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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】圧電同軸センサ
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/60 20230101AFI20240529BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240529BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20240529BHJP
   H10N 30/098 20230101ALI20240529BHJP
   G01L 1/16 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H10N30/60
H10N30/30
H10N30/857
H10N30/098
G01L1/16 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022505959
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2021008071
(87)【国際公開番号】W WO2021182210
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2020039919
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(73)【特許権者】
【識別番号】517069066
【氏名又は名称】ロボセンサー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】上田 祥
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄気
(72)【発明者】
【氏名】大村 昌良
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182009(JP,A)
【文献】特開2004-119240(JP,A)
【文献】特開2009-037797(JP,A)
【文献】特許第6610817(JP,B1)
【文献】特開2007-273478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/60
H10N 30/30
H10N 30/857
H10N 30/098
G01L 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線を含む中心導体と、
前記中心導体の外周面を被覆する高分子圧電体層と、
前記高分子圧電体層の外周面を囲う第1外部導体と、
前記第1外部導体の外周面を被覆する第1ジャケット層と、
前記第1ジャケット層の外周面を囲う第2外部導体と、
前記第1ジャケット層の外周面を囲うように、前記第2外部導体の外側に巻かれる第2金属箔層と、
を備え、
前記高分子圧電体層に生じる誘導電荷に基づいて前記中心導体と前記第1外部導体との間に電圧が生じ
前記第2外部導体は、複数の導線が前記第1ジャケット層の外周面を囲うように同一方向に螺旋状に巻かれて成る
ことを特徴とする圧電同軸センサ。
【請求項2】
前記第2金属箔層の外周面を被覆する第2ジャケット層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電同軸センサ。
【請求項3】
前記第2金属箔層は、前記第2外部導体に接する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電同軸センサ。
【請求項4】
導線を含む中心導体と、
前記中心導体の外周面を被覆する高分子圧電体層と、
前記高分子圧電体層の外周面を囲う第1外部導体と、
前記第1外部導体の外周面を被覆する第1ジャケット層と、
前記第1ジャケット層の外周面を囲う第2外部導体と、
前記第1ジャケット層の外周面を囲うように、前記第2外部導体の外側に巻かれ、樹脂から成るテープ状のフィルムの少なくとも一方の面に金属膜が設けられる第2金属膜付フィルムと、
を備え、
前記高分子圧電体層に生じる誘導電荷に基づいて前記中心導体と前記第1外部導体との間に電圧が生じ
前記第2外部導体は、複数の導線が前記第1ジャケット層の外周面を囲うように同一方向に螺旋状に巻かれて成る
ことを特徴とする圧電同軸センサ。
【請求項5】
前記第2金属膜付フィルムの外周面を被覆する第2ジャケット層を備える
ことを特徴とする請求項に記載の圧電同軸センサ。
【請求項6】
前記金属膜は、前記フィルムの前記一方の面と他方の面とに設けられ、
前記第2金属膜付フィルムが周方向に1周以上巻かれて、前記一方の面に設けられる前記金属膜が前記他方の面に設けられる前記金属膜に接する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の圧電同軸センサ。
【請求項7】
前記第2金属膜付フィルムの前記フィルムの前記一方の面に設けられる前記金属膜は、前記第2外部導体に接する
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の圧電同軸センサ。
【請求項8】
前記第2金属膜付フィルムの前記金属膜が単層の金属膜である
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の圧電同軸センサ。
【請求項9】
前記第2金属膜付フィルムの前記金属膜が多層の金属膜である
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の圧電同軸センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外来ノイズを抑制する特性である耐ノイズ特性に優れる圧電同軸センサに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの中心導体と外部導体との間に圧電素子が配置された圧電同軸センサが知られている。圧電同軸センサは、当該センサの外周面から力が加わる場合に生じる圧電素子の電圧を中心導体と外部導体とを介して検知することで、当該力を検出する。この性質を利用して、圧電同軸センサが設けられる被測定物の変形や被測定物に加わる力、振動等を検出する。このような圧電同軸センサの圧電素子には、一般的に高分子圧電体が用いられる。
