコンピュータ読み取り可能プログラム内の命令に基づいて動作することができる。プロセッサ140は、CPU、MPU、GPU、ASIC、FPGA、DSP、および汎用コンピュータのうちの1つ以上であってもよく、またはそれらを含んでもよい。プロセッサ140は汎用のコントローラであってもよいし、コントローラに適合する汎用の計算するデバイスであってもよい。一時的でないコンピュータ可読可能なメモリとしては例えば、RAM、ROM、CD、DVD、Blu-Ray、ハードディスク、ネットワーク接続されたアタッチドストレージ、イントラネット接続された一時的でないコンピュータ可読可能なストレージデバイス、およびインターネット接続された一時的でないデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
動作において、平坦化ヘッド120、基板配置ステージ106、又は両方は、スーパーストレート118と基板102との間の距離を変化させて、成形可能材料124で満たされる所望の空間(3次元での有界な物理的広がり)を規定する。例えば、平坦化ヘッド120は基板に向かって移動されてよく、本明細書でさらに詳述されるように、スーパーストレートが成形可能材料124の液滴に接触し、それを広げるように、スーパーストレート108に力を印加し得る。
【0025】
平坦化プロセス
平坦化処理には、図2A-2Cに模式的に示されているステップが含まれる。図2Aに示すように、成形可能材料124は、基板102上に液滴の形成で分配される。先に議論したように、基板表面は、トポグラフィーを有し、そのようなトポグラフィーは、以前の処理動作に基づいて知られてもよいし、プロファイルメータ、AFM、SEM、または、Zygo NewView 8200のような、光学的干渉効果に基づく光学的表面プロファイラを使用して測定されてもよい。堆積された成形可能材料124の局所体積密度は、基板トポグラフィーに応じて変化する。次に、スーパーストレート108は、成形可能材料124に接して配置される。
【0026】
図2Bは、スーパーストレート108が成形可能材料124と完全に接触した後であるが、重合工程が開始する前の、接触後のステップを示す。スーパーストレート108が成形可能材料124に接触すると、液滴は融合して、スーパーストレート108と基板102との間の空間を満たす成形可能材料膜144を形成する。好ましくは、充填プロセスが非充填欠陥を最小限に抑えるために、スーパーストレート108と基板102との間に空気または気泡が捕捉されることなく、均一に行われる。成形可能材料124の重合工程または硬化は化学線(例えば、紫外線)で開始されてもよい。例えば、図1の放射線源126は、成形可能材料膜144を硬化させ、固化させ、及び/又は交差リンクさせ、基板102上に硬化した平坦化層146を画定する化学線を提供することができる。あるいは、成形可能材料膜144の硬化は、熱、圧、化学反応、他のタイプの放射、またはこれらの任意の組み合わせを使用することによって開始されてもよい。硬化されると、平坦化層146が形成され、スーパーストレート108は、そこから分離され得る。図2Cは、スーパーストレート108の分離後の基板102上の硬化した平坦化層146を示す。次いで、基板および硬化層は、例えば、パターン化、硬化、酸化、層形成、蒸着、ドープ、平坦化、エッチング、成形可能材料除去、ダイシング、結合、およびパッケージ化などを含む、デバイス(物品)製造のためのさらなる公知のステップおよびプロセスに供されうる。基板は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されてもよい。
【0027】
スーパーストレートと基板との間の平坦化材料の拡散、充填、および硬化
スーパーストレートと基板との間のギャップを成形可能材料液滴が広がり、融合し、充填するときにスーパーストレート108と基板との間に空気又は気泡が閉じ込められることを最小限に抑えるための1つの方式は、スーパーストレートを基板の中心で成形可能材料と最初に接触させ、次いで中心から周辺に向かって半径方向に進行するように、スーパーストレートを重ね合わせることである。これには、スーパーストレート内に曲率プロファイルを作り出すために、スーパーストレート又は基板又はその両方の反り又は湾曲が必要である。しかしながら、スーパーストレート108が典型的には基板102と同じかまたは類似の面積寸法であると仮定すると、有効なスーパーストレート全体の湾曲プロファイルは、スーパーストレートの大きな垂直方向の反りと、スーパーストレートチャックおよび平坦化組立体による付随する垂直方向の動きとの両方を必要とする。