(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-28
(45)【発行日】2024-06-05
(54)【発明の名称】液晶光学素子及び照明装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20240529BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20240529BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240529BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240529BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240529BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240529BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240529BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240529BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240529BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20240529BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1347
G02F1/1335
F21S2/00 481
F21V5/04 650
G02F1/13 505
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y101:00 100
F21Y103:00
(21)【出願番号】P 2023525686
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2022019864
(87)【国際公開番号】W WO2022255044
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2021092627
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次朗
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0196318(US,A1)
【文献】特表2010-525388(JP,A)
【文献】特開2019-086539(JP,A)
【文献】特開2015-176104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343
G02F 1/13
G02F 1/1347
G02F 1/1335
F21S 2/00
F21V 5/04
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 101/00
F21Y 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液晶セル、
前記第1の液晶セルに重なる第2の液晶セル、及び、
前記第2の液晶セルに重なり、光を屈折させる光学素子を有し、
前記第1の液晶セル、及び前記第2の液晶セルのそれぞれは、第1の基板、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置される液晶層を有し、
前記第1の基板は、
第1の透明電極、及び第2の透明電極が第1の方向に平行に交互に配置された第1の電極群、及び
第5の透明電極、及び第6の透明電極が前記第1の方向に平行に交互に配置され、かつ、前記第1の電極群に隣接して配置された第2の電極群を有し、
前記第2の基板は、
第3の透明電極、及び第4の透明電極が前記第1の方向に交差する第2の方向に平行に交互に配置され、かつ、前記第1の電極群に対向して配置された第3の電極群、及び
第7の透明電極、及び第8の透明電極が前記第2の方向に平行に交互に配置され、前記第3の電極群に隣接し、かつ、前記第2の電極群に対向して配置された第4の電極群を有する、液晶光学素子。
【請求項2】
前記光学素子は、前記第1の電極群に重なる第1の光学変換部、及び前記第2の電極群に対向して重なる第2の光学変換部を有する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項3】
前記第2の方向は、前記第1の方向と直交する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項4】
前記第3の透明電極と前記第4の透明電極との第2のピッチは、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との第1のピッチより狭い、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項5】
前記第7の透明電極と前記第8の透明電極との第2のピッチは、前記第5の透明電極と前記第6の透明電極との第1のピッチより狭い、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項6】
前記第1の透明電極、前記第2の透明電極、前記第3の透明電極、前記第4の透明電極、前記第5の透明電極、前記第6の透明電極、前記第7の透明電極、及び前記第8の透明電極に、同じ電圧を供給する制御回路を有する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項7】
前記第1の透明電極、前記第2の透明電極、前記第3の透明電極、及び前記第4の透明電極に、第1の電圧を供給し、
前記第5の透明電極、及び前記第7の透明電極に、前記第1の電圧と異なる第2の電圧を供給し、
前記第6の透明電極、及び前記第8の透明電極に、前記第1の電圧、及び前記第2の電圧と異なる第3の電圧を供給する制御回路を有する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項8】
前記第5の透明電極、前記第6の透明電極、前記第7の透明電極、及び前記第8の透明電極に、第1の電圧を供給し、
前記第1の透明電極、及び前記第3の透明電極に、前記第1の電圧と異なる第2の電圧を供給し、
前記第2の透明電極、及び前記第4の透明電極に、前記第1の電圧、及び前記第2の電圧と異なる第3の電圧を供給する制御回路を有する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項9】
前記第2の透明電極、前記第4の透明電極、前記第6の透明電極、及び前記第8の透明電極に、第1の電圧を供給し、
前記第1の透明電極、及び前記第3の透明電極に、前記第1の電圧と異なる第2の電圧を供給し、
前記第5の透明電極、及び前記第7の透明電極に、前記第1の電圧、及び前記第2の電圧と異なる第3の電圧を供給する制御回路を有する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項10】
平面視において、
前記第1の液晶セルの前記第1の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第1の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第2の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第2の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第3の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第3の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第4の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第4の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第5の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第5の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第6の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第6の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第7の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第7の透明電極とが延在方向にわたって重なり、
前記第1の液晶セルの前記第8の透明電極と前記第2の液晶セルの前記第8の透明電極とが延在方向にわたって重なる、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項11】
前記第1の電極群と前記第2の電極群との間に第3の電極群を有する、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項12】
前記光学素子は、プリズムである、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項13】
前記液晶層に含まれる液晶は、ねじれネマティック液晶である、請求項1に記載の液晶光学素子。
【請求項14】
光源、及び
請求項1に記載の液晶光学素子、を有する照明装置。
【請求項15】
前記光源と前記液晶光学素子との間にフレネルレンズを有する、請求項14に記載の照明装置。
【請求項16】
前記液晶光学素子に対して前記光源が備えられる側と反対側にフレネルレンズを有する、請求項14に記載の照明装置。
【請求項17】
前記光源と前記液晶光学素子との間に凸レンズを有する、請求項14に記載の照明装置。
【請求項18】
前記光源から照射される光を前記液晶光学素子に入射させるように反射させる反射器を有する、請求項14に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、液晶の光学特性を利用し配光を制御する素子、及び液晶の光学特性を利用し配光を制御する素子を含む照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶に電圧を供給し液晶の屈折率を変化させ、焦点距離を電気的に制御する液晶を用いた光学素子(液晶光学素子)として、液晶レンズが知られている。例えば、特許文献1、特許文献2、又は特許文献5には、同心円状に電極が設けられた液晶セルを用いて、光源から放射される光の広がりを制御する照明装置が開示されている。また、例えば、特許文献4には、液晶レンズの製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、液晶に電圧を供給するための電極の形状を変えて配光を制御するビーム成形デバイスパターンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-317879号公報
【文献】特開2010-230887号公報
【文献】特開2014-160277号公報
【文献】特開2008-089782号公報
【文献】特開2010-276685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶レンズ又は照明装置では、光を照射する対象に対して、光の照射方向は変わらない場合が多い。液晶レンズ又は照明装置では、移動する対象或いは異なる複数位置にいる対象に向けて効率的に光を照射することが課題となっている。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、移動する対象又は異なる複数位置にいる対象に向けて光の照射する方向を変え、移動する対象に光を効率的に照射することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る液晶光学素子は、第1の液晶セル、前記第1の液晶セルに重なる第2の液晶セル、及び前記第2の液晶セルに重なり、光を屈折させる光学素子を有し、前記第1の液晶セル、及び前記第2の液晶セルのそれぞれは、第1の基板、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置される液晶層を有し、前記第1の基板は、第1の透明電極、及び第2の透明電極が第1の方向に平行に交互に配置された第1の電極群、及び第5の透明電極、及び第6の透明電極が前記第1の方向に平行に交互に配置され、かつ、前記第1の電極群に隣接して配置された第2の電極群を有し、前記第2の基板は、第3の透明電極、及び第4の透明電極が前記第1の方向に交差する第2の方向に平行に交互に配置され、かつ、前記第1の電極群に対向して配置された第3の電極群、及び第7の透明電極、及び第8の透明電極が前記第2の方向に平行に交互に配置され、前記第3の電極群に隣接し、かつ、前記第2の電極群に対向して配置された第4の電極群を有する。
【0007】
本発明の一実施形態に係る照明装置は、光源、及び前記液晶光学素子、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、第2の液晶セル上のプリズムの平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、第1の基板上の第1の透明電極、第2の透明電極、第5の透明電極、及び第6の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、第2の基板上の第3の透明電極、第4の透明電極、第7の透明電極、及び第8の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、液晶層の液晶の配向を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、液晶層の液晶の配向を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子からの出射光において、相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例、及び、液晶光学素子からの出射光の一例を説明するための断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子からの出射光において、相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
