(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】手術器具支援ロボットアーム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240529BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J9/06 B
(21)【出願番号】P 2023046605
(22)【出願日】2023-03-23
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】郭子維
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-065016(JP,A)
【文献】特開2007-237380(JP,A)
【文献】特開2023-009124(JP,A)
【文献】特開2021-180846(JP,A)
【文献】特開2005-297187(JP,A)
【文献】特開2022-187879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0275928(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0315721(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0000576(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0405395(US,A1)
【文献】国際公開第2010/126129(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112494143(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109091230(CN,A)
【文献】中国実用新案第211460507(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
B25J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具を遠隔運動中心に維持する手術器具支援ロボットアームであって、
固定台座、第一伝動モジュール、第二伝動モジュールおよび第三伝動モジュールを備え、
前記第一伝動モジュールは第一アーム、第一アクチュエータ、第一駆動ギア、第一受動ギア、第一固定軸および第一固定ギアを有し、前記第一アームは後端部が前記固定台座に回転可能に連結され、前記第一アクチュエータは前記第一アーム内に装着され、前記第一駆動ギアは前記第一アーム内に装着され、かつ前記第一アクチュエータに連結され、前記第一受動ギアは前記第一アームの前端部に回転可能に装着され、かつ前記第一駆動ギアと噛み合うように配置され、前記第一固定軸は前記第一アームの前記前端部および前記第一受動ギアに差し込まれて配置され、前記第一固定軸は一端が前記第一アームに固定され、別の一端が前記第一アーム
から突出し、前記第一固定ギアに連結され、
それにより、前記第一伝動モジュールは前記固定台座に対し、第一軸方向を中心に回転可能であり、
前記第二伝動モジュールは第二アーム、第一遊星ギア、第一伝動軸、第二駆動ギアおよび第二受動ギアを有し、前記第二アームは底部に第一固定ギアを収容することによって第一受動ギアに連結され、前記第一遊星ギアは前記第二アームの前記底部に回転可能に装着され、かつ前記第一固定ギアと噛み合
って前記第一固定ギアの周りを公転しながら自転可能に配置され、前記第一伝動軸は前記第二アーム内に装着され、一端が前記第一遊星ギアに連結され、別の一端が前記第二駆動ギアに連結され、前記第二受動ギアは前記第二アームの頂部に回転可能に装着され、かつ前記第二駆動ギアと噛み合うように配置され、
それにより、前記第二伝動モジュールは前記第一受動ギアの作動に伴って、前記第一伝動モジュールに対し、第二軸方向を中心に回転し、
前記第三伝動モジュールは前記第二受動ギアおよび前記手術器具を連結
し、それにより、前記第三伝動モジュールは前記第二受動ギアの作動に伴って、前記第二伝動モジュールに対し、第三軸方向を中心に回転し、
前記第二伝動モジュールはさらに第二固定軸および第二固定ギアを有し、前記第二固定軸は前記第二アームの前記頂部および前記第二受動ギアに差し込まれて配置され、前記第二固定軸は一端が前記第二アームに固定され、別の一端が前記第二アームから突出し、前記第二固定ギアに連結され、
