(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】薄片化黒鉛及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/225 20170101AFI20240530BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20240530BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240530BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240530BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
C01B32/225
H01G11/36
H01M4/36 C
H01M4/587
H01M4/62 Z
(21)【出願番号】P 2021502290
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2020007576
(87)【国際公開番号】W WO2020175504
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2019035494
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘司
(72)【発明者】
【氏名】中壽賀 章
(72)【発明者】
【氏名】豊田 昌宏
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-105200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203968(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0037329(KR,A)
【文献】国際公開第2017/065067(WO,A1)
【文献】特開2005-272555(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107082421(CN,A)
【文献】米国特許第06149972(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102583350(CN,A)
【文献】特表2017-502168(JP,A)
【文献】KIM, J. et al.,Extremely large, non-oxidized graphene flakes based on spontaneous solvent insertion into graphite i,Carbon,2018年06月30日,Vol. 139,pp.309-316
【文献】YOSHITANI, H. et al.,Preparation of few-layered graphene using Graphite Intercalation Compounds (GICs),Recent Progress in Graphene & 2D Materials Research, Program e-Book,日本,2019年10月09日,9p-59,[検索日 2020.04.02], インターネット:<URL: http://a3-2dmaterials.jp/rpgr2019program/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00 - 32/991
H01G 11/36
H01M 4/36
H01M 4/587
H01M 4/62
G01N 21/65
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン又はグラフェンシートの積層体である、薄片化黒鉛であって、
前記薄片化黒鉛の表面が、アルキルアルデヒドに由来する官能基により修飾されており、
ラマン分光法により前記薄片化黒鉛のラマンスペクトルを測定したときに、該ラマンスペクトルの2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gが、0.5以上、5.0以下であり、
前記薄片化黒鉛におけるハロゲンの含有率が、1000ppm以下である、薄片化黒鉛。
【請求項2】
アルゴンガス雰囲気下、23℃~300℃の温度範囲、及び昇温速度2℃/分で、前記薄片化黒鉛の熱重量分析をしたときに、重量損失が、1.0重量%以上、50重量%以下である、請求項
1に記載の薄片化黒鉛。
【請求項3】
前記薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数が、1層以上、15層以下である、請求項1
又は2に記載の薄片化黒鉛。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛の製造方法であって、
黒鉛のグラフェン層間に少なくともアルカリ金属がインターカレートされた黒鉛層間化合物を用意する工程と、
前記黒鉛層間化合物と
