(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】補助動力装置の囲い及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
B64D 27/14 20060101AFI20240530BHJP
B64C 1/08 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B64D27/14
B64C1/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020039306
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピアーソン, スティーヴン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ビンジャーニ, ロザリオ
(72)【発明者】
【氏名】マージェスリー, ラジャゴパラン
(72)【発明者】
【氏名】ドプカー, バーンハード
(72)【発明者】
【氏名】ロズマン, リチャード アール.
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0099611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0297686(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0327113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/40
B64C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(200)の補助動力装置の囲い(100)であって、
荷重を支え運ぶように構成され、補助動力装置コンパートメント(130)を画定する立体骨組み(102)であって、複数のノード(110)で共に連結された複数の骨組み要素(124)を備える立体骨組み(102)、及び
前記立体骨組みに連結され、前記立体骨組みを取り囲むフェアリング(104)を備え
、
前記立体骨組み(102)が、第1の臨界温度(132)を有する第1の材料(126)から形成され、
前記フェアリング(104)が、第2の臨界温度(134)を有する第2の材料(128)から形成され、
前記第2の臨界温度が、前記第1の臨界温度未満であり、
前記第1の臨界温度と前記第2の臨界温度は、それぞれ対応する材料が十分な荷重運搬能力を提供することを止める温度を指し、前記臨界温度の差は、前記立体骨組み(102)が、前記補助動力装置コンパートメント(130)内の極端な温度に応じて、熱イベントに耐え且つその荷重運搬能力を維持することを可能にし、一方で前記フェアリング(104)は、そのような温度に応じて構造的に劣化することを許容される、
補助動力装置の囲い(100)。
【請求項2】
前記立体骨組み(102)の前記第1の材料(126)が、金属材料(136)を含み、
前記フェアリング(104)の前記第2の材料(128)が、複合材料(138)を含む、請求項
1に記載の補助動力装置の囲い(100)。
【請求項3】
前記金属材料(136)が、チタニウム、耐食性鋼、及び金属マトリックス複合材のうちの少なくとも1つを含み、
前記複合材料(138)が、繊維強化ポリマーである、請求項
2に記載の補助動力装置の囲い(100)。
【請求項4】
前記立体骨組み(102)の前記複数の骨組み要素(124)が、
前記立体骨組みの長手軸(114)に沿って互いから間隔を空けられた複数の環状骨組み要素(106)、
前記複数のノード(110)で、前記複数の環状骨組み要素に連結された複数の長手骨組み要素(108)、及び
前記複数のノードの近くで、前記複数の環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結された複数の斜め骨組み要素(112)を備える、請求項1から
3のいずれか一項に記載の補助動力装置の囲い(100)。
【請求項5】
前記複数の斜め骨組み要素(112)のうちのそれぞれが、長手方向に隣り合った一対の前記複数の環状骨組み要素(106)と径方向に隣り合った一対の前記複数の長手骨組み要素(108)の交差部分において形成された斜めに対向する一対の前記複数のノード(110)の間で延在する、請求項
4に記載の補助動力装置の囲い(100)。
【請求項6】
前記フェアリング(104)が、
前記複数の環状骨組み要素(106)のうちの少なくとも1つに連結された複数の補強材(116)、及び
前記複数の補強材に連結された複数の外板(118)を備える、請求項
4又は
5に記載の補助動力装置の囲い(100)。
【請求項7】
ドア(122)を更に備え、
前記立体骨組み(102)が、前記立体骨組みの前記長手軸(114)に沿って
、互い
に間隔を空けられ、かつ、前記複数の環状骨組み要素(106)から間隔を空けられた
、複数の準環状骨組み要素(120)を更に備え、
前記複数の長手骨組み要素(108)が、前記複数のノード(110)で、前記複数の準環状骨組み要素に連結され、
前記複数の斜め骨組み要素(112)が、前記複数のノードの近くで、前記複数の準環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結され、並びに
前記ドアが、前記複数の準環状骨組み要素に連結され、前記複数の準環状骨組み要素に対して移動可能である、請求項
4から
6いずれか一項に記載の補助動力装置の囲い(100)。
【請求項8】
航空機(200)を作製する方法(1000)であって、
複数の環状骨組み要素(106)と複数の長手骨組み要素(108)を複数のノード(110)で共に連結すること、
立体骨組み(102)を形成するために、複数の斜め骨組み要素(112)を、前記複数のノードの近くで、前記複数の環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結すること、
前記立体骨組みにフェアリング(104)を連結すること、及び
前記航空機の胴体(150)を形成するために、前記立体骨組みを機体(202)に連結することを含
