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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/095 20060101AFI20240529BHJP
   B23K 9/173 20060101ALI20240529BHJP
   B23K 15/00 20060101ALI20240529BHJP
   B23K 26/342 20140101ALI20240529BHJP
【FI】
B23K9/095 515Z
B23K9/173 A
B23K15/00 501B
B23K26/342
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022574147
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021064669
(87)【国際公開番号】W WO2021245077
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】20177795.0
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504380611
【氏名又は名称】フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】バウマン・ヴィリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトヘル・アンドレアス
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-041982(JP,A)
【文献】特開2002-239726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0326507(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0001638(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/095
B23K 9/173
B23K 15/00
B23K 26/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの添加剤(Z)を用いて少なくとも2つの部材(5)を材料結合式に結合する溶接方法であって、継ぎ目始部と継ぎ目終部の間で所定の継ぎ目経過を有する、添加剤(Z)から成る溶接継ぎ目(N)が生成され、溶接継ぎ目(N)の生成が少なくとも1つの制御ユニット(4)を用いて制御され、制御ユニット(4)の少なくとも1つの制御パラメータによって、溶接継ぎ目(N)の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性が影響を受ける、前記溶接方法において、
情報始点(ISP)と情報終点(IEP)の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を読み取り可能であるように溶接継ぎ目(N)の生成中に継ぎ目経過における情報始点(ISP)と情報終点(IEP)の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いて溶接継ぎ目(N)にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されること、及び情報始点(ISP)と情報終点(IEP)の間の継ぎ目経過において少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を変更するために、溶接継ぎ目(N)の生成中に少なくとも1つの制御パラメータが変更され、少なくとも1つの検出可能な物理的な溶接継ぎ目特性の異なる特徴がコードアルファベットのコード文字に割り当てられ、情報がコードアルファベットのコード文字の組合せとしてメモリされることを特徴とする溶接方法。
【請求項2】
情報が機械読み取り可能なデジタルコードの形態でメモリされ、その結果、情報が、一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から読取ユニット(16)を用いて読み取り可能であることを特徴とする請求項1に記載の溶接方法。
【請求項3】
デジタルコードとして多値のコードが用いられることを特徴とする請求項2に記載の溶接方法。
【請求項4】
少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、溶接継ぎ目(N)の測定可能な幾何学的なパラメータが用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の溶接方法。
【請求項5】
少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、溶接継ぎ目(N)の部分の、溶接継ぎ目厚さ(ND)及び/又は溶接継ぎ目幅(NB)及び/又は溶接継ぎ目長さ(NL)が用いられることを特徴とする請求項4に記載の溶接方法。
【請求項6】
情報が、溶接継ぎ目(N)を生成するために用いられる、溶接方法の用いられる制御パラメータについての方法データ又は該方法データに割り当てられた参照情報を含んでいること、及び/又は情報が、溶接方法とは無関係な外部のデータ又は該外部のデータに割り当てられた参照情報を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の溶接方法。
【請求項7】
方法データが、溶接継ぎ目(N)の生成に用いられる、用いられる溶接パラメータについてのデータを含むことを特徴とする請求項に記載の溶接方法。
【請求項8】
方法データが、溶接電流及び/又は溶接電圧及び/又は添加剤(Z)の送り速度及び/又は溶接電流のパルス周波数及び/又は溶接サイクルの数及び/又は溶接サイクルの継続時間についてのデータを含むことを特徴とする請求項7に記載の溶接方法。
【請求項9】
情報が制御ユニット(4)にメモリされること、及び/又は溶接方法の実行前に情報が制御ユニット(4)へ伝達されること、及び/又は入力ユニットを用いて情報が制御ユニット(4)へ伝達されること、及び/又は情報が制御ユニット(4)によってデジタルコードへ変換されることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の溶接方法。
【請求項10】
溶接方法として、溶融性の電極又は非溶融性の電極によるアーク溶接方法、レーザ溶接方法又は電子ビーム溶接方法が用いられることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の溶接方法。
【請求項11】
部材(5)のうち少なくとも1つにはマーキング溶接継ぎ目が肉盛溶接によって生成され、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を読み取り可能であるようにマーキング溶接継ぎ目の生成中に継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いてマーキング溶接継ぎ目にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の溶接方法。
【請求項12】
材料結合式の結合に寄与しないマーキング継ぎ目部分が溶接継ぎ目(N)に設けられ、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を読み取り可能であるように溶接継ぎ目(N)のマーキング継ぎ目部分の生成中にマーキング継ぎ目部分の継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いて溶接継ぎ目(N)にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの添加剤を用いて少なくとも2つの部材を材料結合式に結合する溶接方法であって、継ぎ目始部と継ぎ目終部の間で所定の継ぎ目経過を有する、添加剤から成る溶接継ぎ目が生成され、溶接継ぎ目の生成が少なくとも1つの制御ユニットを用いて制御され、制御ユニットの少なくとも1つの制御パラメータによって、溶接継ぎ目の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性が影響を受ける、前記溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部材を材料結合式(溶着式)に結合する公知の方法は溶接方法である。金属性の材料の溶接においては、金属製の溶接添加剤が用いられる。このとき、溶接添加剤及び部材は、エネルギーの印加の下で少なくとも部分的に溶融され、冷却後、部材が溶接添加剤によって材料結合式に結合される。
【0003】
