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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】磁気センサ及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   H10N 50/10 20230101AFI20240530BHJP
   G01R 33/06 20060101ALI20240530BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20240530BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H10N50/10 Z
G01R33/06
G01R33/02 V
G01R33/02 R
H01L29/82 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021034005
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134693
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁志
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 聡志
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】中谷 友也
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200307(JP,A)
【文献】特開2018-155719(JP,A)
【文献】特開2008-066563(JP,A)
【文献】特開2015-061070(JP,A)
【文献】特開2018-194534(JP,A)
【文献】特開2002-314171(JP,A)
【文献】特開2015-125019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 50/00
H10N 52/00
H10N 59/00
G01R 33/06
G01R 33/02
H01L 29/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁性部材と、
第1対向磁性部材であって、前記第1磁性部材から前記第1対向磁性部材への方向は第1方向に沿う、前記第1対向磁性部材と、
1または複数の第1延在部を含む第1磁気素子と、
を含む第1センサ部を備え、
前記第1延在部は、第1磁性層、第1対向磁性層及び第1非磁性層を含み、
前記第1磁性層は、第1部分と、第1対向部分と、第1中間部分と、を含み、
前記第1部分から前記第1対向部分への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1中間部分は、前記第1部分と前記第1対向部分との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第1中間部分の少なくとも一部と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に第1磁界が印加されたときに第1値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第2磁界が印加されたときに第2値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第3磁界が印加されたときに第3値であり、
前記第1磁界の絶対値は、前記第2磁界の絶対値よりも小さく、前記第3磁界の絶対値よりも小さく、
前記第2磁界の向きは、前記第3磁界の向きと逆であり、
前記第1値は、前記第2値よりも高く、前記第3値よりも高
前記第1延在部は、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1層をさらに含み、
前記第1磁性層は、前記第1層と前記第1非磁性層との間に設けられ、
前記第1延在部は、
前記第1層と前記第1磁性層との間に設けられた第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられ、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む中間層と、
をさらに含み、
前記第2層は、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2層は、Mg、Al、Ti、Ga、Zr、Nb、In、Sn、Hf、Ta、W、及びPbよりなる群から選択された少なくとも1つの元素をさらに含む、磁気センサ。
【請求項2】
第1対応部を含む導電部材をさらに備え、
前記第1対応部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1磁性部材と前記第1対向磁性部材との間の領域と重なり、
交流成分を含む第1電流が前記第1対応部に流れることが可能であり、
前記第1電流は、第3方向に沿って前記第1対応部を流れ、前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1延在部は、第2対向磁性層及び第2非磁性層を含み、
前記第1非磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間部分の一部と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第2非磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間部分の別の一部と前記第2対向磁性層との間にあり、
前記第2非磁性層から前記第1非磁性層への方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記第1磁気素子は、前記複数の第1延在部を含み、
前記複数の第1延在部は、前記第3方向に沿って並ぶ、請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1磁気素子は、第1接続部材をさらに含み、
前記第1接続部材は、前記複数の第1延在部の1つの前記第2対向磁性層と、前記複数の第1延在部の別の1つの前記第1対向磁性層と、を電気的に接続する、請求項4に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記第1センサ部は、別の第1対向磁性部材をさらに含み、
前記第1対向磁性部材は、前記第1方向において、前記第1磁性部材と前記別の第1対向磁性部材との間にあり、
前記第1延在部は、第2対向磁性層及び第2非磁性層をさらに含み、
前記第1磁性層は、第2対向部分と、第2中間部分と、をさらに含み、
前記第1対向部分は、前記第1方向において、前記第1部分と前記第2対向部分との間にあり、
前記第2中間部分は、前記第1対向部分と前記第2対向部分との間にあり、
前記第2非磁性層は、前記第2方向において、前記第2中間部分の少なくとも一部と前記第2対向磁性層との間にある、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記第1磁気素子は、前記複数の第1延在部と、第1接続部材と、を含み、
前記複数の第1延在部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並び、
前記第1接続部材は、前記複数の第1延在部の1つの前記第2対向磁性層と、前記複数の第1延在部の別の1つの前記第2対向磁性層と、を電気的に接続する、請求項6に記載の磁気センサ。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1つに記載の磁気センサと、
前記磁気センサから出力される信号を処理可能な処理部と、
を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気センサ及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性層を用いた磁気センサがある。磁気センサを用いた検査装置がある。磁気センサにおいて、感度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-155719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、感度の向上が可能な磁気センサ及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気センサは、第1センサ部を含む。第1センサ部は、第1磁性部材と、第1対向磁性部材であって、前記第1磁性部材から前記第1対向磁性部材への方向は第1方向に沿う、前記第1対向磁性部材と、1または複数の第1延在部を含む第1磁気素子と、を含む。前記第1延在部は、第1磁性層、第1対向磁性層及び第1非磁性層を含む。前記第1磁性層は、第1部分と、第1対向部分と、第1中間部分と、を含む。前記第1部分から前記第1対向部分への方向は、前記第1方向に沿う。前記第1中間部分は、前記第1部分と前記第1対向部分との間にある。前記第1非磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第1中間部分の少なくとも一部と前記第1対向磁性層との間にある。前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に第1磁界が印加されたときに第1値である。前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第2磁界が印加されたときに第2値である。前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第3磁界が印加されたときに第3値である。前記第1磁界の絶対値は、前記第2磁界の絶対値よりも小さく、前記第3磁界の絶対値よりも小さい。前記第2磁界の向きは、前記第3磁界の向きと逆である。前記第1値は、前記第2値よりも高く、前記第3値よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの一部を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図5図5(a)~図5(c)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図6図6は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図7図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図9図9は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図14図14は、第3実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図15図15は、第3実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図16図16(a)~図16(c)は、第3実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図17図17は、第4実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図18図18は、第3実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図19図19は、第4実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図20図20は、第4実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図21図21は、第4実施形態に係る磁気センサ及び検査装置を示す模式図である。
図22図22は、第4実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図23図23は、磁気センサに関する実験結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~図1(c)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。 図1(a)は、図1(b)のA1-A2線断面図である。図1(b)は、平面図である。図1(c)は、断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ110は、第1センサ部10Aを含む。第1センサ部10Aは、第1磁性部材51と、第1対向磁性部材51Aと、第1磁気素子11Eと、を含む。
【0009】
第1磁性部材51から第1対向磁性部材51Aへの方向は、第1方向に沿う。第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第1磁気素子11Eは、1または複数の第1延在部11xを含む。この例では、第1延在部11xの数は1である。図1(a)及び図1(c)に示すように、第1延在部11xは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nを含む。
【0011】
図1(a)及び図1(b)に示すように、第1磁性層11は、第1部分p1と、第1対向部分pA1と、第1中間部分pM1と、を含む。
【0012】
第1部分p1から第1対向部分pA1への方向は、第1方向(X軸方向)に沿う。第1中間部分pM1は、第1部分p1と第1対向部分pA1との間にある。第1非磁性層11nは、第2方向において、第1中間部分pM1の少なくとも一部と、第1対向磁性層11oと、の間にある。第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。第1部分p1から第1磁性部材51への方向は、第2方向に沿う。第1対向部分pA1から第1対向磁性部材51Aへの方向は、第2方向に沿う。
【0013】
図1(a)に示すように、第1センサ部10Aは、第1絶縁部材65aをさらに含んでも良い。第1絶縁部材65aの少なくとも一部は、第1部分p1と第1磁性部材51との間、及び、第1対向部分pA1と第1対向磁性部材51Aとの間にある。第1絶縁部材65aは、第1磁気素子11E、第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aの周りに設けられても良い。図1(b)においては、第1絶縁部材65aが省略されている。
【0014】
図1(a)に示すように、例えば、第1非磁性層11nの第1方向(X軸方向)における位置は、第1磁性部材51の第1方向における位置と、第1対向磁性部材51Aの第1方向における位置と、の間にある。第1非磁性層11nは、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51と第1対向磁性部材51Aとの間の領域66aと重なる。領域66aは、例えば、第1絶縁部材65aの一部でも良い。
【0015】
第1磁性層11において、第1中間部分pM1、第1非磁性層11n及び第1対向磁性層11oは、例えば、検出部となる。検出部の電気抵抗は、検出対象の磁界に応じて変化する。
【0016】
実施形態において、第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aにより、磁界(検出対象の外部磁界)が集められる。集められた磁界が、第1磁気素子11E(検出部)に効率的に印加できる。第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aは、例えば、MFC(Magnetic Field Concentrator)として機能する。
【0017】
実施形態においては、第1磁性層11の第1部分p1は、Z軸方向において第1磁性部材51と重なる。第1磁性層11の第1対向部分pA1は、Z軸方向において第1対向磁性部材51Aと重なる。これにより、集められた磁界(外部磁界)が、第1部分p1及び第1対向部分pA1に効率良く加わる。集められた磁界が、より効果的に第1磁気素子11E(検出部)に印加される。これにより高い感度が得られる。実施形態によれば、例えば、感度の向上が可能な磁気センサを提供できる。
【0018】
以下、第1磁気素子11Eの電気抵抗の変化の例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図2の横軸は、第1磁気素子11Eに印加される外部磁界Hexの強度である。図2の縦軸は、第1磁気素子11E電気抵抗Rxである。図2は、R-H特性に対応する。外部磁界Hexは、X軸方向の成分を有する。
【0019】
図2に示すように、電気抵抗Rxは、外部磁界Hexに対して偶関数の特性を有する。例えば、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第1磁界Hex1が印加されたときに第1値R1である。電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第2磁界Hex2が印加されたときに第2値R2である。電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第3磁界Hex3が印加されたときに第3値R3である。第1磁界Hex1の絶対値は、第2磁界Hex2の絶対値よりも小さく、第3磁界Hex3の絶対値よりも小さい。第2磁界Hex2の向きは、第3磁界Hex3の向きと逆である。第1値R1は、第2値R2よりも高く、第3値R3よりも高い。
【0020】
例えば、第1磁界Hex1は、実質的に0である。第1磁気素子11Eに外部磁界Hexが印加されないときに、電気抵抗Rxは、第4値R4である。第1値R1は、外部磁界Hexが印加されないときの第4値R4と実質的に同じで良い。例えば、第1値R1と第4値R4との差の絶対値の第4値R4に対する比は、0.01以下である。正負の外部磁界に対して、実質的に偶関数の特性が得られる。このような特性により、後述するように、ノイズが抑制でき、高い感度が得られる。感度の向上が可能な磁気センサを提供できる。
【0021】
図2に例示した特性において、電気抵抗Rxは、外部磁界Hexに対して山型状(上凸状)に変化する。一方、電気抵抗Rxが外部磁界Hexに対して谷型状(下凸状)に変化する構成が考えられる。山型状の構成においては、谷型状の構成に比べて、小さな磁界で抵抗が急峻に変化して、高い感度が得やすいことを実験により見出した(図23参照)。
【0022】
図23は、磁気センサに関する実験結果を示すグラフ図である。
図23の横軸は、磁界Hである。縦軸は抵抗Rである。図23には、2種類の磁気センサの特性が例示されている。山型状の構成においては、谷型状の構成に比べて、絶対値が小さい磁界Hで、抵抗Rが急峻に変化する。
【0023】
磁気センサ110において、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxの変化は、例えば、第1磁性層11の磁化の向きと、第1対向磁性層11oの磁化の向きと、の間の角度の変化に応じている。
【0024】
例えば、外部磁界Hexが実質的に0のときに、第1磁性層11の磁化の向きは、第1対向磁性層11oの磁化の向きに対して逆向きの成分を有する。例えば、外部磁界Hexが実質的に0のときに、第1磁性層11の磁化の向きは、第1対向磁性層11oの磁化の向きに対して逆平行でも良い。逆平行の状態において、第1磁性層11の磁化の向きと、第1対向磁性層11oの磁化の向きと、の間の角度は実質的に180度である。外部磁界Hexが0でない場合に、第1磁性層11の磁化の向きと、第1対向磁性層11oの磁化の向きと、の間の角度が小さくなる。例えば、これらの磁化が、逆平行配列から直交配列に向けて変化する。これより、図2に例示した特性が得られる。
【0025】
図1(a)に示すように、第1導電層11Lが設けられても良い。第1中間部分pM1と第1導電層11Lとの間に第1対向磁性層11oが設けられる。第1導電層11Lは、第1対向磁性層11oと電気的に接続される。
【0026】
図1(b)に示すように、この例では、第1延在部11xは、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nを含む。この例では、第1非磁性層11nは、第2方向(Z軸方向)において、第1中間部分pM1の一部と、第1対向磁性層11oと、の間にある。第2非磁性層12nは、第2方向において、第1中間部分pM1の別の一部と、第2対向磁性層12oと、の間にある。第2非磁性層12nから第1非磁性層11nへの方向は、第3方向に沿う。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(Z-X平面)と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。第1中間部分pM1の別の一部、第2非磁性層12n、及び、第2対向磁性層12oは、1つの検出部となる。
【0027】
第2対向磁性層12oと電気的に接続された別の第1導電層11Lがさらに設けられても良い。
【0028】
第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1対向磁性層11o、第1非磁性層11n、第1磁性層11、第2非磁性層12n及び第2対向磁性層12oを含む電流経路の電気抵抗に対応する。第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1対向磁性層11oと電気的に接続された第1導電層11Lと、第2対向磁性層12oと電気的に接続された別の第1導電層11Lと、の間の電気抵抗に対応する。
【0029】
図1(c)に示すように、第1磁気素子11Eは、第1端部11Ee及び第1他端部11Efを含む。第1端部11Eeは、例えば、上記の別の第1導電層11Lに対応する。第1他端部11Efは、例えば、上記の第1導電層11Lに対応する。電気抵抗Rxは、例えば、第1磁気素子11Eの第1端部11Eeと、第1磁気素子11Eの第1他端部11Efと、の間の電気抵抗に対応する。
