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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】自動ドアユニット及び建具
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/77 20150101AFI20240530BHJP
   E05F 15/63 20150101ALI20240530BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240530BHJP
   E05C 1/12 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
E05F15/77
E05F15/63
E05B49/00 J
E05C1/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019153986
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021031978
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴之
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-307078(JP,A)
【文献】特開平9-217530(JP,A)
【文献】特開2017-8677(JP,A)
【文献】特開2002-70422(JP,A)
【文献】特開2000-257336(JP,A)
【文献】特開2004-353207(JP,A)
【文献】特開2005-213846(JP,A)
【文献】特開平11-324483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05B 49/00
E05C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体と、
前記戸体を施錠及び解錠する錠機構と、
前記戸体の室内側に配置され、前記錠機構の施錠及び解除を操作可能な錠操作部と、
前記戸体を閉鎖位置で保持可能なラッチ機構と、
解除位置に操作することにより、前記ラッチ機構による前記戸体の保持を解除するラッチ操作部と、
を備える、自動開閉機能を有しない建具に取り付けられる自動ドアユニットであって、
前記戸体を開くことを示す開情報を送信可能な送信装置と、
前記戸体の室内側に取り付けられ、前記開情報を受信すると前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替える錠駆動装置と、
前記開情報を受信すると前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に20移動させる戸体駆動装置と、
前記ラッチ機構による前記戸体の保持を解除するラッチ解除装置と、
を有し、
前記送信装置において前記戸体を開くことを示す開情報を送信する制御を行う制御部と、前記戸体駆動装置において、前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に移動させる制御を行う制御部と、前記錠駆動装置において前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替える制御を行う制御部とは、配線により物理的に接続されていない物理的に独立した構成で、前記錠駆動装置が前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替えた後に、前記戸体駆動装置が、前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に移動させる制御を行う自動ドアユニット。
【請求項2】
前記ラッチ解除装置は、前記ラッチ操作部を解除位置に固定した状態で前記戸体に固定される請求項1に記載の自動ドアユニット。
【請求項3】
前記ラッチ解除装置は、前記開情報を受信すると前記戸体を閉鎖状態で保持する保持位置から解除位置に前記ラッチ操作部の位置を切り替えるラッチ駆動部を有する請求項1に記載の自動ドアユニット。
【請求項4】
戸体と、
前記戸体を施錠及び解錠する錠機構と、
前記戸体の室内側に配置され、前記錠機構の施錠及び解除を操作可能な錠操作部と、
