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特許7496081フィルム状物選別機、選別システム、及びフィルム状物選別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】フィルム状物選別機、選別システム、及びフィルム状物選別方法
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/00 20060101AFI20240530BHJP
   B07B 13/14 20060101ALI20240530BHJP
   B07B 4/02 20060101ALI20240530BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20240530BHJP
   B07C 5/02 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 1/20 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 1/18 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20240530BHJP
   B26D 1/06 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B07B13/00
B07B13/14
B07B4/02
B07C5/342
B07C5/02
B26D1/20 Z
B26D1/18
B26D1/14 B
B26D1/08
B26D7/08 A
B26D1/06 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019186452
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021058871
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(73)【特許権者】
【識別番号】394006174
【氏名又は名称】テクニカマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋仁
(72)【発明者】
【氏名】大山 博民
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-068249(JP,A)
【文献】特開2003-126784(JP,A)
【文献】特開2005-246276(JP,A)
【文献】特開2019-000844(JP,A)
【文献】特開2001-252581(JP,A)
【文献】特開2006-130417(JP,A)
【文献】特開2019-098477(JP,A)
【文献】特開昭60-241975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
B02C 13/00-13/31,18/00-18/38
B07C 1/00-99/00
B26D 1/00-1/24
B09B 1/00-5/00
B09C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状物を引っ掛ける引掛け部と、
前記引掛け部が取り付けられ、回転駆動又は循環駆動される支持部材と、
前記支持部材に巻き付いた異物を切断する切断部と、
を備え、
前記切断部は、回転運動又は往復運動する刃を備え、
前記切断部は、前記刃が回転運動又は往復運動しながら移動することで前記異物を切断し、
前記異物を切断するときに、前記切断部が備える刃の一部が、前記支持部材の外周面よりも内側に位置することを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項2】
フィルム状物を引っ掛ける引掛け部と、
前記引掛け部が取り付けられ、回転駆動又は循環駆動される支持部材と、
前記支持部材に巻き付いた異物を切断する切断部と、
を備え、
前記切断部は、回転運動又は往復運動する刃を備え、
前記切断部は、前記刃が回転運動又は往復運動しながら移動することで前記異物を切断し、
前記切断部は、振動カッタから構成されることを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部は、前記支持部材の外周面の近傍で前記異物を切断することを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部が備える刃は、前記支持部材の外周面の幅と平行な方向に移動可能であることを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部は、駆動が停止された状態の前記支持部材の上部において、前記異物を切断することを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部が備える刃が、異物を切断する切断位置と、駆動される前記支持部材及び前記引掛け部と干渉しない退避位置と、の間で移動可能であることを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部が備える刃は、前記支持部材の外周面の幅に平行な直線状の経路に沿って移動可能であり、
前記切断部は、前記経路に沿って刃を移動させることで異物を切断し、
前記経路に前記退避位置が定められていることを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項8】
