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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】回転工具を備えた電動工具装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 23/02 20060101AFI20240530BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B24B23/02
B25F5/00 A
B25F5/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022535094
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020083308
(87)【国際公開番号】W WO2021115781
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】19215269.2
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ホルツマイアー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン サットラー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ グライトマン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-187183(JP,A)
【文献】特開2015-188967(JP,A)
【文献】特表2008-529817(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 23/02
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダストフード(8)に囲まれた回転工具(3)を有する切断グラインダ、ダイヤモンド切断グラインダ又はアングルグラインダである電動工具(1)であって、
ダスト吸引装置が接続される吸引ホース接続部(7)が、前記ダストフード(8)の前記電動工具(1)の側の端部と反対側の端部とにそれぞれ設けられ、
前記吸引ホース接続部(7)にはそれぞれに吸引装置の吸引ホースが接続されたことを認識するための検出手段(5)が設けられた、前記電動工具(1)において、
前記電動工具(1)の前記工具(3)の回転方向(4)は、前記検出手段(5)により前記吸引ホースが前記電動工具(1)の側の端部に接続されたことが認識された場合には、前記電動工具(1)が引く作業方向で使用されるよう反時計回りに、前記検出手段(5)により前記吸引ホースが前記電動工具(1)とは反対の側の端部に接続されたことが認識された場合には、前記電動工具(1)が押す作業方向で使用されるよう時計回りに、前記電動工具(1)の動作状態に応じて設定され得る、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
ブラシレスモータであるモータ(2)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記電動工具(1)の冷却は、前記回転方向から実質的に独立しているように設計される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記回転方向(4)を表示するための指示手段(6)を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項5】
吸引装置を認識するための前記検出手段(5)は、マイクロスイッチ、磁石及び/又はホールセンサによって形成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項6】
前記電動工具(1)の前記工具(3)の前記回転方向(4)を設定するための電子装置を含む、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項7】
ダストフード(8)に囲まれた回転工具(3)を有する切断グラインダ、ダイヤモンド切断グラインダ又はアングルグラインダである電動工具(1)であって、
ダスト吸引装置が接続される吸引ホース接続部(7)が、前記ダストフード(8)の前記電動工具(1)の側の端部と反対の側の端部とにそれぞれ設けられ、
前記吸引ホース接続部(7)にはそれぞれに吸引装置の吸引ホースが接続されたことを認識するための検出手段(5)が設けられた
前記電動工具(1)を動作させる方法であって、以下のステップ:
a)請求項1~のいずれか一項に記載の回転工具(3)を有する電動工具(1)を提供するステップ、
b)前記検出手段(5)で前記吸引ホースが前記ダストフード(8)の前記電動工具(1)の側の端部に接続されたか、あるいは前記吸引ホースが前記ダストフード(8)の前記電動工具(1)とは反対の側の端部に接続されたか、を検出するステップ、