前記戸体を閉鎖位置で保持可能なラッチ機構と、
解除位置に操作することにより、前記ラッチ機構による前記戸体の保持を解除するラッチ操作部と、を備える、自動開閉機能を有しない建具に自動ドアユニットが取り付けられて構成された建具であって、
前記自動ドアユニットは、
前記戸体を開くことを示す開情報を送信可能な送信装置と、
前記戸体の室内側に取り付けられ、前記開情報を受信すると前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替える錠駆動装置と、
前記開情報を受信すると前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に移動させる戸体駆動装置と、
前記ラッチ機構による前記戸体の保持を解除するラッチ解除装置と、
を備え、
前記送信装置において前記戸体を開くことを示す開情報を送信する制御を行う制御部と、前記戸体駆動装置において、前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に移動させる制御を行う制御部と、前記錠駆動装置において前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替える制御を行う制御部とは、配線により物理的に接続されていない物理的に独立した構成で、前記錠駆動装置が前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替えた後に、前記戸体駆動装置が、前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に移動させる制御を行う建具。
【請求項5】
開いた状態の戸体を閉鎖位置に移動させる力を付与するドアクローザを更に備え、
前記戸体駆動装置によって前記戸体を開放位置に移動させた後に、前記ドアクローザが付与する力によって前記戸体が閉鎖位置に移動する請求項4に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアユニット及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアを自動で開閉する自動ドアユニットを備える建具が知られている。この種の技術を開示するものとして特許文献1~5がある。
【0003】
特許文献1には、受信機器にて利用者が特定され、かつ人体検知手段にてドアに接近する人を検知したときに制御手段はドア駆動部を駆動させ、ドアを自動的に開く自動ドアユニットが記載されている。特許文献2には、認証情報の成立を条件として建物のゲートを開閉するドアロック装置と、居住者が所持しかつ認証情報を有する主端末と、居住者に対して建物内で役務を提供する役務提供者が所持する従端末とからなるドアロック解除システムが記載されている。特許文献3には、住宅等の玄関に設けられている玄関ドアを自動的に開閉する自動ドアユニットに使用される送信機が記載されている。特許文献4には、開口部閉鎖状態にある扉体の開放時に扉体の開放を補助する扉開放支援装置が記載されている。
【0004】
特許文献5には、認証手段によって識別情報と登録情報との一致が認証されている間は、施解錠手段を解錠状態にすると共にラッチ手段のラッチ状態を解除してラッチ手段を強制的に非ラッチ状態とした上でドア開放手段を作動させて住宅用ドアの開放状態を維持し、電子キーからの固有の識別情報が認証手段に受信されなくなった時点でドア開放手段による住宅用ドアの開放状態を解除してドアクローザによる住宅用ドアの閉止後に施解錠手段を施錠状態とする住宅用ドア自動開閉システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-138440号公報
【文献】特開2015-183455号公報
【文献】特開2017-89305号公報
【文献】特許第5435933号公報
【文献】特許第4487458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
戸体を自動的に開くための構成を既設の戸体に取り付けるためには、施錠を解錠する機構及び戸体を移動させる機構だけでなく、戸体を閉鎖位置で保持するラッチ機構を解除する機構を付加する必要が生じる。この点、特許文献5には、ラッチ機構を解除する機構を備えることが記載されているが、ラッチ機構は戸体に埋設されているため、ラッチ機構を交換する等、戸体の大幅な回収が必要になる。また、戸体の構造や厚みによっては、ラッチ機構を外部から操作できるようにするための構成が入りきらない可能性もある。
