(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】電気手術切除器具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240530BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/18 100
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016884
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2020519972の分割
【原出願日】2018-10-12
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】バーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マルコム
(72)【発明者】
【氏名】メドウクロフト,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド・エドワード
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-282666(JP,A)
【文献】特開2013-17542(JP,A)
【文献】特表2014-511191(JP,A)
【文献】特表2017-501001(JP,A)
【文献】国際公開第2011/081196(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/009703(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/009704(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を画定する軸と、
前記軸の前記管腔を通して高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを運ぶためのエネルギー伝達構造であって、前記エネルギー伝達構造が、前記管腔を通って長手方向に延在する同軸伝送線を含み、前記同軸伝送線が、誘電体材料によって外部導体から分離される内部導体を含む、前記エネルギー伝達構造と、
前記軸の遠位端に取り付けられる器具先端部と、
を備える、電気手術切除器具であって、
前記器具先端部が、
第1ブレード要素を含む静止部と、
第2ブレード要素を含む可動部であって、前記可動部が、前記第1ブレード要素及び前記第2ブレード要素が互いに並んで位置する閉鎖位置と、前記第2ブレード要素が生体組織を受けるための間隙によって前記第1ブレード要素から離間配置される開放位置の間で、前記静止部に対して移動可能であり、前記第1ブレード要素または前記第2ブレード要素が、その第1の横方向に向く表面に第1電極を有する長手方向に延在する平面誘電体を含む、前記可動部と、
前記第1電極から離間配置されて、少なくとも前記平面誘電体によってそこから電気的に絶縁される第2電極と、
前記可動部と前記静止部との間の相対的な移動を制御するアクチュエータであって、
前記第2ブレード要素が前記第1ブレード要素に相応する長さを有し、前記閉鎖位置で、それが前記第1の横方向に向く表面の反対側に前記長手方向に延在する平面誘電体の第2の横方向に向く表面に隣接し、
前記内部導体が前記第1電極及び前記第2電極のうちの一方に接続され、前記外部導体が前記第1電極及び前記第2電極の他方に接続され、前記第1電極及び前記第2電極が、
前記エネルギー伝達構造から伝達されるRFエネルギーを供給する作動電極及び戻り電極として動作可能である、
前記アクチュエータと、
前記エネルギー伝達構造から伝達されるマイクロ波エネルギーを供給するマイクロ波場放出構造と、
を含み、
前記第2ブレード要素が、前記開放位置と前記閉鎖位置との間の移動中、前記第1ブレード要素を通り越して摺動するように構成され、
前記第1ブレード要素及び前記第2ブレード要素が、互いを通り越して摺動するとき、長手方向に平行である、前記電気手術切除器具。
【請求項2】
前記第2電極が、前記長手方向に延在する平面誘電体の前記第2の横方向に向く表面に位置する、請求項1に記載の電気手術切除器具。
【請求項3】
前記長手方向に延在する平面誘電体が前記第1ブレード要素にあり、
前記第2電極が前記第2ブレード要素の側面に沿って延在する、請求項1に記載の電気手術切除器具。
【請求項4】
前記第2ブレード要素が、絶縁体で被覆された導電性材料から形成され、
前記第2電極が、前記絶縁体コーティングが除去される前記第2ブレード要素の側部に形成される、請求項3に記載の電気手術切除器具。
【請求項5】
前記第2ブレード要素が、前記側部に沿って横方向に突出するフランジを含み、
前記第2電極が、前記横方向に突出するフランジの横方向に向く端に形成される、請求項4に記載の電気手術切除器具。
【請求項6】
前記静止部が、前記可動部が載置される支持アームを含み、
前記支持アームが、前記エネルギー伝達構造と前記第2電極の間の電気接続の一部を形成する、請求項1~5のいずれかに記載の電気手術切除器具。
【請求項7】
(A)前記支持アームが、絶縁体で被覆された導電性材料から形成され、
前記支持アームが、前記エネルギー伝達構造と前記第2電極との間の前記電気接続の一部を形成するように前記絶縁体コーティングが除去される、近位接触部を含むという構成、
(B)前記可動部が、枢軸連結を介して前記支持アームに載置され、
前記エネルギー伝達構造と前記第2電極の間の前記電気接続が、前記枢軸連結を通過するという構成、
(C)前記エネルギー伝達構造と前記第2電極の間の前記電気接続が、前記同軸伝送線の前記外部導体を前記第2電極に接続するという構成、
(D)前記同軸伝送線の前記誘電体材料及び前記内部導体が、前記外部導体の遠位端を越えて延在し、
前記内部導体が、前記第1電極に電気的に接続する露出した遠位部を含むという構成、および、
(E)前記可動部が、前記平面誘電体により画定される平面に平行な平面の前記静止部に対して移動可能であるという構成、を規定した場合に、(A)~(E)のうちの少なくとも1つの構成を備えた、請求項6に記載の電気手術切除器具。
【請求項8】
前記可動部が前記静止部に対して枢動可能であり、
前記第2ブレード要素が前記開放位置の前記第1ブレード要素に対して角度をなす、請求項1~7のいずれかに記載の電気手術切除器具。
【請求項9】
前記アクチュエータが、前記軸に摺動可能に載置される制御ロッドを含み、
前記制御ロッドが、前記可動部に係合する取り付け機構を有し、
前記軸の前記制御ロッドの長手方向の移動により、前記静止部に対する前記可動部の動きを生じさせる、請求項1~
8のいずれかに記載の電気手術切除器具。
【請求項10】
前記可動部が、前記制御ロッドが前記第1ブレード要素を通り過ぎて前記第2ブレード要素の移動を生じさせるように機能する、カム面を含む、請求項
9に記載の電気手術切除器具。
【請求項11】
前記カム面が、前記可動部のスロットによって提供され、
前記取り付け機構が、前記スロットに設置するための係合部を含む、請求項
10に記載の電気手術切除器具。
【請求項12】
(a)前記器具先端部が、前記静止部周囲に載置されるシールドを含むという構成、
(b)前記シールドが、前記静止部周囲に載置される絶縁性被覆材を含み、
前記絶縁性被覆材が、その外側表面に1つ以上の電界を遮蔽する導電領域を有するという構成、および、
(c)前記第1ブレード要素が、その最遠位端に直立した歯を有する長手方向に延在するフィンガーとして成形され、
前記第2ブレード要素が、その最遠位端に下方へ延在する歯を有する細長いフィンガーとして形成されるという構成、
を規定した場合に、(a)~(c)のうちの少なくとも1つの構成を備えた、請求項1~
11のいずれかに記載の電気手術切除器具。
【請求項13】
前記軸の前記管腔に載置されて長手方向に延在する挿入物を含み、
前記挿入物が、その内部に形成される複数の長手方向のサブ管腔を有する管状体を含み、
前記複数の長手方向のサブ管腔のそれぞれが、前記管状体の外側表面を分断する、請求項1~
12のいずれかに記載の電気手術切除器具。
【請求項14】
前記同軸伝送線が、前記管状体の第1のサブ管腔に載置された同軸伝送線を含む、請求項
13に記載の電気手術切除器具。
【請求項15】
前記アクチュエータが、前記管状体の第2のサブ管腔に摺動可能に載置される制御ロッドを含む、請求項
13または
14に記載の電気手術切除器具。
【請求項16】
前記第2のサブ管腔が、その内部に載置される低摩擦管を有し、
前記制御ロッドが、前記低摩擦管に摺動可能に載置される、請求項
15に記載の電気手術切除器具。
【請求項17】
前記器具先端部が、外科スコープ装置の器具チャネル内に適合するように寸法設定される、請求項1~
16のいずれかに記載の電気手術切除器具。
【請求項18】
電気手術装置であって、
高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを供給する電気手術用ジェネレータと、
患者の身体内への挿入する器具コードを有する外科用スコープ装置であって、前記器具コードがそれを通って延在する器具チャネルを有する、前記外科用スコープ装置と、
前記外科用スコープ装置の前記器具チャネルを通して挿入された請求項1~
17のいずれかに記載の電気手術切除器具と、
を備える、前記電気手術装置。
【請求項19】
前記軸の近位端に載置された前記電気手術切除器具を制御するハンドピースを有し、
前記ハンドピースが、