【
図13】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【
図14】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例、及び、液晶光学素子からの出射光の一例を説明するための断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、各透明電極に
図13に示す電圧を供給して得られた光の配光パターンの写真である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子からの出射光において、相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
【
図17】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【
図18】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例、及び、液晶光学素子からの出射光の一例を説明するための断面図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子からの出射光において、相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
【
図20】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【
図21】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、第2の基板上の第3の透明電極、第4の透明電極、第7の透明電極、及び第8の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る液晶光学素子において、第2の基板上の第9の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図23】本発明の第2実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例を示す断面図である。
【
図24】
図24(A)は、本発明の第2実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例を示す断面図である。
図24(B)は、本発明の第2実施形態に照明装置に含まれるフレネルレンズを示す平面図である。
【
図25】本発明の第2実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例を示す断面図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例を示す断面図である。
【
図27】本発明の第3実施形態に係る液晶光学素子からの出射光において、相対輝度と極角との関係を示す模式的なグラフである。
【
図28】本発明の第3実施形態に係る液晶光学素子において、第2の液晶セル上のプリズムを示す平面図である。
【
図29】本発明の第4実施形態に係る液晶光学素子において、プリズムを示す平面図である。
【
図30】本発明の第4実施形態に係る液晶光学素子において、プリズムを示す平面図である。
【
図31】本発明の第5実施形態に係る液晶光学素子を含む照明装置の一例を示す断面図である。
【
図32】
図32(A)は本発明の第5実施形態に係る液晶光学素子に含まれる液晶レンズの形状が、断面において三角形である例を示す図であり、
図32(B)は本発明の第5実施形態に係る液晶光学素子に含まれる液晶レンズの形状が、断面において台形である例を示す図であり、
図32(C)は本発明の第5実施形態に係る液晶光学素子に含まれる液晶レンズの形状が、断面において凸型である例を示す図である。
【
図33】本発明の第6実施形態に係る液晶光学素子の斜視図である。
【
図34】本発明の第6実施形態に係る液晶光学素子において、第1の基板上の第1の透明電極、第2の透明電極、第5の透明電極、及び第6の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図35】本発明の第7実施形態に係る照明装置の構成を示す模式図である。
【
図36】本発明の第7実施形態に係る液晶光学素子において、第1の基板上の第1の透明電極、第2の透明電極、第5の透明電極、及び第6の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図37】本発明の第7実施形態に係る液晶光学素子において、第2の基板上の第3の透明電極、第4の透明電極、第7の透明電極、及び第8の透明電極の配置を示す平面図である。
【
図38】本発明の第7実施形態に係る液晶光学素子に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【
図39】本発明の第8実施形態に係る液晶光学素子に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号、数字の後にa、b、A、Bなどのアルファベット、又は、数字の後にハイフンと数字を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0010】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0011】
また、本明細書において、ある一つの膜を加工して複数の構造体を形成した場合、各々の構造体は異なる機能、役割を有する場合があり、また、各々の構造体はそれが形成される下地が異なる場合がある。しかしながら、これら複数の構造体は、同一の工程で同一層として形成された膜に由来するものであり、同一の材料を有する。従って、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0012】
また、本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αはA乃至Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0013】
<第1実施形態>
<1-1.液晶光学素子10の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶光学素子10の模式的な斜視図である。
図1に示すように、液晶光学素子10は、第1の液晶セル110、第2の液晶セル120、第1の透明接着層130、第2の透明接着層140、及び光学素子150を含む。液晶光学素子10は、大きく分けて、第2の領域170と第1の領域160を有する。第1の透明接着層130は、第1の液晶セル110と第2の液晶セル120との間に設けられている。第2の透明接着層140は、第2の液晶セル120と光学素子150との間に設けられている。液晶光学素子10は、第1の液晶セル110、第2の液晶セル120、第1の透明接着層130、第2の透明接着層140、及び光学素子150は、z軸方向に積層されている。
【0014】
第1の透明接着層130は、第1の液晶セル110と第2の液晶セル120とを接着すると共に固定することができる。第1の透明接着層130と同様に、第2の透明接着層140は、第2の液晶セル120と光学素子150とを接着すると共に固定することができる。
【0015】
第1の透明接着層130及び第2の透明接着層140を形成する材料は、光学弾性樹脂を用いることができる。光学弾性樹脂は、例えば、透光性を有するアクリル樹脂を含む接着材である。
【0016】
図2及び
図3は、液晶光学素子10の模式的な断面図である。具体的には、
図2は、
図1に示すA1-A2線に沿って切断されたzx面内の模式的な断面図であり、
図3は、
図1に示すB1-B2線に沿って切断されたyz面内の模式的な断面図である。本実施形態では、x軸方向、x軸方向と交差するy軸方向、x軸及びy軸と交差するz軸を、それぞれ、第1の方向、第2の方向、第3の方向と呼ぶ場合がある。また、x軸はy軸と直交し、z軸はxy平面(x軸及びy軸)に垂直である。
【0017】
第1の液晶セル110は、第1の基板111-1、第2の基板111-2、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3(
図6)、第4の透明電極112-4、第5の透明電極112-5、第6の透明電極112-6、第7の透明電極112-7(
図6)、第8の透明電極112-8、液晶層113、第1の配向膜114-1、第2の配向膜114-2、及びシール材115を含む。
【0018】
第2の液晶セル120は、第1の基板121-1、第2の基板121-2、第1の透明電極122-1、第2の透明電極122-2、第3の透明電極122-3(
図6)、第4の透明電極122-4、第5の透明電極122-5、第6の透明電極122-6、第7の透明電極122-7(
図6)、第8の透明電極122-8、液晶層123、第1の配向膜124-1、第2の配向膜124-2、及びシール材125を含む。
【0019】
詳細は後述するが、光学素子150は、光学的平面を2つ以上有する透明体であり、少なくとも1組の光学的平面が平行でないプリズムを有する。プリズムは、例えは、三角柱を用いて構成される。本実施形態では、光学素子150は、例えば、x軸方向に平行又は略平行、又は、y軸方向に平行又は略平行に設けられた複数の三角柱(プリズム)を有する。
【0020】
液晶光学素子10は2つの液晶セルを有するが、2つの液晶セルの構成は同様である。以下の説明では、主に、第1の液晶セル110の構成を説明し、第2の液晶セル120の構成の説明を追加する場合がある。
【0021】
第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6が、第1の基板111-1上に設けられている。第1の配向膜114-1が、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5、第6の透明電極112-6、第1の基板111-1のそれぞれの表面及び側面を覆うように設けられている。
【0022】
第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8が、第2の基板111-2上に設けられている。第2の配向膜114-2が、第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7、第8の透明電極112-8のそれぞれの表面及び側面を覆うように設けられている。
【0023】
詳細は後述するが、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3、及び第4の透明電極112-4は、第2の領域170に設けられており、第5の透明電極112-5、第6の透明電極112-6、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8は第1の領域160に設けられている。
【0024】
第1の基板111-1及び第2の基板111-2では、第1の基板111-1上の第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6と、第2の基板111-2上の第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8とが、液晶層113を間に挟んで、対向するように設けられている。
【0025】
シール材115が、第1の基板111-1と第2の基板111-2とのそれぞれの周辺部に設けられ、第1の基板111-1と第2の基板111-2とを接着している。液晶を含む液晶層113が、第1の基板111-1(より具体的には、第1の配向膜114-1)、第2の基板111-2(より具体的には、第2の配向膜114-2)、及びシール材115で囲まれた空間に設けられている。
【0026】
第1の基板111-1及び第2の基板111-2は、透光性を有する剛性基板、又は、透光性を有する可撓性基板を用いることができる。例えば、第1の基板111-1及び第2の基板111-2は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、ポリイミド樹脂基板、アクリル樹脂基板、シロキサン樹脂基板、又はフッ素樹脂基板である。
【0027】
第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3、及び第4の透明電極112-4、第5の透明電極122-5、第6の透明電極122-6、第7の透明電極112-7、及び第8の透明電極112-8は、液晶層113に電界を形成するための電極として機能する。第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3、及び第4の透明電極112-4、第5の透明電極122-5、第6の透明電極122-6、第7の透明電極112-7、及び第8の透明電極112-8を形成する材料は、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)又はインジウム・亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料を用いることができる。
【0028】
液晶層113は、液晶分子の配向状態に応じて、透過する光を屈折するか、又は透過する光の偏光状態を変化させることができる。液晶層113に含まれる液晶は、例えば、ねじれネマティック液晶を用いることができる。本実施形態では、一例として、液晶はポジ型ねじれネマティック液晶を用いているが、液晶分子の初期の配向方向を変更することによりネガ型ねじれネマティック液晶であってもよい。また、液晶は、液晶分子にねじれを付与するカイラル剤を含むことが好ましい。
【0029】
第1の配向膜114-1及び第2の配向膜114-2は、液晶層113内の液晶分子を所定の方向に配列する機能を有する。第1の配向膜114-1及び第2の配向膜114-2を形成する材料は、例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。第1の配向膜114-1及び第2の配向膜114-2は、配向処理によって配向特性を付与されてよい。配向処理は、例えば、ラビング法、又は光配向法を用いることができる。ラビング法は、配向膜の表面を一方向に擦る方法である。光配向法は、配向膜に直線偏光の紫外線を照射する方法である。
【0030】
シール材115は、例えば、エポキシ樹脂接着材、又はアクリル樹脂接着材を用いることができる。接着材は、紫外線硬化型であってもよく、熱硬化型であってもよい。
