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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】バッチ式基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240529BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20240529BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
H05H1/46 M
C23C16/50
H01L21/31 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023016789
(22)【出願日】2023-02-07
(65)【公開番号】P2023117389
(43)【公開日】2023-08-23
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0017524
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ-ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ソンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンドル
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ソクポム
(72)【発明者】
【氏名】チョン チュンシク
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-010570(JP,A)
【文献】特開2015-012275(JP,A)
【文献】特開2019-075542(JP,A)
【文献】特開2020-074409(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0105820(KR,A)
【文献】国際公開第2021/044504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
C23C 16/50
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板が収容される処理空間を有する反応チューブと、
前記反応チューブの長手方向に沿って延び、互いに離間して配置される複数の電極と、
前記複数の電極を保護する電極保護部と、
を備え、
前記複数の電極は、
互いに離間する第1及び第2の電源供給電極と、
前記第1の電源供給電極及び前記第2の電源供給電極との間に配設される接地電極と、
を備え、
前記電極保護部は、
前記第1及び第2の電源供給電極にそれぞれ配設される複数本の第1の電極保護管と、
前記接地電極に配設される第2の電極保護管と、
前記複数本の第1の電極保護管のそれぞれを前記第2の電極保護管と継いで連通させる複数本の継管と、
を備え
前記複数本の第1の電極保護管と前記第2の電極保護管の内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、
前記複数本の第1の電極保護管と前記第2の電極保護管から前記冷却ガスを排出して前記冷却ガスの流れを形成する冷却ガス排出部と、
をさらに備える、バッチ式基板処理装置。
【請求項2】
前記複数の電極は、前記第1の電源供給電極と前記接地電極との間の離間空間及び前記第2の電源供給電極と前記接地電極との間の離間空間に容量結合プラズマ(CCP)を形成する、請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項3】
前記冷却ガス供給部は、前記第2の電極保護管と接続され、
前記冷却ガス排出部は、前記複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続される、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項4】
前記冷却ガス排出部は、前記複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続される排気ラインを備える、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項5】
前記冷却ガス排出部は、前記排気ラインの内径を調節する直径調節部材をさらに備える、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項6】
前記排気ラインは、
ポンピングポートに接続される第1の排気ラインと、
前記第1の排気ラインから分岐される第2の排気ラインと、
を備え、
前記冷却ガス排出部は、
前記第1の排気ラインに配設される第1の弁と、
前記第2の排気ラインに配設される第2の弁と、
をさらに備える、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項7】
前記第1の弁は、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の供給時に開かれ、
前記第2の弁は、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の未供給時に開かれる、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項8】
前記排気ラインには、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15mbar以上の排気圧力が形成される、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項9】
前記複数本の継管は、前記複数本の第1の電極保護管と前記第2の電極保護管の内径よりも小さな内径を有する、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項10】
前記冷却ガスは、不活性ガスを含む、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項11】
前記冷却ガス供給部は、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の未供給時に、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の供給時よりも少ない流量の前記冷却ガスを供給する、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項12】
各前記第1の電極保護管内の前記冷却ガスの流量は、前記第2の電極保護管内の前記冷却ガスの流量よりも少ない、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項13】
前記複数本の第1の電極保護管にそれぞれ接続され、各前記第1の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの排出される排気口が形成される複数の第1のシールキャップと、
前記第2の電極保護管に接続され、前記第2の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの供給される流込み口が形成される第2のシールキャップと、
をさらに備える、請求項に記載のバッチ式基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチ式基板処理装置に係り、さらに詳しくは、複数の電極によりプラズマを形成して基板に対する処理工程を行うバッチ式基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板処理装置は、処理空間内に処理しようとする基板を位置させた後、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)法または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition;ALD)法などを用いて処理空間内に注入された工程ガスに含まれている反応粒子を基板の上に蒸着する装置である。かような基板処理装置としては、一枚の基板に対して処理工程が行える枚葉式(Single Wafer Type)基板処理装置と、複数枚の基板に対して同時に処理工程が行えるバッチ式(Batch Type)基板処理装置と、が挙げられる。
【0003】
バッチ式基板処理装置は、複数の電極に高周波電源を供給してプラズマ(plasma)を生成することにより、複数の電極の周りに注入される工程ガスを励起させて得た活性種(radical)を基板に供給して処理工程を行うことができる。このとき、プラズマにより生成されたイオン(ion)が複数の電極に向かって加速されて衝突しながら、複数の電極に損傷が生じてしまうことがある。
【0004】
また、複数の電極に高周波電源が供給されてプラズマを生成しながら、複数の電極に発熱が起こることがある。このような発熱による複数の電極の昇温により複数の電極の抵抗を高めて、複数の電極に電圧(Voltage)が高まるが故に、プラズマにより生成されるイオンのエネルギー(energy)が増えてしまうことがある。なお、高いエネルギーを有するイオンが複数の電極に強く衝突するが故に、複数の電極にさらに損傷を負ってしまうことがある。特に、処理空間を取り囲むホットウォール(Hot wall)タイプの加熱手段(または、ヒーター)により処理空間を加熱する場合には、複数の電極の温度がさらに上がってしまい、さらに深刻な問題になる。
【0005】
この理由から、複数の電極の損傷を防ぎながら、複数の電極の周りの温度を下げられる構成が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国登録特許第10-1145538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電極保護部を介してプラズマの形成のための複数の電極を保護するバッチ式基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置は、複数枚の基板が収容される処理空間を有する反応チューブと、前記反応チューブの長手方向に沿って延び、互いに離間して配置される複数の電極と、前記複数の電極を保護する電極保護部と、を備え、前記複数の電極は、互いに離間する第1及び第2の電源供給電極と、前記第1の電源供給電極及び前記第2の電源供給電極との間に配設される接地電極と、を備え、前記電極保護部は、前記第1及び第2の電源供給電極にそれぞれ配設される複数本の第1の電極保護管と、前記接地電極に配設される第2の電極保護管と、前記複数本の第1の電極保護管のそれぞれを前記第2の電極保護管と継いで連通させる複数本の継管と、を備えていてもよい。
