(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】ビオラセインを含む抗コクシジウム用組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4045 20060101AFI20240529BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20240529BHJP
A23K 20/137 20160101ALI20240529BHJP
【FI】
A61K31/4045 ZNA
A61P33/02 173
A23K20/137
(21)【出願番号】P 2023519070
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 KR2021013036
(87)【国際公開番号】W WO2022065912
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0125246
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ギュヨル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ミン・ア
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギョン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒ‐ジェ
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-247964(JP,A)
【文献】米国特許第04824863(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4045
A61P 33/02
A23K 20/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビオラセイン(violacein)、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上を有効性分として含む、コクシジウム症の予防または改善用飼料組成物。
【請求項2】
前記ビオラセイン誘導体は、デオキシビオラセイン(deoxyviolacein)、プロビオラセイン(proviolacein)、およびオキシビオラセイン(oxyviolacein)からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の飼料組成物。
【請求項3】
前記コクシジウム症は、アイメリア属(Eimeria sp.)原虫によって誘導される、請求項1に記載の飼料組成物。
【請求項4】
前記コクシジウム症の予防または改善は、下記の(1)~(4)からなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の飼料組成物:
(1)病変スコア、糞便中のオーシスト排出量、および斃死率からなる群より選択される1種以上が減少;
(2)コクシジウム症による体重減少の抑制;
(3)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が増加;および
(4)アイメリア属原虫の細胞侵入、細胞内の前記原虫の増殖、またはこれらすべてが減少。
【請求項5】
前記飼料組成物は、前記有効成分を全体重量を基準として1w/w%以下で含む飼料である、請求項1に記載の飼料組成物。
【請求項6】
前記飼料組成物は、飼料添加剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の飼料組成物。
【請求項7】
ビオラセイン(violacein)、ビオラセイン誘導体、およびその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される1種以上を有効性分として含む、コクシジウム症の予防、または治療用薬学組成物。
【請求項8】
ビオラセイン(violacein)、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上を有効性分として含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の飼料組成物、請求項7に記載の薬学組成物、および請求項8に記載の抗原虫用組成物からなる群より選択される組成物をヒトを除いた動物に投与する段階を含む、コクシジウム症の予防、改善、または治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月25日付の韓国特許出願第10-2020-0125246号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、および/またはその塩を含む抗コクシジウム用組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
コクシジウム症は、アイメリア(Eimeria)というアピコンプレックス門(phyluma picomplexan)に属する原生動物寄生虫によって引き起こされる腸関連疾患であって、消化障害、下痢、体重減少、低い飼料効率、ひいては家畜の斃死まで起こし、全世界の農家に経済的に大きな影響を及ぼす(Williams RB.A compartmentalised model for the estimation of the cost of coccidiosis to the world’s chicken production industry.Int J Parasitol.1999;29(8):1209-1229)。
【0004】
ここ数年間、多くの研究関係者によって、コクシジウム症を治療するための治療剤としてオーシスト細胞壁の形成あるいは原虫の無性および有性生殖を阻害可能なイオノフォア(ionophore)または化学的合成製剤(chemically synthetic coumpounds)などの抗コクシジウム剤が開発された。しかし、イオノフォアと化学的合成製剤を交互に処理するシャトルプログラム(shuttle program)の長期的な使用による薬剤耐性を持つ原虫などが出現するなどの副作用が発生した。
【0005】
特に、抗生剤の誤用・乱用により動物に蓄積された抗生剤は、肉類を通して人間が抗生剤を摂取することで深刻な問題となっており、畜産物内の抗生剤残留問題により世界各国で抗生剤の投薬を禁止する傾向にある。したがって、薬剤に耐性を持つ菌株の出現および体内残留問題などの副作用を示す既存の抗コクシジウム剤の代替剤に関する開発および研究が急がれるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上を含む、コクシジウム症の予防または改善用飼料組成物を提供する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される1種以上を含む、コクシジウム症の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上を含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物を提供する。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態は、前記組成物を動物(例えば、ヒトを除いた動物)に投与する段階を含む、コクシジウム症の予防、改善、または治療方法を提供する。
【0011】
本発明のさらに他の実施形態は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療用組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物)または抗原虫用組成物の製造に使用するための用途;ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に使用するための用途;および/またはビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上のアイメリア属原虫に対する抗原虫(例えば、アイメリア属原虫の死滅;および/またはアイメリア属原虫の細胞侵入および/または増殖抑制)に使用するための用途を提供する。
【0012】
そこで、本発明者らは、ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩が抗コクシジウム活性およびコクシジウム症を示す原虫に対する抗原虫活性に優れていることを確認して本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明において、抗コクシジウム効能(活性、効果)に優れているのは、下記の(1)~(5)からなる群の中から選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、または5種全て)を意味するものであってもよい:
(1)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が対照群に比べて高い;
(2)コクシジウム症が誘導された動物個体に投与されて、対照群に比べて斃死率、病変スコア(lesion score)、および/または糞便中のオーシスト(oocyst)排出量を減少させる;
(3)コクシジウム症の誘導による体重減少を抑制する;
(4)対照群に比べてコクシジウム症を誘導する原虫に対する殺虫活性が高い;および
(5)対照群に比べてコクシジウム症を誘導する原虫の細胞侵入および/または細胞内の前記原虫の増殖抑制効果が高い。
【0014】
本発明において、対照群は、陰性対照群(何ら処理されない群であるか、水および/またはバッファー処理群)および/または既存の公知の抗コクシジウム剤(例えば、ジクラズリル(diclazuril)および/またはサリノマイシン(salinomycin))を含む陽性対照群を意味する。
【0015】
一実施形態による組成物は、下記の(1)~(6)からなる群の中から選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、または6種すべて)の特性を持つことができ、その特性は対照群より優れたものであり得る:
(1)抗コクシジウム活性に優れる;
