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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】車外モニタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/20 20220101AFI20240529BHJP
   B60K 35/22 20240101ALI20240529BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240529BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240529BHJP
   B60K 35/40 20240101ALI20240529BHJP
【FI】
B60R1/20 100
B60K35/22
H04N7/18 J
H04N7/18 V
B60R1/26 100
B60R1/26 200
B60K35/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023099004
(22)【出願日】2023-06-16
(62)【分割の表示】P 2019169885の分割
【原出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2023126800
(43)【公開日】2023-09-12
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215447(JP,A)
【文献】特開2019-118016(JP,A)
【文献】特開2014-090349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 ;
B60R 1/20 ; 1/26
B60K 35/00 - 37/06
H04N 7/18
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を複数に分け、他の撮像デバイスと撮像範囲が重なるように前記車両の周囲を撮像する複数の撮像デバイスと、
複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示するとともに、前記車両の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させる表示画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成される表示画像を表示する表示デバイスと、
前記車両の状態として、前記車両の操舵または前記車両の向きを検出する変向検出部と、
を有し、
前記生成部は、
前記変向検出部により検出される操舵または前記車両の向きの変向量が閾値未満である場合、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、
前記変向検出部により検出される操舵または前記車両の向きの変向量が閾値以上である場合、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持する、
車外モニタ装置。
【請求項2】
操舵または前記車両の向きの変向量と比較される前記閾値は、前記車両が右左折する際の変向量より小さく、前記車両が車線変更や車線に沿って操舵して走行する際の変向量より大きい、
請求項1記載の、車外モニタ装置。
【請求項3】
車両の周囲を複数に分け、他の撮像デバイスと撮像範囲が重なるように前記車両の周囲を撮像する複数の撮像デバイスと、
複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示するとともに、前記車両の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させる表示画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成される表示画像を表示する表示デバイスと、
前記車両の状態として、前記車両が走行している道路の情報を取得する道路情報取得部と、
を有し、
前記生成部は、
前記道路情報取得部により取得された道路情報に基づいて、前記車両が走行している道路が高速道路または一般道のいずれかであるかを判断し、
前記道路情報取得部により高速道路を走行していると判断される場合、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、
前記道路情報取得部により一般道を走行していると判断される場合、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持する、
車外モニタ装置。
【請求項4】
前記生成部は、
前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の表示濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持するために、前記重畳範囲の画像を前記側方の撮像画像のみから生成する、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車外モニタ装置。
【請求項5】
複数の前記撮像デバイスは、前記車両において互いに離間させて設けられている、
請求項1から4のいずれか一項記載の、車外モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、従来から後方確認のために、車室に設けられるルームミラー、車体の側面に設けられるドアミラー、などが用いられている。
近年、車両では、これらのルームミラーなどのリアミラーの替わりにカメラが用いられ、ドアミラーの替わりにカメラが用いられることが考えられている(特許文献1)。
そして、特許文献1では、複数のカメラで撮像される画像を重ねた画像をモニタに表示することができる。
このように従来のミラーをモニタ化することにより、ミラーでは死角となっていた方向や範囲についても画像により確認できたり、移動体が視認し易くなるように画像の明るさを調整したり、後方の移動体のヘッドライトの光を弱めるように防眩処理をしたり、することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-305999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、たとえば後方の画像と側方の画像との双方に同じ障害物が撮像されていると特定できる場合に、単にそれらの画像を重ねて表示する。
この場合、たとえば、障害物が移動体であり、一方の画像から他方の画像へ向かって動くように移動している場合、たとえば撮像に対する向きが変化している場合、後方の画像と側方の画像とに共に移動体が撮像されているとしても、同じ移動体が双方に撮像されていると判断できない可能性がある。また、同じ移動体が双方に撮像されていると特定できたとしても、移動体の撮像サイズや向きが異なることにより、双方の画像を重ね合わせることによりかえって画像が不鮮明となる可能性がある。移動する移動体の背景は、移動体の移動により常に変化する。特に、複数の画像が車両において互いに離間する位置に設けられている複数のカメラにより撮像されたものである場合、それらの撮像位置や撮像方向の違いにより、重畳される画像部分における被写体やその背景の撮像状態が互いに異なるものとなる。このように移動体が共通していることのみを特定して画像同士を重ね合わせてしまうと、重畳範囲における移動体や背景が表示画像においてはっきりと表示され難くなる。