どのくらいのエネルギーが溶接箇所に供給されるかに応じて、様々な溶接方法が区別される。アーク溶接においては、溶接電極と溶接されるべき部材の間で溶接添加剤及び部材を溶融させるアークを発生させるために、例えば電気エネルギーが用いられる。このとき、それ自体同時に溶接添加剤を形成する溶融する電極を用いることが可能である。しかし、非溶融性の電極も用いることができ、溶接添加剤は別々に供給される。例えば、当該方法はMIG/MAG溶接方法あるいはWIG溶接方法としても知られており、多くの場合には、溶接箇所を腐食から保護するために、活性あるいは不活性の保護ガスが用いられる。しかし、溶接エネルギーは、レーザを用いて、又は電子ビームを用いても印加されることができ、その場合、レーザ溶接あるいは電子ビーム溶接と呼ばれる。レーザが例えば追加的なエネルギー源として用いられる混合形態も可能である。
【0004】
このとき、添加剤は、所定の継ぎ目経過に沿って生成される溶接継ぎ目の形態で設けられる。継ぎ目経過は、本質的に部材幾何形状によって設定されるとともに、例えば所定の始点から所定の終点まで延在し得る。
【0005】
上述の溶接方法は、例えば溶接トーチが人員によってワークピースに対して手動で移動されることによって基本的には手動で行われ得る。しかし、溶接継ぎ目の生成時にできる限り一定かつ再現可能な結果を得るために、溶接継ぎ目は、好ましくは適切な装置によって自動化されて生成される。このとき、装置は、少なくとも1つの操作ユニットと、当該操作ユニットにより移動する溶接ユニットとを含んでいる。例えば、1つ(又は複数)の溶接ユニットを結合されるべき部材に対して少なくとも三次元的に移動させることが可能な操作ユニットを設けることができる。
【0006】
より複雑な多次元の継ぎ目経過を生成することができるように、好ましくは多軸式のロボットが操作ユニットとして設けられている。溶接方法では、例えば、1つ(又は複数)の溶接トーチを案内する溶接ロボットがしばしば用いられる。用いられる溶接方法に応じて、1つ(又は複数の)添加剤を溶接ユニットを用いて、又は別々の供給ユニットを用いて直接溶接箇所へ供給することができる。公知のMIG/MAG溶接では、添加剤は、溶融性の溶接ワイヤの形態で例えば溶接トーチに統合して溶接箇所へ供給される。これに対して、WIG溶接では、溶接添加剤を所定の設定可能な特に調整可能な送り速度で溶接箇所へ供給可能な別々の供給ユニットが設けられている。
【0007】
装置は、溶接方法を制御することが可能な少なくとも1つの制御ユニットも備えている。当然、適切な態様で互いに通信する複数の制御ユニット、例えば溶接ユニットの制御ユニットと、操作ユニットの制御ユニットとを設けることも可能である。この制御ユニット、あるいはこれらの制御ユニットには、溶接継ぎ目の所定の特性に影響を与えることが可能な所定の制御パラメータが固定して実装されているか、又は設定可能である。このような制御パラメータは、例えば、結合されるべき部材の方向への添加剤の送り速度、部材に対する溶接ユニットの継ぎ目生成速度、温度、厚さ、電圧及び電流などであり得る。例えばMIG/MAG溶接のようなアーク溶接方法においては、通常、異なる溶接パラメータを制御パラメータとして備える様々な溶接プロセスを用いることが可能である。これには、例えば溶接電流、溶接電圧、溶接ワイヤ送り速度、(パルス溶接プロセスにおける)溶接電流のパルス周波数、(マルチ溶接プロセスにおける)複数の溶接トーチの溶接電流の位相変位などが含まれる。
【0008】
溶接パラメータの選択によって、例えば溶接継ぎ目の幾何形状、例えば溶接継ぎ目を構成する溶接スケールの溶接スケール幅、溶接スケール厚さ又は溶接スケール長さに影響を与えることができる。溶接パラメータあるいは一般に制御パラメータの選択によって、溶接継ぎ目の所定の溶接継ぎ目特性、例えば溶接継ぎ目の強度に影響を与えることが可能である。これは、所望の特性を有する溶接継ぎ目を生成するために、例えば部材の幾何形状、材料及び計画された応用分野における期待される境界条件(例えば機械的な及び/又は熱的な負荷、ヒトに対する安全上のリスク、寿命など)に応じて、異なる制御パラメータを用いることができることを意味している。
【0009】
例えば船体、機械又は建物の支持部材などを溶接する場合のように、特に安全性に関連した溶接継ぎ目においては、溶接継ぎ目の繰り返しのチェックがしばしば必要であり、あるいは法的な理由に基づき規定されている。この場合、例えば目視検査、超音波検査のような非破壊の試験方法がしばしば用いられる。このとき、検査者は、通常、溶接継ぎ目の生成中及び生成後の記録の綿密さに応じて、溶接継ぎ目について情報を有していないか、又は不十分な情報のみを有している。特に溶接継ぎ目の生成時に用いられる、溶接継ぎ目の品質の判断に重要な情報源であり得る制御パラメータは、通常、検査時にはもはや利用可能でないか、又は制限されてのみ利用可能である。たとえあるとしても、このような情報は、溶接継ぎ目の実行者において、多くの場合には紙の形態で、又はコンピュータにメモリされた形態で存在するが、溶接継ぎ目の検査時には存在しない。したがって、溶接継ぎ目の検査中このようなデータを提供することは、多くの場合手間がかかるか、又は全く不可能であるか、あるいは制限されてのみ可能である。
【0010】
特許文献1には、採油のためのドリルの外面に識別コードを導入する方法が開示されている。コードは、適切なセンサによって検出されることが可能であるように、ドットとダッシュの組合せを有する肉盛溶接の形態でドリルの周面に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2014/326507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、溶接継ぎ目の生成のために行われる溶接方法についての情報の容易かつ長期の可用性を可能とする溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
当該課題は、本発明により、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を好ましくは光学式に、及び/又は接触式に読み取り可能であるように溶接継ぎ目の生成中に継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いて溶接継ぎ目にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されることによって解決される。これにより、所定の所望の情報を持続的に溶接継ぎ目にメモリすることができ、その結果、情報は、溶接継ぎ目の生成後の適宜の時点において溶接継ぎ目から直接読み取られることが可能である。これにより、例えば溶接方法の実行時に情報が十分に記録されなかったことにより情報が消失することを容易に防止することが可能である。本発明において、考慮するとは、本質的に、情報がシーケンスの形態で生成される溶接継ぎ目に反映されるようにメモリされるべき情報が制御パラメータへ含まれるか、あるいは統合されることと理解されるべきである。本発明において、メモリするとは、本質的に、生成される溶接継ぎ目に情報を不可逆的に保存し、あるいは記憶させることと理解されるべきである。本発明において、一連の、あるいはシーケンスとは、本質的に、メモリされた情報を一義的かつ再現可能に得ることが可能な、継ぎ目経過に沿って連続した検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性の特徴的な順序と理解されるべきである。
【0014】
好ましくは、情報始点と情報終点の間の継ぎ目経過において少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を変更するために、溶接継ぎ目の生成中に少なくとも1つの制御パラメータが変更され、少なくとも1つの検出可能な物理的な溶接継ぎ目特性の異なる特徴がコードアルファベットのコード文字に割り当てられ、情報がコードアルファベットのコード文字の組合せとしてメモリされる。これにより、メモリの容易な可能性が得られる。
【0015】
有利には、情報が機械読み取り可能なデジタルコードの形態でメモリされることができ、その結果、情報が、一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から読取ユニットを用いて、好ましくは非接触式のスキャナ、少なくとも1つのカメラ又は測定接触子を用いて読み取り可能であり、デジタルコードとして、好ましくは多値のコード、特に好ましくは2進コード又は3進コードが用いられる。これにより、情報を手動又は自動化して容易に読み取ることが可能である。
【0016】
有利な一形態によれば、少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、溶接継ぎ目の測定可能な幾何学的なパラメータ、好ましくは溶接継ぎ目の部分の溶接継ぎ目厚さ、溶接継ぎ目幅又は溶接継ぎ目長さ、特に溶接スケールの溶接スケール長さ又は添加剤を有さない溶接継ぎ目の範囲の長さが用いられる。これにより、測定可能な大きさ(量)を用いることができ、これにより、情報の読取が容易となる。
【0017】
情報は、好ましくは、溶接継ぎ目を生成するために用いられる溶接方法の制御パラメータについての方法データ又は当該方法データに割り当てられた参照情報を含んでいる。しかし、情報は、溶接方法とは無関係な外部のデータ又は当該外部のデータに割り当てられた参照情報を含むことも可能である。これにより、溶接継ぎ目の生成のために用いられた溶接プロセスに直接関連する情報をメモリすることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、溶接プロセスには直接関連しないものの重要な情報源である他の注目すべきデータ、例えば部材についてのデータ、溶接継ぎ目の形成の日付及び時刻などもメモリすることが可能である。参照情報をメモリすることで、よりわずかなデータ量を溶接継ぎ目にメモリすることができ、実際の注目すべき情報は、割り当てられた参照情報を介して、例えば外部のデータ源から呼び出されることが可能である。
