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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】動物取出装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/03 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A01K1/03 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020029903
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021132553
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】520065422
【氏名又は名称】有限会社Acty Fоrest
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】林 英樹
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-81852(JP,A)
【文献】実開昭62-4957(JP,U)
【文献】米国特許第5251572(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/03
A01K 1/02
A01M 23/16
A01M 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口部が形成された直方体形状の装置本体と、
前記装置本体の前記開口部の縁に取り付けられ、前記開口部を開閉する扉体と、
前記扉体を閉じるように操作する操作部とを備え、
前記操作部は、紐状体からなり、前記紐状体は、一端が前記扉体の自由端に取り付けられ、他端が前記開口部の反対側から引き操作可能に設けられていることを特徴とする動物取出装置。
【請求項2】
前記扉体は、前記装置本体の前記開口部を開いた状態に保持する保持機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の動物取出装置。
【請求項3】
前記扉体は、前記装置本体の前記開口部を開く方向に付勢する付勢機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物取出装置。
【請求項4】
一面に開口部が形成された直方体形状の装置本体と、
前記装置本体の前記開口部の縁に取り付けられ、前記開口部を開閉する扉体と、
前記扉体を閉じるように操作する操作部とを備え、
前記操作部は、リンク機構からなり、
前記リンク機構は、2枚設けられた前記扉体に一端が連結され、他端が互いに連結ピンで連結された2つのリンクと、一端が前記連結ピンに連結され、他端が前記開口部の反対側から押し引き操作可能に設けられた操作ロッドとを備えていることを特徴とする動物取出装置。
【請求項5】
前記装置本体の下部に床面を転動する車輪が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の動物取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物病院等に設けられた入院用ケージ、動物園の檻、害獣用の箱罠等から動物を取り出すための動物取出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動物病院やペットホテル等には、犬、猫などの動物の病気やケガによる入院、動物の預かり、宿泊を目的として入院用ケージが設置されている。入院用ケージに入れられた動物は、入院用ケージの内外の環境や、他の動物の臭い、吠え声、鳴き声等で怯えてストレスが溜まっている。このため、入院用ケージ内の動物を診察や治療、運動、散歩等のために取り出すとき、動物が暴れて捕まえることが困難であるという問題があった。
【0003】
特許文献1には、ケージ本体の両側に扉枠部を設け、正面の開口部に移動枠を設けて、扉枠部から入れた動物を移動枠によってケージ本体の奥に追い込み、動物の動きを封じて、注射等の処置を施すことができる動物追い込みケージが記載されている。この追い込みケージでは、動物を追い込むことはできるが、動物を取り出すときには、動物物が暴れるのを制止することはできない。
【0004】
特許文献2、特許文献3には、マウス、モルモット等の小動物を飼育ケージから他のケージに入れ替える交換装置が記載されている。この交換装置はケージの上方に設けられ、大掛かりになっているため、動物病院の入院用ケージのような複数のケージを複数段に配設したものには適用できないし、下段のケージの動物を取り出すことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-305059号公報
【文献】特開2014-150769号公報
【文献】特開2018-134004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、動物病院等の入院用ケージから動物を容易に取り出すことができる動物取出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、
一面に開口部が形成された直方体形状の装置本体と、
前記装置本体の前記開口部の縁に取り付けられ、前記開口部を開閉する扉体と、
前記扉体を閉じるように操作する操作部とを備え、
前記操作部は、紐状体からなり、前記紐状体は、一端が前記扉体の自由端に取り付けられ、他端が前記開口部の反対側から引き操作可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、扉体を開けた状態で開口部が入院用ケージの出入口に対向するように装置本体を動物が居る入院用ケージに挿入し、装置本体を押し込みながら操作部を操作して扉体を閉じると、入院用ケージ内の動物が扉体に押されて装置本体に追い込まれるので、扉体を閉じまま装置本体を入院用ケージから引き出すことで、動物を取り出すことができる。