請求項6に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部の刃は、前記切断位置から上昇して前記支持部材から離れることで前記退避位置に移動することを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部は、切断砥石から構成される刃を備えることを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載のフィルム状物選別機であって、
前記切断部は、輪郭が円形である刃を備えることを特徴とするフィルム状物選別機。
【請求項11】
フィルム状物選別機と、
前記フィルム状物選別機の下流に配置される材質選別機と、
を備え、
前記フィルム状物選別機は、
フィルム状物を引っ掛ける引掛け部と、
前記引掛け部が取り付けられ、回転駆動又は循環駆動される支持部材と、
前記支持部材に巻き付いた異物を切断する切断部と、
を備え、
前記切断部は、回転運動又は往復運動する刃を備え、
前記切断部は、前記刃が回転運動又は往復運動しながら移動することで前記異物を切断することを特徴とする選別システム。
【請求項12】
回転駆動又は循環駆動される支持部材に取り付けられる引掛け部を有するフィルム状物選別機を用いて、フィルム状物を前記引掛け部により引っ掛けて選別する選別工程と、
前記支持部材に巻き付けられた異物を、前記フィルム状物選別機が備える切断部により切断する切断工程と、
を含み、
前記切断工程において、刃が回転運動又は往復運動しながら移動することで前記異物を切断し、
前記切断部が前記異物を切断するときに、前記切断部が備える刃の一部が、前記支持部材の外周面よりも内側に位置することを特徴とするフィルム状物選別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、フィルム状物が混在する物の中からフィルム状物を選別する選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々なゴミの中からゴミ袋を掻き揚げて吹き飛ばすことによって、ゴミの中に混在するゴミ袋を選別して回収する除袋機が知られている。特許文献1は、この種の除袋機を開示する。
【0003】
特許文献1の除袋機は、ホッパーと、受け材と、除袋羽根と、エアー供給装置と、を備え、ホッパーと受け材との間に回転自在に配置された除袋羽根によって掻き揚げられた袋体を一方向に吹き飛ばすことで当該袋体を排出口から排出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-176333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のような除袋機においては、ゴミに混入されたバンド、ロープ、テープ、電線等の細長い物が、除袋羽根が植設された回転軸に絡まることによって、回転の障害になることがある。従って、回転軸に絡まる異物を適宜のタイミングで取り除く必要がある。
【0006】
従来、この異物の除去作業は、除袋機を止めた状態で手作業により行われていた。従って、作業者の負担が大きくなっていた。また、異物除去作業に長時間を要することが多く、ラインの効率が低下する原因となっていた。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、支持部材に巻き付いた異物の除去作業の負担を大幅に軽減できるフィルム状物選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のフィルム状物選別機が提供される。即ち、このフィルム状物選別機は、引掛け部と、支持部材と、切断部と、を備える。前記引掛け部は、フィルム状物を引っ掛ける。前記支持部材は、前記引掛け部が取り付けられ、回転駆動又は循環駆動される。前記切断部は、前記支持部材に巻き付いた異物を切断する。前記切断部は、回転運動又は往復運動する刃を備える。前記切断部は、前記刃が回転運動又は往復運動しながら移動することで前記異物を切断する。前記切断部は、前記異物を切断するときに、前記切断部が備える刃の一部が、前記支持部材の外周面よりも内側に位置する。
【0010】
本発明の第2の観点によれば、以下のフィルム状物選別方法が提供される。即ち、このフィルム状物選別方法は、選別工程と、切断工程と、を含む。前記選別工程では、回転駆動又は循環駆動される支持部材に取り付けられる引掛け部を有するフィルム状物選別機を用いて、フィルム状物を前記引掛け部により引っ掛けて選別する。前記切断工程では、前記支持部材に巻き付けられた異物を、前記フィルム状物選別機が備える切断部により切断する。前記切断工程において、刃が回転運動又は往復運動しながら移動することで前記異物を切断する。前記切断部が前記異物を切断するときに、前記切断部が備える刃の一部が、前記支持部材の外周面よりも内側に位置する。
【0011】
これにより、支持部材に巻き付いた異物をフィルム状物選別機で切断することができ、当該異物を支持部材から取り除く作業の手間を大幅に減らすことができる。異物を広範囲にわたって容易に切断することができる。ドラムに巻き付けられた異物に切断刃を深く入れて確実に切断することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転体に対する異物除去作業の負担を大幅に軽減できるフィルム状物選別機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプラスチック選別システムの構成を示す概念図。
図2】除袋機の構成を示す側面一部断面図。
図3】除袋機の正面概略断面図。
図4】ケーシングの内部に配置される回転体及び引掛け部の構成を示す斜視図。
図5】ドラムに形成された隙間の位相が切断刃と一致する様子を示す側面図。
