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特許7496050塗料有効利用方法及び塗料有効利用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】塗料有効利用方法及び塗料有効利用システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20240530BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240530BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240530BHJP
【FI】
G06Q10/087
G06Q50/04
G06Q50/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020004900
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021114009
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520017959
【氏名又は名称】中村産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070457(JP,A)
【文献】特開2018-077651(JP,A)
【文献】特開2000-280700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者が管理するサーバー端末装置と、
未使用状態の余剰在庫品として前記塗料製品を保管している複数の事業者がそれぞれ管理する事業者端末装置と、
前記サーバー端末装置及び前記事業者端末装置が接続するネットワークとを備えており、
前記各事業者端末装置は、各事業者が未使用状態の余剰在庫品として保管している前記塗料製品に関する情報を入力して前記サーバー端末装置に送信する余剰在庫品情報入力送信部を備えており、
前記サーバー端末装置は、
前記各事業者端末装置を介して送信された前記余剰在庫品に関する情報を蓄積する余剰在庫品情報記憶部と、
余剰在庫品情報記憶部に蓄積された前記各余剰在庫品に関する情報に基づいて、前記塗料製品販売事業者が、前記事業者において保管される前記各余剰在庫品を引き取った後、該各余剰在庫品を開封して、塗料の色の劣化の有無、塗料の容量の変化の有無、及び、塗料構成物の沈殿の有無についての塗料品質確認を行った品質確認済みの余剰在庫品に関する情報を蓄積する品質確認済み品情報記憶部と、
前記品質確認済み品情報記憶部に蓄積された品質確認済みの余剰在庫品に関する情報を前記各事業者端末装置に送信する品質確認済み品情報送信部とを備えており、
前記各事業者端末装置は、品質確認済み品情報送信部を介して送信された品質確認済みの余剰在庫品に関する情報に基づいて、品質確認済みの余剰在庫品の中から購入を希望する余剰在庫品を選択して前記サーバー端末装置に送信する購入要求送信部を備え、
前記サーバー端末装置は、前記事業者端末装置における前記購入要求送信部から送信された購入要求に基づいて、対応する品質確認済みの余剰在庫品を、購入要求を送信した事業者に納品する指令情報を発する納品指令情報生成部を備えることを特徴とする塗料有効利用システム。
【請求項2】
塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者が管理するサーバー端末装置と、
未使用状態の余剰在庫品として前記塗料製品を保管している複数の事業者がそれぞれ管理する事業者端末装置と、
前記サーバー端末装置及び前記事業者端末装置が接続するネットワークとを備えており、
前記各事業者端末装置は、各事業者が未使用状態の余剰在庫品として保管している前記塗料製品に関する情報を入力して前記サーバー端末装置に送信する余剰在庫品情報入力送信部を備えており、
前記サーバー端末装置は、前記各事業者端末装置を介して送信された前記余剰在庫品に関する情報を蓄積する余剰在庫品情報記憶部を備えており、
前記各事業者端末装置は、
