(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ファンにより搬送される媒体流を測定するファンおよび方法
(51)【国際特許分類】
F04D 27/00 20060101AFI20240529BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20240529BHJP
G01F 1/34 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F04D27/00 101A
F04D29/60 Z
G01F1/34 Z
(21)【出願番号】P 2021571052
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 DE2020200033
(87)【国際公開番号】W WO2020249168
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】102019208640.3
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510334790
【氏名又は名称】ジール・アベッグ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オブスト、 ラファエル シモン
(72)【発明者】
【氏名】カンメラー、 マティアス カルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】クルクマル、 マト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】レルヒャー、 フリーダー
(72)【発明者】
【氏名】ヘロルド、 アレクサンダー
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03045733(EP,A1)
【文献】特開昭57-105579(JP,A)
【文献】特開2013-096284(JP,A)
【文献】特開平07-145795(JP,A)
【文献】特表2018-537932(JP,A)
【文献】特開平08-121381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00-27/02
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
G01F 1/00- 1/30、
1/34- 1/54、
3/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(2)と前記電気モータ(2)により駆動されるインペラ(3)とを備え、前記インペラ(3)が、媒体流となる気体媒体を流入側(5)から流出側(7)に搬送する、ファン(1)であって、
圧力センサシステムと速度測定システムと評価ユニットとを特徴とし、
前記圧力センサシステムが、第1領域(10)と第2領域(13)との間の実際の圧力差(Δp
*)を測定するように構成され、前記第1領域(10)および/または第2領域(13)が、前記電気モータ(2)に形成され、前記第1領域(10)においては、前記流入側の圧力(p
1)に対応する圧力(p
A)が主要であり、前記第2領域(13)においては、前記流出側の圧力(p
2)に対応する圧力(p
B)が主要であり、
前記速度測定システムが、前記インペラ(3)の実際の速度(n)を測定するように構成され、
前記評価ユニットが、前記実際の圧力差(Δp
*)と前記実際の速度(n)と前記ファン(1)の圧力特性曲線とに基づいて前記気体媒体の質量流量および/または体積流量を確定するように構成され、
前記電気モータ(3)内に形成されているバルクヘッド(11)を特徴とし、
前記バルクヘッド(11)が、前記第1領域(10)と第2領域(13)との間の圧力の均等化を防止していることを特徴とする、ファン(1)。
【請求項2】
前記圧力センサシステムが、第1絶対圧力センサ(14)および第2絶対圧力センサ(15)を備え、
前記第1絶対圧力センサ(14)が、前記第1領域(10)の圧力(p
A)を測定し、
前記第2絶対圧力センサ(15)が、前記第2領域(13)の圧力(p
B)を測定することを特徴とする、請求項1に記載のファン(1)。
【請求項3】
前記第1絶対圧力センサ(14)が、前記第1領域(10)に配置されているか、前記第1領域(10)とホースまたはダクト(23)を介して接続されている第1測定チャンバに配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のファン(1)。
【請求項4】
前記第2絶対圧力センサ(15)が、前記第2領域(13)に配置されているか、前記第2領域(13)とホースまたはダクト(23)を介して接続されている第2測定チャンバに配置されていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のファン(1)。
【請求項5】
前記圧力センサシステムが、差圧センサ(22)を備え、
前記差圧センサ(22)の第1センサ面が、前記第1領域(10)の圧力(p
A)にさらされ、
前記差圧センサ(22)の第2センサ面が、前記第2領域(13)の圧力(p
B)にさらされることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項6】
前記インペラ(3)が、モータシャフト(4’’)と接続され、
前記モータシャフト(4’’)が、前記電気モータ(2)の軸受チューブ(19)を貫いてガイドされ、少なくとも1つの軸受(21)を用いて回転可能に取り付けられ、
前記モータシャフト(4’’)が、前記モータシャフト(4’’)の前端部の開口部を、前記モータシャフト(4’’)の長辺の開口部と接続する、フィードスルー(18)を備え、
前記第1領域(10)または前記第2領域(13)が、前記軸受チューブ(19)に形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項7】
