(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】吐水制御装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A47K3/28
(21)【出願番号】P 2019214361
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西澤 研一
(72)【発明者】
【氏名】今村 竜太
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 和幸
(72)【発明者】
【氏名】中田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】水野 智之
(72)【発明者】
【氏名】白石 和久
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-023704(JP,A)
【文献】特開平04-183422(JP,A)
【文献】特開平04-219157(JP,A)
【文献】特開2011-226607(JP,A)
【文献】特開2012-036925(JP,A)
【文献】特開2016-176656(JP,A)
【文献】米国特許第4801091(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
E03C 1/00-1/10
B05B 1/08
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することにより水流を遮断する状態と、開放する状態とを切り替える部材であって中心軸線が第1方向に延びる中空円筒状の回転部と、
前記回転部を前記中心軸線周りに回転させる駆動部と、
使用者の操作に応じて前記駆動部の回転を制御する制御部と、
を備え、
前記回転部は、前記第1方向において前記駆動部とは反対側の底部開口から流入した水流を、前記回転部の側部開口から送出可能に構成され
、
前記制御部は、使用者の操作に応じて駆動部の回転速度を制御することによって前記水流の遮断間隔を連続的に変化させる吐水制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転部が所定の回転位置に停止している状態では前記水流を開放する、
請求項1に記載の吐水制御装置。
【請求項3】
前記回転部の遮断状態を検知可能な検知部を有する、
請求項1から
2のいずれか1項に記載の吐水制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、湯水を吐水する吐水制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の天井などの高所から湯水を吐水する吐水装置が知られている。本出願人は、特許文献1において、吐水口からパルス状に吐水できる吐水装置を開示した。この吐水装置は、吐水口と対向する通水孔を有する散水板と、散水板よりも上流側に設けられて湯水の流れを周期的に切る羽根車とを備え、湯水の水流によって羽根車を回転させて湯水を間欠的にパルス状に吐水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、浴室で高所から湯水を吐水する吐水装置に関して以下の認識を得た。吐水装置は、使用者に連続的な吐水や間欠的な吐水を提供することにより、使用者にリラックス効果を与えることができる。本発明者らの研究によれば、吐水装置に関して使用者が所望する間欠サイクルの周期(以下、「間欠間隔」という)および吐水量は、そのときの状況によって異なることが分かった。
【0005】
間欠吐水するために、供給水の水流で羽根車を回転させて吐水を遮断したり開放したりする構成が考えられる。この構成の場合、間欠間隔は羽根車の回転速度に概ね反比例すると考えられる。したがって、この構成では、間欠間隔を短くするには、湯水の給水量を増やして回転速度を上げることが考えられる。しかし、水量が少ないときは間欠間隔を短くできない。間欠間隔を長くするには、湯水の給水量を減らして羽根車の回転速度を下げることが考えられる。しかし、水量が多いときは間欠間隔を長くできない。この構成で連続吐水するには、給水量を大幅に下げて羽根車の回転を止めることが考えられる。しかし、実質的に連続吐水することはできない。つまり、この構成では、所望の吐水量で任意に間欠間隔を変更することは難しい。
【0006】
