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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20240530BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/895 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240530BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
A61K8/92
A61Q1/04
A61K8/88
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/895
A61K8/25
A61K8/23
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019235701
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104936
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】小倉 悠紀
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-187813(JP,A)
【文献】特開2003-171232(JP,A)
【文献】特開2021-031427(JP,A)
【文献】特開2017-193540(JP,A)
【文献】特開2000-281532(JP,A)
【文献】特開2002-138020(JP,A)
【文献】特開2002-302421(JP,A)
【文献】特開2002-154928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)化粧料全量に対して20~35質量%の、シリコーンパウダー、ナイロンパウダーおよび球状シリカからなる群から選択される1種以上ならびにマイカおよび硫酸バリウムからなる群から選択される1種以上の粉末と、
(B)化粧料全量に対して1.5~7質量%のアルキル架橋ポリジメチルシロキサンと、
(C)化粧料全量に対して35~60質量%の不揮発性油分と、
(D)化粧料全量に対して10~15質量%のワックスと、
を含み、
揮発性油分を含まないか、該揮発性油分の含有量が化粧料全量に対して1質量%以下である化粧料。
【請求項2】
口紅である請求項1記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料、より詳細には油性のメーキャップ化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、メーキャップ化粧料は、各種油分と着色剤等の粉末を中心に構成されており、快適な使用性、使用感を得るために、さまざまな性質を持つ油分や粉末の配合検討がなされている。例えば、特許文献1には、特定の固形油粉末と弾性粉末とを組み合わせて用いることにより、使用時にスポンジやマット等の小道具へのトレが良好で、肌への付着性に優れ、滑らかでソフトな使用感を有し、且つ、成型性および耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、球状有機粉体と非球状有機粉体、窒化ホウ素粉末および油剤とを含有する固形粉末化粧料が、マット等の小道具への化粧料の含みが良好であり、肌へ塗布する時にはクリームの様なソフトな延び拡がりで、粉浮きが無く、しっとりとした仕上がり感を有し、化粧効果の持続性にも優れることが記載されている。
【0004】
さらに、メーキャップ化粧料の塗布膜の仕上がりの観点から、特許文献3には、低融点ワックスと板状粉体と球状粉体とを所定量含有する油性固型化粧料が、外観色が白くならず、塗布膜の仕上がりは自然なマット感が得られ、使用性、充填成型性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3606087号公報
【文献】特開2000-191441号公報
【文献】特開2000-119134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、ツヤを抑えたマット感のある塗布膜の仕上がりを得るためには、ワックスを多く配合することで実現できる。しかし、ワックスを多く配合すると化粧料は固くなり、色味のもちはいいものの、ぱさぱさするような使用感があった。このため、従来のマット感のある化粧料の場合、使用感はある程度犠牲にしてマット感を優先するか、マット感をある程度犠牲にして使用感をよくするかで配合が調製されているのが実情である。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ツヤを抑えたマット感のある塗布膜の仕上がりを実現しながら、ぱさつきが軽減された化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の化粧料は、
(A)化粧料全量に対して13~35質量%の形状の異なる2種類以上の粉末と、
(B)エラストマーと、
(C)化粧料全量に対して30~70質量%の不揮発性油分と、
(D)化粧料全量に対して5~20質量%のワックスと、
を含み、
揮発性油分を含まないか、揮発性油分の含有量が化粧料全量に対して1質量%以下であるものである。
【0009】
エラストマーは化粧料全量に対して1.5~10質量%であることが好ましい。
【0010】
本発明の化粧料は口紅であってよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料は、(A)化粧料全量に対して13~35質量%の形状の異なる2種類以上の粉末と、(B)エラストマーと、(C)化粧料全量に対して30~70質量%の不揮発性油分と、(D)化粧料全量に対して5~20質量%のワックスと、を含み、揮発性油分を含まないか、揮発性油分の含有量が化粧料全量に対して1質量%以下であるので、ツヤを抑えたマット感のある塗布膜の仕上がりを実現しながら、みずみずしい使用感のあるものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化粧料は、