前記第三伝動モジュールは第三アーム、第二遊星ギア、第二伝動軸、第三駆動ギアおよび第三受動ギアを有し、前記第三アームは後端部に前記第二固定ギアを収容することによって前記第二受動ギアに連結され、前記第二遊星ギアは前記第三アームの前記後端部に回転可能に装着され、かつ前記第二固定ギアと噛み合って前記第二固定ギアの周りを公転しながら自転可能に配置され、前記第二伝動軸は前記第三アーム内に装着され、一端が前記第二遊星ギアに連結され、別の一端が前記第三駆動ギアに連結され、前記第三受動ギアは前記第三アームの前端部に回転可能に装着され、かつ前記第三駆動ギアと噛み合ったうえで前記手術器具を連結し、それにより、前記第三受動ギアは前記第三駆動ギアの作動に伴って、第四軸方向を中心に回転し、
前記第一固定ギアと前記第一遊星ギアのギア比は前記第二駆動ギアと前記第二受動ギアのギア比と同じであり、
前記第二固定ギアと前記第二遊星ギアのギア比は前記第三駆動ギアと前記第三受動ギアのギア比と同じであることを特徴とする
、
手術器具支援ロボットアーム。
【請求項2】
前記第一軸方向と第一連結線との間の角度は4から8度の間であり、
前記第一連結線は前記第三軸方向と前記第四軸方向との間に形成され、前記第三伝動モジュールを貫通し、第五軸方向と第二連結線との間の角度は62から66度の間であ
り、前記第二連結線は前記第二軸方向と前記第三軸方向との間に形成され、前記第二伝動モジュールを貫通し、前記手術器具は前記第五軸方向に沿って上下に移動することを特徴とする請求項1に記載の手術器具支援ロボットアーム。
【請求項3】
前記第一伝動モジュールと前記第三伝動モジュールは前記第二伝動モジュールと同じ側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の手術器具支援ロボットアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームに関し、詳しくは複数のアームを連動させる機能によって手術器具をサポートするロボットアームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により掲示された医療用観察装置において、アームユニットはアクチュエータを介して動力を駆動軸に伝達し、続いて駆動軸を介して第一ベベルギアと第二ベベルギアを噛み合わせて動力を関節ユニットに伝達し、続いて指令に応じる関節ユニットを作動させる。しかし、特許文献1がさらに複数のアームを連動させる機能を備えれば、すべてのアームユニットにアクチュエータを配置することが必要であり、コストを増加させてしまう。
【0003】
特許文献2により掲示されたロボット医療システムにおいて、入力はすば歯車は入力ピニオンを駆動し、自転させる。入力ピニオンは自転しながら入力はすば歯車の周りを公転する。入力ピニオンを公転する際、リンク機構は出力ピニオンを駆動し、自転させる。出力ピニオンは自転しながら、出力はすば歯車の周りを公転する。上述した構造特徴により、出力はすば歯車は出力ピニオンによって駆動されるとともに末端の支持部を回転させる。しかし、特許文献2は単一関節に連動効果を果たすことしかできない。また入力はすば歯車と出力はすば歯車はリンク機構の相対する両側に配置されるため、全体構造の体積が比較的大きいだけでなく、配線位置に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6970780号公報
【文献】米国特許第11,173,003号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は単一駆動源で複数のアームを連動させる手術器具支援ロボットアームを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、手術器具支援ロボットアームは手術器具を遠隔運動中心に維持するものであり、固定台座、第一伝動モジュール、第二伝動モジュールおよび第三伝動モジュールを備える。第一伝動モジュールは第一アーム、第一アクチュエータ、第一駆動ギア、第一受動ギア、第一固定軸および第一固定ギアを有する。第一アームは前端部および後端部を有する。第一アームの後端部は固定台座に回転可能に連結される。第一アクチュエータは第一アーム内に装着される。第一駆動ギアは第一アーム内に装着され、かつ第一アクチュエータに連結されたうえで第一アクチュエータの駆動力を受けて回転する。第一受動ギアは第一アームの前端部に回転可能に装着され、かつ第一駆動ギアと噛み合ったうえで第一駆動ギアの駆動力を受けて回転する。第一固定軸は第一アームの前端部および第一受動ギアに差し込まれて配置される。