【0009】
前記複数の電極は、前記第1の電源供給電極と前記接地電極との間の離間空間及び前記第2の電源供給電極と前記接地電極との間の離間空間に容量結合プラズマ(CCP)を形成してもよい。
【0010】
前記バッチ式基板処理装置は、前記複数本の第1の電極保護管と前記第2の電極保護管の内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、前記複数本の第1の電極保護管と前記第2の電極保護管から前記冷却ガスを排出して前記冷却ガスの流れを形成する冷却ガス排出部と、をさらに備えていてもよい。
【0011】
前記冷却ガス供給部は、前記第2の電極保護管と接続され、前記冷却ガス排出部は、前記複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続されてもよい。
【0012】
前記冷却ガス排出部は、前記複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続される排気ラインを備えていてもよい。
【0013】
前記冷却ガス排出部は、前記排気ラインの内径を調節する直径調節部材をさらに備えていてもよい。
【0014】
前記排気ラインは、ポンピングポートに接続される第1の排気ラインと、前記第1の排気ラインから分岐される第2の排気ラインと、を備え、前記冷却ガス排出部は、前記第1の排気ラインに配設される第1の弁と、前記第2の排気ラインに配設される第2の弁と、をさらに備えていてもよい。
【0015】
前記第1の弁は、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の供給時に開かれ、前記第2の弁は、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の未供給時に開かれてもよい。
【0016】
前記排気ラインには、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15mbar以上の排気圧力が形成されてもよい。
【0017】
前記複数本の継管は、前記複数本の第1の電極保護管と前記第2の電極保護管の内径よりも小さな内径を有していてもよい。
【0018】
前記冷却ガスは、不活性ガスを含んでいてもよい。
【0019】
前記冷却ガス供給部は、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の未供給時に、前記第1及び第2の電源供給電極への電源の供給時よりも少ない流量の前記冷却ガスを供給してもよい。
【0020】
各前記第1の電極保護管内の前記冷却ガスの流量は、前記第2の電極保護管内の前記冷却ガスの流量よりも少なくてもよい。
【0021】
前記バッチ式基板処理装置は、前記複数本の第1の電極保護管にそれぞれ接続され、各前記第1の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの排出される排気口が形成される複数の第1のシールキャップと、前記第2の電極保護管に接続され、前記第2の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの供給される流込み口が形成される第2のシールキャップと、をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態に係るバッチ式基板処理装置は、電極保護部を介して複数の電極を電気的に絶縁させるとともに、プラズマ(plasma)雰囲気に晒される複数の電極をプラズマから保護することができ、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクル(particle)から複数の電極を安全に保護することができる。また、複数本の継管を介して複数本の第1の電極保護管がそれぞれ第2の電極保護管と継がれて電極保護部が構成されることにより、各第1の電極保護管と第2の電極保護管との間の間隔を保持して第1及び第2の電源供給電極と接地電極との間の間隔を等間隔に保持することができる。これにより、第1の電源供給電極と接地電極との間の離間空間及び第2の電源供給電極と接地電極との間の離間空間が同一の体積を有するようにして、複数のプラズマ発生空間同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることができる。
【0023】
また、複数本の継管を介して複数本の第1の電極保護管のそれぞれを第2の電極保護管と連通させることにより、複数本の第1の電極保護管と第2の電極保護管の内に冷却ガスを供給しながら、冷却ガス供給部と冷却ガス排出部を通じた冷却ガスの流れを形成することができる。これにより、プラズマを生成しながら発熱が起こる第1及び第2の電源供給電極と接地電極を効果的に冷却させることができる。
【0024】
このとき、第1の電源供給電極と第2の電源供給電極の両方から影響を受けて電場(electric field)が重なり合うことに起因して高い発熱が起こる接地電極に配設される第2の電極保護管に冷却ガスを供給することにより、接地電極の高い発熱を効果的に冷却させることができる。なお、第2の電極保護管に供給された多い流量の冷却ガスが複数本の第1の電極保護管に分けられて排出されることにより、冷却ガスの流れが円滑になることができる。
【0025】
ここで、複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続された排気ラインをポンピングポートと接続することにより、接地電極、第1の電源供給電極及び/又は第2の電源供給との熱交換により暖められた冷却ガスを速やかに排出することができ、これにより、なお一層効果的な冷却が行われることが可能になる。
【0026】
一方、排気ラインに冷却ガスの流量1slm当たりに0.15mbar以上の排気圧力を形成することにより、第1の電源供給電極及び/又は第2の電源供給電極が傾いて第1の電極保護管との間隔が等しくない場合であっても、冷却ガスが均等に複数本の第1の電極保護管に供給されることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置を示す断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る電極保護部の冷却ガスの流れを説明するための概念図。
図3】本発明の一実施形態に係る第1及び第2の電源供給電極と接地電極の電圧波形及び電場を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置を示す断面図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置100は、複数枚の基板10が収容される処理空間111を有する反応チューブ110と、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延び、互いに離間して配置される複数の電極121、122と、前記複数の電極121、122を保護する電極保護部130と、を備えていてもよい。
【0031】
反応チューブ110は、上部が閉鎖され、かつ、下部が開放された円筒状に石英(quartz)またはセラミックス(ceramics)などの耐熱性材料から形成されてもよく、内部に複数枚の基板10が収容されて処理される処理空間111を提供することができる。反応チューブ110の処理空間111は、複数枚の基板10が反応チューブ110の長手方向に積み重ねられた基板ボートを収容し、実際に処理工程(例えば、蒸着工程)が行われる空間である。
【0032】
ここで、前記基板ボートは、基板10を支持するための構成要素であって、複数枚の基板10が前記反応チューブ110の長手方向(すなわち、上下方向)に積載されるように形成されてもよく、複数枚の基板10がそれぞれ別々に処理される単位処理空間を複数形成してもよい。
【0033】
複数の電極121、122は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びてもよく、互いに離間して配置されてもよい。例えば、複数の電極121、122は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びる棒(bar)状であってもよく、互いに並ぶように(または、平行に)配置されてもよく、反応チューブ110の周方向に沿って互いに離間して配置されてもよい。
【0034】
ここで、複数の電極121、122は、互いに離間する第1及び第2の電源供給電極121a、121bと、前記第1の電源供給電極121a及び前記第2の電源供給電極121bの間に配設される接地電極122と、を備えていてもよい。第1及び第2の電源供給電極121a、121bは互いに離間してもよく、高周波電源(または、RF電源)がそれぞれ供給され(または、加えられ)てもよい。
【0035】
接地電極122は、第1の電源供給電極121a及び第2の電源供給電極121bの間に配設されてもよく、接地されてもよい。ここで、接地電極122は、第1及び第2の電源供給電極121a、121bに対して共通(common)の接地電極122として使用可能である。
【0036】
第1及び第2の電源供給電極121a、121bに高周波電源(または、高周波電力)が供給されれば、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間においてプラズマ(plasma)が生じることができる。すなわち、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122は3電極構造を有していてもよく、第1及び第2の電源供給電極121a、121bに高周波電源をそれぞれ分けて供給してもよい。これにより、プラズマを生じさせるのに必要とされる高周波電源または所望の量のラジカル(radical)を得るための高周波電源を減少させることができ、高い高周波電源による第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の損傷及び/又はパーティクル(particle)の発生を防ぐことができる。