【0003】
下記特許文献1には、このような圧電同軸センサである圧電同軸ケーブルが記載されている。この圧電同軸ケーブルは、中心導体と、中心導体の外周面を被覆する高分子圧電体層と、高分子圧電体層の外周面を囲う外部導体と、外部導体の外周面を被覆するジャケット層と、から構成される。
【0004】
【文献】特開2017-183570号公報
【発明の概要】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の圧電同軸センサは、外部の電磁場等の影響を受け易く、より高い耐ノイズ特性を有する圧電同軸センサが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、優れた耐ノイズ特性を有する圧電同軸センサを提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の圧電同軸センサは、導線を含む中心導体と、前記中心導体の外周面を被覆する高分子圧電体層と、前記高分子圧電体層の外周面を囲う第1外部導体と、前記第1外部導体の外周面を被覆する第1ジャケット層と、前記第1ジャケット層の外周面を囲う第2外部導体と、を備え、前記高分子圧電体層に生じる誘導電荷に基づいて前記中心導体と前記第1外部導体との間に電圧が生じることを特徴とするものである。
【0008】
このような圧電同軸センサによれば、第2外部導体がシールド層として作用し、外部の電磁場等の影響が中心導体や第1外部導体に届くことを抑制することができる。従って、外部の電磁場等により、中心導体や第1外部導体にノイズが重畳することを抑制することができる。このため、本発明の圧電同軸センサは、優れた耐ノイズ特性を有することができる。
【0009】
また、上記圧電同軸センサは、前記第2外部導体の外周面を被覆する第2ジャケット層を備えることが好ましい。
【0010】
第2ジャケット層により、シールド層として作用する第2外部導体の外周面を外部と絶縁し得る。従って、第2外部導体を介して中心導体や第1外部導体にノイズが重畳することをより抑制することができる。
【0011】
また、前記第1外部導体は、複数の導線が前記高分子圧電体層の外周面を囲うように巻かれて成り、前記高分子圧電体層と前記第1外部導体との間において、前記高分子圧電体層の外周面を囲うように巻かれ、前記高分子圧電体層と前記第1外部導体とに接する第1金属箔層を更に備えることが好ましい。
【0012】
この場合、第1外部導体を構成する導線が偏る場合であっても、高分子圧電体層に第1金属箔層が接触するので、周方向の電気的な抵抗の偏りを抑制することができる。
【0013】
或いは、前記第1外部導体は、複数の導線が前記高分子圧電体層の外周面を囲うように巻かれて成り、前記第1外部導体の外周面を囲うように巻かれる第1金属箔層を更に備えることが好ましい。
【0014】
このような構成で、第1外部導体と第1金属箔層とが接する場合には、第1外部導体の電気抵抗と第1金属箔層の電気抵抗との合成抵抗が、第1外部導体単体の電気抵抗よりも低いため、圧電同軸センサの性能を向上することができる。また、この場合、第1外部導体を構成する導線が偏っても、周方向の電気の流れの偏りを第1金属箔層により抑制することができ、性能の安定化を図ることができる。また、第1外部導体を構成する導線が偏り隙間ができる場合であっても、全周に亘り第1金属箔層により覆われることで、外来電磁波等によるノイズが重畳することを抑制することができる。
【0015】
この場合、前記第1金属箔層は、前記第1外部導体に接することが好ましい。
【0016】
第1金属箔層が第1外部導体に接することで、第1外部導体を構成する導線が偏る場合であっても、第1外部導体と第1金属箔層とにより、周方向の電気的な抵抗の偏りを抑制することができる。
【0017】
或いは、前記第1外部導体は、複数の導線が前記高分子圧電体層の外周面を囲うように巻かれて成り、前記第1外部導体の外周面を囲うように巻かれ、樹脂から成るテープ状のフィルムの少なくとも一方の面に金属膜が設けられる第1金属膜付フィルムを更に備えることが好ましい。
【0018】
この場合、金属膜が第1外部導体に接する場合には、第1外部導体の電気抵抗と第1金属膜付フィルムの金属膜の電気抵抗との合成抵抗が、第1外部導体単体の電気抵抗よりも低いため、圧電同軸センサの性能を向上することができる。また、この場合、第1外部導体を構成する導線が偏っても、周方向の電気の流れの偏りを第1金属膜付フィルムの金属膜により抑制することができ、性能の安定化を図ることができる。また、第1外部導体を構成する導線が偏り微細な隙間ができる場合であっても、全周に亘り金属膜により覆われることで、外来電磁波等によるノイズが重畳することを抑制することができる。
【0019】
また、第1金属膜側が第1外部導体側を向き、フィルム側が第1ジャケット層側を向いた状態で、第1金属膜付フィルムが第1外部導体上に巻かれることにより、第一外部導体と金属膜とを覆う絶縁体が、第1金属膜付フィルムのフィルムと第1ジャケット層との二重となることで、第1外部導体と第2外部導体間の絶縁間容量を減少し得る。このため、圧電同軸センサにおける計測信号の伝送上有利となり、特に高周波側の伝送特性の向上が期待できる。
【0020】
この場合、前記第1金属膜付フィルムの前記フィルムの一方の面に設けられる前記金属膜は、前記第1外部導体に接することが好ましい。
【0021】
第1金属膜付フィルムの金属膜が第1外部導体に接することで、第1外部導体13を構成する導線が偏る場合であっても、第1外部導体と金属膜とにより、周方向の電気的な抵抗の偏りを抑制することができる。
【0022】
また、この場合、前記第1金属膜付フィルムの前記金属膜が単層の金属膜であってもよい。
【0023】
この場合、金属膜が多層の金属膜である場合と比べて、第1金属膜付フィルムの膜厚を薄くすることができ、圧電同軸センサの外径を小さくすることができる。更に、金属膜が多層の場合と比べて、圧電同軸センサを軽量化、柔軟化し易く、小さく、軽量な圧電同軸センサとし得る。このような圧電同軸センサは、自重が軽いため振動体の振動の阻害を抑制することができ、その振動をより正確に計測することができる。また、このような圧電同軸センサは、柔軟なため、付着させる被計測物の形状を多様化することができ、被計測物の動きに応じた高性能な計測を期待できる。
【0024】
或いは、この場合、前記第1金属膜付フィルムの前記金属膜が多層の金属膜であってもよい。
【0025】
