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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】登高器
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/74 20060101AFI20240530BHJP
   B66D 1/16 20060101ALI20240530BHJP
   B66D 5/16 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B66D1/74 D
B66D1/16 B
B66D5/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023075355
(22)【出願日】2023-04-30
【審査請求日】2023-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513102073
【氏名又は名称】有限会社ケンテックシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】小倉 健二
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-019638(JP,A)
【文献】特開2013-066946(JP,A)
【文献】特開2019-058970(JP,A)
【文献】実開平04-042193(JP,U)
【文献】特開2010-046209(JP,A)
【文献】特開2013-144608(JP,A)
【文献】実開平02-079391(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 1/74
B66D 1/16
B66D 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式電動工具により駆動可能な入力軸と、ロープを巻き掛け可能なプーリと結合された出力軸を有し、入力軸に加えられた正回転を減速して出力軸に伝達する差動減速式の減速手段と、を備えた登高器であって、
入力軸に着脱自在または着脱不能に装着されて、入力軸の正回転を許容し、逆回転を制限するためのワンウエイクラッチ部と、
入力軸の軸周りへのワンウエイクラッチ部の回転を拘束したり、解除したりする回転拘束・解除部と、
を備え、
回転拘束・解除部は、
ワンウエイクラッチ部に対し、ブレーキを掛けることで回転を拘束し、ブレーキを解除することで回転拘束を解除するブレーキ機構からなり、
ブレーキ機構は、
ワンウエイクラッチ部に固定されたブレーキドラム部と、
ブレーキドラム部の外周に沿って設けられたブレーキバンド部と、
ブレーキバンド部を常時はブレーキドラム部に押圧付勢し、押圧解放操作を受けて押圧を解放する押圧・解放部と、
を含むこと、
を特徴とする登高器。
【請求項2】
押圧・解放部は、
ユーザが押圧解放操作を行なう操作部を含むこと、
を特徴とする請求項記載の登高器。
【請求項3】
押圧・解放部は、
プーリの出口側ロープを掴んで掛合し、下方へ押し下げることで押圧解放操作可能な操作部を備えたこと、
を特徴とする請求項記載の登高器。
【請求項4】
回転式電動工具により駆動可能な入力軸と、ロープを巻き掛け可能なプーリと結合された出力軸を有し、入力軸に加えられた正回転を減速して出力軸に伝達する差動減速式の減速手段と、を備えた登高器であって、
入力軸に着脱自在または着脱不能に装着されて、入力軸の正回転を許容し、逆回転を制限するためのワンウエイクラッチ部と、
入力軸の軸周りへのワンウエイクラッチ部の回転を拘束したり、解除したりする回転拘束・解除部と、
を備えるとともに、
回転式電動工具に装着した駆動軸を入力軸に連結させて駆動するようにし、
駆動軸に、正回転力を入力軸に伝達し、逆回転力は伝達しない第2のワンウエイクラッチ部を装備し、
回転拘束・解除部は、
ワンウエイクラッチ部に対し、ブレーキを掛けることで回転を拘束し、ブレーキを解除することで回転拘束を解除するブレーキ機構からなり、
ブレーキ機構は、
ワンウエイクラッチ部に固定されたブレーキドラム部と、
ブレーキドラム部の外周に沿って設けられたブレーキバンド部と、
ブレーキバンド部を常時はブレーキドラム部に押圧付勢し、押圧解放操作を受けて押圧を解放する押圧・解放部と、
を含むこと、
を特徴とする登高器。
【請求項5】
押圧・解放部は、
ユーザが押圧解放操作を行なう操作部を含むこと、
を特徴とする請求項記載の登高器。
【請求項6】
押圧・解放部は、
プーリの出口側ロープを掴んで掛合し、下方へ押し下げることで押圧解放操作可能な操作部を備えたこと、
を特徴とする請求項記載の登高器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は登高器に係り、とくに動力を用いた登高器に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は先に、電動ドライバなどの携帯式の回転式電動工具を用いて登高を可能にした登高器を発明した(特許第6507463号公報)。この登高器は、小型で場所を採らず、商用電源の設備が無い場所での使用を可能としたものである。