【0037】
例えば、複数の電極121、122は、隔壁125により処理空間111と画成される放電空間に配置されてもよく、複数の電極121、122と隔壁125によりプラズマ形成部120が構成されることができる。プラズマ形成部120は、複数の電極121、122を用いてプラズマを形成することができ、ガス供給管170から供給された工程ガスをプラズマにより分解して反応チューブ110内の処理空間111に与えることができる。ここで、プラズマ形成部120は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びる隔壁125により処理空間111と画成される前記放電空間を有していてもよい。このとき、プラズマ形成部120は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びて前記反応チューブ110の周方向に配置される複数の電極121、122により前記放電空間にプラズマを形成することができる。
【0038】
プラズマ形成部120の前記放電空間は、プラズマが形成される空間であり、隔壁125により処理空間111と画成されることができる。このため、プラズマ形成部120は、ガス供給管170から供給される前記工程ガスを前記放電空間においてプラズマを用いて分解し、分解された前記工程ガス中のラジカルのみを処理空間111に与えることができる。
【0039】
ここで、隔壁125は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びてもよく、反応チューブ110の内部に配置されてもよく、反応チューブ110の外部に配置されてもよい。例えば、隔壁125は、図1に示すように、反応チューブ110の内部に配置されて反応チューブ110の内壁と前記放電空間を形成することができ、反応チューブ110の内壁(または、内面)に接続される複数の副側壁部と前記複数の副側壁部の間の主側壁部を備えていてもよい。前記複数の副側壁部は、反応チューブ110の内壁から反応チューブ110の内側に向かって突出し(または、延び)、互いに離間して並ぶように配置されてもよい。なお、前記主側壁部は、反応チューブ110の内壁から離間して前記複数の副側壁部の間に配置されてもよい。このとき、前記複数の副側壁部と前記主側壁部は、いずれも反応チューブ110の内壁に沿って前記反応チューブ110の長手方向に延びてもよい。但し、隔壁125は、処理空間111と画成される前記放電空間が提供可能な形状である限り、図1に示す形状に何ら限定されるものではなく、種々の形状を呈していてもよい。
【0040】
別の実施形態を挙げると、隔壁125は、反応チューブ110の外部に配置されて反応チューブ110の外壁と前記放電空間を形成してもよく、反応チューブ110の外側面(または、外壁)に接続される複数の副側壁部と前記複数の副側壁部の間の主側壁部を備えていてもよい。前記複数の副側壁部は、反応チューブ110の外壁から反応チューブ110の外側に向かって突出し、互いに離間して並ぶように配置されてもよい。なお、前記主側壁部は、反応チューブ110の外壁から離間して前記複数の副側壁部の間に配置されてもよい。
【0041】
一方、前記主側壁部を反応チューブ110よりも小さい若しくは大きな直径を有するチューブ状に構成して、反応チューブ110の側壁と前記主側壁部との間(すなわち、前記反応チューブの内壁と前記主側壁部との間、または前記反応チューブの外壁と前記主側壁部との間)に前記放電空間を形成してもよい。
【0042】
プラズマ形成部120は、隔壁125により処理空間111と画成された前記放電空間にプラズマを形成することにより、ガス供給管170から供給される前記工程ガスが反応チューブ110の内部に直接的に供給されて処理空間111において分解されるわけではなく、処理空間111と分離された空間である前記放電空間において分解された後に処理空間111に供給されることができる。処理空間111の内壁には、処理空間111を取り囲むホットウォール(Hot wall)タイプの加熱手段(または、ヒーター)により基板10だけではなく、処理空間111の内壁(または、内部の壁面)まで温度が高くなって、前記工程ガスが蒸着されながら不所望の薄膜が形成されてしまう虞がある。このような処理空間111の内壁に形成(または、蒸着)された薄膜は、プラズマによる電場(electric field)または磁場(magnetic field)などによりパーティクルとして剥がれ落ちながら、基板10に対する処理工程の最中に汚染物質として働く虞がある。このため、プラズマ形成部120は、隔壁125を介して処理空間111と画成された前記放電空間においてプラズマを形成することにより、処理空間111に前記工程ガスを直接に供給して処理空間111においてプラズマを形成する場合にプラズマによる電場または磁場により処理空間111の内壁に形成された薄膜がパーティクルとして剥がれ落ちてしまうという不都合を防ぐことができる。
【0043】
電極保護部130は、複数の電極121、122を保護することができ、複数の電極121、122のそれぞれの少なくとも一部を取り囲んで複数の電極121、122をそれぞれ保護することができる。例えば、電極保護部130は、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122のそれぞれの少なくとも一部を取り囲むことができ、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122をそれぞれ保護することができる。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態に係る電極保護部の冷却ガスの流れを説明するための概念図である。
【0045】
図2を参照すると、電極保護部130は、前記第1及び第2の電源供給電極121a、121bにそれぞれ配設される複数本の第1の電極保護管131と、前記接地電極122に配設される第2の電極保護管132と、前記複数本の第1の電極保護管131のそれぞれを前記第2の電極保護管132と継いで連通させる複数本の継管133と、を備えていてもよい。複数本の第1の電極保護管131は、第1及び第2の電源供給電極121a、121bにそれぞれ配設されてもよく、第1及び第2の電源供給電極121a、121bのそれぞれの外部の周面を取り囲むことができ、第1及び第2の電源供給電極121a、121bのそれぞれを保護することができる。
【0046】
第2の電極保護管132は、接地電極122に配設されてもよく、接地電極122の外部の周面を取り囲むことができ、接地電極122を保護することができる。
【0047】
例えば、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122のそれぞれは、上部から下部にわたって第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132により包み込まれた状態で保護されてもよく、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122は、軟性を有する編組線からなることが好ましい。
【0048】
一般に、高周波電源の使用に伴う電気伝導は、電流が表面に沿って流れる表皮効果(Skin Effect)が生じてしまう(または、電流が流れる深さである金属の浸透深さ(Skin Depth)に影響を受けてしまう)虞がある。また、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122に網目状の網目電極を用いる場合には、空いた空間が占める面積が広いため、少ない表面積による大きな抵抗により高周波電源の供給に効率的ではないという不都合が存在する。なお、基板10に対する処理工程は、高温と低温において繰り返し行われることになるが、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122が網目状を呈する場合には、変化する温度に応じて網目電極の形状が不規則的に変化して形状保持の側面からも不利になる。なお、変化する形状に応じて抵抗が異なってくるため、高周波電源の供給に際して不均一なプラズマが生じてしまうという不都合もある。
【0049】
これらの不都合を防ぐために、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122は、第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132の内部に嵌入されるだけではなく、空いた空間を最小化させて、柔軟性を有する編組タイプに(編組線から)形成されてもよい。例えば、空いた空間をさらに減らすために、それぞれの電極の表面に金属をコーティングする方法をさらに利用してもよい。さらに、フレキシブルな編組タイプの第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122を前記放電空間の内部において前記反応チューブ110の長手方向に延びて固定された状態に保持するために、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122のそれぞれの両端が動かないように固定・支持するばね部(図示せず)をさらに備えていてもよい。このことから、前記ばね部により、フレキシブルな第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122は、それぞれ前記反応チューブ110の長手方向に固定されて細長い棒状に保持されることが可能になる。
【0050】
第1の電極保護管131と第2の電極保護管132は、第1及び第2の電源供給電極121a、121bの外部と接地電極122の外部をそれぞれ取り囲むことにより、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122をそれぞれ電気的に絶縁させるとともに、プラズマ雰囲気に晒される第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122をプラズマから保護することができる。また、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクルから第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122を安全に保護することができる。このとき、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132は、石英またはセラミックスなどの耐熱性材料から作製されてもよく、反応チューブ110と一体に作製されてもよい。
