(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】減音パネル、及び、その構築及び設置を行うための方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20240530BHJP
G10K 11/172 20060101ALI20240530BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20240530BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G10K11/16 130
G10K11/172
E04B1/82 M
E04B1/82 W
E04B1/86 T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020002566
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-12-28
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】オム プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】メガ サフ
(72)【発明者】
【氏名】シャンタヌ バッタチャリヤ
(72)【発明者】
【氏名】サンジャイ クマール
(72)【発明者】
【氏名】プラク ブシャン
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-168748(JP,A)
【文献】特開2002-189475(JP,A)
【文献】中国実用新案第206468413(CN,U)
【文献】特開2004-170666(JP,A)
【文献】特開2003-271152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/00 - 11/36
E04B 1/82
E04B 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射壁と、フレームユニットとを含む減音パネルであって、
前記入射壁は、当該入射壁を貫通する穴を有し、
前記フレームユニットは、前記入射壁に接続するとともに複数のスポーク部材を含み、当該スポーク部材は、互いに離間して配置されるとともに、前記フレームユニットの1つ以上の中央ハブ開口から放射状に延びており、前記1つ以上の中央ハブ開口は、前記入射壁の前記穴と位置合わせされており、前記フレームユニットは、前記スポーク部材のうちの隣接する対の間に通路を有し、前記フレームユニットは、前記入射壁の前記穴を介して前記1つ以上の中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されて
おり、
前記通路の各々は、拡大領域と、縮小領域とを含み、前記拡大領域は、前記1つ以上の中央ハブ開口と前記縮小領域との間に設けられており、前記隣接する対のスポーク部材間の前記通路の幅は、前記拡大領域に沿って前記1つ以上の中央ハブ開口から離れる方向に徐々に広がり、且つ、前記縮小領域に沿って、前記1つ以上の中央ハブ開口から離れる方向に徐々に狭くなっている、減音パネル。
【請求項2】
後壁をさらに含み、前記フレームユニットは、前記入射壁と接合する第1面と、前記第1面とは反対側において、前記後壁と接合する第2面と、を含む、請求項1に記載の減音パネル。
【請求項3】
前記フレームユニットの前記スポーク部材は、前記入射壁の面に平行な共通平面に配置されており、前記1つ以上の中央ハブ開口は、前記スポーク部材の前記共通平面に垂直な中心軸を有する、請求項1又は2に記載の減音パネル。
【請求項4】
前記スポーク部材の各々は、前記1つ以上の中央ハブ開口における前記スポーク部材の内側端から、前記フレームユニットの外周における前記スポーク部材の外側端まで径方向に延びており、前記フレームユニットの外周は、円形又は多角形状である、請求項1~3のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項5】
前記スポーク部材の各々は、前記1つ以上の中央ハブ開口における前記スポーク部材の内側端から、前記スポーク部材の外側端まで径方向に延びており、前記スポーク部材のうちの前記隣接する対の間の前記通路は、前記隣接する対における前記スポーク部材の前記内側端間に形成された隙間を介して、前記1つ以上の中央ハブ開口に流体接続されている、請求項1~4のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項6】
前記スポーク部材の各々は、狭部分と、当該狭部分よりも幅が広い広部分とを有しており、前記狭部分は、前記1つ以上の中央ハブ開口における前記スポーク部材の内側端から前記広部分まで径方向に延びており、前記広部分は、前記狭部分から、前記フレームユニットの外周における前記スポーク部材の外側端まで径方向に延びている、請求項1~5のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項7】
入射壁と、フレームユニットとを含む減音パネルであって、
前記入射壁は、当該入射壁を貫通する穴を有し、
前記フレームユニットは、前記入射壁に接続するとともに複数のスポーク部材を含み、当該スポーク部材は、互いに離間して配置されるとともに、前記フレームユニットの1つ以上の中央ハブ開口から放射状に延びており、前記1つ以上の中央ハブ開口は、前記入射壁の前記穴と位置合わせされており、前記フレームユニットは、前記スポーク部材のうちの隣接する対の間に通路を有し、前記フレームユニットは、前記入射壁の前記穴を介して前記1つ以上の中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されており、
前記スポーク部材の各々は、狭部分と、当該狭部分よりも幅が広い広部分とを有しており、前記狭部分は、前記1つ以上の中央ハブ開口における前記スポーク部材の内側端から前記広部分まで径方向に延びており、前記広部分は、前記狭部分から、前記フレームユニットの外周における前記スポーク部材の外側端まで径方向に延びている、請求項1~6のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項8】
入射壁と、フレームユニットとを含む減音パネルであって、
前記入射壁は、当該入射壁を貫通する穴を有し、
前記フレームユニットは、前記入射壁に接続するとともに複数のスポーク部材を含み、当該スポーク部材は、互いに離間して配置されるとともに、前記フレームユニットの1つ以上の中央ハブ開口から放射状に延びており、前記1つ以上の中央ハブ開口は、前記入射壁の前記穴と位置合わせされており、前記フレームユニットは、前記スポーク部材のうちの隣接する対の間に通路を有し、前記フレームユニットは、前記入射壁の前記穴を介して前記1つ以上の中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されており、
前記フレームユニットは、前記減音パネルの複数のフレームユニットのうちの第1フレームユニットであり、前記複数のフレームユニットは全て前記入射壁の内面に接続されており、前記入射壁の前記穴は、第1穴であり、前記入射壁は、前記複数のフレームユニットのそれぞれの対応する中央ハブ開口と位置合わせされた複数の穴を有する、請求項1~7のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項9】
前記フレームユニットの各々の前記スポーク部材は、その前記1つ以上の中央ハブ開口
から、前記フレームユニットの外周まで延びており、前記第1フレームユニットの外周の寸法は、他のフレームユニットのうちの少なくとも1つの外周の寸法とは異なる、請求項8に記載の減音パネル。
【請求項10】
前記フレームユニットの各々は、単一のそれぞれの中央ハブ開口を有しており、前記第1フレームユニットの前記中央ハブ開口の直径は、他のフレームユニットのうちの少なくとも1つの中央ハブ開口の直径とは異なる、請求項8に記載の減音パネル。
【請求項11】
前記入射壁は、外面と、当該外面とは反対側の内面とを有し、前記フレームユニットは、前記入射壁の前記内面に接合する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記入射壁の前記外面から、前記フレームユニットの前記第2面までの前記減音パネルの厚みは、10mmよりも小さい、請求項1~10のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項12】
前記フレームユニットの前記スポーク部材は、前記入射壁にシームレス接続して、単一の一体型構造を有する、請求項1~11のいずれか1つに記載の減音パネル。
【請求項13】
減音パネルを構築するための方法であって、
