(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】エネルギーチェーン及びエネルギーチェーンのための収容ユニット
(51)【国際特許分類】
F16G 13/16 20060101AFI20240529BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20240529BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00
H02G3/04 075
(21)【出願番号】P 2022536882
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2020087110
(87)【国際公開番号】W WO2021123231
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202019107116.8
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク イェルク
(72)【発明者】
【氏名】サイモン モリッツ
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07552581(US,B1)
【文献】国際公開第2017/046545(WO,A1)
【文献】特表2008-536069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/16
H02G 11/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に互いに旋回可能に隣接するチェーンリンクを有する、エネルギー及び/又は通信ケーブルを受容及びガイドするためのエネルギーチェーン(5)であって、
前記チェーンリンクは、いずれも、前記長手方向(l)に対する横断方向(q)において互いに対向して位置する2つのサイド部品を備え、
前記チェーンリンクの少なくとも一部は、それらのサイド部品を接続するクロス部材を有し、
前記エネルギーチェーン(5)は、偏向アークを中心として延在する偏向領域(6)によって互いに接続された2本のストランド(7、8)の形態で各々が配置された複数の部分を含み、
前記エネルギーチェーン(5)は、前記偏向アークに関して可動であり、
前記複数の部分の各偏向領域(6)は、その内面及びその外面上で、前記偏向アークのそれぞれの軸を中心としてアーク状に延在するガイド要素(10)によってガイドされる、エネルギーチェーン(5)。
【請求項2】
前記ガイド要素(10)による前記偏向領域(6)における前記エネルギーチェーンのガイド動作が、摺動ガイド動作によって行われる、請求項1に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項3】
前記ガイド要素(10)は、それぞれの前記偏向領域(6)の全体にわたって前記内面及び前記外面上にアークの形状で延在する、請求項1又は2に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項4】
前記ガイド要素(10)は、前記偏向領域(6)を越えて、前記偏向領域(6)に隣接する一方及び/又は他方のストランド(7、8)の隣接領域にわたって延在する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項5】
前記ガイド要素(10)は、前記横断方向(q)において前記偏向領域(6)の全幅にわたって延在する、請求項1から4のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項6】
前記ガイド要素(10)はいずれも、前記偏向領域(6)の前記内面及び/又は前記外面上において円弧状にストリップの形状で延在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項7】
前記ガイド要素(10)が、いずれも前記偏向領域(6)をその内面及び/又は外面上で壁部領域に対して摺動的にガイドするスライドブロックによって構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項8】
前記エネルギーチェーン(5)の隣接チェーンリンクは、リミットストッパに起因して互いに対する限度まで一方の旋回方向に屈曲可能であり、それにより前記偏向領域(6)の前記偏向アークについての最小半径が画定され、互いに対して伸張しきったそれらの配向までの限度で他方の旋回方向に屈曲可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項9】
