(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】スリッパ及びスリッパの装着方法
(51)【国際特許分類】
A43B 3/10 20060101AFI20240530BHJP
A43B 17/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A43B3/10 F
A43B17/00 E
(21)【出願番号】P 2020143101
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591169445
【氏名又は名称】株式会社 AKAISHI
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】村 岡 真
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-127305(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02213189(EP,A1)
【文献】特表2005-519723(JP,A)
【文献】特開2014-200508(JP,A)
【文献】特許第5392939(JP,B1)
【文献】特開2015-047266(JP,A)
【文献】特開2011-147781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/10
A43B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本底と、
この本底の上に位置する中底と、
前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、
前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、
前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、
少なくとも、歩行時、
前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力によ
り前記アッパーの裏面
に、それぞれ当接する
ことを特徴とするスリッパ。
【請求項2】
本底と、
この本底の上に位置する中底と、
前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、
前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、
前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、
少なくとも、歩行時、
前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力によ
り前記アッパーの裏面
に、それぞれ当接する
ことを特徴とするスリッパの装着方法。
【請求項3】
本底と、
この本底の上に位置する中底と、
前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、
前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、
前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、
少なくとも、歩行時
の遊脚期、
前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力によ
り前記アッパーの裏面
に、それぞれ当接する
ことを特徴とする
スリッパ。
【請求項4】
本底と、
この本底の上に位置する中底と、
前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、
前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、
前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、
少なくとも、歩行時
の遊脚期、
前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力によ
り前記アッパーの裏面
に、それぞれ当接する
ことを特徴とする
スリッパの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリッパ及びスリッパの装着方法に係り、特に、脱げにくいスリッパ及びスリッパの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
足をするりと滑らすように入れて履ける履物として、スリッパがある。スリッパは、先端に半円部を有する底部と、この底部に取付けられ足の甲を覆う甲部とからなるものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、スリッパは、履きやすい反面、脱げ易いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮したスリッパ及びスリッパの装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のスリッパは、本底と、この本底の上に位置する中底と、前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、少なくとも、歩行時の遊脚期、前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力により前記アッパーの裏面に、それぞれ当接するものである
【0007】
また、請求項2記載のスリッパの装着方法は、本底と、この本底の上に位置する中底と、前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、少なくとも、歩行時の遊脚期、前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力により前記アッパーの裏面に、それぞれ当接するものである。
【0008】
また、請求項3記載のスリッパは、本底と、この本底の上に位置する中底と、前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、少なくとも、歩行時の遊脚期、前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力により前記アッパーの裏面に、それぞれ当接するものである。
【0009】
また、請求項4記載のスリッパの装着方法は、本底と、この本底の上に位置する中底と、前記本底の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパーと、前記中底の上面に当接するインソールとを備えたスリッパであって、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、前記アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、少なくとも、歩行時の遊脚期、前記足の裏が前記凸形状部に、前記足の甲部が前記凸形状部の弾性力により前記アッパーの裏面に、それぞれ当接するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のスリッパによれば、インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、少なくとも、歩行時、前記凸形状部の弾性力により前記足の甲部が前記アッパーの裏面に当接するため、脱げにくく、