【0003】
具体的には例えば特許第6507463号公報の図23乃至図26に示す例では、本願に添付した図1乃至図4の登高器100の如く、回転式電動工具の一例としての充電式電動ドライバ600のチャック601に装着した駆動軸602(駆動用先端工具、図8参照)を着脱自在に連結可能な入力軸1と、ロープ2を着脱自在に巻き掛け可能なプーリ3と結合された出力軸4を有し、入力軸1に加えられた回転を減速して出力軸4に伝達する差動減速式の減速装置5と、減速装置5の前面が装着された支持体6と、支持体6の前面上端部に設けられて、支持体6の前側に配置されたプーリ3に巻き掛けられるロープ2の入口と出口を形成する入口部7及び出口部8を含むロープ出入口部9と、支持体6の前面に設けられて、ロープ2の入口側が外側に引き出されるのを制限するカム式の制限手段300と、支持体6の下部に設けられて他のロープ類やカラビナ等を取り付けるための取付孔11と、支持体6の右上の前後両面に設けられてロープ2の出口側を巻き掛けて掛け止め可能とする掛け止め部12、13と、支持体6の前面下部に軸支されて、プーリ3の前面及び側面を開閉自在に囲むプーリカバー14と、支持体6の背面に装着されて減速装置5の側面及び背面を覆う密閉ケース15と、を備えたものである。減速装置5と密閉ケース15により、減速手段50が構成されている(なお図1には制限手段300は省略してある)。
【0004】
密閉ケース15の背面の中央には、駆動軸602を挿脱可能な開口16が形成されている。入力軸1は円柱状の軸孔17にキー溝18が設けられており、図8に示す如く、充電式電動ドライバ600のチャック601にキー部603付の円柱状の駆動軸602を取り付け、キー部603をキー溝18に嵌合しながら軸孔17に駆動軸602を差し込んで連結し、充電式電動ドライバ600を駆動することで、入力軸1を回転可能となっている。出力軸4は支持体6の開口(図示せず)から正面側に突出しており、端部にプーリ3が結合されている。
【0005】
減速装置5は、サイクロイド減速機構またはトロコイド減速機構による減速比の大きい差動減速機構を内蔵し、入力軸1の回転を減速して出力軸4に伝達する。ここでは一例として減速装置5は、入力軸1と出力軸4が反対方向に回転するタイプとし、ロープ牽引装置の正面側から見て、入力軸1が時計方向に回転し、出力軸4が反時計方向に回転する方向を正回転方向とする。減速装置5には、例えば入出力軸が同軸な転動ボール式減速機、ピン式サイクロ減速機などを用いることができる。
【0006】
カム式の制限手段300は、支持体6の正面側右上部で、出口部8とプーリ3と掛け止め部12の間に装着されている。制限手段300の内、301は支持体6の正面側の右上部に装着された支持プレートであり、右側部がU字状に折り曲げられて内側に回動軸304が回転自在に装着された折り曲げ部305となっている。回動軸304には外周部306に多数の歯307が突設されたカム308の基端部が嵌着されている。カム308は回動軸304を回動中心として後述するロープ当接部のロープ溝に通されたロープに対し接近する方向と、離間する方向に回動可能となっている(図3の矢印M、N参照)。回動軸304とカム308の間には、カム308を常時、図2図3の反時計方向へ付勢するゼンマイバネ(図示せず)が介装されている。
【0007】
カム308の真ん中近くに回動軸309が回転自在に装着されており、この回動軸309にL字状の解除操作部材310の基端部が嵌着されている。解除操作部材310の角部には支持体6の前方へ突出した円柱状の操作突起311が装着されており、操作突起311を指で操作することで回動軸309を中心として解除操作部材310を回動自在になっている(図3の矢印O、Q参照)。解除操作部材310の先端側はJ字状に折曲されて支持プレート301の折り曲げ部305の外側に係脱自在に係合する係合部312となっている。回動軸309と解除操作部材310の間には、解除操作部材310を常時、図2図3の時計方向へ付勢するゼンマイバネ(図示せず)が介装されている。
【0008】
プーリ3に巻きかけられるロープ2の入り口側と出口側を左右に分離する分離部40は図3の右側が斜め下方向へ鷲鼻状に延設されてプーリ3のH字溝31(図6参照)の中に遊挿されたロープ当接部45となっており、ロープ当接部45の外側面側に断面が円弧状のロープ溝46が形成されている。プーリカバー14は、図2の右上部分の側面に開口140が形成されており、カム308と解除操作部材310が回動してもプーリカバー14と干渉しないようになっている。
【0009】
図1乃至図4の如く構成された登高器を例えば、建物外壁に沿った登高に用いる場合のロープ装填方法を説明すると、予め、図5に示す如くロープ2の一端側を建物400の屋上のパラペット401に固定して支点確保し、他端側を地上に垂らしておく。
