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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】蒸発器が箱体の底部に設けられた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/00 20060101AFI20240529BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20240529BHJP
   F25D 17/06 20060101ALI20240529BHJP
【FI】
F25D19/00 520C
F25D21/14 E
F25D17/06 304
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023511899
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2021110593
(87)【国際公開番号】W WO2022037411
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】202010833967.3
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(73)【特許権者】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】馬 堅
(72)【発明者】
【氏名】王 少一
(72)【発明者】
【氏名】陳 建全
(72)【発明者】
【氏名】曹 東強
(72)【発明者】
【氏名】劉 建如
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02994207(US,A)
【文献】中国実用新案第208688080(CN,U)
【文献】中国実用新案第208817806(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110285629(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
F25D 21/14
F25D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器が箱体の底部に設けられた冷蔵庫であって、
冷却室と貯蔵空間が区画されている底部内箱を有し、前記冷却室が前記貯蔵空間の下方に設けられる箱体と、
前記冷却室内に配置され、水平方向に対して前記冷蔵庫の奥行方向に沿って傾斜して設けられ、傾斜方向は前から後に向かって上向きになる蒸発器と、を含み、
前記底部内箱の底壁は、
前記底部内箱の底壁の先端から、前から後に向かって下へ傾斜して設けられる第1傾斜部と、
前記第1傾斜部の後側に設けられ、横方向の中央部から両側にかけて上へ傾斜するように構成されており、前記冷却室内の水を排出するための排水口が横方向の中央部に開けられる凹部と、
前記凹部の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、前記蒸発器を支持することに用いられ、前記蒸発器の先端が前記第1傾斜部に当接して、前記蒸発器の先端に生じた水が前記凹部に集まり、前記排水口の前記箱体の前後方向での位置が前記蒸発器の前部にある第2傾斜部と、を含み、
さらに、前記底部内箱の底壁は、
前記第2傾斜部の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、傾斜角度が前記第2傾斜部の傾斜角度よりも大きい第3傾斜部を含み、
前記第3傾斜部に設けられ、前記蒸発器を介して前記貯蔵空間に送られる冷凍気流の形成を促進するように構成される冷凍ファンと、
前記冷凍ファンの送風方向の下流に設けられ、前記冷凍気流を前記貯蔵空間に輸送するように構成される送風ダクトと、を含む、
冷蔵庫。
【請求項2】
水平方向に対する前記蒸発器の傾斜角度の範囲が7.0°~8.0°に設定される請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記蒸発器は全体として扁平直方体の形状をしており、前記蒸発器の前側面から後側面までの距離と前記蒸発器の天面から底面までの距離との比の範囲が1.9~2.1に設定される請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記蒸発器の前側面から後側面までの距離の範囲が150mm~155mmに設定され、
前記蒸発器の天面から底面までの距離の範囲が73mm~78mmに設定される請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷凍ファンは遠心ファンであり、前記遠心ファンは渦巻ケーシングと前記渦巻ケーシング内に設けられるインペラーとを含み、前記渦巻ケーシングは前記第3傾斜部に固定され、吹込み口が前上方を向いて、前記インペラーによって前記蒸発器により熱交換を受けた空気を吹き込み、
前記渦巻ケーシングの排気口が後側に位置し、前記送風ダクトは前記排気口に接続され、上へ延びており、前記冷凍気流を前記貯蔵空間まで上へ案内するように構成される請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
箱体は、前記底部内箱内に横方向に設けられ、前記冷却室と前記貯蔵空間を隔てる蒸発器カバーをさらに含み、