【0051】
複数本の継管133は、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれを第2の電極保護管132と継ぐことができ、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とを連通させることができる。このとき、複数本の継管133は、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれと第2の電極保護管132との間の間隔を保持することができる。これにより、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の間隔及び第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の間隔を等間隔に(または、一定に)保持することができ、第1及び第2の電源供給電極121a、121bが接地電極122から等間隔に離間することができる。
【0052】
前記放電空間内に均一なプラズマ密度を得るためには、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間(または、プラズマ発生空間)及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間が同一の体積(または、面積)を有さなければならない。また、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間に同一の強さのプラズマ(または、プラズマポテンシャル)を形成して、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間におけるプラズマ密度を均一にすることが必要である。このために、複数本の継管133にて複数本の第1の電極保護管131のそれぞれを第2の電極保護管132と継いで複数本の第1の電極保護管131のそれぞれと第2の電極保護管132との間の間隔を保持してもよい。これにより、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の間隔及び第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の間隔を等間隔に保持することができる。このことから、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の間隔及び第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の間隔が同一の体積を有するようにして、複数のプラズマ発生空間(または、前記離間空間)同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることができる。
【0053】
また、複数本の継管133は、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれを第2の電極保護管132と継ぐだけではなく、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とを連通させることもでき、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との間に冷却ガスが流れるようにすることができる。例えば、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内部には、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内壁(または、内面)がそれぞれ第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122から(または、前記第1及び第2の電源供給電極と前記接地電極の表面から)離間して(または、遊間をもって形成されて)前記冷却ガスが流れられるガス流路が形成されてもよい。なお、複数本の継管133にも管(tube)状にガス流路が形成されて、複数本の第1の電極保護管131のガス流路と第2の電極保護管132のガス流路とを連通させることができる。
【0054】
ここで、複数の電極121、122は、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間に容量結合プラズマ(Capacitively Coupled Plasma:CCP)を形成することができる。第1及び第2の電源供給電極121a、121bは、それぞれ接地電極122から離間して複数のプラズマ発生空間を形成することができる。すなわち、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間が前記複数のプラズマ発生空間を提供することができる。
【0055】
さらに、複数の電極121、122は、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間(または、前記プラズマ発生空間)及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間にそれぞれ容量結合プラズマ(CCP)を形成することができる。例えば、第1及び第2の電源供給電極121a、121bにそれぞれ高周波電源を供給することにより、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間に生成される電場により容量結合プラズマ(CCP)が生じることができる。
【0056】
一方、互いに離間している第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間に形成される電場により生じる電子加速にてエネルギー(energy)を得てプラズマが形成される容量結合プラズマ(CCP)方式とは異なり、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)方式は、互いに繋がり合ったアンテナに流れる電流において形成された磁場が経時的に変わるとき、磁場の周りに形成される電場からプラズマが形成されるものである。一般に、誘導結合プラズマ(ICP)方式においては、E-modeによりプラズマが生じ、H-modeに切り替わりながら高密度のプラズマを形成することになる。誘導結合プラズマ(ICP)方式は、プラズマ密度もしくは印加電力に応じてE-modeとH-modeとに分けられるが、プラズマ密度の低いE-modeからプラズマが保持される高い密度を有するH-modeへのモードの切り替えを行うためには、高いパワーを誘起しなければならない。このとき、入力電力が大きくなってしまうと、パーティクルと高い電子の温度に伴う反応に与らない多数のラジカルが生成されて良質の膜質が得られ難いという不都合と、アンテナにより形成される電場に伴い均一なプラズマを生じさせ難いという不都合が生じる。
【0057】
しかしながら、本発明においては、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間に容量結合プラズマ(CCP)をそれぞれ形成するため、誘導結合プラズマ(ICP)のようにモードの切り換えを行うために高いパワーを誘起することが不要である。これにより、パーティクルの生成の防止及び低い電子の温度に伴い反応に与る多数のラジカルの生成を通じて良質の膜質を得る上でなお一層効果的である。
【0058】
本発明に係るバッチ式基板処理装置100は、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部150と、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132から前記冷却ガスを排出して前記冷却ガスの流れを形成する冷却ガス排出部160と、をさらに備えていてもよい。
【0059】
冷却ガス供給部150は、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内に冷却ガスを供給することができ、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132にそれぞれ配置される第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122を冷却させることができる。第1及び第2の電源供給電極121a、121bに高周波電源が供給されてプラズマを生成しながら発熱が起こってしまう虞がある。このような発熱による第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の昇温により第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の(金属)抵抗を増加させて電圧(V)=電流(I)×抵抗(R)という数式により(誘導)電圧(Voltage)が増加するが故に、プラズマにより生成されるイオン(ion)のエネルギーが増加してしまう虞がある。また、高いエネルギーを有するイオンが複数本の第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132の表面に強く衝突しながら、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の損傷及び/又は石英などの第1の電極保護管131と第2の電極保護管132をなす素材(または、材料)に含有されている金属成分などのパーティクルが生じてしまう虞がある。このようにして生じたパーティクルは、反応チューブ110内において汚染物質として働く虞があり、薄膜の(金属)汚染といった不都合を引き起こす虞がある。例えば、半導体素子の製造工程の最中に生じる汚染物粒子(または、パーティクル)は、素子の歩留まり率と非常に密接な関連性があり、特に、薄膜工程の最中に生じる(金属)汚染粒子は、電流を導通させて電流の漏れを生じさせる。このような電流の漏れにより素子の誤動作を引き起こすだけではなく、製品の歩留まり率に致命的な悪影響を及ぼす虞がある。
【0060】