【0018】
方法データが、溶接継ぎ目の生成に用いられる、用いられる溶接パラメータについてのデータ、好ましくは溶接電流及び/又は溶接電圧及び/又は添加剤の送り速度及び/又は溶接電流のパルス周波数及び/又は溶接サイクルの数及び/又は溶接サイクルの継続時間についてのデータを含めば有利であり得る。これにより、具体的に用いられる溶接パラメータは、容易にメモリされることができるとともに、例えば品質検査に際して後に再び溶接継ぎ目から読み出されることが可能である。
【0019】
情報が、制御ユニットにメモリされ、及び/又は溶接方法の実行前に情報が制御ユニットへ伝達され、及び/又は入力ユニットを用いて制御ユニットへ伝達され、及び/又は制御ユニットによってデジタルコードへ変換されれば有利である。メモリすることで、情報は新たに用いられるか、又は例えば後にいつどのような情報がメモリされたかを理解することが可能である。例えばメモリされるべき情報は、入力ユニットを介して手動で入力されることが可能である。情報が例えば外部のユニットに存在する場合には、当該情報は、容易に制御ユニットで伝達されることが可能である。変換は、溶接継ぎ目にメモリされる所定のデジタルコードへ情報を変換するのに有利であり得る。
【0020】
溶接方法として、好ましくは溶融性又は非溶融性の電極でのアーク溶接方法、レーザ溶接方法又は電子ビーム溶接方法が用いられる。これにより、公知の溶接方法を用いることが可能である。
【0021】
好ましくは、部材のうち少なくとも1つにはマーキング溶接継ぎ目も肉盛溶接によって生成され、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を好ましくは光学式に、及び/又は接触式に読み取り可能であるようにマーキング溶接継ぎ目の生成中に継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いてマーキング溶接継ぎ目にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮される。これにより、結合溶接継ぎ目に加えて、マーキング溶接継ぎ目を部材の表面に生成することができ、当該マーキング溶接継ぎ目は、情報をメモリするためだけに用いられ、部材の結合には寄与しない。
【0022】
材料結合式の結合に寄与しないマーキング継ぎ目部分が溶接継ぎ目に設けられ、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を好ましくは光学式に、及び/又は接触式に読み取り可能であるように溶接継ぎ目のマーキング継ぎ目部分の生成中にマーキング継ぎ目部分の継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いて溶接継ぎ目にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されれば有利であり得る。これにより、情報のメモリのみに用いられ、部材の材料結合式の結合には寄与しない部分を結合溶接継ぎ目に統合することが可能である。
【0023】
以下に、具体的な本発明を、例示的、概略的、かつ、制限せずに本発明の有利な形態を示す図1図2を参照しつつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】溶接装置の形態の溶接方法を実行する装置を示す図である。
図2】それぞれ1つの溶接継ぎ目を用いて結合された複数の部材と、溶接継ぎ目からデジタル情報を読み取る読取ユニットとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本発明による溶接方法を実行する装置1が図示されている。装置1は、少なくとも1つの添加剤Zを用いて少なくとも2つの部材5を互いに材料結合式に結合するために構成されている。装置1は、添加剤Zから成る溶接継ぎ目Nを生成する少なくとも1つの溶接ユニット2と、設定された継ぎ目経過に沿って溶接ユニット2の溶接トーチ6を移動させる操作ユニット3と、装置1を制御する制御ユニット4とを備えている。添加剤Zとして、通常は適切な金属製の溶加材が用いられる。溶加材は、例えば公知のMSG溶接法の場合のように溶接トーチ6と共に溶接箇所へ供給されることができるか、又は公知のWIG溶接法の場合のように例えば別々の供給ユニットによって別々に溶接箇所へ供給されることができる。そして、供給ユニットは、当然、好ましくは溶接トーチ6と同期して操作ユニット3によって移動する。溶接付き目Nの継ぎ目経過は、本質的に結合される部材5の幾何形状から生じ、単純な直線から複雑な三次元の経過まで達成することが可能である。
【0026】
示された例では2つの単純なプレート状の部材5が図示されており、当該部材は、約90°の角度で互いに配置されているとともに、公知のすみ肉溶接の形態の溶接継ぎ目Nによって材料結合式に結合される。これにより、直線の形態の、ここでは紙面に対して垂直な継ぎ目経過が生じる。しかし、このことは、当然例示的にのみ理解されるべきである。例えば円筒状の部材と平坦な面を有する部材が結合され、継ぎ目経過は、例えば円形状な経過を有することがあり得る。このとき、溶接継ぎ目Nは、必ずしも連続的でなくてもよく、すなわち必ずしも切れ目なしに延びるひつようはなく、基本的には、継ぎ目経過に沿って部分的に添加剤Zが提供されない断続的な溶接継ぎ目Nも可能である。断続的な溶接継ぎ目Nは、例えば、図2においてより詳細に説明される、いわゆるインターバル溶接によって生成されることが可能である。したがって、本発明においては、溶接継ぎ目Nを必ずしも連続した継ぎ目と理解される必要はなく、途切れた、又は部分的に途切れた継ぎ目とも理解され得る。
【0027】
部材5は、好ましくは溶接法の開始前に互いに対して所望の位置に位置決め及び固定される。このことは、例えば適切なクランプ装置又は他の適切な位置決め装置によって行われることができる。図示の例では、部材5は台11に配置されているとともに、クランプ装置のクランプ要素12a,12bを用いて固定されている。しかし、これは当然単に例示的なものであり、相対的な位置決めの他の全ての態様も可能である。
【0028】
溶接継ぎ目Nを生成するために、溶接トーチ6は、操作ユニット3によって移動する。溶接継ぎ目Nの計画された継ぎ目経過に応じて、溶接トーチ6(及び場合によっては供給ユニット)を必要な移動自由度で移動させることが可能な適切な操作ユニット3を用いることが可能である。直線的な継ぎ目経過を有する図示の例の溶接継ぎ目Nについては、基本的に並進的な移動自由度で十分である。しかし、様々な特に複雑な複数次元の継ぎ目経過を実現することができるように、操作ユニット3が1つより多くの並進的な移動自由度を有していれば好ましい。図1には、台13に配置された、概略的かつ単に例示的にのみ公知の多軸式の産業用ロボット3aが図示されている。しかし、当然、適宜の他の適切な操作ユニット3も可能である。台13には、操作ユニット3を駆動する駆動ユニット14も設けられており、当該駆動ユニットは、所望の移動経過を実行するために、制御ユニット4によって制御可能である。
【0029】
(例えばハードウェア及び/又はソフトウェアとして構成された)制御ユニット4は、ここでも同様に例示的に台13に統合されているが、当然、適宜の他の箇所に配置されることも可能である。操作ユニット3も、また溶接ユニット2も、制御ユニット4を介して制御されることが可能である。当然、互いに通信する複数の制御ユニット、例えば操作ユニット3のための(少なくとも1つの)固有の制御ユニット及び溶接ユニット2のための(少なくとも1つの)固有の制御ユニットを装置1に設けることも可能である。そして、制御ユニット4及び/又は別々の制御ユニットは、図1に破線で示唆されているような、例えば上位の制御ユニット15に接続されることが可能である。これにより、例えば本発明による複数の装置1及び/又は他の設備を中央で制御し、互いに同期させることが可能である。このことは、例えば車両の車体の溶接又はこれに類するもののような、例えばワークピースにおいて複数の装置が同時に作業する例えば複雑な生産プロセスにおいて有利であり得る。このような上位の制御ユニットは従来技術から十分に知られているため、ここではこれについて詳細に言及しない。
【0030】
装置1の制御ユニット4の少なくとも1つの制御パラメータを変更することで、溶接継ぎ目Nの少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性に影響を与えることが可能である。検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性とは、本発明においては、溶接継ぎ目Nの外部の物質的な特質に関する溶接継ぎ目Nの特性、すなわち外部から認識可能あるいは検出可能な特性と理解されるべきである。これは、例えば溶接継ぎ目Nの質的な特徴であってよく、当該特徴は、例えば溶接継ぎ目Nの継ぎ目経過に沿った添加剤Zの部分的な存在(又は不存在)のように光学式(視覚的)又は接触式(触覚的)に認識可能である。断続的な溶接継ぎ目(例えば図2における溶接継ぎ目N2)の場合には、図2において第2及び第3の溶接継ぎ目N2,N3が図示されているように、例えば、溶接点P1及び/又は溶接点P1間の範囲Bが検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性であり得る。
