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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】包装容器およびその板材
(51)【国際特許分類】
   B65D 3/02 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
B65D3/02 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020055191
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021155057
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】397051139
【氏名又は名称】株式会社サンエコー
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】本橋 敏明
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-040316(JP,U)
【文献】特開2001-130543(JP,A)
【文献】実開平06-072821(JP,U)
【文献】特開2010-052742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部と、その胴部の長手方向両端の開口を開閉自在に閉止する蓋部とを備える包装容器であって、
前記蓋部(F)は、前記胴部(D)に接続する幅方向の端部に歪を逃すための歪逃し手段(h1、h2、h21、h22)が形成され、
前記胴部(D)は、上面板(11)と下面板(12)のそれぞれの側端(d)が接続されて形成され、
前記胴部(D)は、上面板(11)と下面板(12)のそれぞれの側端(d)が接続されて形成され、
前記上面板(11;21;211;221)と前記下面板(12;22;212;222)は、
長手方向に関して対称に延びて蓋部(F)と胴部(D)を接続する向かい合う接続線同士を結び、その長手方向中央部で前記側端(d)側に凸状に膨らむ一対の形状規制折線(b11、b12;b21、b22;b211、b212;b221、b222)をそれぞれ有し、
これにより、各幅方向中央部にほぼ平面状の安定部(S1,S2)を形成する包装容器(1、2、2A、2B)。
【請求項2】
請求項1に記載の包装容器であって、
前記蓋部(F)は、1枚の蓋板(22c、212c、222c)で構成され、
前記胴部(D)は、前記蓋板の縁(c22、c212、c222)を係止するための蓋係止手段(21e、211e、221e)を形状規制折線(b21、b22;b211、b212;b221、b222)と側端(d)との間に有する、包装容器(2、2A、2B)。
【請求項3】
請求項1に記載の包装容器であって、
前記胴部(D)は、各形状規制折線(b211、b212)と側端(d)との間に、形状規制補助折線(bm1、bm2)をそれぞれ有する包装容器(2A)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の包装容器であって、
蓋部(F)と胴部(D)を接続する接続線(b2c、b21c、b22c)は、その中央部に蓋板側に突出する凸部(J1,J2)を有する包装容器(2A、2B)。
【請求項5】
請求項1に記載の包装容器であって、
前記接続線は蓋部(F)の縁を形成して、その中央部に直線部を有するとともに接続点を介して(P1a、P1b、P1c、P1d;P2a、P2b、P2c、P2d)その両側に側端(d)に延びる曲線部を有し、
各形状規制折線(b11、b12;b21、b22)は、向かい合う接続点(P1a、P1b、P1c、P1d;P2a、P2b、P2c、P2d)を結ぶ折線として形成され、
これにより、各幅方向中央部に、対向する各形状規制折線(b11;b12)と対向する各接続部の直線部で囲まれるほぼ平面状の安定部(S1,S2)を形成する包装容器(1)。
【請求項6】
1枚の板材からなる包装容器の板材(a1)であって、前記板材(a1)は、
折線(b1、b13)を介して幅方向に連続する上面板(11)、下面板(12)及び糊代板(13)を有し、
前記上面板(11)は、蓋形成折線(bc1)を介して外蓋板(11c)をその長手方向両端にそれぞれ有し、
前記下面板(12)は、蓋形成折線(bc2)を介して内蓋板(12c)をその長手方向両端にそれぞれ有し、
前記外蓋板(11c)と内蓋板(12c)は、その周縁(c11、c12)とこれに対向して対称的な同形状を有する蓋形成折線(bc1、bc2)とに囲まれてそれぞれ形成され、
前記蓋形成折線(bc1、bc2)はその幅方向中央部が直線状である直線部(St)とその両側に接続されたなめらかな曲線状の曲線部(Ct)を有する曲線で形成され、
前記外蓋(11c)は、蓋形成折線(bc1)の幅方向両端に沿って切り込み(h1、h1)を有し、
前記上面板(11)と前記下面板(12)は、形状規制折線(b11;b12)の対をそれぞれ有し、
各形状規制折線(b11;b12)は、対向する各蓋板(11c、11c;12c、12c)の蓋形成折線(bc1;bc2)の直線部(St)と曲線部(Ct)の接続点(P1a、P1b、P1c、P1d;P2a、P2b、P2c、P2d)を結ぶとともにその幅方向外側に向かって凸状に膨らんだ曲線を含んで形成された板材(a)。
【請求項7】
1枚の板材からなる包装容器の板材(a2、a21、a22)であって、前記板材は、
折線(b2、b23;)を介して幅方向に連続する上面板(21;211;221)、下面板(22;212;222)及び糊代板(23;213;223)を有し、
前記下面板(22;212;222)は、蓋形成折線(b2c;b21c;b22c)を介して蓋板(22c;212c;222c)をその長手方向両端にそれぞれ有し、
前記蓋板は、その周縁(c22;c212;c222)とこれに対向して対称的な同形状を有する前記蓋形成折線とに囲まれてそれぞれ形成され、
前記蓋形成折線はその幅方向中央部が直線状である直線部(St)とその両側に接続されたなめらかな曲線状の曲線部(Ct)を有する曲線で形成され、
前記蓋板は、前記蓋形成折線の幅方向両端に沿って切込み(h2、h21、h22)を有し、
前記上面板と前記下面板は、形状規制折線(b21、b22;b211、b212;b221、b222)の対をそれぞれ有し、
前記上面板の形状規制折線(b21;b211;b221)は、前記下面板の形状規制折線(b22;b212;b222)と同様の位置にあって、対向する上面板の縁(c21、c21:c211、c211;c221、c221)を結ぶとともにその幅方向外側に向かって凸状に膨らんだ曲線を含んで形成され、