前記インペラ(3)が、モータシャフト(4’)と接続され、
前記モータシャフト(4’)が、前記電気モータ(2)の軸受チューブ(19)を貫いてガイドされ、少なくとも1つの軸受(21)を用いて回転可能に取り付けられ、
前記モータシャフト(4’)が、前記モータシャフト(4’)の2つの前端部の開口部を互いに接続する、フィードスルー(9)を備え、
前記第1領域(10)または第2領域(13)が、前記モータシャフト(4’)の2つの前端部のうちの1つに形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項8】
前記第1領域(10)が、空気間隙に形成され、
前記空気間隙が、前記電気モータ(2)のロータとステータとの間に設けられ、前記電気モータ(2)の周辺と前記第1領域(10)または前記第2領域(13)との間の接続を行うことを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項9】
電子部品ハウジング(8)が、前記流出側において前記電気モータ(2)に形成され、
前記第2領域(13)または前記第1領域(10)が、前記電子部品ハウジング(8)内に形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項10】
温度センサが、前記ファン(1)により搬送される前記気体媒体の温度を測定し、
湿度センサが、前記ファン(1)により搬送される前記気体媒体の湿度を測定し、
前記温度センサおよび/または前記湿度センサにより得られた測定値が、前記気体媒体の密度を求めるために前記評価ユニットに伝送されることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項11】
前記圧力特性曲線が、メモリに格納されていることを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項12】
前記評価ユニットにより確定された前記質量流量および/または前記体積流量の値を、通信ユニットを用いて管理ユニットおよび/または上位の制御ユニットに伝送することを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項13】
前記電気モータ(2)が、電子整流式モータ、つまり、ECモータとして構成されていることを特徴とする、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のファン(1)。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のファン(1)に用いる電気モータ(2)において、
前記電気モータ(2)が、ステータと前記ステータに対して回転可能に取り付けられているロータとを備え、
前記ロータが、前記ファン(1)の前記インペラ(3)と接続されていることを特徴とする、電気モータ(2)。
【請求項15】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のファン(1)により搬送される媒体流を測定する方法において、
前記ファン(1)が、電気モータ(2)と前記電気モータ(2)により駆動されるインペラ(3)とを備え、
前記第1領域(10)と第2領域(13)との間の実際の圧力差(Δp
*)を測定するステップにおいて、前記第1領域(10)および/または第2領域(13)が、前記電気モータ(2)に形成され、前記第1領域(10)においては、前記流入側の圧力(p
1)に対応する圧力(p
A)が主要であり、前記第2領域(13)においては、前記流出側の圧力(p
2)に対応する圧力(p
B)が主要である、ステップと、
前記インペラ(3)の実際の速度(n)を測定するステップと、
前記実際の圧力差(Δp
*)と前記実際の速度(n)と前記ファン(1)の圧力特性曲線とに基づいて前記媒体流の体積流量および/または質量流量を確定するステップとを備えることを特徴とする、測定する方法。
【請求項16】
前記圧力特性曲線が、前記ファン(1)または同一のタイプのファン(1)の校正測定時に求められることを特徴とする、請求項15に記載の測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンにより搬送される媒体流を測定するファンにおいて電気モータとこの電気モータにより駆動されるインペラとを備え、このインペラが媒体流における気体媒体を流入側から流出側に搬送する、ファンに関する。
【0002】
また、本発明は、このファンに用いる電気モータと、これに対応する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、ファンは、電気モータとこの電気モータにより駆動されるインペラとからなる。
電気モータは、ステータとこのステータに対して回転可能に取り付けられているロータとを備えている。
ロータは、インペラと接続されている。
【0004】
一般に、ファンは、動作中、媒体流とも称される空気流を、流入側から(通常)流入kを通り、インペラを通って流出側に搬送する。
流入側の圧力は、p1であり、流出側の圧力は、p2である。
この場合、圧力差Δp=p2-p1を、ファンにより搬送される媒体流に一義的に割り当てることができる。
多くの場合、この割り当てを特徴付ける特性曲線は、「静圧上昇の特性曲線」とも称され、この特性曲線は、校正速度と校正空気密度に関連し、通常、校正測定時に得ることができる。
【0005】
近似を用いると、体積流量は、速度に比例し、圧力差は、速度の二乗に比例するため、この特性曲線を用いて、任意の既知の速度における、実際の空気体積流量を測定することができる。
これは、なぜなら、これらの関係を用いることにより、測定された実際の圧力差、そして、実際の速度から特性曲線を逆算することができるからである。
【0006】
また、圧力差Δpも、空気密度に比例することから、既知または推定の空気密度において、校正空気密度が利用できない場合でも、特性曲線を用いることができる。
よって、空気体積流量を測定することができる。