【0031】
しかし、検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性は、例えば溶接継ぎ目Nの所定の部分の溶接継ぎ目厚さND、溶接継ぎ目幅NB又は溶接継ぎ目長さNLのような、例えば溶接継ぎ目Nの量的に測定可能な幾何学的なパラメータであってもよい。連続した溶接継ぎ目Nの場合には、溶接継ぎ目Nの部分は、例えば溶接継ぎ目Nを形成する溶接スケールSiであり得る。このとき、図2において第1の溶接継ぎ目N1に基づき図示されているように、溶接継ぎ目長さNLは、溶接スケールSiの溶接スケール長さNLiであり得る。断続的な溶接継ぎ目Nの場合には、部分は例えば溶接点Piであってよく、溶接継ぎ目長さNLは溶接点Piの溶接点長さであってよい。添加剤Zを有さない範囲Bの長さも、例えば測定可能な幾何学的なパラメータとして用いられることが可能である。当然、1つ又は複数の所定の検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性は、複数の制御パラメータによっても影響を受け得る。
【0032】
制御ユニット4の制御パラメータは、例えば溶接トーチ6を部材5に対して移動させる操作ユニット3の移動速度であり得る。しかし、制御パラメータは、溶接ユニット2の溶接パラメータであってもよい。しかし、制御パラメータは、当然、それぞれ同等の量であると理解されることも可能である。通常、溶接ユニット2には、例えば添加剤Zの(結合されるべき部材5の方向への)送り速度、溶接電流、溶接電圧、溶接電流のパルス周波数などのような複数の溶接パラメータを設定することができる。例えば、制御プログラムは、設定された、又は設定可能な制御パラメータを制御ユニット4にメモリすることができ、当該制御パラメータは、1つ又は複数の所定の検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を有する溶接継ぎ目Nを生成するために、装置1のユーザによって選択されることが可能である。例えば、生成される溶接継ぎ目Nの所望の継ぎ目始部及び所望の継ぎ目終部並びにその間の所望の継ぎ目経過を設定することも可能である。溶接継ぎ目Nを自動化して生成するために、制御ユニット4は、所定の制御パラメータでの所定の設定に対応して溶接トーチ6及び操作ユニット3を制御する。
【0033】
本発明によれば、制御ユニット4の少なくとも1つの制御パラメータにおいて、制御ユニット4によって処理され、装置1の制御時、特に溶接トーチ6及び/又は操作ユニット3の制御時に制御ユニット4によって考慮される情報を考慮することが可能である。制御ユニット4は、継ぎ目経過における所定の情報始点ISPと所定の情報終点IEPの間での溶接継ぎ目Nにおける少なくとも1つの外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いた溶接継ぎ目Nの生成中に情報がメモリされるように情報を処理及び考慮する。情報は、例えば、例えば溶接電流又は溶接電圧のような溶接パラメータの値、所定の溶接プログラムについての参照情報としての溶接プログラム番号、所定の溶接プロセスに割り当てられた溶接プロセス番号又は例えばチェックサム、数字署名のような他の関連する設定値及び基準値などであり得る。しかし、情報は、例えばアルファベット情報(文字又は単語の形態、例えば部材番号など)又はアルファベットと数字の情報(数字と文字の混合、例えば所定のシリアル番号又は生産コードなど)であってもよい。情報は、当該情報が情報始点ISPと情報終点IEPの間の範囲における継ぎ目経過に沿った一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から読み取られることができるように溶接継ぎ目Nにおいてメモリ可能である。このとき、メモリは、好ましくは読み取りが光学式(視覚的)及び/又は接触式(触覚的)に行われ得るようになされる。
【0034】
例えば、少なくとも1つの制御パラメータは、情報始点ISPと情報終点IEPの間の継ぎ目経過において少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を変更するために、溶接継ぎ目Nの生成中に変更されることが可能である。このとき、当該検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性の異なる特徴にはコードアルファベットのコード文字を割り当てることができ、情報は、コードアルファベットのコード文字の組合せとして溶接継ぎ目Nにメモリされる。このとき、各コードは、所定の数のコード文字又はコード記号を有する設定されたコードアルファベットを有している。メモリされるべき情報の各文字(例えばA,B,Cなど)及び各数(例えば1,2,3など)ひいてはメモリされるべき各情報単語(例えばSTROM)又はメモリされるべき各情報数字(例えば123)は、コードアルファベットの文字の組合せによって形成される。
【0035】
例えば、例えば溶接スケールの溶接スケール長さNLiのような幾何学的なパラメータが検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として用いられることが可能である。このとき、外部の物理的な溶接継ぎ目特性の異なる特徴は、溶接スケールSiの様々な溶接スケール長さNLiである(図2参照)。溶接スケールSiの溶接スケール長さNLiは、制御ユニット4における1つ(又は複数)の制御パラメータの変更によって影響を受け得る。溶接ユニット2は、例えば溶接プロセスを制御する別々の(不図示)溶接制御ユニットも備えることができ、当該溶接制御ユニットは、制御ユニット4(又は上位の制御ユニット15)によって制御される。このとき、溶接継ぎ目Nへ情報を導入する(埋め込む、取り入れる、設ける)ためには、メモリされるべき情報が溶接制御ユニットの制御パラメータにおいてのみ考慮されれば十分であり得る。例えば、例えば(外部の物理的な溶接継ぎ目特性の異なる特徴としての)異なる溶接スケール長さNLiを有する(外部の物理的な溶接継ぎ目特性としての)溶接スケールSiを生成するために、溶接制御ユニットの1つ又は複数の制御パラメータを変更することが可能である。
【0036】
各溶接スケール長さNLiには所定のコードアルファベットの所定のコード文字が割り当てられる。したがって、これにより、(割り当てられたコード文字を有する)それぞれ所定の溶接スケール長さNLiを有する溶接スケールの情報に対応する所定の順序が継ぎ目経過に沿って生成されることで、溶接継ぎ目Nに所望の情報をメモリすることが可能である。本発明の有利な一構成によれば、情報は、機械読み取り可能なデジタルコードの形態でメモリされるため、情報は、読取ユニット16(図2)を用いて、一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から継ぎ目経過に沿って読み取り可能である。読取ユニットとして、図2に基づきより詳細に説明されるように、例えば非接触式のスキャナ又は測定接触子を用いることが可能である。このとき、メモリのデジタル形態として、デジタルコードの全ての適切な種類、好ましくは多値のコードを用いることが可能である。
【0037】
公知の多値のコードは例えば2進コードであり、そのコードアルファベットは2つの異なるコード文字あるいはコード記号を含んでいる(通常は0/1又は真/偽)。したがって、情報は2つのコード文字の連続としてメモリされることができ、各コード文字は、ここでも所定の検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性の形態で溶接継ぎ目Nにおいてメモリされる。別の公知の多値のコードは3進コードであり、そのコードアルファベットは、3つの異なるコード文字あるいはコード記号(通常は0/1/2又は-1/0/1)で構成されている。したがって、情報は3つのコード文字の連続としてメモリされることができ、各コード文字は、ここでも所定の検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性の形態で溶接継ぎ目Nにおいてメモリされる。
【0038】
そのほか、当然同様に用いられることが可能な更に別の公知のデジタルコード、例えば4進コード(4つのコード文字)、5進コード(5つのコード文字)、10進コード(10個のコード文字)、16進コード(16個のコード文字)のような3つより多くのコード文字を有する例えば多値のコードなども存在する。そして、情報は、ASCIIコードに従い例えば2進コード、3進コード又は他の多値のコードで溶接継ぎ目Nにメモリされることが可能である。例えば、バスプロトコルに類似した専有情報プロトコルも可能である。これにより、情報は、例えば開示されていない製造者特有の基準をもってメモリされることができ、これにより、例えば権限のある者のみが読み取ることが可能である。
【0039】