み、
前記立体骨組み(102)が、第1の臨界温度(132)を有する第1の材料(126)から形成され、
前記フェアリング(104)が、第2の臨界温度(134)を有する第2の材料(128)から形成され、
前記第2の臨界温度が、前記第1の臨界温度未満であり、
前記第1の臨界温度と前記第2の臨界温度は、それぞれ対応する材料が十分な荷重運搬能力を提供することを止める温度を指し、前記臨界温度の差は、前記立体骨組み(102)が、前記立体骨組み(102)によって画定される補助動力装置コンパートメント(130)内の極端な温度に応じて、熱イベントに耐え且つその荷重運搬能力を維持することを可能にし、一方で前記フェアリング(104)は、そのような温度に応じて構造的に劣化することを許容される、
方法(1000)。
【請求項9】
前記複数の斜め骨組み要素(112)を、前記複数のノード(110)の近くで、前記複数の環状骨組み要素(106)と前記複数の長手骨組み要素(108)のうちの少なくとも一方に連結するステップが、前記複数の斜め骨組み要素のうちのそれぞれを、長手方向に隣り合う一対の前記複数の環状骨組み要素と径方向に隣り合う一対の前記複数の長手骨組み要素の交差部分において形成された斜めに対向する一対の前記複数のノードの間に連結することを含む、請求項
8に記載の方法(1000)。
【請求項10】
前記航空機(200)の補助動力装置(222)を、前記立体骨組み(102)によって画定された
前記補助動力装置コンパートメント(130)内に収容することを更に含
む、請求項
8又は
9に記載の方法(1000)。
【請求項11】
前記第1の臨界温度(132)までの前記補助動力装置コンパートメント(130)内の温度に応じて、前記立体骨組み(102)の前記第1の材料(126)
は、その極限強度を超えない
、請求項
10に記載の方法(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、航空機の機体構成要素に関し、特に、航空機の機体と一体化された補助動力装置の囲いに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の機体は、通常、航空機の胴体、尾部、及び主翼を形成する、機械的な構造物である。最も近代的な航空機の胴体は、モノコック又はセミモノコックタイプの機体アセンブリを使用して構築される。補助動力装置(APU)は、推進以外の機能向けにエネルギーを供給する航空機上のデバイスである。一実施例として、APUは、通常、主たる推進エンジンが動作していないときの様々な電源入力、及び/又は主たるエンジンの動作中に生成されたものに対する補足動力を供給する、ガスタービンエンジンを含む。APUは、通常、一般的にAPUコンパートメントと称される、他のエリアから隔離された胴体の孤立したセクション内に位置付けられている。APUコンパートメントを形成する機体の部分は、APUの通常の動作中に生成される熱、及びAPUコンパートメント内の熱イベントなどの、APUの故障からもたらされる極端な温度に耐えることができなければならない。したがって、熱イベントの熱効果から機体を保護し、熱抑制システム向けの囲いを維持するために、APUの周りに囲いを形成することが望ましい。従来の慣行は、支持ブラケットを使用して、機体の内装に断熱ブランケットを連結することを含む。しかし、断熱ブランケット及び結合される支持ブラケットの使用は、航空機の重量、費用、及び製造時間を増加させる。したがって、APUの囲いの分野で当業者は研究開発を継続しており、そのため、上述の懸念に対処することが意図されたシステム及び方法が有用であろう。
【発明の概要】
【0003】
下記は、本開示による主題の実施例の非網羅的なリストであり、それらは、特許請求されることも或いはされないこともある。
【0004】
一実施例では、開示される航空機の補助動力装置の囲いが、荷重を支え運ぶように構成され且つ補助動力装置コンパートメントを画定する立体骨組みを含む。立体骨組みは、複数のノードで共に連結された複数の骨組み要素を含む。補助動力装置の囲いは、立体骨組みに連結され且つ立体骨組みを取り囲むフェアリングも含む。
【0005】
一実施例では、開示される航空機の胴体が、機体及び機体に連結された立体骨組みを含む。立体骨組みは、荷重を支え運ぶように構成され、航空機の補助動力装置を収容するための補助動力装置コンパートメントを画定する。立体骨組みは、複数のノード110で共に連結された複数の骨組み要素を含む。胴体は、立体骨組みに連結され且つ立体骨組みを取り囲むフェアリングも含む。
【0006】
一実施例では、開示される航空機を作製する方法が、以下のステップを含む。すなわち、(1)複数の環状骨組み要素と複数の長手骨組み要素を複数のノードで共に連結するステップ、(2)立体骨組みを形成するために、複数の斜め骨組み要素を、複数のノードの近くで、複数の環状骨組み要素と複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結するステップ、(3)立体骨組みにフェアリングを連結するステップ、及び(4)航空機の胴体を形成するために、機体に立体骨組みを連結するステップである。
【0007】
本開示の固定物、システム、及び方法の他の実施例は、以下の詳細な説明、添付の図面及び別記の特許請求の範囲により明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】航空機の一実施例の概略的なブロック図である。
【
図2】
図1の航空機の一実施例の概略的な図である。
【
図3】
図1の航空機の胴体の一部分の一実施例の概略的な斜視図である。
【
図4】
図1の胴体の補助動力装置の囲いの一実施例の概略的な斜視図である。
【
図5】
図4の補助動力装置の囲いの立体骨組みの一実施例の概略的な斜視図である。
【
図6】補助動力装置の囲いの一実施例の概略的な立面図である。
【
図7】
図6の補助動力装置の立体骨組みの一実施例の概略的な立面図である。
【
図8】立体骨組みの一部分の一実施例の概略的な立面図である。
【
図9】補助動力装置の一部分の一実施例の概略的な斜視図である。
【
図10】
図1の補助動力装置の囲いの一実施例の概略的な立面図である。