前記下面板の形状規制折線(b22;b212;b222)は、対向する各蓋板(22c;212c;222c)の蓋形成折線(b2c;b21c;b22c)の直線部(St)と曲線部(Ct)の接続点(P21a、P21b、P21c、P21d、P22a、P22b、P22c、P22d;P211a、P211b、P211c、P211d、P212a、P212b、P212c、P212d;P221a、P221b、P221c、P221d、P222a、P222b、P222c、P222d)を結ぶとともにその幅方向外側に向かって凸状に膨らんだ曲線を含んで形成された、板材(a2、a21、a22)。
【請求項8】
請求項7記載の板材(a21)であって、
前記上面板(211)と前記下面板(212)は、形状規制補助折線(bm1、bm2)を各形状規制折線の幅方向外側に、さらに有する、板材(a21)。
【請求項9】
請求項6~8記載のいずれか1項に記載の板材であって、
前記下面板(212)の蓋形成折線(b21c)は、長手方向外側に向かって突出する凸部(J1;J2)を有する、板材(a21、a22)。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載の板材(a1、a2、a21、a22)を組み立てて形成される包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚の板材の要所の折曲げと貼着けにより組み立てられる包装容器およびその板材に関し、詳しくは、枕型の形状の包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、枕型の形状の包装容器は、たとえば、アクセサリーやネクタイ、菓子などを包装する紙製のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3032550号公報
【0004】
特許文献1に記載された紙製容器は、一枚の紙製板材の要所の折曲げと貼着けにより組立てられて容器として完成するものである。この紙製容器は、上面板と下面板及び糊代を折線で連結し、それぞれ折線を介して折曲して糊代を前下面板の何れかに接着して、袋状に形成する。すなわち、上面板及び下面板の上下両端は、それぞれ左右のコーナーを起点にして互いに外方へなめらかな曲線状に突出させると共に、このなめらかな曲線状の突出縁に対向して内方へ湾曲する折曲自在の凹弧状折線を設けてこれらの凹弧状折線より外側を蓋片及び底片としている。
【0005】
そして、下面板の底片は、下面板下端の左右のコーナーを結ぶ直線で切り落とした水平面に対して下面板の内方へ凹弧状折線を形成している。また、なめらかな曲線状折線と水平面との間を糊代とし、上面板の底片には上面板下端の左右のコーナーを結ぶ直線に折線を設けてこの折線より先端側を糊代として形成している。
このように形成しているため、この上面板下端の糊代を折線で折り曲げ、下面板下端の糊代と貼り合せて、底部が閉止した袋状の包装容器が完成する。
この構成により、使用に際して底を完全に封止でき、しかも不使用時には扁平形状に積み重ねておくことができる。主に小売りの現場でストックされて販売の際に用いられることを目的とする。
【0006】
しかしながら、近年、自動梱包ラインが導入され、様々な物の出荷の際の梱包に用いられるようになってきた。従来人手で行っていた作業がロボットなどを用いた自動作業に置き換わりつつある。この場合、梱包は、出荷する物品(不図示)を個装箱などの包装容器に入れ、さらにこれを規格化した大きさの段ボール箱(外箱)などに収めたのちに、トラック等に積み込んで出荷をすることが多い。規格化した角形の箱を使うのは、ハンドリングに便利だからである。
このような自動梱包ラインはベルトコンベア方式で包装容器が搬送される。したがって、従来例(図13)が示すような枕型形状の包装容器1´は、胴部D´と蓋部F´から構成され、胴部F´は、端部d´で折り返された筒状の内部の空洞に物品を収納するものであるが、胴部D´の中央が凸状になることから搬送の際に安定性が低く、コンベア上で包装容器1´の向きを定めることや梱包を行うロボットが包装容器1´の位置と向きを検出してピックアップしたり、分岐したラインで望む方向に進ませたりすることは難しかった。
【0007】
一方、このような枕型形状の包装容器1´は、一枚の板材から接着と折り曲げだけで組み立てることができる。このため、自動梱包ラインで用いることができれば、粘着テープを用いるような蓋の閉止工程は不要になり、ロボットが組立、収納及び梱包をすることが容易になる。
【0008】
加えて、一枚の板材から組み立てる包装容器は、未包装の段階においては、折りたたんだ状態の板材を重ねてコンパクトな状態で保管および搬送でき、使用の際に立体的に組み立てることができる。さらに、紙である場合は、使用後にリサイクルが可能であるため、地球環境向上に資する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み、ストックの際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させる包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(解決手段1)
本発明は、
筒状の胴部と、その胴部の長手方向両端の開口を開閉自在に閉止する蓋部とを備える包装容器であって、前記胴部は、上面板と下面板のそれぞれの側端が接続されて形成され、前記上面板と前記下面板は、長手方向に関して対称に延びて蓋部と胴部を接続する向かい合う接続線同士を結び、その長手方向中央部で前記側端側に凸状に膨らむ一対の形状規制折線をそれぞれ有することを特徴とする。
【0011】
このような構成により、本発明の包装容器は、上面板と下面板のそれぞれの側端が接続されて形成されて生じる、胴部及び蓋部の歪を分散して美粧性を備えながら蓋部を閉止することができるとともに、胴部の中央部にほぼ平面状の安定部を形成できる。したがって、包装容器をストックしておく際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させることができる。
【0012】
(解決手段2)
また、前記蓋部は、1枚の蓋板で構成され、前記胴部は、前記蓋板の縁を係止するための蓋係止手段を形状規制折線と側端との間に有することが望ましい。
【0013】
このような構成により、蓋板1枚の構成でありながら、蓋板を蓋係止手段である差込み穴に確実に閉止できる。
【0014】
(解決手段3)
さらに、前記胴部は、各形状規制折線と側端との間に、形状規制補助折線をそれぞれ有することが望ましい。
【0015】
このような構成により、包装容器に収納する物品の嵩が高くなっても、形状規制補助折線が形状規制線とともに胴部及び蓋部に生じる組み立ての際の歪を分散して美粧性を備えながら蓋部を閉止することができるとともに、胴部の中央部にほぼ平面状の安定部を形成できる。
【0016】
(解決手段4)
さらに、蓋部と胴部を接続する接続線は、その中央部に蓋板側に突出する凸部を有することが望ましい。
【0017】