(2)コクシジウム症を誘導する原虫に対する抗原虫効果に優れる;
(3)耐酸性に優れる;
(4)耐熱性に優れる;
(5)生体内安定性および/または安全性に優れる;および
(6)増体量改善効果に優れる。
【0016】
一実施形態による組成物は、耐酸性および/または耐熱性に優れ、体内に投与されて優れた抗コクシジウム活性を長期間維持することができ、生体内安定性に優れ、多様な温度および/またはpH範囲の環境でも優れた抗コクシジウム活性を維持することができ、多様な製品(例えば、飼料添加剤)への適用が可能であり、保管安定性に優れることができる。
【0017】
一実施形態による組成物は、体内投与時、腸以外の他の組織および臓器(例えば、血液、肝、腎臓、および/または脾臓など)などに吸収されず、体内残留量が少なくて、生体内安全性に優れることができる。
【0018】
一実施形態において、増体量改善効果に優れるというのは、個体に投与されて個体の体重を増加させる効果に優れていることを意味することができ、一例において、前記増体量は、1日あたりの増体量を意味することができ、前記個体は、コクシジウム症が誘導された個体であってもよい。
【0019】
一実施形態による組成物は、既存の公知の抗コクシジウム剤(例えば、スルファキノキサリン、スルファクロロピラジン、およびスルファメタジンなどのスルファ剤、サリノマイシンおよびモネンシンナトリウムなどのポリエーテルイオノフォア抗生物質、アンプロリウム、ジクラズリル、および/またはトルトラズリル)より同等以上の優れた抗コクシジウム活性を示しながらも、体内に吸収されないので、長期間使用しても安全であり得る。
【0020】
本発明において、「予防」とは、一実施形態による組成物の投与によって疾患の発病を抑制または遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、一実施形態による組成物の投与によって疾患の疑いおよび発病個体の症状が好転または有利に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、一実施形態による組成物の投与で疾患が治療される状態に関連するパラメータ、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるすべての行為を意味することができる。前記疾患は、コクシジウム症を意味することができる。
【0021】
一実施形態による組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物、および/または抗原虫用組成物)は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩(またはその薬学的に許容可能な塩)からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、またはすべて)を一実施形態による組成物の有効性分として含んでもよい。
【0022】
他の実施形態は、ビオラセイン(violacein)、ビオラセイン誘導体、およびその塩(ビオラセインの塩またはビオラセイン誘導体の塩)からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、またはすべて)を含む、コクシジウム症の予防、または改善用飼料組成物を提供することができる。
【0023】
前記ビオラセイン(violacein)は紫色の色素であって、「3-(2-(5-Hydroxyindol-3-yl)-5-oxo-2-pyrrolin-4-ylidene)-2-indolinone」と名付けられ、以下の化学式1の一般式および/またはC20H13N3O3の分子式を有するものであり、Cas No.548-54-9、UNII-QJH0DSQ3SG、および/またはBRN0049923であり得る。一例において、ビオラセインは、(3Z)-ビオラセインであり得る。
【0024】
【0025】
一例において、前記ビオラセインの誘導体は、デオキシビオラセイン(deoxyviolacein)、プロビオラセイン(proviolacein)、およびオキシビオラセイン(oxyviolacein)からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、または3種以上すべて)であり得る。
【0026】
前記デオキシビオラセインは、「3-[(4E)-2-(1H-Indole-3-yl)-5-oxo-2-pyrroline-4-ylidebe]indoline-2-one」と名付けられ、以下の化学式2の一般式および/またはC20H13N3O2の分子式を有するものであり、SCHEMBL15948572、CHEBI:131915、Q27225296、および/またはCas No.5839-61-2であり得る。
【0027】
【0028】
前記プロビオラセインは、「5-(5-hydroxy-1H-indol-3-yl)-3-(1H-indol-3-yl)-2H-pyrrol-2-one」と名付けられ、以下の化学式3の一般式および/またはC20H13N3O2の分子式を有するものであり、SCHEMBL16430767、CHEBI:131916、および/またはQ27225297であり得る。
【0029】
【0030】
前記オキシビオラセインは、「5-hydroxy-3-[2-hydroxy-5-(5-hydroxy-1H-indol-3-yl)-1H-pyrrol-3-yl]indol-2-one」と名付けられ、以下の化学式4の一般式および/またはC20H13N3O4であり得る。
【0031】
【0032】
本発明の一実施形態によれば、前記ビオラセイン、前記ビオラセインの誘導体、および/またはその塩は、天然物および/または菌株から抽出および分離して得るか、または通常の有機合成方法で製造することができるが、これらに限定されない。例えば、Chromobacterium、Collimonas、Duganella、Iodobacter、Janthinobacterium、Microbulbifer、Pseudoaltermonas、Escherichia、またはCorynebacterium属に属する種から直接分離して得るか、または当業界の製造業者から得られるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明において、「ビオラセインの塩」または「ビオラセイン誘導体の塩」は、陽イオンと陰イオンとが静電気的引力によって結合している物質である塩の中で生理学上許容される塩を意味することができ、「薬学的に許容可能な塩」は、薬剤学的に使用できる形態の塩を意味することができ、例えば、金属塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。一例において、前記金属塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)、アルミニウム塩などが挙げられ;有機塩基との塩としては、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられ;無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられ;有機酸との塩としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられ;塩基性アミノ酸との塩としては、アルギニン、リシン、オルニチンなどとの塩が挙げられ;酸性アミノ酸との塩としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0034】
本発明において、「コクシジウム症(coccidiosis、コクシジア症)」は、コクシジウム原虫(コクシジウム症を誘導可能な原虫、例えば、アイメリア属コクシジウム原虫)が消化管上皮で粘膜下組織の細胞質内に寄生し、上皮を破壊させ、腸炎を起こす疾患であって、肉鶏農場で水っぽい便、下痢および血便で増体率の低下と出荷日齢の延長で経済的被害をもたらす原虫性疾病である。コクシジウム症は、肉鶏だけでなく、鳥類およびほ乳動物でも発現し、具体的には、前記コクシジウム症は、ウシ、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、実験動物であるマウス、およびラットなどにも感染することがあり、特に、ニワトリなどの家禽類に致命的な損傷をきたしうる。一例において、前記コクシジウム症は、急性型コクシジウム症、亜急性型コクシジウム症、および慢性型コクシジウム症などを含むことができる。前記急性型コクシジウム症は、感染後48時間以内に血便、元気消失、貧血を呈し、感染した個体が斃死することがあり、前記亜急性型コクシジウム症は、感染後に血液性下痢および/または貧血症状を呈し、前記慢性型コクシジウム症は、感染後1~2日間下痢後に水っぽい便および/または体重減少の症状を呈することがある。
【0035】
コクシジウム原虫種のオーシスト(Oocyst、嚢胞、虫卵)が高い湿度と温度で胞子虫(Sporulated Oocyst)に成熟する場合に感染性があり、個体の体内で一定の生活史(life cycle)を経た後、糞便からオーシストを排泄すれば伝播が行われやすく、オーシスト生活史が繰り返される。コクシジウム原虫種のオーシスト(嚢胞)は外部環境に対して抵抗性が大きく、嚢胞壁は内外の2層から構成されていることが知られている。嚢胞壁の外層はゼラチン物質として物理的な外圧に強く抵抗し、内層は核蛋白に豊富で化学的刺激、例えば、消毒剤に強く抵抗することができる。コクシジウム原虫種のオーシストは4個の胞子嚢(sporocysts)を含むことができ、前記胞子嚢は各2つの胞子小体(sporozoites)を含むことができ、オーシスト形態で動物に感染後、胞子嚢と胞子小体形態で放出されて細胞内で増殖し、有性生殖および/または無性生殖を経た胞子小体はオーシストを形成して糞便から排出される。一例において、胞子小体は原虫と同一の意味で使われ、前記胞子小体(原虫)は病変を起こしうる。
【0036】