圧力差Δpと空気質量流量の両者は、密度に比例するため、密度が未知の場合でも、空気質量流量を直接的に測定することができる。
したがって、測定された圧力差Δp、既知のファンの速度、および、既知または推定の密度から、ファン動作中の空気体積流量か、密度が未知の場合には空気質量流量か、のどちらかを測定することができる。
体積流量または質量流量のこれらの値は、例えば、単位時間あたり所定の空気体積を搬送させる場合に、上位の制御装置において用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第10 2015 219 150 A1
【文献】独国特許出願公開第10 2018 211 833 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧力p1,p2が、校正測定時に問題なく測定可能でありながら、この体積流量または質量流量の測定は、不利な点を有している。
一方で、さらなる圧力センサを設置し、評価ユニットと接続する必要があるため、実際の使用例における測定は、困難である。
その他方で、スペース上またはロバスト性の理由から、これらのセンサを設置できないことも珍しくない。
また、センサの配線により、設置労力が大幅に増加する。
したがって、これらの方法は、多くの場合、実用的ではなく、実装コストが高い。
【0009】
電気モータの電子ハウジングに一体化されるセンサ構成は、特許文献1から知られている。
圧力フィードスルーと圧力ホースは、電気モータ内側のセンサをモータ外側の各測定位置に接続する。
この構成は、圧力ホースのみを測定位置に配置すればよく、センサの外部配線が省かれるという利点を有する。
よって、設置労力が、大幅に減少する。
しかし、圧力ホースを配置する必要があり、これは、依然として小さくない設置労力を伴い、すべての使用例において実施可能というわけではない。
【0010】
したがって、本発明は、気体媒体の体積流量または質量流量を、信頼性高く測定することがわずかな労力で可能な、冒頭部に記載したタイプのファン、電気モータ、および、方法を構成し、発展させるという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、上記課題は、請求項1の特徴により解決される。
これによると、本ファンは、圧力センサシステムと速度測定システムと評価ユニットとを有し、
圧力センサシステムが、第1領域と第2領域との間の実際の圧力差を測定するように構成され、第1領域および/または第2領域が、電気モータに形成され、第1領域においては、流入側の圧力に対応する圧力が主要であり、第2領域においては流出側の圧力に対応する圧力が主要であり、速度測定システムが、インペラの実際の速度を測定するように構成され、評価ユニットが、実際の圧力差と、実際の速度と、ファンの圧力特性曲線とに基づいて、気体媒体の質量流量および/または体積流量を確定するように構成されている。
【0012】
上記課題は、電気モータに関して、請求項15の特徴により解決される。
これによると、本電気モータは、本発明に係るファンに用いられ、ステータとこのステータに対して回転可能に取り付けられているロータとを備え、このロータが、ファンのインペラと接続されている。
【0013】
上記課題は、方法に関して、請求項16の特徴により解決される。
これによると、本方法は、
第1領域と第2領域との間の、実際の圧力差を測定するステップにおいて、第1領域および/または第2領域が、電気モータに形成され、第1領域においては、流入側の圧力に対応する圧力が主要であり、第2領域においては、流出側の圧力に対応する圧力が主要である、ステップと、
インペラの実際の速度を測定するステップと、
実際の圧力差と実際の速度とファンの圧力特性曲線とに基づいて媒体流の体積流量および/または質量流量を確定するステップと、を備えている。
【0014】
本発明によると、ファンにより搬送される媒体流を測定する際、流入側圧力p1および流出側圧力p2を測定する必要はない。
むしろ、媒体流も、電気モータの近傍および/または電気モータ内の圧力変化を引き起こすのであり、圧力変化は、媒体流の測定に好適である。
電気モータの近傍および/または電気モータ内の測定圧力を、圧力p1,p2と全く同様に用いることができ、圧力特性曲線に対する同様の密度依存性および速度依存性が存在することが認められた。
この場合、圧力特性曲線のみを本発明に用いられるセンサシステムに適合させればよく、このことは、実装において障害とはならない。
このようにして、外部センサ、または、電気モータ外側のいくつかの測定位置に設けられるホースを必要とすることなく、ファンにより搬送される媒体の質量流量および/または体積流量を量的に確定することができるように、ファンまたは電気モータを構成することができる。
このようにして、質量流量および/または体積流量を量的に記載することができる。
これは、質量流量および/または体積流量を量的に確定することが可能であることを意味する。
【0015】
この目的のために、本発明に係るファンは、圧力センサシステムと速度測定システムと評価ユニットとを備えている。
圧力センサシステムは、第1領域と第2領域との間の実際の圧力差を測定するように構成され、第1領域および/または第2領域は、電気モータに形成されている。
具体的に、第1領域および第2領域がどこに形成されるかは、電気モータの各設計、ファンのインペラとの相対位置、ファンの一般的構造、および、さらなる設計要素に依存する。
ここで重要な点は、第1領域においては、流入側の圧力に対応する圧力が主要であり、第2領域においては、流出側の圧力に対応する圧力が主要であることである。
この対応関係がどの程度具体的であるかは、第1領域または第2領域の圧力と流入側または流出側の圧力との間の単調な関係が主要である限り、本発明とは無関係である。
これは、一意な関係が、対応する圧力間にそれぞれ存在しなければならないが、この関係が必ずしも既知である必要はないことを意味する。
これは、この関係が、最終的には圧力特性曲線に写像されることから、関係に関する知見が、圧力特性曲線に含まれているからである。
【0016】