【0009】
また、紐状体を引き操作するだけで、入院用ケージの外側から扉体を簡単に閉じることができる。
【0010】
前記扉体は、前記装置本体の前記開口部を開いた状態に保持する保持機構を備えていることが好ましい。
これによれば、扉体が開いた状態に保持されるので、装置本体を入院用ケージに挿入するときに、扉体が閉じる方向に移動する恐れがない。
【0011】
前記扉体は、前記装置本体の前記開口部を開く方向に付勢する付勢機構を備えていることが好ましい。
これによれば、扉体が開く方向に付勢されるので、装置本体を入院用ケージに挿入するときに、暴れる動物によって扉体が閉じられる恐れがない。
【0012】
また、本発明は、
一面に開口部が形成された直方体形状の装置本体と、
前記装置本体の前記開口部の縁に取り付けられ、前記開口部を開閉する扉体と、
前記扉体を閉じるように操作する操作部とを備え、
前記操作部は、リンク機構からなり、
前記リンク機構は、2枚設けられた前記扉体に一端が連結され、他端が互いに連結ピンで連結された2つのリンクと、一端が前記連結ピンに連結され、他端が前記開口部の反対側から押し引き操作可能に設けられた操作ロッドとを備えている。
これにより操作ロッドを押し引き操作するだけで、入院用ケージの外側から扉体を簡単に開き、また閉じることができる。
【0013】
前記装置本体の下部に床面を転動する車輪が設けられていることが好ましい。
これによれば、装置本体の車輪が入院用ケージの床面を転動するので、装置本体を入院用ケージに容易に挿入することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、扉体を開けた状態で装置本体を入院用ケージに挿入し、装置本体を押し込みながら操作部を操作して扉体を閉じるだけで、動物を装置本体に追い込むことができるので、動物が暴れても、容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る動物取出装置の開口部側から見た斜視図。
図2図1の動物取出装置の開口部と反対側から見た斜視図。
図3】動物取出装置の使用状況を示す斜視図。
図4】動物取出装置を入院用ケージに挿入した状態を示す断面図。
図5】動物取出装置の扉体を閉じて動物を追い込む状態を示す断面図。
図6】動物取出装置を入院用ケージから引き出して動物を取り出した状態を示す断面図。
図7】操作部をリンク機構にした本発明の変形例を示す平面図。
図8】扉体を上下に開く方向に設けた変形例の動物取出装置の斜視図。
図9】扉体を下方に開く方向に設けた他の変形例の動物取出装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
図1図2は、本発明の実施形態に係る動物取出装置1を示す。動物取出装置1は、装置本体2と、扉体3と、操作部4とを備えている。なお、装置本体2の扉体3が設けられる面を前面、扉体3が設けられる面と反対側を後面、前面の両側の面を側面、前面から見て上側の面を天面、前面から見て下側の面を底面という。
【0018】
装置本体2は、直方体形状の箱型で、内部に動物を収容可能な収容空間5が形成されている。装置本体2の前面には開口部6が形成されている。装置本体2の開口部6と対向する後面には強化ガラス又はプラスチック製の透明な覗き窓7が設けられている。装置本体2の両側面にはハンドル8が設けられている。装置本体2の側面下部又は底板には、4つの車輪9が設けられ、床面を転動して前後方向に動物取出装置1を移動させることができるようになっている。
【0019】
装置本体2は、動物が好む木製が好ましいが、ステンレス鋼やアルミニウム等の軽量な金属製、プラスチック製、堅牢な段ボール製であってもよい。また、底面以外は、ケージ、格子になっていてもよい。
【0020】
装置本体2の縦横寸法は、図3に示す入院用ケージ101の縦横寸法より小さく、入院用ケージ101に挿入可能な寸法になっている。装置本体2の奥行寸法は、入院用ケージ101の奥行寸法より小さく、扉体を開けた状態で装置本体2を入院用ケージ101に挿入したときに、少なくとも装置本体2の前の車輪9が入院用ケージ101の床面に乗る大きさにすることが好ましい。例えば、入院用ケージ101が縦600mm、横600mm、奥行900mmの場合、装置本体2は、縦530mm、横460mm、奥行320mmが好ましい。
【0021】
扉体3は、左右2枚からなり、装置本体2の前面の開口部6の左右の縁に蝶番10により取り付けられ、開口部6を開閉するようになっている。扉体3は、装置本体2と同様に、動物が好む木製が好ましいが、ステンレス鋼やアルミニウム等の軽量な金属製、プラスチック製、堅牢な段ボール製であってもよい。また、扉体3は、動物が暴れて脚が引っ掛からないようにするため、ケージや格子よりも平板であることが好ましい。
【0022】
扉体3の上端と、装置本体2の開口部6側の天板内面との間には、公知の保持機構であるアームストッパ11が設けられ、装置本体2の開口部6を約90度に開いた状態に保持するようになっている。保持機構としては、アームストッパ11に限らず、公知のローラーキャッチ等を使用することができる。
【0023】
扉体3と装置本体2の間には、付勢手段として、捩じりばね12が設けられ、扉体3を装置本体2の開口部7を開く方向に付勢している。付勢手段としては、捩じりばね12に限らず、板ばね、ゴム等を使用することができる。なお、蝶番10として公知のばね蝶番を用いることができるが、この場合、捩じりばね12は不要である。
【0024】
操作部4は、柔軟な2本の紐状体、具体的にはロープからなっている。2本の紐状体の一端は、扉体3の自由端側の上端に取付具13を介して取り付けられ、他端は装置本体2の天面の後部中央に設けられた中継部14の孔に通されて、装置本体2の開口部6と反対側から手動で引き操作可能に設けられている。
【0025】
次に、本実施形態の動物取出装置1の作用について説明する。
