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特許7495990再生ポリマー材料から物品を製造するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】再生ポリマー材料から物品を製造するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 11/06 20060101AFI20240529BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20240529BHJP
   B29B 7/72 20060101ALI20240529BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20240529BHJP
   B29C 48/275 20190101ALI20240529BHJP
   B29C 48/82 20190101ALI20240529BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20240529BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
B29B11/06
B29B7/38
B29B7/72
B29B17/00 ZAB
B29C48/275
B29C48/82
B29C48/92
B29C49/04
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022549682
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 IB2021051444
(87)【国際公開番号】W WO2021165917
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】102020000003383
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509238432
【氏名又は名称】サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【弁理士】
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】フィオレンツォ パリネッロ
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ プッチ
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-070588(JP,A)
【文献】特開2004-168039(JP,A)
【文献】特開2005-105091(JP,A)
【文献】特開2009-073095(JP,A)
【文献】特開2012-007014(JP,A)
【文献】特開2016-221772(JP,A)
【文献】特表2019-527632(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183048(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00 - 11/14
17/00
B29C 13/00 - 15/06
31/00 - 31/10
37/00 - 37/04
48/275
48/82
48/92
71/00 - 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料の流を供給するためのノズル9と、前記流からポリマー材料のドーズ16を分離するための分離要素と、前記ドーズ16を圧縮成形することによって物品を作製するための少なくとも1つの金型10と、前記分離要素によって分離された前記ドーズ16を少なくとも1つの前記金型10に向かって搬送するための少なくとも1つの搬送要素17と、を備える装置であって、
少なくとも1つの前記搬送要素17は、大気環境中の経路に沿って移動可能であり、その結果、ドーズ16は、大気と接触し、
前記装置は、リサイクル装置2であって、前記リサイクル装置2の送出口において成形に適した溶融再生ポリマー材料を提供するように、リサイクルされるポリマー材料を受け取り前記リサイクルされるポリマー材料を溶融するように構成されたリサイクル装置2をさらに備え、
ここで、前記ノズル9は、前記リサイクル装置2に接続され、その結果、前記ノズル9は、再生ポリマー材料を供給される、装置。
【請求項2】
前記溶融再生ポリマー材料の流を熱的に均質化するための前記リサイクル装置2の下流に位置する均質化装置6をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記均質化装置6は、前記溶融再生ポリマー材料を少なくとも部分的に冷却するように構成された熱交換器を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記均質化装置6は、前記均質化装置6に入る前記溶融再生ポリマー材料の少なくとも高温部分を冷却することによって、前記再生ポリマー材料の流の温度が可変である範囲を狭めるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記均質化装置6は、前記均質化装置6の前記送出口において、前記再生ポリマー材料の流が前記ポリマー材料の溶融温度よりも低い平均温度を有するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記均質化装置6は、スタティックミキサーを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