c)前記電動工具(1)の前記工具(3)の回転方向(4)は、前記検出手段(5)により前記吸引ホースが前記電動工具(1)の側の端部に接続されたことが認識された場合には前記電動工具(1)が引く作業方向で使用されるよう反時計回りに、前記検出手段(5)により前記吸引ホースが前記電動工具(1)とは反対の側の端部に接続されたことが認識された場合には、前記電動工具(1)が押す作業方向で使用されるよう時計回りに設定されるステップ
を含む方法。
【請求項8】
前記電動工具(1)の前記工具(3)の前記回転方向(4)は、前記回転方向(4)のための指示手段(6)によって表示される、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転工具を有する電動工具に関する。電動工具は、電動工具の工具の回転方向が電動工具の動作状態に応じて設定され得ることを特徴とする。ブラシレスモータを使用する場合に電動工具の回転方向を自動的に設定可能であることは、内燃機関におけるように回転方向を変えるためのギヤボックスが必要でないという利点と関連付けられる。加えて、ユーザは、実際上、もはや工具の「正しい」回転方向を設定することに関して気に掛ける必要がないため、ユーザにとっての電動工具の使いやすさが著しく向上され得る。更なる態様では、本発明は、回転工具を有する電動工具を動作させる方法であって、電動工具の工具の回転方向は、特に吸引装置が電動工具に接続されているか否かに応じて設定される、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、表面を加工するか又は基板を切断することができる電動工具が知られている。これらの電動工具は、通常、例えば切断砥石、切削ブレード又は切断ブレードなどの回転工具を有する。従来技術から知られる電動工具は、大抵の場合、変わらないように規定された工具の回転方向が電動工具に定められていることを特徴とする。本発明に関連して、好ましくは、工具のこの回転方向(direction of rotation)は、回転方向(rotary direction)とも呼ばれ得る。しかしながら、電動工具の工具の回転方向が変わらないように規定されていることにより、電動工具の使いやすさは、特定の用途、すなわち工具の規定されている回転方向で特に良好に行われ得るタスクに対してのみ電動工具を良好に使用することができる程度まで大きく制限される。他のすべてのタスクでは、工具の回転方向が変わらないように規定されている従来の電動工具での作業は、特定の状況下で非常に労力を要する作業になり得るか、又は例えばダストへのユーザの高レベルの暴露を伴い得る。
【0003】
しかしながら、従来技術において、ユーザが工具の回転方向を設定し得るいくつかの動力工具が既に知られている。例えば、特許文献1は、工作機械の電気モータへの電力供給が電子スイッチ装置によって設定され得る工作機械を開示している。特許文献2は、工具の回転方向を設定することができ、正転と逆転とを区別することが可能な別の工作機械を記載している。従来技術に記載された工作機械の欠点は、通常、ユーザが手動で工具の回転方向を設定しなければならないことである。これは、ユーザが切り替え過程に注意を引かれ、それにより実際の作業過程に用いられる注意が削がれるという事実につながり得る。これは、結果として作業のミス又はユーザへのリスクになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/282337号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/319563号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点及び欠陥を克服し、使いやすさの向上した、特に用途が幅広い、モータと回転工具とを有する電動工具を提供することである。提供される電動工具は、様々な適用状況において特に柔軟に使用され得るはずである。これに関連して、電動工具の工具の異なる回転方向間での選択にユーザの注意を引き過ぎることなく、様々な使用シナリオで電動工具を使用して作業することが可能であるはずである。好ましくは、適用状況は、発生するダストの特に良好な吸引取出を可能にするはずであるか、又はユーザが特に疲れにくいと感じるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、独立請求項の主題によって達成される。独立請求項の主題に関連する有利な態様は、従属請求項に記載され得る。
【0007】