前記蒸発器カバーは、
前記蒸発器の頂部に位置し、略水平に設けられる第1カバー部と、
前記第1カバー部の後端から上へ傾斜して延びており、前記遠心ファンに平行に設けられ、前記遠心ファンと所定の間隔を空けている第2カバー部と、を含み、
前記遠心ファンによって吹き込まれた空気が前記遠心ファンと前記第2カバー部との間隔を介して前記吹込み口に入る請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記遠心ファンと前記第2カバー部との間隔が、30mm以下に設定される請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
水平方向に対する前記第3傾斜部の傾斜角度の範囲が、36.0°~37.0°に設定される請求項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家電分野に関し、特に蒸発器が箱体の底部に設けられた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の利用者によっては、冷蔵庫が占める空間に対して厳しく要求する場合がある。冷蔵庫には、できるだけ小さな空間を占有しながら、多くの使用容積を提供することが望まれる。従来の冷蔵庫では、蒸発器が冷蔵庫の背部に設けられるので、奥行方向における空間が大きく占有され、箱体の超薄型化の要件を満たすことができない。上記の問題に対して、従来技術では、蒸発器底置き式冷蔵庫が開発されている。
【0003】
ただし、従来技術における蒸発器横置き式冷蔵庫では、蒸発器が水平に配置され、多くの欠点が存在する。蒸発器が冷蔵庫の底部に横方向に配置されるので、冷蔵庫の底部の空間のほとんどが占有され、冷蔵庫の空間利用率が低下する。しかも、水平に設ける方法によって蒸発器の周辺に渦巻が存在し、その結果として、風路の流通性が劣化する。蒸発器の除霜水も蒸発器の表面に蓄積しやすく、蒸発器の着霜ひいては結氷を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、上記の問題のいずれかを少なくとも解決できる、蒸発器が箱体の底部に設けられた冷蔵庫を提供することである。
【0005】
本発明の更なる目的は冷蔵庫の空間利用率を高めることである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は風路を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に、本発明は、冷却室と貯蔵空間が区画されている底部内箱を有し、冷却室が貯蔵空間の下方に設けられる箱体と、冷却室内に配置され、水平方向に対して冷蔵庫の奥行方向に沿って傾斜して配置され、傾斜方向は前から後に向かって上向きになる蒸発器と、を含む蒸発器が箱体の底部に設けられた冷蔵庫を提供する。
【0008】
さらに、水平方向に対する蒸発器の傾斜角度の範囲が7.0°~8.0°に設定される。
【0009】
さらに、蒸発器は全体として扁平直方体の形状をしており、前記蒸発器の前側面から後側面までの距離と蒸発器の天面から底面までの距離との比の範囲が1.9~2.1に設定される。
【0010】
さらに、蒸発器の前側面から後側面までの距離の範囲が150mm~155mmに設定され、蒸発器の天面から底面までの距離の範囲が73mm~78mmに設定される。
【0011】
さらに、底部内箱の底壁は、
底部内箱の底壁の先端から、前から後に向かって下へ傾斜して設けられる第1傾斜部と、
第1傾斜部の後側に設けられ、横方向の中央部から両側にかけて上へ傾斜するように構成されており、冷却室内の水を排出するための排水口が横方向の中央部に開けられる凹部と、
凹部の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、蒸発器を支持することに用いられ、蒸発器の先端が第1傾斜部に当接して、蒸発器の先端に生じた水が凹部に集まり、排水口の箱体の前後方向での位置が蒸発器の前部にある第2傾斜部と、を含む。
【0012】
さらに、底部内箱の底壁は、
第2傾斜部の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、傾斜角度が第2傾斜部の傾斜角度よりも大きい第3傾斜部をさらに含み、
第3傾斜部に設けられ、蒸発器を介して貯蔵空間に送られる冷凍気流の形成を促進するように構成される冷凍ファンと、
冷凍ファンの送風方向の下流に設けられ、冷凍気流を貯蔵空間に輸送するように構成される送風ダクトと、をさらに含む。
【0013】
さらに、冷凍ファンは遠心ファンであり、遠心ファンは渦巻ケーシングと渦巻ケーシング内に設けられるインペラーとを含み、渦巻ケーシングは第3傾斜部に固定され、吹込み口が前上方を向いて、インペラーによって蒸発器により熱交換を受けた空気を吹き込み、
渦巻ケーシングの排気口が後側に位置し、送風ダクトは排気口に接続され、上へ延びており、冷凍気流を貯蔵空間まで上へ案内するように構成される。
【0014】
さらに、箱体は、底部内箱内に横方向に設けられ、冷却室と貯蔵空間を隔てる蒸発器カバーをさらに含み、
蒸発器カバーは、
蒸発器の頂部に位置し、略水平に設けられる第1カバー部と、
第1カバー部の後端から上へ傾斜して延びており、遠心ファンに平行に設けられ、遠心ファンと所定の間隔を空けている第2カバー部と、を含み、
遠心ファンによって吹き込まれた空気が遠心ファンと第2カバー部との間隔を介して吹込み口に入る。
【0015】
