(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】抗FAM19A5抗体及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07K 14/52 20060101AFI20240530BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240530BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240530BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240530BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240530BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240530BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240530BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240530BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240530BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20240530BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240530BHJP
A61P 11/00 20060101ALN20240530BHJP
【FI】
C07K14/52 ZNA
C07K16/18
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P11/00
(21)【出願番号】P 2021129355
(22)【出願日】2021-08-05
(62)【分割の表示】P 2019572758の分割
【原出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-09-06
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518156428
【氏名又は名称】ニューラクル サイエンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチョル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ-クン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン シク
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ジュンヨン
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0118230(US,A1)
【文献】特表2007-527203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:6(TLDRDSSQPRRTIARQTARC)のアミノ酸配列
からなるヒトFAM19A5エピトープ断片であって、
(i)前記エピトープ断片は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基46、50及び52においてSEQ ID NO:36を含む重鎖可変ドメイン、及びSEQ ID NO:40を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体に特異的に結合することができる;又は
(ii)前記エピトープ断片は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基46、47、48及び50において、SEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン、及び、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体に特異的に結合することができる、ヒトFAM19A5エピトープ断片。
【請求項2】
ヒトFAM19A5タンパク質に特異的に結合する分離された抗体(抗FAM19A5抗体)、又はその抗原結合部分であって、
前記抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は以下の構成を含む、
(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、
及び、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;又は
(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、
及び、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む。
【請求項3】
キメラ抗
体又はヒト化抗体であることを特徴とする、請求項2に記載の抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分。
【請求項4】
次の特性の一つ以上を含むことを特徴とする、請求項2に記載の抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分:
(a)線維症の減少、反転、遅延又は予防;
(b)過度な細胞外基質(ECM)形成の減少;
(c)腫瘍の成長又は進行の遅延;
(d)酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)によって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合;
(e)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合;
(f)反応性神経膠症開始の減少、反転、遅延又は予防;又は
(g)反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制。
【請求項5】
請求項2に記載の抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分をコードする核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸を含むベクター。
【請求項7】
遺伝子治療法に使うための、請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
請求項6に記載のベクターによって形質転換された細胞。
【請求項9】
請求項2に記載の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、及び担体を含む組成物。
【請求項10】
(i)請求項2に記載の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、及び(ii)使用説明書を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
(電子方式で提出された配列リストの参照)
本出願とともに提出されたASCIIテキストファイル形式の電子方式で提出された配列リスト(ファイル名:3763.005PC02_SeqListing_ST25.txt;サイズ:166,889バイト;生成日:2018年6月26日)の内容はその全部を参照することによりこの明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は配列相同性19を有するファミリ、メンバーA5(FAM19A5)に特異的に結合する抗体、このような抗体を含む組成物、及び対象の線維症及び/又は癌(例えば、脳腫瘍、例えば膠芽細胞腫)のような障害や疾患を予防するか治療するための前記抗体の使用方法を提供する。
【0003】
〔背景技術〕
FAM19A5は5個の高度に相同性である小型タンパク質からなるTAFAタンパク質サブファミリのメンバーである(Tang T. Y. et al., Genomics 83(4):727-34 (2004))。これらのタンパク質は固定位置に保存されたシステイン残基を含み、CC-ケモカインファミリのメンバーであるマクロファージ炎症性タンパク質1-アルファ(MIP-1-アルファ)に関連する。TAFAタンパク質は脳と脊髄の特定領域で優勢に発現する。これらのタンパク質は神経形成過程で成人神経幹細胞によって生成されて分泌されると思われる。
【0004】
FAM19A5は脊椎動物の脳で優勢に発現し、完全な中枢神経系の発生、分化、形成に重要であると思われ、中枢神経系の損傷及び/又は疾患の予防又は治療に使われることができる(アメリカ特許公開第2015/0118230号)。
【0005】
神経系の調節に加え、またFAM19A5は兔疫細胞を調節するのに一定の役割をすることができる。線維症は健康に関連した有り勝ちな症状であり、多様な病理学的過程でよく発生し、線維芽細胞を刺激して結合組織を変形させるサイトカインを放出する単核兔疫細胞を浸潤させることを特徴とする。よって、FAM19A5に特異的に結合し、FAM19A5活性を調整することができる抗体を開発する必要がある。
【0006】
〔発明の概要〕
〔課題を解決するための手段〕
(発明の簡単な概要)
配列相同性19を有するヒトファミリ、メンバーA5(“FAM19A5”)タンパク質に特異的に結合し、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む基準抗体とヒトFAM19A5エピトープに対する結合に対して交差競合する、分離された抗体(“抗FAM19A5抗体”)、又はその抗原結合部分が本発明で提供され、(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む。
【0007】
また、配列相同性19を有するヒトファミリ、メンバーA5(“FAM19A5”)タンパク質に特異的に結合し、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む基準抗体と同一であるFAM19A5エピトープに結合する、分離された抗体(“抗FAM19A5抗体”)、又はその抗原結合部分が本発明で提供され、(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;又は(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体は、SEQ ID NO:6である、少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合する。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体はアミノ酸残基(i)46~51(すなわち、DSSQPR)、(ii)46、50、及び52(すなわち、D---P-R)、又は(iii)46、47、48、及び50(すなわち、DSS-P)に相応する一つ以上のアミノ酸で、SEQ ID NO:6である、FAM19A5エピトープに結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体は、SEQ ID NO:9である、少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合する。
【0009】
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体はEP2、EP4、及び/又はEP8と確認された少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合し、EP2はアミノ酸DSSQP(SEQ ID NO:66)を含み、EP4はアミノ酸ARCACRK(SEQ
ID NO:68)を含み、EP8はアミノ酸TCTQPGGR(SEQ ID NO:72)を含む。
【0010】
いくつかの具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体は、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11、SEQ ID NO:14、又はSEQ ID NO:20を含み;
(ii)重鎖CDR2はSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:15、又はSEQ ID NO:21を含み;
(iii)重鎖CDR3はSEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、又はSEQ ID NO:22を含み;
(iv)軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23、SEQ ID NO:26、又はSEQ ID NO:32を含み;
(v)軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24、SEQ ID NO:27、又はSEQ ID NO:33を含み;及び/又は
(vi)軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:28、又はSEQ ID NO:34を含む。
【0011】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体は、(i)SEQ ID NO:35を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:39を含む軽鎖可変ドメイン;(ii)SEQ ID NO:36を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:40を含む軽鎖可変ドメイン;又は(iii)SEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0012】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域はSEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を含み、及び/又は前記軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体は、(i)SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:58、又はSEQ ID NO:60を含む重鎖;及び(ii)SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:62、又はSEQ ID NO:64を含む軽鎖を含む。
【0014】
いくつかの具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体である。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体は次の特性の一つ以上を含む:(a)線維症の減少、反転、遅延及び/又は予防;(b)過度な細胞外基質(ECM)形成の減少;(c)腫瘍の成長又は進行の遅延;(d)酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)によって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合;(e)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合;(f)反応性神経膠症開始の減少、反転、遅延及び/又は予防;(g)反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制;(h)ニューロカン及びニューロン-グリア抗原2(NG2)を含むコンドロイチン硫酸プロテオグリカン発現の減少;(i)ニューロンの核のc-fos及びpERK発現の増加;(j)ニューロンの生存促進;(k)ニューロンでGAP43発現の増加;及び(l)軸索の再成長の促進。
【0015】
また、本発明は、SEQ ID NO:5、6、9、又は10と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列から本質的に構成されるか構成される配列相同性19を有するヒトファミリ、メンバーA5(FAM19A5)エピトープを提供し、前記エピトープは、(i)SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン、及び(ii)SEQ
ID NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む基準抗体に特異的に結合することができる。
【0016】
また、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はFAM19A5エピトープを暗号化する核酸が本発明に開示される。
【0017】
また、本発明の抗FAM19A5抗体又はFAM19A5エピトープを含む組成物が提供される。
【0018】
いくつかの様態において、また、本発明は脳癌を治療するための抗FAM19A5抗体を提供する。
【0019】
他の様態において、本発明は、本発明に開示した抗FAM19A5抗体と対象の生物学的サンプルを接触させる段階を含む、診断が必要な対象を診断する方法を提供する。
【0020】
(具体例)
具体例1.配列相同性19を有するヒトファミリ、メンバーA5(FAM19A5)に特異的に結合し、次の特性の一つ以上を示す分離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合部分:
(a)線維症の減少、反転、遅延及び/又は予防;
(b)過度な細胞外基質(ECM)形成の減少;及び
(c)腫瘍の成長又は進行の遅延。
【0021】
具体例2.次の特性の一つ以上をさらに含む、具体例1のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分:
(d)酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)によって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合;
(e)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合;
(f)反応性神経膠症開始の減少、反転、遅延及び/又は予防;
(g)反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制;
(h)ニューロカン及びニューロン-グリア抗原2(NG2)を含むコンドロイチン硫酸プロテオグリカン発現の減少;
(i)ニューロンの核のc-fos及びpERK発現の増加;
(j)ニューロンの生存促進;
(k)ニューロンでGAP43発現の増加;及び
(l)軸索の再成長の促進。
【0022】
具体例3.
(i)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含む基準抗体;
(ii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含む基準抗体;又は
(iii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID
NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む基準抗体
とヒトFAM19A5エピトープに対する結合に対して交差競合する、具体例1又は2のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0023】
具体例4.
(i)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含む基準抗体;
(ii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含む基準抗体;又は
(iii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID
NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む基準抗体
と同一のヒトFAM19A5エピトープに結合する、具体例1又は2のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0024】
具体例5.SEQ ID NO:6である、少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合する、具体例3又は4のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0025】
具体例6.モノクローナル抗体又はその抗原結合部分が、SEQ ID NO:6である、FAM19A5にのみ結合する、具体例2~5のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0026】
具体例7.モノクローナル抗体又はその抗原結合部分が追加のFAM19A5エピトープにさらに結合する、具体例2~5のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0027】
具体例8.追加のFAM19A5エピトープはSEQ ID NO:5、SEQ ID
NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、具体例7のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0028】
具体例9.重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、具体例1~8のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0029】
具体例10.重鎖CDR1がSEQ ID NO:11、SEQ ID NO:14、又はSEQ ID NO:20を含む、具体例9のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0030】
具体例11.重鎖CDR2がSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:15、又はSEQ ID NO:21を含む、具体例9又は10のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0031】
具体例12.重鎖CDR3がSEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、又はSEQ ID NO:22を含む、具体例9~11のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0032】
具体例13.軽鎖CDR1がSEQ ID NO:23、SEQ ID NO:26、又はSEQ ID NO:32を含む、具体例9~12のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0033】
具体例14.軽鎖CDR2がSEQ ID NO:24、SEQ ID NO:27、又はSEQ ID NO:33を含む、具体例9~13のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0034】
具体例15.軽鎖CDR3がSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:28、又はSEQ ID NO:34を含む、具体例9~14のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0035】
具体例16.(i)SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン、及び(ii)SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む、具体例1~15のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0036】
具体例17.重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域がSEQ ID
NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む、具体例1~16のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0037】
具体例18.重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域がSEQ ID
NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%o、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む、具体例1~17のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0038】
具体例19.モノクローナル抗体が単一ドメイン抗体である、具体例1~18のいずれか一つのモノクローナル抗体。
【0039】
具体例20.モノクローナル抗体がIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、これらの変異体、又はこれらの組合せからなる群から選択される、具体例1~19のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0040】
具体例21.モノクローナル抗体がヒトIgG1抗体である、具体例20のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0041】
具体例22.モノクローナル抗体がヒトIgG2又はヒトIgG4アイソタイプ抗体を含む、具体例20のモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0042】
具体例23.Fc機能がない不変領域をさらに含む、具体例1~22のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0043】
具体例24.キメラ抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体である、具体例1~23のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分。
【0044】
具体例25.モノクローナル抗体が、(i)SEQ ID NO:57、SEQ ID
NO:58、又はSEQ ID NO:60を含む重鎖;及び(ii)SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:62、又はSEQ ID NO:64を含む軽鎖を含む、具体例1~24のいずれか一つのモノクローナル抗体。
【0045】
具体例26.その抗原結合部分がFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)である、具体例1~25のいずれか一つのその抗原結合部分。
【0046】
具体例27.第2結合部分を有する分子に連結された具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分を含む二重特異性分子。
【0047】
具体例28.SEQ ID NO:5、6、9、又は10と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同一であるアミノ酸配列から本質的に構成されるか構成される配列相同性19を有するヒトファミリ、メンバーA5(FAM19A5)エピトープであり、前記エピトープは、(i)SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン、及び(ii)SEQ ID
NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む基準抗体に特異的に結合することができるエピトープ。
【0048】
具体例29.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例28のエピトープを暗号化する核酸。
【0049】
具体例30.具体例29の核酸を含むベクター。
【0050】
具体例31.遺伝子治療法に使うための、具体例30のベクター。
【0051】
具体例32.具体例30の発現ベクターによって形質転換された細胞。
【0052】
具体例33.製剤に連結された、具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分又は具体例27の二重特異性分子を含む免疫抱合体。
【0053】
具体例34.(i)具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、又は具体例33の免疫抱合体、及び(ii)担体を含む組成物。
【0054】
具体例35.(i)具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、又は具体例27の二重特異性分子、及び(ii)使用説明書を含むキット。
【0055】
具体例36.具体例28のエピトープで非ヒト動物を免疫化する段階、及び抗体、又はその抗原結合部分を生成する段階を含む、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分の製造方法。
【0056】
具体例37.適切な条件ので具体例32の細胞を培養する段階、及び抗体又はその抗原結合部分を分離する段階を含む、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分の生成方法。
【0057】
具体例38.線維症の開始が遅延されるように具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を投与する段階を含む、治療が必要な対象の線維症を減少、反転、及び/又は予防する方法。
【0058】
具体例39.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を対象に投与する段階を含み、過剰のECMの形成が減少する、治療が必要な対象の過度な細胞外基質(ECM)の形成を減少させる方法。
【0059】
具体例40.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の肝癌、肺癌、腎癌、乳房癌、及び/又は膵膓癌を予防、改善、又は治療する方法。
【0060】
具体例41.肝癌が肝細胞癌である、具体例40の方法。
【0061】
具体例42.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の線維症に関連する肝癌、肺癌、腎癌、乳房癌、及び/又は膵膓癌を予防、改善、又は治療する方法。
【0062】
具体例43.線維症は、肝線維症、肺線維症、腎臓線維症、骨髓線維症、膵膓線維症、皮膚線維症、心臓線維症、動脈線維症、関節線維症、乳房線維症、筋肉線維症、後腹膜線維症、甲状腺線維症、リンパ節線維症、膀胱線維症、及び/又は胸膜胸膜線維症を含む、具体例38又は42の方法。
【0063】
具体例44.モノクローナル抗体又はその抗原結合部分は、静脈内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、皮下、又は心室内経路を介して投与される、具体例38~43のいずれか一つの方法。
【0064】
具体例45.対象はヒトである、具体例38~44のいずれか一つの方法。
【0065】
具体例46.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を対象から獲得したサンプルと接触させる段階を含む、治療が必要な対象からのサンプルのFAM19A5の水準を測定する方法。
【0066】
具体例47.FAM19A5の水準が基準サンプルと比較して対象のサンプルで増加する、具体例46の方法。
【0067】
具体例48.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を対象から獲得したサンプルと接触させる段階を含む、診断が必要な対象の線維症を診断する方法。
【0068】
具体例49.線維症は肝又は肺の線維症である、具体例48の方法。
【0069】
具体例50.FAM19A5の水準が線維症がない対象の基準サンプルのFAM19A5の水準と比較して対象のサンプルで増加する、具体例48又は49の方法。
【0070】
具体例51.具体例1~26のいずれか一つのモノクローナル抗体又はその抗原結合部分、具体例27の二重特異性分子、又は具体例33の免疫抱合体を対象から獲得したサンプルと接触させる段階を含む、診断が必要な対象の線維症を有する腫瘍を診断する方法。
【0071】
具体例52.FAM19A5の水準が腫瘍のい対象の基準サンプルのFAM19A5の水準と比較して対象のサンプルで増加する、具体例51の方法。
【0072】
具体例53.サンプルは、血液、血清、血漿、脳脊髄液、組職生検、器官生検、又はこれらの組合せである、具体例46~52のいずれか一つの方法。
【0073】
具体例54.サンプルは新鮮な腫瘍サンプル、凍結された腫瘍サンプル、又はホルマリン固定パラフィン包埋サンプルである、具体例46~52のいずれか一つの方法。
【0074】
具体例55.接触段階は分析を行う段階を含む、具体例46~52のいずれか一つの方法。
【0075】
具体例56.分析はウエスタンブロット分析、スロットブロット分析、酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)、放射免疫測定分析(RIA)、フローサイトメトリー基盤免疫蛍光分析(FACS)、質量分光法、表面プラズモン共鳴(SPR)、又はこれらの組合せを含む、具体例54の方法。
【0076】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕ヒトFAM19A5ポリペプチド上でのエピトープF1-F6(BSAにコンジュゲートされた)のアミノ酸配列とこれらの位置を示す。これらの相異なるエピトープ断片の大きさは括弧内に表示する。
【0077】
〔
図2〕抗FAM19A5抗体1-65、2-13、及び3-2の結合に対するELISA結果を示す。3-2抗体の場合、二つの相異なるアイソタイプ、すなわちヒトIgG1(“h3-2”)及びマウスIgG1(“m3-2”)が示される。各抗体に対して、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6棒(左側から始めて)はそれぞれエピトープ断片F1、F2、F3、F4、F5、及びF6に対する結合を表示する。右側から最も遠くある棒は陽性対照群(すなわち、Hisタグを有するFAM19A5タンパク質)である。正確なO.D.値が各棒上に表示される。
【0078】
〔
図3A~
図3C〕次の13個の相異なるFAM19A5エピトープF2断片突然変異ペプチドに対する抗FAM19A5抗体3-2及び1-28の結合に対するELISA結果を示す:(i)F2-01-BSA(#1)、(ii)F2-02-BSA(#2)、(iii)F2-03-BSA(#3)、(iv)F2-04-BSA(#4)、(v)F2-05-BSA(#5)、(vi)F2-06-BSA(#6)、(vii)F2-07-BSA(#7)、(viii)F2-08-BSA(#8)、(ix)F2-09-BSA(#9)、(x)F2-10-BSA(#10)、(xi)F2-11-BSA(#11)、(xii)F2-12-BSA(#12)、及び(xiii)F2-13-BSA(#13)。
図3AはヒトIgG1アイソタイプを有する3-2抗体に対する結果を示す。
図3BはマウスIgG1アイソタイプを有する3-2抗体に対する結果を示す。
図3Cは1-28抗体に対する結果を示す。正確なO.D.値は各棒上に表示される。
【0079】
〔
図4〕FAM19Aファミリの相異なるメンバー(すなわち、FAM19A1-5)のアミノ酸整列を示す。メンバーの中で最大のアミノ酸多様性を有する領域をボックスで表示し、EP1~EP8で示す。IgG抗体(“IgGのみ”)は対照群として提示される。y軸はO.D.値を提供する。
【0080】
〔
図5〕FAM19A5突然変異M1~M8に対する抗FAM19A5抗体1-65、1-28、2-13、及び3-2の結合に対するELISA結果を示す。各抗体に対して、8個の棒は突然変異M1~M8に相当する(左側から右側へ)。
【0081】
〔
図6A〕相異なる抗FAM19A5抗体間の交差競合を評価するために使用された2部位サンドイッチELISA分析の図解を示す。
【0082】
〔
図6B〕6個の相異なる抗FAM19A5抗体、すなわち1-65、P2-A03、P2-F11、13B4、2-13、及び3-2に対する交差競合分析の結果を示す。用語“S/N”は信号対ノイズの比を意味し、これは次のように測定される:[10ng/mL抗原のO.D.]/[0ng/mL抗原のO.D.]。灰色ボックスは交差競合を示す(すなわち、2以下のS/N比)。
【0083】
〔
図7A及び
図7B〕FAM19A5に対するいくつかの抗FAM19A5抗体の結合に対するELISA結果を示す。次の抗体に対する結果が表示される:1-65、13B4、13F7、1-28、2-13、3-2、P1-A03、P1-A08、P1-D03、P1-F02、P1-G09、P2-A01、P2-A03、P2-C12、P2-F07、及びP2-F11(左側から右側へ)。
図7Aは抗FAM19A5抗体の多様な濃度に対する結果を棒グラフで示したものである。
図7Bは相異なる抗FAM19A5抗体のKd(nM)を表示する。
【0084】
〔
図8〕胆管結紮(BDL)によって誘発された肝線維症を有するラット(n=5)( “疾患モデル”)の血清中のFAM19A5タンパク質の水準を元気なラット(“正常”
)(n=3)と比較したものを示す。FAM19A5タンパク質の水準は正常対照群の動物で観察された水準に対して倍数変化で表示される。“*”は正常対照群動物と比較して統計的に有意な差(p<0.005)を示す。
【0085】
〔
図9〕3mg/kgブレオマイシンの気管内注射によって誘発された特発性肺線維症を有するラット(n=5)(“疾患モデル”)の血清中のFAM19A5タンパク質の水準を元気なラット(“正常”)(n=5)と比較したものを示す。FAM19A5タンパク質の水準は正常対照群動物で観察された水準に比べて倍数変化で表示される。“*”は正常対照群動物と比較して統計的に有意な差(p<0.005)を示す。
【0086】
〔
図10〕肝線維症、例えば肝硬変が確認されたヒト患者(患者#1-10)と元気な個体(正常#1-3)の血清中のFAM19A5タンパク質水準の倍数変化を示す。各棒グラフ上に提示された具体的な値は元気な個体の血清から検出されたFAM19A5タンパク質の平均濃度に対する倍数変化を示す。
【0087】
〔
図11〕対照群抗体(“NHI”)又は抗FAM19A5抗体(“1-65”、“3-2”、及び“1-28”)で治療された心筋梗塞誘発動物での左心室組職のH&E(ヘマトキシリン及びエオシン)染色を比較したものを示す。元気な動物(すなわち、非心筋梗塞誘発、“ナイーブ”)が追加対照群として使われた。
【0088】
〔
図12A及び
図12B〕心筋梗塞誘発動物の左心室組職でのコラーゲン蓄積を比較したものを示す。心筋梗塞誘発動物は、対照群抗体(“NHI”)又は抗FAM19A5抗体(“1-65”、“3-2”、及び”1-28”)のいずれか一つが投与された。元気な動物(すなわち、非心筋梗塞誘発、“ナイーブ”)が追加対照群として使われた。
図12Aはマッソントリクローム染色を使ったコラーゲン蓄積を示す。
図12Bは全体左心室領域に対する線維性領域の比率でコラーゲン蓄積(すなわち、線維性領域)を示す。データは平均±S.D.で表示される(n=グループ当たり5~8)。棒上の“***/**”は“ナイーブ”グループ(元気な動物)と比較して統計的に有意な差を示す(それぞれp<0.001、p<0.05)。棒上の“#”は”NHI“グループ(心筋梗塞誘発+対照群抗体)と比較して統計的に有意な差を示す(p<0.05)。
【0089】
〔
図13〕3人の相異なる肝癌患者の肝生検でのFAM19A5タンパク質発現の免疫組職化学分析を示す。図示のように、各患者は多様な程度の線維症を有する:(i)段階#0(左側カラム)、(ii)段階#2(中間カラム)、及び(iii)段階#4(右側カラム)。下側列は上側列でボックスで表示された領域をより大きく拡大したものである。矢印はFAM19A5-陽性の肝星細胞の例を表示する。
【0090】
〔
図14A〕動物の体重(g)を時間の関数として示す(接種後経過週)。動物の一部はHep3B細胞のみ接種され、正常ヒト兔疫グロブリン(円、グループ:“Hep3B+NHI”、n=3)又は抗FAM19A5抗体(閉ボックス、グループ:“Hep3B+FAM19A5 Ab”、n=3)のいずれか一つで治療された。他の動物はHep3B細胞とヒトの肝星細胞(HHSteC)の両者が接種され、正常ヒト兔疫グロブリン(ダイヤモンド、グループ:“Hep3B+HHSteC+NHI”、n=3)又は抗FAM19A5抗体(開ボックス、グループ:“Hep3B+HHSteC+FAM19A5
Ab”、n=3)のいずれか一つで治療された。データは平均±S.D.で表示される。
【0091】
〔
図14B〕相異なるグループの動物で観察された平均腫瘍体積を時間の関数として示す(接種後経過週)。図示したグループは
図14Aで説明したものと同一である。腫瘍体積は次の式によって計算された:0.5×長さ×幅
2=腫瘍体積(mm
3)。データは平均±S.D.で表示される。
【0092】
〔
図14C及び
図14D〕接種後42日目に
図14Aで説明した動物から分離された腫瘍の写真撮影イメージ及び重量(g)をそれぞれ示す。
図14Cで、(i)左上側は“Hep3B+NHI”グループ(n=2)からの腫瘍;(ii)右上側は“Hep3B+HHSteC+NHI”グループ(n=2)からの腫瘍;(iii)左下側は“Hep3B+FAM19A5 Ab”グループ(n=3)からの腫瘍;(iv)右下側は“Hep3B+HHSteC+FAM19A5 Ab”グループ(n=3)からの腫瘍である。
図14Dは相異なるグループから分離された腫瘍の平均重量(g)を示す。
【0093】
〔
図15A及び
図15B〕外傷性脳損傷後の反応性神経膠症に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図15Aは相異なる抗FAM19A5抗体で治療された動物の脳組職の損傷された領域の代表的な免疫組職化学イメージを提供する:(i)1-65(2/4)(第1列);(ii)1-28(第2列);(iii)2-13(第3列);及び(iv)3-2(第4列)。脳組職切片はGFAP(グリア細胞繊維性酸性タンパク質、緑色)及びネスチン(赤色)で染色された。これらは脳損傷後の反応性星状膠細胞で誘発されると知られている。点線(白色)はTBIに露出された後の病巣境界を表示する。
図15Bは1-65、1-28、2-13、及び3-2抗FAM19A5抗体で治療された動物のTBI病巣の中心からGFAP-及び/又はネスチン-陽性星状膠細胞の平均距離を提供する。
【0094】
〔
図16A〕抗体投与スケジュール及び膠芽腫癌細胞をマウスに頭蓋内注射することを描いた図解を提供する。
【0095】
〔
図16B〕組職サンプルの透明性を評価するCLARITYを使って膠芽細胞腫動物モデルで抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。ヒトIgG対照群抗体(左側)又は抗FAM19A5抗体(右側)のいずれか一つで治療された動物から収去された脳の不透明な腫瘍領域は点線で表示される。
【0096】
〔
図17A及び
図17B〕ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図17Aは対照群ヒトIgG抗体(上側列)又は抗FAM19A5抗体(下側列)のいずれか一つで治療された動物からの脳組職切片の4個の代表的なH&E染色イメージを提供する。膠芽細胞腫はこのイメージの暗領域に相当する。
図17Bは対照群のパーセントとしてデータを提供することにより
図17Aに提示されたデータを定量する。黒色棒は(ヒトIgG抗体で治療された)対照群に相当する。灰色棒は抗FAM19A5抗体で治療されたグループに相当する。x軸の数字は
図17Aに示した代表イメージに相当する。
【0097】
〔
図18A~
図18D〕Hoechst核染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図18Aは対照群ヒトIgG抗体(上側列)又は抗FAM19A5抗体(下側列)で治療された動物から4個の代表的な脳組職切片のイメージを示す。各イメージで、薄い灰色領域は腫瘍に相当する。
図18Bは
図18Aの4個の代表的な脳組職切片で測定された腫瘍内の細胞数(Hoeschst陽性染色)(“スポット数”)及び腫瘍体積(“体積”)に対する数値を示した表を提供する。
図18C(細胞数)及び18D(腫瘍体積)は
図18Bに提示されたデータをグラフで示したものである。
図18C及び
図18Dで、データは対照群動物で観察された相応する値の%として表示される。x軸の数字は
図18Aの代表脳組職切片に相当する。黒色棒は対照群ヒトIgG抗体で治療された動物に相当する。灰色棒は抗FAM19A5抗体で治療された動物に相当する。
【0098】
〔
図19A及び
図19B〕膠芽細胞腫マウスモデルの血管正常化に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図19Aは対照群ヒトIgG抗体(左側イメージ)又は抗FAM19A5抗体(右側イメージ)で治療された動物から分離された脳の類似領域内でのCD31発現(血管マーカー)の免疫組職化学分析を提供する。