前記エネルギーチェーン(5)の前記複数の部分の少なくとも一部が、一方のストランド又は両方のストランド(7、8)を介して互いに接続される、請求項1から8のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項10】
前記エネルギーチェーン(5)は、互いに離間した2本の巻回軸(29、30)に対する渦巻の形状で巻回配置され、前記エネルギーチェーン(5)の前記偏向領域(6)の前記偏向アークが前記2本の巻回軸(29、30)を中心として延在する、請求項9に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項11】
同じ巻回軸(29、30)を中心として延在する前記偏向領域(6)の前記偏向アークは、互いに対して同心に配置される、請求項10に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項12】
前記偏向アークが同じ巻回軸(29、30)を中心として延在する前記偏向領域(6)についての前記ガイド要素(10)が、互いに対して同心に配置される、請求項11に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項13】
互いに対して同心に配置された前記ガイド要素(10)は、前記偏向領域(6)の間にストリップの形態で延在する、請求項12に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項14】
互いに対して同心に配置された前記ガイド要素(10)が、前記それぞれの巻回軸(29、30)を中心として延在する前記偏向領域(6)をそれらのそれぞれ内面及び/又は外面上に摺動的にガイドするスライドブロックの壁部領域によって構成された、請求項12に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項15】
互いに対して同心に配置された前記ガイド要素(10)が、前記偏向領域(6)の前記偏向アークの平面に平行に外側に延在するプレート状部品(11)上に横方向に配置された、請求項12から14のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項16】
前記ガイド要素(10)はハウジング(15)に配置され、該ハウジング(15)は、前記偏向領域(6)の前記偏向アークの平面に平行に外側に延在してその間に前記ガイド要素(10)が配置される2枚のプレート状部品(11)を横方向に有し、前記ハウジング(15)は、前記偏向領域(6)から延在する前記ストランド(7、8)に向かって開口している、請求項15に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項17】
前記ハウジング(15)は2つのハウジング半分割体(16、17)からなり、その分離面は、前記偏向領域(6)の前記偏向アークに平行に延在する平面に位置する、請求項16に記載のエネルギーチェーン(5)。
【請求項18】
収容ハウジング(3)と、そこに配置され、渦巻の形状に巻回された、請求項10から17のいずれか一項に記載のエネルギーチェーン(5)とを備える、エネルギーチェーンのための収容ユニット(4)であって、
前記渦巻状に巻回されたエネルギーチェーン(5)は、互いに間隔を有して配置された2本の巻回軸(29、30)を有し、前記渦巻状に巻回されたエネルギーチェーン(5)の内側に前記収容ハウジング内に静止配置された固定接続点(9)をその端部の一方に有し、その他端に可動接続点を有し、前記可動接続点の移動及びそれによりもたらされる前記エネルギーチェーン(5)の移動によって、前記巻回軸(29、30)の互いの前記間隔が最小間隔(m1)と最大間隔(m2)の間で可変となる、収容ユニット(4)。
【請求項19】
一方で前記2本の巻回軸(29、30)の一方を中心として延在する前記偏向領域(6)と他方で前記2本の巻回軸(29、30)の他方を中心として延在する前記偏向領域(6)との間に、それらの最大間隔(m2)に向けて前記2本の巻回軸(29、30)の間隔の変化をもたらすプリテンションは与えられない、請求項18に記載の収容ユニット(4)。
【請求項20】
前記固定接続点(9)が、前記エネルギーチェーン(5)の前記ストランド(7、8)の前記長手方向(l)において前記収容ハウジング(3)の範囲に対する中央領域に配置された、請求項18又は19に記載の収容ユニット(4)。
【請求項21】
前記エネルギーチェーン(5)の前記ストランド(7、8)の前記長手方向(l)におけるその範囲に対する前記収容ハウジング(3)の中央領域において、ガイド要素が、前記収容ハウジング(3)における前記エネルギーチェーン(5)の前記ストランド(7、8)を支持及びガイドするように設けられた、請求項18から20のいずれか一項に記載の収容ユニット(4)。
【請求項22】