さらに、遠心ファンと第2カバー部との間隔が、30mm以下に設定される。
【0016】
さらに、水平方向に対する第3傾斜部の傾斜角度の範囲が、36.0°~37.0°に設定される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷蔵庫の蒸発器が水平方向に対して冷蔵庫の奥行方向に沿って傾斜して設けられることによって、従来技術では奥行寸法を小さくするには蒸発器を水平に配置する必要があるという技術的な制限を解消し、空間の利用率を高める。扁平直方体の形状の蒸発器が傾斜して配置されると、前後方向の長さが増大するが、蒸発器が傾斜して設けられることにより、冷却室内の他の部材のレイアウトがより合理的になり、しかも、気流の流れ場を実際に分析した結果、風路が改善され、気流が還気過程にわたってより順調かつ均一に流れ、風のサイクル効率も高まることが証明された。
【0018】
さらに、本発明の冷蔵庫では、蒸発器が傾斜して設けられるので、蒸発器による除霜水が排水口により流れやすく、排水がより順調に行われ得る。
【0019】
以下で図面を参照して本発明の特定実施例を詳細に説明し、これによって、本発明の上記及び他の目的、利点及び特徴が当業者によってより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下では、本発明のいくつかの特定実施例は図面を参照して限定的ではなく例示的に説明される。図面における同じ符号は同一又は類似の部材又は部分を表す。当業者にとって明らかなように、これらの図面は必ずしも比例して描かれたものではない。
図1】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の箱体の概略正面図である。
図2図1に示す箱体の概略斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略ブロック図である。
図4図1の切断線A-Aに沿って切断された概略断面図であり、各部材の縦方向の寸法を示す。
図5図1の切断線A-Aに沿って切断された概略断面図であり、各部材の前後方向における寸法を示す。
図6図1の切断線B-Bに沿って切断された概略断面図である。
図7】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の箱体の下部の縦断面概略図である。
図8】本発明の一実施例の冷蔵庫のドアが閉じられたときの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
なお、本実施例の説明において、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「奥行」などの用語により示される方位又は位置関係は冷蔵庫が正常に使用される状態での方位を参照とし、また図面に示される方位又は位置関係を参照して決定されるものであり、例えば、示される方位の「前」とは冷蔵庫の利用者に面する側である。本発明を説明しやすくし、説明を簡素化させるために過ぎず、係る装置又は構成要素が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構造、操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0022】
図1は本発明の一実施例に係る冷蔵庫の箱体100の概略正面図である。図2図1に示す箱体100の概略斜視図である。図1及び図2は主に箱体100の底部部分の構造を示す。
【0023】
本実施例の冷蔵庫は一般的には箱体100を含んでもよく、箱体100はハウジング、内箱、断熱層及び他の付属品から構成されてもよい。ハウジングは冷蔵庫の外層構造であり、冷蔵庫全体を保護する。外界との熱伝導を遮断するために、箱体100のハウジングと内箱との間に断熱層が増設されており、断熱層は一般には発泡プロセスにより形成される。内箱は1つ又は複数であってもよく、例えば機能によって冷藏内箱、可変温度内箱、冷凍内箱等に分けられてもよい。
【0024】
複数の内箱は上下に配列するように配置されてもよいが、本実施例では、底部内箱101は冷却室110と貯蔵空間120が区画されており、冷却室110は貯蔵空間120の下方に設けられる。貯蔵空間120は冷蔵庫の最底部にある貯蔵用の空間であってもよい。一般には、底部内箱101は冷凍内箱であり、貯蔵空間120は冷凍区画室を構成する。冷凍区画室の上方には、可変温度内箱内で区画された可変温度室、冷藏内箱内で区画された冷藏室などが必要に応じて配置されてもよい。貯蔵区画室の具体的な数や機能は冷蔵庫のニーズに応じて設定されてもよく、底部内箱101は内部の部材が最も複雑であるので、寸法に対する要件が最も高く、残りの内箱については、全体の寸法は底部内箱101の寸法に応じて設定されてもよい。箱体100の前側には、貯蔵区画室を開閉するためのドアがさらに設けられ、箱体100の内部構造を示すために、図においてドアが省略される。
【0025】
本実施例の冷蔵庫では、貯蔵空間120の容積と箱体100全体の体積との比が、17.9%以上、例えば17.9%に設定され、これにより、貯蔵空間120の空間利用効率を高める。好ましい実施例では、箱体100の体積は992.2dm3に設定されてもよく、貯蔵空間120の容積は178Lであり、貯蔵空間120の容積と箱体100全体の体積との比は17.9%である。上記の構成によれば、箱体100の占用空間を確保しつつ、貯蔵空間120の有効利用率を高める。上記の貯蔵空間120の容積と箱体100全体との比は空間に対する要件及び冷凍性能に対する要件に応じて行われた構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。箱体の寸法を小さくした場合、貯蔵空間120の容積が一定に保持され、冷凍区画室の容積に対する要求が満たされる。