図19Aで、白色点線は膠芽細胞腫の外部境界を表示する。
図19Bは
図19Aの代表領域の拡大図を提供する。
【0099】
〔
図20A及び
図20B〕膠芽細胞腫マウスモデルの腫瘍へのマクロファージの浸潤に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図20Aは対照群ヒトIgG抗体(上側イメージ)又は抗FAM19A5抗体(下側イメージ)で治療されたマウスの膠芽細胞腫のIbal発現(マクロファージマーカー)の免疫組職化学イメージを提供する。
図20Bは
図20Aに示さしたイメージで観察されたマクロファージの体積を比較した結果である。
【0100】
〔
図21〕対照群ヒトIgG抗体(上側列)又は抗FAM19A5抗体(下側列)のいずれか一つで治療されたラット神経膠腫モデルの脳のMRIスキャンイメージを示す。これらのイメージは次のような腫瘍の多様な特性を示す:(i)T2-形態学的分析;(ii)R2-流体含量;(iii)CBV-脳血管体積;(iv)EnhRate(増強率)及びIAUC30(30秒での曲線下の初期面積)-組職透過性。このイメージで、腫瘍は黒色点マークで表示される。
【0101】
〔
図22〕マウス脳癌モデルで、生存に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。黒色円はヒトIgG対照群抗体で治療された動物を示す。白色円は抗FAM19A5抗体で治療された動物を示す。
【0102】
〔発明を実施するための形態〕
配列相同性19を有するヒトファミリ、メンバーA5に特異的に結合し、本発明に開示される特性の一つ以上を示す分離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合部分が本発明に開示され、前記特性は、例えば線維症の減少、反転、遅延及び/又は予防、過度な細胞外基質(ECM)形成の減少、腫瘍の成長又は進行の遅延、酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)によって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合、ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合、反応性神経膠症開始の減少、反転、遅延及び/又は予防、反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制、ニューロカン及びニューロン-グリア抗原2(NG2)を含むコンドロイチン硫酸プロテオグリカン発現の減少、ニューロンの核のc-fos及びpERK発現の増加、ニューロンの生存促進、ニューロンでGAP43発現の増加、及び軸索の再成長の促進である。
【0103】
本発明に開示される内容の容易な理解のために、多数の用語及び文句が定義される。追加的な定義は詳細な説明全般で提示される。
【0104】
I.定義
本発明全般で、用語“1個の”又は“ある”存在はその存在の1個以上を意味する;例えば“1個の抗体”は1個以上の抗体を示すものとして理解される。このように、用語“1個の”(又は“ある”)、“1個以上の”及び“少なくとも1個の”は本発明で互いに交換して使われることができる。
【0105】
また、“及び/又は”は、本発明で使用する場合、2個の明示した特徴又は成分のそれぞれが残りの1個とともに又は単独で具体的に開示されるものに解釈されなければならない。よって、“A及び/又はB”のような文句で使用された用語“及び/又は”は“A及びB”、“A又はB”、“A”(単独)、及び“B”(単独)を含もうとするものである。同様に、“A、B及び/又はC”のような文句で使用された用語“及び/又は”はA、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)の様態をそれぞれ含もうとするものである。
【0106】
ある様態が“含む”とともに提示されれば“構成される”及び/又は“本質的に構成される”の観点で説明された他の類似した様態も提供されるものに理解される。
【0107】
他に定義しない限り、本発明で使用される全ての技術及び科学用語は本発明が属する当業者に通常に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、文献(the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology (Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press); the Dictionary of Cell and Molecular Biology (3rd ed., 1999, Academic Press); 及び the Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology (Revised, 2000, Oxford University Press))は本発明で使用される大部分の用語に対する一般的な辞書的意味を当業者に提供する。
【0108】
単位、接頭辞及び記号は国際単位系(Systeme International deUnites(SI))で承認された形態に表示される。数値範囲はその範囲を限定する数字を包括的に含む。特に指示しない限り、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向に左側から右側に書かれる。本発明に提供された表題は本発明の多様な様態の制限ではなく、これらは全体的に明細書を参照することができる。よって、以下で定義される用語はその全体が明細書を参照してより充分に定義される。
【0109】
用語“約”はおよそ、概略で、前後の、又はある領域内を意味するために本発明で使われる。用語“約”が数値範囲とともに使われるとき、それは提示された数値の上下に境界を拡張させることによって該当範囲を変形する。一般的に、用語“約”は、例えば上に又は下に(より高く又はより低く)10パーセントの変動まで言及された値の上下に数値を変形することができる。
【0110】
用語“配列相同性19を有するファミリ、メンバーA5”又は“FAM19A5”は5個の高度の相同性のタンパク質のTAFAファミリ(FAM19ファミリともいう)に属するタンパク質をいい、脳と脊髄で主に発現する。また、FAM19A5はTAFA5又はケモカイン類似タンパク質TAFA-5とも知られている。
【0111】
ヒトにおいて、FAM19A5を暗号化する遺伝子は染色体22に位置する。3種のヒトFAM19A5(UniProt:Q7Z5A7)アイソフォームがあり、これらは次のように選択的スプライシングによって生成されると思われる:アイソフォーム1(UniProt:Q7Z5A7-1)、これは132個のアミノ酸で構成される;アイソフォーム2(UniProt:Q7Z5A7-2)、これは125個のアミノ酸で構成される;及びアイソフォーム3(UniProt:Q7Z5A7-3)、これは53個のアミノ酸で構成される。ヒトFAM19A5タンパク質は膜結合形態と可溶性(分泌された)形態として存在すると思われる。アイソフォーム1は1個の膜貫通領域を有する膜タンパク質であると思われる。アイソフォーム2は分泌されたタンパク質(可溶性)として文献(Tang T. Y. et al., Genomics 83(4):727-34 (2004))に報告されており、アミノ酸位置1-25にシグナルペプチドを含む。アイソフォーム3はESTデータに基づいて予想される。以下は3種の公知のヒトFAM19A5アイソフォームのアミノ酸配列である。
【0112】
(I)アイソフォーム1(UniProt:Q7Z5A7-1、膜貫通タンパク質):このアイソフォームを標準配列として選択された。
【0113】
【0114】
(II)アイソフォーム2(UniProt:Q7Z5A7-2、可溶性タンパク質):
【0115】
【0116】
(III)アイソフォーム3(UniProt:Q7Z5A7-3):
【0117】
【0118】
用語“FAM19A5”は細胞によって自然に発現するFAM19A5の任意の変異体又はアイソフォームを含む。よって、本発明に開示される抗体は同種の相異なるアイソフォーム(例えば、ヒトFAM19A5の相異なるアイソフォーム)と交差反応することができるか、又はヒト以外の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)と交差反応することができる。もしくは、抗体はヒトFAM19A5に特異的であり得、他の種とは交差反応性を示すことができないこともある。FAM19A5、又はその任意の変異体及びアイソフォームはこれらを自然に発現する細胞又は組職から分離されるか又は組み換え方式で生成されることができる。ヒトFAM19A5を暗号化するポリヌクレオチドはGenBank受託番号No.BC039396を有し、次の配列を有する:
【0119】
【0120】
用語“抗体”及び“抗体ら”は当該分野の用語であり、本発明で相互交換して使用することができ、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を有する分子を意味する。本発明で使用される用語は全ての抗体及び任意の抗原結合断片(すなわち、“抗原結合部分”)又はこれらの単鎖を含む。一具体例において、“抗体”はジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2個の重鎖(H)と2個の軽鎖(L)を含む糖タンパク質、又はその抗原結合部分を意味する。他の具体例において、“抗体”は単一可変領域、例えばVHHドメインを含む単鎖抗体を意味する。各重鎖は重鎖可変領域(本発明ではVHと略記する)と重鎖不変領域からなる。特定の自然発生抗体において、重鎖不変領域は3個のドメインCH1、CH2及びCH3からなる。特定の自然発生抗体において、各軽鎖は軽鎖可変領域(本発明ではVLと略記する)と軽鎖不変領域からなる。軽鎖不変領域は1個のドメインCLからなる。
【0121】
VH及びVL領域はフレームワーク領域(FR)と称する、より保存性の領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称する、超可変性領域にさらに細分されることができる。それぞれのVH及びVLは3個のCDRと4個のFRからなり、これらはFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の順にアミノ末端からカルボキシ末端に向かって配列される。重鎖及び軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の不変領域は、免疫システムの多様な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び正統補体システムの第1成分(C1q)を含む宿主組職又は因子と兔疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0122】
用語“Kabatナンバリング”及び類似の用語は当該分野で認められており、抗体、又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域でアミノ酸残期をナンバリングするシステムを意味する。特定の様態で、抗体のCDRはKabatナンバリングシステムによって決定されることができる(例えば、Kabat EA & Wu TT (1971) Ann NY Acad Sci 190: 382-391 and Kabat EA et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242参照)。Kabatナンバリングシステムを使えば、抗体重鎖分子内でCDRは典型的にアミノ酸位置31~35(これは選択的に35以後に1個又は2個の追加のアミノ酸を含むことができる;Kabatナンバリング方式で35A及び35Bと言及される)(CDR1)、アミノ酸位置50~65(CDR2)、及びアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Kabatナンバリングシステムを使えば、抗体軽鎖分子内でCDRは典型的にアミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。特定の具体例において、本発明で説明される抗体のCDRはKabatナンバリング方式で決定された。
【0123】
文句“Kabatによるアミノ酸位置ナンバリング”、“Kabat位置”及びこれらの文法的変異は文献(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))で抗体編成の重鎖可変領域又は軽鎖可変領域に対して使用されたナンバリングシステムを意味する。このナンバリングシステムを使えば、実際の線形アミノ酸配列はより少ない又は追加のアミノ酸を含むことができる。これは可変領域のFW又はCDRの短縮、又はFW又はCDRへの挿入に相当する。例えば、重鎖可変領域はH2の残期52以後の単一アミノ酸挿入(Kabatによれば、残期52a)及び重鎖FW残期82以後の挿入された残期(例えば、Kabatによれば、残期82a、82b、及び82cなど)を含むことができる(表1b参照)。
【0124】
【0125】
残期のKabatナンバリングは“標準”Kabatナンバリングされた配列と抗体配列の相同性領域で整列によって特定の抗体に対して決定されることができる。Chothiaはその代わりに構造ループの位置を言及する(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。Chothia CDR-H1ループの端部はKabatナンバリング慣例を用いてナンバリングされたとき、ループの長さによってH32~H34の範囲で変わる(これは、Kabatナンバリング方式がH35AとH35Bに挿入を位置させるからである;35Aも35Bも存在しなければ、ループは32で終わる;35Aのみ存在すれば、ループは33で終わる;35Aと35Bが共に存在すれば、ループは34で終わる)。AbM超可変領域はKabat CDRとChothia構造ループ間の妥協点を表示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使われる。
【0126】
IVIGT(ImMunoGeneTics)はCDRを含む兔疫グロブリン可変領域に対するナンバリングシステムを提供する。例えば、文献(Lefranc, M.P. et al, Dev. Comp. Immunol. 27: 55-77(2003))を参考し、これは本発明に参照することにより組み込まれる。EVIGTナンバリングシステムは5,000個を超える配列の整列、構造データ、及び超可変ループの特性化に基づいており、全ての種に対して可変領域とCDR領域の容易な比較ができるようにする。IMGTナンバリングスキーマによれば、VH-CDR1は位置26~35にあり、VH-CDR2は位置51~57にあり、VH-CDR3は位置93~102にあり、VL-CDR1は位置27~32にあり、VL-CDR2は位置50~52にあり、VL-CDR3は位置89~97にある。
【0127】
本発明で論議される全ての重鎖不変領域アミノ酸位置に対し、ナンバリングは配列化した最初のヒトIgG1である骨髄腫タンパク質EUのアミノ酸配列を説明した文献(Edelman et al., 1969, Proc. Natl. Acad. Set USA 63(1):78-85)で最初に説明されたEUインデックスによる。また、EdelmanらのEUインデックスは文献(Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed., United States Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda)にも提示されている。よって、文句“Kabatに提示されたEUインデックス”又は“KabatのEUインデックス”及び“Kabatに提示されたEUインデックスによる位置”及びこれらの文法的変異はKabat 1991に提示されたもののようなEdelmanらのヒトIgG1EU抗体に基づく残期ナンバリングシステムを意味する。
【0128】
可変領域(重鎖及び軽鎖の両者)及び軽鎖不変領域アミノ酸配列に使用されるナンバリングシステムはKabat 1991に提示されたものである。
【0129】
抗体は兔疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY)、任意のクラス(例えば、IgD、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1又はIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、ヒトでIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4;及びマウスでIgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3)を有することができる。兔疫グロブリン、例えばIgG1はいくつかのアロタイブとして存在し、これらは多くても少数のアミノ酸が互いに異なる。本発明に開示される抗体は、通常知られたアイソタイプ、クラス、サブクラス、又はアロタイブのいずれかから由来することができる。特定の具体例において、本発明に開示される抗体はIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブクラス又はこれらの任意のハイブリッドである。特定の具体例において、抗体はヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG2又はヒトIgG4サブクラスのものである。
【0130】
“抗体”は、例として、自然発生及び非自然発生抗体;モノクローナル及びポリクローナル抗体;キメラ及びヒト化抗体;ヒト及び非ヒト抗体、完全合成抗体;単鎖抗体;単一特異的抗体;(二重特異性抗体を含む)多重特異的抗体;2個の重鎖と2個の軽鎖分子を含む四量体抗体;抗体軽鎖モノマー;抗体重鎖モノマー;抗体軽鎖二量体;抗体重鎖二量体;抗体軽鎖-抗体重鎖対;細胞内抗体;ヘテロ結合抗体;1価抗体;ラクダ化抗体;アフィボディー;(例えば、抗抗Id抗体を含む)抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び充分に抗原結合することができる単一モノマー可変抗体ドメイン(例えば、VHドメイン又はVLドメイン)からなる結合分子を含む単一ドメイン抗体(sdAb)を含む(Harmen M. M. and Haard H. J. Appl Microbiol Biotechnol. 77(1): 13-22 (2007)参照)。
【0131】
本発明で使用される用語抗体の“抗原結合部分”は抗原(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する能力を保有した抗体の1個以上の断片を意味する。このような“断片”は、例えば、約8~約1500個のアミノ酸の長さ、適切には約8~約745個のアミノ酸の長さ、より適切には約8~約300個、例えば約8~約200個のアミノ酸、又は約10個~約50又は100個のアミノ酸の長さである。抗体の抗原結合機能は全長抗体の断片によって遂行されることができるというのが明かされた。抗体、例えば、本発明で説明される抗FAM19A5抗体の“抗原結合部分”と言う用語に含まれる結合断片の例は、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる1価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィドブリッジによって連結された2個のFab断片を含む2価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一腕のVL及びVHドメインからなるFv断片、及びジスルフィド連結されたFvs(sdFv);(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et (a1l9.8, 9) Nature 341:544- 546);及び(vi)分離された相補性決定領域(CDR)又は(vii)合成リンカーによって選択的に連結されることができる2個以上の分離されたCDRの組合せを含む。また、Fv断片の2個のドメインであるVLとVHは別個の遺伝子によってコーディングされるが、これらは合成リンカーによって、組み換え方法を使用して、連結されることができる。これにより、VLとVH領域が対を成して1価分子を形成した単一タンパク質鎖となることができる(単鎖Fv(scFv)と言う)(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; and Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883)参照)。このような単鎖抗体も抗体の“抗原結合部分”という用語内に含まれる。これらの抗体断片は当業者に公知となった従来の技術によって得られ、断片は無損傷抗体と同一の方式で有用にスクリーニングされる。抗原結合部分は組み換えDNA技術によって、又は無損傷兔疫グロブリンの酵素又は化学切断によって生成されることができる。
【0132】
本発明で使用される用語“可変領域”又は“可変ドメイン”は当該分野で通常に互いに交換して使われる。可変領域は典型的に抗体の一部分、一般的に軽鎖又は重鎖の一部分、典型的に成熟した重鎖においてアミノ末端約110~120個のアミノ酸と成熟した軽鎖において約90~115個のアミノ酸を意味し、これらは抗体別に配列が広範囲に異なり、特定抗原に対する特定抗体の結合及び特異性のため使われる。配列変動性は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中し、可変領域でより高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。
【0133】
軽鎖及び重鎖のCDRは抗原と抗体の相互作用及び特異性を主に担当すると思われる。特定の具体例において、可変領域はヒト可変領域である。特定の具体例において、可変領域はげっ歯類又はネズミ科CDRとヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の具体例において、可変領域は霊長類(例えば、非ヒトの霊長類)可変領域である。特定の具体例において、可変領域はげっ歯類又はネズミ科CDRと霊長類(例えば、非ヒトの霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0134】
本発明で使用される用語“重鎖”は、抗体に関連して使われるとき、不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて、任意の相異なるタイプ、例えばアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を意味することができ、これらはそれぞれIgGのサブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含めて、抗体のIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMクラスを発生させる。
【0135】
本発明で使用される用語“軽鎖”は、抗体に関連して使われるとき、不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて任意の相異なるタイプ、例えばカッパ(κ)及びラムダ(λ)を意味することができる。軽鎖アミノ酸配列は当該分野によく知られている。特定の具体例において、軽鎖はヒト軽鎖である。
【0136】
用語“VL”及び“VLドメイン”は互いに交換して使われ、抗体の軽鎖可変領域を意味する。
【0137】
用語“VH”及び“VHドメイン”は互いに交換して使われ、抗体の重鎖可変領域を意味する。
【0138】
本発明で使用される用語“不変領域”又は“不変ドメイン”は互いに交換することができ、当該分野での通常の意味を有する。不変ドメインは抗体部分であり、例えば抗体と抗原の結合には直接関与しないがFc受容体との相互作用のような多様なエフェクター機能を示すことができる軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシ末端部分である。兔疫グロブリン分子の不変領域は、一般的に兔疫グロブリン可変領域に比べてもっと保存性のアミノ酸配列を有する。
【0139】
“Fc領域”(断片結晶化可能な領域)又は“Fcドメイン”又は“Fc”は免疫システムの多様な細胞(例えば、エフェクター細胞)上に位置するFc受容体又は正統補体システムの第1成分(C1q)との結合を含み、宿主組職又は因子と兔疫グロブリンの結合を媒介する抗体の重鎖のC末端領域を意味する。よって、Fc領域は第1不変領域兔疫グロブリンドメイン(例えば、CH1又はCL)を除いた抗体の不変領域を含む。IgG、IgA及びIgD抗体アイソタイプにおいて、Fc領域は抗体の2個の重鎖の第2(CH2)及び第3(CH3)不変ドメインから来由した2個の同じタンパク質断片を含む;IgM及びIgEFc領域は、各ポリペプチド鎖に3個の重鎖不変ドメイン(CHドメイン2~4)を含む。IgGの場合、Fc領域は兔疫グロブリンドメインCγ2及びCγ3とCγ1とCγ2間のヒンジを含む。兔疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は多様であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は一般的に位置C226又はP230にあるアミノ酸残期(又はこれら2個のアミノ酸間のアミノ酸)から重鎖のカルボキシ末端まで延びるのように限定され、ここでナンバリングはKabatのEUインデックスによる。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは約アミノ酸231から約アミノ酸340まで延び、CH3ドメインはFc領域でCmドメインのC末端側に位置する。それはIgGの約アミノ酸341から約アミノ酸447まで延びる。本発明で使用されるFc領域は任意のアロタイブ変異体を含む自生配列Fc、又は変異体Fc(例えば、非自然発生Fc)であり得る。また、Fcは分離された状態の領域を意味するか又は“Fc融合タンパク質”(例えば、抗体又は免疫付着(immunoadhesion))とも言う、“Fc領域を含む結合タンパク質”のような、Fcを含むタンパク質ポリペプチドに関連した領域を意味する。
【0140】
“自生配列Fc領域”又は“自生配列Fc”は自然で発見されたFc領域のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。自生配列ヒトFc領域は、自生配列ヒトIgG1 Fc領域;自生配列ヒトIgG2 Fc領域;自生配列ヒトIgG3 Fc領域;及び自生配列ヒトIgG4 Fc領域だけではなく、これらの自然発生変異体を含む。自生配列FcはFeの多様なアロタイブを含む(例えば、Jefferis et al. (2009) mAbs 1:1; Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
【0141】
“Fc受容体”又は“FcR”は兔疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRはFcγファミリの受容体を含み、これら受容体の対立遺伝子変異及び他の方式でスプライスされた形態を含む。Fcγファミリは3個の活性化受容体(マウスでFcγRI、FcγRIII、及びFcγRIV;ヒトでFcγRIA、FcγRIIA、及びFcγRIIIA)と1個の抑制性受容体(FcγRIIB)からなる。ヒトIgG1は大部分のヒトFc受容体と結合し、最も強いFcエフェクター機能を導出する。それが結合する活性化Fc受容体の種類に対してはネズミ科IgG2aと同等であると見なされる。一方、ヒトIgG4は最小限のFcエフェクター機能を導出する(Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520 (2014年10月20日オンライン公開)参照)。
【0142】
不変領域は、1個以上のエフェクター機能を除去するために、例えば組み換え技術によって操作可能である。“エフェクター機能”は抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドの相互作用、又はそれから生ずる生化学的イベントを意味する。例示的な“エフェクター機能”はC1q結合、補体依存性細胞毒性(CDC)、Fc受容体結合、FcγR-媒介エフェクター機能、例えばADCC及び抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、及び細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウン調節を含む。このようなエフェクター機能は一般的にFc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変領域)と組み換えられることを必要とする。よって、用語“Fc機能がない不変領域”はFc領域によって媒介された1個以上のエフェクター機能が減少するかない不変領域を含む。
【0143】
抗体のエフェクター機能は相異なる接近法によって減少又は回避することができる。抗体のエフェクター機能はFc領域を欠いた抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインからなるsdAb)を使って減少するか回避することができる。もしくは、Fc領域の他の価値ある属性(例えば、延ばされた半減期及びヘテロ二量化)は保有しながら抗体のエフェクター機能を減少させるためにいわゆるアグリコシル化(aglycosylated)抗体がFc領域で特定の残期に連結された糖を除去することによって生成されることができる。アグリコシル化抗体は、例えば糖が付着された残期を欠失又は変更して糖を酵素的に除去することにより、グリコシル化阻害剤の存在の下で培養された細胞で抗体を生成することにより、又はタンパク質をグリコシル化することができない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞)で抗体を発現することにより生成されることができる(例えば、アメリカ特許公開第20120100140号参照)。他の接近法は、エフェクター機能が減少したIgGサブクラスからのFc領域を用いるものである。例えば、IgG2及びIgG4抗体はIgG1及びIgG3より低い水準のFcエフェクター機能を有することを特徴とする。Fc部分のCH2ドメインでヒンジ領域に最も近くにある残期が抗体のエフェクター機能を担当し、それは自然免疫システムのエフェクター細胞上でC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対してかなり重畳した結合部位を含む(Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。よって、Fcエフェクター機能が減少するかない抗体は、例えばIgG4アイソタイプのIgG抗体からCH2ドメインとIgG1アイソタイプのIgG抗体からCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2からヒンジ領域とIgG4からCH2領域を含むキメラFc領域(例えば、Lau C. et al. J. Immunol. 191:4769-4777 (2013)参照)、又は変更されたFcエフェクター機能、例えばFc機能が減少するかない突然変異を有するFc領域を生成することによって製造できる。突然変異を有するこのようなFc領域は当該分野に知られている。例えば、アメリカ特許公開第20120100140号とそれに引用されたアメリカ出願及びPCT出願と文献(An et al. mAbs 1:6, 572- 579 (2009))を参照し、これらの内容はその全体を本発明に参照することにより組み込まれる。
【0144】
“ヒンジ”、“ヒンジドメイン”、“ヒンジ領域”又は“抗体ヒンジ領域”は互いに交換して使われ、CH1ドメインをCH2ドメインとに連結し、ヒンジの上部、中央、及び下部の部分を含む重鎖不変領域のドメインを意味する(Roux et al. J. Immunol. 1998 161:4083参照)。ヒンジは抗体の結合領域とエフェクター領域との間に可撓性の水準を変化させ、また2個の重鎖不変領域間に分子間ジスルフィド結合のための部位を提供する。本発明で使用されるヒンジは全てのIgGアイソタイプに対してGlu216から始まってGly237で終わる(Roux et al 19., 98 J Immunol 161:4083参照)。野生型IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4ヒンジの配列が当該分野に知られている(例えば、Kabat E.A. et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開))参照)。
【0145】
用語“CH1ドメイン”は重鎖不変ドメインで可変領域とヒンジを連結する重鎖不変領域を意味する。本発明で使用されるCH1ドメインはA118から始まってV215で終わる。用語“CH1ドメイン”は野生型CH1ドメインだけでなく、その自然に存在する変異体(例えば、アロタイブ)を含む。(野生型及びアロタイブを含む)IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のCH1ドメイン配列は当該分野に知られている。例えば(Kabat EA et a (1991) supra and Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開))を参照する。例示的なCH1ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期を変形する突然変異を有するCH1ドメインを含み、これらは、例えばアメリカ特許公開第20120100140号及びそれに引用されたアメリカ特許及び出願とPCT出願に開示されている。
【0146】
用語“CH2ドメイン”は重鎖不変ドメインでヒンジとCH3ドメインを連結する重鎖不変領域を意味する。本発明で使用されるCH2ドメインはP238から始まってK340で終わる。用語“CH2ドメイン”は野生型CH2ドメインだけでなくその自然に存在する変異体(例えば、アロタイブ)を含む。(野生型及びアロタイブを含む)IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のCH2ドメイン配列は当該分野に知られている。例えば(Kabat E.A. et al., (1991) supra and Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開))を参照する。例示的なCH2ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期及び/又は減少したFcエフェクター機能を変形する突然変異を有するCH2ドメインを含み、これらは、例えばアメリカ特許公開第20120100140号及びそれに引用されたアメリカ特許及び出願とPCT出願に開示されている。
【0147】
用語“CH3ドメイン”は重鎖不変ドメインでCH2ドメインに対してC末端である重鎖不変領域を意味する。本発明で使用されるCH3ドメインはG341から始まってK447で終わる。用語“CH3ドメイン”は野生型CH3ドメインだけでなくその自然に存在する変異体(例えば、アロタイブ)を含む。(野生型及びアロタイブを含む)IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のCH3ドメイン配列は当該分野に知られている。例えば(Kabat E.A. et al., (1991) supra and Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開)をを参照する。例示的なCH3ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期を変形する突然変異を有するCH3ドメインを含み、これらは、例えばアメリカ特許公開第20120100140号及びそれに引用されたアメリカ特許及び出願とPCT出願に開示されている。
【0148】
本発明で使用される“アイソタイプ”は重鎖不変領域遺伝子によって暗号化される抗体クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgE抗体)を意味する。
【0149】
“アロタイブ”は少数のアミノ酸に違いがある特定のアイソタイプグループ内で自然発生した変異体を意味する(例えば、Jefferis et al. (2009) mAbs 1:1参照)。本発明で説明される抗体は任意のアロタイブを有することができる。IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のアロタイブは当該分野に知られている例えば(Kabat E.A. et al. (1991)(上記); Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開);及びLefranc M.P.d, mAbs 1:4, 1- 7(2009))を参照する。
【0150】
文句“抗原を認識する抗体”及び“抗原に特異的な抗体”は用語“抗原に特異的に結合する抗体”と本発明で互いに交換して使われる。
【0151】
本発明で使用される“分離された抗体”は相異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を意味する(例えば、FAM19A5に特異的に結合する分離された抗体はFAM19A5以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかし、FAM19A5のエピトープに特異的に結合する分離された抗体は相異なる種からの他のFAM19A5タンパク質に対して交差反応性を有することができる。
【0152】
“結合親和性”は一般的に分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)間の非共有相互作用の合計強度を意味する。特に指示しない限り、本発明で使用される“結合親和性”は結合対の構成員(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を意味する。パートナーYに対する分子Xの親和性は一般的に解離定数(KD)によって表示されることができる。親和性は、これに制限されるものではないが、平衡解離定数(KD)、及び平衡結合定数(KA)を含む、当該分野に知られている多数の方式で測定及び/又は表示されることができる。KDはkoff/konから計算され、モル濃度(M)として表示され、KAはkon/koffから計算される。konは、例えば抗原に対する抗体の結合速度定数を意味し、koffは、例えば抗原に対する抗体の解離速度定数を意味する。kon及びkoffは免疫分析(例えば、酵素免疫吸着(ELISA))、BIACORE(登録商標)又は結合平衡除外法(KINEXA(登録商標))のような、当業者に公知となった技術によって決定されることができる。
【0153】
本発明で使用される用語“特異的に結合する”、“特異的に認識する”、“特異的結合”、“選択的結合”及び“選択的に結合する”は抗体に関連して類似の用語で、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子(例えば、抗体)に関連する用語であり、このような結合は当業者によって理解される通りである。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば免疫分析、BIACORE(登録商標)、KINEXA(登録商標)3000機器(Sapidyne Instruments、Boise、インド)、又は当該分野に公知となった他の分析によって決定されたとき、一般的にもっと低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドに結合することができる。特定の具体例において、抗原に特異的に結合する分子は、この分子が他の抗原に結合するときのKAより少なくとも2logs、2.5logs、3logs、4logs又はそれ以上大きなKAでその抗原に結合する。
【0154】
抗体は典型的に10-5~10-11M以下の解離定数によって反映される、高親和性で同族抗原に特異的に結合する。約10-4Mを超えるKDは一般的に非特異的結合を示すと見なされる。本発明で使用される抗原と“特異的に結合する”抗体は高親和性で抗原及び実質的に同じ抗原に結合する抗体を意味し、これは、例えば決まった抗原を使って免疫分析(例えば、ELISA)又はBIACORETM 2000機器で表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって決定されたとき、10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、及び最もましくは10-8M~10-10M以下のKDを有することを意味し、これは関係ない抗原には高親和性で結合しない。
【0155】
本発明で使用される用語“抗原”は任意の天然又は合成免疫原性物質、例えばタンパク質、ペプチド又はハブテンを意味する。抗原はFAM19A5又はその断片であり得る。
【0156】
本明細書で使用される“エピトープ”は当該分野の用語であり、抗体が特異的に結合することができる抗原の局所領域を意味する。エピトープは、例えばポリペプチドの連続(contiguous)アミノ酸(線形又は連続エピトープ)であり得るか、又はエピトープは、例えばポリペプチド又はポリペプチドらの2個以上の非連続領域(立体構造、非線形、不連続、又は非連続エピトープ)が合わせられたものであり得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、いつもそうではないが、典型的に変性溶媒に露出されるときに保有され、3次フォルディングによって形成されたエピトープは典型的に変性溶媒で処理するときに喪失される。エピトープは典型的に独特な空間立体構造で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は20個のアミノ酸を含む。エピトープが特定の抗体によって結合されたことを決定する方法(すなわち、エピトープマッピング)は当該分野によく知られており、これは、例えば免疫ブロッティング及び免疫沈降分析を含み、(例えば、FMAM19A5からの)重畳又は連続ペプチドが特定の抗体(例えば、抗FAM19A5抗体)との反応性に対して試験される。エピトープの空間的立体形態を決定する方法は当該分野の技術及び本発明で説明されるものなどを含み、例えばX線結晶学、2次元核磁気共鳴及びHDX-MSを含む(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)参照)。
【0157】
特定の具体例において、抗体が結合したエピトープは、例えばNMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISA分析、質量分光法と結合された水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレイ質量分析法)、アレイ基盤オリゴペプチド走査分析、及び/又は突然変異誘発マッピング(例えば、部位特異的突然変異誘発マッピング)によって決定されることができる。X線結晶学の場合、結晶化は当該分野に公知となった方法のいずれかを使って達成されることができる(例えば、Giege R. et al. (1994) Acta Crystallogr D. Biol Crystallogr. 50(Pt 4): 339-350; McPherson A. (1990) Eur. J. Biochem. 189: 1-23; Chayen N.E. (1997) Structure 5: 1269- 1274; McPherson A. (1976) J. Biol. Chem. 251 : 6300-6303参照)。抗体:抗原結晶はよく知られているX線回折技術を使って研究されることができ、X-PLOR(Yale University, 1992, distributed by Molecular Simulations, Inc.によって配布; 例えば, Meth. Enzymol. (1985) volume. 114 & 115, eds Wyckoff HW et al.,; アメリカ特許公開第2004/0014194号参照), BUSTER (Bricogne G (1993) Acta. Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 49(Pt1): 37-60; Bricogne G (1997) Meth. Enzymol. 276A: 361-423, ed Carter C.W.; Roversi P. et al., (2000) Acta. Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 56(Pt 10): 1316-1323参照)のようなコンピュータソフトウェアを使って整理されることができる。突然変異誘発マッピング研究は当業者に公知となった任意の方法を使って達成されることができる。アラニン走査突然変異誘発技術を含む突然変異誘発技術の内容は、例えば文献(Champe M. et al., (1995) J. Biol. Chem. 270: 1388-1394 and Cunningham B.C. & Wells JA (1989) Science 244: 1081-1085)を参考する。
【0158】
用語“エピトープマッピング”は抗体-抗原認識に対する分子決定基の確認過程を意味する。