このような構成により、凸部は蓋部の組み立てによる蓋板の歪を分散するとともに波状の蓋板の形成を促して、蓋部の折り曲げ形状を維持して堅牢にすることができる。
【0018】
(解決手段5)
さらに、前記蓋部は、前記胴部に接続する幅方向の端部に、歪を逃すための歪逃し手段である切れ込みが形成されていることが望ましい。
【0019】
このような構成により、組み立てによる蓋板の表面の歪を緩和することができ、美粧性を備えながら蓋部を閉止することができる。
【0020】
(解決手段6)
さらに、前記包装容器は、一枚の板材の折曲げ及び貼付けのみによって形成されることが望ましい。
【0021】
このような構成により、包装容器をストックしておく際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させることができる。
【0022】
(解決手段7)
本発明は、
1枚の板材からなる包装容器の板材であって、前記板材は、折線を介して幅方向に連続する上面板、下面板及び糊代板を有し、前記上面板は、蓋形成折線を介して外蓋板をその長手方向両端にそれぞれ有し、前記下面板は、蓋形成折線を介して内蓋板をその長手方向両端にそれぞれ有し、前記外蓋板と内蓋板は、その周縁とこれに対向して対称的な同形状を有する蓋形成折線とに囲まれてそれぞれ形成され、前記蓋形成折線はその幅方向中央部が直線状である直線部とその両側に接続されたなめらかな曲線状の曲線部を有する曲線で形成され、前記外蓋は、蓋形成折線の幅方向両端に沿って切り込みを有し、
前記上面板と前記下面板は、形状規制折線の対をそれぞれ有し、各形状規制折線は、対向する各蓋板の蓋形成折線の直線部と曲線部の接続点を結ぶとともにその幅方向外側に向かって凸状に膨らんだ曲線を含んで形成された板材であることを特徴とする。
【0023】
このような構成により、包装容器をストックしておく際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させることができる。
【0024】
(解決手段8)
また、本発明は、
1枚の板材からなる包装容器の板材であって、前記板材は、折線を介して幅方向に連続する上面板、下面板及び糊代板を有し、前記下面板は、蓋形成折線を介して蓋板をその長手方向両端にそれぞれ有し、前記蓋板は、その周縁とこれに対向して対称的な同形状を有する前記蓋形成折線とに囲まれてそれぞれ形成され、前記蓋形成折線はその幅方向中央部が直線状である直線部とその両側に接続されたなめらかな曲線状の曲線部を有する曲線で形成され、前記蓋板は、前記蓋形成折線の幅方向両端に沿って切込みを有し、
前記上面板と前記下面板は、形状規制折線の対を有し、前記上面板の形状規制折線は、前記下面板の形状規制折線と同様の位置にあって、対向する上面板の縁を結ぶとともにその幅方向外側に向かって凸状に膨らんだ曲線を含んで形成され、前記下面板の形状規制折線は、対向する各蓋板の蓋形成折線の直線部と曲線部の接続点を結ぶとともにその幅方向外側に向かって凸状に膨らんだ曲線を含んで形成された板材であることを特徴とする。
【0025】
このような構成により、1枚の蓋板で確実に閉止する包装容器を組み立てることができる。したがって、包装容器をストックしておく際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させることができる。
【0026】
(解決手段9)
前記板材であって、
前記上面板と前記下面板は、形状規制補助折線を各形状規制折線の幅方向外側に、さらに有する板材。
【0027】
このような構成により、嵩の高い収納物であっても1枚の蓋板で確実に閉止する包装容器を組み立てることができる。したがって、包装容器をストックしておく際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させることができる。
【0028】
(解決手段10)
前記板材であって、
前記下面板の蓋形成折線は、長手方向外側に向かって突出する凸部を有する、板材。
【0029】
このような構成により、組み立てによる蓋板の表面の歪が凸部により波状の蓋板の形成を促して、蓋部の折り曲げ形状が維持しやすく堅牢な包装容器を提供できる。
【0030】
請求項7~10のいずれか1項に記載の板材を組み立てて形成される包装容器。
【0031】
組み立てによって形成される包装容器は、包装容器をストックしておく際の省スペースの要請と自動梱包ラインで要請される運搬の際の安定性及びハンドリングのしやすさを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施形態(実施例1)の斜視図である。
図2図1に示す包装容器の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
図3図1に示す包装容器の展開平面図である。
図4図1に示す包装容器の組立て途中の説明図である。
図5図1に示す包装容器の蓋部の組立て途中の説明図である。
図6図1に示す包装容器の梱包の説明図である。
図7】本発明の第2の実施形態(実施例2)の上面側から見た斜視図である。
図8図7に示す包装容器の展開平面図である。
図9】本発明の第2の実施形態の変形例A(実施例3)の下面側から見た斜視図である。
図10図9に示す包装容器の展開平面図である。
図11】本発明の第2の実施形態の変形例B(実施例4)の斜視図である。
図12図11に示す包装容器の展開平面図である。
図13】従来例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る包装容器およびその板材について説明する。なお、便宜上、包装容器の蓋部の蓋板が2枚で構成される場合は内蓋板がある側を「上面側」、蓋板が1枚の場合は蓋板がある側を「上面側」として表記する。また、以下の例の包装容器は、紙製であり、たとえば、3mm厚さの段ボール紙が、丈夫さ、入手のしやすさ、加工性などの点から好適である。紙製に限るものではない。
以下、本発明に係る包装容器およびその板材の第1の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0034】
本発明の第1の実施形態(実施例1)を、図1図6を参照しながら説明する。
図1に本例の包装容器1の上面側から見た外観斜視図を示す。本例は、図1、2に示すように、ほぼ矩形の上面と下面が幅方向に接続された筒状の胴部Dを備え、この胴部Dの長手方向の開口をそれぞれ閉止する蓋部Fを備える。包装容器1の上面及び下面には、2本の形状規制折線b11、b11;b12、b12をそれぞれ備える。これらの形状規制折線b11、b11;b12、b12と蓋部Fの縁で囲まれる安定部S1、S2により、自動梱包ラインにおける梱包の際の安定性とハンドリングのしやすさを向上させている。
【0035】
図2に本例の包装容器1について(a)平面図(長手方向から見た図)、(b)正面図(上面から見た図)、(c)側面図(幅方向から見た図)を示す。