本体と、
前記本体に摺動可能に載置される作動要素と、
前記本体に回転可能に載置される回転子と、を含み、
前記電気手術切除器具の前記同軸伝送線及び前記軸が、前記作動要素により前記本体に対して摺動して、前記回転子により前記本体に対して回転するように載置され、
前記電気手術切除器具の前記アクチュエータが、前記軸の前記管腔を通って延在する制御ロッドを含み、
前記制御ロッドが、前記本体に対して長手方向の固定位置に載置される近位部を有し、
前記作動要素が、前記静止部に対する前記可動部の動きを制御するように操作可能であり、
前記回転子が、前記器具チャネルに対する前記電気手術切除器具の回転を制御するように操作可能であり、
任意選択的に、前記ハンドピースが、前記作動要素上に電源入力ポートを含み、前記電源入力ポートがその内部で受けた電力を前記同軸伝送線に送るように接続され、
任意選択的に、前記電源入力ポート内への接続方向が、前記作動要素が前記本体に対して摺動可能である方向に対して垂直に延在する、請求項
18に記載の電気手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織を切除する、凝固させる、及びアブレーションするための電気手術切除器具に関する。特に、本発明は、生体組織を切断する、止血(つまり、血液凝固を促進することによって破損した血管を塞ぐ)、及び組織アブレーションのための高周波(RF)エネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーを送達できる、電気手術切除器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的切除は、ヒトまたは動物の身体内から器官の切片を除去する手段である。この器官は血管が多い場合がある。組織が切断(すなわち、分断または切開)されるとき、小血管は損傷または断裂され得る。初期出血の後に、出血を塞ごうとして血液が血塊になる凝固カスケードが続く。手術中、患者ができるだけ出血しないことが望ましいので、出血のない切断の提供を試みて様々な機器が開発されてきた。内視鏡処置で、血流は操作者の視覚を不明瞭にする場合があるので、出血が生じて、応急に処理されないことも望ましくない。鋭利なブレードの代わりに、RFエネルギーを使用して生体組織を切断することは公知である。RFエネルギーを使用する切断方法は、電流が組織基質を流れるとき(細胞のイオン含有量に支援されて)、組織を通る電子の流れに対するインピーダンスによって熱が発生するという原理を利用して作動する。組織基質に純正弦波を適用すると、細胞内に十分な熱が発生して、組織の水分を蒸発させる。このため、細胞の内圧が大幅に上昇し、細胞膜はこれを制御することができず、結果として細胞が破裂する。これが広い領域にわたって発生したときには、組織が横切断されていることがわかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の処置は、脂肪が少ない組織ではうまく機能するが、脂肪組織では効率が低くなる。なぜなら、電子の通過を支援するイオン成分が少ないからである。このことは、細胞成分を蒸発させるのに必要なエネルギーが相当大きくなることを意味し、それは、脂肪の蒸発のための潜熱が、水の蒸発のための潜熱よりもはるかに大きいからである。RF凝固は、より効率の低い波形を組織に与えることにより作動し、それにより組織成分は蒸発する代わりに約65℃に加熱される。これは乾燥により組織の水分をなくし、そして血管の壁のタンパク質を変性させる。このタンパク質の変性は凝固カスケードへの刺激として働き、凝固が高まる。同時に、壁のコラーゲンは変性し、棒状からコイル状の分子に変わり、それにより血管は収縮して小さくなり、凝血塊にアンカーポイントを与え、塞ぐ面積を小さくする。
【0004】
しかし、RF凝固は、脂肪組織がある場合、電気的効果が低下するので効率が低くなる。このため、脂肪組織の出血部分の封止は非常に困難である可能性がある。組織は、汚れていない白色の縁ではなく、黒く焼けた外観を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
最も概括的には、本発明は、高周波(RF)電磁エネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーを使用して、生体組織の切断及び封止を促進する、複数の操作方法を提供する、エネルギー送達構造を有する電気手術切除器具を提供する。特に、本発明は、外科用スコープ装置(例えば、内視鏡、胃内視鏡または気管支鏡)の器具チャネルを通して器具を挿入可能にするのに十分コンパクトである、組み合わせた作動及びエネルギー送達メカニズムに関する。装置は、腹腔鏡下または開腹手術を実行する(すなわち、開いた腹腔による肝臓葉の無血切除)ためにも使用できる。
【0006】
一実施例にて、電気手術切除器具は、3つの補完的な方法、(i)ブレード要素が閉じるときに滑動するRFによる切断、(ii)RFエネルギー及び印加圧力の組み合わせを使用して、ブレード要素間に把持される組織に実行される、はさみのような切断、(iii)マイクロ波エネルギー及び印加圧力の組み合わせを使用して、ブレード要素間に把持される組織に実行される、凝固または血管封止処置、を提供できる、はさみのようなメカニズムを提供する、一対のブレード要素を含んでもよい。更に、RF及び/またはマイクロ波エネルギーは、組織アブレーションが生じるのに十分な出力レベルで、これらの様式のいずれかで送達されてもよい。ブレード要素上の一対の電極の適切な構成によって、これらの操作方法のいずれかで供給されたRFまたはマイクロ波エネルギーは必要とされる領域にて集束され得る。一対の電極は両方とも同じブレード要素上にあってもよい、または各ブレード要素上に1つの電極があってもよい。
【0007】
本発明によれば、管腔を画定する軸と、軸の管腔を通して高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを運ぶためのエネルギー伝達構造であって、エネルギー伝達構造が、管腔を通って長手方向に延在する同軸伝送線を含み、同軸伝送線が、誘電体材料によって外部導体から分離される内部導体を含む、エネルギー伝達構造と、軸の遠位端に取り付けられる器具先端部であって、器具先端部が、第1ブレード要素を含む静止部と、第2ブレード要素を含む可動部と、を含み、第1ブレード要素及び第2ブレード要素が互いに並んで位置する閉鎖位置と、第2ブレード要素が生体組織を受けるための間隙によって第1ブレード要素から離間配置される開放位置の間で、静止部に対して可動部が移動可能であり、そこで第1ブレード要素または第2ブレード要素が、その第1の横方向に向く表面上に第1電極を有する長手方向に延在する平面誘電体と、第1電極から離間配置されて、少なくとも平面誘電体によってそこから電気的に絶縁される第2電極と、可動部と静止部の間の相対的な移動を制御するためのアクチュエータと、を含み、そこで、第2ブレード要素が第1ブレード要素に相応する長さを有し、それによって、閉鎖位置で、それがその第1の横方向に向く表面の反対側に長手方向に延在する平面誘電体の第2の横方向に向く表面に隣接し、内部導体が第1電極及び第2電極のうちの1つに接続して、外部導体が第1電極及び第2電極の残りに接続しており、それによって第1電極及び第2電極は、エネルギー伝達構造から伝達されるRFエネルギーを供給するための作動電極及び戻り電極として動作可能である、アクチュエータと、エネルギー伝達構造から伝達されるマイクロ波エネルギーを供給するためのマイクロ波場放出構造と、を含む、器具先端部と、を含む、電気手術切除器具が提供されている。
【0008】
この構造で、第1及び第2ブレード要素は、はさみのような閉鎖機構に似ていてもよい。したがって、例えば剪断力の加圧による機械的切断を遂行するために、第2ブレード要素は開放位置と閉鎖位置の間の移動中、第1ブレード要素を通り越して摺動するように構成されてもよい。可動部は、平面誘電体により画定される平面に平行な平面の静止部に対して移動可能でもよい。本明細書にて、「静止」という用語は、使用中のとき(すなわち、第2ブレード要素が開放位置と閉鎖位置の間で移動するとき)、軸の遠位端に対して固定されていることを意味し得る。
【0009】
軸は、処置部位に到達するために可撓性でもよく、例えば、曲げまたは他のステアリングに適していてもよい。可撓軸は、装置が外科用スコープ装置(例えば、内視鏡)で使用可能にしてもよい。他の実施例にて、軸は、例えば開腹手術で使用するためにまたは腹腔鏡と共に使用するために、剛性でもよい。
【0010】
第1電極及び第2電極は、切断界面に配置され得る。一実施例にて、両方の電極は同じブレード要素上にあって、それは可動部または静止部にあってもよい。例えば、第2電極は、長手方向に延在する平面誘電体の第2の横方向に向く表面に位置してもよい。これは
、切断界面にて均一なエネルギー送達を提供するのを支援し得る。両方の電極が1つのブレード要素上にある場合、他のブレード要素は、例えばプラスチックまたは他の絶縁体でできていて、電気的に不活発でもよい。
【0011】
別の実施例で、第1電極はブレード要素のうちの1つ上にあってもよく、第2電極は残りのブレード要素上でもよい。例えば、長手方向に延在する平面誘電体は第1ブレード要素上にあってもよく、第2電極は第2ブレード要素の側面に沿って延在してもよい。
【0012】