地上のハーネス(図示せず)を装着したユーザUはまず制限手段300の操作突起311を指で操作し、カム308の回動と解除操作部材310の回動を平行して行い、図6の如く係合部312を折り曲げ部305の外側に係合しておく。プーリカバー14を開いてロープ2の一端側を入口部7のロープ挿通溝20に挿入し、分離部40の左側を通してプーリ3に一周弱巻き掛け、分離部40のロープ案内部45のロープ溝46に嵌め、出口部8のロープ挿通溝21に挿入したのち(図6参照)、掛け止め部12、13に巻き掛けて掛け止める。
【0010】
そしてプーリカバー14を閉じるとともに、解除操作部材310の操作突起311を指で操作し、係合部312の係合を外し、カム308の回動と解除操作部材310の回動を平行して行い、カム308をロープ109に接近させて指を離す。カム308はゼンマイバネにより外周部307がロープ方向に回動付勢されてロープ2をロープ当接部45に押接する(図7参照)。ロープ2にプーリ3のロープ出口近く(ロープ溝46の入口近く)から出口部8に向かう方向(図7の矢印T参照)の力が掛かっているとき、カム308に時計方向の外力が加わるが、外周部307がロープ溝46に嵌ったロープ110から離間する方向なのでカム308は容易に時計方向へ回動し、出口側ロープ2aの出口部8から外側方向への移動が許容される。反対に、ロープ2に入口部7から上方へ引っ張る方向(図7の矢印U参照)の力が掛かったとき、カム308に反時計方向の外力が加わるが、外周部307がロープ溝46に嵌ったロープ2に接近する方向なのでカム308は外周部307がロープ2に食い込んで移動を制限する(ロープ2がカム308とロープ当接部45の間に挟持される)。
【0011】
ユーザUが自身に装着したハーネスと登高器100の取付孔11をスリング402(またはカラビナ等(図示せず))で連結したあと、ロープ2を牽引して登高を開始するため、巻き掛け部12、13から出口側ロープ2aを外し、図8に示す如く、充電式電動ドライバ600のチャック601に装着した駆動軸602を入力軸1に連結し、充電式電動ドライバ600を稼働して正回転させると、減速装置5により減速されてプーリ3が正回転し、このとき制限手段300がロープ2の移動を許容している方向なので、ロープ2は円滑に牽引されて登高器100が上昇するとともに、ロープ402に吊り下げられたユーザUは建物400の外壁に沿って登高できる。
【0012】
ロープ2の牽引を停止して、登高を止めたい場合、充電式電動ドライバ600による入力軸1の稼働を停止する。するとユーザUの荷重が掛った入口側ロープ2bに張力が生じてプーリ3、減速装置5、入力軸1、駆動軸602、充電式電動ドライバ600に逆回転力が生じる。
ロープ当接部45のロープ溝46に嵌った出口側ロープ2aはプーリ3の方向へ引っ張られて少し引き戻され、カム308に反時計方向の外力が加わるが、外周部307がロープ2に接近する方向なのでカム308はロープ2に食い込んで移動を制限する。従って、ロープ2は移動が止まる。
【0013】
入口側ロープ2bが図7の上方へ引っ張られた状態で、降下したい場合、出口側ロープ2aを掛け止め部12、13に巻き掛けて掛け止めておき、図9に示す如く、入力軸1に、キー部91付の駆動軸92を有する手動式回転工具90を結合して正回転し、ロープ2に対するカム308の食い込みをゆるめ、制限手段300の操作突起311を指で操作し、カム308の回動と解除操作部材310の回動を平行して行い、図6の如く係合部312を折り曲げ部305の外側に係合する。そして、掛け止め部12、13から外した出口側ロープ2aを把持する把持力を弱めると、登高器100に掛かる下向き荷重による入口側ロープ2bの引っ張り力でプーリ3と減速装置5が逆回転し、出口側ロープ2aが入口側へ引き戻されて、降下していく。この際、差動減速式の減速装置5により、緩行動作を行わせることができる。
【0014】
ところで、ロープ牽引途中で、充電式電動ドライバ600の駆動を止めたとき、登高器100に掛かっている荷重により、ロープ2に出口側から入り口側へ向かう大きな引っ張り力が掛かり、カム式の制限手段300が働いてロープ2の移動を完全に止めるまでの間、プーリ3、減速装置5、入力軸1、駆動軸602に大きな逆回転力が生じる。この駆動軸602に掛かる過大な逆回転負荷により充電式電動ドライバ600の内部構造が損壊してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特許第6507463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みなされたもので、登高中に回転式電動工具の稼働を止めたときに、回転式電動工具に逆回転力が伝達されて損壊するのを防止できる登高器
を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1記載の発明は、
回転式電動工具により駆動可能な入力軸と、ロープを巻き掛け可能なプーリと結合された出力軸を有し、入力軸に加えられた正回転を減速して出力軸に伝達する差動減速式の減速手段と、を備えた登高器であって、
入力軸に着脱自在または着脱不能に装着されて、入力軸の正回転を許容し、逆回転を制限するためのワンウエイクラッチ部と、
入力軸の軸周りへのワンウエイクラッチ部の回転を拘束したり、解除したりする回転拘束・解除部と、
を備え、
回転拘束・解除部は、