【0159】
2個以上の抗体に関連して、用語“同じエピトープに結合する”は特定の方法によって決定されたとき、抗体がアミノ酸残期の同じセグメントに結合することを意味する。抗体が本発明で説明される抗体と“FAM19A5上の同じエピトープ”に結合するかを決定する技術は、例えばエピトープマッピング法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分光法(HDX-MS)を含む。他の方法は抗体と抗原断片又は抗原の突然変異された変異体の結合をモニタリングし、ここで抗原配列内でアミノ酸残期の変形による結合の損失が主にエピトープ成分の表示として見なされる。また、エピトープマッピングのためのコンピュータ組合せ方法も使われることができる。これらの方法は組み換えファージディスプレイペプチドライブラリから特定の短いペプチドを親和性分離することができる該当抗体の能力に依存する。同じVH及びVL又は同じCDR1、2及び3配列を有する抗体は同じエピトープに結合すると予想される。
【0160】
“標的との結合に対して他の抗体と競合する”抗体は他の抗体と標的の結合を(部分的に又は完全に)阻害する抗体を意味する。2個の抗体が標的との結合に対して互いに競合するか、すなわち1個の抗体が他の抗体と標的の結合を阻害するか否かと阻害する程度は公知となった競合実験によって決定されることができる。特定の具体例において、抗体は他の抗体と標的の結合で競合し、この結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%まで阻害する。阻害又は競合の水準は、抗体が“遮断抗体”(すなわち、標的と先にインキュベーションされた低温抗体)であるかによって違うことができる。競合分析は、例えばEd Harlow and David Lane, Cold Spring Harb Protoc; 2006; doi: 10.1101/pdb.prot4277 or in Chapter 11 of "Using Antibodies" by Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, USA 1999)の第11章に説明された通りに遂行されることができる。競合抗体は(例えば、立体障害によって)同じエピトープ、重畳エピトープ又は隣接エピトープに結合する。
【0161】
他の競合結合分析は、固相直接又は間接放射性免疫測定(RIA)、固相直接又は間接酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ競合分析(Stahli et al., Methods in Enzymology 9:242 (1983)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al., J. Immunol. 137:3614 (1986)参照);固相直接標識分析、固相直接標識サンドイッチ分析(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1988)参照);1-125標識を使った固相直接標識RIA(Morel et αΙ., ΜοΙ. Immunol. 25(1):7 (1988)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al, Virology 176:546 (1990));及び直接標識RIA(Moldenhauer et al, Scand. J. Immunol. 32:77 (1990))を含む。
【0162】
“二重特異性”又は“二元機能抗体”は2個の相異なる重鎖/軽鎖対と2個の相異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体はハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含むさまざまな方法によって生成されることができる。例えば(Songsivilai & Lachmann, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321 (1990); Kostelny et al., J. Immunol. 148, 1547-1553 (1992))を参照する。
【0163】
本発明で使用される用語“モノクローナル抗体”は特定のエピトープに対して単一結合特異性及び親和性を示す抗体又は全ての抗体が特定のエピトープに対して単一結合特異性及び親和性を示す抗体の組成物を意味する。よって、用語“ヒトモノクローナル抗体”は単一結合特異性を示し、ヒト生殖細胞兔疫グロブリン配列から来由した可変及び選択的不変領域を有する抗体又は抗体組成物を意味する。一具体例において、ヒトモノクローナル抗体はトランスジェニック非ヒト動物、例えば不死化細胞に融合したヒト重鎖導入遺伝子と軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって生成される。
【0164】
本発明で使用される用語“組み換えヒト抗体”は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対して導入遺伝子又はトランス染色体性(transchromosomal)である動物(例えば、マウス)から分離された抗体又はそれから製造されたハイブリドーマ、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマ(transfectoma)から分離された抗体、(c)組み換え、組合ヒト抗体ライブラリから分離された抗体、及び(d)他のDNA配列に対するヒト兔疫グロブリン遺伝子配列をスプライシングを伴う任意の他の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体のような、組み換え手段によって製造、発現、生成又は分離された全てのヒト抗体を含む。このような組み換えヒト抗体は生殖細胞遺伝子によって暗号化されるが、例えば抗体成熟化中に発生する後続再配列及び突然変異を含む特定のヒト生殖細胞兔疫グロブリン配列を用いる可変及び不変領域を含む。当該分野に公知となったように(例えば、Lonberg (2005) Nature Biotech. 23(9): 1117- 1125参照)、可変領域は外来抗原に対して特異的な抗体を形成するように再配列した多様な遺伝子によって暗号化した、抗原結合ドメインを含む。再配列に加え、可変領域は外来抗原に対する抗体の親和性を増加させるために多数の単一アミノ酸変化(体細胞突然変異又は超突然変異という)によってさらに変形されることができる。不変領域は抗原に対する追加の反応によって変わるであろう(すなわち、アイソタイプスイッチ)。よって、抗原に反応して軽鎖及び重鎖兔疫グロブリンポリペプチドを暗号化する再配列されて体細胞突然変異された核酸分子は元の核酸分子と配列同一性を有することができないが、その代わりに実質的に同一であるかほぼ同一であろう(すなわち、少なくとも80%の同一性を有する)。
【0165】
“ヒト”抗体(HuMAb)はフレームワークとCDR領域の両者がヒト生殖細胞兔疫グロブリン配列から来由した可変領域を有する抗体を意味する。また、この抗体が不変領域を含めば、不変領域もヒト生殖細胞兔疫グロブリン配列から来由する。本発明で説明される抗体は、ヒト生殖細胞兔疫グロブリン配列によって暗号化されないアミノ酸残期を含むことができる(例えば、試験管内無作為又は部位特異的突然変異の誘発によって又は生体内体細胞突然変異によって導入した突然変異)。しかし、本発明で使用される用語“ヒト抗体”はマウスのような他の哺乳類種の生殖細胞から来由したCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体は含まない。用語“ヒト”抗体と“完全なヒト”抗体は同義語として使われる。
【0166】
用語“ヒト化”抗体は非ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト兔疫グロブリンから来由した相応するアミノ酸に置換された抗体を意味する。抗体のヒト化形態の一具体例において、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト兔疫グロブリンからのアミノ酸に置換され、1個以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分又は全部はそのまま残る。アミノ酸の添加、欠失、挿入、置換又は変形は、これらが抗体が特定抗原に結合する能力を無くさない限り、許容される。“ヒト化”抗体は元の抗体のものと類似した抗原特異性を保有する。
【0167】
“キメラ抗体”は1個の種から可変領域が来由し、他の種から不変領域が来由した抗体、例えばマウス抗体から可変領域が来由し、ヒト抗体から不変領域が来由した抗体を意味する。
【0168】
本発明で使用される用語“交差反応する”は相異なる種からのFAM19A5に結合する本発明で説明される抗体の能力を意味する。例えば、ヒトFAM19A5に結合する本発明で説明される抗体は他の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)にも結合することができる。本発明で使用される交差反応性は結合分析(例えば、SPR、ELISA)で精製された抗原との特異的反応性を検出することにより、又はFAM19A5を生理学的に発現する細胞との結合、又は機能的相互作用を検出することにより測定されることができる。交差反応性を決定するための方法は、本発明で説明される標準結合分析、例えばBIACORE(登録商標) 2000SPR機器(Biacore AB、Uppsala、スウェーデン)を使ったBIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)分析、又はフローサイトメトリー技術を含む。
【0169】
本発明で、ある物体に適用された用語“自然発生”は物体が自然で発見されることができるという事実を意味する。例えば、自然の出処から分離されることができ、実験室でヒトによって意図的に変形されなかった有機体に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は自然発生的である。
【0170】
“ポリペプチド”は少なくとも2個の連続的に連結されたアミノ酸残期を含む鎖を意味し、鎖の長さに上限はない。タンパク質において1個以上のアミノ酸残期は、これに制限されるものではないが、グリコシル化、リン酸化又はジスルフィド結合形成のような変形を含むことができる。“タンパク質”は1個以上のポリペプチドを含むことができる。
【0171】
本発明で使用される用語“核酸分子”はDNA分子及びRNA分子を含む。核酸分子は一本鎖又は二本鎖であり得、cDNAであり得る。
【0172】
用語“ベクター”はそれが連結された他の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。一種類のベクターは“プラスミド”であり、これは追加のDNAセグメントがライゲーションされることができる円形の二重本DNAループを意味する。他の種類のベクターはウイルスベクターであり、ここで追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされることができる。特定のベクター(例えば、バクテリア複製起源を有するバクテリアベクター及びエピソーム哺乳類ベクター)はこれらが導入された宿主細胞で自己複製することができる。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入されるとき、宿主細胞のゲノムに統合することができ、これにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターはこれらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは本発明で“組み換え発現ベクター”(又は簡単に“発現ベクター”)と言及される。一般的に、組み換えDNA技術で有用性を有する発現ベクターは主にプラスミド形態である。本明細書で、“プラスミド”と“ベクター”はプラスミドがベクターの最もよく使われる形態であるから互いに交換して使われることができる。しかし、ウイルス(例えば、複製結合レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス)ベクターのような他の形態の発現ベクターも含まれ、これらは同等な機能をする。
【0173】
本発明で使用される用語“組み換え宿主細胞”(簡単に“宿主細胞”)は細胞に自然に存在しない核酸を含む細胞を意味し、組み換え発現ベクターが導入された細胞であり得る。このような用語は特定の該当細胞だけではなく、このような細胞の子孫も言及することが理解されなければならない。突然変異又は環境的影響によって後続世代では特定の変形が起こることができるから、このような子孫は実際に母細胞と同一であることはできないが、依然として本発明で使用される用語“宿主細胞”の範囲内に含まれる。
【0174】
本発明で使用される用語“結合する”は2個以上の分子の会合を意味する。結合は共有結合又は非共有結合であり得る。また、結合は(組み換え方式で融合する)遺伝子結合であり得る。また、結合は化学的結合及び組み換えタンパク質生成のような当該分野に認められたさまざまな技術を使って達成されることができる。
【0175】
本明細書で使用される用語“投与する”は治療剤又は治療剤を含む組成物を当業者に公知となった多様な方法及び送逹システムのいずれかを使用して対象に物理的に導入することを意味する。本発明で説明される抗体に対する相異なる投与経路は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路、例えば注射又は注入によるものを含む。本発明で使用される文句“非経口投与”は腸内及び局所投与以外の他の投与方式を意味し、一般的に注射による投与方式を意味し、これに制限されるものではないが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脳室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨内注射及び注入だけでなく、生体内電気穿孔を含む。もしくは、本発明で説明される抗体は、非非経口経路を介して、例えば局所、上皮又は粘膜投与経路を介して、例えば鼻腔内、経口、経膣、直腸、舌下又は局所経路を介して投与されることができる。また、投与は、例えば1回、多数回、及び/又は一回以上の延ばされた期間にかけて遂行されることができる。
【0176】
本発明で使用される用語“治療する”、“治療する”及び“治療”は疾患に関連する症状、余病、状態又は生化学的指標の進行、発生、深刻性又は再発を反転、改善、緩和、阻害又は遅延させる目的で対象に対して遂行される、あるいは対象に活性剤を投与する介入又は過程の種類を意味する。治療は疾患を有する対象又は疾患を持っていない対象(例えば、予防のため)の全てに対して行われることができる。
【0177】
本明細書で使用される用語“対象”は任意のヒト又は非ヒト動物を含む。用語“非ヒト動物”は全ての脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒトの霊長類、羊、犬、牛、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。
【0178】
本発明で使用される用語“神経膠症の開始”又は“反応性神経膠症の開始”は神経膠症の手始め又は開始を含む。神経膠症は、例えば外傷、脳脊髓損傷、脳腫瘍、感染、虚血、脳卒中、自己免疫反応、及び/又は神経変性疾患による損傷や傷害に反応して起こる中枢神経系(CNS、例えば脳及び/又は脊髄)の膠細胞の非特異的反応性変化であり、星状膠細胞、小膠細胞及び乏突起膠細胞を含む、膠細胞のいくつかの相異なるタイプの増殖や肥大を含む。神経膠症の開始は瘢痕形成をもたらすことができ、これは外傷を受けるか損傷されたCNSの部分の軸索再生を阻害する。神経膠症の開始の有害な効果は、ニューロンに対する非可逆的又は永久的損傷及び/又は周辺ニューロンの回復不能を含む。よって、用語“神経膠症の開始の遅延”及び“反応性神経膠症の開始の遅延”は神経膠症の手始めや開始及びそれに関連したCNSに対する有害な効果の阻害、遅延、抑制、又は予防を含む。
【0179】
本発明で使用される用語“反応性星状膠細胞の過度な増殖”は、例えばCNS損傷、外傷、傷害、脳脊髓損傷、脳腫瘍、感染、虚血、脳卒中、自己免疫反応、及び/又は神経変性疾患による周辺ニューロンの破壊による星状膠細胞数の異常増加を含む。反応性星状膠細胞の過度な増殖は、外傷を受けるか損傷されたCNSの部分の軸索の再生を阻害する瘢痕形成、炎症の悪化、神経毒性水準の反応性酸素種の生成及び放出、潜在的興奮毒性グルタミン酸塩の放出、発作発生に対する潜在的寄与、血液脳関門機能の損傷、外傷及び脳卒中中の細胞毒性浮腫、晩成痛症に寄与することができる星状膠細胞の晩成サイトカイン活性化に対する可能性、及びCNS損傷後の二次変性を含むCNSの有害な効果をもたらすことができる(Sofroniew, Michael V. (2009) Trends in Neurosciences, 32(12):638-47; McGraw, J. et al. (2001) Journal of Neuroscience Research 63(2):109-15; and Sofroniew, M. V. (2005) The Neuroscientist 11(5): 400-7参照)。よって、用語“反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制”は反応性星状膠細胞の過度な又は異常な増殖及びそれに関連したCNSに対する有害な効果の阻害、遅延、抑制、阻止、又は予防を含む。
【0180】
本発明で使用される用語“コンドロイチン硫酸プロテオグリカン”はタンパク質コアとコンドロイチン硫酸からなるプロテオグリカンを含む。CSPGとも知られているコンドロイチン硫酸プロテオグリカンは発生中のCNS及び成人CNSを介して広く発現する細胞外基質分子である。CSGPは神経発生及び神経膠瘢痕形成に重要な役割をし、これらはCNSの損傷後の軸索再生を阻害する。公知のCSPGはアグリカン(CSPG1)、ベルシカン(CSPG2)、ニューロカン(CSPG3)、CSPG4(又はニューロン-グリア抗原2(NG2))、CSPG5、SMC3(CSPG6、染色体3の構造維持)、ブレビカン(CSPG7)、及びCD44(CSPG8、分化44のクラスタ)、ホスファカンニューロカン(CSPG3)を含む(Rhodes, K. E. and Fawcett, J. W. (2004) Journal of Anatom.204(l):33-48参照)。よって、用語“コンドロイチン硫酸プロテオグリカン発現の減少”は一つ以上のCSGPの水準の低減、阻害、減少を含むか、又は一つ以上のCSGPの活性の減少又は一つ以上のCSGPを非活性にすることを含む。特定の具体例において、この用語は、ニューロカン、NG2又は両者の水準を低減、阻害、減少させることを含むか、又はニューロカン、NG2又は両者の活性を減少させること又はニューロカン、NG2又は両者を非活性にすることを含む。
【0181】
本発明で使用される用語“ニューロン”は電気化学的信号を介して情報を加工して伝達する電気的に興奮可能な細胞を含む。ニューロンは脳及びCNSの脊髄の重要構成要素であり、末梢神経系(PNS)の神経節を有し、互いに連結されることにより、神経網構造を形成することができる。典型的なニューロンは、細胞体(ソーマ)、樹状突起、及び軸索からなる。ニューロンのソーマ(細胞体)は核を含む。ニューロンの樹状突起は多くの分岐を有する細胞延長部であり、ここでニューロンへの入力の大部分が発生する。軸索はソーマから延びる微細なケーブル型突出部であり、ソーマから遠く神経信号を運び、また特定種類の情報をソーマに運ぶ。用語“ニューロンの再成長の促進”は、好ましくは傷害又は損傷の後、ニューロンの成長の刺激、促進、増加、又は活性化を含む。
【0182】
本発明で使用される用語“c-fos”は癌原遺伝子c-fosを含み、これは神経伝達物質の刺激によって早く誘発される。c-fosはマウス及びヒトを含む多くの種に存在する。c-fos遺伝子及びタンパク質は公知となており、特性化されている(Curran, T, The c-fos proto-oncogene, pp 307-327 (The Oncogene Handbook, Reddy EP et al., (eds.) Elsevier)(1988)参照)。c-fosの発現は当該分野に公知となった方法、例えばノーザンブロット、定量的PCR、又は免疫組職化学によって決定されることができる。用語“c-fosの発現の増加”はc-fos mRNA、c-fosタンパク質、又はc-fosタンパク質活性の水準の増加を含む。
【0183】
本発明で使用される用語“pERK”はリン酸化細胞外信号調節キナーゼを含む。細胞外信号調節キナーゼ又はERKはERK1及びERK2を含み、これはマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)ファミリのメンバーである。ERKはその上流キナーゼによってリン酸化を介して活性化してpERKを形成し、これは以後に下流標的を活性化させる。ERKは学習の根幹となる神経及びシナプス可塑性、及び記憶及び痛み過敏性に関連する(Ji R.R. et al., Nat Neurosci (1999) 2:1114-1119参照)。ERK遺伝子、タンパク質、リン酸化、及び活性化は公知となって、特性化されており、ERK及びpERKの発現は当該分野に公知となった方法(例えば、ノーザンブロット、定量的PCR、又は免疫組職化学)によって決定されることができる(Gao Y. J. and Ji R. R., Open Pain J. (2009) 2:11-17参照)。用語“pERKの発現の増加”はERK mRNA、ERKタンパク質、又はpERK活性の水準の増加を含む。
【0184】
本発明で使用される用語“GAP43”は“成長関連タンパク質43”ともいい、軸索形成、再生、及び可塑性を促進する神経組職特異的タンパク質である(Benowitz L. I. and Routtenberg A. (1997) Trends in Neurosciences 20 (2): 84-91; Aarts L. H. et al., (1998) Advances in Experimental Medicine and Biology 446: 85-106参照)。ヒトGAP43はGAP43遺伝子によって暗号化される。ヒトGAP43はポリペプチド配列(UniProt:KB-P17677)であり、このポリペプチドを暗号化するcDNAが当該分野に知られている(Kosik K. S. et al., (1988) Neuron 1(2): 127-32; Ng S. C. et al., (1988) Neuron 1(2): 133-9参照)。GAP43の発現は当該分野に公知となった方法(例えば、ノーザンブロット、定量的PCR、又は免疫組職化学)によって決定されることができる。用語“ニューロンのGAP43の増加”はGAP43 mRNA、GAP43タンパク質の水準の増進や増加、又はGAP43タンパク質の活性の増加を含む。
【0185】
本明細書で使用される用語“治療上有効量”は単独で又は他の治療剤と組み合わせて、対象の疾患又は障害を“治療するのに”効果的な、あるいは疾患又は障害(例えば、中枢神経系損傷)の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させるのに効果的な薬物の量を意味する。“治療上有効量”は疾患又は障害(例えば、外傷性脳損傷のような中枢神経系損傷又は本発明に開示される他の疾患)を持っているか有する危険がある対象に一部の改善や利益を提供する薬物又は治療剤の量を含む。よって、“治療上有効量”は疾患又は障害の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させるか又は一部の緩和、軽減を提供し、及び/又は少なくとも1個の指標(例えば、神経膠症)を減少させ、及び/又は疾患又は障害の少なくとも1個の臨床症状を減少させる量である。
【0186】
II.抗FAM19A5抗体
特別な機能的特徴や特性を特徴とする抗体、例えばモノクローナル抗体が本発明に開示される。例えば、前記抗体は可溶性FAM19A5及び膜結合FAM19A5を含むヒトFAM19A5に特異的に結合する。可溶性及び/又は膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合することに加え、本発明で説明される抗体は次の機能的特性の一つ以上を示す:
(a)線維症の減少、反転、遅延及び/又は予防;
(b)過度な細胞外基質(ECM)形成の減少;
(c)腫瘍の成長又は進行の遅延;
(d)酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)によって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合;
(e)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合;
(f)反応性神経膠症開始の減少、反転、遅延及び/又は予防;
(g)反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制;
(h)ニューロカン及びニューロン-グリア抗原2(NG2)を含むコンドロイチン硫酸プロテオグリカン発現の減少;
(i)ニューロンの核のc-fos及びpERK発現の増加;
(j)ニューロンの生存促進;
(k)ニューロンのGAP43発現の増加;及び
(l)軸索再成長の促進。
【0187】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えば10-7M以下、10-8M以下、10-9M(1nM)以下、10-10M(0.1nM)以下、10-11M以下、又は10-12M(1pM)以下、例えば10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、又は10-9M~10-7M、例えば10-12M、5×10-12M、10-11M、5×10-11M、10-10M、5×10-10M、10-9M、5×10-9M、10-8M、5×10-8M、10-7M又は5×10-7MのKDの高親和性で可溶性ヒトFAM19A5又は膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合する。多様な種のヒトFAM19A5に対する抗体の結合能力を評価する標準分析は当該分野に知られている。例えば、ELISA、ウェスタンブロッティング及びRIAを含む。適切な分析が実施例で詳細に説明される。抗体の結合キネティクス(例えば、結合親和性)もELISA、BIACORE(登録商標)分析又はKINEXA(登録商標)のような当該分野に公知となった標準分析によって評価されることができる。FAM19A5の機能的特性(例えば、リガンド結合)に対する抗体の効果を評価する分析が以下でかつ実施例でより詳細に説明される。
【0188】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えばELISAによって決定されるとき、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7MのKDで可溶性ヒトFAM19A5と結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM、又は5~10nMのKDで可溶性ヒトFAM19A5と結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定されるとき、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM又は90nMのKDで可溶性ヒトFAM19A5と特異的に結合する。
【0189】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えばELISAによって決定されるとき、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7MのKDで膜結合ヒトFAM19A5と結合する。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定されるとき、10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM又は5~10nMのKDで膜結合ヒトFAM19A5と特異的に結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定されるとき、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM又は90nMのKDで膜結合ヒトFAM19A5と結合する。
【0190】
本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は反応性神経膠症の開始を減少、予防、反転、遅延、又は阻害することができ、例えば外傷、脳脊髓損傷、脳腫瘍、感染、虚血、脳卒中、自己免疫反応、及び/又は神経変性疾患による傷害や損傷に反応して生じた中枢神経系(CNS、例えば脳及び/又は脊髄)の膠細胞の非特異的反応性変化を遅延、阻止、又は抑制することができる。
【0191】
本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、反応性星状膠細胞の過度な又は異常増殖及びこれに関連したCNSに対する有害な効果を遅延、阻害、阻止、抑制、制限、又は予防することができる。例えば、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えばCNS損傷、外傷、傷害、脳脊髓損傷、脳腫瘍、感染、虚血、脳卒中、自己免疫反応、及び/又は神経変性疾患によるニューロンの破壊による星状膠細胞数の異常増加を阻害するか予防することができ、CNSの瘢痕形成を阻害するか予防することができ、神経毒性水準の反応性酸素種の放出又は潜在的興奮毒性グルタミン酸塩の放出を阻害するか減少させることができ、発作、痛症、及び/又はCNS損傷後の二次変性を減少させるか阻害することができる。本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、好ましくはCNS損傷又は傷害の後のニューロンの再成長を促進、刺激、増加又は活性化することができる。
【0192】
本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、アグリカン(CSPG1)、ベルシカン(CSPG2)、ニューロカン(CSPG3)、CSPG4(又はニューロン-グリア抗原2(NG2))、CSPG5、SMC3(CSPG6、染色体3の構造維持)、ブレビカン(CSPG7)、CD44(CSPG8、分化44のクラスタ)、ホスファカンニューロカン(CSPG3)又はこれらの任意の組合せのような、タンパク質コアとコンドロイチン硫酸(CSGPs)からなるプロテオグリカンを含むコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現を阻害することができる。いくつかの具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はニューロカン及び/又はNG2の水準を阻害、低減、又は減少させるか、又はニューロカン及び/又はNG2の活性を阻害、低減、又は減少させる。
【0193】
本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はニューロンの核のc-fos及びpERKの発現を増加させることができ、例えばc-fos及びpERKのmRNA、タンパク質及び/又はタンパク質活性を増加させることができる。また、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はGAP43 mRNA、GAP43タンパク質の発現水準を増加又は増進させることができるか、又はGAP43タンパク質活性を増加又は増進させることができる。
【0194】
特定の具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は本発明に開示されるCDR又は可変領域を含む抗FAM19A5抗体(例えば、2-13、3-2、又は1-28)とヒトFAM19A5エピトープに対する結合に対して交差競合する(又は結合を阻害する)。
【0195】
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む基準抗体の結合を阻害し、(i)基準抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれSEQ ID
NO:11、SEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24及びSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む。いくつかの具体例において、基準抗体は(i)SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン、及び(ii)SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0196】
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、このような基準抗体とヒトFAM19A5の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%まで阻害する。競合抗体は(例えば、立体障害によって)同じエピトープ、重畳エピトープ又は隣接エピトープと結合する。2個の抗体が標的との結合に対して互いに競合するか否かはRIA及びEIAのような当該分野に公知となった競合実験によって決定されることができる。
【0197】
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3と軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む本発明に開示される基準抗体と同一のFAM19A5エピトープに結合し、(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ
ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ
ID NO:34のアミノ酸配列を含む。いくつかの具体例において、基準抗体は、(i)SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、又はSEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン、及び(ii)SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0198】
2個の抗体が同じエピトープに結合するか否かを決定する技術は、例えばエピトープマッピング方法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原抗体複合体結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分光法(HDX-MS)、抗体と抗原断片又は抗原の突然変異された変異体の結合をモニタリングする方法(ここで、抗原配列内でアミノ酸残期の変形による結合は損失が主にエピトープ成分の表示として見なされる)、エピトープマッピングのためのコンピュータ組合方法を含む。
【0199】
本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えば抗体とヒトFAM19A5の断片の結合によって決定されるとき、成熟したヒトFAM19A5の少なくとも1個のエピトープと結合することができる。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はTLDRDSSQPRRTIARQTARC(SEQ ID
NO:6又はSEQ ID NO:2のアミノ酸残期42~61)のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのエピトープに結合するか、又はSEQ ID NO:6のアミノ酸配列内に位置する断片、例えばSEQ ID NO:6の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を有するエピトープと結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残期46~51(すなわち、DSSQPR)、例えばアミノ酸残期46、50及び52(すなわち、D---P-R)、例えばアミノ酸残期46、47、48及び50(すなわち、DSS-P)に相当する1個以上のアミノ酸で結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はSEQ ID NO:9のアミノ酸配列内に位置する断片、例えばSEQ ID NO:9の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を有するエピトープに結合する。
【0200】
いくつかの具体例において、少なくとも1個のエピトープは、SEQ ID NO:6と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの具体例において、少なくとも1個のエピトープは、SEQ ID NO:9と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0201】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:5、6、7、8、9又は10のヒトFAM19A5エピトープにのみ、又はSEQ ID NO:5、6、7、8、9又は10のアミノ酸配列内に位置する断片、例えばSEQ ID NO:5、6、7、8、9又は10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を有するエピトープに結合する。
【0202】
いくつかの具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:6又はその断片と天然立体配座(すなわち、未変性)状態で結合する。いくつかの具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はSEQ ID NO:9又はその断片と天然立体配座(すなわち未変性)状態で結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はグリコシル化及び非グリコシル化ヒトFAM19A5の両者と結合する。
【0203】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は1個以上の追加のFAM19A5エピトープとさらに結合する。よって、特定の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:6のエピトープと追加のエピトープ又はSEQ ID NO:9のエピトープと追加のエピトープに結合する。他の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:5のエピトープ、SEQ ID NO:9のエピトープ及び追加のエピトープに結合することができる。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:6のエピトープ、SEQ ID NO:10のエピトープ及び追加のエピトープに結合する。
【0204】
いくつかの具体例において、1個以上の追加のFAM19A5エピトープは、QLAAGTCEIVTLDR(SEQ ID NO:5、エピトープF1)、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(SEQ ID NO:6、エピトープF2)、TARCACRKGQIAGTTRARPA(SEQ ID NO:7、エピトープF3)、ARPACVDARIIKTKQWCDML(SEQ ID NO:8、エピトープF4)、CDMLPCLEGEGCDLLINRSG(SEQ ID NO:9、エピトープF5)、又はNRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(SEQ ID NO:10、エピトープF6)、又はSEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、又はSEQ ID NO:10又はこれらの任意の組合せのアミノ酸配列内に位置する断片から選択される。SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:10のアミノ酸配列内に位置する断片は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:10のいずれかの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を有する断片を含む。いくつかの具体例において、1個以上の追加のFAM19A5エピトープは、SEQ ID NO:5、6、7、8、9又は10、又はSEQ ID NO:5、6、7、8、9又は10のアミノ酸配列内に位置する断片、例えばSEQ ID NO:5、6、7、8、9又は10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を有する断片、又はこれらの任意の組合せから選択される。いくつかの具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、1個以上の追加のエピトープに天然立体配座(すなわち、未変性)状態で結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、1個以上の追加のFAM19A5エピトープのグリコシル化及び非グリコシル化形態の両者に結合する。
【0205】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はEP2、EP4及び/又はEP8として確認された少なくとも1個のFAM19A5エピトープに結合し、ここで、EP2はアミノ酸DSSQP(SEQ ID NO:66)を含むか、本質的に構成されるか又は構成され、EP4はアミノ酸ARCACRK(SEQ ID NO:68)を含むか、本質的に構成されるか又は構成され、EP8はアミノ酸TCTQPGGR(SEQ ID NO:72)を含むか、本質的に構成されるか構成される。いくつかの具体例において、少なくとも1個のエピトープは、EP2、EP4又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、単にEP2にのみ結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はEP4及びEP8に結合する。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はSEQ ID NO:65[[EP1-IVTLD]]、SEQ ID NO:67[[EP3-RTIAR]]、SEQ ID NO:69[[EP5-ARPA]]、SEQ ID NO:70[[EP6-KTKQWCDML]]、及びSEQ ID NO:71[[EP7-GCDLLINR]]、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される一つ以上のFAM19A5エピトープに結合する。
【0206】
特定の具体例において、例えば免疫分析(例えば、ELISA)、表面プラズモン共鳴、又は結合平衡除外法によって測定されるとき、FAM19Aファミリの他のタンパク質より20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれより高親和性でFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)と結合する抗体又はその抗原結合部分が本発明で提供される。特定の具体例において、例えば免疫分析によって測定されるとき、FAM19Aファミリの他のタンパク質との交差反応性なしにFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に結合する抗体又はその抗原結合部分が本発明で提供される。
【0207】
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体は自生抗体ではないか又は自然発生抗体ではない。例えば、抗FAM19A5抗体は、より多いか、より少ないか、又は相異なるタイプの翻訳後修飾を有することにより、自然発生の抗体のものとは異なる翻訳後修飾を有する。
【0208】
III.例示的な抗FAM19A5抗体
本発明に開示される方法に使用可能な特定の抗体は実施例1で分離された抗体2-13、3-2、1-65及び1-28のCDR及び/又は可変領域を有する抗体、例えばモノクローナル抗体だけでなくこれらの可変領域又はCDR配列と少なくとも80%同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%同一性)を有する抗体である。2-13、3-2、1-65及び1-28のVHアミノ酸配列はSEQ ID NO:35~38として提示される。2-13、3-2、1-65及び1-28のVHアミノ酸配列はSEQ ID NO:39~42として提示される。
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
