(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】整流作用を有する制御回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
H02M7/12 K
(21)【出願番号】P 2020014927
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(73)【特許権者】
【識別番号】516131843
【氏名又は名称】ANP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-175455(JP,A)
【文献】特開2010-187530(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を印加する電源と、
当該電源と各一端が接続された第1電路乃至第4電路と、
前記第2電路及び前記第3電路の他端と、一端が接続された第5電路と、
前記第1電路
及び前記第4電路の各他端が接続されると共に、前記第1電路の接続点と前記第4電路の接続点の間で、前記第5電路の他端が接続された第7電路を備え、
前記第1電路上では、電位が高い順に、第1抵抗素子、第1ダイオードが直列に設けられ、
前記第2電路上では、第1バイポーラトランジスタが直列に設けられ、
前記第3電路上では、第2バイポーラトランジスタが直列に設けられ、
前記第4電路上では、電位が高い順に、第2抵抗素子、第2ダイオードが直列に設けられ、
前記第7電路は、一端にアノード端子、他端にカソード端子を有し、また、当該アノード端子側にソースを接続し、当該カソード端子側にドレインを接続することで、前記第7電路上では、電界効果トランジスタが
、前記第5電路の接続点と前記第4電路の接続点の間に、直列に設けられ、
前記第1バイポーラトランジスタのベースは、前記第1抵抗素子と前記第1ダイオードの間の位置で、前記第1電路と接続され、
前記第2バイポーラトランジスタのベースは、前記第2抵抗素子と前記第2ダイオードの間の位置で、前記第4電路と接続され、
前記電界効果トランジスタのゲートは、前記第2バイポーラトランジスタより電位が高い位置で、前記第3電路と接続され
前記第1抵抗素子の抵抗値は、前記第2抵抗素子の抵抗値より大きいことを特徴とする、整流作用を有する制御回路。
【請求項2】
前記第3電路上には、前記電界効果トランジスタの接続点より電位が高い位置に、第3抵抗素子が直列に設けられ、また、前記第5電路上には、第4抵抗素子が直列に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の整流作用を有する制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流作用を有する制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なPN接合のダイオードは、電圧降下VFによって、約0.6(V)の電力損失(≒電力ロス)が生じてしまう。
【0003】
ところで、順方向電圧特性(≒電圧降下VF)が低い素子として、ショットキーバリアダイオードがある。
【0004】
例えば、特許文献1では、集積回路上を占有する面積が少なく、製造する際に必要な処理ステップが少ない。また、接合スパイクの影響を受ける可能性が少なく、ポリシリコンプロセスを使用して集積回路内に形成する従来のショットキーダイオード装置と比較して、より製造が容易であるショットキーダイオード及びその方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金属と半導体との接合によって生じるショットキー障壁を利用した、ショットキーバリアダイオードは、原理的に、リーク電流が大きく、放熱設計を誤ってしまうと熱暴走を起こしてしまうという欠点がある。また、このような原理によって、ショットキーバリアダイオードは、高電圧用(高耐圧)のものが少ない。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するものとして、リーク電流が大きく、放熱設計を誤ってしまうと熱暴走を起こしてしまうという欠点がなく、高電圧にも対応可能で、順方向電圧特性が低く、電力損失が少ない、整流作用を有する制御回路を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、