ワンウエイクラッチ部に対し、ブレーキを掛けることで回転を拘束し、ブレーキを解除することで回転拘束を解除するブレーキ機構からなり、
ブレーキ機構は、
ワンウエイクラッチ部に固定されたブレーキドラム部と、
ブレーキドラム部の外周に沿って設けられたブレーキバンド部と、
ブレーキバンド部を常時はブレーキドラム部に押圧付勢し、押圧解放操作を受けて押圧を解放する押圧・解放部と、
を含むこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明は、
回転式電動工具に装着した駆動軸を入力軸に連結させて駆動するようにし、
駆動軸に、正回転力を入力軸に伝達し、逆回転力は伝達しない第2のワンウエイクラッチ部を装備したこと、
を特徴としている。
請求項2または5記載の発明は、
押圧・解放部は、
ユーザが押圧解放操作を行なう操作部を含むこと、
を特徴としている。
請求項3または6記載の発明は、
押圧・解放部は、
プーリの出口側ロープを掴んで掛合し、下方へ押し下げることで押圧解放操作可能な操作部を備えたこと、
を特徴としてる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、登高する際、入力軸に装備したワンウエイクラッチ部の入力軸周りの回転を拘束した状態とし、回転式電動工具により入力軸を正回転駆動すると、ワンウエイクラッチ部が入力軸の回転を拘束することなく、回転式電動工具の回転力が入力軸に伝達されて、減速手段で減速後、プーリが正回転する。この結果、ロープがプーリの入口側から出口側に移動し、登高器と一緒にユーザの体が持ち上げられていき、ロープに沿って登高が可能となる。
登高を止めたい場合、回転式電動工具の稼働を停止する。ユーザの体重が掛かった入り口側ロープに生じる張力により、プーリ、減速手段、入力軸に逆回転力が生じる。ワンウエイクラッチ部は、入力軸の逆回転力を受けて自身が軸周りに回転しようとするが、自身の入力軸周りの回転が拘束されているため、ワンウエイクラッチ機能が働いて、プーリ、減速手段、入力軸の逆回転が阻止される。この結果、回転式電動工具には逆回転力は伝わらず、損壊するのを防止できる。
下降したい場合は、入力軸から回転式電動工具を外し、ワンウエイクラッチ部のワンウエイクラッチ部の入力軸周りの回転拘束を解除する。ユーザの体重が掛かった入り口側ロープに生じる張力により、プーリを介して減速手段の入力軸に伝達される逆回転力でワンウエイクラッチ部自体が入力軸と一緒に回転する。この結果、ワンウエイクラッチ機能が働かず、入力軸の逆回転は阻止されず、プーリ、減速手段の逆回転が可能となり、ロープがプーリの出口側から入口側に移動して下降可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の登高器の一例を示す一部省略した外観斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の一部省略した正面図である。
図4図1の背面図である。
図5図1の使用方法の説明図である。
図6図1の制限手段の動作説明図である。
図7図1の制限手段の動作説明図である。
図8図8(1)は登高器を駆動する充電式電動ドライバの説明図、(2)は(1)のA-A線に沿った断面図である。
図9図9(1)は登高器を駆動する手動式回転工具の説明図、(2)は(1)のB-B線に沿った断面図である。
図10図10は、本発明の一実施例に係る動力式の登高器の背面図である。
図11図10の一部破断及び省略した側面図である。
図12図10の正面図である。
図13】本発明の一実施例に係る登高器の使用方法の説明図である。
図14】本発明の一実施例に係る登高器の使用方法の説明図である。
図15】本発明の一実施例に係る登高器の使用方法の説明図である。
図16】本発明の変形例に係る登高器の背面図である。
図17】本発明の他の変形例に係る充電式電動ドライバと登高器の説明図である。
図18】本発明の更に他の変形例に係る登高器の背面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0021】
以下、図10乃至図12を参照して本発明の一実施例を説明する。図10は、本発明の一実施例に係る動力式の登高器の背面図、図11図10の一部破断及び省略した側面図、図12図10の正面図である。
これらの図10において、100Aは本実施例に係る動力式の登高器であり、この内、1Aは、減速手段50Aの入力軸であり、密閉ケース15Aに穿設された軸孔400を通して外部に延設されている。401は入力軸1Aに着脱不能に固定して外周に装着されて、入力軸1Aの正回転を許容し、逆回転を制限するためのワンウエイクラッチ部である。なお、ワンウエイクラッチ部401を入力軸1Aに対し着脱自在に固定して装着可能としても良い。
402は密閉ケース15Aの背面側に設けられて、入力軸1Aの軸周りへのワンウエイクラッチ部401の回転を拘束したり、回転拘束を解除したりする回転拘束・解除部である。この回転拘束・解除部402はワンウエイクラッチ部401自体の入力軸1Aの軸周りの回転を拘束することにより、ワンウエイクラッチ部401に本来のワンウエイクラッチ機能を発揮させて、入力軸1Aの正回転を許容させるとともに逆回転を制限させる。反対に、ワンウエイクラッチ部401自体の入力軸1Aの軸周りの回転拘束を解除することにより、ワンウエイクラッチ部401に入力軸1Aを通じて逆回転の外力が加わると、ワンウエイクラッチ部401自体が入力軸1Aの軸周りに入力軸1Aと一緒に回転することで、ワンウエイクラッチ部401の本来の機能を発揮できなくし、入力軸1Aの逆回転を制限しないようにさせる。