【0005】
このように車外モニタ装置は、改善することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る車外モニタ装置は、車両の周囲を複数に分け、他の撮像デバイスと撮像範囲が重なるように前記車両の周囲を撮像する複数の撮像デバイスと、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示するとともに、前記車両の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させる表示画像を生成する生成部と、前記生成部により生成される表示画像を表示する表示デバイスと、前記車両の状態として、前記車両の操舵または前記車両の向きを検出する変向検出部と、を有し、前記生成部は、前記変向検出部により検出される操舵または前記車両の向きの変向量が閾値未満である場合、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、前記変向検出部により検出される操舵または前記車両の向きの変向量が閾値以上である場合、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持する、ものである。
【0007】
本発明の一実施の形態に係る車外モニタ装置は、車両の周囲を複数に分け、他の撮像デバイスと撮像範囲が重なるように前記車両の周囲を撮像する複数の撮像デバイスと、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示するとともに、前記車両の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させる表示画像を生成する生成部と、前記生成部により生成される表示画像を表示する表示デバイスと、前記車両の状態として、前記車両が走行している道路の情報を取得する道路情報取得部と、を有し、前記生成部は、前記道路情報取得部により取得された道路情報に基づいて、前記車両が走行している道路が高速道路または一般道のいずれかであるかを判断し、前記道路情報取得部により高速道路を走行していると判断される場合、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、前記道路情報取得部により一般道を走行していると判断される場合、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持する、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、車両の周囲を複数の撮像デバイスにより複数に分けて撮像する。しかも、複数の撮像デバイスは、他の撮像デバイスと撮像範囲が重なるように前記車両の周囲を撮像する。そして、生成部は、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、表示デバイスに表示する。この際、生成部は、変向検出部または道路情報取得部による車両の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させて、表示画像を生成する。
このように本発明では、変向検出部または道路情報取得部による車両の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させて、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成することができる。本発明では、変向検出部または道路情報取得部による車両の状態に応じて複数の撮像デバイスによる撮像画像を変化させるように重ねた画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車外モニタ装置を有する自動車の一例の走行状況の説明図である。
図2図2は、図1の自動車に設けられる車外モニタ装置の説明図である。
図3図3は、図2の表示デバイスとしてのモニタについての車室での配置の説明図である。
図4図4は、本発明の第一実施形態での、複数の撮像画像から表示画像を生成する車外モニタ処理のフローチャートである。
図5図5は、重畳範囲の移動体が重畳範囲の中央より後方の撮像画像の側に位置する場合での、表示画像の生成処理の説明図である。
図6図6は、重畳範囲の移動体が重畳範囲の中央より側方の撮像画像の側に位置する場合での、表示画像の生成処理の説明図である。
図7図7は、重畳範囲の移動体の位置の変化に応じた、各撮像画像についての重畳範囲の画像濃度の調整処理の説明図である。
図8図8は、本発明の第二実施形態での、複数の撮像画像から表示画像を生成する車外モニタ処理のフローチャートである。
図9図9は、本発明の第三実施形態での、複数の撮像画像から表示画像を生成する車外モニタ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0011】
[第一実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る車外モニタ装置10を有する自動車1の一例の走行状況の説明図である。
図1には、三車線の直線状の車道の中央の車線を走行する自動車1が示されている。自動車1の後方には、同一車線を走行する他の自動車9と、左側の車線を走行する他の自動車9と、がいる。
図1の自動車1は、車体2を有する。車体2の中央部分には、ドライバなどの乗員が乗る車室3が形成される。
【0012】
そして、図1の自動車1は、車室3の乗員が自車の後方を目視により確認するための映像を提供する車外モニタ装置10を有する。
車外モニタ装置10は、自動車1の後方の撮像範囲を、車幅方向において複数に分けて撮像する複数の撮像デバイスとして、センタリアカメラ11、右リアカメラ12、左リアカメラ13を有する。
【0013】
センタリアカメラ11は、車体2のたとえば車室3の後部中央に設けられる。センタリアカメラ11は、基本的に車体2の左右方向の中央であるY0位置にあればよく、この他にもたとえば車体2の後側面の中央に設けられても、車室3前部のルームミラーの位置に設けられてもよい。センタリアカメラ11は、車体2の真後方向へ向けて設置される。これにより、センタリアカメラ11は、車体2の真後方向を中央として、車体2の斜後方向を含む後方の範囲を撮像することができる。
【0014】
右リアカメラ12および左リアカメラ13は、車体2の左右側面におけるドアミラーの位置に、ドアミラーの替わりに設けられる。右リアカメラ12および左リアカメラ13は、自動車1の斜後方向へ向けて設置される。これにより、右リアカメラ12は、車体2の右側面から略右横方向までの車体2の右後方向の範囲を撮像することができる。左リアカメラ13は、車体2の左側面から略左横方向までの車体2の左後方向の範囲を撮像することができる。右リアカメラ12の撮像範囲および左リアカメラ13の撮像範囲は、センタリアカメラ11の撮像範囲と重なる。
【0015】
これらのセンタリアカメラ11、右リアカメラ12および左リアカメラ13は、自動車1の後方から左右両側の側方にかけての撮像範囲を車幅方向において複数に分けて撮像する複数の撮像デバイスである。また、センタリアカメラ11は、右リアカメラ12および左リアカメラ13のそれぞれと撮像範囲が重なるように自動車1の側方から後方の周囲を撮像する。センタリアカメラ11、右リアカメラ12および左リアカメラ13は、自動車1において互いに離間するように設けられている。