図2(a)~(c)に示されるように、本例の包装容器1は、胴部Dの長手方向の開口をそれぞれ閉止する蓋部Fを備える。蓋部Fで閉止された胴部Dの内部は、蓋部Fの形状で規定される高さを有する空洞を形成する。この空洞に収納物が収納される。蓋部Fは外蓋板11cと内蓋板12cで構成される(図3)。紙の厚みを考慮して、蓋部Fの外蓋板11cの両端部は、それぞれ切込みh1があり、折り曲げられた際の歪を逃がすように形成している。
【0036】
(形状規制折線)
図2(b)(c)に示されるように、本例の包装容器1は、胴部Dの上面に2本の形状規制折線b11、b11の対を備える。また、同様に、胴部Dの下面に2本の形状規制折線b12、b12の対を備える。
各形状規制折線b11;b12は、対向する各蓋部Fの縁bc1;bc2の直線状の箇所と曲線状の箇所の接続点P1a、P1b、P1c、P1d;P2a、P2b、P2c、P2dを結ぶ折線として形成されている。この折線は、胴部Dの中央部が頂点となるように側端dに向かって胴部Dの中央線に対称となるように凸状に膨らんだ曲線で形成されている。
各形状規制折線b11;b12が直線ではなく凸状に膨らんだ曲線で形成されている理由は、板材は、厚みがあるため折り込むと歪が生じこれを逃がすためである。特に紙製の板材は、曲線の折線を折り込む際にその歪を逃さないと板面が歪むことになり、このため、折り曲げに起因して意図しない膨れや皺が生じ、折り曲げを維持できなくなったり、美粧性が低下したりする。本例のように各蓋部Fの縁bc1、bc2が曲線で構成される場合、このために生じる歪みを曲線的な折線を胴部Dに設けることにより、歪を分散して逃がすことができる。
【0037】
(安定部)
本例の包装容器1の上面と下面は、形状規制折線b11、b12と蓋部Fの縁bc1、bc2とにより構成される安定部S1、S2をそれぞれ有する。安定部S1は、2本の形状規制折線b11、b11と蓋部Fの縁bc1で囲まれる上面の領域であり、安定部S2は、2本の形状規制折線b12、b12と蓋部Fの縁bc2で囲まれる下面の領域である。
図2(c)に示されるように、安定部S1は、蓋部Fの縁bc1、bc2の直線部を向かい合う2辺とするため、蓋部Fが閉止されている際は、蓋部Fの幅でその高さが固定される。一方、形状規制折線b11、b11の対は、側端dに向かって長手方向中央部が頂点となるように凸状に膨らんでいるため、この形状規制折線b11があることにより歪を分散して逃がすことができ、本例の包装容器1の上面において、安定部S1は、胴部Dの上面にほぼフラットな平面、すなわち、厳密には曲面であっても局所的な凹凸がない状態のほぼ平面とみなせるような緩やかに連続している面を形成することができる。この点、安定部S2も同様である。
このため、上記のように構成された安定部S1、S2が設置面として自動搬送ライン等で搬送される際に、安定性が向上する。また、後述のように自動搬送ラインでロボットなどがハンドリングする際に、吸着面として取り扱いがしやすくなる。
【0038】
(板材)
図3は、本例の包装容器1を形成するための板材a1を示す。板材は紙に限定するものではないが、紙が含まれていることが好ましい。折曲げと貼付けが容易だからである。
この紙製板材a1は、折線b1で等間隔幅をもって、幅方向に連設された上面板11、下面板12を有するとともに、上面板11に折線b13を介して貼合せのための糊代板13が連設されている。そして、この糊代板13を、下面板12の端縁に貼着けることで、前記した筒状の胴部Dを組み立てることができる。
なお、各板11、12の長手方向については、紙面の上に向かって、上または前といい、下に向かって下または後ろということがある。そして、幅方向については、紙面の左(右)に向かって左(右)ということがある。
【0039】
(上面板)
上面板11は、前後端に蓋形成折線bc1をそれぞれ備え、この蓋形成折線bc1を介して外蓋板11cがそれぞれ連設されている。外蓋板11cは、蓋形成折線bc1で折曲げ自在となっている。紙の厚みを考慮して、外蓋板11cの蓋形成折線bc1の両端部は、それぞれ切込みh1があり、折り曲げられた際の歪を逃がすように形成している。
【0040】
(下面板)
下面板12は、その前後端に蓋形成折線bc2をそれぞれ備え、この蓋形成折線bc2を介して内蓋板12cがそれぞれ連設されている。内蓋板12cは、蓋形成折線bc2で折曲げ自在となっている。内蓋板12cの内蓋板周縁c12には、円形状の切込み12dがある。これは、内蓋板12cを開閉する際、特に開けるための、手掛け穴12dである。
【0041】
(組立手順)
以下、前述した構成の紙製板材a1を用いて、貼着けと折曲げにより本例の包装容器1を組み立てる手順を説明する。
(1)(折畳み)まず、図3に示す板材a1の折線b1で上面板11と下面板12を折り曲げて重ねる。このようにすると、上面板11と下面板12は重なって平面状になる。
(2)(貼合せ)次に、糊代板13に糊を塗布しておき、折線b13で折り曲げて糊代板13と下面板12を貼り合わせる。このようにして組立てた途中の状態を図4に示す。同図(a)(b)に示すように、上面板11と下面板12は糊代板13を間にして、ほぼ平面状に折りたたまれた状態である。
(3)(展開)貼り合わせが完了後、外蓋板11c、内蓋板12cを立体的に展開する。たとえば、自動梱包ラインで行う場合、ロボットに上面板11及び下面板12をそれぞれ吸着させてから筒状になるように広げ、その後、各蓋板11c、12cを折り曲げて、箱状にすることができる。
(4)(蓋板の折曲げ)図5(a)に示すように、蓋形成折線bc1を内側に折曲げて、内蓋板12cが折り曲げられる。続いて、図5(b)に示すように、外蓋板11cを蓋形成折線bc1で折り曲げると、内蓋板12cの上に外蓋板11cが折り曲げられる。
この際、外蓋板11cの外蓋周縁c11と内蓋板12cの内蓋周縁c12は、直線部St(P1a~P1b)と曲線部Ct(P1a~Q1、P1b~Q1)により構成され、外蓋板11c及び内蓋板12cは上面板11及び下面板12にそれぞれ拘束されているため、図2(b)、図3に示されるように、外蓋板11c及び内蓋板12cの幅方向両端部がその中央部に比較して長手方向に突出し、その中央部は凹むように曲げられるため、外蓋板11c及び内蓋板12cには、その中央部を抑え込む力、すなわち、各蓋板11c、12cを閉止する向きの力が働き、蓋の閉止状態が維持される。
また、前述のように、紙の厚みを考慮して、外蓋板11cの蓋形成折線bc1の両端部は、それぞれ切込みh1が設けられ、折り曲げられて重ねられために生じる端部の歪を緩和している。
(5)このようにして、内部が空洞の胴部Dと開閉自在の蓋部Fを形成することができ、両端部Fが内蓋板12cと外蓋板11cにより閉止された包装容器1を組み立てることができる。完成した包装容器1は、図2の各図に示されるようになる。なお、図1に全体斜視図を示す。
【0042】
(蓋の開閉:収納及び取出し)