したがって、第1電極及び第2電極は、その間に平面誘電体を備えて、切断界面の両側に沿って配置されてもよい。この配置にて、電極に適用したRF EMエネルギーは、切断界面にわたって第1ブレード要素と第2ブレード要素の間に優先して流れる。同様に、ブレード要素が開く間にマイクロ波EMエネルギーが印加される場合、電極により発されるマイクロ波場は、他の場所よりブレード要素の間の間隙内で非常に高いマイクロ波場強度を有する。
【0013】
閉鎖位置にあるとき、第2電極は、平面誘電体により、その長さの大部分に沿って第1電極から分離されている。RF EMエネルギーがこの位置で印加される場合、RF EMエネルギーは、閉じたブレード要素の遠位先端及び側端周囲に優先して流れ、それは、組織を通して器具先端部を摺動させることにより実行される、RFのみ滑動する切断を容易にする。
【0014】
可動部、したがって第2ブレード要素は、絶縁体で被覆した導電性材料から形成され得る。例えば、可動部は、セラミック(例えば、アルミナスプレー)、合成プラスチック(例えば、ベークライト)またはダイヤモンド状炭素(DLC)コーティングを有するステンレス鋼の鋳片でもよい。第2電極は、絶縁体コーティングが除去される第2ブレード要素の側部に形成されてもよい。第2電極は、可動部の露出した導電性材料でもよい、または露出した導電性材料に堆積したもしくはそれに取り付けた更なる導電層(例えば、金など)を含んでもよい。
【0015】
第2ブレード要素は、その側部に沿って横方向に突出するフランジを含んでもよい。したがってフランジは、閉鎖位置にあるとき、第1ブレード要素の方へ突出する。第2電極は、横方向に突出するフランジの横方向に向く端上に形成されてもよい。
【0016】
静止部は、可動部が載置される支持アームを含んでもよい。支持アームは、エネルギー伝達構造と第2電極の間の電気接続部の一部を形成してもよい。例えば支持アームは、絶縁体で被覆した導電性材料から形成されてもよく、絶縁体コーティングが除去されて、同軸伝送線の内部導体または外部導体に電気的に接続している近位接触部を有してもよい。支持アームは、同軸伝送線の遠位端への取り付けのための近位凹部を有してもよい。他の種類の電気接続も使用してもよい。例えば、可撓導体は、エネルギー伝達構造(例えば、同軸伝送線の内部導体または外部導体)と第1電極または第2電極の間に接続されてもよい。好ましくは任意の可撓導体の長さは、発されたマイクロ波場に影響を及ぼすのを防ぐためにマイクロ波エネルギーの波長の1/8以下である。
【0017】
同軸伝送線は、RF EMエネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを伝えるのに適用してもよい。あるいは、エネルギー伝送構造は、RF EMエネルギー及びマイクロ波EMエネルギーの異なる経路を含んでもよい。例えばマイクロ波EMエネルギーは同軸伝送線により供給されてもよいが、RF EMエネルギーは撚り対線などを介して供給されることができる。別個のエネルギー送達経路が提供されている場合、第1電極及び第2電極は別個のRF電極部及びマイクロ波電極部を含んで、RFエネルギー及びマイクロ波エネルギーが器具先端部の異なる領域から送達されるのを可能にすることができる。例えばマ
イクロ波エネルギーはブレード要素のうちの1つから送達されてもよいが、RFエネルギーはブレード要素の間で送達されることができる。
【0018】
可動部は、枢軸連結を介して支持アームに載置されてもよい。例えば支持アームは、可動部が載置される枢動軸を支持する、クレビス型構造を提供してもよい。エネルギー伝送構造と第2電極の間の電気接続部は、枢軸連結を通過してもよい。例えば枢動軸は導電性材料から形成されてもよく、可動部及び支持アームの絶縁体コーティングは、それらがそれぞれ枢動軸に接触する所で除去されてもよい。
【0019】
同軸伝送線の誘電体材料及び内部導体は、外部導体の遠位端を越えて延在し得る。内部導体は、例えば第1電極の近位部に直接重なり合って接触することによって、第1電極に電気的に接続する露出した遠位部を含んでもよい。
【0020】
可動部と静止部の間の移動は、回転でも、平行移動でも、または2つの組み合わせでもよい。一実施例にて、可動部は静止部に対して枢動可能でもよく、それによって第2ブレード要素は、開放位置の第1ブレード要素に対して角度をなす。この実施例は、従来のはさみのような閉鎖に似ていてもよい。第2ブレード要素は、開放位置と閉鎖位置の間の鈍角により移動可能でもよい。これは、把持される組織、特に低い表面プロファイルを有する組織上の増力を得るのに有用であり得る。
【0021】
別の実施例では、一旦組織がそれらの間で把持されると、電極の間の間隙が均一であることは有益であり得て、例えば、供給されるエネルギーがブレード要素に沿って均一なことを確実にする。この実施例にて、可動部は、第2ブレード要素が第1ブレード要素に平行であるが、それらの間の間隙を画定するためにそこから離間配置した位置を占有し得る。可動部は、例えばアクチュエータの動作下で、この位置から閉鎖位置まで摺動可能であり得る。それから第1ブレード要素及び第2ブレード要素は、互いを通り越して摺動するとき、長手方向に平行であり得る。離間配置された平行な位置は中間位置でもよく、例えばそこから、可動部は静止部に対する角度に枢動可能である。
【0022】
アクチュエータは、可撓軸に摺動可能に載置される制御ロッドを含んでもよい。制御ロッドは、可動部に係合する取り付け機構を有してもよく、それによって、軸の制御ロッドの長手方向の移動により、静止部に対する可動部の動きが生じる。取り付け機構は、フック、または可動部へ押す力及び引く力を送達するため任意の適切な係合でもよい。
【0023】
一実施例にて、可動部は、制御ロッドが第1ブレード要素を通り過ぎて第2ブレード要素の移動を生じさせるように機能する、カム面を含む。カム面は、例えば追加の力ブーストを提供して閉鎖を完了させるために、閉鎖動作の最終段階の間だけ係合可能でもよい。一実施例にて、カム面は、可動部のスロットによって提供されてもよい。取り付け機構は、スロット中に設置するための係合部を含む。カム作用は、スロットに沿って摺動する係合部によって提供されてもよい。
【0024】
静止部は、可動部のための土台をなす取り付け部(例えば、枢軸台)を提供する、支持アームを含んでもよい。平面誘導体は、支持アーム上に載置された、例えば、それに付着したまたは取り付けた別個の材料片でもよい。平面誘電体は、セラミック(例えば、アルミナ)から形成されてもよい。本明細書にて「平面」材料への言及は、その幅及び長さより実質的に小さい厚さを有する平坦な材料片を意味し得る。平面誘電体は、長手方向に整列する長さ寸法、横方向に整列する厚さ寸法、ならびに長さ寸法及び厚さ寸法に対して直交する幅寸法を有してもよい。平面誘電体の平面は、その中に長さ寸法及び幅寸法(すなわち、幅寸法に対して直交する平面)がある。
【0025】
第1電極は、平面誘電体の第1の横方向に向く表面上に堆積する、またはそれに載置される導電性材料(例えば、金)でもよい。第1の横方向に向く表面の反対方向に向く平面誘電体の第2の横方向に向く表面は、切断界面で露出してもよい。
【0026】
器具先端部は、静止部周囲に載置されるシールドを含んでもよい。シールドは、静止部周囲に載置される絶縁性被覆材を含んでもよい。例えば絶縁シールドは、静止部の支持アームを覆ってもよい。絶縁シールドは、部分的に第1電極を覆って、例えば、第1電極の露出部がRFまたはマイクロ波エネルギーの送達を制御するための所望形状を有することを確実にするためにも使用してもよい。絶縁性被覆材は、1つ以上の電界を遮蔽する導電領域(例えば、その外側表面上の金属部分)を有してもよい。例えば望ましくない位置の器具からのエネルギーの漏出を防ぐために、これらの導電領域は電界にシールドを提供し得る。シールドは、組み立て作業の後に器具先端部上に成形され得る。あるいはシールドは、所望の形状に切断(例えば、レーザー切断)されることができる絶縁材料の管から形成されて、次にブレード要素上に載置され得る。シールドは、適切な絶縁プラスチック(例えば、PEEKなど)から形成されてもよい。シールドのための材料は、好ましくは高温に対して耐性であり得る。
【0027】
第1ブレード要素は、その最遠位端に直立した歯を有する長手方向に延在するフィンガーとして成形されてもよい。第2ブレード要素は、対応する方法で、例えばその最遠位端に下方へ延在する歯を有する細長いフィンガーとして形成されてもよい。最遠位の歯は、それらが閉じる場合、顎の間の間隙に組織を保持するのを支援し得る。
【0028】
長手方向に延在する挿入物は可撓軸の管腔に載置されて、軸を有するアクチュエータまたは同軸ケーブルの相対的な移動が器具先端部の狂ったまたは断続的な動きになるのを防ぎ得る。挿入物は、その内部に形成される複数の長手方向のサブ管腔を有する管状体を含んでもよく、そこで、複数の長手方向のサブ管腔のそれぞれは、管状体の外側表面を分断する。その分断された円周面が、軸の内側表面に当接してその間の相対的な移動を阻止する複数の足を画定するように、管状体は管腔内にぴったりと適合するようにサイズ設定される。
【0029】
同軸伝送線は、管状体の第1のサブ管腔に載置した同軸ケーブルを含んでもよい。アクチュエータは、管状体の第2のサブ管腔に摺動可能に載置される制御ロッドを含んでもよい。制御ロッドは低摩擦コーティング(例えば、PTFEなどの)を有して、挿入物に対して長手方向の摺動を容易にし得る。あるいは、第2のサブ管腔は、その内部に載置される低摩擦管を有してもよく、そこで、制御ロッドは、低摩擦管に摺動可能に載置されることができる。
【0030】