このような大きな鉛直方向の反りおよび動きは、制御、精度、およびシステムのデザイン上の考慮事項にとって望ましくない場合がある。このようなスーパーストレートプロファイルは、例えば、スーパーストレートの内部領域に背圧を与えることによって得ることができる。しかしながら、そうすることにより、スーパーストレートをスーパーストレートチャック上に保持するためには、依然として周囲保持領域が必要とされる。成形可能材料液滴が広がって融合する間に、スーパーストレートの周囲エッジと基板トの周囲エッジとの両方が平坦にチャッキングされる場合、この平坦なチャッキングエリアには、利用可能なスーパーストレート曲率プロファイルは存在しないであろう。これは、液滴の広がりおよび融合を損なうことがあり、これはまた、領域における未充填欠陥につながることがある。さらに、成形可能材料の広がりおよび充填が完了すると、結果として生じるスーパーストレートチャック、チャックされたスーパーストレート、成形可能材料、基板、および基板チャックの積層体は、過拘束システムとなり得る。これは、得られる平坦化膜層の不均一な平坦化プロファイルを引き起こし得る。すなわち、このような過拘束システムでは、表裏面の平坦度を含むスーパーストレートチャックからの全ての平坦度エラー又は変動がスーパーストレートに伝達され、平坦化膜層の均一性に衝撃を与えうる。
【0028】
上記課題を解決するために、一実施形態では、図3A図3Bに示されるように、マルチゾーンスーパーストレートチャック118が提供される。スーパーストレートチャック118は、中心ゾーン301と、中心ゾーン301の周りの一連のリングゾーン303とを含む。これらのリングゾーン303は、スーパーストレートチャック118のエッジ、周囲、あるいは周辺に沿ったリングゾーン303bと、中心ゾーン301と周辺リングゾーン303bとの間に位置する複数の内側リングゾーン303aとに画定されてもよい。複数のリングゾーン303は、スーパーストレートチャック118の表面から突出する一連のランド307によって画定されてもよい。図3Aおよび図3Bに示すように、これらのランド307は、中央ゾーン301の周りに形成することができる。複数のリングゾーン303のそれぞれにおいて、少なくとも1つのポート305が形成されて、スーパーストレートチャック118によって保持されたスーパーストレートに対してスーパーストレートチャック118を介して接続され、圧力源が正圧または負圧、例えば、真空を与えることを可能にする。
【0029】
図3Bは、スーパーストレートチャック118の側断面図を示す。複数のランド307の各々は、スーパーストレートチャック118の表面からある高さをもって突出する。複数のランド307は、周辺リングゾーン303bを取り囲む周辺ランド307bと、中央ゾーン301と周辺リングゾーン303bとの間の一連の内側ランド307aとを含む。図3Bに示すように、これらの内側ランド307aは実質的に同じ高さを有するが、周辺ランド307bの高さは内側ランド307aの高さよりも低い。スーパーストレートチャック118の中心ゾーン301は、円形キャビティの形態であってもよく、その結果、圧力源(図示せず)は、保持されたスーパーストレートの中心部分を反らせるために、関連するチャネル308およびポート305を通して空気または気体の圧力を与えることができる。同様に、真空圧が、同じチャネルおよびポートを介して中心ゾーン301に与えられてもよい。スーパーストレートチャック118の中心ゾーン301は、保持されるスーパーストレートの中心部分と整列されうる。同様に、周辺リングゾーン303aは、保持されるスーパーストレートの周囲あるいは周辺と整列されうる。周辺リングゾーン303には、同様に、圧力または真空を与えるためのチャネル308およびポート305が設けられている。
【0030】
図4A図4Eを参照すると、堆積された成形可能材料124の液滴を接触させ、広げ、融合させるための方法が示されている。図4Aに示すように、スーパーストレート108を成形可能材料124に接触させる前に、陽圧(矢印Pで示す)がスーパーストレートチャック118の中心ゾーン301へポート305を通して、保持されたスーパーストレート108に与えられ、スーパーストレート108の中心部を成形可能材料124に向けて反らせる。圧力Pは、図4Aに示すように、所定の範囲で初期の反りを制御し、スーパーストレート108の所定の曲率を維持するために、中心ゾーン301に与えられる。一方、負圧、好ましくは、真空(矢印Vで示す)がリングゾーン303内のポート305を通してスーパーストレート108に与えられ、スーパーストレートチャック118によってスーパーストレート108を保持する。次に、スーパーストレート108は、図4Bに示すように、成形可能材料124の液滴との初期の接触がなされる。