【0026】
底部内箱101内には蒸発器カバー130及び縦方向セパレータ140が設けられてもよい。蒸発器カバー130は底部内箱101内に横方向に設けられ、冷却室と貯蔵空間120を隔てる。蒸発器カバー130はまた貯蔵空間120の底壁及び冷却室の頂部としても機能し、その上方の貯蔵空間120は物品貯蔵用である。
【0027】
冷却室110の下方には冷蔵庫の圧縮機及び凝縮器を取り付けるための圧縮機室150が設けられる。圧縮機室上蓋151の前部が第3傾斜部1013に平行であり、これによって、発泡層の流動性を改善する。また、圧縮機室上蓋151と底部内箱101の底壁は間隔を空けて設けられる。圧縮機室上蓋151と前部与第3傾斜部1013との間の平行な間隔は45mm以下、例えば45mmに設定されてもよい。上記の圧縮機室上蓋151の前部と第3傾斜部1013との間の平行な間隔は空間性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0028】
底部内箱101の外側に発泡層が設けられる。底部内箱101の両側の発泡層の厚さは65mm以下に設定される。箱体100全体の幅は905mmであり、発泡層の厚さを小さくすると貯蔵空間120の容積が増大する。発泡層の厚さと断熱性能とは対立的である。発泡層の厚さを65mmに減少することは、空間に対する要件及び断熱性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0029】
圧縮機室150の熱が貯蔵空間120による冷凍に影響を与えないように、圧縮機室上蓋151と底部内箱101との間に発泡層が設けられていてもよい。圧縮機室上蓋151と第3傾斜部1013との間隔による制限から、底部内箱101の両側の発泡層の厚さは45mm以下である。これは空間に対する要件及び断熱性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0030】
縦方向セパレータ140は、貯蔵空間120の中央部に設けられ、貯蔵空間120を横方向に配列された2つの貯蔵室に分ける。つまり、貯蔵空間120は左右にある2つの貯蔵室を有し、2つの貯蔵室のそれぞれにドアが設けられて、観音開きの構造が形成されるようにしてもよい。
【0031】
図3は本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略ブロック図である。冷凍システム300は圧縮機310、凝縮器320、絞り装置330及び蒸発器340などからなる冷凍サイクルシステムであってもよい。蒸発器340は貯蔵空間120内に冷気を直接又は間接的に供給するように供給される。冷蔵庫は風路システムを介して蒸発器340と貯蔵区画室内での冷凍気流のサイクルを実現する。冷凍システム自体のサイクル構造及び作動原理は当業者に公知であり、かつ実現されやすいので、本願の発明点を覆い隠し、曖昧にしないため、以下では、冷凍システムそのものについて詳しく説明しない。
【0032】
送風アセンブリ400は冷却室と貯蔵空間120との間の気流サイクルを形成するものであり、具体的には、冷凍ファン410及び送風ダクト420を含んでもよい。
【0033】
本実施例の冷凍システムでは、冷蔵庫による冷凍のニーズに合わせるように、その定格冷凍電力又は最大冷凍電力は150ワット(150W)以上に設置される。つまり、冷凍システムの冷凍能力は150W以上で無ければならない。
【0034】
図4図1の切断線A-Aで切断された概略断面図であり、各部材の縦方向寸法を示す。図5図1の切断線A-Aで切断された概略断面図であり、各部材の前後方向寸法を示し、図6図1の切断線B-Bで切断された概略断面図である。図7は本発明の一実施例に係る冷蔵庫の箱体の下部の縦断面概略図である。具体的な部材を示しやすくするために、図4図5及び図6において切断線が省略され、部材の輪郭のみが示されている。
【0035】
冷却室110は貯蔵空間120の下方に配置され、蒸発器340及び送風アセンブリ400の一部が配置されている。蒸発器340が箱体の後ろに設けられた従来の冷蔵庫と比較して、本実施例の冷蔵庫では、蒸発器340が冷却室110内に配置されることによって、箱体100の奥行方向の寸法(前後方向の距離)を小さくし、奥行方向の寸法をできるだけ貯蔵空間120用にする一方、貯蔵空間120の底部が上昇するため、利用者が物品を出し入れする際に大きく腰をかがめたり、しゃがんだりしなければならないという使用上の不便さも回避する。
【0036】
本実施例の冷蔵庫の箱体100は前後方向における奥行寸法が510mm以下に設定される。構造上の最適化を多く行うことによって、本実施例の冷蔵庫の奥行寸法が510mm以下である場合、冷却室110内には定格冷凍電力又は最大冷凍電力が150ワット以上の冷凍システムの蒸発器340が配置され、冷蔵庫の正常な作動やエネルギー消費基準に対する要件が満たされる。
【0037】
蒸発器340は全体として扁平直方体の形状をしていてもよい。つまり、蒸発器340の支持面に垂直な厚さ寸法は蒸発器340の長さ寸法よりも明らかに小さい。蒸発器340は、フィンの配置方向が前後である奥行方向に平行で、気流が前から後まで通過することを容易にするフィン蒸発器であってもよい。本実施例では、蒸発器340は、空間に対する要件を満たす場合、必要に応じて他の形状としてもよいが、その中でも、扁平直方体の形状の蒸発器340は構造がコンパクトでシングルである実現形態である。