器具先端部は、外科スコープ装置の器具チャネル内に適合するために寸法設定されてもよい。したがって、別の態様にて、本発明は、高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを供給するための電気手術用ジェネレータと、患者の身体内へ挿入するのための器具コードを有する外科用スコープ装置であって、器具コードがそれを通って延在する器具チャネルを有する、外科用スコープ装置と、外科用スコープ装置の器具チャネルを通して挿入された上述の電気手術切除器具と、を含む、電気手術装置を提供する。
【0031】
装置は、電気手術切除器具を制御するためのハンドピースを含んでもよい。ハンドピースは、例えば外科用スコープ装置の外側の可撓軸の近位端に載置されてもよい。ハンドピースは、本体と、本体に摺動可能に載置される作動要素と、本体に回転可能に載置される回転子と、を含んでもよい。電気手術切除器具の同軸伝送線及び可撓軸は、作動要素により本体に対して摺動して、回転子により本体に対して回転するために載置されてもよい。
電気手術切除器具のアクチュエータは、可撓軸の管腔を通って延在する制御ロッドを含んでもよく、制御ロッドは、本体に対して長手方向の固定位置に載置される近位部を有する。この構成で、作動要素は、静止部に対する可動部の動きを制御するように操作可能であり、回転子は、器具チャネルに対する電気手術切除器具の回転を制御するように操作可能である。
【0032】
使用中、ハンドピースは、長手方向(軸)力(制御ロッドを介して)と回転力(可撓軸を介して)の両方を組み合わせて、可撓軸の遠位端の電気手術切除器具に出力を供給できる。長手方向力は、器具の上のエンドエフェクタ(例えば、上述の可動部、または摺動ブレードもしくは針)を制御するために使用してもよい。回転力は、器具の配向を制御するために使用してもよい。
【0033】
ハンドピースの要素間の接続は、可撓軸及び同軸ケーブルが制御ロッドに対して摺動可能にする。換言すれば、制御ロッドの位置は可撓軸に対して変化でき、したがって、それは器具を操作するために遠位端で物理的運動を提供できる。
【0034】
本体は、それが本体から離れる方向に延在するので、可撓軸に整列する軸にある筒型ハウジングでもよい。回転子の回転軸は、本体の軸と整列配置されてもよい、または本体の軸内に同軸でもよい。回転子は、本体の外側表面に載置されるカラーまたはリングでもよい。回転子は、本体上の長手方向(軸)方向に保持されてもよい。例えば本体は、回転子が設置される周囲方向凹部を有してもよい。
【0035】
制御ロッドは、本体に対して回転可能でもよい。これは、可撓軸、制御ロッド及び同軸ケーブルのすべてが回転子の回転に応じて本体に対して回転することを意味する。これは、可撓軸内で要素がねじれるのを防ぐことができる。一実施例にて、制御ロッドの近位部は、回転子上に載置されてもよい。回転子が本体に対して軸方向に固定される場合、この取り付けは制御ロッドが回転子により回転するが、本体に対して摺動しないことを意味する。近位部は、回転子に接続するために、可撓軸を通過する放射状延長部を含んでもよい。
【0036】
ハンドピースは、可撓軸の近位部を収納する内部軸を含んでもよい。内部軸は回転子に連結して、それにより回転し得る。内部軸は、回転子内に形成される軌道に沿って軸方向に摺動可能であり得る。
【0037】
作動要素は、ハウジング内に長手方向(すなわち、上述の軸方向)に摺動するために載置した軸を含んでもよい。作動要素及び本体は、ユーザが装置を作動すると共にそれを保持するために、把持要素(例えば、フィンガーリングなど)を有してもよい。
【0038】
ハンドピースは、作動要素上の電源入力ポートを含んでもよい。電源入力ポートは、QMAコネクタなどでもよい。電源入力ポートは、その内部で受けた電力を同軸ケーブルに送るために接続してもよい。したがって、同軸ケーブルの近位端は作動要素に接続して、電源入力ポートから電力を受けてもよい。同軸ケーブルの近位端は、その間で相対回転ができるように、回転可能な継手を介して作動要素に接続されてもよい。
【0039】
電源入力ポートは、例えば電気手術用ジェネレータから外部同軸ケーブルに接続してもよい。電源入力ポートへの接続方向は、作動要素が本体に対して摺動可能である方向まで、垂直に延在してもよい。例えば電源入力ポートは、作動要素の下側にあってもよい。
【0040】
「外科用スコープ装置」という用語は、侵襲的な処置の間、患者の身体内に導入される、剛性または可撓性(例えば、操縦可能な)導管である、挿入管を備える、任意の外科用
装置を意味するために、本明細書で使用してもよい。挿入管は、器具チャネル及び光チャネル(例えば、挿入管の遠位端で処置部位を照らす、及び/またはその画像を撮るための光を送信するため)を含んでもよい。器具チャネルは、侵襲的な外科器具を受容するのに適した直径を有してもよい。器具チャネルの直径は、5mm以下でもよい。
【0041】
本明細書で、「内側」という用語は、器具チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(例えば、軸)に半径方向に近いことを意味する。「外側」という用語は、器具チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(軸)から半径方向に遠いことを意味する。
【0042】
「導電性」という用語は、文脈で明らかにそうではなことを記載する場合を除いて、電気伝導性を意味するために本明細書で使用される。
【0043】
本明細書で「近位」及び「遠位」という用語は、細長いプローブの端を指す。使用中、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを提供するためのジェネレータに近いが、遠位端はジェネレータから更に遠い。
【0044】
本明細書で「マイクロ波」は概して、400MHz~100GHzの周波数範囲、だが好ましくは1GHz~60GHzの範囲を示すために使用してよい。考慮される特定の周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz及び24GHzである。それに対し本明細書で「高周波」または「RF」は、少なくとも3桁低い大きさ(例えば最高300MHz、好ましくは10kHz~1MHz、最も好ましくは400kHz)の周波数範囲を示すために使用する。
【0045】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の実施形態である、電気手術システムの概略図である。
【
図2A】開放構成及び閉鎖構成それぞれの本発明の実施形態である、電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図2B】開放構成及び閉鎖構成それぞれの本発明の実施形態である、電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図3A】閉鎖動作の種々の段階を示す、電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図3B】閉鎖動作の種々の段階を示す、電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図3C】閉鎖動作の種々の段階を示す、電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図3D】閉鎖動作の種々の段階を示す、電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態である電気手術切除器具の概略の部分的切欠側面図である。
【
図5】本発明の実施形態である電気手術切除器具の部分的切欠斜視図である。
【
図6A】本発明の実施形態である電気手術用装置のハンドピースの斜視図である。
【
図6B】
図6Aのハンドピースの一部切欠図であり、ハンドピースの内部構造の一部を示す。
【
図7A】本発明の実施形態である電気手術切除器具で使用できる、器具軸の中身の透視図である。
【
図8A】本発明の別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図8B】本発明の別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図8C】本発明の別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図9A】本発明の更に別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【
図9B】本発明の更に別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明の実施形態である、完全な電気手術システム100の概略図である。システムは、器具先端部からの高周波(RF)またはマイクロ波電磁(EM)エネルギーを使用して、生体組織を処置する(例えば、切断するまたは塞ぐ)ように構成される。システム100は、RF及びマイクロ波EMエネルギーを制御可能に供給するジェネレータ102を備える。この目的のための適切なジェネレータは、WO2012/076844号に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。ジェネレータ102は、インターフェースケーブル104によってハンドピース106に接続される。ハンドピース106は、流体送達装置108(例えば、注射器)からの流体供給部107を受けるためにも接続され得るが、これは必須ではない。必要である場合、ハンドピース106は、アクチュエータ109(例えば、親指で操作されるスライダまたはプランジャ)によって操作可能である器具動作機構を収容してもよい。例えば、器具作動機構は、本明細書に記載のように、切除器具の枢動可能なブレード要素を操作するために使用してもよい。他の機構も、ハンドピース中に含まれてもよい。例えば針移動機構は、器具に針を配置するために提供されてもよい(ハンドピース上の適切なトリガーによって操作可能)。ハンドピース106の機能は、ジェネレータ102、流体送達装置108及び器具作動機構からの入力を、ハンドピース106の遠位端から延在する1つの可撓軸112内に必要とされ得る任意の他の入力と組み合わせることである。