(A)化粧料全量に対して13~35質量%の形状の異なる2種類以上の粉末と、
(B)エラストマーと、
(C)化粧料全量に対して30~70質量%の不揮発性油分と、
(D)化粧料全量に対して5~20質量%のワックスと、
を含み、揮発性油分を含まないか、揮発性油分の含有量が化粧料全量に対して1質量%以下である。
【0013】
以下、各成分について詳細に説明する。なお、各成分について、単に(A)成分、(B)成分等と称する場合がある。また、本明細書において、PEGはポリエチレングリコールの略である。
【0014】
(A)形状の異なる2種類以上の粉末
本発明の化粧料に含まれる粉末は、形状の異なる2種類以上の粉末である。本発明でいう粉末とは彩色を目的とする色素と着色顔料を除いた粉末を意味する。ここで、形状が異なるとは、形が異なる場合と形は同じであるがその大きさが異なる、例えば球状であるがその半径が異なる場合の双方を含む意味である。従って、2種類の異なる平均粒径の球状粉末を含む場合も、形状の異なる2種類以上の粉末に含まれる。なお、形状や分布がまったく同じ場合には、成分が違っていても種類としては1種類である。粉末が、形状の異なる2種類以上であることで、塗布膜の光を散乱させる効果がより高くなって、ツヤ(光沢)を抑えたマット感のある仕上がりを得ることができる。
【0015】
形状としては、薄片状、薄板状、鱗片状、葉片状、雲母状、箔状などの板状、真球状、略球状、楕円球状、偽球状などの球状、棒状、半球状、不定形状、塊状、等が挙げられる。形状の異なる2種類以上の粉末の組合せは特に限定されるものではないが、汎用性の観点からすれば、板状粉末と球状粉末、板状粉末と棒状粉末、板状粉末と不定形状粉末等を好ましく挙げることができる。
【0016】
板状粉末はアスペクト比(平均粒径/平均厚み)が1より大きい、例えば少なくとも5以上であることで球状粉末とは区別される。板状粉末は、板状であればアスペクト比は特に限定されないが、その平均粒径が1~20μmである板状粉末が好ましく用いられる。
【0017】
具体的には、マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、アルミナ、硫酸バリウム、窒化ホウ素、N-アシル化リジン、合成金雲母、合成マイカ、合成タルク、酸化亜鉛、シリカ、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等からなる板状粉末が挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。なお、板状粉末は、下記球状粉末のような表面処理がされているものでも表面処理がされていないものでもよい。
【0018】
球状粉末は、通常化粧料に配合され得る球状粉末の素材であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ウレタン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン樹脂被覆ゴム、ポリ四フッ化エチレン、二酸化ケイ素(シリカ)、スチレンとアクリル酸との共重合体樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、セルロース等が例示される。さらに、球状粉末は、表面処理がなされていてもよい。表面処理は、例えば、シリコーン化合物処理、フッ素変性シリコーン化合物処理、フッ素化合物処理、高級脂肪酸処理、高級アルコール処理、脂肪酸エステル処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、アルキルフォスフェート処理等が挙げられる。
【0019】
球状粉末の粒径(平均粒径)は、1~30μmの範囲内であることが使用感触上好適であり、3~20μmの範囲内であることが特に好適である。
【0020】
棒状粉末は、酸化チタン、チタン酸塩、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ハロイサイト等が挙げられる。棒状粉末の大きさは、短径0.005~0.2μmであり、短径と長径の比が1:10~1:1000の範囲にあり、かつ長径が0.5μm以上であることが好ましい。
【0021】
棒状粉末は、表面処理粉末であってもよい。表面処理の種類としては、たとえばチタニア等の金属酸化物による無機処理や、アミノ酸、金属石鹸、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤による処理、シリコーン、フッ素化合物による処理、脂肪酸処理、油剤処理、多糖類等の天然物による処理、シルク、アシル化リジン、ケラチン等による処理、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)等の樹脂による処理、プラズマによる処理、メカノケミカルによる処理等が挙げられる。
【0022】
不定形状粉末は、板状、球状等の形状の粉末を除くものであり、シリカ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。不定形状粉末の平均粒子径は、特に限定されるものでないが、1~100μm程度が好ましい。また不定形粉末は、微粉末状、造粒体状等、いずれの形態のものも用い得る。なお造粒体状とは、粉末を加圧あるいはバインダー等により固めた状態のものをいう。不定形状粉末も上記球状粉末や棒状粉末と同様に、表面処理がされていてもよい。
【0023】
なお、粉末の形状、大きさの測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)観察もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)観察から得られる粒径を用いる。
【0024】
(A)成分の配合量は、化粧料全量に対して、13~35質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15~35質量%、さらに好ましくは20~35質量%である。(A)成分の配合量が13質量%以上であることで、マット感をより高め、化粧効果を充分なものとすることができる。また、35質量%以下であることで、より良好な使用感とすることができる。
【0025】
(B)エラストマー