【0030】
図1(b)に示すように、磁気センサ110は、素子電流回路75を含んでも良い。素子電流回路75は、第1磁気素子11Eに素子電流Idを供給可能である。素子電流回路75は、例えば、第1磁気素子11Eの第1端部11Ee、及び、第1磁気素子11Eの第1他端部11Efと電気的に接続される。素子電流回路75は、例えば、第1端部11Eeと第1他端部11Efとの間の電流経路に素子電流Idを供給する。素子電流Idにより、第1磁気素子11Eの電気抵抗が検出できる。素子電流回路75は、制御部70に含まれても良い。
【0031】
図1(a)に示すように、第1磁性層11の第1方向(X軸方向)に沿う長さを第1磁性層長さL11とする。第1磁性部材51と第1対向磁性部材51Aとの間の第1方向に沿う距離を第1距離g1とする。例えば、第1磁性層長さL11は、第1距離g1の2倍以上であることが好ましい。これにより、検出対象の磁界が検出部により効率的に印加される。より高い感度が得られる。
【0032】
第1非磁性層11nの第1方向(X軸方向)に沿う長さを第1非磁性層長さL11nとする。第1非磁性層長さL11nは、例えば、第1距離g1以下であることが好ましい。これにより、より高い感度が得易い。
【0033】
第1部分p1の第1方向(X軸方向)に沿う長さを第1部分長さLp1とする。第1部分長さLp1は、第1磁性層11の、第1磁性部材51と重なる領域の長さに対応する。1つの例において、第1部分長さLp1は、第1距離g1よりも長いことが好ましい。高い感度が得易い。第1対向部分pA1の第1方向(X軸方向)に沿う長さを第1対向部分長さLpA1とする。第1対向部分長さLpA1は、第1磁性層11の、第1対向磁性部材51Aと重なる領域の長さに対応する。1つの例において、第1対向部分長さLpA1は、第1距離g1よりも長いことが好ましい。高い感度が得易い。
【0034】
図1(a)に示すように、第1部分p1と第1磁性部材51との間の第2方向(Z軸方向)に沿う距離を距離d1とする。距離d1は、例えば、第1距離g1よりも短いことが好ましい。距離d1は、例えば、第1部分p1の第1方向(X軸方向)に沿う長さ(第1部分長さLp1)以下であることが好ましい。より高い感度が得易い。
【0035】
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの一部を例示する模式的断面図である。
図3(a)及び図3(b)は、第1磁気素子11Eの第1延在部11xを例示している。図3(a)は、図1(b)のA1-A2線断面に対応する断面図である。図3(b)は、図1(b)のA3-A4線断面に対応する断面図である。
【0036】
図3(a)に示すように、第1延在部11xは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nに加えて第1層11Maを含んでも良い。第1層11Maは、例えば、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1層11Maは、例えば、反強磁性層である。第1磁性層11は、第1層11Maと第1非磁性層11nとの間に設けられる。
【0037】
例えば、第1磁性層11の磁化は、例えば、第1層11Maにより制御されても良い。例えば、第1磁性層11の磁化は、Y軸方向に沿っても良い。第1磁性層11の磁化の向きは、第1対向磁性層11oの磁化の向き逆方向の成分を有する。
【0038】
図3(a)に示すように、第1延在部11xは、第2層11Mb及び中間層11Mmを含んでも良い。第2層11Mbは、例えば、第1層11Maと第1磁性層11との間に設けられる。中間層11Mmは、第1層11Maと第2層11Mbとの間に設けられる。中間層11Mmは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2層11Mbは、例えば、合金を含む。第2層11Mbは、例えば、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2層11Mbは、Mg、Al、Ti、Ga、Zr、Nb、In、Sn、Hf、Ta、W、及びPbよりなる群から選択された少なくとも1つの元素(第1元素)をさらに含んでも良い。第2層11Mbにおける第1元素の濃度は、50原子%未満である。第2層11Mbが第1元素を含むことで、例えば、第2層11Mbの上面(第1磁性層11に対向する面)が平坦になりやすい。第2層11Mbが第1元素を含むことで、例えば、第1層11Maに含まれる元素が第1磁性層11に移動(例えば拡散)することが抑制される。中間層11Mmの厚さは、例えば、1nm以上3nm以下である。第2層11Mbの厚さは、例えば、2nm以上5nm以下である。これらの厚さは、Z軸方向に沿う長さである。
【0039】
例えば、第2層11Mbは、Ag及びSnを含む合金、Ag及びMgを含む合金、Ag及びInを含む合金、または、Ag及びGaを含む合金を含む。
【0040】
例えば、第1層11Ma及び第2層11Mbにより、第1磁性層11の磁化が良好に制御される。例えば、第1層11Maにより、中間層11Mmの磁化が1つの方向に制御される。第2層11Mbを介して、中間層11Mmと第1磁性層11との間に、強磁性カップリングが存在する。これにより第1磁性層11の磁化の方向は、中間層11Mmの磁化の方向に沿うように制御される。
【0041】
図3(a)に示すように、第1延在部11xは、第3層11Mc及び第4層11Mdをさらに含んでも良い。第1対向磁性層11oは、第1磁性層11と第層11Mcとの間に設けられる。第3層11Mcは、第1対向磁性層11oと第4層11Mdとの間に設けられる。第3層11Mcは、例えば、Ruを含む。第4層11Mdは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1対向磁性層11oは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1対向磁性層11o及び第4層11Mdは、互いに反強磁性カップリングする。例えば、磁気センサに含まれる層を形成した後に、Y軸方向に沿った磁界中で熱処理が行われる。上記のような反強磁性カップリングにより、第1対向磁性層11oの磁化と、第1磁性層11の磁化と、を互いに逆方向に安定化できる。
【0042】
図3(a)に示すように、第1延在部11xは、第5層11Meを含む。第5層11Meは、たとえば、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5層11Meは、例えば、反強磁性層である。第1対向磁性層11oは、第1磁性層11と第5層11Meとの間に設けられる。第4層11Mdは、第1対向磁性層11oと第5層11Meとの間に設けられる。例えば、第5層11Meにより、第4層11Mdの磁化が制御される。第4層11Mdにより、第1対向磁性層11oの磁化が制御される。第1対向磁性層11oの磁化の向きは、第1磁性層11の磁化の向きよりも変化し難い。第1対向磁性層11oは、例えば、参照層である。例えば、第1磁性層11は、磁化自由層である。例えば、第1層11Maにより、交換結合磁界が第1磁性層11に加わる。交換結合磁界の大きさは、例えば、1Oe以上100Oe以下である。例えば、第1磁性層11の磁化の動き易さを低下させないで、第1磁性層11を単磁区化できる。例えば、感度を低下させないで、低いノイズが得られる。
【0043】
図3(b)に示すように、第1延在部11xは、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nの位置においても、第1層11Ma及び第2層11Mbが設けられて良い。図3(b)に示すように、第1延在部11xは、別の第3層12Mc、別の第4層12Md及び別の第5層12Meを含んでも良い。第2対向磁性層12oは、第1磁性層11と別の第層12Mcとの間に設けられる。別の第3層12Mcは、第2対向磁性層12oと別の第4層12Mdとの間に設けられる。別の第3層12Mcは、例えば、Ruを含む。別の第4層12Mdは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2対向磁性層12oは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2対向磁性層12o及び別の第4層12Mdは、互いに反強磁性カップリングする。
【0044】
図3(b)に示すように、第1延在部11xは、別の第5層12Meを含んでも良い。別の第5層12Meは、たとえば、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。別の第5層12Meは、例えば、反強磁性層である。第2対向磁性層12oは、第1磁性層11と別の第5層12Meとの間に設けられる。別の第4層12Mdは、第2対向磁性層12oと別の第5層12Meとの間に設けられる。例えば、別の第5層12Meにより、別の第4層12Mdの磁化が制御される。別の第4層12Mdにより、第2対向磁性層12oの磁化が制御される。第2対向磁性層12oの磁化の向きは、第1磁性層11の磁化の向きよりも変化し難い。第2対向磁性層12oは、例えば、参照層である。
【0045】
実施形態において、第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nは、非磁性で良い。第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nは、例えば、酸化物を含む。第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nは、例えば、MgOを含む。高いMR比が得られる。例えば、第1磁気素子11E(検出部)は、例えば、MTJ(Magnetic tunnel junction)素子である。
【0046】
第1対向磁性層11o及び第2対向磁性層12oは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11は、例えば、Fe、Co、B及びTaを含む。1つの例において、第1磁性層11は、例えば、Fe、Co、B及びTaを含む層と、Ta層と、CoFeN層と、を含む積層体を含む。これらの層は、Z軸方向に沿って積層される。第1磁性層11、第1対向磁性層11o、第2対向磁性層12o、第4層11Md、及び、別の第4層12Mdは、例えば、強磁性層である。第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aは、例えば、NiFe及びFeAlSiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aは、例えば、軟磁性材料である。第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aの比透磁率は、例えば、1000以上である。
【0047】