速度測定システムは、インペラの実際の速度を測定するように構成されている。
この速度測定システムは、専用の速度センサにより構成されてよい。
その一方、電子整流式モータ(ECモータ)においては、モータ電子機器のパラメータを用いることもできる。
いずれにせよ、速度は、通常、制御用にここで必要とされるため、すでに設けられている。
この実施形態における速度測定システムは、このすでに存在する値にアクセスしてよい。
【0017】
評価ユニットが、測定された実際の圧力差と、測定された実際の速度と、ファンの圧力特性曲線とに基づいて、媒体の質量流量および/または体積流量を(量的に)測定するように構成されている。
圧力特性曲線は、圧力差とこの圧力差からそれぞれ生じる体積流量との関係を反映する。
ここでは、圧力特性曲線は、校正速度と校正空気密度で記録されている。
上述のように、近似を用いると、体積流量は、速度に比例し、圧力差は、速度の二乗に比例するため、実際の速度を用いて、圧力特性曲線を逆算することができる。
圧力差が媒体密度に比例するため、既知または推定の媒体密度から、校正媒体密度を逆算することができる。
媒体の体積流量の代わりに、媒体の質量流量を測定する場合、圧力特性曲線は、圧力差と、それに対応する質量流量との関係を反映してもよい。
したがって、全体として、大掛かりな設置手段を必要とすることなく、ファンにより搬送される媒体の体積流量または質量流量を測定可能なファンが得られる。
むしろ、必要なセンサシステムと必要なユニットは、工場のファンにすでに組み入れ可能であるため、ファンの使用位置にファンを設置し、動作させるだけでよいことになる。
【0018】
ファンが具体的にどのように構成されているかは、重要ではない。
例として、4つのタイプのファンを挙げると、軸流ファン、ラジアルファン、ダイアゴナルファン、または、クロスフローファンが用いられてよい。
ファンのインペラにより搬送される媒体流が、第1領域および第2領域における上記圧力依存性に至ることのみが重要である。
その一方、本発明に係るファンは、電気モータが流入側または流出側に向いた、ラジアルファンである。
以下の記載は、ファンの流出側に配置された電気モータに関する。
当業者であれば、以下の記載をファンに関する電気モータの他の配置に応じて適用することを理解するだろう。
【0019】
本発明に係るファンによりどの気体媒体が搬送されるかも、重要ではない。
ファンは、非常に多種多様な気体媒体を搬送してよく、ファンは、空気を搬送するために用いられる。
【0020】
ここでは、ファンがどの使用例において用いられるかも、重要ではない。
本質的なことは、ファンが気体媒体を搬送することである。
その一方、どの目的のための実装かは、二次的なことである。
よって、適用例を少数のみ挙げると、ファンは、空調キャビネットにおける熱交換器の表面を冷却してよく、建物または部屋の空気供給や、通気に使用されてもよい。
【0021】
圧力センサシステムは、第1絶対圧力センサと第2絶対圧力センサとを備える。
第1絶対圧力センサは、第1領域において主要な圧力を測定し、第2絶対圧力センサは、第2領域において主要な圧力を測定する。
ここでは、絶対圧力センサは、周知の非常に多種多様なセンサにより実装されてよい。
絶対圧力センサが、気体媒体を測定するのに好適であり、その圧力を測定するのに感度が十分であることのみが重要である。
ただ、この要件をクリアするのは、容易である。
【0022】
第1領域において主要な圧力を測定するために、絶対圧力センサは、第1領域に配置されてよい。
このようにして、第1領域の圧力を、特に単純に、さらなる構成手段を必要とすることなく、測定することができる。
代替的に、第1絶対圧力センサは、第1領域の外側に配置されてもよく、ホースを介して第1領域と接続されてもよい。
この代替的な実施形態において、ホースを介して第1領域と接続されている第1測定チャンバは、第1絶対圧力センサ上または第1絶対圧力センサ内に形成されている。
このようにして、第1測定チャンバでは、第1領域と略同一の圧力が主要であるため、第1領域の圧力も、このようにして、信頼性高く測定することができる。
そのようなホースを用いることにより、センサをよりフレキシブルに取り付けることができるため、第1領域を、センサ取り付け用の空間がないような場所にも形成することができる。
その一方、このホースは、電気モータ内に取り付けられることにより、使用環境にファンを設置する際のホース取り付けも省かれる。
【0023】
このことは、第2絶対圧力センサにも適用され、第2絶対圧力センサは、第2領域に配置されてよく、または、第2領域と、ホースまたはダクトを介して接続されている第2測定チャンバに配置されてよい。
第1絶対圧力センサに関する上記記載は、この場合にも適用される。
【0024】
別の構成において、圧力センサシステムは、差圧センサを備え、この差圧センサは、第1センサ面と第2センサ面とを有している。
この場合、差圧センサは、第1センサ面の圧力と第2センサ面の圧力との差に応じたセンサ信号を生成する。
このように、実際の圧力差を、測定された絶対値から算出する必要はなく、むしろ、実際の圧力差は、直接的に得られる。
このように構成されている圧力センサシステムにおいて、差圧センサの第1センサ面が、第1領域の圧力にさらされ、差圧センサの第2センサ面が、第2領域の圧力にさらされる。
この場合、2つの絶対圧力センサを有する実施形態におけるように、センサ面は、それぞれの領域と直接的に接触してよいか、ホースまたは空気ダクトが、圧力に関してセンサ面をそれぞれの割り当て領域と接続してよい。
好適な差圧センサは、周知である。
【0025】
様々な電気モータにおいて、電気モータの様々な領域が互いに接続され、流出側の圧力または流入側の圧力に関係なく、圧力の均等化が個々の領域内で生じてしまう可能性がある。
このため、1つの構成において、バルクヘッドが、そのような電気モータに設けられてよく、バルクヘッドは、電気モータ内に形成されている。
バルクヘッドは、そのような圧力の均等化を防止するか、または、少なくとも大きく限定する。
このようにして、第1領域および第2領域を、そのような電気モータにおいて、定義することもできる。