前記余剰在庫品情報記憶部に蓄積された前記各余剰在庫品に関する情報に基づいて、前記サーバー端末装置に蓄積される前記各余剰在庫品に関する情報を表示する余剰在庫品表示部と、
前記余剰在庫品表示部に表示された余剰在庫品に関する情報に基づいて、余剰在庫品の中から購入を希望する余剰在庫品を選択して前記サーバー端末装置に送信する購入要求送信部とを備え、
前記サーバー端末装置は、前記事業者端末装置における前記購入要求送信部から送信された購入要求に基づいて、対応する余剰在庫品に関する情報を前記サーバー端末装置に送信した事業者から該対応する余剰在庫品を引き取る指令情報を発する引取指令情報生成部を備え、
前記引取指令情報生成部が発する前記余剰在庫品を引き取る指令情報に基づいて、前記塗料製品販売事業者が、前記事業者において保管される前記各余剰在庫品を引き取った後、該各余剰在庫品を開封して、塗料の色の劣化の有無、塗料の容量の変化の有無、及び、塗料構成物の沈殿の有無についての塗料品質確認を行うことを特徴とする塗料有効利用システム。
【請求項3】
前記各事業者端末装置は、前記サーバー端末装置に送信した余剰在庫品に関する履歴情報を表示する送信履歴表示部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料有効利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料有効利用方法及び塗料有効利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設現場や製品生産工場等で多種多様な塗料製品が使用されているが、使用に供されず、未使用状態のまま余ってしまった塗料製品は、余剰在庫品として個々の施工業者や製品製造業者(事業者)が保管し、例えば、1年以上使用されなかった塗装製品については、塗料の品質の問題から、未使用状態であっても廃棄されている。
【0003】
塗料製品を適切に廃棄処分するには、専門の処理業者に委託して処理する必要があり、その際には、所定金額の廃棄料金が発生することから、塗料製品を使用する施工業者や製品生産業者等の事業者にとって、コスト面での負担が大きいという問題があり、また、専門の処理業者が、塗料製品の廃棄処分を行う場合、塗料自体は焼却処理や埋め立て処理されることになるが、このような廃棄処分は、環境に与える負荷も無視できないといった問題がある。また、塗料製品の適切な廃棄処分を行うには、上記のように廃棄料金が生じることから、不法投棄されるおそれもあり、周辺住民とのトラブルを生じさせるばかりでなく、地下水に浸潤して環境汚染を引き起こすという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題を解消するためになされたものであり、事業者において余剰在庫品として保管されている塗料製品を有効利用することができる塗料有効利用方法、及び、塗料有効利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の前記目的は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を未使用状態の余剰在庫品として保管している複数の事業者から、前記余剰在庫品を引き取る余剰在庫品引取り工程と、引き取った前記余剰在庫品を開封して塗料の品質を確認する塗料品質確認工程と、開封された前記余剰在庫品を再度密閉する密閉工程と、前記余剰在庫品に品質確認済みであることを示す表示を付す品質確認表示付与工程と、前記複数の事業者の内、品質確認済みの表示が付された前記余剰在庫品を購入希望する事業者に、前記余剰在庫品を納品する納品工程とを備えることを特徴とする塗料有効利用方法により達成される。
【0006】
また、上記塗料有効利用方法に関し、前記塗料品質確認工程の後、開封された前記余剰在庫品中の塗料を撹拌する撹拌工程を更に備えることが好ましい。
【0007】