図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。 図4(a)は、図4(b)のA1-A2線断面図である。図4(b)は、平面図である。図4(c)は、断面図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ111においても、第1センサ部10Aは、第1磁性部材51と、第1対向磁性部材51Aと、第1磁気素子11Eと、を含む。図4(b)に示すように、磁気センサ111においては、第1磁気素子11Eは、複数の第1延在部11xを含む。
【0048】
複数の第1延在部11xは、第3方向に並ぶ。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(X-Z平面)と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。
【0049】
図4(c)に示すように、複数の第1延在部11xの1つの第1非磁性層11nから複数の第1延在部11xの別の1つの第1非磁性層11nへの方向は、第3方向(Y軸方向)に沿う。
【0050】
図4(b)及び図4(c)に示すように、第1磁気素子11Eは、第1接続部材CN1をさらに含んでも良い。例えば、1つの第1導電層11Lが第1接続部材CN1となっても良い。第1接続部材CN1は、複数の第1延在部11xの1つの第2対向磁性層12oと、複数の第1延在部11xの別の1つの第1対向磁性層11oと、を電気的に接続する。
【0051】
例えば、複数の第1延在部11xのそれぞれに含まれる検出部が、直列に電気的に接続される。例えば、ノイズが抑制される。例えば、検出に適した電気抵抗が得られる。より高い感度が得易い。
【0052】
複数の第1延在部11xのそれぞれは、図3に例示した第1延在部11xの構成と同様の構成を有して良い。
【0053】
図5(a)~図5(c)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。 図5(a)は、図5(b)のA1-A2線断面図である。図5(b)は、平面図である。図5(c)は、断面図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ112において、第1センサ部10Aは、第1磁性部材51、第1対向磁性部材51A及び第1磁気素子11Eを含む。磁気センサ112は、導電部材20をさらに含む。導電部材20は、第1対応部21を含む。磁気センサ112におけるこれ以外の構成は、磁気センサ110の構成と同様で良い。
【0054】
第1対応部21の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51と第1対向磁性部材51Aとの間の領域66aと重なる。交流成分を含む第1電流I1が第1対応部21に流れることが可能である。第1電流I1は、第3方向に沿って第1対応部21を流れる。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(Z-X平面)と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。
【0055】
磁気センサ112は、第1電流回路71を含んでも良い。第1電流回路71は、第1電流I1を導電部材20に供給可能である。第1電流回路71は、第1電流I1を第1対応部21に供給可能である。第1電流回路71は、制御部70に含まれても良い。
【0056】
例えば、第1対応部21は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fを含む。第1導電部分21eは、例えば、Z軸方向において第1端部11Eeと重なる。第1他導電部分21fは、例えば、Z軸方向において第1他端部11Efと重なる。第1電流回路71は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fと電気的に接続される。第1電流I1は、第1導電部分21eと第1他導電部分21fとの間に流れる。第1導電部分21eから第1他導電部分21fへの方向は、Y軸方向に沿う。
【0057】
交流成分を含む第1電流I1が第1対応部21に流れることで、第1電流I1に基づく磁界(交流磁界)が第1磁気素子11Eの検出部に印加される。交流磁界は、例えば、X軸方向に沿う成分を含む。交流磁界は、第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aにより集められる。集められた交流磁界が、検出部に印加される。交流磁界が効率良く検出部に印加される。後述するように、交流磁界を用いることで不要なノイズが抑制される。より高い感度が得られる。
【0058】
図6は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図6の横軸は、導電部材20(第1対応部21)に供給される第1電流I1である。図6の縦軸は、第1磁気素子11E電気抵抗Rxである。図6に示すように、電気抵抗Rxは、第1電流I1に対して偶関数の特性を有する。
【0059】
例えば、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、導電部材20(第1対応部21)に第1値電流Ia1が供給されたときに第1値R1である。電気抵抗Rxは、導電部材20(第1対応部21)に第2値電流Ia2が供給されたときに第2値R2である。電気抵抗Rxは、導電部材20(第1対応部21)に第3値電流Ia3が供給されたときに第3値R3である。第1値電流Ia1の絶対値は、第2値電流Ia2の絶対値よりも小さく、第3値電流Ia3の絶対値よりも小さい。第1値電流Ia1は、例えば、実質的に0で良い。第2値電流Ia2の向きは、第3値電流Ia3の向きと逆である。第1値R1は、第2値R2よりも高く、第3値R3よりも高い。
【0060】
例えば、第1値電流Ia1は、実質的に0である。例えば、第1対応部21に電流が流れないときに、電気抵抗Rxは、第4値R4である。例えば、第1値R1は、電流が流れないときの第4値R4と実質的に同じである。例えば、第1値R1と第4値R4との差の絶対値の第4値R4に対する比は、0.01以下である。比は、0.001以下でも良い。正負の電流に対して、実質的に偶関数の特性が得られる。
【0061】
このような偶関数の特性を利用して、以下のように、高感度の検出が可能である。
以下では、第1電流I1は交流電流であり、直流成分を実質的に含まない場合の例について説明する。第1対応部21に第1電流I1(交流電流)が供給され、交流電流による交流磁界が第1磁気素子11Eに印加される。このときの電気抵抗Rxの変化の例について説明する。
【0062】
図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図7(a)は、第1磁気素子11Eに印加される信号磁界Hsig(外部磁界)が0のときの特性を示す。図7(b)は、信号磁界Hsigが正のときの特性を示す。図7(c)は、信号磁界Hsigが負のときの特性を示す。これらの図は、磁界Hと抵抗R(電気抵抗Rxに対応)との関係を示す。
【0063】
図7(a)に示すように、信号磁界Hsigが0のときは、抵抗Rは、正負の磁界Hに対して対称な特性を示す。交流磁界Hacがゼロのときに、抵抗Rは、高い抵抗Roである。例えば磁化自由層の磁化が、正負の磁界Hに対して実質的に同じように回転する。このため、対称な抵抗の変化が得られる。交流磁界Hacに対する抵抗Rの変動は、正負の極性で同じ値になる。抵抗Rの変化の周期は、交流磁界Hacの周期の1/2倍となる。抵抗Rの変化は、交流磁界Hacの周波数成分を実質的に有しない。
【0064】
図7(b)に示すように、正の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、正の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、例えば抵抗Rが高くなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは低くなる。
【0065】
図7(c)に示すように、負の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、負の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、例えば、抵抗Rが低くなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは高くなる。
【0066】
所定の大きさの信号磁界Hsigが加わったときに、交流磁界Hacの正負に対して、互いに異なる抵抗Rの変動が生じる。交流磁界Hacの正負に対する抵抗Rの変動の周期は、交流磁界Hacの周期と同じである。信号磁界Hsigに応じた交流周波数成分の出力電圧が発生する。
【0067】
信号磁界Hsigが時間的に変化しない場合に上記の特性が得られる。信号磁界Hsigが時間的に変化する場合は、以下となる。信号磁界Hsigの周波数を信号周波数fsigとする。交流磁界Hacの周波数を交流周波数facとする。このとき、fac±fsigの周波数において、信号磁界Hsigに応じた出力が発生する。
【0068】
信号磁界Hsigが時間的に変化する場合において、信号周波数fsigは、例えば、1kHz以下である。一方、交流周波数facは、信号周波数fsigよりも十分に高い。例えば、交流周波数facは、信号周波数fsigの10倍以上である。
【0069】
例えば、交流磁界Hacの周期(周波数)と同じ周期(周波数)の成分(交流周波数成分)の出力電圧を抽出することで、信号磁界Hsigを高い精度で検出できる。実施形態に係る磁気センサ(磁気センサ112または磁気センサ113)においては、このような特性を利用して、検出対象である外部磁界Hex(信号磁界Hsig)を高い感度で検出することができる。実施形態においては、第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aにより、外部磁界Hex(信号磁界Hsig)、及び、第1電流I1による交流磁界Hacを、効率良く第1磁気素子11Eに印加できる。高い感度が得られる。
【0070】
図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図8(a)は、図8(b)のA1-A2線断面図である。図8(b)は、平面図である。
図9は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ113において、第1センサ部10Aは、第1磁性部材51、第1対向磁性部材51A及び第1磁気素子11Eを含む。磁気センサ113は、導電部材20をさらに含む。導電部材20は、第1対応部21を含む。磁気センサ113におけるこれ以外の構成は、磁気センサ111の構成と同様で良い。例えば、図8(a)及び図9に示すように、磁気センサ113において、複数の第1延在部11xが設けられる。
【0071】
磁気センサ113においても、第1対応部21の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51と第1対向磁性部材51Aとの間の領域66aと重なる。交流成分を含む第1電流I1が、第3方向(Y軸方向)に沿って第1対応部21に流れることが可能である。第1電流I1に基づく交流磁界が、第1磁性部材51及び第1対向磁性部材51Aにより集められる。集められた交流磁界が、検出部に効率良く印加される。より高い感度が得られる。