【0007】
本発明は、既設の戸体にも容易に戸体を自動で開く機能を付加できる自動ドアユニット及びこれを備える建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、戸体と、前記戸体を施錠及び解錠する錠機構と、前記戸体の室内側に配置され、前記錠機構の施錠及び解除を操作可能な錠操作部と、前記戸体を閉鎖位置で保持可能なラッチ機構と、解除位置に操作することにより、前記ラッチ機構による前記戸体の保持を解除するラッチ操作部と、を備える建具に取り付けられる自動ドアユニットであって、前記戸体を開くことを示す開情報を送信可能な送信装置と、前記戸体の室内側に取り付けられ、前記開情報を受信すると前記錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替える錠駆動装置と、前記開情報を受信すると前記戸体を前記閉鎖位置から開放位置に移動させる戸体駆動装置と、前記ラッチ機構による前記戸体の保持を解除するラッチ解除装置と、を有する自動ドアユニットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る自動ドアユニットが適用された建具を室外側から見た斜視図である。
図2】第1の実施形態の自動ドアユニットが適用された建具を室内側から見た斜視図である。
図3】第1の実施形態の自動ドアユニットの電動サムターンを示す拡大斜視図である。
図4】第1の実施形態の自動ドアユニットのラッチ解除装置を示す拡大斜視図である。
図5】第1の実施形態の自動ドアユニットの待機状態の電動オープナーを示す拡大斜視図である。
図6】第1の実施形態の自動ドアユニットの駆動状態の電動オープナーを示す拡大斜視図である。
図7】第1の実施形態の自動ドアユニットの電気的構成を示すブロック図である。
図8】第1の実施形態の自動ドアユニットの戸体の開動作の流れを示すフローである。
図9】第2の実施形態の自動ドアユニットの電気的構成を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態の自動ドアユニットが適用された建具を室内側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2には、建物100の開口部101に玄関ドアとして設置された建具1が示されている。
【0011】
建具1の全体構成について説明する。建具1は、開口部101に固定された枠体110と、枠体110に開閉可能に取り付けられる戸体10と、戸体10の室内側に配置されるドアクローザ5と、戸体10の自動開閉を行う自動ドアユニット20と、を備える。
【0012】
枠体110は、上枠111と、左右一対の縦枠112と、図示省略の下枠と、を含んで構成される。戸体10は、枠体110に対して弧を描いて開閉する開き戸である。戸体10には、戸体10を閉鎖位置で保持するラッチ機構11及び戸体10を施錠及び解錠するシリンダ錠14,15が埋設される。
【0013】
ラッチ機構11は、枠体110の見込面側に係合する図略のラッチ爪を有し、当該ラッチ爪が縦枠112の図略の係合孔に係合することにより、戸体10を閉鎖位置で保持する。ラッチ爪は、図略のバネ等の付勢部材によって戸体10から常時突出するように付勢されている。ラッチ機構11には、戸体10の保持を解除するラッチ操作部としての室外側ハンドル12及び室内側ハンドル13が接続される。
【0014】
室外側ハンドル12は戸体10の室外側に位置し、室内側ハンドル13は戸体10の室内側に位置する。室外側ハンドル12又は室内側ハンドル13の何れか一方が、開位置に操作されると上述のラッチ爪と係合孔の係合が解除される。
【0015】
シリンダ錠14,15は、上下に並んで配置されており、それぞれが独立して戸体10の施錠及び解錠を行うことができる。シリンダ錠14は、その室外側に鍵穴部140が配置され、室内側に錠操作部としてのサムターン141が配置される。このシリンダ錠14のサムターン141には、後述する電動サムターン2が設置されている。シリンダ錠15は、その室外側に鍵穴部150が配置され、室内側に錠操作部としてのサムターン151が配置される。
【0016】