したがって、本発明においては、冷却ガス供給部150を介して複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内に前記冷却ガスを供給して、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122を冷却させることにより、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の昇温を防止もしくは抑止することができる。これにより、プラズマにより生成されるイオンのエネルギーが高くなってしまうことを防ぐことができ、イオンの高いエネルギーによる複数本の第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132の表面におけるイオンの衝突を防いで、(金属)汚染への影響性を排除することができる。
【0061】
また、基板10処理工程は、600℃以上の高温下で行われてもよく、ニッケル(Ni)などの金属からなる第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122が600℃以上の高温下で酸化されてしまう虞がある。これにより、冷却ガス供給部150を介して複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内に保護ガスとしての前記冷却ガスを供給して、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の酸化を防ぐこともできる。なお、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の寿命をも延ばすことができる。
【0062】
例えば、前記冷却ガスは、複数本の第1の電極保護管131または第2の電極保護管132に供給されてもよく、継管133を経て(または、前記継管を介して)別の電極保護管131または132に流れていくことができる。ここで、冷却ガス供給部150は、前記冷却ガスの流量(または、供給量)を測定する流量計151を備えていてもよく、流量計151を介して前記冷却ガスの流量を測定して、前記冷却ガスの供給量(または、流量)を調節することができる。
【0063】
冷却ガス排出部160は、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132から前記冷却ガスを排出することができ、このことから、前記冷却ガスの流れを形成することができる。例えば、冷却ガス供給部150は、複数本の第1の電極保護管131または第2の電極保護管132に接続されてもよい。なお、冷却ガス排出部160は、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132のうち、冷却ガス供給部150が接続されていない残りの電極保護管131または132に接続されて複数本の第1の電極保護管131または第2の電極保護管132に供給された前記冷却ガスを排出することができる。このことから、複数本の第1の電極保護管131または第2の電極保護管132に供給されて継管133を介して前記残りの電極保護管131または132に流れてきた前記冷却ガスを排出することができる。
【0064】
本発明においては、冷却ガス供給部150、継管133及び冷却ガス排出部160を介して複数本の第1の電極保護管131または第2の電極保護管132、継管133、前記残りの電極保護管131または132を通過する前記冷却ガスの流路を形成することができる。これにより、前記冷却ガスが複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132に効果的に流れて、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122を効果的に冷却させることができ、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の酸化を効果的に防ぐことができる。
【0065】
このとき、複数本の継管133は、各第1の電極保護管131の一方の端部(例えば、上端部)を第2の電極保護管132の一方の端部と継ぐことができる。
【0066】
図3は、本発明の一実施形態に係る第1及び第2の電源供給電極と接地電極の電圧波形及び電場を説明するための概念図であって、図3の(a)は、第1及び第2の電源供給電極と接地電極の電圧波形を示し、図3の(b)は、第1及び第2の電源供給電極と接地電極の電場を示す。
【0067】
図3を参照すると、接地電極122には、第1及び第2の電源供給電極121a、121bに印加される電圧が合成(または、併合)されて高い誘導電圧(例えば、2倍の電圧)が誘導されるだけではなく、電場が重なり合うことに起因して(第1及び第2の電源供給電極121a、121bよりも)高い発熱が起こってしまう虞がある。すなわち、共通の接地電極122は、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極の両方から影響を受けて電場が重なり合ってしまう虞があり、これが原因となって、接地電極122には高い発熱が起こってしまう虞がある。
【0068】
詳しくは、共通の接地電極122を用いる3電極構造においては、第1の電源供給電極121aに印加された電圧と第2の電源供給電極121bに印加された電圧とが同一の位相差を有することになって、第1及び第2の電源供給電極121a、121bよりも高い電場が接地電極122に誘起されてしまう。これに伴う不所望の高い電場に起因して、電場に比例するプラズマポテンシャル(potential)が増えてしまう。このように、接地電極122にプラズマポテンシャルが増えてしまうと、接地電極122の高い発熱を起こさせ、プラズマダメージ(Plasma Damage)が生じてしまう虞もある。なお、2倍の電圧が誘導される接地電極122だけではなく、接地電極122の周りの第2の電極保護管132、隔壁125、反応チューブ110などにプラズマダメージが生じて損傷を負ってしまう虞がある。
【0069】
このため、高い発熱が起こる接地電極122に対する効果的な冷却を行う必要がある。
【0070】
接地電極122に対して効果的な冷却を行うために、冷却ガス供給部150は、第2の電極保護管132と接続されてもよく、冷却ガス排出部160は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されてもよい。冷却ガス供給部150が第2の電極保護管132に接続されて接地電極122が配置(または、嵌入)された第2の電極保護管132に一番最初に冷たい前記冷却ガスを供給することにより、別の電極保護管(すなわち、前記第1の電極保護管)を経ていないため冷たい状態の前記冷却ガスにて高い発熱が起こる接地電極122を効果的に冷却させることができる。すなわち、前記冷却ガスが冷たい状態で、高い発熱が起こる接地電極122と接触することにより、前記冷却ガスと接地電極122との間に大きな温度差が生じて、前記冷却ガスと接地電極122との間において盛んな(または、効果的な)熱交換が行われることが可能になる。これにより、高い発熱が起こる接地電極122が効果的に冷却されることが可能になる。
【0071】
逆に、冷却ガス供給部150が複数本の第1の電極保護管131のうちの少なくともいずれか一本に接続されて、前記複数本の第1の電極保護管131のうちの少なくともいずれか一本から前記冷却ガスを供給する場合には、前記冷却ガスが前記複数本の第1の電極保護管131のうちの少なくともいずれか一本を通る間に、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bと熱交換をしながら暖められることになる。これによって、暖められた前記冷却ガスと接地電極122との間の温度差が微小となって(または、減って)、高い発熱が起こる接地電極122の冷却がほとんど行われなくなる(または、非効果的になる)虞がある。
【0072】
冷却ガス排出部160は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されてもよい。このことから、第2の電極保護管132に供給されて接地電極122を冷却させた前記冷却ガスを(複数本の)継管133を介して各第1の電極保護管131に移動させる(または、流れ込ませる)ことができ、複数本の第1の電極保護管131にそれぞれ流れ込んだ前記冷却ガスにて第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bをそれぞれ冷却させた後、前記冷却ガスを排出することができる。これにより、冷却ガス供給部150を介して第2の電極保護管132に供給されて、各継管133を通過して各第1の電極保護管131を経た後に冷却ガス排出部160に排出される前記冷却ガスの流れを形成することができる。なお、第2の電極保護管132を中心として第2の電極保護管132から両側の第1の電極保護管131へと前記冷却ガスが分岐される(または、振り分けられる)二本の前記冷却ガスの流れが形成されることができる。
【0073】
ここで、第2の電極保護管132に供給された前記冷却ガスは、高い発熱が起こる接地電極122を冷却させた後に、複数本の継管133を介して複数本の第1の電極保護管131に振り分けられて移動することができる。このため、たとえ接地電極122との熱交換により暖められるとしても、第1及び第2の電源供給電極121a、121bの温度よりも低い温度を有することができ、第1及び第2の電源供給電極121a、121bを冷却させることができる。このとき、第1及び第2の電源供給電極121a、121bには、(接地電極122よりも)低い発熱が起こり、これにより、接地電極122との熱交換により暖められた前記冷却ガスでも第1及び第2の電源供給電極121a、121bを十分に冷却させることができる。
【0074】
一方、第2の電極保護管132に前記冷却ガスを供給し、複数本の継管133を介して複数本の第1の電極保護管131に振り分けて二本の前記冷却ガスの流れを形成する場合には、二本の前記冷却ガスの流れが互いに干渉せずに円滑になる。逆に、複数本の第1の電極保護管131に前記冷却ガスを供給して第2の電極保護管132に前記冷却ガスを排出する場合には、複数本の第1の電極保護管131に供給された前記冷却ガスが複数本の継管133を介して一本の第2の電極保護管132に合流されながら(または、一つに合わせられながら)、ボトルネック現象(bottleneck)及び/又は渦流(vortex)が生じてしまう虞がある。これが原因となって、前記冷却ガスの流れが不円滑になってしまい、第1及び第2の電源供給電極121a、121b及び/又は接地電極122の冷却が効果的に行われなくなる虞がある。すなわち、前記冷却ガスが複数本の第1の電極保護管131から一本の第2の電極保護管132へと一つに合わせられることにより、二本の前記冷却ガスの流れが互いに干渉し、その結果、前記冷却ガスの流れが不円滑にならざるを得ない。