また、本発明の前記目的は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者が管理するサーバー端末装置と、未使用状態の余剰在庫品として前記塗料製品を保管している複数の事業者がそれぞれ管理する事業者端末装置と、前記サーバー端末装置及び前記事業者端末装置が接続するネットワークとを備えており、前記各事業者端末装置は、各事業者が未使用状態の余剰在庫品として保管している前記塗料製品に関する情報を入力して前記サーバー端末装置に送信する余剰在庫品情報入力送信部を備えており、前記サーバー端末装置は、前記各事業者端末装置を介して送信された前記余剰在庫品に関する情報を蓄積する余剰在庫品情報記憶部と、余剰在庫品情報記憶部に蓄積された前記各余剰在庫品に関する情報に基づいて、前記塗料製品販売事業者が、前記事業者において保管される前記各余剰在庫品を引き取った後、該各余剰在庫品の塗料品質確認を行った品質確認済みの余剰在庫品に関する情報を蓄積する品質確認済み品情報記憶部と、前記品質確認済み品情報記憶部に蓄積された品質確認済みの余剰在庫品に関する情報を前記各事業者端末装置に送信する品質確認済み品情報送信部とを備えており、前記各事業者端末装置は、品質確認済み品情報送信部を介して送信された品質確認済みの余剰在庫品に関する情報に基づいて、品質確認済みの余剰在庫品の中から購入を希望する余剰在庫品を選択して前記サーバー端末装置に送信する購入要求送信部を備え、前記サーバー端末装置は、前記事業者端末装置における前記購入要求送信部から送信された購入要求に基づいて、対応する品質確認済みの余剰在庫品を、購入要求を送信した事業者に納品する指令情報を発する納品指令情報生成部を備えることを特徴とする塗料有効利用システムにより達成される。
【0008】
また、本発明の前記目的は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者が管理するサーバー端末装置と、未使用状態の余剰在庫品として前記塗料製品を保管している複数の事業者がそれぞれ管理する事業者端末装置と、前記サーバー端末装置及び前記事業者端末装置が接続するネットワークとを備えており、前記各事業者端末装置は、各事業者が未使用状態の余剰在庫品として保管している前記塗料製品に関する情報を入力して前記サーバー端末装置に送信する余剰在庫品情報入力送信部を備えており、前記サーバー端末装置は、前記各事業者端末装置を介して送信された前記余剰在庫品に関する情報を蓄積する余剰在庫品情報記憶部を備えており、前記各事業者端末装置は、前記余剰在庫品情報記憶部に蓄積された前記各余剰在庫品に関する情報に基づいて、前記サーバー端末装置に蓄積される前記各余剰在庫品に関する情報を表示する余剰在庫品表示部と、前記余剰在庫品表示部に表示された余剰在庫品に関する情報に基づいて、余剰在庫品の中から購入を希望する余剰在庫品を選択して前記サーバー端末装置に送信する購入要求送信部とを備え、前記サーバー端末装置は、前記事業者端末装置における前記購入要求送信部から送信された購入要求に基づいて、対応する余剰在庫品に関する情報を前記サーバー端末装置に送信した事業者から該対応する余剰在庫品を引き取る指令情報を発する引取指令情報生成部を備えることを特徴とする塗料有効利用システムにより達成される。
【0009】
また、上記塗料有効利用システムに関し、前記各事業者端末装置は、前記サーバー端末装置に送信した余剰在庫品に関する履歴情報を表示する送信履歴表示部を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、事業者において余剰在庫品として保管されている塗料製品を有効利用することができる塗料有効利用方法、及び、塗料有効利用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る塗料有効利用方法を説明するためのブロック図である。
図2図1に示す塗料有効利用方法の変形例を示すブロック図である。
図3】本発明に係る塗料有効利用システムを説明するためのブロック図である。
図4】本発明に係る塗料有効利用システムを説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る塗料有効利用方法について説明する。この塗料有効利用方法は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者と、塗料製品を使用する複数の事業者との間で形作られる塗料の有効利用に係る方法であり、好ましくは、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者と、この塗料製品販売事業者から塗料製品を購入して使用する複数の事業者との間で形作られる塗料の有効利用に係る方法である。ここで、塗料製品を使用する事業者としては、特に限定されないが、例えば、建設関係の施工業者や製品製造業者等を挙げることができる。
