(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/00 20060101AFI20240530BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20240530BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240530BHJP
C09D 1/00 20060101ALI20240530BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20240530BHJP
C01G 23/04 20060101ALI20240530BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20240530BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B60C11/00 E
B60C11/00 Z
B05D7/00 K
B05D7/24 301E
B05D7/24 303B
C09D1/00
C09D7/20
C01G23/04 C
C08L21/00
C08K3/22
(21)【出願番号】P 2020059548
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】509046572
【氏名又は名称】浜松ナノテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519046041
【氏名又は名称】鈴木茂行
(73)【特許権者】
【識別番号】519046052
【氏名又は名称】大工 裕貴
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】川上 友則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂資
(72)【発明者】
【氏名】大工 裕貴
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-173668(JP,A)
【文献】特開2015-000957(JP,A)
【文献】特開2019-019202(JP,A)
【文献】特開2018-021110(JP,A)
【文献】特開2011-144239(JP,A)
【文献】特表2008-522012(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105131381(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0011350(US,A1)
【文献】特開2018-021109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00
B60C 11/00
B05D 7/00
B05D 7/24
C09D 1/00
C01G 23/04
C08K 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも径がシングルナノレベルとなる金属酸化物を含有する分散液に含まれる当該金属酸化物を付着した接地面を有し、
前記分散液は、イソプロピルアルコール(IPA)と酸化チタンと水により構成された酸化チタン分散液であり、且つ、当該酸化チタン分散液において酸化チタンは0.01~1wt%の範囲で配合された分散液であ
り、
前記酸化チタン分散液の配合割合はIPA 4wt%、酸化チタン0.04wt%、水 95.96wt%である、ことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記金属酸化物の径は、3-8nmの範囲であり、
前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化アルミ、及び酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
少なくとも前記請求項1記載の分散液をタイヤの表面に均一に塗工する工程を含む、ことを特徴とするタイヤの塗工方法。
【請求項4】
前記分散液は、タイヤの表面上に噴霧又は塗布される、ことを特徴とする請求項
3記載のタイヤの塗工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに使用されるタイヤに関し、特にグリップ性能や抵抗性能を向上させたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行時における高い燃費性能や走行安定性を追求した高性能タイヤが開発されている。例えば、タイヤの転がり抵抗を低減させて燃費性能を向上させると同時に、高いグリップ性能を確保した低燃費タイヤ(エコタイヤ)が多くのタイヤメーカから販売されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、タイヤの使用時におけるクリップ性を高めるために、ゴム成分に対し炭素繊維、例えば繊維径5~40nm、アスペクト比150以上、及びグラファイト化度8以上であるカーボンナノファイバーを含有するゴム組成物を用いたタイヤが開示されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、タイヤ重量の増大化を伴うこともなく、高耐久性化を実現し、高速走行時に高い操縦安定性が要求される高性能タイヤとして優れた性能を発揮するセルロース繊維からなるカーカスコードを使用した空気入りラジアルタイヤも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5495413号公報