これらから、本発明者らは、吐水制御装置には、所望の吐水量で間欠吐水の間隔を変更可能にする観点で改善の余地があることを発見した。
【0007】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたもので、間欠吐水の間隔を容易に変更可能な吐水制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の吐水制御装置は、回転することにより水流を遮断する状態と、開放する状態とを切り替える回転部と、回転部を回転させる駆動部と、使用者の操作に応じて駆動部の回転を制御する制御部と、を備える。
【0009】
以上の構成要素の任意の組み合わせや、本開示の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものも本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の吐水制御装置が設けられた浴室の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図1の吐水制御装置を模式的に示す模式図である。
【
図3】
図1の吐水制御装置の吐水状態を示す断面斜視図である。
【
図4】
図1の吐水制御装置の本体部を示す断面斜視図である。
【
図5】
図1の吐水制御装置の主要部の分解斜視図である。
【
図6】
図1の吐水制御装置の止水状態を示す断面斜視図である。
【
図7】
図1の吐水制御装置の吐水状態を模式的に示す模式図である。
【
図8】
図1の吐水制御装置の止水状態を模式的に示す模式図である。
【
図9】
図1の吐水制御装置の操作部を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面を参照しながら実施の形態を説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられる。この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって本開示の構成が限定されるものではない。以下の実施形態は、本開示の内容理解を助けるために例示するものであり、本開示の構成を限定するものではない。
【0013】
[実施の形態]
図1から
図8を参照して、本開示の実施の形態に係る吐水制御装置100について説明する。説明の便宜上、
図2に示すように、吐水制御装置100から打たせ湯部50に向かう水平方向をX方向、X方向に直交する鉛直方向をZ方向という。X方向を左右方向と、Z方向を上下方向ということがある。このような方向の表記は吐水制御装置100の使用姿勢を制限するものではなく、吐水制御装置100は任意の姿勢で使用されうる。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の吐水制御装置100は、浴室ユニット60の天井に設けられる。
図2に示すように、吐水制御装置100は、1次配水管52から湯水Wpの供給を受け、間欠的または連続的な吐水Wsを打たせ湯部50に送出する。打たせ湯部50は、浴室ユニット60の天井パネル64に設けられ、使用者80に吐水Wsを滴下する。間欠的な吐水Wsは、湯水が送出される状態と送出されない状態とが交互に繰り返すパルス状の水流である。連続的な吐水Wsは、湯水が送出される状態が続く水流である。
【0015】
先に、浴室ユニット60の全体構成を説明する。浴室ユニット60は、
図1に示すように、それぞれ複数の壁パネル62及び天井パネル64と、防水パン66、防水パン66に支持される浴槽68と、打たせ湯部50と、ベンチカウンター70と、を備える。また、浴室ユニット60には、図示しない浴室出入口、窓、シャワー装置およびカランが設けられている。浴室ユニット60は、複数の壁パネル62及び天井パネル64によって区画された浴室空間60aを有する。壁パネル62及び天井パネル64は、浴室空間60aの内部側に化粧面を有する鋼板と、この鋼板の裏面に貼付される石膏ボードと、を有する鋼板パネルである。
【0016】
壁パネル62には、使用者80が打たせ湯部50の吐水を調整するための操作部36が設けられている。操作部36については後述する。
【0017】
図1、