(B)エラストマーは架橋型シロキサンエラストマーが好ましい。
架橋型シロキサンエラストマーは、ポリジメチルシロキサンを三次元架橋させたシロキサンエラストマー(シリコーンエラストマー)であり、乳化性および非乳化性のものを含む。
【0026】
乳化性架橋型シロキサンエラストマーとしては、特に限定されるものではないが、架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、アルキル基含有架橋型ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン、架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル基含有架橋型ポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。これら乳化性架橋型シロキサンエラストマーは、シリコーン油、ミネラルオイル、トリエチルヘキサノイン、スクワラン等の各種油分に膨潤された膨潤物の形態で市販されているものを用いることができる。具体例としては以下のものが挙げられる。
【0027】
ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-210(((PEG-10/15)/ジメチコン)クロスポリマー、ジメチコンの混合物で架橋物は20~30%)(信越化学工業株式会社製)、9011シリコーンエラストマーブレンド((PEG-12/ジメチコン)クロスポリマー、シクロメチコンの混合物)(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
アルキル基含有ポリオキシエチレンメチルポリシロキサンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-310((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、ミネラルオイルの混合物で架橋物は25~35%)、KSG-320((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は20~30%)、KSG-330((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、トリエチルヘキサノインの混合物で架橋物は15~25%)、KSG-340((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、スクワランの混合物で架橋物は25~35%)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
ポリグリセリン変性シリコーンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-710((ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、ジメチコンの混合物で架橋物は20~30%(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0030】
アルキル基含有ポリグリセリン変性シリコーンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-810((ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー、ミネラルオイルの混合物で架橋物は25~35%)、KSG-820((ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は20~30%)、KSG-830((ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー、トリエチルヘキサノインの混合物で架橋物は15~25%)、KSG-840((ラウリルジメチコン/ポリグリセリン3)クロスポリマー、スクワランの混合物で架橋物は25~35%)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
非乳化性架橋型シロキサンエラストマーとしては、特に限定されるものではないが、メチルポリシロキサンクロスポリマー、メチルフェニルポリシロキサンクロスポリマー、ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコンクロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー等が挙げられる。これら非乳化性架橋型シロキサンエラストマーは、シリコーン油、ミネラルオイル、トリエチルヘキサノイン、スクワラン等の各種油分に膨潤された膨潤物の形態で市販されているものを用いることができる。具体例としては以下のものが挙げられる。
【0032】
メチルポリシロキサンクロスポリマーの膨潤物としては、9040シリコーンエラストマーブレンド(ジメチコンクロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は12%)、9041シリコーンエラストマーブレンド(ジメチコンクロスポリマー、ジメチコン5mPa・sの混合物で架橋物は16%)、9045シリコーンエラストマーブレンド(ジメチコンクロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は12.5%)、EL-8040IDシリコーンオーガニックブレンド(ジメチコンクロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は18%)(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)等のジメチコンクロスポリマーの膨潤物や、KSG-15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は4~10%)、KSG-16((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ジメチコン6mPa・sの混合物で架橋物は20~30%)、KSG-1610((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、メチルトリメチコンの混合物で架橋物は15~20%)(以上、信越化学工業株式会社製)等のジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーの膨潤物等が挙げられる。