【0031】
次いで、真空(V)を中心ゾーン301に近い内側ゾーン303aから順次に解放することによって、スーパーストレート108の反りは、中心部分から径方向外側方向に拡張される。このようにして、成形可能材料の液滴を接触させ、広げ、融合させて、スーパーストレートが基板に接触し、基板に倣うにつれて径方向外側方向に進行する流体フロントを有する膜層を形成する。真空が内側ゾーン303aから順次に解放されるとき、中心ゾーン301を通して与えられる圧力Pは、所望の値に維持される。真空が解放された内側ゾーン303a内のチャネル308及びポート305を通してスーパーストレート108に圧力Pを与えることもできる。図4Cに示すような実施形態では、真空が内側ゾーン301に最も近い3つの内側リング303aから順次に解放され、真空が順次に解放されるにつれて圧力Pが順次に与えられる。平坦化ヘッドは、この順次に真空解放および加圧中に下方に動かすこともできる。
【0032】
次いで、スーパーストレート108の反りは、真空が全ての内側リングゾーン303aから解放されるまで、順次に径方向に拡張され、一方、周辺リングゾーン303bを介して印加される真空Vは維持される。内側ゾーン303aのそれぞれに対して、真空が解放された後に圧力Pも与えられる。図4Dに示すように、真空が全ての内側リングゾーン303aから解放されたとき、スーパーストレート108は、周辺ゾーン303bを通して印加された真空Vを介してスーパーストレートチャック118によって保持されたままである基板108の周辺部を除いて、基板102に倣うように反る。したがって、スーパーストレート108の縁部は基板102の周辺に分配された成形可能材料液滴の最終的な広がりおよび融合のために、反った湾曲状態のままである。さらに、内側ランド307aよりも低い周辺ランド307bは、このような湾曲の維持を容易にする。
【0033】
図4Eにおいて、スーパーストレート108を完全にスーパーストレートチャック118から解放するために、周辺リングゾーン303bを通して印加された真空Vが、次いで解放される。これは、複数の利点を提供する。第一に、湾曲した状態で保持されていた周辺リングゾーン303bからスーパーストレート108の周辺を解放することによって、残りの成形可能材料液滴の広がりおよび融合を、同様の中心から周辺に向かう径方向の様式で完了させることができ、したがって、空気またはガスの捕捉および結果としての未充填欠陥を最小化し続けることができる。具体的には、内側ランド307aに対して凹んでいる周辺ランド307bは、スーパーストレート108が解放前に所望の曲率を維持することを可能にする。第二に、スーパーストレートチャック118からスーパーストレート108を完全に解放することによって、チャッキング条件によるスーパーストレート108の何らかの過度の拘束も除去され、それによって、このような拘束条件のために起こり得る局所的な不均一な平坦化が低減される。第三に、スーパーストレートチャック118からスーパーストレート108を解放することにより、任意のチャックの非平坦性エラー又は変動がスーパーストレート108に伝達されることがなくなり、これにより、局所的な非均一平坦化変動も低減される。
【0034】
スーパーストレート108が解放されると、硬化エネルギを印加して成形可能材料を硬化させ、平坦化層を形成することができる。前述のように、硬化源は、成形可能材料124を硬化させるための光ビームであってもよい。一実施形態では、光ビームの大きさはスーパーストレートの直径を参照して調整又は制御されてもよい。光ビームは、所定の角度で基板に入射するように制御することもできる。硬化中、硬化源に対する基板102の横方向位置(すなわち、XY平面内)を調整することができる。硬化プロセスの後、スーパーストレート108は、スーパーストレートシュート118によって再保持され、スーパーストレート108は、以下においてさらに説明されるように、基板から分離される。
【0035】