ドアクローザ5は、戸体10の室内側の見付面に固定される本体部50と、本体部50と枠体110の上枠111とを連結するリンク部51と、備える。本体部50には、リンク部51を介して戸体10を開放位置から閉鎖位置に移動させる力を作用させる図略の減速装置が内蔵されており、開かれた戸体10はドアクローザ5によって自動的に閉鎖位置に移動する。また、ドアクローザ5は、戸体10の位置によって付与する力を調整可能に構成されており、ドアクローザ5によって閉鎖位置への戸体10の急激な移動が妨げられている。
【0017】
自動ドアユニット20は、自動開閉機能を有しない既設の建具1に後付けされる。自動ドアユニット20を後付けすることにより、建具1に戸体10が自動的に開く機能が追加される。
【0018】
本実施形態の自動ドアユニット20は、錠駆動装置としての電動サムターン2と、ラッチ解除装置4と、戸体駆動装置としての電動オープナー3と、送信装置としてのリモコンキー6と、備える。
【0019】
図3に示すように、電動サムターン2は、上側のシリンダ錠14の室内側に取り付けられる。電動サムターン2は、戸体10に固定される本体部21と、本体部21に配置され、シリンダ錠14のサムターン141に係合するサムターン係合部22と、を備える。
【0020】
図4に示すように、ラッチ解除装置4は、室内側ハンドル13の支持部分に取り付けられる。ラッチ解除装置4は、耐候性、紫外線劣化の観点から室内側に配置される。ラッチ解除装置4は、室内側ハンドル13をラッチ機構11のラッチ状態を解除する解除位置に押圧し、当該解除位置で室内側ハンドル13を固定する。これによって、ラッチ機構11は常時、ラッチ爪が内部に退避した非ラッチ状態となる。
【0021】
図5に示すように、電動オープナー3は、建物100側の上枠111に固定される本体部31と、本体部31に回転可能に取り付けられるアーム部32と、を備える。アーム部32の先端にはフリーローラ33が回転自在に取り付けられる。図6に示すように、戸体10を開くときは、アーム部32の先端が室外側に回転して戸体10の室内側の面に接触する。アーム部32によって戸体10に対して室外側に押し込む力が作用し、戸体10が室外側に開かれる。アーム部32の先端には、フリーローラ33が配置されているので、戸体10の移動に追従してアーム部32が移動しても戸体10に引っかかったりすることもない。
【0022】
次に、図7を参照して第1の実施形態の自動ドアユニット20の電気的構成の一例について説明する。電動サムターン2の本体部21の内部には、電動サムターン2の各種の制御を行う電子部品である制御部25と、リモコンキー6からの開信号を受信可能な無線装置26と、サムターン係合部22を回転させるサムターン用モータ27と、が配置される。
【0023】
電動オープナー3の本体部31の内部には、電動オープナー3の各種の制御を行う電子部品である制御部35と、リモコンキー6からの開信号を受信可能な無線装置36と、アーム部32を回転させるオープナー用モータ37と、が配置される。
【0024】
リモコンキー6は、開信号を送信可能な電子機器である。リモコンキー6は、各種の制御を行う制御部61と、戸体の開情報を送信する無線装置62と、ユーザの操作を受け付ける操作部63と、を備える。制御部61は、操作部63を介してユーザの操作を受け付けると無線装置62から戸体10を開くための開信号を送信する制御を行う。
【0025】
本実施形態の開信号は、特定のユーザであることを識別するための認証情報であるが、ユーザの意思により操作部63が操作されなければ開信号が送信されない構成となっている。即ち、ユーザが戸体10に近づいても、戸体10が自動的に開かない構成となっている。これによって、戸体10に近づいたユーザによって意図せず戸体10が開く事態の発生が防止されている。
【0026】
次に、図8を参照して本実施形態の自動ドアユニットが戸体10を開く動作について説明する。図8に示すように、ユーザがリモコンキー6の操作部63を操作すると、信号が送信される。制御部25は、電動サムターン2の無線装置26が開信号としてロックを解除する信号をリモコンキー6から受信するとサムターン用モータ27を駆動し、シリンダ錠14のサムターン141を回転させてロックの解除を行う(ステップS102)。電動オープナー3の無線装置36が戸体10を開く開信号を受信すると、制御部35はステップS102の処理で戸体10の解錠が行われた後に、オープナー用モータ37を駆動してアーム部32を待機位置から開放位置に移動させて戸体10を閉鎖位置から開く(ステップS103)。
【0027】