この場合、金属膜が単層の場合と比べて、電気抵抗の調整や、金属膜とフィルムとの密着性の調整を容易にすることができる。また、金属層の一部に銅のように表面の錆び易い金属が用いられる場合であっても、表面に露出する金属層に錆びにくい金属が用いられることで、表面保護をすることができる。
【0026】
また、一部の金属膜にピンホールが形成されたり、一部の金属膜の膜厚が設計値より薄いといった不具合があっても、他の金属膜によりその不具合を改善し得、周方向の膜抵抗のばらつきを抑制し得、不具合による圧電同軸センサの性能の低下を抑制することができる。
【0027】
また、前記第2外部導体は、複数の導線が前記第1ジャケット層の外周面を囲うように巻かれて成り、前記第1ジャケット層の外周面を囲うように、前記第2外部導体の内側または外側に巻かれる第2金属箔層を更に備えることが好ましい。
【0028】
この場合、第2外部導体を構成する導線が偏る場合であっても、第2外部導体間を通過しようとする電磁波等を第2金属箔層により抑制し得る。従って、ノイズをより低減し得る。
【0029】
この場合、前記第2金属箔層は、前記第2外部導体に接することが好ましい。
【0030】
第2金属箔層が第2外部導体に接することで、第2金属箔層と第2外部導体とを個別にグランドに接続しなくても、一方をグランドに接続することで、第2外部導体と第2金属箔層とをシールドとすることができる。
【0031】
或いは、前記第2外部導体は、複数の導線が前記第1ジャケット層の外周面を囲うように巻かれて成り、前記第1ジャケット層の外周面を囲うように、前記第2外部導体の内側または外側に巻かれ、樹脂から成るテープ状のフィルムの少なくとも一方の面に金属膜が設けられる第2金属膜付フィルムを更に備えることが好ましい。
【0032】
この場合、第2外部導体を構成する導線が偏る場合であっても、第2外部導体の導線間を通過しようとする電磁波等を第2金属膜付フィルムの金属膜により抑制し得る。従って、ノイズをより低減し得る。
【0033】
この場合、前記第2金属膜付フィルムの前記フィルムの一方の面に設けられる前記金属膜は、前記第2外部導体に接することが好ましい。
【0034】
第2金属膜付フィルムの金属膜が第2外部導体に接することで、当該金属膜と第2外部導体とを個別にグランドに接続しなくても、一方をグランドに接続することで、第2外部導体と当該金属膜とをシールドとすることができる。
【0035】
この場合、前記第2金属膜付フィルムの前記金属膜が単層の金属膜であってもよい。
【0036】
この場合、金属膜が多層の金属膜である場合と比べて、第2金属膜付フィルムの膜厚を薄くすることが可能で、圧電同軸センサの外径を小さくすることができる。更に、金属膜が多層の場合と比べて、圧電同軸センサを軽量化、柔軟化し易く、小さく、軽量な圧電同軸センサとし得る。このような圧電同軸センサは、自重が軽いため振動体の振動の阻害を抑制することができ、その振動をより正確に計測することができる。また、圧電同軸センサは、柔軟なため、付着させる被計測物の形状を多様化することができ、被計測物の動きに応じた高性能な計測を期待できる。
【0037】
或いは、前記第2金属膜付フィルムの前記金属膜が多層の金属膜であってもよい。
【0038】
この場合、金属膜が単層の場合と比べて、電気抵抗の調整や、金属膜とフィルムとの密着性の調整を容易にすることができる。また、金属層の一部に銅のように表面の錆び易い金属が用いられる場合であっても、表面に露出する金属層に錆びにくい金属が用いられることで、表面保護をすることができる。
【0039】
また、一部の金属膜にピンホールが形成されたり、一部の金属膜の膜厚が設計値より薄いといった不具合があっても、他の金属膜によりその不具合を改善し得、周方向の膜抵抗のばらつきを抑制し得、不具合による圧電同軸センサの性能の低下を抑制することができる。
【0040】
以上のように、本発明によれば、優れた耐ノイズ特性を有する圧電同軸センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の第1実施形態に係る圧電同軸センサを示す図である。
図2図1の圧電同軸センサの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る圧電同軸センサを示す図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る圧電同軸センサを示す図である。
図5】第3実施形態における第1金属膜付フィルムの変形例を示す図である。
図6】実施例におけるオシロスコープの波形を示す図である。
図7】比較例におけるオシロスコープの波形を示す図である。
図8】実施例の圧電同軸センサを叩いた際のオシロスコープの波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係る圧電同軸センサを実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。また、本明細書では、理解を容易にするために、各部材の寸法が誇張して示されている場合がある。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る圧電同軸センサを示す図である。図1に示すように、本実施形態の圧電同軸センサ1は、中心導体11と、高分子圧電体層12と、第1外部導体13と、第1ジャケット層14と、第2外部導体15と、第2ジャケット層16と、を備える。
【0044】
中心導体11は、複数の導線の撚り線から成る。この中心導体11に含まれる導線は、導体から成り特に制限されないが、このような導体として、例えば、銅、アルミニウム、錫めっき軟銅合金等から成る導線が挙げられる。なお、図1では、中心導体11が上述のように複数の導線の撚り線から成る例が示されているが、中心導体11は、導電性の単線から成っても良い。また、それぞれの導線の断面の形状は、円形に限らず、矩形であってもよい。また、中心導体11は、導線と絶縁性の線材との撚り線であってもよい。
【0045】
高分子圧電体層12は、中心導体11の外周面を被覆する層である。本実施形態では、高分子圧電体層12は、中心導体11の外周面に接している。高分子圧電体層12は、圧電性を示す高分子から成り、このような高分子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ乳酸、ポリ尿素等を挙げることができる。高分子圧電体層12は、押し出し成形等により、断面の外形が略円形状に形成されている。なお、高分子圧電体層12は、高分子圧電体から成るテープ状のフィルムが中心導体11に巻かれることで構成されてもよい。この場合、当該フィルムは、螺旋巻きで巻かれても縦添え巻きで巻かれてもよい。