図5は、図3および図4に示されるように記載された平坦化プロセスのフローチャートを示す。ステップ501において、成形可能材料液滴124が基板102上に分配される。スーパーストレート108の中央領域は、ステップS502において、成形可能材料液滴124に向かって反らされる。次いで、反らされたスーパーストレート108は、スーパーストレートチャック118によって前進され、ステップS503において成形可能材料124と接する。スーパーストレート108の反りは、ステップS504において、中心領域からスーパーストレート108の周辺に向かって拡張される。スーパーストレート108をスーパーストレートチャック118によって保持するための力の印加は、例えば、スーパーストレート108の周辺に印加された真空によって停止され、スーパーストレート108がステップS506においてスーパーストレートチャック118から解放される(すなわち、チャック解除される)。成形可能材料124は、ステップS507において硬化される。硬化後、スーパーストレート108は、スーパーストレートシュート118によって再保持され、スーパーストレート108を硬化した成形可能材料146から分離する。
【0036】
例えば、成形可能材料124としてUV光硬化性材料を使用する場合、スーパーストレートチャック118は、高UV光透過性UV硬化(ならびに、例えば、図1に示されるように、カメラ136によって撮像するための高光透過性)で透明であることが望ましい。上述したように、空気圧給気チャネル308及びポート305、ゾーン303、及びランド307は、図3及び図4に示すように、スーパーストレートに一体化されている。これらの構造は、紫外線硬化に支障をきたすことがある。特に、チャネル308及びランド307の下の領域における紫外線透過率は、そのようなフィーチャを有しない領域と比較して著しく低減され、成形可能材料の硬化不足又は不均一な硬化をもたらす。この現象は「シャドーイング効果」と呼ばれることがあり、特にランド307の端部でシャドーイング効果が顕著になることがあり、また、スーパーストレート100をランド307にチャックすると、2つの表面が光学的に接触しないためにエアギャップが薄くなることがあり、この薄いギャップのタイプによって紫外線が完全に遮られることがあり、この現象はランドとスーパーストレートとの間の「薄膜効果」として知られている。
【0037】
上記の「シャドウ効果」に対する一つの解決策はスーパーストレートをスーパーストレートチャックから脱チャック(すなわち、解放)した後に、x、y及び/又はθ座標でウエハステージ上にスーパーストレート及び基板の積層体を移動させることを含む。紫外線露光中にこのようにウエハステージを移動させることによって、チャネル、ポート、およびランドの下に留まっていたであろうスーパーストレートおよび基板の領域を、チャックフィーチャが存在しないスーパーストレートチャックの下方の領域に周期的に移動させることができる。要求される相対運動は、以下の式(1)から推定することができる。
【0038】
【数1】
・・・(1)
【0039】
ここで、Iは運動の範囲にわたる所望の平均強度であり、Iはチャックのフィーチャがない領域を横切る高強度(すなわち、最大または「最大」強度)であり、Iは対象フィーチャにおける強度(すなわち、最低または「低」強度)であり、wはIを達成するための推定運動範囲であり、wは対象フィーチャ幅(例えば、ランド、ポート、またはチャネルの幅)である。例えば、フィーチャがない領域における100%のUV伝達を仮定し、所望のIがその値の90%であると仮定し、さらに、w=1mmと仮定すると、式(1)から、相対運動w=8.0mmの所望の範囲が得られる。あるいは、UV源をスーパーストレートチャックに対してUV源を傾斜させることによって移動させて、スーパーストレートチャックに入射するUV光の角度を変化させることができ、これによって、対称フィーチャの付近のシャドウイング効果も低減することができる。「薄膜の影響」は、スーパーストレートとスーパーストレートチャックとの間に充分なギャップを作り出すために、例えば、スーパーストレートを脱チャックしてウエハステージをスーパーストレートチャックから離れるようにz方向に動かすことなどによって、z軸方向に相対的に移動によって回避することができる。上述の様々な解決策は、特定の領域における全紫外線量の均一性を改善し、シャドーイングおよび薄膜効果を最小限に抑えるために、個別にまたは組み合わせて適用することができる。様々な実施形態では、適用されるUV光ビームが基板またはスーパーストレートよりも小さくても、同じサイズであっても、または大きくてもよい。一実施形態では、適用されるUV光線が基板の全体をUV光に露光し続けながら、上記の相対運動wに適応する寸法だけ基板よりも大きくすることができる。
【0040】
硬化された平坦化された膜層からのスーパーサートの分離