記ノズル9の内部において、再生ポリマー材料のための通過ダクトが設けられ、前記通過ダクトは、0.5cm~2cmの直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記リサイクル装置2の下流に位置し、実質的に一定の流量を有する再生ポリマー材料の流を前記ノズル9に向けて送るためのポンプ5をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記リサイクル装置2は、液相重縮合(LSP)技術に従って作動するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの前記金型10は、容器用のプリフォームを作製し、続いて少なくとも1つの前記金型10の内部において前記プリフォームをブロー成形またはストレッチブロー成形することによって前記プリフォームから容器を得るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記リサイクル装置2と前記ノズル9との間に介在し、再生ポリマー材料の粘度を測定するための少なくとも1つの粘度測定装置19、20をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
粘度の測定値を入力として受け取り、前記粘度の測定値を少なくとも1つの基準値と比較し、フィードバック制御を用いて再生ポリマー材料の粘度を変化させるための制御ユニット21をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御ユニット21は、前記リサイクル装置2に入るリサイクルされるポリマー材料の組成に作用することによって、フィードバック制御を用いて再生材料の粘度を変化させるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記制御ユニット21は、前記リサイクル装置2の少なくとも1つの作動パラメータに作用することによって、フィードバック制御を用いてポリマーの粘度を変化させるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記リサイクル装置2の少なくとも1つの作動パラメータは、リサイクル装置2から出る再生ポリマーの改良のレベルである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
粘度の測定値を入力として受け取り、前記粘度の測定値を少なくとも1つの基準値と比較し、フィードバック制御を用いて再生ポリマー材料の粘度を変化させるための制御ユニット21をさらに備え、前記制御ユニット21は、前記均質化装置6内の前記再生ポリマー材料の温度に作用することによって、前記再生ポリマー材料の粘度を、フィードバック制御を用いて変化させるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項17】
前記リサイクル装置2と前記ノズル9との間に介在し前記再生ポリマー材料の粘度を測定するための少なくとも1つの粘度測定装置をさらに備え、前記少なくとも1つの粘度測定装置は、前記均質化装置6の上流および下流にそれぞれ位置する2つの粘度測定要素19、20を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項18】
ノズル9によってポリマー材料の流を供給するステップと、前記流からポリマー材料のドーズ16を分離するステップと、前記ドーズ16を金型10内で圧縮成形することによって物品を作製するステップと、を含む方法であって、ここで、前記流から分離した前記ドーズ16は、大気環境中の経路に沿って前記金型10に向かって搬送され、その経路に沿ってドーズ16が大気と接触し、ここで、前記ポリマー材料の流は、リサイクルされるポリマー材料を受け取り成形に適した溶融再生ポリマー材料をその送出口で提供するリサイクル装置2から到達し、前記ノズル9は、リサイクル装置2に接続され、その結果、ノズル9は、再生ポリマー材料を供給される、方法。
【請求項19】
前記リサイクル装置2の下流において、前記溶融再生ポリマー材料の流を熱的に均質化するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記均質化するステップは、前記溶融再生ポリマー材料を少なくとも部分的に冷却することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記均質化するステップの間に、前記溶融再生ポリマー材料の少なくとも高温部分を冷却することによって、前記再生ポリマー材料の流が有し得る温度範囲を狭める、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記範囲は、前記均質化するステップの間に少なくとも半減される程度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記範囲の前記程度は、前記均質化するステップの前に前記程度が有していた値の1/4未満に減少される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記再生ポリマー材料の流は、前記均質化するステップの終了時に、前記ポリマー材料の溶融温度より低い平均温度を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記リサイクル装置2と前記ノズル9との間に介在する位置において前記再生ポリマー材料の粘度を測定し、粘度の測定値を少なくとも1つの基準値と比較し、フィードバック制御を用いて再生ポリマー材料の前記粘度を変化させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記リサイクル装置2は、前記リサイクルされるポリマー材料と、同じ物質の一定量のバージンポリマー材料と、を供給され、ここで、前記再生ポリマー材料の粘度は、リサイクルされるポリマー材料の量に対するバージンポリマー材料の量に作用することによって変化する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記リサイクル装置2は、前記リサイクルされるポリマー材料と、前記リサイクルされるポリマー材料の少なくとも1つの特性を変更する追加材料と、を供給され、ここで、前記再生ポリマー材料の前記粘度は、前記リサイクルされるポリマー材料の量に対する前記追加材料の量に作用することによって変化する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記再生ポリマー材料の粘度は、前記リサイクル装置2の少なくとも1つの作動パラメータに作用することによって変更される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記リサイクル装置2と前記ノズル9との間に介在する位置において前記再生ポリマー材料の粘度を測定し、粘度の測定値を少なくとも1つの基準値と比較し、フィードバック制御を用いて再生ポリマー材料の前記粘度を変化させるステップをさらに含み、ここで、前記再生ポリマー材料の粘度は、前記均質化するステップの間に再生された前記ポリマー材料の温度に作用することによって変化される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクルされたポリマー材料を使用して、成形によって物品を作製するための装置および方法に関する。
【0002】
本発明による装置および方法は、容器、ブローまたはストレッチブロー成形によって容器を得るためのプリフォーム、容器用のキャップまたは他の凹型の物品などの、物品の作製に使用され得る。より一般的には、本発明による装置および方法は、成形によって得られるあらゆる種類の物品の作製のために使用され得る。
【0003】
本発明による装置および方法において使用可能であるポリマー材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)または一般的にリサイクル装置において再生され再び成形に適した状態にされ得る他の任意のポリマー材料であり得る。
【背景技術】
【0004】
リサイクルされるポリマー材料を導入口において受け取り、その材料を溶融し、再生して、成形によって新しい物品を作製するのに適した状態にすることを目的とした、先行技術のリサイクル装置が存在する。リサイクル装置が導入口において受け取るポリマー材料は、リサイクルされる物品を粉砕することによって得られた破片または断片の形態であり得る。先行技術のリサイクル装置は、射出成形機に供給することを意図した固体ペレットを作製するために使用され得る、溶融再生ポリマー材料の連続流を提供する。
【0005】
射出成形機において、リサイクル装置によって製造された固体ペレットは、押出および可塑化装置において再び溶融される。これは、溶融したポリマー材料を生成し、これは、1つ以上の金型に射出され、所望の物品を形成する。
【0006】
上述の先行技術の欠点の1つは、射出成形金型に供給され得る溶融ポリマー材料を得るために、リサイクル装置においてリサイクルされる材料を溶融し、ペレットを作製するためにリサイクル装置の送出口で再生された材料を固化し、再度ペレットを溶融する必要があるため、高いエネルギー消費につながる。これらの操作にもかなりの時間がかかる。
【0007】
国際公開第2017/183048号には、熱可塑性樹脂フレークから汚染物質を除去するための汚染用装置と、除染装置から到達した熱可塑性樹脂を射出して成形するための射出成形装置とを含む、熱可塑性樹脂フレークからプリフォームを作製するための装置が記載されている。国際公開第2017/183048号に記載されている射出成形装置は、回転型であり得、その場合、射出成形装置は、回転分配機構に接続された送出口を有する可塑化装置を備え、これは、可塑化装置から到達した熱可塑性樹脂を回転プラットフォームに取り付けられた複数の金型に分配する。
【0008】
国際公開第2017/183048号に記載されている装置の欠点は、除染装置から到達した熱可塑性樹脂が、可塑化装置と金型との間に介在する狭い通過ダクト、特にロータリー分配機構の内部を強制的に通過するときに、高い応力を受けることである。このような高い応力は、熱可塑性樹脂の劣化を引き起こし、その結果、成形された物品の特性を悪化させ得る。
【0009】
既知の装置のさらなる例は、米国特許第9576172号明細書および欧州特許第3332934号明細書に開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、再生ポリマー材料を成形して物品を形成するための装置および方法を改良することである。
【0011】
別の目的は、限られたエネルギー消費で機能する、再生ポリマー材料から物品を作製するための装置および方法を提供することである。
【0012】
別の目的は、生産時間の最適化を可能にする、再生ポリマー材料から物品を作製するための装置および方法を提供することである。
【0013】
別の目的は、再生ポリマー材料から物品を作製するための装置および方法を提供することであり、ここで、ポリマー材料は、成形前に制限された応力を受ける。
【0014】