【0022】
回転拘束・解除部402は例えば、ワンウエイクラッチ部401に対し、ブレーキを掛けることで入力軸1Aの軸周りの回転を拘束し、ブレーキを解除することで回転拘束を解除するブレーキ機構により構成することができる。このブレーキ機構には、バンドブレーキ機構、ドラムブレーキ機構、電磁ブレーキ機構などを用いることができ、この実施例では一例としてバンドブレーキ機構により構成した例を説明する。
具体的には、回転拘束・解除部402は、ワンウエイクラッチ部401に固定して同軸上に装着された円盤形のブレーキドラム部403と、ブレーキドラム部403の外周に沿って配設されたブレーキバンド部404と、ブレーキバンド部404を常時はブレーキドラム部403に押圧付勢し、回転拘束の解除操作を受けて押圧を解放する押圧・解放部405と、密閉ケース15Aの背面側に設けられてブレーキバンド部404と押圧・解放部405を支持する皿形のブレーキケース406とからなる。ブレーキケース406はブレーキドラム部403及びブレーキバンド部404の外周側を覆って保護する。なお、図10ではブレーキケース406は軸方向外側に開口しているが、開口に蓋を被せても良い。
【0023】
ブレーキバンド部404は、ブレーキドラム部403の外周に沿って中心角300度近くの部分円環状(略馬蹄形)に湾曲させて設けられたブレーキバンド支持板407と、ブレーキバンド支持板407の内周に固着された部分円環状(略馬蹄形)のブレーキバンド408からなる。ブレーキバンド408はゴム製部材などの摩擦部材からなり、ブレーキドラム部403に押圧させて摩擦力を発生させるためのものである。ブレーキバンド支持板407の右下側の一端部(固定端部)はピン409を介してブレーキケース406に固定されており、右上側の他端部はピン410を介して押圧・解放部405の後述するレバーの基部に固定されている。
【0024】
押圧・解放部405は、ブレーキケース406の図10の右側部に装備されている。押圧・解放部405の内、411は全体がへの字状に形成されたレバーであり、ブレーキケース406に装着された軸412により、への字状に曲がった角部が回動自在に軸支されている。レバー410は軸412からブレーキドラム部403に接近する方向に短く延びる基部413と、離れる方向に長く延びる回転拘束解除用の操作部412を備えている。基部413にはピン410が植設されており、このピン410にブレーキバンド支持板407の図10における右上側の一端部(自由端部)が固定されている。
【0025】
レバー410が図10の反時計方向に回動すると(矢印A)、ピン410が右方向へ移動し、ブレーキバンド支持板407の自由端部を右方向へ引っ張り、ブレーキバンド部404がブレーキドラム部403に巻き付いてブレーキバンド408がブレーキドラム部404の外周に押圧され、摩擦ブレーキが掛かる。これにより、ワンウエイクラッチ部401は、入力軸1Aの軸周りへの回転が拘束される。
反対に、レバー410が図10の時計方向に回動すると(矢印B)、ピン410が左方向へ移動し、ブレーキバンド支持板407の自由端部を左方向へ戻して、ブレーキバンド部404の巻き付きが緩められて、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周から離間し、押圧が解放されて、摩擦ブレーキが解除する。これにより、ワンウエイクラッチ部401は、入力軸1Aの軸周りへの回転拘束が解除される。
【0026】
レバー411の基部413には軸412から見て、ブレーキドラム部403寄りの箇所と、ブレーキケース406の外周縁部との間に、レバー411を常時、反時計方向へ付勢する2組の引っ張りバネ415が介装されている。引っ張りバネ415により、操作部414に外力が加えられていないときは、レバー411は反時計方向に回動し、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周に押圧付勢されて、ワンウエイクラッチ部401の回転が拘束された状態となっている。
この状態で、ユーザにより操作部414が図10の反時計方向へ操作(押圧解放操作=ワンウエイクラッチ部401の回転拘束解除操作)がされると、レバー411が時計方向へ回動し、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周から離間し、押圧が解放されて、摩擦ブレーキが解除し、ワンウエイクラッチ部401の回転拘束が解除される。
【0027】
ロープ牽引装置100Aの他の構成部分は、図1乃至図9で説明した従来のロープ牽引装置100と同様に構成されているが、制限手段300は省略されている。また、分離部40Dの出口側が鷲鼻形状にプーリ3のH溝31内に延設されており、H溝31に食い込んだロープ2をH溝31から引き離し可能に形成されている(図12参照)。また、プーリケース14Aには開口140が無い。