第1壁においてその場でフレームユニットを形成し、その際、前記フレームユニットは、複数のスポーク部材を含むようにし、前記スポーク部材は、互いに離間して配置されるとともに、前記フレームユニットの中央ハブ開口から放射状に延びるようにし、前記フレームユニットは、前記スポーク部材のうちの隣接する対の間に通路を有するようにし、前記通路は、前記中央ハブ開口に流体接続するようにし、
さらに、前記通路の各々は、拡大領域と、縮小領域とを含み、前記拡大領域は、前記1つ以上の中央ハブ開口と前記縮小領域との間に設けられており、前記隣接する対のスポーク部材間の前記通路の幅は、前記拡大領域に沿って前記1つ以上の中央ハブ開口から離れる方向に徐々に広がり、且つ、前記縮小領域に沿って、前記1つ以上の中央ハブ開口から離れる方向に徐々に狭くなっており、
前記第1壁とは反対側の前記フレームユニットの面に沿って、前記フレームユニットにおいてその場で第2壁を形成し、その際、前記第1壁又は前記第2壁のうちの一方は、前記フレームユニットの前記中央ハブ開口と位置合わせされた穴を有するようにし、前記フレームユニットは、前記穴を介して前記中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の通路を介して前記音波を消散させるように構成されている、方法。
【請求項14】
前記フレームユニット及び前記第2壁は、付加製造により形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フレームユニットは、前記第1壁の内面に形成され、前記フレームユニットの形成は、前記第1壁の前記内面から、前記フレームユニットに接合する前記第2壁の内面までの前記フレームユニットの厚みが、1cmよりも薄くなるように行われる、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、吸音パネル構造体に関し、特に、同調可能な周波域で音を吸収して、航空機や他のビークルの内部キャビンにおける騒音を減衰させるように構成された音響構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
吸音材料は、人が高い騒音レベルに曝されると、難聴やストレスの増加の原因になったり、コミュニケーションの妨げになったりする場合があるという理由から、人が関与する用途、或いは人の近辺における用途などの様々な用途において好ましい。従来型の吸音材料には、低周波域の騒音を十分に吸収できないものも存在する。例えば、均質材料(homogenous materials)による深サブ波長(deep subwavelengths)での音の吸収は、消散力(dissipative power)が音場の振幅において二次関数的であり、材料内で高いエネルギー密度が要求されるため、難しい課題となっている。この領域における吸音には、音場の集密化(field concentration)、又は、より長い音波路が必要である。従来から知られている吸音方法のいくつかにおいては、有孔パネル、多孔質繊維材料、及び、勾配指数材料(gradient index materials)等が利用されている。これらの材料は、低周波域における吸音性能の低さに関連付けられることが多く、動作波長(working wavelength)と同程度の寸法を有する非常に厚い構造を必要とする。このような構造は、例えば、航空機における用途等の、コンポーネントの寸法や重量が厳しく規制されている用途においては、厚すぎたり重すぎたりする場合がある。
【0003】
したがって、低周波域などの好ましい周波域で効果的に騒音を減衰させることができる軽量且つ薄型の吸音パネルが求められている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書においては、入射壁と、前記入射壁に接続されたフレームユニットとを含む減音パネルが開示されている。前記入射壁は、これを貫通する穴を有する。前記フレームユニットは、複数のスポーク部材を含み、当該スポーク部材は、互いに離間するとともに、前記フレームユニットの1つ以上の中央ハブ開口から放射状に延びている。前記1つ以上の中央ハブ開口は、前記入射壁の前記穴に位置合わせされている。前記フレームユニットは、前記スポーク部材の隣接する対の間に通路を有する。前記フレームユニットは、前記入射壁の前記穴を介して、前記1つ以上の中央ハブ開口で音波を受容し、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されている。
【0005】
本明細書においては、さらに、減音パネルを構築するための方法が開示されている。前記方法は、第1壁においてその場でフレームユニットを形成することを含む。前記フレームユニットは、複数のスポーク部材を含み、当該スポーク部材は、互いに離間するとともに、前記フレームユニットの中央ハブ開口から放射状に延びている。前記フレームユニットは、前記スポーク部材の隣接する対の間に通路を有する。前記通路は、前記中央ハブ開口に流体接続している。前記方法は、さらに、前記第1壁とは反対側の前記フレームユニットの面に沿って、前記フレームユニットにおいてその場で第2壁を形成することを含む。前記第1壁又は前記第2壁のうちの一方は、前記フレームユニットの前記中央ハブ開口と位置合わせされた穴を有する。前記フレームユニットは、前記穴を介して、前記中央ハブ開口で音波を受容し、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されている。
【0006】
本明細書においては、さらに、航空機に減音パネルを設置するための方法が開示されている。前記方法は、入射壁と、当該入射壁に接続されるとともに当該入射壁から延びる複数のフレームユニットとを含む前記減音パネルを用意することを含む。前記入射壁は、これを貫通する複数の穴を有する。前記フレームユニットの各々は、互いに離間するとともに当該フレームユニットの中央ハブ開口から放射状に延びる複数のスポーク部材を含む。前記フレームユニットは、前記スポーク部材の隣接する対の間に通路を有する。前記通路は、前記中央ハブ開口から放射状に延びている。前記方法は、前記航空機の壁に前記減音パネルを固定し、その際、前記フレームユニットが、前記入射壁と前記航空機の前記壁との間に配置されるようにすることを、さらに含む。前記フレームユニットは、前記入射壁を介して前記中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。なお、図面全体を通して、類似する参照符号は類似する部品を示している。
【0008】
【
図1】本開示の実施形態による、減音パネルの一部を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す減音パネルの拡大斜視図であり、入射壁を省いて、1つのフレームユニットを示している。
【
図3】一実施形態による、減音パネルの一部を示す分解図であり、単一のフレームユニットと、入射壁及び後壁の関連部分とが示されている。
【
図4】
図1~3に示す実施形態による、減音パネルのフレームユニットのうちの1つを示す平面図である。
【
図5】
図4に示すフレームユニットの2つの隣接するスポーク部材の拡大図であり、スポーク部材間に形成された通路が示されている。
【
図6】第2実施形態による減音パネルの一部を示す平面図であり、アレイ内の複数のフレームユニットが示されている。
【
図7】第3実施形態による減音パネルの一部を示す平面図であり、単一のフレームユニットが示されている。
【
図8】第4実施形態による減音パネルの一部を示す平面図であり、アレイ内における2つの隣接するフレームユニットが示されている。
【
図9】一実施形態による、減音パネルを作製するための方法を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の一実施形態による、航空機を示す正面斜視図である。
【
図11】
図10に示す航空機の内部キャビンを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述した発明の概要、及び、下記のいくつかの実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照することによって、より明確に理解されよう。本明細書において、単数形で記載されている要素或いは工程は、複数の要素或いはステップを必ずしも排除するものではない。さらに、「一実施形態」に言及することは、その実施形態に記載した特徴を盛り込んだ別の実施形態の存在を排除することを意図するものではない。さらに、特に明記されていない限り、特定の性質を有する1つの要素又は複数の要素を「含む(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その性質を有さない追加の要素も含みうる。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態において提供される減音パネルは、民間航空機などのビークル内だけでなく、製造施設、工場、及びオフィス等の様々な施設内で使用可能であって、さらに、他の騒音減衰用途にも使用可能である。本明細書で説明する実施形態の減音パネルは、タイル、フィルム、壁パネル等の形態で製造することができ、騒音源を囲むように、及び/又は、壁を覆うように、選択的に寸法及び形状(例えば、輪郭)を設定することができる。