【
図11】航空機を作製する方法の一実施例のフロー図である。
【
図12】例示的な航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、添付の図面に言及している。添付の図面は、本開示によって説明された具体的な実施例を示している。種々の構造及び工程を有する他の実施例も、本開示の範囲から逸脱するわけではない。同様の参照番号は、異なる図面における同じ特徴、要素、又は構成要素を表わし得る。
【0010】
特許請求され得るが特許請求されないこともあり得る、本開示による主題の例示的且つ非網羅的な実施例が以下で提供される。本明細書で「実施例」に言及することは、当該実施例に関連して説明される1以上の特徴、構造、要素、構成要素、特性、及び/又は動作ステップが、本開示に係る主題の少なくとも1つの実施形態及び/又は実装形態に含まれることを意味する。故に、本開示全体にわたる「一実施例(one example)」、「別の実施例(another example)」という表現、及び類似の文言は、同一の実施例を指していることもあるが、必ずそうだというわけではない。更に、何れか1つの実施例を特徴付ける主題は、それ以外の実施例の何れかを特徴付ける主題を含み得るが、必ずしもそうだというわけではない。更に、何れか1つの実施例を特徴付ける主題は、それ以外の実施例の何れかを特徴付ける主題と組み合わされ得るが、必ずしもそうだというわけではない。
【0011】
概して
図1を参照し、特に
図2~
図10を参照すると、航空機200の補助動力装置(APU)の囲い100の実施例が開示される。一実施例では、APUの囲い100が、立体骨組み102を含む。立体骨組み102は、荷重を支え且つ荷重に反応する(すなわち、荷重を分配し又は伝達するための荷重経路を提供する)ように構成されている。立体骨組み102は、補助動力装置(APU)コンパートメント130を画定し又は形成する。APUコンパートメント130は、航空機200の補助動力装置(APU)222を収容するように構成されている。立体骨組み102は、複数のノード110で共に連結された複数の骨組み要素124を含む。APUの囲い100は、フェアリング104を含む。フェアリング104は、立体骨組み102に連結され、立体骨組み102を取り囲む。
【0012】
図1~
図3を参照すると、航空機200の胴体150の実施例が開示されている。概して、APUの囲い100は、胴体150の構造的構成要素に一体化され且つ/又はそれを形成する。本明細書で使用される際に、「構造的構成要素」は、荷重を支え且つ/又は伝達するように構成され又はそのような能力を有するアセンブリの荷重支持部材又はアクティブな構造要素を指す。一実施例では、胴体150が、機体202を含む。機体202は、荷重を支え運ぶように構成されている(すなわち、胴体150の構造的構成要素である)。胴体150は、立体骨組み102も含む。立体骨組み102は、機体202に連結されている。立体骨組み102は、荷重を支え運ぶように構成されている(すなわち、胴体150の構造的構成要素である)。立体骨組み102は、航空機200のAPU222を収容するためのAPUコンパートメント130を画定し又は形成する。立体骨組み102は、複数のノード110(
図1)で共に連結された複数の骨組み要素124を含む。胴体150は、フェアリング104も含む。フェアリング104は、立体骨組み102に連結され、立体骨組み102を取り囲む。
【0013】
図2は、航空機200の一実施例を示している。例示的な実施例では、航空機200が、固定翼航空機である。航空機200は、胴体150及び一対の主翼220を含む。概して、機体202は、胴体150及び主翼220の中央構造物を形成する。航空機200は、推進システム208、電気システム210、液圧システム212、環境システム214、及び/又は通信システム216などの、複数の高レベルシステム204も含むが、それらに限定されるものではない。任意の数の他のシステムも、また含まれてよい。一実施例では、APU222が、高レベルシステム204のうちの1以上の構成要素であり、又はそれらに動力を供給する。
【0014】
胴体150は、航空機200の主たる本体を形成し、内装206であって、乗務員、1以上の乗客、貨物、及び高レベルシステム204を保持するように構成された内装206を画定する。例示的な実施例では、胴体150が、細長い、概して円筒状の中央構造物である。胴体150は、前方端の機首部分及び後方端の尾部を含む。一実施例では、APUの囲い100が、胴体150の尾部の近くに位置付けられ又はその一部分を形成する。
【0015】
図2で示されているように、航空機200の一実施例では、APU222が、胴体150のAPUの囲い100内に位置付けられている。一実施例では、APU222が、発電機(図示せず)などの様々な構成要素に機械的入力を供給するように動作するガスタービンエンジンなどの内燃エンジン(図示せず)を含む。APUの囲い100は、APU222の通常の動作中に生成された熱、及びAPUの囲い100内に位置付けられたAPU222内の故障などによるAPUコンパートメント130内の熱イベントからもたらされた極端な熱に応じて、その強度を維持することができる封じ込め構造を提供する。
【0016】
図3は、胴体150の一部分を示している。APUの囲い100は、長手軸114を有する。概して、APUの囲い100の長手軸114は、機体202の長手軸218と整列している(例えば、一致している)。1以上の実施例では、APUの囲い100の長手軸114は、立体骨組み102及びフェアリング104の長手軸を規定する。本開示の全体を通じて、APUの囲い100の長手軸114は、立体骨組み102の長手軸及び/又はフェアリング104の長手軸を指すが、必ずしもそうである必要はない。APUの囲い100は、機体202の隣接するセクションに連結されて、胴体150の一部分を形成する。
【0017】