アルキルアルデヒドとを混合することにより、前記黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る工程と、
を備える、薄片化黒鉛の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェン又はグラフェンシートの積層体である、薄片化黒鉛及び該薄片化黒鉛の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂の補強材料、導電性材料、あるいは熱伝導性材料として、炭素材料が広く用いられている。近年では、リチウムイオン二次電池などの二次電池やキャパシタなどの電極材料への利用が検討されている。このような炭素材料としては、黒鉛、カーボンナノチューブ、薄片化黒鉛などが挙げられる。薄片化黒鉛とは、黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛よりも薄いグラフェン又はグラフェンシートの積層体である。
【0003】
薄片化黒鉛の製造方法としては、例えば、黒鉛層間化合物(GIC)を用いた製造方法が知られている。この方法では、黒鉛のグラフェン層間にアルカリ金属をインターカレートする。しかる後、超音波処理や加熱処理などの剥離処理により黒鉛を剥離する。それによって、薄片化黒鉛を得ることができる。
【0004】
また、下記の特許文献1には、黒鉛のグラフェン層間に少なくともアルカリ金属がインターカレートされたGICと、有機ハロゲン化合物とを混合することにより、黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る方法が開示されている。特許文献1では、得られた薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部が、有機ハロゲン化合物により被覆されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、簡便な超音波処理や加熱処理などの従来方法で得られた薄片化黒鉛は、グラフェンシートの積層数が少ないものが得難く、仮にグラフェンシート積層数の少ない薄片化黒鉛が得られた場合でも、樹脂中や溶媒中に薄片化黒鉛を分散させようとすると、薄片化黒鉛が折り込まれたり、カールしたりすることがある。薄片化黒鉛が折り込まれたり、カールしたりすると、例えば、樹脂の機械的強度などの物性を高められない場合がある。
【0007】
また、特許文献1のように、GICと有機ハロゲン化合物とを混合することによって得られた薄片化黒鉛は、例えば、電極材料に用いた場合に、電極が腐食し易いという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、折り込まれたり、カールしたりし難く、しかも電極材料に用いた場合に電極を腐食させ難い、薄片化黒鉛及び該薄片化黒鉛の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者らは、鋭意検討した結果、グラフェン又はグラフェンシートの積層体である、薄片化黒鉛において、ラマンスペクトルの2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/G及びハロゲンの含有率を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る薄片化黒鉛は、グラフェン又はグラフェンシートの積層体である、薄片化黒鉛であって、ラマン分光法により前記薄片化黒鉛のラマンスペクトルを測定したときに、該ラマンスペクトルの2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gが、0.5以上、5.0以下であり、前記薄片化黒鉛におけるハロゲンの含有率が、1000ppm以下である。
【0011】
本発明に係る薄片化黒鉛のある特定の局面では、前記薄片化黒鉛の表面が、カルボニル基を有する化合物に由来する官能基により修飾されている。
【0012】
本発明に係る薄片化黒鉛の他の特定の局面では、前記カルボニル基を有する化合物が、アルデヒド誘導体である。
【0013】
本発明に係る薄片化黒鉛のさらに他の特定の局面では、前記アルデヒド誘導体が、アルキルアルデヒドである。
【0014】
本発明に係る薄片化黒鉛のさらに他の特定の局面では、アルゴンガス雰囲気下、23℃~300℃の温度範囲、及び昇温速度2℃/分で、前記薄片化黒鉛の熱重量分析をしたときに、重量損失が、1重量%以上、50重量%以下である。
【0015】
本発明に係る薄片化黒鉛のさらに他の特定の局面では、前記薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数が、1層以上、15層以下である。
【0016】
本発明に係る薄片化黒鉛の製造方法は、黒鉛のグラフェン層間に少なくともアルカリ金属がインターカレートされた黒鉛層間化合物を用意する工程と、前記黒鉛層間化合物とカルボニル基を有する化合物とを混合することにより、前記黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、折り込まれたり、カールしたりし難く、しかも電極材料に用いた場合に電極を腐食させ難い、薄片化黒鉛及び該薄片化黒鉛の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施例1で得られた薄片化黒鉛の断面における透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図2】