本例の包装容器1の内部に物品を収納する場合は、上記組立手順の手順(3)で筒状に胴部Dを広げた後に、その内部の空洞に物品を送り込めばよい。その後、蓋部Fを折り曲げて閉止すれば、収納が完成する。特段、閉止するためのテープを張り付けなくても、閉止状態を維持することができる。なお、テープを張り付けることを排除するものではない。
また、物品を収納容器1から取り出すには、外蓋板11cを指で引っ掛けて開け、次いで、内蓋板12cの手掛け穴12dに指を掛けて手前に引き出すと簡単に開けることができる。
なお、本例の上面には、後述の他例で示すような内部に収納された物品に表示される物品情報や向先情報などを読み取らすための開口21はないが、設けても差し支えない。
【0043】
(自動梱包ラインでの使用例)
図6に、自動梱包ラインにおける本例の使用例を示す。
図6(a)は、自動梱包ラインのコンベアT上で本例の包装容器1が搬送されている様子を示す。包装容器1には、すでに物品がピッキングされて収納物として収められており、紙面右から左に次々に搬送されている状態である。
本例の包装容器1は、一枚の板材から糊付けと折曲げのみで組み立てられているものであるが、形状規制折線b11の対により形成されるほぼフラットな安定面S1及びS2を備えるため、このようなコンベアT上で水平方向に搬送される際に、姿勢や向きが崩れることはなく安定性が高い。また、包装容器1を真空吸着によりピックアップして箱詰めをする際にも、吸着しやすく、包装容器1にラベルを貼る場合も同様である。
このため、本例の搬送容器1は、図6(a)に示すような、複数の関節J、Jを有し、先端に真空吸着装置Vaを備えたロボットアームRaがハンドリングをするのに好適である。
図6(b)は、このようなロボットアームRaが、ピッキングした本例の包装容器1をトラック輸送などに適した外箱Bxにパッキングする例を示している。本例の包装容器1は、このような場合において、折線により形成されるほぼフラットな安定面S1及びS2を備えるため、複数段に分けて段積みする作業などでも確実に載置を行うことができる。
なお、本例では、真空吸着でハンドリングする例を示したが、これに限るものではなく、マジックハンドなど他の場合においても、搬送の際の姿勢や向きが崩れないことや段積みがしやすいなどの点は同様にメリットである。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態(実施例2)を、図7図12を参照しながら説明する。なお、図9図10は、その変形例1(実施例3)、図11図12は、その変形例2(実施例4)を示している。
図7に本例の包装容器2の上面側から見た外観斜視図を示す。本例は、図7に示すように、実施例1と同様、ほぼ矩形の上面と下面が幅方向に接続された筒状の胴部Dを備え、この胴部Dの長手方向の開口をそれぞれ閉止する蓋部Fを備える。包装容器2の上面及び下面には、2本の形状規制折線b21、b21;b22、b22をそれぞれ備える。これらの形状規制折線b21、b21;b22、b22で囲まれる安定部S1、S2により、自動梱包ラインにおける梱包の際の安定性とハンドリングのしやすさを向上させている。
なお、本例の包装容器2の下面側から見た外観斜視図は、後述の実施例4の図11とほぼ類似するもので、図11の蓋212cの蓋形成折線b22cが緩やかな凸部J2を有しているが、これに代わって直線部St(P22a~P22b、P22c~P22d)で構成されている点が異なる。
【0045】
(実施例1との共通点)
図7、8に示されるように、本例の包装容器2は、胴部Dの上面に2本の形状規制折線b21、b21の対を備える。また、同様に、胴部Dの下面に2本の形状規制折線b22、b22の対を備える。
下面の各形状規制折線b22は、対向する蓋部F、Fの縁b2cの直線状の箇所と曲線状の箇所の接続点P22a、P22b、P22c、P22dを結ぶ折線として形成されている。
一方、上面の各形状規制折線b21は、対向する上面板周縁c21を結ぶ折線であって、下面板の各形状規制折線b22と幅方向にほぼ同じ位置になるように形成され、さらに上面板周縁c21まで延長されている。
これらの形状規制折線b21、b22は、胴部Dの長手方向中央部が頂点となるように側端dに向かって胴部Dの中央線に対称となるように凸状に膨らんだ曲線で形成されている。
各形状規制折線b21;b22が直線ではなく凸状に膨らんだ曲線で形成されている理由は、実施例1と同様に、板材は厚みがあるため折り込むと歪が生じこれを逃がすためである。
安定部S1、S2についても同様である。
【0046】
(実施例1との相違点)
相違するのは、蓋部Fが1枚の蓋板22cで構成されている点である。
このため、上面には蓋板22cの差込み22dを受け止めて係止するための切込み21gと蓋板22cを係止する2カ所の差込み穴21eが設けられている。また、蓋板22cを開けるための手掛け穴21dと内部情報読み取りのための開口21fが設けられている。
蓋部Fが1枚である利点は、組立てにおいて1回の折り曲げで蓋部Fの組立てが完了する点である。また、板材の厚みを考慮した場合、蓋部Fの幅方向両端部付近に折り曲げで生じる歪が集まるため、美粧性の向上が期待できる。
【0047】
図7図8に示されるように、安定部S1は、長手方向両端の縁c21を2辺としており、この2辺は、実施例1と異なり蓋部Fの縁ではない。しかし、蓋板22cが折りたたまれて胴部Dの開口を閉止するときに、上面板21は、蓋板22cにより支えられて一定の位置(蓋部Fの幅)でその高さが固定される。一方、形状規制折線b21、b21;b22、b22の対は、実施例1と同様に側端dに向かって長手方向中央部が頂点となるように凸状に膨らんでいるため、この形状規制折線b21;b22があることにより歪を分散して逃がすことができ、本例の包装容器2の上面において、安定部S1は、胴部Dの上面にほぼフラットな平面、すなわち、厳密には曲面であっても、局所的な凹凸がない状態のほぼ平面とみなせるような緩やかに連続している面を形成することができる。また、安定部S2は、実施例1と同様である。
このため、実施例1と同様に、安定部S1、S2が設置面として自動搬送ライン等で搬送される際に、安定性が向上する。また、自動搬送ラインでロボットなどがハンドリングする際に、吸着面として取り扱いがしやすくなることは同様である。
【0048】
(開口)
本例の包装容器2の上面には、開口21fが開けられている。これは、内部に収納される物品に表示された物品情報や向け先情報などを包装後にも読み取れるようにするものである。
【0049】
(板材)
図8は、本例の包装容器2を形成するための紙製板材a2を示す。板材は紙に限定するものではないことは、実施例1、2と同様である。
この紙製板材a2と実施例1の紙製板材a1との違いは、下面板22のみに蓋板22cを有し、上面板21には蓋板はなく、下面板の蓋板22cを係止する差込み穴21eと手掛け穴21dを上面板21に有することである。加えて、上面板21は、物品に表示された情報読み取りのための開口21fを有する。