図3で示されているように、一実施例では、立体骨組み102が、トラス状の構造であって、長手軸114に沿って見た閉じた断面形状を有し、且つ、APUコンパートメント130を少なくとも部分的に画定する開いた内装領域を形成する、トラス状の構造を含むか又はその形態を採る。概して、立体骨組み102は、複数のノード110と称されるジョイントで互いに連結された複数の骨組み要素124を用いて構築された複数の三角形ユニットを含み、又はそれを形成する。したがって、外的な力及びそれらの力に対する反応は、複数のノード110においてのみ作用すると考えられ、引張か又は圧縮の何れかである複数の骨組み要素124内の力をもたらす。したがって、立体骨組み102は、胴体150の結合された部分(例えば、尾部)に対して荷重運搬能力を提供する内部構造である。
【0018】
図3は、立体骨組み102が、より明快に視認できるように、フェアリング104の一部分が取り除かれている。一実施例では、フェアリング104が、長手軸114に沿って見た閉じた断面形状を有する。閉じた断面形状は、部分的に立体骨組み102を取り囲む。したがって、フェアリング104は、外部構造であって、胴体150の結合された部分に対する滑らかな輪郭を提供し、且つ、胴体150の抵抗を低減させる外部構造である。
【0019】
図3で示されているように、一実施例では、機体202が、複数の骨組み228及び外板224を含むセミモノコック構造物である。外板224には、複数のストリンガ226が連結されている。外板224及び複数のストリンガ226は、複数の骨組み228に連結されている。セミモノコックタイプの機体アセンブリでは、(フォーマーとも称される)複数の骨組み228が、胴体150の形状を規定し、荷重は、機体202の複数のストリンガ226によって少なくとも部分的に支持される。別の一実施例では、機体202が、複数の骨組み228及び外板224を含むモノコック構造物である。外板224は、複数の骨組み228に連結されている。モノコックタイプの機体アセンブリでは、複数の骨組み228が、胴体150の形状を規定し、荷重は、機体202の外板224を介して支持される。
【0020】
未だ
図3を参照すると、APUの囲い100は、胴体150を形成するために機体202に連結されるか又はそれ以外のやり方で機体202と一体化される(胴体150の一部分を示すために、
図3では、機体202及びAPUの囲い100の1セクションだけが描かれている)。一実施例では、APUの囲い100の立体骨組み102の複数の骨組み要素124のうちの1以上が、APUの囲い100と機体202の間の荷重経路を提供するために、機体202の複数の骨組み228及び/又は複数のストリンガ226のうちの1以上に連結されるか、又はそれ以外のやり方でそれらと構造的に接合されている。一実施例では、APUの囲い100のフェアリング104が、胴体150の滑らかな輪郭を提供し、抵抗を低減させるために、機体202の外板224と一体化され、又はそれ以外のやり方で接合されている。一実施例では、防火壁230が、機体202とAPUの囲い100との間に位置付けられている。
【0021】
図1を参照すると、一実施例では、立体骨組み102が、第1の臨界温度132を有する第1の材料126から形成されている。フェアリング104は、第2の臨界温度134を有する第2の材料128から形成されている。第2の臨界温度134は、第1の臨界温度132未満である。本明細書で使用される際に、臨界温度は、材料(例えば、金属材料や複合材料)が、その極限強度を超え、十分な荷重運搬能力を提供することを止める温度を指す。一実施例では、第1の臨界温度132に近似する温度に応じて、第1の材料126が、その極限強度を超えない。一実施例では、第2の臨界温度134に近似する温度に応じて、第2の材料128が、その極限強度を超えないが、第1の臨界温度132に近似する温度に応じて、その極限強度を超えてよい。この臨界温度と極限強度の差は、立体骨組み102が、APUコンパートメント130内の極端な温度に応じて、熱イベントに耐え且つその荷重運搬能力を維持することを可能にし、一方で、フェアリング104は、そのような温度に応じて構造的に劣化することを許容される。
【0022】
一実施例では、第1の臨界温度132が、少なくとも華氏500度(摂氏260度)であり、第2の臨界温度134が、華氏500度(摂氏260度)未満である。別の一実施例では、第1の臨界温度132が、少なくとも華氏600度(摂氏315度)であり、第2の臨界温度134が、華氏600度(摂氏315度)未満である。別の一実施例では、第1の臨界温度132が、少なくとも華氏700度(摂氏350度)であり、第2の臨界温度134が、華氏700度(摂氏350度)未満である。別の一実施例では、第1の臨界温度132が、少なくとも華氏800度(摂氏425度)であり、第2の臨界温度134が、華氏800度(摂氏425度)未満である。他の実施例では、第1の臨界温度132が、第1の材料126の組成に応じて、華氏500度(摂氏260度)未満又は華氏800度(摂氏425度)より上であってよい。
【0023】
APUの囲い100のAPUコンパートメント130内に位置付けられる通常の熱イベントは、立体骨組み102及びフェアリング104に近い領域内で、近似的に華氏500度(摂氏260度)と近似的に華氏800度(摂氏425度)の間の温度に到達し得る。熱イベント中に、立体骨組み102(例えば、複数の骨組み要素124)は、近似的に華氏500度(摂氏260度)と近似的に華氏800度(摂氏425度)の間の温度を経験したときに、その極限強度を超えない。したがって、立体骨組み102は、そのような極端な温度に曝されたときに、その荷重運搬能力及び構造的完全性を維持する。フェアリング104は、そのような温度に曝されたときに、その極限強度を超え、塑性変形し始める可能性がある。しかし、フェアリング104は、胴体150の主たる構造的(例えば、荷重支持)構成要素として働かないので、フェアリング104の塑性変形又は破壊でさえ、APUの囲い100の構造的完全性に影響を与えない。
【0024】
未だ
図1を参照すると、一実施例では、立体骨組み102の第1の材料126が、金属材料136を含む。一実施例では、金属材料136が、チタニウムである。チタニウムは、航空宇宙用途に対して有用な強度対重量比を提供する。別の一実施例では、金属材料136が、炭素鋼である。別の一実施例では、金属材料136が、耐食性鋼である(CRES)である。別の一実施例では、金属材料136が、金属マトリックス複合材である。別の一実施例では、金属材料136が、チタニウムシリコンカーバイド(Ti