【0072】
第1実施形態に係る磁気センサ(例えば磁気センサ110~113など)において、第1磁気素子11Eの電気抵抗は、第1磁気素子11Eに印加される磁界に対して偶関数の特性を有する。磁界は、例えば、検出対象の外部磁界を含む。磁界は、交流成分を含む第1電流I1に基づく磁界(交流磁界)を含んでも良い。例えば、第1磁気素子11Eの電気抵抗は、第1対応部21に供給される第1電流I1に対して偶関数の特性を有する。既に説明したように、磁界は、X軸方向に沿う成分を含む。
【0073】
磁気センサ113においても、電気抵抗Rxは、磁気センサ112関して説明した特性と同様の特性を有して良い。磁気センサ111~113において、第1延在部11xは、図3(a)及び図3(b)に関して説明した構成を有して良い。
【0074】
(第2実施形態)
図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図10(a)は、図10(b)のA1-A2線断面図である。図10(b)は、平面図である。
図11(a)及び図11(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図10(a)及び図10(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ114は、第1センサ部10Aを含む。第1センサ部10Aは、第1磁性部材51、第1対向磁性部材51A及び第1磁気素子11Eに加えて、別の第1対向磁性部材51Bをさらに含む。
【0075】
第1対向磁性部材51Aは、第1方向(X軸方向)において、第1磁性部材51と、別の第1対向磁性部材51Bとの間にある。
【0076】
図10(a)に示すように、第1延在部11xは、第1磁性層11、第1対向磁性層11o及び第1非磁性層11nに加えて、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nをさらに含む。第1磁性層11は、第1部分p1、第1対向部分pA1及び第1中間部分pM1に加えて、第2対向部分pA2及び第2中間部分pM2をさらに含む。第1対向部分pA1は、第1方向(X軸方向)において、第1部分p1と第2対向部分pA2との間にある。第2中間部分pM2は、第1対向部分pA1と第2対向部分pA2との間にある。
【0077】
図10(a)に示すように、第1非磁性層11nは、第2方向(Z軸方向)において、第1中間部分pM1の少なくとも一部と、第1対向磁性層11oとの間にある。第2非磁性層12nは、第2方向(Z軸方向)において、第2中間部分pM2の少なくとも一部と、第2対向磁性層12oとの間にある。
【0078】
第1磁気素子11Eの電気抵抗は、第1磁性層11、第1対向磁性層11o、第1非磁性層11n、第2非磁性層12n及び第2対向磁性層12oを含む電流経路の電気抵抗に対応する。
【0079】
図10(b)に示すように、この例では、第1磁気素子11Eは、複数の第1延在部11xと、第1接続部材CN1と、を含む。複数の第1延在部11xは、第3方向に沿って並ぶ。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(Z-X平面)と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。
【0080】
図10(b)及び図11(b)に示すように、第1接続部材CN1は、複数の第1延在部11xの1つの第2対向磁性層12oと、複数の第1延在部11xの別の1つの第2対向磁性層1oと、を電気的に接続する。
【0081】
例えば、複数の第1延在部11xの別の1つの第1対向磁性層11oは、第1磁気素子11Eの第1端部11Eeとなる。複数の第1延在部11xの1つの第1対向磁性層11oは、第1磁気素子11Eの第1他端部11Efとなる。
【0082】
図10(b)に示すように、例えば、素子電流回路75が、第1磁気素子11Eの第1端部11Eeと、第1磁気素子11Eの第1他端部11Efと、の間の電流経路に素子電流Idを供給する。素子電流Idの変化により、第1磁気素子11Eの電気抵抗に対応する値を検出できる。
【0083】
図12(a)及び図12(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図12(a)は、図12(b)のA1-A2線断面図である。図13(b)は、平面図である。
図13(a)及び図13(b)は、第2実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図12(a)及び図12(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ115において、第1センサ部10Aは、第1磁性部材51、第1対向磁性部材51A、第1磁気素子11E、及び、別の第1対向磁性部材51Bを含む。磁気センサ115は、導電部材20を含む。導電部材20は、第1対応部21を含む。磁気センサ115におけるこれ以外の構成は、磁気センサ114の構成と同様で良い。
【0084】
磁気センサ115において、第1対応部21は、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51と第1対向磁性部材51Aとの間の領域66a、及び、第1対向磁性部材51Aと別の第1対向磁性部材51Bとの間の領域66aAと重なる。
【0085】
第1電流回路71は、第1対応部21の第1導電部分21e、及び、第1対応部21の第1他導電部分21fと電気的に接続される。第1電流回路71から、交流成分を含む第1電流I1が第1対応部21に供給される。
【0086】
(第3実施形態)
図14図15、及び、図16(a)~図16(c)は、第3実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図14及び図15は、平面図である。図16(a)~図16(c)は、断面図である。
【0087】
図14に示すように、実施形態に係る磁気センサ120は、第1磁気素子11Eを含む第1センサ部10Aに加えて、第2磁気素子12Eを含む第2センサ部10Bと、第3磁気素子13Eを含む第3センサ部10Cと、第4磁気素子14Eを含む第4センサ部10Dと、素子電流回路75と、をさらに含む。
【0088】
第2~第4磁気素子12E~14Eのそれぞれは、第1磁気素子11Eの構成を有して良い。この例では、これらの磁気素子は、磁気センサ113における第1磁気素子11Eの構成を有する。
【0089】
第1磁気素子11Eは、第1端部11Ee及び第1他端部11Efを含む。第2磁気素子12Eは、第2端部12Ee及び第2他端部12Efを含む。第3磁気素子13Eは、第3端部13Ee及び第3他端部13Efを含む。第4磁気素子14Eは、第4端部14Ee及び第4他端部14Efを含む。
【0090】
この例では、第1端部11Eeは、第3端部13Eeと電気的に接続される。第1他端部11Efは、第2端部12Eeと電気的に接続される。第3他端部13Efは、第4端部14Eeと電気的に接続される。第2他端部12Efは、第4他端部14Efと電気的に接続される。
【0091】
図14に示すように、素子電流回路75は、第1端部11Ee及び第3端部13Eeの第1接続点CP1と、第2他端部12Ef及び第4他端部14Efの第2接続点CP2と、の間に素子電流Idを供給可能である。
【0092】
図14に示すように、磁気センサ120は、検出回路73をさらに含んでも良い。検出回路73は、第1他端部11Ef及び第2端部12Eeの第3接続点CP3と、第3他端部13Ef及び第4端部14Eeの第4接続点CP4と、の間の電位の変化を検出可能である。
【0093】
第1~第4磁気素子11E~14Eは、ブリッジ接続される。ブリッジ回路における2つの中点(第3接続点CP3及び第4接続点CP4)の間の電位の変化が検出回路73により検出される。ブリッジ回路により、より高い感度の検出が可能になる。
【0094】
磁気センサ120において、導電部材20は、第1対応部21を含む。既に説明したように、第1対応部21の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51と第1対向磁性部材51Aとの間の領域66aと重なる。
【0095】
図16(a)に示すように、第2センサ部10Bは、第2磁性部材52及び第2対向磁性部材52Aを含む。導電部材20は、第2対応部22を含む。第2対応部22の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第2磁性部材52と第2対向磁性部材52Aとの間の領域66bと重なる。領域66bは、第2絶縁部材65bの一部で良い。
【0096】
図16(b)に示すように、第3センサ部10Cは、第3磁性部材53及び第3対向磁性部材53Aを含む。導電部材20は、第3対応部23を含む。第3対応部23の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第3磁性部材53と第3対向磁性部材53Aとの間の領域66cと重なる。領域66cは、第3絶縁部材65cの一部で良い。
【0097】
図16(c)に示すように、第4センサ部10Dは、第4磁性部材54及び第4対向磁性部材54Aを含む。導電部材20は、第4対応部24を含む。第4対応部24の少なくとも一部は、第2方向(Z軸方向)において、第4磁性部材54と第4対向磁性部材54Aとの間の領域66dと重なる。領域66dは、第4絶縁部材65dの一部で良い。
【0098】
第1対応部21は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fを含む。第2対応部22は、第2導電部分22e及び第2他導電部分22fを含む。第3対応部23は、第3導電部分23e及び第3他導電部分23fを含む。第4対応部24は、第4導電部分24e及び第4他導電部分24fを含む。
【0099】
第1導電部分21eは、例えば、Z軸方向において第1端部11Eeと重なる。第1他導電部分21fは、例えば、Z軸方向において第1他端部11Efと重なる。第2導電部分22eは、例えば、Z軸方向において第2端部12Eeと重なる。第2他導電部分22fは、例えば、Z軸方向において第2他端部12Efと重なる。第3導電部分23eは、例えば、Z軸方向において第3端部13Eeと重なる。第3他導電部分23fは、例えば、Z軸方向において第3他端部13Efと重なる。第4導電部分24eは、例えば、Z軸方向において第4端部14Eeと重なる。第4他導電部分24fは、例えば、Z軸方向において第4他端部14Efと重なる。
【0100】
図15に示すように、この例では、第1導電部分21eは、第3導電部分23eと電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第2導電部分22eと電気的に接続される。第3他導電部分23fは、第4導電部分24eと電気的に接続される。第2他導電部分22fは、第4他導電部分24fと電気的に接続される。