したがって、重鎖及び軽鎖可変領域を含む分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明で提供され、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:35、36又は38のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:35、36又は38からなる群から選択される重鎖可変領域のCDRを含む。
【0214】
また、重鎖及び軽鎖可変領域を含む分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が提供され、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39、40又は42のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:39、40又は42からなる群から選択される軽鎖可変領域のCDRを含む。
【0215】
特定の具体例において、分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:35、36又は38からなる群から選択される重鎖可変領域のCDR及びSEQ ID NO:39、40又は42からなる群から選択される軽鎖可変領域のCDRを含む。
【0216】
また、重鎖及び軽鎖可変領域を含む分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が提供され、(i)重鎖可変領域はSEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含み;(ii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含み;又は(iii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む。
【0217】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明で提供され、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:35、36又は38として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0218】
また、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明で提供され、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39、40又は42として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0219】
また、重鎖及び軽鎖可変領域を含む、分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明で提供され、重鎖可変領域は、SEQ ID NOs:35、36又は38として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39、40又は42として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0220】
いくつかの具体例において、本発明は分離された抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分を提供し、これは、
(a)SEQ ID NOs:35及び39をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(b)SEQ ID NOs:36及び40をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は
(c)SEQ ID NOs:38及び42をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。
【0221】
特定の具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、(i)2-13の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は2-13の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(ii)3-2の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は3-2の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;又は(iii)1-28の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-28の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの任意の組合せを含む。
【0222】
2-13に対するVH CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NOs:11、12及び13として提示される。2-13に対するVL CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NO:23、24及び25として提示される。3-2に対するVH CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NO:14、15及び16として提示される。3-2に対するVL CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NO:26、27及び28として提示される。1-28に対するVH CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NO:20、21及び22として提示される。1-28に対するVL CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NO:32、33及び34として提示される。1-65に対するVH CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID
NO:17、18及び19として提示される。1-65に対するVL CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列はそれぞれSEQ ID NO:29、30及び31として提示される。
【0223】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0224】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VH CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0225】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0226】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VL CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0227】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0228】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0229】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VH CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0230】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0231】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VL CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0232】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0233】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VH CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0234】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0235】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VL CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0236】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0237】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VH CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0238】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0239】
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VL CDRの1個、2個、又は3個の全部を含む。
【0240】
いくつかの具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0241】
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は前記CDRの1個、2個、3個、4個、5個又は6個を含む。
【0242】
本発明で説明されるVHドメイン、又はその1個以上のCDRは重鎖、例えば全長重鎖を形成するために不変ドメインに連結されることができる。同様に、本発明で説明されるVLドメイン、又はその1個以上のCDRは軽鎖、例えば全長軽鎖を形成するために不変ドメインに連結されることができる。全長重鎖と全長軽鎖は組み合せられて全長抗体を形成することができる。
【0243】
したがって、特定の具体例において、抗体軽鎖及び重鎖、例えば分離された軽鎖及び重鎖を含む抗体が本発明で提供される。軽鎖に関連して、特定の具体例において、本発明で説明される抗体の軽鎖はカッパ軽鎖である。他の特定の具体例において、本発明で説明される抗体の軽鎖はラムダ軽鎖である。さらに他の特定の具体例において、本発明で説明される抗体の軽鎖はヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。特定の具体例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は本発明で説明される任意のVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、ここで、軽鎖の不変領域はヒトカッパ軽鎖不変領域のアミノ酸配列を含む。特定の具体例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は本発明で説明されるVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、ここで、軽鎖の不変領域はヒトラムダ軽鎖不変領域のアミノ酸配列を含む。ヒト不変領域配列の非制限的例は当該分野に説明され、例えば(アメリカ特許第5,693,780号及びKabat EA et al, (1991)(上記))を参照する。
【0244】
重鎖に関連して、いくつかの具体例において、本発明で説明される抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖であり得る。他の特定の具体例において、本発明で説明される抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖を含むことができる。一具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は本発明で説明されるVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、ここで、重鎖の不変領域はヒトガンマ(γ)重鎖不変領域のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は本発明で説明されるVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、ここで、重鎖の不変領域は本発明で説明されるとか当該分野に公知となったヒト重鎖のアミノ酸配列を含む。ヒト不変領域配列の非制限的例は当該分野に公知となっており、例えば(アメリカ特許第5,693,780号及びKabat EA et al., (1991)(上記))を参照する。
【0245】
いくつかの具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は本発明で説明されるVH又はVH CDR及びVL又はVL CDRを含むVLドメイン及びVHドメインを含み、ここで、不変領域はIgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY兔疫グロブリン分子、又はヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY兔疫グロブリン分子の不変領域のアミノ酸配列を含む。他の特定の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は本発明で説明される任意のアミノ酸配列を含むVLドメイン及びVHドメインを含み、不変領域はIgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY兔疫グロブリン分子、兔疫グロブリン分子の任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)の不変領域のアミノ酸配列を含む。いくつかの具体例において、不変領域はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)及びアロタイブ(例えば、G1m、G2m、G3m及びnG4m)及びこれらの変異体を含む、自然発生のヒトIgGの不変領域のアミノ酸配列を含む。例えば(Vidarsson G. et al. Front Immunol. 5:520(2014年10月20日オンライン公開)及びJefferis R. and Lefranc MP, mAbs 1:4, 1-7(2009)を参照する。いくつかの具体例において、不変領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4、又はこれらの変異体の不変領域のアミノ酸配列を含む。
【0246】
特定の具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はFcエフェクター機能、例えば補体依存性細胞傷害(CDC)及び/又は抗体依存性細胞食作用(ADCP)を持っていない。エフェクター機能はFc領域によって媒介され、Fc領域のCH2ドメインでヒンジ領域に最も近くにある残期が抗体のエフェクター機能を担当し、それは自然免疫システムのエフェクター細胞上でC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対してかなり重畳した結合部位を含む。また、IgG2及びIgG4抗体はIgG1及びIgG3抗体より低い水準のFcエフェクター機能を有する。抗体のエフェクター機能は次のような当該分野に公知となった相異なる接近法によって減少するか回避されることができる:(1)Fc領域を欠いた抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインからなるsdAb)の使用;(2)例えば、糖が付着された残期の欠失又は変更、酵素的に糖の除去、グリコシル化阻害剤の存在の下で培養された細胞で抗体の生成、又はタンパク質をグリコシル科することができない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞、アメリカ特許公開第20120100140号参照)での抗体の発現によって生成されることができる、アグリコシル化抗体の生成;(3)エフェクター機能が減少したIgGサブクラスからFc領域(例えば、IgG2又はIgG4抗体からのFc領域又はIgG2又はIgG4抗体からのCH2ドメインを含むキメラFc領域)の利用(例えば、アメリカ特許公開第20120100140号及びLau C. et al. J. Immunol. 191:4769- 4777 (2013)参照);及び(4)Fc機能が減少するかない状態をもたらす突然変異を有するFc領域の生成(例えば、アメリカ特許公開第20120100140号及びそれに引用されたアメリカ出願及びPCT出願とAn et al. mAbs 1:6, 572-579 (2009)を参照)。
【0247】
したがって、いくつかの具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインからなるsdAbである。このような抗体断片は当該分野によく知られており、以上で説明されている。
【0248】
いくつかの具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はFcエフェクター機能が減少するかないFc領域を含む。いくつかの具体例において、不変領域は、ヒトIgG2又はIgG4のFc領域のアミノ酸配列を含む。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体は、IgG2/IgG4アイソタイプのものである。いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体はIgG4アイソタイプのIgG抗体からのCH2ドメインとIgG1アイソタイプのIgG抗体からのCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2からのヒンジ領域とIgG4からのCH2領域を含むキメラFc領域、又はFc機能が減少するかない突然変異を有するFc領域を含む。Fcエフェクター機能が減少するかないFc領域は当該分野に公知となったものを含む。例えば、(Lau C. et al. J. Immunol. 191:4769-4777 (2013);An et al., mAbs 1:6, 572-579 (2009);及びアメリカ特許公開第20120100140号及びそれに引用されたアメリカ特許と特許公開及びPCT公開)を参照する。また、Fcエフェクター機能が減少するかないFc領域は当業者によって易しく作られることができる。
【0249】
IV.核酸分子
本発明で説明される他の様態は本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分のいずれか1個を暗号化する1個以上の核酸分子に関するものである。核酸は、全体細胞に、細胞溶解物に、又は部分的に精製された形態又は実質的に純粋な形態に存在することができる。核酸はアルカリ性/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動及び当該分野に公知となった他の技術を含む標準技術によって、他の細胞成分又は他の汚染物、例えば他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば自然で分離されたDNAに連結された染色体DNA)又はタンパク質から精製されたとき、“分離されるか”又は“実質的に純粋である”(F. Ausubel, et al. , ed. (1987) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York参照)。本発明で説明される核酸は、例えばDNA又はRNAであり得、イントロン配列を含むことも含まないこともできる。特定の具体例において、核酸はcDNA分子である。
【0250】
本発明で説明される核酸は標準分子生物学技術によって得られることができる。ハイブリドーマ(例えば、以下でより詳細に説明するように、ヒト兔疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから製造されたハイブリドーマ)によって発現した抗体の場合、このハイブリドーマによって製造された抗体の軽鎖及び重鎖を暗号化するcDNAは標準PCR増幅又はcDNAクローニング技術によって獲得されることができる。兔疫グロブリン遺伝子ライブラリ(例えば、ファージディスプレイ技術を使用する)から得られた抗体の場合、この抗体を暗号化する核酸がライブラリから回収されることができる。
【0251】
本発明で説明される特定の核酸分子は2-13、3-2、1-65及び1-28モノクローナル抗体のVH及びVL配列を暗号化するものである。2-13、3-2、1-65及び1-28のVH配列を暗号化する例示的なDNA配列はそれぞれSEQ ID NO:43、44、45及び46として提示される。2-13、3-2、1-65及び1-28のVL配列を暗号化する例示的なDNA配列はSEQ ID NO:47、48、49及び50として提示される。
【0252】
【0253】
【0254】
本発明で説明される抗FAM19A5抗体の製造方法は、シグナルペプチドとともに重鎖及び軽鎖を暗号化するヌクレオチド配列、例えばそれぞれSEQ ID NO:43及び47、SEQ ID NOs:44及び48、SEQ ID NO:46及び50を含む細胞株で重鎖及び軽鎖を発現させることを含むことができる。これらのヌクレオチド配列を含む宿主細胞が本発明に含まれる。
【0255】
VH及びVLセグメントを暗号化するDNA断片が得られた後、これらのDNA断片は、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に転換するために、標準組み換えDNA技術によってさらに操作されることができる。これらの操作において、VL又はVH暗号化DNA断片は抗体不変領域又は可撓性リンカーのような他のタンパク質を暗号化する他のDNA断片に作動可能に連結される。これに関連した使用される用語“作動可能に連結される”は2個のDNA断片によって暗号化したアミノ酸配列がインフレーム(in-frame)を維持するように2個のDNA断片が連結されることを意味する。
【0256】
VH領域を暗号化する分離されたDNAはVH暗号化DNAを重鎖不変領域(ヒンジ、CH1、CH2及び/又はCH3)を暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結することにより全長重鎖遺伝子に転換されることができる。ヒト重鎖不変領域遺伝子の配列は当該分野に公知となっており(例えば、Kabat, E. A., et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242参照)、これらの領域を含むDNA断片が標準PCR増幅によって得られることができる。重鎖不変領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD不変領域、例えばIgG2及び/又はIgG4不変領域であり得る。Fab断片重鎖遺伝子の場合、VH暗号化DNAは単に重鎖CH1不変領域のみを暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結されることができる。
【0257】
VL領域を暗号化する分離されたDNAはVL暗号化DNAを軽鎖不変領域CLを暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結することにより、全長軽鎖遺伝子に転換されることができる。ヒト軽鎖不変領域遺伝子の配列は当該分野に公知となっており(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242参照)、これらの領域を含むDNA断片が標準PCR増幅によって得られることができる。軽鎖不変領域はカッパ又はラムダ不変領域であり得る。
【0258】
scFv遺伝子を生成するために、VH及びVL暗号化DNA断片が可撓性リンカーを暗号化する、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3を暗号化する他の断片に作動可能に連結され、これによりVLとVH領域が可撓性リンカーによって連結された状態でVH及びVL配列が連続単鎖タンパク質として発現することができる(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., (1990) Nature 348:552-554参照)。
【0259】
いくつかの具体例において、本発明は抗体又はその抗原結合部分を暗号化するヌクレオチド配列を含む分離された核酸分子を含むベクターを提供する。他の具体例において、ベクターは遺伝子療法に使われることができる。
【0260】
本発明に適切なベクターは、発現ベクター、ウイルスベクター、及びプラスミドベクターを含む。一具体例において、ベクターはウイルスベクターである。
【0261】
本発明で使用されるように、発現ベクターは、適切な宿主細胞に導入されたとき、挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳のための必須要素、又はRNAウイルスベクターの場合、複製及び翻訳のための必須要素を含む任意の核酸構成物を意味する。発現ベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、及びこれらの誘導体を含むことができる。
【0262】
本発明の発現ベクターは、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分を暗号化するポリヌクレオチドを含むことができる。一具体例において、抗体又はその抗原結合部分に対するコーディング配列は発現制御配列に作動可能に連結される。本発明で使用されるように、2個の核酸配列は、これらが各成分核酸配列がその機能性を保有するように許容する方式で共有連結されるとき、作動可能に連結されるものである。コーディング配列及び遺伝子発現制御配列は、コーディング配列の発現又は転写及び/又は翻訳が遺伝子発現制御配列の影響又は制御下の方式でこれらが共有連結されるとき、作動可能に連結されると言われる。2個のDNA配列は5’遺伝子発現配列でプローモーターの誘導がコーディング配列の転写をもたらし、2個のDNA配列の連結の本質が(1)フレームシフト突然変異の導入をもたらすか、(2)コーディング配列の転写を指示するプローモーター領域の能力を妨げるか、又は(3)タンパク質に翻訳される対応RNA転写体の能力を妨げなければ、作動可能に連結されると言われる。よって、遺伝子発現配列は、この遺伝子発現配列がコーディング核酸配列の転写を行うことができれば、コーディング核酸配列に作動可能に連結されたものであり、これによって得られた転写体は所望の抗体又はその抗原結合部分に翻訳される。
【0263】
ウイルスベクターは、これに制限されるものではないが、レトロウイルス、例えばMoloneyネズミ科白血病ウイルス、Harveyネズミ科肉腫ウイルス、ネズミ科乳房腫瘍ウイルス、及びRous肉腫ウイルス;レンチウイルス;アデノウイルス;アデノ関連ウイルス;SV40タイプウイルス;ポリオーマバイロス;エプスタインバーウイルス;乳頭種ウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;及びRNAウイルス、例えばレトロウイルスからの核酸配列を含む。当該分野に公知となった他のベクターも易しく用いることができる。特定のウイルスベクターは非必須遺伝子が関心の遺伝子に置換された非細胞変性(non-cytopathic)真核生物ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスはレトロウイルスを含み、そのライフサイクルはゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写と後続の宿主細胞DNAへのプロウイルス組み込みを伴う。レトロウイルスはヒト遺伝子療法試験のために承認された。複製欠損性(すなわち、所望のタンパク質の合成を指示することができるが感染性粒子は製造することができない)があるレトロウイルスが最も有用である。このような遺伝子操作されたレトロウイルス発現ベクターは生体内遺伝子の高効能形質転換で一般的な有用性を有する。複製欠損性レトロウイルスを生成する標準プロトコル(プラスミドへの外来遺伝子物質の統合、プラスミドによるパッケージング細胞株のトランスフェクション、パッケージング細胞株による組み換えレトロウイルスの生成、組職培地からウイルス粒子の収集、及びウイルス粒子による標的細胞の感染段階)は文献(Kriegler, M., Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, W.H. Freeman Co., New York (1990) and Murry, E. J., Methods in Molecular Biology, Vol. 7, Humana Press, Inc., Cliffton, N.J. (1991)に提供される。
【0264】
一具体例において、ウイルスは二本鎖DNAウイルスであるアデノ関連ウイルスである。アデノ関連ウイルスは複製欠損となるように操作されることができ、広範囲な細胞タイプ及び種を感染させることができる。また、アデノ関連ウイルスは熱及び脂質溶媒安全性;造血細胞を含む多様な系統の細胞で高い形質転換頻度;及び重複感染阻害の欠如のような利点を有し、これにより多くの一連の形質転換を許容する。報道によれば、アデノ関連ウイルスは部位特異的方式でヒト細胞DNAに統合されることができ、これにより挿入突然変異誘発の確率及びレトロウイルス感染の挿入された遺伝子発現特徴の変動性を最小化する。また、野生型アデノ関連ウイルス感染が選択圧の不在の下で100代継代以上の間に組職培養物で追跡された。これはアデノ関連ウイルスゲノム統合が相対的に安定したイベントであることを示唆する。また、アデノ関連ウイルスは染色体外方式で機能することができる。
【0265】
他の具体例において、ベクターはレンチウイルスから来由する。特定の具体例において、ベクターは非分裂細胞を感染させることができる組み換えレンチウイルスのベクターである。
【0266】
レンチウイルスゲノム及びプロウイルスDNAは典型的にレトロウイルスで発見される3個の遺伝子gag、pol及びenvを有し、これらの側面には2個の長い末端反復(LTR)配列がある。gag遺伝子は内部構造(基質、カプシド及びヌクレオカプシド)タンパク質を暗号化し、pol遺伝子はRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、プロテアーゼ及びインテグラーゼを暗号化し、env遺伝子はウイルス外被糖タンパク質を暗号化する。5’及び3’LTRはビリオンRNAの転写及びポリアデニル化を促進する作用をする。LTRは、ウイルス複製に必要な他のシス作用配列を全部含む。レンチウイルスは、vif、vpr、tat、rev、vpu、nef及びvpx(HIV-1、HIV-2及び/又はSIVで)を含む追加の遺伝子を有する。
【0267】
5’LTRに隣接してゲノムの逆転写に必要な配列(tRNAプライマー結合部位)があり、Psi部位は粒子へのウイルスRNAのキャプシド形成(encapsidation)に効果的である。キャプシド形成(又は感染性ビリオンへのレトロウイルスRNAのパッケージング)に必須な配列がウイルスゲノムから抜ける場合、このシス欠陷はゲノムDNAのキャプシド形成を防止する。
【0268】
しかし、得られた突然変異は全てのビリオンタンパク質の合成を依然として指示することができる。本発明はパッケージング機能を有する2個以上のベクター、すなわちgag、pol及びenvだけでなくrev及びtatに適切な宿主細胞をトランスフェクションすることを含む非分裂細胞を感染させることができる組み換えレンチウイルスの生成方法を提供する。以下で開示するように、機能的tat遺伝子を欠いたベクターは特定の用途に好ましい。したがって、例えば、第1ベクターはウイルスgagとウイルスpolを暗号化する核酸を提供することができ、他のベクターはウイルスenvを暗号化する核酸を提供することができ、これによりパッケージング細胞が生成される。パッケージング細胞に、移植ベクターとして確認された、異種遺伝子を提供するベクターを導入することは該当外来遺伝子を有する感染性ウイルス粒子を放出する生産細胞を提供する。
【0269】
ベクター及び外来遺伝子の前記のような構成形態によって、第2ベクターはウイルス外被(env)遺伝子を暗号化する核酸を提供することができる。env遺伝子はレトロウイルスを含む、ほとんど全ての適切なウイルスから来由することができる。いくつかの具体例において、envタンパク質はヒト及び他の種の細胞の形質転換を許容する両種性外膜タンパク質である。
【0270】
レトロウイルス来由env遺伝子の例は、これに制限されるものではないが、Moloneyネズミ科白血病ウイルス(MoMuLV又はMMLV)、Harveyネズミ科肉腫ウイルス(HaMuSV又はHSV)、ネズミ科乳房腫瘍ウイルス(MuMTV又はMMTV)、ギボン(gibbon)猿白血病ウイルス(GaLV又はGALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びRous肉腫ウイルス(RSV)を含む。他のenv遺伝子、例えば水泡性口内炎ウイルス(VSV)タンパク質G(VSVG)、肝炎ウイルス及びインフルエンザのものも使われることができる。
【0271】
ウイルスenv核酸配列を提供するベクターは本発明の他の所で説明される調節配列と作動可能に会合される。
【0272】
特定の具体例において、ベクターは非分裂細胞を形質転換するベクターの能力を損傷させなく、HIV毒性遺伝子env、vif、vpr、vpu及びnefが欠失されたレンチウイルスベクターを含む。
【0273】
いくつかの具体例において、ベクターは3’LTRのU3領域の欠失を含むレンチウイルスベクターを含む。U3領域の欠失は完全欠失又は部分欠失であり得る。
【0274】
いくつかの具体例において、本発明で説明されるFVIIIヌクレオチド配列を含む本発明のレンチウイルスベクターは、細胞において、(a)gag、pol、又はgag及びpol遺伝子を含む第1ヌクレオチド配列及び(b)異種env遺伝子を含む第2ヌクレオチド配列でトランスフェクションされることができる。レンチウイルスベクターは機能的tat遺伝子を欠いている。他の具体例において、細胞はrev遺伝子を含む第4ヌクレオチド配列でさらにトランスフェクションされる。特定の具体例において、レンチウイルスベクターは、vif、vpr、vpu、vpx及びnef、又はこれらの任意の組合せから選択された機能的遺伝子を欠いている。
【0275】
特定の具体例において、レンチウイルスベクターは、gagタンパク質、Rev反応要素、中心ポリプリントラック(cPPT)、又はこれらの任意の組合せを暗号化する1個以上のヌクレオチド配列を含む。
【0276】
レンチウイルスベクターの例は、WO9931251、W09712622、W09817815、W09817816及びWO9818934に開示され、これらはその全体が本発明に参照することにより組み込まれる。
【0277】
他のベクターはプラスミドベクターを含む。プラスミドベクターは当該分野に広範囲に説明され、当業者に知られている。例えば(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)を参照する。去る数年間プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製することも統合されることもできないため、生体内で細胞に遺伝子を送逹するのに特に有益なものと判明された。しかし、宿主細胞と両立するプローモーターを有するこのプラスミドはプラスミド内で作動可能に暗号化した遺伝子からペプチドを発現することができる。商業的供給者から入手可能な通常に使用される一部のプラスミドは、pBR322、pUC18、pUC19、多様なpcDNAプラスミド、pRC/CMV、多様なpCMVプラスミド、pSV40、及びpBlueScriptを含む。特定のプラスミドの追加の例は、pcDNA3.1、カタログ番号V79020;pcDNA3.1/hygro、カタログ番号V87020;pcDNA4/myc-His、カタログ番号V86320;及びpBudCE4.1、カタログ番号V53220を含み、これらの全部はInvitrogen(Carlsbad,CA.)の製品である。他のプラスミドも当業者によく知られている。さらに、プラスミドはDNAの特定の断片を除去及び/又は付加するために標準分子生物学技術を使って注文設計可能である。
【0278】
V.抗体生成
FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、抗体の合成のための当該分野に公知となった任意の方法によって、例えば化学的合成又は組み換え発現技術によって生成されることができる。本発明で説明される方法は、特に指示しない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組み換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び変形、核酸雑種形成、及び当該分野技術範囲内の関連分野の従来の技術を用いる。これら技術は参照資料に記述され、つぎの文献に詳細に記載される。例えば(Maniatis T. et al., (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook J et al., (1989), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrook J. et al., (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubel FM. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987 and annual updates); Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons (1987 and annual updates) Gait (ed.) (1984) Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein (ed.) (1991) Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press; Birren B. et al., (eds.) (1999) Genome Analysis: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照する。
【0279】
特定の具体例において、本発明で説明される抗体は、例えば合成、DNA配列の遺伝子組み換えによる生成を伴う任意の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体(例えば、組み換え抗体)である。特定の具体例において、このような抗体は生体内動物又は哺乳類(例えば、ヒト)の抗体生殖細胞レパートリー内に自然に存在しない配列(例えば、DNA配列又はアミノ酸配列)を含む。
【0280】
特定の様態で、本発明で説明される細胞又は宿主細胞を培養する段階を含むFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を製造する方法が本発明で提供される。特定の様態で、本発明で説明される細胞又は宿主細胞(例えば、本発明で説明される抗体を暗号化するポリヌクレオチドを含む細胞又は宿主細胞)を使って抗体又はその抗原結合断片を発現(例えば、組み換え方式で発現)する段階を含むFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片を製造する方法が本発明で提供される。特定の具体例において、細胞は分離された細胞である。特定の具体例において、外因性ポリヌクレオチドが細胞に導入された。特定の具体例において、前記方法は、細胞又は宿主細胞から獲得された抗体又はその抗原結合断片を精製する段階をさらに含む。
【0281】
ポリクローナル抗体を生成する方法は当該分野に知られている(例えば、Chapter 11 in: Short Protocols in Molecular Biology, (2002) 5th Ed., Ausubel FM et al., eds., John Wiley and Sons, New York参照)。
【0282】
モノクローナル抗体はハイブリードマの使用、組み換え、及びファージディスプレイ技術、又はこれらの組合せを含む当該分野に公知となった幅広い多様な技術を使って製造されることができる。例えば、モノクローナル抗体は当該分野に公知となったものなどを含むハイブリードマ技術によって生成されることができる。これらは、例えば、Harlow E & Lane D, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling GJ et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563 681 (Elsevier, N.Y., 1981)に教示されている。本発明で使用される用語“モノクローナル抗体”はハイブリードマ技術によって生成された抗体に制限されない。例えば、モノクローナル抗体は本発明で説明される抗体又はその断片、例えばこのような抗体の軽鎖及び/又は重鎖を外因性発現する宿主細胞から組み換え方式で生成されることができる。
【0283】
特定の具体例において、本発明で使用される“モノクローナル抗体”は単一細胞(例えば、組み換え抗体を生成するハイブリードマ又は宿主細胞)によって生成された抗体であり、前記抗体は、例えばELISA又は当該分野に公知となった他の抗原結合又は競合結合分析によって又は本発明で提供される実施例で決定されたように、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合する。特定の具体例において、モノクローナル抗体はキメラ抗体又はヒト化抗体であることができる。特定の具体例において、モノクローナル抗体は1価抗体又は多価(例えば、2価)抗体である。特定の具体例において、モノクローナル抗体は単一特異的又は多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)である。本発明で説明されるモノクローナル抗体は、例えば、Kohler G & Milstein C (1975) Nature 256: 495に説明されたハイブリードマ方法で製造されることができるとか、又は例えば本発明で説明される技術を使ってファージライブラリから分離されることができる。クローン細胞株及びそれによって発現したモノクローナル抗体の製造のための他の方法も当該分野によく知られている(例えば、Chapter 11 in: Short Protocols in Molecular Biology, (2002) 5th Ed., Ausubel FM et al., 上記、参照)。
【0284】
ハイブリードマ技術を使って特定の抗体を生成してスクリーニングする方法は通常のものであり、当該分野によく知られている。例えば、ハイブリードマ方法において、マウス又は他の適切な宿主動物、例えば羊、ヤギ、兎、ラット、ハムスター又はマカク猿が免疫化され、これにより抗体を生成するか生成することができるリンパ球を導出し、前記抗体は免疫化に使用されたタンパク質(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する。もしくは、リンパ球が試験管内免疫化されることができる。ついで、リンパ球はポリエチレングリコールのような適切な融合剤を使って骨髓腫細胞と融合され、これによりハイブリードマ細胞が形成される(Goding JW (Ed), Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59- 103 (Academic Press, 1986)参照)。さらに、RFMMS(繰り返し免疫化多重部位)技術が動物の免疫化に使われることができる(Kilpatrick KE et al., (1997) Hybridoma 16:381-9、その全体が参照として組み込まれる)。
【0285】
いくつかの具体例において、マウス(又は他の動物、例えばニワトリ、ラット、猿、ろ馬、豚、羊、ハムスター又は犬)が抗原(例えば、FAM19A5、例えばヒトFAM19A5)で免疫化されることができ、一旦免疫反応が検出されれば、例えば抗原に特異的な抗体がマウス血清から検出されれば、マウス脾臓が収去され、脾臓細胞が分離される。ついで、脾臓細胞がよく知られている技術によって任意の適切な骨髓腫細胞、例えば、American Type Culture Collection (ATCC) (Manassas、バージニア)から入手可能な細胞株SP20からの細胞と融合してハイブリードマが形成される。ハイブリードマは制限された希釈によって選択されてクローニングされる。特定の具体例において、免疫化したマウスのリンパ節が収去され、NSO骨髓腫細胞と融合する。
【0286】
このように製造されたハイブリードマ細胞は、好ましく未融合、親骨髓腫細胞の成長や生存を抑制する一つ以上の物質を含む適切な培養培地で種まきされて成長する。例えば、親骨髓腫細胞が酵素 ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はFIPRT)を欠いていれば、ハイブリードマの培養培地は典型的にハイポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質はHGPRT-欠乏細胞の成長を防止する。