一例によれば、前記コクシジウム症は、アイメリア属(Eimeria sp.)原虫によって誘導されるものであってもよい。一例において、前記アイメリア属原虫は、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervulina:砂嚢球胞子虫)、アイメリア・テネラ(Eimeria tenella:鶏盲腸球胞子虫)、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima:マキシマ球胞子虫)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix:ネカトル球胞子虫)、アイメリア・ブルネッチィ(Eimeria brunetti:ブルネット球胞子虫)、アイメリア・ハガニ(Eimeria hagani:ハガニ球胞子虫)、アイメリア・ミチス(Eimeria mitis:ミチス球胞子虫)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox:早熟球胞子虫)、アイメリア・ミバティ(Eimeria mivati:ミバト球胞子虫)、アイメリア・アウラチ(Eimeria aurati)、アイメリア・バウエリ(Eimeria baueri)、アイメリア・レピドシレニス(Eimeria lepidosirenis)、アイメリア・ロイシスシ(Eimeria leucisci)、アイメリア・ルチル(Eimeria rutile)、アイメリア・バナシ(Eimeria vanasi)、アイメリア・アンフィスバエニアルム(Eimeria amphisbaeniarum)、アイメリア・ウィッチェリ(Eimeria witchery)、アイメリア・イエメネンサエ(Eimeria yemenensae)、アイメリア・アデノエイデス(Eimeria adenoeides)、アイメリア・コルキシ(Eimeria colchici)、アイメリア・クルバタ(Eimeria curvata)、アイメリア・ディスパーサ(Eimeria dispersa)、アイメリア・デュオデナリス(Eimeria duodenalis)、アイメリア・フラテルクラエ(Eimeria fraterculae)、アイメリア・ガロパボニス(Eimeria gallopavonis)、アイメリア・インノクア(Eimeria innocua)、アイメリア・メレアグリディス(Eimeria meleagridis)、アイメリア・メレアグリミチス(Eimeria meleagrimitis)、アイメリア・ファシアニ(Eimeria phasiani)、アイメリア・プロセラ(Eimeria procera)、アイメリア・プルプレイセファリ(Eimeria purpureicephali)、アイメリア・アーサタ(Eimeria ahsata)、アイメリア・アラバメンシス(Eimeria alabamensis)、アイメリア・アリジェビ(Eimeria alijevi)、アイメリア・アスフェロニカ(Eimeria aspheronica)、アイメリア・アルロインギ(Eimeria arloingi)、アイメリア・アルンデリ(Eimeria arundeli)、アイメリア・バクエンシス(Eimeria bakuensis)、アイメリア・ボビス(Eimeria bovis)、アイメリア・カメリ(Eimeria cameli)、アイメリア・カプリナ(Eimeria caprina)、アイメリア・カプロビナ(Eimeria caprovina)、アイメリア・クリステンセニ(Eimeria christenseni)、アイメリア・クレトリオノミイス(Eimeria clethrionomyis)、アイメリア・コエシコラ(Eimeria coecicola)、アイメリア・コントルタ(Eimeria contorta)、アイメリア・コウエシー(Eimeria couesii)、アイメリア・クランダリス(Eimeria crandallis)、アイメリア・ダマヘンシス(Eimeria dammahensis)、アイメリア・ドウレリ(Eimeria dowleri)、アイメリア・エキシグア(Eimeria exigua)、アイメリア・ファルシホルミス(Eimeria falciformis)、アイメリア・ファラサニ(Eimeria farasanii)、アイメリア・フェリシ(Eimeria ferrisi)、アイメリア・フラベセンス(Eimeria flavescens)、アイメリア・ガラチ(Eimeria gallatii)、アイメリア・グラヌロサ(Eimeria granulosa)、アイメリア・ヒルシ(Eimeria hirci)、アイメリア・インテスチナリス(Eimeria intestinalis)、アイメリア・イレシドュア(Eimeria irresidua)、アイメリア・イントリカタ(Eimeria intricata)、アイメリア・ジョルチジェビ(Eimeria jolchijevi)、アイメリア・クリグスマニ(Eimeria krijgsmanni)、アイメリア・ラリメレンシス(Eimeria larimerensis)、アイメリア・マクサニエンシス(Eimeria macusaniensis)、アイメリア・マグナ(Eimeria magna)、アイメリア・マルコニ(Eimeria marconii)、アイメリア・メディア(Eimeria media)、アイメリア・メラヌリ(Eimeria melanuri)、アイメリア・ミオキシ(Eimeria myoxi)、アイメリア・ナグプレンシス(Eimeria nagpurensis)、アイメリア・ニーシュルジ(Eimeria nieschulzi)、アイメリア・ニナコリアヤキモバエ(Eimeria ninakohlyakimovae)、アイメリア・オビノイダリス(Eimeria ovinoidalis)、アイメリア・パリダ(Eimeria pallida)、アイメリア・パルストリス(Eimeria palustris)、アイメリア・パピラタ(Eimeria papillata)、アイメリア・パーフォランス(Eimeria perforans)、アイメリア・フォカエ(Eimeria phocae)、アイメリア・ピレアタ(Eimeria pileata)、アイメリア・ピピストレルス(Eimeria pipistrellus)、アイメリア・ピリホルミス(Eimeria piriformis)、アイメリア・プリオノテムニ(Eimeria prionotemni)、アイメリア・プロシオニス(Eimeria procyonis)、アイメリア・プンクタテ(Eimeria punctate)、アイメリア・ローブロウキ(Eimeria roobroucki)、アイメリア・サウジエンシス(Eimeria saudiensis)、アイメリア・セアランデリ(Eimeria sealanderi)、アイメリア・セパラタ(Eimeria separata)、アイメリア・スチデ(Eimeria stiedae)、アイメリア・ウルシニ(Eimeria ursini)、アイメリア・ヴェルミフォルミス(Eimeria vermiformis)、アイメリア・ウェイブリゲンシス(Eimeria weybridgensis)、アイメリア・ウォバチ(Eimeria wobati)、およびアイメリア・ツェルニ(Eimeria zuernii)からなる群の中から選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種以上)であってもよい。
【0037】
一実施形態による組成物は、下記表1に記載されたアイメリア属原虫からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種以上)の原虫によって誘導されたコクシジウム症の予防、改善、および/または治療効果に優れたものであり、下記表1に記載されたアイメリア属原虫は、それぞれ表1に記載された動物のコクシジウム症を誘導するものであってもよい。
【0038】
【0039】
一例による組成物は、アイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナ、および/またはアイメリア・マキシマによって誘導されたコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に効果が優れたものであり得る。
【0040】
一例において、前記コクシジウム症の予防または改善は、下記の(1)~(4)からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種すべて)を意味することができ、例えば、対照群(陰性対照群および/または陽性対照群)より下記の(1)~(4)からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種すべて)の活性が減少または増加したものであってもよい:
(1)病変スコア(例えば、盲腸病変スコア)、糞便中のオーシスト排出量、および斃死率からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上すべて)が減少;
(2)コクシジウム症による体重減少の抑制;
(3)抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)が増加;および
(4)アイメリア属原虫の細胞侵入、細胞内の前記原虫の増殖、またはこれらすべてが減少。
【0041】
一例において、前記病変スコアを決定する病変スコアリング方法は、Johnson JK&Reid WM(1970)文献(Joyce Johnson,W.Malcolm Reid,Anticoccidial drugs:Lesion scoring techniques in battery and floor-pen experiments with chickens,Experimental parasitology,1970)を参照して行われ、前記病変スコアは0~4等級であってもよい。一例において、前記病変スコアは、盲腸、十二指腸、および/または空腸で測定された病変スコアを意味することができ、各器官(盲腸、十二指腸、および/または空腸)で測定されたそれぞれの病変スコアの合計で計算される。
【0042】
一例において、前記糞便中のオーシスト排出量は、個体から排出された糞便を収集して、顕微鏡を用いるか、カウンティングチャンバ(例えば、McMaster chamber)などを用いて測定される。
【0043】
一例において、前記斃死率は、コクシジウム症が誘導された動物個体の斃死率を意味するものであってもよく、死後剖検を行って、コクシジウム症以外の原因で死亡した個体の数は除外できる。
【0044】
一例において、コクシジウム症が誘導された個体は、コクシジウム症が誘導されていない個体より体重が減少することができ、一例による組成物は、コクシジウム症が誘導による体重減少を抑制することができる。