成形可能材料が硬化され、平坦化された膜層が形成されると、形成された層からスーパーストレートを除去または剥離しなければならない。しかしながら、スーパーストレート及び基板が同一又は類似の面積寸法を有する場合には、スーパーストレートを形成された層から完全に分離するために、必要に応じてスーパーストレートと形成された層との間に分離クラックを誘起し伝播させることは困難である。この問題は、図6図8に示す構造および方法によって解決することができる。図6Aおよび6Bに示すように、基板チャック604は、基板102上のノッチ608と位置合わせ可能な、チャックの周辺部に位置する格納可能ピン606を含む。このようなノッチ(例えば、ウエハノッチ)は、処理および取り扱い中にウエハを配向する目的のために半導体ウエハにおいて一般的である。動作において、格納可能ピン606は、基板102上に位置するノッチ608と位置合わせされて位置決めされる。分離を開始するために、ピン606は、図6Aに示すように、ノッチ608を通って上方に移動し、スーパーストレート108のエッジのポイント610と接触する。ピン606によって与えられる力は、基板102上のスーパーストレート108と硬化層146との間の分離クラック601を誘起するのに十分である。クラック601が生成されると、スーパーストレートチャック118のポート305を通る真空圧の印加によって、スーパーストレート108のエッジがスーパーストレートチャック118に向かって反る。これは、スーパーストレートチャック118のランド307bが隣接するランド307aよりもより短いことによって容易になり、これによって、スーパーストレート108のエッジが基板102から離れてスーパーストレートチャック118に向かって反るための空間が提供される。クラック601を生成するために与えられる力は、スーパーストレート、平坦化膜層、および基板の幾何学的および物理的条件に依存しうる。あるいは、クラック601は、図6Cに示されるように、基板102とスーパーストレート108との間に陽圧を導入することによって生成されてもよい。ここで、基板チャック614は、正の流体圧力源(図示せず)に接続されたノズル616を含む。ノズル616が作動すると、正の液圧Pがノズル616を通ってスーパーストレート118のエッジの点610に充分な力で供給され、分離クラック601を誘起させる。正の流体圧力は、清浄な乾燥空気、ヘリウム、又は窒素の流れを含むことができる。クラック601を生成する間、スーパーストレート102は、スーパーストレートチャック118内に保持され、基板102は、基板チャック104によって保持される。
【0041】
図7A-7C、図8は、分離の進行を示す。図7Aは、スーパーストレート118が基板上に形成された層と(斜線領域によって示されるように)完全に接触している上面図を示す。図7Bにおいて、分離クラック601は、上述のように開始されている。いったんクラック601が誘起されると、スーパーストレートチャック118の外側リングゾーン303bに負圧または真空の高い流れが与えられ、スーパーストレート108のエッジと係合し、分離クラック601を外側ゾーンリング303bの周りに伝播させる。この伝播は、矢印Cで示すように、ノッチ608から両方向に円周方向に進行する。外側リングゾーン303bの周りのクラック601の伝播を補助するために、クラック伝播が進行することにつれて、基板102とスーパーストレート108との間に追加の横方向の流れ(図示せず)を供給することができる。図7Cは、外側リングゾーン303bの周辺を完全に伝播したクラック601を示す。
【0042】
一旦、分離クラックが外側リングゾーンの周辺に完全に伝播したら、上向き運動をスーパーストレート108のZ軸方向に沿って与えて、スーパーストレート108を基板上の硬化層から完全に分離することができる。図8は、基板102から完全に分離されたスーパーストレート108を示す。分離が完了する際に、基板102に対するスーパーストレート108のかなりの上方運動は、スーパーストレート108と基板102との間の残りの接触領域において剪断応力を誘発し得る。あるいは、Z方向運動はより早い所望の配置で停止させることができ、分離は内側および/または中心リングゾーンへの継続的な真空圧印加を通して進め、終了することができる。このような剪断応力は、継続的な分離の間、内側リングゾーン303a及び/又は中心ゾーン301のうちの1つ又は複数に真空を与えることによって最小化することができる。
【0043】