直流電圧を印加する電源と、
当該電源と各一端が接続された第1電路乃至第4電路と、
前記第2電路及び前記第3電路の他端と、一端が接続された第5電路と、
前記第1電路及び前記第4電路の各他端が接続されると共に、前記第1電路の接続点と前記第4電路の接続点の間で、前記第5電路の他端が接続された第7電路を備え、
前記第1電路上では、電位が高い順に、第1抵抗素子、第1ダイオードが直列に設けられ、
前記第2電路上では、第1バイポーラトランジスタが直列に設けられ、
前記第3電路上では、第2バイポーラトランジスタが直列に設けられ、
前記第4電路上では、電位が高い順に、第2抵抗素子、第2ダイオードが直列に設けられ、
前記第7電路は、一端にアノード端子、他端にカソード端子を有し、また、当該アノード端子側にソースを接続し、当該カソード端子側にドレインを接続することで、前記第7電路上では、電界効果トランジスタが、前記第5電路の接続点と前記第4電路の接続点の間に、直列に設けられ、
前記第1バイポーラトランジスタのベースは、前記第1抵抗素子と前記第1ダイオードの間の位置で、前記第1電路と接続され、
前記第2バイポーラトランジスタのベースは、前記第2抵抗素子と前記第2ダイオードの間の位置で、前記第4電路と接続され、
前記電界効果トランジスタのゲートは、前記第2バイポーラトランジスタより電位が高い位置で、前記第3電路と接続され
前記第1抵抗素子の抵抗値は、前記第2抵抗素子の抵抗値より大きい、整流作用を有する制御回路とした。
【0009】
また、請求項2の発明は、
前記第3電路上には、前記電界効果トランジスタの接続点より電位が高い位置に、第3抵抗素子が直列に設けられ、また、前記第5電路上には、第4抵抗素子が直列に設けられている、請求項1に記載の整流作用を有する制御回路とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る制御回路を適用・使用することによって、一般的な整流ダイオードを適用・使用する場合に比べて、電圧降下VFによる電力損失を低減させることができる。そのため、直流電力で動作する種々の装置・回路に対して、一般的に使用されている整流ダイオードを、本発明に係る制御回路に置き換えることができる。
【0011】
また、本発明に係る制御回路によれば、第1ダイオード及び第2ダイオードに流れる電流に差をつけることによる、いわゆる差動増幅回路を用いる構成であるため、第1ダイオード及び第2ダイオードに高耐圧(高電圧用)のものを用いれば、制御回路を保護する高耐圧用のFETを別途設ける必要はなく、便宜である。
【0012】
また、直流配電システム内で、ダイオードブリッジとして、本発明に係る制御回路を適用・使用することができる。
【0013】
更に、ショットキーバリアダイオードを適用・使用する場合には、熱暴走が生じないように、放熱設計を行う必要があったが、本発明に係る制御回路を適用・使用することによって、放熱設計を行う必要性がなくなり、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態例1の構成回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態例1の構成回路図である。
【
図3】本発明の実施の形態例1の制御回路の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態例1)
まず、本発明の実施の形態例1の整流作用を有する制御回路の構成を
図1に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、直流電圧を印加する電源1に、第1電路21、第2電路22、第3電路23、第4電路24の各一端が接続されている。なお、本実施の形態例1では、電源1は、+(プラス)の直流電圧を印加するVccである。
【0017】
第2電路22及び第3電路23の各他端は、第5電路25の一端と接続されている。
【0018】
第1電路21、第5電路25及び第4電路24の各他端は、第7電路27に接続されている。
【0019】
第1電路21上では、電源1に近く電位が高い順に、第1抵抗素子31、第1ダイオード41が直列に設けられている。なお、第1ダイオード41は、電源1側にアノード(電流を受け入れる電極)が、逆側にカソード(電流を放出する電極)がくるように配置されている。