そのようなバルクヘッドは、例えば、外部にロータを構成した電気モータにおいて、軸受チューブとステータブッシング上の電子部品ハウジングとの間の移行部に取り付けられてよい。
【0026】
第1領域の1つの実施形態において、第1領域は、軸受チューブに形成されていてよい。
このために、電気モータは、モータシャフトを中心にロータまたはこのロータと接続されたインペラが、電気モータのステータに対して回転可能である。
ここでは、インペラとロータとの間の接続は、インペラが、ロータハウジングを介してモータシャフトと接続されるようにして、なされてよい。
この場合、モータシャフトは、電気モータの軸受チューブを貫いてガイドされ、少なくとも1つの軸受を用いて、回転可能に取り付けられている。
実際には、2つの軸受が用いられ、1つの軸受が、軸受チューブの2つの端部のそれぞれに圧入されている。
この実施形態の第1領域において、モータシャフトは、モータシャフトの前端部の開口部を、モータシャフトの長辺の開口部と接続する、フィードスルーを有する。
このようにして、軸受チューブの圧力は、モータシャフトの前端部において主要な圧力と均等になる。
開口部が設けられた、モータシャフトの前端部が、流入側に向いている場合、軸受チューブの第1領域は、このようにして形成されている。
開口部が設けられた、モータシャフトの前端部が、流出側に向いている場合、第2領域も、軸受チューブに形成してよい。
【0027】
このフィードスルーは、モータシャフトに、ボアの形状で形成されている。
ここでは、モータシャフトの長さ方向略中心のボアと、モータシャフトの長辺の幅方向のボアが、フィードスルーを形成してよく、中心ボアと、幅方向ボアは、互いに合流してよい。
フィードスルーの直径の大きさと、断面の大きさは、モータシャフトが十分に安定している状態が続き、前端部開口部と長辺開口部との間の圧力の均等化が十分に確保されている限り、実質的に重要ではない。
長さ方向のどの位置に、長辺開口部がモータシャフトに形成されているかも、実質的に重要ではない。
重要な点は、開口部が、軸受が押圧される領域に配置されていないことである。
ただ、この要件は、簡単に充足可能である。
長辺開口部は、モータシャフトの中央領域に形成され、言い換えれば、モータシャフトの長さの40%~60%の間の領域に形成されている。
【0028】
センサユニットは、軸受チューブの圧力を測定するために、軸受チューブに配置されてよい。
そのようなセンサユニットは、例えば、特許文献2から知られており、本文献の内容は、本明細書において参照される。
そのようなセンサユニットを用いて、軸受チューブ内における主要な圧力を簡単に測定してよく、評価装置に伝送してよい。
【0029】
別の実施形態における第1領域は、モータシャフトの端部に形成されている。
ここで、電気モータのロータまたはロータと接続された、ファンのインペラは、モータシャフトと接続され、このモータシャフトは、電気モータの軸受チューブを貫いてガイドされ、少なくとも1つの軸受を用いて回転可能に取り付けられている。
その一方、このモータシャフトは、モータシャフトの両前端部の開口部を互いに接続する、フィードスルーを備える。
これは、モータシャフトの一方の前端部の開口部が、フィードスルーを介して、モータシャフトの反対側の前端部の開口部と接続されていることを意味する。
モータシャフトの一方の前端部が、ファンの流入側に向いている場合、第1領域は、モータシャフトの反対側の前端部に形成されていてよい。
この実施形態においても、フィードスルーの構成および直径の大きさは、重要ではない。
重要な点は、モータシャフトが十分な安定性を有し、フィードスルーにより前端部開口部間の圧力の均等化が十分となっていることである。
ただ、この要件は、簡単に実現可能である。
また、一方の前端部がファンの流出側の方向に向いている場合、第2領域は、モータシャフトの反対側の前端部に形成されていてよい。
【0030】
別の実施形態における第1領域は、空気間隙に形成されている。
多くの場合、ファンの電気モータのハウジングは、電気モータを冷却するために、空気間隙が、電気モータのロータとステータとの間に設けられるように、構成されている。
これら空気間隙においては、流入側の圧力に対応するか、流入側の圧力と所定の関係を有する圧力が、主要である。
したがって、そのような空気間隙は、第1領域を形成するように用いることもできる。
また、空気間隙において主要な圧力が、流出側の圧力に対応する場合、第2領域は、空気間隙に形成されてもよい。
【0031】
第2領域の1つの実施形態において、第2領域は、電子部品ハウジングに形成されていてよい。
電子部品ハウジングが、電気モータに、流出側において形成されている場合、流出側において主要な静圧が、流出側圧力に対応する。
したがって、第2領域は、電子部品ハウジング内に形成されていてよい。
ここでも、流入側に向いた電子部品ハウジングが、電子部品ハウジング内に第1領域を形成する。
【0032】
搬送媒体の密度を示す密度値は、気体媒体の体積流量の測定に必要である。
1つの実施形態において、この値は、推定されてよく、または、上位の制御ユニットにより、評価ユニットに伝送されてよい。
別の実施形態において、ファンは、温度センサおよび/または湿度センサを有し、温度センサは、ファンにより搬送される気体媒体の温度を測定し、湿度センサは、ファンにより搬送される気体媒体の湿度を測定する。
そして、温度センサおよび/または湿度センサにより得られた測定値は、気体媒体の密度を求めるために、評価ユニットに伝送されてよい。
気体媒体の密度は、気体媒体の湿度および温度に略依存するため、気体媒体の密度を比較的正確に測定することができる。
したがって、評価ユニットは、取得した測定値に基づいて、気体媒体の密度を求めるように、さらに構成されてよい。
【0033】
ファンは、メモリを有し、このメモリに1つまたは複数の圧力特性曲線が格納されている。
評価ユニットは、メモリとの通信接続を有していることにより、評価ユニットは、気体媒体の体積流量および/または質量流量を確定する際に、メモリに格納されている圧力特性曲線にアクセスすることができる。