さらに別の目的は、再生ポリマー材料から物品を作製する装置および方法を提供することであり、成形の前に、ポリマー材料は、その品質を良好に保つような方法で取り扱われる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様では、ポリマー材料の流を供給するためのノズルと、当該流からポリマー材料のドーズを分離するための分離要素と、ドーズを圧縮成形することによって物品を作製するための少なくとも1つの金型と、分離要素によって分離されたドーズを当該少なくとも1つの金型に向かって搬送するための、大気環境内の経路に沿って移動可能である少なくとも1つの搬送要素と、を備える装置を提供し、装置はまた、リサイクルされるポリマー材料を受け取りその送出口において成形に適した溶融再生ポリマー材料を提供するためのリサイクル装置をも備え、ここで、ノズルは、リサイクル装置2に接続され、その結果、ノズル9は、当該再生ポリマー材料を供給する。
【0016】
本発明の第1の態様によって、再生ポリマー材料から作製された物品を、エネルギー消費および物品の製造に必要な時間を制限しながら得ることが可能である。実際、ノズルをリサイクル装置に接続することによって、リサイクル装置によって生成されたまだ固化していない再生ポリマー材料を直接金型に供給し得る。したがって、固体ペレットを得るためにリサイクル装置を出る溶融再生ポリマー材料を冷却すること、および続いて金型に供給する溶融材料を得るようにペレットを溶融することを回避することが可能である。これによって、先行技術ではペレットを得るためにおよびとりわけペレットを再溶融するために必要であった、エネルギーと関連する操作を実行するための時間との両方を節約することが可能である。
【0017】
さらに、再生ポリマー材料が受ける冷却および加熱の熱サイクルを最小限に抑えることによって、劣化を防ぎ、品質を良好に保つことが可能になる。
【0018】
さらに、圧縮成形によって、溶融再生ポリマー材料が狭い通過ダクト内を通過するのを避けることまたは最小限に抑えることが可能であり、これによって、成形前の再生ポリマー材料に作用する応力を低減し、その劣化を避けることが可能となる。特に、溶融再生ポリマー材料は、狭い通過ダクトを有する回転分配機構を通過することによって、応力にさらされない。
【0019】
大気環境中の経路に沿って移動可能である搬送要素は、その経路に沿ってドーズが大気と接触するため、金型に入る再生ポリマー材料が良質であることを保証する。実際、再生ポリマー材料が大気と接触するとき、材料中に最初に存在したいくつかの揮発性汚染物質が放出され得る。
【0020】
一実施形態では、ノズルに向かって流れる溶融再生ポリマー材料を熱的に均質化するための、リサイクル装置とノズルとの間に介在する、均質化装置が存在し得る。
【0021】
実際、リサイクル装置から到達した溶融再生ポリマー材料は、概して融点より高い温度を有するが、均一ではない内部温度分布を有し得る。具体的には、リサイクル装置から到達した溶融再生ポリマー材料の内部には、融点に極めて近い温度を有する材料の部分と、融点よりもさらに数十度高い温度を有する材料と、が存在し得る。材料の高温部分は、劣化しやすい傾向があり、その結果、成形物品の品質が悪くなる。
【0022】
一実施形態では、均質化装置は、溶融再生ポリマー材料を冷却するように構成された熱交換器を備える。
【0023】
それによって、溶融再生ポリマー材料内部の温度分布を、例えば融点と一致し得る下限値に向かって均一化することが可能となる。これによって、溶融再生ポリマー材料の内部に、材料の局所的な劣化および流量のばらつきを生じさせる融点よりもはるかに高い温度を有する部分が存在することを回避する。
【0024】
一実施形態では、熱交換器は、再生ポリマー材料の平均温度を融点より低いが当該ポリマー材料の結晶化温度より高い値にするために構成される。
【0025】
これによって、物品を損傷することなく取り扱うことが可能である温度に冷却するために物品を金型内にとどめなければならない時間を短縮することが可能となる。実際、溶融再生ポリマー材料は、金型に入るとき、すでに融点より低い温度を有し、形成された物品は、その開始温度が融点より高い場合よりも急速に冷却される場合があり得る。
【0026】
第2の態様では、ノズルによってポリマー材料の流を供給するステップと、当該流からポリマー材料のドーズを分離するステップと、ドーズを金型内で圧縮成形することによって物品を作製するステップとを含む方法であって、ここで、当該流から分離したドーズは、大気環境中の経路に沿って金型に向かって搬送され、ここで、ポリマー材料の流は、リサイクルされるポリマー材料を受け取り成形に適した溶融再生ポリマー材料をその送出口で提供するリサイクル装置から到達し、ノズルは、リサイクル装置に接続され、その結果、ノズルに溶融再生ポリマー材料が供給される、方法を提供する。
【0027】
本発明の第2の態様によって提供される方法は、本発明の第1の態様を参照して、先述の利点を得ることを可能にする。
【0028】
本発明は、下記の例示的、非限定的実施形態を示す添付図面を参照することによって、よりよく理解され、実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】物品を作製するための装置を示す図である。
図2図1と同様の、代替実施形態による物品を作製するための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、再生ポリマー材料の圧縮成形によって物品を作製するための装置1である。
【0031】
装置1において使用可能である溶融再生ポリマー材料は、使用後に再び溶融して別の成形工程に供され得る任意のポリマー材料であり得、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられるが、これらに限定されない。装置1が作製可能である物品は、圧縮成形によって得られるあらゆる種類の物品、例えば、容器、キャップまたは容器用プリフォームであり得る。
【0032】
装置1は、リサイクルされるポリマー材料を、例えば、ボトル、食品用熱成形容器または他の物品などのポリマー材料から作製される物品を粉砕することによって得られるフレークまたはスライバーの形態で、供給されるのに適したリサイクル装置2を備える。