【0011】
本明細書における1つ以上の実施形態で説明する減音パネルは、2つの壁の間に設けられた1つ以上のフレームユニットを含み、これらの壁が、当該フレームユニットを挟むような構造的構成を有する。構造的構成は、減音パネルに衝突する音波を受動的に制御、誘導、及び、操作するように設計されている。1つ以上のフレームユニットの各々は、中央ハブ開口と、当該中央ハブ開口から放射状に延びる複数のスポーク部材とを含む。スポーク部材は、リブ状であって、互いに離間して設けられた部材であり、自転車の車輪などの車輪用スポークに似ている。同じフレームユニットにおいて隣接するスポーク部材は、これらの間に通路を有し、当該通路は、2つの隣接するスポーク部材間において1次元内(例えば、横方向)に限定されるとともに、2つの壁間において他の次元内(例えば、縦方向)に限定されている。減音パネルは、フレームユニットの中央ハブ開口に音波を受容するように設計されており、受容された音波は、スポーク部材間の通路を通って分散及び消散される。通路は、導波管と同様に音波を封じることができる。通路は、ヘルムホルツ共振器(Helmholtz resonators)などの共振チャンバとして機能することができる。音波は、粘性減衰(viscous damping)及び構造的な振動(structural vibrations)を介して通路内で消散される。例えば、音響エネルギーは、減音パネル内で機械エネルギー及び/又は熱エネルギーに変換されてもよく、機械エネルギー及び/又は熱エネルギーは、通路の長さに沿って、中央ハブ開口から離れる方向に吸収及び減衰される。
【0012】
本明細書で説明する減音パネルの実施形態は、所望の音響特性を実現するように調整されたパラメータを有しうる。例えば、減音パネルは、低周波域(例えば、1600Hz未満)等の1つ以上の所望の周波域において比較的高い吸音(例えば、高い吸音率及び/又は高い伝音損失)を実現することができる。減音パネルを航空機に設置する例示的な用途においては、航空機の内部キャビンにおける周波域で比較的高い吸音を実現するように減音パネルを調整することにより、航空機の乗客や乗組員に聞こえる騒音を低減するようにしてもよい。
【0013】
1つ以上の実施形態においては、減音パネルアセンブリは、比較的コスト効率の高い製造方法により作製することができる。例えば、減音パネルは、3Dプリンティング等の付加製造プロセスにより組み立てることができる。任意ではあるが、減音パネルは、複数の壁と、これらの壁の間に設けられる全てのフレームユニットの両方を形成する1つの連続的な付加製造プロセスによって作製してもよい。例えば、付加製造プロセスは、減音パネルが単一の一体型構造を有するように、第1壁を形成した後、当該第1壁においてその場で1つ以上のフレームユニットを形成し、最後に、当該1つ以上のフレームユニットにおいてその場で第2壁を形成してもよい。代替的な実施形態においては、共通の付加製造プロセス中、複数の壁のうちの1つのみが1つ以上のフレームユニットと共に形成され、他の壁は、別途形成してから、その後に当該1つ以上のフレームユニットに取り付けてもよい。他の代替的な実施形態においては、射出成形、圧縮成形、打ち抜き等、付加製造以外のプロセスにより減音パネルを構築してもよい。
【0014】
製造プロセスは拡張可能であり、結果として得られる減音パネルは、様々な部位や形状の遮音用途に用いることができる。例えば、減音パネルは、航空機の内部キャビン、航空機のエンジンを囲むエンジン室(例えば、カウルやナセル等)、建物の外壁(例えば、空港やオフィスビル等)、高速道路沿いに延びる遮音壁等に設けることができる。
【0015】
さらに、減音パネルは、比較的薄く且つ軽量に構築してもよく、これによって、当該減音パネルを様々な用途において用いることができる。減音パネルの厚みは、例えば、約3mmと約20mmとの間の所定範囲内で設定可能である。許容可能な厚みの範囲を比較的大きくすることにより、特定用途における減音パネルの実施態様についての選択肢を広げることができる。例えば、減音パネルは、シェル、相互接続パネル、タイル、又は、湾曲面若しくは平面に付着させるフィルムやコーティング部材(例えば、壁紙の貼り付けと同様)として形成することができる。非限定的な例において、減音パネルの厚みは、10mm以下でもよく(例えば、1cm)、この場合においても、当該パネルは、同様の厚みを有するように構築された既知の吸音構造体よりも優れた吸音性を発揮することができる。例えば、いくつかの既知の吸音構造体は、上述したような薄型構成を有するように形成することができず、また、薄く構成することが可能な他の既知の吸音構造体は、少なくとも低周波域などの選択された所望の周波域においては、本明細書で説明する減音パネルと同レベルの吸音性を実現できない場合がある。
【0016】
図1は、本開示の実施形態による、減音パネル100の一部を示す斜視図である。減音パネル100(本書においてパネル100とも呼ばれる)は、第1壁104と第2壁106とに挟まれた複数のフレームユニット102を含む。フレームユニット102は、第1壁104と第2壁106との間にアレイ状に配置されている。アレイ内のフレームユニット102は、共通平面116において互いに間隔を空けて隣接配置されている。図示の実施形態においては、中央のフレームユニット102Aが、アレイ内における他の6つのフレームユニット102に囲まれている。
図1に示すパネル100の一部は、7つのフレームユニット102を有するが、パネル100は、当該パネル100の面積に応じて、7つよりも多いか、或いは少ない数のフレームユニット102、例えば、数百又は数千個のフレームユニット102を有しうる。
【0017】
パネル100は、
図1において、第1壁104の外面110を際立って見せるように配向されている。フレームユニット102は、
図1において仮想線で示されているが、これは、フレームユニット102が、第1壁104の後ろ側に設けられているためである。例えば、フレームユニット102は、第1壁104の外面110の反対側における内面112(
図3に示す)に沿って配置されるとともに、当該内面に接続されている。フレームユニット102は、当該フレームユニット102が内面112と直接物理的に接触するように、第1壁104に接続されてもよい。本明細書に記載されているように、フレームユニット102は、共通の製造プロセス中に第1壁104と一体的に形成されることにより、内面112にシームレス接続されてもよいし、組立処理中に第1壁104に固定されるか、或いは取り付けられてもよい。第2壁106もまた、図示された配向においては部分的に視界から遮られており、第2壁106のごく一部のみが見えている。
【0018】
パネル100の図示部分は、円形の外周を有する円板形状であるが、他の実施形態においては、パネル100の外周形状は、矩形状又は他の多角形状などの異なる形状であってもよい。パネル100の外周形状は、エンジン室の壁、内部キャビンの壁、建築物の外壁、高速道路の遮音壁などの、特定の構造体に適合するようにカスタマイズすることができる。外周形状のカスタマイズは、パネル100の製造プロセス中、又は、製造後に、所望の外周形状及び寸法にするためにパネル100の一部をトリミング、打ち抜き、又は、除去することにより行ってもよい。図示の実施形態においては、パネル100はフラットである。任意ではあるが、パネル100は、当該パネル100が取り付けられる構造体の輪郭に一致するように当該パネル100が曲がる程度の十分な薄さ及び/又は材料特性を有していてもよい。代替の実施形態においては、パネル100は、当該パネル100が曲がらないような比較的剛性の高い構造を有していてもよい。この場合、パネル100は、当該パネル100が取り付けられる構造体の輪郭に基づく固有の輪郭又は曲率を有するように、製造プロセス中に形成されてもよい。
【0019】
パネル100は、当該パネル100の第1壁104が1つ以上の騒音源に最も近くなるように配向されてもよい。騒音源からの入射音波113は、第1壁104に衝突するため、この第1壁104は、本書においては、入射壁104とも呼ばれる。第2壁106は、騒音源から最も離れているため、本書においては、後壁とも呼ばれる。入射壁104は、これを貫通する複数の穴114を有する。穴114は、それぞれ対応するフレームユニット102に位置合わせされている。入射音波113のうちの少なくとも一部は、穴114を介して入射壁104を貫通し、対応するフレームユニット102に受容される。少なくとも1つの実施形態においては、後壁106は中実(solid)で穴を有しておらず、これによって、後壁106は、入射壁104の穴114から音波113がパネル100の厚み全体を完全に貫通するのを阻止している。パネル100は、穴114を介して入射壁104を貫通する入射音波113が、後壁106によって方向転換されるように設計されており、また、音波113のエネルギーを吸収して消散させるフレームユニット102を介して、当該音波が放射状に伝搬されるように設計されている。