【0038】
従来技術における蒸発器底置き式冷蔵庫では、蒸発器は水平に配置され、気流が冷却室に入ると蒸発器の先端に集まりやすく、蒸発器に順調に入って熱交換を行うことができない。また、遠心ファンの上部の吸い込み空間が小さいため、熱交換が終了した気流はファンに十分に入ることができず、還気効率が低下する。遠心ファンの排出方向におけるダクトとの接続部位が狭すぎる場合にも、気流が集まりやすく、気流がダクトに十分に吹き込まれにくく、還気及び冷凍の効率が低下する。
【0039】
本実施例の冷蔵庫では、蒸発器340は全体として扁平直方体の形状をしており、冷却室110内に傾斜して設けられ、従来技術では奥行寸法を小さくするには蒸発器340を水平に配置する必要があるという技術的な制限を解消する。水平方向に対する蒸発器340の傾斜角度αの範囲が7.0°~8.0°、例えば7.2°、7.5°、7.8°、好ましくは7.5°に設定されてもよい。扁平直方体の形状の蒸発器340が傾斜して配置されることによって、前後方向の長さが増加するが、冷却室110内の他の部材のアレイアウトがより合理的になり、また、気流の流れ場を実際に分析した結果、風のサイクル効率もより高まり、排水がより順調になることが証明された。蒸発器340が傾斜して設けられるというレイアウト形態は本実施例における主な技術的改良の1つである。蒸発器340の前側面から後側面までの距離の範囲が150mm~155mm、例えば152mm、153mm、154mm、好ましくは152mmに設定される。蒸発器340の天面から底面までの距離の範囲が73mm~78mm、例えば74mm、75mm、76mm、好ましくは75mmに設定されてもよい。蒸発器340の前側面から後側面までの距離と蒸発器340の天面から底面までの距離との比の範囲が1.9~2.1、例えば1.95、2.0、2.05、好ましくは2.0に設定されてもよい。蒸発器340が傾斜して設けられるため、蒸発器340の下方には、凝縮水を収集するために設けられるタンク104が存在する。気流は冷却室110に入ってから、蒸発器340の前側面を介して蒸発器340に入って熱交換を行うことができ、気流の一部は蒸発器340の上部と底部タンク104との2つの部分を経て蒸発器340に入って熱交換を行うこともでき、これによって、熱交換がより均一に行われ、次に、気流は冷凍ファン410によって送風ダクト420に送られて、上部貯蔵空間120を冷凍する。
【0040】
前後方向の奥行寸法を小さくするために、本実施例の冷蔵庫では、冷却室110内の各部材の前後方向の位置及び寸法のいずれも厳しく設定され、ここでは、蒸発器340の水平方向の投影の前後方向における長さの、箱体100の前後方向の奥行寸法に占める割合が30%よりも小さく、例えば29.8%に設定されてもよい。箱体100の前後方向の奥行寸法とは、先端から後端までの水平方向の長さを指す。上記の蒸発器340の寸法及び配置方式は空間に対する要件及び冷凍性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0041】
底部内箱101の底壁は、第1傾斜部1011、第2傾斜部1012、第3傾斜部1013、及び凹部1014をさらに含む。
【0042】
第1傾斜部1011は、底部内箱101の底壁の先端から、前から後に向かって下へ傾斜して設けられ、凹部1014は第1傾斜部1011の後側に設けられ、横方向の中央部から両側にかけて上へ傾斜するように構成されることによって、横方向の中央部に排水口103が開けられる。排水口103は冷却室110内の水を排出するものである。排水口103の位置は横方向の略中央部の領域にあり、横方向の厳格な中心領域にあるわけではない。いくつかの実施例では、排水口103は横方向の中央部から適宜一方側寄りの位置にあってもよい。
【0043】
第2傾斜部1012は、凹部1014の後端から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、蒸発器340を支持することに用いられ、蒸発器340の先端が第1傾斜部1011に抵触する。蒸発器340は第2傾斜部1012に設けられ、これによって、蒸発器340に生じた水が凹部1014に集まり、排水口103の箱体の前後方向での位置が蒸発器340の前部にある。蒸発器340と第2傾斜部1012の水平面に対する傾斜角度が一致し、該傾斜角度αの範囲は7.0°~8.0°、例えば7.2°、7.5°、7.8°、好ましくは7.5°に設定されてもよい。つまり、第1傾斜部1011と第2傾斜部1012との接続位置は排水口103を設ける凹部1014となり、このようにして、蒸発器340の凝縮水は排水口103によって排出される。箱体100の底面に対する排水口103の高さは66mm以下、例えば66mmに設定されてもよい。蒸発器340が第1傾斜部1011に当接する位置は、排水口103からの高さが22mm以下、例えば22mmに設定されてもよい。排水角度を確保しながら、排水口103の高さを最小にする。箱体100の底面に対する上記の排水口103の高さ及び蒸発器340が第1傾斜部1011に当接する位置の、排水口103に対する高さの設定は、排水性能に対する要件及び空間に対する予見に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0044】