3SiC
2)である。他の金属、金属合金、又は金属複合材も、立体骨組み102の金属材料136としての使用について考慮される。
【0025】
一実施例では、フェアリング104の第2の材料128が、複合材料138を含む。一実施例では、複合材料138が、炭素繊維強化ポリマーやガラス繊維強化ポリマー(例えば、繊維ガラス)などの、繊維強化ポリマーである。別の一実施例では、フェアリング104の第2の材料128が、アルミニウムなどの金属材料を含む。
【0026】
図4~
図10を参照すると、一実施例では、立体骨組み102の複数の骨組み要素124が、(個別に環状骨組み要素106とも称される)複数の環状骨組み要素106を含む。複数の環状骨組み要素106は、立体骨組み102の長手軸114(
図3)に沿って互いから間隔を空けられている。複数の環状骨組み要素106のそれぞれは、長手軸114を囲み、長手軸114と近似的に垂直に方向付けられている。複数の環状骨組み要素106は、APUの囲い100の少なくとも一部分の形状を規定する。複数の骨組み要素124は、(個別に長手骨組み要素108とも称される)複数の長手骨組み要素108も含む。複数の長手骨組み要素108は、複数のノード110で、複数の環状骨組み要素106に連結されている。複数の長手骨組み要素108のうちのそれぞれは、長手軸114に沿って延在し、複数の環状骨組み要素106のうちの1以上と近似的に垂直に交差する。複数の骨組み要素124は、(個別に斜め骨組み要素112とも称される)複数の斜め骨組み要素112も含む。複数の斜め骨組み要素112の少なくとも一部分は、複数のノード110の近くで、複数の環状骨組み要素106と複数の長手骨組み要素108のうちの少なくとも一方に連結されている。本開示の目的で、「ノード」という用語は、環状骨組み要素106、長手骨組み要素108、及び/又は斜め骨組み要素112のうちの少なくとも2つが交差し又は枝分かれする、中央又は連結ポイント又は領域を指す。したがって、外的な力及びそれらの力に対する反応は、複数のノード110においてのみ作用すると考えられ、引張か又は圧縮の何れかである複数の環状骨組み要素106、複数の長手骨組み要素108、及び複数の斜め骨組み要素112のうちの1以上内の力をもたらす。複数の斜め骨組み要素112は、立体骨組み102を通る冗長な荷重経路を提供する。
【0027】
一実施例では、複数の環状骨組み要素106が、第1の臨界温度132を有する第1の材料126から形成されている。一実施例では、複数の長手骨組み要素108が、第1の臨界温度132を有する第1の材料126から形成されている。一実施例では、複数の斜め骨組み要素112が、第1の臨界温度132を有する第1の材料126から形成されている。一実施例では、複数の環状骨組み要素106、複数の長手骨組み要素108、及び複数の斜め骨組み要素112のうちの少なくとも1つが、チタニウムなどの金属材料136から形成されている。
【0028】
概して
図3を参照し、特に
図4~
図7を参照すると、一実施例では、立体骨組み102の複数の長手骨組み要素108のうちの1以上の端部が、機体アセンブリの種類に応じて、APUの囲い100に隣接して、複数の機体202(
図3)の複数の骨組み228のうちの1以上及び/又は複数のストリンガ226のうちの1以上に連結されている。この構成は、APUの囲い100が、胴体150の残りの部分と構造的に一体化されることを可能にし、APUの囲い100に隣接して立体骨組み102と機体202の間で荷重が分配されることを可能にする。
【0029】
概して
図4~
図7を参照し、特に
図8を参照すると、一実施例では、複数の斜め骨組み要素112のうちのそれぞれが、(
図8で第1のノード110A及び第2のノード110Bとして個別に描かれ、斜めに対向する一対のノード110A、110Bとして識別される)斜めに対向する一対の複数のノード110の間で延在する。斜めに対向する一対のノード110A、110Bは、(
図8で第1の環状骨組み要素106A及び第2の環状骨組み要素106Bとして個別に描かれ、長手方向に隣り合う一対の環状骨組み要素106A、106Bとして集合的に識別される)長手方向に隣り合う一対の複数の環状骨組み要素106と、(
図8で第1の長手骨組み要素108A及び第2の長手骨組み要素108Bとして個別に描かれ、径方向に隣り合う一対の長手骨組み要素108A、108Bとして集合的に識別される)径方向に隣り合う一対の複数の長手骨組み要素108と、の交差部分において形成されている。
図8で示されているように、一実施例では、斜め骨組み要素112のうちの一端部が、第1のノード110Aの近くで、第1の環状骨組み要素106Aと第2の長手骨組み要素108Bのうちの少なくとも一方に連結されている。斜め骨組み要素112のうちの反対側の端部は、第2のノード110Bの近くで、第2の環状骨組み要素106Bと第1の長手骨組み要素108Aのうちの少なくとも一方に連結されている。この構成は、立体骨組み102の長手軸114(
図3)に沿って繰り返されて、各斜めに対向する一対のノード110A、110Bの間に冗長な荷重経路を提供する。
【0030】
概して
図4~
図8を参照し、特に
図9を参照すると、一実施例では、斜め骨組み要素112の一端部140が、ノード110の近くで、環状骨組み要素106に連結されている。別の一実施例では、斜め骨組み要素112の一端部140が、ノード110の近くで、長手骨組み要素108に連結されている。別の一実施例では、斜め骨組み要素112の一端部140が、ノード110の近くで、環状骨組み要素106及び長手骨組み要素108に連結されている。
【0031】
斜め骨組み要素112のそれぞれの特定の形状、寸法、及び角度方向は、環状骨組み要素106の数、長手骨組み要素108の数、立体骨組み102の形状及び寸法、並びに他の要因などの、様々な要因に応じる。一実施例では、斜め骨組み要素112のうちの1以上が、その長さの周りで1以上の捩じれを含む。一実施例では、斜め骨組み要素112のうちの1以上が、その長さに沿って1以上の曲がりを含む。
【0032】
概して
図2及び
図3を参照し、特に
図4及び
図6を参照すると、一実施例では、フェアリング104が、複数の補強材116及び複数の外板118(