【0020】
1つ以上の実施形態においては、パネル100の厚み115は、20mm未満である。厚み115は、入射壁104、フレームユニット102、及び、後壁106の厚みの合計を指す。非限定的な例においては、パネル100の厚み115は10mmよりも薄く、例えば、約6mmである。本明細書において、「およそ」及び「約」などの、測定値の代表値を変更する用語は、その測定が、当該代表値を含むとともに、当該代表値の1%、3%、又は、5%等の所定の閾値範囲内において、当該代表値よりも大きい値及び小さい値をさらに含むことを意味する。例えば、寸法の偏差は、生産及び処理におけるばらつきに起因する場合があり、そのような偏差は、本明細書に開示される特定の範囲内であるとみなされる。減音パネル100は、いくつかの既知の吸音材料よりも薄く軽い(例えば、軽量)ため、有利である。
【0021】
図2は、
図1に示す減音パネル100の拡大斜視図であり、入射壁104を省いて、複数のフレームユニット102のうちの1つを示している。フレームユニット102は、当該フレームユニット102の中央ハブ開口122から放射状に延びる複数のスポーク部材120を有する。中央ハブ開口122は、
図1に示す入射壁104の穴114うちの対応する1つの穴に位置合わせされている。一実施形態においては、パネル100の全てのフレームユニット102は、互いを複製したものであり、
図2に示すフレームユニット102は、全てのフレームユニット102の代表である。代替の実施形態においては、パネル100のフレームユニット102のうちの少なくともいくつかは、
図2に示すフレームユニット102を改変した箇所が1つ以上あり、例えば、中央ハブ開口122と比較して外周の寸法や直径が異なっていてもよい。
【0022】
中央ハブ開口122は、中心軸124を有する。スポーク部材120は、中央ハブ開口122から放射状に延びており、自転車の車輪のスポークに似ている。スポーク部材120は、後壁106及び入射壁104(
図1に示す)の両方に接続されたリブ状部材である。スポーク部材120は、中心軸124に垂直な共通平面208(
図3に示す)に配置されている。フレームユニット102は、図示の実施形態において、単一の中央ハブ開口122を含むが、当該フレームユニット102は、代替の実施形態において、複数の中央ハブ開口122を含んでもよい。
【0023】
スポーク部材120は互いに離間している。スポーク部材120は、中央ハブ開口122の円周に沿って等間隔に配置されてもよい。例えば、各スポーク部材120は、スポーク軸を有していてもよく、フレームユニット102において隣接するスポーク部材120の各対のスポーク軸間の角度は一定であってもよい。各スポーク部材120は、内側端130と、当該内側端130とは反対側の外側端132とを有する。内側端130は、中央ハブ開口122に配置されている。スポーク部材120の外側端132は、フレームユニット102の外周142に配置されている。任意ではあるが、スポーク部材120の内側端130は、中央ハブ開口122の形状及び境界を画定していてもよい。例えば、中央ハブ開口122の外周は、その全体が、スポーク部材120の内側端130によって画定されていてもよい。一実施形態においては、スポーク部材120は、互いに接触しておらず、隣接するスポーク部材120の内側端130は、狭い隙間134(
図5に示す)を画定するように互いに離間している。図示の実施形態においては、フレームユニット102は、スポーク部材120の外側端132によって形成された円形の外周142を有する。他の実施形態においては、フレームユニット102の外周142は、他の形状を有していてもよい。
【0024】
フレームユニット102は、スポーク部材120の隣接する対の間に通路136を有する。隣接する一対のスポーク部材120は、同じフレームユニット102において、互いに直接隣り合っている2つのスポーク部材120を表しており、これらの2つのスポーク部材120間には他のスポーク部材120が介在していない。通路136は、スポーク部材120の内側端130間の狭い隙間134を通って、中央ハブ開口122に流体接続している。通路136は、フレームユニット102に入射する音波を受容するように設計されており、これによって、当該音波は、スポーク部材120間の通路136を通って放射状に伝搬することができる。通路136は、音波を封じて当該音波の伝搬を制御する。この点で、通路136は、導波管と同様に機能することができる。フレームユニット102が複数の中央ハブ開口122を有する代替の実施形態においては、通路136のいくつかは、異なる中央ハブ開口122に流体接続していてもよい。例えば、第1組の通路136(1つ以上の通路136を意味する)は、第1中央ハブ開口122に流体接続し、第2組の通路136は、同じフレームユニット102において異なる第2中央ハブ開口122に流体接続していてもよい。
【0025】
一実施形態においては、後壁106は、平面状のベース層138と、周縁部140又はリップ部(lip)とを含む。周縁部140は、ベース層138の平面207(
図3に示す)から、スポーク部材120の共通平面208(
図3に示す)に突出している。周縁部140は、当該周縁部140がスポーク部材120の外側端132に近接して延在するように、フレームユニット102の外周142を囲んでいる。周縁部140は、
図2に示す後壁106の外周に示されているが、
図2に示す後壁106は、
図1に示すように、フレームユニット102よりも大きい後壁106のごく一部の領域にすぎない場合があることが分かる。したがって、平面状のベース層138は、
図2に示す周縁部140を越えて広がる、より大きい面積を有しうる。代替の実施形態においては、後壁106は、平面状のベース層138のみを有し、周縁部140を有していない。例えば、このような代替の実施形態においては、フレームユニット102の外周142は、2つの壁104、106のいずれの周縁部にも囲まれていない。
【0026】
図3は、一実施形態による、減音パネル100の一部を示す分解図であり、単一のフレームユニット102と、入射壁104及び後壁106の関連部分とが示されている。分解図において、フレームユニット102は、説明のために、入射壁104及び後壁106の両方から離間している。フレームユニット102は、第1面202と、当該第1面202の反対側の第2面204とを有する。第1面202及び第2面204は、スポーク部材120によって形成されている。分解図においては分離しているが、第1面202は、入射壁104の内面112に接合しており、第2面204は、後壁106の内面206に接合している。入射壁104及び後壁106は、共に平面状であって、互いに平行である。
【0027】
フレームユニット102のスポーク部材120は、入射壁104及び後壁106の両方に平行な共通平面208に配置されている。例えば、共通平面208は、入射壁104の平面209、及び、後壁106のベース層138の平面207に平行であってもよい。図示の実施形態においては、スポーク部材120の各々は、その内側端130から外側端132までの厚みが均一である。この厚みは、中心軸124に沿って測定される。さらに、フレームユニット102のスポーク部材120の厚みは互いに一定且つ均一であり、第1のスポーク部材120の厚みは、第2のスポーク部材120や第3のスポーク部材120の厚みと略同じ(例えば、欠陥及び汚損を除けば同一)である。
【0028】
1つ以上の実施形態においては、パネル100のフレームユニット102は、入射壁104及び後壁106の両方に一体的に接続されており、単一の一体型構造体を形成している。例えば、パネル100は、3Dプリンティングや蒸気融着(vapor fusion deposition)などの付加製造プロセスにより製造することができる。したがって、フレームユニット102、後壁106、及び、入射壁104は、共通の製造プロセスにおいて形成することができる。例えば、後壁106を最初に形成し、次に、後壁106の内面206においてその場でフレームユニット102のスポーク部材120を形成してもよい。スポーク部材120及び後壁106は、別々に形成されるのではなく、スポーク部材120が後壁106においてその場で形成される。例えば、スポーク部材120は、後壁106における特定の位置に複数の材料層を直接且つ連続的に積層することにより、各スポーク部材120の厚みを徐々に増やすことにより形成される。その後、フレームユニット102のスポーク部材においてその場で入射壁104が形成される。これに代えて、最初に入射壁104を形成して、入射壁104においてその場でスポーク部材120を形成するように、順序を逆にしてもよい。付加製造プロセスにより、フレームユニット102と壁104、106を一体的に接続して、これらのコンポーネント間の境界に継ぎ目をなくすことができる。
【0029】