第一固定軸は一端が第一アームに固定され、別の一端が第一アームに突出し、第一固定ギアに連結される。第二伝動モジュールは第二アーム、第一遊星ギア、第一伝動軸、第二駆動ギアおよび第二受動ギアを有する。第一固定ギアは第二アームの底部に格納され、かつ第一受動ギアに連結されるため、第二アームは第一受動ギアの駆動力を受けて回転する。第一遊星ギアは第二アームの底部に回転可能に装着され、かつ第一固定ギアと噛み合ったうえで第二アームの駆動力を受けて第一固定ギアの周りを公転しながら自転する。第一伝動軸は第二アーム内に装着され、一端が第一遊星ギアに連結され、別の一端が第二駆動ギアに連結されたうえで第一遊星ギアによって駆動されるとともに第二駆動ギアを回転させる。第二受動ギアは第二アームの頂部に回転可能に装着され、かつ第二駆動ギアと噛み合ったうえで第二駆動ギアの駆動力を受けて回転する。第三伝動モジュールは第二伝動モジュールの第二受動ギアおよび手術器具を連結したうえで第二伝動モジュールの第二受動ギアによって駆動されるとともに手術器具を遠隔運動中心に維持する。
【0007】
上述した構造特徴により、第一アクチュエータを起動すれば、第二伝動モジュールは第一受動ギアの作動に伴って第一伝動モジュールに対し、回転すると同時に第一遊星ギアを連動させる。第一遊星ギアは第一固定ギアの周りを公転しながら自転する。第三伝動モジュールは第二受動ギアの作動に伴って手術器具を作動させる。つまり、本発明による手術器具支援ロボットアームは一組の第一アクチュエータで複数のアームを連動させる機能を果たすことができる。
【0008】
比較的好ましい場合、第二伝動モジュールはさらに第二固定軸および第二固定ギアを有する。第二固定軸は第二アームの頂部および第二受動ギアに差し込まれて配置される。第二固定軸は一端が第二アームに固定され、別の一端が第二アームに突出し、第二固定ギアに連結される。第三伝動モジュールは第三アーム、第二遊星ギア、第二伝動軸、第三駆動ギアおよび第三受動ギアを有する。第二固定ギアは第三アームの後端部に格納され、かつ第二受動ギアに連結されるため、第三アームは第二受動ギアの駆動力を受けて回転する。第二遊星ギアは第三アームの後端部に回転可能に装着され、かつ第二固定ギアと噛み合ったうえで第三アームの駆動力を受けて第二固定ギアの周りを公転しながら自転する。第二伝動軸は第三アーム内に装着され、一端が第二遊星ギアに連結され、別の一端が第三駆動ギアに連結されたうえで第二遊星ギアによって駆動されるとともに第三駆動ギアを回転させる。第三受動ギアは第三アームの前端部に回転可能に装着されて手術器具に連結され、かつ第三駆動ギアと噛み合ったうえで第三駆動ギアによって駆動されるとともに手術器具を回転させる。
【0009】
比較的好ましい場合、手術器具支援ロボットアームはさらにレーザー部品を備える。レーザー部品は第一アーム内に装着され、遠隔運動中心にレーザービームを放射することによって手術器具の設置および位置決めを迅速に行うことができる。
【0010】
比較的好ましい場合、第一伝動モジュールは固定台座に対し、第一軸方向を中心に回転する。レーザービームは同軸上の第一軸方向に対応する。
【0011】
比較的好ましい場合、臨床使用の条件を満足させるために、第一伝動モジュールと第三伝動モジュールとの間の角度は4から8度の間である。手術器具と第二伝動モジュールとの間の角度は62から66度の間である。
【0012】
比較的好ましい場合、第一固定ギアと第一遊星ギアのギア比は第二駆動ギアと第二受動ギアのギア比と同じである。第二固定ギアと第二遊星ギアのギア比は第三駆動ギアと第三受動ギアのギア比と同じである。上述した構造特徴により、第二アームと第三アームは同調し、等角でスウィングしたうえで手術器具を遠隔運動中心に維持する。
【0013】
比較的好ましい場合、第一伝動モジュールと第三伝動モジュールは第二伝動モジュールと同じ側に配置されるため、全体の体積が小さくなる。
【0014】
比較的好ましい場合、第一固定軸は第一配線溝を有する。第一固定ギアは第一配線孔を有する。第一配線溝と第一配線孔は同軸に位置し、相互に繋がる。第二固定軸は第二配線溝を有する。第二固定ギアは第二配線孔を有する。第二配線溝と第二配線孔は同軸に位置し、相互に繋がる。上述した構造特徴により、移動の便をはかることができる。
【0015】