【0048】
可撓軸112は、外科用スコープ装置114の器具(作業)チャネルの全長を通して挿入できる。可撓軸112は、外科用スコープ装置114の器具チャネルを通過し、内視鏡の挿入管の遠位端で突出する(例えば、患者の内部で)ように形成される、器具先端部118を有する。器具先端部118は、生体組織を把持するための一対のブレード要素と、ジェネレータ102から伝送されるRFまたはマイクロ波EMエネルギーを供給するように構成されるエネルギー送達構造と、を含む。任意に、器具先端部118は、流体送出装置108から送られる流体を送達するための格納可能な皮下注射針も含んでもよい。以下でより詳細に記載するように、ハンドピース106は、器具先端部118のブレード要素を開閉するための作動機構を含む。ハンドピース106は、外科用スコープ装置114の器具チャネルに対して器具先端部118を回転させるための回転機構も含む。
【0049】
器具先端部118の構造は、作業チャネルを通過するのに好適な最大外径を有するように配置され得る。通常、外科用スコープ装置(例えば、内視鏡)の作業チャネルの直径は、4.0mm未満(例えば、2.8mm、3.2mm、3.7mm、3.8mmのうちの任意の1つ)である。可撓軸112は、これ未満の最大直径(例えば、2.65mm)を有してもよい。可撓軸112の長さは、1.2m以上(例えば、2m以上)であり得る。他の実施例で、器具先端部118は、作業チャネルを通過して軸が挿入された後(そして、器具コードが患者内に導入される前)、可撓軸112の遠位端に載置され得る。あるいは可撓軸112は、その近位接続を行なう前に、遠位端から作業チャネル内に挿入されることができる。これらの配置で、遠位端アセンブリ118は、外科用スコープ装置114の作業チャネルより大きい寸法を有するのが可能になる。上述のシステムは、器具を患者内に導入する1つの方法である。他の技術も可能である。例えば、器具は、カテーテルを
使用しても挿入され得る。
【0050】
本明細書の実施例は外科用スコープ装置との関連で存在するが、電気手術切除器具が、開腹手術に適した装置または腹腔鏡での利用の実施形態であり得ることを理解すべきである。
【0051】
図2Aは、本発明の実施形態である、電気手術切除器具の器具先端部200の斜視図である。器具先端部200は可撓軸204の遠位端に載置されており、それは上述の可撓軸112に対応してもよい。本実施形態にて、器具先端部200は、第1電極206を運搬する静止部202及び第2電極214を運搬する可動部212を含む。しかし、本発明はこの配置に限定される必要はない。他の実施例にて、両方の電極は、静止部202または可動部212のいずれかに提供されてもよい。
【0052】
静止部202は、可撓軸204の遠位端に固着する近位領域を有する。静止部202は、可撓軸204の遠位端から離れる長手方向に延在する。その遠位端で、静止部202は第1ブレード要素205を画定して、それは、その最遠位端に直立した歯210を有する長手方向に延在するフィンガーである。第1電極206は、第1ブレード要素205の上面に沿って延在する。
【0053】
可動部212は、静止部202に旋回可能に載置される。この実施形態にて、可動部212は第2ブレード要素207を含み、それは第1ブレード要素205に相応した長さを有する細長いフィンガーである。第2ブレード要素207は、その最遠位端に下方へ延在する歯216を有する。
【0054】
可動部は、第1ブレード要素205の近位端に位置する枢動軸の周囲を枢動可能である。それによって、第2ブレード要素207は、第1ブレード要素205から離れる方向に角度がある開放位置(
図2Aに示す)と、第1ブレード要素205に並んで位置する(すなわち、横方向に隣接する)閉鎖位置(
図2Bに示す)の間で揺動できる。可動部の可動範囲は、第2ブレード要素207が第1ブレード要素205に対して鈍角をとるのを可能にするようなものであり得る。これは、低い表面プロファイルを示す組織を把持するのに特に有用であり得る。
【0055】
したがって第1ブレード要素205及び第2ブレード要素207は、開放位置にあるときブレード要素205、207の間の間隙に位置する組織が、第2ブレード要素207が閉鎖位置へ移動する際にそれに印加される圧力を有することができる、はさみ型閉鎖機構を画定し得る。第1ブレード要素205上の直立した歯210及び第2ブレード要素207上の下方へ延在する歯216は、第2ブレード要素207が閉鎖位置へ移動する際に間隙の組織を保持するように機能する。
【0056】
第1ブレード要素205は、例えば、セラミックまたは他の適切な電気絶縁材料から製作した平面誘電体208を含む。平面誘電体208は、第2ブレード要素207が枢支する平面と平行である平面を画定する。平面誘電体208は、第1電極206と第2ブレード要素207の間の絶縁隔壁を提供する。例えば第2ブレード要素207は、平面誘電体208の第1表面を通り越して摺動するように構成されて、第1電極206は、平面誘電本体208の第2表面上に形成されて、第2表面は第1表面から平面誘電本体208の反対側にある。第1電極206は、高伝導率を示す導体(例えば、金など)から製造されてもよい。
【0057】
第2ブレード要素207が閉鎖位置に移動するとき、第2電極214は、第1ブレード要素205の隣接する側面(すなわち、上述の平面誘電体208の第1表面)を通り越し
て摺動する第2ブレード要素207の側面に沿って延在する。この実施例では、第2ブレード要素207は、その底縁に沿って横方向に突出するフランジを含む。第2電極214は、フランジの横方向に向く表面に沿って延在する。第2ブレード要素は、絶縁材料で被覆されている導電性材料から形成されてもよい。例えばそれは、セラミックまたはダイヤモンド状炭素(DLC)コーティングを有するステンレス鋼から製造されてもよい。絶縁コーティングは、それが必要とされない領域から除去され(例えば、エッチング除去され)てもよい。例えば第2電極214は、横方向のフランジの側端からコーティングをエッチング除去することにより形成されてもよい。金層はエッチングした面上に堆積して、電極を形成し得る。コーティングの他の部分は、以下で説明するように、電気接続が同軸ケーブルの外部導体になされるのを可能にするために除去されてもよい。
【0058】
可撓軸204は、RF及びマイクロ波EMエネルギーを伝送するための同軸ケーブル(図示せず)を延在させる管腔と、可動部212の動きを制御するための長手方向に摺動可能な制御ロッド(
図3A~
図3Dに示す)と、を画定する。
【0059】
図4を参照して更に詳細に述べられるように、第1電極206は同軸ケーブルの内部導体に電気的に接続しており、第2電極214は同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続している。したがって、器具先端部は、第1電極と第2電極の間の電流路に沿って(例えば、組織を通って)RFエネルギーを供給する、または第1電極及び第2電極により発されるマイクロ波場を通ってマイクロ波エネルギーを供給することができる、エネルギー送達構造を提供する。
【0060】
器具先端部200は、3つの操作方法を提供してもよい。第1の方法で、器具は、生体組織を切断するRF EMエネルギーを供給するために、閉鎖位置のブレード要素205、207と共に使用できる。この第1の方法で、RF EMエネルギーは、第1ブレード要素205上の直立した歯210及び第2ブレード要素207上の下方へ延在する歯216に隣接する遠位切断ゾーン230の、第1電極206及び第2電極214の間を主として通過する。したがって器具は、切断を遂行するために、組織にわたってもしくはそれを通って掃引する、または滑動するために使用してもよい。
【0061】
第2の方法にて、ブレード要素205、207は、把持する切断(すなわち、ブレード要素の間に取得された組織を通過する切断)を実行するために使用してもよい。この方法で、切断は、ブレード要素205、207を閉じることにより印加される物理的圧力及び閉鎖工程の間に加えられるRF EMエネルギーの組み合わせによってなされる。
【0062】
第3の方法で、ブレード要素205、207は、組織(例えば、血管など)を把持して塞ぐために使用してもよい。この方法で、マイクロ波EMエネルギーは電極に供給されて、それは、ブレード要素内に保持される組織を凝固させるために機能する、マイクロ波場を設定する。
【0063】
静止部202は、その外側表面上に載置される絶縁シールドを有してもよい。この実施例では、絶縁シールドは熱可塑性ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など)である。絶縁シールドは、装置上に成形されてもよい、またはカバーであり得て(例えば、適切なサイズの管をレーザーカットすることにより形成される)、それは、ブレード要素が閉鎖位置にあるとき、器具先端部上を摺動できる。絶縁シールドは第1電極206の形状を制御するために使用でき、例えば、第1電極206が第1ブレード要素205の上面でのみ実質的に露出することを確実にする。それにより、これは、電極から供給されるRF及びマイクロ波エネルギーが所望の領域に集束されるのを確実にすることができる。