【0031】
詳細は後述するが、液晶光学素子10は、2つの液晶セル(第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120)を含むことにより、無偏光の光の配光を制御し、配光パターンを形成することができる。そのため、第1の基板111-1及び第2の基板121-2の外側表面には、例えば、液晶表示素子の表裏面に設けられるような一対の偏光板を設ける必要はない。
<1-2.光学素子150の構成>
【0032】
図4は、液晶光学素子10において、第2の液晶セル120上の光学素子150の平面図である。
図4に示すA1-A2線に沿って切断された光学素子150のzx面内の模式的な断面図が、
図2及び
図3に示される光学素子150の断面図である。
【0033】
上述のように、本実施形態では、光学素子150は、例えば、x軸方向に平行又は略平行、又は、y軸方向に平行又は略平行に設けられた複数の三角柱(プリズム)を有する。
図4に示すy軸方向に平行な実線が、三角柱(プリズム)の頂角に相当する部分である。
【0034】
光学素子150は、入射した光を屈曲、分散、又は全反射させる。すなわち、光学素子150は、入射光を入射方向と異なる方向に出射させる。例えば、光学素子150は、(入射)光を屈折させる。第2の領域170に設けられるプリズムと、第1の領域160に設けられるプリズムとは、x軸方向に平行な辺の中心を結ぶ線151に対して、対称又は略対称に設けられる。その結果、第2の領域170に設けられるプリズム及び第1の領域160に設けられるプリズムのそれぞれに入射した光を独立に、屈曲、分散、又は全反射させることができる。
【0035】
光学素子150を形成する材料は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボーネート樹脂などの有機樹脂を用いることができる。
【0036】
光学素子150は、用途に応じて頂角を変えることができるため、用途に応じて入射した光の屈曲、分散、又は全反射を変えることができる。本実施形態では、第2の領域170に設けられる第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2に供給される電圧に応じて、第2の領域170に設けられるプリズムに入射した光を屈曲、分散、又は全反射させることができ、第1の領域160に設けられる第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6に供給される電圧に応じて、第1の領域160に設けられるプリズムに入射した光を屈曲、分散、又は全反射させることができる。
【0037】
本実施形態では、光学素子150において、第2の領域170に設けられるプリズムを第1の光学変換部と呼び、第1の領域160に設けられるプリズムを第2の光学変換部と呼ぶ場合がある。
【0038】
<1-3.透明電極の配置>
図5は、液晶光学素子10において、第1の基板111-1上の第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6の配置を示す平面図である。
図6は、液晶光学素子10において、第2の基板111-2上の第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7、及び第8の透明電極112-8の配置を示す模式的な平面図である。なお、
図5及び
図6においては、第1の液晶セル110に含まれる透明電極などを示すが、第1の液晶セル110における透明電極112及び第1の基板111を、透明電極122及び第2の基板121に置き換えることで、第2の液晶セル120を説明することができる。
【0039】
図5に示すように、第2の領域170に設けられた第1の電極群117-1は、第1の透明電極112-1、及び第2の透明電極112-2を含む。第1の透明電極112-1、及び第2の透明電極112-2は、x軸方向に交互に配置され、y軸方向に延在している。第1の透明電極112-1の電極の幅、及び第2の透明電極112-2の電極の幅は、x軸方向に第1の幅a
1である。第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2とのx軸方向の電極間距離(電極間隔)は、第1の電極間距離b
1である。第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との電極間のピッチは第1のピッチp
1であり、第1のピッチp
1はp
1=a
1+b
1を満たす。また、第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2は、それぞれ、第1の基板111-1上に形成された第1の配線116-1及び第2の配線116-2と電気的に接続されている。第1の配線116-1は、第1の透明電極112-1の下に形成されてよく、第1の透明電極112-1の上に形成されてもよい。また、第1の配線116-1は、第1の透明電極112-1と同じ層に形成されてよい。第2の配線116-2の構成は第1の配線116-1の構成と同様である。
【0040】
図5に示すように、第1の領域160に設けられた第2の電極群117-2は、第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6を含む。第5の透明電極112-5の電極の幅、第6の透明電極112-6の電極の幅、第5の透明電極112-5と第6の透明電極112-6とのx軸方向の電極間距離(電極間隔)、及び第5の透明電極112-5と第6の透明電極112-6との電極間のピッチのそれぞれは、第1の透明電極112-1の電極の幅、第2の透明電極112-2の電極の幅、第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2とのx軸方向の電極間距離(電極間隔)、及び第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との電極間のピッチと同じである。また、第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6は、それぞれ、第1の基板111-1上に形成された第7の配線116-7及び第8の配線116-8と電気的に接続されている。第7の配線116-7は、第5の透明電極112-5の下に形成されてよく、第5の透明電極112-5の上に形成されてもよい。また、第7の配線116-7は、第5の透明電極112-5と同じ層に形成されてよい。第8の配線116-8の構成は第7の配線116-7の構成とも同様である。
【0041】
第1の配向膜114-1は、x軸方向に配向処理が行われている。この場合、液晶層113を構成する液晶分子のうち、第1の基板111-1側の液晶分子の長軸は、x軸方向に沿って配向する。すなわち、第1の配向膜114-1の配向方向(x軸方向)と第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6の延在方向(y軸方向)は、直交している。
【0042】
図6に示すように、第2の領域170に設けられた第3の電極群117-3は、第3の透明電極112-3、及び第4の透明電極112-4を含む。第3の透明電極112-3、及び第4の透明電極112-4は、y軸方向に交互に配置され、x軸方向に延在している。第3の透明電極112-3の電極の幅、及び第4の透明電極112-4の電極の幅は、y軸方向に第2の幅a
2である。第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とのx軸方向の電極間距離(電極間隔)は、第2の電極間距離b
2である。第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との電極間のピッチは第2のピッチp
2であり、第2のピッチp
2はp
2=a
2+b
2を満たす。また、第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4は、それぞれ、第2の基板111-2上に形成された第3の配線116-3及び第4の配線116-4と電気的に接続されている。第3の配線116-3は、第3の透明電極112-3の下に形成されてよく、第3の透明電極112-3の上に形成されてもよい。また、第3の配線116-3は、第3の透明電極112-3と同じ層に形成されてよい。第4の配線116-4の構成は第3の配線116-3の構成と同様である。
【0043】
図6に示すように、第1の領域160に設けられた第4の電極群117-4は、第7の透明電極112-7、及び第8の透明電極112-8を含む。第7の透明電極112-7の電極の幅、第8の透明電極112-8の電極の幅、第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8とのy軸方向の電極間距離(電極間隔)、及び第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8との電極間のピッチのそれぞれは、第3の透明電極112-3の電極の幅、第4の透明電極112-4の電極の幅、第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とのy軸方向の電極間距離(電極間隔)、及び第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との電極間のピッチと同じである。また、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8は、それぞれ、第2の基板111-2上に形成された第9の配線116-9及び第10の配線116-10と電気的に接続されている。第9の配線116-9は、第7の透明電極112-7の下に形成されてよく、第7の透明電極112-7の上に形成されてもよい。また、第9の配線116-9は、第7の透明電極112-7と同じ層に形成されてよい。第10の配線116-10の構成は第9の配線116-9の構成と同様である。
【0044】
第2の配向膜114-2は、y軸方向に配向処理が行われている。この場合、液晶層113を構成する液晶分子のうち、第2の基板111-2側の液晶分子の長軸は、y軸方向に沿って配向する。すなわち、第2の配向膜114-2の配向方向(y軸方向)と第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8の延在方向(x軸方向)は、直交している。
【0045】
第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2とは、第1の基板111-1上に、第1のピッチp1を有した櫛歯状パターンで形成されているということができ、第5の透明電極112-5と第6の透明電極112-6とは、第1の基板111-1上に、第1のピッチp1を有した櫛歯状パターンで形成されているということができる。同様に、第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とは、第2の基板111-2上に、第2のピッチp2を有した櫛歯状パターンで形成されているということができ、第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8とは、第2の基板111-2上に、第2のピッチp2を有した櫛歯状パターンで形成されているということができる。
【0046】
第1の液晶セル110において、第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2と、第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4とは、液晶層113を介して対向し、第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6と、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8とは、液晶層113を介して対向している。
【0047】
ここで、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6の延在する方向(y軸方向)は、第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8の延在する方向(x軸方向)と直交している。換言すると、第1の基板111-1上に形成される櫛歯状の電極パターンと、第2の基板上に形成される櫛歯状の電極パターンとは、平面視で互いに直交している。
【0048】
また、第1の基板111-1には、第5の配線116-5、第6の配線116-6、第11の配線116-11、及び第12の配線116-12が形成されている。第1の基板111-1が第2の基板111-2と貼り合わされると、第3の配線116-3及び第4の配線116-4は、それぞれ、第1の基板111-1に設けられる第5の配線116-5及び第6の配線116-6と電気的に接続される。同様に、第9の配線116-9及び第10の配線116-10は、それぞれ、第1の基板111-1に設けられる第11の配線116-11及び第12の配線116-12と電気的に接続される。
【0049】
第3の配線116-3と第5の配線116-5、第4の配線116-4と第6の配線116-6、第9の配線116-9と第11の配線116-11、及び第10の配線116-10と第12の配線116-12は、例えば、銀ペースト又は導電粒子を用いて、電気的に接続することができる。なお、導電粒子は金属を被覆した粒子を含む。
【0050】
本実施形態では、第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2とが交互に配置された第1の方向と、第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とが交互に配置された第2の方向とは、直交しているが、僅かにずれて交差していてもよく、これらは交差していればよい。同様に、本実施形態では、第5の透明電極112-5と第6の透明電極112-6とが交互に配置された第1の方向と、第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8とが交互に配置された第2の方向とは、直交しているが、僅かにずれて交差していてもよく、これらは交差していればよい。なお、直交する角度、又は僅かにずれて交差する角度は0度であってよく、80度以上100度以下(90±10度)であってもよい。
【0051】