上記の目的は、回転工具を有する電動工具によって達成される。電動工具は、電動工具の工具の回転方向が電動工具の動作状態に応じて設定され得ることを特徴とする。提案される電動工具では、工具の回転方向は、電動工具の動作状態に応じて設定され得るため、特に幅広い用途と併せて電動工具の使いやすさの側面が向上され得る技術的可能性が提供される。特に、電動工具の工具の回転方向の好ましくは自動的な設定により、ユーザの注意のかなりの割合を引き付けることが多い、ユーザによる手動での設定を行う必要がないことが確保される。加えて、電動工具の動作は、本発明により、吸引装置の接続又は存在に最適に適合又は調整され得る。これは、したがって、電動工具の作業領域からのダストの吸引取出を向上させることにもつながる。本発明の意義の範囲内における吸引装置は、真空掃除機又は集塵機であり得る。吸引装置は、乾式真空掃除機又は湿式真空掃除機であり得る。いわゆる水管理システム(WMS)も本発明の意義の範囲内における吸引装置であり得る。本発明の意義の範囲内における「吸引装置」という用語は、空気中又は水中に溶解したダスト及びダートを吸い上げるようにも少なくとも設定される装置を意味すると理解されたい。
【0008】
特に、本発明は、電動工具の様々な用途のそれぞれの場合における電動工具の工具の最適な回転方向を提供する可能性を提供する。本発明に関連して、これは、特に、有利には、吸引装置がダストフード又は保護フードに接続されているかどうかを認識するように電動工具が設定されるという事実によって可能になる。この目的のために、電動工具は、例えば、適切な検出手段を含み得る。したがって、電動工具の工具の回転方向は、吸引装置又は吸引ホース接続部が認識されているか否かに応じて設定され得る。本発明に関連して、工具の回転方向は、自動的に、すなわちユーザの側で更なる操作をすることなく設定されることが特に好ましい。これにより、ユーザの負担が軽減され、ユーザが電動工具でなすべき作業に細心の注意を払うことができるようになる。本発明に関連して、検出手段は、吸引ホースのためのそれぞれの接続パイプの領域に配置されることが好ましい。
【0009】
本発明に関連して、電動工具の動作状態は、吸引装置が電動工具に接続されているか否かを示すことが好ましい。したがって、極めて特に好ましい態様では、本発明は、吸引装置が電動工具に接続されているか否かに応じて工具の回転方向が設定され得る電動工具に関する。
【0010】
この目的のために、本発明に関連して、電動工具は、吸引装置を認識するための手段を含むことが好ましい。好ましくは、これらは、吸引装置の感覚的検出のための手段である。これらの手段は、特に吸引装置の吸引ホースの接続を認識するように設定される。本発明に関連して、好ましくは、「吸引ホース」という用語は、例えば、ノズル又は吸込装置を吸引装置に接続し得るホースを表す。当業者であれば、例えば、標準的な市販の家庭用真空掃除機から知られているような吸引ホースを熟知している。本発明に関連して、吸引ホースは、電動工具で作業する際に発生するダストを吸引によって取り出すために、電動工具に吸引装置を接続するために使用され得る。吸引ホースは、電動工具の領域、特にいわゆるダストフードの領域において開口しており、発生するダストが広い空間又は体積に広く分散することを最初から防止する。むしろ、電動工具の動作時に発生するダストは、ダストフード又は別のアクセサリ装置に集められ、そこから吸引によって特に良好且つ効率的に取り出され得る。
【0011】
好ましくは、ダストフードへの接続又は電動工具への接続は、本発明に関連して好ましくは吸引取出装置とも呼ばれ得るアダプタ装置で行われ得る。この吸引取出装置は、電動工具の作業方向に応じて又は電動工具の工具の回転方向に応じて、電動工具の方向において又はダストフード若しくは保護フードの電動工具から離れるように向いた側に配置され得る。換言すれば、電動工具は、電動工具の作業方向に応じて又は電動工具の工具の回転方向に応じて、その位置が選択され得る吸引取出装置を有し得る。本発明に関連して、吸引取出装置は、ダストフードの電動工具が動かされる側に配置されることが極めて特に特に好ましい。本発明に関連して、好ましくは、これは、好ましくは、吸引取出装置が、電動工具が引く作業方向に操作され、且つ電動工具の工具が「反時計回り」の回転方向に配置されるとき、ダストフードと電動工具との間に配置され、電動工具が押す作業方向に操作され、且つ電動工具の工具が「時計回り」の回転方向に回転されるとき、保護フードの電動工具から離れるように向いた前方側に配置されることを意味する。
【0012】
本発明に関連して、吸引ホース接続部は、電動工具の工具の回転方向に応じて電動工具に配置されることが好ましい。換言すれば、吸引ホース接続部の配置又は位置は、電動工具の工具が回転する回転方向に依存する。本発明に関連して、吸引ホース接続部は、工具が反時計回りに回転し、及び/又は電動工具が引く作業方向に操作されるとき、電動工具の工具の保護フードの動力工具側の端部に配置されることが好ましい一方、吸引ホース接続部は、工具が時計回りに回転し、及び/又は電動工具が押す作業方向に操作されるとき、電動工具の工具の保護フードの電動工具とは反対側にある前方端部に配置されることが好ましい。したがって、本発明により、電動工具の保護フード又はダストフードの領域における吸引ホース接続部又は吸引取出装置の最適な配置の可能性が提供され得る。本発明に関連して吸引ホース接続部又は吸引取出装置の位置が決定されるパラメータは、例えば、電動工具の作業方向又は電動工具の工具の回転方向である。これらのパラメータは、電動工具の動作状態を決定するものであり得る。