このように従来のミラーをモニタ化することにより、ミラーでは死角となっていた方向や範囲についても撮像して画像として表示したり、移動体が視認し易くなるように画像の明るさを調整したり、後方の移動体のヘッドライトの光を弱めるように防眩処理をしたり、することができる。撮像されない死角を無くすことが可能になる。
なお、車外モニタ装置10は、右リアカメラ12、左リアカメラ13、およびセンタリアカメラ11といった複数の撮像デバイスに加えて、360度カメラを有してよい。360度カメラは、たとえば車体2のルーフに配置されても、車体2の後部に配置されてもよい。360度カメラは、自動車1のたとえば後方から側方を全周的に撮像できる。
【0016】
図2は、図1の自動車1に設けられる車外モニタ装置10の説明図である。
図2の車外モニタ装置10は、センタリアカメラ11、右リアカメラ12、左リアカメラ13、モニタ14、メモリ15、および、これらが接続されるモニタECU16、を有する。モニタECU16には、この他にもたとえば、移動体検出部17、変向検出部18、道路情報取得部19、が車内ネットワーク41により接続される。
【0017】
図3は、図2の表示デバイスとしてのモニタ14についての車室3での配置の説明図である。
図3には、自動車1の車室3の前方内部が示されている。車室3の前方内部には、フロントガラス4の下側にダッシュボード5が設けられる。
モニタ14は、たとえば液晶パネルでよい。モニタ14は、ダッシュボード5に埋め込んで固定的に設けられる。モニタ14は、自動車1の後方の撮像範囲を撮像した画像を表示する。
車室3の乗員は、自動車1の前方をフロントガラス4越しに確認しながら、その下側に配置されるモニタ14の表示画像により自動車1の後方を視認することができる。
なお、モニタ14は、たとえば乗員のサイズなどに応じてその全体的な位置および向きを上下左右に微調整可能に、ダッシュボード5に設けられてよい。
【0018】
図2のメモリ15は、モニタECU16が制御に用いるデータおよびプログラムを記録する。
【0019】
モニタECU16は、メモリ15に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、モニタECU16は、車外モニタ装置10の制御部として機能する。
モニタECU16は、生成部として、右リアカメラ12により撮像される画像と、左リアカメラ13により撮像される画像と、センタリアカメラ11により撮像される画像とを取得し、それらを合成した表示画像を生成する。モニタECU16は、複数の撮像デバイスにより撮像される画像を合成して表示画像を生成する。
モニタECU16は、生成した表示画像をモニタ14へ出力する。
これにより、モニタ14は、右リアカメラ12の撮像画像と、左リアカメラ13の撮像画像と、センタリアカメラ11の撮像画像とを合成した画像を表示する。モニタ14は、自動車1の後方を右側から左側にかけて全体的に撮像した画像を表示する。モニタ14は、モニタECU16により生成される表示画像を表示する。
【0020】
移動体検出部17は、自動車1の周囲で他の移動体を検出する。図1では、自動車1の後方に存在する複数の他の自動車9を検出する。移動体検出部17は、たとえば、後方の撮像画像についての移動体の検出処理により、他の移動体とのV2X通信により、ADAS通信により周囲の移動体の情報を取得することにより、自動車1の周囲に存在する他の移動体を検出してよい。移動体検出部17は、検出した移動体の情報を、車内ネットワーク41へ出力する。
【0021】
変向検出部18は、自車の向きを検出する。変向検出部18は、自動車1のステアリング42の操舵を検出しても、操舵による自動車1そのものの向きを検出してもよい。変向検出部18は、車内ネットワーク41に出力される操舵制御のための通知データを取得して、自車の向きを検出してよい。変向検出部18は、たとえば自動車1が前後に直進する前後方向を基準として、その前後方向からの変向量を、自車の向きとして検出してよい。変向検出部18は、検出した自車の向きの情報を、車載ネットワークへ出力する。
【0022】
道路情報取得部19は、自動車1が走行している道路の情報を取得する。道路情報取得部19は、たとえばADAS通信、広域通信網の基地局との通信、またはV2X通信により、自動車1が走行している道路の情報を取得してよい。道路情報取得部19は、取得した道路の情報を、車内ネットワーク41へ出力する。
【0023】
次に、モニタECU16による表示画像の生成処理について説明する。
右リアカメラ12の撮像画像と、左リアカメラ13の撮像画像と、センタリアカメラ11の撮像画像とを合成して表示画像を生成する場合、モニタECU16は、それら複数の画像を並べてつなぎ合わせて表示画像を生成してもよい。しかしながら、このように複数の撮像画像をつなぎ合わせた場合、つなぎ合わせた部分には、カメラの撮像位置や撮像方向の違いにより、画像にうつる移動体の像が連続的なものとならなかったり、移動体の背景が異なったりする。特に、上述するように複数のカメラが自動車1において互いに離間する位置に設けられている場合、それらのカメラにより撮像された複数の画像の間では、被写体やその背景の撮像状態が基本的に異なるようになる。複数の撮像画像をつなぎ合わせても、1つの画像のようにはなり難い。
しかも、上述するように、複数のカメラの撮像範囲は、互いに一部が重なるように撮像する。この場合、1つの移動体が複数の画像に撮像されると、表示画像においては2つの移動体として表示されることになる。
このため、複数のカメラの撮像画像を合成して1つの表示画像を生成する場合には、モニタECU16は、複数の撮像画像にうつる1つの移動体が1つの移動体として表示画像に表示されるように、複数の撮像画像が重ねて撮像する重畳範囲を重ね合わせるとよい。
また、モニタECU16は、重畳範囲における画像が不鮮明とならないように、重畳範囲の画像を生成するとよい。異なる視点で撮像された画像同士を単に重ね合わせた場合、合成後の画像における移動体や背景が二重映りのようになって不鮮明となり易い。
【0024】
図4は、本発明の第一実施形態での、複数の撮像画像から表示画像を生成する車外モニタ処理のフローチャートである。
モニタECU16は、生成部として、たとえばカメラが新たな画像を撮像する周期に合わせて、図4の処理を繰り返し実行する。
【0025】
ステップST1において、モニタECU16は、右リアカメラ12の右撮像画像と、左リアカメラ13の左撮像画像と、センタリアカメラ11の中央撮像画像とを取得する。
【0026】
ステップST2において、モニタECU16は、車内ネットワーク41を通じて移動体検出部17から、自動車1の周囲に存在する移動体の情報を取得する。ここで取得する移動体の情報には、自動車1の後方の撮像範囲での移動体の有無の情報、移動体の移動方向の情報、などでよい。
【0027】
ステップST3において、モニタECU16は、取得した自動車1の後方の撮像範囲の移動体の情報に基づいて、重畳範囲の移動体の位置を判断する。モニタECU16は、まず、重畳範囲の移動体の位置が、重畳範囲の中央の位置にいるか否かを判断する。移動体の画像中心が重畳範囲の中央と重なる場合、モニタECU16は、移動体が重畳範囲の中央に位置すると判断し、処理をステップST4へ進める。移動体の画像中心が重畳範囲の中央から離れていて重ならない場合、モニタECU16は、移動体が重畳範囲の中央に位置しないと判断し、処理をステップST5へ進める。