【0045】
一例において、前記抗コクシジウム総合指数は、下記の数式1で計算され、数式1で病変スコアは上述した方法のように計算される。
【0046】
(数式1)
抗コクシジウム総合指数(ACI)=(攻撃接種後の生存率(%))+(陰性対照群に対する1日あたりの増体量(%))-(病変スコア×10)-(糞便中のオーシスト排出量指数)
【0047】
前記攻撃接種は、コクシジウム症を誘導可能な原虫の投与(例えば、口腔接種など)を意味することができる。一例において、前記生存率は、攻撃接種後5~10日目、7~10日目、8~10日目、7~9日目、7~8日目、または7日目に測定された生存率であり、死後剖検を行って、コクシジウム症以外の原因で死亡した個体の数は除いて生存率を測定することができる。
【0048】
前記数式1中、陰性対照群に対する増体量は、陰性対照群(例えば、原虫が非感染した陰性対照群)の値を基準として百分率で計算された値であってもよい。
【0049】
前記数式1での病変スコアは前述した通りである。
【0050】
前記数式1中、糞便中のオーシスト排出量指数は、陰性対照群(例えば、原虫が感染した陰性対照群)の値を基準に百分率を計算して、計算した結果値が0%以上~1%未満の水準であれば0、1%以上~26%未満は5、26%以上~51%未満は10、51%以上~76%未満は20、76%以上~100%以下は40で数値化された値であってもよい。
【0051】
一例において、前記有効成分(ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩)は、飼料組成物に1w/w%以下、1w/w%未満、10-1w/w%以下、5×10-2w/w%以下、2.5×10-2w/w%以下、2×10-2w/w%以下、1.25×10-2w/w%以下、10-2w/w%以下、9×10-3w/w%以下、8×10-3w/w%以下、7×10-3w/w%以下、6×10-3w/w%以下、5×10-3w/w%以下、4×10-3w/w%以下、10-7w/w%以上、10-6w/w%以上、10-5w/w%以上、10-4w/w%以上、5×10-4w/w%以上、10-3w/w%以上、1.5×10-3w/w%以上、2×10-3w/w%以上、3×10-3w/w%以上、4×10-3w/w%以上、5×10-3w/w%以上、10-7~1w/w%、10-7~10-1w/w%、10-7~5×10-2w/w%、10-7~10-2w/w%、10-7~5×10-3w/w%、10-7~4×10-3w/w%、10-7~10-3w/w%、10-7~5×10-4w/w%、10-7~10-4w/w%、10-7~10-5w/w%、10-6~1w/%、10-6~10-1w/w%、10-6~5×10-2w/w%、10-6~10-2w/w%、10-6~5×10-3w/w%、10-6~4×10-3w/w%、10-6~10-3w/w%、10-6~5×10-4w/w%、10-6~10-4w/w%、10-6~10-5w/w%、10-5~1w/w%、10-5~10-1w/w%、10-5~5×10-2w/w%、10-5~10-2w/w%、10-5~5×10-3w/w%、10-5~4×10-3w/w%、10-5~10-3w/w%、10-5~5×10-4w/w、10-5~10-4w/w%、10-4~1w/w%、10-4~10-1w/w%、10-4~5×10-2w/w%、10-4~10-2w/w%、10-4~5×10-3w/w%、10-4~4×10-3w/w%、10-4~10-3w/w%、10-4~5×10-4w/w%、10-3~1w/w%、10-3~10-1w/w%、10-3~5×10-2w/w%、10-3~10-2w/w%、10-3~5×10-3w/w%、10-3~4×10-3w/w%、10-3~2×10-3w/w%、または10-3~1.5×10-3w/w%で含まれる。一例において、前記飼料組成物は、前記有効成分を、全体重量を基準として上記の範囲で含む飼料(例えば、動物に最終的に摂取される配合飼料および/または単味飼料)であってもよい。
【0052】
一例において、前記ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩は、飼料組成物に10000ppm以下、1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、125ppm以下、125ppm未満、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、65ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、40ppm以下、0.001ppm以上、0.01ppm以上、0.1ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上、30ppm以上、40ppm以上、50ppm以上、0.001~1000ppm、0.001~500ppm、0.001~300ppm、0.001~200ppm、0.001~100ppm、0.001~90ppm、0.001~80ppm、0.001~70ppm、0.001~60ppm、0.001~50ppm、0.001~30ppm、0.003~1000ppm、0.003~500ppm、0.003~300ppm、0.003~200ppm、0.003~100ppm、0.003~90ppm、0.003~80ppm、0.003~70ppm、0.003~60ppm、0.003~50ppm、0.003~30ppm、0.01~1000ppm、0.01~500ppm、0.01~300ppm、0.01~200ppm、0.01~100ppm、0.01~90ppm、0.01~80ppm、0.01~70ppm、0.01~60ppm、0.01~50ppm、0.01~30ppm、0.1~1000ppm、0.1~500ppm、0.1~300ppm、0.1~200ppm、0.1~100ppm、0.1~90ppm、0.1~80ppm、0.1~70ppm、0.1~60ppm、0.1~50ppm、0.1~30ppm、1~1000ppm、1~500ppm、1~300ppm、1~200ppm、1~100ppm、1~90ppm、1~80ppm、1~70ppm、1~60ppm、1~50ppm、1~30ppm、3~1000ppm、3~500ppm、3~300ppm、3~200ppm、3~100ppm、3~90ppm、3~80ppm、3~70ppm、3~60ppm、3~50ppm、3~30ppm、5~1000ppm、5~500ppm、5~300ppm、5~200ppm、5~100ppm、5~90ppm、5~80ppm、5~70ppm、5~60ppm、5~50ppm、5~30ppm、10~1000ppm、10~500ppm、10~300ppm、10~200ppm、10~100ppm、10~90ppm、10~80ppm、10~70ppm、10~60ppm、10~50ppm、10~40ppm、または10~20ppmの濃度で含まれる。
【0053】
一例において、上記の範囲内でビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩を含む場合、上記の範囲外でビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩を含む場合より抗コクシジウム活性に優れたものであり得る。
【0054】
本発明において、「飼料」とは、動物が食べて、摂取し、消化させるための、またはこれに適当な任意の天然または人工規定食、一片食など、または前記一片食の成分を意味することができる。一例による飼料組成物には、濃厚飼料、および/または特殊飼料がさらに含まれる。前記濃厚飼料は、小麦、燕麦、トウモロコシなどの穀類を含む種子果実類、穀物を精製して得られる副産物として米ぬか、ふすま、大麦ぬかなどを含むぬか類、豆、油菜、胡麻、アマニ、ココヤシなどを採油して得られる副産物である油かす類と、サツマイモ、ジャガイモなどからデンプンを抜いた残りであるデンプンかすの主成分である残存デンプン質類などのかす類、魚粉、魚かす、魚類から得られた新鮮な液状物を濃縮させたものであるフィッシュソリュブル(fish soluble)、肉粉、血粉、羽毛粉、脱脂粉乳、牛乳からチーズ、脱脂乳からカゼインを製造する際の残液であるホエー(whey)を乾燥した乾燥ホエーなどの動物質飼料、酵母、クロレラ、および/または海藻類などであってもよい。
【0055】
一例による飼料組成物は、最終的に動物が摂取する形態の飼料、飼料に配合可能な食餌補助剤、および/または飼料添加剤を意味することができる。前記食餌補助剤とは、例えば、治療剤または消化剤を動物に提供する製剤含有組成物で、通常、生体の熱量摂取供給源、つまり、エネルギー供給源ではなく、通常の動物飼料に追加して摂取される組成物を意味することができる。前記飼料添加剤とは、栄養素の補充および体重減少の予防、飼料内繊維素の消化利用性増進、乳質改善、繁殖障害の予防および受胎率の向上、夏期高温ストレスの予防などの多様な効果を目的として飼料に添加する物質を意味する。一例において、コクシジウム症の予防、改善、または治療を目的として添加される物質を意味することができる。
【0056】
一例において、前記飼料組成物は、飼料添加剤であってもよく、一例による飼料添加剤が飼料(例えば、動物に最終的に摂取される配合飼料および/または単味飼料)に配合される時、全体の飼料重量を基準として、0.001%以上、0.005%以上、0.01%以上、0.05%以上、0.1%以上、0.5%以上、1%以下、0.5%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.01%以下、0.005%以下、0.001~1%、0.001~0.5%、0.001~0.1%、0.001~0.05%、0.001~0.01%、0.001~0.005%、0.005~1%、0.005~0.5%、0.005~0.1%、0.005~0.05%、0.005~0.01%、0.01~1%、0.01~0.5%、0.01~0.1%、0.01~0.05%、0.05~1%、0.05~0.5%、0.05~0.1%、0.1~1%、0.1~0.5%、または0.5~1%の重量で添加されて、飼料原料、補助飼料、補助剤、および/または一例による有効成分以外の他の種類の添加剤などと配合されてもよい。
【0057】