【文献】特開2006-8494号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】“低燃費タイヤ(エコタイヤ)とは”[令和2年3月7日検索]、インターネット<URL:https://tyre.dunlop.co.jp/tyre/products/base/eco.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、タイヤの転がり抵抗性能やグリップ性能を向上する技術に関しては未だに発展途上であり、改善の余地があることは疑いのない事実である。
【0007】
また、上記特許文献に開示されるタイヤは、製造工程において、非常に高価で大掛かりな装置や多くのプロセスが必要となり手間や製造コストを要するという問題がある。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、大掛かりな装置や多数の工程を要せずに転がり抵抗性能やグリップ性能を向上させたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係るタイヤは、少なくとも径がシングルナノレベルとなる金属酸化物を含有する分散液に含まれる当該金属酸化物を付着した接地面を有し、前記分散液は、イソプロピルアルコール(IPA)と酸化チタンと水により構成された酸化チタン分散液であり、且つ、当該酸化チタン分散液において酸化チタンは0.01~1wt%の範囲で配合された分散液であり、前記酸化チタン分散液の配合割合はIPA 4wt%、酸化チタン0.04wt%、水 95.96wt%であることを特徴とする。
【0010】
このタイヤにおいて、前記金属酸化物の径は、3-8nmの範囲であり、前記金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化アルミ、及び酸化ジルコニウムの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係るタイヤの塗工方法では、少なくとも前記分散液をタイヤの表面に均一に塗工する工程を含むことを特徴とする。
【0015】
また、このタイヤの塗工方法において、前記分散液は、タイヤの表面上に噴霧又は塗布されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタイヤは、少なくとも径がシングルナノレベルとなる金属酸化物を含有する分散液を用いて、当該金属酸化物をその表面に付着させた。この構成により、本願発明に係るタイヤでは、大掛かりな装置や多数の工程を要せずに、転がり抵抗性能やグリップ性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係るタイヤの塗工手順を示すフローチャートである。
【
図2】(a)及び(b)同上タイヤの被膜過程の模式図である。
【
図3】ナノレベルの酸化チタン粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)の写真図である。
【
図5】(a)比較例1における電流計の値を示す写真図、(b)実施例1における電流計の値を示す写真図である。
【
図6】(a)比較例2における電流計の値を示す写真図、(b)実施例2における電流計の値を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るタイヤについて
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、本発明に使用するナノ分散液は、自動車や自転車などの乗り物用のタイヤに限定されず、表面の抵抗性能やグリップ性能を改善する必要性がある様々な材料に適用できる。
【0019】
本実施の形態に係るタイヤは、少なくとも径(平均径)がシングルナノレベルとなる金属酸化物を含有する分散液を用いて、当該金属酸化物をその表面に付着させたものである。ここで、シングルナノレベルとは径が10nm未満のナノ粒子の意味であり、より好ましくは、ナノ粒子の径のサイズは3-8nmの範囲となる。
【0020】
金属酸化物のナノ粒子がタイヤに付着する際に働く力はファンデルワールス力(分子間力)であり、このファンデルワールス力の大きさは分子間の距離の6乗に逆比例し、各分子の分極率に比例することが一般的に知られている。タイヤの表面に付着した金属酸化物の径がナノ粒子の内でもシングルナノレベルの金属酸化物の場合には、分子間の距離が非常に小さく、ファンデルワールス力は極めて高くなる。その結果、一旦金属酸化物がタイヤ表面に付着するとタイヤのゴムが摩耗するまで永久にタイヤ表面に付着し続ける。このために、分散液とタイヤとの間に接着層となるバインダーは不要である。
【0021】
金属酸化物は、耐熱性、強度、軽さやコストの面からも好ましくは酸化チタン(二酸化チタンTiO2)が用いられるがこれに限定されるものではない。その他、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化アルミ、及び酸化ジルコニウムであり、これらを混在させて使用することもできる。