【0028】
ステップST4において、モニタECU16は、中央撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば50%の中濃度の透過率に加工し、右撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば50%の中濃度の透過率に加工し、左撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば50%の中濃度の透過率に加工する。モニタECU16は、重畳範囲における中央撮像画像の濃度と右撮像画像または左撮像画像の濃度との双方を変化させる。その後、モニタECU16は、処理をステップST8へ進める。
【0029】
ステップST5において、モニタECU16は、重畳範囲の移動体の位置を判断するためにさらに、重畳範囲の移動体の位置が、重畳範囲の中央より後方側の位置にいるか否かを判断する。移動体の画像中心が重畳範囲の中央より後方側の位置にある場合、モニタECU16は、処理をステップST6へ進める。移動体の画像中心が重畳範囲の中央より側方側の位置にある場合、モニタECU16は、処理をステップST7へ進める。ステップST3およびステップST5により、モニタECU16は、重畳範囲の移動体の位置、および位置の変化を判断する。
【0030】
ステップST6において、モニタECU16は、中央撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば80%の高濃度の透過率に加工し、右撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば20%の低濃度の透過率に加工し、左撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば20%の低濃度の透過率に加工する。移動体が重畳範囲の中央より後方側に位置する場合、重畳範囲における後方の中央撮像画像の濃度を、側方の右撮像画像または左撮像画像より高くする。モニタECU16は、重畳範囲における中央撮像画像の濃度と右撮像画像または左撮像画像の濃度との双方を変化させる。その後、モニタECU16は、処理をステップST8へ進める。
【0031】
ステップST7において、モニタECU16は、中央撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば20%の低濃度の透過率に加工し、右撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば80%の高濃度の透過率に加工し、左撮像画像についての重畳範囲の画像の濃度をたとえば80%の高濃度の透過率に加工する。移動体が重畳範囲の中央より側方側に位置する場合、重畳範囲における側方の右撮像画像または左撮像画像の濃度を、後方の中央撮像画像より高くする。これらステップST4、ステップST6およびステップST7の処理により、重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さが変化する。モニタECU16は、重畳範囲における中央撮像画像の濃度と右撮像画像または左撮像画像の濃度との双方を変化させる。その後、モニタECU16は、処理をステップST8へ進める。
【0032】
ステップST8において、モニタECU16は、重畳範囲の画像濃度を調整した中央撮像画像と、右撮像画像と、左撮像画像とを、重畳範囲同士を重ねるように合成する。これにより、モニタECU16は、複数の撮像画像を重ねて表示する1つの表示画像を生成する。重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さは、重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて変化する。
【0033】
ステップST9において、モニタECU16は、生成した表示画像を、モニタ14へ出力する。
これにより、モニタ14は、中央撮像画像と右撮像画像と左撮像画像とを重畳範囲で重ねて合成した表示画像を表示する。モニタ14には、中央撮像画像の撮像範囲と、右撮像画像の撮像範囲と、左撮像画像の撮像範囲とが、1つの画像として表示される。
【0034】
図5は、重畳範囲の移動体が重畳範囲の中央より後方の撮像画像の側に位置する場合での、表示画像の生成処理の説明図である。
図5(A)では、後方の撮像範囲20に対して、中央撮像画像21の撮像範囲と、右撮像画像22の撮像範囲と、左撮像画像23の撮像範囲とが割り当てられている。
中央撮像画像21の撮像範囲と、右撮像画像22の撮像範囲とは、右側の重畳範囲24において撮像範囲が重なる。
中央撮像画像21の撮像範囲と、左撮像画像23の撮像範囲とは、左側の重畳範囲25において撮像範囲が重なる。
【0035】
この場合、モニタECU16は、図5(B)に示すように、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24、中央撮像画像21の左側の重畳範囲25、右撮像画像22の重畳範囲24、および、左撮像画像23の重畳範囲25について、画像の濃度を調整する。
図5では、右側の重畳範囲24に、後方の他の自動車9が映る。他の自動車9は、自車に近づくように高い速度で移動している。
モニタECU16は、移動体検出部17から取得する他の自動車9の情報に基づいて、右側の重畳範囲24における移動体の位置を判断する。この場合、他の自動車9は、右側の重畳範囲24の中央より後方側に位置している。このため、モニタECU16は、ステップST6の処理により、中央撮像画像21の左右両側の重畳範囲24の濃度を高くし、右撮像画像22の重畳範囲24および左撮像画像23の重畳範囲25の濃度を低くする。
その後、モニタECU16は、ステップST8の処理により、図5(C)に示すような表示画像を生成する。図5(C)の表示画像では、右側の重畳範囲24および左側の重畳範囲25では、右撮像画像22または左撮像画像23の画像成分より、中央撮像画像21の画像成分が明瞭となる。
【0036】
図6は、重畳範囲の移動体が重畳範囲の中央より側方の撮像画像の側に位置する場合での、表示画像の生成処理の説明図である。
高い速度で移動する他の自動車9は、図6(A)においては図5と比べて自車に近づいて大きい像として撮像される。
【0037】
この場合、モニタECU16は、図6(B)に示すように、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24、中央撮像画像21の左側の重畳範囲25、右撮像画像22の重畳範囲24、および、左撮像画像23の重畳範囲25について、画像の濃度を調整する。
図6では、右側の重畳範囲24に、後方の他の自動車9が映る。ただし、図6の他の自動車9は、図5と比べて右側へ移動している。
モニタECU16は、移動体検出部17から取得する他の自動車9の情報に基づいて、右側の重畳範囲24における移動体の位置を判断する。この場合、他の自動車9は、右側の重畳範囲24の中央より側方側に位置している。このため、モニタECU16は、ステップST7の処理により、中央撮像画像21の左右両側の重畳範囲24,25の濃度を低くし、右撮像画像22の重畳範囲24および左撮像画像23の重畳範囲25の濃度を高くする。