【0033】
メチルフェニルポリシロキサンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-18A((ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの混合物で架橋物は10~20%)(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0034】
ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-41A((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、ミネラルオイルの混合物で架橋物は20~30%)、KSG-42A((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は15~25%)、KSG-43((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、トリエチルヘキサノインの混合物で架橋物は25~35%)、KSG-44((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、スクワランの混合物で架橋物は25~35%)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0035】
ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコンクロスポリマーの膨潤物としては、KSG-042Z((ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は約20%)、KSG-045Z((ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は約20%)(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0036】
アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマーの膨潤物としては、VELVESIL 125(アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は約12.5%)、VELVESIL 034(アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、カプリリルメチコンの混合物で架橋物は約16%)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0037】
セテアリルジメチコンクロスポリマーの膨潤物としては、VELVESIL DM(セテアリルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン5mPa・sの混合物で架橋物は約17%)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0038】
(B)成分の配合量は、化粧料全量に対して、1.5~10質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5~7質量%である。(B)成分の配合量が1.5質量%以上であることで、よりマット感のある仕上がりにすることができる。また、10質量%以下であることで、よりみずみずしい使用感を実現することができる。
【0039】
(C)不揮発性油分
不揮発性油分とは、室温(25℃)で揮発性を示さない油分である。不揮発性油分は通常化粧料や医薬品等の皮膚外用剤に用いられるものであれば特に制限されない。そのような不揮発性油分としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、パーム油、ヤシ油、トリグリセリン等の液体油脂;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の高級脂肪酸;直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分岐鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等の高級アルコール;ジイソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソパルミチン酸グリセリン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2-オクチルドデシル)、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等の合成エステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂;ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの不揮発性油分は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0040】
(C)成分の配合量は、化粧料全量に対して30~70質量%であり、35~60質量%であることが好ましい。(C)成分の配合量が30質量%以上であることで、化粧料にみずみずしさを与えることができる。また70質量%以下であることで、化粧料のもちをよくすることができる。
【0041】
(D)ワックス
ワックスは、通常化粧料で用いられるものであれば特に限定されるものでなく、例えばカルナバロウ、キャンデリラロウ、ポリエチレンワックス、ビースワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、モクロウ等が挙げられる。
【0042】
ワックスを多く入れるとマット感が効果的に発揮されるものの、固くなって、重すぎたりあるいは化粧料を塗布具等でとりづらくなったりしやすい。このため、化粧料を液状化粧料とする場合には、マイクロクリスタリンワックスのような固化力の弱いワックスを用いることが好ましい。