第3傾斜部1013は、第2傾斜部1012から、前から後に向かって上へ傾斜して設けられ、傾斜角度が第2傾斜部1012の傾斜角度よりも大きい。水平方向に対する第3傾斜部1013の傾斜角度は36.0°~37.0°、例えば36.5°、36.7°、36.9°、好ましくは36.7°に設定されてもよい。
【0045】
凹部1014の傾斜角度は3°以上、さらに6°以上、例えばいかなる角度であってもよい。第2傾斜部1012の傾斜角度、第3傾斜部1013の傾斜角度もそれぞれ蒸発器340の傾斜角度及び冷凍ファン410の傾斜角度である。凹部1014の傾斜角度は水が排水口103へ集まることを確保できる。
【0046】
凹部1014の両側の傾斜角度は3度以上(好ましくは7°)であってもよく、これによって、両側の水が排水口103へ集まる。凹部1014の構成は蒸発器340と底部内箱101の底壁との間隔をできるだけ小さくし、蒸発器340の加熱ワイヤ(図示せず)を介して熱を凹部1014に伝達し、除霜水が排水口103に効果的に流れることを可能にする。上記の凹部1014の構造では、蒸発器340の加熱ワイヤの熱を利用して除霜を行うことによって、氷が排水口103を塞ぐことを回避し、また、排水口103に加熱ワイヤを増設することを回避する。
【0047】
凹部1014の構成により、蒸発器340の傾斜している部分の領域がぶら下がるようになり、霜取りや排水が容易になる。蒸発器340が傾斜して設けられることによって、蒸発器340と排水口103との間の距離を小さくすることもでき、このように、冷蔵庫の空間利用率を高めるだけではなく、蒸発器340の加熱ワイヤが排水口103での領域を加熱し、排水口103への着霜のリスクを低減させることもできる。
【0048】
第2傾斜部1012の傾斜角度によって水が排水口103に集まることも容易になり、排水の順調さが向上する。蒸発器340の第2傾斜部1012に密着する部分の、蒸発器340の底面に占める比は0.6以上、例えば2/3、3/4等に設置されてもよく、このようにすれば、排水口103は蒸発器340の前部の下方に位置するようになる。つまり、排水口103の箱体100の前後方向での位置は蒸発器340の前部にあり、例えば排水口103は蒸発器340全体の奥行寸法の三分の一(又は四分の一)の位置よりも下にあってもよい。
【0049】
本実施例の冷蔵庫では、蒸発器340の底面と第2傾斜部1012が密着する長さを確保することによって、空気が蒸発器340内に入るのではなく、蒸発器340の底面と排水口103との間の空間を流れることを回避し、空気が蒸発器340を流れる経路の長さを増大し、さらに蒸発器340の熱交換効率を高める。
【0050】
上記の冷却室110の構成及び蒸発器340などの部材が傾斜して設けられることによって、気流の順調かつ十分な熱交換を確保するに加えて、着霜をある程度低減させ、しかも、霜取り率や排水効率を高める。
【0051】
本実施例の冷蔵庫では、送風アセンブリ400は、蒸発器340の後ろに設けられる。送風アセンブリ400は冷凍ファン410及び送風ダクト420を含んでもよい。冷凍ファン410は蒸発器340の後方に傾斜して設けられ、吹込み口が前上方を向いて、蒸発器340を介して貯蔵空間120に送られる冷凍気流の形成を促進するように構成される。冷凍ファン410は遠心ファンであってもよい。冷凍ファン410は、前から後まで上へ傾斜するように、蒸発器340の後方に設けられ、渦巻ケーシングと、渦巻ケーシング内に設けられるインペラーと、を含む。渦巻ケーシングは第3傾斜部1013の上方に固定される。渦巻ケーシングの吹込み口が前上方を向くことによって、インペラーは蒸発器340によって熱交換を行われた空気を吸引し、渦巻ケーシングの排気口は後側に位置する。送風ダクト420は排気口に接続され、上へ延びており、冷凍気流を貯蔵空間120まで上へ案内するように構成される。冷凍ファン410の吹込み口は一般には渦巻ケーシングの中心に位置し、その高さが蒸発器340のトップよりも高くてもよい。冷凍ファン410は第3傾斜部1013に設けられ、水平面に対する第3傾斜部1013とは傾斜角度を一致させる。冷凍ファン410の傾斜角度βは36.0°~37.0°、例えば36.5°、36.7°、36.9°、好ましくは36.7°に設定されてもよい。渦巻ケーシングはケースと蓋体を結合したものであり、着脱や組み立てが容易に実施される。
【0052】
冷凍ファン410の排気口は後側に位置し、斜め後方に送風するように構成される。送風ダクト420は冷凍ファン410の排気口に連通し、上へ延びており、冷凍気流を貯蔵空間120に送るように構成される。貯蔵空間120の後壁には、送風ダクト420に連通する送風口421が開けられ、冷凍気流が貯蔵空間120に排出される。送風ダクト420では、上へ延びている垂直セクションの前後方向の厚さの、箱体100の前後方向の奥行寸法に占める比が、5.0%よりも小さく、例えば4.9%であってもよい。
【0053】
箱体100の発泡層は冷却室110と貯蔵空間120の外側に設けられ、つまり、底部内箱101の外側に位置し、底部内箱101を被覆し、また、貯蔵空間120の背部の発泡層の厚さの、箱体100の前後方向の奥行寸法に占める割合が、11.2%よりも小さく、例えば11%に設定されてもよい。発泡層の厚さと断熱性能とは対立的である。上記の発泡層の厚さは、空間に対する要件及び断熱性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0054】