すなわち、紙製板材a2は、折線b2で等間隔幅をもって、幅方向に連設された上面板21と下面板22を有するとともに、上面板は、折線b23を介して貼合せのための糊代板23が連設されている。そして、この糊代板23を、下面板22の端縁に貼着けることで、前記した筒状の胴部Dを組み立てることができる。
なお、各板の長手方向、幅方向についての表記も実施例1と同様である。
【0050】
上面板21は、その長手方向両端縁c21、c21に、蓋板22cの差込み22dを受け止めて係止するための切込み21gと蓋板22cを開けるための手掛け穴21d、そして蓋板22cの蓋板周縁c22を係止するための2カ所の差込み穴21eをそれぞれ有している。
加えて、開口21fが開けられている。これは、内部に収納される物品に表示された物品情報や向け先情報などを包装後にも読み取れるようにするものである。
【0051】
下面板22は、その前後端に蓋形成折線b2cを介して蓋板22cがそれぞれ連設されている。蓋板22cは、蓋形成折線b2cで折曲げ自在となっている。紙の厚みを考慮して、蓋板22cの蓋形成折線b2cの両端部は、それぞれ切込みh2を有し、折り曲げられた際の歪を逃がすようにし、歪が表面に現れて美粧性を阻害することを低減している。
また、蓋板22cは、蓋板周縁c22に舌状の差込み22dを有する。この差込み22dは、胴部Dの開口を蓋板22cにより閉止する際に、上面板21の切込み21gに差し込むものである。
【0052】
(組立手順)
以下、前述した構成の紙製板材a2を用いて、糊付けと折曲げにより本例の包装容器2を組み立てる手順を説明する。
(1)(折畳み)と(2)張り合わせは、実施例1と同様である。
(3)(展開)貼り合わせが完了後、蓋板22cを立体的に展開する。1枚のみの展開でよい。
(4)(蓋の折曲げ)蓋形成折線b2cを内側に折曲げて、蓋板22cが折り曲げられる。
蓋の閉止状態が維持される点は、一枚の蓋板であるが実施例1と同様である。
この際、蓋板22cの蓋形成折線b2cが、直線部St(P22a~P22b)と曲線部Ct(P22a~Q2、P22b~Q2)により構成され、蓋板22cが下面板22に拘束されているため、蓋板22cの幅方向両端部がその中央部に比較して長手方向に突出し、その中央部は凹むように曲げられるためである。加えて、上面板21の差込み穴21eに蓋板周縁c22が嵌って、係止される。
このようにして、内部が空洞の胴部Dと開閉自在の蓋部Fを形成することができ、両端部Fが蓋板22cにより閉鎖された包装容器2を組み立てることができる。完成した包装容器2は、図7に上面側から見た全体斜視図を示す。
【0053】
(蓋の開閉:収納及び取出し)
本例の包装容器2の内部に物品を収納する場合は、実施例1と同様である。
また、物品を包装容器2から取り出すには、上面板21の手掛け穴21dに指をかけて差し込み、差込み22dを手前に引き出すと簡単に開けることができる。
【実施例3】
【0054】
次に、本発明の第2の実施形態の変形例A(実施例3)を、図9図10を参照しながら説明する。
図9に本例の包装容器2Aの下側から見た外観斜視図を示す。なお、上面側から見た外観斜視図は、形状規制補助折線bm2、bm2の対が加わっている以外は実施例2を示す図7と同様である。
本例の包装容器2Aは、図9に示すように、矩形の上面と下面が幅方向に接続された筒状の胴部Dを備え、この胴部Dの長手方向の開口をそれぞれ閉止する蓋部Fを備える。包装容器2Aの上面及び下面には、2本の形状規制折線b211、b212の対と2本の形状規制補助折線bm1、bm2をそれぞれ備える。形状規制折線b211、b211;b212、b212で囲まれる安定部S1、S2により、主として自動梱包ラインにおける梱包の際の安定性とハンドリングのしやすさを向上させている。
なお、後にさらに詳しく述べるが、実施例2との相違は、形状規制補助折線bm1及びbm2が加わっていることと、実施例2の蓋22cの蓋形成折線b2cは、凸部のない直線部で構成されているが、これに代わって、本例の蓋212cの蓋形成折線b21cは、凸部J1を有して構成されていることである。
【0055】
(実施例2との共通点:蓋部F)
蓋部Fが1枚の蓋板212cで構成されている点は、実施例2と同様である。
このため、蓋板212cを係止するための差込み穴(係止手段)211eが、上面板211の2か所に設けられている。また、蓋部Fを開けるための手掛け穴211dと蓋板212cを受け止めるための切込み211gが設けられている(参考図:図7)。
【0056】
(実施例2との共通点:形状規制折線b211、b212)
本例の包装容器2Aは、胴部Dの上面に2本の形状規制折線b211、b211の対とさらにその幅方向外側に2本の形状規制補助折線bm1、bm1の対とを備える。また、同様に、胴部Dの下面に2本の形状規制折線b212、b212の対とさらにその幅方向外側に2本の形状規制補助折線bm2、bm2の対とを備える。各形状規制補助折線bm1、bm2については、後述する。
形状規制折線b211、b212については、実施例2と同様である。すなわち、
下面の各形状規制折線b212は、対向する蓋部F、Fの縁b21c、b21c同士の直線状の箇所と曲線状の箇所の接続点P221a、P221b、P221c、P221dを結ぶ折線として形成されている。
一方、上面の各形状規制折線b211は、対向する上面板周縁c211を結ぶ折線であって、下面板の各形状規制折線b212と幅方向にほぼ同じ位置になるように形成され、さらに上面板周縁c211まで延長されている。
これらの形状規制折線b211、b212は、胴部Dの長手方向中央部が頂点となるように側端dに向かって胴部Dの中央線に対称となるように凸状に膨らんだ曲線で形成されている。
各形状規制折線b211;b212が直線ではなく凸状に膨らんだ曲線で形成されている理由は、実施例1、2と同様である。なお、形状規制補助折線については、相違点で後述する。
(安定部)
上面板211と下面板212は、形状規制折線b211、b211;b212、b212と蓋部Fとの縁によりそれぞれ安定部S1、S2を有する。安定部S1は、2本の形状規制折線b211、b211と胴部Dの長手方向両端の縁で囲まれる上面の領域であり、安定部S2は、2本の形状規制折線b212、b212と胴部Dの長手方向両端の縁で囲まれる下面の領域である。
上面の安定部S1は、実施例2と同様に、一定の高さ(蓋部Fの高さ)で固定されている。形状規制折線b211は実施例1、2と同様に幅方向の縁に向かって長手方向中央部が頂点となるように凸状に膨らんでいるため、安定部S1は、胴部Dの上面にほぼフラットな平面、すなわち、厳密には曲面であっても、局所的な凹凸がない状態で緩やかに連続している面を形成する。下面の安定部S2も同様である。
安定部S1、S2が設置面として自動搬送ライン等で搬送される際に、安定性が向上する。また、後述のように自動搬送ラインでロボットなどがハンドリングする際に、吸着面として取り扱いがしやすくなる点も同様である。
【0057】
(実施例2との相違点)