詳細は後述するが、第2の領域170に設けられる第1の基板111-1の第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2と、第2の基板の第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4とが交差することで、各透明電極に供給する電圧を制御して液晶層113の液晶の配向を制御することができる。
【0052】
また、本実施形態では、第1の領域160に設けられる第1の基板111-1の第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6と、第2の基板の第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8とが交差することで、各透明電極に供給する電圧を制御して液晶層113の液晶の配向を制御することができる。
【0053】
その結果、液晶光学素子10を用いることで、第1の領域160と第2の領域170とで、光の配光又は配光パターンを独立に制御することができる。
【0054】
第1の基板111-1の第2の基板111-2に対向する側、又は、第2の基板111-2の第1の基板111-1に対向する側には、第1の基板111-1と第2の基板111-2との間隔を保持するためのフォトスペーサが形成されている(図示省略)。
【0055】
第1の配線116-1、第2の配線116-2、第3の配線116-3、第4の配線116-4、第5の配線116-5、第6の配線116-6、第7の配線116-7、第8の配線116-8、第9の配線116-9、第10の配線116-10、第11の配線116-11、及び第12の配線116-12を形成する材料は、金属材料、又は透明導電材料を用いることができる。金属材料、又は透明導電材料は、例えば、アルミニウム、モリブデン、インジウム・スズ酸化物(ITO)、又はインジウム・亜鉛酸化物(IZO)である。なお、第1の配線116-1、第2の配線116-2、第3の配線116-3、第4の配線116-4、第5の配線116-5、第6の配線116-6、第7の配線116-7、第8の配線116-8、第9の配線116-9、第10の配線116-10、第11の配線116-11、及び第12の配線116-12には、外部装置と接続するための端子が設けられてよく、第1の配線116-1、第2の配線116-2、第3の配線116-3、第4の配線116-4、第5の配線116-5、第6の配線116-6、第7の配線116-7、第8の配線116-8、第9の配線116-9、第10の配線116-10、第11の配線116-11、及び第12の配線116-12が、外部装置と接続するための端子であってもよい。
【0056】
第1の配線116-1、第2の配線116-2、第5の配線116-5(又は第3の配線116-3)、第6の配線116-6(又は第4の配線116-4)、第7の配線116-7、第8の配線116-8、第11の配線116-11(又は第9の配線116-9)、及び第12の配線116-12(又は第10の配線116-10)は、互いに電気的に絶縁されている。したがって、第1の液晶セル110では、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第5の透明電極112-5、第6の透明電極112-6、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8のそれぞれに異なる電圧を供給することができる。その結果、各透明電極を用いて、液晶層113の液晶分子の配向を制御することができる。
【0057】
<1-4.液晶光学素子10による光の配光の制御>
図7及び
図8は、液晶光学素子10において、液晶層113の液晶分子の配向を示す模式的な断面図である。
図7及び
図8は、それぞれ、
図2及び
図3に示す第2の領域170に含まれる第1の液晶セル110の断面図の一部に対応するものである。第2の領域170と第1の領域160とは同様の構成を有する。以下の説明では、主に、第2の領域170に含まれる第1の液晶セル110又は第2の液晶セル120の構成を説明し、第1の領域160に含まれる第1の液晶セル110又は第2の液晶セル120の構成を説明は省略される。
【0058】
図7では、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3、第1の透明電極122-1、第2の透明電極122-2、及び第3の透明電極122-3に電圧が供給されていない状態の液晶光学素子10が示されている。
図8では、第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第3の透明電極112-3、第1の透明電極122-1、第2の透明電極122-2、及び第3の透明電極122-3に電圧が供給されている状態の液晶光学素子10が示されている。具体的には、第1の液晶セル110の第1の透明電極112-1及び第3の透明電極112-3にLow電位が供給され、第2の透明電極112-2及び第4の透明電極112-4(図示は省略)にHigh電位が供給されている。同様に、第2の液晶セル120の第1の透明電極122-1及び第3の透明電極122-3にLow電位が供給され、第2の透明電極122-2及び第4の透明電極122-4(図示は省略)にHigh電位が供給されている。
図8では、便宜上、Low電位及びHigh電位を、それぞれ、「-」及び「+」の記号を用いて図示している。本実施形態では、隣接する透明電極間に生じる電界を横電界と呼ぶ場合がある。
【0059】
第1の配向膜114-1はx軸方向に配向処理されている。
図7に示すように、液晶層113の第1の基板111-1側の液晶分子の長軸は、x軸方向に配向する。すなわち、第1の基板111-1側の液晶分子の配向方向は、第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2の延在方向(y軸方向)に直交する方向である。また、第2の配向膜114-2はy軸方向に配向処理されている。また、液晶層113の第2の基板111-2側の液晶分子の長軸は、y軸方向に配向する。すなわち、液晶層113の第2の基板111-2側の液晶分子の配向方向は、第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4(
図6)の延在方向(x軸方向)に直交する方向である。したがって、液晶層113の液晶分子は、第1の基板111-1から第2の基板111-2に向かうにつれて徐々に長軸の向きをx軸方向からy軸方向に変化し、90度ねじれた状態で配向している。
【0060】
透明電極112に電位が供給されると、
図8に示すように、液晶分子の配向方向が変化する。液晶層113の第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との間の横電界の影響によって、液晶層113の第1の基板111-1側の液晶分子は、全体として、第1の基板111-1に対してx軸方向に凸の円弧状に配向する。同様に、液晶層113の第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との間の横電界の影響によって、液晶層113の第2の基板111-2側の液晶分子は、全体として、第2の基板111-2に対してy軸方向に凸の円弧状に配向する。第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との間のほぼ中央に位置する液晶層113の液晶分子は、いずれの横電界によっても配向がほとんど変化しない。よって、液晶層113に入射した光は、第1の基板111-1側のx軸方向に凸の円弧状に配向された液晶分子の屈折率分布にしたがってx軸方向に拡散され、第2の基板111-2側のy軸方向に凸の円弧状に配向された液晶分子の屈折率分布にしたがってy軸方向に拡散される。
【0061】
なお、第1の基板111-1と第2の基板111-2とは、十分に離れた基板間距離を有しているため、第1の基板111-1の第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との間の横電界は、第2の基板111-2側の液晶分子の配向に対して影響を及ぼさないか、又は、無視できるほどに小さい。同様に、第2の基板111-2の第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との間の横電界は、第1の基板111-1側の液晶分子の配向に対して影響を及ぼさないか、又は、無視できるほどに小さい。
【0062】
第1の透明電極122-1~第4の透明電極122-4に電位が供給された場合における液晶層123の液晶分子も、液晶層113の液晶分子と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
続いて、液晶光学素子10を透過する光の配光について説明する。光源から出射された光は、x軸方向の偏光成分(P偏光成分)及びy軸方向の偏光成分(S偏光成分)を有するが、以下では、便宜上、光をP偏光成分とS偏光成分とに分けて説明する。すなわち、光源から出射された光(
図7及び
図8中の(1)参照)は、P偏光成分を有する第1の偏光310及びS偏光成分を有する第2の偏光320を含む。なお、
図7及び
図8中の矢印の記号及び丸印にバツを付した記号は、それぞれ、P偏光成分及びS偏光成分を表している。なお、光源から出射された光は、液晶光学素子10に入射する光(入射光180)である。
【0064】
第1の偏光310は、第1の基板111-1に入射した後、第2の基板111-2に向かうにつれて、液晶分子の配向のねじれにしたがってP偏光成分からS偏光成分に変化する(
図7及び
図8中の(2)~(4)参照)。より具体的には、第1の偏光310は、第1の基板111-1側ではx軸方向に偏光軸を有しているが、液晶層113の厚さ方向に通過する過程でその偏光軸を徐々に変化させる。また、第1の偏光310は、第2の基板111-2側ではy軸方向に偏光軸を有し、その後、第2の基板111-2側から出射される(
図7及び
図8中の(5)参照)。
【0065】
ここで、第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第1の基板111-1側の液晶分子がx軸方向に凸の円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。そのため、第1の偏光310は、当該液晶分子の屈折率分布にしたがって、x軸方向に拡散する。また、第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第2の基板111-2側の液晶分子がy軸方向に凸の円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。そのため、第1の偏光310は、当該液晶分子の屈折率分布の変化にしたがって、y軸方向に拡散する。
【0066】
したがって、横電界が発生していない場合(
図7参照)、第1の液晶セル110-1を透過する第1の偏光310は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化する。一方、横電界が発生している場合(
図8参照)、第1の液晶セルを透過する第1の偏光310は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化するとともに、x軸方向及びy軸方向に拡散する。
【0067】
第2の偏光320は、第1の基板111-1に入射した後、第2の基板111-2に向かうにつれて、液晶分子の配向のねじれにしたがってS偏光成分からP偏光成分に変化する(
図7及び
図8中の(2)~(4)参照)。より具体的には、第2の偏光320は、第1の基板111-1側ではy軸方向に偏光軸を有しているが、液晶層113の厚さ方向に通過する過程でその偏光軸を徐々に変化させる。また、第2の偏光320は、第2の基板111-2側ではx軸方向に偏光軸を有し、その後、第2の基板111-2側から出射される(
図7及び
図8中の(5)参照)。
【0068】
ここで、第1の透明電極112-1と第2の透明電極112-2との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第1の基板111-1側の液晶分子がx軸方向に凸の円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。しかしながら、第2の偏光320の偏光軸は、第1の基板111-1側の液晶分子の配向と直交しているため、当該液晶分子の屈折率分布の影響を受けず、拡散せずにそのまま通過する。また、第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第2の基板111-2側の液晶分子がy軸方向に凸の円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。しかしながら、第2の偏光320の偏光軸は、第2の基板111-2側の液晶分子の配向と直交しているため、当該液晶分子の屈折率分布の影響を受けず、拡散せずにそのまま通過する。
【0069】
したがって、横電界が発生していない場合(
図7参照)だけでなく、横電界が発生している場合(
図8参照)も、第1の液晶セル110-1を透過する第2の偏光320は、偏光成分がS偏光成分からP偏光成分に変化するが、拡散しない。
【0070】
第2の液晶セル120の液晶層123の液晶分子も、第1の液晶セル110-1の液晶層113の液晶分子と同様の屈折率分布を有する。但し、第1の偏光310及び第2の偏光320は、第1の液晶セル110-1を透過することで、偏光軸が変化しているため、液晶層123の液晶分子の屈折率分布の影響を受ける偏光は逆となる。すなわち、横電界が発生していない場合(
図7参照)だけでなく、横電界が発生している場合(
図8参照)も、第2の液晶セル120を透過する第1の偏光310は、偏光成分がS偏光成分からP偏光成分に変化するが、拡散しない(
図7及び
図8中の(6)~(8)参照)。一方、横電界が発生していない場合(
図7参照)、第2の液晶セル120を透過する第2の偏光320は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化するのみであるが、横電界が発生している場合(
図8参照)、第2の液晶セル120を透過する第2の偏光320は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化するとともに、x軸方向及びy軸方向に拡散する。
【0071】
以上からわかるように、液晶光学素子10では、同一の構造を有する2つの液晶セル(第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120)を積層させることにより、液晶光学素子10に入射する光の偏光成分が2度にわたって変化する。その結果、液晶光学素子10では、入射前の偏光成分と入射後の偏光成分とを変わらなくすることができる(