蒸発器カバー130は、底部内箱101内に横方向に設けられ、冷却室110と貯蔵空間120を隔てるものであり、還気フード131は、蒸発器カバー130の先端に設けられ、冷却室110の前壁として機能し、還気フード131の先端から箱体100の先端までの水平方向の距離の、箱体100の前後方向の奥行寸法に占める割合が、4.9%よりも小さく、例えば4.7%に設定されてもよい。還気フード131では、冷却室110の前側には貯蔵空間120に連通する前還気入口132が形成され、これによって、貯蔵空間120の還気気流が前還気入口132を経て冷却室110に入り、蒸発器340と熱交換を行い、このように、冷却室110と貯蔵空間120との間で気流サイクルが形成される。上記の還気フード131と箱体100の先端との距離は、空間に対する要件及び還気性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化、試作品において効果が検証された。
【0055】
蒸発器カバー130は第1カバー部1301を含み、第1カバー部1301は蒸発器340の頂部に位置し、略水平に設けられ、箱体100の底面に対する高さが200mm以下、例えば199mmに設定されてもよい。貯蔵空間120の冷却室110における深さ寸法を小さくした場合に、容積を一定に維持し、貯蔵空間120の利用率を高める。箱体100の底面に対する上記の第1カバー部1301の高さの設定は、空間に対する要件に応じて行われる構造上の最適化、試作品において効果が検証された。地面に対する第1カバー部1301の高さは223.5mmに下がり、これによって、貯蔵空間120の有効利用率も高まる。
【0056】
第1カバー部1301と蒸発器340との間隔の空間内に断熱材が充填されており、また、蒸発器340の先端の頂部の、第1カバー部1301からの間隔は、36mm以下、例えば36mmに設定されてもよく、蒸発器340の第1カバー部1301からの最小間隔は、15mm以下、例えば15mmに設定されてもよい。断熱保温材では、最も厚い部位は36mm、最も薄い部位は15mmとしてもよい。保温断熱性能を確保しつつ、保温断熱材の厚さを最も薄くする。上記の蒸発器340と第1カバー部1301との距離及び蒸発器340の先端と第1カバー部1301との間隔は、空間に対する要件及び保温断熱性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0057】
蒸発器カバー130は第1カバー部1301の後端から上へ傾斜して延設された第2カバー部1302をさらに含む。第2カバー部1302は冷凍ファン410の上部に位置し、傾斜角度は冷凍ファン410の傾斜角度と一致するように設定されてもよい。冷凍ファン410と第2カバー部1302との間隔は30mm以下、例えば30mmに設定されてもよい。第2カバー部1302の高さは93mm以下、例えば93mmに設定されてもよく、これによって、冷蔵庫の冷凍性能に影響を与えることなく、冷凍ファン410の吸い込み空間を確保する。上記の冷凍ファン410と第2カバー部1302との間隔の設定及び第2カバー部1302の高さの設定は、空間に対する要件及び冷凍性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0058】
還気フード131の前側には、上下に分布している2つの前還気入口132が形成されており、外観性が確保されるとともに、子供の指や異物の冷却空間への侵入も回避され、しかも、上下に分布している2つの還気領域により、還気は冷却空間に入ってから蒸発器340をより均一に流れ、これによって、蒸発器340の先端面に着霜が生じやすいという問題をある程度解決することができ、熱交換効率を高めるだけではなく、霜取り周期を長くし、省エネ化や効率化を図ることができる。また、還気フード131の各傾斜セクションの構造上の詳細な特徴は還気フード131で生じた凝縮水を案内することができ、排水に有利であり、そして、人の耳により聞こえる水滴の音を回避し、利用者の使用エクスペリエンスを向上させる。
【0059】
還気フード131は、横方向において左右に分布しており、縦方向セパレータ140により隔てられた2つであってもよい。縦方向セパレータ140は貯蔵空間120の中央部に設けられ、貯蔵空間120を横方向に配列された2つの貯蔵室に仕切り、貯蔵室ごとに1つの還気フード131が設けられる。縦方向セパレータ140の前部には断熱用垂直ビーム141が設けられる。断熱用垂直ビーム141は貯蔵室のドアと嵌合して、ドアのエッジからの冷気漏れを回避することに用いられる。
【0060】
断熱用垂直ビーム141の断熱層の前後方向の厚さの、箱体100の前後方向の奥行寸法に占める割合が、8.4%よりも小さく、また、蒸発器340の先端から断熱用垂直ビーム141までの水平方向の距離の、箱体100の前後方向の奥行寸法に占める割合が、7.7%よりも小さい。上記の断熱用垂直ビーム141の断熱層の厚さ及び蒸発器340に対する位置は空間に対する要件及び断熱性能に対する要件に応じて行われる構造上の最適化であり、試作品において効果が検証された。
【0061】
加えて、冷蔵庫全体の奥行寸法が要件を満たすように、ドアの厚さは62mm以下に設定されてもよい。図8は本発明の一実施例の冷蔵庫10のドア200が閉じられたときの構造概略図である。ドア200が閉じられて、貯蔵空間120が密閉されると、冷蔵庫10全体の奥行寸法(前後方向に亘った厚さ)は572mm以下であってもよく、これによって、戸棚と嵌合するために要求される寸法が満たされる。
【0062】