図6】変形例に係る切断装置を示す正面概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプラスチック選別システムの構成を示す概念図である。
【0015】
本実施形態のプラスチック選別システム(選別システム)100は、複数の材質を含む混合原料から所定の材質のものを選別するシステムである。本実施形態のプラスチック選別システム100は、再利用可能なプラスチックをゴミから選別するために用いられる。このプラスチック選別システム100は、図1に示すように、除袋機(フィルム状物選別機)1と、プラスチック選別機(材質選別機)8と、を備える。
【0016】
本実施形態において、再利用のために選別されるゴミはポリエチレンテレフタラート(PET)を原料とする容器であり、これは通称PETボトルと呼ばれている。PETボトルは、例えば家庭ゴミとして排出される。PETボトルの殆どは、例えばポリエチレン(PE)を原料とするゴミ袋に入れられた状態で、除袋機1が設置される工場に搬入される。
【0017】
図1に示す除袋機1は、ゴミの中からゴミ袋を分離するために用いられる。除袋機1は、ゴミ袋を破って内部のゴミをゴミ袋から出す図略の破袋機の下流側に配置される。破袋機の構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、例えば、回転刃によってゴミ袋を破る構成のものを用いることができる。破袋機を通過したゴミには、破られたゴミ袋(フィルム状物)が混入されている。除袋機1によりゴミ袋を選別して取り除くことで、PETボトルのリサイクル品の品質を向上させることができる。
【0018】
ゴミ袋を含むゴミは、コンベア10によって、除袋機1の下部を通過するように搬送される。除袋機1はコンベア10の上に架設されており、ゴミ袋を含むゴミは除袋機1の下部に供給される。
【0019】
プラスチック選別機8は、混合原料であるゴミが流れる方向において除袋機1の下流側に配置される。プラスチック選別機8は、様々なゴミから、プラスチック製のもの(例えば、PP、PE、PET、PS、PVC等を材質とするもの)を風力で選別するように構成されている。プラスチック選別機8は、様々な材質のプラスチックのうち1又は2種類の材質のものを他と分けて回収する。
【0020】
図1に示すように、プラスチック選別機8は、主として、第1搬送コンベア81と、光源ランプ82と、検出器83と、制御部84と、第2搬送コンベア86と、第3搬送コンベア87と、エアノズル88と、電磁弁89と、を備える。
【0021】
第1搬送コンベア81は、除袋機1によりゴミ袋を取り除いたゴミを搬送する。
【0022】
光源ランプ82は、第1搬送コンベア81の上方に配置されている。光源ランプ82は、第1搬送コンベア81により搬送されてきたゴミに対して、近赤外線等を照射する。
【0023】
検出器83は、第1搬送コンベア81の上方であって、光源ランプ82により照射されたゴミから反射した光を検出できる位置に配置されている。検出器83は、第1搬送コンベア81の幅方向で走査しながらゴミからの反射光を検出し、得られた検出データを制御部84に出力する。
【0024】
制御部84は公知の制御コンピュータとして構成されており、検出器83から受信した検出データに基づいて、検出器83の下方を通過したゴミが選別品であるか否か(具体的には、ゴミの材質がPETであるか否か)を判定する。また、制御部84は、選別品が検出器83の下方を通過した場合は、当該選別品が第1搬送コンベア81の幅方向で何れの位置を通過したかを、検出データに基づいて取得する。
【0025】
第1搬送コンベア81の下流端の近傍には、エアノズル88が配置される。このエアノズル88は、適宜の圧縮空気源と、配管によって接続される。この配管の中途部には電磁弁89が配置されており、制御部84は電磁弁89に電気的に接続される。制御部84は、電磁弁89を開閉制御することにより、エアノズル88からの圧縮空気の噴射/停止を切り換えることができる。
【0026】
制御部84は、検出器83の検出領域を通過したゴミが選別品であると判定した場合、当該選別品が第1搬送コンベア81の下流側端部から落下するタイミングの前後で、エアノズル88から圧縮空気が噴射されるように電磁弁89を制御する。これにより、第1搬送コンベア81により搬送してきた選別品を第2搬送コンベア86に向けて吹き飛ばすことができる。
【0027】
図1ではエアノズル88は1つしか示されていないが、実際は、エアノズル88は第1搬送コンベア81の幅方向で複数並べて配置される。電磁弁89は、それぞれのエアノズル88に対応して設けられている。制御部84は、第1搬送コンベア81の幅方向での選別品の位置に基づいて、当該位置に対応するエアノズル88から圧縮空気が選択的に噴射されるように電磁弁89を制御する。これにより、選別精度を上げることができる。
【0028】
制御部84は、検出器83の検出領域を通過したゴミが選別品でないと判定した場合、エアノズル88から圧縮空気が噴射されないように電磁弁89を制御する。この結果、ゴミは、第1搬送コンベア81より下側に配置された第3搬送コンベア87に落下する。
【0029】
プラスチック選別機8は、このようにして、選別品のプラスチックを、複数の材質を含むゴミから選別して振り分けることができる。
【0030】
次に、図2から図4を参照して、除袋機1の構成を詳細に説明する。図2は、除袋機1の構成を示す側面一部断面図である。図3は、除袋機1の正面概略断面図である。図4は、ケーシング2の内部に配置されるドラム6及び引掛け部7の構成を示す部分斜視図である。
【0031】
除袋機1は、図2に示すように、主として、ケーシング2と、掻揚げ部3と、空気噴射部4と、切断装置5と、を備える。
【0032】
ケーシング2は、脚部21と、ケース本体22と、芯管23と、を備える。
【0033】