相違する第1点は、上面にさらに2本の形状規制折線bm1、bm1の対を有し、下面にさらに2本の形状規制折線bm2、bm2の対を有する点である。第2点は、蓋板212cの蓋形成折線b21cの中央部に蓋板側に突出する凸部J1を有する点である。
(形状規制折線bm1、bm2)
第1点の各形状規制補助折線bm1、bm2は、対向する蓋部F、Fの長手方向の縁c211を結ぶ折線で形成されている。形状規制折線b211、b212と同様に、幅方向の側端dに向かって長手方向中央部が頂点となるように凸状に膨らんでおり、各対は長手方向の中央線に対して対称になるように形成されている。
【0058】
(実施例2との相違点:凸部J1)
第2点として、蓋板212cの蓋形成折線b21cは、蓋側に突出する凸部J1を有する。このような凸部J1があるため、本例の包装容器2Aは、蓋面Fが、この凸部J1の箇所で外側に出っ張り、蓋面全体がJ1の箇所を頂点とする波型になるように形成される。この結果、蓋板Fは、本例の包装容器2Aの外側に倒れにくくなるとともに、蓋板の縁c212も上面から見て波型になり、差込み穴211eに嵌る箇所は、より内側に押し込まれるため、嵌りやすくなる。
このような凸部J1を設けることにより、蓋部Fの閉止をより確実にすることができる。なお、どのような形状の凸部を設けるかは、紙の厚さや蓋部の形状などに応じて決定することができる。
【0059】
(開口)
また、本例の包装容器2Aの上面には、開口211fが開けられている。これは、内部に収納される物品に表示された物品情報や向け先情報などを包装後にも読み取れるようにするものである。
【0060】
(板材)
図10は、本例の包装容器2Aを形成するための紙製板材a21を示す。板材は紙に限定するものではないことは、実施例1、2と同様である。
この板材a21は、実施例2の板材a2と同様に、下面板212のみに蓋板212cを有し、上面板211には蓋板はない。このため、上面板211には蓋板212cの差込み212dを係止する切込み211g及び差込み穴211eを有し、切込み211gの中央部には手掛け穴211dを有する。加えて、上面板211は、物品に表示された情報読み取りのための開口211fを有する。
すなわち、紙製板材a21は、折線b2aで等間隔幅をもって、幅方向に連設された下面板212、上面板211を有するとともに、上面板211の端縁に、折線b213を介して貼合せのための糊代板213が連設されている。そして、この糊代板213を、幅方向他端部に位置する下面板212の端縁に貼着けることで、前記した筒状の胴部Dを組み立てることができる。
なお、各板の長手方向について紙面の上に向かって、上、前、または天といい、下に向かって下、後ろ、または底ということがあり、幅方向について紙面の左(右)に向かって左(右)ということがあるのは、他の実施例と同様である。
【0061】
下面板212は、実施例2と同様に、その長手方向両端部に、蓋形成折線b21cを介して、蓋板212cがそれぞれ連設されている。蓋板212cは、蓋形成折線b21cで折曲げ自在となっている。蓋板212cは、蓋板周縁c212に舌状の差込み212dを有する点も同様である。
【0062】
上面板211は、実施例2と同様に、手掛け穴211d、差込み穴211e、開口211f、切込み211g、切込みh21を備える点も同様である。
【0063】
(組立手順)
板材a21を用いて本例の包装容器2Aを組み立てる手順は、実施例2の包装容器2を組み立てる手順と同様であるので、省略する。完成した包装容器2Aは、下側からの全体斜視図の図9で示されるとおりである。なお、上側からの全体斜視図は、形状規制補助折線bm2を除き、実施例2の図7全体斜視図と同様であるため、省略する。
【0064】
(蓋の開閉:収納及び取出し)
本例の包装容器2Aの内部に物品を収納する場合も、実施例2と同様である。
【実施例4】
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態の変形例B(実施例4)を、図11図12を参照しながら説明する。
図11に本例の包装容器2Bの下側から見た外観斜視図を示す。なお、上面から見た外観斜視図は、実施例2と同様である。
本例の包装容器2Bは、図11に示すように、矩形の上面と下面が幅方向に接続された筒状の胴部Dを備え、この胴部Dの長手方向の開口をそれぞれ閉止する蓋部Fを備える。本例の包装容器2Bの上面及び下面には、2本の形状規制折線b221、b222の対をそれぞれ備える。これらの形状規制折線b221、b222で囲まれる安定部S1、S2により、自動梱包ラインにおける梱包の際の安定性とハンドリングのしやすさを向上させている。
なお、後にさらに詳しく述べるが、実施例2との相違は、実施例2の蓋22cの折線b2cは、直線部で構成されているが、これに代わって、本例の蓋222cの蓋形成折線b22cは、凸部J2を有して構成されていることである。
【0066】
(実施例2との共通点:蓋部F)
蓋部Fが1枚の蓋板222cで構成されている点は、実施例2、3と同様である。
このため、蓋板222cを係止するための差込み穴(係止手段)221eが、上面板211に2か所設けられている。また、蓋部Fを開けるための手掛け穴221dと蓋板222cを受け止めるための切込み221gが設けられている(参考図:図7)。
【0067】
(実施例2との共通点:形状規制折線b221、b222)
本例の包装容器2Bは、実施例2の包装容器2と同様に、胴部Dの上面に2本の形状規制折線b221、b221の対を備える。また、同様に、胴部Dの下面に2本の形状規制折線b222、b222の対を備える。
各形状規制折線b221、b222の形状、構成態様、働きは、実施例2の包装容器2と同様である。
上面板221と下面板222は、形状規制折線b221、b221;b222、b222と蓋部Fの縁c221又は蓋形成折線b22cによりそれぞれ安定部S1、S2を有する点も、実施例2の包装容器2と同様である。
【0068】
(実施例3との蓋部の相違点)
蓋板222cの蓋形成折線b22cの中央部に蓋板側に突出する凸部J2を有する点は、実施例3と同様であるが、その形状が緩やかである点が実施例3と異なる。なお、本例では形状規制補助折線bm2、bm2の対に当たるものはない。
【0069】
図11に示されるように、安定部S2は、蓋部Fの縁b22c、b22cを2辺としている。安定部S2の働きについては、実施例2と同様である。
また、上面の安定部S1は、実施例2と同様に、蓋部Fの高さで固定されている。安定部S1の働きについても、実施例2と同様である。
【0070】
(凸部J2)
蓋部Fの縁(蓋板222cの折線)b22cは、蓋側に突出する緩やかな凸部J2を有する。このような緩やかな凸部J2があるため、本例の包装容器2Bは、実施例3の包装容器2Aと同様に、蓋面Fが、この緩やかな凸部J2の箇所で外側に出っ張り、蓋面全体が凸部J2の頂点を頂点とする波型になるように形成される。この結果、蓋板Fは、包装容器2Bの外側に倒れにくくなるとともに、蓋板の縁c222も上面から見て波型になり、差込み穴221eに嵌る箇所は、より内側に押し込まれるため、嵌りやすくなる。このような凸部J2を設けることにより、蓋部の係止をより確実にすることができる。