以下、図1、4、5、6、8に示される寸法を参照して、箱体100の奥行寸法が510mmである冷蔵庫の特定実施例を説明するが、該実施例の冷蔵庫10の箱体の容積を通常の550mmの箱体の容積と同じものにしてもよく、これによって、空間の利用効率が十分に反映される。
【0063】
箱体100全体の奥行寸法L12は510mmであり、ドア200の厚さL11は62mmに設定される。これにより、冷蔵庫全体の厚さは572mmしかない。底置き式冷凍モジュールは蒸発器カバー130、蒸発器340、冷凍ファン410、圧縮機室150及び圧縮機室150内の部品を含む。底置き式冷凍モジュールは全体として地面に対する高さH1が316.1mmであり、地面に対する箱体100の底面の高さH4は24.5mmであり、これにより、底置き式冷凍モジュール全体の高さは291.6mmしかない。
【0064】
冷蔵庫10では、蒸発器340は奥行き寸法L9が152mm、縦方向寸法L10が75mm、横方向寸法(示されていない)が470mm、縦方向高さH7が75mmである。水平面に対する蒸発器340の傾斜角αは7.5度としてもよい。蒸発器340を支持する底部内箱101の底壁部分も、水平面に対する傾斜角が同様に7.5度とされる。
【0065】
蒸発器340が傾斜して設けられることによって、蒸発器340の水平方向の投影の前後方向の長さL3は162mmであり、前後方向の長さが増加するが、蒸発器340が傾斜して設けられることにより、冷却室110内の他の部材のレイアウトがより合理的になり、しかも、気流の流れ場を実際に分析した結果、風のサイクル効率もより高まり、また、排水がより順調になることが証明された。また、蒸発器340が傾斜して設けられることによって、蒸発器340の断熱用垂直ビーム141からの距離が小さすぎて、霜が還気口を塞ぐことも回避できる。
【0066】
冷凍ファン410も同様に傾斜して設けられ、水平面に対する傾斜角βが36.7度であってもよく、冷凍ファン410を支持する底部内箱101の底壁部分も、水平面に対する傾斜角が同様に36.7度とされる。
【0067】
前から後まで、冷却室110や貯蔵空間120内の各部材の寸法及び相対関係は以下のように設定される。還気フード131の先端から箱体100の先端までの水平方向の距離L8は24mmである。断熱用垂直ビーム141の断熱層の前後方向の厚さL1は42mmに設定される。蒸発器340では、前側面から後側面までの距離L9は152mmであり、天面から底面までの距離L10は75mmである。冷凍ファン410の先端から蒸発器340までの水平方向の距離L4が22mmであることによって、冷凍ファン410の叶片に着霜しないことを確保しつつ、蒸発器340とファン410との間の奥行距離をできる限り減少する。送風ダクト420では、上へ延びている垂直セクションの前後方向の厚さL6は25mmである。これによって、送風アセンブリの水平方向の投影の、前後方向の長さL5が200mmであることが確保される。貯蔵空間120の背部の発泡層の厚さL7は56mmである。貯蔵空間120の両側の発泡層の厚さL13は65mmである。
【0068】
以上より、L8はL12の4.7%、L6はL12の4.9%、L1はL12の8.2%、L2はL12の7.5%、L3はL12の29.8%、L4はL12の4.3%、L5はL12の39.2%、L7はL12の11%、L9はL10の49.3%であることが分かった。上記の寸法、相対位置、割合関係はすべて厳格な論証と精密な計算に基づいて得られるものであり、寸法に対する要件が極めて厳格な場合、各性能指標の要件を満たす。上記の寸法及び相対位置の相互作用により、対応する機能が実現される。上記の寸法及び相対位置のいずれの変化も、冷蔵庫10のある性能が要件を満たさず、ひいては機能を実現できないことを引き起こす恐れがある。
【0069】
上から下まで、冷却室110や貯蔵空間120内の各部材の高さ及び相対関係は以下のように設定される。底置き式冷凍モジュールは全体として地面に対する高さH1が316.1mmである。蒸発器カバー130の第2カバー部1302の高さH10は93mmである。地面に対する第1カバー部1301の高さH2は233.5mmである。第1カバー部1301と蒸発器340の先端の頂部との間隔H8は36mmである。箱体100の底面に対する第1カバー部1301の高さH3は199mmである。蒸発器340の蒸発器カバー130からの最小間隔H9は15mmである。蒸発器340が第1傾斜部1011に当接する位置は排水口103からの高さH6が22mmである。箱体100の底面に対する排水口103の高さH5は66mmである。上記の寸法、相対位置、割合関係はすべて厳格な論証と精密な計算に基づいて得られるものであり、寸法に対する要件が極めて厳格な場合、各性能指標の要件を満たす。上記の寸法及び相対位置の相互作用により、対応する機能が実現される。上記の寸法及び相対位置のいずれの変化も、冷蔵庫10のある性能が要件を満たさず、ひいては機能を実現できないことを引き起こす恐れがある。



【0070】
以上より、当業者にとって明らかなように、本明細書は本発明の複数の例示的な実施例を示して説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明で開示された内容に基づいて本発明の原理に合致する多くの他の変形や修正を直接決定又は導出することができる。よって、本発明の範囲はこれらの他の変形や修正をカバーするものとして理解、確認すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8