その後、モニタECU16は、ステップST8の処理により、図6(C)に示すような表示画像を生成する。図6(C)の表示画像では、右側の重畳範囲24および左側の重畳範囲25では、後方の中央撮像画像21の画像成分より、側方の右撮像画像22または左撮像画像23の画像成分が明瞭となる。
【0038】
図7は、重畳範囲の移動体の位置の変化に応じた、各撮像画像についての重畳範囲の画像濃度の調整処理の説明図である。
図7(A)から図7(F)には、センタリアカメラ11により順番に撮像される複数の中央撮像画像21と、右リアカメラ12により順番に撮像される複数の右撮像画像22が、それらの撮像順で示されている。
図7(A)から図7(F)において、移動体30は、自動車1の後方中央から右側方へ向かって動くように移動している。
そして、中央撮像画像21における移動体30の撮像位置および撮像サイズは、右撮像画像22における移動体30の撮像位置および撮像サイズとは異なっている。画像間において、移動体30の撮像位置ずれおよび撮像サイズ違いが生じている。
【0039】
図7(A)のタイミングでは、画像において右方へ動く移動体30は、右の重畳範囲24の左縁に重なっている。
この場合、モニタECU16は、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24の画像を高濃度とし、右撮像画像22の右側の重畳範囲24の画像を低濃度とする。これらの右側の重畳範囲24が重ねられる表示画像26では、中央撮像画像21における移動体30の像がはっきりと現れる。右撮像画像22における移動体30の像は、薄くなってぼやける。
【0040】
その後の図7(B)のタイミングでは、画像において右方へ動く移動体30の位置は、右の重畳範囲24についての、中央より左側となる位置へ変化する。
ここでも、モニタECU16は、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24の画像を高濃度とし、右撮像画像22の右側の重畳範囲24の画像を低濃度とする。表示画像26の右側の重畳範囲24では、中央撮像画像21における移動体30の像がはっきりと現れる。なお、モニタECU16は、図7(B)のタイミングでは、図7(A)のタイミングと比べて中央撮像画像21の濃度を低くし、右撮像画像22の濃度を高くしてもよい。
【0041】
その後の図7(C)のタイミングでは、画像において右方へ動く移動体30の位置は、右の重畳範囲24についての、中央の位置へ変化する。
この場合、モニタECU16は、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24の画像を中濃度とし、右撮像画像22の右側の重畳範囲24の画像を中濃度とする。表示画像26の右側の重畳範囲24では、中央撮像画像21における移動体30の像と、右撮像画像22における移動体30の像とが、重ねて表示される。
【0042】
その後の図7(D)のタイミングでは、画像において右方へ動く移動体30の位置は、右の重畳範囲24についての、中央より右側となる位置へ変化する。
この場合、モニタECU16は、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24の画像を低濃度とし、右撮像画像22の右側の重畳範囲24の画像を高濃度とする。表示画像26の右側の重畳範囲24では、右撮像画像22における移動体30の像がはっきりと現れる。
【0043】
その後の図7(E)のタイミングでは、画像において右方へ動く移動体30の位置は、右の重畳範囲24の右縁に重なっている。
この場合、モニタECU16は、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24の画像を低濃度とし、右撮像画像22の右側の重畳範囲24の画像を高濃度とする。表示画像26の右側の重畳範囲24では、右撮像画像22における移動体30の像がはっきりと現れる。なお、図7(D)のタイミングでの中央撮像画像21の濃度は、図7(E)のタイミングの濃度より高くし、右側の重畳範囲24の濃度は、図7(E)のタイミングの濃度より低くしてもよい。
【0044】
その後の図7(F)のタイミングでは、画像において右方へ動く移動体30の位置は、右の重畳範囲24より右側となる位置へ変化する。
この場合、モニタECU16は、直前の図7(E)のタイミングと同様に、中央撮像画像21の右側の重畳範囲24の画像を低濃度とし、右撮像画像22の右側の重畳範囲24の画像を高濃度としてよい。
【0045】
このように、モニタECU16は、後方の中央撮像画像21と側方の右撮像画像22とを重ねて合成する表示画像26を生成する際に、右の重畳範囲24の移動体30が後方の中央撮像画像21の側から側方の右撮像画像22の側へ向かって位置を変化する場合、右の重畳範囲24における移動体30の位置に応じて、右の重畳範囲24における後方の中央撮像画像21の濃度を側方の右撮像画像22より高くしている状態から、側方の右撮像画像22の濃度を後方の中央撮像画像21より高くする状態へ段階的に切り替える。
また、図7とは逆向きに左方へ移動体30が動く場合、すなわち右の重畳範囲24の移動体30が側方の右撮像画像22の側から後方の中央撮像画像21の側へ向かって位置を変化する場合、モニタECU16は、同様の処理により、右の重畳範囲24における移動体30の位置に応じて、右の重畳範囲24における側方の右撮像画像22の濃度を後方の中央撮像画像21より高くしている状態から、後方の中央撮像画像21の濃度を側方の右撮像画像22より高くする状態へ段階的に切り替える。
また、中央撮像画像21と左撮像画像23との左の重畳範囲25の処理についても、同様である。
【0046】
そして、図7に示すように、重畳範囲24における対象物の像が完全には一致していない画像同士を、重畳範囲24において重ねて表示し、かつ、重ねられる複数の画像の濃淡を変化することにより、ドライバなどの乗員は、重畳範囲24における対象物がより後方側なのか側方側なのかを直感的に把握することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、自動車1の周囲を複数の撮像デバイスにより複数に分けて撮像する。そして、複数の撮像デバイスにより撮像される画像を合成して表示画像を生成する際に、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、表示デバイスに表示する。しかも、重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さは、表示画像についての重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて変化する。たとえば、重畳範囲において重なる第一の撮像画像の側から第二の撮像画像の側へ向かって移動体の位置が変化する場合、重畳範囲における第一の撮像画像の濃度を第二の撮像画像より高くしている状態から、第二の撮像画像の濃度を第一の撮像画像より高くする状態へ変化させる。この際、たとえば、自動車1の周囲で移動する移動体についての画像中の位置の変化を判断する移動体検出部17により、重畳範囲における移動体の位置の変化を判断して、これに応じて、重畳範囲における第一の撮像画像の濃度と第二の撮像画像の濃度との中の少なくとも一方を変化させればよい。
【0048】