しかも、インソールの爪先側(先端)とインソールの踵側(後端)は、アッパーの裏面に当接し、インソールの水平方向への動きが規制される分、凸形状部の反発力も大きく、益々脱げにくくなり、
更に、インソールの凸形状部の裏面側の部位と中底とは離間しているため、インソールの凸形状部が垂直方向に大きく変化して凸形状部による足の土踏まず付近の部位を刺激し、マッサージ効果をも増大させることができ、加えて、インソールの水平方向への動きが規制される分、凸形状部の反発力も大きく、益々マッサージ効果をも増大させることができる。
【0013】
また、請求項2記載のスリッパの装着方法によれば、インソールの爪先側と前記インソールの踵側は、アッパーの裏面に当接し、前記インソールの爪先側と前記インソールの踵側の中途が上に凸である凸形状部をなし、少なくとも、歩行時、前記凸形状部の弾性力により前記足の甲部が前記アッパーの裏面に当接するため、脱げにくく、
しかも、インソールの爪先側(先端)とインソールの踵側(後端)は、アッパーの裏面に当接し、インソールの水平方向への動きが規制される分、凸形状部の反発力も大きく、益々脱げにくくなり、
更に、インソールの凸形状部の裏面側の部位と中底とは離間しているため、インソールの凸形状部が垂直方向に大きく変化して凸形状部による足の土踏まず付近の部位を刺激し、マッサージ効果をも増大させることができ、加えて、インソールの水平方向への動きが規制される分、凸形状部の反発力も大きく、益々マッサージ効果をも増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例の履物(例えば、スリッパ)の3D画像である。
【
図2】
図2は、
図1の履物(例えば、スリッパ)を分解して示す3D画像である。
【
図3】
図3は、
図1の履物(例えば、スリッパ)を撮影した写真である。
【
図4】
図4は、
図3の履物(例えば、スリッパ)を分解して示す写真である。
【
図5】
図5は、
図4のインソールの裏面側を撮影した写真である。
【
図6】
図6は、
図1のインソールの弾性力による作用を説明するための説明図で、立位時状態を示している。
【
図7】
図7は、
図1のインソールの弾性力による作用を説明するための説明図で、歩行時状態を示している。
【
図8】
図8は、
図1の履物と異なる他の実施例の履物の3D画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施例の履物(例えば、スリッパ)及び履物の装着方法(例えば、スリッパの装着方法)を図面(
図1乃至
図7)を参照して説明する。
【0020】
図1に示すSは履物(例えば、スリッパ)で、履物(例えば、スリッパ)Sは、本底1と、この本底1の上に位置する中底2と、本底1の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパー3と、中底2の上面に当接するインソール4とを備えている。
なお、本底1、中底2、アッパー3は、縫製、接着等により一体化されている。
【0021】
インソール4は、弾性部材(材質は、例えば、ポリウレタン、EVA、ラバー、エラスチック素材等)で形成され、
図6に示すように、インソール4の爪先側(先端)4Xとインソール4の踵側(後端)4Yは、アッパー3の裏面に当接し、インソール4の爪先側(先端)4Xとインソール4の踵側(後端)4Yの中途が上に凸である凸形状部4Tをなし、少なくとも、歩行時、
図7に示すように、凸形状部4Tの弾性力により足の甲部がアッパー3の裏面に当接する。
即ち、
図6に示す立位時(脱ぎ履き、立ち仕事の時)、体重が掛りインソール4が沈み込み、足の甲と履物(例えば、スリッパ)の甲部に隙間ができるため、スムーズに履物(例えば、スリッパ)の脱ぎ履きが可能であり、立位時の甲の圧迫が少なくなるため、開放感があり、蒸れ防止にも効果がある。
また、
図7に示す歩行時(地面から離れた状態)、インソール4の弾性力により足が持ち上げられ、足の甲と履物(例えば、スリッパ)の甲部がぴったりフィットし、履物(例えば、スリッパ)が脱げにくい効果がある。
なお、凸形状部4Tの厚みは、例えば、1mm~20mmで、凸形状部4Tの裏面側の部位と中底2とは離間する寸法は、例えば、1mm~40mmである。
【0022】
上述した履物(例えば、スリッパ)及び履物の装着方法(例えば、スリッパの装着方法)によれば、インソール4の爪先側とインソール4の踵側は、アッパー3の裏面に当接し、インソール4の爪先側4Xとインソール4の踵側4Yの中途が上に凸である凸形状部4Tをなし、少なくとも、歩行時、凸形状部4Tの弾性力により前記足の甲部がアッパー3の裏面に当接するため、脱げにくく、
しかも、インソール4の爪先側(先端)4Xとインソール4の踵側(後端)4Yは、アッパー3の裏面に当接し、インソール4の水平方向への動きが規制される分、凸形状部4Tの反発力も大きく、益々脱げにくくなり、
更に、インソール4の凸形状部4Tの裏面側の部位と中底2とは離間しているため、インソール4の凸形状部4Tが垂直方向に大きく変化して凸形状部4Tによる足の土踏まず付近の部位を刺激し、マッサージ効果をも増大させることができ、
加えて、インソール4の水平方向への動きが規制される分、凸形状部4Tの反発力も大きく、益々マッサージ効果をも増大させることができる。
【0023】
なお、本実施例においては、インソール4は、
図2に示すように、アッパー3内に装着される前の状態にあって、インソール4の爪先側(先端)4Xとインソール4の踵側(後端)4Yの中途が上に凸である凸形状部4Tをなしているが、本願発明はこれに限らず、図示しないが、インソールは、アッパー3内に装着される前の状態にあって、ストレートでインソールの全長の長さが、アッパー3の先端から後端に至全長の長さより長く、インソールがアッパー3内に装着された状態にあって、インソールの爪先側(先端)とインソールの踵側(後端)の中途が上に凸である凸形状部をなしている場合にも適用できるものである。
【0024】
なお、本実施例においては、スリッパを例に挙げて説明したが、本願発明は、これに限らず、サンダル、短靴等の履物にも同様に適用できるものである。
【0025】
なお、上記実施例においては、インソール4を用いたが、本願発明においては、インソール4がない履物S’にも同様に適用できるものである。
即ち、履物(例えば、サンダル)S’は、
図8乃至
図12に示すように、本底1と、この本底1の上に位置する中底2と、本底1の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うアッパー3とを備えている。
そして、中底2の爪先側(先端)2Xと中底2の踵側(後端)2Yの中途が上に凸である凸形状部2Tをなし、凸形状部2Tに対応する本底1の部位が下に凹である凹形状部1Hをなし、少なくとも、歩行時、凸形状部2Tの弾性力により前記足の甲部がアッパー3の裏面に当接するようになっている。
なお、アッパー3は、本底1の周囲の全体に亘って立設すると共に、足の甲部を覆うようにしたが、本願発明は、これに限らず、アッパー3は、足の甲部を覆うだけでも良い。
【0026】
履物(例えば、サンダル)S’及び履物の装着方法によれば、中底2の爪先側(先端)2Xと中底2の踵側(後端)2Yの中途が上に凸である凸形状部2Tをなし、凸形状部2Tに対応す本底1の部位が下に凹である凹形状部1Hをなし、少なくとも、歩行時、凸形状部2Tの弾性力により足の甲部がアッパー3の裏面に当接するため、脱げにくく、
しかも、凸形状部2Tに対応す本底1の部位が下に凹である凹形状部1Hをなしているため、凸形状部2Tが垂直方向に大きく変化して凸形状部2Tによる足の土踏まず付近の部位を刺激し、マッサージ効果をも増大させることができる。
【符号の説明】
【0027】
S 履物(例えば、スリッパ)
1 本底
2 中底
3 アッパー
4 インソール
4X インソールの爪先側(先端)
4Y インソールの踵側(後端)