代替的な実施形態においては、付加製造プロセスにより、2つの壁104、106のうちのいずれか一方のみに対してフレームユニット102を一体形成し、2つの壁104、106のうちの他方を別個に形成した後にフレームユニット102に取り付けることによって、パネル100を作製してもよい。他の代替の実施形態においては、フレームユニット102、及び、壁104、106の両方をそれぞれ異なるプロセスにおいて別個の異なるコンポーネントとして形成し、その形成後に、溶接又はろう付け(brazing)等により、これらのコンポーネントを互いに永久的に(例えば、化学的に)接合することによって、コンポーネント同士を一体的に接続してもよい。
【0030】
パネル100は、1つ以上のプラスチック又は他のポリマーなどのポリマー材料で構成することができる。非限定的な例においては、パネル100は、ポリアミド材料で構成されてもよい。他の実施形態においては、パネル100は、金属、複合材料、又は、セラミック等の異なる材料を含みうる。例えば、パネル100の組成にセラミックや他の耐熱性材料を含むことにより、当該パネル100が高い動作温度に耐えることができる。動作温度は、航空機又は他のビークルのエンジン付近で高くなりうる。
【0031】
図4は、
図1~3に示す実施形態による、減音パネル100のフレームユニット102のうちの1つを示す平面図である。図示の実施形態においては、フレームユニット102の中央ハブ開口122及び外周142は、共に円形である。スポーク部材120間に形成された通路136は、中央ハブ開口122から外周142まで放射状に延びている。通路136は、中央ハブ開口122及び外周142の両方に開放されている(例えば、流体接続されている)。
【0032】
1つ以上の実施形態においては、通路136の各々は、拡大領域(diverging region)210と、縮小領域(converging region)212とを有する。それぞれの通路136の拡大領域210は、中央ハブ開口122と、通路136の縮小領域212との間に設けられている。通路136の幅(例えば、通路136を形成する隣接するスポーク部材120間の距離を表す)は、拡大領域210に沿って、中央ハブ開口122から離れる方向に徐々に広くなる。通路136の幅は、縮小領域212に沿って、中央ハブ開口122から離れる方向に徐々に狭くなる。例えば、拡大領域210に沿った通路136の幅は、中央ハブ開口122から離れる程広くなり、縮小領域212に沿った通路136の幅は、中央ハブ開口122から離れる程狭くなる。
【0033】
図5は、
図4に示すフレームユニット102の2つの隣接するスポーク部材120の拡大図であり、スポーク部材120間に形成された通路136が示されている。通路136の拡大領域210は、スポーク部材120の内側端130から、縮小領域212との境界234までの長さ230に延びている。拡大領域210は、内側端130間に形成された狭い隙間134における通路136の幅が、境界234における通路136の幅よりも狭くなるように、広がっている。縮小領域212は、拡大領域210との境界234から、フレームユニット102の外周142におけるスポーク部材120の外側端132までの長さ232に延びている。縮小領域212は、境界234における通路136の幅が、外側端132間における通路136の幅よりも広くなるように、狭くなっている。
【0034】
通路136は、共振キャビティを形成しており、この共振キャビティは、受容した音波が中央ハブ開口122(
図4に示す)から離れる方向に伝搬する際に、当該音波のエネルギーを吸収する。例えば、中央ハブ開口122から通路136を通って伝搬する音波は、拡大領域210を通って拡大され、縮小領域212を通って縮小される。音波は、音波からエネルギーを放散させるヘルムホルツ効果により、通路136内で共振及び/又は振動しうる。
【0035】
図示の実施形態においては、各スポーク部材120は、狭部分240と、広部分242とを有する。広部分242の幅は、狭部分240よりも広い。スポーク部材120の幅は、当該スポーク部材120の第1通路側面244と、その反対側における、当該スポーク部材120の第2通路側面246との間で規定されている。各スポーク部材120の第1通路側面244及び第2通路側面246は、異なる通路136の一部を規定している。狭部分240は、スポーク部材120の内側端130から広部分242まで径方向に延びている。広部分242は、スポーク部材120の狭部分240から外側端132まで径方向に延びている。図示の実施形態においては、スポーク部材120の幅は、狭部分240の長さに沿って均一である。例えば、狭部分240は、細い線形である。図示の実施形態においては、広部分242に沿ったスポーク部材120の幅は、不均一である。例えば、上記幅は、広部分242の長さに沿って、狭部分240から外側端132に向かって外側方向に徐々に広くなる。広部分242の形状は、
図5に示す平面図においては略三角形である。スポーク部材120は、狭部分240に沿った第1通路側面244と、広部分242に沿った第1通路側面244との間において鈍角(α)を形成していてもよい。同様に、スポーク部材120は、第2通路面246に沿って、狭部分240と広部分242との間において鈍角を形成していてもよい。
【0036】
狭部分240は、広部分242よりも長くてもよい。例えば、各スポーク部材120における狭部分240に沿った第1通路側面244の長さ(例えば、L
1)は、広部分242に沿った第1通路側面244の長さ(例えば、L
2)よりも数倍長くてもよい。
図5に示されていない非限定的な例においては、狭部分240(L
1)の長さは、広部分242(L
2)の長さの10倍であってもよい。
【0037】
ある実験例において、
図1~5に示す実施形態に従って試験及び数値モデル化のための減音パネル100を構築して、当該パネルの減音性能を判定した。この実験例においては、パネル100は、ポリアミド材料で形成された。各フレームユニット102において、中央ハブ開口122の直径は約15mmであり、円形の外周142の直径は約100mmであった。パネル100の厚みは、約6mmであった。パネル100の試験は、標準化インピーダンス管試験(standardized impedance tube test)を採用して行われた。試験の結果、パネル100は、低周波域(例えば、1600Hz未満)における吸音が顕著であることが分かった。例えば、パネル100は、約630Hzから約1000Hzまでの広い周波域に亘って、40%を超える比較的高い吸音率を示した。パネル100は、800Hzでは略完全な吸音を示し、吸音率は1.0のうち0.998で測定された。
【0038】
図6は、第2実施形態による減音パネル100の一部を示す平面図であり、アレイ内の複数のフレームユニット102が示されている。図示の実施形態においては、フレームユニット102は、
図1~5に示す実施形態のフレームユニット102と同様に、円形の外周142を有する。しかしながら、いくつかのフレームユニット102の寸法は異なっており、外周142の直径が異なっている。例えば、上記アレイは、大フレームユニット602と、小フレームユニット604とを含む。小フレームユニット604は、大フレームユニット602のグループ間における間隙(interstitial)領域606に入れ子状に配置されている。例えば、間隙領域606は、追加の大フレームユニット602を配置するには小さすぎるため、小フレームユニット604を配置しない場合には、空いた状態であってもよい。小フレームユニット604の追加により、パネル100においてフレームユニット102を含む面積の割合が増大するため、フレームユニット102に占有される面積が小さいパネル100と比較して、パネル100の吸音特性を向上させることができる。
【0039】
図7は、第3実施形態による減音パネル100の一部を示す平面図であり、単一のフレームユニット102が示されている。図示の実施形態においては、フレームユニット102は、放射状に延びるスポーク部材120を有する。スポーク部材120の外側端132は、
図1~6に示すフレームユニット102における円形の外周142とは対照的に、フレームユニット102における多角形の外周142を形成している。例えば、
図7に示す外周142は、4つの直線状の辺を有する矩形状である。外周142は、4つの辺の長さが等しい方形状であってもよいし、そうでなくてもよい。矩形の外周142は、円形の外周142と比較して、アレイ内でフレームユニット102を隣接させてより密にパッキング(例えば、タイリング(tiling)及び積層(stacking))することができる。他の実施形態においては、フレームユニット102の外周142は、五角形や六角形等の他の多角形状であってもよい。
【0040】