脚部21は、上下方向に細長い部材であり、ケーシング2の下部に4つ設けられている。脚部21は、コンベア10の近傍であって、コンベア10を挟んで幅方向両側に2つずつ設けられる。4つの脚部21は、コンベア10の上方に設けられたケース本体22を支持する。
【0034】
ケース本体22は、複数の金属板によって中空状に形成されている。ケース本体22の内部には、掻揚げ部3の一部及び切断装置5の一部が収容されている。ケース本体22は、下部(コンベア10と対面する部分)を開放するように形成されている。
【0035】
ケース本体22の上部には、排出口24が斜め上向きに形成されている。排出口24には、導出管25が接続されている。導出管25は図略の負圧源(例えば、ブロア)に接続されており、この導出管25を介して、ケース本体22の内部空間の空気を排出口24から吸引することができる。
【0036】
ケース本体22の上部において、排出口24とは別の場所に点検口26が形成されている。オペレータは、当該点検口26から、ケース本体22の内部の状況を確認することができる。
【0037】
芯管23は、図3に示すように、ケース本体22を水平な向きに貫通して取り付けられている。芯管23は、コンベア10の幅方向と平行に延びるように細長く形成された管状部材から構成される。芯管23には、ベアリング27を介して掻揚げ部3が回転可能に取り付けられている。従って、芯管23は、掻揚げ部3の回転中心に配置された支軸として機能する。
【0038】
芯管23は中空状に形成されており、その一端には、図示しない圧縮空気源(例えば、ブロア)が接続されている。これにより、後述の空気噴射部4に圧縮空気を供給することができる。
【0039】
掻揚げ部3は、コンベア10により搬送されるゴミ及びゴミ袋に作用して掻き揚げる。掻揚げ部3は、ドラム(支持部材)6と、引掛け部7と、を備える。
【0040】
ドラム6は、引掛け部7を、その先端が所定のループ状の軌跡を描くように移動させる。ドラム6は、中空の籠状に形成されている。ドラム6は円筒状に形成され、図3等に示すように、ベアリング27を介して、芯管23に対して回転可能に取り付けられている。
【0041】
ドラム6は、図2及び図4等に示すように、フランジ板61と、エッジ部材62と、連結部材63と、架設部材66と、を備える。
【0042】
フランジ板61は、図3に示すように、ドラム6の軸方向両端に1つずつ配置されている。それぞれのフランジ板61は円板状に形成されており、その中心部が前記ベアリング27を介して芯管23に回転可能に支持される。
【0043】
図3に示すように、一側のフランジ板61には、チェーン機構35を構成するスプロケットが固定されている。ケース本体22には、メインモータ36が固定されている。メインモータ36の動力がチェーン機構35を介してドラム6に伝達され、ドラム6が回転駆動される。
【0044】
エッジ部材62は、ドラム6に8つ設けられ、何れもドラム6の回転軸方向に延びる細長い棒状の部材として形成されている。それぞれのエッジ部材62は、2つのフランジ板61の外周部同士を連結している。エッジ部材62は、2つ1組で、フランジ板61の外周を周方向で4つに分割するように、4組が等角度間隔で並べて設けられている。図4には、1つの組をなす2つのエッジ部材62が描かれているが、4つの組は何れも同一の構成である。8つのエッジ部材62は、何れも平行に配置されている。
【0045】
それぞれの組において、エッジ部材62は、組をなす相手のエッジ部材62との間で、ドラム6の周方向に小さな隙間(通過空間)64を形成するように配置される。この隙間64はドラム6の回転軸方向に延びており、回転軸方向でドラム6の全体にわたって形成されている。言い換えれば、隙間64は、円筒状に形成されたドラム6の外周面の幅方向に細長く形成されるとともに、外周面の幅の全体にわたって形成されている。ドラム6の全体で見たときに、隙間64は、円筒状のドラム6の外周面を周方向で等しく分割するように4つ配置される。4つの隙間64は何れも同一の形状であり、それぞれの隙間64はドラム6の径方向外側を解放させている。
【0046】
2つのフランジ板61のそれぞれには、隙間64に対応する位置に、径方向外側を解放させた切欠き65が形成される。この切欠き65は、図4に示すように、隙間64の長手方向端部に繋がっている。
【0047】
連結部材63は、4つの隙間64の角度間隔に実質的に相当する中心角(即ち、およそ90°)を有する円弧板状に構成されている。ただし、図3においては、連結部材63は省略されている。連結部材63は、周方向で隣り合う組に属するエッジ部材62同士を互いに連結するように、それぞれのエッジ部材62に固定されている。
【0048】
連結部材63は、4つの隙間64により周方向で分割されたドラム6の外周面をそれぞれ形成するように、多数配置されている。また、連結部材63は、図4に示すように、ドラム6の外周面の幅方向で適宜の間隔をあけて複数並べて設けられている。ただし、何れの連結部材63も、隙間64の開口を塞がないように、当該隙間64を避けて配置されている。
【0049】
図4に示すように、それぞれの連結部材63には、矩形の貫通孔63aが多数並べて形成されている。この結果、連結部材63は格子状となっている。これにより、後述の空気噴射部4から吹き出される空気流を実質的に遮らないようにすることができる。
【0050】
架設部材66は、ドラム6に4つ設けられ、何れもドラム6の回転軸方向に延びる細長い棒状の部材として形成されている。それぞれの架設部材66は、2つのフランジ板61同士を連結している。架設部材66は、フランジ板61に対し、等角度間隔で周方向に4つ並べて設けられている。4つの架設部材66は、何れも同じ構成となっている。
【0051】