【0064】
【0065】
図3Aは、開放位置の器具先端部200を示し、そこで、第2ブレード要素207が第1ブレード要素205に対して鈍角に位置するように、可動部212は配置される。
図3Aに示すように、静止部202は、可動部212が取り付けられる枢軸台を提供する、長手方向に延在するアーム218を含む。アーム218は、その内部に回転可能に載置した枢動軸226を有する。枢動軸226は、横方向に延在する枢動軸を画定する(すなわち、枢動軸は、可撓軸204により画定される長手方向に対して直交する)。
【0066】
摺動可能な制御ロッド220は、可撓軸204から突出する。静止部202は、制御ロッド220が通過するその内部に形成されるガイドチャネル221を有する。制御ロッド220は、可動部212に係合する遠位取り付け機構223を有する。この実施例では、遠位取り付け機構223は、可動部212の取り付け板222に形成されるスロット224を係合する、フックである。他のタイプの係合が使用されてもよい。制御ロッド220の長手方向の摺動動作は、取り付け板222の枢動運動に変換される。取り付け板222は、第2ブレード要素207と一体化して形成される、または動作可能に連結してもよい。
【0067】
図3Bは、部分的に閉じた構成の器具先端部200を示し、制御ロッド220は可撓スリーブ204内に部分的に格納され、そこで第1ブレード要素と第2ブレード要素の間に鋭角がある。
【0068】
図3Cは、別の部分的に閉じた構成の器具先端部200を示し、制御ロッド220は可撓スリーブ内に更に格納され、そこで第2ブレード要素207上の下方へ延在する歯216が第1ブレード要素205上の直立した歯210を通り越して摺動しようとする。この位置に達すると、制御ロッド220の遠位取り付け機構223がスロット224の第1端に残ったままであることがわかる。スロット224は、それに沿って制御ロッドが閉鎖動作の最終部のために摺動する、カム面を提供し、そこで第1及び第2ブレード要素は互いを通り越して摺動する。
図3Dは最終的な閉鎖位置を示し、そこで制御ロッド220の遠位取り付け機構223は、スロット224の第2端へ移動している。スロットは、例えば閉鎖力をブーストして、切断の最終段階で生じ得る抵抗を抑えるために、遠位取り付け機構223が移動操作のこの最終部で機能する、カム面を都合よく提供する。
【0069】
図4は、本発明の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部300の概略の部分的切欠側面図である。器具先端部300は、同軸ケーブル304及び制御ロッド312を運搬する可撓スリーブ302の遠位端に位置する。制御ロッド312は、上述と同様に静止部318に対する可動部322の枢動運動を制御するためにある。静止部318は、それに固着する(例えば、適当な接着剤によって)平面誘電体314を有し、平面誘電体314は静止部318から離れて長手方向に延在して、第1ブレード要素を形成する。第1電極316は、平面誘電体314の片側上に形成される。
【0070】
可動部322は、第1電極316に対して平面誘電体314の反対側に、枢動軸(
図4では見えない)を介して静止部318に旋回可能に載置される。可動部322は、上述の第1及び第2のブレード要素205、207に対するのと同様の方法で、第1ブレード要素を通り越して摺動するように構成される、第2ブレード要素を含む。可動部322は、ブレード要素が閉鎖位置にあるとき、平面誘電体314の反対側に隣接してある、その上の第2電極324を含む。
【0071】
同軸ケーブル304は、誘電体材料308によって外部導体310から分離される内部導体306を含む。誘電体材料308及び内部導体306は、外部導体310の遠位端を越えて延在する。誘電体材料308の遠位端は、平面誘電体314の近位端に接する。内部導体306はこの接合点から遠位に延在して、第1電極316の近位端と重なり合って、電気的に接続する。本発明はこの配置に限定される必要はない。他の実施例にて、内部導体は、例えば可動部上の電極に電気的に接続してもよい。
【0072】
静止部318は、可動部が載置される支持アームを含む。平面誘電体314は、例えば同類の接着剤を使用して、支持アームにも載置されてもよい。支持アームは、電気絶縁コーティングを備える導電性材料(例えば、ステンレス鋼)から形成される。コーティングは、同軸ケーブル304の外部導体310に電気的に接続している、近位接触部320で除去される。可動部322も、電気絶縁コーティングを備える導電性材料(例えば、ステンレス鋼)から形成される。可動部322は、枢軸連結で静止部318に物理的に係合される。第2電極324と同軸ケーブル304の外部導体310の間の電気接続部は、枢動連結を通過する。例えば、枢動軸自体は、導電性材料(例えば、ステンレス鋼)から形成されてもよい。静止部318の絶縁コーティングは、静止部318と可動部322の間の摺動係合領域(例えば、枢動軸を受けるための開口部または凹部)で除去され得る。同様に、可動部322の絶縁コーティングはこの領域で除去され得る。第2電極324が可動部322の導電性材料であり得る、またはそれに電気的に接続し得るので、外部導体に対する完全な電気接続部を形成できる。
【0073】
図5は、
図4の概略的な特徴が
図2A及び
図2Bに示すものと類似する装置でどのように表され得るかについて説明する、電気手術切除器具の部分的切欠斜視図である。
図4と共通の特徴には同じ参照番号が付けられ、再度説明しない。
【0074】
図6Aは、本発明の実施形態である電気手術装置の一部として使用され得る、例示のハンドピース600である。ハンドピース600は、本体602及び作動部604を含む。本体602は、作動部604の軸608が摺動可能に係合される中空バレル606を含む。本体602は、バレル606に回転可能に接続する回転子610も含む。作動部604は、バレル606及び回転子610を通って延在して、回転子610の遠位端から突出する、内部軸628に接続している。内部軸628は軸608によって長手方向に移動するが、それに対して回転可能である。器具軸612は、内部軸628の遠位端からハンドピース600を出る。例えば、器具軸612は上述の可撓軸204でもよく、それはその遠位端で器具先端部200に接続している。器具軸612は、内部軸628によって回転するように接続される。
【0075】
作動部604は、2つの位置、軸608の長さがバレル606内に含有される閉鎖位置と、軸608の長さがバレル606の外側にある開放位置との間で、その軸608に沿って本体602に対して長手方向に摺動可能である。
図6Aは、開放位置の作動部604を有するハンドピース600を示す。本体602に対する作動部604の動きの全範囲は、約35mmであり得る。本体602に対する作動部604の動きの長手方向は、内部軸628から出て通過するように、器具軸612の長手方向軸に整列する。軸608は、作動部604が本体602に対して回転するのを防ぐために、バレル606内部の突起(図示せず)と係合する1つ以上の溝614を含んでもよい。本体602は一対のフィンガーリング614、616を含み、作動部604は親指リング618を含む。それは、作動部604に対してバレル606を押したり引いたりするとき、ユーザが握持するのを容易にするために使用してもよい。作動部604は、ハンドピース600をジェネレータ(例えば、ジェネレータ102)に接続するインターフェースケーブル(例えば、インターフェースケーブル104)を接続するための入力コネクタ620を更に含む。入力コネクタ620は、例えば、QMAコネクタ、またはジェネレータと連結するための任意の他の適切な
コネクタでもよい。
【0076】
図6Bはハンドピース600の切欠図であり、そこで、ある部分は、ハンドピースの内部構造を明らかにするために示されない。特徴が
図6Aに関して上ですでに記載されている場合、同じ参照番号を使用する。
【0077】
入力コネクタ620は、作動部604の軸608内に含有される、回路基板622に電気的に接続している。入力コネクタ620は回路基板622と実質的に直交しており、その結果、それは、作動部と本体602の間の相対的な移動の方向に対して実質的に垂直である方向に沿って配向される。このように、入力コネクタ620に接続しているケーブルは、ユーザの邪魔をしない場合がある。出力コネクタ624は、回路基板622の端に取り付けられる。出力コネクタ624は、同軸伝送線626上の嵌合コネクタ627を介して、同軸伝送線626に電気的に接続している。同軸伝送線626はハンドピース600を通過して、ハンドピース600の遠位端で器具軸612に入る。同軸伝送線626は、例えば上述の同軸線226に対応してもよく、それは器具先端部にRF及びマイクロ波EMエネルギーを伝送するのに役立つ。
【0078】
出力コネクタ624と同軸伝送線626の間の電気接続部は、回転可能であり、すなわち、それによって、同軸伝送線が出力コネクタ624に対してその軸周囲を回転できる。回転自在な電気接続部を可能にする適切なコネクタは、QMAコネクタ、マイクロ同軸(MCX)コネクタ、及び超小型同軸(MMCX)コネクタを含む。
【0079】
他の実施形態にて、回路基板622は省略されてもよく、1つのQMA-MCX直角コネクタに置き換えることができる。
【0080】