なお、どのような形状の凸部を設けるかは、紙の厚さや蓋部の形状などに応じて決定することができる。どのような形状の凸部を設けるかは、紙の厚さや蓋部の形状などに応じて決定することができる。このような凸部J2を設けることにより、蓋部の係止をより確実にすることができる。
【0071】
(開口)
また、本例の包装容器2Bの上面には、実施例2、2Aと同様に開口221fが開けられている。この意義も同様である。
【0072】
(板材)
図12は、本例の包装容器2Bを形成するための紙製板材a22を示す。板材は紙に限定するものではないことは、実施例1、2、2Aと同様である。
この板材a22は、基本的に実施例2の板材a2と同様である。違いは、折線b22cに蓋板側に突出する緩やかな凸部J2を有する点である。凸部の形状は、板材の性質、蓋部Fの閉止しやすさ、美粧性の観点を考慮して、決めることができる。
【0073】
(組立手順)
板材a22を用いて本例の包装容器2Bを組み立てる手順は、実施例2の包装容器2及び実施例3の包装容器2Aを組み立てる手順と同様であるので、省略する。完成した包装容器2Bは、図11の下側からの全体斜視図に示されるとおりである。なお、上側からの全体斜視図は、実施例2の図7全体斜視図と同様であるため、省略する。
【0074】
(蓋の開閉:収納及び取出し)
本例の包装容器2Aの内部に物品を収納する場合も、実施例2と同様である。
【0075】
以上、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明したが、本発明に係る包装容器は図示例に限定されず、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において種々の設計変更が可能であることは言うまでもない。
【0076】
本発明においては、たとえば、実施例1の各形状規制折線b11;b12は、対向する各蓋部Fの縁bc1;bc2の直線状の直線部と曲線状の曲線部の接続点P1a、P1b、P1c、P1d;P2a、P2b、P2c、P2dを結んでいる。
この曲線部は、単に円周の一部を構成する円弧部でなくてもよく、単調に曲がるなめらかな曲線であってもよい。
また、この接続点は、板幅、すなわち板材における上面板11及び下面板12の幅方向の長さに対して次のように定めることができる。
板幅と直線部との比率RT、すなわち、(直線部の長さ)/(板幅)=RTとすると、
RTは、0.3≦RT≦0.6であることが望ましい。これより、RTが小さいと安定部の大きさが小さくなるため、安定性が低下する。また、これよりRTが大きいと歪が多くなり美粧性が損なわれる。さらに望ましくは、RTは、0.4≦<RT≦0.5である。この範囲は、美粧性と安定性のバランスが特によい。
これらの点は、実施例1のみならず他の実施例2、3、4でも同様である。
【符号の説明】
【0077】
1、2、2A、2B:包装容器
F:蓋部
D:胴部
d:側端
S1:安定部、形状規制折線と、胴部と蓋部の接続線とで囲まれた領域
S2:安定部、形状規制折線と、胴部と蓋部の接続線とで囲まれた領域
St:直線部
Ct:曲線部
J:関節
Ra:ロボットアーム
Va:吸着装置
T:搬送装置、ベルトコンベア
Bx:外箱
<実施例1>
a1:板材(包装容器用板材)
b2、b13:折線
b11:上面板11の形状規制折線
b12:下面板12の形状規制折線
bc1、bc2:蓋形成折線、蓋部Fの縁、蓋部と胴部の接続線
c11:外蓋板周縁
c12:内蓋板周縁
h1:切込み
P1a、P1b、P1c、P1d:蓋形成折線bc1と折線b11、b11の交点
P2a、P2b、P2c、P2d:蓋形成折線bc2と折線b12、b12の交点
Q1:外蓋板11cの板幅方向の端部
11:上面板、11a:上面板中央部、11b:上面板側端部、11c:外蓋板
12:下面板、11a:下面板中央部、11b:下面板側端部、12c:内蓋板、12d:手掛け穴
13:糊代板
<実施例2>
a2:板材(包装容器用板材)
b2、b23:折線
b21:上面板21の形状規制折線
b2c:蓋形成折線
b22:下面板22の形状規制折線
c21:上面板周縁
c22:蓋板周縁、蓋部Fの縁、蓋部Fと胴部の接続部
h2:切込み、歪逃し手段
P21a、P21b、P21c、P21d:周縁c21と折線b21の交点
P22a、P22b、P22c、P22d:折線b2cの折線b22交点
Q2:蓋板22cの板幅方向の端部
21:上面板、21a:上面板中央部、21b:上面板側端部、21d:手掛け穴、21e:差込み穴(係止手段)、21f:開口、21g:切込み、
22:下面板、22a:下面板中央部、22b:下面板側端部、22c:蓋板、22d:差込み
23:糊代板
<実施例3>(2A)2本線、凸あり
a21:板材(包装容器用板材)
b2a、b213:折線
b211:上面板21の形状規制折線
b21c:蓋形成折線、蓋部Fの縁、蓋部Fと胴部の接続部
b212:下面板22の形状規制折線
bm1:上面板21の形状規制補助折線
bm2:下面板22の形状規制補助折線
c211:上面板周縁、蓋部Fの長手方向の縁
c212:蓋板周縁、蓋部(F)の縁
h21:切込み
P211a、P211b、P211c、P211d:上面板周縁c211と形状規制折線b211の交点
P212a、P212b、P212c、P212d:蓋形成折線b21cと形状規制折線b212の交点
Q21:蓋板212cの板幅方向の端部
J1:凸部
211:上面板、211a:上面板中央部、211b:上面板側端部、211d:手掛け穴、211e:差込み穴(係止手段)、211f:開口、211g:切込み
212:下面板、212a:下面板中央部、212b:下面板側端部、212c:蓋板、212d:差込み
213:糊代板
<実施例4>(2B)1本線、緩やか凸あり
a22:板材(包装容器用板材)
b2b、b223:折線
b221:上面板221の形状規制折線
b22c:蓋形成折線
b222:下面板222の形状規制折線
c221:上面板周縁
c222、蓋板周縁、蓋部Fの縁、蓋部Fと胴部の接続部
h22:切込み
P221a、P221b、P221c、P221d:周縁c221と折線b221の交点
P222a、P222b、P222c、P222d:折線b22cとb222の交点
Q22:蓋板222cの板幅方向の端部
J2:凸部
221:上面板、221a:上面板中央部、221b:上面板側端部、221d:手掛け穴、221e:差込み穴(係止手段)、221f:開口、221g:切込み
222:下面板、222a:下面板中央部、222b:下面板側端部、222c:蓋板、222d:差込み
223:糊代板
(従来例)
1´:包装容器
F´:蓋部
D´:胴部
d´:側端
図1
図2
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図11
図12
図13