他の実施形態は、ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、およびその薬学的に許容可能な塩からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種以上)を含む、コクシジウム症の予防、または治療用薬学組成物を提供することができる。ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩(ビオラセインの塩またはビオラセイン誘導体の塩)については上述した通りである。
【0058】
一例による薬学組成物は、単一剤として使用することもでき、公認されたコクシジウム症の予防または治療効果を持つことが知られた薬学組成物をさらに含み、合製剤として製造して使用してもよい。薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤を追加して薬剤学的単位投与型で剤形化することができる。
【0059】
本発明において、「薬学的に許容可能な」とは、生物体を大きく刺激せず、投与活性物質の生物学的活性および特性を阻害しないことを意味する。一例により、薬学的に許容可能な担体を含む前記薬学組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、および坐剤からなる群より選択されるいずれか1つの剤形を有することができる。
【0060】
前記薬学組成物は、経口または非経口の様々な剤形であってもよい。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤、または賦形剤を用いて調製されてもよい。
【0061】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、1つ以上の化合物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製されてもよい。また、単純な賦形剤のほか、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も使用可能である。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンのほか、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれる。
【0062】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルなどの植物性油、エチルオレエートなどの注射可能なエステルなどを使用することができる。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを使用することができる。
【0063】
一例において、前記薬学組成物は、それぞれの使用目的に合わせて、通常の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口剤形、滅菌注射溶液の注射剤などの多様な形態で剤形化して使用することができ、経口投与するか、静脈内、腹腔内、皮下、直腸、局所投与などを含む多様な経路を通して投与されてもよい。
【0064】
一例において、前記薬学組成物には担体、賦形剤または希釈剤などをさらに含むことができ、含有できる適した担体、賦形剤または希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、および鉱物油などが挙げられる。また、前記薬学組成物は、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤などをさらに含むことができる。
【0065】
一例において、前記薬学組成物中の有効成分(ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩)の有効量は、患者(個体)の年齢、性別、体重により異なり、一般には、体重1kgあたり、0.0001~0.001mg/kg、0.0001~0.003mg/kg、0.0001~0.01mg/kg、0.0001~0.1mg/kg、0.0001~0.3mg/kg、0.0001~1mg/kg、0.0001~10mg/kg、0.0001~100mg/kg、0.0001~250mg/kg、0.0001~300mg/kg、0.0001~500mg/kg、0.0001~1000mg/kg、0.001~0.01mg/kg、0.001~0.1mg/kg、0.001~0.3mg/kg、0.001~1mg/kg、0.001~10mg/kg、0.001~100mg/kg、0.001~250mg/kg、0.001~300mg/kg、0.001~500mg/kg、0.001~1000mg/kg、0.003~0.01mg/kg、0.003~0.1mg/kg、0.003~0.3mg/kg、0.003~1mg/kg、0.003~10mg/kg、0.003~100mg/kg、0.003~250mg/kg、0.003~300mg/kg、0.003~500mg/kg、0.003~1000mg/kg、0.01~0.1mg/kg、0.01~0.3mg/kg、0.01~1mg/kg、0.01~10mg/kg、0.01~100mg/kg、0.01~250mg/kg、0.01~300mg/kg、0.01~500mg/kg、0.01~1000mg/kg、0.1~0.3mg/kg、0.1~1mg/kg、0.1~10mg/kg、0.1~100mg/kg、0.1~250mg/kg、0.1~300mg/kg、0.1~500mg/kg、0.1~1000mg/kg、0.3~1mg/kg、0.3~10mg/kg、0.3~100mg/kg、0.3~250mg/kg、0.3~300mg/kg、0.3~500mg/kg、0.3~1000mg/kg、1~10mg/kg、1~100mg/kg、1~250mg/kg、1~300mg/kg、1~500mg/kg、1~1000mg/kg、10~100mg/kg、10~250mg/kg、10~300mg/kg、10~500mg/kg、10~1000mg/kg、100~250mg/kg、100~300mg/kg、100~500mg/kg、100~1000mg/kg、250~500mg/kg、300~500mg/kg、250~1000mg/kg、300~1000mg/kg、または500~1000mg/kgを毎日または隔日投与するか、1日1~3回に分けて投与することができる。しかし、投与経路、疾病の重症度、性別、体重、年齢などによって増減できるので、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。一例において、前記組成物が腹腔投与される場合、0.001~0.3mg/kgの濃度で投与されてもよい。
【0066】
一例において、前記薬学組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、および疾患の重症度などに応じてその範囲が多様であり得る。
【0067】
一例において、前記ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその薬学的に許容可能な塩は、薬学組成物に1w/w%以下、1w/w%未満、10-1w/w%以下、5×10-2w/w%以下、2.5×10-2w/w%以下、2×10-2w/w%以下、1.25×10-2w/w%以下、10-2w/w%以下、9×10-3w/w%以下、8×10-3w/w%以下、7×10-3w/w%以下、6×10-3w/w%以下、5×10-3w/w%以下、4×10-3w/w%以下、10-7w/w%以上、10-6w/w%以上、10-5w/w%以上、10-4w/w%以上、5×10-4w/w%以上、10-3w/w%以上、1.5×10-3w/w%以上、2×10-3w/w%以上、3×10-3w/w%以上、4×10-3w/w%以上、5×10-3w/w%以上、10-7~1w/w%、10-7~10-1w/w%、10-7~5×10-2w/w%、10-7~10-2w/w%、10-7~5×10-3w/w%、10-7~4×10-3w/w%、10-7~10-3w/w%、10-7~5×10-4w/w%、10-7~10-4w/w%、10-7~10-5w/w%、10-6~1w/w%、10-6~10-1w/w%、10-6~5×10-2w/w%、10-6~10-2w/w%、10-6~5×10-3w/w%、10-6~4×10-3w/w%、10-6~10-3w/w%、10-6~5×10-4w/w%、10-6~10-4w/w%、10-6~10-5w/w%、10-5~1w/w%、10-5~10-1w/w%、10-5~5×10-2w/w%、10-5~10-2w/w%、10-5~5×10-3w/w%、10-5~4×10-3w/w%、10-5~10-3w/w%、10-5~5×10-4w/w、10-5~10-4w/w%、10-4~1w/w%、10-4~10-1w/w%、10-4~5×10-2w/w%、10-4~10-2w/w%、10-4~5×10-3w/w%、10-4~4×10-3w/w%、10-4~10-3w/w%、10-4~5×10-4w/w%、10-3~1w/w%、10-3~10-1w/w%、10-3~5×10-2w/w%、10-3~10-2w/w%、10-3~5×10-3w/w%、10-3~4×10-3w/w%、10-3~2×10-3w/w%、または10-3~1.5×10-3w/w%で含まれる。
【0068】