本実施形態では、サムターン用モータ27を駆動して戸体10が解錠された後にオープナー用モータ37を駆動することにより、解錠前に戸体10が閉鎖位置に移動しようとする事態の発生を防止している。
【0028】
次に、戸体10を閉じる動作について説明する。電動オープナー3の制御部35は、所定のタイミングでアーム部32を待機位置に戻す。アーム部32の支持を失った戸体10は、ドアクローザ5の力によって閉鎖位置に自動的に戻る。即ち、ドアクローザ5の機械的な動作によって開放された戸体10が閉鎖位置に戻ることになる。
【0029】
次に、上記実施形態とは異なる第2の実施形態について説明する。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
【0030】
第2の実施形態では、ラッチ解除装置4aの構成が上記実施形態とは異なる。図9に示すように、ラッチ解除装置4aは、ラッチ解除装置4aの各種の制御を行う制御部45と、リモコンキー6からの開信号を受信可能な無線装置46と、ラッチ機構11による戸体10の保持を解除させるラッチ用モータ47と、を備える。
【0031】
ラッチ解除装置4aは、リモコンキー6から開信号を受信すると、ラッチ用モータ47を駆動させてラッチ機構11による戸体10の保持を解除し、オープナー用モータ37によって戸体10が閉鎖位置から移動するまで解除状態を維持する。ラッチ用モータ47が駆動させる対象は、例えば、待機位置から動作位置に移動して室内側ハンドル13を押圧するようなプッシュ機構や、室内側ハンドル13を解除位置に回動させる回動機構等である。戸体10が閉鎖位置から移動した後、ラッチ用モータ47の駆動を停止する。ラッチ用モータ47の駆動を停止した状態で戸体10が閉鎖位置に移動すると、ラッチ機構11によって戸体10が閉鎖位置で保持される。
【0032】
次に、上記実施形態とは異なる第3の実施形態について説明する。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
【0033】
図10は、第3の実施形態の自動ドアユニット20が適用された建具1aを室内側から見た斜視図である。第3の実施形態では、ドアクローザ5aが戸体駆動機能を有し、ドアクローザ5aによって戸体10の開閉が行われる点が第1の実施形態とは異なっている。
【0034】
図10に示すように、ドアクローザ5aの本体部50aには、リンク部51aを駆動するためのオープナー用モータ255が内蔵される。オープナー用モータ255は、本体部50aの外部からケーブル260を介して供給される電力によって駆動する。オープナー用モータ255の駆動によってリンク部51aが回動し、戸体10が開かれる。
【0035】
第3の実施形態では、本体部50aの外側に無線装置250が配置される。無線装置250は、ケーブル251を介してオープナー用モータ255に電気的に接続される。電気的な接続関係は、図3のブロック図に示す第1実施形態の電動オープナー3と同様の構成であり、図10ではその図示を省略する制御部35が本体部50aの内側又は無線装置250の内側に配置される。
【0036】
第3の実施形態においても、ユーザがリモコンキー6の操作部63を操作すると、開信号が送信される。電動サムターン2では、無線装置26が開信号を受信すると制御部25がサムターン用モータ27を駆動し、シリンダ錠14のサムターン141を回転させてロックの解除を行う。
【0037】
ドアクローザ5aに接続される無線装置250は、電動サムターン2からの開信号を受信すると、オープナー用モータ255に戸体10を開くことを示す開信号を送信する。開信号を受信したオープナー用モータ255は、リンク部51aを待機位置から開放位置に移動させるように駆動し、戸体10を閉鎖位置から開く。
【0038】
戸体10の閉鎖動作について説明する。第3の実施形態においても、ドアクローザ5aによって付与される力によって戸体10が閉鎖する。ドアクローザ5aによる戸体10を閉鎖する方向への力の付与は、第1及び第2の実施形態と同様に機械式であってもよいし、オープナー用モータ255を閉じる方向に動作させる電動式であってもよい。
【0039】
第3の実施の形態においても、電動サムターン2による解錠が行われた後に、戸体10の開動作が行われる。例えば、サムターン用モータ27の駆動によって解錠が完了した後に、電動サムターン2からの開信号が無線装置250に送信される構成としてもよい。また、第3の実施形態において、無線装置250がリモコンキー6の開信号を直接受信する構成としてもよい。例えば、無線装置250が、タイマによる所定時間の経過又は電動サムターン2からの信号に基づいてサムターン用モータ27による解錠が完了したことを検知し、解錠完了後にオープナー用モータ255に開信号を送信する構成としてもよい。