図6Bに示すように、内部軸628は、本体602のバレル606及び回転子610の両方を通って延在して、それらに対して長手方向に摺動可能である。内部軸628の遠位端は、回転子610から突出する。突出部分の長さは、作動部604の軸608の位置に依存する。軸608の内側表面上の半径方向凸部632によって係合する、内部軸628の外側表面周囲の周囲方向凹部630によって、内部軸628は、作動部604の軸608に近位端で接続される。軸608と内部軸628の間の接続によって、内部軸628が軸608に対して長手方向に移動するのを防ぐが、内部軸628が軸608に対してその軸周囲を回転するのが可能になる。したがって、内部軸628は、本体602に対して作動部604を動かすことによって、本体602に対して長手方向に前後に移動し得る。
【0081】
内部軸628は、それが回路基板622上の出力コネクタ624にしっかりと接続したままでいることを確実にするための位置に、同軸伝送線626のコネクタ627を保持するための空洞を有する近位部631を含んでもよい。そのうえ、同軸伝送線626上のコネクタ627は、内部軸628の近位部630のスロットを係合して、コネクタ627が内部軸628に対して移動するのを防ぐように構成される、凸部633を含んでもよい。例えば、凸部633は、コネクタ627の一部である、またはそれに取り付けた(例えば、はんだ付けによって)ナットでもよい。凸部627は内部軸628に回転可能にコネクタ627を係止するように構成されてもよく、その結果、内部軸628の回転がコネクタ627を回転させる。
【0082】
同軸伝送線626は、その遠位端でそれが器具軸612に入る、内部軸628を通過する。器具軸612の長さは、内部軸628の遠位部634内に含有されており、それは内部軸628に固定される。このように、内部軸628の長手方向及び回転運動の両方は、器具軸612に伝えられてもよい。例えば、器具軸612は、内部軸628の遠位部634にエポキシを使用して接着されてもよい。器具軸612と内部軸628の間の接着力は
、エポキシを塗布する前に器具軸612の表面を凸凹にすることによって高められ得る。場合によっては、遠位部634に含有される器具軸612の長さは、良好な接着性を確実にするために、約22mmでもよい。
【0083】
回転子610は、それがハンドピース600の長手方向周囲をバレルに対して回転可能なように、バレル606に接続している。ここに示した実施例で、回転子610は、バレル606上の半径方向に内向きに延在する凸部646を受ける、円周方向に凹んだチャネル644を備える近位部642を有する。
【0084】
その長さに沿って回転子610に対して摺動可能であるように、内部軸628は、回転子610を通過して、回転子610に係合する。しかし、それは回転子610に対して回転可能ではない(すなわち、回転子610及び内部軸628は、互いに対して回転可能に係止される)。これは、回転運動を伝える、任意の種類の相互係合によって達成され得る。例えば、内部軸628の外側表面及び回転子610の内側表面上に形成される、1つ以上の長手方向に配向された協働係合要素(例えば、溝及び歯)があってもよい。回転子610がバレル606上で回転させられるので、係合要素は、内部軸628を回転させるために互いにそれぞれ係合してもよい。同様に、器具軸612の遠位端に接続される器具先端部も回転させ得るように、これは、内部軸628に固定される器具軸612を回転させる。しかし、内部軸628が作動部604に回転可能に接続されていないので、作動部604は、回転子610の回転によって回転しない。バレル606に対する回転子610の回転軸は、内部軸628の長手方向軸に整列配置されてもよく、その結果、回転子610の回転によって、その長手方向軸の周囲で内部軸628の回転が生じる。
【0085】
主制御ロッド636の長さは内部軸628内に含有されて、器具軸612を通ってハンドピースを出る。主制御ロッド636は、器具軸612の遠位端に接続される器具先端部上の可動部(例えば、回動可能なブレード要素)を操作するために使用してもよい。例えば主制御ロッド636は、上述の主制御ロッド242に対応し得る。主制御ロッド636の近位端は、ハンドピース600の本体602に対して固定したまま保持される。したがって作動部604に対する本体602の運動は、主制御ロッド636を器具軸612に沿って長手方向に移動させる場合がある。主制御ロッド636が作動部604に対して、そして器具軸612に対して、本体602と共に移動可能である一方で、これは、器具軸612の長手方向位置が作動部604に対して固定したまま保持される(一端で作動部604に対して、別の端で器具軸612に対して接続された内部軸628によって)からである。
【0086】
したがって、ユーザは、器具軸612に対して主制御ロッド636を前後に動かすために、本体602に対して作動部604を動かして、器具軸612の遠位端に接続される器具先端部上の可動部(例えば、回動可能なブレード要素)の開閉を制御し得る。
【0087】
ハンドピース600の本体602に対して主制御ロッド636の近位端を固定したまま保持するための、いくつかの可能な方法がある。示す実施例で、ブロック638は、主制御ロッド636の近位端に取り付けられる。ブロック638は、例えば主制御ロッド638の近位端にはんだ付けされる、または溶接される金属片でもよい。ブロック638は回転子610に強固に接続している保持具(図示せず)を適合させるように構成されてもよく、その結果、作動部604に対する本体602の長手方向の動きは、保持具を介してブロック638(したがって、主制御ロッド636)に伝えられる。保持具は、内部軸628の側壁の開口により回転子610に接続され得る。
【0088】
内部軸628中の主制御ロッド636の一部は、保護管640に含有され得る。保護管は、任意の好適な材料(例えば、PTFE)から作製されてもよく、ハンドピース600
が開かれるとき、主制御ロッド636が曲がるのを防止するのに役立ち得る。あるいは、金属管は、主制御ロッド636にはんだ付けまたは溶接されて、同じ効果を達成し得る。
【0089】
作動部604と本体602の間の相対的な直線運動は、器具軸612に対する主制御ロッド636の直線運動を直接制御する。これにより、ユーザが、器具軸612の遠位端で器具先端部上の回動可能なブレード要素の開閉を正確に制御するのが可能になる。更に、ハンドピース600の構成により、ユーザが、1つの手にハンドピース600を快適に保持して、1つの手(1つの手の指をフィンガーリング614、616、618に置くことによって)でブレード要素の開閉を制御するのが可能になる。ユーザは、また、器具先端部を回転させるために、他の手で回転子610を同時に回転させ得る。入力コネクタ620の配向により、入力コネクタ620に接続するいかなるケーブルもハンドピース600のユーザの操作を邪魔しないことを確実にし得る。このように、ユーザは、ケーブルに適合するために、扱いにくい位置で(ユーザの手首に応力が生じる可能性がある)ハンドピース600を保持することを強要されない。
【0090】
一実施例にて、熱収縮または他の補強材料は、器具軸612の近位部の周辺で適用され得る。この補強部の長さは、軸が完全に挿入されるときでも、常に内視鏡の挿入管の外側にある、軸の一部を占めるように選択される。補強部は、スコープ装置の挿入管内にある部分内に軸のこの部分からトルクを平行移動するのを支援し得る。それは、器具軸が、作動下で及び回転下で小さく波打つのを防ぐこともできる。更に、それは、臨床医(すなわち、スコープ装置オペレータ)に、アシスタントとやり取りする必要なく、回転及び押し/引きの両方ために握持する直径が大きいものをもたらすことができる。
【0091】
ハンドピース600がその中に自由に可動回転する継手を備えているという事実によって、臨床医が、ハンドピースを保持するアシスタントなしで回転させるのを可能にするが、必要に応じてアシスタントもハンドピースによる回転を適用できる。
【0092】
図7Aは、それが器具先端部の方へ移動する際の器具軸612の切欠斜視図である。器具軸612は、同軸ケーブル626及び制御ロッド636を運搬するための管腔を画定する、外スリーブ648を含む。この実施例で、同軸ケーブル626及び制御ロッド636は、長手方向に延在する挿入物650に保持される。挿入物650は、例えば、変形可能なポリマー(例えば、PEEKまたは類似の機械的特性を有する他のプラスチック)から形成される、押し出しである。
図7Bで更に明瞭に示されるように、挿入物650は、その外側表面の周囲で切り取られる一連のサブ管腔664を有する、円筒状要素である。サブ管腔664は挿入物650の外側表面を突き抜けて、その円周周辺に複数の別個の足662を画定する。サブ管腔664は、同軸ケーブル626または制御ロッド636などの要素を運搬するようにサイズ設定されることができる、またはスリーブ648の管腔に沿った流体の流れを可能にするためであり得る。
【0093】
挿入物がいかなる囲い込んだサブ管腔も含まないことは、有益であり得る。完全に封入されたサブ管腔は、曲がった状態に格納される場合、変形を保持する傾向があり得る。このような変形は、使用中にぎこちない動きをもたらす場合がある。
【0094】
挿入物650は、同軸ケーブル626を収容するためのサブ管腔を含んでもよい。この実施例で、同軸ケーブル626は、誘電体材料656によって外部導体654から分離される内部導体658を含む。同様に外部導体654は、例えばPTFEまたは他の適切に低摩擦材料から形成されて、軸が軸の屈曲を備えるように挿入物と同軸ケーブルの間の相対的な長手方向運動を可能にする、保護カバーまたは外筒652を有してもよい。
【0095】