前記収容ハウジングは2枚の平行なサイドプレート(18、19)を有し、該サイドプレート(18、19)は、前記エネルギーチェーン(5)の前記偏向領域(6)の前記偏向アークに平行に配置され、両巻回軸(29、30)上で前記エネルギーチェーン(5)の前記偏向領域(6)にわたって前記ストランド(7、8)の前記長手方向(l)に延在する、請求項18から21のいずれか一項に記載の収容ユニット(4)。
【請求項23】
前記ガイド要素(10)が、請求項16又は17に記載のハウジング(15)内に配置され、
前記ハウジングの
前記偏向領域(6)の前記偏向アークの平面に平行に外側に延在するプレート状部品(11)は、前記収容ハウジング(3)の前記サイドプレート(18、19)において、前記ストランド(7、8)の前記長手方向(l)に延在する溝(21)又は開口に係合する外部成形されたガイド突起(20)を有する、請求項22に記載の収容ユニット(4)。
【請求項24】
前記収容ハウジングの前記サイドプレート(18、19)の長手範囲の中央領域において、ガイド突起(22)が、前記収容ハウジング(3)における前記エネルギーチェーン(5)の前記ストランド(7、8)を支持及びガイドするようにそれらの内側を向く面上に設けられた、請求項22又は23に記載の収容ユニット(4)。
【請求項25】
前記固定接続点(9)の場合、前記エネルギーチェーン(5)から出るケーブルを通すために、前記固定接続点(9)の領域に隣接して、前記収容ハウジング(3)の前記サイドプレート(18、19)の少なくとも1枚に開口(23)が設けられた、請求項22から24のいずれか一項に記載の収容ユニット(4)。
【請求項26】
前記サイドプレート(18、19)の前後面端部において、前記収容ハウジング(3)は、前後プレート(24、25)並びにこれらを互いに接続する上側及び下側閉塞プレート(26、27)を有する、請求項22から25のいずれか一項に記載の収容ユニット(4)。
【請求項27】
ガイド要素(10)がハウジング(15)に配置され、該ハウジング(15)は、その間に前記ガイド要素(10)が配置される2枚のプレート状部品(11)を横方向に有し、前記上側及び下側閉塞プレートが、それに対し
て前記ハウジング(15)
の2枚の前記プレート状部品を摺動的にガイドするように配置された、請求項26に記載の収容ユニット(4)。
【請求項28】
前記上側又は下側領域において、前記前後プレート(24、25)の一方は、前記可動接続点に接続された前記エネルギーチェーン(5)の前記ストランド(7)のための貫通開口(28)を有する、請求項26又は27に記載の収容ユニット(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に互いに旋回可能に隣接するチェーンリンクを有する、エネルギー及び/又は通信ケーブルを受容及びガイドするためのエネルギーチェーンに関し、チェーンリンクはいずれも長手方向に対する横断方向において互いに対向して位置する2つのサイド部品を備え、チェーンリンクの少なくとも一部がそれらのサイド部品を接続するクロス部材を有し、エネルギーチェーンは偏向アークに関して延在する偏向領域によって互いに接続された2本のストランドの形態で各々配置された複数の部分を含み、エネルギーチェーンは偏向アークに関して移動可能である。
【発明の概要】
【0002】
本発明の目的は、偏向領域の偏向アークに関して可能な限り小さな摩擦で移動可能な、上記のタイプの複数の部分を含むエネルギーチェーンであって、偏向アークが安定化され得る、エネルギーチェーンを提供することである。
【0003】
その目的は、本発明により、偏向アークのそれぞれの軸を中心としてアーク状に延在するガイド要素によって複数の部分の各偏向領域がその内面及びその外面上でガイドされることで達成される。
【0004】
偏向領域の内面とは、関連する偏向アークの軸に向かう面を意味し、偏向領域の外面とは、関連する偏向アークの軸と逆を向く偏向領域の面を意味する。
【0005】
ガイド要素による偏向領域におけるエネルギーチェーンのガイド動作は、摺動ガイド動作によって行われ得る。
【0006】
ガイド要素は、好ましくは、それぞれの偏向領域全体にわたって内面及び外面上にアーク状に延在する。
【0007】
ガイド要素は、偏向領域を越えて、偏向領域に隣接する一方及び/又は他方のストランドの隣接領域にわたって延在していてもよい。
【0008】
偏向領域の内面及び/又は外面上に延在するガイド要素は、偏向領域の横断方向qにおける全幅にわたって延在し得る。
【0009】
ガイド要素は、偏向領域の内面及び/又は外面上に円弧状にストリップの形状で構成されて延在し得る。
【0010】
一方、ガイド要素は、いずれも偏向領域をその内面及び/又は外面上で壁部領域に対して摺動的にガイドする接続リンクによって構成されてもよい。
【0011】