【0026】
図3に示すように、まず、動物取出装置1の扉体3を開いた状態にする。動物取出装置1の扉体3は、捩じりばね12により開く方向に付勢されているので、簡単に開き、90度開いた状態でアームストッパ11により保持される。
【0027】
2段の入院用ケージ101の上段の動物100を取り出す場合、当該入院用ケージ101のドア102を開く。装置本体2の後面からハンドル8を握って装置本体2を持ち上げ、装置本体2の開口部6を入院用ケージ101の出入口103に向けて挿入する。
【0028】
図4に示すように、開いた扉体3が入院用ケージ101の内部に入ると、動物100は警戒して暴れたり動き回ることがあるが、扉体3は入院用ケージ101の両側の内側面に近くに平行に位置し、アームストッパ11で開いた状態に保持されているため、暴れる動物100によって閉じられることはない。
【0029】
開いた扉体3の自由端が入院用ケージ101の背面に当たると、紐状体の操作部4を装置本体2の背後から引き操作する。これにより、扉体3が操作部4に引っ張られ、捩じりばね12の付勢力に抗して開口部6を閉じる方向に移動する。操作部4を引いて扉体3を閉じながら、装置本体2を前に押し、扉体3の自由端が入院用ケージ101の背面に当たった状態にする。これにより、入院用ケージ101内の動物100は扉体3によって装置本体2の収容空間5に追い込まれる。動物100が収容空間5に入ったか否かは、覗き窓7を通して確認することができる。
【0030】
操作部4を引き操作して扉体3を閉じている間に、操作部4を少し戻すと、図5に示すように、扉体3は捩じりばね12の付勢力に開く方向に戻る。このため、動物100が装置本体2の収容空間5に入ろうとしないときには、操作部4を引いたり戻したりすることで、扉体3を開けたり閉めたりして動物100を装置本体2に追い立てることができる。
【0031】
動物100が装置本体2の収容空間5に完全に入ると、操作部4を引いて扉体3を閉じる。操作部4は、中継部14の後方で結ぶ等して緩まないようにするとよい。
【0032】
最後に、図6に示すように、動物100が入った動物取出装置1を入院用ケージ101から取り出し、処置室等の必要な場所に移動し、扉体3を開いて動物100を出させ、注射等の必要な処置を施したり、運動、散歩をさせ、あるいは飼い主に引き渡したりすることができる。
【0033】
以上のように、本実施形態では、扉体3を開けた状態で装置本体2を入院用ケージ101に挿入し、装置本体2を押し込みながら操作部4を操作して扉体3を閉じるだけで、動物100を装置本体2に追い込むことができるので、動物100が暴れても、容易に取り出すことができる。
【0034】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、請求の範囲に記載の発明の要旨から逸脱することなく、適宜修正し、変更することができる。
【0035】
例えば、前記実施形態では、操作部4として紐状体を使用したが、図7に示すように、リンク機構15を用いたものでもよい。リンク機構15は、2つのリンク16a、16bと、操作ロッド17とで構成されている。各リンク16a、16bの一端は扉体3に回動可能に連結され、他端は連結ピン18により互いに回動可能に連結されている。操作ロッド17の一端は連結ピン18に連結され、他端は装置本体2の後方からガイド19に沿って前後方向に押し引き操作可能になっている。
【0036】
扉体3が閉じた状態で操作ロッド17を前方に押すと、2つのリンク16a、16bが扉体3を押すので、扉体3を開くことができる。逆に、操作ロッド17を後方に引くと、2つのリンク16a、16bが扉体3を引き戻すので、扉体3を閉じることができる。このようにリンク機構15を操作することで、前記実施形態と同様に、入院用ケージ101の動物100を取り出すことができる。リンク機構15を用いた場合は、リンク機構15の動作で扉体3を開閉できるので、扉体3を開き方向に付勢する捩じりばねや、扉体3を開いた状態に保持する保持機構は必ずしも設ける必要はない。
【0037】
また、操作部4として、モータにより電動で扉体3を開閉するものでもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、扉体3は装置本体2の開口部6を左右に開閉するものであるが、図8に示すように、上下に開閉するようにしてもよい。この場合、上の扉体3は、自重で下がらないように開く方向に付勢する捩じりばねを設ける必要があるが、下の扉体3は自重で下がるので、捩じりばねは必ずしも必要ではない。また、図9(a)に示すように、下の扉体3のみ設けてもよい。下の扉体3のみ設けると、下の扉体3に動物が乗った時点で扉体3を引き上げれば、動物を装置本体2の収容空間5に滑り込ませることができる。なお、図9(b)に示すように、下の扉体3を短くして、下の扉体3を閉じたときに上方に動物が出られない程度の隙間Sを設けてもよい。
【0039】
前記実施形態において、扉体3を閉じた状態に保持するために、扉体3と装置本体2との間にマグネットやローラーキャッチを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
前記実施形態の動物病院用入院ケージから動物を取り出す動物取出し装置について説明したが、本発明は、動物園の檻、害獣用の箱罠等から動物を取り出す動物取出装置としても利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 動物取出装置
2 装置本体
3 扉体
4 操作部
5 収容空間
6 開口部
7 覗き窓
8 ハンドル
9 車輪
10 蝶番
11 アームストッパ
12 捩じりばね
13 取付具
14 中継部
15 リンク機構
16a,16b リンク
17 操作ロッド
18 連結ピン
19 ガイド
100 動物
101 入院用ケージ
102 ドア
103 出入口

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9