架設部材66は、図2に示すように、エッジ部材62及び連結部材63よりも、ドラム6の径方向内側に配置されている。4つの架設部材66は何れも、隙間64を避けた位相となるように配置されている。
【0052】
引掛け部7は、ゴミ及びゴミ袋に接触して掻き揚げる。引掛け部7は、ドラム6が備える架設部材66に取り付けられ、ドラム6の回転に伴って回転する。
【0053】
引掛け部7は、4つの架設部材66のそれぞれに取り付けられている。図3及び図4に示すように、1つの架設部材66に対して引掛け部7は、当該架設部材66の長手方向(ドラム6の外周面の幅方向)で適宜の間隔をあけて複数取り付けられている。
【0054】
それぞれの引掛け部7は、図4に示すように、ベース部71と、爪部72と、を備える。
【0055】
ベース部71は、架設部材66にボルト等を介して取り付けられる。ベース部71は、爪部72の一端に形成されたコイル状のバネ部73を支持する。
【0056】
爪部72は、適宜の弾性を有する棒状部材を円弧状に湾曲して構成されている。爪部72の一端は、連結部材63と連結部材63との間の隙間から径方向外側に突出している。このようにしてドラム6から突出した爪部72の先端部に、ゴミ袋を引っ掛けることができる。
【0057】
爪部72を構成する棒状部材において、ドラム6から突出する側と反対側の端部には、捩りコイルバネ状のバネ部73が一体的に形成されている。バネ部73(コイル状の部分)は、ドラム6の回転軸と平行な向きの軸を中心に回転可能となるように、ベース部71に支持される。また、バネ部73から引き出された棒状部材の端部が、ベース部71に固定される。
【0058】
この構成で、ドラム6が回転すると、それぞれの爪部72は円状の軌跡を描いて回転する。この軌跡の下部において、爪部72の先端はケース本体22の下面の開口から下に突出して、コンベア10の搬送面の近傍を通過する。この過程で、爪部72は、搬送面に乗って搬送されるゴミ及びゴミ袋に接触して、ケーシング2の内部に向かって斜め上へ掻き揚げる。
【0059】
ゴミ袋は可撓性を有するフィルム状であり、軽い。従って、ゴミ袋は、棒状の爪部72に引っ掛かり易く、また、その引っ掛かった状態を保ち易い。一方で、PETボトルは、変形しにくく、表面が滑り易く、比較的重い。従って、PETボトルは、爪部72に引っ掛かりにくく、また、引っ掛かったとしてもその状態を保ちにくい。この結果、ほぼゴミ袋だけが、爪部72によってケース本体22内の上部空間に運ばれる。
【0060】
なお、ゴミ排出者の過誤等により、コンベア10によって搬送されるゴミにはPETボトル以外に様々なものが混じることが考えられ、例えば、硬く重い石等の障害物が混入することがある。この点、本実施形態では、ドラム6の回転に伴って爪部72の先端がそのような障害物に接触した場合でも、爪部72は、バネ部73を変形させつつ、ベース部71との接続部分を中心にして回転するように退避することができる。爪部72が障害物を通過すると、バネ部73の復元力により、爪部72の先端は元の位置に戻る。このようにして、爪部72の破損を防止することができる。
【0061】
空気噴射部4は、掻揚げ部3が備えるドラム6の内部に配置されている。空気噴射部4は、空気を噴射するノズルを備える。ノズルには、排出口24に向かうように斜め上を向く噴出口が、ドラム6の外周面の幅と平行に細長く形成される。
【0062】
ノズルは、芯管23の内部空間を通じて、前述の圧縮空気源に接続される。これにより、空気噴射部4は、圧縮空気源から導入された圧縮空気を排出口24に向かって噴射する。
【0063】
爪部72により掻き揚げられたゴミ袋は、空気噴射部4により噴射された空気及び導出管25内に形成された吸引流によって、排出口24へ吹き飛ばされる。なお、仮に爪部72によってPETボトルがケース本体22内の上部空間まで持ち上げられ、空気噴射部4と対面する位置まで至ったとしても、重いPETボトルは排出口24まで吹き飛ばされることなく、コンベア10に落下する。このようにして風選別が行われ、ゴミ袋をゴミ(PETボトル)の中から選択的に取り除くことができる。排出口24まで運ばれたゴミ袋は、排出口24及び導出管25を介して、別の適宜の場所へ排出される。
【0064】
なお、上述したとおり、ゴミにはPETボトル以外に様々なものが混入し得る。バンド、ロープ、テープ、電線等の細長いものがゴミに混じっていると、そのような細長いゴミが引掛け部7により引っ掛けられ、引掛け部7に絡まって外れずに、図5に示すようにドラム6の外周面に巻き付けられることがある。以下の説明では、ドラム6に巻き付けられた長尺状のゴミを異物と称する。異物がドラム6に巻き付いて絡まると、掻揚げ部3の駆動の障害になり、また、異物がゴミ袋の掻揚げの邪魔になって選別精度が低下する。
【0065】
この点に関し、本実施形態の除袋機1においては、ドラム6に巻き付けられた異物を取り除くための切断装置5を更に備えている。
【0066】
切断装置5は、図3等に示すように、レール51と、走行台車52と、走行モータ53と、切断モータ54と、吊下部材55と、切断刃57と、を備える。
【0067】
レール51は、ケース本体22の上方に固定される。レール51は直線状に細長く形成されており、その長手方向は、ドラム6の外周面の幅方向と平行となっている。レール51の近傍には、チェーン機構56が配置されている。
【0068】
走行台車52は、回転可能な複数のローラを介してレール51に支持され、レール51に沿って走行することができる。走行台車52は、レール51に沿って配置されたチェーン機構56のチェーンに固定される。
【0069】
走行モータ53は、レール51を支持する図略の部材に固定されている。走行モータ53は、チェーン機構56のスプロケットを回転駆動することにより、チェーンを介して走行台車52を移動させることができる。走行モータ53は正逆の両方向に駆動できるように構成されており、これにより、走行台車52を往復移動させることができる。