【0013】
本発明に係る塗料有効利用方法は、図1のブロック図に示すように、余剰在庫品引取り工程S1と、塗料品質確認工程S2と、密閉工程S3と、品質確認表示付与工程S4と、納品工程S5とを備えている。
【0014】
余剰在庫品引取り工程S1は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を未使用状態の余剰在庫品として保管している複数の事業者、より好ましくは、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を塗料製品販売事業者から購入し、未使用状態の余剰在庫品として塗料製品を保管している複数の事業者から、塗料製品販売事業者が当該余剰在庫品を引き取る工程である。余剰在庫品の引取りに際しては、塗料製品販売事業者が、余剰在庫品を保管する事業者の担当者等から直接引き取ってもよく、或いは、郵送にて引き取ってもよい。なお、塗料製品の形態としては特に限定されないが、例えば、容器の上部に開口を有し、当該開口に嵌合される蓋部材を備えるものや、容器の上部に吐出口を備え、この吐出口の開口部に螺合される蓋部材を備えるものが、一般的である。
【0015】
塗料品質確認工程S2は、引き取った前記余剰在庫品を開封して塗料の品質を確認する工程であり、好ましくは、調色師が品質確認を行う。この塗料品質確認工程S2においては、例えば、塗料を収容する容器の著しい凹みや錆の有無、塗料製品が未開封か否か、塗料の色が劣化していないか否か、容器内部に収容される塗料の容量に変化が無いか、容器内部に収容される塗料の構成物の一部が沈殿していないか否か、塗料の製造年月日等が確認される。塗料品質確認工程S2において、塗料として問題なく使用できると判断された余剰在庫品については、以下の密閉工程S3が施される。なお、塗料品質確認工程S2において、使用することができない塗料であると判断されたものについては、所定の破棄処分に則って処理される。また、塗料品質確認工程S2は、余剰在庫品を引き取った場所、つまり、余剰在庫品を管理する事業者の事業所(例えば、倉庫や工場)において実施してもよく、或いは、塗料製品販売事業者における事業所において実施してもよい。
【0016】
密閉工程S3は、開封された状態の余剰在庫品を再度密閉する工程である。この密閉工程S3は、窒素ガスを注入しつつ行うことが、内部の塗料の劣化を抑制するという観点から好ましい。
【0017】
品質確認表示付与工程S4は、上記塗料品質確認工程S2において、塗料として問題なく使用できると判断された余剰在庫品に対して品質確認済みであることを示す表示を付す工程である。例えば、“品質OK”、“品質確認済み”といった文言が印刷されたシールを容器の表面に貼着する。
【0018】
納品工程S5は、複数の事業者の内、品質確認済みの表示が付された余剰在庫品を購入希望する事業者に対して、該余剰在庫品を納品する工程である。購入希望する事業者は、塗料製品販売事業者が保有する品質確認済みの余剰在庫品に係るリストに基づいて所望の品質確認済み余剰在庫品を選択して塗料製品販売事業者に伝え、塗料製品販売事業者は、該当する余剰在庫品を購入希望する事業者に納品する。
【0019】
なお、塗料製品販売事業者は、購入希望する事業者に納品した余剰在庫品の代金を当該事業者から徴収し、その全額又は一部の金額を、当初、該余剰在庫品を保管し塗料製品販売事業者に引き渡した事業者に支払う。なお、余剰在庫品の代金(価格)は、新品の塗料製品の価格よりも低く設定される。また、塗料製品販売事業者が徴収した代金の一部を福祉団体等に寄付してもよい。
【0020】
ここで、図2のブロック図に示すように、上述の塗料品質確認工程S2の後、開封された余剰在庫品中の塗料を撹拌する撹拌工程S6を更に備えるように構成してもよい。このような撹拌工程S6を備えることにより、塗料構成物の一部(顔料)が沈殿することを未然に抑制することができ、品質のより一層の均一化を図ることができる。また、品質確認済みの余剰在庫品を購入した事業者が、直ちに塗装等の作業を行うことが可能となる。