図2に示すように、打たせ湯部50は、吐水口50hと、接続部50jとを有する。打たせ湯部50は、天井パネル64に設けられ、吐水口50hは浴室空間60aに開口する。接続部50jは、吐水制御装置100の出口部16から延びる2次配水管54に接続され、2次配水管54から供給された吐水Wsを吐水口50hに送る。2次配水管54は、天井パネル64の天井裏に設けられる天井裏配水管である。吐水口50hは、供給された吐水Wsを浴室空間60aに滴下する。打たせ湯部50は、吐水口50hから間欠的に滴下した吐水Wsがベンチカウンター70に座った使用者80の肩等に当たるような位置に設置されている。
【0018】
図2から
図8を参照して、吐水制御装置100を説明する。
図3は、吐水制御装置100の吐水状態を示し、
図6は、止水状態を示している。吐水制御装置100は、
図2に示すように、本体部10と、回転部20と、制御部30と、駆動部26と、検知部40と、操作部36とを主に含む。吐水制御装置100は、
図3、
図5に示すように、プレート24と、回転板42と、センサ44と、環状部材18eと、キャップリング18fと、支持部18と、接続部22と、固定円筒部12とを含む。
【0019】
(本体部)
本体部10を説明する。
図4に示すように、本体部10は、第1円筒空間部10dと、第2円筒空間部10jと、第3円筒空間部10kと、入口部14と、出口部16と、を主に有する。本体部10は、上面視で略円形状の外径を有する部材で、主要な構成要素を支持する筐体として機能する。第1円筒空間部10dと、第2円筒空間部10jと、第3円筒空間部10kとは、それぞれ略円筒空間を囲む部分である。第1円筒空間部10dと、第2円筒空間部10jと、第3円筒空間部10kとは、下からこの順で連設されている。
【0020】
入口部14は、第1円筒空間部10dの下方に設けられ、第1円筒空間部10dが規定する空間に通じている。出口部16は、第1円筒空間部10dの左方に設けられ、第1円筒空間部10dが規定する空間に通じている。
【0021】
図3に示すように、第1円筒空間部10dには、固定円筒部12と回転部20とが収容される。第2円筒空間部10jには、支持部18と、環状部材18eと、キャップリング18fと接続部22と、が収容される。第3円筒空間部10kは、第2円筒空間部10jよりも大きく、第3円筒空間部10kには、回転板42と、センサ44とが収容される。
【0022】
本体部10の上端側にプレート24が固定される。プレート24は、第3円筒空間部10kの上方を塞ぐ円板状の部材である。本実施形態のプレート24は、駆動部26を取り付けるための取付台として機能する。
【0023】
固定円筒部12は、中心軸線Laが上下に延びる円筒状の中空部を有する円筒部材であり、第1円筒空間部10dの内周面に固定される。固定円筒部12の左側面には、出口部16に通じる第1側部開口12gが設けられている。第1側部開口12gの周縁には、回転部20との間をシールするシール部材12mが設けられる(
図5を参照)。固定円筒部12の下端は、開放されて入口部14に通じている。固定円筒部12は、内部に回転部20を回転可能に収容する。
【0024】
図2も参照する。入口部14は、供給された湯水Wpを回転部20の内部に導く導入部である。入口部14は、第1円筒空間部10dの下側から下方に延びる入口通路14cを有する。入口部14は、下方に突出する入口突出部14dを有する。入口突出部14dは、1次配水管52と接続される。入口突出部14dの外周面には1次配水管52と接続されるための雌ねじ14eが形成されている。1次配水管52の入口部14とは反対側にはバルブ56が接続されている。バルブ56の1次配水管52とは反対側には、湯水の供給源(不図示)が接続されている。
【0025】
出口部16は、回転部20から送出される吐水Wsを外部に導く導出部である。出口部16は、固定円筒部12の第1側部開口12gから左方に延びる出口通路16cを有する。出口部16は、左方に突出する出口突出部16dを有する。出口突出部16dは、2次配水管54と接続される。出口突出部16dの外周面には2次配水管54と接続されるための雌ねじ16eが形成されている。2次配水管54の出口部16とは反対側にはL字継手54jが接続されている。
【0026】
(回転部)
回転部20を説明する。回転部20は、中心軸線が上下に延びる中空円筒状の部材である。回転部20の外径は、固定円筒部12の内径より僅かに小さく形成されており、これらの外径と内径の間の隙間は水漏れを生じないように構成されている。回転部20は、底部に底部開口20hを有し、底部開口20hは入口部14に連通する。したがって、回転部20の内部には、湯水Wpが入口部14から底部開口20hを通じて流入する。回転部20の上面は接続部22によって塞がれている。