【0101】
図15に示すように、第1電流回路71は、第1他導電部分21f及び第2導電部分22eとの第5接続点CP5と、第3他導電部分23f及び第4導電部分24eの第6接続点CP6と、の間に交流成分を含む第1電流I1を供給可能である。交流成分を含む第1電流I1が用いられることで、ノイズ成分がより抑制される。より高い感度が得られる。
【0102】
例えば、導電部材20に第1電流I1が供給されたときの1つの時刻を第1時刻とする。第1時刻において、素子電流Idは、第1端部11Eeから第1他端部11Efへの向きに第1磁気素子11Eを流れる。第1時刻において、素子電流Idは、第2端部12Eeから第2他端部12Efへの向きに第2磁気素子12Eを流れる。第1時刻において、素子電流Idは、第3端部13Eeから第3他端部13Efへの向きに第3磁気素子13Eを流れる。第1時刻において、素子電流Idは、第4端部14Eeから第4他端部14Efへの向きに第4磁気素子1Eを流れる。
【0103】
第1時刻において、第1電流I1は、第1他導電部分21fから第1導電部分21eへの向きに、第1対応部21を流れる。第1時刻において、第1電流I1は、第2導電部分22eから第2他導電部分22fへの向きに、第2対応部22を流れる。第1時刻において、第1電流I1は、第3導電部分23eから第3他導電部分23fへの向きに、第3対応部2を流れる。第1時刻において、第1電流I1は、第4他導電部分24fから第4導電部分24eへの向きに、第4対応部24を流れる。
【0104】
第1センサ部10Aにおける第1磁気素子11Eに流れる電流の向きと、第1対応部21に流れる電流の向きと、の関係(位相)は、第3センサ部10Cにおける第3磁気素子13Eに流れる電流の向きと、第3対応部23に流れる電流の向きと、の関係(位相)と逆である。第2センサ部10Bにおける第2磁気素子12Eに流れる電流の向きと、第2対応部22に流れる電流の向きと、の関係(位相)は、第4センサ部10Dにおける第4磁気素子14Eに流れる電流の向きと、第4対応部24に流れる電流の向きと、の関係(位相)と逆である。第1センサ部10Aにおける第1磁気素子11Eに流れる電流の向きと、第1対応部21に流れる電流の向きと、の関係(位相)は、第2センサ部10Bにおける第2磁気素子12Eに流れる電流の向きと、第2対応部22に流れる電流の向きと、の関係(位相)と逆である。
【0105】
例えば、図16(a)に示すように、第2磁性部材52から第2対向磁性部材52Aへの方向は第1方向(X軸方向)に沿う。第2磁気素子12Eは、1または複数の第2延在部12xを含む(図14参照)。図16(a)に示すように、第2延在部12xは、第2磁性層12、第2対向磁性層12o及び第2非磁性層12nを含む。第2磁性層12は、第2部分p2と、第2対向部分pA2と、第2中間部分pM2と、を含む。第2部分p2から第2対向部分pA2への方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。第2中間部分pM2は、第2部分p2と第2対向部分pA2との間にある。第2非磁性層12nは、第2方向において、第2中間部分pM2の少なくとも一部と第2対向磁性層12oとの間にある。
【0106】
例えば、図16(b)に示すように、第3磁性部材53から第3対向磁性部材53Aへの方向は第1方向(X軸方向)に沿う。第3磁気素子13Eは、1または複数の第3延在部13xを含む(図14参照)。図16(b)に示すように、第3延在部13xは、第3磁性層13、第3対向磁性層13o及び第3非磁性層13nを含む。第3磁性層13は、第3部分p3と、第3対向部分pA3と、第3中間部分pM3と、を含む。第3部分p3から第3対向部分pA3への方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。第3中間部分pM3は、第3部分p3と第3対向部分pA3との間にある。第3非磁性層13nは、第2方向において、第3中間部分pM3の少なくとも一部と第3対向磁性層13oとの間にある。
【0107】
例えば、図16(c)に示すように、第4磁性部材54から第4対向磁性部材54Aへの方向は第1方向(X軸方向)に沿う。第4磁気素子14Eは、1または複数の第4延在部14xを含む(図14参照)。図16(c)に示すように、第4延在部14xは、第4磁性層14、第4対向磁性層14o及び第4非磁性層14nを含む。第4磁性層14は、第4部分p4と、第4対向部分pA4と、第4中間部分pM4と、を含む。第4部分p4から第4対向部分pA4への方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。第4中間部分pM4は、第4部分p4と第4対向部分pA4との間にある。第4非磁性層14nは、第2方向において、第4中間部分pM4の少なくとも一部と第4対向磁性層14oとの間にある。
【0108】
第2磁気素子12E、第3磁気素子13E及び第4磁気素子14Eは、第1磁気素子11Eと同様の構成を有して良い。第2磁気素子12E、第3磁気素子13E及び第4磁気素子14Eの電気抵抗は、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxと同様の特性を有して良い。
【0109】
(第4実施形態)
第4実施形態は、検査装置に係る。後述するように、検査装置は、診断装置を含んでも良い。
【0110】
図17は、第4実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図17に示すように、実施形態に係る検査装置550は、実施形態に係る磁気センサ(図17の例では、磁気センサ110)と、処理部78と、を含む。処理部78は、磁気センサ110から得られる出力信号SigXを処理する。この例では、処理部78は、センサ制御回路部75c、第1ロックインアンプ75a、及び、第2ロックインアンプ75bを含む。例えば、センサ制御回路部75cにより、第1電流回路71が制御され、第1電流回路71から、交流成分を含む第1電流I1がセンサ部10Sに供給される。第1電流I1の交流成分の周波数は、例えば、100kHz以下である。素子電流回路75から、素子電流Idがセンサ部10Sに供給される。センサ部10Sは、例えば、第1センサ部10Aなどを含む。センサ部10Sは、第1~第4センサ部10A~10Dなどを含んでも良い。検出回路73により、センサ部10Sにおける電位の変化が検出される。例えば、検出回路73の出力が、出力信号SigXとなる。
【0111】
この例では、検査装置550は、磁界印加部76Aを含む。磁界印加部76Aは、検出対象80に磁界を印加可能である。検出対象80は、例えば、検査対象である。検出対象80は、少なくとも、金属などの検査導電部材80cを含む。磁界印加部76Aによる磁界が検査導電部材80cに印加されると、例えば、検査導電部材80cにおいて渦電流が発生する。検査導電部材80cに傷などがあると、渦電流の状態が変化する。渦電流による磁界が、磁気センサ(例えば磁気センサ110など)により検出されることで、検査導電部材80cの状態(例えば傷など)が検査できる。磁界印加部76Aは、例えば、渦電流発生部である。
【0112】
この例では、磁界印加部76Aは、印加制御回路部76a、駆動アンプ76b及びコイル76cを含む。印加制御回路部76aによる制御により、駆動アンプ76bに電流が供給される。電流は、例えば、交流である。電流の周波数は、例えば、渦電流励起周波数である。渦電流励起周波数は、例えば、10Hz以上100kHz以下である。渦電流励起周波数は、例えば、100kHz未満でも良い。
【0113】
例えば、センサ制御回路部75cから、第1電流I1の交流成分の周波数に関する情報(例えば信号でも良い)が、参照波(参照信号)として、第1ロックインアンプ75aに供給される。第1ロックインアンプ75aの出力が第2ロックインアンプ75bに供給される。印加制御回路部76aから、渦電流励起周波数に関する情報(例えば信号でも良い)が、参照波(参照信号)として、第2ロックインアンプ75bに供給される。第2ロックインアンプ75bは、渦電流励起周波数に応じた信号成分を出力可能である。
【0114】
このように、例えば、処理部78は、第1ロックインアンプ75aを含む。第1ロックインアンプ75aには、磁気センサ110から得られる出力信号SigXと、第1電流I1に含まれる交流成分の周波数に対応する信号SigR1と、が入力される。第1ロックインアンプ75aは、第1電流I1に含まれる交流成分の周波数に対応する信号SigR1を参照波(参照信号)とした出力信号SigX1を出力可能である。第1ロックインアンプ75aが設けられることで、ノイズを抑制して、高感度の検出が可能になる。
【0115】
処理部78は、第2ロックインアンプ75bをさらに含んでも良い。第2ロックインアンプ75bには、第1ロックインアンプ75aの出力信号SigX1と、検出対象80(検査対象)に向けて供給される供給信号(この例では磁界印加部76Aによる磁界)の周波数(渦電流励起周波数)に対応する信号SigR2と、が入力される。第2ロックインアンプ75bは、検出対象80(検査対象)に向けて供給される供給信号の周波数に対応する信号SigR2を参照波(参照信号)とした出力信号SigX2を出力可能である。第2ロックインアンプ75bが設けられることで、ノイズをさらに抑制して、さらに高感度の検出が可能になる。
【0116】
検査装置550により、検出対象80の検査導電部材80cの傷などの異常を検査できる。
【0117】
図18は、第3実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図18に示すように、実施形態に係る検査装置551は、実施形態に係る磁気センサ(例えば磁気センサ110)と、処理部78と、を含む。検査装置551における、磁気センサ及び処理部78の構成は、検査装置550におけるそれらの構成と同様で良い。この例においては、検査装置551は、検出対象駆動部76Bを含む。検出対象駆動部76Bは、検出対象80に含まれる検査導電部材80cに電流を供給可能である。検査導電部材80cは、例えば、検出対象80に含まれる配線である。検査導電部材80cに流れる電流80iによる磁界が磁気センサ110により検出される。磁気センサ110による検出結果による異常に基づいて、検査導電部材80cを検査できる。検出対象80は、例えば、半導体装置などの電子装置でも良い。検出対象80は、例えば、電池などでも良い。
【0118】
この例では、検出対象駆動部76Bは、印加制御回路部76a及び駆動アンプ76bを含む。印加制御回路部76aによる制御により、駆動アンプ76bが制御され、駆動アンプ76bから、検査導電部材80cに電流が供給される。電流は、例えば、交流である。電流の周波数は、例えば、検査導電部材80cに交流電流を供給する。交流電流の周波数は、例えば、10Hz以上100kHz以下である。周波数は、例えば、100kHz未満でも良い。この例においても、第1ロックインアンプ75a及び第2ロックインアンプ75bが設けられることで、例えば、ノイズを抑制して、高感度の検出が可能になる。検査装置551の1つの例において、複数の磁気センサ(例えば複数の磁気センサ110)が設けられても良い。複数の磁気センサは、例えば、センサアレイである。センサアレイにより、検査導電部材80cを短時間で検査できる。検査装置551の1つの例において、磁気センサ(例えば磁気センサ110)がスキャンされて、検査導電部材80cが検査されても良い。