【0046】
第1外部導体13は、高分子圧電体層12の外周面を囲う導体である。本実施形態では、第1外部導体13は、高分子圧電体層12の外周面に接している。第1外部導体13は、複数の導線が同一方向に螺旋状に巻かれた構成とされる。このような第1外部導体13は、導体から成れば特に制限されないが、例えば、中心導体11と同様の導体から成る。なお、図1では、第1外部導体13として複数の導線が螺旋状に巻かれた例が示されるが、第1外部導体13は、複数の導線が編まれた網線であってもよい。
【0047】
上記のように、高分子圧電体層12は中心導体11の外周面に接し、第1外部導体13は高分子圧電体層12の外周面に接している。このため、圧電同軸センサ1に加わる外力が高分子圧電体層12に伝達され当該高分子圧電体層12に誘導電荷が生じる場合に、中心導体11と第1外部導体13との間には、高分子圧電体層12に生じる誘導電荷に基づいて電圧が生じる。このため、中心導体11と第1外部導体13との間の電圧を該圧電同軸センサ1の外側に誘引し計測することで、該圧電同軸センサ1に加わる力を計測することが可能となる。
【0048】
図2は、図1の圧電同軸センサ1の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。第1ジャケット層14は、第1外部導体13の外周面を被覆する層である。図1図2に示すように、本実施形態では、第1ジャケット層14は、内側第1ジャケット層14aと外側第1ジャケット層14bとから成る。
【0049】
内側第1ジャケット層14aは、樹脂から成るテープ状のフィルム14atから成り、フィルム14atは、第1外部導体13の外周面上に螺旋状に巻かれている。フィルム14atのいずれの面にも接着層が設けられておらず、内側第1ジャケット層14aは、第1外部導体13に非接着である。フィルム14atの材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の絶縁性の樹脂を挙げることができる。なお、フィルム14atの一方の面上に接着層が設けられてもよいが、第1外部導体13を口出しする際に、内側第1ジャケット層14aと第1外部導体13とが容易に剥離可能となる観点から、上記のようにフィルム14atのいずれの面にも、接着層が設けられないことが好ましい。
【0050】
外側第1ジャケット層14bは、図2に示すように、樹脂から成るテープ状のフィルム14btと、フィルム14btの一方の面上に設けられる接着層14baとから成る。フィルム14btは、接着層14baが内側第1ジャケット層14a側を向き、内側第1ジャケット層14aの外周面上に螺旋状に巻かれている。なお、図1の例では、外側第1ジャケット層14bのフィルム14btは、内側第1ジャケット層14aのフィルム14atと同一方向に巻かれているが、外側第1ジャケット層14bのフィルム14btと内側第1ジャケット層14aのフィルム14atとが逆方向に巻かれてもよい。また、フィルム14at及びフィルム14btの少なくとも一方が縦添え巻きに巻かれてもよい。フィルム14btの材料としては、特に制限されないが、例えば、フィルム14atと同様の材料を挙げることができる。接着層14baに用いられる接着剤としては、特に限定されないが、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤等を挙げることができる。接着層14baが設けられなくてもよいが、圧電同軸センサ1が繰り返し屈曲される場合におけるフィルム14btが解けること抑制する観点から、上記のように接着層14baが設けられることが好ましい。
【0051】
なお、内側第1ジャケット層14a及び外側第1ジャケット層14bのいずれか一方が省略され、第1ジャケット層14が内側第1ジャケット層14a及び外側第1ジャケット層14bの他方から構成されてもよい。ただし、第1ジャケット層14と第1外部導体13とが容易に剥離可能としつつ、第1ジャケット層14が解けることを抑制する観点から、第1ジャケット層14は、上記のように非接着の内側第1ジャケット層14aと、接着層14baを有する外側第1ジャケット層14bとから構成されることが好ましい。
【0052】
第2外部導体15は、第1ジャケット層14の外周面を囲う導体である。第2外部導体15は、複数の導線が同一方向に螺旋状に巻かれた構成とされる。このような第2外部導体15は、導体から成れば特に制限されないが、例えば、第1外部導体13と同様の導体から成る。なお、図1では、第2外部導体15として複数の導線が螺旋状の巻かれた例が示されるが、第2外部導体15は、複数の導線が編まれた網線であってもよい。
【0053】
第2ジャケット層16は、第2外部導体15の外周面を被覆する層である。本実施形態では、第2ジャケット層16は、内側第2ジャケット層16aと外側第2ジャケット層16bとから成る。
【0054】
内側第2ジャケット層16aは、樹脂から成るテープ状のフィルム16atから成り、フィルム16atは、第2外部導体15の外周面上に螺旋状に巻かれている。フィルム16atのいずれの面にも接着層が設けられておらず、内側第2ジャケット層16aは、第2外部導体15に非接着である。フィルム16atの材料としては、特に制限されないが、例えば、フィルム14atと同様の材料を挙げることができる。なお、フィルム16atの一方の面上に接着層が設けられてもよいが、第2外部導体15を口出しする際に、内側第2ジャケット層16aと第2外部導体15とが容易に剥離可能となる観点から、上記のようにフィルム16atのいずれの面にも、接着層が設けられないことが好ましい。
【0055】
外側第2ジャケット層16bは、図2に示すように、樹脂から成るテープ状のフィルム16btと、フィルム16btの一方の面上に設けられる接着層16baとから成る。フィルム16btは、接着層16baが内側第2ジャケット層16a側を向き、内側第2ジャケット層16aの外周面上に螺旋状に巻かれている。なお、図1の例では、外側第2ジャケット層16bのフィルム16btは、内側第2ジャケット層16aのフィルム16atと同一方向に巻かれているが、外側第2ジャケット層16bのフィルム16btと内側第2ジャケット層16aのフィルム16atとが逆方向に巻かれてもよい。また、フィルム16at及びフィルム16btの少なくとも一方が縦添え巻きに巻かれてもよい。フィルム16btの材料としては、特に制限されないが、例えば、フィルム16atと同様の材料を挙げることができる。接着層16baに用いられる接着剤としては、特に限定されないが、接着層14baに用いられる接着剤と同様の接着剤を挙げることができる。