図9は、図7および図8において説明され、示された分離プロセスのフローチャートを示す。ステップS901では、分離クラックがスーパーストレート108と硬化層との間で誘起される。次いで、ステップS902において、分離クラックは、スーパーストレート108の周辺を伝播する。ステップS903では、スーパーストレートの残部が硬化層から分離される。上述した実施形態では、スーパーストレート108と基板102との分離が押し付けピンまたは空気圧などの機械的な力によってクラックを発生させる工程と、スーパーストレートが上方にデカッキングするのを避けるのに十分安全な力で、スーパーストレート108をしっかりと保持し、スーパーストレート108をZ方向上方に基板102から離れるように移動させながら、クラックを伝播させるために外側ゾーンに真空を与える工程と、Z方向上方に移動中にスーパーストレート108の中心に真空を与えて分離を完了させる工程とを含む。あるいは、または上記のZ方向運動方式と組み合わせて、分離の伝播は、基板(図示せず)の1つまたは複数の側面から高圧で面内(または横方向)方向性の流れを連続的に与えることによる影響を受けることもできる。
【0044】
図6の実施形態では、クラックの発生が機械式ピン606(図6A)または流体ノズル616(図6B)のいずれかによって、ウエハノッチ608を通して与えられる上向きの力によって誘起される。図10は、分離クラックを誘起するように構成された基板チャックのさらなる実施形態を示す。ここで、基板チャック624は、スーパーストレート108と基板とが偏心して配置されたときに、分離クラックを誘発させることができる別個の格納可能ピン626を含む。この偏心配置は、基板102から突出したスーパーストレート108の部分628をもたらす。クラック602は、ピン626の移動を介して突出部分110に力を与えることによって作り出すことができる。あるいは、突出部分608は、基板よりもわずかに大きいスーパーストレートを使用することによって得ることもできる。この場合、スーパーストレート108は、依然として、基板102と同心円状に配置することができる。いずれのケースにおいても、基板チャック624はさらに、図6Aまたは6Bの実施形態などにおいて、分離クラックを誘発させるためにスーパーストレート周辺の周りに多数の点を作り出すためにピン626から離間して配置された機械式ピンまたはノズルを含むことができる。
【0045】
スーパーサートチャック
上述したように、スーパーストレート108は、好ましくはスーパーストレートと、チャッキング表面から延びるランド307によって画定されるリングゾーン303内のチャッキング表面との間の容積に圧力又は真空(負圧)を与えるスーパーストレートチャック118によって保持又は支持される。最も外側のランド307aとは別に、内側ランド307bは隣接する内側ランド307b間のギャップの深さが一定のままであるように、同じ高さを有することが好ましい。ランドの高さ(すなわち、ギャップの深さ)は、通常、気体の充満または排気の反応時間、ランドの剛性特性、膨張または収縮などの熱効果の制限などの理由から、非常に小さく、例えば、約数十マイクロメートルから数千マイクロメートルのオーダーに保たれる。動作において、リングゾーンに真空を与え、ゾーンのランドに対してスーパーストレートを保持すると、スーパーストレートとランドとのインタフェースに真空シールが生じる。しかしながら、十分な力または圧力がチャッキング真空の反対方向にスーパーストレートに与えられると、基板はチャックのランドから引き離されうる。スーパーストレートとランドとの間の特定のギャップにおいて、真空シールが失われるか、またはリークが発生し、ゾーン内の真空圧力が低下するか、またはゼロにさえなる。次に、スーパーストレートは、チャックから意図せずに脱チャックされるようになる。更に、スーパーストレートが脱チャック状態にならない場合であっても、真空リークは、例えば、図4及び図5の工程において隣り合うリングゾーンにおいて真空圧を順次に解放する場合に要求される制御のレベルを乱す可能性がある。また、外側ランドにおけるこのようなリークは、図4図5の工程において、スーパーストレートの所望の外側エッジ曲率の制御された保持に負の影響を与える可能性がある。同様に、外側ランドにおけるリークは、図7図9の過程において、分離クラックの発生、伝播を妨げる可能性がある。
【0046】
このような望ましくないリークに対処するために、図11Aおよび図11Bに示すように、トレンチ構造1109を組み込んだスーパーストレートチャック1118が提供される。スーパーストレートチャック118と同様に、スーパーストレートチャック1118は、そのような複数のランド307を含み、これらのランドは、一連の内部側ランド307aと、スーパーストレートチャック1118の表面1119から突出する周辺ランド307bとに画定することができる。図11Bおよび図12に示すように、表面1119は、スーパーストレート108を保持または保持するための保持または保持表面である。一連の内側ゾーン303aは、ランド307aによって画定される。リングゾーン303のうちの少なくとも1つでは、チャック1118の表面から凹んだトレンチ1109が形成される。トレンチは、同心であってもよく、リングゾーンの対応するランドの間に配置されてもよい。内側ゾーン303aに形成されたトレンチ1109aは、関連する内側ゾーン幅において、チャック1118の中心から遠い側の位置に配置される。対照的に、周辺リングゾーン303bに形成されたトレンチ1109bは、外側ゾーンリング幅において、基板チャック1118の中心に近い領域に位置決めされる。すなわち、内側ゾーン303aに形成されたトレンチ1109aは、対応する内側ゾーン303aの外径よりの位置に形成されており、一方、周辺リングゾーン303bに形成されたトレンチ1109bは、周辺リングゾーン303bの内径よりの位置に形成されている。