図2は、実施例1で得られた薄片化黒鉛のラマンスペクトルを示す図である。
【
図3】
図3は、実施例2で得られた薄片化黒鉛の断面における透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図4】
図4は、比較例1で得られた薄片化黒鉛の断面における透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図5】
図5は、
図2における2Dバンドのピーク付近を拡大して示す図である。
【
図6】
図6は、実施例3で得られた薄片化黒鉛の断面における透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図7】
図7は、実施例4で得られた薄片化黒鉛の断面における透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0020】
[薄片化黒鉛]
本発明の薄片化黒鉛は、グラフェン又はグラフェンシートの積層体である。本発明においては、ラマン分光法により上記薄片化黒鉛のラマンスペクトルを測定したときに、該ラマンスペクトルの2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gが、0.5以上、5.0以下である。また、上記薄片化黒鉛におけるハロゲンの含有率は、1000ppm以下である。
【0021】
本発明者らは、ラマンスペクトルの2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gに着目し、2D/Gを上記特定の範囲とすることにより、薄片化黒鉛の平面構造を維持することができ、折り込まれたりカールしたりすることを抑制し得ることを見出した。また、同時に薄片化黒鉛のハロゲン含有率に着目し、ハロゲン含有率を上記上限値以下とすることにより、電極材料に用いた場合に生じる電極の腐食を抑制し得ることを見出した。
【0022】
本発明の薄片化黒鉛は、折り込まれたり、カールしたりし難いので、樹脂中での分散性に優れ、樹脂の機械的強度等の物性を効果的に高めることができる。また、樹脂中や溶媒中において平面構造を維持することができるので、ガスバリア性を高めることもできる。
【0023】
また、本発明の薄片化黒鉛は、比2D/Gが上記特定の範囲にあるので、構造上の欠陥も少ない。そのため、難燃性、導電性、及び熱伝導性が高められている。さらに、樹脂中や溶媒中において平面構造を維持することができるので、例えば、電極材料に用いた場合に導電パスを形成しやすく、この点からも導電性を高めることができる。加えて、上述したように電極を腐食させ難い。よって、本発明の薄片化黒鉛は、リチウムイオン二次電池などの二次電池やキャパシタなどの電極材料に好適に用いることができる。
【0024】
本発明においては、ラマンスペクトルの2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gが、0.5以上、好ましくは1.0以上、5.0以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下である。比2D/Gが上記下限値以上である場合、薄片化黒鉛のグラフェン積層数をより一層少なくすることができる。また、薄片化黒鉛の平面構造をより一層確実に維持することができ、折り込まれたりカールしたりすることをより一層確実に抑制することができる。比2D/Gが上記上限値以下である場合、導電性や樹脂の機械的強度等の物性をより一層効果的に高めることができる。
【0025】
本発明において、ラマンスペクトルは、例えばレーザーラマン顕微鏡により、3100cm-1~700cm-1の範囲で取得することができる。レーザーラマン顕微鏡としては、例えば、HORIBA社製、品番「LabRAM ARAMIS」や、Nanophoton社製、品番「Raman touch」を用いることができる。
【0026】
ラマンスペクトルにおける2Dバンドのピークは、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの層数、歪み、及び欠陥構造に由来するピークである。上記2Dバンドのピークは、通常、ラマンスペクトルの2650cm-1~2750cm-1付近に観察される。
【0027】
他方、上記ラマンスペクトルにおけるGバンドのピークは、炭素原子の六員環構造の面内伸縮振動に由来するピ-クである。上記Gバンドのピークは、通常、ラマンスペクトルの1578cm-1~1592cm-1付近に観察される。
【0028】