図8は、第4実施形態による減音パネル100の一部を示す平面図であり、アレイ内における2つの隣接するフレームユニット102が示されている。2つのフレームユニット102は、第1フレームユニット702と、第2フレームユニット704とを含む。2つのフレームユニット702、704は、両方とも、放射状に延びるスポーク部材120を有するとともに、同じ寸法(例えば、直径)の円形の外周142を有する。第1フレームユニット702は、第2フレームユニット704と比較して、中央ハブ開口122の寸法が異なる。例えば、第2フレームユニット704の中央ハブ開口122の直径は、第1フレームユニット702の中央ハブ開口122の直径よりも大きい。中央ハブ開口の直径を異ならせることにより、減音パネル100は、全てのフレームユニット102における中央ハブ開口の直径を同じにした場合と比較して、より広い範囲の周波数を減衰させることができる。
【0041】
例えば、パネル100の幾何形状パラメータ(geometric parameters)は、吸収されるエネルギー量、及び、吸収される周波域を含む、パネル100の吸音率又は音響透過損失率に影響を及ぼす。フレームユニット102のパラメータは、特定の周波域を減衰させるなどの所望の吸音特性を有するようにパネル100を調整するために、カスタマイズすることができる。実験的試験において、中央ハブ開口122の直径が共振周波数に影響を与える可能性があり、この直径を変更すると共振周波数が変動することが分かった。例えば、小さい中央ハブ開口122を有する第1フレームユニット702は、大きい中央ハブ開口122を有する第2フレームユニット704よりも低い周波域において減音率がピークに達する。2つの周波域は、少なくとも部分的に重なりうる。例えば、異なる複数の中央ハブ開口直径などの、異なる複数の幾何形状パラメータを有する複数のフレームユニットを含むようにパネル100を構築することにより、全てのフレームユニット102が同じ幾何形状パラメータを有する場合と比較して、より広い周波域に沿って音を減衰させることができる。
【0042】
所望の周波域において減衰を実現するために変更及び/又はカスタマイズされうる他のパラメータは、入射壁104における穴114の直径及び/又は数と、フレームユニット702、704のスポーク部材120の形状とを含む。例えば、音波はスポーク部材120間の通路136内で共振するため、フレームユニット702、704におけるスポーク部材120の数、幅、長さ、高さ、間隔、及び/又は、配向が、吸音の程度及び周波数に影響を与えうる。非限定的な例においては、第1フレームユニットが、第2フレームユニットと比較してチャネルの幅が広く、スポーク部材120の数が少ない場合、第1フレームユニットは、第2フレームユニットによって吸収される音よりも低い周波域の音を吸収することができる。他の非限定的な例においては、入射壁104は、中央ハブ開口122に位置合わせされた穴114とは別に、当該入射壁を貫通するさらなる開口を含みうる。例えば、入射壁104は、均一に配列された開口を有するように製造されてもよく、これらの開口の一部が、中央ハブ開口122に位置合わせされ、穴114を構成してもよい。
【0043】
代替の実施形態においては、フレームユニット702、704の少なくとも一部は、全ての通路136の起点である単一の中央ハブ開口122の代わりに、スポーク部材120間の通路136に通じる複数の別個の開口を有してもよい。非限定的な例においては、各通路136は、それぞれに対応する開口を介して、入射壁104における穴114に接続していてもよい。他の非限定的な例においては、第1組の通路136は、フレームユニット702、704における第1開口を介して、入射壁104における第1の穴114に接続しており、同じフレームユニット702、704における第2組の通路136は、フレームユニット702、704における第2開口を介して、入射壁104における第2の穴114に接続している。フレームユニット702、704の各々における開口の数及び寸法により、フレームユニット702、704が音を吸収する周波数を調整することができる。例えば、図示の実施形態における単一の中央ハブ開口122は、入射壁104に通路136を接続する複数のより小さい開口を有する場合と比較して、より低い周波域において音を吸収しうる。
【0044】
図9は、一実施形態による、減音パネルを作製するための方法800を示すフローチャートである。方法800は、
図1~8に示す減音パネル100の実施形態のうちの1つ又は複数を作製することができる。方法800は、
図9に示すフローチャートよりも多いステップ、少ないステップ、及び/又は、当該フローチャートとは異なるステップを含みうる。
【0045】
同図に加えて
図1~8も参照すると、方法800は、802において開始し、当該ステップにおいて、フレームユニット102が第1壁においてその場で形成される。上記第1壁は、入射壁104又は後壁106であってもよい。フレームユニット102は、複数のスポーク部材120を含むように形成され、これらのスポーク部材は、互いに離間するとともに、フレームユニット102の中央ハブ開口122から放射状に延びている。フレームユニット102は、スポーク部材120の隣接する対の間に通路136を有しており、当該通路136は、中央ハブ開口122に流体接続している。
【0046】
804において、第1壁とは反対側のフレームユニット102の面に沿って、当該フレームユニットにおいてその場で第2壁が形成される。一実施形態において、第1壁は、
図1に示す入射壁104であり、第2壁は、
図1に示す後壁106である。入射壁104は、穴114を有しており、当該穴を通って、音波がフレームユニット102の中央ハブ開口122に受容される。他の実施形態においては、第1壁は、後壁106であり、第2壁は、入射壁104である。第2壁が完成すると、フレームユニット102は、2つの壁104、106に挟まれた状態になる。フレームユニット102は、入射壁104における穴114を介して中央ハブ開口122に音波を受容するように構成される。音波は、放射状に分散されてスポーク部材120間の様々な通路136に入り、当該通路136を通って伝搬及び消散される。
【0047】
任意ではあるが、フレームユニット102及び第2壁は、付加製造により形成されてもよい。任意ではあるが、フレームユニット102は、2つの壁104、106の間で互いに離間してアレイ状に配置された複数のフレームユニット102のうちの第1フレームユニット102であってもよい。
【0048】
方法800によって作製された減音パネル100は、音を減衰させるためにビークルの内部キャビンに設けられてもよいし、ビークルのエンジン等の騒音源に対向するように設けられてもよい。減音パネル100が設置されるビークルには、航空機、自動車、バス、鉄道車両、船舶、宇宙船等が含まれる。減音パネル100はまた、工場や住宅等のビークル外の場所に設置してもよいし、高速道路の遮音壁に沿って設置してもよい。
【0049】
図10は、本開示の一実施形態による航空機10を示す正面斜視図である。航空機10は、例えば2つのターボファンエンジン14を備えた推進システム12を含む。任意ではあるが、推進システム12は、図示例よりも多くエンジン14を含みうる。エンジン14は、航空機10の翼16に搭載されてもよい。他の実施形態においては、エンジン14は、胴体18及び/又は尾部20に搭載されてもよい。尾部20は、水平安定板22及び垂直安定板24を支持することもできる。航空機10の胴体18は、内部キャビン30(
図11に示す)を有する。
【0050】
図11は、
図10に示す航空機10の内部キャビン30を示す上面図である。内部キャビン30は、1つ以上の胴体壁62によって画定されてもよい。内部キャビン30は、複数のセクション又はゾーンに分割された乗客用キャビンであってもよく、これらのセクション又はゾーンには、前方セクション33、ファーストクラスセクション34、ビジネスクラスセクション36、前方ギャレーステーション38、ビジネスセクション40(例えば、拡張エコノミー/コーチセクション)、スタンダードエコノミー/コーチセクション42、並びに、複数の化粧室及びギャレーセクションを含みうる後方セクション44、が含まれる。なお、内部キャビン30は、図示例より多いか、或いは少ない数のセクションを含みうる。例えば、内部キャビン30は、ファーストクラスセクションを含まず、図示例よりも多いか、或いは少ない数のギャレーステーションを含んでもよい。各セクションは、キャビン移行エリア46によって隔てられてもよく、当該エリアは、クラス仕切りアセンブリを含みうる。頭上荷物棚アセンブリは、内部キャビン30全体に配置されてもよい。
【0051】
図11に示すように、内部キャビン30は、後方セクション44に続く2つの通路50、52を含む。任意ではあるが、内部キャビン30は、2つよりも少ないか、或いは多い数の通路を有していてもよい。例えば、内部キャビン30は、当該内部キャビン30の中心を貫通して後方セクション44に続く1つの通路を含んでいてもよい。内部キャビン30は、当該内部キャビン30を跨ぐとともに、通路50及び52をほぼ横切って延在する座席54の横列(row)53を含む。座席セクションの3つの縦列(columns)55、57、59は、横列53に対して垂直に延びている。各座席セクションは、1つ以上の座席54を含みうる。縦列55、57、59は、通路50、52と略平行に延びている。特定のセクション又はゾーンは、座席セクションの縦列55、57、59のうち任意の数の縦列を含みうる。