【0021】
このような塗料有効利用方法によれば、余剰在庫品として建設関係の施工業者等の事業者において保管され将来的に廃棄される可能性がある未使用の塗料製品(余剰在庫品)を、再度、市場に流通させることが可能となり、余剰在庫品の有効利用を図ることができる。また、廃棄処分される未使用の塗料製品の数を減じることができるため、廃棄処分に要する費用を削減することができ、また、焼却処分にて発生する二酸化炭素の量も削減することができ、環境に与える負荷を低減することができる。更に、上記効果(廃棄処分に要する費用削減、環境負荷低減)を得るために、本発明に係る塗料有効利用方法の仕組みを積極的に建設関係の施工業者等の事業者が利用することが期待でき、その結果、塗料製品の不法投棄を大幅に抑制することが可能となる。
【0022】
次に、本発明に係る塗料有効利用システムの第1実施形態について説明する。この第1実施形態に係る塗料有効利用システム1は、図3のブロック図に示すように、サーバー端末装置2と、複数の事業者端末装置3と、サーバー端末装置2及び各事業者端末装置3が接続するインターネットなどのネットワーク4とを備えている。ネットワーク4は、光ファイバなどを用いた広帯域ネットワークであることが好ましい。また、このネットワーク4は、公衆回線又は専用回線のいずれであってもよく、更に、有線回線、無線回線又はこれらが混在した回線であってもよい。
【0023】
サーバー端末装置2は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者が管理する装置であり、余剰在庫品情報記憶部21、品質確認済み品情報記憶部22、品質確認済み品情報送信部23、及び、納品指令情報生成部24を備えている。
【0024】
事業者端末装置3は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を未使用状態の余剰在庫品として保管している複数の事業者、より好ましくは、塗料製品販売事業者から塗料製品を購入し、未使用状態の余剰在庫品として塗料製品を保管している複数の事業者がそれぞれ管理する装置であり、余剰在庫品情報入力送信部31、購入要求送信部32を備えている。事業者端末装置3としては、例えば、スマートフォン等の携帯可能な携帯型端末や、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータなどの固定型端末等である。
【0025】
各事業者端末装置3が備える余剰在庫品情報入力送信部31は、各事業者が未使用状態の余剰在庫品として保管している塗料製品に関する情報を入力してサーバー端末装置2に送信する機能を発揮する手段であり、所定の入力フォームを事業者端末装置3に表示するように構成されている。余剰在庫品を保管する各事業者は、余剰在庫品情報入力送信部31において、サーバー端末装置2に登録したい余剰在庫品に係る諸情報を入力し、別途設けられる「送信」ボタンをタップ、或いは、クリック等して、サーバー端末装置2に送信する。余剰在庫品情報入力送信部31において入力される諸情報としては、例えば、余剰在庫品(塗料製品)の商品名、用途、色、ツヤの有無、容量、数量、製造年月日、メーカ名等を挙げることができる。なお、上記用途とは、例えば、下地材、シーラー・プライマー、錆止め、主材、外壁用、内装用、天井用、鉄部用、屋根用、床・防水材、木材用、タイル・コンクリート用といった用途を意味する。また、余剰在庫品情報入力送信部31において余剰在庫品の情報を入力する具体的方法は特に限定されず、文字入力方法を採用してもよく、或いは、事業者端末装置3に表示されるセレクトボックスから所定の項目を選択して入力する方法を採用してもよい。また、所定事項に関して正しく入力されていないといった入力内容の不備がある場合には、その旨を操作者に表示するように構成してもよい。
【0026】