【0020】
また、第1抵抗素子31の抵抗値は、第2抵抗素子32(後述)の抵抗値より大きく設定される。例えば、本実施例1では、
図2に示すように、第1抵抗素子31の抵抗値を20K(Ω)とし、第2抵抗素子32の抵抗値を10K(Ω)とする。
【0021】
第2電路22上では、第1バイポーラトランジスタ51が直列に設けられている。なお、第1バイポーラトランジスタ51は、電源1側にコレクタ(
図1では「C」と表示)が、逆側にエミッタ(
図1では「E」と表示)がくるように配置されている。また、第1バイポーラトランジスタ51のベース(
図1では「B」と表示)は、第1抵抗素子31と第1ダイオード41の間の位置で、第1電路21と接続されている。なお、本実施の形態例1では、第1バイポーラトランジスタ51は、NPN型である。
【0022】
第3電路23上では、電源1に近く電位が高い順に、第3抵抗素子33、第2バイポーラトランジスタ52が直列に設けられている。なお、第2バイポーラトランジスタ52は、電源1側にコレクタ(
図1では「C」と表示)が、逆側にエミッタ(
図1では「E」と表示)がくるように配置されている。また、第2バイポーラトランジスタ52のベース(
図1では「B」と表示)は、第2抵抗素子32と第2ダイオード42の間の位置で、第4電路24と接続されている。なお、本実施の形態例1では、第2バイポーラトランジスタ52は、NPN型である。また、第3抵抗素子33は、後述する電界効果トランジスタ61(FET)を動作させるために設けられている。その抵抗値は、例えば、10K~20K(Ω)である。
【0023】
第4電路24上では、電源1に近く電位が高い順に、第2抵抗素子32、第2ダイオード42が直列に設けられている。なお、第2ダイオード42は、電源1側にアノード(電流を受け入れる電極)が、逆側にカソード(電流を放出する電極)がくるように配置されている。
【0024】
第2電路22及び第3電路23の各他端は合わせられ、合わせられた他端は、第5電路25の一端と接続されている。第5電路25上には、第4抵抗素子34が直列に設けられている。
【0025】
即ち、本発明の実施の形態例1の整流作用を有する制御回路では、第1バイポーラトランジスタ51と第2バイポーラトランジスタ52を対称形に組み、各バイポーラトランジスタのエミッタを接続して、第4抵抗素子34で接地する構成になっている。なお、本実施の形態例1では、第5電路25上に、第4抵抗素子34を設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、第4抵抗素子34の代わりに、定電流回路を設ける構成としても良い。
【0026】
第7電路27には、第1電路21、第5電路25及び第4電路24の各他端が接続されている。また、第7電路27は、一端にアノード端子271、他端にカソード端子272を有している。
【0027】
また、第7電路27上には、アノード端子271側にソース(
図1では「S」と表示)、カソード端子272側にドレイン(
図1では「D」と表示)といった向きに、電界効果トランジスタ(FET)61が直列に設けられている。そして、電界効果トランジスタ61のゲート(
図1では「G」と表示)は、第6電路26によって、第3抵抗素子33と第2バイポーラトランジスタ52の間の位置で、第3電路23と接続されている。
【0028】
<制御回路の動作>
次に、本発明の実施の形態例1の整流作用を有する制御回路の動作について説明する。
【0029】
本発明を、整流作用を有する制御回路として動作させるために、電界効果トランジスタ(FET)61は、以下のように動作する。
【0030】
入力交流電圧が、+(プラス)方向(アノード端子271からカソード端子272の方向)の場合には、電流が流れるように、電界効果トランジスタ(FET)61のソース・ドレイン間が導通(ON)する。
【0031】
以下、詳しく説明する。アノード端子271からカソード端子272(電界効果トランジスタ61のソースからドレイン)に流れる+(プラス)方向の電流量が多くなると、電界効果トランジスタ61のドレインが-(マイナス)方向にふられ、更に、第2ダイオード42を経由して、第2バイポーラトランジスタ52のベースも-(マイナス)方向にふられるため、第2バイポーラトランジスタ52のコレクタ・エミッタ間は、遮断(OFF)する方向に遷移する。そして、第2バイポーラトランジスタ52のコレクタ・エミッタ間が、遮断(OFF)する方向に遷移するため、第2バイポーラトランジスタ52のコレクタの電位が上昇する。その結果、第6電路26で接続された電界効果トランジスタ61のゲートの電位が上昇し、電界効果トランジスタ61のソース・ドレイン間が導通(ON)する。