【0013】
本発明に関連して、吸引装置を認識するための手段は、機械的スイッチによって形成されることが好ましく、好ましくは、機械的スイッチは、マイクロスイッチとして構成され得る。マイクロスイッチを使用することが特に好ましいのは、吸引ホースの接続を検出手段で検出するときである。好ましくは、吸引装置を認識するための手段は、ダストフードに固定して取り付けられた吸引取出開口部への吸引取出ホースの接続を認識するように設定される。吸引装置を認識するための手段は、吸引取出の目的のためにダストフードに必要に応じて取り付けられる吸引取出アクセサリを認識するようにも設定され得る。本発明に関連して、認識手段は、言及されたデバイスの存在を認識するためのホールセンサ又は磁石を含むことが好ましい。代替的又は追加的に、検出手段は、吸引装置、吸引ホース接続部又は吸引取出アクセサリを認識するための静電容量式及び/又は誘導式センサを含み得る。
【0014】
例えば、アクセサリ装置として設計された別個のダスト吸引取出機を有する電動工具において、好ましくは、回転方向は、磁石が検出手段としてアクセサリ装置に配置される場合又はホールセンサが検出手段として電動工具のブレードガードに配置される場合、自動的に適合され得る。
【0015】
第2の態様では、本発明は、回転工具を有する電動工具を動作させる方法に関し、本方法は、以下のステップ:
a)回転工具を有する電動工具を提供するステップ、
b)検出手段で電動工具の動作状態を検出するステップ、
c)電動工具の検出された動作状態に応じて電動工具を動作させるステップ
を含む。
【0016】
提案される方法に関連して、電動工具の工具の回転方向は、吸引装置が電動工具に接続されているかどうか、又は吸引装置の接続が、対応する検出手段によって認識されているかどうかに応じて設定されることが特に好ましい。この認識は、検出手段で行われる。本発明に関連して、検出手段は、電動工具の動作状態として、吸引装置が電動工具に接続されているかどうかを検出するように特に設定されることが極めて特に好ましい。この点において、本方法は、吸引装置の認識に応じて電動工具の工具の回転方向を設定するための方法とも呼ばれ得る。換言すれば、本発明に関連して、電動工具の工具の回転方向は、吸引装置が電動工具に接続されているか否かに応じて設定される。したがって、本方法は、「吸引装置が電動工具に接続されているかどうかを確認する」方法ステップと、「電動工具に吸引装置があると認識されたことに応じて、電動工具の工具の回転方向を設定する」方法ステップとを含み得る。本方法は、電動工具の工具の回転方向に応じて又は電動工具の作業方向に応じて、吸引ホース接続部又は吸引取出装置を配置する方法ステップを更に含み得る。ここで、吸引ホース接続部又は吸引取出装置の位置は、電動工具の工具の回転方向又は電動工具の作業方向に対して、ダスト吸引取出が電動工具の動作に最適に設定されるように適合され、その結果、効率のよいダスト吸引取出が、要件を最適化しながら提供され得る。
【0017】
本発明に関連して、電動工具の工具は、吸引装置が電動工具に接続されている場合、時計回りに回転し、及び電動工具の工具は、吸引装置が電動工具に接続されていない場合、反時計回りに回転することが極めて特に好ましい。
【0018】
本発明に関連して、電動工具の工具の回転方向は、回転方向のための指示手段によって指示されることも好ましい。本発明に関連して、好ましくは、これは、電動工具が、電動工具のユーザに明確に見えることが好ましい、電動工具の工具の回転方向が指示され得る指示手段を含むことを意味する。例えば、発光ダイオード、すなわちLEDは、ユーザに工具の現在の回転方向を示し、それによりユーザが作業中にそれぞれの回転方向に調整し得る指示手段として使用され得る。小型画面又は何らかの他のインジケータも想定される。回転方向に応じてユーザの力がかなり変化し得るため、電動工具の工具の回転方向の指示は、特に重要であり、ユーザにとっての本発明の重要な利点を表す。例えば、起こり得る工具のつまり時、電動工具がどのように反応するかを知ることは、ユーザにとって特に重要である。これは、電動工具のユーザが、工具の回転方向が指示されない電動工具での場合に比べて、反動に対してよりよく準備できることを意味する。
【0019】
本発明に関連して、電動工具は、ブラシレスモータであるモータを含むことが好ましい。回転工具の回転方向を設定することができる電動工具が提供され得ることは、ブラシレスモータの分野では驚くべき技術革新を意味する。ブラシレスモータを使用する場合に電動工具の回転方向を設定可能であることは、内燃機関におけるような回転方向を変えるためのギヤボックスも、ブラシ付きモータにおけるような転流を切り替えるための機構も必要でないという利点と関連付けられる。このようにして、特に使いやすく、柔軟に使用可能な電動工具が提供され得る。
【0020】