本実施形態では、具体的には、複数の撮像デバイスは、自動車1の後方から側方にかけての撮像範囲を車幅方向において複数に分けて撮像する。そして、本実施形態では、後方の撮像画像と側方の撮像画像とを重ねて合成する表示画像を生成する際に、重畳範囲の移動体が後方の撮像画像の側から側方の撮像画像の側へ向かって位置を変化する場合、重畳範囲における移動体の位置に応じて、重畳範囲における後方の撮像画像の濃度を側方の撮像画像より高くしている状態から、側方の撮像画像の濃度を後方の撮像画像より高くする状態へ段階的に切り替え、重畳範囲の移動体が側方の撮像画像の側から後方の撮像画像の側へ向かって位置を変化する場合、重畳範囲における移動体の位置に応じて、重畳範囲における側方の撮像画像の濃度を後方の撮像画像より高くしている状態から、後方の撮像画像の濃度を側方の撮像画像より高くする状態へ段階的に切り替える。
【0049】
また、本実施形態では、具体的には、移動体が重畳範囲の中央より後方の撮像画像の側に位置する場合には、重畳範囲における後方の撮像画像の濃度を側方の撮像画像より高くし、移動体が重畳範囲の中央より側方の撮像画像の側に位置する場合には、重畳範囲における側方の撮像画像の濃度を後方の撮像画像より高くするように、重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さを変化させる。
【0050】
これにより、重畳範囲の画像では、重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて、複数の撮像画像の重畳濃さが変化し、たとえば第一の撮像画像および第二の撮像画像の中の一方が優先的に表示に現れるようになる。その結果、重畳範囲において複数の画像が重ねて表示されるとしても、優先して表示される画像における移動体が重畳範囲において明瞭に表示されるようになる。
これに対して、仮にたとえば重畳範囲において複数の画像を同じ濃度で重ねて表示する場合、重畳範囲における移動体は複数の画像の間での位置ずれや大きさの相違などにより、全体的に二重の画像となってぼやけて表示されるようになり易い。本実施形態では、このような事態が生じ難くなり、移動体は、複数の画像が重畳される重畳範囲においても優先される一方の画像により明瞭に表示され得る。移動体は、重畳範囲においても、それ以外の範囲に表示される場合と同様に、明瞭に表示され得る。
【0051】
しかも、重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて、重畳される複数の画像の間で濃度の比を切り換えるため、移動体は、重畳範囲から一方の画像のみに撮像される範囲へ位置を変化させる前から、一方の画像により優先的に表示されている。その結果、移動体は、重畳範囲から一方の画像のみに撮像される範囲へ位置を変化させる際に、移動体の像が急激に変化することもない。
これに対して、重畳範囲において他方の画像での移動体を表示している場合、重畳範囲から一方の画像のみに撮像される範囲へ位置を変化させる際に、移動体の像が急激に変化する可能性がある。一方の画像における移動体の像と、他方の画像における移動体の像との間に、たとえば上下位置の微妙なずれがある場合、または撮像サイズが違う場合、このような境界位置をまたいで移動体の位置が変化するとき、移動体の像が急激に変化することになる。
【0052】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る自動車1について説明する。以下の説明では、主に上述した実施形態との相違点について説明する。上述した実施形態と同様の構成要素には、上述した実施形態と同じ符号を用いて、その説明を省略する。
【0053】
図8は、本発明の第二実施形態での、複数の撮像画像から表示画像を生成する車外モニタ処理のフローチャートである。
モニタECU16は、生成部として、たとえばカメラが新たな画像を撮像する周期に合わせて、図8の処理を繰り返し実行する。
図2の変向検出部18は、自車の向きを検出し、検出した自車の向きの情報を車載ネットワークへ出力する。
【0054】
ステップST21において、モニタECU16は、変向検出部18が車載ネットワークへ出力した自車の向きの情報を、操舵情報として取得する。
【0055】
ステップST22において、モニタECU16は、自車の向きについての直進方向から変向量を操舵量として用いて、操舵量が閾値未満であるか否かを判断する。操舵または自動車1の向きの変向量と比較される閾値は、自動車1が右左折する際の変向量より小さく、かつ、自動車1が車線変更や車線に沿って操舵して走行する際の変向量より大きい値とすればよい。操舵量が閾値未満である場合、モニタECU16は、処理をステップST23へ進める。操舵量が閾値以上である場合、モニタECU16は、処理をステップST24へ進める。
【0056】
ステップST23において、モニタECU16は、上述した実施形態と同様に複数の撮像画像を重畳して合成する。モニタECU16は、たとえばステップST3からステップST8の処理を実行する。これにより、モニタECU16は、変向検出部18により検出される操舵または自動車1の向きの変向量が閾値未満である場合には、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像26を生成する。その後、モニタECU16は、処理をステップST25へ進める。
【0057】
ステップST24において、モニタECU16は、中央撮像画像21について右の重畳範囲24および左の重畳範囲25をトリミングし、トリミング処理後の中央撮像画像21と、右撮像画像22および左撮像画像23を合成する。これにより、表示画像26における右の重畳範囲24は、右撮像画像22の画像成分のみとなる。また、表示画像26における左の重畳範囲25は、左撮像画像23の画像成分のみとなる。モニタECU16は、変向検出部18により検出される操舵または自動車1の向きの変向量が閾値以上である場合には、重畳範囲において側方の撮像画像のみを表示する表示画像26を生成する。なお、モニタECU16は、重畳範囲において、側方の撮像画像と後方の撮像画像とを、側方の撮像画像の濃度が相対的に高くなるように固定的な濃度で重畳してもよい。その後、モニタECU16は、処理をステップST25へ進める。
【0058】
ステップST25において、モニタECU16は、生成した表示画像26を、モニタ14へ出力する。
これにより、モニタ14は、中央撮像画像21と右撮像画像22と左撮像画像23とを重畳範囲で重ねて合成した表示画像26を表示する。
また、変向検出部18により検出される操舵または自動車1の向きの変向量が閾値以上である場合、モニタ14は、重畳範囲において側方の撮像画像のみを表示する表示画像26を表示し続ける。重畳範囲における側方の撮像画像の表示濃度は、後方の撮像画像より高くした状態に維持される。
【0059】
以上のように、本実施形態では、自動車1の操舵による自動車1の向きを検出する変向検出部18、を有する。そして、本実施形態では、変向検出部18により検出される操舵または自動車1の向きの変向量が閾値未満である場合、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、変向検出部18により検出される操舵または自動車1の向きの変向量が閾値以上である場合、重畳範囲における側方の撮像画像の濃度を後方の撮像画像より高くした状態に維持する。たとえば、重畳範囲における側方の撮像画像の表示濃度を後方の撮像画像より高くした状態に維持するためには、重畳範囲の画像を側方の撮像画像のみから生成する。ここで、操舵または自動車1の向きの変向量と比較される閾値は、自動車1がたとえば90度で右左折する際の変向量より小さく、自動車1が車線変更や車線に沿って操舵して走行する際の変向量より大きい、値とすればよい。