【0056】
なお、内側第2ジャケット層16aが省略され、第2ジャケット層16が外側第2ジャケット層16bから構成されてもよい。ただし、第2ジャケット層16と第2外部導体15とが容易に剥離可能としつつ、第2ジャケット層16が解けることを抑制する観点から、第2ジャケット層16は、上記のように非接着の内側第2ジャケット層16aと、接着層16baを有する外側第2ジャケット層16bとから構成されることが好ましい。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の圧電同軸センサ1は、導線を含む中心導体11と、中心導体11の外周面を被覆する高分子圧電体層12と、高分子圧電体層12の外周面を囲う第1外部導体13と、第1外部導体13の外周面を被覆する第1ジャケット層14と、第1ジャケット層14の外周面を囲う第2外部導体15と、を備える。また、高分子圧電体層12に生じる誘導電荷に基づいて中心導体11と第1外部導体13との間に電圧が生じる。
【0058】
このような圧電同軸センサ1によれば、第2外部導体15がシールド層として作用し、外部の電磁場等の影響が中心導体11や第1外部導体13に届くことを抑制することができる。従って、外部の電磁場等により、中心導体11や第1外部導体13にノイズが重畳することを抑制することができる。このため、本実施形態の圧電同軸センサ1は、優れた耐ノイズ特性を有することができる。
【0059】
また、本実施形態の圧電同軸センサ1は、前記第2外部導体15の外周面を被覆する第2ジャケット層16を備える。
【0060】
第2ジャケット層16により、シールド層として作用する第2外部導体15の外周面を外部と絶縁し得る。従って、第2外部導体15を確実に接地することが出来るため第2外部導体15はシールド層として作用し、中心導体11や第1外部導体13にノイズが重畳することをより抑制することができる。なお、第2ジャケット層16は必須の構成ではないが、上記のように中心導体11や第1外部導体13にノイズが重畳することをより抑制する観点から、圧電同軸センサ1は第2ジャケット層16を備えることが好ましい。
【0061】
なお、本実施形態において、第1外部導体13及び第2外部導体15が、金属箔から成り、当該金属箔が巻かれてもよい。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0063】
図3は、本実施形態に係る圧電同軸センサを示す図である。図3に示すように、本実施形態の圧電同軸センサ1は、内側第1ジャケット層14aの代わりに第1金属箔層21を備え、内側第2ジャケット層16aの代わりに第2金属箔層22を備える点において、第1実施形態の圧電同軸センサ1と異なる。
【0064】
本実施形態の第1金属箔層21は、第1外部導体13の外周面に接して、第1外部導体13を囲うように巻かれている。従って、第1金属箔層21は第1外部導体13と電気的に接続されている。第1金属箔層21を構成する金属としては、金属であれば特に限定されないが、銅、アルミニウム等を挙げることができる。また、第1金属箔層21には接着層が設けられておらず、第1金属箔層21は、第1外部導体13に非接着である。
【0065】
また、本実施形態の第2金属箔層22は、第2外部導体15の外周面に接して、第2外部導体15を囲うように巻かれている。従って、第2金属箔層22は第2外部導体15と電気的に接続されている。第2金属箔層22を構成する金属としては、第1金属箔層21を構成する金属と同様の金属を挙げることができる。また、第2金属箔層22には接着層が設けられておらず、第2金属箔層22は、第2外部導体15に非接着である。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の圧電同軸センサ1では、第1外部導体13が複数の導線が高分子圧電体層12の外周面を囲うように巻かれて成り、圧電同軸センサ1は、第1外部導体13の外周面を囲うように巻かれる第1金属箔層21を備え、第1金属箔層21は、第1外部導体13に接する。このような圧電同軸センサ1によれば、第1外部導体13を構成する導線が偏る場合であっても、第1外部導体13と第1金属箔層21とにより、周方向の電気的な抵抗の偏りを抑制することができる。
【0067】
なお、特に図示しないが、第1金属箔層21は、高分子圧電体層12と第1外部導体13との間に設けられてもよい。この場合、第1金属箔層21は、高分子圧電体層12の外周面を囲うように巻かれ、高分子圧電体層12と第1外部導体13とに接するように設けられる。この場合、第1外部導体13を構成する導線が偏る場合であっても、高分子圧電体層12とは第1金属箔層21が接触するので、周方向の電気的な抵抗の偏りをより抑制することができる。
【0068】
また、特に図示しないが、第1金属箔層21が第1外部導体13の外周面を囲うように巻かれる場合、第1金属箔層21は、第1外部導体13と離間して、第1外部導体13と電気的に接続されなくてもよい。この場合、第1金属箔層21がグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態の圧電同軸センサ1では、第2外部導体15が、複数の導線が第1ジャケット層14の外周面を囲うように巻かれて成り、圧電同軸センサ1は、第1ジャケット層14の外周面を囲うように、第2外部導体15の外側に巻かれる第2金属箔層22を備え、第2金属箔層22は、第2外部導体15に接する。このように構成されることで、第2外部導体15を構成する導線が偏る場合であっても、第2外部導体15の導線間を通過しようとする電磁波等を第2金属箔層22により抑制し得る。従って、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより低減し得る。また、第2金属箔層22が第2外部導体15に接することで、第2金属箔層22と第2外部導体15とを個別にグランドに接続しなくても、一方をグランドに接続することで、第2外部導体15と第2金属箔層22とをシールドとすることができる。
【0070】