【0287】
特定の具体例は、効果的に融合し、選択された抗体生成細胞による抗体の安定的な高水準の生成を支援し、HAT培地のような培地に敏感な骨髓腫細胞を用いる。このような骨髓腫細胞株は、特にマウス骨髓腫細胞株、例えばNSO細胞株又はSalk Institute Cell Distribution Center(San Diego、アメリカのカリフォルニア)から入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍から来由したもの及びAmerican Type Culture Collection(Rockville、アメリカのメリーランド)から入手可能なSP-2又はX63-Ag8.653細胞である。ヒト骨髓腫及びマウス-ヒト異種骨髓腫細胞株もヒトモノクローナル抗体の生成のために提示された(Kozbor D (1984) J Immunol 133: 3001- 5; Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)参照)。
【0288】
ハイブリードマ細胞が成長した培養培地はFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に対して指定されたモノクローナル抗体の生成に対して分析される。ハイブリードマ細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は当該分野に公知となった方法、例えば免疫沈降又は試験管内結合分析、例えば放射免疫測定分析(RIA)又は酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)によって決定される。
【0289】
所望の特異性、親和性及び/又は活動性を有する抗体を生成するハイブリードマ細胞が確認された後、制限希釈過程によってクローンがサブクローニングされ、標準方法によって成長することができる(Goding JW (Ed), Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 上記、参照)。この過程のための適切な培養培地は、例えばD-MEM又はRPMI1640培地を含む。また、ハイブリードマ細胞は動物で腹水腫瘍として生体内成長することができる。
【0290】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばタンパク質A-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又は親和性クロマトグラフィーのような従来の兔疫グロブリン精製過程によって培養培地、腹水流体、又は血清から適切に分離される。
【0291】
本発明で説明される抗体は、特定のFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)を認識し、当業者に公知となった任意の技術によって生成されることができる抗体断片を含む。例えば、本発明で説明されるFab及びF(ab’)2断片は、パパイン(Fab断片生成)又はペプシン(F(ab’)2断片生成)のような酵素を使用し、兔疫グロブリン分子のタンパク質加水分解切断によって生成されることができる。Fab断片は抗体分子の2個の同じアームの一つに相当し、重鎖のVH及びCH1ドメインと対を成す完全な軽鎖を含む。F(ab’)2断片はヒンジ領域で二硫化物結合によって連結された抗体分子の2個の抗原結合アームを含む。
【0292】
また、本発明で説明される抗体又はその抗原結合断片も当該分野に公知となった多様なファージディスプレイ方法を使って生成されることができる。ファージディスプレイ方法で、機能的抗体ドメインがこれらを暗号化するポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面に展示される。特に、VH及びVLドメインを暗号化するDNA配列が動物のcDNAライブラリ(例えば、侵犯された組職のマウス又はニワトリcDNAライブラリのようなヒト又は非ヒトライブラリ)から増幅される。VH及びVLドメインを暗号化するDNAはPCRによってscFvリンカーとともに組み換えされ、ファージミッドベクターにクローニングされる。このベクターが大腸菌に電気穿孔され、大腸菌がヘルパーファージで感染される。前記方法に使用されるファージは典型的にfd及びM13を含む線状ファージであり、VH及びVLドメインは一般的にファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIのいずれか一つに組み換え方式で融合する。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージが、例えば標識された抗原又は固体表面又はビードに結合するか捕捉された抗原を使って抗原とともに選択されるか確認されることができる。本発明で説明される抗体の製造に使用可能なファージディスプレイ方法の例は、Brinkman U et al., (1995) J Immunol Methods 182: 41-50; Ames RS et al., (1995) J Immunol Methods 184: 177- 186; Kettleborough CA et al., (1994) Eur J Immunol 24: 952-958; Persic L et al., (1997) Gene 187: 9-18; Burton DR & Barbas CF (1994) Advan Immunol 57: 191-280;;PCT出願第PCT/GB91/001134号;国際特許公開第WO90/02809号、同第WO91/1073号7、同第WO92/01047号、同第WO92/18619号、同第WO93/11236号、同第WO95/15982号、同第WO95/20401号、及び同第WO97/13844号;及びアメリカ特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号及び同第5,969,108号に説明されたものなどを含む。
【0293】
前記参照資料に説明されたように、ファージ選択後、ファージから抗体コーディング領域が分離され、これを使ってヒト抗体、又は任意の他の所望の抗原結合断片を含む全体抗体が生成され、例えば、以下で説明されるように、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及びバクテリアを含む任意の所望の宿主で発現する。また、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片のような抗体断片を組み換え方式で製造する技術がPCT公開第WO92/22324号;Mullinax RL et al., (1992) BioTechniques 12(6): 864-9; Sawai H et al., (1995) Am J Reprod Immunol 34: 26-34; 及び Better M et al., (1988) Science 240: 1041-1043.に説明されたものなどの当該分野に公知となった方法を使って用いられることができる。
【0294】
一様態で、全体抗体を生成するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び制限部位を保護するための側面配列を含むPCRプライマーが鋳型、例えばscFvクローンからVH又はVL配列を増幅するのに使われることができる。当業者に公知となったクローニング技術を用い、PCR増幅されたVHドメインがVH不変領域を発現するベクターにクローニングされることができ、PCR増幅されたVLドメインはVL不変領域、例えばヒトカッパー又はラムダ不変領域を発現するベクターにクローニングされることができる。また、VH及びVLドメインが必要な不変領域を発現する一つのベクターにクローニングされることもできる。そして、当業者に公知となった技術を使って重鎖保存ベクターと軽鎖保存ベクターが細胞株に一緒に形質転換され、これにより全長抗体、例えばIgGを発現する安定した又は一時的細胞株が生成される。
【0295】
キメラ抗体は抗体の相異なる部分が相異なる兔疫グロブリン分子から来由した分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の不変領域に融合した非ヒト動物(例えば、マウス、ラット又はニワトリ)モノクローナル抗体の可変領域を含むことができる。キメラ抗体を製造する方法は当該分野に知られている。例えば、Morrison SL (1985) Science 229: 1202-7; Oi VT & Morrison SL (1986) BioTechniques 4: 214- 221; Gillies SD et al., (1989) J Immunol Methods 125: 191-202;及びアメリカ特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、及び同第6,331,415号を参照する。
【0296】
ヒト化抗体は決まった抗原に結合することができ、ヒト兔疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域及び非ヒト兔疫グロブリン(例えば、マウス又はニワトリ兔疫グロブリン)のアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含む。特定の具体例において、また、ヒト化抗体は兔疫グロブリン不変領域(Fc)、典型的にヒト兔疫グロブリンの不変領域(Fc)の少なくとも一部を含む。また、この抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域を含むことができる。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む兔疫グロブリンの任意の部類、及びIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む任意のアイソタイプから選択されることができる。ヒト化抗体は当該分野に公知となった多様な技術を使って生成されることができ、これらは、これらに制限されないが、CDR-グラフティング(ヨーロッパ特許第EP239400号;国際特許公開第WO91/09967号;及びアメリカ特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、ベニヤリング又はリサーフェシング(ヨーロッパ特許第EP592106号及び同第EP519596号;Padlan EA (1991) Mol Immunol 28(4/5): 489-498; Studnicka GM et al., (1994) Prot Engineering 7(6): 805-814; and Roguska MA et al., (1994) PNAS 91: 969-973),chain shuffling(アメリカ特許第5,565,332号)、及び例えばアメリカ特許第6,407,213号、アメリカ特許第5,766,886号、国際特許公開第WO93/17105号;Tan P et al., (2002) J Immunol 169: 1119-25; Caldas C et al., (2000) Protein Eng.13(5): 353-60; Morea V et al., (2000) Methods 20(3): 267- 79; Baca M et al., (1997) J Biol Chem 272(16): 10678-84; Roguska MA et al., (1996) Protein Eng 9(10): 895 904; Couto JR et al., (1995) Cancer Res. 55 (23 Supp): 5973s-5977s; Couto JR et al., (1995) Cancer Res 55(8): 1717-22; Sandhu JS (1994) Gene 150(2): 409-10 and Pedersen JT et al., (1994) J Mol Biol 235(3):
959-73に開示された技術を含む。また、アメリカ特許出願公開第US2005/0042664A1号(2005年2月24日)を参照し、これはその全体が本発明に参照として組み込まれる。
【0297】
多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)を製造する方法が説明された。例えば、アメリカ特許第7,951,917号;同第7,183,076号;同第8,227,577号;同第5,837,242号;同第5,989,830号;同第5,869,620号;同第6,132,992号及び同第8,586,713号を参照する。
【0298】
単一ドメイン抗体、例えば軽鎖を欠いた抗体は当該分野によく知られた方法によって製造されることができる(Riechmann L & Muyldermans S (1999) J Immunol 231 : 25-38; Nuttall SD et al., (2000) Curr Pharm Biotechnol 1(3): 253-263; Muyldermans S, (2001) J Biotechnol 74(4): 277-302;アメリカ特許第6,005,079;及び国際特許公開第WO94/04678号、同第WO94/25591号及び同第WO01/44301号参照)。
【0299】
また、FAM19A5抗原に免疫特異的に結合する抗体は当業者によく知られた技術を使って抗原を“擬態する”抗イディオタイプ抗体を生成するのに用いられることができる(例えば、Greenspan NS & Bona CA (1989) FASEB J 7(5): 437-444; and Nissinoff A (1991) J Immunol 147(8): 2429-2438参照)。
【0300】
特定の具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体と同一であるFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)のエピトープに結合する、本発明で説明される抗体はヒト抗体又はその抗原結合断片である。特定の具体例において、FAM19A5に対する結合から、本発明で説明される抗体(例えば、2-13及び3-2)を競争的に遮断する(例えば、容量依存的方式で)、本発明で説明される抗体はヒト抗体又はその抗原結合断片である。
【0301】
ヒト抗体は当該分野に公知となった任意の方法で製造されることができる。例えば、機能的内因性兔疫グロブリンは発現することができないがヒト兔疫グロブリン遺伝子は発現するトランスジェニックマウスが使われることができる。特に、ヒト軽鎖及び重鎖兔疫グロブリン遺伝子複合体がマウス胚幹細胞に無作為に又は相同性組み換えによって導入されることができる。もしくは、ヒト可変領域、不変領域、及び多様性領域がヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えてマウス胚幹細胞に導入されることができる。マウス重鎖及び軽鎖兔疫グロブリン遺伝子は相同性組み換えによってヒト兔疫グロブリン遺伝子坐の導入と同時に又は別に非機能的になることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は内因性抗体の生成を防止する。変形された胚幹細胞は拡張されて微量注射され、これによりキメラマウスが生成される。そして、キメラマウスはヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を生成するように育成される。このトランスジェニックマウスは選択された抗原で、例えば抗原(例えば、FAM19A5)の全部又は一部によって正常方式で免疫化される。従来のハイブリードマ技術を使って抗原に対して指定されたモノクローナル抗体が免疫化したトランスジェニックマウスから獲得されることができる。トランスジェニックマウスによって隠されたヒト兔疫グロブリン導入遺伝子はB細胞分化中に再配列を成し、続いて類型転換及び体細胞突然変異を経る。よって、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を生成することができる。ヒト抗体を製造する前記技術の概略的な内容は、Lonberg N & Huszar D (1995) Int Rev Immunol 13 :65-93を参照する。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を製造する技術及びこのような抗体を製造するためのプロトコルの詳細な考察のためには、例えば国際特許公開第WO98/24893号、同第WO96/34096号及び同第WO96/33735号;及びアメリカ特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号及び同第5m939,598号を参照する。ヒト抗体を生成することができるマウスの例は、XENOMOUSETM(Abgenix、Inc.;アメリカ特許第6,075,181号及び同第6,150,184号)、HUAB-MOUSETM(Mederex、Inc./Gen Pharm;アメリカ特許第5,545,806号及び同第5,569,825)、TRANS CHROMO MOUSETM(Kirin)及びKM MOUSETM(Medarex/Kirin)を含む。
【0302】
FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合するヒト抗体はヒト兔疫グロブリン配列から来由した抗体ライブラリを使う前述したファージディスプレイ方法を含む当該分野に公知となった多様な方法によって製造されることができる。また、アメリカ特許第4,444,887号、同第4,716,111号及び同第5,885,793号;国際特許公開第WO98/46645号、同第WO98/50433号、同第WO98/24893号、同第WO98/16654号、同第WO96/34096号、同第WO96/33735号、及び同第WO91/10741号を参照する。
【0303】
いくつかの具体例において、ヒト抗体はマウス-ヒトハイブリードマを使って製造されることができる。例えば、エプスタインバーウイルス(EBV)によって形質転換されたヒト末梢血リンパ球がマウス骨髓腫細胞と融合してヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリードマが生成されることができ、これらのマウス-ヒトハイブリードマは標的抗原(例えば、FAM19A5、例えばヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものなどを決定するためにスクリーニングされることができる。このような方法は当該分野に公知となって説明されており、例えば、Shinmoto H et al., (2004) Cytotechnology 46: 19-23; Naganawa Y et al., (2005) Human Antibodies 14: 27-31を参照する。
【0304】
VI.抗体操作方法
以上で論議されたように、本発明で開示されるVH及びVL配列を有する抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はVH及び/又はVL配列、又はそれに付着された不変領域(等)を変形することにより新しい抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を生成するのに使われることができる。よって、本発明で説明される他の様態で、本発明に説明される抗FAM19A5抗体、例えば2-13及び3-2の構造的特徴はヒトFAM19A5に対する結合のような本発明に説明される抗体の少なくとも一つの機能的特性を保有した構造的に関連した抗FAM19A5抗体を生成するのに使われる。例えば、この操作方法の出発物質は本発明で提供されるVH及び/又はVL配列、又はその一つ以上のCDR領域である。操作された抗体を生成するために、本発明で提供されるVH及び/又はVL配列の一つ以上、又はその一つ以上のCDR領域を実際に製造(すなわち、タンパク質として発現)することが必要ではない。むしろ、前記配列(等)に含有された情報が元の配列(等)から来由した“第2世代”配列(等)を生成するための出発物質として使われ、そして“第2世代”配列(等)がタンパク質として製造されて発現する。
【0305】
したがって、次の段階を含む抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を製造するための方法が本発明で提供される:
(a)(i)表2に提示されたCDR1、CDR2及び/又はCDR3配列又は表4に提示された重鎖可変領域のCDR1、CDR2及び/又はCDR3を含む重鎖可変領域配列;及び(ii)表3に提示されたCDR1、CDR2及び/又はCDR3配列又は表5に提示された軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及び/又はCDR3を含む軽鎖可変領域配列を提供する段階;
(b)重鎖可変領域配列及び/又は軽鎖可変領域配列内の少なくとも一つのアミノ酸残基を変更することにより少なくとも一つの変更された抗体又は抗原結合部分配列を生成する段階;及び
(c)変更された抗体又は抗原結合部分配列をタンパク質として発現する段階。
【0306】
標準分子生物学技術が変更された抗体又は抗原結合部分配列を製造して発現するために使われることができる。
【0307】
いくつかの具体例において、変更された抗体又は抗原結合部分配列(等)によって暗号化した抗体又はその抗原結合部分は本発明で説明される抗FAM19A5抗体の機能的特性を一つ、一部、又は全部保有したものであり、これらの特性は次を含む:
(1)例えば、Biacoreによって測定されたとき、例えば10nM以下(例えば、0.01nM~10nM)のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合;
(2)例えば、Biacoreによって測定されたとき、例えば1nM以下(例えば、0.01nM~1nM)のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合;
(3)例えば、ELISAによって測定されたとき、例えば1nM以下(例えば、0.01nM~1nM)のEC50で膜結合ヒトFAM19A5に結合;
(4)反応性神経膠症の開始の減少、反転、遅延、及び/又は予防;
(5)反応性星状膠細胞の過度な増殖の抑制;
(6)ニューロカン及びニューロン-グリア抗原2(NG2)を含むコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現の減少;
(7)ニューロンの核でc-fos及びpERKの発現の増加;
(8)ニューロンの生存の促進;
(9)ニューロンでGAP43の発現の増加;
(10)軸索の再成長の促進;及び
(11)2-13、3-2、又は1-28とヒトFAM19A5に対する結合に対して一方向又は両方向に競合。
【0308】
変更された抗体又はその抗原結合部分は前記(1)~(11)で提示された機能的特性を1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、又は全部を示すことができる。変更された抗体又はその抗原結合部分の機能的特性は当該分野で利用可能な及び/又は実施例に提示されたものなどの本発明で説明される標準分析(例えば、ELISA、FACS)を使って評価されることができる。
【0309】
本発明で説明される抗体操作方法の特定の具体例において、抗FAM19A5抗体コーディング配列の全部又は一部に沿って無作為に又は選択的に突然変異が導入されることができ、得られた変形された抗FAM19A5抗体は本発明に説明されたように結合活性及び/又は他の機能的特性に対してスクリーニングされることができる。突然変異方法は当該分野に説明されている。例えば、ShortによるPCT特許公開第WO02/092780号は、飽和突然変異誘発、合成ライゲーション組立、又はこれらの組合せを使って抗体突然変異を生成してスクリーニングする方法を説明する。もしくはLazar et
al.によるPCT特許公開第WO03/074679号は抗体の物理化学的特性を最適化するためにコンピュータスクリーニング方法を使う方法を説明する。
【0310】
VII.細胞及びベクター
特定の様態で、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明で説明される抗体(又はその抗原結合断片)を発現する(例えば、組み換え方式で)細胞(例えば、宿主細胞)及び関連のポリヌクレオチド及び発現ベクターが本発明で提供される。宿主細胞、例えば哺乳類細胞で組み換え発現のための抗FAM19A5抗体又は断片を暗号化するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)行って本発明で提供される。また、本発明で説明される抗FAM19A5抗体(例えば、ヒト又はヒト化抗体)を組み換え方式で発現するこのようなベクターを含む宿主細胞が本発明で提供される。特定の様態で、宿主細胞からこのような抗体を発現する段階を含む、本発明で説明される抗体の製造方法が本発明で提供される。
【0311】
FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明で説明される抗体(例えば、全長抗体、抗体の重鎖及び/又は軽鎖、又は本発明で説明される単鎖抗体)の組み換え発現は前記抗体を暗号化するポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構成を伴う。本発明で説明される抗体分子、抗体の重鎖及び/又は軽鎖、又はその断片(例えば、重鎖及び/又は軽鎖可変ドメイン)を暗号化するポリヌクレオチドが獲得された後、抗体の製造のためのベクターが当該分野によく知られた技術を用いる組み換えDNA技術によって生成されることができる。よって、ヌクレオチド配列を暗号化する抗体又は抗体断片(例えば、軽鎖又は重鎖)を含むポリヌクレオチドの発現によるタンパク質の製造方法が本発明で説明される。当業者によく知られた方法を使って抗体又は抗体断片(例えば、軽鎖又は重鎖)コーディング配列と適切な転写及び翻訳制御信号を含む発現ベクターが構成されることができる。これらの方法は、例えば試験管内組み換えDNA技術、合成技術、及び生体内遺伝子組み換えを含む。また、プローモーターに作動可能に結合された、本発明で説明される抗体分子、抗体の重鎖又は軽鎖、抗体の重鎖又は軽鎖可変ドメイン又はその断片、又は重鎖又は軽鎖CDRを暗号化するヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターが提供される。このようなベクターは、例えば抗体分子の不変領域(例えば、国際特許公開第WO86/05807号及び同第WO89/01036号;及びアメリカ特許第5,122,464号参照)を暗号化するヌクレオチド配列を含むことができ、抗体の可変ドメインが全体重鎖、全体軽鎖、又は全体重鎖と軽鎖の発現のためにこのようなベクターにクローニングされることができる。
【0312】
発現ベクターは従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に伝達されることができ、得られた細胞は従来の技術によって培養されて本発明で説明される抗体(例えば、2-13、3-2、又は1-28のVH及び/又はVL、又はVH及び/又はVLCDRの中で一つ以上を含む抗体)又はその断片が生成されることができる。したがって、宿主細胞でこのような配列の発現のためのプローモーターに作動可能に結合された、本発明で説明される抗体又はその断片、又はその重鎖又は軽鎖、又はその断片、又は本発明で説明される単鎖抗体を暗号化するポリヌクレオチドを含む宿主細胞が本発明で提供される。特定の具体例において、二重鎖抗体の発現のために、重鎖と軽鎖を個別的に二つとも暗号化するベクターが以下で詳細に説明されるように全体兔疫グロブリン分子の発現のために宿主細胞で同時に発現することができる。特定の具体例において、宿主細胞は本発明で説明される抗体の重鎖と軽鎖、又はその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含むベクターを含む。特定の具体例において、宿主細胞は二つの相異なるベクターを含み、第1ベクターは本発明で説明される抗体の重鎖又は重鎖可変領域、又はその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含み、第2ベクターは本発明で説明される抗体の軽鎖又は軽鎖可変領域、又はその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む。他の具体例において、第1宿主細胞は本発明で説明される抗体の重鎖又は重鎖可変領域、又はその断片を暗号化するポリヌクレオチドを含む第1ベクターを含み、第2宿主細胞は本発明で説明される抗体の軽鎖又は軽鎖可変領域を暗号化するポリヌクレオチドを含む。特定の具体例において、第1細胞によって発現した重鎖/軽鎖可変領域が第2細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と会合して本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合断片を形成する。特定の具体例において、このような第1宿主細胞とこのような第2宿主細胞を含む宿主細胞の集団が本発明で提供される。
【0313】
特定の具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体の軽鎖/軽鎖可変領域を暗号化するポリヌクレオチドを含む第1ベクター、及び本発明で説明される抗FAM19A5抗体の重鎖/重鎖可変領域を暗号化するポリヌクレオチドを含む第2ベクターを含むベクターの集団が本発明で提供される。
【0314】
多様な宿主発現システムが本発明で説明される抗体分子を発現するために用いられることができる。このような宿主発現システムは、関心のコーディング配列が生成され、ついで精製されることができるビークルを表すだけでなく、適切なヌクレオチドコーディング配列で形質転換又は形質転換されたとき、本発明で説明される抗体分子を原位置で発現することができる細胞を示す。これらは、これらに制限されないが、微生物、例えば抗体コーディング配列を含む組み換えバクテリアファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターによって形質転換されたバクテリア(例えば、大腸菌及び枯草菌);抗体コーディング配列を含む組み換え酵母発現ベクターによって形質転換された酵母(例えば、サッカロミセスピチア);抗体コーディング配列を含む組み換えウイルス(例えば、バキュロウィルス)発現ベクターで感染された昆虫細胞システム;抗体コーディング配列を含む組み換えウイルス(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)発現ベクターで感染されるか組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞システム(例えば、緑藻類、例えば緑藻クラミドモナス);又は哺乳類細胞のゲノムから来由したプローモーター(例えば、メタロチオネインプローモーター)又は哺乳類ウイルスから来由したプローモーター(例えば、アデノウイルス後期プローモーター;ワクシニアアウイルス7.5Kプローモーター)を含む組み換え発現構成物を隠している哺乳類細胞システム(例えば、COS(例えば、COS1又はCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NSO、PER.C6、VERO、CRL7030、HsS78Bst、HeLa、及びNIH3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、Rl。l、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20及びBMT10細胞)を含む。特定の具体例において、本発明で説明される抗体又はその抗原結合断片を発現するための細胞はCHO細胞、例えばCHO GS SYSTEM(Lonza)からのCHO細胞である。特定の具体例において、本発明で説明される抗体を発現するための細胞はヒト細胞、例えばヒト細胞株である。特定の具体例において、哺乳類発現ベクターはPOPTIVECTM又はpcDNA3.3である。特定の具体例において、大腸菌のようなバクテリア細胞、又は真核生物細胞(例えば、哺乳類細胞)が、特に全体組み換え抗体分子の発現のために、組み換え抗体分子の発現に使われる。例えば、中国ハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞はヒトサイトメガロウイルスからの主要中間早期遺伝子プローモーター要素のようなベクターとともに抗体に対する効果的な発現システムとなる(Foecking MK & Hofstetter H (1986) Gene 45: 101-5; and Cockett MI et al., (1990) Biotechnology 8(7): 662-7参照)。特定の具体例において、本発明で説明される抗体はCHO細胞又はNSO細胞によって生成される。特定の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合する本発明で説明される抗体を暗号化するヌクレオチド配列の発現は構成的プローモーター、誘導プローモーター又は組職特異的プローモーターによって調節される。
【0315】
バクテリアシステムでは、多くの発現ベクターが発現する抗体分子に意図された用途によって有益に選択されることができる。例えば、抗体分子の医薬組成物の生成のために多量の抗体が生成されなければならない場合、易しく精製される融合タンパク質生成物を高水準で発現するように指示するベクターが好ましい。このようなベクターは、これらに制限されないが、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruether U & Mueller- Hill B (1983)
EMBO J 2: 1791-1794)(抗体コーディング配列はlac Zコーディング領域とフレーム単位でベクターに個別的にライゲーションされることができ、これにより融合タンパク質が生成される);pINベクター(Inouye S & Inouye M (1985) Nuc Acids Res 13: 3101-3109; Van Heeke G & Schuster SM (1989) J Biol Chem 24: 5503-5509);などを含む。例えば、pGEXベクターがグルタチオン5-トランスフェーラゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために使われることができる。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、基質グルタチオンアガロースビードへの吸着及び結合後、遊離グルタチオンの存在の下で溶出させることにより、溶解された細胞から易しく精製されることができる。pGEXベクターはトロンビン又は因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計され、これによりクローニングされた標的遺伝子生成物がGST部分から放出されることができる。
【0316】
昆虫システムでは、例えばオートグラファカルフォルニア核ポリヘドロシスウイルス(AcNPV)が外来遺伝子の発現のためのベクターとして使われることができる。このウイルスはスポドプテラフルギペルダ細胞で成長する。抗体コーディング配列はウイルスの非必須領域(例えば、ポリへドリン遺伝子)に個別的にクローニングされ、AcNPVプローモーター(例えば、ポリへドリンプローモーター)の制御の下に置かれることができる。
【0317】
哺乳類宿主細胞では、多くのウイルスに基づく発現システムが用いられることができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使われる場合、関心の抗体コーディング配列がアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プローモーターと三者リーダー配列にライゲーションされることができる。そして、このキメラ遺伝子が試験管内又は生体内組み換えによってアデノウイルスゲノムに挿入されることができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1又はE3)への挿入は感染された宿主で抗体分子を発現することができる生育性組み換えウイルスをもたらす(例えば、Logan J & Shenk T (1984) PNAS 81(12): 3655-9参照)。また、挿入された抗体コーディング配列の効果的な翻訳のために特定の開始信号が必要であり得る。これらの信号はATG開始コドンと隣接配列を含む。また、開始コドンは所望のコーディング配列のリーディングフレームと同一の位相になければならなく、これにより全体挿入体の翻訳が保障される。これらの外因性翻訳制御信号及び開始コドンは天然及び合成の多様な起源を有することができる。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含ませることにより増進することができる(例えば、Bitter G et al., (1987) Methods Enzymol. 153: 516-544参照)。
【0318】
また、挿入された配列の発現を調整するか、又は所望の特定の方式で遺伝子生成物を変形して加工する宿主細胞菌株が選択されることができる。タンパク質生成物のこのような変形(例えば、グリコシル化)及び加工(例えば、切断)はタンパク質の機能に重要であり得る。相異なる宿主細胞はタンパク質及び遺伝子生成物の翻訳後加工及び変形のための特徴的で特異的なメカニズムを有する。発現した外来タンパク質の正確な変形及び加工を保障するための適切な細胞株又は宿主システムが選択されることができる。このために、一次転写体の適切な加工、グリコシル化、及び遺伝子生成物のリン酸化のための細胞性機構を有する真核生物宿主細胞が使われることができる。このような哺乳類宿主細胞は、これらに制限されないが、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20及びT47D、NSO(何の兔疫グロブリン鎖も内因的に生成しないマウス骨髓腫細胞株)、CRL7030、COS(例えば、COS1又はCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、Rl.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10及びHsS78Bst細胞を含む。特定の具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体はCHO細胞のような哺乳類細胞で生成される。
【0319】
特定の具体例において、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分はフコース含量が減少するかフコース含量を有しない。このような抗体は当業者に公知となった技術を使って生成されることができる。例えば、これらの抗体はフコシル化能力が欠乏するか欠けた細胞で発現することができる。特定の例で、1,6-フコシルトランスフェーラゼの対立形質が全てノックアウトされた細胞株を使ってフコース含量が減少した抗体又はその抗原結合部分が製造されることができる。POTELLIGENT(登録商標)システム(Lonza)がフコース含量が減少した抗体又はその抗原結合部分を製造するのに使用可能なこのようなシステムの一例である。
【0320】
組み換えタンパク質の高収率生成のために、適切な発現細胞が生成されることができる。例えば、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を安定に発現する細胞株が操作されることができる。特定の具体例において、本発明で提供される細胞は軽鎖/軽鎖可変ドメインと重鎖/重鎖可変ドメインを発現し、これらは会合して本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分を形成する。
【0321】
特定の様態で、ウイルス複製起源を含む発現ベクターを使うこと以外に、宿主細胞が適切な発現制御要素(例えば、プローモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNA、及び選択性マーカーによって形質転換されることができる。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入の後、操作された細胞は孵化した培地で1~2日間成長することができ、選択性培地に移される。組み換えプラスミドで選択性マーカーは選択に対する耐性を付与し、細胞はその染色体にプラスミドを安定に統合することができるようになり、成長して中心部を形成し、これは順に細胞株にクローニングされて拡張されることができる。この方法は本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を発現する細胞株を操作するのに有益に使われることができる。このような操作された細胞株は抗体分子と直接的に又は間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価に有用であり得る。
【0322】
多くのシステムが使われることができ、このシステムは、これらに制限されないが、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(Wigler M et al., (1977) Cell 11(1): 223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェーラゼ(Szybalska EH & Szybalski W (1962) PNAS 48(12): 2026-2034)及びアデニンホスホリボシルトランスフェーラゼ(Lowy I et al., (1980) Cell 22(3): 817-23)遺伝子を含み、これらはそれぞれtk-、hgprt-又はaprt-細胞に用いられることができる。また、代謝拮抗物質耐性が次の遺伝子に対する選択の根拠として使われることができる(Wigler M et al., (1980) PNAS 77(6): 3567-70; O'Hare K et al., (1981) PNAS 78: 1527-31);gpt、これはミコフェノール酸に耐性を付与する(Mulligan RC & Berg P (1981) PNAS 78(4): 2072-6);neo、これはアミノグリコシドG-418に耐性を付与する(Wu GY & Wu CH (1991) Biotherapy 3: 87-95; Tolstoshev P (1993) Ann Rev Pharmacol Toxicol 32: 573-596; Mulligan RC (1993) Science 260: 926-932; and Morgan RA & Anderson WF (1993) Ann Rev Biochem 62: 191-217; Nabel GJ & Feigner PL (1993) Trends Biotechnol 11(5): 211-5);及びhygro、これはハイグロマイシンに耐性を付与する(Santerre RF e.g., (1984) Gene 30(1-3): 147-56)。組み換えDNA技術分野に通常公知となった方法が所望の組み換えクローンを選択するために一般的に適用され、このような方法は、例えばAusubel FM et al., (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993); Kriegler M, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990); and in Chapters 12 and 13, Dracopoli NC et al., (eds.), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY (1994); Colbere-Garapin F et al., (1981) JMolBiol 150: 1-14に説明され、これらはその全体が参照として本発明に組み込まれる。
【0323】
抗体分子の発現水準はベクター増幅によって増加することができる(Bebbington CR & Hentschel CCG、DNAクローニングにおいて哺乳類細胞でクローニングされた遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用、Vol.3(Academic Press、NewYork、1987)参照)。抗体を発現するベクターシステムでマーカーが増幅可能な場合、宿主細胞の培養物に存在する抑制剤水準の増加はマーカー遺伝子のコピー数を増加させる。増幅された領域は抗体遺伝子に関連するので、抗体の生成も増加する(Crouse GF et ah, (1983) Mol Cell Biol 3: 257-66)。
【0324】
宿主細胞は本発明で説明される二つ以上の発現ベクターによって同時形質転換されることができ、第1ベクターは重鎖来由のポリペプチドを暗号化し、第2ベクターは軽鎖来由のポリペプチドを暗号化する。2個のベクターは同じ選択性マーカーを含むことができ、これは重鎖と軽鎖ポリペプチドの同じ発現ができるようにする。宿主細胞は二つ以上の発現ベクターの相異なる量で同時形質転換されることができる。例えば、宿主細胞は第1発現ベクターと第2発現ベクターの次の一つの比で形質転換されることができる:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、又は1:50.