このような2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gは、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの層数、歪み、及び欠陥構造の指標となる。2DバンドとGバンドとのピーク面積比である比2D/Gが大きいほど、グラフェンシートの積層数が少なくなる傾向がある。また、グラフェンシートの積層数が少なくとも、薄片化黒鉛の平面構造をより一層確実に維持することができ、折り込まれたりカールしたりすることをより一層確実に抑制することができる。
【0029】
なお、ラマンスペクトルにおけるDバンドのピークは、欠陥構造に由来するピ-クである。上記Dバンドのピークは、通常、ラマンスペクトルの1345cm-1~1355cm-1付近に観察される。
【0030】
DバンドとGバンドとのピーク面積比である比D/Gは、薄片化黒鉛の欠陥量の指標となる。DバンドとGバンドとのピーク面積比であるが比D/Gが小さいほど、薄片化黒鉛の欠陥量が少なくなる。
【0031】
従って、本発明の薄片化黒鉛は、比D/Gが、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下である。比D/Gが上記上限値以下である場合、薄片化黒鉛の欠陥量をより一層少なくすることができ、導電性をより一層高めることができる。また、比D/Gの下限値は特に限定されないが、例えば、0.01とすることができる。
【0032】
本発明において、薄片化黒鉛のハロゲン含有率は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下である。薄片化黒鉛のハロゲン含有率が上記上限値以下であると、電極材料に用いた場合に生じる電極の腐食をより一層確実に抑制することができる。また、ハロゲン含有率の下限値は特に限定されないが、例えば、0.01ppmとすることができる。
【0033】
本発明において、ハロゲン含有率は、例えば、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0034】
イオンクロマトグラフィーによるハロゲン含有率の測定は、例えば、以下のようにして測定することができる。
【0035】
まず、薄片化黒鉛に精製水を加え、超音波処理を行うことにより分散液を得る。得られた分散液を遠心分離後、濾過して濾液を得て、それを検液とする。得られた検液を、イオンクロマトグラフィー装置による測定に供し、ハロゲン含有率を求める。イオンクロマトグラフィー装置としては、例えば、Thermo Fisher Scientific社製、DIONEX ICS-1500(カラム:IonPac AS23A(分離カラム))を用いることができる。
【0036】
本発明において、薄片化黒鉛とは、元の黒鉛を剥離処理して得られるものであり、元の黒鉛よりも薄いグラフェン又はグラフェンシート積層体をいう。薄片化黒鉛は、樹脂に少量添加することにより、樹脂の物性を飛躍的に向上させることができる。従って、薄片化黒鉛は、いわゆるナノフィラーとして用いることができる。
【0037】
なお、グラフェンシート積層体であるか否かは、そのX線回折スペクトルについて、CuKα線(波長1.541Å)を用いて測定したときに、2θ=26.4度付近のピーク(グラフェン積層構造に由来するピーク)が観察されるか否かにより確認することができる。X線回折スペクトルは、広角X線回折法によって測定することができる。X線回折装置としては、例えば、SmartLab(リガク社製)を用いることができる。
【0038】
薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、元の黒鉛より少なければよいが、薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、1層以上である。樹脂の引張弾性率等の機械的強度をより一層効果的に高める観点から、グラフェンシートの積層数は少ないほど望ましい。従って、グラフェンシートの積層数は、好ましくは15層以下、より好ましくは10層以下である。
【0039】
薄片化黒鉛の厚みは、好ましくは0.3nm以上、より好ましくは1nm以上、好ましくは30nm以下、より好ましくは10nm以下である。薄片化黒鉛の厚みが上記範囲内にある場合、樹脂の引張弾性率等の機械的強度をより一層効果的に高めることができる。
【0040】
薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法が上記下限値以上である場合、薄片化黒鉛の積層面に交差する方向に加わった外力に対する補強効果をより一層高めることができる。また、薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法が上記上限値以下である場合、補強材として用いた場合に、マトリックス材料(樹脂・金属・セラミック等)へ充填したときに、複合界面による破壊起点もしくは剥離起点となりにくくなる。
【0041】
薄片化黒鉛の厚みに対する薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法の比は、アスペクト比で表される。薄片化黒鉛のアスペクト比は、好ましくは10以上、より好ましくは100以上、好ましくは600000以下、より好ましくは10000以下である。薄片化黒鉛のアスペクト比が上記下限値以上である場合、薄片化黒鉛の積層面に交差する方向に加わった外力に対する補強効果をより一層高めることができる。また、薄片化黒鉛のアスペクト比が大きすぎると、効果が飽和してそれ以上の補強効果が望めないことがある。