これにより、本実施形態では、たとえば右折や左折のように大きな操舵量または変向量となる場合には、重畳範囲に、側方の撮像画像を後方の撮像画像より優先して表示することができる。右左折の際に側方の撮像画像を優先して表示することにより、重畳範囲には、右左折の内側にいる移動体をはっきりと表示することができる。右左折の際に後方の撮像画像における移動体を重畳して表示することがないようにすることにより、右左折の際に確認が必須となる側方の移動体を優先してはっきりと表示することができる。
このように、本実施形態では、複数の撮像デバイス11~13による撮像画像を重ねて表示する際に、変向検出部18による自動車1の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させて、表示画像を生成する、ことができる。
【0060】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る自動車1について説明する。以下の説明では、主に上述した実施形態との相違点について説明する。上述した実施形態と同様の構成要素には、上述した実施形態と同じ符号を用いて、その説明を省略する。
【0061】
図9は、本発明の第三実施形態での、複数の撮像画像から表示画像を生成する車外モニタ処理のフローチャートである。
モニタECU16は、生成部として、たとえばカメラが新たな画像を撮像する周期に合わせて、図9の処理を繰り返し実行する。
図2の道路情報取得部19は、自動車1が走行している道路の情報を、車内ネットワーク41へ出力する。
【0062】
ステップST31において、モニタECU16は、道路情報取得部19が車載ネットワークへ出力した、走行している道路の情報を取得する。
【0063】
ステップST32において、モニタECU16は、走行している道路の情報を用いて、自車が高速道路を走行しているか否かを判断する。高速道路を走行している場合、モニタECU16は、処理をステップST33へ進める。高速道路を走行していない場合、すなわち一般道を走行している場合、モニタECU16は、処理をステップST34へ進める。なお、モニタECU16は、自車が一般道を走行しているか否かを判断してもよい。
【0064】
ステップST33において、モニタECU16は、上述した実施形態と同様に複数の撮像画像を重畳して合成する。モニタECU16は、たとえばステップST3からステップST8の処理を実行する。これにより、モニタECU16は、自車が高速道路を走行している場合には、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像26を生成する。その後、モニタECU16は、処理をステップST35へ進める。
【0065】
ステップST34において、モニタECU16は、中央撮像画像21について右の重畳範囲24および左の重畳範囲25をトリミングし、トリミング処理後の中央撮像画像21と、右撮像画像22および左撮像画像23を合成する。これにより、表示画像26における右の重畳範囲24は、右撮像画像22の画像成分のみとなる。また、表示画像26における左の重畳範囲25は、左撮像画像23の画像成分のみとなる。モニタECU16は、自車が一般道を走行している場合には、重畳範囲において側方の撮像画像のみを表示する表示画像26を生成する。なお、モニタECU16は、重畳範囲において、側方の撮像画像と後方の撮像画像とを、側方の撮像画像の濃度が相対的に高くなるように固定的な濃度で重畳してもよい。その後、モニタECU16は、処理をステップST35へ進める。
【0066】
ステップST35において、モニタECU16は、生成した表示画像26を、モニタ14へ出力する。
これにより、モニタ14は、中央撮像画像21と右撮像画像22と左撮像画像23とを重畳範囲で重ねて合成した表示画像26を表示する。
また、一般道を走行している場合、モニタ14は、重畳範囲において側方の撮像画像のみを表示する表示画像26を表示し続ける。重畳範囲における側方の撮像画像の表示濃度は、後方の撮像画像より高くした状態に維持される。
【0067】
以上のように、本実施形態では、自動車1が走行している道路の情報を取得する道路情報取得部19、を有する。そして、本実施形態では、道路情報取得部19により取得された道路情報に基づいて、自動車1が走行している道路が高速道路または一般道のいずれかであるかを判断し、高速道路を走行していると判断される場合には、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、一般道を走行していると判断される場合には、重畳範囲における側方の撮像画像の濃度を後方の撮像画像より高くした状態に維持する。たとえば、重畳範囲における側方の撮像画像の表示濃度を後方の撮像画像より高くした状態に維持するためには、重畳範囲の画像を側方の撮像画像のみから生成する。
これにより、本実施形態では、たとえば一般道のように側方の移動体を確認する必要性が高い場合には、側方の移動体をはっきりと表示することができる。
このように、本実施形態では、複数の撮像デバイス11~13による撮像画像を重ねて表示する際に、道路情報取得部19による自動車1の状態に応じて重畳範囲における撮像画像の濃度を変化させて、表示画像を生成する、ことができる。
【0068】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0069】
上述した実施形態では、左右の重畳範囲24,25における移動体の位置の変化に応じて、左右の重畳範囲24,25における後方の中央撮像画像21の濃度と、左右の重畳範囲24,25における側方の右撮像画像22および左撮像画像23の濃度との、双方を変化させている。
この他にもたとえば、モニタECU16は、中央撮像画像21の濃度、および右撮像画像22および左撮像画像23の濃度との、一方のみを、左右の重畳範囲24,25における移動体の位置の変化に応じて変化させてもよい。
【0070】
上述する実施形態には、少なくとも以下の発明が記載されている。
以下の発明は、車外モニタ装置において、重畳範囲における移動体を適切に表示できるように改善するという課題を解決するためのものである。
【0071】
車外モニタ装置は、車両の周囲を複数に分けて撮像する複数の撮像デバイスと、複数の前記撮像デバイスにより撮像される画像を合成して表示画像を生成する生成部と、前記生成部により生成される表示画像を表示する表示デバイスと、を有し、複数の前記撮像デバイスは、他の前記撮像デバイスと撮像範囲が重なるように前記車両の周囲を撮像し、前記生成部は、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成する際に、重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて、前記重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さを変化させる。
【0072】
好適には、前記生成部は、前記重畳範囲において重なる第一の撮像画像の側から第二の撮像画像の側へ向かって移動体の位置が変化する場合、前記重畳範囲における第一の撮像画像の濃度を第二の撮像画像より高くしている状態から、前記第二の撮像画像の濃度を前記第一の撮像画像より高くする状態へ変化させる、とよい。
【0073】