【0027】
図7、
図8の模式図に示すように、回転部20の側面には、固定円筒部12の第1側部開口12gに対応する位置に第2側部開口20gが設けられている。回転部20が所定の回転位置にあるときに、
図7に示すように、第2側部開口20gは第1側部開口12gと向き合って連通し、他の回転位置では、
図8に示すように、第2側部開口20gは第1側部開口12gと連通しない。第2側部開口20gが第1側部開口12gと連通するとき、入口部14と出口部16とが連通される。つまり、入口部14から回転部20に流入した湯水Wpは、第2側部開口20gと第1側部開口12gとを通って出口部16から吐水Wsが送出される。
【0028】
第2側部開口20gと第1側部開口12gとが連通しないとき、回転部20に流入した湯水Wpは、出口がないのでその場に滞留する。したがって、回転部20が回転する毎に、第2側部開口20gが第1側部開口12gと連通する状態と連通しない状態とが周期的に繰り返され、間欠的な吐水Wsが形成される。
【0029】
換言すると、吐水制御装置100は、第1側部開口12gと第2側部開口20gとが連通しない第1回転位置と、これらが連通する第2回転位置とを有する。吐水制御装置100は、回転部20が第1回転位置に停止している状態では水流を遮断した止水状態になる。吐水制御装置100は、回転部20が第2回転位置に停止している状態では水流を遮断せず連続吐水する。
【0030】
(駆動部)
駆動部26は、回転部20を回転させる。本実施形態では、駆動部26にステッピングモータを採用している。この場合、回転部の回転位置または回転速度を容易に制御できる。回転部を所定の回転位置に停止できる。
【0031】
図5に示すように、本実施形態の駆動部26は、全体として略直方体形状を有し、プレート24にネジ締めなどにより固定される。駆動部26は、プレート24を越えて下方に突出する出力軸26sを有する。出力軸26sは、回転板42の上カプラー部42cの内部に進入した状態で上カプラー部42cに固定される。回転板42の下カプラー部42dの内部には、回転部20の接続部22が進入した状態で固定される。したがって、駆動部26が出力軸26sを回転駆動するとき、回転板42および回転部20は出力軸26sと一体に回転する。
【0032】
(検知部)
検知部40を説明する。検知部40は、回転部20による水流の遮断状態を検知する。本実施形態の検知部40は、遮断状態を検知するために回転部20の回転位置を検知する。つまり、回転部20が第1回転位置にある状態では水流は遮断されており、回転部20が第2回転位置にある状態では水流は遮断されていないと判断できる。特に、本実施形態の検知部40は、回転部20の周方向の回転位置を検出するロータリーエンコーダとして機能する。本実施形態の検知部40は、第2側部開口20gに関連づけられた周方向位置に目印が設けられる回転板42と、目印を検出するセンサ44とを含む。つまり、回転板42は、回転板42の目印と第2側部開口20gとが周方向で所定の位置関係になるように構成されている。
【0033】
図3に示すように、回転板42は、目印として外周部に周方向に順に配置される透光部42nと非透光部42mとを有する円形部材である。回転板42の外周部において、切り欠かれた部分が透光部42nであり、切り欠かれていない部分が非透光部42mである。回転板42は切り欠きに代えて透明部材を設けてもよい。
【0034】
センサ44は、透過型のフォトインタラプタである。センサ44は、対向する発光部(不図示)と受光部(不図示)を持ち、発光部からの光を非透光部42mが遮るのを受光部で検出することによって、透光部42nと非透光部42mとを判別する。吐水制御装置100の制御部30は、センサ44が非透光部42mを検出しているときに水流は遮断されていないと判断し、透光部42nを検出しているときに水流は遮断されていると判定できる。
【0035】
接続部22は、回転部20の上面に固定される円柱状の部分であり、下カプラー部42dと上カプラー部42cと介して駆動部26の出力軸26sと接続される。接続部22は、本体部10に設けられた支持部18に収容され、回転可能に支持される。
【0036】
支持部18は、固定円筒部12の上方に連設され、第2円筒空間部10jに収容される中空環状の部材である。支持部18は、接続部22を回転可能に指示する軸受手段として機能する。支持部18は、その外周にOリング18wが嵌装され、第1円筒空間部10dから第3円筒空間部10kへの水漏れを防ぐシール機能も備える。