【0047】
動作において、トレンチ1109は、ランドのトレンチから遠い側の端部とスーパーストレートとの間にギャップが存在する場合でも、スーパーストレートに作用し続ける均一な高真空圧を提供するバッファとして作用する。このようにして、真空の連続的な外向き径方向の解放および中心ゾーンおよび隣接するリングゾーンへの陽圧の印加は、制御された方法で進行することができる。すなわち、ランドのトレンチから遠い側の端部にギャップを生成するのに十分な量だけスーパーストレートを反らせることができる量で、隣接する内側ゾーンに陽圧が印加されても、所与のリングゾーン内に印加された真空圧を維持することができる。言い換えれば、トレンチ1109を設けることにより、意図された処理を中断することなく、ある程度のリークを許容することができる。同様に、外側ランド高さがより小さい外側リングゾーンに位置するトレンチ1109bは、外側ランドに小さなギャップがある場合でも、外側リングゾーンに適切な真空圧を維持するように動作する。これにより、いくらかのリークがあっても、堆積された成形可能材料液滴の最終的な拡がり及び融合(図4d参照)及び分離クラックの発生及び伝播(図6参照)の両方のために、スーパーストレートの外周を所望の曲率に保持することが可能になる。
【0048】
図12は、例示的なトレンチ構造1109bの拡大断面図である。所望の真空バッファ性能を達成するために必要なリングゾーン内の特定のトレンチ寸法及び関連する位置は、スーパーストレートチャックのランド高さ及びリングゾーン幅に依存する。図12に示す例では、トレンチ1109bがリングゾーン303b内に位置し、チャック表面から窪んでいる。この実施形態では、外側ランド307bが内側ランド307aの高さh未満の高さhを有する。典型的な使用において、ランド高さの差分は、約5マイクロメートル~約50マイクロメートルであってもよい。リングゾーン303bは幅dを有する。トレンチ1109bは、ランド307bから距離dに第1エッジ、ランド307aから距離dに第2エッジを有するように位置づけられる。トレンチ1109には、深さhと幅dを有する。本実施形態では、これらのパラメータの関係が以下の条件を満たす。
【0049】
<h
>10h
<0.5d
>d+d
【0050】
トレンチ1109bを圧力供給源(図示せず)に接続するポート305は、トレンチと交差するか、さもなければトレンチ内に配置される。ポートがトレンチと交差しない場合、必要な高圧を維持することができず、トレンチは無効になる。上記の実施形態では、外側ランドhは、リークが発生することが予期される場所である。内側リングトレンチ1109bの場合、ランドの高さは、同じであってもよく、すなわち、h=hであってもよい。その場合、距離dは、リークが予期される指定されたランド(すなわち、hまたはh)から測定される。例えば、図11Aおよび図11Bの実施形態では、内側ゾーン303aが図4図5に関連するプロセスで説明したように、リングゾーンの順次の真空解放およびその後の加圧の間の内側ランドでのリークに対するバッファのために、それらのそれぞれのリングゾーンの外側ランド(チャック中心から径方向に測定されるように)により近い位置に配置されたトレンチ1109aを含む。
【0051】
様々な状況のさらなる修正および代替実施形態は、本明細書を考慮すれば当業者には明らかであろう。したがって、この説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。本明細書で示され、説明される形態は、実施形態の例として解釈されるべきであることが理解されるべきである。要素および材料は本明細書に示され、説明されたものと置き換えることができ、部分およびプロセスは逆にすることができ、特定の特徴は独立して利用することができ、すべて、本明細書の恩恵を受けた後に当業者には明らかになるのであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12