【0032】
一方、入力交流電圧が-(マイナス)方向(カソード端子272からアノード端子271の方向)の場合には、電流が流れないように、電界効果トランジスタ(FET)61のソース・ドレイン間を遮断(OFF)する。
【0033】
以下、詳しく説明する。-(マイナス)方向の電流が流れると、第2ダイオード42の電位は逆方向になり、第2ダイオード42には電流が流れなくなる。しかし、第2バイポーラトランジスタ52のベースには、第4電路24上の第2抵抗素子32を経由して電流が流れる。その結果、第2バイポーラトランジスタ52のコレクタ・エミッタ間が導通(ON)する方向に遷移し、コレクタの電位が0(ゼロ)になる。その結果、第6電路26で接続された電界効果トランジスタ61のゲートの電位も0(ゼロ)になり、電界効果トランジスタ61のソース・ドレイン間が遮断(OFF)する。
【0034】
即ち、本発明では、入力交流電圧が+(プラス)方向(アノード端子271からカソード端子272の方向)の場合には、電流を通すが、入力交流電圧が-(マイナス)方向(カソード端子272からアノード端子271の方向)の場合には、電流を遮断するというように、電界効果トランジスタ61は、ダイオードのように動作する。
【0035】
そして、このように本発明に係る整流作用を有する制御回路を構成することによって、一般的なダイオードを適用・使用した場合と比して、電圧降下による電力損失を低減させることができる。
【0036】
従って、例えば、駅構内に設置される電気掲示器や照明装置等の直流電力で動作する種々の装置・回路に対して、整流用に適用・使用されるダイオードを、本発明に係る整流作用を有する制御回路に置き換えて適用・使用することができる。以下、具体的に説明する。従来から、商用電源から交流電力を得て、変圧器で変圧し、整流ダイオードで全波整流し、整流後の直流電力を掲示器や照明装置等に供給している。しかし、この整流ダイオードを本発明に係る整流作用を有する制御回路に置き換えて適用・使用することができる。
【0037】
また、直流配電システム内のダイオードブリッジとして、本発明に係る整流作用を有する制御回路を適用・使用することができる。
【0038】
また、ショットキーバリアダイオードを用いる場合には、熱暴走が生じないように、放熱設計を行う必要があったが、本発明に係る整流作用を有する制御回路では、放熱設計を行う必要がなく、便宜である。
【0039】
ところで、上述したように、第1抵抗素子31の抵抗値は、第2抵抗素子32の抵抗値より大きく設定されている。そのため、第1電路21上に設けられた第1ダイオード41に流れる電流量は少なくなるが、第4電路24上に設けられた第2ダイオード42に流れる電流量は多くなる。その結果、第1バイポーラトランジスタ51のベース電圧は、第2バイポーラトランジスタ52のベース電圧より小さくなる。
【0040】
また、第1ダイオード41に流れる電流量を少なくし、第2ダイオード42に流れる電流量は多くすることによって、これら2つのダイオードの電圧降下VFに差分(非直線性)が生じる。本発明に係る整流作用を有する制御回路は、この差分(非直線性)を差動増幅の入力として動作する、いわゆる差動増幅回路の構成を利用する。
【0041】
以下、詳しく説明する。
図2に示すように、例えば、電源1が20(V)の電圧を印加すると、第1抵抗素子31の抵抗値は、20K(Ω)であるため、第1電路21上には、1m(A)の電流が流れ、第1ダイオード41における電圧降下VFは、1.00(V)となる。
【0042】
一方、第2抵抗素子32の抵抗値は、10K(Ω)であるため、第4電路24上には、2m(A)の電流が流れ、第2ダイオード42における電圧降下VFは、1.04(V)となる。生じたこの差分0.04(V)が、差動増幅の入力となる。また、電界効果トランジスタ61の両端は、0.04(V)に維持される。
【0043】
このように本発明は、第1ダイオード41と第2ダイオード42を使用した差動増幅回路の構成を利用したものであるため、第1ダイオード41と第2ダイオード42に、高耐圧なものを用いれば、検出用高耐圧の電界効果トランジスタ(FET)を別途設ける必要はなく、便宜である。