図4)を含んでよい。複数の外板118は、複数の補強材116に連結されている。一実施例では、複数の補強材116が、複数の環状骨組み要素106のうちの少なくとも1つに連結されている。一実施例では、複数の外板118が、複数の環状骨組み要素106のうちの少なくとも1つに連結されている。
図4は、複数の環状骨組み要素106の一部分に連結された複数の補強材116の一部分、並びに複数の補強材116及び複数の環状骨組み要素106から分解された複数の外板118の一部分を描いている。
図6は、複数の環状骨組み要素106の一部分に連結された複数の補強材116の一部分、及び分かり易くするために取り除かれた複数の外板118を描いている。別の一実施例では、
図3などで示されているように、フェアリング104が、環状骨組み要素106のうちの少なくとも1つ及び/又は長手骨組み要素108のうちの少なくとも1つに連結された、複数の外板118を含んでよい。
【0033】
概して
図3を参照し、特に
図4及び
図6を参照すると、一実施例では、フェアリングの複数の補強材116のうちの1以上の端部が、機体アセンブリの種類に応じて、APUの囲い100に隣接して、機体202(
図3)の複数の骨組み228のうちの1以上及び/又は複数のストリンガ226のうちの1以上に連結されている。複数の外板118のうちの1以上の縁部は、機体202の外板224の隣接する縁部に当接し、接合されている。この構成は、APUの囲い100が、胴体150の残りの部分に空力的に一体化されることを可能にする。
【0034】
一実施例では、複数の補強材116が、第2の臨界温度134を有する第2の材料128から形成されている。一実施例では、複数の外板118が、第2の臨界温度134を有する第2の材料128から形成されている。実施例では、複数の補強材116と複数の外板118のうちの少なくとも一方が、炭素繊維強化ポリマーや繊維ガラスなどの繊維強化ポリマーなどの、複合材料138から形成されている。一実施例では、外板118が、ハニカムパネル又はフォームコアサンドウィッチパネルなどの、少なくとも1つのサンドウィッチパネルから形成されている。
【0035】
概して
図3~
図7を参照し、特に
図10を参照すると、一実施例では、APUの囲い100が、ドア122(
図10)を含む。一実施例では、立体骨組み102が、(個別に準環状骨組み要素120とも称される)複数の準環状骨組み要素120を含む。複数の準環状骨組み要素120は、立体骨組み102の長手軸114(
図3)に沿って、互い及び複数の環状骨組み要素106から間隔を空けられている。複数の準環状骨組み要素120のそれぞれは、長手軸114を囲み、長手軸114と近似的に垂直に方向付けられている。複数の準環状骨組み要素120は、APUの囲い100の少なくとも一部分の形状を規定する。準環状骨組み要素120によって形成された開領域142(
図4及び
図10)は、ドア122を受け入れるように構成されている。複数の長手骨組み要素108は、複数のノード110で、複数の準環状骨組み要素120に連結されている。複数の長手骨組み要素108のそれぞれは、複数の準環状骨組み要素120のうちの1以上と近似的に垂直に交差する。複数の斜め骨組み要素112の少なくとも一部分は、複数のノード110の近くで、複数の準環状骨組み要素120と複数の長手骨組み要素108のうちの少なくとも一方に連結されている。
【0036】
図10で示されているように、一実施例では、ドア122が、複数の準環状骨組み要素120のうちの少なくとも1つ、及び/又は、複数の準環状骨組み要素120に交差し、開領域142(
図4)を少なくとも部分的に画定する複数の長手骨組み要素108のうちの少なくとも1つに連結されている。ドア122は、ドア122が連結される複数の準環状骨組み要素120及び/又は複数の長手骨組み要素108に対して移動可能である。ドア122は、APUコンパートメント130(
図3)及び、したがって、APU222(
図2)に対するアクセスを提供する。
【0037】
図4~
図7を参照すると、一実施例では、複数の環状骨組み要素106のうちの1以上が、(個別にシヤタイ144とも称される)複数のシヤタイ144を含む。複数のシヤタイ144は、互いから間隔を空けられ、環状骨組み要素106の外周の少なくとも一部分の周りで延在する。
図4及び
図6で最も良く示されているように、シヤタイ144のうちの隣接するものの間で形成された(一般的にマウスホールと称される)開領域は、立体骨組み102の複数の長手骨組み要素108のうちの1つ又はフェアリング104の複数の補強材116のうちの1つを受け入れる。同様に、一実施例では、複数の準環状骨組み要素120のうちの1以上が、立体骨組み102の複数の長手骨組み要素108のうちの1つ、及びフェアリング104の複数の補強材116のうちの1つを受け入れるための、複数のシヤタイ144を含む。
【0038】
一実施例では、複数のシヤタイ144の少なくとも一部分が、第1の臨界温度132を有する第1の材料126から形成されている。一実施例として、複数のシヤタイ144の少なくとも一部分は、チタニウムなどの金属材料136から形成されている。別の一実施例では、複数のシヤタイ144の少なくとも一部分が、第2の臨界温度134を有する第2の材料128から形成されている。一実施例として、複数のシヤタイ144の少なくとも一部分は、炭素繊維強化ポリマーなどの繊維強化ポリマーなどの複合材料138から形成されている。
【0039】
概して
図1~
図10を参照し、特に
図11を参照すると、航空機200を作製する方法1000の実施例が開示されている。方法1000に従って製造された航空機200(
図1及び
図2)は、胴体150の少なくとも一部分を形成する機体202及びAPUの囲い100を含む。
【0040】
一実施例では、方法1000が、複数のノード110で、複数の環状骨組み要素106と複数の長手骨組み要素108を連結するステップ(ブロック1002)を含む。方法1000は、立体骨組み102を形成するために、複数のノード110の近くで、複数の斜め骨組み要素112を、複数の環状骨組み要素106と複数の長手骨組み要素108のうちの少なくとも一方に連結するステップ(ブロック1004)を含む。