好ましくは、「電動工具の回転方向を設定可能であること」という用語は、本発明に関連して、電動工具の工具の回転方向が、実行されるタスクの要件に応じて設定され得ることを意味する。例えば、「時計回り」の回転方向を設定することができる。他の用途では、「反時計回り」の回転方向を設定することが好ましい場合もある。好ましくは、本発明に関連して電動工具の回転方向を設定可能であることは、電動工具のユーザの好みに応じて、「時計回り」と「反時計回り」との2つの反対向きの回転方向を切り替えて往復させることが可能であることを意味する。「時計回り」の回転方向の例が図1に示されている。「反時計回り」の回転方向の例が図2に示されている。回転方向は、それぞれ円形の矢印で指示されている。
【0021】
切り替えは、例えば、スイッチを設定することにより実現され得る。この設定は、例えば、機械的に行うことができる。本発明に関連して、設定は、通信接続によって変更された設定を介して電動工具に送信されることも好ましい。設定の変更は、本発明の意味では、スイッチの作動として理解され得る。スイッチは、電動工具の制御ユニット又はパワーエレクトロニクスによって参照され得る。本発明に関連して、スイッチの位置に応じて、モータを制御するための制御ソフトウェアが適宜選択されることも好ましい。
【0022】
本発明に関連して、電動工具は、電動工具の工具の回転方向を設定するための電子装置を含むことが好ましい。本発明に関連して、電動工具の工具は、吸引装置が電動工具に接続されている場合、時計回りに回転する一方、電動工具の工具は、吸引装置が電動工具に接続されていない場合、反時計回りに回転することが極めて特に好ましい。吸引装置の存在を検出し得る検出手段は、例えば、電動工具の電子装置の部分であり得る。代わりに、検出手段は、電子装置に接続され得るか又は電子装置と通信し得、接続及び/又は通信は、有線構成又は無線構成であり得る。本発明に関連して、吸引装置又はその接続を検出する機能が電動工具の電子装置によって実施又は引き継がれることも好ましい。
【0023】
電動工具がダスト吸引取出を伴って使用される場合、「時計回り」の回転方向が特に好ましいことが試験により判明している。電動工具の工具の回転方向が「時計回り」である場合、好ましくは、工具は、動力工具の前方領域において、加工される基板から離れるか又は電動工具のユーザから離れるように回転する。結果として、粉砕された切削屑は、ユーザから離れるように運動の力積を受け得るため、電動工具を「時計回り」の回転方向に動作させる場合、電動工具の工具の回転方向に起因して、ユーザは、最初からダストへの暴露が少なくなる。本発明に関連して、切削屑は、滑らかであることが好ましい基材から離れるように運ばれることも好ましい。これにより、有利には、改善されてより完全な吸引取出の前提条件がもたらされる。本発明に関連して、電動工具は、基板を切断又は加工する際に生じる切削屑を吸い上げ、且つ例えば電動工具のユーザの呼吸領域から切削屑を除去するように設定されるダストフードと相互作用することが極めて特に好ましい。
【0024】
「反時計回り」の回転方向の場合、本発明に関連して、工具は、加工される基板で電動工具のユーザの方向に回転することが好ましい。本発明に関連して、工具の回転方向は、ユーザの動く方向をサポートすることが好ましい。このように工具又は電動工具の回転方向を設定できることは、ユーザにとって非常に負担が大きいと感じられる用途に特に有利であることが試験により判明している。負担は、例えば、大きい力で作業すること又は時間のかかる長時間の作業を行わなければならないことによって生じ得る。この点において、「反時計回り」の回転方向で電動工具を操作することにより、ユーザの身体的負担が少ない、電動工具での特に快適な作業が可能となる。本発明により、電動工具の工具の回転方向を設定可能であることが実現されるため、電動工具のユーザは、用途に応じて電動工具の工具の最適な回転方向を設定することができ、したがって有利には特にダストの少ない作業又は身体的負担の少ない作業を行うことができる。
【0025】
本発明に関連して、電動工具の冷却は、回転方向から実質的に独立しているように設計されることが好ましい。換言すれば、本発明に関連して、電動工具の冷却は、電動工具の工具の回転方向とは独立に機能し、冷却の動作モードは、工具の回転方向を切り替えることによって影響されないことが好ましい。好ましくは、電動工具の冷却は、特に、モータ及び/又はパワーエレクトロニクスなどの電動工具の構成要素を過熱から保護するように設定される。電動工具の冷却に関連して、好ましくは、流体は、冷却される電動工具の構成要素を通過するように導かれる。好ましくは、流体は、水性流体又は空気などの気体混合物であり得る。好ましくは、流体は、適切なパイプ又はダクトで冷却される電動工具の構成要素を通過するように導かれ、冷却される構成要素と冷却流体との間の温度差により、冷却流体の方向にモータ及び/又はラインエレクトロニクス間で熱交換が行われる。完全に意外なことに、本発明に関連して、回転方向とは独立に電動工具の冷却を提供することも可能である。
【0026】