【0119】
図19は、第4実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図19に示すように、実施形態に係る検査装置710は、磁気センサ150aと、処理部770と、を含む。磁気センサ150aは、第1~第3実施形態のいずれかに係る磁気センサ及びその変形で良い。処理部770は、磁気センサ150aから得られる出力信号を処理する。処理部770において、磁気センサ150aから得られた信号と、基準値と、の比較などが行われても良い。処理部770は、処理結果に基づいて、検査結果を出力可能である。
【0120】
例えば、検査装置710により、検査対象680が検査される。検査対象680は、例えば、電子装置(半導体回路などを含む)である。検査対象680は、例えば、電池610などでも良い。
【0121】
例えば、実施形態に係る磁気センサ150aは、電池610とともに用いられても良い。例えば、電池システム600は、電池610及び磁気センサ150aを含む。磁気センサ150aは、電池610に流れる電流により生じる磁界を検出できる。
【0122】
図20は、第4実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図20に示すように、磁気センサ150aは、例えば、実施形態に係る複数の磁気センサを含む。この例では、磁気センサ150aは、複数の磁気センサ(例えば、磁気センサ110など)を含む。複数の磁気センサは、例えば、2つの方向(例えば、X軸方向及びY軸方向)に沿って並ぶ。複数の磁気センサ110は、例えば、基板の上に設けられる。
【0123】
磁気センサ150aは、検査対象680(例えば電池610でも良い)に流れる電流により生じる磁界を検出できる。例えば、電池610が異常な状態に近づくと、電池610に異常な電流が流れる場合がある。磁気センサ150aにより異常な電流を検出することで、電池610の状態の変化を知ることができる。例えば、電池610に近づけて磁気センサ150aが置かれた状態で、2つの方向のセンサ群駆動手段を用いて、電池610の全体を短時間で検査できる。磁気センサ150aは、電池610の製造における、電池610の検査に用いられても良い。
【0124】
実施形態に係る磁気センサは、例えば、診断装置などの検査装置710に応用できる。 図21は、第4実施形態に係る磁気センサ及び検査装置を示す模式図である。
図21に示すように、検査装置710の例である診断装置500は、磁気センサ150を含む。磁気センサ150は、第1~第5実施形態に関して説明した磁気センサ、及び、それらの変形を含む。
【0125】
診断装置500において、磁気センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。磁気センサ150が脳磁計に用いられる場合、磁気センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。このサイズは、例えば、MFCを含めた長さである。
【0126】
図21に示すように、磁気センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。磁気センサ150(脳磁計)は、センサ部301を含む。磁気センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0127】
磁気センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。磁気センサ150は、磁気センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0128】
磁気センサ150のサイズは、従来のSQUID磁気センサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0129】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0130】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0131】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。例えば、MRIまたはEEGなどのデータ部514がデータ処理部512と接続される。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0132】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0133】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0134】
実施形態に係る診断装置500は、磁気センサ150と、磁気センサ150から得られる出力信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0135】
図21に示す磁気センサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0136】
被験者を含めた磁気センサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0137】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0138】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。図21に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0139】
図22は、第4実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図22は、心磁計の一例である。この例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0140】
図22に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、図21に関して説明した入出力と同様である。図22に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、図21に関して説明した処理と同様である。
【0141】
生体から発生する磁界などの微弱な磁界を計測する装置として、SQUID (Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)磁気センサを用いる参考例がある。この参考例においては、超伝導を用いるため、装置が大きく、消費電力も大きい。測定対象(患者)の負担が大きい。
【0142】
実施形態によれば、装置が小型にできる。消費電力を抑制できる。測定対象(患者)の負担が軽減できる。実施形態によれば、磁界検出のSN比を向上できる。感度を向上できる。
【0143】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁性部材と、
第1対向磁性部材であって、前記第1磁性部材から前記第1対向磁性部材への方向は第1方向に沿う、前記第1対向磁性部材と、
1または複数の第1延在部を含む第1磁気素子と、
を含む第1センサ部を備え、
前記第1延在部は、第1磁性層、第1対向磁性層及び第1非磁性層を含み、
前記第1磁性層は、第1部分と、第1対向部分と、第1中間部分と、を含み、
前記第1部分から前記第1対向部分への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1中間部分は、前記第1部分と前記第1対向部分との間にあり、
前記第1非磁性層は、前記第1方向と交差する第2方向において、前記第1中間部分の少なくとも一部と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に第1磁界が印加されたときに第1値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第2磁界が印加されたときに第2値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第3磁界が印加されたときに第3値であり、
前記第1磁界の絶対値は、前記第2磁界の絶対値よりも小さく、前記第3磁界の絶対値よりも小さく、
前記第2磁界の向きは、前記第3磁界の向きと逆であり、
前記第1値は、前記第2値よりも高く、前記第3値よりも高い、磁気センサ。
【0144】
(構成2)
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に印加される磁界に対して偶関数の特性を有する、構成1記載の磁気センサ。
【0145】
(構成3)
前記第1磁性層は、Fe、Co、B及びTaを含む、構成1または2に記載の磁気センサ。
【0146】
(構成4)
前記第1延在部は、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1層をさらに含み、
前記第1磁性層は、前記第1層と前記第1非磁性層との間に設けられた、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0147】
(構成5)
前記第1延在部は、
前記第1層と前記第1磁性層との間に設けられた第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられ、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む中間層と、
をさらに含む、構成4記載の磁気センサ。
【0148】
(構成6)
前記第2層は、Ag及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成5記載の磁気センサ。
【0149】
(構成7)
前記第1延在部は、第3層及び第4層をさらに含み、
前記第1対向磁性層は、前記第1磁性層と前記第4層との間に設けられ、
前記第3層は、前記第1対向磁性層と前記第4層との間に設けられ、
前記第3層は、Ruを含み、
前記第4層は、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~6のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0150】
(構成8)
前記第1延在部は、IrMn及びPtMnよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第5層をさらに含み、
前記第1対向磁性層は、前記第1磁性層と前記第5層との間に設けられ、
前記第4層は、前記第1対向磁性層と前記第5層との間に設けられた、構成7記載の磁気センサ。
【0151】
(構成9)