図7及び
図8中の(1)及び(9)参照)。すなわち、液晶光学素子10では、入射光180の偏光成分と、出射光190の偏光成分とを変わらなくすることができる。
【0072】
また、液晶光学素子10は、透明電極112に電位を供給し、第1の液晶セル110の液晶層113の液晶分子が有する屈折率分布を変化させ、第1の液晶セル110を透過する光を屈折させることができる。具体的には、第1の液晶セル110-1が第1の偏光310(P偏光成分)の光をx軸方向、y軸方向、又はx軸及びy軸の両軸方向に拡散させ、第2の液晶セル120が第2の偏光320(S偏光成分)の光をx軸方向、y軸方向、又はx軸及びy軸の両軸方向に拡散させることができる。
【0073】
<1-5.液晶光学素子10による出射光の出射方向の制御方法>
液晶光学素子10は、各透明電極に送信する制御信号により、光源210(
図11)から放射される光を制御することができる。以下では、
図9~
図17を参照して、液晶光学素子10を用いて制御された光の配光パターンのいくつかを例示する。但し、液晶光学素子10によって制御される光の配光パターンは、ここで示す例に限定されるものではない。表1に示す第1の透明電極112-1に送信する制御信号V
11、第2の透明電極112-2に送信する制御信号V
12、第5の透明電極112-5に送信する制御信号V
15、第6の透明電極112-6に送信する制御信号V
16、第3の透明電極112-3に送信する制御信号V
13、第4の透明電極112-4に送信する制御信号V
14、第7の透明電極112-7に送信する制御信号V
17、第8の透明電極112-8に送信する制御信号V
18(ここまで第1液晶セルに属する)、第1の透明電極122-1に送信する制御信号V
21、第2の透明電極122-2に送信する制御信号V
22、第5の透明電極122-5に送信する制御信号V
25、第6の透明電極122-6に送信する制御信号V
26、第3の透明電極122-3に送信する制御信号V
23、第4の透明電極122-4に送信する制御信号V
24、第7の透明電極122-7に送信する制御信号V
27、及び第8の透明電極122-8に送信する制御信号V
28(ここまで第2液晶セルに属する)は、
図10、
図12、
図16、及び
図18に示す制御信号に対応するものである。
【0074】
【0075】
また、以下の説明では、便宜上、各透明電極に供給する電圧を、第1の電位(変動電位、例えば、Low電位が0V及びHigh電位が30V)、第1の電位と位相が反転している第2の電位(変動電位、例えば、Low電位が0V及びHigh電位が30V)、及び第3の電位(中間電位、例えば、15V)として説明する。第3の電位は、Low電位とHigh電位との間の電位であり、固定電位であってよく、変動電位であってもよい。但し、液晶光学素子10によって制御される光の配光パターンは、ここで示す例に限定されるものではない。なお、各透明電極に供給する電圧の値は、
図10、
図13、
図17、
図20及び
図38に記載された0V、12V、15V、18V、及び30Vに限定されるものではない。
【0076】
<1-5-1.出射光の出射方向がセンター方向>
図9~
図11を用いて、光源210から放射される光(入射光180(
図11))を、液晶光学素子10に対してセンター方向に出射するように制御する例を説明する。
図9は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向がセンター方向の場合の相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
図10は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向がセンター方向の場合の各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
図11は、液晶光学素子10を含む照明装置の一例、及び、液晶光学素子10からの出射光の一例を説明するための断面図である。
【0077】
図10に示すように、第1の液晶セル110では、第2の領域170に設けられた第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2に、第3の電位が供給される。第2の領域170に設けられた第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4に、第3の電位が供給される。第1の領域160に設けられた第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6に、第3の電位が供給される。第1の領域160に設けられた第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8に、第3の電位が供給される。
【0078】
よって、各電極間に電位差は生じない。また、第1の液晶セル110内の液晶層113(
図2及び
図3)及び第2の液晶セル120内の液晶層123(
図2及び
図3)において電界は生じないため、液晶層113及び液晶層123の液晶分子の配向状態は、初期配向から変化しない。したがって、光源210(
図11)から放射される光(入射光180(
図11))は、第1の領域160(
図11)及び第2の領域170(
図11)に入射し、第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過する光において、液晶層113及び液晶層123を通過する偏光成分は拡散することなく通過する。
【0079】
その結果、
図11に示すように、第1の領域160に入射した入射光180は、光学素子150の第1の領域160のプリズムに入射し、屈折した光(出射光190-2)となる。光学素子150の第1の領域160のプリズムに入射した光と同様に、第2の領域170に入射した入射光180は、光学素子150の第2の領域170側のプリズムに入射し、第2の領域170から第1の領域160に屈折した光(出射光190-1)となる。
【0080】
すなわち、第1の領域160に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123を透過し、その状態で光学素子150の第1の領域160のプリズムに入射する。このため、当該第1の領域160からの出射光は、
図9において、長破線で示される「第1の領域からの出射光」のように、屈折した光となる。当該屈折した光は、例えば、左方向から右方向に屈折した光(出射光190-2(
図11))である。また、第2の領域170に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123を透過し、光学素子150の第2の領域170側のプリズムに入射する。このため、当該第2の領域170からの出射光は、
図9において、短破線で示される「第2の領域からの出射光」のように、屈折した光(出射光190-1)となる。当該屈折した光は、例えば、右方向から左方向に屈折した光(出射光190-1(
図11))である。その結果、液晶光学素子10は、「第2の領域からの出射光」と「第1の領域からの出射光」とを合成した光、すなわち、
図9において、実線で示される出射光を、液晶光学素子10のセンター又は略センターから出射することができる。
【0081】
<1-5-2.出射光の出射方向が右方向>
図12~
図15を用いて、光源210から放射される光(入射光180(
図14))を、液晶光学素子10に対して右方向に出射するように制御する例を説明する。
図12は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向が右方向の場合の相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
図13は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向が右方向の場合の各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
図14は、液晶光学素子10を含む照明装置の一例、及び、液晶光学素子10からの出射光の一例を説明するための断面図である。
図15は、液晶光学素子10において、各透明電極に
図13に示す電圧を供給して得られた光の配光パターンの写真である。
【0082】
図13に示すように、第1の液晶セル110では、第1の領域160に設けられた第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6、並びに、第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8に、第3の電位が供給される。第2の領域170に設けられた第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2、並びに、第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4に、第1の電位又は第2の電位が供給される。
【0083】
第1の領域160に設けられた第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6の電極間、並びに、第1の領域160に設けられた第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8の電極間に電位差は生じない。第1の領域160において、第1の液晶セル110内の液晶層113(
図2及び
図3)及び第2の液晶セル120内の液晶層123(
図2及び
図3)に電界は生じないため、第1の液晶セル110内の液晶層113及び第2の液晶セル120内の液晶層123の液晶分子の配向状態は、初期配向から変化しない。したがって、第1の領域160において、光源210(
図14)から放射される光(入射光180(
図14))は、第1の領域160(
図14)に入射し、第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過する光において、液晶層113及び液晶層123を通過する偏光成分は拡散することなく通過する。
【0084】
一方、
図13に示すように、第1の液晶セル110では、第2の領域170に設けられた第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2、並びに、第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4に、第1の電位又は第2の電位が供給される。第1の透明電極112-1及び第3の透明電極112-3に供給される第1の電位、並びに、第2の透明電極112-2及び第4の透明電極112-4に供給される第2の電位は、位相が反転している。また、第1の透明電極112-1及び第3の透明電極112-3に供給される第2の電位、並びに、第2の透明電極112-2及び第4の透明電極112-4に供給される第1の電位は、位相が反転している。
【0085】
よって、第2の領域170に設けられた第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2の電極間、並びに、第2の領域170に設けられた第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4の電極間に、電位差(例えば、+30V又は-30V)が生じている。したがって、第2の領域170において、第1の液晶セル110内の液晶層113及び第2の液晶セル120内の液晶層123の液晶分子の配向状態は、初期配向から変化し、光源210(
図14)から放射される光(入射光180(
図14))が第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過する光190-4において、液晶層113及び液晶層123を通過する偏光成分は拡散する。
【0086】
その結果、
図14に示すように、第1の領域160に入射した入射光180は、光学素子150の第1の領域160のプリズムに入射し、屈折した光(出射光190-2)となる。第2の領域170に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123において拡散し、光学素子150の第2の領域170側のプリズムに入射し、拡散した光(出射光190-1)となる。
【0087】
すなわち、第1の領域160に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123を透過し、光学素子150の第1の領域160のプリズムに入射し、屈折した光(出射光190-2)となる。例えば、液晶光学素子10は、
図12において長破線で示される「第1の領域からの出射光」のように、極角20度をピークに持つ光を出射する。屈折した光(出射光190-2)は、例えば、左方向から右方向に屈折した光(出射光190-2(
図14))である。また、第2の領域170に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123において十分に拡散され、その状態で光学素子150の第2の領域170側のプリズムに入射する。このため、当該第2の領域170からの出射光は、
図12において短破線で示される「第2の領域からの出射光」のように、左方向から右方向にわたって広く拡散した光(出射光190-1(
図14))となる。
【0088】
その結果、液晶光学素子10は、「第1の領域からの出射光」と「第2の領域からの出射光」とを合成した光、すなわち、
図12において実線で示される出射光を、液晶光学素子10の右側又は略右側から出射することができる。例えば、
図15に示すように、液晶光学素子10を用いることで、横方向に拡散する光(主に出射光190-2)と右側又は略右側に偏って集光する光(主に出射光109-1)を合成した配光パターンを形成することができる。
【0089】
<1-5-3.出射光の出射方向が左方向>
図16~
図18を用いて、光源210から放射される光(入射光180(
図18))を、液晶光学素子10に対して左方向に出射するように制御する例を説明する。
図16は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向が左方向の場合の相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
図17は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向が左方向の場合の各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