【0075】
ここで、冷却ガス排出部160は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続される排気ライン161を備えていてもよい。排気ライン161は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されてもよく、第2の電極保護管132に供給されて接地電極122を冷却させ、複数本の継管133を介して複数本の第1の電極保護管131に振り分けられて移動した後、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bを冷却させた前記冷却ガスが排出されてもよい。このとき、排気ライン161が複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されて、前記冷却ガスの排出される個所(例えば、排気口)が前記冷却ガスの供給される個所(例えば、流込み口)よりも多くなる(または、広くなる)ことにより、前記冷却ガスが円滑に排出されることが可能になる。なお、前記冷却ガスの供給に伴い、前記冷却ガスの流れが円滑になる。
【0076】
さらに、排気ライン161は、ポンピングポートに接続される第1の排気ライン161aと、第1の排気ライン161aから分岐される第2の排気ライン161bと、を備えていてもよい。第1の排気ライン161aは、ポンピングポート(pumping port)に接続されてもよく、排気ライン161の少なくとも一部(例えば、前記第1の排気ライン)に排気圧(または、排気圧力)を形成することができ、複数本の第1の電極保護管131から前記冷却ガスを円滑に排出することができる。
【0077】
例えば、第1の排気ライン161aは、前記ポンピングポートに接続された真空ポンプ(vacuum pump)165と接続されてもよく、接地電極122及び第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bとの熱交換により暖められた前記冷却ガスを速やかに排出することができる。このことから、接地電極122と第1及び第2の電源供給電極121a、121bを急速に冷却させて、接地電極122と第1及び第2の電源供給電極121a、121bの冷却効率を高めることができる。
【0078】
第2の排気ライン161bは、第1の排気ライン161aから分岐されてもよく、真空ポンプ165などを介した人為的な排気圧の形成なしに、前記冷却ガスを大気に排気することができる。
【0079】
ここで、各第1の電極保護管131内の前記冷却ガスの流量は、第2の電極保護管132内の前記冷却ガスの流量よりも少なくてもよく、これにより、たとえ単一の真空ポンプ165にて複数本の第1の電極保護管131から同時に前記冷却ガスを排出する場合であっても、効果的に前記冷却ガスを排出することができる。なお、第2の電極保護管132の内部圧力よりも各第1の電極保護管131の内部圧力の方がさらに低くなって、第2の電極保護管132から各第1の電極保護管131へと前記冷却ガスが効果的に流れることができる。
【0080】
このとき、冷却ガス排出部160は、排気ライン161の内径を調節する直径調節部材163をさらに備えていてもよい。直径調節部材163は、排気ライン161の内径を調節することができ、少なくとも第1の排気ライン161aの内径を調節することができる。複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132は、石英などから作製されて真空圧(または、負圧)により割れてしまう虞があるため、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132内を適正な(内部)圧力(例えば、大気圧レベル)に保持することが好ましい。直径調節部材163なしに真空ポンプ165を介して排気ライン161に排気圧を形成する場合には、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132内にあまりにも低過ぎる(内部)圧力(または、真空圧)が形成されて、複数本の第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132が割れてしまう虞がある。これにより、直径調節部材163を介して排気ライン161のうち、少なくとも第1の排気ライン161aの内径を縮径させて(または、調節して)、たとえ真空ポンプ165を介して排気ライン161に排気圧を形成するとしても、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132内を適正な(内部)圧力に保持することができる。
【0081】
例えば、直径調節部材163は、オリフィス(orifice)を備えていてもよく、1/4インチ(in)の第1の排気ライン161aにオリフィスを嵌入して、接地電極122と第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bを冷却させた前記冷却ガスが真空ポンプ165に一定に排出されるようにすることができる。ここで、前記オリフィスは、穴の開いた薄い板であって、圧力降下及びの流れの制限の目的で用いることができ、安定的な排気圧力にて前記冷却ガスを排出するのに役立てることができる。
【0082】
一方、本発明のバッチ式基板処理装置100は、接地電極122と第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bを冷却させた前記冷却ガスの排出量を調節するために、排気ライン161に配設されるニードル(Needle)弁164をさらに備えていてもよい。ニードル弁164は、排気ライン161に配設されてもよく、微小な流量を調節することができる。ここで、ニードル弁164は、手動で超微小な流量を制御することができて、真空排気及び/又は大気排気(または、熱排気)を行う上で排気量を調節することができる。
【0083】
ここで、冷却ガス排出部160は、第1の排気ライン161aに配設される第1の弁162aと、第2の排気ライン161bに配設される第2の弁162bと、をさらに備えていてもよい。第1の弁162aは、第1の排気ライン161aに配設されてもよく、第1の弁162aが開かれる場合に第1の排気ライン161aを介した排気が行われることができ、真空排気が行われることができる。
【0084】
第2の弁162bは、第2の排気ライン161bに配設されてもよく、第2の弁162bが開かれる場合に第2の排気ライン161bを介した排気が行われることができ、大気排気が行われることができる。
【0085】
例えば、第1の弁162aと第2の弁162bは、第1の電源供給電極121aの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161と、第2の電源供給電極121bの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161との合流点161c)の後(または、後端)に配設(または、配備)されてもよい。このとき、第1の弁162aと第2の弁162bの開閉に伴い、合流点161cから真空排気と大気排気が分岐されてもよい。
【0086】
このとき、第1の弁162aは、第1及び第2の電源供給電極121a、121bへの電源の供給時に開かれてもよく、第2の弁162bは、第1及び第2の電源供給電極121a、121bへの電源の未供給時に開かれてもよい。すなわち、第1及び第2の電源供給電極121a、121bに(高周波)電源が供給されてプラズマを生成する場合に、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122に発熱が起こることになる。このため、第1の弁162aを開いて排気ライン161の排気圧を形成することで、接地電極122と第1及び第2の電源供給電極121a、121bを急速に冷却させて接地電極122と第1及び第2の電源供給電極121a、121bの冷却効率を高めることができる。なお、プラズマの生成が不要であるため第1及び第2の電源供給電極121a、121bに電源が供給されない場合には、第2の弁162bを開いて接地電極122及び第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bとの熱交換により暖められた前記冷却ガスを大気排気してもよい。ここで、第1の弁162aを開く場合には第2の弁162bを閉じ(または、閉弁し)てもよく、第2の弁162bを開く場合には第1の弁162aを閉じてもよい。
【0087】
排気ライン161には、前記冷却ガスの流量1slm(Standard Liter per Minute)当たりに0.15mbar以上の排気圧力が形成されてもよく、詳しくは、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15~20mbar以上の排気圧力が形成されてもよい。第2の電極保護管132に(しか)前記冷却ガスを供給しない場合には、前記冷却ガスが複数本の第1の電極保護管131に均一に振り分けられて流れられなければならず、第1及び第2の電源供給電極121a、121bの冷却効率を同一のレベルに保持しなければならない。しかしながら、接地電極122、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの弛み(または、傾き)現象により各電極121または122と電極保護管131または132との間の間隔が不安定になって前記冷却ガスの流れが妨げられてしまう虞がある。これは、第1及び第2の電源供給電極121a、121b及び/又は接地電極122の冷却効率を低下させる要因として働く虞がある。
【0088】
このため、排気ライン161は、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15mbar以上の排気圧力を形成することができる。このような場合、接地電極122、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの弛み現象を抑止または防止して、各電極121または122と電極保護管131または132との間の間隔を同一のレベルに保持することができるだけではなく、たとえ各電極121または122と電極保護管131または132との間の間隔が一定ではないとしても、複数本の第1の電極保護管131に均等に振り分けられて流れることができる。なお、複数本の第1の電極保護管131に(ほぼ)一定の(または、同一のレベルの)流量の前記冷却ガスが流れることができて、第1及び第2の電源供給電極121a、121bの冷却効率が均等になる。