エネルギーチェーンの隣接チェーンリンクは、リミットストッパに起因して互いに対する限度まで一方の旋回方向に屈曲可能であってもよく、それにより偏向領域の偏向アークについての最小半径が画定される。またさらに、隣接チェーンリンクは、互いに対して伸張しきったそれらの配向までの限度で他方の旋回方向に屈曲可能であってもよい。この場合における隣接チェーンリンクは互いに対して伸張したそれらの配向を越えて旋回可能ではないため、実質的に自己支持ストランドの場合に、特にその直線伸張が可能となる。
【0012】
エネルギーチェーンの複数の部分の少なくとも一部が、一方のストランド又は両方のストランドを介して互いに接続され得る。
【0013】
本発明によるケーブルガイドは、例えば、2つの偏向領域が互いに対向して位置する連続ループの形態で構成され、又はいずれも2つの偏向領域が互いに対向して位置して互いに対して内側に配置された複数の連続ループを有し得る。いずれも互いに対向して位置する偏向領域の偏向アークの軸は、互いに間隔を有して配置され得る。互いに対して内側に配置される複数の連続ループの場合、偏向領域の偏向アークは、互いに間隔を有して配置されるとともに対象偏向領域がそれを中心として同心に配置される2本の軸を有し得る。
【0014】
一方、エネルギーチェーンは、互いに離間した2本の巻回軸に対する渦巻の形状で巻回配置され得る。エネルギーチェーンの偏向領域の偏向アークは、巻回軸を中心として延在する。巻回軸間の間隔は、エネルギーチェーンが移動される場合に可変となり得る。
【0015】
同じ巻回軸を中心として延在する偏向領域の偏向アークは、互いに対して同心に配置され得る。
【0016】
またさらに、その偏向アークが同じ巻回軸を中心として延在する偏向領域に対するガイド要素は、互いに対して同心に配置され得る。
【0017】
互いに対して同心に配置されたガイド要素は、偏向領域間のストリップの形状で延在し得る。
【0018】
一方、互いに対して同心に配置されたガイド要素は、それぞれの巻回軸を中心として延在する偏向領域をそれらのそれぞれの内面及び/又は外面上に摺動的にガイドするスライドブロックの壁部領域によって構成されてもよい。
【0019】
好適な実施形態では、互いに対して同心に配置されたガイド要素は、偏向領域の偏向アークの平面に平行に外側に延在するプレート状部品上に横方向に配置される。プレート状部品の内側は、ここでは偏向領域の摺動ガイドとして作用し得る。
【0020】
ガイド要素は、偏向領域の偏向アークの平面に平行に外側に延在してその間にガイド要素が配置される2枚のプレート状部品を横方向に有するハウジング内に配置され得る。ハウジングは、偏向領域から延在するストランドに向かって開口している。プレート状部品は、偏向領域に対する横方向摺動ガイドとして作用し得る。
【0021】
ハウジングは、2つのハウジングシェルから構成可能であり、その分離面は偏向領域の偏向アークに平行に延在する平面に位置する。
【0022】
本発明はさらに、収容ハウジングと、そこに配置可能であって上述した特徴を有する渦巻の形状で巻回されるエネルギーチェーンとを備えるエネルギーチェーンのための収容ユニットに関し、渦巻状に巻回されたエネルギーチェーンは、互いに間隔を有して配置された2本の巻回軸を有する。エネルギーチェーンは、渦巻状に巻回されたエネルギーチェーンの内側に収容ハウジング内に静止配置された固定接続点をその端部の一方に有し、その他端に可動接続点を有する。可動接続点の移動及びそれによりもたらされるエネルギーチェーンの移動によって、巻回軸の互いの間隔は、最小間隔と最大間隔の間で可変となる。
【0023】
そのような収容ユニットは、特に、エネルギーチェーンのための相対的に長い範囲を有する利用可能な収容空間に適し、渦巻状に巻回されたケーブルガイドの巻回軸間の最大間隔は相対的に長くなるように選択され、エネルギーチェーンは収容ハウジング内に相対的に長いストランドにわたってその最大格納状態で延在し得る。
【0024】
収容ユニットの好適な実施形態では、固定接続点は、長手方向における収容ハウジングの範囲に対して収容ハウジングの中央領域に配置される。
【0025】
代替の実施形態によると、固定接続点は、2本の巻回軸の一方を中心として延在するガイド要素、特に、その外面が収容ハウジング内で可動接続点の方向を向くガイド要素の支持によって静止して保持されてもよい。この場合、固定接続点は、上記実施形態例と対比して、静止して保持されたガイド要素の領域、すなわち、静止巻回軸の領域に移行されることとなる。この場合、エネルギーチェーンの最大収容長は、上記実施形態例と比較して、巻回軸間の最大間隔の約半分だけ延長され得る。エネルギーチェーンが収容ハウジングから完全に引き抜かれる場合、最大間隔の約半分だけ長い可動接続点までのエネルギーチェーンの一部分も結果として利用可能となる。ただし、この代替の実施形態は、以下に説明するように、エネルギーチェーンのストランドが収容ハウジングの中央領域において支持可能でなくなるという不利な点を有する。