既に上述したように、検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、例えば継ぎ目経過に沿った溶接継ぎ目Nの部分の溶接継ぎ目厚さND及び・又は溶接継ぎ目幅NB及び/又は溶接継ぎ目長さNL又は例えばインターバル溶接によって製造された溶接継ぎ目N(図2)の場合における添加剤Zを有さない溶接継ぎ目Nの範囲Bの長さのような溶接継ぎ目Nの測定可能な1つ又は複数の幾何学的なパラメータも用いられることが可能である。連続した溶接継ぎ目Nの場合には、図2における第1の溶接継ぎ目N1に基づき図示されているように、例えば溶接スケールSiの溶接スケール長さNLiを用いることが可能である。したがって、当該外部の物理的な溶接継ぎ目特性は、溶接継ぎ目Nの継ぎ目経過における情報始点ISPと情報終点IEPの間でメモリされるべき情報に対応するコードシーケンスがメモリされるように、用いられるデジタルコードに対応して、1つ又は複数の制御パラメータの変更によって溶接継ぎ目Nにおいて生成される。これは、2進コードの場合には、図2に基づき詳細に後述されるように、それぞれコード文字に対応する2つの異なる幾何学的なパラメータが用いられることで行われ得る。
【0040】
情報を溶接継ぎ目Nにおいてメモリするために複数の異なる測定可能な幾何学的なパラメータが用いられる場合には、例えば各幾何学的なパラメータに多値のコードのコード文字が割り当てることが可能である。測定可能な2つ以上の幾何学的なパラメータの組合せも、例えばコードのコード文字として用いられることが可能である。2進コードの場合には、例えば異なる2つの測定可能な幾何学的なパラメータを用いることができ、各幾何学的なパラメータに1つのコード文字が割り当てられる。3進コードの場合には、異なる3つの測定可能な幾何学的なパラメータを用いることができ、各幾何学的なパラメータには1つのコード文字が割り当てられ、以下同様である。これは、例えば、3進コードの場合には、溶接継ぎ目Nの部分の(例えば溶接スケールの)所定の溶接継ぎ目厚さNDが3進コードの第1のコード文字に割り当てられること、所定の溶接継ぎ目幅NBが同第2のコード文字に割り当てられること、及び溶接継ぎ目長さNLが同第3のコードに割り当てられることを意味し得る。
【0041】
2つの測定可能な幾何学的なパラメータ(例えば溶接継ぎ目Nの部分の溶接継ぎ目幅NB及び溶接継ぎ目長さNL)のみが3進コードのために用いられる場合には、所定の溶接継ぎ目幅NBが3進コード第1のコード文字に割り当てられ、所定の溶接継ぎ目長さNLが同第2のコード文字に割り当てられ、所定の溶接継ぎ目幅NBと所定の溶接継ぎ目長さNLの所定の組合せが同第3のコード文字に割り当てられることが可能である。しかし、当然、1つの測定可能な幾何学的なパラメータのみを用いることができ、幾何学的なパラメータの異なる所定の特徴をそれぞれ1つのコード文字に割り当てることが可能である。例えば、溶接継ぎ目Nの部分の溶接継ぎ目厚さNDのみを測定可能な幾何学的なパラメータとして用いることができ、溶接継ぎ目厚さNDの異なる設定された値をそれぞれ1つのコード文字に割り当てることが可能である。このことから、溶接継ぎ目Nにおける情報のメモリのために多数の態様が存在することが明らかであり、当業者は、そのうち適切な態様を選択することが可能である。
【0042】
有利には、溶接継ぎ目Nを生成するために用いられる制御パラメータについての方法データを溶接継ぎ目Nにおいてメモリするために方法を用いることが可能である。例えば、溶接継ぎ目Nを生成するために用いられる溶接パラメータを溶接継ぎ目にメモリすることが可能である。これにより、例えば(場合によっては溶接継ぎ目の生成の数か月後に行われる)後の溶接継ぎ目検査時に、溶接継ぎ目にメモリされた情報を容易に読み取ることが可能である。これにより、他の種の記録を必要とすることなく、どの溶接パラメータが溶接プロセス中に用いられたかを理解することが可能である。検査者は、光学式(視覚的)、接触式(触覚的)又は好ましくは適切な読取ユニット16を用いてメモリされた情報を溶接継ぎ目から読み取ることのみが必要である。当然、同一(又は他の)情報を溶接継ぎ目Nの複数の箇所、例えば継ぎ目経過に沿った溶接継ぎ目Nの互いに離間した範囲にもメモリすることが可能である。これは、異なる箇所における情報を読み取れるように、又は情報を溶接継ぎ目の所定の部分に割り当てるために、例えば比較的長い溶接継ぎ目Nが有利であり得る。
【0043】
しかし、必ずしも方法データ自体が溶接継ぎ目Nにメモリされる必要はなく、方法データは、例えば方法データに一義的に割り当てられた参照番号の形態で、方法データに一義的に割り当てられた参照情報もメモリすることが可能である。そして、方法データは、読み取られた参照情報から、例えば他のデータ源から検出されることが可能である。このことは、例えば比較的大きな期待されるデータ量により、用いられる溶接パラメータの導入時に有利であり得る。なぜなら、溶接パラメータについての方法データは、溶接継ぎ目Nに直接メモリされる必要はなく、参照情報のみでよいためである。そして、用いられる溶接パラメータは、参照情報を用いて、例えば、例えばデータベースのようなデータ源から読み取られることが可能である。しかし、データ源は、装置1、例えば溶接ユニット2のメモリユニットにも統合されることが可能である。そして、読み取られた参照情報から、例えば装置1(又は溶接ユニット2)のユーザインタフェースを介して、例えばタッチスクリーンを介して、参照情報に割り当てられた方法データを読み取ることが可能である。
【0044】
例えば、適切な読取ユニット16を用いた、メモリされた情報の読み取り中に、データ源へのリンク設定を自動的に行うことが考えられる。このとき、データ源を例えば読取ユニット16に統合することができるか、又は読取ユニット16が、適切なデータ接続を介して外部のデータ源にアクセスすることが可能である。これにより、(参照情報)の比較的わずかなデータ量のみを溶接継ぎ目Nにメモリすればよく、(方法データの)より大きなデータ量を他のデータ源にメモリすることが可能である。例えば、参照情報は、スマートフォンを用いて、統合されたカメラを介して読み取られることが可能である。
【0045】
スマートフォンの適切なスマートフォンアプリは、所定の参照情報の識別時に、各参照情報に割り当てられた方法データを自動的に表示することができる。このとき、方法データは、例えばスマートフォンに直接メモリされることができ、このことは、例えば、スマートフォンが通信接続又は不十分のみの通信接続を有している独立した用途において有利である。しかし、例えば外部のデータ源を介した、例えばスマートフォンのワイヤレス通信接続を介した(参照情報に割り当てられた)方法データの呼び出しも自動的に行うことが可能である。参照情報に割り当てられた方法データを読み取ることが可能なウェブサイトへの転送も可能である。参照情報の生成、例えば参照番号の演算は、例えば制御ユニット4、上位の制御ユニット15又は装置1の他の制御ユニット、例えば溶接ユニット2の溶接制御ユニットにおいて行われることが可能である。しかし、参照情報の生成は、例えば外部の第三者システムにおいても行われることができ、適切な態様で装置1へ伝達されることが可能である。第三者システムは、例えば記録システム又は解析システムであってよい。
【0046】
これに代えて、又はこれに加えて、溶接継ぎ目Nに溶接方法とは無関係な外部のデータをメモリすることも可能である。これは、例えば、例えば用いられる添加剤Zの種類、日付、時刻又は溶接方法の実行の継続時間、溶接方法を行った人員についての記述、部材5についての情報、その他の生産技術的な情報などのような、行われた溶接方法又は溶接継ぎ目Nについてのメタデータであってよい。しかし、当然、溶接継ぎ目Nとは直接関連しない他のデータ、例えば顧客についての情報、操作マニュアル又は他の文書に基づく情報もメモリされることが可能である。
【0047】
方法データと同様に、当然、外部のデータにおいても、参照情報のみを溶接継ぎ目Nにメモリすることも可能である。参照情報に割り当てられた外部のデータは、例えばここでも外部のデータ源から取り出されることが可能である。例えば、溶接継ぎ目Nにおける操作マニュアルからの情報の直接的なメモリに代えて、参照情報を一種のリンク設定として操作マニュアルの各箇所にメモリすることが可能である。適切な読取ユニット16を介して、参照情報の読取を介して操作マニュアルの対応する箇所へ直接転送することが可能である。このとき、操作マニュアルは、例えば読取ユニット16において直接局所的にメモリされることができるか、読取ユニット16を用いて、例えば得適切なワイヤレス通信接続を介してアクセス可能な外部のデータ源においてメモリされることができる。
【0048】
制御ユニット4が利用することができるように、メモリされるべき情報は、例えば、適切な、制御ユニット4に統合されたメモリユニット又は別々のメモリユニットにメモリされることが可能である。情報は、溶接方法の実行後にも例えばログデータの形態でメモリユニットにメモリされたままであってよく、その結果、情報は、後から呼び出し可能であるか、別の溶接継ぎ目Nの生成のために再使用可能である。例えば、装置1に例えばタッチスクリーンの形態のユーザインタフェースを設けることもでき、当該ユーザインタフェースを介してメモリユニットにメモリされた情報を選択可能であり、当該情報は、1つ又は複数の別の溶接継ぎ目Nにメモリするために用いられる。