好適には、前記車両の周囲で移動する移動体を検出する移動体検出部、を有し、前記生成部は、前記移動体検出部により検出される前記重畳範囲の移動体についての画像中の位置の変化を判断し、前記重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて、前記重畳範囲における第一の撮像画像の濃度と第二の撮像画像の濃度との中の少なくとも一方を変化させる、とよい。
【0074】
好適には、複数の前記撮像デバイスは、車両の後方から側方にかけての撮像範囲を車幅方向において複数に分けて撮像し、前記生成部は、後方の撮像画像と側方の撮像画像とを重ねて合成する表示画像を生成する際に、前記重畳範囲の移動体が前記後方の撮像画像の側から前記側方の撮像画像の側へ向かって位置を変化する場合、前記重畳範囲における前記移動体の位置に応じて、前記重畳範囲における前記後方の撮像画像の濃度を前記側方の撮像画像より高くしている状態から、前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くする状態へ切り替え、前記重畳範囲の移動体が前記側方の撮像画像の側から前記後方の撮像画像の側へ向かって位置を変化する場合、前記重畳範囲における前記移動体の位置に応じて、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くしている状態から、前記後方の撮像画像の濃度を前記側方の撮像画像より高くする状態へ切り替える、とよい。
【0075】
好適には、前記生成部は、前記移動体が前記重畳範囲の中央より前記後方の撮像画像の側に位置する場合には、前記重畳範囲における前記後方の撮像画像の濃度を前記側方の撮像画像より高くし、前記移動体が前記重畳範囲の中央より前記側方の撮像画像の側に位置する場合には、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くするように、前記重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さを変化させる、とよい。
【0076】
好適には、前記車両の操舵または前記車両の向きを検出する変向検出部、を有し、前記生成部は、前記変向検出部により検出される操舵または前記車両の向きの変向量が閾値未満である場合、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、前記変向検出部により検出される操舵または前記車両の向きの変向量が閾値以上である場合、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持する、とよい。
【0077】
好適には、操舵または前記車両の向きの変向量と比較される前記閾値は、前記車両が右左折する際の変向量より小さく、前記車両が車線変更や車線に沿って操舵して走行する際の変向量より大きい、とよい。
【0078】
好適には、前記車両が走行している道路の情報を取得する道路情報取得部、を有し、前記生成部は、前記道路情報取得部により取得された道路情報に基づいて、前記車両が走行している道路が高速道路または一般道のいずれかであるかを判断し、前記道路情報取得部により高速道路を走行していると判断される場合、複数の前記撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、前記変向検出部により一般道を走行していると判断される場合、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持する、とよい。
【0079】
好適には、前記生成部は、前記重畳範囲における前記側方の撮像画像の表示濃度を前記後方の撮像画像より高くした状態に維持するために、前記重畳範囲の画像を前記側方の撮像画像のみから生成する、とよい。
【0080】
好適には、複数の前記撮像デバイスは、前記車両において互いに離間させて設けられている、とよい。
【0081】
このような発明では、以下の効果を奏する。
すなわち、複数の撮像デバイスは、車両の周囲を複数に分けて撮像する。そして、複数の撮像デバイスにより撮像される画像を合成して表示画像を生成する際に、複数の撮像デバイスによる撮像画像を重ねて表示する表示画像を生成し、表示デバイスに表示する。しかも、重畳範囲における複数の撮像画像の重畳濃さは、表示画像についての重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて変化する。たとえば、重畳範囲において重なる第一の撮像画像の側から第二の撮像画像の側へ向かって移動体の位置が変化する場合、重畳範囲における第一の撮像画像の濃度を第二の撮像画像より高くしている状態から、第二の撮像画像の濃度を第一の撮像画像より高くする状態へ変化させる。この際、たとえば、車両の周囲で移動する移動体についての画像中の位置の変化を判断する移動体検出部により、重畳範囲における移動体の位置の変化を判断して、これに応じて、重畳範囲における第一の撮像画像の濃度と第二の撮像画像の濃度との中の少なくとも一方を変化させればよい。
これにより、重畳範囲の画像では、重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて、複数の撮像画像の重畳濃さが変化し、たとえば第一の撮像画像および第二の撮像画像の中の一方が優先的に表示に現れるようになる。その結果、重畳範囲において複数の画像が重ねて表示されるとしても、優先して表示される画像における移動体が重畳範囲において明瞭に表示されるようになる。
これに対して、仮にたとえば重畳範囲において複数の画像を同じ濃度で重ねて表示する場合、重畳範囲における移動体は複数の画像の間での位置ずれや大きさの相違などにより、全体的に二重の画像となってぼやけて表示されるようになり易い。この発明では、このような事態が生じ難くなり、移動体は、複数の画像が重畳される重畳範囲においても優先される一方の画像により明瞭に表示され得る。移動体は、重畳範囲においても、それ以外の範囲に表示される場合と同様に、明瞭に表示され得る。
しかも、重畳範囲における移動体の位置の変化に応じて、重畳される複数の画像の間で濃度の比を切り換えるため、移動体は、重畳範囲から一方の画像のみに撮像される範囲へ位置を変化させる前から、一方の画像により優先的に表示されている。その結果、移動体は、重畳範囲から一方の画像のみに撮像される範囲へ位置を変化させる際に、移動体の像が急激に変化することもない。
これに対して、重畳範囲において他方の画像での移動体を表示している場合、重畳範囲から一方の画像のみに撮像される範囲へ位置を変化させる際に、移動体の像が急激に変化する可能性がある。一方の画像における移動体の像と、他方の画像における移動体の像との間に、たとえば上下位置の微妙なずれがある場合、または撮像サイズが違う場合、このような境界位置をまたいで移動体の位置が変化するとき、移動体の像が急激に変化することになる。
【符号の説明】
【0082】
1…自動車(車両)、10…車外モニタ装置、11…センタリアカメラ(撮像デバイス)、12…右リアカメラ(撮像デバイス)、13…左リアカメラ(撮像デバイス)、14…モニタ(表示デバイス)、16…モニタECU(生成部)、17…移動体検出部、18…変向検出部、19…道路情報取得部、20…撮像範囲、21…中央撮像画像、22…右撮像画像、23…左撮像画像、24…右の重畳範囲、25…左の重畳範囲、26…表示画像、30…移動体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9