【0042】
なお、薄片化黒鉛のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)等を用いて求めることができる。
【0043】
本発明においては、薄片化黒鉛の表面が、カルボニル基を有する化合物に由来する官能基により修飾されていることが好ましい。この場合、薄片化黒鉛が折り込まれたりカールしたりすることをより一層抑制することができる。また、エポキシ樹脂などの高極性の樹脂との相溶性をより一層高めることができる。そのため、薄片化黒鉛の樹脂中での分散性をより一層高めることができ、薄片化黒鉛の少量の添加によっても、樹脂の機械的物性をより一層効果的に高めることができる。
【0044】
カルボニル基を有する化合物は、薄片化黒鉛にグラフトされていてもよい。なお、薄片化黒鉛にカルボニル基を有する化合物に由来する化合物がグラフトされているか否かは、FT-IRや熱重量分析により確認することができる。
【0045】
カルボニル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルデヒド誘導体、ケトン誘導体やエステル誘導体を用いることができる。なかでも、カルボニル基を有する化合物は、アルデヒド誘導体であることが好ましい。この場合、薄片化黒鉛が折り込まれたりカールしたりすることをさらに一層確実に抑制することができる。
【0046】
アルデヒド誘導体としては、特に限定されないが、ベンズアルデヒド、O-フタルアルデヒド、O-アニスアルデヒド、m-アニスアルデヒド、p-アニスアルデヒド、フタルアルデヒド、1-ナフトアルデヒド、9-アントラアルデヒド、グルコース、レチナール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘプタナール、オクタナール、デカナール、イソバレルアルデヒド、グルタルアルデヒド、アズレン-1-カルボキシアルデヒド、又はアセトアセトアルデヒドジメチルアセタール等が挙げられる。なかでも、アルキルアルデヒドであることが好ましい。また、アルキル鎖が直鎖状のアルデヒド誘導体を用いることが好ましい。さらには、アルキル鎖が長いアルデヒド誘導体であることが好ましい。また、アルキル鎖の直鎖部分の炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは7以上である。この場合、薄片化黒鉛が折り込まれたりカールしたりすることをより一層確実に抑制することができる。なお、アルキル鎖の直鎖部分の炭素数の上限値は、例えば、20とすることができる。
【0047】
ケトン誘導体としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キノン、ベンゾキノン、ナフトキノン等を用いることができる。
【0048】
エステル誘導体としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸オクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、ドデカン二酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジオクチル、マレイン酸ジオクチル、トリメチロールプロパントリアセテート、ペンタエリスルトールテトラアセテート等の有機カルボン酸とアルコール類からなるエステル類を用いることができる。
【0049】
なお、これらのカルボニル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
【0050】
本発明においては、アルゴンガス雰囲気下、23℃~300℃の温度範囲、及び昇温速度2℃/分で、薄片化黒鉛の熱重量分析をしたときに、重量損失が、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。この重量損失は、例えば、薄片化黒鉛を被覆しているカルボニル基を有する化合物の含有量に相当する。従って、薄片化黒鉛にカルボニル基を有する化合物がグラフトしている場合、グラフト化率として表される。
【0051】
上記重量損失が上記下限値以上である場合、薄片化黒鉛が折り込まれたりカールしたりすることをより一層抑制することができる。また、上記重量損失が上記上限値以下である場合、薄片化黒鉛そのものの導電性や熱伝導性をより一層高めることができる。
【0052】
[薄片化黒鉛の製造方法]
本発明の薄片化黒鉛は、例えば、以下の工程1及び工程2を備える製造方法により得ることができる。
【0053】
(工程1)
工程1は、黒鉛のグラフェン層間に少なくともアルカリ金属がインターカレートされた黒鉛層間化合物(GIC)を用意する工程である。
【0054】
黒鉛とは、複数のグラフェンシートの積層体である。黒鉛のグラフェンシートの積層数は、通常、10万層~100万層程度である。黒鉛としては、特に限定されず、天然黒鉛や膨張黒鉛などの適宜の原料黒鉛を用いることができる。なお、膨張黒鉛とは、黒鉛のグラフェン層間が天然黒鉛よりも拡げられている黒鉛をいうものとする。膨張黒鉛においては、既にグラフェン層間が拡げられているため、グラフェン層間にアルカリ金属をより一層容易にインターカレートさせることができる。