事業者端末装置3から送信された余剰在庫品に関する情報は、塗料製品販売事業者が管理するサーバー端末装置2が受信し、余剰在庫品情報記憶部21に記憶される。このとき、余剰在庫品に関する情報は、余剰在庫品に関する情報を送信した事業者端末装置3(事業者)を識別する識別情報と関連づけられて余剰在庫品情報記憶部21に記憶される。また、余剰在庫品情報記憶部21に事業者端末装置3から送信された余剰在庫品に関する情報が記憶された際に、余剰在庫品に関する情報を送信した事業者に対して、当該情報が問題なく登録されたことを知らせるための電子メール等の通知を、該余剰在庫品に関する情報を送信した事業者が操作する事業者端末装置3に送信するように構成してもよい。
【0027】
塗料製品販売事業者は、余剰在庫品情報記憶部21に蓄積された余剰在庫品に関する情報及び余剰在庫品に関する情報を送信した事業者端末装置3を識別する識別情報に基づいて、事業者のオフィスや倉庫に出向き、保管されている各余剰在庫品の引き取りを行い、上述の塗料品質確認工程S2における余剰在庫品の塗料品質確認を行う。塗料として問題なく使用できると判断された余剰在庫品については、当該余剰在庫品に係る情報を品質確認済み品情報記憶部22に記憶させる。なお、品質確認済み品情報記憶部22には、事業者端末装置3を識別する識別情報に関連付けられた余剰在庫品に関する情報が蓄積される。また、品質確認済み品情報記憶部22に記憶された余剰在庫品としては、上述の密閉工程S3、必要に応じて撹拌工程S6、品質確認表示付与工程S4を経た余剰在庫品の他、塗料製品販売事業者自身が余剰在庫品として保管している塗料製品を含めてもよい。なお、誤発注等により、塗料製品販売事業者自身が保管することになった余剰在庫に係る塗料製品は、既に品質確認がなされているものであるため、上記の塗料品質確認工程S2等を省略することができる。
【0028】
サーバー端末装置2が備える品質確認済み品情報送信部23は、品質確認済み品情報記憶部22に蓄積された品質確認済みの余剰在庫品に関する情報を各事業者端末装置3に送信する機能を有する手段である。この品質確認済み品情報送信部23によって事業者端末装置3に送信された各余剰在庫品に関する情報としては、例えば、商品名、用途、色、ツヤの有無、容量、在庫数、製造年月日、メーカ名、商品の外観写真等を挙げることができる。
【0029】
サーバー端末装置2における品質確認済み品情報送信部23から送信された各余剰在庫品に関する情報は、各事業者端末装置3が受信し、該各事業者端末装置3が備える購入要求送信部32において、例えば、商品名が一覧表示される。事業者端末装置3を操作する操作者は、一覧表示された商品名群(余剰在庫品)の中から、購入を希望する余剰在庫品(塗料製品)を選択し、別途設けられる「送信」ボタンをタップ、或いは、クリック等して、サーバー端末装置2に送信する。なお、購入要求送信部32には、商品名や用途、色等を検索キーワードとして、事業者端末装置3を操作する操作者が所望する余剰在庫品(塗料製品)を検索できる機能を付加してもよい。また、事業者端末装置3を操作する操作者が、購入を希望する余剰在庫品(塗料製品)を選択した際に、この選択された余剰在庫品に関する情報(例えば、用途、色、ツヤの有無、容量、在庫数、製造年月日、メーカ名、商品の外観写真)を操作者に表示するように購入要求送信部32を構成することが好ましい。
【0030】
サーバー端末装置2が備える納品指令情報生成部24は、事業者端末装置3が有する購入要求送信部32から送信された購入要求に基づいて、対応する品質確認済みの余剰在庫品を、購入要求を送信した事業者に納品する指令情報を発する機能を有する手段である。この指令情報に基づいて、塗料製品販売事業者は、対応する品質確認済みの余剰在庫品を、購入要求を発した事業者に納品する手続きを進める。
【0031】
なお、購入要求を送信した事業者に納品する旨の指令情報を発した際、品質確認済み品情報記憶部22に記憶されている購入要求に対応する余剰在庫品に関する情報は修正されるように構成される。例えば、購入要求に対応する余剰在庫品の在庫数に関し、実際に購入要求された余剰在庫品の個数を差し引いた数に修正され、この修正後の余剰在庫品に関する情報が、品質確認済み品情報記憶部22に記憶されると共に、サーバー端末装置2における品質確認済み品情報送信部23を介して、事業者端末装置3に修正後の情報が送信され、各事業者端末装置3に表示される。
【0032】