【0033】
リサイクル装置2は、ポリマー材料の機械的リサイクルを行うように構成され得る。より詳細には、リサイクル装置2は、固相重縮合(SSP)または液相重縮合(LSP)の技術に従って作動し得る。
【0034】
リサイクル装置2は、送出口において、例えば連続的に、成形に適した溶融再生ポリマー材料の流を提供することが可能である。
【0035】
装置1はまた、圧縮成形装置3がリサイクル装置2から到達した再生ポリマー材料を受け取り、再生ポリマー材料が予め固化することなく再生ポリマー材料を圧縮成形物品の成形に使用するように、リサイクル装置2の下流に位置しリサイクル装置2に接続された圧縮成形装置3をも備える。したがって、リサイクル装置2および圧縮成形装置3は、リサイクル装置2が圧縮成形装置3と一列に接続された生産プラントを画定する。
【0036】
リサイクル装置2と圧縮成形装置3とを接続するための接続ライン4は、リサイクル装置2と圧縮成形装置3との間に介在する。
【0037】
ポンプ5は、接続ライン4に沿って存在し得、これは、リサイクル装置2から到達する実質的に一定の流量のポリマー材料を圧縮成形装置3に送ることを可能にする。このようにして、圧縮成形装置3の導入口において、再生されたポリマー材料は、正確に投入され得る。
【0038】
ポンプ5は、歯車を有するタイプまたは溶融状態もしくは高粘性流体状態のポリマー材料を処理するのに適した任意の他のタイプのものであり得る。
【0039】
圧縮装置3に向かって移動する再生ポリマー材料の内部の温度を均一にするのに適した、接続ライン4に沿って位置する均質化装置6が存在し得る。
【0040】
実際、リサイクル装置2から到達する溶融ポリマー材料は、概して融点よりも高い温度を有する。ただし、その材料内の温度分布は均一ではない場合があり得る。より具体的には、リサイクル装置2を出る溶融ポリマー材料の流の内部には、融点に近い温度を有する低温部分と、融点よりも数十度高い温度を有する高温部分とが存在する場合があり得る。
【0041】
例えば、ポリマー材料が約260℃の融点を有するPETである場合、材料は、リサイクル装置2の内部で完全に溶融しているため、リサイクル装置2を出るPETの流の温度は、概して260℃より高い。しかしながら、均質化装置6の上流の溶融ポリマー材料の流中には、300~310℃の温度を有する高温部分とともに、260~270℃の温度を有する比較的低温の部分が存在し得る。したがって、この例では、均質化装置6に入るPETの温度は、260℃~310℃で可変であり得る。
【0042】
均質化装置6は、ポリマー材料の流の温度を下限値に向かって均一にすることを可能にし、再生されたポリマー材料の流内部のより高い温度ピークを排除し、その流内の温度変動範囲を減少させる。
【0043】
換言すれば、均質化装置6の動作は、その分解を妨げるように、溶融した再生ポリマー材料を冷却する傾向がある。均質化装置6は、溶融再生ポリマー材料の高温部分に作用し、再生ポリマー材料が劣化することなく均質化装置6内に留まり得るような方法で温度を下げる。
【0044】
均質化装置6は、その材料の温度変動範囲を減少させるような方法で、通過する再生ポリマー材料の高温部分を冷却するように構成された熱交換器を備え得る。
【0045】
熱交換器は、向流型であり得、すなわち、再生ポリマー材料の供給方向Fとは反対の流方向に冷却流体が流れる中空空間を備え得る。供給方向Fは、リサイクル装置2から圧縮成形装置3に向かって進む。
【0046】
熱交換器は、スタティックミキサー7を備え得る。スタティックミキサー7は、再生ポリマー材料が通過するダクトを備え得、その内部には、図1に概略的に示される混合要素8が配置される。
【0047】
混合要素8は、再生ポリマー材料の流を熱的におよび必要に応じて組成の点においての両方で均質化するために、固定位置に配置された複数の分流バーを備える。特に、分流バーは、溶融再生ポリマー材料の主流を、スタティックミキサー7内部の経路に沿って互いに混合する複数の二次流に分割し得る。主流が分割された二次流によって、熱交換表面積が増加し、再生された溶融ポリマー材料の温度を効果的に均一にすることが可能になる。
【0048】
スタティックミキサー7は、熱調整流体、特に例えば供給方向Fとは反対の方向に流れ得る、冷却流体が流れる外部ジャケットを設ける。
【0049】
図示しない代替実施形態において、均質化装置6は、スタティックミキサー7の代わりにダイナミックミキサーを備え得、すなわち、作動中に移動する混合要素を設け得る。
【0050】
均質化装置6はまた、スタティックミキサー7の代わりに、シェルおよびチューブ熱交換器、またはカスケード押出機またはサテライト押出機、または適切に調整された二軸スクリュー押出機をも備え得る。
【0051】
一実施形態では、均質化装置6は、均質化装置6の送出口において、その温度が当該のポリマー材料の溶融温度よりも低い値を中心とする範囲内にあるように、再生ポリマー材料の流の温度を均質化するように構成される。
【0052】
より一般的には、均質化装置6の送出口において、再生ポリマー材料の流は、融点よりも低い温度を有し得る。
【0053】
例えば、PETの場合、均質化装置6の送出口での温度は、240℃±5℃であり得る。
【0054】
ポリマー材料が、例えばPETなどの半結晶性である場合、均質化装置6の送出口における溶融再生ポリマー材料の流の温度は、結晶化温度より高い場合があり得る。
【0055】
このようにして、溶融再生ポリマー材料は、融点よりも平均的に低い作業温度を有しながら、圧縮成形装置3内で成形される。これによって、成形物品を破損することなく取り扱える温度まで急速に冷却し得、その結果、成形物品を金型から取り出し得るため、成形物品が金型内に留まる時間を短縮することが可能となる。これによって、サイクルタイムの短縮が可能となる。