【0070】
切断モータ54は、走行台車52に固定されている。切断モータ54の出力軸は、吊下部材55の内部に差し込まれている。
【0071】
吊下部材55は、上下方向に細長い中空の部材として構成され、走行台車52に固定されている。吊下部材55の内部には、図略のベルト機構が配置されている。
【0072】
切断刃57は、吊下部材55の下端部に回転可能に支持されている。切断刃57は、その下端がドラム6の上端よりも少し低くなるように配置されている。
【0073】
切断刃57には入力軸が固定され、この入力軸は、吊下部材55の内部に差し込まれている。切断刃57の入力軸は、吊下部材55の内部に配置されたベルト機構を介して、切断モータ54の出力軸と連結される。
【0074】
この構成で、ドラム6の停止中に切断モータ54及び走行モータ53を駆動することで、切断刃57は、回転しながら、ドラム6の上端部近傍を、ドラム6の回転軸方向に平行な方向に移動する。このとき、回転する切断刃57の下部が切欠き65を経由して隙間64に入り、当該隙間64に差し込まれた状態で通過する。これにより、ドラム6に巻き付けられた異物を、ドラム6の上部で切断することができる。
【0075】
切断刃57は、輪郭が円形の刃(鋸刃等のような凹凸を有しない刃)として構成されることが好ましい。これにより、回転する切断刃57に異物が引っ掛かって暴れることを回避でき、異物を好適に切断することができる。また、刃に凹凸がないので、異物の切断時に衝撃が加わっても刃が破損しにくく、耐久性を高めることができる。
【0076】
更に言えば、切断刃57は、切断砥石により構成されることが好ましい。これにより、一般的に切断が難しい金属等からなる異物であっても、容易に切断することができる。
【0077】
ドラム6が回転して爪部72でゴミ袋を掻き揚げているときは、切断刃57は、図3の実線で示すように、掻揚げ部3に対して、ドラム6の軸方向一側に退避している。これにより、引掛け部7によるゴミ袋の掻揚げの邪魔にならないようにすることができる。
【0078】
以下の説明では、図3の鎖線で示すように切断刃57が隙間64を通過している位置を切断位置と呼び、実線で示すようにドラム6から軸方向一側に退避している位置を退避位置と呼ぶことがある。
【0079】
本実施形態では、切断刃57は、レール51に沿う直線状の経路に従って平行移動しながら異物を切断する。従って、切断位置は、図3の鎖線で示す位置だけでなく、隙間64の長さ方向のほぼ全域である。前述の退避位置は、この経路の端部に配置されている。走行モータ53を駆動することで、切断刃57を切断位置と退避位置との間で、上記の経路に沿って移動させることができる。
【0080】
なお、爪部72がドラム6から突出する部分の位相は、当該ドラム6に形成された隙間64の位相と異なっている。これにより、異物の切断のための切断刃57の経路に爪部72が干渉するのを防止できる。
【0081】
続いて、ドラム6に巻き付けられた異物を切断する切断動作について、図3等を参照して詳細に説明する。
【0082】
本実施形態の除袋機1は、異物に対する切断動作を、ドラム6の回転停止中にのみ実行可能に構成されている。具体的には、除袋機1に、切断動作を指示する図略の操作ボタン(切断指示部材)が設けられている。
【0083】
ゴミ袋の選別のためにドラム6が回転駆動されているとき、切断装置5は、切断刃57を図3の実線の退避位置とする。ドラム6が回転しているときは、操作ボタンの操作は無効化される。これにより、誤操作による装置の破損等を回避できる。
【0084】
ドラム6の停止中に操作ボタンが押されると、ドラム6に配置される4つの隙間64のうち何れかが真っすぐ上に向く状態となるまで、ドラム6が回転して停止する。これにより、図5に示すように切欠き65及び隙間64の位相が切断刃57と一致し、切断刃57が切欠き65及び隙間64を通過できる状態となる。
【0085】
その後、走行モータ53及び切断モータ54がそれぞれ駆動される。これにより、切断刃57を回転させながら、走行台車52がドラム6の回転軸に平行な方向に走行する。この結果、切断刃57は退避位置から切断位置に移動し、回転運動しながらドラム6の外周面の幅方向に移動することで異物を切断する。
【0086】
切断刃57の移動の過程において、切断刃57の下部は隙間64の内部に入っており、この結果、切断刃57の下部がドラム6の外周面よりも径方向内側に位置する。これにより、ドラム6に巻き付けられた異物に切断刃57を深く入れて確実に切断することができる。
【0087】
切断刃57の移動ストロークは、ドラム6の外周面の幅を実質的に含むように定めることが好ましい。これにより、異物がドラム6の外周面のどの部分に巻き付いたとしても、小さな切断刃57で安定して切断することができる。
【0088】
切断刃57(走行台車52)が切断位置において1回往復し、図3の実線の退避位置に戻ると、走行モータ53及び切断モータ54は回転を停止し、切断動作が完了する。
【0089】
切断装置5は、ドラム6の外周面の近傍を切断刃57が通過することで、異物を切断する。従って、ドラム6に巻き付いた異物を確実に切断することができる。
【0090】
また、切断装置5は、切断刃57により、ドラム6の上部において異物を切断する。従って、切断刃57により切断された異物は、殆どの場合、直ちにドラム6から離れて重力でコンベア10に落下する。従って、切断後の異物をドラム6から取り除く作業が容易である。切断刃57が移動して切断した後、自動的にドラム6を少し回転させて、異物の落下を促しても良い。勿論、切断後の異物を作業者の手作業によって取り除いても良い。
【0091】