【0028】
次に、図13乃至図15を参照して上記した実施例の使用方法を説明する。
例えば、建物外壁に沿った登高に用いる場合のロープ装填方法を説明すると、予め、図13に示す如くロープ2の一端側を建物400の屋上のパラペット401に固定して支点確保し、他端側を地上に垂らしておく。
地上のハーネス(図示せず)を装着したユーザUはまずプーリカバー14Aを開き(図11の矢印D参照)、ロープ2の一端側を入口部7のロープ挿通溝20に挿入し、分離部40Dの左側を通してプーリ3に一周弱巻き掛け、分離部40Dの右側を通して出口部8のロープ挿通溝21に挿入したのち(図14参照)、掛け止め部12、13に巻き掛けて掛け止める。そしてプーリカバー14を閉じる(図11の矢印E参照)。
【0029】
ユーザUが自身に装着した登高器100Aの取付孔11とをスリング420(またはカナビラ)で連結する(図15参照)。
ここで登高器100Aは、レバー411の操作部414に外力が加えられていないとき、回転拘束・解除部402の押圧・解放部405の引っ張りバネ415により、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403に押圧されて摩擦ブレーキが発生しており、ワンウエイクラッチ部401は回転拘束状態となっている。
【0030】
ロープ2を牽引して登高を開始するため、巻き掛け部12、13から出口側ロープ2aを外し、図15に示す如く、充電式電動ドライバ600の駆動軸としてのチャック601を入力軸1Aに連結する。
この状態で、充電式電動ドライバ600を稼働して正回転駆動させると、入力軸1Aの軸周りの回転が拘束されたワンウエイクラッチ部62は、入力軸1Aの正回転を許容していることから、入力軸1Aが正回転する。入力軸1Aの正回転は減速手段50Aにより減速されてプーリ3を正回転させ、ロープ2を入り口側から出口側に牽引する。この結果、登高器100Aが上昇し、ユーザUはスリング420(またはカナビラ)に吊り上げられて建物外壁に沿って登高できる。
【0031】
ロープ2の牽引を停止して、登高を止めたい場合、充電式電動ドライバ600の稼働を停止し、入力軸1Aの駆動を止める。すると、ユーザUの体重が掛かった入口側ロープ2bが下方へ引っ張られて張力が生じ、ロープ2にプーリ3の出口側から入口側へ戻る引っ張り力が掛かり、プーリ3、減速手段50A、入力軸1Aに逆回転力が生じる。
ここで、ワンウエイクラッチ部401は、入力軸1Aの逆回転を拘束して自身が回転しようとするが、回転拘束・解除部402により入力軸1Aの軸周りの回転が拘束されているため、ワンウエイクラッチ機能が働いて、プーリ3、減速手段50A、入力軸1A、チャック31の回転が止まる。この結果、充電式電動ドライバ600には逆回転力は伝わらず、損壊するのを防止できる。
【0032】
続いて、出口側ロープ2aを巻き掛け部12、13に巻き掛けてロープ2の移動を拘束し、入力軸1Aから充電式電動ドライバ600のチャック601を外し、充電式電動ドライバ600と入力軸1Aの連結を解放する。
ユーザUの体重が掛かった入口側ロープ2bに生じる張力でロープ2に出口側から入口側へ向かう引っ張り力が掛かり、プーリ3、減速手段50A、入力軸1Aに逆回転力が生じているが、回転拘束状態にあるワンウエイクラッチ部401が、入力軸1Aの逆回転を制限し、プーリ3の逆回転が阻止されること、および、出口側ロープ2aが巻き掛け部12、13に巻き掛けられていることから、入り口側ロープ2bから手を離しても、ロープ2は移動せず、プーリ3が回転することはない。この状態で、ユーザUは、建物外壁に対する所望の作業を実行することができる。
【0033】
このあと、更に上方へ登高したい場合、前述した如く、充電式電動ドライバ600のチャック601を入力軸1Aに連結する。そして、出口側ロープ2aを巻き掛け部12、13から外す。この状態で、充電式電動ドライバ600を稼働して正回転駆動させると、ワンウエイクラッチ部401は入力軸1Aの正回転を許容していることから、充電式電動ドライバ600のチャック601が正回転して入力軸1Aを正回転する。入力軸1Aの正回転は減速手段50Aにより減速されてプーリ3を正回転させ、ロープ2を入り口側から出口側に牽引する。この結果、登高器100Aが上昇し、ユーザUはスリング420(またはカナビラ)に吊り上げられて建物外壁に沿って登高できる。
【0034】
これと反対に、停止状態から下降したい場合は、登高器100Aの入力軸1Aから充電式電動ドライバ600を外した状態で、ロープ巻き掛け部12、13に巻き掛けた出口側ロープ2aを外すとともに、入口側ロープ2bを右手に掴み、プーリ3に巻き掛けられたロープ2の移動を自由にする。スリング420を介して登高器100AにユーザUの体重が掛かっているので、入り口側ロープ2bに張力が掛り、プーリ3が逆回転しようとするが、入力軸1Aの軸周りの回転拘束状態のワンウエイクラッチ部401が入力軸1Aの逆回転を制限していることから、プーリ3は逆回転せず、ロープ2はまだ移動しない。
【0035】