【0089】
このとき、排気ライン161に前記冷却ガスの流量1slm当たりに20mbarを超える排気圧力を形成してしまうと、前記冷却ガスがあまりにも速く流れてしまう結果、接地電極122、第1の電源供給電極121a及び/又は第2の電源供給電極121bとの熱交換が十分に行われなくなり、むしろ第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122の冷却効率が低下してしまう虞がある。
【0090】
一方、第1の電源供給電極121aの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161と第2の電源供給電極121bの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161の排気圧力をそれぞれ調節(または、制御)してもよい。第1の電源供給電極121aの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161と第2の電源供給電極121bの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161の排気圧力をそれぞれ調節することにより、複数本の第1の電極保護管131に(ほぼ)一定の流量の前記冷却ガスが流れるようにすることができる。このとき、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれの流量を測定して、第1の電源供給電極121aの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161と第2の電源供給電極121bの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161の排気圧力をそれぞれ調節してもよい。なお、第1及び第2の電源供給電極121a、121bのそれぞれの温度などに応じて、適切な冷却を行うために、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれの流量が異なるように、第1の電源供給電極121aの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161と第2の電源供給電極121bの配置された第1の電極保護管131に接続された排気ライン161の排気圧力をそれぞれ調節してもよい。
【0091】
複数本の継管133は、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内径よりも小さな内径を有していてもよい。複数本の継管133が複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内径よりも小さな内径を有する場合には、第2の電極保護管132内に前記冷却ガスが十分に満たされた後、複数本の第1の電極保護管131に振り分けられて流れることができる。なお、第2の電極保護管132内に前記冷却ガスが十分に満たされることにより、接地電極122の酸化を効果的に防ぐことができる。
【0092】
逆に、複数本の継管133が複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内径以上の内径を有する場合には、第2の電極保護管132の内に供給された前記冷却ガスが第2の電極保護管132の内に(十分に)満たされないうちに、複数本の継管133に流れ出てしまう虞がある。これに起因して、前記冷却ガスが接地電極122、第1の電源供給電極121a及び/又は第2の電源供給電極121bの表面の全体に行き渡らなくなり、その結果、酸化防止の効果が低下してしまう虞がある。なお、熱交換が行われない部分が生じて冷却効率が低下するだけではなく、接地電極122、第1の電源供給電極121a及び/又は第2の電源供給電極121bに位置ごとの温度のバラツキが生じて接地電極122、第1の電源供給電極121a及び/又は第2の電源供給電極121bに損傷を負ったり、プラズマ放電(または、生成)性能にも影響を及ぼしたりしてしまう虞がある。
【0093】
したがって、本発明においては、複数本の継管133の内径を複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内径よりも小さくして、これらの不都合を解消することができる。
【0094】
ここで、前記冷却ガスは、不活性ガスを含んでいてもよく、前記不活性ガスは、窒素(N)、アルゴン(Ar)などであってもよい。複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内に窒素(N)などの不活性ガスを供給することにより、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の内に酸素(O)が流れ込んだり停滞したりすることを防ぐことができる。このことから、第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122が酸素(O)と反応して酸化されてしまうことを防ぐことができる。
【0095】
冷却ガス供給部150は、第1及び第2の電源供給電極121a、121bへの電源の未供給時に、第1及び第2の電源供給電極121a、121bへの電源の供給時よりもさらに少ない流量の前記冷却ガスを供給することができる。第1及び第2の電源供給電極121a、121bと接地電極122には、第1及び第2の電源供給電極121a、121bに電源を供給してプラズマを生成する場合にしか発熱が起こらなくなる。この理由から、プラズマ生成(または、放電)をしないため第1及び第2の電源供給電極121a、121bに電源を供給しない場合には、第1及び第2の電源供給電極121a、121bの電源供給時の流量(例えば、10slm)よりもさらに少ない流量(例えば、3slm)の前記冷却ガスを供給することができ、通常の大気排気として排出して省エネルギー化を図ることができる。
【0096】
本発明に係るバッチ式基板処理装置100は、複数本の第1の電極保護管131にそれぞれ接続され、各第1の電極保護管131と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの排出される排気口141aが形成される複数の第1のシールキャップ141と、第2の電極保護管132に接続され、第2の電極保護管132と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの供給される流込み口142aが形成される第2のシールキャップ142と、をさらに備えていてもよい。
【0097】
複数の第1のシールキャップ141は、複数本の第1の電極保護管131にそれぞれ接続されてもよく、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの少なくとも一部が嵌入(または、収容)されるように各第1の電極保護管131と連通される内部空間を有していてもよい。なお、複数の第1のシールキャップ141は、前記各第1の電極保護管131と連通される内部空間の側壁に半径方向に前記冷却ガスが排出される排気口141aが形成されてもよい。すなわち、排気口141aは、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの延長方向と垂直な方向に形成されてもよい。
【0098】
例えば、複数の第1のシールキャップ141は、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれの他方の端(例えば、下端)に接続されてもよく、各第1の電極保護管131と第1のシールキャップ141との間には、Oリングなどの第1のシール部材135が介在されてもよい。なお、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bの後端(または、下端)は、各第1のシールキャップ141を貫通して引き出されてもよい。このとき、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bは、各第1のシールキャップ141の内部空間に収容される他の部分よりも拡幅された突出部が形成されてもよく、各第1のシールキャップ141の後端部(例えば、下端部)の段付部に跨ってもよい。ここで、前記突出部は、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bのそれ自体が突出するように形成されてもよく、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bに同一の素材または異なる素材を継ぎ当てて形成してもよい。このとき、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの前記突出部と各第1のシールキャップ141の後端部の段付部との間には、Oリングなどの第2のシール部材145が介在されてもよい。これにより、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bが安定的に支持されて、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bの弛み現象を防止もしくは抑止することができ、各第1の電極保護管131の他方の端が密閉されることが可能になる。
【0099】
第2のシールキャップ142は、第2の電極保護管132に接続されてもよく、接地電極122の少なくとも一部が嵌入されるように第2の電極保護管132と連通される内部空間を有していてもよい。なお、第2のシールキャップ142は、前記第2の電極保護管132と連通される内部空間の側壁に半径方向に前記冷却ガスが供給される流込み口142aが形成されてもよい。すなわち、流込み口142aは、接地電極122の延長方向と垂直な方向に形成されてもよい。
【0100】