また、購入要求を送信した事業者に納品する旨の指令情報を発した際、購入要求を送信した事業者に対して、納品時期や価格を知らせるための電子メール等の通知を、購入要求を送信した事業者が操作する事業者端末装置3に送信するように構成してもよい。
【0033】
また、納品指令情報生成部24が、購入要求を送信した事業者に納品する旨の指令情報を発した際、購入要求された余剰在庫品に係る塗料製品をサーバー端末装置2に登録した事業者に対して、他の事業者が購入したことを知らせるための電子メール等の通知を、該余剰在庫品を登録した事業者が操作する事業者端末装置3に送信するように構成してもよい。
【0034】
なお、塗料製品販売事業者は、購入要求を送信した事業者に納品した余剰在庫品の代金を当該事業者から徴収し、その全額又は一部の金額を、購入要求された余剰在庫品に係る塗料製品をサーバー端末装置2に登録した事業者に対して支払う。なお、余剰在庫品の代金(価格)は、新品の塗料製品の価格よりも低く設定される。
【0035】
ここで、本発明に係る塗料有効利用システム1において、各事業者端末装置3が、サーバー端末装置2に送信した余剰在庫品に関する履歴情報を記憶・表示する送信履歴表示部33を備えるように構成してもよい。このような送信履歴表示部33を備えることにより、事業者端末装置3を操作する者(事業者)が、サーバー端末装置2に登録した余剰在庫品の管理を容易に行うことが可能となる。また、送信履歴表示部33において、余剰在庫品の登録をキャンセルできる機能を付加するように構成してもよい。また、他の事業者が余剰在庫品に係る塗料製品を購入した場合に、サーバー端末装置2からの指令に基づいて、送信履歴表示部33に記憶されている当該在庫余剰品に関する情報を削除するように構成してもよい。
【0036】
上述の塗料有効利用システム1によれば、余剰在庫品として建設関係の施工業者等の事業者において保管され将来的に廃棄される可能性が高い未使用の塗料製品(余剰在庫品)を、再度、市場に効率良く流通させることが可能となり、廃棄処分される未使用の塗料製品の数を減じて、廃棄処分に要する費用を削減することができ、また、焼却処分にて発生する二酸化炭素の量や、不法投棄される塗料製品の数を低減させることが可能となる。
【0037】
また、余剰在庫品を保管している事業者にとっては、将来的に破棄処分になる可能性がある余剰在庫品を売却することができるため、廃棄処分に要する費用を削減することができるのみならず、売却代金を受け取ることができるという効果を得ることができる。また、余剰在庫品を購入する事業者にとっては、新品の塗料製品を購入するよりは安く購入することができるという効果を得ることができる。このような効果を奏するため、本システムの利用を希望する事業者が増えることが期待できるため、結果として、焼却処分にて発生する二酸化炭素の量や、埋め立て処理される塗料製品、不法投棄される塗料製品の数を大きく減じることが可能となり、塗料製品の余剰在庫品に起因する環境に与える負荷(二酸化炭素の増加や地下水汚染等の環境汚染)を効果的に抑制することが可能になる。
【0038】
次に、本発明に係る塗料有効利用システムの第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係る塗料有効利用システム1は、第1実施形態と同様に、図4のブロック図に示すように、サーバー端末装置2と、複数の事業者端末装置3と、サーバー端末装置2及び各事業者端末装置3が接続するインターネットなどのネットワーク4とを備えている。
【0039】
サーバー端末装置2は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を販売する塗料製品販売事業者が管理する装置であり、余剰在庫品情報記憶部21、及び、引取指令情報生成部25を備えている。
【0040】
事業者端末装置3は、塗料が密閉容器に収容された塗料製品を未使用状態の余剰在庫品として保管している複数の事業者、より好ましくは、塗料製品販売事業者から塗料製品を購入し、未使用状態の余剰在庫品として塗料製品を保管している複数の事業者がそれぞれ管理する装置であり、余剰在庫品情報入力送信部31、余剰在庫品表示部35、及び、購入要求送信部32を備えている。