また、特に図示しないが、第2金属箔層22は、第2外部導体15の内側に設けられ、第2外部導体15と接してもよい。この場合であっても、第2外部導体15の導線間を通過しようとする電磁波等を第2金属箔層22により抑制し得る。従って、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより低減し得る。また、第2金属箔層22が第2外部導体15に接することで、第2金属箔層22と第2外部導体15とを個別にグランドに接続しなくても、一方をグランドに接続することで、第2外部導体15と第2金属箔層22とをシールドとすることができる。
【0071】
なお、特に図示しないが、第2金属箔層22が第2外部導体15の外側、内側に設けられるいずれの場合であっても、第2金属箔層22は、第2外部導体15と離間して、第2外部導体15と電気的に接続されなくてもよい。この場合、第2金属箔層22がグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより抑制することができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0073】
図4は、本実施形態に係る圧電同軸センサを示す図である。図4に示すように、本実施形態の圧電同軸センサ1は、内側第1ジャケット層14aの代わりに第1金属膜付フィルム23を備え、内側第2ジャケット層16aの代わりに第2金属膜付フィルム24を備える点において、第1実施形態の圧電同軸センサ1と異なる。
【0074】
第1金属膜付フィルム23は、樹脂から成るテープ状のフィルム23tの一方の面に内側第1金属膜23miが設けられ、他方の面に外側第1金属膜23moが設けられている。フィルム23tは、例えば、内側第1ジャケット層14aのフィルム14atと同様の構成とされる。また、内側第1金属膜23mi、外側第1金属膜23moは、例えば、互いに同様の構成とされ、銅やアルミニウム等の金属が、蒸着やスパッタ等で積層されて成る単層の膜である。
【0075】
本実施形態では、第1金属膜付フィルム23は、第1外部導体13の外周面を囲うように巻かれ、内側第1金属膜23miは第1外部導体13に接しており、外側第1金属膜23moは第1外部導体13に非接触である。但し、本実施形態では、第1金属膜付フィルム23が周方向に1周以上巻かれており、第1金属膜付フィルム23が二重になっている部位がある。このため、この部位で、外側第1金属膜23moは、内側第1金属膜23miに接している。従って、外側第1金属膜23moは、内側第1金属膜23miを介して、第1外部導体13に電気的に接続されている。また、第1金属膜付フィルム23には接着層が設けられておらず、第1金属膜付フィルム23は、第1外部導体13に非接着である。
【0076】
第2金属膜付フィルム24は、樹脂から成るテープ状のフィルム24tの一方の面に内側第2金属膜24miが設けられ、他方の面に外側第2金属膜24moが設けられている。フィルム24tは、例えば、第1金属膜付フィルム23のフィルム23tと同様の構成とされる。また、内側第2金属膜24mi及び外側第2金属膜24moは、例えば、内側第1金属膜23mi及び外側第1金属膜23moと同様の構成とされる。また、第2金属膜付フィルム24には接着層が設けられておらず、第2金属膜付フィルム24は、第2外部導体15に非接着である。
【0077】
本実施形態では、第2金属膜付フィルム24は、第2外部導体15の外周面を囲うように巻かれ、内側第2金属膜24miは第2外部導体15に接しており、外側第2金属膜24moは第2外部導体15に非接触である。但し、本実施形態では、第2金属膜付フィルム24が周方向に1周以上巻かれており、第2金属膜付フィルム24が二重になっている部位がある。このため、この部位で、外側第2金属膜24moは、内側第2金属膜24miに接している。従って、外側第2金属膜24moは、内側第2金属膜24miを介して、第2外部導体15に電気的に接続されている。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の圧電同軸センサ1では、第1外部導体13は、複数の導線が高分子圧電体層12の外周面を囲うように巻かれて成り、圧電同軸センサ1は、第1外部導体13の外周面を囲うように巻かれ、樹脂から成るテープ状のフィルム23tの両面に金属膜が設けられ第1金属膜付フィルム23を備え、第1金属膜付フィルム23のフィルム23tの一方の面に設けられる内側第1金属膜23miは、第1外部導体13に接する。このような圧電同軸センサ1によれば、第1外部導体13を構成する導線が偏る場合であっても、第1外部導体13と内側第1金属膜23miとにより、周方向の電気的な抵抗の偏りを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、内側第1金属膜23miと外側第1金属膜23moとが接している。このような構成では、内側第1金属膜23miの電気抵抗と外側第1金属膜23moの電気抵抗との合成抵抗が、内側第1金属膜23mi単体の抵抗よりも低いため、内側第1金属膜23miと外側第1金属膜23moとが接しない場合よりも電気抵抗を低下させることができ、圧電同軸センサ1の性能を向上させ得る。
【0080】
また、内側第1金属膜23miあるいは外側第1金属膜23moにピンホールが形成されたり、内側第1金属膜23miあるいは外側第1金属膜23moの膜厚が設計値よりも薄い等の不具合があっても、不具合のある一方の金属膜が他方の金属膜と対向し、これら一方の金属膜と他方の金属膜とが互いに重なることで、上記不具合をカバーし得、周方向の金属膜の抵抗のバラツキを抑えることができる。また、上記のピンホールが他の金属膜により覆われることで、外来電磁波等によるノイズが重畳することを抑制することができる。また、周方向の電気の流れの偏りを抑制することができる。このため、圧電同軸センサの性能の向上、安定化を期待できる。
【0081】
なお、特に図示しないが、内側第1金属膜23miが、第1外部導体13と離間して、第1外部導体13と電気的に接続されなくてもよい。この場合、内側第1金属膜23mi、外側第1金属膜23moがグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより抑制することができる。
【0082】