図11に示すように、少なくとも1つのゾーンは、座席セクションの3つの縦列55、57、59を含む。ただし、各ゾーンは、3つの縦列よりも多いか、或いは少ない数の縦列を含んでいてもよい。
【0052】
内部キャビン30は、本明細書で説明する実施形態のうちの1つ又は複数に従って形成された減音パネルを含みうる。減音パネルは、胴体壁62に沿って(又は、この内部に)取り付けることができる。これに加えて、或いはこれに代えて、減音パネルをエンジン14(
図10に示す)の近傍に配置して、内部キャビン30をエンジンの騒音に対してシールドしてもよい。減音パネルは、低周波ノイズを吸収及び減衰させて、内部キャビン30におけるエンジンの騒音レベルを低減するように構成されてもよい。
【0053】
一実施形態による航空機10に減音パネル100を設置するための方法は、減音パネル100を用意することを含む。減音パネル100は、
図1~8を参照して説明したパネル100であってもよく、当該パネル100は、入射壁104と、当該入射壁104に接続されるとともに、当該入射壁から延びる複数のフレームユニット102とを含む。入射壁104は、これを貫通する複数の穴114を有する。各フレームユニット102は、複数のスポーク部材120を含み、これらのスポーク部材は、互いに離間するとともに、それぞれのフレームユニット102の中央ハブ開口122から放射状に延びている。フレームユニット102は、スポーク部材120の隣接する対の間に通路136を有する。通路136は、中央ハブ開口122から放射状に延出している。
【0054】
航空機10に減音パネル100を設置するための方法は、入射壁104と航空機10の壁との間にフレームユニット102が配置されるように、航空機10の壁に減音パネル100を取り付けることをさらに含む。一実施形態における航空機10の壁は、内部キャビン30に沿って設けられた胴体壁62である。他の実施形態においては、航空機10の壁は、複数のエンジン14のうちの1つに対向するエンジン室(例えば、カウル)の壁などの、騒音源に対向する壁であってもよい。減音パネル100は、接着剤及び/又はファスナにより航空機10の壁に取り付けることができる。例えば、接着剤は、エポキシや粘着剤(glue)などであってもよい。ファスナは、ボルト、ネジ、クランプ、クリップ、又は、リベット等であってもよい。減音パネル100のフレームユニット102は、航空機10に設置されると、入射壁104を介してそれぞれの中央ハブ開口122で音波を受容し、スポーク部材120間の通路136を介して音波を消散させるように構成されている。
【0055】
任意ではあるが、減音パネル100は、既存の航空機10の壁に後付けして、音の減衰を向上させることができる。例えば、上記方法は、減音パネル100を設置する前に、航空機10の壁に配置された既存のパネルや壁のカバリングを取り外すことを含みうる。取り外されるパネル又は壁のカバリングは、本明細書で説明する減音パネル100と比較して性能及び/又は特性が劣る別のタイプの減音パネルであってもよい。例えば、取り外される他の減音パネルは、本明細書で説明する減音パネル100よりも重量及び/又は厚みが大きいものであってもよいし、所望の周波数について同レベルの減音を実現できないものであってもよい。
【0056】
本開示の1つ以上の実施形態は、低周波域において略完全に音を吸収することができるサブ波長寸法を有する薄型音響メタ構造体(acoustic metastructure with subwavelength dimensions)に関する。メタ構造体は、薄型パネルと、剛性プレートで裏打ちされたフレームとで構成される。フレームは、周期的な縮小-拡大通路(periodic converging-diverging channels)を形成する複数のスポークを含む。音響スカラー波は、これらの通路に沿って、中心点から外縁に向かって伝搬するため、音の伝搬が遅くなる。この構造体の幾何形状パラメータを制御することにより、共振周波数及び吸収率を調整することができる。メタ構造体の寸法を最適化して高吸音性の構造体を実現するために、回帰的かつ遺伝的なアルゴリズムに基づくハイブリッド手法(hybrid regression cum genetic algorithm-based approach)が利用された。有限要素に基づく数値シミュレーション及び実験により、構造体の広帯域における吸音性能が実証された。
【0057】
1つ以上の実施形態による減音パネルは、入射壁、後壁、及び、当該入射壁と当該後壁との間に設けられた複数のフレームユニットを含む。入射壁は、これを貫通する複数の穴を有する。フレームユニットは、入射壁及び後壁の両方に接続されるとともに、アレイ状に配置されている。各フレームユニットは、複数のスポーク部材を含み、これらのスポーク部材は、互いに離間するとともに、それぞれのフレームユニットの中央ハブ開口から放射状に延びて、隣接する対のスポーク部材間の通路を形成している。フレームユニットの中央ハブ開口は、入射壁の対応する穴に位置合わせされている。フレームユニットは、入射壁の対応する穴を介して、それぞれの中央ハブ開口で音波を受容し、スポーク部材間の通路を介して当該音波を消散させるように構成されている。
【0058】
本開示において、ある処理や動作を実行するように「構成された」と規定される構造、限定、或いは要素は、当該処理や動作に対応する態様で、構造的に形成され、構成され、適合されたものである。明瞭化のため、また疑義を避けるために付言すると、単に当該処理や動作を実行するように改変可能なものは、当該処理や動作を実行するように「構成された」ものには該当しない。
【0059】
上述の説明は、例示的なものであり、限定的に解釈されるべきではない。例えば、上述した実施形態(及び/又は、その側面)は、互いに組み合わせて使用することが可能である。さらに、本開示の様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、これらの教示に特定の状況や材料を適合させるために多くの改変が可能である。本明細書で説明した材料の寸法や種類は、本開示の様々な実施形態におけるパラメータを規定するためのものであり、これら実施形態は、限定を課すものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。上記した開示内容を検討すれば、当業者には多くの他の実施形態が明らかであろう。したがって、本開示の様々な実施形態の範囲は、添付の請求範囲を、これら請求の範囲に認められる均等物の全範囲と併せて参照して決定されるべきである。添付の請求範囲において用いられる「含む/有する(including)」及び「であって(in which)」等の用語は、それぞれ、「具備する(comprising)」及び「において(wherein)」等と意味を同じくする平易な英語表現として用いられている。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に標識として用いられており、これらが指す物体に対して数的な要件を課すことを意図するものではない。
【0060】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態を含む。
【0061】
付記1.入射壁(104)と、フレームユニット(102)とを含む減音パネル(100)であって、前記入射壁は、当該入射壁を貫通する穴(114)を有し、
前記フレームユニットは、前記入射壁に接続するとともに複数のスポーク部材(120)を含み、当該スポーク部材は、互いに離間して配置されるとともに、前記フレームユニットの1つ以上の中央ハブ開口(122)から放射状に延びており、前記1つ以上の中央ハブ開口は、前記入射壁の前記穴と位置合わせされており、前記フレームユニットは、前記スポーク部材のうちの隣接する対の間に通路(136)を有し、前記フレームユニットは、前記入射壁の前記穴を介して前記1つ以上の中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されている、減音パネル。
【0062】
付記2.後壁(106)をさらに含み、前記フレームユニット(102)は、前記入射壁(104)と接合する第1面(202)と、前記第1面とは反対側において、前記後壁と接合する第2面(204)と、を含む、付記1に記載の減音パネル(100)。
【0063】
付記3.前記フレームユニット(102)の前記スポーク部材(120)は、前記入射壁(104)の面(209)に平行な共通平面(208)に配置されており、前記1つ以上の中央ハブ開口(122)は、前記スポーク部材の前記共通平面に垂直な中心軸(124)を有する、付記1又は2に記載の減音パネル(100)。
【0064】
付記4.前記スポーク部材(120)の各々は、前記1つ以上の中央ハブ開口(122)における前記スポーク部材の内側端(130)から、前記フレームユニット(102)の外周(142)における前記スポーク部材の外側端(132)まで径方向に延びており、前記フレームユニットの外周は、円形又は多角形状である、付記1~3のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0065】