【0037】
環状部材18eおよびキャップリング18fは、支持部18の上方において、第2円筒空間部10jに収容される中空環状の部材である。環状部材18eおよびキャップリング18fは、支持部18の上方への抜け出しを防止する。環状部材18eは、支持部18の上端に当接している。キャップリング18fの上端は、環状部材18eに当接している。キャップリング18fの上部は、第3円筒空間部10kが規定する円筒空間に突出している。
【0038】
(操作部)
操作部36を説明する。上述したように、操作部36は、使用者80が打たせ湯部50の吐水を調整するために壁パネル62に設けられる。
図1に示しように、操作部36には、打たせ湯部50の吐水量を調整するためのハンドル36pと、打たせ湯部50の吐水Wsの遮断間隔Tsを調整するためのつまみ36sとが設けられている。ハンドル36pを回転させることにより、1次配水管52に設けられたバルブ56を調整し、吐水制御装置100への湯水Wpの供給量を増減できる。操作部36は、つまみ36sの操作結果を制御部30に送る。
【0039】
(制御部)
制御部30は、使用者80の操作に応じて回転部20の回転を制御する。本実施形態の制御部30は、操作部36からつまみ36sの操作結果を取得し、その取得結果に応じて吐水制御装置100から送出される吐水Wsの遮断間隔Tsを調整する。遮断間隔Tsは吐水Wsの吐水と遮水とからなる間欠サイクルの周期であり、間欠間隔と同じ意味である。
【0040】
次に、このように構成された吐水制御装置100の動作を説明する。本実施形態では、制御部30は、
図9に示すように、つまみ36sの基準マークPsの回転位置P1からP5に応じて、止水モードと、遮断間隔可変モードと、連続吐水モードと、遮断パターン変化モードとで回転部20の回転を制御する。
【0041】
(止水モード)
止水モードは、ハンドル36pの状態に関わらず吐水を停止する制御モードである。つまみ36sの回転位置が所定の第1位置P1であるとき、制御部30は止水モードで回転部20の回転を制御する。このモードでは、制御部30は、センサ44の検知結果を参照して駆動部26を回転させる。制御部30は、回転部20が第1回転位置まで回転したら駆動部26を停止させる。この状態で水流は遮断されており止水モードが実現する(
図6も参照)。
【0042】
(遮断間隔可変モード)
遮断間隔可変モードは、使用者80のつまみ36sの操作に応じて吐水Wsの遮断間隔Tsを連続的に変化させる制御モードである。このモードでは、制御部30は、使用者80の操作に応じて吐水Wsの遮断間隔Tsを連続的に変化させる可変部として機能する。
【0043】
つまみ36sの回転位置が所定の第2位置P2から第3位置P3の範囲内であるとき、制御部30は遮断間隔可変モードで回転部20の回転を制御する。このモードでは、制御部30は、つまみ36sを第2位置P2側に回したとき、吐水Wsの遮断間隔Tsを長くするように駆動部26の回転速度を下げる制御を行う。制御部30は、つまみ36sを第3位置P3側に回したとき、吐水Wsの遮断間隔Tsを短くするように駆動部26の回転速度を上げる制御を行う。制御部30は、センサ44の検知結果をフィードバックするフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0044】
(連続吐水モード)
連続吐水モードは、連続して吐水する制御モードである。上述したように、吐水制御装置100は、回転部20が第2回転位置に停止している状態では水流を遮断せず連続吐水する。つまみ36sの回転位置が所定の第4位置P4であるとき、制御部30は連続吐水モードで回転部20の回転を制御する。このモードでは、制御部30は、センサ44の検知結果を参照して駆動部26を回転させる。制御部30は、回転部20が第2回転位置まで回転したら駆動部26を停止させる。この状態で水流は遮断されておらず連続吐水モードが実現する(
図3も参照)。
【0045】
(遮断パターン変化モード)
吐水Wsの遮断間隔Tsが一定の場合、使用者80に単調感を与えることがある。そこで、本実施形態は、経過時間に応じて吐水Wsの遮断間隔Tsを変化させる遮断パターン変化モードを有する。つまみ36sの回転位置が所定の第5位置P5であるとき、制御部30は遮断パターン変化モードで回転部20の回転を制御する。このモードでは、制御部30は、予め設定された変化パターンまたはランダムに生成させた変化パターンによって駆動部26の回転速度を変化させて遮断間隔Tsを変化させる。