また、特に図示しないが、内側第1金属膜23miまたは外側第1金属膜23moが省略されてもよい。この場合、金属膜が第1外部導体13と接しない場合であっても、当該金属膜がグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、よりノイズを抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態の圧電同軸センサ1では、第2外部導体15は、複数の導線が第1ジャケット層14の外周面を囲うように巻かれて成り、圧電同軸センサ1は、第2外部導体15の外周面を囲うように巻かれ、樹脂から成るテープ状のフィルム24tの両面に金属膜が設けられ第2金属膜付フィルム24を備え、第2金属膜付フィルム24のフィルム24tの一方の面に設けられる内側第2金属膜24miは、第2外部導体15に接する。このような圧電同軸センサ1によれば、第2外部導体15を構成する導線が偏る場合であっても、第2外部導体15の導線間を通過しようとする電磁波等を第2金属膜付フィルムの内側第2金属膜24miや外側第2金属膜24moにより抑制し得る。従って、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより低減し得る。また、第2金属膜付フィルム24の内側第2金属膜24miが第2外部導体に接することで、内側第2金属膜24miと第2外部導体15とを個別にグランドに接続しなくても、一方をグランドに接続することで、第2外部導体15と内側第2金属膜24miとをシールドとすることができる。
【0084】
また、本実施形態では、内側第2金属膜24miと外側第2金属膜24moとが接している。このため、内側第2金属膜24miと外側第2金属膜24moの一方がグランドと接続されることで、内側第2金属膜24miと外側第2金属膜24moとをシールドとすることができる。
【0085】
なお、特に図示しないが、内側第2金属膜24miが、第2外部導体15と離間して、第2外部導体15と電気的に接続されなくてもよい。この場合、内側第2金属膜24mi、外側第2金属膜24moがグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより抑制することができる。
【0086】
また、特に図示しないが、内側第2金属膜24miまたは外側第2金属膜24moが省略されてもよい。この場合、金属膜が第2外部導体15と接しない場合であっても、当該金属膜がグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、ノイズを抑制することができる。
【0087】
また、特に図示しないが、第2金属膜付フィルム24は、第2外部導体15の内側に設けられ、第2外部導体15と外側第2金属膜24moとが接してもよい。この場合であっても、第2外部導体15の導線間を通過しようとする電磁波等を第2金属膜付フィルムの内側第2金属膜24miや外側第2金属膜24moにより抑制し得る。従って、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより低減し得る。また、第2金属膜付フィルム24の外側第2金属膜24moが第2外部導体に接することで、外側第2金属膜24moと第2外部導体15とを個別にグランドに接続しなくても、一方をグランドに接続することで、第2外部導体15と外側第2金属膜24moとをシールドとすることができる。
【0088】
なお、特に図示しないが、第2金属膜付フィルム24が第2外部導体15の内側に設けられる場合であっても、第2金属膜付フィルム24の外側第2金属膜24moは、第2外部導体15と離間して、第2外部導体15と電気的に接続されなくてもよい。この場合、外側第2金属膜24mo及び内側第2金属膜24miがグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、第1実施形態の圧電同軸センサ1と比べて、ノイズをより抑制することができる。なお、第2金属膜付フィルム24が第2外部導体15の内側に設けられる場合に外側第2金属膜24moが省略されてもよい。この場合、内側第2金属膜24miは、第2外部導体15と非接触であるが、内側第2金属膜24miがグランドに接続されることで、シールドとして作用し得、ノイズを抑制することができる。
【0089】
なお、本実施形態の第1金属膜付フィルム23では、フィルム23tの両面に単層の内側第1金属膜23mi及び単層の外側第1金属膜23moが設けられる構成を例示した。しかし、内側第1金属膜23mi及び外側第1金属膜23moは多層の金属膜であってもよい。図5は、このような変形例を示す図である。図5の例では、内側第1金属膜23miが3つの金属層23mi~23miから成り、外側第1金属膜23moが3つの金属層23mo~23moから成る。このように、内側第1金属膜23mi及び外側第1金属膜23moが多層の金属膜から成ることで、内側第1金属膜23mi及び外側第1金属膜23moがそれぞれ単層の金属膜から成る場合と比べて、電気抵抗を小さくすることができる。従って、圧電同軸センサ1の性能を向上させ得る。
【0090】
また、内側第1金属膜23miの金属層23mi~23miの一部の金属層あるいは外側第1金属膜23moの金属層23mo~23moの一部の金属層にピンホールが形成されたり、一部の金属層の厚みが設計値より薄い等の不具合があっても、他の金属層によりその不具合を改善し得、周方向の膜抵抗のばらつきを抑制し得る。従って、不具合による圧電同軸センサ1の性能の低下を抑制することができる。また、このようなピンホールが他の金属層により覆われることで、外来電磁波等によるノイズが重畳することを抑制し得る。
【0091】
また、内側第1金属膜23miや外側第1金属膜23moが単層の場合と比べて、電気抵抗の調整や、これら金属膜とフィルムとの密着性の調整を容易にすることができる。例えば、フィルム23t上に銅の金属層を直接形成し難い場合には、密着層としてフィルム23t上にニッケルやアルミニウムといった樹脂と密着性の良い金属層を形成し、その上に更に銅の金属層を形成することで、膜剥がれの起きにくい多層の金属膜を形成することができる。また、内側第1金属膜23miの金属層23mi~23miの一部や外側第1金属膜23moの金属層23mo~23moの一部に銅のように表面の錆び易い金属が用いられる場合であっても、表面に露出する金属層に錆びにくい金属が用いられることで、表面保護をすることができる。例えば、銅の金属層を形成した場合にはその表面が酸化されやすいため、表面にアルミニウムやニッケル、錫といった金属層を形成することで、銅を錆から保護し得る。このようにすると銅を保護しつつ、銅から成る金属層の電気抵抗と銅の上に形成されたアルミニウムや錫等から成る金属層の電気抵抗との合成抵抗が単一の銅から成る金属層よりも低下することで、圧電同軸センサ1性能の向上が期待できる。
【0092】
なお、金属層の数は、2つ以上であれば3つに限らない。
【0093】