図18は、液晶光学素子10を含む照明装置の一例、及び、液晶光学素子10からの出射光の一例を説明するための断面図である。
【0090】
図17に示すように、第1の液晶セル110では、第1の領域160に設けられた第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6、並びに、第1の領域160に設けられた第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8に、第1の電位又は第2の電位が供給される。第5の透明電極112-5及び第7の透明電極112-7に供給される第1の電位、並びに、第6の透明電極112-6及び第8の透明電極112-8に供給される第2の電位は、位相が反転している。また、第5の透明電極112-5及び第7の透明電極112-7に供給される第2の電位、並びに、第6の透明電極112-6及び第8の透明電極112-8に供給される第1の電位は、位相が反転している。
【0091】
よって、第1の領域160に設けられた第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6の電極間、並びに、第1の領域160に設けられた第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8の電極間に、電位差(例えば、+30V又は-30V)が生じている。したがって、第1の領域160において、第1の液晶セル110内の液晶層113及び第2の液晶セル120内の液晶層123の液晶分子の配向状態は、初期配向から変化し、光源210(
図18)から放射される光(入射光180(
図18))が第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過する光190-4(
図18)において、液晶層113及び液晶層123を通過する偏光成分は拡散する。
【0092】
一方、第2の領域170に設けられた第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2の電極間、並びに、第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4の電極間に電位差は生じない。第2の領域170において、第1の液晶セル110内の液晶層113(
図2及び
図3)及び第2の液晶セル120内の液晶層123(
図2及び
図3)に電界は生じないため、第1の液晶セル110内の液晶層113及び第2の液晶セル120内の液晶層123の液晶分子の配向状態は、初期配向から変化しない。したがって、第2の領域170において、光源210(
図18)から放射される光(入射光180(
図18))は、第2の領域170(
図18)に入射し、第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過する光において、液晶層113及び液晶層123を通過する偏光成分は拡散することなく通過する。
【0093】
その結果、
図18に示すように、第1の領域160に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123において拡散し、光学素子150の第1の領域160のプリズムに入射し、拡散した光(出射光190-2)となる。第2の領域170に入射した入射光180は、光学素子150の第2の領域170のプリズムに入射し、屈折した光(出射光190-1)となる。
【0094】
すなわち、第1の領域160に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123において十分に拡散され、その状態で光学素子150の第1の領域160側のプリズムに入射する。このため、当該第1の領域160からの出射光は、
図16において長破線で示される「第1の領域からの出射光」のように、左方向から右方向にわたって広く拡散した光(出射光190-2(
図18))となる。第2の領域170に入射した入射光180は、液晶層113及び液晶層123を透過し、光学素子150の第2の領域170のプリズムに入射し、屈折した光となる。例えば、液晶光学素子10は、
図16において短破線で示される「第2の領域からの出射光」のように、極角-20度をピークに持つ光を出射する。第2の領域170から第1の領域160に屈折した光は、例えば、右方向から左方向に屈折した光(出射光190-1(
図18))である。
【0095】
その結果、液晶光学素子10は、「第1の領域からの出射光」と「第2の領域からの出射光」とを合成した光、すなわち、
図16において実線で示される出射光を、液晶光学素子10の左側又は略左側から出射することができる。例えば、図示は省略するが、液晶光学素子10を用いることで、横方向に拡散する光(主に出射光190-1)と左側又は略左側に偏って集光する光(主に出射光109-2)を合成した配光パターンを形成することができる。
【0096】
<1-5-4.出射光の出射方向がセンターからやや左方向>
図19及び
図20を用いて、光源210から放射される光(入射光180(
図20))を、液晶光学素子10に対してセンターからやや左方向に出射するように制御する例を説明する。
図19は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向がセンターよりの左方向の場合の相対輝度と極角との関係を示すグラフである。
図20は、液晶光学素子10において、出射光の出射方向がセンターよりの左方向の場合の各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
【0097】
図19に示すグラフは
図16に示すグラフと比較して、出射光の出射方向がセンターからやや左方向である点において異なる。
図20に示すタイミングチャートは
図17に示すタイミングチャートと比較して、第1の電位及び第2の電位(変動電位)のLow電位が12V、及びHigh電位が18V、すなわち、電位差が6Vである。第2の電位の位相は、第1の電位の位相に対して反転している点において異なる。それ以外の点は、
図19及び
図20に示す図と同様であるから、ここでは、主に、
図19及び
図20と異なる点を説明する。
【0098】
図19と
図16に示すグラフとを比較することで、液晶光学素子10では、各透明電極に供給する電位を変えることによって、極角に対する光の相対強度を制御可能であることが、理解可能である。すなわち、液晶光学素子10では、各透明電極に供給する電位を変えることによって、光の出射方向及び拡散の度合いを変えることができる。
【0099】
例えば、液晶光学素子10に
図20に示す電位を供給すると、第1の領域160に入射した入射光180は、第2の領域170の透明電極に供給された電位の影響を受けながら液晶層113及び液晶層123において透過され、かつ、その状態で光学素子150の第1の領域160側のプリズムに入射する。このため、当該第1の領域160からの出射光は、
図19において長破線で示される「第1の領域からの出射光」のように、極角20度において相対強度の弱いピークを持ち、左方向から右方向に広範囲に拡散した光となる。また、第2の領域170に入射した入射光180は、第2の領域170の透明電極に供給された電位が小さいため、液晶層113及び液晶層123における拡散度合いは
図16に示される拡散度合いと比較して小さく、かつ、その状態で光学素子150の第1の領域160側のプリズムに入射する。このため、当該第2の領域170からの出射光は、
図19において短破線で示される「第2の領域からの出射光」のように、極角-20度において「第1の領域からの出射光」より相対強度の強いピークを持ち、左方向から右方向に広範囲に拡散した光となる。
【0100】
その結果、液晶光学素子10は、「第1の領域からの出射光」と「第2の領域からの出射光」とを合成した光、すなわち、
図19において実線で示される出射光を、液晶光学素子10のセンターからやや左方向に出射することができる。
【0101】
<1-6.透明電極の第1の変形例>
図21は、液晶光学素子10において、第2の基板111-2上の第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7、及び第8の透明電極112-8の配置を示す平面図である。
図21に示す各透明電極は、
図6に示す各透明電極と比較して、電極の線幅、電極間距離(電極間隔)及び電極間のピッチが異なる。それ以外の点は、
図6に示す図と同様であるから、ここでは、主に、
図6と異なる点を説明する。なお、当該第1の変形例においては、第1の基板側の構成は第1実施例と同じ構成を採用している。
【0102】
図21に示すように、第3の透明電極112-3の電極の幅、及び第4の透明電極112-4の電極の幅は、y軸方向に第2の幅a
2/2である。第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とのx軸方向の電極間距離(電極間隔)は、第2の電極間距離b
2/2である。第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との電極間のピッチは第2のピッチp
2/2であり、第2のピッチp
2はp
2/2=a
2/2+b
2/2を満たす。また、第7の透明電極112-7の電極の幅、第8の透明電極112-8の電極の幅、第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8とのy軸方向の電極間距離(電極間隔)、及び第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8との電極間のピッチのそれぞれは、第3の透明電極112-3の電極の幅、第4の透明電極112-4の電極の幅、第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とのy軸方向の電極間距離(電極間隔)、及び第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4との電極間のピッチと同じである。
【0103】
第3の透明電極112-3と第4の透明電極112-4とは、第2の基板111-2上に、第2のピッチp2/2を有した櫛歯状パターンで形成されているということができ、第7の透明電極112-7と第8の透明電極112-8とは、第2の基板111-2上に、第2のピッチp2/2を有した櫛歯状パターンで形成されているということができる。
【0104】
第1の変形例において、第2の基板111-2上の第3の透明電極112-3及び第4の透明電極112-4の電極の幅、電極間距離、及び電極間のピッチは、第1の基板111-1上の第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2の電極の幅、電極間距離、及び電極間のピッチより狭い。また、第2の基板111-2上の第7の透明電極112-7及び第8の透明電極112-8の電極の幅、電極間距離、及び電極間のピッチは、第1の基板111-1上の第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6の電極の幅、電極間距離、及び電極間のピッチより狭い。
【0105】
電極の幅、電極間距離、及び電極間のピッチを狭くすることで、透明電極に電位を供給した際に、液晶が配向する範囲を狭い範囲で制御することができる。すなわち、光をx軸方向又はy軸方向へより拡散させることができる。本実施形態では、同様の透明電極配置を有する第1の液晶セル110と第2の液晶セル120とを積層し、光をx軸方向及びy軸方向へより拡散させることができる。
【0106】
<1-7.透明電極の第2の変形例>
図22は、液晶光学素子10において、第2の基板111-2上の第9の透明電極112-9の配置を示す平面図である。
図22に示す第9の透明電極112-9は、
図6及び
図21に示す各透明電極と比較して、第2の基板111-2上にわたって形成されている。それ以外の点は、
図6及び
図21に示す図と同様であるから、ここでは、主に、
図6及び
図21と異なる点を説明する。
【0107】
第9の透明電極112-9を用いる場合、
図10、又は
図17に示すタイミングチャートを用いて、第9の透明電極112-9に電位を供給することができる。例えば、第9の透明電極112-9は、第3の透明電極112-3に送信する制御信号V
13、第4の透明電極112-4に送信する制御信号V
14と同様に、15Vを供給される。
【0108】
第9の透明電極が第2の基板111-2上にわたって形成される第2の変形例は、第2の基板111-2上に複数の透明電極を形成する例と比較して、複数の透明電極を形成する必要が無い。そのため、例えば、第2の変形例では、透明電極形成のパターニングに関連する製造工程を削減でき、第2の変形例を用いることで液晶セルの製造コストを低減することができる。
【0109】
図1~
図22を用いて、液晶光学素子10を説明した。
図1~
図22に示す形態は一例であって、液晶光学素子10の形態は、
図1~
図22に示す形態に限定されない。
【0110】
液晶光学素子10を用いることで、第1の領域160内の透明電極及び第2の領域170内の透明電極に供給する電位を変えることができる。その結果、光を照射する対象に対して、光の照射方向を変えることができる。例えば、車、飛行機、電車などの移動手段において、座席に対して個々に設けられていた読書灯やスポットライトを、複数の領域を備える1つの液晶光学素子10で置き換えることができる。液晶光学素子10を用いることで、座席に応じて光の照射方向を変えることができるため、読書灯を座席に対して個々に設けるより電力消費を低減し、個々に効率的に光を照射することができる。
【0111】
<第2実施形態>
第2実施形態では、液晶光学素子10Bを備えた照明装置20の形態について説明する。
図23は、本発明の第2実施形態に係る液晶光学素子10Bを含む照明装置20の一例を示す断面図である。
図24(A)は、液晶光学素子10Cを含む照明装置20Bの一例を示す断面図である。
図24(B)は、照明装置20Bに含まれるフレネルレンズ240を示す平面図である。
図25は、液晶光学素子10を含む照明装置20Cの一例を示す断面図である。
図23~
図25に示す形態は一例であって、第2実施形態に係る照明装置の形態は、
図23~
図25に示す形態に限定されない。第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0112】
図23に示す形態では、照明装置20は、光源210、フレネルレンズ240、及び液晶光学素子10Bを有する。
【0113】