電動工具のモータのために、回転方向から実質的に独立している冷却を提供することは、例えば、電動工具の冷却領域においてファンを使用することによって行うことができ、好ましくは、ファンは、優先方向を有さない。本発明に関連して、好ましくは、これは、冷却流体を案内する役割を果たすファンホイール上の要素が直線状のリブによって形成され得ることを意味する。直線状の冷却リブは、曲線状の冷却リブと異なり、冷却流体を優先方向に送達するのではなく、実質的に放射状に送達する。結果として、優先方向を有さないファンホイールを使用する場合、提案される電動工具に関連して提案された冷却は、このようにして電動工具のモータの包括的な冷却が工具の両方の動作方向で確保され得るため、回転方向から実質的に独立しているように設計され得る。本発明に関連して、この冷却力は、工具の両方の回転方向に対して実質的に100%であることが好ましい場合がある。しかしながら、冷却力は、100%未満である冷却に設定され得ることも好ましい場合がある。換言すれば、本発明に関連して、異なる冷却力は、特に電動工具の工具の回転方向に応じて電動工具の冷却に設定され得ることが好ましい。これは、電動工具の第1の動作モードが、電動工具の第2の動作モードよりも低い冷却力を必要とする場合に有利であり得る。100%未満の冷却力は、例えば、電動工具の冷却領域に、優先方向がわずかに顕著であるファンを使用することによって提供され得る。その結果、電動工具の工具を例えば第1の回転方向に動作させたときの優先方向における冷却は、100%の冷却力を達成することができ、電動工具の工具を例えば第2の回転方向に動作させたときの非優先方向における冷却は、低い冷却力であるが、電動工具の冷却を達成するのに十分な冷却力を達成することができる。本発明に関連して、このようにして要件に適合された冷却は、「回転方向から実質的に独立している電動工具の冷却」という用語にも含まれるはずである。
【0027】
本発明に関連して、電動工具は、回転方向インジケータを含むことが好ましい。換言すれば、好ましくは、電動工具は、電動工具の工具の回転方向のための指示手段を含む。指示手段は、例えば、小型ディスプレイ、画面又はモニタであり得る。好ましくは、指示手段は、タッチスクリーンとして設計され得、これにより、有利には、入力は、ユーザの指又は特殊なペンを介した接触によって行われ得る。指示手段は、例えば、異なる色を有する小型ランプ又はLEDも含み得る。例えば、Aの色のLEDは、「反時計回り」の回転方向を指示する一方、Bの色のLEDは、「時計回り」の回転方向を指示することができる。
【0028】
本発明に関連して、電動工具は、切断グラインダ、ダイヤモンド切断グラインダ又はアングルグラインダであることが極めて特に好ましい。この点において、本発明は、従来技術と異なり、電動工具のモータがブラシレスモータである状態で、工具の回転方向が行われる作業の要件に応じて切り替えられ得る切断グラインダ、ダイヤモンド切断グラインダ又はアングルグラインダに特に関する。本発明に関連して、好ましくは、「時計回り」と「反時計回り」との回転方向のいずれかを選択することができる。この目的のために、電動工具は、例えば、切替装置を含み得る。これは、例えば、トグルスイッチ又は2つの切替位置を可能にすることが好ましいスライドスイッチであり得る。好ましくは、それぞれ1つの切替位置が電動工具の1つの回転方向に対応する。
【0029】
1つの例示的な態様では、本発明は、切断グラインダ又はアングルグラインダに関し、好ましくは、駆動部は、ブラシレスモータで実施される。好ましくは、切断グラインダ又はアングルグラインダの工具は、自動的に設定可能な回転方向を有し、これにより、電動工具の切断砥石又は切断ブレードの回転方向は、ユーザの側でいかなる操作も行わずに設定される。これにより、有利には、特に構成が容易であり、工具の回転方向が設定可能であるという理由で特に使いやすい切断グラインダ又はアングルグラインダを提供することが可能になる。工具が時計回りに回転する電動工具では、吸引取出のための対応するダストフードと連携して、特に良好な切削屑の吸引取出が実現され得ることが判明した。この目的のために、電動工具又はダストフードは、例えば、真空掃除機又は集塵機に接続され得る。更に、工具が反時計回りに回転する電動工具は、驚くほどユーザの疲労が少なくなることが判明した。換言すれば、本発明により、切断グラインダ又はアングルグラインダの工具を反時計回りで操作する場合、電動工具のユーザの身体的負担をかなり軽減することができる。本発明の更なる利点は、電動工具の工具の回転方向が特に基板又は切断される材料のアクセス可能性に応じて選択され得ることである。
【0030】
本発明に関連して、ブラシレスモータの場合、工具の回転方向は、ソフトウェア制御により変更され得ることが好ましい。ここで、好ましくは、電動工具の工具の回転方向は、自動的に、すなわち特に電動工具のユーザの側で操作することなしに設定される。ここで、本発明に関連して、モータの両方の回転方向について、動力工具の構成要素の十分に大きい冷却が可能となることが好ましい。好ましくは、ブラシレスモータは、コンセントから取る電源又は他に1つ若しくは複数のバッテリ及び/若しくは蓄電池で動作され得る。
【0031】