【0022】
分散液が塗工されるタイヤは、主として低燃費タイヤ(エコタイヤ)など転がり抵抗性能が良く摩擦ロスの少なく、且つ耐摩耗性の高いゴム組成物を用いたタイヤであるが、これに限定されるものではなく、タイヤ全般に適用可能である。
【0023】
分散液は、例えばイソプロピルアルコール(IPA)と酸化チタンと水により構成された酸化チタン溶剤であり、酸化チタン溶剤において酸化チタンは0.01~1wt%の範囲で配合されることが好ましい。というのも、酸化チタンの配合割合が多くなるとナノ粒子が凝集する傾向があり、タイヤ表面に均一に塗工するためには上記範囲が好ましい。また、酸化チタン溶剤における溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)に限定されるものではなく、エタノールなどタイヤ表面にスプレーなどで噴霧された際にタイヤ表面で拡散し易いような低粘性を有し、且つ低沸点で常温で揮発性のある溶媒が好ましい。
【0024】
酸化チタン溶剤には、例えば出願人の関連する浜松ナノテクノロジー社が製造販売する「TiO2-A-1」を用いることができる。この酸化チタン溶剤は、イソプロピルアルコール(IPA)と酸化チタンと水により構成され、配合割合はIPA 4wt%、酸化チタン0.04wt%、水 95.96wt%であり、人体に害はない。酸化チタンの径は、2~3nm(すなわち3nm以下)の超微粒子であり、タイヤのグリップ性能を向上させるのみでなく、太陽光などの光を吸収し、強い光触媒作用を発揮できる。かび、細菌などの微生物やウィルスは、酸化チタンの粒子表面で酸化され、死滅もしくは失活する。
【0025】
次に、本実施の形態に係るタイヤへの分散液の塗工方法の手順に関して
図1に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0026】
最初に、未使用のタイヤや、使用済のタイヤ表面を洗浄してタイヤ表面に付着した油汚れや塵埃を落とし(S11)、タイヤ表面を剥き出しの状態にする。
【0027】
次に、酸化チタン(TiO2)を含有する酸化チタン溶剤をタイヤ表面に塗工して、酸化チタン膜をタイヤ表面上に形成する酸化チタン膜形成ステップ(S12)となる。すなわち、タイヤ表面上に、酸化チタンの膜が形成するために、酸化チタン溶剤(ナノ分散液)をスプレーやエアコンプレッサーを用いたエアガンで微細な噴霧としてタイヤ表面上に塗工する。すると、溶液に使用しているイソプロピルアルコールの作用もあり、空気に触れるとすぐに乾燥して、タイヤ表面に酸化チタンの施工面が完成する。なお、タイヤ表面上に適量の分散液を刷毛などで塗布又は超音波を利用した霧化を利用して膜形成しても良い。また、装置を用いる場合には、気相法では化学気相蒸着法(CVD法:chemical vapor deposition)や物理蒸着法(PVD法:physical vapor deposition)、液相法ではゾル―ゲル法によるデイップコーティング法やスピンコーティング法を用いても良い。
【0028】
さらに、タイヤ表面に形成される酸化チタンの被膜のむらを防止するため、例えば出願人の静電塗布方法を用いた薄膜形成方法(特願2013-211366号公報)を利用することもできる。
【0029】
次に、本実施の形態に係るタイヤ表面の被膜過程を
図2を参照しながら説明する。
図2(a)に示すように、タイヤ表面21には実際には非常に多くの凹凸が形成されている。この凹凸の存在が、タイヤの転がり抵抗性能やグリップ性能に寄与している。
【0030】
そして、
図2(b)に示すように、タイヤ表面21に酸化チタン溶剤を薄く噴霧して溶媒が乾燥することにより、タイヤ表面21の上に均一的に分散された酸化チタン粒子22の被膜が形成される。ここで、タイヤ表面21とシングルナノレベルの酸化チタン粒子22とは、極めて大きな分子間力で引き合うために酸化チタン22がタイヤ表面21上に一旦担持されるとその状態が保たれることとなる。このように、酸化チタン粒子22がタイヤ表面21に整然と分散されてタイヤ表面21の凹凸を修復する。その結果、タイヤ表面21の扁平率が増し、且つ地面とタイヤとの間にある酸化チタン粒子22の存在によりタイヤと地面との間に生じる摩擦を減らし(摩擦抵抗が低下し)、直進走行時には転がり抵抗が低くなって燃費性能が向上する。一方、カーブ走行の際には、タイヤ表面21に分散された酸化チタン粒子22が、タイヤと地面との間で楔のような役目を果たし、タイヤのグリップ力は向上する。すなわち、本実施の形態に係るタイヤでは、転がり抵抗の低減及びグリップ性能の向上という相反する性能を同時に改善できる。
【0031】
図3は、シングルナノサイズ(3-10nm)の酸化チタン粒子31の分散状態を示した透過型電子顕微鏡(TEM)の写真図である。タイヤ表面に塗工された酸化チタン粒子はこのうようにタイヤ表面に均一に付着している。
【0032】
<比較試験>
次に、本実施の形態に係るタイヤを用いた実施例と、従来例のエコタイヤとの比較試験を行った。なお、以下の比較試験は、本実施の形態に係るタイヤを使用した場合、従来例に比較して直進走行時の転がり抵抗、及びカーブ走行でのグリップ性能の向上効果があるかを判断するための試験である。
【0033】
比較試験は