【0026】
渦巻状に巻回されたエネルギーチェーンのガイド要素が偏向アークに沿って偏向領域をガイドすることで、エネルギーチェーンは、可動接続点に接続されたストランドに対する比較的小さな引張力で収容ハウジングから引抜き可能となり、その長手方向における可動接続点に接続されたストランドに対する比較的小さな圧縮力で収容ハウジングに挿入可能となる。それらのそれぞれの内面及びそれらのそれぞれの外面上に配置されて偏向アークのそれぞれの軸を中心としてアーク状に延在するガイド要素による、本発明による偏向領域のガイド動作に起因して、エネルギーチェーンが収容ハウジングに対して挿抜される場合に、偏向領域にはわずかな摩擦力しか生じない。引張及び圧縮力は、可動接続点に接続されて収容ハウジングから延出するストランドに対して適宜手動でかけられてもよい。
【0027】
本発明による上記収容ユニットは、巻回軸がそれらの最大間隔に到達する位置に、巻回軸のプリテンション、及び、結果として偏向領域をガイドするガイド要素へのプリテンションを必要としない。そのようなプリテンションを生成するということは、収容ハウジングについての追加の設計労力を意味し得る。
【0028】
固定接続点が収容ハウジングの中央領域に配置される場合、ガイド装置は収容ハウジング内のエネルギーチェーンのストランドを支持及びガイドするように設けられ得る。
【0029】
エネルギーチェーンのための上記実施形態例による巻回軸を中心として延在するガイド要素がハウジング内に配置される場合、ハウジングは、収容ハウジング上での巻回軸の間隔の変化に際してストランドの長手方向に、特に摺動的にガイドされ得る。
【0030】
収容ハウジングは、エネルギーチェーンの偏向領域の偏向アークに平行に配置されて両巻回軸上にエネルギーチェーンの偏向領域にわたってストランドの長手方向に延在する2枚の平行なサイドプレートを有し得る。可動接続点は、収容ハウジングの外側に配置され得る。
【0031】
巻回軸を中心として延在するガイド要素を含むハウジングのプレート状部品は、収容ハウジングのサイドプレートにおいて、ストランドの長手方向に延在する溝又は開口に係合する外部成形されたガイド突起を有し得る。
【0032】
収容ハウジングのサイドプレートの長手範囲の中央領域では、ガイド突起が、収容ハウジング内のエネルギーチェーンのストランドを支持及びガイドするように、それらの内側を向く面上に設けられ得る。
【0033】
固定接続点の場合、エネルギーチェーンから出るケーブルを通すために、固定接続点の領域に隣接して、収容ハウジングの少なくとも1枚のサイドプレートに開口が設けられてもよい。
【0034】
サイドプレートの前後面端部において、収容ハウジングは、前後プレート並びにこれらを互いに接続する上側及び下側閉塞プレートを有し得る。
【0035】
上側及び下側閉塞プレートは、収容ハウジングに配置されたエネルギーチェーンの上側又は下側ストランドを摺動的にガイドするように配置可能である。
【0036】
収容ハウジングは2つのハウジングシェルで構成可能であり、その分離面はエネルギーチェーンの偏向領域の偏向アークに平行に延在する平面に位置する。
【0037】
前後プレートの一方は、可動接続点に接続されたエネルギーチェーンのストランドのための上側又は下側領域に貫通開口を有していてもよい。
【0038】
以下に、本発明の実施形態例を、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】エネルギーチェーンのための収容ユニットの分解斜視図である。
【
図2】巻回軸の最小間隔によって収容ユニットの収容ハウジングから最大限延出されたエネルギーチェーンの側面図である。
【
図3】巻回軸の最大間隔によって収容ユニットの収容ハウジングに最大限格納されたエネルギーチェーンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下のように
図1によると、互いに離間した2本の巻回軸を中心とした渦巻の形状で巻回されたエネルギーチェーン5は、収容ユニット4の2つのハウジングシェル1、2によって構成された収容ハウジング3内に配置される。エネルギーチェーン5は、巻回軸を中心として延在してエネルギーチェーン5のストランド7、8が隣接する複数の偏向領域6を有する。同じ巻回軸を中心として延在する偏向領域6の偏向アークは、互いに対して同心に配置される。
【0041】
エネルギーチェーン5は、渦巻状巻回の内側に配置されたその端部において固定接続点9を有し、その他端に可動接続点(不図示)を有する。
【0042】
エネルギーチェーン5が移動される際に偏向領域6をガイドするために、偏向領域6のそれぞれの巻回軸を中心とするアークの形状で内面及び外面上に延在するガイド要素10が設けられる。