メモリは、媒体の体積流量および/または質量流量の確定された値、得られた実際の速度、測定した/得られた実際の圧力差、および/または、ファンの動作中に生じるさらなる値を格納し、評価ユニットによりさらに用いられてよい。
ここでは、メモリは、電圧供給が切れた後でも格納されている値を保持する、不揮発性メモリにより構成されている。
このメモリは、非常に様々に構成されてよい。
ここで、一例として、フラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、NVRAM(Non-volatile Random Access Memory)、または、別の半導体メモリの使用が参照される。
【0034】
ファンは、通信ユニットを備え、通信ユニットを用いて、評価ユニットにより確定された体積流量および/または質量流量の値を、管理ユニットおよび/または上位の制御ユニットに伝送することができる。
通信ユニットは、非常に様々に構成されてよく、非常に様々な通信標準および技術を、この通信ユニットからのデータ伝送と、この通信ユニットへのデータ伝送に用いてよい。
デジタル伝送技術、そして、アナログ伝送技術を用いてもよい。
伝送は、有線または無線であってよい。
並列伝送インタフェースまたは直列伝送インタフェースを用いてよい。
伝送は、パケット化されてよく、直接接続であってもよい。単に一例として、以下に限定されることなく、Bluetooth、Bluetooth LE(Low Energy)、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)、Ethernet、RS485、Modbus、Profibus、CANbus、または、USB(Universal Serial Bus)の使用が参照される。
【0035】
通信ユニットが、管理ユニットとの通信に用いられる場合、管理ユニットは、様々に構成され、用いられてよい。
したがって、管理ユニットが、搬送媒体に関する情報値を保存し、それらを、例えば、インダストリー4.0環境に合わせて供給することが考えられる。
管理ユニットは、代替的または追加的に搬送媒体の目標値諸元および/または密度値を、ファンに伝送するように構成されてもよい。
この場合、管理ユニットは、ファンとともにシステムを構成してよい。
【0036】
通信ユニットが、上位の制御ユニットとの通信に用いられる場合、この制御ユニットは、ファンを備えるシステムを構成してよく、例えば、所定の目標搬送量(質量流量、体積流量)に関して、ファンを制御してよい。
【0037】
ファンの電気モータは、様々に構成されてよい。
同期モータが用いられてよく、非同期モータまたはDCモータが用いられてもよい。
電気モータは、電子整流式モータ(ECモータ)として構成されている。
電気モータは、外部ロータモータとして構成されている。
【0038】
本発明に係るファンのコア部は、本発明に係る電気モータであり、ファンにより搬送される媒体流を測定するための全ての重要な要素が配置されていてよい。
そのような電気モータは、ステータとこのステータに対して回転可能に取り付けられているロータとを有し、このロータは、ファンのインペラと接続されている。
圧力センサシステムと速度測定システムと評価ユニットは、本発明に係る電気モータに組み入れられてよい。
電気モータの電子部品ハウジング内に形成されている電子部品チャンバが、この組み入れに用いられてよい。
そのような組み入れ、または、別の例の組み入れにより、圧力センサシステムと速度測定システムと評価ユニットは、電気モータに一体化された部材となり、それにより、各部材は、電気モータと固定接続されている。
【0039】
特に、電気モータとこの電気モータにより駆動されるインペラとを備える本発明のファンを用いる方法は、実際の圧力差を測定するステップと、インペラの実際の速度を測定するステップと、実際の圧力差と実際の速度とファンの圧力特性曲線とに基づいて、体積流量および/または質量流量を(量的に)確定するステップと、を備える。
ここでは、演算を行い、本方法のステップを制御するプロセッサ、特に、マイクロプロセッサが設けられてよい。
【0040】
本発明に係るファンにより用いられる圧力特性曲線、本発明に係る電気モータ、および/または、本発明に係る方法は、様々に構成されてよい。
したがって、構造的に同一のファンに関する圧力特性曲線が、タイプに関連付けられた特性曲線として、同一のタイプの別のファンの製造中に定められ、このタイプに関連付けられた特性曲線が、他のファンのメモリに格納される。
同一のタイプのファンは、大部分において同様であるため、圧力特性曲線を複数のファンに対して非常に簡単に分配することができる。
圧力特性曲線の精度が重要である場合と、ファンの製造ばらつきをほぼ除去したい場合には、個々のファンそれぞれに関する専用の校正測定を行ってよく、校正測定値をファンのメモリに格納してよい。
両方の場合において、複数回の校正測定を行ってもよく、圧力特性曲線は、様々な校正測定値の平均値として算出されてよい。
圧力特性曲線は、ある程度、ファンの設置状況に依存する場合があるため、圧力特性曲線を、用途に関連付けて、有利には、同時にタイプに関連付けて、算出しかつ格納することも考えられる。
この場合、ユーザがどのようにして圧力特性曲線を格納してよいか、その手順がファンに実装されている。
【0041】
本発明の特徴をさらに発展させるための様々な形態が存在する。
この目的のために、並行請求項を引用する請求項と、他方では、図面に基づく実施形態の説明とが、参照される。
本発明の実施形態に関連して、本発明の実施形態およびさらなる構成についても、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2】
図2は、中空のシャフトと、バルクヘッドにより分離された第1領域および第2領域とを有する、本発明の第1実施形態に係るファンを示す図。
【
図3】
図3は、ファンにより搬送される体積流量に対する、様々な圧力差の依存性を示す図。
【
図4】
図4は、
図2と同様の実施形態を示す絶対圧力センサの配置を有するバルクヘッドの領域の拡大図。
【
図5】
図5は、