【0044】
+(プラス)方向(アノード端子271からカソード端子272の方向)の入力交流電圧と、-(マイナス)方向(カソード端子272からアノード端子271の方向)の入力交流電圧の差分が、-(マイナス)になった際に、電界効果トランジスタ61がソース・ドレイン間を必ず遮断(OFF)するように構成しないと、-(マイナス)方向(カソード端子272からアノード端子271の方向)に電流が逆流してしまい、問題である。
【0045】
そのため、本発明に係る整流作用を有する制御回路では、抵抗値の異なる、第1抵抗素子31と第2抵抗素子32を用いて、第1ダイオード41に流れる電流量を少なくし、第2ダイオード42に流れる電流量は多くすることによって、これら2つのダイオードの電圧降下VFに差分を生じさせる構成となっている。
【0046】
その結果、
図3に示すように、+(プラス)方向(アノード端子271からカソード端子272の方向)の入力交流電圧と、-(マイナス)方向(カソード端子272からアノード端子271の方向)の入力交流電圧の差分が、2つのダイオード(第1ダイオード41及び第2ダイオード42)の電圧降下VFの差分の分(例えば、
図3では、40mV(=0.04V))、+(プラス)という状態になった際には、電界効果トランジスタ61はソース・ドレイン間を遮断(OFF)し、電流を通さないようにする。
【0047】
このように、2つのダイオードの電圧降下VFの差分の分、余裕を持った状態でソース・ドレイン間を遮断(OFF)する構成であるため、電流の逆流を確実に防止でき、便宜である。また、コンパレータ等でヒステリシスを設けてしきい値で複雑な制御を行う従来の構成の場合、入力交流電圧の極性が反転するところ(「+」から「-」、又は「-」から「+」の0(ゼロ)の境)で、発振したり等、動作が不安定になる。一方、本発明に係る整流作用を有する制御回路は、入力交流電圧の極性が反転するところでも、リニア(線形)に動作する。
【0048】
<変形例>
なお、本発明の実施の形態例1の整流作用を有する制御回路では、第1抵抗素子31~第4抵抗素子34の4つの抵抗素子を用いる構成を示したが、本構成に限定されるものではない。例えば、これら4つの抵抗素子の一部あるいは全部について、定電流ダイオードやカレントミラー回路を用いる構成としても良い。
【0049】
また、本発明の実施の形態例1では、第1バイポーラトランジスタ51、第2バイポーラトランジスタ52といった、バイポーラトランジスタを用いて、整流作用を有する制御回路を実現する構成を示したが、本構成に限定されるものではない。例えば、本発明に係る整流作用を有する制御回路を、電界効果トランジスタ(FET)を用いて実現しても良い。
【0050】
更に、本発明の実施の形態例1の整流作用を有する制御回路では、第1バイポーラトランジスタ51と第2バイポーラトランジスタ52の各ベースに印加される電圧の差分を増幅する構成を示したが、本構成に限定されるものではない。例えば、第1バイポーラトランジスタ51及び第2バイポーラトランジスタ52の代わりに、オペアンプ、あるいはコンパレータを用いて、入力電圧の差分を増幅する構成としても良い。
【0051】
また、本発明の実施の形態例1では、第1バイポーラトランジスタ51、第2バイポーラトランジスタ52といったNPN型のバイポーラトランジスタを用いて、整流作用を有する制御回路を実現する構成を示したが、本構成に限定されるものではない。例えば、本発明に係る整流作用を有する制御回路を、PNP型のバイポーラトランジスタを用いて実現しても良い。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施の形態例について述べたが、本発明に係る整流作用を有する制御回路は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1:電源、
21:第1電路、22:第2電路、23:第3電路、24:第4電路、25:第5電路、26:第6電路、27:第7電路、271:アノード端子、272:カソード端子、
31:第1抵抗素子、32:第2抵抗素子、33:第3抵抗素子、34:第4抵抗素子、
41:第1ダイオード、42:第2ダイオード、
51:第1バイポーラトランジスタ、52:第2バイポーラトランジスタ、
61:電界効果トランジスタ