比較的好ましい場合、第一アームは前端部に第一支持部と第一ねじ孔を有する。第一ねじ孔は第一支持部に形成される。第一固定軸は径方向に沿って第一配線溝に繋がる第一下方位置決め孔を有する。第一伝動モジュールはさら第一位置決めユニットと第一ボルトを有する。第一位置決めユニットは第一アームの第一支持部および第一固定軸を押さえ、第一上方位置決め孔を有する。第一ボルトは第一上方位置決め孔および第一下方位置決め孔を貫通し、第一ねじ孔に締め付けられることで第一固定軸と第一アームをまとめて固定する。第二アームは頂部に第二支持部と第二ねじ孔を有する。第二ねじ孔は第二支持部に形成される。第二固定軸は径方向に沿って第二配線溝に繋がる第二下方位置決め孔を有する。第二伝動モジュールはさら第二位置決めユニットと第二ボルトを有する。第二位置決めユニットは第二アームの第二支持部および第二固定軸を押さえ、第二上方位置決め孔を有する。第二ボルトは第二上方位置決め孔および第二下方位置決め孔を貫通し、第二ねじ孔に締め付けられることで第二固定軸と第二アームをまとめて固定する。
【0016】
比較的好ましい場合、第二伝動モジュールは第一伝動モジュールに対し、第二軸方向を中心に回転する。第二軸方向は第一軸方向とずれて上に伸びることで第一伝動モジュールの下方に空間を生じる。上述した構造特徴により、患者の腹部が別の手術器具にぶつかることを避けることができる。
【0017】
本発明による手術器具支援ロボットアームの詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの第一伝動モジュールの一部分を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの第二伝動モジュールの一部分を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの一部分、即ち第一駆動ギアと第一受動ギアとが噛み合い、第一固定ギアと第一遊星ギアとが噛み合う状態を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの一部分、即ち第一駆動ギアと第一受動ギアとが噛み合い、第一固定ギアと第一遊星ギアとが噛み合う状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの第三伝動モジュールの一部分を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの一部分、即ち第二駆動ギアと第二受動ギアとが噛み合い、第二固定ギアと第二遊星ギアとが噛み合う状態を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの一部分、即ち第二駆動ギアと第二受動ギアとが噛み合い、第二固定ギアと第二遊星ギアとが噛み合う状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの第四伝動モジュールから第四ハウジングを取り外した状態を示す側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームの一部分、第三伝動モジュールと第四伝動モジュールの構造および連結関係を示す分解斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームが初期状態に維持された時の側面図である。
【
図12】本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアームが最大伸展状態に維持された時の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による手術器具支援ロボットアームを図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造特徴を示す。
【0020】
(一実施形態)
図1に示すように、本発明の一実施形態による手術器具支援ロボットアーム10は固定台座20、第一伝動モジュール30、第二伝動モジュール40、第三伝動モジュール
50および第四伝動モジュール60を備える。
【0021】
図2に示すように、第一伝動モジュール30は第一アーム31、第一アクチュエータ32、第二アクチュエータ33、第一駆動ギア34、第一受動ギア35、第一固定軸36、第一固定ギア37、第一位置決めユニット38および第一ボルト39を有する。第一アーム31は第一ハウジング311および第一サイドカバー312を有する。第一サイドカバー312は複数のねじS1で第一ハウジング311に締め付けられる。第一ハウジング311は前端部に第一支持部313を有する。第一支持部313は第一支持溝314と、第一支持溝314に繋がる第一ねじ孔315とを有する。第一アーム31の後端部は関節ユニット316を介して固定台座20に回転可能に連結される。第一アクチュエータ32および第二アクチュエータ33は第一アーム31内に上下に並んで前後逆に装着される。第二アクチュエータ33は関節ユニット316に連結されたうえで関節ユニット316を回転させるとともに