ドラム6に隙間64は4つ設けられているので、上記のように1つだけの隙間64に対して切断刃57を通過させるのではなく、2つ以上の隙間64に対して切断刃57を順に通過させるように構成しても良い。例えば、ある隙間64の位相が切断刃57と一致するようにドラム6を回転させ、切断刃57を通過させた後、ドラム6を180°回転させることで反対側の隙間64の位相を切断刃57と一致させ、同様に切断刃57を通過させることが考えられる。これにより、ドラム6に対して異物が重度に巻き付いている場合でも、その異物を容易にドラム6から取り除くことができる。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態の除袋機1は、引掛け部7と、ドラム6と、切断装置5と、を備える。引掛け部7は、ゴミ袋を引っ掛ける。ドラム6には、引掛け部7が取り付けられ、回転駆動される。切断装置5は、ドラム6に巻き付いた異物を切断する。
【0093】
また、本実施形態では、選別工程と、切断工程と、を含む方法により、ゴミからゴミ袋を選別する。選別工程では、回転駆動されるドラム6に取り付けられる引掛け部7を有する除袋機1を用いて、ゴミ袋を引掛け部7により引っ掛けて選別する。切断工程では、ドラム6に巻き付けられた異物を、除袋機1が備える切断装置5により切断する。
【0094】
これにより、ドラム6に巻き付けられた異物を除袋機1で切断することができ、当該異物をドラム6から取り除く作業の手間を大幅に減らすことができる。
【0095】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5は、ドラム6の外周面の近傍で異物を切断する。
【0096】
これにより、ドラム6の外周面に巻き付いた異物を確実に切断することができる。
【0097】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5は、回転運動する切断刃57を備える。
【0098】
これにより、異物を容易に切断することができる。
【0099】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5は、切断刃57が回転運動しながら移動することで異物を切断する。
【0100】
これにより、異物を広範囲にわたって容易に切断することができる。
【0101】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5の切断刃57は、ドラム6の外周面の幅と平行な方向に移動可能である。
【0102】
これにより、異物がドラム6の外周面の様々な場所に巻き付いた場合でも、当該異物を安定して切断することができる。
【0103】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5は、回転駆動が停止された状態のドラム6の上部において、異物を切断する。
【0104】
これにより、異物の切断作業を適切に行うことができる。また、ドラム6に巻き付いた異物は、上部において切断されると、自重によってドラム6への巻付きを解除するように下方へ滑り落ちることが多くなる。これにより、異物を更に容易に取り除くことができる。
【0105】
また、本実施形態の除袋機1において、異物を切断するときに、切断装置5が備える切断刃57の一部が、ドラム6の外周面よりも内側に位置する。
【0106】
これにより、ドラム6の外周面に巻き付いた異物を確実に切断することができる。
【0107】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5が備える切断刃57が、異物を切断する切断位置と、駆動されるドラム6及び引掛け部7と干渉しない退避位置と、の間で移動可能である。
【0108】
これにより、ドラム6を駆動してゴミ袋の選別作業を行うときに、切断刃57とドラム6及び引掛け部7との干渉を回避できる。
【0109】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5が備える切断刃57は、ドラム6の外周面の幅に平行な直線状の経路に沿って移動可能である。切断装置5は、前記経路に沿って切断刃57を移動させることで異物を切断する。その経路に前記退避位置が定められている。
【0110】
これにより、異物の切断のために切断刃57を移動させるための構成(走行台車52等)を活用して、切断刃57を退避させることができる。従って、切断装置5の構成を簡素化することができる。
【0111】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5は、切断砥石から構成される切断刃57を備える。
【0112】
これにより、金属刃等では切断が難しい異物であっても、切断砥石を用いることで確実に切断することができる。
【0113】
また、本実施形態の除袋機1において、切断装置5は、輪郭が円形である切断刃57を備える。
【0114】
これにより、鋸刃等に比べて刃の輪郭が滑らかなので、刃の部分が破損しにくく、耐久性を高めることができる。
【0115】
また、本実施形態のプラスチック選別システム100は、除袋機1と、プラスチック選別機8と、を備える。プラスチック選別機8は、除袋機1の下流に配置される。
【0116】
これにより、ゴミから特定の材質のものを良好に選別することができる。また、除袋機1においてドラム6に巻き付けられた異物を短時間で取り除くことができるので、プラスチック選別システム100のダウンタイムを短縮し、稼動率を上げることができる。
【0117】
次に、切断装置5の変形例を説明する。図6は、変形例に係る切断装置5xを示す断面図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0118】