図1に示すように、ガイド要素10は、ストリップの形状で構成され、偏向領域6の内面及び外面上の円弧にわたって延在する。
【0043】
同じ巻回軸を中心として延在する偏向領域6についてのガイド要素10は、互いに対して同心に配置される。
【0044】
同じ巻回軸を中心として延在する偏向領域6についてのガイド要素10はプレート状部品11上に横方向に配置され、プレート状部品11は偏向領域6の平面に平行に外部配置され、略半円状のプレートの形状で構成される。ストリップの形状のガイド要素10は、長手方向lに対する横断方向においてエネルギーチェーン5の幅の約半分にわたって延在する。プレート状部品11の内面12は、ここでは偏向領域6の摺動ガイドとして作用する。
【0045】
またさらに、以下のように
図1によると、そこに成形されたガイド要素10を有する2つのそのような半円プレート状部品11は、それぞれの巻回軸を中心として延在するエネルギーチェーン5の偏向領域6を摺動ガイド的に受容するハウジング15のハウジングシェル13、14を構成する。
【0046】
同様に、以下のように
図1によると、収容ハウジング3は、2つのハウジング半分割体16、17によって構成される。ハウジング半分割体16、17の各々は、両巻回軸について偏向領域6にわたるエネルギーチェーン5のストランド7、8の長手方向lに延在するサイドプレート18又は19を有する。いずれも巻回軸を中心として延在する偏向領域6を受容する2つのハウジング15は、サイドプレート18、19上で摺動的に横方向にガイドされる。この目的のため、それぞれのハウジング15のプレート状部品11は、サイドプレート18、19の、ストランド7、8の長手方向lに延在する溝21に係合する外部成形されたガイド突起20を有する。
【0047】
収容ハウジング3のサイドプレート18、19の長手範囲の中央領域において、ガイド突起22が、エネルギーチェーン5のストランド7、8を支持及びガイドするようにそれらの内側を向く面上に成形される。
【0048】
固定接続点9の場合、エネルギーチェーン5から出るケーブル(不図示)を通すために、固定接続点9の領域に隣接して、収容ハウジング3の両サイドプレート18、19に開口23が設けられる。
【0049】
サイドプレート18、19の前後面端部において、収容ハウジング3は、前後プレート24、25並びにこれらを互いに接続する上側及び下側閉塞プレート26、27を有し得る。閉塞プレート26、27は、可動接続点から離れたハウジング15の径方向外側を向く上側及び下側エッジを摺動的にガイドするように配置される。可動接続点のより近くに位置するハウジング15は、下側閉塞プレート27と可動接続点に接続されたストランド7との間でその上側及び下側エッジにおいて摺動的にガイドされる。
【0050】
可動接続点を向く2つのハウジングシェル13、14の前後プレート24は、エネルギーチェーン5の可動接続点に接続されたストランド7についてのそれらの上側領域に貫通開口28を有する。
【0051】
図2は、収容ハウジング3外のエネルギーチェーン5の最大伸張位置での渦巻状に巻回されたエネルギーチェーン5の構成を示す。2つの巻回軸29、30の最小間隔m1を有するこの位置では、ハウジング15の半円プレート状部品11の直線状端面及びそこに配置されたアーク状ガイド要素10の自由端が、前後面において、収容ハウジング3のハウジング半分割体16、17のガイド突起22に当接し、結果として巻回軸29、30間の最小間隔m1を画定する。
【0052】
圧力を可動接続点及びそこに接続されるストランド7にかけることによってエネルギーチェーン5が収容ハウジング3に格納される場合、偏向領域6を受容する2つのハウジング15は、ハウジング15に対する偏向領域6の圧力によって及ぼされる力によって互いに対して対向方向に移動する。渦巻状巻回は収容ハウジング3の長手方向に拡がり、巻回軸29、30間の間隔は、ハウジング15が収容ハウジング3の前後プレート24、25の領域において停止するまで増加し、
図3に示すように、巻回軸29、30間の最大間隔m2に達する。
【符号の説明】
【0053】
1 ハウジングシェル
2 ハウジングシェル
3 収容ハウジング
4 収容ユニット
5 エネルギーチェーン
6 偏向領域
7 ストランド
8 ストランド
9 固定接続点
10 ガイド要素
11 プレート状部品
12 内面
13 ハウジングシェル
14 ハウジングシェル
15 ハウジング
16 ハウジング半分割体
17 ハウジング半分割体
18 サイドプレート
19 サイドプレート
20 ガイド突起
21 溝
22 ガイド突起
23 開口
24 前後プレート
25 前後プレート
26 閉塞プレート
27 閉塞プレート
28 貫通開口
29 巻回軸
30 巻回軸
31 巻回軸
l 長手方向
q 横断方向
m1 最小間隔
m2 最大間隔