光源210は、液晶光学素子10Bに光を照射することができる。光源210として、例えば、電球、蛍光灯、冷陰極管、発光ダイオード(LED)、又はレーザダイオード(LD)などを用いることができる。好ましくは、照明装置20の光源210は、LEDである。光源210として高発光効率であるLEDを用いた照明装置20は、高輝度及び低消費電力となる。なお、LED及びLDは、それぞれ、有機発光ダイオード(OLED)及び有機レーザダイオード(OLD)を含む。
【0114】
フレネルレンズ240は、液晶光学素子10Bと光源210との間に配置されている。フレネルレンズ240は、例えば、
図23に示すように、のこぎり状の断面を有するレンズであり、
図24(B)に示すように、樹脂で形成されたレンズに同心円状の溝を刻むことでレンズを同心円状の領域に分割したレンズである。フレネルレンズ240は、光源210から照射された光を集光することができる。よって、フレネルレンズ240を用いることで、集光した光を液晶光学素子10Bに入射させることができる。そのため、フレネルレンズ240を用いることで、光源210から液晶光学素子10Bに入射する光のロスを低減することができる。
【0115】
液晶光学素子10Bの構成は、液晶光学素子10の構成に対して、光学素子150を光学素子150Bに置き換えた構成である。それ以外の構成は、液晶光学素子10の構成と同様であるから、ここでの説明は省略する。
【0116】
光学素子150Bは、第2の透明接着層140を用いて第2の液晶セル120に接着され、固定される。光学素子150Bは、光学素子150と比較して、複数のプリズムをx軸方向に対して同じ向きに配置した構成を有する。
【0117】
断面視において、光学素子150Bのプリズムの三角形の一辺の長さは長さCであり、プリズムが積層される面に対する角度は角度αである。長さC、及び角度αを変えることで、照明装置20の仕様、又は用途に応じた光学素子150Bを形成することができる。第2実施形態では、例えば、長さCは0.9mm、角度αは40度である。
【0118】
照明装置20では、光源210からの入射光180がフレネルレンズ240によって集光され、集光された光が液晶光学素子10Bに入射する。液晶光学素子10Bに入射した光は、第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過し、光学素子150Bで屈折し、出射光190-3となって出射する。照明装置20では、第1の領域160及び第2の領域170に設けられるプリズムのそれぞれに入射した光を同様の方向に、屈曲、分散、又は全反射させることができる。また、
図23に示す形態においても、第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120の各透明電極に供給する電位を調整することで、光を照射する対象に対して、光の照射方向を変えることができる。
【0119】
図24(A)に示す照明装置20Bでは、
図23に示す照明装置20に対して、光学素子150Bが、フレネルレンズ240と第1の液晶セル110との間に設けられる点において異なる。照明装置20Bでは、光源210からの入射光180がフレネルレンズ240によって集光され、集光された光が光学素子150Bで屈折され、第2の透明接着層140、第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、及び第2の液晶セル120を透過する。照明装置20Bにおいても、第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120の各透明電極に供給する電位を調整することで、光を照射する対象に対して、光の照射方向を変えることができる。
【0120】
図25に示す照明装置20Cは、
図23に示す照明装置20に対して、液晶光学素子10Bが液晶光学素子10に置き換わり、フレネルレンズ240が光学素子150のz軸方向の上方に設けられる点において異なる。照明装置20Cでは、光源210からの入射光180が液晶光学素子10に入射し、入射した光が第1の液晶セル110、第1の透明接着層130、第2の液晶セル120、及び第2の透明接着層140を透過し、第1の領域160のプリズム及び第2の領域170のプリズムによって屈折し、屈折した光がフレネルレンズ240によって集光され、出射される。照明装置20Cにおいても、第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120の各透明電極に供給する電位を調整することで、光を照射する対象に対して、光の照射方向を変えることができる。
【0121】
<第3実施形態>
第3実施形態では、液晶光学素子10Dを備えた照明装置20Dの形態について説明する。
図26は、本発明の第3実施形態に係る液晶光学素子10Dを含む照明装置20Dの一例を示す断面図である。
図27は、液晶光学素子10Dからの出射光において、相対輝度と極角との関係を示す模式的なグラフである。
図28は、液晶光学素子10Dにおいて、第2の液晶セル120上の光学素子150のプリズムを示す平面図である。
図26~
図28に示す形態は一例であって、第3実施形態に係る照明装置の形態は、
図26~
図28に示す形態に限定されない。第3実施形態の説明では、第1実施形態及び第2実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0122】
図26に示す形態では、照明装置20Dは、光源210、及び液晶光学素子10Dを有する。照明装置20Dは、液晶光学素子10Dを有する点において、第1実施形態の
図11に示す形態と異なる。また、第1の実施形態では、液晶光学素子10が第1の領域160及び第2の領域170の2つの領域を有するのに対し、第3の実施形態では、液晶光学素子10Dが、第1の領域160と第2の領域170の間に第3の領域250を有する3つの領域を有する点において異なる。
【0123】
第3の領域250では、第1の液晶セル110において、第1の電極群117-1及び第2の電極群117-2と同様の透明電極の構成、又は、第3の電極群117-3及び第4の電極群117-4と同様の透明電極の構成を用いることができる。第2の液晶セル120においても、第1の液晶セル110と同様の構成を用いることができる。
【0124】
光学素子150では、第1の領域160及び第2の領域170は複数のプリズムを有し、断面視において、のこぎり状の形状を有するのに対し、第3の領域250は、断面視において、平坦な面を有する。例えば、光学素子150では、
図28に示すような平面を有する。
【0125】
液晶光学素子10Dでは、第1の領域160、第2の領域170、又は第3の領域250の各透明電極に独立に電位を供給することができる。例えば、照明装置20Dでは、第2の領域170、及び第3の領域250は拡散する光を出射するように制御し、第1の領域160の透明電極の電位を制御することによって、
図27の「第1の領域からの出射光」に示すような右側の出射光を調整した光を、液晶光学素子10Dから出射することができる。また、照明装置20Dでは、第1の領域160、及び第3の領域250は拡散する光を出射するように制御し、第2の領域170の透明電極の電位を制御することによって、
図27の「第2の領域からの出射光」に示すような左側の出射光を調整した光を、液晶光学素子10Dから出射することができる。さらに、照明装置20Dでは、第1の領域160、及び第2の領域170は拡散する光を出射するように制御し、第3の領域250の透明電極の電位を制御することによって、
図27の「第3の領域からの出射光」に示すようなセンターからの出射光を調整した光を、液晶光学素子10Dから出射することができる。
【0126】
なお、本発明の液晶光学素子では、第1の実施形態で示す第1の領域160及び第2の領域170の2つの領域、及び第3の実施形態で示す第1の領域160と第2の領域170の間に第3の領域250を有する3つの領域は一例であって、液晶光学素子の構成は第1の実施形態の構成、及び第3の実施形態の構成に限定されない。例えば、液晶光学素子の構成は4つの領域を有してよく、5つ以上の領域を有してもよい。本発明の液晶光学素子は複数の領域を備えることで、狭い範囲で透明電極に供給する電位を制御することができる。その結果、より狭い範囲で液晶の配向を制御することができるため、相対輝度のピークをよりより狭い範囲で制御することができ、光を照射する対象に対して、光の照射方向を細かく制御することができる。
【0127】
<第4実施形態>
第4実施形態では、光学素子150が、複数の光学素子を有する形態について説明する。
図29及び
図30は本発明の第4実施形態に係る液晶光学素子10において、方向の異なる複数のプリズムを備える平面図を示す。
図29及び
図30に示す形態は一例であって、光学素子150の形態は、
図29及び
図30に示す形態に限定されない。第4実施形態の説明では、第1実施形態~第3実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0128】
図29に示す形態では、光学素子150は、y軸方向に平行に配置された複数のプリズムを有する第1の光学素子150-1、y軸方向に平行に配置された複数のプリズムを有する第2の光学素子150-2、x軸方向に平行に配置された複数のプリズムを有する第3の光学素子150-3、及びx軸方向に平行に配置された複数のプリズムを有する第4の光学素子150-4を有する。
【0129】
図30に示す形態では、光学素子150は、x軸とy軸とを含む平面において、45度又は略45度傾いた方向に平行に配置された複数のプリズムを有する第1の光学素子150-1、第2の光学素子150-2、第3の光学素子150-3、及び第4の光学素子150-4を有する。
【0130】
第4実施形態に係る光学素子150を備えた液晶光学素子10においても、第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120の各透明電極に供給する電位を調整することで、相対輝度を変えてピーク角度を調整することができるため、光を照射する対象に対して、光の照射方向を変えることができる。
【0131】
<第5実施形態>
第5実施形態では、光学素子150Cが、有機樹脂材料、又はガラスなど無機材料を用いて形成された形態について説明する。
図31は本発明の第5実施形態に係る液晶光学素子10Eを含む照明装置20Eの一例を示す断面図である。
図32(A)は液晶光学素子10Eに含まれる光学素子150Cの形状が、断面において三角形である例を示す図であり、
図32(B)は液晶光学素子10Eに含まれる光学素子150Cの形状が、断面において台形である例を示す図であり、
図32(C)は液晶光学素子10Eに含まれる光学素子150Cの形状が、断面において凸円弧状である例を示す図である。
図31~
図32(C)に示す形態は一例であって、第5実施形態に係る照明装置20Eの形態は、
図31~
図32(C)に示す形態に限定されない。第5実施形態の説明では、第1実施形態~第4実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0132】
図31に示すように、照明装置20Eは、液晶光学素子10E、光源210、凸レンズ220、及び反射器230を含む。凸レンズ220は、液晶光学素子10と光源210との間に配置されている。また、反射器230は、光源210と凸レンズ220との間の空間を取り囲むように配置されている。光源210は第2実施形態と同様の光源を用いることができる。
【0133】
凸レンズ220は、光源210から照射された光を集光し、集光した光を液晶光学素子10に入射させることができる。
【0134】
反射器230は、光源210から照射された光を反射し、反射した光を凸レンズに入射させることができる。反射器230の形状は、例えば、略円錐形であるが、これに限られない。また、反射器230の表面は平面であってもよく、曲面であってもよい。
【0135】
さらに、照明装置20Eは、透明電極に供給する電圧を制御する制御部を含み、様々な光の配光パターンを形成することができるようにしてもよい。
【0136】
第5実施形態に係る照明装置20Eでは、
図32(A)、
図32(B)及び
図32(C)に示すような有機樹脂材料、又はガラスなど無機材料を用いて形成された光学素子150Cを備えることで、第1実施形態に係るプリズムを有する光学素子150を備える形態と同様に、第1の液晶セル110及び第2の液晶セル120の各透明電極に供給する電位を調整することで、相対輝度を変えてピーク角度を調整することができるため、光を照射する対象に対して、光の照射方向を変えることができる。
【0137】
<第6実施形態>
第6実施形態では、第1の領域と第2の領域とを異なる素子で形成され、タイル状に並べられた液晶光学素子10Fの形態について説明する。
図33は本発明の第6実施形態に係る液晶光学素子10Fの斜視図である。
図34は、液晶光学素子10Fにおいて、第1の基板111―3上の第1の透明電極112-1、第1の基板111―4上の第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6の配置を示す平面図である。
図33及び
図34に示す形態は一例であって、第6実施形態に係る液晶光学素子10Fの形態は、
図33及び
図34に示す形態に限定されない。第6実施形態の説明では、第1実施形態~第5実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0138】
図33に示すように、液晶光学素子10Fは、第1の素子161及び第2の素子171を並べて構成された素子である。第1の素子161と第2の素子171とは、第1実施形態に係る液晶光学素子10の第1の領域160を構成する素子と第2の領域170を構成する素子に対応する。それ以外の構成は、第1実施形態に係る液晶光学素子10の第1の領域160を構成する素子と第2の領域170を構成する素子と同様であるから、ここでは、一例として、第1の液晶セル110-1の第1の基板111-3に形成される透明電極及び第1の液晶セル110-2の第1の基板111-4に形成される透明電極を説明し、その他の詳細な説明は省略する。
【0139】
第1の素子161は、例えば、第1の液晶セル110-1、第2の液晶セル120-1、第1の透明接着層130-1、第2の透明接着層140-1、及び第1の光学素子150-1を含む。第1の素子161は、例えば、第1の液晶セル110-2、第2の液晶セル120-2、第1の透明接着層130-2、第2の透明接着層140-2、及び第2の光学素子150-2を含む。
【0140】