図2と同様の実施形態を示す絶対圧力センサの別の配置を有するバルクヘッドの領域の拡大図。
【
図6】
図6は、一部中空のシャフトと軸受チューブの第1領域と電子部品ハウジングの第2領域とを有する本発明の第2実施形態に係るファンの断面図。
【
図7】
図7は、実際の圧力差が差圧センサを用いて測定される
図6の実施形態の変形を示す図。
【
図8】
図8は、差圧センサと、電子部品ハウジングに形成されている第1領域と、電子部品ハウジング外側に形成されている第2領域とを有する、本発明の第3実施形態に係るファンの電気モータを示す断面図。
【
図9】
図9は、差圧センサと、圧力ダクトにより形成されている、第1領域へのフィードスルーとを有する、本発明の第4実施形態に係るファンの電気モータを示す断面図。
【
図10】
図10は、
図9に示す本発明の第4実施形態に係るファンの電気モータの変形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、先行技術から知られるファンの断面図を示し、以下に説明される実施形態それぞれが、このファンを出発点としている。
この周知のファンの説明において、本発明に係るファンの実施形態においても見出される要素、または、見出すことができる要素には、実施形態と同一の参照符号が付されている。
【0044】
図1に示されるファンは、電気モータ2と、モータシャフト4を中心に電気モータ2に対して回転可能で電気モータ2により駆動されるインペラとを備える。
インペラ3、つまり、ファンは、媒体流、この場合は、空気流を、流入側5から、流入ノズル6とインペラ3を通って流出側7に搬送する。
流出側において、電気モータ2のモータ電子部品を中に配置可能な電子部品ハウジング8が、電気モータ2に設けられている。
例えば、これらのモータ電子部品は、供給信号システムを生成してよく、供給信号システムは、ロータの回転動作を引き起こす、電気モータの回転磁場を生成してよい。
ファンの動作中、流入側の圧力は、p
1であり、流出側の圧力は、p
2である。
これらから、圧力差Δp=p
2-p
1を算出してよい。
この圧力差と、インペラにより搬送される媒体流量は、明確な依存性を有し、
図3において、実線で示されている。
このファンは、以下に説明される本発明に係るファンの実施形態の出発点となる。
【0045】
本発明の第1実施形態に係るファンが、
図2に示されている。
ファン1は、
図1に示されているファンと同様に構成されている。
本ファン1のモータシャフト4’は、フィードスルー9を備え、フィードスルー9は、モータシャフト4’の前端部の開口部を、モータシャフト4’の反対側の前端部の開口部と接続する。
フィードスルー9は、中心ボアとして形成されているため、モータシャフト4’は、中空シャフトである。
このようにして、流入側5と対向していない、モータシャフト4’の前端部においては、圧力p
Aが生じ、流入側5の圧力p
1に対応する。
圧力p
Aを有する領域は、本発明の意味における第1領域10を形成してよい。
【0046】
圧力の均等化が生じないように、バルクヘッド11が電子部品ハウジング8に設けられ、バルクヘッド11は、モータ電子部品のプリント基板12上、または、直接的に電子部品ハウジング8の基板上に固定されている。
このようにして、汚れと湿気が、流入側から電子部品ハウジング8に入るのを防止している。
他方、バルクヘッド11により、第1領域10を第2領域13から分離する、再分割が生じている。
バルクヘッド11とプリント基板12は、圧力pAを有する第1領域10と圧力pBを有する第2領域13との間の圧力の均等化を防止している。
【0047】
第2領域13においては、流出側圧力p
2に対応する(静)圧p
Bが生じる。
これら圧力p
A,p
Bは、第1絶対圧力センサ14および第2絶対圧力センサ15により測定され、2つの絶対圧力センサは、
図2のモータ電子部品のプリント基板12にそれぞれ設けられている。
実際の圧力差Δp
*は、Δp
*=p
B-p
Aにより得られる。
この実際の圧力差Δp
*も、圧力差Δpと同様に、ファンにより搬送される体積流量に対する依存性を有している。
この関係は、
図3にダッシュ線で示されている。
2つの圧力特性曲線(実線およびダッシュ線)は、互いに略比例している。
また、2つの圧力特性曲線は、少なくとも関連する記載された範囲において体積流量の厳密な単調減少関数である。
したがって、圧力特性曲線Δp
*を(少なくともこの特性曲線領域において)用いて、ファンにより搬送される気体媒体の体積流量および/または質量流量を測定してよい。
これは、本発明に係るファンを用いることにより、電線またはホースを電気モータからつなぐ必要なく、圧力差の測定を局所的に電気モータの領域で行うことができ、稼働時の体積流量または質量流量を、コンパクトかつ電気モータの領域で局所的に測定するシステムを構成することができることを示している。
圧力差Δp
*を用いる場合、対応する局所的な圧力差Δp
*に関する校正特性曲線のみをファンに格納すればよい。
ここでは、密度依存性および速度依存性は、別の箇所ですでに説明されているものとして扱われる。
【0048】
図4および
図5は、第1絶対圧力センサ14の2つの考えられる配置を拡大して示し、
図2と同様の実施形態を拡大図で示している。
図4において、第1絶対圧力センサ14は、
図2のように、モータ電子部品のプリント基板12に配置されている。
バルクヘッド11は、例えば、合成樹脂製の、中空の円筒状部材により形成されている。
図5において、第1絶対圧力センサ14は、モータシャフト4’の電子部品側前端部の正反対側に配置されている。
このために、バルクヘッド11のカバー面は、プリント基板16により形成されてよく、プリント基板16は、ケーブル17(例えば、リボンケーブル)を用いて、プリント基板12と接続されてよく、モータ電子部品と接続されてよい。
【0049】
図6は、本発明の第2実施形態に係るファン1’を示す。
この第2実施形態におけるモータシャフト4’’は、部分的にのみ中空シャフトとして形成されている。
フィードスルー18は、モータシャフト4’’の前端部の開口部を、モータシャフト4’’の長辺の開口部と接続している。