一例において、前記ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその薬学的に許容可能な塩は、薬学組成物に1000ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、250ppm以下、200ppm以下、125ppm以下、125ppm未満、100ppm以下、90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、65ppm以下、60ppm以下、50ppm以下、0.001ppm以上、0.01ppm以上、0.1ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上、30ppm以上、40ppm以上、50ppm以上、0.001~1000ppm、0.001~500ppm、0.001~300ppm、0.001~200ppm、0.001~100ppm、0.001~90ppm、0.001~80ppm、0.001~70ppm、0.001~60ppm、0.001~50ppm、0.001~30ppm、0.003~1000ppm、0.003~500ppm、0.003~300ppm、0.003~200ppm、0.003~100ppm、0.003~90ppm、0.003~80ppm、0.003~70ppm、0.003~60ppm、0.003~50ppm、0.003~30ppm、0.01~1000ppm、0.01~500ppm、0.01~300ppm、0.01~200ppm、0.01~100ppm、0.01~90ppm、0.01~80ppm、0.01~70ppm、0.01~60ppm、0.01~50ppm、0.01~30ppm、0.1~1000ppm、0.1~500ppm、0.1~300ppm、0.1~200ppm、0.1~100ppm、0.1~90ppm、0.1~80ppm、0.1~70ppm、0.1~60ppm、0.1~50ppm、0.1~30ppm、1~1000ppm、1~500ppm、1~300ppm、1~200ppm、1~100ppm、1~90ppm、1~80ppm、1~70ppm、1~60ppm、1~50ppm、1~30ppm、3~1000ppm、3~500ppm、3~300ppm、3~200ppm、3~100ppm、3~90ppm、3~80ppm、3~70ppm、3~60ppm、3~50ppm、3~30ppm、5~1000ppm、5~500ppm、5~300ppm、5~200ppm、5~100ppm、5~90ppm、5~80ppm、5~70ppm、5~60ppm、5~50ppm、5~30ppm、10~1000ppm、10~500ppm、10~300ppm、10~200ppm、10~100ppm、10~90ppm、10~80ppm、10~70ppm、10~60ppm、10~50ppm、10~40ppm、または10~20ppmの濃度で含まれる。
【0069】
一例において、前記薬学組成物は、多様な経路を通して対象に投与可能である。前記投与は、任意の適切な方法で個体(患者)に所定の物質を提供することを意味することができ、前記薬学組成物の投与経路は、目的組織に到達できる限り、一般的なすべての経路を通して経口投与および/または非経口投与できる。非経口投与時、皮膚外用、腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、および/または胸部内注射を選択することができる。また、一例による組成物は、有効成分を標的細胞に伝達できる任意の装置を用いて投与されてもよい。
【0070】
さらに他の態様は、ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、およびその塩(ビオラセインの塩またはビオラセイン誘導体の塩)からなる群より選択される1種以上を含む、アイメリア属原虫に対する抗原虫用組成物を提供することができる。ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、その塩(ビオラセインの塩またはビオラセイン誘導体の塩)、および/またはアイメリア属原虫に関する説明は上述した通りである。
【0071】
一例において、前記アイメリア属原虫に対する抗原虫活性(効果、効能)に優れているのは、下記の(1)および/または(2)の特性を意味することができ、例えば、対照群(陰性対照群および/または陽性対照群)に比べて下記の(1)および/または(2)の特性を示すものであってもよい:
(1)アイメリア属原虫を死滅させる効果に優れる;および/または
(2)アイメリア属原虫の細胞侵入効果および/または細胞内の前記原虫の増殖効果抑制。
【0072】
一例において、前記ビオラセイン、ビオラセインの誘導体、および/またはその塩は、抗原虫用組成物に飼料組成物および/または薬学組成物で上述したような濃度範囲で含まれる。一例において、上述した濃度範囲で有効成分を含む組成物は、上記の濃度範囲以外の範囲で含む場合より抗原虫活性に優れたものであり得る。
【0073】
さらに他の態様は、前記組成物(例えば、前記飼料組成物、前記飼料添加剤、前記薬学組成物、および/または前記抗原虫用組成物)を動物に投与する段階を含む、コクシジウム症の予防、改善、または治療方法を提供することができる。一例において、前記組成物を投与する段階の前に、前記コクシジウム症の予防、改善、または治療を必要とする個体(患者)を確認(選別)する段階をさらに含むことができる。前記組成物およびコクシジウム症については上述した通りである。一例によれば、前記個体を確認する段階は、個体から分離された糞便からコクシジウムを誘導可能な原虫のオーシストを検出する段階を含むことができる。
【0074】
一例によるコクシジウム症の予防、改善、または治療方法において、前記組成物の投与方法、投与経路、および/または投与量については上述した通りである。
【0075】
一例によれば、前記組成物は、薬学的に有効な量で投与することができる。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの比率で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量の水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他の医学分野でよく知られている要素に応じて決定可能である。一例によれば、前記組成物は、個別治療剤として投与するか、他の抗コクシジウム剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは同時に、別途に、または順次に投与されてもよいし、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮して副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定可能である。
【0076】
一例において、前記コクシジウム症の予防、改善、または治療方法が適用される対象は、コクシジウム症が発病するか、または発病しうる動物を意味し、前記動物は、ヒト、ウマ、ウシ、マウス、ラット、イヌ、ネコなどを含む哺乳類、家禽類(例えば、種鶏、肉鶏、および/または産卵鶏など)などを含む鳥類、魚類、両生類、および/または爬虫類などであってもよい。
【0077】
一例において、前記コクシジウム症の予防、改善、または治療方法が適用される動物は、前記表1に記載された動物からなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種以上)であってもよく、例えば、ヒト、ニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、ハト、オウム、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、レイヨウ、オリックス、サル、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、タヌキ、リス、コウモリ、モルモット、ラクダ、リマ、アルパカ、ウォンバット、トカゲ、キンギョ、フナ、ティラピア、バーベル、ハイギョ、およびヨーロッパのチャブからなる群より選択される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、または4種以上)であってもよい。一例において、前記動物は、ヒトを除いた動物であってもよい。
【0078】
他の態様は、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療用組成物(例えば、飼料組成物、薬学組成物)または抗原虫用組成物の製造に使用するための用途;ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上のコクシジウム症の予防、改善、および/または治療に使用するための用途;および/またはビオラセイン、ビオラセイン誘導体、およびその塩からなる群より選択される1種以上のアイメリア属原虫に対する抗原虫(例えば、アイメリア属原虫の死滅;および/またはアイメリア属原虫の細胞侵入および/または増殖抑制)に使用するための用途を提供する。前記用途において、ビオラセイン、ビオラセイン誘導体、その塩、コクシジウム症、抗原虫、およびアイメリア属原虫については上述した通りである。
【発明の効果】
【0079】
本発明に係るビオラセイン、ビオラセイン誘導体、および/またはその塩を含む組成物は、コクシジウム症を誘導可能な原虫に対する直接死滅効果、前記原虫の細胞侵入抑制効果、および/または細胞内の前記原虫の増殖抑制効果に優れ、コクシジウム症の予防、改善、および治療効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】原虫の単一接種時、ビオラセインの抗コクシジウム総合指数(ACI)を示す図である。
【
図2】原虫の3種複合接種時、ビオラセインの抗コクシジウム総合指数(ACI)を示す図である。
【
図3】ビオラセインの原虫の細胞侵入率抑制効果および細胞内原虫の増殖抑制効果を示す図である。
【
図4】ビオラセインの耐酸性を測定した結果を示す図である。
【
図5】ビオラセインの耐熱性を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、本発明の実施例によってより具体的に説明する。しかし、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0082】
実施例1.原虫の単一接種時、ビオラセインの生体内(in vivo)抗コクシジウム活性
【0083】
実施例1-1.実験施設および研究設計
大韓民国の慶尚南道(キョンサンナムド)所在の動物実験施設で生体内(in vivo)抗コクシジウム効能評価試験を行った。1日齢の雌のロス(Ross)肉鶏の体重を個別的に測定し、ランダムに群を分けて実験に使用した。実験設計に関する事項および条件は表2に記載した。
【0084】
【0085】
韓国養鶏仕様管理指針に従って飼育場を管理した。試験開始前にケージ(cage)および飼育場は洗浄および消毒した。飼育場の温度40~41℃および40~50%の湿度を維持し、連続してモニタリングした。
【0086】
実施例1-2.実験設計