図11に示すように固定台座20に対し、第一軸方向A1を中心に第一伝動モジュール30を回転させる。第一駆動ギア34は第一アーム31内に装着され、減速機342を介して第一アクチュエータ32に連結されたうえで第一アクチュエータ32の駆動力を受けて回転する。第一受動ギア35は第一ハウジング311の前端部に回転可能に装着され、第一駆動ギア34と噛み合ったうえで第一駆動ギア34の駆動力を受けて回転する。
図2、
図4および
図5に示すように、第一固定軸36は第一ハウジング311の前端部および第一受動ギア35に差し込まれて配置される。第一固定軸36は一端が第一支持部313の第一支持溝314内に嵌まり込み、別の一端が第一ハウジング311に突出し、複数のねじS2によって第一固定ギア37に連結される。第一固定軸36は左右両端を貫通する第一配線溝362と、第一配線溝362に繋がる第一下方位置決め孔364とを有する。
図5に示すように、第一固定ギア37は同軸上の第一配線溝362に繋がる第一配線孔372を有する。第一配線溝362および第一配線孔372によって電子回路を配置すれば、移動の便をはかることができる。第一位置決めユニット38は第一凸状位置決め部382を介して第一固定軸36の第一配線溝362内に位置決められる。第一位置決めユニット38は軸方向に沿って第一下方位置決め孔364繋がる第一上方位置決め孔384を有する。第一ボルト39は第一上方位置決め孔384および第一下方位置決め孔364を貫通して第一ねじ孔315に締め付けられることで第一固定軸36と第一アーム31をまとめて固定する。
【0022】
図3および
図4に示すように、第二伝動モジュール40は第二アーム41、第一遊星ギア42、第一伝動軸43、第二駆動ギア44、第二受動ギア45、第二固定軸46、第二固定ギア47、第二位置決めユニット48および第二ボルト49を有する。第二アーム41は第二ハウジング411および第二サイドカバー412を有する。第二ハウジング411は前端部に第二支持部413を有する。第二支持部413は第二支持溝414と、第二支持溝414に繋がる第一ねじ孔415とを有する。第二ハウジング411は底部に第一固定ギア37を収容する。第二サイドカバー412は複数のねじS1で第二ハウジング411に締め付けられ、同時に複数のねじS3で第一受動ギア35に連結されるため、
図5および
図11に示すように、第二アーム41は第一受動ギア35の駆動力によって第一伝動モジュール30に対し、第二軸方向A2を中心に回転する。第一遊星ギア42は第二アーム41の底部に回転可能に装着され、かつ第一固定ギア37と噛み合ったうえで第二アーム41の駆動力を受けて第一固定ギア37の周りを公転しながら自転する。第一伝動軸43は第二アーム41内に装着され、一端が第一遊星ギア42に連結され、別の一端が第二駆動ギア44に連結されたうえで第一遊星ギア42によって駆動されるとともに第二駆動ギア44を回転させる。第二受動ギア45は第二アーム41の頂部に回転可能に装着され、かつ第二駆動ギア44と噛み合うように配置される。第二固定軸46は第二ハウジング411の前端部および第二受動ギア45に差し込まれて配置される。第二固定軸46は一端が第二支持部413の第二支持溝414内に嵌まり込み、別の一端が第二ハウジング411に突出し、複数のねじS2によって第二固定ギア47に連結される。第二固定軸46は左右両端を貫通する第二配線溝462と、第二配線溝462に繋がる第二下方位置決め孔464とを有する。第二固定ギア47は同軸上の第二配線溝462に繋がる第二配線孔472を有する。第二配線溝462および第二配線孔472によって電子回路を配置すれば、移動の便をはかることができる。第二位置決めユニット48は第二凸状位置決め部482を介して第二固定軸46の第二配線溝462内に位置決められる。第二位置決めユニット48は軸方向に沿って第二下方位置決め孔464繋がる第二上方位置決め孔484を有する。第二ボルト49は第二上方位置決め孔484および第二下方位置決め孔464を貫通して第二ねじ孔415に締め付けられることで第二固定軸46と第二アーム41をまとめて固定する。
【0023】
図6から
図8に示すように、第三伝動モジュール50は第三アーム51、第二遊星ギア52、第二伝動軸53、第三駆動ギア54および第三受動ギア55を有する。第三アーム51は第三ハウジング512および第三サイドカバー514を有する。第三ハウジング512は後端部が複数のねじS3で第二受動ギア45に連結される。第三ハウジング512は後端部に第二固定ギア47(