【0055】
アルカリ金属としては、特に限定されないが、K、Li又はNa等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。アルカリ金属としては、K又はNaを用いることが好ましい。
【0056】
用意するGICは、グラフェン層間にアルカリ金属及びテトラヒドロフラン(THF)がインターカレートされた3元系のGICであることが望ましい。もっとも、本発明においては、グラフェン層間にアルカリ金属のみがインターカレートされた2元系のGICを用意してもよい。
【0057】
3元系のGICは、例えば、THF中にアルカリ金属を溶解させ、続いて黒鉛を添加して撹拌することにより得ることができる。
【0058】
THF中へのアルカリ金属の溶解は、THF及び芳香族炭化水素の混合液中にアルカリ金属を添加することによって行うことが望ましい。この場合、混合液中において、アルカリ金属及び芳香族炭化水素がイオンペアを作るため、アルカリ金属をTHFに配位させることができる。そのため、元来、THF中に溶解し難いアルカリ金属を、容易に溶解させることが可能となる。なお、この操作は不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0059】
THFとしては、特に限定されないが、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を実質的に含有しないものを用いることが望ましい。また、十分に脱水したものを用いることが望ましい。
【0060】
芳香族炭化水素は、多環芳香族炭化水素であることが好ましい。多環芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、ナフタレン、フェナントレン又はアントラセンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
【0061】
このような芳香族炭化水素と黒鉛の電子親和力は、大きく異なる。例えば、黒鉛の電子親和力が1.27eVであるのに対し、ナフタレンの電子親和力は-0.25eVである。そのため、黒鉛と芳香族炭化水素との電子親和力の差を利用することにより、THFに配位したアルカリ金属を、容易にグラフェン層間へインターカレートさせることができる。
【0062】
不活性ガスとしては、酸素を遮断し得る限り特に限定されず、例えば、アルゴンガスなどを用いることができる。
【0063】
(工程2)
工程2は、GICとカルボニル基を有する化合物とを混合することにより、黒鉛を剥離して薄片化黒鉛を得る工程である。
【0064】
具体的には、GICにカルボニル基を有する化合物を含む液体を添加して撹拌する。カルボニル基を有する化合物は、上述の薄片化黒鉛の欄で説明した化合物を用いることができる。カルボニル基を有する化合物が液状である場合、そのまま上記液体として用いることができる。カルボニル基を有する化合物が固体である場合は、THFなどの他の溶媒を添加して上記液体として用いることができる。
【0065】
また、工程2についても、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。上記不活性ガスとしては、酸素を遮断し得る限り特に限定されず、例えばアルゴンガスなどを用いることができる。
【0066】
工程2では、GICに電子求引性のカルボニル基を有する化合物を添加することにより、黒鉛の炭素六角網面上で求核付加反応が生じる。具体的には、カルボニル基を有する化合物が、グラフェン層間又はグラフェン端部において、黒鉛に化学結合し、グラフトされる。そのため、黒鉛のグラフェン層間には、元のアルカリ金属より大きい、カルボニル基を有する化合物が挿入される。
【0067】
グラフェン層間に、元のアルカリ金属より大きい、カルボニル基を有する化合物が挿入されると、黒鉛の剥離が生じる。それによって、薄片化黒鉛を得ることができる。なお、得られた薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部には、カルボニル基を有する化合物をグラフト等により被覆させることができる。
【0068】
得られた薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部は、カルボニル基を有する化合物によって被覆されているので、得られた薄片化黒鉛同士の再スタックがより一層生じ難く、積層数のより一層少ない薄片化黒鉛を効率良く得ることが可能となる。
【0069】
また、薄片化黒鉛の表面の少なくとも一部が、カルボニル基を有する化合物により被覆されているので、得られた薄片化黒鉛は、平面構造を維持することができ、折り込まれたりカールしたりすることを抑制することができる。そのため、樹脂に添加することにより、樹脂の機械的強度等の物性をより一層高めることができる。また、電極材料等に用いたときに、導電パスを形成しやすい。さらには、取扱い性にも優れている。
【0070】