図34に示すように、第1の素子161に設けられた第1の液晶セル110-1の第1の基板111-4は、第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6を含む。また、第5の透明電極112-5及び第6の透明電極112-6は、それぞれ、第1の基板111-1上に形成された第7の配線116-7及び第8の配線116-8と電気的に接続されている。
【0141】
第2の素子171に設けられた第1の液晶セル110-1の第1の基板111-3は、第1の透明電極112-1、及び第2の透明電極112-2を含む。また、第1の透明電極112-1及び第2の透明電極112-2は、それぞれ、第1の基板111-3上に形成された第1の配線116-1及び第2の配線116-2と電気的に接続されている。
【0142】
また、第1の基板111-1には、第5の配線116-5、第6の配線116-6、第11の配線116-11、及び第12の配線116-12が形成されている。第1の基板111-1が第2の基板(図示は省略)と貼り合わされると、第2の基板上に形成された第3の透明電極(図示は省略)、及び第4の透明電極(図示は省略)は、それぞれ、第1の基板111-1に設けられる第5の配線116-5及び第6の配線116-6と電気的に接続される。同様に、第2の基板上に形成された第7の透明電極(図示は省略)、及び第8の透明電極(図示は省略)は、それぞれ、第1の基板111-1に設けられる第11の配線116-11及び第12の配線116-12と電気的に接続される。
【0143】
第3の配線116-3と第5の配線116-5、第4の配線116-4と第6の配線116-6、第9の配線116-9と第11の配線116-11、及び第10の配線116-10と第12の配線116-12は、例えば、銀ペースト又は導電粒子を用いて、電気的に接続することができる。なお、導電粒子は金属を被覆した粒子を含む。
【0144】
第6実施形態に示すように、液晶光学素子10Fは第1の領域と第2の領域とを異なる素子で形成され、タイル状に並べられた形態を有する。液晶光学素子10Fでは、複数の素子をタイル状に並べて形成することができるため、拡散光又はスポット光を照射したい対象に合わせて、液晶光学素子10Fの大きさを適宜調整することができる。よって、第6実施形態に示す液晶光学素子10Fは汎用性に優れている。
【0145】
<第7実施形態>
第7実施形態では、本発明の照明装置30の形態について説明する。
図35は、本発明の第7実施形態に係る照明装置30の構成を示す模式図である。
図36は、本発明の第7実施形態に係る液晶光学素子10において、第1の基板111-1上の第1の透明電極112-1、第2の透明電極112-2、第5の透明電極112-5、及び第6の透明電極112-6の配置を示す平面図である。
図37は、本発明の第7実施形態に係る液晶光学素子10において、第2の基板111-2上の第3の透明電極112-3、第4の透明電極112-4、第7の透明電極112-7、及び第8の透明電極112-8の配置を示す平面図である。
図38は、本発明の第7実施形態に係る液晶光学素子10に含まれる各透明電極に供給する電圧を示すタイミングチャートである。
図35~
図38に示す照明装置30の形態は一例であって、第7実施形態に係る照明装置30の形態は、
図35~
図38に示す形態に限定されない。第7実施形態の説明では、第1実施形態~第6実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0146】
図35に示すように、照明装置30は、センサ400、制御回路410、光源210、及び液晶光学素子10を含む。液晶光学素子10及び光源210は第2実施形態と同様の光源を用いることができる。センサ400は制御回路410に電気的に接続される。制御回路410は光源210、及び液晶光学素子10に電気的に接続される。
【0147】
センサ400は、人体の温度を検知するセンサであり、例えば、赤外線センサである。センサ400は、例えば、センサ付近の人、椅子に座った人などを検知し、検知信号を制御回路410に出力する。
【0148】
制御回路410は、液晶光学素子10及び光源210を駆動する回路を含む。例えば、制御回路410は、センサ400から検知信号を受信すると、第1の液晶セル110(
図1)及び第2の液晶セル120に対し、フレキシブル配線基板(図示は省略)を介して液晶の配向状態を制御する制御信号を出力する。また、制御回路410は、センサ400から検知信号を受信すると、光源210に対し、フレキシブル配線基板(図示は省略)を介して光源210が有するLEDのON又はOFFを制御する制御信号を出力する。
【0149】
図36に示す第1の基板111-1は
図5に示す第1の基板111-1に対して、第2の透明電極112-2及び第6の透明電極112-6が第2の配線116-2に電気的に接続されている点、また、第8の配線116-8及び第12の配線116-12を有していない点において異なる。それ以外の構成は、
図5に示す第1の基板111-1と同様の構成であるから、ここでの説明は省略される。
【0150】
図37に示す第2の基板111-2は
図6に示す第2の基板111-2に対して、第4の透明電極112-4及び第8の透明電極112-8が第4の配線116-4に電気的に接続されている点、また、第10の配線116-10を有していない点において異なる。それ以外の構成は、
図6に示す第2の基板111-2と同様の構成であるから、ここでの説明は省略される。
【0151】
図38に示すように、第1の透明電極112-1、第3の透明電極112-3、第1の透明電極122-1、及び第3の透明電極122-3には、
図13に示す電位と同様の電位が供給される。第2の透明電極112-2、第4の透明電極112-4、第6の透明電極112-6、第8の透明電極112-8、第2の透明電極122-2、第4の透明電極122-4、第6の透明電極122-6、及び第8の透明電極122-8には、第3の電位が供給される。
【0152】
また、
図38に示すように、第5の透明電極112-5、第7の透明電極112-7、第5の透明電極122-5、及び第7の透明電極122-7には、
図20に示すタイミングチャートと比較して、第1の電位及び第2の電位(変動電位)のLow電位が8V、及びHigh電位が22V、すなわち、電位差が14Vである点、第2の電位の位相は、第1の電位の位相に対して反転している点において異なる。
【0153】
第7実施形態に係る液晶光学素子10では、第1実施形態に係る液晶光学素子10に対し、第2の透明電極112-2、第6の透明電極112-6、第4の透明電極112-4、第8の透明電極112-8、第2の透明電極122-2、第4の透明電極122-4、第6の透明電極122-6、及び第8の透明電極122-8をまとめて1つの電極から電位を供給するようにしている。その結果、第1実施形態に係る液晶光学素子10では4つの電極から電位を供給する構成を、第7実施形態に係る液晶光学素子10では3つの電極から電位を供給する構成となっている。
【0154】
第7実施形態に係る液晶光学素子10では、電位を供給する電極を低減することで、より簡単な構成で、第1の領域160と第2の領域170から出射される光の拡散度合いを制御することができる。
【0155】
<第8実施形態>
第8実施形態では、第7実施形態の変形例について説明する。
図35に示される照明装置30、
図36及び
図37に示される電極及び電極配置は、
図39に示される本発明の第8実施形態に係るタイミングチャートに基づき、動作することができる。
図39に示されるタイミングチャートは一例であって、第8実施形態に係るタイミングチャートは、
図39に示す形態に限定されない。第8実施形態の説明では、第1実施形態~第7実施形態と同様の説明を省略する場合がある。
【0156】
図39に示されるタイミングチャートでは、
図35に示される照明装置30の第1の期間における動作は、
図35に示される照明装置30の第2の期間と、異なる。
【0157】
第1の期間では、第1の透明電極112-1、第3の透明電極112-3、第1の透明電極122-1、第3の透明電極122-3、第5の透明電極112-5、第7の透明電極112-7、第5の透明電極122-5、第7の透明電極122-7、第2の透明電極112-2、第4の透明電極112-4、第6の透明電極112-6、第8の透明電極112-8、第2の透明電極122-2、第4の透明電極122-4、第6の透明電極122-6、及び第8の透明電極122-8には、
図38に示されるタイミングチャートで示される電位が供給される。
【0158】
第2の期間では、第1の透明電極112-1、第3の透明電極112-3、第1の透明電極122-1、及び第3の透明電極122-3には、第1の期間において、第5の透明電極112-5、第7の透明電極112-7、第5の透明電極122-5、及び第7の透明電極122-7に供給される電位が供給される。また、第2の期間では、第5の透明電極112-5、第7の透明電極112-7、第5の透明電極122-5、及び第7の透明電極122-7には、第1の期間において、第1の透明電極112-1、第3の透明電極112-3、第1の透明電極122-1、及び第3の透明電極122-3に供給される電位が供給される。さらに、第2の透明電極112-2、第4の透明電極112-4、第6の透明電極112-6、第8の透明電極112-8、第2の透明電極122-2、第4の透明電極122-4、第6の透明電極122-6、及び第8の透明電極122-8には、第1の期間において供給された電位が供給される。
【0159】
例えば、第1の期間において、ある人は第1の場所におり、第2の期間において、ある人は第1の場所から第2の場所に移動し、第2の場所にいるものとする。
【0160】
第1の期間において、センサ400は、第1の場所のある人を検知する。センサ400は、第1の場所のある人を検知した第1の検知信号を制御回路410に送信する。制御回路410は、第1の検知信号を受信し、第1の液晶セル110(
図1)及び第2の液晶セル120の各電極に対し、
図39の第1の期間に示される電位を供給する。また、制御回路410は、第1の検知信号を受信し、光源210に対し、フレキシブル配線基板(図示は省略)を介して光源210が有するLEDをONする制御信号を出力する。その結果、第1の期間において、センサ400は、第1の場所のある人を照らすことができる。
【0161】
続いて、第2の期間において、ある人は第1の場所から第2の場所に移動すると、センサ400は、第2の場所のある人を検知する。センサ400は、第2の場所のある人を検知した第2の検知信号を制御回路410に送信する。制御回路410は、第2の検知信号を受信し、第1の液晶セル110(
図1)及び第2の液晶セル120の各電極に対し、
図39の第2の期間に示される電位を供給する。また、制御回路410は、第2の検知信号を受信し、光源210に対し、フレキシブル配線基板(図示は省略)を介して光源210が有するLEDをONする制御信号を出力する。その結果、第2の期間において、センサ400は、第2の場所のある人を照らすことができる。
【0162】
第8実施形態に示される照明装置30は、センサ400を用いて人の移動を検知し、制御回路410を用いて、第1の領域160に含まれる各電極に供給する電圧と、第2の領域170に含まれる各電極に供給する電圧とを、制御することができる。具体的には、照明装置30は、制御回路410を用いて、人の移動に伴う第1の期間と第2の期間とで、第1の領域160に含まれる各電極に供給する電圧と、第2の領域170に含まれる各電極に供給する電圧とを変化させることができる。その結果、照明装置30では、センサ400が検知する人の移動に応じて、照射領域を移動させることができる。
【0163】
本発明の実施形態として上述した液晶光学素子の構成、照明装置の構成は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、液晶光学素子の構成、照明装置の構成を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0164】
また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0165】
10:液晶光学素子、10B:液晶光学素子、10C:液晶光学素子、10D:液晶光学素子、10E:液晶光学素子、10F:液晶光学素子、20:照明装置、20B:照明装置、20C:照明装置、20D:照明装置、20E:照明装置、30:照明装置、109-1:出射光、109-2:出射光、110:第1の液晶セル、110-1:第1の液晶セル、110-2:第1の液晶セル、111:第1の基板、111-1:第1の基板、111-2:第2の基板、111-3:第1の基板、111-4:第1の基板、112:透明電極、112-1:第1の透明電極、112-2:第2の透明電極、112-3:第3の透明電極、112-4:第4の透明電極、112-5:第5の透明電極、112-6:第6の透明電極、112-7:第7の透明電極、112-8:第8の透明電極、112-9:第9の透明電極、113:液晶層、114-1:第1の配向膜、114-2:第2の配向膜、115:シール材、116-1:第1の配線、116-10:第10の配線、116-11:第11の配線、116-12:第12の配線、116-2:第2の配線、116-3:第3の配線、116-4:第4の配線、116-5:第5の配線、116-6:第6の配線、116-7:第7の配線、116-8:第8の配線、116-9:第9の配線、117-1:第1の電極群、117-2:第2の電極群、117-3:第3の電極群、117-4:第4の電極群、120:第2の液晶セル、120-1:第2の液晶セル、120-2:第2の液晶セル、121:第2の基板、121-1:第1の基板、121-2:第2の基板、122:透明電極、122-1:第1の透明電極、122-2:第2の透明電極、122-3:第3の透明電極、122-4:第4の透明電極、122-5:第5の透明電極、122-6:第6の透明電極、122-7:第7の透明電極、122-8:第8の透明電極、123:液晶層、124-1:第1の配向膜、124-2:第2の配向膜、125:シール材、130:第1の透明接着層、130-1:第1の透明接着層、130-2:第1の透明接着層、140:第2の透明接着層、140-1:第2の透明接着層、140-2:第2の透明接着層、150:光学素子、150-1:第1の光学素子、150-2:第2の光学素子、150-3:第3の光学素子、150-4:第4の光学素子、150B:光学素子、150C:光学素子、151:線、160:第1の領域、161:第1の素子、170:第2の領域、171:第2の素子、180:入射光、190:出射光、190-1:出射光、190-2:出射光、190-3:出射光、190-4:光、210:光源、220:凸レンズ、230:反射器、240:フレネルレンズ、250:第3の領域、310:第1の偏光、320:第2の偏光、400:センサ、410:制御回路