【0046】
次に、このように構成された吐水制御装置100の特徴を説明する。本実施形態の吐水制御装置100は、回転することにより水流を遮断する状態と、開放する状態とを切り替える回転部20と、回転部20を回転させる駆動部26と、使用者の操作に応じて駆動部26の回転を制御する制御部30と、を備える。この構成によれば、使用者80の操作に応じて水流の遮断間隔Tsを調整できる。つまり、つまみ36sを回転させることにより、吐水制御装置100から送出される吐水Wsの遮断間隔Tsを調整できる。本実施形態は、打たせ湯部50の吐水Wsの吐水量と遮断間隔Tsとを独立して変更できる。
【0047】
吐水制御装置100では、制御部30は、回転部20が第2回転位置に停止している状態では水流を開放する。この場合、容易に連続吐水を実現できる。
【0048】
吐水制御装置100は、制御部30は、使用者80の操作に応じて吐水Wsの遮断間隔Tsを連続的に変化させる。この場合、使用者80が所望する遮断間隔Tsを容易に実現できる。
【0049】
吐水制御装置100は、回転部20の遮断状態を検知可能な検知部40を有する。この場合、連続吐水状態と止水状態を含む、多様な吐水モードを容易に実現できる。
【0050】
吐水制御装置100は、経過時間に応じて水流の吐水Wsの遮断間隔Tsを変化させる遮断パターン変化モードを有する。この場合、吐水Wsの単調感を緩和できる。
【0051】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本開示の例示的な具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明している。そのような表記のない内容への設計変更は許容される。
【0052】
[変形例]
以下、変形例について説明する。この説明では、実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0053】
実施の形態の説明では、天井パネル64に設けた打たせ湯部50に2次配水管54から吐水Wsを供給する例を示した。本開示はこの例に限定されない。打たせ湯部50は、壁パネル62に設けられてもよい。打たせ湯部50を設けずに、出口部16を壁パネル62に設け、その出口部16から吐水Wsを浴室空間60aに直接滴下するように構成してもよい。
【0054】
実施の形態の説明では、操作部36は、つまみ36sを用いて動作モードを切り替える例を示した。本開示はこの例に限定されない。操作部36は、つまみ36sの他にスイッチやレバーなどの操作手段を含んでもよい。
【0055】
実施の形態の説明では、駆動部26がステッピングモータである例を示した。駆動部26には、ステッピングモータに代えて各種原理に基づく駆動手段を採用できる。このような駆動手段としては、DCモータ、ACサーボモータ等が挙げられる。
【0056】
実施の形態の説明では、検知部40が光学式ロータリーエンコーダである例を示した。検知部40として公知の原理に基づく種々の回転検知手段を採用してもよい。
【0057】
実施の形態の説明では、制御部30は、センサ44が非透光部42mを検出しているときに水流は遮断されておらず、透光部42nを検出しているときに水流は遮断されている例を示した。本開示はこの例に限定されない。センサ44の検出状態と水流の遮断状態との関係は逆であってもよい。
【0058】
上述の各変形例は実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0059】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた実施形態として有用である。
【0060】
図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0061】
以上、実施形態を介して本開示を説明した。本開示は、種々の変更および修正が可能である。したがって、出願人は、この開示の範囲内にあるこのような変更および修正の全てが、添付の特許請求の範囲に包含されると認識している。
【符号の説明】
【0062】
12 固定円筒部、 12g 第1側部開口、 14 入口部、 16 出口部、 20 回転部、 20g 第2側部開口、 26 駆動部、 30 制御部、 36 操作部、 40 検知部、 80 使用者、 100 吐水制御装置。