次に、レバー411の操作部414を左手で、引っ張りバネ415の引っ張り力に抗して図10の時計方向(矢印B方向)へ押し下げ、ワンウエイクラッチ部401の回転拘束の解除操作をする。すると、レバー411の基部411が時計方向へ回動し、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周から離間し、押圧が解放されて、摩擦ブレーキが解除し、ワンウエイクラッチ部402の入力軸1Aの軸周りの回転拘束が解除される。
この結果、入力軸1Aに掛かっている逆回転力を受けてワンウエイクラッチ部401が入力軸1Aとともに逆回転し、プーリ3が逆回転して出口側ロープ2aが入り口側に戻されるように移動し、ユーザは登高器100Aとともに下降することができる。このとき、差動減速式の減速手段50Aにより緩行動作を行わせることができる。
【0036】
下降を停止したい場合は、レバー411の操作部414の押し下げを解放し、出口側ロープ2aをロープ掛け部12、13に巻き掛ければ良い。引っ張りバネ415に付勢されてレバー411が図10の反時計方向へ回動し、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周に押圧されて、摩擦ブレーキが掛かり、ワンウエイクラッチ部401の入力軸1Aの軸周りの回転が拘束される。従って、ワンウエイクラッチ部401が再び入力軸1Aの逆回転を制限し、プーリ3の逆回転が阻止されるので、下降が停止する。
【0037】
この実施例によれば、回転拘束・解除部402により、入力軸1Aに外嵌されたワンウエイクラッチ部401の回転を拘束した状態で、回転式電動工具の一例としての充電式電動ドライバ600により入力軸1Aが正回転駆動されると、ワンウエイクラッチ部401が入力軸の回転を拘束することなく、充電式電動ドライバ600の回転力が入力軸1Aに伝達されて、減速手段50Aで減速後、プーリ3が正回転する。この結果、ロープ2をプーリの入口側から出口側に牽引移動させてユーザの体を持ち上げ、登高させることができる。
登高を止めたい場合、充電式電動ドライバ600の稼働を停止する。するとユーザの体重が掛かった入り口側ロープ2bに生じる張力により、プーリ3、減速手段50A、入力軸1Aに逆回転力が生じる。ワンウエイクラッチ部401は、入力軸1Aの逆回転力を受けて自身が入力軸1Aの軸周りに回転しようとするが、自身の入力軸周りの回転が拘束されているため、ワンウエイクラッチ機能が働いて、プーリ3、減速手段50A、入力軸1Aの逆回転が阻止される。この結果、充電式電動ドライバ600には逆回転力は伝わらず、損壊するのを防止できる。
下降したい場合は、充電式電動ドライバ600を入力軸1Aから外し、レバー411の操作部414を図10の時計方向へ押し下げて、解除操作をし、回転拘束・解除部402によるワンウエイクラッチ部401の回転拘束状態を解除する。するとユーザの体重が掛かった入り口側ロープ2bに生じる張力により、プーリ3を介して減速手段50Aの入力軸1Aに伝達される逆回転力でワンウエイクラッチ部401自体が入力軸1Aと一緒に回転する。この結果、ワンウエイクラッチ機能が働かず、入力軸1Aの逆回転は阻止されず、プーリ3、減速手段50Aの逆回転が可能となり、ロープ2がプーリ3の出口側から入口側に移動して下降可能となる。
【0038】
なお、上記した実施例では、レバー411の操作部414を手で押圧解放操作するようにしたが、本発明は何らこれに限定されず、図16に示すように、押圧・解放部4050をブレーキケース4060の上部に装備し、引っ張りバネ415により回動復帰したレバー4110の操作部4140が支持体6の上に出るようにし、プーリ3の逆回転時にロープ2の出口側のロープ2aを掴んで操作部4140に掛合し、下方へ押し下げることで押圧解放操作可能に構成しても良い。この図16の例の場合、下降したいときに、プーリ3の出口側ロープ2aを左手で持ち、この出口側ロープ2aを操作部4140に掛けて、下方に押し下げるようすれば押圧解放操作をすることができ、片手で入口側ロープ2b、もう片方の手で出口側ロープ2aを掴んで下降することができる。
【0039】
また、上記した実施例では、ロープ牽引装置は、図1乃至図9で説明した従来のロープ牽引装置100の制限手段300を省略したタイプとしたが、支持体6の前面に、図1乃至図9で説明した制限手段300を設けたタイプとしても良い(分離部、プーリカバーは符号40、14のタイプとする)。制限手段300を付設することにより、登高を止めるため、回転式電動工具の稼働を停止して入力軸から外したあと、制限手段300のカム308をロープ2に食い込ませてロープ2の移動を制限させることができる。また、回転式電動工具の稼働を停止した際、回転式電動工具を入力軸1Aから外す前にワンウエイクラッチ部401が故障していたときも、制限手段300のカム308をロープ2に食い込ませてロープ2の移動を制限させ、不用意に降下しないようにできる。
【0040】
また、回転式電動工具として、正回転と逆回転の切り替えが可能なタイプを用いる場合、入力軸に連結して正回転駆動させて登高した後、誤って逆回転駆動すると、ブレーキバンド部の摩擦力に勝って入力軸がワンウエイクラッチ部、ブレーキドラム部とともに逆回転し、プーリが逆回転する。すると、例えば、登高器が制限手段300付の場合には、カムの歯によりロープの表面が裂ける恐れがある。この対策として、回転式電動工具に着脱自在に装着した駆動軸(先端工具)により、登高器の入力軸を駆動するようにし、駆動軸に第2のワンウエイクラッチ部を装着し、この第2のワンウエイクラッチ部を介して入力軸を駆動するようにすればよい。