【0049】
特に、溶接継ぎ目Nにメモリされるべき情報が外部のデータを含んでいる場合には、データが溶接方法の実行前に制御ユニット4へ伝達されれば有利である。これは、例えば装置1における、例えば直接制御ユニット4におけるデータ伝達インタフェースを介して、又は場合によってはあり得る上位の制御ユニット15を介して行われ得る。データ伝達インタフェースとして、適宜の適切な全てのインタフェース、例えばイーサネットのような有線接続されたインタフェース又はWLAN、Bluetooth又はNFCのようなワイヤレスのインタフェースを用いることができる。同様に、情報を制御ユニット4へ入力することが可能な入力ユニットが装置に設けられていれば有利である。例えば、情報を入力するために、例えばタッチスクリーン、キーボードなどのようなユーザインタフェースを設けることができる。例えば数値、テキストなどのような形態のメモリされるべき情報は、ユーザインタフェースを介して入力されることが可能である。情報が溶接継ぎ目Nにメモリされるべき継ぎ目経過に沿った位置も、例えばユーザインタフェースを介して入力されることが可能である。例えば、情報始点ISP及び情報終点IEPが溶接プロセスにおける時点として設定されることが考えられる。情報始点ISPが時点として設定されることができるとともに、情報が溶接継ぎ目Nに導入される所定の継続時間が設定されることも可能である。そして、情報終点IEPは自動的に得られる。
【0050】
通常、情報は、例えば2進フォーマット、3進フォーマット又は他の複数進フォーマットのように、溶接継ぎ目Nにメモリされる態様では存在しない。したがって、メモリされるべき情報が制御ユニット4によって溶接継ぎ目Nにメモリされる形態へ変換されることが有利である。このために、例えば、装置1における適切な変換ユニットを例えば制御ユニット4に統合して、又は別々のユニットとして設けることができる。これにより、例えば、所望の情報(例えば数値、アルファベット又はアルファベットと数値の組合せ)を変換ユニットによってデジタルコードへ変換することができ、当該デジタルコードには、1つ又は複数の検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性によって情報が最終的に溶接継ぎ目Nにメモリされる。所望の情報は、例えばユーザインタフェース(例えばキーボード又はタッチスクリーン)を介して、例えばASCIIフォーマットで入力されることができるとともに、変換ユニットによって、例えば2進コード又は3進コードへ変換されることが可能である。変換に際して(又はその前に)、例えばチェックサム又は署名の圧縮、暗号化、演算なども行うことが可能である。しかし、溶接継ぎ目Nにメモリされるべき情報は、例えば、制御ユニット4あるいはこれに統合されたメモリユニットにあらかじめメモリされた情報からも選択されることが可能である。例えば、所定の繰り返される部材番号、ユーザ、溶接パラメータのような方法データ、所定の溶接プロセスに割り当てられた参照情報などを迅速かつ容易に選択することが可能である。
【0051】
図1において図示された例では、溶接ユニット2は電極の溶融を伴うアーク溶接法を実行するように形成されている。このとき、添加剤Zは、同時に、溶接ワイヤの形態で溶接箇所へ供給される電極としても用いられる。溶接継ぎ目Nを生成するために、溶接ワイヤは、公知のように、結合されるべき(少なくとも部分的に金属製の)部材5と溶接ワイヤとの間で燃焼する電気アークによって溶融される。このとき、不活性又は活性の保護ガスもしばしば用いられ、当該保護ガスは、溶接箇所を酸化防止のために周囲から遮蔽するために溶接箇所へ供給される。このとき、金属活性ガス溶接(MAG溶接)、金属不活性ガス溶接(MIG溶接)又は一般的に金属保護ガス溶接(MSG溶接)とも呼ばれる。溶接方法と、溶接方法を実行する溶接ユニット2の基本的な構造とは基本的に知られているため、ここでは詳細について言及しない。
【0052】
溶接ユニット2は公知のように溶接トーチ6を備えることができ、当該溶接トーチには、溶接ワイヤの形態で添加剤Zがホースパッケージ10を介して適切な溶接ワイヤ供給ユニット8から供給される。保護ガスが用いられる場合には、保護ガスは、例えば適切な保護ガス容器9から同様にホースパッケージ10を介して溶接トーチ6へ供給されることが可能である。溶接ユニット2は更に溶接電流源7を備えており、当該溶接電流源は、溶接方法に必要なエネルギーを溶接電流あるいは溶接電圧の形態で提供する。アークを生成するために、溶接電流回路が溶接されるべき部材5を介して閉じられる。このために、例えば、溶接トーチ6が溶接電気配線Lを介して、例えばここでもホースパッケージ10を介して溶接電流源7に接続されることができ、ワークピース(溶接されるべき部材5)は、第2の溶接配線、例えばアースリードMを用いて溶接電流源7に接続されることが可能である。
【0053】
溶接ユニット2によって実行される所定の溶接プロセスの所定の溶接パラメータが設定あるいは調整されることで、溶接方法は、制御ユニット4を介して制御されることが可能である。MSG溶接法の公知の溶接プロセスは、例えばパルス溶接プロセス、ショートアーク溶接プロセス、例えばCMT溶接プロセスのようなショートアーク溶接プロセスの特別な態様などである。例えば溶接電流、溶接電圧、溶接ワイヤ(又は一般に添加剤Z)のワイヤ送り速度、溶接電流のパルス周波数、溶接サイクルの数及び/又は溶接サイクルの継続時間などが溶接パラメータに含まれる。溶接プロセス及びその溶接パラメータは公知であるため、ここでは詳細な説明は不要である。
【0054】
しかし、例えば、(1つ又は複数の溶接トーチを介して)溶接箇所に溶接ワイヤが供給される公知のマルチ溶接法も用いることが可能である。このとき、各溶接ワイヤでは別々の溶接プロセスが実行され、溶接ワイヤは、それぞれアークによって溶融される。このとき、例えば、異なる添加剤Zを用いることができ、その場合、溶接継ぎ目Nは、異なる添加剤Zで構成され得る。マルチ溶接法においては、溶接パラメータとして、例えば別々の両溶接プロセスの溶接電流(及び/又は溶接電圧)の間の時間的な位相変位も用いられることが可能である。しかし、このことは、当然、単に例示的なものと理解されるべきであり、添加剤Zから成る材料結合的な溶接継ぎ目Nを生成することが可能な他の全ての溶接方法も用いられ得る。公知の適切な溶接方法は、例えばレーザ溶接法又は電子ビーム溶接法である。例えばMSG溶接法とレーザ溶接法が組み合わされたレーザハイブリッド溶接のような組み合わされた溶接法も知られている。
【0055】
溶接継ぎ目Nに導入されるべき情報は、溶接継ぎ目Nを生成するために用いられる、例えば用いられる溶接パラメータについての方法データを含んでいる。これにより、例えば、溶接継ぎ目Nを生成するために用いられた溶接電流及び/又は溶接電圧がどのくらいであったかを溶接継ぎ目Nにメモリすることが可能である。例えば、溶接添加剤の送り速度の大きさ及び/又は溶接電流のパルス周波数もメモリされることが可能である。操作ユニット3の方法(走行)データ、例えば部材5に対して溶接ユニット2が移動した溶接速度も当然メモリされることが可能である。これにより、装置1がどのような設定をもって溶接ユニットを生成したかを後の時点において特定することが可能である。
【0056】
図2には、溶接継ぎ目N1~N3を用いて本発明による方法によって結合された複数の部材5a~5dが図示されている。溶接継ぎ目N1~N3は、例えば図1による装置によって生成されることが可能である。溶接継ぎ目N1~N3は簡潔さのためにそれぞれ1つの直線状の継ぎ目経過を有しているが、当然、より複雑な多次元の継ぎ目経過も可能である。これは、本質的に結合されるべき部材5の幾何形状に依存する。溶接継ぎ目N1~N3には、検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いてデジタルの態様で情報がメモリされている。第1の溶接継ぎ目N1は、継続的な、すなわち連続した溶接継ぎ目Nとして形成されているとともに、例えばパルス溶接プロセス又はアーク溶接法の他の適切な溶接プロセスあるいは他の溶接法によって生成されることが可能である。第1の溶接継ぎ目N1により、部材5b,5cが互いに材料結合式に結合される。
【0057】
溶接継ぎ目N2,N3は、いわゆるインターバル溶接によって形成されている。第2の溶接継ぎ目N2により部材5a,5bが互いに材料結合式に結合され、第3の溶接継ぎ目N3によって部材5c,5dが互いに材料結合式に結合される。インターバル溶接においては、通常、一貫して連続した溶接継ぎ目は生成されず、断続的な、すなわち途切れた(不連続な)溶接継ぎ目Nが生成される。したがって、インターバル溶接においては、しばしば溶接継ぎ目Nは添加剤Zから成る連続する溶接点Piで構成されており、当該溶接点は、継ぎ目経過の方向においてそれぞれ添加剤を有さない範囲Bによって互いに分離されている。しかし、インターバル溶接においても、基本的には連続した溶接継ぎ目Nの生成が可能である。ここで、本発明においては、溶接継ぎ目Nとして必ずしも一貫して連続した溶接継ぎ目Nと理解されるべきではなく、本発明の意味合いでは断続的な溶接継ぎ目も溶接継ぎ目Nとして理解されるべきであることを再度指摘しておく。
【0058】