別のサブ管腔は、制御ロッド636が延在する標準PFTE管660を収容するように
構成され得る。代替的実施形態で、制御ロッド636は、使用前に低摩擦コーティング(例えば、PFTE)を備えてもよく、その結果、別個のPFTE管は必要とされない。
【0096】
挿入物は、同軸ケーブル626及び制御ロッド636と共に載置されるとき、スリーブ648の管腔を入れる、すなわち、その内部にぴったりと適合するように構成される。これは、挿入物が、軸612の曲げ及び回転の間、同軸ケーブル、制御ロッドとスリーブの間の相対的な移動を制限するように機能することを意味する。更に、スリーブ648を満たすことによって、挿入物は、過度に回転する場合、スリーブが圧壊して、回転を失うことを防ぐのを助ける。挿入物は好ましくは、剛性を示して、このような動きを阻止する材料から製造される。
【0097】
挿入物の存在は、器具軸612の変形によって生じる制御ロッドの「失われた」移動を更に防止し得る。このような失われた移動は、2つの理由のために挿入物がない状態で生じることがあり得る。
【0098】
第1に、制御ロッド636はスリーブ648中で左右に移動することができ、その結果、スリーブが湾曲経路をたどるとき、それは、まっすぐなときのスリーブの長さでもある中心線の長さより長い経路である屈曲の外側を回ることが可能である。例えば、スリーブの内径が2.15mmで、制御ロッドの直径が0.4mmである場合、制御ロッドの中心線はスリーブの中心線から最大0.875mm離れる場合もある。屈曲の各180度にて、制御ロッドがスリーブ内でその可能な移動の外側限界を進む場合、制御ロッドの経路は、スリーブの中心線に沿った長さより2.75mm長いだろう。したがって、5つの180度の屈曲は、13.75mmの「失われた」移動をもたらす場合がある。
【0099】
第2に、スリーブがまっすぐな場合であっても、制御ロッド636はスリーブ648内部で湾曲した経路をたどってもよく、それはスリーブの長さを超える。したがって、制御ロッドが支持されていないいかなる位置でも、それは横向きに曲がり得る。曲がった形状は、正弦波に似ているだろう。あまりに横方向に離れるのを止められる場合、それは、その長さより短い複数の湾曲を有しているかもしれない。スリーブ内で、制御ロッドは横方向に曲がることができず、スリーブ内部で巻いて束ねなければならず、その中心はスリーブ中心から半径0.875mmである。管周囲の各巻き付けは、5.5mmの曲がりに等しい。直接路上の正弦経路の長さの増加は、楕円積分により算出される。2つの湾曲の直線長さ(p)に対する湾曲(a)の小さな比率について、長さの変化が円の弧におけるものに近接し、これに関して長さの比率が8a/psin(8a/p)であり、差(失われた移動)が約8a/psin(8a/p)-1≒(8a/p)2/6である。例えば、アクチュエータロッドが長さ2.3mより短い6つの環(各方向に3つ)を備える場合、各自は中心線周囲を2度回り、そしてp=2300/3=766.666mm、a=11mm、失われた移動は0.22%または5mmである。
【0100】
上述の押し出し挿入物は、スリーブの内側で詰まって、スリーブの軸周囲で制御ロッドの巻き付けを妨げる、カム状足を提供する。これは、上記の失われた移動を低減する。
【0101】
図8A、
図8B及び
図8Cは、本発明の別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部700の斜視図である。この構成で、器具先端部は、上述の枢動するはさみ型の動きとは対照的に、ブレード要素の間に平行な閉鎖動作を提供するために変更される。
【0102】
上述した器具先端部200と同様に、器具先端部700は、第1電極708を運搬する静止部706、及び第2電極712を運搬する可動部710を含む。器具先端部700は、可撓軸702の遠位端に載置される。遮蔽素子704は、軸702により運搬される同軸ケーブルと第1電極706の近位端の間の接合上に載置される。
【0103】
静止部706は、可撓軸702の遠位端に固着する近位領域を有する。静止部706は、可撓軸702の遠位端から離れる長手方向に延在し、遠位領域の第1ブレード要素を画定する。第1ブレード要素は、その最遠位端に直立した歯を有する長手方向に延在するフィンガーである。第1電極708は、第1ブレード要素の上面及び側面に沿って延在する。
【0104】
可動部710は、静止部706に旋回可能に載置される。この実施形態にて、可動部710は第2ブレード要素を含み、それは第1ブレード要素に相応した長さを有する細長いフィンガーである。第2ブレード要素は、その最遠位端に下方へ延在する歯を有する。
【0105】
この実施例で、可動部710は、静止部706に対してそれ自体移動可能である枢動軸711の周囲を枢動可能である。上述の構造と同様に、器具先端部700は、軸702に摺動可能に載置して、可動部710の近位部上のスロット716を係合する、制御ロッド714を含む。可動部710は、接続ロッド718によって静止部706に接続される。接続ロッド718の第1端は、枢動軸711の可動部710に回動可能に接続していて、接続ロッド718の第2端は、その内部に形成されるチャネル(図示せず)の静止部706に摺動可能に取り付けられる。
【0106】
図8Aは、開いた形状の器具先端部700を示す。そこで、制御ロッド714は軸702から延在して、接続ロッド718を展開位置内に押し込み、そこで、枢動軸711は静止部から離れて、可動部が枢動軸711周囲で回転して、その結果、第2ブレード要素が第1ブレード要素に対してある角度にある。
【0107】
図8Bは、中間構成の器具先端部700を示す。そこで、制御ロッド714は部分的に格納されて、その結果、接続ロッド718は展開位置に残り、そこで、枢動軸711は静止部706から離間配置されるが、可動部は枢動軸の周囲で回転して、その結果、第2ブレード要素が第1ブレード要素に平行になる。
【0108】
図8Cは、閉じた形状の器具先端部700を示す。制御ロッド714は完全に格納されて、接続ロッド718を引き出し位置へ移動させ、そこで、枢動軸711が静止部706内に引き入れられて、その結果、第2ブレード要素は第1ブレード要素に平行なまま、そのそばを通過する。
【0109】
図9A及び
図9Bは、本発明の別の実施形態である電気手術切除器具の器具先端部800の斜視図である。この構成で、器具先端部を変更して、より広い基部を提供し、電極の間に設置されるマイクロ波場を局限化するまたは集中することによって、より良好な組織を封止する能力を作成する。
【0110】
上述した器具先端部200と同様に、器具先端部800は、その上に第1電極810を有する平面誘電体806を含む静止部804と、第2電極812を運搬する可動部808と、を含む。器具先端部800は、可撓軸802の遠位端に載置される。遮蔽素子803は、軸802により運搬される同軸ケーブルと第1電極810の近位端の間の接合上に載置される。
【0111】
静止部804は、可撓軸802の遠位端に固着する近位領域を有する。平面誘導体806は、可撓軸802の遠位端から離れる長手方向に延在し、遠位領域の第1ブレード要素を画定する。第1ブレード要素は、その最遠位端に直立した歯を有する長手方向に延在するフィンガーである。第1電極810は、第1ブレード要素の上面及び側面に沿って延在する。
【0112】
可動部808は、静止部804に旋回可能に載置される。この実施形態にて、可動部808は第2ブレード要素を含み、それは第1ブレード要素に相応した長さを有する細長いフィンガーである。第2ブレード要素は、その最遠位端に下方へ延在する歯を有する。第2電極812は、第2ブレード要素の側端に沿って延在する。
【0113】
この実施例で、静止部804は第3電極814を含む。第3電極814は導電材料から形成されて、第1ブレード要素と同じ形状を有する第3ブレード要素という形態をとるが、第1電極810に対して平面誘電体806の反対側上にそれから横方向に離間配置される。
図2A及び
図2Bに関連して上述するものと同様に、開放位置から閉鎖位置まで枢支されているように、第3電極814は、第2ブレード要素を受けるようにサイズ設定される間隙によって、第1ブレード要素から離間配置される。
【0114】
図9Bは、器具先端部800の反対側を示す。静止部804は、可動部808が載置した枢動軸818を支持する、長手方向アーム816を含む。それが閉鎖位置へ移動するので、チャネル822は、可動部808を受けるために静止部804中に切断される、または形成される。
【0115】
可動部の枢動は、
図3A~
図3Dに関連して上述するものと同様に、可動部808に形成されるスロット820に係合するガイドチャネル824を介して、軸802から延在する、長手方向に格納可能な制御ロッド(
図9Bに示されない)により制御される。
【0116】
第3電極814は、第3電極814と第2ブレード要素下方の第1ブレード要素の間の間隙を通過する、横方向に延びる導電性部分、例えば、ピンまたはロッド(図示せず)により第1電極810に電気的に接続してもよい。
【0117】
図9A及び
図9Bに示される構造で、器具先端部は、ブレード要素の間に把持される組織のより広い範囲を支持できる。更に、第2電極812と第1及び第3電極810、814の間に作成されるマイクロ波場は、第2ブレード要素の両側の把持された組織に対するより一貫した効果を呈示し得る。この実施例で、同軸伝送線の内部導体が、第2電極及び外部導体を、第1電極及び第3電極に接続していることが望ましい場合があり、それによって、第2ブレード要素が閉鎖位置へ移動する際に、第1電極及び第3電極はフィールド遮蔽機能を実行する。