【0056】
代替の実施形態では、均質化装置6は、均質化装置6の下流で、その温度が融点を中心とする範囲内、例えばPETの場合には260℃±5℃、になるように、溶融ポリマー再生材料の流の温度を均質化するように構成される。
【0057】
概して、均質化装置6を出る再生ポリマー材料の流は、均質化装置6の上流の温度分布よりもはるかに均質な温度分布を有する。換言すれば、均質化装置6の下流では、溶融再生ポリマー材料の温度は、均質化装置6の上流で可変である溶融再生ポリマー材料の温度の範囲よりも狭い範囲で変化する。
【0058】
例えば、均質化装置6の上流では、再生ポリマー材料の温度は、50℃の範囲で可変であり得るが、均質化装置6の下流では、再生ポリマー材料の温度は、10℃の範囲で可変であり得る。
【0059】
それゆえ、再生ポリマー材料の温度が可変である範囲は、均質化装置6において少なくとも半分になる程度を有し、好ましくは、均質化装置6の上流で当該程度が有する値の4分の1未満に減少する。
【0060】
これによって、均質化装置6およびその下流において、再生ポリマー材料の流に、急速に劣化し得る過度に高温部分が存在することを防止する。
【0061】
均質化装置6の下流に位置し、それを通してリサイクル装置2から到達した再生ポリマー材料の流が大気環境中に供給され得るノズル9が存在する。
【0062】
ノズル9は、リサイクル装置2から出る接続ライン4の更なる端とは反対側の、接続ライン4の端に位置する。そのため、ノズル9は、リサイクル装置2に接続される。
【0063】
ノズル9は、均質化装置6を出た再生ポリマー材料の流が速やかにノズル9に到達するように、均質化装置6のすぐ下流に位置する。
【0064】
ノズル9の内部には、比較的大きな寸法、例えば0.5~2cmの領域の直径を有する、再生ポリマー材料のための通過ダクトが存在する。
【0065】
概して、ノズル9の通過ダクトの直径は、圧縮成形装置3によって作製される物品と同じ種類の物品を作製するための射出成形金型に通常設けられる射出ダクトの直径よりも著しく大きい。
【0066】
ノズル9に設けられた通過ダクトの比較的大きな直径のおかげで、再生ポリマー材料は、ノズル9を通過する際に限られた応力を受ける。
【0067】
図示の例では、ノズル9は、ノズル9によって供給される再生ポリマー材料の流が底部から上向きに垂直に供給されるように、上向きの供給開口を有する。しかしながら、この条件は必須ではなく、ノズル9の供給開口は、例えば下向きまたは水平線に沿って、または水平線に対して斜めの線に沿って、異なる方向に向き得る。
【0068】
また、圧縮成形装置3は、圧縮成形によって物品を作製するための少なくとも1つの金型10を備える。図示の例では、複数のO型金型10が設けられ、例えばそれらは成形カルーセル11の周辺領域に取り付けられる。
【0069】
成形カルーセル11は、例えば、軸Zを中心に回転可能であり得るが、例えば、必ずしも垂直に配置される必要はない。
【0070】
金型10の他の配置も可能である。
【0071】
各金型10は、キャビティ13を有する雌部品12とパンチ15を有する雄部品14とを備える。
【0072】
各金型10の雌部品12と雄部品14とは、例えば垂直であり得る成形軸に沿って互いに整列する。
【0073】
図示の例では、雌部品12は、雄部品14の下方に位置するが、この条件は必ずしも必要ではない。
【0074】
雌部品12および雄部品14は、成形軸に平行な線に沿って互い移動可能であり、互いに向かって移動するか、あるいは互いから離れるように移動する。より詳細には、雌部品12および雌部品14は、図1に示される開位置と図示されていない閉位置との間で互いに対して移動可能である。
【0075】
開位置では、雌部品12と雄部品14とは間隔をあけて配置されているため、雌部品12と雄部品14との間には、ノズル9から分離されたポリマー材料のドーズ16を挿入することが可能である。
【0076】
図示の例では、ドーズ16がキャビティ13に挿入されているが、これは、雄部品12と雌部品14との相対的な配置に依存するため、この条件は必ずしも必要ではない。
【0077】
開位置では、成形物品を金型10から取り出すことも可能である。
【0078】
閉位置では、雌部品12と雄部品14とは、得られる物品の形状に対応する形状を有する成形チャンバーがそれらの間に画定されるように、互いに近くにある。
【0079】
圧縮成形装置3はまた、ノズル9を出る再生ポリマー材料の流と周期的に相互作用して、その流からポリマー材料のドーズ16を分離するのに適した分離要素を備える。
【0080】
ノズル9から金型10に向かってドーズ16を搬送するために、少なくとも1つの搬送要素17が設けられる。
【0081】
搬送要素17は、例えばノズル9の近く、特にその上を通過して再生ポリマー材料のドーズ16をノズル9から分離するのに適した、垂直軸の周りに延在する凹型要素として形成され得る。この場合、ノズル9に面する位置に周期的に配置される搬送要素17の縁区域(すなわち、図示の例では、搬送要素17の下側縁区域)は、ノズル9を出る再生ポリマー材料の流からドーズ16を分離するための分離要素として機能する。
【0082】
図示されていない実施形態では、分離要素は、搬送要素17から分離され、独立し得る。例えば、分離要素は、搬送要素17に接続されず、ノズル9の近くを定期的に通過するように軸を中心に回転可能であり、ドーズ16をそこから分離するための、回転ブレードを備え得る。
【0083】
搬送要素17は、ノズル9から金型10に向かう経路に沿って移動可能である。
【0084】
図示の例では、複数の搬送要素17があり、例えば、搬送カルーセル18によって支持され得る。
【0085】