第1の溶接継ぎ目N1においては、溶接継ぎ目N1の部分の溶接継ぎ目長さNLiが検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として用いられ、当該検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目と共に情報が溶接継ぎ目N1にメモリされている。溶接継ぎ目長さNLiとは、一般に、継ぎ目経過の方向における溶接継ぎ目Nの区別可能な部分の長さと理解されるべきである。具体的な場合では、図示の溶接継ぎ目N1は連続した溶接スケールSiを備えており、当該溶接スケールは、用いられる溶接プロセスのプロセス進行に基づき生じる。溶接スケールSiの形状及び特に溶接スケールSiの溶接スケール長さNLiは、溶接方法の1つ又は複数の制御パラメータ、特に、操作ユニット3によって部材5b,5cに対して溶接トーチ6が移動される速度、添加剤Zの送り速度、特に例えば溶接電流、(周期的に脈動する溶接電流における)パルス周期、溶接差異黒の数及び/又は溶接サイクルの継続時間のような溶接パラメータなどによって影響を受けることがあり得る。しかし、溶接スケール長さNLiがどのように影響を受け得るかは基本的に知られているため、ここでは詳細について言及しない。
【0059】
したがって、溶接スケール長さNLiは、所望の情報をデジタルの形態で第1の溶接継ぎ目N1にメモリするために用いられることが可能である。どのデジタルコードが用いられるかに応じて、様々な溶接スケール長さNLiをコードのコードアルファベットのコード文字に割り当てることが可能である。2進コードの場合には例えば2つの異なる溶接スケール長さNL1,NL2を用いることができ、当該溶接スケール長さは、図2に示唆されているように、情報内容に合わせて所定の周期で継ぎ目経過に沿って溶接継ぎ目N1へ導入されることが可能である。溶接スケール長さNL1,NL2は、例えば2進コードのコード文字あるいはコード記号「論理的ゼロ」として解釈されることができ、それぞれ他の溶接スケール長さNL1,NL2は、2進コードのコード文字あるいはコード記号「論理的1」として解釈されることが可能である。情報は、設定された情報始点ISP1と設定された情報終点IEP1の間で溶接継ぎ目N1においてメモリされている。図示の例では、情報始点ISP1は溶接継ぎ目N1の継ぎ目始部に対応し、情報終点IEP1は溶接継ぎ目N1の継ぎ目終部に対応する。しかし、当然、このことは単に例示的なものであり、情報始点ISP1及び情報終点IEP1は、溶接継ぎ目N1の他の箇所、例えば溶接継ぎ目N1のあらかじめ設定された中央部分に配置されることも可能である。継ぎ目経過に沿った溶接継ぎ目N1の異なる箇所における同一の情報(又は他の情報)の繰り返しの導入も当然考えられる。
【0060】
上述のように、情報をメモリするために、当然、複数の異なる検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性も用いられることが可能である。例えば、図示の第1の溶接継ぎ目N1では、溶接スケールSiの所定の溶接スケール長さNLiに2進コードの第1のコード文字を割り当てることができ、溶接スケールSiの所定の溶接スケール幅NBiに2進コードのそれぞれ第2のコード文字を割り当てることができる。そして、情報は、継ぎ目経過に沿った一連の溶接スケール長さNLi及び溶接スケール幅NBiから得られる。より大きな値のコード(例えば3進、4進、5進など)においては、別のコード文字が、相応にそれぞれ1つの別の検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性に割り当てられることが可能である。例えば、更に溶接スケールSiの所定の溶接継ぎ目厚さNDiを3進コードの第3のコード文字として用いることが可能である。例えば溶接継ぎ目厚さNDiの異なる値のような検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性の様々な特性も、当然、それぞれ1つのコード文字に割り当てられることが可能である。
【0061】
第2の溶接継ぎ目N2はインターバル溶接によって形成された溶接継ぎ目であり、当該溶接継ぎ目は、添加剤Zから成る所定の大きさの複数の溶接点P1を有しており、当該溶接点は、それぞれ添加剤Zを有さない範囲Bによって互いに分離されている。情報は、ここでも、設定された情報始点ISP2と設定された情報終点IEP2の間で溶接継ぎ目N2においてメモリされている。ここで、情報は、2進コードで溶接継ぎ目N2にメモリされている。情報をメモリするための検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、ここでは、溶接点P1及びその間に位置する範囲Bが用いられる。溶接点P1は、(少なくとも情報始点ISP2と情報終点IEP2の間の範囲において)好ましくは同一の大きさを有している。溶接点P1は、2進コードの「論理的ゼロ」として解釈されることができ、溶接点P1間の範囲Bは「論理的1」(又はその逆)として解釈されることができる。したがって、メモリされた情報は、情報始点ISP2と情報終点IEP2の間の継ぎ目経過に沿った一連の溶接点P1及び範囲Bから得られる。
【0062】
第3の溶接継ぎ目N3も同様にインターバル溶接によって形成された溶接継ぎ目Nである。第3の溶接継ぎ目N3は、第2の溶接継ぎ目N2とは異なり、添加剤Zを有さない範囲によってそれぞれ互いに分離されている異なる大きさの溶接点P1,P2を有している。情報は、ここでも、設定された情報始点ISP3と設定された情報終点IEP3の間で溶接継ぎ目N3においてメモリされている。ここで、情報は、3進デジタルフォーマットでメモリされている。情報をメモリするための検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、ここでは、設定された第1の大きさの第1の溶接点P1と、設定された第2の大きさの第2の溶接点P2と、これらの間に位置する範囲Bとが用いられる。例えば、それぞれ1つの第2の溶接点P2は、3進コードのコード文字あるいはコード記号「論理的2」(又は「論理的-1」)として解釈されることができ、それぞれ1つの第1の溶接点P1は、コード文字あるいはコード記号「論理的1」として解釈されることができ、溶接点P1,P2の間の範囲Bは、それぞれコード文字あるいはコード記号「論理的ゼロ」として解釈されることができる。当然、他の割り当ても可能である。したがって、メモリされた情報は、情報始点ISP3と情報終点IEP3の間の継ぎ目経過に沿った一連の溶接点P1,P2及びその間に位置する範囲Bから得られる。
【0063】
当然、図示の実施形態は単に例示的なものと理解されるべきであり、情報をメモリするために、適宜の他の適切な検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性も用いることが可能である。例えば、例えば溶接継ぎ目Nの部分の溶接継ぎ目厚さND、溶接継ぎ目幅NBのような溶接継ぎ目Nの測定可能な幾何学的なパラメータを用いることが可能である。情報始点ISPが溶接継ぎ目Nの始部に対応せず、情報終点IEPが溶接継ぎ目Nの終部に対応しない場合については、情報がメモリされた溶接継ぎ目の範囲を人員が大きな手間なく認識することができるように情報始点ISP及び情報終点IEPが適切に示されれば有利であり得る。これは、図示の第1の溶接継ぎ目N1においては、例えば、情報がメモリされた範囲外、すなわち継ぎ目経過に沿った情報始点ISPの手前及び情報終点IEPの後において同一の溶接スケール長さNLiの溶接スケールSiの規則的な配置が設けられることで達成され得る。これにより、情報を有さない範囲と、情報がメモリされた範囲とが光学式(視覚的)に区別されるため、情報始点ISP及び情報終点IEPを識別することが可能である。
【0064】
冒頭で言及したように、情報は、最も単純な場合には基本的に(光学式の)視覚的な目視検査又は接触によって読み取られることが可能である。しかし、このためには、情報がメモリされているコードについて知識が必要であるが、このことは、必ずしも当てはまるわけではなく、更に非常に手間がかかるとともに複雑である。したがって、好ましくは適切な表示ユニット17に図示されるために、情報が適切な読取ユニット16によって読み取られることができるように、情報が機械読取可能な形態でメモリされていれば有利である。各情報始点ISPと情報終点IEPの間で溶接継ぎ目Nが読取ユニット16によって走査されることができ、このことは、手動で、又は自動化して行われることが可能である。読取ユニット16は、検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性に基づいてメモリされた情報を認識するとともに、例えば情報が図示され人員によって読み取ることが可能な適切な表示ユニット17へ情報を伝達することが可能である。例えば、バーコードスキャナの態様のハンドスキャナ、製造技術から知られた接触式の測定接触子又はカメラを用いることが考えられる。
【0065】