【0040】
以上説明したように、上記実施形態の建具1,1aは、戸体10と、戸体10を施錠及び解錠する錠機構としてのシリンダ錠14と、戸体10の室内側に配置され、シリンダ錠14の施錠及び解除を操作可能な錠操作部としてのサムターン141と、戸体10を閉鎖位置で保持可能なラッチ機構11と、解除位置に操作することにより、ラッチ機構11による戸体10の保持を解除するラッチ操作部としての室内側ハンドル13と、を備える。この建具1に取り付けられる自動ドアユニット20は、戸体10を開くことを示す開情報としての開信号を送信可能な送信装置としてのリモコンキー6と、戸体10の室内側に取り付けられ、開を受信すると錠操作部としてのサムターン141を施錠位置から解錠位置に切り替える錠駆動装置としての電動サムターン2と、開信号を受信すると戸体10を閉鎖位置から開放位置に移動させる戸体駆動装置としての電動オープナー3又は戸体駆動機能付きドアクローザ5aと、ラッチ機構11による戸体10の保持を解除するラッチ解除装置4,4aと、を有する。
【0041】
これにより、ラッチ機構11による戸体10の閉鎖位置の保持の解除が行われた状態で、解錠後の戸体10の開動作が行われることになる。ラッチ解除装置4,4aは、室内側ハンドル13を解除位置で保持することにより、ラッチ機構11の保持を解除しているので、ラッチ機構11の交換等の作業を行う必要がなく、既設の戸体10に容易にラッチ解除装置4,4aを取り付けることができる。このように、本実施形態の自動ドアユニット20によれば、既設の建具1,1aにも容易に戸体10を自動で開く機能を付加できる。
【0042】
また、上記実施形態のラッチ解除装置4は、室内側ハンドル13を解除位置に固定した状態で戸体10に固定される。
【0043】
これにより、室内側ハンドル13がラッチ解除装置4によって常時ラッチの解除位置で機械的に保持されることになるので、電気的な部品や制御が電動サムターン2と電動オープナー3だけでよくなり、自動ドアユニット20をシンプルな構成で実現できる。
【0044】
また、第2の実施形態のラッチ解除装置4aは、開信号を受信すると戸体10を閉鎖状態で保持する保持位置から解除位置に室内側ハンドル13の位置を切り替えるラッチ駆動部としてのラッチ用モータ47を有する。なお、第3の実施形態において、ラッチ解除装置4を第2の実施形態の電動式のラッチ解除装置4aに変更してもよい。
【0045】
これにより、リモコンキー6を使用しないときの開閉にラッチ機構11の機能を停止することなく、戸体10を自動的に開く機能を既設の戸体10に付加できる。
【0046】
また、上記第1及び第2の実施形態の建具1は、開いた状態の戸体10を閉鎖位置に移動させる力を付与するドアクローザ5を更に備え、電動オープナー3によって戸体10を開放位置に移動させた後に、ドアクローザ5が付与する力によって戸体10が閉鎖位置に移動する。
【0047】
これにより、戸体10を閉じるための機構を電動オープナー3に備える必要がなくなるので、電動オープナー3の構成及び制御をシンプルにすることができる。ドアクローザ5が設置される既設の建具1の場合は、既存のドアクローザ5を利用できるので、戸体10を自動開閉するための改修費用及び改修作業も抑制できる。
【0048】
また、第3の実施形態の建具1aは、開いた状態の戸体10を閉鎖位置に移動させる力を付与するドアクローザ5aを更に備え、ドアクローザ5aの本体部には戸体10に接続されるリンク部25aを駆動させるオープナー用モータ255が内蔵される。オープナー用モータ255の駆動によってリンク部25aが回動し、戸体10が閉鎖位置から開いた開放位置に移動する。これにより、既設のドアクローザ5を第3の実施形態のドアクローザ3aに変更するだけで戸体10を開く機能を付加することができ、建具1aの枠体110の加工も不要又は加工コストを抑えることができる。また、電動オープナー3をドアクローザ5とは別に配置できないレイアウトの建具1aにも自動ドア機能を容易に付加できる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制
限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0050】