図7参照)を収容する。第三サイドカバー514は複数のねじS1で第三ハウジング512に締め付けられるため、
図8および
図11に示すように、第三アーム51は第二受動ギア45の駆動力によって第二伝動モジュール40に対し、第三軸方向A3を中心に回転する。第二遊星ギア52は第三ハウジング512の後端部に回転可能に装着され、かつ第二固定ギア47と噛み合ったうえで第三アーム51の駆動力を受けて第二固定ギア47の周りを公転しながら自転する。第二伝動軸53は第三ハウジング512内に装着され、一端が第二遊星ギア52に連結され、別の一端が第三駆動ギア54に連結されたうえで第二遊星ギア52によって駆動されるとともに第三駆動ギア54を回転させる。第三受動ギア55は第三ハウジング512の前端部に回転可能に装着され、かつ第三駆動ギア54と噛み合ったうえで第三駆動ギア54の駆動力を受けて回転する。
【0024】
図9に示すように、第四伝動モジュール60は第四アーム61、レール台座62、レール63、ブロック64、前方支持台座65および後方支持台座66を有する。レール台座62は第四アーム61内に固定される。レール63はレール台座62の後側面に装着される。ブロック64はレール63に移動可能に装着される。前方支持台座65は後端部がレール台座62の前側面に連結され、前端部が内視鏡などの手術器具70に連結される。後方支持台座66は頂部がブロック64に連結され、底部が
図10に示すように第三受動ギア55に連結される。
図11に示すように、上述した構造特徴により、第四伝動モジュール60は第三受動ギア55によって駆動されるとともに第三モジュール50に対し、第四軸方向A4を中心に手術器具70を回転させる。またブロック64を介して第四アーム61とともに手術器具70を第5軸方向A5に沿って上下に移動させ、位置を調整することができる。
【0025】
第一固定ギア37と第一遊星ギア42のギア比r1は第二駆動ギア44と第二受動ギア45のギア比r2と同じである。即ちr1とr2は同じである。第二固定ギア47と第二遊星ギア52のギア比r3は第三駆動ギア54と第三受動ギア55のギア比r4と同じである。即ちr3とr4は同じである。上述した構造特徴により、第二アーム41、第三アーム51および第四アーム61は同調し、等角でスウィングすることができる。
【0026】
言い換えれば、第一アクチュエータ32を起動すれば、第二伝動モジュール40は第一受動ギア35の作動に伴って第一伝動モジュール30に対し、第二軸方向A2を中心に回転すると同時に第一遊星ギア42を連動させる。第一遊星ギア42は第一固定ギア37の周りを公転しながら自転する。それに対し、第三伝動モジュール50は第二受動ギア45の作動に伴って第二伝動モジュール40に対し、第三軸方向A3を中心に回転すると同時に第二遊星ギア52を連動させる。第二遊星ギア52は第二固定ギア47の周りを公転しながら自転する。第四伝動モジュール60は第三受動ギア55の作動に伴って第三伝動モジュール50に対し、第四軸方向A4を中心に回転すると同時に手術器具70を連動させる。
図11および
図12に示すように、上述した構造特徴により、第一伝動モジュール30、第二伝動モジュール40、第三伝動モジュール50および第四伝動モジュール60の作動モードにも拘わらず手術器具70を遠隔運動中心C(Remote Center of Motion,RCM)に維持することができる。
【0027】
図2および
図11に示すように、手術器具支援ロボットアーム10はさらにレーザー部品72を備える。レーザー部品72は第一アーム31内に装着され、遠隔運動中心Cにレーザービームを放射する。レーザービームは同軸上の第一軸方向A1に対応する。レーザー部品72によって手術器具70の設置および位置決めを迅速に行い、作業効率を向上させることができる。
図6に示すように、手術器具支援ロボットアーム10は制御ユニット12および操作インターフェース14を備える。制御ユニット12は第三アーム51内に配置され、第一アクチュエータ32、第二アクチュエータ33およびレーザー部品72に電気的に接続される。操作インターフェース14は複数の押しボタンから構成されるが、これに限定されない。操作インターフェース14は第三アーム51の頂面に配置され、第一アクチュエータ32、第二アクチュエータ33およびレーザー部品72の開閉を制御するものである。
【0028】
上述した構造特徴により、第一伝動モジュール30、第二伝動モジュール40、第三伝動モジュール50および第四伝動モジュール60の作動モードにも拘わらず、