付記5.前記スポーク部材(120)の各々は、前記1つ以上の中央ハブ開口(122)における前記スポーク部材の内側端(130)から、前記スポーク部材の外側端(132)まで径方向に延びており、前記スポーク部材のうちの前記隣接する対の間の前記通路(136)は、前記隣接する対における前記スポーク部材の前記内側端間に形成された隙間(134)を介して、前記1つ以上の中央ハブ開口に流体接続されている、付記1~4のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0066】
付記6.前記通路(136)の各々は、拡大領域(210)と、縮小領域(212)とを含み、前記拡大領域は、前記1つ以上の中央ハブ開口(122)と前記縮小領域との間に設けられており、前記隣接する対のスポーク部材(120)間の前記通路の幅は、前記拡大領域に沿って前記1つ以上の中央ハブ開口から離れる方向に徐々に広がり、且つ、前記縮小領域に沿って、前記1つ以上の中央ハブ開口から離れる方向に徐々に狭くなっている、付記1~5のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0067】
付記7.前記スポーク部材(120)の各々は、狭部分(240)と、当該狭部分よりも幅が広い広部分(242)とを有しており、前記狭部分は、前記1つ以上の中央ハブ開口(122)における前記スポーク部材の内側端(130)から前記広部分まで径方向に延びており、前記広部分は、前記狭部分から、前記フレームユニット(102)の外周(142)における前記スポーク部材の外側端(132)まで径方向に延びている、付記1~6のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0068】
付記8.前記フレームユニット(102)は、前記減音パネルの複数のフレームユニットのうちの第1フレームユニット(602,702)であり、前記複数のフレームユニットは全て前記入射壁(104)の内面(112)に接続されており、前記入射壁の前記穴(114)は、第1穴であり、前記入射壁は、前記複数のフレームユニットのそれぞれの対応する中央ハブ開口(122)と位置合わせされた複数の穴を有する、付記1~7のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0069】
付記9.前記フレームユニット(102)の各々の前記スポーク部材(120)は、その前記1つ以上の中央ハブ開口(122)から、前記フレームユニットの外周(142)まで延びており、前記第1フレームユニット(602)の外周の寸法は、他のフレームユニット(604)のうちの少なくとも1つの外周の寸法とは異なる、付記8に記載の減音パネル(100)。
【0070】
付記10.前記フレームユニット(102)の各々は、単一のそれぞれの中央ハブ開口(122)を有しており、前記第1フレームユニット(702)の前記中央ハブ開口の直径は、他のフレームユニット(704)のうちの少なくとも1つの中央ハブ開口の直径とは異なる、付記8に記載の減音パネル(100)。
【0071】
付記11.前記入射壁(104)は、外面(110)と、当該外面とは反対側の内面(112)とを有し、前記フレームユニット(102)は、前記入射壁の前記内面に接合する第1面(202)と、前記第1面とは反対側の第2面(204)とを有し、前記入射壁の前記外面から、前記フレームユニットの前記第2面までの前記減音パネルの厚み(115)は、10mmよりも小さい、付記1~10のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0072】
付記12.前記フレームユニット(102)の前記スポーク部材(120)は、前記入射壁(104)にシームレス接続して、単一の一体型構造を有する、付記1~11のいずれか1つに記載の減音パネル(100)。
【0073】
付記13.減音パネル(100)を構築するための方法であって、
第1壁(104)においてその場でフレームユニット(102)を形成し、その際、前記フレームユニットは、複数のスポーク部材(120)を含むようにし、前記スポーク部材は、互いに離間して配置されるとともに、前記フレームユニットの中央ハブ開口(122)から放射状に延びるようにし、前記フレームユニットは、前記スポーク部材のうちの隣接する対の間に通路(136)を有するようにし、前記通路は、前記中央ハブ開口に流体接続するようにし、
前記第1壁とは反対側の前記フレームユニットの面(204)に沿って、前記フレームユニットにおいてその場で第2壁(106)を形成し、その際、前記第1壁又は前記第2壁のうちの一方は、前記フレームユニットの前記中央ハブ開口と位置合わせされた穴(114)を有するようにし、前記フレームユニットは、前記穴を介して前記中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の通路を介して前記音波を消散させるように構成されている、方法。
【0074】
付記14.前記フレームユニット(102)及び前記第2壁(106)は、付加製造により形成される、付記13に記載の方法。
【0075】
付記15.前記フレームユニット(102)は、前記第1壁(104)の内面(112)に形成され、前記フレームユニットの形成は、前記第1壁の前記内面から、前記フレームユニットに接合する前記第2壁(106)の内面(206)までの前記フレームユニットの厚み(115)が、1cmよりも薄くなるように行われる、付記13又は14に記載の方法。
【0076】
付記16.前記フレームユニット(102)は、第1フレームユニット(602,702)であって、前記方法は、前記第1壁(104)においてその場で複数のフレームユニットを形成することをさらに含み、前記複数のフレームユニットは、共通平面(208)において互いに離間して配置される、付記13~15のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
付記17.前記フレームユニットの形成は、前記スポーク部材(120)間の通路の各々が、拡大領域(210)と、縮小領域(212)とを含むように前記スポーク部材を形成することを含み、前記拡大領域は、前記中央ハブ開口と前記縮小領域との間に設けられており、前記スポーク部材間の前記通路の幅は、前記拡大領域に沿って前記中央ハブ開口から離れる方向に徐々に広がり、且つ、前記縮小領域に沿って、前記中央ハブ開口から離れる方向に徐々に狭くなっている、付記13~16のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
付記18.航空機(10)に減音パネル(100)を設置するための方法であって、
入射壁(104)と、当該入射壁に接続されるとともに当該入射壁から延びる複数のフレームユニットとを含む前記減音パネルを用意し、その際、前記入射壁は、これを貫通する複数の穴(114)を有するようにし、前記フレームユニットの各々は、互いに離間するとともに当該フレームユニットの中央ハブ開口(122)から放射状に延びる複数のスポーク部材(12)を含むようにし、前記フレームユニットは、前記スポーク部材の隣接する対の間に通路(136)を有するようにし、前記通路は、前記中央ハブ開口から放射状に延びるようにし、
前記航空機の壁に前記減音パネルを固定し、その際、前記フレームユニットは、前記入射壁と前記航空機の前記壁との間に配置されるようにし、前記フレームユニットは、前記入射壁を介して前記中央ハブ開口で音波を受容して、前記スポーク部材間の前記通路を介して前記音波を消散させるように構成されている、方法。
【0079】
付記19.前記航空機の前記壁は、前記航空機の内部キャビン(30)内、又は、前記航空機のエンジン室内に設けられている、付記18に記載の方法。
【0080】
付記20.前記航空機の前記壁に対して前記減音パネル(100)を取り付ける前に、前記航空機の前記壁に配置されたパネル又は壁(104)のカバリングを取り外すことをさらに含む、付記18又は19に記載の方法。
【0081】
本明細書の記載は、例を用いてベストモードを含む様々な実施形態を開示するものであり、また、任意の装置又はシステムの作製及び使用、並びに、組み入れられた方法の実行を含む本開示の様々な実施形態を当業者にとって実施可能にするものである。本開示の各種実施形態についての特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、当業者が想定しうる他の例を含みうる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構成要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない均等の構成要素を含む場合において、特許請求の範囲に含まれることを意図している。