上記実施形態では、室内側ハンドル13にラッチ解除装置4,4aを取り付ける例を説明したが、室外側ハンドル12にラッチ解除装置4,4aを取り付ける構成としてもよい。また、室内側ハンドル13及び室外側ハンドル12は、ラッチ操作部としての一例であり、ラッチ機構11による戸体10の閉鎖位置の保持を解除する機構であれば、取っ手が円柱状のいわゆるドアノブやレバーハンドル等、種々の構成をラッチ操作部として採用することができる。また、ラッチ操作部を解除位置で保持する機構としては直接的に押下げするだけでなく、摩擦力を利用してラッチ操作部を解除位置で保持する機構等、種々の方式のものを利用できる。
【0051】
上記第1及び第2の実施形態では、戸体駆動装置としての電動オープナー3が上枠111側に配置される構成であるが、縦枠112側に電動オープナー3を配置することもできる。また、電動オープナー3は、アーム部32の先端にフリーローラ33が回転自在に取り付けられる構成であるが、この構成に限定されない。戸体10を開く動作を行える構成であれば、さまざまな方式の戸体駆動装置を採用することができる。例えば、戸体10に連結され、戸体10を閉める方向にも力を作用させることができる戸体駆動装置を採用することができる。
【0052】
上記実施形態で説明した戸体10の解錠が完了したタイミングを判定する方法は一例であり、解錠の判定は種々の方法を採用できる。例えば、サムターン用モータ27が駆動開始するタイミングや駆動停止するタイミングから所定時間経過したことをトリガとしてもよい。また、施錠及び解錠を検知する錠検知部を戸体10又は枠体110に配置し、当該錠検知部の検知信号によって解錠が完了したことを検知してもよい。また、制御部25と制御部35を共通化し、単独の制御部によってサムターン用モータ27とオープナー用モータ37,255のそれぞれを駆動制御する構成としてもよい。
【0053】
上記実施形態では、電動サムターン2が上側のシリンダ錠14にのみ配置される構成であるが、下側のシリンダ錠15にも同様の電動サムターン2を配置する構成としてもよい。下側のシリンダ錠15に配置される電動サムターン2も、上側のシリンダ錠14に配置される電動サムターン2と同様にリモコンキー6の操作に応じて解錠動作を行う。
【0054】
上記実施形態で説明したように、開情報としての開信号の送受信方法は、種々の方式を採用することができる。より具体的には、電動オープナー3は、第1や第2の実施形態のようにリモコンキー6から開信号を受信する構成でもよいし、第3の実施形態のように電動サムターン2からの解除完了の状態を踏まえた開信号を受信する構成でもよい。あるいは、電動オープナー3がラッチ解除装置4aからの開信号を受信する構成としてもよい。
【0055】
上記実施形態では、ラッチ操作部としての室内側ハンドル13を解除位置で保持することにより、ラッチ機構11による戸体10の保持を解除する構成を説明したが、この構成も、事情に応じて適宜変更できる。例えば、ラッチ機構11の戸先側の端面(フェースプレート)のラッチ爪が突出する開口部分に蓋部材を取り付け、蓋部材によってラッチ爪を押し込んで解除状態に固定する構成としてもよい。このように、ラッチ解除装置は、ラッチ操作部ではなく、ラッチ機構に取り付けられた状態で戸体の保持を解除する構成とすることもできる。
【0056】
上記実施形態では、既設の建具1,1aに自動ドアユニット20を取り付ける構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、最初から戸体10を自動的に開く機能を有する建具1を上記実施形態と同様の構成で、製造することもできる。
【0057】
上記実施形態では、いわゆる開き戸式の建具1,1aを例として説明したが、この構成に限られず、種々の建具に本発明を適用することができる。例えば、戸体が引戸であっても、本願発明を適用することができる。この場合、戸体駆動装置としては、例えば、戸体を左右方向にスライド移動させるものが用いられ、ラッチ解除装置は引戸のラッチ機構を解除するラッチ操作部を解除位置で保持できる機構を有するものが用いられる。
【符号の説明】
【0058】
1,1a 建具
2 電動サムターン
3 電動オープナー
4,4a ラッチ解除装置
5,5a ドアクローザ
6 リモコンキー
10 戸体
11 ラッチ機構
13 室内側ハンドル
14 シリンダ錠
20 自動ドアユニット
図1
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