図11に示すように手術器具支援ロボットアーム10を初期状態に維持し、
図12に示すように手術器具支援ロボットアーム10を最大伸展状態に維持することができる。それに対し、第一伝動モジュール30と第三伝動モジュール50との間の角度θ1は4から8度の間に保持される。手術器具70と第二伝動モジュール40との間の角度θ2は62から66度の間に保持される。角度θ1および角度θ2が上述した範囲を超えた場合、臨床使用の条件を満たすことができない。つまり、上述した構造特徴により、本発明による手術器具支援ロボットアーム10は臨床使用に対応し、上下およびスムーズに作動することができる。
図1に示すように、第一伝動モジュール30と第三伝動モジュール50は第二伝動モジュール40と同じ側に配置されるため、全体の体積が小さくなるだけでなく、部品の着脱およびメンテナンスが容易である。
図11に示すように、第二軸方向A2は第一軸方向A1との間に距離Dを置く点から上かつ斜めに伸びることで第一伝動モジュール30の下方に空間Sを生じる。上述した構造特徴により、患者の腹部が手術器具70または別の手術器具にぶつかることを避けることができる。
【0029】
上述をまとめてみると、本発明による手術器具支援ロボットアーム10は一組の第一アクチュエータ32で複数のアームを連動させる機能を果たすことができる。複数のアームを連動させる際、第一遊星ギア42と第一固定ギア37を噛み合わせ、第二遊星ギア52と第二固定ギア47を噛み合わせることによって移動範囲を増大させ、作動の安定性を向上させることができる。また第一伝動モジュール30と第三伝動モジュール50は第二伝動モジュール40と同じ側に配置されるため、体積の縮減が実現できる。
【符号の説明】
【0030】
10:手術器具支援ロボットアーム
12:制御ユニット
14:操作インターフェース
20:固定台座
30:第一伝動モジュール
31:第一アーム
311:第一ハウジング
312:第一サイドカバー
313:第一支持部
314:第一支持溝
315:第一ねじ孔
316:関節ユニット
32:第一アクチュエータ
33:第二アクチュエータ
34:第一駆動ギア
342:減速機
35:第一受動ギア
36:第一固定溝
362:第一配線溝
364:第一下方位置決め孔
37:第一固定ギア
372:第一配線孔
38:第一位置決めユニット
382:第一凸状位置決め部
384:第一上方位置決め孔
39:第一ボルト
40:第二伝動モジュール
41:第二アーム
411:第二ハウジング
412:第二サイドカバー
413:第二支持部
414:第二支持溝
415:第二ねじ孔
42:第一遊星ギア
43:第一伝動軸
44:第二駆動ギア
45:第二受動ギア
46:第二固定溝
462:第二配線溝
464:第二下方位置決め孔
47:第二固定ギア
472:第二配線孔
48:第二位置決めユニット
482:第二凸状位置決め部
484:第二上方位置決め孔
49:第二ボルト
50:第三伝動モジュール
51:第三アーム
512:第三ハウジング
514:第三サイドカバー
52:第二遊星ギア
53:第二伝動軸
54:第三駆動ギア
55:第三受動ギア
60:第四伝動モジュール
61:第四アーム
612:第四ハウジング
614:第四サイドカバー
62:レール台座
63:レール
64:ブロック
65:前方支持台座
66:後方支持台座
70:手術器具
72:レーザー部品
A1:第一軸方向
A2:第二軸方向
A3:第三軸方向
A4:第四軸方向
A5:第五軸方向
C:遠隔運動中心
D:距離
S:空間
S1、S2、S3:ねじ
θ1:第一伝動モジュールと第三モジュールとの間の角度
θ2:手術器具と第二伝動モジュールとの間の角度
【要約】
【課題】手術器具支援ロボットアームを提供する。
【解決手段】手術器具支援ロボットアームは第一伝動モジュール、第二伝動モジュールおよび第三伝動モジュールを備え、第一伝動モジュールは第一受動ギアによって第二伝動モジュールに連結され、第一固定ギアによって第二伝動モジュールの第一遊星ギアと噛み合うように配置される。第二伝動モジュールは第一受動ギアの駆動力を受けて回転するとともに第一遊星ギアを連動させ、第一遊星ギアは第一受動ギアの周りを公転しながら自転する。第二伝動モジュールは第二受動ギアによって第三伝動モジュールに連結される。第三伝動モジュールは手術器具に連結されたうえで第二受動ギアの駆動力を受けて回転するとともに手術器具を作動させる。上述した構造特徴により、本発明による手術器具支援ロボットアームは一組のアクチュエータで複数のアームを連動させる機能を果たすことができる。
【選択図】
図1