飼料は大韓飼料A1-初餌製品を使用し、飼料に各素材(ジクラズリル(柳韓洋行社のYUHAN DICLA製品)、サリノマイシン(チェイルバイオ社のチェイルサリノ-60製品)、ビオラセイン(CJ第一製糖))を下記表3に記載された濃度でそれぞれ添加して自家配合した。一般飼料および配合された飼料には抗生剤と補充剤を使用せず、各素材以外に抗コクシジウム剤を添加しなかった。実験期間にわたって肉鶏に飼料を自由食で摂取させた。対照群または試験群別にランダムに配置されたケージに1日齢肉鶏を15頭ずつ入れて飼育し、一般飼料(A1-初餌製品)を7日間給餌後、上記で製造した配合飼料を対照群または試験群別に区分して摂取させた。非感染した陰性対照群は1つのケージを使用し、感染した陰性対照群と実験群は2つのケージを使用して実験を行った。
【0087】
対照群(陰性対照群または陽性対照群)および試験群に投与された配合飼料とアイメリア・テネラによるコクシジウム症誘導の有無は下記表3に記載した。
【0088】
コクシジウム症誘導は、90%以上成熟した(sporulation)アイメリア・テネラのオーシスト(oocyst、虫卵)を用いて、14日齢肉鶏に個体1匹あたり10,000個のオーシストを経口チューブ式で口腔接種(攻撃接種)して行った。
【0089】
【0090】
実施例1-3.ビオラセインの抗コクシジウム活性の測定
前記実施例1-2で設計した試験群別の抗コクシジウム効能は抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)として示し、抗コクシジウム総合指数は下記の数式2によって計算した。ACI点数は200点満点であり、ACI点数が高いほど、抗コクシジウム能に優れていることを意味し、120点以上140点未満であれば、抗コクシジウム素材として効果があると判断し、140点以上~160点未満であれば、抗コクシジウム素材として優れていると判断し、160点以上の場合、抗コクシジウム効果が非常に優れていると判断した(Luis Miguel De Pablos et al.,Anticoccidial activity of maslinic acid against infection with Eimeria tenella in chickens,Parasitol Res,2010)。
【0091】
(数式2)
抗コクシジウム総合指数(ACI)=(攻撃接種後の生存率(%))+(陰性対照群に対する1日あたりの増体量(RWG、%))-(病変スコア×10)-(糞便中のオーシスト排出指数)
【0092】
1)生存率:斃死個体数を毎日記録し、斃死の原因を把握するために死後剖検を行って、コクシジウム症以外の原因で死亡した個体の数は除外した。攻撃接種後8日目までの生存率(%)を抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。測定された生存率は下記表4に記載した。
【0093】
2)1日あたりの増体量:個体に原虫を攻撃接種する前と攻撃接種後7日目までの体重をケージ別に測定し、その差を日数で割って1日あたりの増体量(ADG、g/d)を計算した。各実験群の1日あたりの増体量(ADG、average daily gain;g/d)を非感染した陰性対照群の増体量(ADG、g/d)で割り、100を掛けて計算した「陰性対照群に対する1日あたりの増体量(RWG、%)」を抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。各対照群および試験群で測定した1日あたりの増体量(ADG、g/d)および陰性対照群に対する1日あたりの増体量(RWG、%)を下記表4に示した。
【0094】
3)病変スコアリング:攻撃接種後8日目にケージ別に肉鶏を4匹ずつ剖検し、腸を切開開放した。肉鶏の盲腸部位におけるそれぞれのコクシジウム病変に対してスコアリングした。病変スコアリング方法はJohnson JK&Reid WM(1970)文献(Joyce Johnson,W.Malcolm Reid,Anticoccidial drugs:Lesion scoring techniques in battery and floor-pen experiments with chickens,Experimental parasitology,1970)を参照して行った。病変スコア(Lesion score)は0~4等級があり、0点は正常な盲腸、1点は軽微な感染症状、2点は重症度の感染症状、3点の場合は深刻な感染症状、および4点は非常に深刻な感染症状を呈すか、または斃死を起こした場合に相当する。測定された盲腸病変スコアに10を掛けて病変指数を求め、これを抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。各対照群および試験群で測定された病変スコアおよび病変指数を下記表4に記載した。
【0095】
4)糞便中のオーシスト排出量:攻撃接種6~8日目の全体糞便をケージ別に回収して均一にミキシングした後、1gずつ計3回にわたってランダムにサンプリングを行った。塩水を用いて糞便1g中のオーシストを浮かべた後、McMaster chamberを用いてオーシスト排出量を測定し、その結果を下記表4に記載した。各グループ別のオーシスト排出量を感染した陰性対照群のオーシスト排出量で割り、100を掛けて、感染した陰性対照群に対するオーシスト排出量(%)を計算した。計算した感染した陰性対照群に対するオーシスト排出量が0%~1%未満であれば0、1%以上~26%未満は5、26%以上~51%未満は10、51%以上~76%未満は20、76%以上~100%以下は40とオーシスト排出指数を算出し、その結果を下記表4に記載し、これを抗コクシジウム総合指数の計算に使用した。
【0096】
【0097】
上述のように、前記数式2によって測定した各試験群別の抗コクシジウム総合指数を下記表4および
図1に示した。表4および
図1に示すように、アイメリア・テネラ感染の陰性対照群は、非感染の陰性対照群に比べて増体量が減少し、病変スコアおよびオーシスト排出量が増加した。また、すべてのビオラセイン摂取群においては、感染の陰性対照群に比べて増体量および攻撃接種後の生存率が増加し、病変スコアおよびオーシスト排出量が減少し、抗コクシジウム総合指数も優れていた。特に、ビオラセインを40ppmで含む配合飼料摂取群において、サリノマイシンまたはジクラズリル摂取の陽性対照群より虫卵排出量が顕著に減少したので、ビオラセインは、コクシジウム症による畜舎汚染および2次感染率を減少させることを確認することができた。さらに、以下の実施例7の結果のように、ビオラセインは、陽性対照群であるサリノマイシンまたはジクラズリルとは異なり、臓器および血液中に残留しないため、休薬期間を必要としないので、さらに優れた抗コクシジウム剤として活用することができる。
【0098】
実施例2.原虫の複合接種時、ビオラセインの生体内(in vivo)抗コクシジウム活性
【0099】
実施例2-1.実験施設および研究設計
大韓民国の忠清南道(チュンチョンナムド)所在の動物実験施設で生体内(in vivo)抗コクシジウム効能評価試験を行った。1日齢の雄のロス(Ross)肉鶏の体重を個別的に測定し、ランダムに群を分けて実験に使用した。実験設計に関する事項および条件は表5に記載した。
【0100】
【0101】
韓国養鶏仕様管理指針に従って飼育場を管理した。試験開始前にケージ(cage)および飼育場は洗浄および消毒した。飼育場の温度40~41℃および40~50%の湿度を維持し、連続してモニタリングした。
【0102】
実施例2-2.実験設計
飼料はネオベースで配合し、飼料に各素材(サリノマイシン(チェイルバイオ社のチェイルサリノ-60製品)、ビオラセイン(CJ第一製糖))を下記表6に記載された濃度でそれぞれ添加して自家配合した。一般飼料および配合された飼料には抗生剤と補充剤を使用せず、各素材以外に抗コクシジウム剤を添加しなかった。実験期間にわたって肉鶏に飼料を自由食で摂取させた。対照群または試験群別にランダムに配置されたケージに1日齢肉鶏を8頭ずつ入れて飼育し、一般飼料を7日間給餌後、上記で製造した配合飼料を対照群または試験群別に区分して摂取させた。
【0103】
対照群(陰性対照群または陽性対照群)および試験群に投与された配合飼料と原虫3種によるコクシジウム症誘導の有無は下記表6に記載した。
【0104】
コクシジウム症誘導は、90%以上成熟した(sporulation)アイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・マキシマのオーシスト(oocyst、虫卵)を用いて、14日齢肉鶏に個体1匹あたり10,000、50,000、50,000個のオーシストを経口チューブ式で口腔接種(攻撃接種)して行った。
【0105】
【0106】
実施例2-3.ビオラセインの抗コクシジウム活性の測定
前記実施例2-2で設計した試験群別の抗コクシジウム効能は抗コクシジウム総合指数(Anticoccidial index;ACI)として示し、抗コクシジウム総合指数は前記実施例1-3と同様の方法で計算した。但し、本実施例においてはアイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナ、およびアイメリア・マキシマの原虫を攻撃接種したので実施例1-3とは異なり、病変スコアは、十二指腸、空腸、および盲腸に対してそれぞれのスコアを集計した後、合わせて算出した。
【0107】
【0108】
上述のように、前記数式2によって測定した試験群別の抗コクシジウム総合指数を下記表7および
図2に示した。表7および
図2に示すように、原虫3種を複合感染させた陰性対照群は、非感染の陰性対照群に比べて増体量が減少し、病変スコアおよびオーシスト排出量が増加した。また、すべてのビオラセイン摂取群では感染の陰性対照群に比べて病変スコアおよびオーシスト排出量が減少し、抗コクシジウム総合指数も優れていた。特に、ビオラセインを15ppmで含む配合飼料摂取群で、サリノマイシンを摂取した陽性対照群より病変スコアおよびオーシスト排出量が顕著に減少したので、ビオラセインはコクシジウム症による畜舎汚染および2次感染率を減少させることを確認することができた。
【0109】
実施例3.ビオラセインの原虫の直接死滅効果の測定
本実施例において大多数の農家に感染していると知られている代表的なアイメリア3種(E.tenella、E.acervulina、E.maxima)に対して原虫(胞子小体)の直接死滅能評価を行った。
【0110】