【0041】
一実施例では、方法1000によれば、複数の斜め骨組み要素112を、複数の環状骨組み要素106と複数の長手骨組み要素108のうちの少なくとも一方に連結するステップは、複数の斜め骨組み要素112のうちのそれぞれを、長手方向に隣り合う一対の複数の環状骨組み要素106と径方向に隣り合う一対の複数の長手骨組み要素108の交差部分において形成された斜めに対向する一対の複数のノード110の間に連結するステップ(ブロック1006)を含む。方法1000によれば、複数の斜め骨組み要素112を、複数の環状骨組み要素106と複数の長手骨組み要素108の間に連結するステップは、複数の冗長な荷重経路を提供するステップ(ブロック1008)を含む。
【0042】
一実施例では、方法1000が、フェアリング104を立体骨組み102に連結するステップ(ブロック1010)を含む。方法1000は、航空機200の胴体150を形成するために、立体骨組み102を機体202に連結するステップ(ブロック1012)を含む。
【0043】
一実施例では、方法1000が、航空機200のAPU222を、立体骨組み102によって画定されたAPUコンパートメント130内に収容するステップ(ブロック1014)を含む。方法1000によれば、立体骨組み102は、第1の臨界温度132を有する第1の材料126から形成され、フェアリング104は、第2の臨界温度134を有する第2の材料128から形成され、第2の臨界温度134は、第1の臨界温度132未満である。
【0044】
一実施例では、方法1000が、第1の臨界温度132までの温度に応じて、立体骨組み102の第1の材料126の極限強度を超えないステップ(ブロック1016)を含む。
【0045】
APUの囲い100、胴体150、航空機200、及び方法1000の実施例は、
図12のフロー図で示されている航空機の製造及び保守方法1100に関して使用され得る。本開示の実施例の航空機用途は、補助動力装置を収容するように構成された胴体コンパートメントを含む、航空機の製造、運航、及び保守を含んでよい。APUの囲い100及び方法1000の実施例は、航空宇宙の用途に関連して説明されたが、APUの囲い100及び方法1000は、様々な潜在的用途、特に、補助動力装置を任意の種類の輸送体と併せて使用する輸送産業で有用であろう。
【0046】
図12に示すように、製造前の段階では、例示的な方法1100は、航空機200の仕様及び設計(ブロック1102)、並びに材料調達(ブロック1104)を含み得る。航空機200の製造段階では、航空機200の構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)、並びにシステムインテグレーション(ブロック1108)が行われ得る。その後、航空機200は、認可及び納品(ブロック1110)を経て、運航(ブロック1112)に供され得る。開示されたAPUの囲い100及び方法1000は、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)、並びに/又はシステムインテグレーション(ブロック1108)の一部分を形成し得る。定期的な整備及び保守は、航空機200の1以上のシステムの修正、再構成、改修など(ブロック1114)を含んでよい。
【0047】
図12で示されている方法1100のプロセスのそれぞれは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実施又は実行されてよい。この明細書の解釈上、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含み得るがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得るがそれらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0048】
本明細書に図示又は記載されたAPUの囲い100及び方法1000の実施例は、
図12に示すフロー図に示す製造及び保守方法1100の、1以上の任意の段階で利用され得る。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造(ブロック1106)に対応する、APUの囲い100の立体骨組み102及びフェアリング104などの構成要素又はサブアセンブリは、航空機200の運航(ブロック1112)中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で製作又は製造されてよい。また、本明細書で開示されたAPUの囲い100及び方法1000の1以上の実施例は、製造段階(ブロック1108及びブロック1110)で利用されてよい。同様に、本明細書で開示されるAPUの囲い100及び方法1000のうちの1以上の実施例は、例えば、航空機200の運航(ブロック1112)中に、且つ、整備及び保守(ブロック1114)の段階で利用されてもよいが、これらに限定されない。
【0049】
航空宇宙の実施例が示されたが、本明細書で開示される原理は、自動車産業、空間産業、建設産業、並びに他の設計及び製造産業にも適用されてよい。したがって、航空宇宙輸送体に加えて、本開示の原理は、他の輸送体構造物(例えば、地上輸送体、海洋輸送体、宇宙輸送体など)及び独立型の構造物にも適用されてよい。
【0050】
本明細書において、特定の機能を実施する「ように構成/設定された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、更なる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるにすぎないというものではない。換言すると、特定の機能を実施する「ように構成/設定された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、且つ/又は設計される。本明細書において、「構成された(configured to)」という表現は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアがさらなる改変なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を意味する。この開示の目的のために、特定の機能を実施するように「構成された」と記載されているシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的には、その機能を実施するよう「適合された(adapted to)」、且つ/又は「動作可能である(operative to)」と記載されてもよい。