本発明の好ましい態様では、電動工具による工具の回転方向の好ましくは自動的な設定のために、吸引ホースの接続の適切なセンサベースの検出が提供される。例えば、吸引ホース接続部がフラップ又はカバーで閉じられ得る場合、例えばマイクロスイッチにより、フラップ又はカバーが閉じているかどうかが検出され得る。本発明に関連して、開いているフラップは、吸引ホースが接続されている、すなわち吸引装置が存在すると解釈される。本発明に関連して、閉じているフラップは、吸引ホースが接続されていない、すなわち吸引装置が存在しないと解釈される。本発明に関連して、電動工具は、この情報に応じて工具の回転方向を設定するように設定されることが好ましい。この目的のために、特に、電動工具の電子装置又は制御装置が使用され得る。特に吸引ホースが接続されていない場合、「反時計回り」の回転方向が設定される一方、吸引ホースが接続されている場合、「時計回り」の回転方向が設定される。
【0032】
本発明の主な利点は、電動工具の工具の回転方向が電動工具の用途に最適に適合され得ることである。更に、本発明では、電動工具のダスト吸引取出の実施が時計回り又は反時計回りの回転方向に適合され得る。これにより、吸引取出の度合いを著しく向上させることが可能になる。更に、実質的なダストフリーの屋内作業を実現し得る追加の深さ止めが設けられ得る。
【0033】
電動工具の長さ切断用途では、例えば、ダスト吸引取出が不要である場合、ユーザによって好ましくは使用される引く作業方向を実施することが可能である。保護フード又はダストフードの前方領域における吸引取出により、吸引ホース接続部が保護フード又はダストフードに極めて簡単に一体化され得る。これは、ユーザが追加の吸引取出装置を取り付けたり取り外したりする必要がないという利点を有する。したがって、建設現場で吸引取出装置を紛失することもない。吸引取出の有無で用途を変更する場合、必要とされるのは、フードの吸引ホース接続部の閉鎖又は開放のみである。吸引取出装置は、有利には、真空掃除機又は集塵機など、建設現場に適した事実上すべての一般的な吸引装置で作動され得る。
【0034】
ダスト吸引取出装置が別個のアクセサリ装置として設計される電動工具、例えば切断グラインダの場合、好ましくは、回転方向は、例えば、アクセサリの磁石を用いて又は電動工具の工具のブレードガードのホールセンサを用いて、アクセサリが取り付けられるときに自動的に適合され得る。ダスト吸引取出を最適化するために、回転方向だけでなく、回転速度及びトルクなど他の動作パラメータを変更することも想定される。
【0035】
提案される電動工具は、吸引装置を認識し、且つ電動工具の工具の回転方向を自動的に変更又は設定するための以下の特徴によっても形成される。
【0036】
切断グラインダにおいて両方の回転方向を可能にするために、動力工具の構成において以下の点を考慮する必要がある。
- 好ましくは、モータファンは、両方の回転方向に対称的に適する。
- 好ましくは、工具は、両方の回転方向での使用に適する。電動工具が切断グラインダである場合、これは、特に切断砥石又は切削砥石に適用され、切断砥石又は切削砥石には、特に切削性能を向上させるためにダイヤモンドを散りばめることもできる。
- 好ましくは、電動工具のギヤ機構は、直線状の歯車の歯を有し、歯も両方の回転方向に適する。
- 好ましくは、電動工具は、両方の回転方向に適した電子整流モータを有する。
- 好ましくは、工具の締結は、工具の両方の回転方向に適する。本発明に関連して、これは、特に、工具の締結が両方の回転方向において緩まないことを意味する。換言すれば、電動工具が動作する回転方向にかかわらず、工具は、電動工具から望ましくない方法で外れない。
【0037】
本発明の更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになるはずである。図面には、本発明の様々な実施例が図示されている。図面、説明及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者はまた、有用な更なる組み合わせを形成するために、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせるであろう。
【0038】
図面では、同一及び類似の構成部品を同じ参照符号で示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】電動工具の好ましい実施例を示す図である。
図2】電動工具の更なる好ましい実施例を示す図である。
図3】回転方向に依存しない冷却のためのファンホイールの好ましい実施例を示す図である。
図4】工具が反時計回りに回転する電動工具の好ましい実施例を示す図である。
図5】引く作業方向における、工具が反時計回りに回転する電動工具の好ましい実施例を示す図である。
図6】工具が時計回りに回転する電動工具の好ましい実施例を示す図である。