各コクシジウム原虫種のオーシストの一定量をガラスビーズの入ったチューブに入れて粉砕した後、破砕されたオーシスト細胞壁およびその他の残骸を除去するために、パーコール比重差原理(percoll density gradient)を利用して内部胞子嚢(sporocysts)を精製し、PBS溶液で洗浄した。内部胞子小体(sporozoites)の脱嚢のために、アイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナおよびアイメリア・マキシマの胞子嚢にそれぞれタウロコール酸ナトリウム(sodium taurocholic acid、Sigma aldrich、USA)およびトリプシン(trypsin、Gibco、USA)を含む試薬を処理してインキュベーション後、PBS溶液で1回洗浄し、原虫を得た。
【0111】
ビオラセインおよび抗コクシジウム剤であるサリノマイシン、ジクラズリル、および没食子酸(以下、素材)をそれぞれ1~500ppmの様々な濃度でアイメリア3種の原虫と反応させた後、顕微鏡観察によって生きている原虫(胞子小体)のみをカウントした。この時、PBSで処理した陰性対照群に対する各素材処理時の原虫の死滅率(%)を測定し、原虫を100%直接死滅させた最小濃度を下記表8に示した。
【0112】
【0113】
コクシジウム原虫種(3種)に対するin vitro直接死滅効果を確認した結果、表8に示すように、抗コクシジウム剤として知られている没食子酸処理群では500ppmまで原虫に対する100%死滅効果が現れず、ジクラズリル処理群でもアイメリア・テネラおよびアイメリア・マキシマに対して500ppmまで100%胞子小体の死滅効果が現れなかった。ビオラセインの処理群では他の群より顕著に低濃度でもアイメリア・テネラ、アイメリア・アセルブリナ、およびアイメリア・マキシマを100%死滅させることができ、原虫(胞子小体)の死滅効果が顕著に優れていることを確認することができた。
【0114】
実施例4.ビオラセインのアイメリア(Eimeria)原虫に対する細胞侵入および増殖抑制効果
本実施例でアイメリア感染および増殖すると知られている代表的な動物細胞であるMDBK細胞株を用いて、ビオラセインの細胞内の原虫侵入抑制能および細胞内の原虫の増殖抑制能を調べた。
【0115】
MDBK細胞(ATCC購入)100,000個を24ウェルプレートに分注した後、温度37℃で12時間インキュベーションした。前記実施例3と同様の方法でアイメリア・テネラの原虫を獲得した。1つのウェルに原虫(胞子小体)を200,000匹ずつ細胞が分注されたウェルに添加し、それぞれの素材(ビオラセイン、および抗コクシジウム剤であるサリノマイシン、ジクラズリルまたは没食子酸)を濃度別に細胞に処理して、温度41℃で24時間培養した。陰性対照群は、アイメリア・テネラの原虫を感染させたMDBK細胞であり、陽性対照群は、サリノマイシン、ジクラズリルまたは没食子酸溶液をアイメリア・テネラ原虫と共にインキュベーションしたグループを意味する。その後、細胞に侵襲しない原虫を除去するために、PBS溶液を用いて細胞を2回洗浄した。ピペッティングにより細胞と細胞中に入っている原虫を切り離した後、細胞からDNAを抽出し、E.tenella ITS-1(Internal transcribed spacer-1)遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを行った。使用したプライマーの配列は下記表9に記載した。
【0116】
【0117】
素材別に洗浄前/後のCt値を比較し、陰性対照群の△Ct値で補正して、それぞれの素材処理による原虫の細胞侵入抑制率(%)を計算し、その結果を
図3および下記表10に示した。
【0118】
また、MDBK細胞(ATCC購入)100,000個を24ウェルプレートに分注した後、温度37℃で12時間インキュベーションした。前記実施例3と同様の方法でアイメリア・テネラの原虫を獲得した。1つのウェルに原虫を200,000匹ずつ細胞が分注されたウェルに添加し、温度41℃で24時間培養後、細胞に付いていない原虫を除去するために、PBS溶液を用いて細胞を2回洗浄した。濃度別にそれぞれの素材(ビオラセイン、および抗コクシジウム剤であるサリノマイシン、ジクラズリルまたは没食子酸)を細胞に処理した後、温度41℃で24時間追加培養した。陰性対照群は、原虫を感染させたMDBK細胞であり、陽性対照群は、サリノマイシンまたはジクラズリル溶液をアイメリア・テネラ原虫と共にインキュベーションしたグループを意味する。ピペッティングにより細胞と細胞内で増殖した原虫を切り離した後、細胞からDNAを抽出し、E.tenella ITS-1(Internal transcribed spacer-1)遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを行った。使用したプライマー配列は前記表9に記載した。
【0119】
陰性対照群に対する素材処理群でのCt値を比較して、素材処理による細胞内の原虫の増殖抑制率(%)を計算し、その結果を
図3および下記表10に示した。
【0120】
図3および表10に示すように、ジクラズリルは細胞内の原虫の増殖抑制にのみ効果が現れ、没食子酸は原虫の細胞侵入にのみ効果を示す反面、ビオラセインはアイメリア・テネラ原虫の細胞侵入(invasion)と細胞内の原虫の増殖(propagation)の両方とも抑制し、その程度もまた、陽性対照群より優れていた。ビオラセイン1ppmおよび0.5ppm投与群で細胞内の原虫の増殖抑制効果に関する実験結果は統計学的に有意な差が現れなかった。
【0121】
【0122】
実施例5.ビオラセインの耐酸性の評価
本実施例でビオラセインの耐酸性を評価した。200ppmのビオラセイン溶液に塩酸(HCl)溶液を添加してpH2、3および5.5となるように調整した後、温度40℃で1時間静置した。その後、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を添加して中性化(pH7.0)させ、PBS溶液を用いて希釈した0.1~100ppmの様々な濃度のビオラセインにアイメリア・マキシマ原虫(胞子小体)200,000匹を露出させ、温度41℃で4時間反応させた。その後、前記実施例3と同様の方法で原虫の死滅率(%)を測定し、これを
図4および表11に示した。下記表11において、対照群は、酸性条件を処理しないビオラセイン処理群を意味し、原虫単独は、ビオラセインを処理しない群を意味する。
【0123】
図4および表11に示すように、ビオラセインは、強い酸性条件でもコクシジウム症を誘導する原虫に対する死滅効能が無くならないことを確認することができた。
【0124】
【0125】
前記
図4および表11に示すように、対照群およびすべての実験群でビオラセイン濃度依存的に原虫の死滅効果が優れ、pH2~3の酸性条件でビオラセインを1時間静置した後、中性を回復させても、すべての濃度でビオラセインの原虫の死滅効能が無くならないことを確認することができた。
【0126】
実施例6.ビオラセインの耐熱性評価
本実施例でビオラセインの耐熱性を評価した。ビオラセインを温度85~95℃で10分間露出させた後、熱を冷やし、PBS溶液で0.1~100ppmの濃度にそれぞれ希釈した。アイメリア・マキシマ原虫(胞子小体)200,000匹を0.1~100ppmの様々な濃度でビオラセインに温度41℃で4時間反応させ、前記実施例3と同様の方法で原虫の死滅率(%)を測定して、これを
図5および表12に示した。下記表12において、対照群は、高温条件を処理しないビオラセイン溶液を意味し、原虫単独は、ビオラセインを処理しない群を意味する。
【0127】
【0128】
前記表12および
図5に示すように、対照群およびすべての実験群でビオラセイン濃度依存的に原虫の死滅効果が優れ、ビオラセインを高温(80~95℃)で静置した後にも、すべての濃度でビオラセインの原虫の死滅効能が無くならないことを確認することができた。
【0129】
実施例7.生体内の安全性評価
実施例1に記載された条件の飼育施設でビオラセインの安全性評価を行った。肉鶏の7日齢に7日間ビオラセイン50ppmが配合された飼料を給餌した後、14日齢に剖検して飼料、盲腸の管腔内容物、血液、脾臓、肝臓、腎臓を採取した。前記ビオラセインとの配合に使用された飼料は大韓飼料A1-初餌製品を使用した。
【0130】
上記で採取された組織の各試料はHPLC方法によってビオラセインの含有量調査を行った。飼料前処理は、処理区別1gを秤量してMTBE溶液を10mlずつ添加して希釈し、その後、ソニケーション(sonication)を1時間行い、0.45μmの注射器フィルターを用いてろ過(filteration)した。その後、ろ過された試料を1時間蒸発(evaporation)させた後、100%メタノール1mlを添加した。さらにソニケーションを1分間行い、溶解しない場合、上澄液を0.45μmの注射器フィルターを用いてもう一度ろ過した後、分析用バイアルに入れた。血液および臓器のHPCL前処理のために処理区別試料をプーリング(pooling)して4000bpmで10秒間ずつ3回均質化(homogenization)した。その後、上澄液を1.5mlマイクロチューブに収集し、-70℃で冷凍した。その後、試料を凍結乾燥した後、マイクロスピンチューブ(microspin tube)に試料を50mgずつ秤量して入れた。秤量した試料にMTBE溶液を300ulずつ添加し、マイクロスピンチューブ自体を1.5mlコニカルチューブ(canonical tube)に入れて60秒間ボルテックス(vortexing)した。さらに1時間ソニケーションを行い、5000rpmで1分間ずつ2回遠心分離した。1.5mlチューブに集められた200~300ulの溶液を確認し、MTBE溶液を蒸発させた。100%メタノール100ulを追加して溶解させ、溶解しない場合、ソニケーションを10分間行った後、上澄液50ulを収集して分析用バイアルに入れた。その後、前処理が完了した試料はセッティングされたLC/MS装置を用いて分析を行い、ビオラセインの給餌後体内残留量を測定し、その結果を下記表13に示した。表13において、ND(not detected)は、検出されないことを意味する。
【0131】
【0132】
表13に示すように、飼料および飼料を摂取した肉鶏の盲腸の管腔内容物、血液、脾臓、肝臓、腎臓でビオラセインの含有量を分析した結果、ビオラセインは、肉鶏の経口摂取後に胃を通過して盲腸まで到達した。また、ビオラセインは、血液、肝臓、腎臓、および脾臓内で検出されず、体内に残留しないことを確認し、ビオラセインが臓内にのみ留まり、コクシジウム発生を抑制することができることを確認した。
【配列表】