【0041】
各事業者端末装置3が備える余剰在庫品情報入力送信部31は、上記第1実施形態と同一構成であるため、詳細な説明は省略する。事業者端末装置3から送信された余剰在庫品に関する情報は、塗料製品販売事業者が管理するサーバー端末装置2が受信し、余剰在庫品情報記憶部21に記憶される。この余剰在庫品情報記憶部21に関しても、上記第1実施形態と同一構成であるため、詳細な説明は省略する。なお、本第2実施形態においては、余剰在庫品情報記憶部21に記憶される余剰在庫品としては、事業者端末装置3から情報が送信された余剰在庫品の他、塗料製品販売事業者自身が余剰在庫品として保管している塗料製品を含めてもよい。
【0042】
各事業者端末装置3が備える余剰在庫品表示部35は、余剰在庫品情報記憶部21に蓄積された各余剰在庫品に関する情報に基づいて、サーバー端末装置2に蓄積される各余剰在庫品に関する情報を表示する機能を有している。この余剰在庫品表示部35においては、例えば、商品名が一覧表示される。なお、余剰在庫品表示部35には、商品名や用途、色等を検索キーワードとして、事業者端末装置3を操作する操作者が所望する余剰在庫品(塗料製品)を検索できる機能を付加してもよい。また、事業者端末装置3を操作する操作者が、購入を希望する余剰在庫品(塗料製品)を選択した際に、この選択された余剰在庫品に関する情報(例えば、用途、色、ツヤの有無、容量、在庫数、製造年月日、メーカ名、商品の外観写真)を操作者に表示するように購入要求送信部32を構成することが好ましい。
【0043】
各事業者端末装置3が備える購入要求送信部32は、余剰在庫品表示部35に表示された余剰在庫品に関する情報に基づいて、余剰在庫品の中から購入を希望する余剰在庫品を選択してサーバー端末装置2に送信する機能を有している。例えば、事業者端末装置3を操作する操作者は、余剰在庫品表示部35に一覧表示された商品名群(余剰在庫品)の中から、購入を希望する余剰在庫品(塗料製品)を選択し、別途設けられる「送信」ボタンをタップ、或いは、クリック等して、サーバー端末装置2に送信する。
【0044】
サーバー端末装置2が備える引取指令情報生成部25は、事業者端末装置3が有する購入要求送信部32から送信された購入要求に基づいて、対応する余剰在庫品に関する情報をサーバー端末装置2に送信した事業者から、該対応する余剰在庫品を引き取る指令情報を発する機能を有する手段である。この指令情報に基づいて、塗料製品販売事業者は、対応する余剰在庫品に関する情報をサーバー端末装置2に送信した事業者から引き取る手続きを進める。
【0045】
なお、余剰在庫品を引き取る指令情報を発した際、余剰在庫品情報記憶部21に記憶されている購入要求に対応する余剰在庫品に関する情報は修正されるように構成される。例えば、購入要求に対応する余剰在庫品の在庫数に関し、実際に購入要求された余剰在庫品の個数を差し引いた数に修正され、この修正後の余剰在庫品に関する情報が、余剰在庫品情報記憶部21に記憶されると共に、事業者端末装置3に修正後の情報が送信され、各事業者端末装置3に表示される。
【0046】
上記余剰在庫品を引き取る指令情報を受け、該当する余剰在庫品に係る塗料製品の引き取りを行った塗料製品販売事業者は、上述の塗料品質確認工程S2における余剰在庫品の塗料品質確認を行う。塗料として問題なく使用できると判断された余剰在庫品については、上記密閉工程S3、必要に応じて撹拌工程S6、品質確認表示付与工程S4を実施し、購入要求を発した事業者に納品する。
【0047】
このような第2実施形態に係る塗料有効利用システム1であっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
S1 余剰在庫品引取り工程
S2 塗料品質確認工程
S3 密閉工程
S4 品質確認表示付与工程
S5 納品工程
S6 撹拌工程
1 塗料有効利用システム
2 サーバー端末装置
21 余剰在庫品情報記憶部
22 品質確認済み品情報記憶部
23 品質確認済み品情報送信部
24 納品指令情報生成部
25 引取指令情報生成部
3 事業者端末装置
31 余剰在庫品情報入力送信部
32 購入要求送信部
33 送信履歴表示部
35 余剰在庫品表示部
4 ネットワーク
図1
図2
図3
図4