また、本製造方法では、黒鉛を酸化する過程を経ていない。そのため、得られた薄片化黒鉛は、欠陥が少なく、酸化度も低い。従って、得られた薄片化黒鉛は、難燃性、導電性、又は熱伝導性に優れている。
【0071】
加えて、本製造方法では、有機ハロゲン化合物などのハロゲンを含む化合物を積極的に使用しない。そのため、得られた薄片化黒鉛のハロゲン含有率を少なくすることができる。従って、得られた薄片化黒鉛は、電極材料に用いた場合に電極を腐食させ難い。よって、得られた薄片化黒鉛は、リチウムイオン二次電池などの二次電池やキャパシタなどの電極材料に好適に用いることができる。
【0072】
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
GICの作製;
グローブボックス内をアルゴンガス雰囲気下(アルゴンガス99.999%以上、露点-80℃以下)とし、THF20×10-3dm3中に、ナフタレン1.5g及びカリウム0.5gを添加し混合液を作製した。作製した混合液は、スターラー撹拌により、200rpmの回転数にて、30分間撹拌した。撹拌後、天然黒鉛粉末(SECカーボン社製、グレード:SN-100、平均粒径100μm)を0.5g添加した。しかる後、再度スターラー撹拌により、200rpmの回転数にて、1日撹拌した。撹拌後、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で、得られた混合液を濾過することにより、カリウム(K)及びTHFがインターカレートされたK-THF-GICを分取した。なお、得られたK-THF-GICは、20×10-3dm3中に浸漬させ濾過する工程を2回繰り返すことにより洗浄した。洗浄後のK-THF-GICは、深青色であった。
【0074】
薄片化黒鉛の作製;
洗浄後、アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内で、得られたK-THF-GIC0.05gをサンプル瓶に投入した。続いて、サンプル瓶にデカナール5.5×10-2molを添加し、スターラー撹拌により、100rpmの回転数にて、室温で、72時間撹拌した。その後、5分間静置させ、上澄み液と沈殿物に分け、得られた上澄み液を15000rpmの回転数にて、15分間遠心分離し、デカナールを取り除き、沈殿物を採取した。得られた沈殿物にTHFを10mL加え、15000rpmの回転数にて、15分間遠心分離し、沈殿物を採取した。同様の操作をもう一度行い、未反応のデカナールを洗浄した沈殿物を得た。さらに、得られた沈殿物にイオン交換水10mLを加え、15000rpmの回転数にて、15分間遠心分離し、薄片化黒鉛を得た。なお、得られた薄片化黒鉛は、デカナールにより表面が被覆されていた。
【0075】
図1は、得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。なお、
図1は、K-THF-GICにデカナールを添加し、室温で、72時間撹拌したサンプルのTEM写真である。また、TEM写真は、透過電子顕微鏡(JEOL社製、品番:JEM-2100)を用いて測定した。
図1より、得られた薄片化黒鉛は、平板状であり、また面積が60μm
2であることが確認できた。また、得られた薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、3層であった。
【0076】
(評価)
ラマンスペクトル:
実施例1で得られた薄片化黒鉛をガラス板に分散させ、微粉に分散している領域に対して、顕微レーザーラマン分光測定装置(HORIBA社製、品番「LabRAM ARAMIS」)を用いて、下記測定条件でイメージングラマンを測定した。
【0077】
[測定条件]
レーザー:514nm、出力100%
測定範囲:3100cm-1~700cm-1
対物レンズ:100倍
アパーチャ:100μmスリット
露光時間:1秒/line(測定時間:1時間)
【0078】
図2は、実施例1で得られた薄片化黒鉛のラマンスペクトルを示す図である。また、
図5は、
図2における2Dバンドのピーク付近を拡大して示す図である。なお、
図2及び
図5は、K-THF-GICにデカナールを添加し、室温で、72時間撹拌したサンプルのラマンスペクトルである。
図2及び
図5より、得られたラマンスペクトルには、2Dバンドのピークが存在していることがわかる。
【0079】
また、得られたデータを解析ソフト(Nanophoton社製、品名「RAMAN Viewer」)を用いて、解析を行った。それによって、Gバンド及び2Dバンドのピーク面積を求め、比2D/Gを算出したところ、実施例1では、1.3であった。
【0080】
なお、
図2及び
図5のラマンスペクトルでは、2山のピークが存在しているが、比2D/Gにおける2Dのピーク面積の計算では、両ピークを合わせた面積で計算した。
【0081】
ハロゲン含有率;
実施例1で得られた薄片化黒鉛を試験官中に0.03g精秤し、そこに精製水2.5mLを加え、超音波処理(Velvo Clear社製、「VCL-22545」、水温15℃で照射20分、静置30分、照射20分、その後水温を23℃にして10分照射)を行った。得られた溶液を遠心分離(4000rpm、15分)後、濾過して濾液を得て、それを検液とした。