もしくは、重鎖と軽鎖ポリペプチドを二つとも暗号化して発現することができる単一ベクターが使われることができる。このような状況で、軽鎖は、毒性無含有重鎖の過剰を避けるために、重鎖の前に置かれなければならない(Proudfoot NJ (1986) Nature 322: 562-565; and Kohler G (1980) PNAS 77: 2197-2199)。重鎖及び軽鎖のコーディング配列をcDNA又はゲノムDNAを含むことができる。発現ベクターはモノシストロン性又はマルチシストロン性であることができる。モノシストロン性核酸構成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上の遺伝子/ヌクレオチド配列、又は2-5、5-10又は10-20個範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列を暗号化することができる。例えば、バイシストロン性核酸構成物は次の順に、プローモーター、第1遺伝子(例えば、本発明で説明される抗体の重鎖)、及び第2遺伝子(例えば、本発明で説明される抗体の軽鎖)を含むことができる。このような発現ベクターにおいて、二つの遺伝子の転写はプローモーターによってなされることができ、第1遺伝子からのmRNAの翻訳はcap依存性スキャニングメカニズムによってなされることができ、第2遺伝子からのmRNAの翻訳はcap独立的メカニズムによって、例えばIRESによってなされることができる。
【0325】
本発明で説明される抗体分子が組み換え発現によって生成されれば、それは兔疫グロブリン分子の精製に対して当該分野に公知となった任意の方法によって、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にタンパク質A後特定抗原に対する親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差等溶解性、又はタンパク質精製のための任意の他の標準技術によって精製されることができる。また、本発明で説明される抗体は、精製を容易にするために、本発明で説明されるかそれとも当該分野に公知となった異種ポリペプチド配列と融合することができる。
【0326】
特定の具体例において、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分が分離されるか精製される。一般に、分離された抗体は、分離された抗体以外の相異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に持っていないものである。例えば、特定の具体例において、本発明で説明される抗体の製造物は細胞性物質及び/又は化学的前駆体を実質的に持っていない。“細胞性物質を実質的に持っていない”とは、抗体が分離されるか組み換え方式で生成された細胞の細胞性成分から抗体が分離された抗体の製造物を含むことを意味する。よって、細胞性物質を実質的に持っていない抗体は異種タンパク質(また、本発明で“汚染タンパク質”とも言う)及び/又は抗体の変異体、例えば抗体の相異なる翻訳後変形された形態又は抗体(又は抗体結合部分)の他の相異なるバージョンを約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%又は0.1%(乾燥重量基準)を有する抗体の製造物を含む。抗体が組み換え方式で生成される場合、一般に培養培地を実質的に持っていなく、すなわち培養培地はタンパク質製造物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満である。抗体が化学的合成によって生成される場合、一般的に化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に持っていなく、すなわちタンパク質の合成に関連する化学的前駆体又は他の化学物質から分離される。よって、抗体のこのような製造物は関心抗体以外の化学的前駆体又は化合物を約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量基準)未満を有する。特定の具体例において、本発明で説明される抗体は分離されるか精製される。
【0327】
VIII.分析
本発明で説明される抗体は、例えば標準ELISAによってFAM19A5に対する結合に対して試験されることができる。簡単に言えば、マイクロタイタープレートが精製されたFAM19A5によってPBSの1-2μg/mLの量でコートされた後、PBSの5%牛血清アルブミンで遮断される。抗体の希釈物(例えば、FAM19A5免疫化したマウスの血漿の希釈物)が各ウェルに添加され、37℃で1~2時間インキュベーションされる。プレートがPBS/Tweenで洗浄された後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートされた2次試薬(例えば、ヒト抗体に対する、ヤギ-抗-ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬)とともに37℃で1時間インキュベーションされる。洗浄後、プレートはABTS基質(Moss Inc.、社製:ABTS-1000)で展開され、OD 415-495で分光光度計によって分析される。そして、免疫化したマウスからの血清がヒトFAM19A5を発現する細胞株には結合するがFAM19A5を発現しない対照群細胞株には結合しないものに対してフローサイトメトリーによってさらにスクリーニングされる。簡単に言えば、1:20希釈物でFAM19A5発現CHO細胞を抗FAM19A5抗体とともにインキュベーションすることにより、抗FAM19A5抗体の結合が評価される。細胞が洗浄され、PE標識された抗ヒトIgG Abによって結合が検出される。フローサイトメトリーはFACSフローサイトメトリーギ(Becton Dickinson、SanJose、カリフォルニア)を使って遂行される。好ましく、最高力価が発生したマウスが融合に使われる。
【0328】
前述したELISA分析は抗体をスクリーニングするのに使われることができ、よってFAM19A5免疫原との陽性反応性を示す抗体を生成するハイブリードマのスクリーニングにも使われることができる。そして、FAM19A5に、好ましくは高親和性で結合する抗体を生成するハイブリードマがサブクローニングされ、さらに特性化されることができる。そして、親細胞の反応性を保有した1個のクローンが細胞銀行の形成及び抗体の精製のために各ハイブリードマから選択されることができる(ELISAによる)。
【0329】
抗FAM19A5抗体を精製するために、選択されたハイブリードマがモノクローナル抗体の精製のために2リットルスピナーフラスコで成長することができる。上澄み液が濾過されて濃縮された後、タンパク質A-セファロース親和性クロマトグラフィー(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー)が遂行されることができる。純度を保障するために、溶出されたIgGはゲル電気泳動及び高性能液体クロマトグラフィーによって点検されることができる。バッファー溶液がPBSに交換されることができ、1.43の減衰係数を用いてOD280によって濃度が決定されることができる。モノクローナル抗体は等分されて-80℃で保管されることができる。
【0330】
選択された抗FAM19A5モノクローナル抗体が独特なエピトープに結合するかを決定するために、各抗体は商業的に利用可能な試薬(Pierce、Rockford、イリノイ)を使ってビオチン化されることができる。ビオチン化したMAb結合はストレプトアビジン標識プローブで検出されることができる。標識されなかったモノクローナル抗体とビオチン化したモノクローナル抗体を使った競合研究が前述したようにFAM19A5コートされたELISAプレートを使って遂行されることができる。
【0331】
精製された抗体のアイソタイプを決定するために、アイソタイプELISAが特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を使って遂行されることができる。例えば、ヒトモノクローナル抗体のアイソタイプを決定するために、マイクロタイタープレートのウェルが4℃で一晩の間に抗ヒト兔疫グロブリン1μg/mLでコーティングされることができる。1%BSAで遮断された後、プレートは1μg/mL未満のテストモノクローナル抗体又は精製されたアイソタイプ対照群と周囲温度で1~2時間反応される。そして、ウェルはヒトIgG1又はヒトIgM特異的アルカリ性ホスファターゼコンジュゲートプローブのいずれと反応することができる。プレートは前述したように展開されて分析される。
【0332】
FAM19A5を発現する生きている細胞に対するモノクローナル抗体の結合を試験するために、実施例で説明されたようにフローサイトメトリーが使われることができる。簡単に言えば、(標準成長条件で成長された)膜結合FAM19A5を発現する細胞株が0.1%BSAを含むPBS内で多様な濃度のモノクローナル抗体とともに4℃で1時間混合される。洗浄後、細胞は1次抗体染色と同一の条件の下でフルオレセイン標識された抗IgG抗体と反応する。単一細胞に対してゲート特性を有する直進及び側面スキャターを使うFACScan機器によってサンプルが分析されることができ、標識された抗体の結合が決定される。フローサイトメトリーに加え、あるいはフローサイトメトリーの代わりに蛍光顕微鏡を使う他の分析も使われることができる。細胞は前述したように正確に染色され、蛍光顕微鏡によって検査されることができる。この方法は個別細胞の視覚化を許容するが、抗原の密度によって感度が低下することができる。
【0333】
抗FAM19A5抗体はウエスタンブロッティングによってFAM19A5抗原との反応性に対してさらに試験されることができる。簡単に言えば、FAM19A5を発現する細胞からの細胞抽出物が製造され、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動を受けることができる。電気泳動の後、分離された抗原がニトロセルローズ膜に移され、20%マウス血清で遮断され、試験されるモノクローナル抗体によってプローブされる。抗IgGアルカリ性ホスファターゼを使ってIgG結合が検出されることができ、BCIP/NBT基質精製(Sigma Chem.Co.,St.Louis、ミズーリ)によって展開されることができる。
【0334】
多様な抗FAM19A5抗体の結合親和性、交差反応性、及び結合キネティクスを分析するための方法は当該分野に公知となった標準分析、例えばBIACORETM 2000 SPR機器(Biacore AB、Uppsala、スウェーデン)を使うBIACORETM表面プラズモン共鳴(SPR)分析を含む。
【0335】
一具体例において、抗体はヒトFAM19A5の可溶性形態に特異的に結合する。一具体例において、抗体はヒトFAM19A5の膜結合形態に特異的に結合する。抗体はFAM19A5の特定エピトープ(例えば、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:6内の断片)に特異的に結合することができる。特定の具体例において、抗体はヒトFAM19A5に、好ましくは高親和性で特異的に結合し、FAM19タンパク質サブファミリの他のメンバーとは交差反応しない。
【0336】
IX.二重特異性分子
本発明で説明される抗体は二重特異性分子を形成するのに使われることができる。抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は他の機能分子、例えば他のペプチド又はタンパク質(例えば、他の抗体又は受容体リガンド)に誘導体化されるか結合することができ、これにより少なくとも二つの相異なる結合部位又は標的分子に結合する二重特異性分子が生成される。IL-6、CNTF、LIF、EGF及びTGFaのようなサイトカインが転写3のタンパク質信号変換剤及び活性剤(STAT3)を活性化することにより神経膠症及び/又は反応性アストログリア増殖症開始の触発剤として関与する(Balasingam et al., J. Neurosci. 14(2):846-56 (1994); Winter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.20; 92(13):5865- 9 (1995)参照)、これらは、CNS損傷の後、多くの様態の反応性アストログリア増殖症を調節する(Herrmann J. E. e.g., J. Neurosci. 28(28): 7231-7243 (2008)参照)。例えば、STAT3の不在又は減少はグリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)の上向調節の減衰、星状膠細胞の肥大の不全、及び増加した炎症伝播、増加した病巣体積及びCNS損傷後部分的に弱化した運動回復をもたらす(Herrmann J. E. et al., J. Neurosci. 28(28): 7231- 7243 (2008)参照)。よって、例えば、抗FAM19A5抗体は組合治療のために神経膠症の開始及び/又は反応性星状膠細胞の過度な増殖を阻害することに関与する任意のタンパク質に特異的に結合する抗体又はscFv、例えばIL-6CNTF、LIF、EGF又はTGFαに対する抗体と結合することができる。
【0337】
また、抗FAM19A5抗体は、対象の中枢神経系損傷(例えば、外傷性脳損傷、脳脊髓損傷、脳卒中、又は脳腫瘍)、脳脊髓系損傷、退行性脳障害(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ALS)、退行性脳脊髓又は神経障害、又は神経障害性の痛み(以下のXIII章の疾患又は障害参照)を含む疾患又は障害を治療する抗体又はscFvと結合することができる。例えば、抗FAM19A5抗体は多発性硬化症を治療する抗体又はscFv、例えばナタリズマブ(Tysabri)、又はアレムツズマブ(Lemtrada)と結合することができる。
【0338】
本発明で説明される抗体は実際に二つ以上の他の機能分子と誘導体化するか結合することができ、よって3個以上の相異なる結合部位及び/又は標的分子に結合する多重特異的分子が生成される。このような多重特異的分子もやはり本発明で使用される用語“二重特異性分子”に含まれる。本発明で説明される二重特異性分子を生成するために、本発明で説明される抗体は一つ以上の他の結合分子、例えば他の抗体、その抗原結合部分、タンパク質又は結合擬態体と(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有会合又は他の方式によって)機能的に結合することができ、これにより二重特異性分子が得られる。一具体例において、二重特異性分子はFAM19A5とVEGFに結合する。他の具体例において、二重特異性分子はFAM19A5とEGFに結合する。
【0339】
したがって、FAM19A5に対する少なくとも一つの第1結合特異性及び第2標的エピトープに対する第2結合特異性を含む二重特異性分子が本発明で提供される。二重特異性分子が多重特異性である本発明で説明される一具体例において、前記分子は第3結合特異性をさらに含むことができる。
【0340】
一具体例において、本発明で説明される二重特異性分子は結合特異性として少なくとも一つの抗体、又は例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)を含むそれの抗原結合部分を含む。また、抗体は軽鎖又は重鎖二量体、又はFv又は単鎖構成物のようなそれの最小断片であり得、これはその内容が確かに本願に参照として組み込まれるLadner et al.のアメリカ特許第4,946,778号に説明される。
【0341】
ヒトモノクローナル抗体が好ましいが、本発明で説明される二重特異性分子に用いられることができる他の抗体はマウス、キメラ及びヒト化モノクローナル抗体である。
【0342】
本発明で説明される二重特異性分子は、当該分野に公知となった方法を使って構成性結合特異性をコンジュゲートすることによって製造されることができる。例えば、二重特異性分子の各結合特異性が個別的に生成された後、互いにコンジュゲートされることができる。結合特異性がタンパク質又はペプチドの場合、多様なカップリング剤又は架橋剤が共有コンジュゲーションのために使われることができる。架橋剤の例は、タンパク質A、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、及びスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)を含む(例えば、Karpovsky et al., (1984) J. Exp. Med. 160: 1686; Liu, MA et al., (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648参照)。他の方法は、Paulus (1985) Be bring Ins. Mitt. No. 78, 118-132; Brennan et al., (1985) Science 229:81-83), and Glennie et al., (1987) J. Immunol. 139: 2367-2375に説明されたものなどを含む。好適なコンジュゲート剤はSATA及びスルホ-SMCCであり、二つともPierce Chemical Co.(Rockford、イリノイ)で購入することができる。
【0343】
結合特異性が抗体の場合、二つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合によってコンジュゲートされることができる。特に好適な具体例において、ヒンジ領域はコンジュゲーションの前に奇数のスルフヒドリル残基、好ましく1個のスルフヒドリル残基を含むように変形される。
【0344】
もしくは、結合特異性は二つとも同じベクターで暗号化され、同じ宿主細胞で発現して組み立てられることができる。この方法は二重特異性分子がmAb x mAb、mAb
x Fab、mAb x (scFv)2、Fab x F(ab’)2又はリガンドx Fab融合タンパク質の場合に特に有用である。二重特異的抗体は、各重鎖のC末端にscFvを含む抗体を含むことができる。本発明で説明される二重特異性分子は一つの単鎖抗体と結合決定基を含む単鎖分子、又は2個の結合決定基を含む単鎖二重特異性分子であり得る。二重特異性分子は少なくとも2個の単鎖分子を含むことができる。二重特異性分子を製造する方法は、例えばアメリカ特許第5,260,203号;アメリカ特許第5,455,030号;アメリカ特許第4,881,175号;アメリカ特許第5,132,405号;アメリカ特許第5,091,513号;アメリカ特許第5,476,786号;アメリカ特許第5,013,653号;アメリカ特許第5,258,498;及びアメリカ特許第5,482,858に説明される。
【0345】
特異的標的に対する二重特異性分子の結合は当該分野に認められた方法、例えば酵素結合免疫吸着測定分析(ELISA)、放射免疫測定分析(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、又はウエスタンブロット分析を使って確認されることができる。これらの各分析は一般的に関心複合体に特異的な標識された試薬(例えば、抗体)を用いて特に関心あるタンパク質抗体複合体の存在を検出する。
【0346】
X.診断
一具体例において、抗FAM19A5抗体に付着される部分は結合部分、標識化部分、及び生理学的活性部分からなる群から選択される。
【0347】
本発明で説明される抗体はサンプル検査及び生体内映像化を含む診断目的のために使われることができ、この目的のために抗体(又はその結合部分)は適切な検出可能な製剤にコンジュゲートされて免疫抱合体を形成することができる。診断目的のための適切な製剤は、全身映像化のための放射性同位元素、及びサンプル検査のための放射性同位元素、酵素、蛍光標識及び他の適切な抗体タグを含む検出可能な標識である。
【0348】
検出可能な標識は試験管内診断分野で現在使われる多様な種類のいずれかであり得る。これらはコロイド金のような金属ゾルを含む微粒子標識、例えばN2S2、N3S又はN4タイプのペプチドキレート剤とともに提示されるI125又はTc99のような同位体、蛍光マーカー、発光マーカー、リン光マーカーなどを含む発色団だけでなく、与えられた基質を検出可能なマーカーに転換する酵素標識、及び重合酵素連鎖反応によるもののような増幅後に現れるポリヌクレオチドタグを含む。適切な酵素標識は西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼなどを含む。例えば、標識は酵素アルカリ性ホスファターゼであり得る。これは、アダマンチルメトキシホスホリルオキシフェニルジオキセタン(AMPPD)、ジソジウム3-(4-(メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2’-(5’-クロロ)トリシクロ{3.3.1.13、7}デカン}-4-イル)フェニルフォスフェート(CSPD)だけでなく、CDP及びCDP-STAR(登録商標)のような1,2-ジオキセタン基質又は当業者によく知られた他の発光基質、例えばテルビウム(III)及びユーロピウム(III)のような適切なランタン族のキレートの転換後、化学発光の存在又は形成を測定することによって検出される。検出手段は選択された標識によって決定される。標識又はその反応生成物の出現は肉眼で確認されることができ、標識が微粒子であり、適切な水準で蓄積された場合には、分光光度計、照度計、蛍光光度計などの機器を使用して確認されることができ、全ての場合、標準慣例に従う。
【0349】
また、本発明で説明される抗体は治療剤とコンジュゲートされることができ、これにより抗体-薬物コンジュゲート(ADC)のような免疫抱合体が形成される。適切な治療剤は神経膠症及び/又は反応性アストログリア増殖症の開始を調整する製剤及び/又は退行性脳障害、中枢神経系損傷、又は神経障害性の痛みを治療する製剤を含む。退行性脳障害を治療するための治療剤は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療するための薬物を含む。これは、このような退行性脳障害の治療に通常使われる薬物、例えば以下のXII章に開示される薬物を含む。
【0350】
免疫抱合体は当該分野に公知となった方法によって製造されることができる。好ましくは、コンジュゲーション方法は結合をもたらし、これは実質的に(又はほとんど)非免疫原性、例えばペプチド-(すなわち、アミド-)、スルフィド-、(立体障害)、ジスルフィド-、ヒドラゾン-、及びエーテル結合である。これら結合はほとんど非免疫原性であり、血清内で適切な安全性を示す(例えば、Senter, P. D., Curr. Opin. Chem. Biol. 13 (2009) 235-244; WO 2009/059278; WO 95/17886参照)。
【0351】
部分及び抗体の生化学的性質によって、相異なるコンジュゲーション戦略が用いられることができる。部分が50~500個のアミノ酸の自然発生又は組み換え部分の場合、タンパク質コンジュゲートの合成化学を説明したテキストブックにある標準過程に従い、これは当業者が易しく従うことができる(例えば、Hackenberger, C. P. R., and Schwarzer, D., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 47 (2008) 10030-10074参照)。一具体例において、マレインイミド部分と抗体又は部分内のシステイン残基の反応が使われる。これは、例えば抗体のFab又はFab’断片が使われる場合、カップリング化学に特に適している。もしくは、一具体例において、抗体又は部分のC末端端部とのカップリングが遂行される。タンパク質、例えばFab断片のC末端変形は、例えばSunbul, M. and Yin, J., Org. Biomol. Chem. 7 (2009) 3361-3371に説明されたとおりに遂行されることができる。
【0352】
一般に、部位特異的反応及び共有カップリングは天然アミノ酸を既存の残りの官能基の反応性に直交する反応性を有するアミノ酸に変形することに基づく。例えば、希少配列部内の特異的システインはアルデヒド内で酵素転換されることができる(M. A., and Dierks, T., ChemBioChem. 10 (2009) 425-427参照)。また、与えられた配列部で天然アミノ酸と特定酵素の特異的酵素反応性を用いることにより所望のアミノ酸変形を獲得することができる(例えば、Taki, M. et al., Prot. Eng. Des. Sel. 17 (2004) 119-126; Gautier, A. e.g., Chem. Biol. 15 (2008) 128-136; and Protease-catalyzed formation of C ‐ N bonds is used by Bordusa, F., Highlights in Bioorganic Chemistry (2004) 389-403参照)。
【0353】
また、部位特異的反応及び共有カップリングは適切な変形試薬と末端アミノ酸の選択的反応によって達成されることができる。N末端システインとベンゾニトリルの反応性を用いて部位特異的共有カップリングが達成されることができる( Ren, H. e.g., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 48 (2009) 9658-9662参照)。また、自然化学ライゲーションはC末端システイン残基に基づくことができる(Taylor, E. Vogel; Imperiali, B, Nucleic Acids and Molecular Biology (2009), 22 (Protein Engineering), 65-96参照)。
【0354】
EP1074563は負で荷電されたアミノ酸ストレッチ内のシステインと正で荷電されたアミノ酸ストレッチに位置するシステインの早い反応に基づくコンジュゲーション方法を説明する。
【0355】
また、部分は合成ペプチド又はペプチド擬態体であり得る。ポリペプチドが化学的に合成された場合、直交化学反応性を有するアミノ酸がこのような合成中に統合されることができる(例えば、de Graaf, A. J. et al., Bioconjug. Chem. 20 (2009) 1281-1295参照)。かなり多様な直交官能基に成敗が依存し、合成ペプチドに導入することができるから、このようなペプチドとリンカーのコンジュゲーションが標準化学となる。
【0356】
単一標識ポリペプチドを獲得するために、1:1化学量論のコンジュゲートが他のコンジュゲーション副産物からクロマトグラフィーによって分離されることができる。この過程は染料標識された結合対構成員と荷電されたリンカーの使用によって容易になることができる。この種類の標識されて高度に負で荷電された結合対構成員を使うことにより、単一コンジュゲートされたポリペプチドが非標識ポリペプチド及び二つ以上のリンカーを有するポリペプチドから易しく分離される。その理由は、電荷及び分子量の差が分離に使われることができるからである。蛍光染料が標識された1価バインダーのような未結合成分から複合体を精製するのに有用であり得る。
【0357】
XI.医薬組成物
生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) Mack Publishing Co., Easton, ペンシルバニア)の中で所望程度の純度を有する本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分を含む組成物が本発明で提供される。許容される担体、賦形剤又は安定剤は用いられた投薬量及び濃度で受恵者に非毒性であり、バッファー、例えばリン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10個残期未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は兔疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Znタンパク質複合体);及び/又は非イオン界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0358】
特定の具体例において、医薬組成物は、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、及び選択的に1種以上の追加の予防又は治療剤を、薬学的に許容される担体内に含む。特定の具体例において、医薬組成物は本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分の有効量、及び選択的に1種以上の追加の予防又は治療剤を、薬学的に許容される担体内に含む。いくつかの具体例において、抗体は医薬組成物に含まれた唯一の活性成分である。本発明で説明される医薬組成物はFAM19A5活性を増進、誘導又は活性化させ、中枢神経系損傷、退行性脳障害又は神経障害性の痛みのような状態を治療するのに有用であることができる。
【0359】
非経口剤に使用された薬学的に許容される担体は水性ビークル、非水性ビークル、抗菌剤、等張剤、バッファー、抗酸化剤、局所痲酔剤、懸濁及び分散剤、乳化剤、封鎖又はキレート剤及び他の薬学的に許容される物質を含む。水性ビークルの例は、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及びラクテートリンガー注射液を含む。非水性非経口ビークルは、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、胡麻油及びピーナッツ油を含む。静菌又は静真菌濃度の抗菌剤が複数回容器にパッケージされた非経口剤に添加されることができ、これらは、フェノール又はクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル(propyl p-hydroxybenzoic acid ester)、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。バッファーは、リン酸塩及びクエン酸を含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所痲酔剤は、塩酸プロカインを含む。懸濁及び分散剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオン封鎖又はキレート剤は、EDTAを含む。また、薬学的担体は水混和性ビークルのために、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含み、pH調整のために、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含む。
【0360】
医薬組成物は、対象に対する任意の投与経路に合うように製剤化されることができる。投与経路の具体的な例は、鼻腔内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、皮下、又は心室内経路を含む。皮下、筋肉内又は静脈内注射を特徴とする非経口投与も本発明で考慮される。注射可能物質が従来の形態に、液体溶液又は懸濁液、注射前に液体中で溶液又は懸濁液になるのに適した固体形態、又はエマルジョンに製造されることができる。また、注射可能物質、溶液及びエマルジョンは1種以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、例えば水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエチルアルコールである。これに加え、必要に応じて、投与される医薬組成物も少量の非毒性補助物質、例えば湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度増進剤、及び他のこのような製剤、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエチルアルコールアミン及びシクロデキストリンを含むことができる。
【0361】
抗体の非経口投与のための製剤は、直ぐ注射可能な滅菌溶液、皮下注射用錠剤を含む使用直前に溶媒と直ぐ合わせられることができる滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥された粉末、すぐ注射可能な滅菌懸濁液、使用直前にビークルと直ぐ合わせられることができる滅菌乾燥不溶性製品及び滅菌エマルジョンを含む。溶液は水性又は非水性であり得る。
【0362】
静脈内投与される場合、適切な担体は、生理学的食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、及び増粘及び溶解剤を含む溶液、例えばグルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール及びこれらの混合物を含む。
【0363】
抗体を含む局所用混合物は局所及び全身投与について説明したように製造される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリクサー、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、フォーム、エアロゾル、灌注剤、スプレー、座薬、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適した任意の他の剤形として製剤化されることができる。
【0364】
本明細書で説明される抗体又はその抗原結合部分は、例えば吸入による、局所投与のためのエアロゾルとして製剤化されることができる(例えば、アメリカ特許第4,044,126号、同第4,414,209号及び同第4,364,923号参照、この出願は炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送逹のためのエアロゾルを説明する)。気道に投与するためのこの製剤は噴霧器用のエアロゾル又は溶液の形態であるか、又は吸入剤用の超微粒粉末であり得、単独で使われるか又はラクトースのような非活性担体と組み合わせられる。このような場合、製剤の粒子は、一具体例で50ミクロン未満、一具体例で10ミクロン未満の直径を有する。
【0365】
本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分は局部又は局所適用、例えば皮膚及び粘膜に局所適用、例えば目に局所適用のために、ゲル、クリーム及びローションに製剤化されることができ、目に適用又は嚢内又は髄腔内適用のために製剤化されることができる。局所投与は経皮送逹のために考慮され、また眼又は粘膜投与、又は吸入療法のために考慮される。他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて又は単独で抗体の点鼻液も投与されることができる。イオン泳動及び電気泳動装置を含む経皮パッチが当業者に公知となっており、抗体を投与するために使われることができる。例えば、このようなパッチは、アメリカ特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010,715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号及び同第5,860,957号に説明されている。
【0366】
特定の具体例において、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分を含む医薬組成物は凍結乾燥された粉末であり、これは、溶液、エマルジョン及び他の混合物として投与のために再構成できる。また、凍結乾燥された粉末は固体又はゲルとして復元及び製剤化できる。凍結乾燥された粉末は、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分、又はその薬学的に許容される誘導体を適切な溶媒に溶解することにより製造される。いくつかの具体例において、凍結乾燥された粉末は滅菌状態である。溶媒は粉末又は粉末から製造された再構成溶液の安全性又は他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含むことができる。使用可能な賦形剤は、これに制限されるものではないが、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な製剤を含む。また、溶媒は、一具体例で弱中性のpHのバッファー、例えばクエン酸塩、リン酸ナトリウム又はカリウムリン又は当業者に知られた他のバッファーを含むことができる。溶液の後続滅菌濾過の後、当業者に公知となった標準条件下の凍結乾燥は所望の製剤を提供する。一具体例において、得られた溶液は凍結乾燥用バイアルに配分される。各バイアルは化合物の単回投与量又は複数回投与量を含む。凍結乾燥された粉末は適切な条件の下で、例えば約4℃~室温で保管されることができる。
【0367】
注射用水によるこの凍結乾燥された粉末の再構成は非経口投与に使用するための製剤を提供する。再構成のために、凍結乾燥された粉末が滅菌水又は他の適切な担体に添加される。正確な量は選択された化合物による。このような量は経験で決定されることができる。
【0368】
また、本発明で説明される抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体及び本発明で提供される他の組成物は、治療される対象の特定の組職、受容体、又は他の身体領域に標的化するように製剤化されることができる。このような多くの標的化方法が当業者によく知られている。このような全ての標的化方法を本組成物に使うことが本発明で考慮される。標的化方法の非制限的例は、例えば、アメリカ特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号及び第5,709,874号を参考する。特定の具体例において、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は中枢神経系損傷、退行性脳障害又は神経障害性の痛みを治療することを目標とする。
【0369】
生体内投与に使われる組成物は滅菌されることができる。例えば、滅菌濾過膜を用いる濾過によって易しく滅菌される。
【0370】
XII.キット
本発明で説明される1個以上の抗体、又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又はその免疫抱合体を含むキットが本発明で提供される。特定の具体例において、本発明で提供される1個以上の抗体又はその抗原結合部分のような本発明で説明される医薬組成物の成分の1個以上で満たされた1個以上の容器、選択的な使用指示を含む薬学的パック又はキットが本発明で提供される。いくつかの具体例において、キットは本発明で説明される医薬組成物及び本発明で説明されるもののような任意の予防又は治療剤を含む。
【0371】
XIII.治療上用途及び方法
一様態で、本発明で説明される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を治療が必要な対象に投与する段階を含む、対象のCNSの損傷や傷害を緩和するための方法が本発明で提示される。
【0372】
一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、対象の神経膠症の始まり又は開始及びこれに関連するCNSに対する有害な効果を阻害、遅延、抑制、阻止、減少、反転、又は予防するための方法が本発明で提示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、対象の反応性星状膠細胞の過度な又は異常増殖及びこれに関連するCNSに対する有害な効果を阻害、遅延、抑制、製紙、減少、反転、又は予防するための方法が本発明で提示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、対象のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現(ニューロカン、NG2又は両者の水準を含む)を低下、阻害又は減少させるための、又はニューロカン、NG2又は両者の活性を減少させるか又は非活性化させるための方法が本発明で提示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、対象の好ましくは損傷や傷害後のニューロンの成長を刺激、促進、増加、又は活性化させるための方法が本発明で提示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の好ましくはニューロンの核のc-fos mRNA、c-fosタンパク質、又はc-fosタンパク質活性の水準を増加させ、ERK mRNA、ERKタンパク質又はpERK活性の水準を増加させるための方法が本発明で提示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の好ましくはニューロンのGAP43 mRNA、GAP43タンパク質の水準を増進又は増加させるか、又はGAP43タンパク質の活性を増加させるための方法が本発明で提示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象のニューロンの生存を増進又は促進し及び/又は軸索の再成長を促進するための方法が本発明で提示される。一具体例において、対象は、ヒト、好ましくは、例えばCNS損傷、外傷、傷害、脳脊髓損傷、脳腫瘍、感染、虚血、脳卒中、自己免疫反応、及び/又は神経変性疾患による、ニューロンの傷害又は損傷を有するヒトである。
【0373】
いくつかの具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の中枢神経系損傷、脳脊髓系損傷、退行性脳障害、退行性脳脊髓又は神経障害、又は神経障害性の痛みを含む疾患又は障害を治療するための方法が本発明で提示される。