前記第1非磁性層は、酸化物を含む、構成1~8のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0152】
(構成10)
前記第1非磁性層は、絶縁性である、構成1~9のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0153】
(構成11)
第1対応部を含む導電部材をさらに備え、
前記第1対応部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1磁性部材と前記第1対向磁性部材との間の領域と重なり、
交流成分を含む第1電流が前記第1対応部に流れることが可能であり、
前記第1電流は、第3方向に沿って前記第1対応部を流れ、前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、構成1~10のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0154】
(構成12)
前記第1延在部は、第2対向磁性層及び第2非磁性層を含み、
前記第1非磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間部分の一部と前記第1対向磁性層との間にあり、
前記第2非磁性層は、前記第2方向において、前記第1中間部分の別の一部と前記第2対向磁性層との間にあり、
前記第2非磁性層から前記第1非磁性層への方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う、構成1~10のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0155】
(構成13)
前記第1磁気素子は、前記複数の第1延在部を含み、
前記複数の第1延在部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並ぶ、構成12記載の磁気センサ。
【0156】
(構成14)
前記第1磁気素子は、第1接続部材をさらに含み、
前記第1接続部材は、前記複数の第1延在部の1つの前記第2対向磁性層と、前記複数の第1延在部の別の1つの前記第1対向磁性層と、を電気的に接続する、構成13記載の磁気センサ。
【0157】
(構成15)
前記第1センサ部は、別の第1対向磁性部材をさらに含み、
前記第1対向磁性部材は、前記第1方向において、前記第1磁性部材と前記別の第1対向磁性部材との間にあり、
前記第1延在部は、第2対向磁性層及び第2非磁性層をさらに含み、
前記第1磁性層は、第2対向部分と、第2中間部分と、をさらに含み、
前記第1対向部分は、前記第1方向において、前記第1部分と前記第2対向部分との間にあり、
前記第2中間部分は、前記第1対向部分と前記第2対向部分との間にあり、
前記第2非磁性層は、前記第2方向において、前記第2中間部分の少なくとも一部と前記第2対向磁性層との間にある、構成1~10のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0158】
(構成16)
前記第1磁気素子は、前記複数の第1延在部と、第1接続部材と、を含み、
前記複数の第1延在部は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って並び、
前記第1接続部材は、前記複数の第1延在部の1つの前記第2対向磁性層と、前記複数の第1延在部の別の1つの前記第2対向磁性層と、を電気的に接続する、構成15記載の磁気センサ。
【0159】
(構成17)
第2磁気素子を含む第2センサ部と、
第3磁気素子を含む第3センサ部と、
第4磁気素子を含む第4センサ部と、
素子電流回路と、
をさらに備え、
前記第1磁気素子は、第1端部及び第1他端部を含み、
前記第2磁気素子は、第2端部及び第2他端部を含み、
前記第3磁気素子は、第3端部及び第3他端部を含み、
前記第4磁気素子は、第4端部及び第4他端部を含み、
前記第1端部は、前記第3端部と電気的に接続され、
前記第1他端部は、前記第2端部と電気的に接続され、
前記第3他端部は、前記第4端部と電気的に接続され、
前記第2他端部は、前記第4他端部と電気的に接続され、
前記素子電流回路は、前記第1端部及び前記第3端部の第1接続点と、前記第2他端部と前記第4他端部の第2接続点と、の間に素子電流を供給可能である、構成11記載の磁気センサ。
【0160】
(構成18)
前記第2センサ部は、第2磁性部材及び第2対向磁性部材を含み、
前記第3センサ部は、第3磁性部材及び第3対向磁性部材を含み、
前記第4センサ部は、第4磁性部材及び第4対向磁性部材を含み、
前記導電部材は、第2対応部、第3対応部及び第4対応部をさらに含み、
前記第2対応部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第2磁性部材と前記第2対向磁性部材との間の領域と重なり、
前記第3対応部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第3磁性部材と前記第3対向磁性部材との間の領域と重なり、
前記第4対応部の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第4磁性部材と前記第4対向磁性部材との間の領域と重なり、
前記第1対応部は、第1導電部分及び第1他導電部分を含み、
前記第2対応部は、第2導電部分及び第2他導電部分を含み、
前記第3対応部は、第3導電部分及び第3他導電部分を含み、
前記第4対応部は、第4導電部分及び第4他導電部分を含み、
前記導電部材に前記第1電流が供給されたときの第1時刻において、
前記素子電流は、前記第1端部から前記第1他端部への向きに前記第1磁気素子を流れ、
前記素子電流は、前記第2端部から前記第2他端部への向きに前記第2磁気素子を流れ、
前記素子電流は、前記第3端部から前記第3他端部への向きに前記第3磁気素子を流れ、
前記素子電流は、前記第4端部から前記第4他端部への向きに前記第4磁気素子を流れ、
前記第1電流は、前記第1他導電部分から前記第1導電部分への向きに、前記第1対応部を流れ、
前記第1電流は、前記第2導電部分から前記第2他導電部分への向きに、前記第2対応部を流れ、
前記第1電流は、前記第3導電部分から前記第3他導電部分への向きに、前記第3対応部を流れ、
前記第1電流は、前記第4他導電部分から前記第4導電部分への向きに、前記第4対応部を流れ、構成17記載の磁気センサ。
【0161】
(構成19)
前記導電部材に前記第1電流を供給可能な第1電流回路をさらに備え、
前記第1端部は、前記第3端部と電気的に接続され、
前記第1他端部は、前記第2端部と電気的に接続され、
前記第3他端部は、前記第4端部と電気的に接続され、
前記第2他端部は、前記第4他端部と電気的に接続され、
前記第1電流回路は、前記第1他端部及び前記第2端部の第5接続点と、前記第3他端部及び前記第4端部の第6接続点と、の間に前記第1電流を供給可能である、構成18記載の磁気センサ。
【0162】
(構成20)
構成1~19のいずれか1つに記載の磁気センサと、
前記磁気センサから出力される信号を処理可能な処理部と、
を備えた検査装置。
【0163】
実施形態によれば、感度の向上が可能な磁気センサ及び検査装置が提供できる。
【0164】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0165】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気センサに含まれるセンサ部、磁気素子、磁性層、非磁性層、磁性部材、及び回路などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0166】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0167】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気センサ及び検査装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気センサ及び検査装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0168】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0169】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0170】
10A~10D…第1~第4センサ部、 10S…センサ部、 11~14…第1~第4磁性層、 11E~14E…第1~第4磁気素子、 11Ee~14Ee…第1~第4端部、 11Ef~14Ef…第1~第4他端部、 11L…第1導電層、 11Ma~11Me…第1~第5層、 12Mc~12Me…第3~第5層、 11Mm…中間層、 11n~14n…第1~第4非磁性層、 11o~14o…第1~第4対向磁性層、 11x~14x…第1~第4延在部、 20…導電部材、 21~24…第1~第4対応部、 21e~24e…第1導電部分、 21f~24f…第1導電他部分、 51~54…第1~第4磁性部材、 51A~54A…第1~第4対向磁性部材、 51B…別の第1対向磁性部材、 65a~65d…第1~第4絶縁部材、 66a~66d、66aA…領域、 70…制御回路部、 71…第1電流回路、 73…検出回路、 75…素子電流回路、 75a、75b…第1、第2ロックインアンプ、 75c…センサ制御回路部、 76A…磁界印加部、 76B…検出対象駆動部、 76a…印加制御回路部、 76b…駆動アンプ、 76c…コイル、 78…処理部、 80…検出対象、 80c…検査導電部材、 80i…電流、 110~115、120、150、150a…磁気センサ、 301…センサ部、 302…基体、 303…入出力コード、 305…基体、 500…診断装置、 502…制御機構、 504…信号入出力部、 506…センサ駆動部、 508…信号処理部、 510…信号解析部、 512…データ処理部、 514…データ部、 516…画像化診断部、 550、551…検査装置、 600…電池システム、 610…電池、 680…検査対象、 710…検査装置、 770…処理部、 BP…磁束密度、 CN1…第1接続部材、 CP1~CP6…第1~第6接続点、 H…磁界、 Hac…交流磁界、 Hex…外部磁界、 Hex1~Hex3…第1~第3磁界、 Hsig…信号磁界、 I1…第1電流、 Ia1~Ia3…第1~第3値電流、 Id…素子電流、 L11…第1磁性層長さ、 L11n…第1非磁性層長さ、 Lp1…第1部分長さ、 LpA1…第1対向部分長さ、 PL…層、 R、Ro…抵抗、 R1~R4…第1~第4値、 Rx…電気抵抗、 SigR1、SigR2…信号、 SigX、SigX1、SigX2…出力信号、 d1…距離、 g1…第1距離、 p1~p4…第1~第4部分、 pA1~pA4…第1~第4対向部分、 pM1~pM4…第1~第4中間部分
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