搬送カルーセル18は、図示の例では成形カルーセル11の軸Zに平行な回転軸Rを中心に回転可能である。より具体的には、図示の例では、回転軸Rは垂直である。
【0086】
したがって、各搬送要素17は、図示の例では円形である閉じた経路に沿って移動可能である。
【0087】
経路に沿って移動するにつれて、搬送要素17は、ピックアップ位置を取り入れ得、ここで、搬送要素17は、ノズル9の近く、特にノズル9の上方に位置し、ドーズ16をそこから分離する。その高粘性流体状態のために、ドーズ16は、回転軸Rを中心に回転し金型10に向かってそれを運搬する搬送要素17に付着したままである。搬送要素17はまた、例えば空気圧または機械的手段を用いてドーズ16を金型10内に放出するために、雌部品12と雄部品14との間に介在する送出位置にも配置され得る。
【0088】
搬送要素17は、ノズル9から金型10までまたはより一般的にはピックアップ位置から送出位置までの経路に沿って移動するにつれて、大気環境、すなわち開放環境に配置され、その結果、ドーズ16は、空気と直接接触する。このようにして、いくつかの揮発性汚染物質がドーズ17から放出され、大気環境に分散し得る。これによって、ドーズ16を形成する再生ポリマー材料の品質を向上させることが可能である。
【0089】
作動中、まだ固体状態であるリサイクルされるポリマー材料は、リサイクル装置2に導入される。ここで、ポリマー材料は、融点よりも高い温度に加熱され、および、例えば濾過、真空環境での輸送、結晶化などの複数のステップを備え得る再生処理を受ける。
【0090】
リサイクル装置2の送出口において、ポンプ5によって供給方向Fに供給される溶融再生ポリマー材料の流が得られる。ポンプ5は、実質的に一定の質量を有するドーズ16を再生ポリマー材料の流から分離することが可能であるように、溶融再生ポリマー材料の流速が実質的に一定であることを保証する。
【0091】
次に、溶融再生ポリマー材料は、均質化装置6の内部を通過し、そこで、その材料は、熱的に均一になり、ノズル9から出る。
【0092】
分離要素は、ピックアップ位置に配置された搬送要素17によってピックアップされるドーズ16をノズル9から分離する。搬送要素17は、送出位置に到達し、ドーズ16を開位置にある金型10内に放出する。
【0093】
次に、金型10は、ドーズ16を物品に成形するための閉位置に移動する。物品が金型10内部で十分に冷却されたとき、金型10が開き得、物品が取り出される。
【0094】
この時点で、新しい成形サイクルを開始することが可能になる。
【0095】
上記の例では、圧縮成形装置3を備える装置1を参照し、ここで、物品は、金型10で成形された後、金型10から取り出され、圧縮成形装置3から搬送される。
【0096】
ドーズ16を圧縮成形することによって得られる物品がプリフォームである場合、物品を貯蔵領域に搬送し、所定の期間の後、物品をブローまたはストレッチブロー成形に供して、金型10が属する機構とは別の機構上で、容器を得ることが可能である。
【0097】
図示されていない実施形態では、圧縮成形装置3は、ドーズ16からプリフォームを作製し、プリフォーム16が得られた直後に、ブロー成形またはストレッチブロー成形によってプリフォームから容器(例えば、ボトル)を得るように構成された1つ以上の金型10を備え得る。
【0098】
換言すれば、ドーズ16から得られる物品がプリフォームである場合、金型10が属する同じ圧縮成形装置3において実行されるブローまたはストレッチブロー成形操作によって、プリフォームから容器を作製することが可能である。これは、物品を特別に設計されたパンチと係合させたままにし、雌部品12を、物品がブロー成形またはストレッチブロー成形に供され得るブロー金型の雌部品で置き換えることによって行われ得る。
【0099】
装置1はまた、上記のPETの代わりに、他のポリマー材料、特に熱可塑性樹脂を使用して作動し得る。
【0100】
概して、装置1は、リサイクルされたポリマー材料の圧縮成形によって高品質の物品を製造することを可能にすると同時に、エネルギー消費およびサイクルタイムを削減する。
【0101】
リサイクル装置2から入来し圧縮成形装置3に向かう再生ポリマー材料は、あらかじめ設定した値を有する粘度、またはより現実的にはあらかじめ設定した範囲内に入る粘度、を有することが望ましい。
【0102】
これによって、ドーズ16をノズル9から分離し、ドーズ16を金型10に向けて搬送し、ドーズ16を金型10に導入し、ドーズ16を形成する再生ポリマー材料で金型10を充填するステップを改良することが可能になる。これらの工程を最適化するために、低すぎず高すぎない再生ポリマー材料の粘度を有することが望ましい。さらに、再生ポリマー材料の粘度が比較的高い場合、成形物品の性能は、改良される。
【0103】
したがって、成形物品の品質のためおよび製造プロセスの制御のための両方の理由から、再生ポリマー材料の粘度を制御することが適切である。
【0104】
図2は、上記を参照して粘度制御を実行し得る別の実施形態による装置101を示す。装置101において、図1に示された装置1と共通の構成要素は、図1で使用されたものと同じ参照番号で示され、再度の詳細な説明は行わない。
【0105】
装置101は、主に、接続ライン4に沿って配置された、すなわちリサイクル装置2と圧縮成形装置3との間に介在する位置に配置された少なくとも1つの粘度測定要素を備えるため、装置1とは異なる。より具体的には、図示の例では、装置101は、接続ライン4に沿って、均質化装置6の上流の位置、例えばポンプ5と均質化装置6との間に介在する位置に配置された第1の粘度測定要素19を備える。
【0106】
装置101は、接続ライン4に沿って、均質化装置6の下流の位置、例えば均質化装置6とノズル9との間に介在する位置に配置された第2の粘度測定要素20をさらに備える。
【0107】