フィードスルー18は、モータシャフト4’’の略長辺中央まで延在している中心ボアと、幅方向ボアとにより形成されている。
フィードスルー18の開口部を有する、モータシャフト4’’の前端部は、流入側5に向いている。
圧力の均等化は、流出側5と軸受チューブ19との間で生じてよい。
このようにして、本発明における第1領域10は、軸受チューブ19に形成され、圧力p
Aがそこに生じている。
この圧力p
Aは、例えば、センサ構成20により測定されてよく、センサ構成20は、軸受チューブ19に挿入されるものであり、特許文献2に記載されている。
このセンサ構成20は、圧力p
A測定する、第1絶対圧力センサ14を備えてよい。
軸受チューブ19の2つの端部における軸受21は、軸受チューブ19の圧力の均等化を防止せず、透過性を有するため、この実施形態においては、第1領域10と、電子部品ハウジング8に形成されている第2領域13とを分離する、バルクヘッド11も設けられている。
他の実施形態においては、バルクヘッドを形成せずに、軸受を用いて、圧力の均等化を防止することも考えられる。
第2絶対圧力センサ15は、第2領域13において主要な圧力p
Bを測定してよい。
【0050】
本発明に係るファンの同様の実施形態を、
図7に示す。
図6とは異なり、ファン1
iiにおいては、軸受チューブ19にセンサ構成20が設けられていない。
その代りに、差圧センサ22が用いられている。
第1センサ面(不図示)へのアクセスを可能にする第1接続部が、ホース23を介して、バルクヘッド11を通って第1領域10と接続されているため、電気部品側軸受21により圧力の均等化が可能である場合、第1領域10の圧力p
Aがこの第1センサ面にかかる。
第2センサ面(不図示)へのアクセスを可能にする第2接続部が、電子部品ハウジング8の内部に向かってむき出しであるため、電子部品ハウジング8の内側、したがって、第2領域13の内側の圧力p
Bがこの第2センサ面にかかる。
このようにして、差圧センサ22は、実際の圧力差Δp
*を測定してよい。
【0051】
図8は、本発明の第3実施形態に係るファンの電気モータ2
iiiを示す。
図2の第1実施形態と同様に、この電気モータ2
iiiのモータシャフト4’は、中空シャフトとして形成されている。
その一方、この実施形態において、バルクヘッドは設けられず、電子部品ハウジング8に、流入側5の圧力に対応する圧力p
Aが生じている。
したがって、この実施形態における本発明における第1領域10は、電子部品ハウジング8に形成されている。
この実施形態において、第2領域13は、電気モータ2
iiiの外側、つまり、電子部品ハウジング8の外面近傍に形成されている。
モータ電子部品のプリント基板12に設けられている差圧センサ22は、実際の圧力差Δp
*を測定する。
ここでは、差圧センサ22の第1接続部が、電子部品ハウジング8の内部に向かってむき出しであるため、第1領域10の圧力p
Aが第1センサ面にかかる。
差圧センサ22の第2接続部は、ホースまたはダクト23を用いて電子部品ハウジング8の壁部を通って、第2領域13に接続されている。
このようにして、この実施形態において、差圧センサ22も、ファンにより搬送される媒体の体積流量および/または質量流量を測定するのに好適な、圧力差Δp
*を測定する。
【0052】
図9は、本発明の第4実施形態に係るファンの電気モータ2
ivを示す。
差圧センサ22は、実際の圧力差Δp
*を検出し、差圧センサ22の第1センサ面が、圧力p
Aを検出し、第2センサ面が、圧力p
Bを検出する。
第1領域10は、電子部品ハウジング8の内部に形成されている。
流入側5との接続は、例えば、溝形状を有する圧力ダクト28を介して行われている。
実施形態における圧力ダクト28は、電子部品ハウジング8の内部から、ステータ27を通って、空気流路25近傍の領域内へと延在している。
圧力p
A、または、これと相関付けが可能な値を、例えば、復水孔または冷却開口部として具現化される空気流路25を通して、差圧センサ22の第1センサ面が取得可能である。
ここでは、圧力ダクト28が空気流路25の直近に適用されるか否か、または、空気間隙26の任意の領域が接続されているか否かは、二次的な重要性しか有さない。
タップを介した圧力p
Aが、流入側5の圧力p
1と相関付けられることのみが、重要である。
完全を期すため、電気モータ2のロータハウジング24が、流入側5にではなく、流出側7に向いている実施形態においては、圧力p
1と圧力p
1の領域、つまり、圧力p
Aと圧力p
Bの領域は、電気モータ2に関して互いに入れ替わることに留意されたい。
【0053】
図10は、
図9の実施形態の電気モータ2
vの変形を示す。
ここでも、電気モータ2
vのロータ27を通る圧力ダクト28が用いられている。
その一方、差圧センサ22の第1センサ面は、直接的にホース23を介して圧力ダクト28と接続されている。
【0054】
本発明に係るファン、本発明に係る電気モータおよび本発明に係る方法のさらなる形態に関しては、繰り返しを避けるため、本明細書の一般部分および添付の特許請求の範囲が参照される。
【0055】
最後に、上記実施形態は、特許請求される特徴を説明するためのみに用いられるものであり、それを実施形態に限定するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1・・・ファン
2・・・電気モータ
3・・・インペラ
4・・・モータシャフト
5・・・流入側
6・・・流入ノズル
7・・・流出側
8・・・電子部品ハウジング
9・・・フィードスルー
10・・・第1領域
11・・・バルクヘッド
12・・・モータ電子部品のプリント基板
13・・・第2領域
14・・・第1絶対圧力センサ
15・・・第2絶対圧力センサ
16・・・センサ用プリント基板
17・・・ケーブル
18・・・フィードスルー
19・・・軸受チューブ
20・・・センサ構成
21・・・軸受
22・・・差圧センサ
23・・・ホース
24・・・ロータハウジング
25・・・空気流路
26・・・空気間隙
27・・・ステータ、巻線
28・・・圧力ダクト