【0374】
一具体例において、中枢神経系損傷は、外傷性脳損傷、脳脊髓損傷、脳卒中、脳腫瘍(例えば、神経膠腫又は膠芽細胞腫)、又はこれらの組合せである。一具体例において、退行性脳障害は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、又はこれらの組合せである。よって、一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の外傷性脳損傷、脳脊髓損傷、脳卒中、脳腫瘍(例えば、神経膠腫又は膠芽細胞腫)、又はこれらの組合せを治療するための方法が本発明に開示される。一具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子、又は免疫抱合体、又はその組成物を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象のハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ALSを治療するための方法が本発明に開示される。いくつかの具体例において、対象はヒトである。
【0375】
いくつかの具体例において、本発明に開示される方法は脳腫瘍を治療するのに使われることができ、前記方法は、抗FAM19A5抗体(例えば、本発明に開示されるものなど)を治療が必要な対象に投与する段階を含む。特定の具体例において、脳腫瘍は神経膠腫又は膠芽細胞腫である。
【0376】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体の投与は、基準(例えば、抗FAM19A5抗体を受けなかった対象の相応値)と比較して腫瘍(例えば、膠芽細胞腫)の成長を減少させる。特定の具体例において、腫瘍成長(例えば、腫瘍体積又は重量)は基準(例えば、抗FAM19A5抗体を受けなかった対象の相応値)と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%まで減少する。
【0377】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体の投与は、腫瘍(例えば、膠芽細胞腫)の血管正常化を促進する。特定の具体例において、血管正常化は、(i)血管数の増加、(ii)血管連結性の改善、(iii)血管透過性の減少、(iv)血流速度増加、又は(v)これらの任意の組合せを含む。特定の具体例において、本発明に開示される方法は、腫瘍に拡張される血管の数を(厚さ増加及び連結性改善とともに)少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%又はそれ以上まで増加させる。
【0378】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体の投与は、腫瘍(例えば、膠芽細胞腫)に兔疫細胞の浸潤を増加させる。いくつかの具体例において、腫瘍への兔疫細胞の浸潤は、基準(例えば、抗FAM19A5抗体に露出されない腫瘍に存在する兔疫細胞の数)と比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%又はそれ以上まで増加する。特定の具体例において、兔疫細胞は、マクロファージ、樹状細胞、小膠細胞、及びTリンパ球を含む。追加の具体例において、ここで開示される方法は腫瘍に存在する兔疫細胞の細胞体積を増加させる。特定の具体例において、兔疫細胞の細胞体積は、基準(例えば、抗FAM19A5抗体に露出されない腫瘍に存在する兔疫細胞の体積)と比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%又はそれ以上まで増加する。
【0379】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体(例えば、本発明に開示されるものなど)の投与は、腫瘍(例えば、脳腫瘍)を有する対象の生存を増加させる。特定の具体例において、生存は、基準(例えば、抗FAM19A5抗体を受けなかった対象の相応値)と比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%又はそれ以上まで増加する。いくつかの具体例において、生存は少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週、3週、4週、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、2年、3年、4年、又は5年又はそれ以上まで増加する。
【0380】
いくつかの具体例において、本発明の方法で治療することができる脳腫瘍(例えば、膠芽細胞腫)は、転移性、切除不能、先行癌治療法に対する耐性であることができる。特定の具体例において、先行癌治療法は化学療法を含む。いくつかの具体例において、化学療法は、白金基盤治療法を含む。いくつかの具体例において、白金基盤治療法は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、テトラニトレート、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される白金基盤抗新生物剤を含む。特定の具体例において、白金基盤治療法は、シスプラチンを含む。追加の具体例において、白金基盤治療法は、カルボプラチンを含む。いくつかの具体例において、先行癌治療法は、免疫療法(例えば、抗PD-1抗体)を含む。
【0381】
いくつかの具体例において、(脳腫瘍、例えば膠芽細胞腫を治療するための)本発明の方法に有用な抗FAM19A5抗体は、癌の治療に使われる他の化合物、薬物及び/又は製剤と組み合わせて提供されることができる。このような化合物、薬物及び/又は製剤は、例えば化学療法薬物、小分子薬物、又は与えられた癌に対する免疫反応を刺激する抗体を含むことができる。いくつかの具体例において、本発明で説明される方法は、標準癌治療(例えば、手術、放射線及び化学療法)と組み合わせて使われる。他の具体例において、本発明で説明される方法は、維持療法、例えば腫瘍の発生や再発を予防するための療法として使われる。
【0382】
いくつかの具体例において、本発明で有用な抗FAM19A5抗体は二つ以上の免疫腫瘍学剤と組み合せられることができ、例えば免疫経路で多重要素を標的とする組合的接近法と組み合せられることができ、例えば次の一つ以上と組み合せられることができる:腫瘍抗原提示を増進させる療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞性ワクチン、CpGオルリゴヌクレオチド、イミキモド);CTLA-4及び/又はPD1/PD-L1/PD-L2経路を阻害し及び/又はTreg又は他の免疫抑制細胞(例えば、骨髓腫来由抑制剤細胞)を枯渇させるか遮断することにより、否定的免疫調節を阻害する療法;CD-137、OX-40、及び/又はCD40又はGITR経路を刺激し及び/又はT細胞エフェクター機能を刺激する作動剤によって、肯定的免疫調節を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増加させる療法;CD25の拮抗剤(例えば、ダクリズマブ)を使うか又は生体外抗CD25ビード枯渇によって、Treg、例えば腫瘍のTregを枯渇させるか阻害する療法;腫瘍の抑制剤骨髓腫細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を増進させる療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子組み換え細胞、例えばキメラ抗原受容体によって変形された細胞を含む養子T細胞又はNK細胞伝達(CAR-T療法);インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、又は酸化窒素シンテターゼのような代謝酵素を阻害する療法;T細胞アネルギー又は消尽を反転/予防する療法;腫瘍部位で自然免疫活性化及び/又は炎症を触発する療法;免疫刺激性サイトカインの投与;又は免疫抑制性サイトカインの遮断。一部の例で、本発明で有用な抗FAM19A5抗体と組み合せられることができる追加の抗癌剤は、これらに制限されないが、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-Ll抗体、抗OX40(CD134、TNFRSF4、ACT35及び/又はTXGP1Lとも言う)抗体、抗CD137抗体、抗LAG-3抗体、抗GITR抗体、又はこれらの任意の組合せの一つ以上を含むことができる。
【0383】
特定の具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体は治療が必要な対象の線維症を治療、減少、反転、予防、改善、制御、又は阻害することができ、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を前記対象に投与する段階を含む。一具体例において、線維症は陽性である(すなわち、症状を引き起こさない)。他の具体例において、線維症は病理学的状態に関連し、再発性であっても再発性ではなくてもよい。いくつかの具体例において、線維症は、肝線維症、肺線維症、腎臓線維症、骨髓線維症、膵膓線維症、皮膚線維症、心臓線維症、動脈線維症、関節線維症、乳房線維症、筋肉線維症、後腹膜線維症、甲状腺線維症、リンパ節線維症、膀胱線維症、及び胸膜線維症からなる群から選択される。一具体例において、線維症は、肝線維症又は肺線維症である。他の具体例において、線維症は、肝癌、肺癌、腎癌、乳房癌、脳癌及び/又は膵膓癌のような癌から来由する腫瘍に関連する。一具体例において、前記方法は、線維症、線維症に関連した症状、線維症の基底原因、又はこれらの組合せを弱化、反転、緩和、改善、阻害、又は遅延又は予防する。
【0384】
他の具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体は、治療が必要な対象の障害又は疾患に関連した線維症を治療、減少、反転、予防、改善、制御、又は阻害することができ、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を前記対象に投与する段階を含む。用語“疾患又は障害に関連した線維症”は疾患又は障害を伴う線維症、又は疾患又は障害に起因するかそれから生じた結果である線維症を言う。この用語は、前記開示された疾患や障害から生ずるかそれによって引き起こされる線維症、又はその疾患や障害を伴う線維症を含む。
【0385】
さらに他の具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体は、治療が必要な対象の肝癌、肺癌、腎癌、乳房癌、脳癌(例えば、神経膠腫又は膠芽細胞腫)、及び/又は膵膓癌を治療、減少、反転、予防、遅延、改善、制御、又は阻害することができ、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分を前記対象に投与する段階を含む。いくつかの具体例において、肝癌、肺癌、腎癌、乳房癌、脳癌、及び/又は膵膓癌は線維症に関連するか線維症によって引き起こされる。いくつかの具体例において、脳癌は神経膠腫又は膠芽細胞腫である。
【0386】
いくつかの具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子又は免疫抱合体の治療上有効量が投与される。対象(例えば、ヒト)を治療するとき、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子又は免疫抱合体の治療上有効量は、お年、性別、疾患の重症度のような要因に依存する。典型的に、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子又は免疫抱合体は一日に0.01μg~1000mgの容量で投与される。
【0387】
いくつかの具体例において、本発明に開示される抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、二重特異性分子又は免疫抱合体、又はその組成物は、静脈内、経口、非経口、腱硝内、髄腔内、脳室内、肺、皮下、又は心室内経路に投与される。
【0388】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、又はその組成物は線維症を治療するための一つ以上の追加の製剤(例えば、特発性肺線維症のためのピルフェニドン(ESBRJET(登録商標))又はニンテダニブ(OFEV))と組み合わせて投与されることができる。一つ以上の追加の治療薬物の容量及び投与は当該分野に知られており、例えば各薬物の製品ラベルに説明されている。
【0389】
いくつかの具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分、又はその組成物は、中枢神経系損傷(例えば、外傷性脳損傷、脳脊髓損傷、脳卒中、又は脳腫瘍(例えば、神経膠腫又は膠芽細胞腫))、脳脊髓系損傷、退行性脳障害(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ALS)、退行性脳脊髓又は神経障害、又は神経障害性の痛みを治療するための一つ以上の追加の製剤と組み合わせて投与されることができる。例えば、ハンチントン病の治療のための非制限的な例示的製剤は、テトラベナジン(XENAZINE(登録商標))、抗精神病剤、例えばハロペリドール(HALDOL(登録商標))、クロルプロマジン、リスペリドン(RISPERDAL(登録商標))及びクエチアピン(SEROQUEL(登録商標))を含む。
【0390】
パーキンソン病の治療のための非制限的な例示的製剤は、レボドパ(カルビドパとともに又は単独で)、ドパミン作動剤、例えばプラミペキソール(MIRAPEX(登録商標))、ロピニロ-ル(REQUIP(登録商標))、及びロチゴチン(NEUPRO(登録商標))、及びアポモルヒネ(APOKYN(登録商標))、セレギリン(ELDEPRYL(登録商標)及びZELAPAR(登録商標))、ラサギリン(AZILECT(登録商標))、エンタカホン(COMTAN(登録商標))、ベンズトロピン(COGENTIN(登録商標))、トリヘキシフェニジル、及びアマンタジンを含む。
【0391】
アルツハイマー病の治療のための非制限的な例示的製剤は、ドネペジル(ARICEPT(登録商標))、ガランタミン(RAZADYNE(登録商標))、及びリバスティグミン(EXELON(登録商標))を含む。
【0392】
多発性硬化症の治療のための非制限的な例示的製剤は、ガラティラメルアセテート(COPAXONE(登録商標))、ジメチルフマレート(TECFIDERA(登録商標))、フィンゴリモド(GILENYA(登録商標))、テリフルノミド(AUBAGIO(登録商標))、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))、アレムツズマブ(LEMTRADA(登録商標))、及びミトキサンゴロンを含む。
【0393】
ALSの治療のための非制限的な例示的製剤は、リルゾール(RILUTEK(登録商標))を含む。
【0394】
一つ以上の追加の治療薬物の容量及び投与は当該分野に知られており、例えば各薬物の製品ラベルに説明されている。
【0395】
次の実施例は制限ではなくて例示のために提供される。
【0396】
(実施例)
以降の実施例で次の実験方法及び詳細な内容が参照される。
【0397】
(実施例1:ヒトFAM19A5タンパク質の発現及び精製)
組み換えヒトFAM19A5タンパク質を製造して精製し、精製されたタンパク質を結合親和性分析に基づく抗体スクリーニング分析に使った。まず、FAM19A5遺伝子を含むLPS-hTプラスミドをバクテリアに形質転換してタンパク質過剰発現を誘導した。製造の後、FAM19A5タンパク質をNi-NTA親和性クロマトグラフィー(Qiagen,Valencia,アメリカのカリフォルニア)を使って精製した。イミダゾールを徐々に高い濃度にしてNiカラムからHisタグされたFAM19A5タンパク質を除去した。溶液中のタンパク質発現はクマシーブリリアントブルーR-250染料を使って測定した。FAM19A5イミダゾール含有溶液のみ取り、PBSを使ってFAM19A5タンパク質を濃縮した。濃縮が完了したとき、FAM19A5タンパク質の純度及び濃度をウェスタンブロッティング分析で測定した。ついで、濃縮されたタンパク質を使ってFAM19A5特異的抗体をスクリーニングした。
【0398】
(実施例2:FAM19A5抗体ライブラリの生成)
油中水エマルジョンアジュバント(RIBI+MPL+TDM+CWSアジュバント、Sigma,St.Louis,アメリカのミズーリ)を含むTDW及びCWSの細胞壁成分をエマルジョン化した後、これを3匹のニワトリに皮下注射した。ニワトリはおよそ2~3週の間隔で総3回免疫化した。免疫化したニワトリから得られた抗体の力価を、FAM19A5タンパク質を過剰発現したHEK293T細胞の細胞溶解物を使って免疫ブロッティングで測定した。
【0399】
TRI試薬(Invitrogen、Carlsbad、アメリカのカルフォルニア)を使用して免疫化したニワトリから単鎖可変断片(scFv)ライブラリを製造し、前記説明した免疫化したニワトリの脾臓、骨髄及び滑液嚢からRNAを抽出した。
【0400】
オリゴ-dTプライマーとSUPERSCRIPTTM III第1鎖合成システム(Invitrogen)を使って第1鎖cDNAを合成した。ニワトリの免疫システムから得られたcDNAに対し、拡張型高忠実度PCRシステム(Roche Molecular Systems,アメリカのインディアナ)を使って単鎖可変領域ライブラリを生成した。各反応で、1μLのcDNA、各プライマー60pmol、10×反応バッファー溶液10μL、2.5mM dNTP(Promega,Madison,アメリカのウィスコンシン)8μL、及びTaq DNAポリメラーゼ0.5μLを水と混合した。最終体積は100μLであった。PCR反応を次の条件の下で遂行した:(i)94℃で15秒、(ii)56℃で30秒、及び(iii)72℃で90秒の30サイクル、その後72℃で10分間の最終拡張。約350bpの長さを有する断片を含むPCR生成物を1.5%アガロースゲル上にローディングし、電気泳動後、QIAGEN Gel II抽出キット(QIAGEN,Valencia,アメリカのカルフォルニア)を使って前記ヌクレオチド断片を精製した。精製されたPCR生成物をOD 260nmで判読して定量した(1ユニットOD=50μg/ml)。
【0401】
2次PCRから2個のVH及びVL1次生成物を重畳拡張PCRによって無作為に連結した。各PCR反応物を精製されたVL及びVH生成物100ng、各プライマー60pmol、10×反応バッファー10μL、2.5mM dNTP 8μL、Taq DNAポリメラーゼ0.5μL及び最終体積100μLとなる水と混合した。PCRを次の条件の下で遂行した:(i)94℃で15秒、(ii)56℃で30秒、及び(iii)72℃で2分の25サイクル、その後72℃で10分間の最終拡張。約700bpの長さを有する単鎖可変領域断片を含むPCR生成物を1.5%アガロースゲル上にローディングし、電気泳動後、QIAGEN Gel II抽出キット(QIAGEN)を使って前記ヌクレオチド断片を精製した。精製されたPCR生成物をOD260nmで判読して定量した(1ユニットOD=50μg/ml)。
【0402】
PCR生成物のscFv断片とベクターpComb3X-SS(The Scripps Research Instituteアメリカのカルフォルニア)をSfi I制限酵素で酵素切断した。精製された重畳PCR生成物10μgをSif I 360ユニット(16ユニット当たり1μg DNA、Roche Molecular Systems,Pleasanton,アメリカのカルフォルニア)、10×反応バッファー20μL及び最終体積が200μLとなる量の水と混合した。pComb3X-SSベクター20μgをSfi I120ユニット(6ユニット当たり1μg DNA)、10×反応バッファー溶液20μL及び最終体積が200μLとなる量の水と混合した。混合物を8時間の間に50℃で酵素切断した。その後、scFv断片(約700bp)及びベクター(約3400bp)を含む酵素切断された生成物を1%アガロース上にローディングし、ゲル抽出キットII QIAGEN(QIAGEN,Valencia,アメリカのカルフォルニア)を使って精製した。Sfi I制限されたpComb3Xベクター1400ngと酵素切断されたscFv断片700ngを5×リガーゼバッファー、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen,Carlsbad,アメリカのカルフォルニア)及び最終体積が200μLとなる量の水と混合した。混合物を16時間の間に16℃でインキュベーションしてライゲーションを遂行した。
【0403】
エタノールで沈澱した後、DNAペレットを水15μLに溶解した。ライブラリを生成するために、ライゲーションサンプルをバイブレーター遺伝子(Gene pulser:Bio-Rad Laboratories,Hercules,アメリカのカルフォルニア)を使って電気穿孔によって大腸菌(E. coli)菌株ER2738(New
England Biolabs Inc.,Hitchin,Hertfordshine,SG4OTY,英国のイングランド)に形質転換した。細胞を5mLスーパーブロス(SB)培地とと混合し、37℃で1時間の間に250rpmで撹拌しながらインキュベーションした。ついで、100mg/mLカナマイシン3μLをSB培地10mLに添加した。ライブラリサイズを決定するために、0.1μL、1μL及び10μLの培養物サンプルを50μg/mLカナマイシンを含むルリアブロス(LB)寒天板上に擦って塗った。1時間の撹拌後、100mg/mLカナマイシン4.5μLをLB培養物に添加し、さらに1時間撹拌した。ついで、水に入れたVCM13ヘルパーファージ2mL(>1011cfu/ml)を100mg/mLカナマイシン92.5μLを含む予熱されたLB(183mL)とともにLB培地に添加した。この混合物をさらに2時間の間に37℃で250rpmで撹拌した。ついで、カナマイシン280μL(50mg/mL)を培養物に添加し、37℃で一晩撹拌した。翌日、バクテリアペレットを高速遠心分離機(Beckman、JA-10ローター)を使い、4℃で3,000gで遠心分離した。その後、バクテリアペレットを使ってファージミドDNAを抽出し、上澄み液を滅菌遠心分離瓶に移して入れた。ついで、ポリエチレングリコール-8000(PEG-8000、Sigma)8gと塩化ナトリウム(NaCl)6gを上澄み液に添加した後、氷内で30分間維持した。その後、上澄み液を4℃で15,000gで15分間遠心分離した。ついで、上澄み液を捨て、ファージペレットを緩衝食塩水(TBS)で懸濁した。
【0404】
(実施例3:固定された抗原上でのライブラリパニング(バイオパニング)(bio-panning))
磁気ビード(Dynabeads M-270 Epoxy,Invitrogen)を使ってバイオパニングを遂行した。室温で20時間の間にビードとタンパク質を一緒に撹拌させておよそ1×107ビードを組み換えFAM19A5タンパク質5μgでコーティングした。コーティングが完了した後、ビードをリン酸緩衝食塩水(PBS)で4回洗浄し、室温で3%BSAを含むPBS内で1時間遮断した。ついで、コーティングされたビードを前記説明したファージディスプレイされたscFvとともに室温で2時間培養した。抗原コーティングされたビードに結合されなかったファージを除去するために、ビードを0.05%Tween 20/PBSで洗浄した。ついで、結合されたファージを0.1Mグリシン/塩化水素(0.1Mグリシン-HCl、pH2.2)50μLで溶出し、塩化水素とともに2M Tris(トリス-HCl、pH9.1)3μLで中和させた。このファージ含有上澄み液を使って大腸菌ER2738細胞を感染させ、VCSM13ヘルパーファージを使用して一晩増幅して救済した。また、50μg/mLカナマイシンを含むLB寒天板上にファージ感染された培養物をブロッティングすることにより、ファージ感染された培養物からファージ力価によって投入量(インプット)及び生成量(アウトプット)を決定した。翌日、PEG-8000とNaClを使ってファージを沈澱させた後、バイオパニングに使った。前記過程を繰り返して総5回のバイオパニングを遂行した。各増幅でファージをスクリーニングし、FAM19A5タンパク質に対する高親和性を選択した。
【0405】
(実施例4:ファージELISAによるクローンの選択)
バイオパニングから選択されたクローンを分析するために、ファージディスプレイされたscFvから個別クローンを無作為に選択し、ELISAを使って選択されたクローンがFAM19A5組み換えタンパク質に結合するかを確認した。FAM19A5組み換えタンパク質を0.1M NaHCO3バッファーで希釈し、ウェル当たり100ngのタンパク質を使い、16時間の間に4℃で96ウェルマイクロタイタープレートをコーティングした。翌日、プレートを1時間の間に37℃で3%BSA/PBSで遮断した。ついで、ファージ上澄み液を6%BSA/PBSと混合し、37℃で2時間培養した。ついで、上澄み液を含むプレートを0.05%Tween 20/PBSで洗浄した。HRPコンジュゲートされたM13抗体(a-M13-HRP,Pierce Chemical
Co,Rockford,アメリカのイリノイ)を1/5000に希釈した。希釈された抗体50μLをプレートに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション及び洗浄の後、色展開のために、プレートに0.05Mクエン酸緩衝液、1μg/mLの2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリル-6-スルホン酸)(ABTS,Amresco,Solon,アメリカのオハイオ)、及び0.1%H2O2を添加した。405nmで各ウェルの吸光度を測定した。
【0406】
ついで、FAM19A5組み換えタンパク質に結合するとともに高吸光度を示す24個クローンを分析し、これらから独特の配列を有する13個のscFvクローンを獲得した。追加選択後、クローン2-13、1-28及び3-2を獲得した。
【0407】
(実施例5:抗FAM19A5-IgG2/4抗体の生成)
抗FAM19A5 scFvを哺乳類発現ベクターにサブクローニングした。FAM19A5 scFv遺伝子配列で、ヒトCκ遺伝子を軽鎖可変領域に連結し、CH1、CH2及びCH3遺伝子のヒト兔疫グロブリンアイソタイプIgG2/4を重鎖可変領域に連結した。制限部位(Genscript,アメリカ)を付加することにより、各軽鎖と各重鎖を有する抗体を合成した。クローニングを容易にするために、合成された遺伝子を変形された制限部位を有する哺乳類細胞発現ベクターに挿入した。まず、軽鎖遺伝子をHind III及びXbaI(New England Biolabs,英国)制限酵素を使ってベクターに挿入し、ついでNheI及びBamHI(New England Biolabs,英国)制限酵素を使ってベクターに重鎖遺伝子を付加した。
【0408】
抗FAM19A5-IgG2/4抗体を発現及び精製するために、哺乳類細胞形質転換及び過剰発現注射システムを使った。細胞培養体積の1/10に相応する150mM塩化ナトリウム(NaCl、Merck)内にポリエチレンイミン(PEI,Polysciences,Warrington,アメリカのペンシルバニア)4μgと哺乳類発現ベクター2μg/mLを混合した。混合物を室温で15分間放置した。混合物をHEK293F細胞(2×106細胞/mL、Invitrogen)に添加した後、6日間135rpmの撹拌条件で、7%CO2及び37℃で100U/mLペニシリン及びストレプトマイシン(Invitrogen)を含むFREESTYLETM 293発現培地内でインキュベーションした。細胞培養上澄み液から発現した抗FAM19A5 IgG2/4抗体を精製するために、タンパク質Aビード(RepliGen,Waltham,アメリカのマサチューセッツ)親和性ゲルクロマトグラフィーを使った。タンパク質Aクロマトグラフィーは4-12%Bis-Tris勾配ゲル電気泳動上で進んだ。タンパク質の大きさ及び収率をクマシーブリリアントブルー染色で確認した。
【0409】
(実施例6:FAM19A5エピトープ断片F1-F6を使うエピトープマッピング分析)
ヒトFAM19A5タンパク質の重畳ペプチド断片(F1-F6、
図1参照)を合成してBSAにコンジュゲートした。BSAコンジュゲートされたペプチド断片F1-F6に対する相異なる抗FAM19A5抗体の結合をELISA分析によって決定した。簡単に言えば、FAM19A5断片F1-F6(50mMカーボネートバッファー(Biosesang)に1μg/mLで希釈するかその濃度分析のためには20μg/mLで希釈)を使って4℃で一晩の間に96ウェルイムノプレート(Thermo Scientific)のウェルをコーティングした(100μL/ウェル)後、ついで1xPBSで2回洗浄した。ついで、プレートを室温で1時間の間に遮断バッファー(100μL/ウェル)で遮断させた。1時間のインキュベーションの間、関連の抗FAM19A5抗体を希釈バッファーに1μg/mL(又はその濃度分析の場合、20μg/mL)で希釈した。プレートを洗浄した後(1xPBSを使って2回)、希釈された抗FAM19A5抗体を適切なウェルに添加し、プレートを1時間の間に室温でインキュベーションした。ついで、プレートを洗浄バッファーで総5回洗浄した。ついで、ODP基質(滅菌脱イオン水9mLと10x安定なペルオキシド安定バッファー(Thermo)1mLにODP錠剤(O-フェニレンジアミン二塩酸塩、Thermo)1個を溶解して製造)を各ウェルに添加し、10分間色変化反応が起こるようにした。ウェルに2N H
2S0
4(Daejung)100μLを添加して反応を中断させた。96ウェルマイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使って492nmで各ウェルの吸光度値を検出した。
【0410】
図2に示したように、抗FAM19A5抗体3-2はエピトープ断片F2に強く結合し、残りの断片に対する結合は最小であった。これは抗FAM19A5抗体1-28に対しても同様であった(データは図示せず)。一方、1-65抗体はエピトープ断片F5にのみ強く結合した。面白いことに、抗FAM19A5抗体2-13はF1-F6エピトープ断片の何とも結合しなかったことが現れた。
【0411】
ついで、3-2及び1-28が結合したエピトープ断片F2内の特異的アミノ酸残基を確認するために、F2断片の相異なるアミノ酸残基を表9(以下)に示した通りに、アラニン又はバリンに置換した。突然変異された残基は太字で下線表示した。示した抗FAM19A5抗体の結合親和性を前述したようにELISAを使って測定した。
【0412】
【0413】
図3A及び
図3Bに示したように、3-2抗体は突然変異F2ペプチド断片#1、2、4-6及び9-13に強く結合し、断片#3、7及び8に対する結合は減少した。後者の3個の突然変異F2ペプチド断片はそれぞれアミノ酸残基D5、P9及びR11(前記表9でSEQ ID NO:6に従ってナンバリング)にアラニン置換を含み、これは3-2抗体が主にこれらのアミノ酸残基でFAM19A5に結合することを示唆する。
【0414】
1-28抗体は突然変異F2ペプチド断片#1、2、6及び8-13には強く結合した反面、ペプチド断片#3、4、5及び7に対して1-28抗体はずっと減少した結合を示した(
図3C参照)。このデータは、抗FAM19A5抗体1-28がエピトープF2断片内で主にアミノ酸残基D5、S6、S7及びP9(前記表9でSEQ ID NO:6に従ってナンバリング)でFAM19A5に結合することを示唆する。
【0415】
(実施例7:FAM19A5突然変異M1-M8を使うエピトープマッピング分析)
本発明で開示される抗FAM19A5抗体の結合エピトープをもっと特性化するために、相異なるFAM19ファミリメンバー(すなわち、FAM19A1-5)のアミノ酸配列を
図4に示したように整列した。この整列に基づき、FAM19A5タンパク質のアミノ酸配列がFAM19Aファミリの残りのメンバー(すなわち、FAM19A1-4)と最も有意な差があった8個の領域が確認された(M1-M8)。これらの領域のアミノ酸配列をFAM19A1-4タンパク質の相応する領域のコンセンサス配列に置換した(表10参照、突然変異されたアミノ酸残基は太字で下線表示した)。
【0416】
突然変異FAM19A5発現ファージを次のように製造した。ファージ培養のための培地を製造するために、2Mグルコース(D-(+)-グルコース、Sigma)55.6mL、1M MgC12(塩化マグネシウム、Junsei)5mL、34mg/mLクロラムフェニコール(Sigma)1mLを2x YT培地に添加した。モノファージELISAを介して獲得したコロニーを選択し、製造された培地(2x YT-GMC)5mLに入れ、シェーキングインキュベーター(VS-8480、Vision)で37℃で16時間培養した。各培養物100μLを個別的に10mL 2x YT-GMCに移し、O.D.600nm検出値が0.5となるまでインキュベーターで37℃で培養した。O.D.600nmで検出値が0.5に到逹すれば、各培養物5mLを被感染サンプルとして獲得した。サンプル製造の後、M1ヘルパーファージ50μLを個別サンプルに添加した後、シェーキングなしに30分、シェーキングしながらさらに30分間37℃でインキュベーションした。個別培養物をマイクロ遠心分離機(Micro12、Hanil)によって3,850rpmで15分間遠心分離した。遠心分離された培養物の上澄み液を除去して別に保管し、1M IPTG(AG Scientific)1mL、1M MgCl2 5mL、70μg/μLカナマイシン(Biopure)1mL及びクロラムフェニコール1mLを含む2x YT培地5mLをその代わりに入れた。得られたペレットを新たに添加された培地に完全に分散させた後、撹拌しながら16時間の間に30℃でインキュベーションした。
【0417】
【0418】
図5に示したように、抗FAM19A5抗体1-28及び3-2はFAM19A5突然変異M2に結合することができなかった。表10(上記)に示したように、M2突然変異はアミノ酸残基21-25(すなわち、エピトープEP2)に置換を有し、これはFAM19A5のエピトープ断片内の領域に相応する。このデータは実施例1-6のデータと一致し、FAM19A5に対する1-28及び3-2抗体の結合においてエピトープ断片F2の重要性を確認させる。
【0419】
2-13抗体は1-28、3-2及び1-65抗体と完全に相異なるエピトープでFAM19A5に結合することが現れた。
図5に示したように、抗FAM19A5抗体はFAM19A5突然変異M1-M3及びM5-M7に対して中間乃至高い結合を有したが、突然変異M4及びM8とは結合することができなかった。これは、FAM19A5に対する2-13抗体結合においてエピトープEP4及びEP8の重要性を示唆する。2-13抗体が実施例7でFAM19A5エピトープ断片の何とも結合することができなかったことを考慮すれば(
図2参照)、このデータも2-13抗体が線形エピトープと反対の立体構造的エピトープを有することを示唆する。
【0420】
(実施例8:交差競合分析)
以下で説明するように、2部位サンドイッチELISAを使って類似の結合エピトープを有する相異なる抗FAM19A5抗体が互いに交差競合するかを評価した(
図6A参照)。
【0421】
まず、抗FAM19A5抗体を10μg/mLの濃度に1x PBSで希釈した。希釈された抗FAM19A5抗体(1x PBSに10μg/mL)(“捕捉抗体”)を使っておよそ1時間の間に37℃で96ウェルプレートをコーティングした(100μL/ウェル)。インキュベーションの後、プレートを洗浄バッファー(0.01%Tween-20/PBS;0.01%PBSTともいう)で総5回洗浄し、37℃で1時間の間に遮断溶液(5%BSA/PBS;5%PBSAともいう、250μL/ウェル)で遮断させた後、再び洗浄した。ついで、100μg/mL FAM19A5抗原(5%BSA、0.01%Tween-20を含むPBSで希釈;5%PBSATともいう;“希釈バッファー”)を各ウェルに添加し、37℃で2時間の間に96ウェルプレートをインキュベーションした。インキュベーションの後、プレートを0.01%PBSTで総5回洗浄した。最後の洗浄後、ビオチン化抗FAM19A5抗体(“検出抗体”)(5%PBSATで1μg/mLに希釈)を関連のウェル(100μL体積)に添加し、プレートを37℃でさらに1時間インキュベーションした。その後、プレートを0.01%PBSTでさらに洗浄した(総5回洗浄)。ついで、希釈された(5%PBSAT中の1/2000)ストレプトアビジン-HRP(1mg/mL、Sigma、アメリカ)100μLをウェルに添加し、プレートを室温で30分間インキュベーションした。ついで、プレートを洗浄し、TMB基質(Thermo Fisher Scientific)100μLで処理した。室温でさらに30分インキュベーションした後、TMB基質を添加して色変化反応を誘導した。硫酸(2N H2S04)50μLを使って反応を中断させ、96ウェルマイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使って620nmの基準波長で450nmでの吸光度によって色変化範囲を検出した。
【0422】
図6Bに示したように、抗FAM19A5抗体1-65、P2-A03、P2-F11及び13B4はいずれも互いに交差競合した。1-65抗体と同様に、P2-A03、P2-F11及び13B4抗体はいずれもエピトープM6、M7及び/又はM8で(すなわち、F5及び/又はF6エピトープ断片内で)FAM19A5に結合する(データは図示せず)。一方、抗体2-13と3-2は残りの抗FAM19A5抗体と交差競合しなかった。これは、これらの抗体が主にF2エピトープ断片で結合することを示した前述したエピトープマッピング分析を確認させる。
【0423】
(実施例9:結合親和性分析)
FAM19A5に対する相異なる抗FAM19A5抗体の結合親和性を決定するために、前述したようにELISA分析を使った(例えば、実施例6参照)。
図7A及び
図7Bに示したように、1-28、3-2及び1-65抗体は類似の結合親和性でFAM19A5に結合した(それぞれKd=0.17nM、0.12nM及び0.10nM)。2-13抗体は約2.77nMのKd値で結合した(
図7B参照)。
【0424】
(実施例10:肝肝線維症での血清分析)
本発明で開示される抗FAM19A5抗体の生体内機能評価のために、肝線維症のラットモデル(すなわち、胆管結紮(BLD)誘導肝線維症Sprague-Dawley(SD)ラットモデル)を使って肝線維症のFAM19A5タンパク質の水準を測定した(Kountouras et al., Br J Exp Path 65:305-311 (1984)参照)。簡単に言えば、動物をケタミンとキシラジンで痲酔した。1.5cm中間腺切開を遂行し、総胆管を位置させ、3-0絹糸結紮で二重結紮を遂行した。その後、肝線維症誘導後21日目に動物から全血を収集し、全血から血清を分離した。
【0425】
血清中のFAM19A5タンパク質の水準をFAM19A5サンドイッチELISA分析で測定した。96ウェルELISAプレートを、100μL体積で1-65ヒトIgG1抗FAM19A5抗体1μg/mLで一晩コーティングした。その後、プレートをPBSで洗浄し、ついで室温で1時間の間にPBS中の1%BSAで遮断した。その後、プレートをPBSで再洗浄し、標準物質とサンプルおよそ100μLを適切なウェルに分配した。その後、プレートを2時間の間に室温でインキュベーションした。その後、プレートを0.05%PBS-Tween 20(すなわち、洗浄バッファー)で洗浄し、ヤギa-兎IgG抗体(Santa Cruz、Cat # SC-2030、PBS中の1%BSAに1:5000希釈)にコンジュゲートされた検出抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およそ100μLをウェルに添加した。プレートをさらに1時間の間に室温でインキュベーションした。洗浄バッファーで追加洗浄した後、O-フェニレンジアミンジヒドロクロリド(OPD)基質およそ100μLを各ウェルに添加し、プレートを室温で展開させた。約10分後、1N H2SO4(硫酸)およそ100μLのをウェルに添加して反応を中断させた。96ウェルマイクロプレートリーダー(Molecular
Device,Versa Max)を用いて492nmの波長で吸光度を測定した。
【0426】
図8に示したように、FAM19A5タンパク質の水準は、正常(すなわち、非BDL誘導)ラットと比較して、BDL誘導肝線維症SDラット(“疾患モデル”)の血清で3倍以上も高かった。
【0427】
(実施例11:肺線維症での血清分析)
FAM19A5タンパク質の水準が肺線維症でも増加したかを評価するために、気管内注射でブレオマイシン3mg/kgを投与することにより、7週齢の雄性SDラットに特発性肺線維症を誘導した。ブレオマイシン投与後24日目に動物から全血を収集し、全血から血清を分離した。血清中のFAM19A5タンパク質の水準を、前記実施例10で示したように、FAM19A5サンドイッチELISA分析で測定した。
図9に示したように、FAM19A5タンパク質の水準は、正常(すなわち、特発性肺線維症がない)ラットと比較して、肺線維症誘導されたSDラット(“疾患モデル”)の血清で1.5倍以上も高かった。
【0428】
(実施例12:ヒト肝線維症患者の血清分析)
肝細胞の損傷時、血清中のAST及び/又はALT水準が増加することができ、このような増加は主に肝損傷を示唆すると思われる(Gowda et al., Pan Afr Medjy. M (2009);
Giannini et al., Arch Intern Med 163:218-224 (2003)参照)。しかし、損傷が深刻なとき(例えば、肝硬変)AST及びALT水準を正常として示すことができる。よって、FAM19A5発現が肝損傷のより良い指標であるかを評価するために、FAM19A5サンドイッチELISA分析を用い、肝硬変が確認されたヒト患者の血清に対してFAM19A5タンパク質の水準を測定した。