【0041】
具体的には図17に示す如く、充電式電動ドライバ600のチャック部601に着脱自在な駆動軸610を用意する。駆動軸610は、軸方向に小径部611と大径部612が一体化された段付き構造であり、小径部611はチャック部601に着脱自在に装着される。大径部612は中空内部に第2のワンウエイクラッチ部613が装着されている。第2のワンウエイクラッチ部613は、登高器の入力軸1Aの先端部1bの外周に着脱自在に嵌合可能になっており、第2のワンウエイクラッチ部613を先端部1bに嵌合することで、充電式電動ドライバ600のチャック部601に装着した駆動軸610を入力軸1Aに連結可能になっている。第2のワンウエイクラッチ部613は、充電式電動ドライバ600が正回転し、駆動軸610が正回転するときは、正回転力をそのまま入力軸1Aに伝達して正回転駆動させ、反対に充電式電動ドライバ600が逆回転し、駆動軸610が逆回転するときは、入力軸1Aに逆回転力が伝わるのを阻止する機能を有している。これにより、誤って充電式電動ドライバ600が逆回転しても、駆動軸610が空回りするだけで、入力軸1A、減速手段50A、プーリ3は逆回転しないようにできる。
【0042】
また、上記した実施例では、への字状のレバー411の操作部414により、ワンウエイクラッチ部401の回転拘束解除操作を行うようにしたが、図18に示す如く、レバーの代わりに、ブレーキケース406の内側で軸412に軸支された回動板413Bと、ブレーキケース406の外側で、軸412に軸支された操作部414Bを設け、回動板413Bにピン410を介してブレーキバンド支持板407の図18における右上側の一端部(自由端部)を固定し、回動板413Bとブレーキケース406の周端縁部との間に、一組の引っ張りバネ415を介装するようにしても良い。
図18の場合、引っ張りバネ415により、操作部414Bに外力が加えられていないときは、回動板413Bは反時計方向に回動し(矢印A)、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周に押圧付勢されて、ワンウエイクラッチ部401の回転が拘束された状態となっている。
この状態で、ユーザにより操作部414Bが図18の反時計方向へ操作(押圧解放操作=ワンウエイクラッチ部401の回転拘束解除操作)がされると、回動板413Bが時計方向へ回動し、ブレーキバンド408がブレーキドラム部403の外周から離間し、押圧が解放されて、摩擦ブレーキが解除し、ワンウエイクラッチ部401の回転拘束が解除される。
なお、操作部414Bは、不使用時に、軸412に付設した図示しないバネにより、図18の実線の位置からケース15Aの外周に沿った二点鎖線の位置(符号414B‘)に退避可能としても良い。この場合、使用時は、一旦、図18の実線の位置まで操作部414Bを回動する間は、回動板413Bは回動せず、図18の実線の位置から下方操作している間だけ、連動して回動板413Bが回動するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ロープを牽引して人を登高させる登高器やロープ牽引装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
100A 登高器 1A 入力軸 2 ロープ 3 プーリ 6 支持体 11 取り付け孔 12、13 巻き掛け部 50A 減速手段 401 ワンウエイクラッチ部 402 回転拘束・解除部 403 ブレーキドラム部 404 ブレーキバンド部 411 レバー 414 操作部 415 引っ張りバネ 600 充電式電動ドライバ 601 チャック
【要約】      (修正有)
【課題】登高器に対する稼働停止時の充電式電動ドライバの損壊を防止する。
【解決手段】充電式電動ドライバにより駆動可能な入力軸1Aと、ロープを巻き掛け可能なプーリと結合された出力軸を有し、入力軸1Aに加えられた正回転を減速して出力軸に伝達する差動減速式の減速手段を備えた登高器100Aであって、入力軸1Aに装着されて、入力軸1Aの正回転を許容し、逆回転を制限するためのワンウエイクラッチ部401と、入力軸1Aの軸周りへのワンウエイクラッチ部401の回転を拘束したり、解除したりする回転拘束・解除部402とを備えた。登高は、ワンウエイクラッチ部401の回転を拘束した状態にして、充電式電動ドライバにより入力軸を登高方向へ正回転駆動することで行い、下降は、ワンウエイクラッチ部401の回転拘束を解除し、ユーザの体重が掛かった入り口側ロープに生じる張力によりプーリと減速手段を逆回転可能にすることで行う。
【選択図】図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
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図18