図7】押す作業方向における、工具が時計回りに回転する電動工具の好ましい実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、モータ(2)と回転工具(3)とを有する提案される電動工具(1)を示す。本発明に関連して、電動工具(1)は、切断グラインダ、ダイヤモンド切断グラインダ又はアングルグラインダであることが極めて特に好ましい。工具(3)の回転方向(4)が電動工具(1)上で設定され得る。モータ(3)は、ブラシレスモータである。図1に示す電動工具(1)は、切断砥石(3)が時計回り方向に回転する切断グラインダである。結果として、切断過程又は切削過程中に生じるダスト又は切削屑は、電動工具(1)のユーザから離されるか又は運び去られるように工具(3)の作業領域から除去され得る。電動工具(1)は、ダストフードを含み得る。ダストフードは、回転工具(3)を囲むことが好ましく、例えばダスト吸引取出装置と連携してダスト又は切削屑を吸引によって取り出すように設定されることが好ましい。これにより、有利には、ダストがユーザに吸い込まれること及びダストが健康障害につながり得る気道に入り込むことが防止される。
【0041】
本発明の好ましい実施例では、電動工具(1)は、冷却システム(図示せず)を含み得る。好ましくは、電動工具(1)の冷却は、回転方向から独立しているように設計される。換言すれば、電動工具(1)の冷却は、電動工具(1)の工具(3)の回転方向(4)とは独立に動作し得るように設計され得る。好ましくは、電動工具(1)の冷却は、例えば、モータ(2)又はパワーエレクトロニクス(図示せず)など、電動工具(1)の動作に特に関連する電動工具(1)の構成要素を望ましくない過熱から保護するように設定される。
【0042】
本発明の好ましい実施例では、電動工具(1)は、回転方向(4)のための指示手段(6)を含み得る。換言すれば、本発明に関連して、電動工具(1)は、回転方向インジケータ(6)を含むことが好ましい。この回転方向(direction of rotation)又は回転方向(rotary direction)インジケータ(6)は、工具(3)の回転方向(4)がいずれに現在設定されているかを電動工具上で指示するために使用され得る。好ましくは、指示手段(6)は、電動工具(1)上でユーザが容易に視認できる箇所に配置される。
【0043】
図3は、回転方向に実質的に依存しない冷却のためのファンホイールの好ましい実施例を示す。ここでは、冷却リブが見えおり、好ましくは、冷却リブは、ファンホイール円盤の中心点から放射状に外側に延びる。放射状に延びることが好ましい直線状の設計の冷却リブを備えている、図3に示すファンホイールは、有利には、冷却流体を運ぶ際に優先方向を有さない。結果として、図3に例示するようなファンホイールにより、電動工具(1)の工具(3)の両方の回転方向(4)に使用され得る冷却を電動工具(1)内で提供することができる。
【0044】
図4は、工具(3)が反時計回りに回転する電動工具(1)を示す。工具(3)が反時計回りに回転する電動工具(1)の好ましい作業方向は、「引く」作業方向(9)である。本発明に関連して、これは、図4では例として切断グラインダである電動工具(1)が使用中にユーザの方向に引かれることが好ましいことを意味する。これは、反動として知られるもの、すなわち特に押す用途で見られる、基板に突然つまったときの電動工具(1)の急激な跳ね返りを防止することを意図する。電動工具(1)の工具(3)の回転方向(4)を理由として、特に引く作業方向(9)で使用される電動工具(1)の場合、ダストフード(8)の吸引ホース接続部(7)は、特に保護フード(8)の動力工具側の端部に配置されることが特に好ましい。ダストフード(8)のための吸引ホース接続部(7)のこのような配置を図5に示す。図5に示す電動工具(1)の実施例では、ダストフード(8)のための吸引ホース接続部(7)は、特に保護フード(8)の動力工具側の端部に存在する。好ましくは、吸引ホース接続部(7)は、吸引取出装置(10)と共に存在する。好ましくは、吸引ホース接続部(7)は、吸引装置の吸引ホースを電動工具(1)のダストフード又は保護フード(8)に締結するための、ダストフード(8)と吸引ホースとの間のアダプタであり得る。本発明に関連して、検出手段(5)は、吸引ホースのためのそれぞれの接続パイプの領域に配置されることが好ましい。しかしながら、検出手段(5)は、電動工具(1)で多くの異なる位置に配置され得る。
【0045】
図6及び図7は、図4及び図5と同様に、工具(3)が時計回り方向に回転し、それに応じて「押す」作業方向(9)に操作される電動工具(1)を示す。したがって、図7に示す電動工具(1)では、ダストフード(8)又は吸引取出装置(10)のための吸引ホース接続部(7)は、保護フード(8)の動力工具とは反対の側に配置される。このようにして、吸引ホース接続部(7)は、電動工具(1)が「押す」作業方向(9)に操作されるときに電動工具(1)の前を進む。
【符号の説明】
【0046】
1 切断グラインダなどの電動工具
2 モータ
3 工具
4 回転方向
5 検出手段
6 工具の回転方向のための指示手段
7 吸引ホース接続部
8 ダストフード又は保護フード
9 電動工具の作業方向
10 吸引取出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7