【0082】
得られた検液を、イオンクロマトグラフィー装置(Thermo Fisher Scientific社製、「DIONEX ICS-1500」、カラム:IonPac AS23A(分離カラム)、溶離液:0.45mmol Na2CO3、 0.8mmol/L NaHCO3、注入量100μl、流量100mL/min、検出器:電気伝導度)を用い、ハロゲン(塩素イオン)含有率を求めた。
【0083】
ハロゲン含有率は、実施例1では280ppmであった。
【0084】
熱重量分析;
実施例1で得られた薄片化黒鉛について、熱重量・熱量同時測定装置(SII社製、品番:TG/DTA6300)を用いて、アルゴンガス雰囲気下、23℃~300℃の温度範囲、及び昇温速度2℃/分で、熱重量分析を行った。100℃~300℃における重量減少をデカナール由来の分解物とみなして求めたデカナールのグラフト率は、11.4重量%であった。
【0085】
(実施例2)
実施例1中のデカナールをヘプタナールに置き換えたこと以外は、実施例1と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0086】
図3は、実施例2で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図3より、得られた薄片化黒鉛は、平板状であり、また面積が70μm
2であることが確認できた。また、得られた薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、5層であった。
【0087】
また、実施例2で得られた薄片化黒鉛の比2D/Gは1.1であり、ハロゲン含有率は390ppmであった。グラフト率(ヘプタナールのグラフト率)は、8.1重量%であった。
【0088】
(実施例3)
実施例1中のデカナールをオクタデカナールに置き換えたこと以外は、実施例1と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0089】
図6は、実施例3で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図6より、得られた薄片化黒鉛は、平板状であり、また面積が70μm
2であることが確認できた。また、得られた薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、5層であった。
【0090】
また、実施例3で得られた薄片化黒鉛の比2D/Gは1.8であり、ハロゲン含有率は790ppmであった。グラフト率(オクタデカナールのグラフト率)は、17.3重量%であった。
【0091】
(実施例4)
実施例1中のデカナールをドデカン二酸ビス(2-エチルヘキシル)に置き換えたこと以外は、実施例1と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0092】
図7は、実施例4で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図7より、得られた薄片化黒鉛は、平板状であり、また面積が70μm
2であることが確認できた。また、得られた薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、6層であった。
【0093】
また、実施例4で得られた薄片化黒鉛の比2D/Gは1.8であり、ハロゲン含有率は810ppmであった。グラフト率(ドデカン二酸ビス(2-エチルヘキシル)のグラフト率)は、11.4重量%であった。
【0094】
(比較例1)
実施例1中のデカナールを2-クロロ-2-メチルプロパンに置き換えたこと以外は、実施例1と同様の方法で薄片化黒鉛を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0095】
図4は、比較例1で得られた薄片化黒鉛の断面の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
図4より、得られた薄片化黒鉛は、やや折り込まれたり、ややカールしたりしており、また面積が40μm
2であることが確認できた。また、得られた薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、約9層であった。
【0096】
また、比較例1で得られた薄片化黒鉛の比2D/Gは2.1であり、ハロゲン含有率は98000ppmであった。グラフト率(2-クロロ-2-メチルプロパンのグラフト率)は、3.7重量%であった。
【0097】
また、シャーレ中で銅片(5mm×5mm×厚み0.5mm)を、比較例1で得られた薄片化黒鉛10mgをイオン交換水10cc中に分散させた分散液に浸漬させた。浸漬後、室温で7日間養生し、状態を観察したところ、青緑状の変色が分散液に観察された。同様の試験を実施例1~4で得られた薄片化黒鉛で行ったが、青緑状の変色は見られなかった。
【0098】
以上より、実施例1~4で得られた薄片化黒鉛は、比較例1と比較して、折り込まれたり、カールしたりし難く、しかも電極材料に用いた場合に電極を腐食させ難いことが確認できた。