第1の粘度測定要素19および第2の粘度測定要素20は、リサイクル装置2から入来して圧縮成形装置3に向けられる再生ポリマー材料の粘度をインラインで測定するように構成される。
【0108】
第1の粘度測定要素19および第2の粘度測定要素20は、矢印22および23によって示されるように、粘度の測定値を制御ユニット21に送信するために、制御ユニット21に接続される。
【0109】
制御ユニット21は、粘度の測定値を再生ポリマー材料が有するべき粘度の基準値と比較し、粘度の測定値が粘度の基準値と異なる場合、ポリマー材料の粘度に影響を与える少なくとも1つのパラメータに対するフィードバック制御を行う。
【0110】
一実施形態では、矢印24によって示されるように、単一のタイプの材料または異なる材料の混合物であり得る、リサイクル装置2に入る材料の組成にフィードバック制御を作用させることによって、粘度を変化させることが可能である。
【0111】
リサイクル装置2は、例えば、リサイクルされる主要ポリマー材料に材料が添加されるとき、異なる材料の混合物を供給され得、当該材料は、主要材料の1つ以上の特性を改変する目的を有する。
【0112】
例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)について考える。リサイクルされた高密度ポリエチレンの重要な特性の1つは、ESCRによっても示される耐環境応力亀裂性である。
【0113】
再生高密度ポリエチレンのESCRの値が許容できない場合、リサイクル装置2に入るリサイクルされる高密度ポリエチレンに、高いESCRを有するポリマー材料(バージン材料であってもよい)を加えることが可能である。高いESCRを有する材料は、概して最終的な混合物の粘度を上昇させる。
【0114】
したがって、第1の粘度測定要素19および/または第2の粘度測定要素20によって行われた粘度測定から再生ポリマー材料の粘度が期待されるものに適合していないという結果が得られた場合、例えば、リサイクルされる主ポリマー材料と共にリサイクル装置2に導入される高ESCRを有する材料の量を増加または減少させることによって、リサイクル装置2に入る材料の混合物の組成をフィードバック制御で変化させることが可能である。
【0115】
より一般的には、リサイクル装置2に導入される材料の混合物の組成に作用することによって、再生されたポリマー材料の粘度をフィードバック制御で変化させることが可能であり、当該混合物は、リサイクルされる主ポリマー材料と、リサイクルされるポリマー材料の一つ以上の特性の改良を目的とした追加材料と、を備える。この場合、粘度は、リサイクルされる主ポリマー材料に添加される追加材料の量に作用することによって、変化し得る。
【0116】
また、リサイクル装置2は、同じ種類の材料、例えば、リサイクルされるポリマーと同じ種類のバージンポリマーを供給することも可能である。これは、例えば、リサイクル装置2に、リサイクルされるポリエチレンテレフタレート(PET)とバージンPETとが導入されている場合に起こり得る。
【0117】
この場合、リサイクルポリマー材料の量に対して、リサイクル装置2に入るバージンポリマー材料の量に作用することによって、圧縮成形装置3に入る材料の粘度をフィードバック制御で変化させることが可能である。
【0118】
上記に加えてまたは上記の代替として、制御ユニット21は、例えば、矢印25で示すように、リサイクル装置2の1つ以上の作業パラメータにフィードバック制御を作用させることによって、リサイクル装置2に介入するように構成され得る。
【0119】
より具体的には、リサイクル装置2の内部では、ポリマー材料(例えばPET)は、化学的に処理され、改良される。リサイクル装置2は、例えば、リサイクル装置2におけるポリマー材料の滞留時間に作用することによって、リサイクル装置で生じるポリマー材料の改良が多かれ少なかれ関連性を持つように調整され得る。リサイクル装置2におけるポリマー材料の改良のレベルによって、リサイクル装置2から出る再生ポリマー材料の粘度は、変化する。
【0120】
一実施形態では、制御ユニット21は、再生ポリマー材料が均質化装置6を出るときに有する温度を調整することによって、矢印26で示すように、均質化装置6にフィードバック制御を作用させるように構成され得る。
【0121】
例えば、制御ユニット21が、第1の粘度測定要素19および/または第2の粘度測定要素20によって測定された粘度値が予想よりも低いことを発見した場合、制御ユニットは、均質化装置6から出る再生ポリマー材料が平均として現在のものよりも低い温度を有するように、均質化装置6の作動パラメータを調節する。これによって、前回の測定値に対して粘度が上昇する。逆に、第1の粘度測定要素および/または第2の粘度測定要素で測定された粘度値が予想以上に高い場合は、この現象が発生する。
【0122】
一実施形態では、リサイクル装置2から圧縮成形装置3に向かって流れる再生ポリマー材料の粘度は、この場合において存在しない場合があり得る粘度測定要素19、20による粘度測定を用いずに、均質化装置6の自動設定調整によって温度に作用することによって変化し得る。
【0123】
また、リサイクル装置2から圧縮成形装置3に向かって流れる再生ポリマー材料の粘度を、例えば、均質化装置6の作動温度に作用することによって、リサイクル装置2に入る材料の組成をフィードバック制御で変化させることによってなど、上述した方法を一つ以上組み合わせることによって変化させることも可能である。
【0124】
図示しない実施形態では、第1の粘度測定要素19および第2の粘度測定要素20を使用する代わりに、単一の粘度測定要素を使用することが可能である。
【0125】
単一の粘度測定要素を使用する場合、これは、リサイクル装置2とノズル9との間に介在する任意の位置、例えば、均質化装置6の上流または下流に配置され得る。

図1
図2