【0043】
(D)成分の配合量は、化粧料全量に対して5~20質量%であり、10~15質量%であることが好ましい。(D)成分の配合量が5質量%以上であることでマット感のある化粧料とすることができる。また、20質量%以下であることで、使用感を良好なものとすることができる。
【0044】
本発明の化粧料は、揮発性油分を含まないか、揮発性油分の含有量が化粧料全量に対して1質量%以下である。揮発性油分を1質量%以下とすることで、ぱさつきを軽減することができる。
【0045】
本発明の化粧料には、上記必須成分(A)~(D)に加えて、化粧料に通常配合される他の成分(以下「任意成分」ともいう)を、発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。
任意成分には、化粧料の色材、油性基材を構成する成分およびその他の任意成分が含まれる。
【0046】
色材の例としては、酸化チタン、酸化鉄(ベンガラ)、黄酸化鉄、青色1号アルミニウムレーキ、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、チタン酸化鉄等の無機赤色系顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、群青、紺青等の無機青色系顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色305号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、さらに赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号および青色1号等のジルコニウム、バリウム等の有機顔料が挙げられ、これらは表面をシリコーン等で処理されていてもよい。
【0047】
油性基材を構成する成分として、油分増粘剤またはゲル化剤を挙げることができる。
油分増粘剤(ゲル化剤)としては、デキストリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機変性粘土鉱物等が例示できる。デキストリン脂肪酸エステルには、例えば、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン等が含まれる。グリセリン脂肪酸エステルには、例えば、ベヘン酸グリセリル、オクタステアリン酸グリセリル、エイコ酸グリセリル等が含まれる。
【0048】
他の任意成分には、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、香料、防腐剤、多価アルコール、低級アルコール、および各種活性成分等が含まれる。
【0049】
本発明の化粧料は、口紅等の口唇化粧料、チーク、アイシャドー等のポイントメーキャップ化粧料、特に油性メーキャップ化粧料とするのに特に適している。
【実施例
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
下記各表に掲げた処方で化粧料を常法により調製し、以下の基準により評価を行った。
【0051】
(マット感)
10名のパネル(女性)に各実施例、比較例の油性化粧料(試料)を使用してもらい、マット感について、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
AA:マット感があると感じたパネルが9名以上
A :マット感があると感じたパネルが7~8名
B :マット感があると感じたパネルが5~6名
C :マット感があると感じたパネルが4名以下
【0052】
(ぱさつき感)
10名のパネル(女性)に各実施例、比較例の油性化粧料(試料)を使用してもらい、ぱさつきについて、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
A: 塗布中、ぱさつき感がないと感じたパネルが9名以上
B: 塗布中、ぱさつき感がないと感じたパネルが7~8名
C: 塗布中、ぱさつき感がないと感じたパネルが5~6名
D: 塗布中、ぱさつき感がないと感じたパネルが4名以下
【0053】
(化粧もち)
10名のパネル(女性)に各実施例、比較例の油性化粧料(試料)を使用してもらい、化粧もちについて、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
A: 化粧もちがよいと感じたパネルが9名以上
B: 化粧もちがよいと感じたパネルが7~8名
C: 化粧もちがよいとと感じたパネルが5~6名
D: 化粧もちがよいとと感じたパネルが4名以下
【0054】
(製剤の均一性)
各実施例、比較例の油性化粧料(試料)の製剤の均一性について、以下の基準で評価した。
A:製剤が均一で製剤として成立する
B:製剤が不均一なため製剤として成立しない
【0055】
評価結果を処方とともに表1に示す。なお、表1に示す粉末は、シリコーンパウダーが球状粉末、レーキ(色素(赤色202号+硫酸バリウム)+着色顔料+油よりなる)のうち硫酸バリウム(硫酸バリウムの割合はレーキ全量に対し10質量%)が板状粉末である。
【0056】
【表1】
【0057】
表1はワックス量の配合を化粧料全量に対して5~20質量%の範囲で変更したものであるが、いずれもマット感がありながら、ぱさつきがほとんど生じなかった。
【0058】
続いて、粉末量を変更したものを表2に示す。なお、表2に示す粉末は、マイカが板状粉末、ナイロンパウダーと球状シリカが球状粉末であり、ナイロンパウダーの平均粒径は7μm、球状シリカの平均粒径は5μmである。表2に示すように、実施例の試料はいずれもマット感がありながら、ぱさつきがほとんど生じなかった。
【0059】
【表2】
【0060】
次に、表2の実施例5について、粉末量とエラストマー量の合計を一定にした系についてエラストマー量を変更し、その増減分の粉末量を3種の粉末種に比例配分した実施例8~11を表3に示す。なお、表3に示す粉末は表2と同じものである。表3に示すように、実施例5の粉末量とエラストマー量の合計を一定にした系においては、エラストマー量が8質量%になると、製剤が均一になり難いことがわかった。
【0061】
【表3】