例えば、第2のシールキャップ142は、第2の電極保護管132の他方の端に接続されてもよく、第2の電極保護管132と第2のシールキャップ142との間には、第1のシール部材135が介在されてもよい。なお、接地電極122の後端は、第2のシールキャップ142を貫通して引き出されてもよく、接地電極122は、第2のシールキャップ142の内部空間に収容される他の部分よりも拡幅された突出部が形成されてもよく、第2のシールキャップ142の後端部の段付部に跨ってもよい。ここで、前記突出部は、接地電極122のそれ自体が突出するように形成されてもよく、接地電極122に同一の素材または異なる素材を継ぎ当てて形成してもよい。このとき、接地電極122の前記突出部と第2のシールキャップ142の後端部の段付部との間には、第2のシール部材145が介在されてもよい。これにより、接地電極122が安定的に支持されて、接地電極122の弛み現象を防止もしくは抑止することができ、第2の電極保護管132の他方の端が密閉されることが可能になる。
【0101】
一方、接地電極122の延長方向と垂直な方向に形成された流込み口142aを介して接地電極122の側面に向かって前記冷却ガスを供給することにより、前記冷却ガスが接地電極122の側面に乗って速やかにかつ効果的に拡散することができる。また、接地電極122の表面に接して前記冷却ガスが流れることになって、接地電極122と前記冷却ガスとの間の熱交換が効果的に行われることができる。なお、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの延長方向と垂直な方向に形成された排気口141aを介しては、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの側面に乗って速やかにかつ効果的に前記冷却ガスの流れを形成することにより、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bの表面に接して前記冷却ガスが流れることになって、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bと前記冷却ガスとの間の熱交換が効果的に行われることができる。
【0102】
さらに、第2のシールキャップ142の流込み口142aと第1のシールキャップ141の排気口141aは、大きさ(または、直径)及び/又は本数が異なっていてもよい。例えば、第2のシールキャップ142には、接地電極122を効果的に冷却させながら、複数本の第1の電極保護管131に振り分けて十分な量の前記冷却ガスを与えられるように、多量の前記冷却ガスを第2の電極保護管132に供給するために、第1のシールキャップ141の排気口141aよりも多い二本の流込み口142aが形成されてもよい。なお、第1のシールキャップ141の排気口141aを介して前記冷却ガスが効果的に排出できるように、第1のシールキャップ141には、第2のシールキャップ142の流込み口142aよりも大きなサイズの排気口141aが形成されてもよい。
【0103】
本発明のバッチ式基板処理装置100は、複数枚の基板10を処理する工程に必要とされる前記工程ガスを供給するガス供給管170と、反応チューブ110内を排気する排気部180と、をさらに備えていてもよい。
【0104】
ガス供給管170は、複数枚の基板10を処理する工程に必要とされる前記工程ガスを供給することができ、プラズマ形成部120を介して反応チューブ110の内に供給することができ、前記放電空間に前記工程ガスを吐き出す(または、吹き付ける)吐出口171を備えていてもよい。このとき、プラズマ形成部120は、前記反応チューブ110の長手方向に並べられて、前記プラズマにより分解された前記工程ガス中のラジカルを処理空間111に供給する複数の吹付口125aを備えていてもよい。例えば、複数の吹付口125aは、隔壁125に形成されてもよく、前記ラジカルを処理空間111に供給することができる。
【0105】
ここで、ガス供給管170は、複数本から構成されて、反応チューブ110の中心から接地電極122に向かって延びる(仮想)線を中心として対称状に配置されてもよい。このことから、第1の電源供給電極121aと接地電極122との間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと接地電極122との間の離間空間に均一に前記工程ガスを供給することができる。
【0106】
排気部180は、反応チューブ110内を排気することができ、プラズマ形成部120と互いに対向するように配置されてもよい。排気部180は、処理空間111の内に配置されて、処理空間111内の工程残渣を外部に排気する役割を果たすことができる。排気部180は、前記反応チューブ110の長手方向(または、上下方向)に延びる排気ノズル、前記排気ノズルに接続される排気ライン及び排気ポンプから構成されてもよい。前記排気ノズルは、プラズマ形成部130の吹付口125aと対向していてもよく、前記基板ボートの単位処理空間にそれぞれ対応付けられて上下方向に並べられた複数本の排気孔を備えていてもよい。
【0107】
このため、プラズマ形成部120の吹付口125aと排気部180の排気孔とが互いに対応付けられて、基板10が積載される前記反応チューブ110の長手方向と交わる基板10の表面と平行な方向に同一線の上に位置することにより、吹付口125aから吹き付けられるラジカルが前記排気孔に流れ込みながら、層流(Laminar Flow)を形成することができる。これにより、前記吹付口125aから吹き付けられるラジカルが基板10の上部面に均一に供給されることが可能になる。
【0108】
ここで、前記工程ガスは、一種以上のガスを含んでいてもよく、ソースガス及び前記ソースガスと反応して薄膜物質を形成する反応ガスを含んでいてもよい。例えば、基板10の上に蒸着されるべき薄膜物質がシリコン窒化物である場合、前記ソースガスは、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)などのシリコンを含有するガスを含んでいてもよく、反応ガスは、NH、NO、NOなどの窒素を含有するガスを含んでいてもよい。
【0109】
一方、本発明のバッチ式基板処理装置100は、複数枚の基板10を加熱するために反応チューブ110を取り囲む前記加熱手段をさらに備えていてもよい。なお、前記基板ボートは、処理工程の均一性のために前記基板ボートの下部に接続された回転手段により回転されてもよい。
【0110】
さらに、前記RF電源は、パルス(pulse)状のRF電力を印加してもよい。パルス状のRF電力は、1kHz~10kHzのパルス周波数領域帯においてパルスの幅とデューティ比(duty ratio)が調節されてもよい。前記デューティ比とは、オン周期とオフ周期との比のことをいう。パルス状のRF電力を第1及び第2の電源供給電極121a、121bに印加すれば、プラズマが周期的にオン/オフになることができ、プラズマがパルス状に生じることができる。これにより、処理工程の最中に複数の電極121、122及び隔壁125に損傷を負わせ、パーティクルを生じさせるイオンの密度は下げられるのに対し、ラジカルの密度は一定に保持することができる。したがって、処理工程の効率を保持しつつも、プラズマにより複数の電極121、122及び隔壁125に損傷を負い、パーティクルが生じてしまうことを低減もしくは防止することができる。
【0111】
このように、本発明においては、電極保護部を介して複数の電極を電気的に絶縁させるとともに、プラズマ雰囲気に晒される複数の電極をプラズマから保護することができ、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクルから複数の電極を安全に保護することができる。また、複数本の継管を介して複数本の第1の電極保護管がそれぞれ第2の電極保護管と継がれて電極保護部が構成されることにより、各第1の電極保護管と第2の電極保護管との間の間隔を保持して第1及び第2の電源供給電極と接地電極との間の間隔を等間隔に保持することができる。これにより、第1の電源供給電極と接地電極との間の離間空間及び第2の電源供給電極と接地電極との間の離間空間が同一の体積を有するようにして、複数のプラズマ発生空間同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることができる。また、複数本の継管を介して複数本の第1の電極保護管のそれぞれを第2の電極保護管と連通させることにより、複数本の第1の電極保護管と第2の電極保護管の内に冷却ガスを供給しながら、冷却ガス供給部と冷却ガス排出部を通じた冷却ガスの流れを形成することができる。これにより、プラズマを生成しながら発熱が起こる第1及び第2の電源供給電極と接地電極を効果的に冷却させることができる。このとき、第1の電源供給電極と第2の電源供給電極の両方の影響を受けて電場が重なり合うことに起因して高い発熱が起こる接地電極に配設される第2の電極保護管に冷却ガスを供給することにより、接地電極の高い発熱を効果的に冷却させることができる。なお、第2の電極保護管に供給された多い流量の冷却ガスが複数本の第1の電極保護管に分けられて排出されることにより、冷却ガスの流れが円滑になることができる。ここで、複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続された排気ラインをポンピングポートと接続することにより、接地電極、第1の電源供給電極及び/又は第2の電源供給との熱交換により暖められた冷却ガスを速やかに排出することができ、これにより、なお一層効果的な冷却が行われることが可能になる。
【0112】
以上、本発明の好適な実施形態について図示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形が行え、且つ、均等な他の実施形態が採用可能であるということが理解できる筈である。よって、本発明の技術的な保護範囲は、次の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0113】
10:基板
100:バッチ式基板処理装置
110:反応チューブ
111:処理空間
120:プラズマ形成部
121a:第1の電源供給電極
121b:第2の電源供給電極
122:接地電極
125:隔壁
125a:吹付口
130:電極保護部
131:第1の電極保護管
132:第2の電極保護管
133:継管
135:第1のシール部材
141:第1のシールキャップ
141a:排気口
142:第2のシールキャップ
142a:流込み口
145:第2のシール部材
150:冷却ガス供給部
151:流量計
160:冷却ガス排出部
161:排気ライン
161a:第1の排気ライン
161b:第2の排気ライン
161c:合流点
162a:第1の弁
162b:第2の弁
163:直径調節部材
164:ニードル弁
165:真空ポンプ
170:ガス供給管
171:吐出口
180:排気部
図1
図2
図3