図示の例では、読取ユニット16はカメラとして形成されており、溶接継ぎ目N3(又は少なくとも情報始点ISPと情報終点IEPの間の範囲)は、図2において破線で示唆されているようにカメラの撮影範囲Xに位置している。例えばカメラ又は評価ユニット17に直接統合され得る適切な画像認識ソフトウェアを介して、メモリされた情報を溶接継ぎ目Nの撮影された画像から得ることが可能である。例えば、有利には、例えば読取ユニット16としても、また表示ユニット17としても用いられるスマートフォンのような、統合されたカメラを有する可搬式のコンピュータを用いることが可能である。これにより、アクセス性の良くない箇所においても情報を容易に読み取ることが可能である。類似のように、例えば、例えば溶接継ぎ目厚さND又は溶接継ぎ目幅NBのような幾何学的なパラメータを検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として検出して評価ユニット17へ伝達するように形成されることが可能な読取ユニット16として公知の接触式の測定接触子を用いるも可能である。評価ユニット17は、検出された大きさ(量)に基づき、例えば継ぎ目経過に沿った溶接継ぎ目幅NB又は溶接継ぎ目厚さNDの一連の値に基づき、メモリされた情報を読み取ることが可能である。
【0066】
2つ以上の部材を材料結合式に結合する溶接継ぎ目Nのほかに、材料結合式の結合に寄与しない1つ又は複数の部材5において例えば1つ又は複数の(不図示の)マーキング溶接継ぎ目を生成することも可能である。このようなマーキング継ぎ目は、例えば公知の肉盛溶接によって形成されることが可能である。このようなマーキング溶接継ぎ目においても、当然、本発明による方法によって情報をメモリすることが可能である。このために、溶接継ぎ目Nの生成に基づいて説明したのと同様に、少なくとも1つの制御パラメータにおいて、マーキング溶接継ぎ目の継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間でマーキング溶接継ぎ目を生成する間に少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いてマーキング溶接継ぎ目においてメモリされる情報を考慮することが可能である。このとき、情報は、当該情報が情報始点ISPと情報終点IEPの間の範囲における継ぎ目経過に沿った一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から好ましくは光学式(視覚的)及び/又は接触式(触覚的)に読み取られることができるようにメモリされる。
【0067】
しかし、2つ以上の部材5を材料結合式に結合する溶接継ぎ目Nは、例えば、材料結合式の結合ではなく単にマーキングのために寄与するマーキング継ぎ目部分も有することが可能である。このようなマーキング継ぎ目部分においても、当然、情報のメモリが可能である。このために、ここでも、少なくとも1つの制御パラメータにおいて、マーキング継ぎ目の継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間でマーキング溶接継ぎ目Nを生成する間に少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いてマーキング溶接継ぎ目においてメモリされる情報を考慮することが可能である。そして、情報は、ここでも、情報始点ISPと情報終点IEPの間の範囲における継ぎ目経過に沿った一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から好ましくは光学式(視覚的)及び/又は接触式(触覚的)に読み取られることができる。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.少なくとも1つの添加剤(Z)を用いて少なくとも2つの部材(5)を材料結合式に結合する溶接方法であって、継ぎ目始部と継ぎ目終部の間で所定の継ぎ目経過を有する、添加剤(Z)から成る溶接継ぎ目(N)が生成され、溶接継ぎ目(N)の生成が少なくとも1つの制御ユニット(4)を用いて制御され、制御ユニット(4)の少なくとも1つの制御パラメータによって、溶接継ぎ目(N)の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性が影響を受ける、前記溶接方法において、
情報始点(ISP)と情報終点(IEP)の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を好ましくは光学式に、及び/又は接触式に読み取り可能であるように溶接継ぎ目(N)の生成中に継ぎ目経過における情報始点(ISP)と情報終点(IEP)の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いて溶接継ぎ目(N)にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されることを特徴とする溶接方法。
2.情報始点(ISP)と情報終点(IEP)の間の継ぎ目経過において少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を変更するために、溶接継ぎ目(N)の生成中に少なくとも1つの制御パラメータが変更され、少なくとも1つの検出可能な物理的な溶接継ぎ目特性の異なる特徴がコードアルファベットのコード文字に割り当てられ、情報がコードアルファベットのコード文字の組合せとしてメモリされることを特徴とする上記1.に記載の溶接方法。
3.情報が機械読み取り可能なデジタルコードの形態でメモリされ、その結果、情報が、一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から読取ユニット(16)を用いて、好ましくは非接触式のスキャナ、少なくとも1つのカメラ又は測定接触子を用いて読み取り可能であり、デジタルコードとして、好ましくは多値のコード、特に好ましくは2進コード又は3進コードが用いられることを特徴とする上記1.又は2.に記載の溶接方法。
4.少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性として、溶接継ぎ目(N)の測定可能な幾何学的なパラメータ、好ましくは溶接継ぎ目(N)の部分の溶接継ぎ目厚さ(ND)、溶接継ぎ目幅(NB)、溶接継ぎ目長さ(NL)、特に溶接スケール(S1,S2)の溶接スケール長さ(NL1,NL2)又は添加剤(Z)を有さない溶接継ぎ目(N)の範囲(B)の長さが用いられることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の溶接方法。
5.情報が、溶接継ぎ目(N)を生成するために用いられる、溶接方法の用いられる制御パラメータについての方法データ又は該方法データに割り当てられた参照情報を含んでいること、及び/又は情報が、溶接方法とは無関係な外部のデータ又は該外部のデータに割り当てられた参照情報を含むことを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の溶接方法。
6.方法データが、溶接継ぎ目(N)の生成に用いられる、用いられる溶接パラメータについてのデータ、好ましくは溶接電流及び/又は溶接電圧及び/又は添加剤(Z)の送り速度及び/又は溶接電流のパルス周波数及び/又は溶接サイクルの数及び/又は溶接サイクルの継続時間についてのデータを含むことを特徴とする上記5.に記載の溶接方法。
7.情報が制御ユニット(4)にメモリされること、及び/又は溶接方法の実行前に情報が制御ユニット(4)へ伝達されること、及び/又は入力ユニットを用いて情報が制御ユニット(4)へ伝達されること、及び/又は情報が制御ユニット(4)によってデジタルコードへ変換されることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の溶接方法。8.溶接方法として、溶融性の電極又は非溶融性の電極によるアーク溶接方法、レーザ溶接方法又は電子ビーム溶接方法が用いられることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の溶接方法。
9.部材(5)のうち少なくとも1つにはマーキング溶接継ぎ目が肉盛溶接によって生成され、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を好ましくは光学式に、及び/又は接触式に読み取り可能であるようにマーキング溶接継ぎ目の生成中に継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いてマーキング溶接継ぎ目にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の溶接方法。
10.材料結合式の結合に寄与しないマーキング継ぎ目部分が溶接継ぎ目(N)に設けられ、情報始点と情報終点の間の範囲における継ぎ目経過に沿って一連の少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性から情報を好ましくは光学式に、及び/又は接触式に読み取り可能であるように溶接継ぎ目(N)のマーキング継ぎ目部分の生成中にマーキング継ぎ目部分の継ぎ目経過における情報始点と情報終点の間で少なくとも1つの検出可能な外部の物理的な溶接継ぎ目特性を用いて溶接継ぎ目(N)にメモリされる情報が、少なくとも1つの制御パラメータにおいて考慮されることを特徴とする上記1.~9.のいずれか1つに記載の溶接方法。
図1
図2