また、特に図示しないが、図5を用いて説明した内側第1金属膜23mi及び外側第1金属膜23moが多層の金属膜である例と同様にして、第2金属膜付フィルム24の内側第2金属膜24mi及び外側第2金属膜24moが多層の金属膜から成ってもよい。この場合、内側第2金属膜24mi及び外側第2金属膜24moがそれぞれ単層の金属膜から成る場合と比べて、電気抵抗を小さくすることができる。従って、圧電同軸センサ1の性能を向上させ得る。
【0094】
また、内側第2金属膜24miのいずれかの金属層や外側第2金属膜24moのいずれかの金属層にピンホールが形成されたり、内側第2金属膜24miのいずれかの金属層や外側第2金属膜24moのいずれかの金属層の層厚が設計値よりも薄く形成されてしまうといった不具合がある場合であっても、当該不具合のある金属層と他の層が重なることで、これらの不具合を是正し得る。また、このようなピンホールが他の金属層により覆われることで、外来電磁波等によるノイズがピンホールを介して侵入することを抑制し得る。
【0095】
また、外側第2金属膜24moと内側第2金属膜24miとが重なり合うことで、周方向の膜抵抗のバラツキを抑えることができ圧電同軸センサ1の性能の向上が期待できる。また、第2金属膜付フィルム24の内側第2金属膜24miの電気抵抗と外側第2金属膜24moの電気抵抗との合成抵抗が、内側第2金属膜24miの電気抵抗及び外側第2金属膜24moの電気抵抗のそれぞれと比べて低くなり得る。従って、圧電同軸センサ性能の向上を期待できる。
【0096】
この場合においても、なお、金属層の数は、2つ以上であれば3つに限らない。
【0097】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0098】
(実施例)
図1図2に示す圧電同軸センサ1と概ね同様の構成で長さが100cmの圧電同軸センサを準備した。中心導体11は、素線外径が概ね0.05mmの導線7本から成り外径が概ね0.15mmである撚り線を用いた。高分子圧電体層12は、図1図2と異なり、PVDFから成るテープ状のフィルムを中心導体11の外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。この際、フィルムの一部が2重に重なるように当該フィルムを巻いた。高分子圧電体層12の外径は0.3mmであった。第1外部導体13は、素線外径が0.03mmの複数本の導線を高分子圧電体層12の外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。第1外部導体13の外径は0.36mmであった。第1ジャケット層14は、上記実施形態と同様に内側第1ジャケット層14aと外側第1ジャケット層14bとで構成した。内側第1ジャケット層14aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)から成るフィルム14atを第1外部導体13の外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。この際、フィルム14atの一部が2重に重なるようにフィルム14atを巻いた。内側第1ジャケット層14aの外径は0.38mmであった。外側第1ジャケット層14bは、一方の面に接着層14baが設けられ、PETから成るフィルム14btを内側第1ジャケット層14aの外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。この際、フィルム14btの一部が2重に重なるようにフィルム14btを巻いた。外側第1ジャケット層14bの外径は0.39mmであった。第2外部導体15は、素線外径が0.03mmの複数本の導線を第1ジャケット層14の外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。第2外部導体15の外径は0.45mmであった。第2ジャケット層16は、上記実施形態と同様に内側第2ジャケット層16aと外側第2ジャケット層16bとで構成した。内側第2ジャケット層16aは、PETから成るフィルム16atを第2外部導体15の外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。この際、フィルム16atの一部が2重に重なるようにフィルム16atを巻いた。内側第2ジャケット層16aの外径は0.47mmであった。外側第2ジャケット層16bは、一方の面に接着層16baが設けられ、PETから成るフィルム16btを内側第2ジャケット層16aの外周面上に螺旋状に巻き付ける構成とした。この際、フィルム16btの一部が2重に重なるようにフィルム16btを巻いた。外側第2ジャケット層16bの外径は0.54mmであった。
【0099】
(比較例)
第2外部導体15及び第2ジャケット層16が設けられないことを除き、実施例と同様の圧電同軸センサを準備した。
【0100】
準備した実施例の圧電同軸センサをテーブル上に配置して、圧電同軸センサの中心導体11と第1外部導体13との間に生じる電圧を20倍に増幅してオシロスコープで読み取った。この際、第2外部導体15を接地した。オシロスコープで示される波形を図6に示す。図6に示すように、波形に変化は見られなかった。
【0101】
次に準備した比較例の圧電同軸センサを実施例と同様にテーブル上に配置して、圧電同軸センサの中心導体と第1外部導体との間に生じる電圧を20倍に増幅してオシロスコープで読み取った。オシロスコープで示される波形を図7に示す。図7に示すように比較例の圧電同軸センサからは概ね50Hz波形が出力されている結果となった。これは、測定室内における交流電源の周波数と同一であることから、電源から発生する電磁場が圧電同軸センサの中心導体11と第1外部導体13とに重畳したためと考えられる。
【0102】
以上より、本発明の圧電同軸センサによれば、外来ノイズを抑制する特性に優れS/N比が高い、耐ノイズ特性が向上した圧電同軸センサを得られることが示された。
【0103】
次に実施例の圧電同軸センサを叩き衝撃を与えた。このときオシロスコープが示す波形を図8に示す。図8に示すように、実施例の圧電同軸センサは、テーブルの衝撃を検知した。従って、第2外部導体15を備える圧電同軸センサであっても、衝撃を検知できることが示された。
【0104】
以上説明したように、本発明によれば、優れた耐ノイズ特性を有する圧電同軸センサが提供され、機器の測定等の分野で利用することが期待される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8