本変形例の切断装置5xは、図6に示すように、上刃機構58と、下刃機構59と、を備え、上下方向で向かい合う上刃58aと下刃59aによって異物を切断する。なお、図6においては、ドラム6の内部を分かり易く示すために、架設部材66及び引掛け部7等が省略されている。
【0119】
上刃機構58は、ケース本体22の上部に取り付けられている。上刃機構58は、上刃58aを、伸縮リンク機構を介して上下に移動可能に支持する。上刃58aは矩形状の金属刃として構成されており、その下縁にV字状の刃が形成されている。上刃58aは、ドラム6の回転軸と平行な方向に細長く形成され、その長さは、ドラム6の外周面の幅より僅かに短くなっている。
【0120】
下刃機構59は、ドラム6の内部の空気噴射部4に取り付けられている。下刃機構59は、下刃59aを、伸縮リンク機構を介して上下に移動可能に支持する。下刃59aは矩形状の金属刃として構成されており、その上縁にV字状の刃が形成されている。下刃59aは、ドラム6の回転軸と平行な方向に細長く形成され、その長さは、ドラム6の外周面の幅より僅かに短くなっている。
【0121】
ゴミ袋の選別のためにドラム6が回転駆動されているときは、上刃58a及び下刃59aは、図6(a)に示す退避位置にある。これにより、ドラム6の回転を確保できる。一方、ドラム6の停止中に上述の操作ボタンが押されると切断動作が開始され、隙間64の位相が上刃58a及び下刃59aと合うようにドラム6が回転して停止した後、上刃58a及び下刃59aが、図6(b)に示す切断位置に移動する。このとき、下刃59aは隙間64を通過して、ドラム6の外周面から上側(外側)に突出する。異物は、ドラム6の外周面の上部の近傍で、上刃58aと下刃59aとにより挟まれて切断される。その後、上刃58a及び下刃59aは図6(a)の退避位置に戻り、切断動作が完了する。
【0122】
本変形例において、上刃58aは、退避位置から下降することで切断位置に移動する。下刃59aは、退避位置から上昇することで切断位置に移動する。
【0123】
本変形例の切断装置5xは、下刃59aが隙間64を上下方向に通過するので、フランジ板61に切欠き65を形成する必要はない。
【0124】
切断装置5xは上記の構成に限定されない。例えば、上刃58aと下刃59aとで異物を挟んで切断する位置が、隙間64の内部となっていても良い。また、ドラム6の径方向(上下方向)でなく回転軸方向で向かい合う2つの刃が、回転軸方向に移動することで、異物を挟み込んで切断しても良い。
【0125】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0126】
掻揚げ部3の構成は、上記に限定されず、適宜に変更することができる。例えば、エッジ部材62(隙間64)、連結部材63及び引掛け部7の数を適宜に増減することができる。また、連結部材63を円弧の棒状に形成しても良い。
【0127】
図2から図5までに示す実施形態において、切断刃57を上下方向に移動させることで、切断位置と退避位置との間で切断刃57を移動させても良い。これを実現させる構成は様々であるが、例えば、適宜の昇降機構によって、レール51及び走行台車52とともに切断刃57を昇降させることが考えられる。また、吊下部材55を走行台車52の下部に対して回転可能に支持し、吊下部材55を回転させることで、切断刃57を切断位置から退避位置へ引き上げるように構成しても良い。この場合は、変形例(図6)と同様に、図3の実線で示す退避位置のためのスペースを確保する必要がなくなるので、ドラム6の外周面の幅方向で除袋機1を小型化することが容易になる。
【0128】
切断刃57は、ドラム6の上部以外の部分(例えば、下部又は横部)において異物を切断しても良い。
【0129】
円筒状のドラム6に代えて、循環駆動される無限軌道をケース本体22の内部に収容し、この無限軌道に引掛け部7が取り付けられても良い。この場合、切断装置5は、無限軌道に巻き付いた異物を切断することになる。
【0130】
切断モータ54を省略して、切断刃57の部分にエアモータを設け、エアモータによって切断刃57を直接駆動するように構成しても良い。これにより、切断装置5の構成の簡素化を実現することができる。
【0131】
上記の実施形態において、切断装置5の切断刃57は回転運動しながら異物を切断する。これに代えて、刃が小さなストロークで往復運動しながら異物を切断するように構成しても良い。この構成として、例えば、直線状の刃を振動させる振動カッタを切断刃57の部分に配置することが考えられる。
【0132】
空気噴射部4は、ドラム6の内部に設ける構成に限定せず、ゴミ袋を排出口24に向かって吹き飛ばすことができれば、他の位置に設けても良い。
【0133】
ゴミは、コンベア10によって除袋機1の下側から供給される構成に限定せず、例えば、除袋機1の斜め上側から導入されても良い。
【0134】
本発明のフィルム状物選別機は、ゴミ袋だけでなく、様々なフィルム状物を他の物から選別するために用いることができる。
【0135】
上記プラスチック選別機8は、上記プラスチック製のものに限定されず、他の材質のものを選別することもできる。即ち、プラスチック選別機8により選別されるものは、材料によって限定されない。
【0136】
本発明の選別システムは、プラスチックの選別だけでなく、他の様々な材質の選別(例えば、金属、ガラスの選別等)に用いることができる。また、本発明の選別システムは、何らかの材質のものをゴミ以外から選別するために用いることもできる。
【符号の説明】
【0137】
1 除袋機(フィルム状物選別機)
5 切断装置(切断部)
6 ドラム(支持部材)
7 引掛け部
8 プラスチック選別機(材質選別機)
100 プラスチック選別システム(選別システム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6