【0429】
2-13抗FAM19A5ヒトIgG1抗体を50mM炭酸塩バッファー(Bio-World,Cat.C2070-9.6,Lot.C70-9.616Z11C)中に1μg/μLの濃度で再構成した。その後、抗FAM19A5抗体をPBS中に1:1000の比率で希釈し、ついでこれを用いて96ウェルELISAプレートを一晩コーティングした。翌日、プレートをPBSで洗浄し、ついで約1時間の間に室温でPBS中の1%BSAで遮断した。その後、プレートをPBSで再洗浄し、標準物質とサンプルおよそ100μLを適切なウェルに分配した。プレートを2時間の間に室温でインキュベーションした。その後、プレートを0.05%PBS-Tween 20(すなわち、洗浄バッファー)で洗浄した。その後、(1μg/μLの濃度で再構成された)3-2抗FAM19A5マウスIgG2a抗体をPBS中の1%BSAに1:2000の比率で希釈した。この希釈された抗体およそ1μLを各ウェルに添加し、プレートを室温でさらに2時間の間にインキュベーションした。洗浄バッファーでさらに洗浄した後、ろ馬α-マウスIgG抗体(Jackson Lab,Cat.715-035-151,Lot.122401)(PBS中の1%BSAに1:5000希釈)にコンジュゲートされた西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およそ100μLをウェルに添加した。その後、プレートを室温で1時間の間にインキュベーションした。インキュベーションの後、プレートを洗浄バッファーで洗浄し、1-STEPTM Ultra TMB-ELISA基質溶液(Pierce,Cat.34028,Lot.QJ20436540)およそ1μLを各ウェルに添加した。10分間インキュベーションした後、1N H2SO4(硫酸)およそ100μLをウェルに添加して反応を中断させた。96ウェルマイクロプレートリーダー(Molecular Device,Versa Max)を用いて450nmの波長で吸光度を測定した。
【0430】
図10に示したように、肝硬変を有する患者は、FAM19A5タンパク質水準が正常の元気な個体の血清で観察されたものよりおよそ2-6倍高かった。このようなデータは前述した動物研究と一致し、FAM19A5タンパク質の血清濃度が肝硬変に対する理想的な診断マーカーであり得ることを示唆する。
【0431】
(実施例13:心筋梗塞に対する効果分析)
心筋梗塞中に起こる虚血性細胞死は修復反応をもたらし、このとき、損傷された組職が線維症傷跡に代替される。その後、周辺組職の再形成(例えば、左心室壁の薄肉化及び心室膨脹)が続き、結局心臓機能が損傷される(Talman et al., Cell Tissue Res 365(3): 563-581 (2016); Firth et al., Cardiovasc Drugs Ther 4:1363-1374 (1990)参照)。心
筋梗塞に対する抗FAM19A5抗体の効果を評価するために、マウ虚血性再灌流モデルを使った。簡単に言えば、Balb/cAnNCrljOriマウス(6週齢、雄性)(Orient Bio Inc.,韓国のソウル)を購入し、およそ1週間の間に特殊な病源菌無含有(SPF)の条件の下で閉じ込めた。その後、マウスをZoletil 50(VIRBAC,フランス)とキシラジン(Rompun(登録商標)、Bayer AG,ドイツ)で深く痲酔した。痲酔後、開胸術をマウスに施行して冠状動脈を露出させ、7-0縫合糸とPE20チューブを使って動脈を結紮して心筋梗塞を誘導した。空気挿管後、ベンチレーターに気管内チューブを連結してマウスの呼吸を強制で維持した。虚血状態を40分間維持し、PE20チューブを除去して血液を再灌流させた。心筋梗塞誘導後3日目に抗FAM19A5抗体(1-65、3-2、又は1-28抗体)を静脈内注射でマウスに投与し、毎週総3回注射した。ナイーブ(すなわち、元気な)マウスとNHIマウスを対照群として使った。
【0432】
心筋梗塞誘導後21日目にマウスを殺して心臓を収去した。心臓組職を10%ホルマリン溶液に固定した。その後、固定された心臓組職を頂部付近で2mm厚さで横方向にスライスしてパラフィンブロックに入れ、5μm切片にさらにスライスしてガラス組職スライド上に装着して分析した。心臓組職サンプルに対してヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色を遂行し、心筋梗塞関連組職再形成に対するそれぞれの抗FAM19A5抗体(すなわち、1-65、3-2、及び1-28抗体)の効果を評価した。
【0433】
予想通りに、NHI対照群からの心臓組職は左心室の有意な膨脹と左心室壁の薄肉化を示した(
図11(“NHI”)参照)。反面、抗FAM19A5抗体が投与されたマウスからの心臓組職はナイーブ(“元気な”)動物からの心臓組職と類似した(すなわち、左心室の膨脹減少及び左心室壁組職の保存)。
【0434】
この効果を確認するために、コラーゲンを染色するマッソントリクローム染色を心臓組職切片に遂行した。前述したように、コラーゲンは細胞外基質(ECM)の主要成分であるので、組職サンプルで増加したコラーゲン蓄積部のマッソントリクローム染色は線維症の正確な指標であり得る。光学顕微鏡(Olympus BX53,日本国)を使って染色されたスライドを撮影し、全体左心室領域に対する線維性領域の比率をイメージ分析装置で計算した。
【0435】
図12Aに示したように、抗FAM19A5抗体が投与された抗体(1-65、3-2及び1-28)を受けたマウスはNHI対照群に比べてコラーゲンの蓄積がよほど少なかった。抗FAM19A5抗体治療群では、全体左心室領域のおよそ10-15%が線維性組職からなった(
図12B参照)。反面、NHI対照群のマウスでは、線維性領域が全体左心室領域のおよそ20%を構成した。相異なるFAM19A5抗体の中でも1-65抗体が最大効果を有することが現れた。
【0436】
総合すれば、前記結果は、心筋梗塞直後、FAM19A5抗体の投与が組職再形成及び線維症形成を大きく改善することができることを証明する。
【0437】
(実施例14:ヒト肝癌患者分析)
肝線維症と肝硬変は肝癌の主な危険因子である。ヒト肝癌患者で、癌性組織周辺に肝硬変と類似した線維症が頻繁に発生する。したがって、肝癌でのFAM19A5発現を評価するために、免疫組職化学を使ってヒトの肝生検体でFAM19A5タンパク質発現を測定した。簡単に言えば、多様な程度の線維症(すなわち、段階#0~段階#4)を有する肝癌患者から肝サンプルを獲得した。組職サンプルを抗FAM19A5抗体に免疫染色した後、ヘマトキシリンとエオシン(H&E)で対比染色した。
【0438】
図13に示したように、段階#0の患者に比べ、段階#2及び段階#4の癌患者の肝組織ではFAM19A5タンパク質発現に有意な増加があった。増加したFAM19A5発現は傷跡形成領域付近と肝星霜細胞に主に集中した。FAM19A5発現の増加は疾患の進行に関連し、段階#2肝組職に比べ、段階#4肝組織はずっと高い水準のFAM19A5を発現した。総合すれば、このデータはFAM19A5がヒト肝癌にも重要な役割をすることを証明する。
【0439】
(実施例15:肝癌異種移植モデルにおける抗FAM19A5抗体投与効能の分析)
ヒト肝癌に対する抗FAM19A5抗体の抗腫瘍効能を評価するために、肝癌の異種移植マウスモデルを使った。簡単に言えば、ヌードマウスを購入し、特殊な病原体未感染(SPF)の条件で閉じ込めた。およそ1週間の適応期間の後、Hep3B細胞及び/又はヒト肝星細胞(HHSteC)を動物に皮下注射した。このために、細胞を先にトリプシンで処理して単一細胞懸濁液を製造した。ついで、細胞を洗浄し、およそ5×106のHep3B及び/又は0.4×106のHHSteC細胞をDMEM培地100μLに再懸濁した。ついで、インスリン注射器を使って細胞をヌードマウスの右脇腹に細胞を皮下注射した。注射後約3週目に腫瘍形成に対して動物を観察した。
【0440】
腫瘍形成時(注射後から3週)、正常ヒト兔疫グロブリン(NHI、対照群)又は3-2ヒトIgG1抗FAM19A5抗体(2.5mg/kg)のいずれか一つを動物に静脈内注射した。動物は総3週間毎週1回抗体を投与した。体重と腫瘍大きさを毎週評価した。接種後42日目に動物を殺し、腫瘍をさらに分析した。
【0441】
図14Aに示したように、全ての相異なるグループの動物は実験期間始終類似の体重を有する。
図14B~
図14Dに示したように、抗FAM19A5抗体の投与は単にHep3B細胞のみ接種された動物に対して最小限の抗腫瘍効果を有する(すなわち、“Hep3B+NHI”及び“Hep3B+FAM19A5 Ab”)。しかし、Hep3B細胞とHHSteCが共に接種された動物では、抗FAM19A5抗体の投与が腫瘍の大きさ/重量の有意な減少をもたらした(すなわち、“Hep3B+HHSteC+NHI”v.“Hep3B+HHSteC+FAM19A5 Ab”)。このようなデータは腫瘍内微小環境で肝細胞の肝星細胞と抗FAM19A5抗体の相互作用が肝癌を治療することができることを提示する。
【0442】
(実施例16:外傷性脳損傷後の抗FAM19A5抗体投与の効果)
外傷性脳損傷に対する本発明で開示される抗FAM19A5抗体の効果を評価するために、外傷性脳損傷(TBI)モデルを使った。簡単に言えば、C57BL/6成体雄マウス(8-9週齢)をイソフルランで深く痲酔した。1分間頭蓋冠上に(液体窒素を使って予め冷却させた)鉄棒をおいて極低温TBIを遂行した。ついで、マウスの皮膚を縫合し、正常マウスと同一の方式で閉じこめた(Moon et al., Neuro Report 22: 304-308 (2011)参照)。TBI誘導の後、およそ1日目にリン酸緩衝食塩水(PBS)に希釈された相異なる抗FAM19A5抗体(1-65(2/4);1-28;2-13;及び3-2)100μgを動物に静脈内投与した。
【0443】
TBI誘導後の5日目(TBI5D)に動物を殺し、PBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)で灌流させ、脳組職を収去した。収去された脳組職をさらに24時間の間に4%PFA溶液に固定させた。ついで、脳組職を30%スクロース内で冷凍防止し、クリオスタットで連続的に切片化し(40μm)、使用時まで-20℃で50%グリセロール/50%PBS中に保管した。
【0444】
神経膠症に関連した反応性星状膠細胞(ネスチン及びGFAP発現に対して陽性)を染色させるために、脳組職切片を30分間PBS中の3%牛血清アルブミン(BSA)と0.1%Triton X-100で遮断させた。ついで、1次抗体を4℃で一晩の間に切片とともにインキュベーションした。この研究に使用された1次抗体はマウス抗ネスチン(Millipore、Billerica、アメリカメサチュセツ)及び兎抗GFAP(Dako、Carpinteria、アメリカカリフォルニア)であった。PBSで数回洗浄した後、適切な2次抗体を30分間適用した。Hoechst 33342(Invitrogen、Carlsbad、アメリカカリフォルニア)で核を標識した。ついで、切片を洗浄し、蛍光又は共焦点顕微鏡(Leica、Wetzlar、ドイツ)の下に装着して観察した。
【0445】
効果を定量するために、まず各イメージでGFAP陰性領域のROI(関心領域)を特定した後、相応するROIの面積(μm2、A)をLAS AF liteソフトウェア(Leica Microsystem CMS GmbH、Mannheim、ドイツ)を使って計算した。また、半影と接している損傷深部の境界線の側面長(μm、B)を同じソフトウェアで測定した。A/Bの値は病巣深部からの平均長を示す(A/B、μm)。
【0446】
図15A及び
図15Bに示したように、1-28、2-13、及び3-2抗FAM19A5抗体は外傷性脳損傷後、反映領域で反応性神経膠症の開始を同様に減少、反転、及び/又は予防した。全体的な効果は1-65抗FAM19A5抗体と類似しており、この抗体は外傷性脳損傷後に反応性星状膠細胞の生成を有意に弱化させると既に提示された抗体である(アメリカ特許第9,579,398参照)。1-65抗体と違うエピトープでFAM19A5タンパク質が結合するにもかかわらず、1-28、2-13、及び3-2抗体は外傷性脳損傷後に投与されたときに効果的であった。
【0447】
(実施例17:マウス膠芽細胞腫細胞株GL-261癌細胞におけるFAM19A5抗体の坑癌効果の評価)
膠芽細胞腫モデルを誘導するために、4週齢のC57BL/6マウスの頭を脳固定装置に固定し、GL-261細胞(1x10
5細胞/5μL)を頭蓋内注射して(頭蓋内注射部位:前頂まで前方に0.2mm、正中線まで側面に2.2mm、頭蓋表面から尾状核被殻の中央に深さ3.5mm)膠芽細胞腫を誘導した(
図16A)。ヒトIgG(陰性対照群)と抗FAM19A5抗体をそれぞれ各動物にGL-261接種した後、7日目に静脈内注射した。各マウスは、ヒトIgG対照群抗体又は抗FAM19A5抗体のいずれか一つを2.5mg/kgの容量で週1回で、3回投与された(
図16A)。
【0448】
GL-261接種後に23日目から死亡が発生し始め、全ての生存したマウスを殺して脳を除去し、4%パラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝食塩水で固定させた。脳組職の腫瘍の大きさを測定するために、次の3種の分析方法を使った:1.組職浄化(CLARITY)(
図16B)、2.ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色(
図17A及び
図17B)、及び3.Hoechst核染色(
図18A-
図18D)。
【0449】
(1)組職透明性を確保するために、分析組職をまずヒドロゲルモノマー溶液(A4P0)に浸し、1日間4℃で保管して組職全体にヒドロゲルが侵透するようにした。その後、温度を37℃に上昇させて重合を誘導して網状構造を形成した。ついで、電気泳動組職透明化(ETC)を用いて組職から脂質を除去した。製造された組職をライトボックスに入れた。相対的に不透明な組職の表面を腫瘍表面と見なし、スケールバーを使用しておおよその腫瘍質量を測定した。
【0450】
(2)ヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E染色)は24時間の間に4%パラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝食塩水で固定した後、30%スクロースを含むリン酸緩衝食塩水に24時間の間にさらに懸濁させた。ついで、組職を脳組職用鋳型に入れ、30%糖溶液を含むOCT化合物をドライアイス上で凍結させ、クリオスタットミクロトーム(Leica)を使って脳組職を30μmに薄く切断した。
【0451】
H&E染色の完了後、スライドスキャナー(Carl Zeiss/AxioScanZ)を介して、準備された見本のイメージを獲得し、ZEN顕微鏡及びイメージングソフトウェア(Zeiss)を使って腫瘍の境界表面を任意に特定して腫瘍の表面積値を獲得した。
【0452】
(3)Hoechst染色のために薄く切断された組職をHoechst含有リン酸緩衝食塩水(1:2000)で30分間処理した。共焦点顕微鏡(Leica)を使って、準備された見本の蛍光イメージを獲得し、IMARIS 3Dソフトウェア(Bitplane)を使って腫瘍境界を決定して腫瘍の体積及び腫瘍内の細胞数を獲得した。
【0453】
図16B、
図17A、
図17B、及び
図18A-
図18Dに示したように、各マウスの腫瘍大きさの測定は3種の実験方法の全部で、ヒトIgG治療されたグループと比較して、抗FAM19A5抗体治療されたグループで膠芽細胞腫の大きさが有意に減少したことを示した。
【0454】
(実施例18:膠芽細胞腫マウスモデルにおけるFAM19A5抗体治療後血管正常化の促進)
膠芽細胞腫誘導マウスモデル(実施例17参照)を殺して獲得した脳を24時間の間に4%パラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)で固定した後、30%スクロースを含むPBSで24時間の間にさらに浸潤させた。ついで、脳を脳組職用鋳型に入れ、30%糖溶液を含むOCT化合物とともにドライアイス上で凍結させた。ついで、凍結された脳をクリオスタットミクロトームを使って30μmに薄く切断した。免疫組職化学を行って膠芽細胞腫誘導マウスの脳からCD31タンパク質(血管内皮細胞に対するマーカー)の発現パターンを決定した。共焦点顕微鏡(Leica)を使って、準備された見本の蛍光イメージを獲得した。
【0455】
同等な表面積を試験したとき(
図19A、白点で境界表示)、対照群では血管の数とその連結性が非常に不良であったが(
図19A、左側カラム)、抗FAM19A5抗体治療されたグループでは血管の数とその連結性が相対的に高かった(
図19A、右側カラム)。これに関連して、
図19Aの代表領域をもっと大きく拡大した
図19Bを参照する。
【0456】
前記結果は抗FAM19A5抗体治療が血管正常化を促進することができ、膠芽細胞腫の治療を容易にすることができることを示唆した。
【0457】
(実施例19:膠芽細胞腫のマウスモデルにおけるFAM19A5抗体治療後の兔疫細胞の分布差)
膠芽細胞腫誘導マウスモデル(実施例17参照)から分離された脳を24時間の間に4%パラホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)で固定した後、30%スクロースを含むPBSで24時間の間にさらに透過させた。ついで、脳を脳組職用鋳型に入れ、30%糖溶液を含むOCT化合物とともにドライアイス上で凍結させた。ついで、凍結された脳をクリオスタットミクロトームを使って30μmに薄く切断した。GFAP(星状膠細胞マーカー)及びIba-1(マクロファージマーカー)に対して免疫組職化学を行って膠芽細胞腫で星状膠細胞とマクロファージの分布を観察した。
【0458】
対照群では膠芽細胞腫で星状膠細胞が観察されなかったが、FAM19A5抗体治療されたグループではこの腫瘍で相対的に多くの数の星状膠細胞が維持された。腫瘍の星状膠細胞は周辺ニューロン又はニューロンの細胞外環境に対して肯定的な効果を有することに期待される。さらに、膠芽細胞腫へのマクロファージ浸潤水準の分析は、陰性対照群であるヒトIgG治療されたグループと比較して、抗FAM19A5抗体-治療されたグループでマクロファージ浸潤が劇的に増加したことを提示した(
図20A及び
図20B)。
【0459】
これらの結果は抗FAM19A5抗体治療が膠芽細胞腫へのマクロファージの浸潤を促進することができ、膠芽細胞腫の治療を容易にすることができることを示唆した。
【0460】
(実施例20:C6腫瘍細胞を使ったラット神経膠腫モデルにおけるFAM19A5抗体の坑癌効能の評価)
同系の遺伝子ラット神経膠腫モデルを誘導するために、1.8x105/1μLのC6腫瘍細胞を脳固定装置フレームを使って頭蓋内注射によって雄ウィスター系ラットに接種した。腫瘍接種後7日目から各ラットにヒトIgG(陰性対照群)抗体又は抗FAM19A5抗体を2.5mg/kgの容量で3日ごとに2回静脈内投与した。各ラットの接種された腫瘍の大きさ、位置及び定性的結果を分析するために、腫瘍細胞接種後7日目に2-3日の間隔でMRIスキャンイメージを撮影した。
【0461】
T2-加重イメージスキャンは、接種された腫瘍の位置、大きさなどに対して視覚的で定性的な評価を提供する基本的な形態分析である。腫瘍組職内部の流体含量を示すのに使われるR2マッピング分析は腫瘍内部の浮腫体積を視覚的に確認することができるようにする。全体血流を検出するのに使われる映像分析方法を使って高分子量T2造影剤MION(大きさ:20±5nm、容量:5mg/kg)の注射前後のR2*値変化を導出し、delR2*マッピングによってCBV(脳血液体積)を計算した。R2の変量によってCBV(脳血液体積)値を導出し、これを使って脳組職の一般血液体積を視覚的に分析した。増強率(EnhRate)及び曲線下の面積(AUC)が組職透過性検出に対する代表変数であった。
【0462】
イメージスキャン結果(
図21)に示したように、T2加重イメージは、ヒトIgG抗体(陰性対照群)と比較して、抗FAM19A5抗体投与が腫瘍の成長を効果的に抑制したことを提示した。抗FAM19A5抗体が投与された動物のR2マッピング結果は、ヒトIgG(陰性対照群)治療された動物と比較したとき、腫瘍の壊死領域が減少し、その結果、腫瘍の深部で水含量が減少したことを示した。CBV分析結果は、ヒトIgG(陰性対照群)治療された動物と比較して、抗FAM19A5抗体投与された動物の腫瘍組職内部に相対的に大きな血液体積を示し、これは腫瘍組職の内部での血流速度の増進を証明した。最後に、腫瘍組職透過性の評価は、ヒトIgG(陰性対照群)治療された動物と比較して、抗FAM19A5抗体投与された動物で透過性の減少を示した。“IAUC30”は30秒での曲線下の初期面積を示す。
【0463】
ヒトIgGで治療された陰性対照群と比較して、抗FAM19A5抗体で治療されたラット神経膠腫C6腫瘍細胞モデルにおけるこのような発見は壊死領域の減少とそれによる浮腫の改善を提示する。効果的な腫瘍成長抑制は腫瘍細胞透過性の減少及び血流速度の改善によって起こった。
【0464】
(実施例21:GL261腫瘍細胞を使ったマウス脳癌モデルにおける抗FAM19A5抗体の坑癌効能の評価)
抗FAM19A5抗体の坑癌効果をさらに評価するために、GL261 Red-FLuc細胞を使ってマウスに脳癌を誘導した。簡単に言えば、GL261 Red-FLuc細胞(3x105)をC57BL/6マウスの脳に注射した(第0日)。ついで、注射後3日目にマウスにヒトIgG(Sigma、cat.#14506)又は抗FAM19A5抗体(3-2クローン、Lot#171123)の一つを静脈内投与した。抗体は5mg/kgの容量で総4週間週1回投与した。最後の抗体投与(第24日)後、全ての動物が死ぬまで生存に対してマウスをモニタリングした。
【0465】
図22に示したように、ヒトIgGグループでは最後のマウスがGL261細胞注射後28日目に死んだ。一方、抗FAM19A5抗体で治療された動物では最後のマウスが1週遅く死んだ(すなわち、GL261細胞注射後35日目)。この結果は抗FAM19A5抗体が脳癌を有する動物の生存を増進させることができることを証明することにより、抗FAM19A5抗体の坑癌効能をもっと確認させた。
【0466】
発明の内容及び要約書部分の覗いた詳細な説明が請求範囲を解釈するのに使用されることができることが認められなければならない。発明の内容及び要約書部分は本発明者(ら)によって考察された本発明の例示的な具体例を全部ではないが1個以上を提示することができ、よって本発明及び添付の請求項を決して制限しない。
【0467】
本発明は明示された機能及びその関係の具現を例示する機能的構成要素の助けにより以上で説明された。この機能的構成要素の区分は、説明の便宜のために、任意に定義された。明示された機能及びその関係が適切に遂行される限り、代替の境界も定義されることができる。
【0468】
特定の具体例についての前述した説明は本発明の一般的な性質を充分に明らかにするものであり、第3者は当該分野の知識を適用することにより、本発明の一般的な概念から逸脱しなくて過度な実験なしに、このような特定の具体例を多様な用途に合わせて易しく変形及び/又は改造することができる。よって、このような改造及び変形はこの明細書に提示された教示及び指針に基づいて開示された具体例の等価物の意味及び範囲内にあるであろう。本発明で使用される文句又は用語は制限するためのものではなくて説明のためのものであることが理解されなければならなく、本発明の用語又は文句は前記教示及び指針を考慮して当業者によって解釈されなければならない。
【0469】
本発明の範囲は前述された例示的な具体例のいずれかによって制限されてはいけなく、以降の請求項及びその等価物によってのみ限定されなければならない。
【0470】
本発明で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト及び受託番号/データベース配列(ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の両者を含み)はそれぞれの個別刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト又は受託番号/データベース配列が参考として含まれるように具体的にかつ個別的に指示されたものと同じ程度に全ての目的のためにその全部を参照することにより本発明に組み込まれる。
【0471】
このPCT出願は2017年6月27日付で提出されたアメリカ仮出願第62/525,635号、2017年11月7日付で提出された同第62/582,887の優先権の利益を主張し、その全部を参照することにより本発明に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0472】
【
図1】ヒトFAM19A5ポリペプチド上でのエピトープF1-F6(BSAにコンジュゲートされた)のアミノ酸配列とこれらの位置を示す。これらの相異なるエピトープ断片の大きさは括弧内に表示する。
【
図2】抗FAM19A5抗体1-65、2-13、及び3-2の結合に対するELISA結果を示す。3-2抗体の場合、二つの相異なるアイソタイプ、すなわちヒトIgG1(“h3-2”)及びマウスIgG1(“m3-2”)が示される。各抗体に対して、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6棒(左側から始めて)はそれぞれエピトープ断片F1、F2、F3、F4、F5、及びF6に対する結合を表示する。右側から最も遠くある棒は陽性対照群(すなわち、Hisタグを有するFAM19A5タンパク質)である。正確なO.D.値が各棒上に表示される。
【
図3A】次の13個の相異なるFAM19A5エピトープF2断片突然変異ペプチドに対する抗FAM19A5抗体3-2及び1-28の結合に対するELISA結果を示す:(i)F2-01-BSA(#1)、(ii)F2-02-BSA(#2)、(iii)F2-03-BSA(#3)、(iv)F2-04-BSA(#4)、(v)F2-05-BSA(#5)、(vi)F2-06-BSA(#6)、(vii)F2-07-BSA(#7)、(viii)F2-08-BSA(#8)、(ix)F2-09-BSA(#9)、(x)F2-10-BSA(#10)、(xi)F2-11-BSA(#11)、(xii)F2-12-BSA(#12)、及び(xiii)F2-13-BSA(#13)。
図3AはヒトIgG1アイソタイプを有する3-2抗体に対する結果を示す。正確なO.D.値は各棒上に表示される。
【
図3B】次の13個の相異なるFAM19A5エピトープF2断片突然変異ペプチドに対する抗FAM19A5抗体3-2及び1-28の結合に対するELISA結果を示す:(i)F2-01-BSA(#1)、(ii)F2-02-BSA(#2)、(iii)F2-03-BSA(#3)、(iv)F2-04-BSA(#4)、(v)F2-05-BSA(#5)、(vi)F2-06-BSA(#6)、(vii)F2-07-BSA(#7)、(viii)F2-08-BSA(#8)、(ix)F2-09-BSA(#9)、(x)F2-10-BSA(#10)、(xi)F2-11-BSA(#11)、(xii)F2-12-BSA(#12)、及び(xiii)F2-13-BSA(#13)。
図3BはマウスIgG1アイソタイプを有する3-2抗体に対する結果を示す。正確なO.D.値は各棒上に表示される。
【
図3C】次の13個の相異なるFAM19A5エピトープF2断片突然変異ペプチドに対する抗FAM19A5抗体3-2及び1-28の結合に対するELISA結果を示す:(i)F2-01-BSA(#1)、(ii)F2-02-BSA(#2)、(iii)F2-03-BSA(#3)、(iv)F2-04-BSA(#4)、(v)F2-05-BSA(#5)、(vi)F2-06-BSA(#6)、(vii)F2-07-BSA(#7)、(viii)F2-08-BSA(#8)、(ix)F2-09-BSA(#9)、(x)F2-10-BSA(#10)、(xi)F2-11-BSA(#11)、(xii)F2-12-BSA(#12)、及び(xiii)F2-13-BSA(#13)。
図3Cは1-28抗体に対する結果を示す。正確なO.D.値は各棒上に表示される。
【
図4】FAM19Aファミリの相異なるメンバー(すなわち、FAM19A1-5)のアミノ酸整列を示す。メンバーの中で最大のアミノ酸多様性を有する領域をボックスで表示し、EP1~EP8で示す。IgG抗体(“IgGのみ”)は対照群として提示される。y軸はO.D.値を提供する。
【
図5】FAM19A5突然変異M1~M8に対する抗FAM19A5抗体1-65、1-28、2-13、及び3-2の結合に対するELISA結果を示す。各抗体に対して、8個の棒は突然変異M1~M8に相当する(左側から右側へ)。
【
図6A】相異なる抗FAM19A5抗体間の交差競合を評価するために使用された2部位サンドイッチELISA分析の図解を示す。
【
図6B】6個の相異なる抗FAM19A5抗体、すなわち1-65、P2-A03、P2-F11、13B4、2-13、及び3-2に対する交差競合分析の結果を示す。用語“S/N”は信号対ノイズの比を意味し、これは次のように測定される:[10ng/mL抗原のO.D.]/[0ng/mL抗原のO.D.]。灰色ボックスは交差競合を示す(すなわち、2以下のS/N比)。
【
図7A】FAM19A5に対するいくつかの抗FAM19A5抗体の結合に対するELISA結果を示す。次の抗体に対する結果が表示される:1-65、13B4、13F7、1-28、2-13、3-2、P1-A03、P1-A08、P1-D03、P1-F02、P1-G09、P2-A01、P2-A03、P2-C12、P2-F07、及びP2-F11(左側から右側へ)。
図7Aは抗FAM19A5抗体の多様な濃度に対する結果を棒グラフで示したものである。
【
図7B】FAM19A5に対するいくつかの抗FAM19A5抗体の結合に対するELISA結果を示す。次の抗体に対する結果が表示される:1-65、13B4、13F7、1-28、2-13、3-2、P1-A03、P1-A08、P1-D03、P1-F02、P1-G09、P2-A01、P2-A03、P2-C12、P2-F07、及びP2-F11(左側から右側へ)。
図7Bは相異なる抗FAM19A5抗体のKd(nM)を表示する。
【
図8】胆管結紮(BDL)によって誘発された肝線維症を有するラット(n=5)(“疾患モデル”)の血清中のFAM19A5タンパク質の水準を元気なラット(“正常”)(n=3)と比較したものを示す。FAM19A5タンパク質の水準は正常対照群の動物で観察された水準に対して倍数変化で表示される。“*”は正常対照群動物と比較して統計的に有意な差(p<0.005)を示す。
【
図9】3mg/kgブレオマイシンの気管内注射によって誘発された特発性肺線維症を有するラット(n=5)(“疾患モデル”)の血清中のFAM19A5タンパク質の水準を元気なラット(“正常”)(n=5)と比較したものを示す。FAM19A5タンパク質の水準は正常対照群動物で観察された水準に比べて倍数変化で表示される。“*”は正常対照群動物と比較して統計的に有意な差(p<0.005)を示す。
【
図10】肝線維症、例えば肝硬変が確認されたヒト患者(患者#1-10)と元気な個体(正常#1-3)の血清中のFAM19A5タンパク質水準の倍数変化を示す。各棒グラフ上に提示された具体的な値は元気な個体の血清から検出されたFAM19A5タンパク質の平均濃度に対する倍数変化を示す。
【
図11】対照群抗体(“NHI”)又は抗FAM19A5抗体(“1-65”、“3-2”、及び“1-28”)で治療された心筋梗塞誘発動物での左心室組職のH&E(ヘマトキシリン及びエオシン)染色を比較したものを示す。元気な動物(すなわち、非心筋梗塞誘発、“ナイーブ”)が追加対照群として使われた。
【
図12A】心筋梗塞誘発動物の左心室組職でのコラーゲン蓄積を比較したものを示す。心筋梗塞誘発動物は、対照群抗体(“NHI”)又は抗FAM19A5抗体(“1-65”、“3-2”、及び”1-28”)のいずれか一つが投与された。元気な動物(すなわち、非心筋梗塞誘発、“ナイーブ”)が追加対照群として使われた。
図12Aはマッソントリクローム染色を使ったコラーゲン蓄積を示す。
【
図12B】心筋梗塞誘発動物の左心室組職でのコラーゲン蓄積を比較したものを示す。心筋梗塞誘発動物は、対照群抗体(“NHI”)又は抗FAM19A5抗体(“1-65”、“3-2”、及び”1-28”)のいずれか一つが投与された。元気な動物(すなわち、非心筋梗塞誘発、“ナイーブ”)が追加対照群として使われた。
図12Bは全体左心室領域に対する線維性領域の比率でコラーゲン蓄積(すなわち、線維性領域)を示す。データは平均±S.D.で表示される(n=グループ当たり5~8)。棒上の“***/**”は“ナイーブ”グループ(元気な動物)と比較して統計的に有意な差を示す(それぞれp<0.001、p<0.05)。棒上の“#”は”NHI“グループ(心筋梗塞誘発+対照群抗体)と比較して統計的に有意な差を示す(p<0.05)。
【
図13】3人の相異なる肝癌患者の肝生検でのFAM19A5タンパク質発現の免疫組職化学分析を示す。図示のように、各患者は多様な程度の線維症を有する:(i)段階#0(左側カラム)、(ii)段階#2(中間カラム)、及び(iii)段階#4(右側カラム)。下側列は上側列でボックスで表示された領域をより大きく拡大したものである。矢印はFAM19A5-陽性の肝星細胞の例を表示する。
【
図14A】動物の体重(g)を時間の関数として示す(接種後経過週)。動物の一部はHep3B細胞のみ接種され、正常ヒト兔疫グロブリン(円、グループ:“Hep3B+NHI”、n=3)又は抗FAM19A5抗体(閉ボックス、グループ:“Hep3B+FAM19A5 Ab”、n=3)のいずれか一つで治療された。他の動物はHep3B細胞とヒトの肝星細胞(HHSteC)の両者が接種され、正常ヒト兔疫グロブリン(ダイヤモンド、グループ:“Hep3B+HHSteC+NHI”、n=3)又は抗FAM19A5抗体(開ボックス、グループ:“Hep3B+HHSteC+FAM19A5 Ab”、n=3)のいずれか一つで治療された。データは平均±S.D.で表示される。
【
図14B】相異なるグループの動物で観察された平均腫瘍体積を時間の関数として示す(接種後経過週)。図示したグループは
図14Aで説明したものと同一である。腫瘍体積は次の式によって計算された:0.5×長さ×幅
2=腫瘍体積(mm
3)。データは平均±S.D.で表示される。
【
図14C】接種後42日目に
図14Aで説明した動物から分離された腫瘍の写真撮影イメージを示す。
図14Cで、(i)左上側は“Hep3B+NHI”グループ(n=2)からの腫瘍;(ii)右上側は“Hep3B+HHSteC+NHI”グループ(n=2)からの腫瘍;(iii)左下側は“Hep3B+FAM19A5 Ab”グループ(n=3)からの腫瘍;(iv)右下側は“Hep3B+HHSteC+FAM19A5 Ab”グループ(n=3)からの腫瘍である。
【
図14D】接種後42日目に
図14Aで説明した動物から分離された腫瘍の重量(g)を示す。
図14Dは相異なるグループから分離された腫瘍の平均重量(g)を示す。
【
図15A】外傷性脳損傷後の反応性神経膠症に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図15Aは相異なる抗FAM19A5抗体で治療された動物の脳組職の損傷された領域の代表的な免疫組職化学イメージを提供する:(i)1-65(2/4)(第1列);(ii)1-28(第2列);(iii)2-13(第3列);及び(iv)3-2(第4列)。脳組職切片はGFAP(グリア細胞繊維性酸性タンパク質、緑色)及びネスチン(赤色)で染色された。これらは脳損傷後の反応性星状膠細胞で誘発されると知られている。点線(白色)はTBIに露出された後の病巣境界を表示する。
【
図15B】外傷性脳損傷後の反応性神経膠症に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図15Bは1-65、1-28、2-13、及び3-2抗FAM19A5抗体で治療された動物のTBI病巣の中心からGFAP-及び/又はネスチン-陽性星状膠細胞の平均距離を提供する。
【
図16A】抗体投与スケジュール及び膠芽腫癌細胞をマウスに頭蓋内注射することを描いた図解を提供する。
【
図16B】組職サンプルの透明性を評価するCLARITYを使って膠芽細胞腫動物モデルで抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。ヒトIgG対照群抗体(左側)又は抗FAM19A5抗体(右側)のいずれか一つで治療された動物から収去された脳の不透明な腫瘍領域は点線で表示される。
【
図17A】ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図17Aは対照群ヒトIgG抗体(上側列)又は抗FAM19A5抗体(下側列)のいずれか一つで治療された動物からの脳組職切片の4個の代表的なH&E染色イメージを提供する。膠芽細胞腫はこのイメージの暗領域に相当する。
【
図17B】ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図17Bは対照群のパーセントとしてデータを提供することにより
図17Aに提示されたデータを定量する。黒色棒は(ヒトIgG抗体で治療された)対照群に相当する。灰色棒は抗FAM19A5抗体で治療されたグループに相当する。x軸の数字は
図17Aに示した代表イメージに相当する。
【
図18A】Hoechst核染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図18Aは対照群ヒトIgG抗体(上側列)又は抗FAM19A5抗体(下側列)で治療された動物から4個の代表的な脳組職切片のイメージを示す。各イメージで、薄い灰色領域は腫瘍に相当する。
【
図18B】Hoechst核染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図18Bは
図18Aの4個の代表的な脳組職切片で測定された腫瘍内の細胞数(Hoeschst陽性染色)(“スポット数”)及び腫瘍体積(“体積”)に対する数値を示した表を提供する。
【
図18C】Hoechst核染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。
図18C(細胞数)は
図18Bに提示されたデータをグラフで示したものである。
図18Cで、データは対照群動物で観察された相応する値の%として表示される。x軸の数字は
図18Aの代表脳組職切片に相当する。黒色棒は対照群ヒトIgG抗体で治療された動物に相当する。灰色棒は抗FAM19A5抗体で治療された動物に相当する。
【
図18D】Hoechst核染色を使って膠芽細胞腫動物モデルの抗FAM19A5抗体の坑癌効果を評価したものを示す。18D(腫瘍体積)は
図18Bに提示されたデータをグラフで示したものである。
図18Dで、データは対照群動物で観察された相応する値の%として表示される。x軸の数字は
図18Aの代表脳組職切片に相当する。黒色棒は対照群ヒトIgG抗体で治療された動物に相当する。灰色棒は抗FAM19A5抗体で治療された動物に相当する。
【
図19A】膠芽細胞腫マウスモデルの血管正常化に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図19Aは対照群ヒトIgG抗体(左側イメージ)又は抗FAM19A5抗体(右側イメージ)で治療された動物から分離された脳の類似領域内でのCD31発現(血管マーカー)の免疫組職化学分析を提供する。
図19Aで、白色点線は膠芽細胞腫の外部境界を表示する。
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図19B】膠芽細胞腫マウスモデルの血管正常化に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図19Bは
図19Aの代表領域の拡大図を提供する。
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図20A】膠芽細胞腫マウスモデルの腫瘍へのマクロファージの浸潤に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図20Aは対照群ヒトIgG抗体(上側イメージ)又は抗FAM19A5抗体(下側イメージ)で治療されたマウスの膠芽細胞腫のIbal発現(マクロファージマーカー)の免疫組職化学イメージを提供する。
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図20B】膠芽細胞腫マウスモデルの腫瘍へのマクロファージの浸潤に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。
図20Bは
図20Aに示さしたイメージで観察されたマクロファージの体積を比較した結果である。
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図21】対照群ヒトIgG抗体(上側列)又は抗FAM19A5抗体(下側列)のいずれか一つで治療されたラット神経膠腫モデルの脳のMRIスキャンイメージを示す。これらのイメージは次のような腫瘍の多様な特性を示す:(i)T2-形態学的分析;(ii)R2-流体含量;(iii)CBV-脳血管体積;(iv)EnhRate(増強率)及びIAUC30(30秒での曲線下の初期面積)-組職透過性。このイメージで、腫瘍は黒色点マークで表示される。
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図22】マウス脳癌モデルで、生存に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。黒色円はヒトIgG対照群抗体で治療された動物を示す。白色円は抗FAM19A5抗体で治療された動物を示す。
【配列表】