図4に示す装置を使用した。テストタイヤ41には、エコランタイヤ(アイアールシー製のBMX27 エコラン HE20×1.75タイヤ)を用いて実験を行った。テストタイヤ41の下方に模擬走行面用のホイール42を設けて、上方には25kgの重り43を用いて負荷を加えた。このホイール42には駆動モータ(パナソニック製のエコハイ用モーター DC12V、70W、定格回転数1200rpm)44及び回転数センサー(株式会社キャットアイ製のMITY3 CC-MT300)45が接続され、この駆動モータ44には定電圧電源(メトロニクス製の安定化電源MODEL PSS35-10)46から電流が付与される。駆動モータ44及び定電圧電源46の間には電流計(アーテック製のヒューズ付き直流電流計8640)47が接続され、回転数センサー45で検出された回転数を一定数に維持するために必要な電流値が電流計47で計測される。
【0034】
本試験では、走行抵抗の変化を電流値の変化値として検出する。すなわち、走行抵抗は同じ回転数で定電圧出力(本実験において5Vに固定した)である場合、電流計47で観測された電流値(電力値)に比例するため、同じ回転数で電流値が大きいほど走行抵抗が大きく、電流値が小さいほど走行抵抗が小さい。
【0035】
最初に、直進走行時における比較試験では、(1)一定速度(24-25km/hr)でテストタイヤ41が回転するように回転数センサー45をモニターして、定電圧電源46の電流値を調整、(2)所定の回転数になったときに電流計47における電流値をモニター(比較例1)、(3)同じタイヤに対してシングルナノサイズの酸化チタンを含むナノ分散液(上述の「TiO2-A-1」を使用)を塗工・乾燥させた後、同じ回転数になった時の電流値を測定(実施例1)し、走行に必要な電力を評価する。なお、この時の電流計47のモニター写真を
図5に示しており、
図5(a)の写真51は比較例1の場合、
図5(b)の写真52は実施例1の場合を示しており、試験時の室温はおおよそ17.5℃であった。
【0036】
一方、カーブ走行時における比較試験では、走行角度調整部48であるテストタイヤの支柱の設置角度を5度に調整した後に、(1)一定速度でテストタイヤが回転するように回転数センサー45をモニターして、定電圧電源46の電流値を調整、(2)所定の回転数になったときに電流計47における電流値をモニター(比較例2)、(3)同じタイヤに分散液(上述の「TiO2-A-1」を使用)を付着させた後、同じ回転数になった時の電流値を測定(実施例2)し、走行に必要な電力の増減を評価する。なお、この時の電流計47のモニター写真を
図6に示しており、
図6(a)の写真61は比較例2の場合、
図6(b)の写真62は実施例2の場合を示している。
【0037】
・電流値の測定
実施例1,2、及び比較例1,2の電流値を電流計47によりそれぞれ測定し、表1にまとめた。
【0038】
【0039】
この実験の結果、低負荷(直進走行)の場合に、比較例1の電流値(1.7-1.8A)より実施例1の電流値(1.6-1.7A)が低くなり、走行抵抗が減少していることが分かった。中間値では1.65/1.75=約95%となり、実施例1では従来例1に比較して5%程度の走行抵抗(摩擦抵抗)が減少したことが分かる。
【0040】
一方、高負荷(カーブ走行)の場合には、比較例2の電流値(2.75-2.8A)より実施例2の電流値(2.8-2.85A)が高くなり走行抵抗が増加したことが分かった。中間値では2.775/2.825=98%となり、実施例2では従来例2に比較して2%程度の走行抵抗(グリップ力)が増加した。この比較試験の結果、本願実施の形態に係るタイヤは、従来のタイヤと比較して転がり抵抗性能、及びグリップ性能という相反する性能を同時に改善できることが分かった。
【0041】
以上の説明のように、本実施の形態に係るタイヤは、少なくとも径がシングルナノレベル(好ましくは3-8nm)となる金属酸化物を含有する分散液を用いて、金属酸化物をその表面(ゴム表面)に付着させたものである。この構成により、本実施の形態に係るタイヤは、特に大掛かりな装置や多数の工程を要せずに、簡易且つ安全に、従来のタイヤと比較して転がり抵抗性能やグリップ性能を向上できる。
【0042】
(実施の形態2) 以下、本発明に係るタイヤの実施の形態2に関して説明する。本実施の形態2に係るタイヤは、ゴム成分に対して、所定割合で上述の実施の形態1に記載したナノ分散液を含有させたゴム生成物を用いる。例えば、ゴム成分100重量%に対して、酸化チタンのナノ粒子成分が0.001~10wt%の割合で加える。ゴム成分は、例えば、天然ゴム、汎用合成ゴム、例えば、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム等の一般に用いられているゴム成分であれば良い。また、タイヤの製造時にはその他の必要な充填剤を加えても構わない。この場合においても、従来のタイヤと比較して転がり抵抗性能、及びグリップ性能という相反する性能を同時に改善できる。
【0043】
なお、本発明は、上記の実施の形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、ナノ分散液はタイヤ以外の表面に使用することもできる。また、同様の作用効果を奏する場合には、その他の工程を加え得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
21 タイヤ表面
22 酸化チタン粒子