【0051】
別途提示されない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書では単に符号として使用されており、これらの用語が表すアイテムに対して、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図していない。更に、「第2の」アイテムに言及することによって、より小さい数のアイテム(例えば、「第1の」アイテム)及び/又はより大きい数のアイテム(例えば、「第3の」アイテム)の存在が必要とされるわけでもなく、除外されるわけでもない。
【0052】
本明細書において、「連結された(coupled)」、「連結する(coupling)」、及び類似の用語は、2つ以上の要素が、互いに(例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的に)結合、連接、締結、接続、連通、又はさもなければ関連付けられることを指す。様々な実施例では、これらの要素は、直接的又は間接的に関連付けられ得る。一実施例として、要素Aは、要素Bと直接的に結合されてよい。別の一実施例として、要素Aは、例えば別の要素Cを介して要素Bと間接的に結合されてよい。本開示の様々な要素の間の全ての結合が、必ずしも表されているわけではないことが理解されよう。そのため、図面に示されているもの以外の連結も存在し得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、且つ列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「アイテムA」、又は「アイテムAとアイテムB」を含む。この例は、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」も含む。他の例として、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、「2個のアイテムAと1個のアイテムBと10個のアイテムC」、「4個のアイテムBと7個のアイテムC」、並びに他の適切な組み合わせを含む。
【0054】
本明細書において、「近似的に(approximately)」という用語は、所望の機能を依然として実行する又は所望の結果を達成する所定の条件、量、又は値に近似するが、必ずしもそうではない条件、量、又は値を表す。一実施例では、「近似的に」という用語が、受け入れ可能な所定の許容誤差又は精度内にある条件を指す。一実施例では、「近似的に」という用語が、述べられた状態の10%の範囲内にある条件を指す。しかし、「近似的に」という用語は、述べられた状態に正確に一致する条件を排除するものではない。したがって、「近似的に」という用語は、所望の程度の精度と一致するか又はその範囲内にあることを意味すると解釈されてよい。
【0055】
上で言及された
図1では、ブロックが、要素、構成要素、及び/又はそれらの部分を表してよく、様々な要素及び/又は構成要素を連結する実線が存在する場合、これらの実線は、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁的、及びその他の連結、並びに/又はその組合せを表し得る。ブロック図で示されているもの以外の連結も存在し得る。図示されている1以上の要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の実施例から省略されてよい。環境要素が存在する場合、それらは点線で表わされる。分かりやすくするために、仮想的な(架空の)要素も示され得る。
図1に示す特徴のうちの幾つかは、
図1、他の図面、及び/または付随する開示に記載された他の特徴を含むことを必要とせずに、様々な方法で組み合わされ得ることを(1または複数のかかる組み合わせは本書で明示的に示されていないが)、当業者は理解するであろう。同様に、提示された実施例に限定されない更なる特徴が、本明細書で示され説明された特徴の一部又は全部と組み合わされてよい。
【0056】
上述の
図11及び
図12では、ブロックは、工程及び/又はその一部を表すことが可能であり、様々なブロックを接続する線は、工程群又はその一部の任意の特定の順序又は従属関係を示唆しない。開示されている様々な工程間の全ての従属関係が必ずしも表わされている訳ではないことが、理解されよう。本明細書に提示された開示方法の工程を説明する
図11及び
図12、並びに付随する開示は、必ずしも工程を実行するべき順序を決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、ある例示的な順序が示されているが、工程の順序は、適切な場合、修正することができることを理解されたい。したがって、図示されている工程には改変、追加、及び/又は省略が行われてよく、特定の工程群は、異なる順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよい。更に、当業者であれば、記載されている全ての工程を実行する必要はないことを理解されよう。
【0057】
更に、本開示は以下の条項による実施例を含む。
条項1.
航空機の補助動力装置の囲いであって、
荷重を支え運ぶように構成され、補助動力装置コンパートメントを画定する立体骨組みであって、複数のノードで共に連結された複数の骨組み要素を備える立体骨組み、及び
前記立体骨組みに連結され、前記立体骨組みを取り囲むフェアリングを備える、補助動力装置の囲い。
条項2.
前記立体骨組みが、第1の臨界温度を有する第1の材料から形成され、
前記フェアリングが、第2の臨界温度を有する第2の材料から形成され、
前記第2の臨界温度が、前記第1の臨界温度未満である、条項1に記載の補助動力装置の囲い。
条項3.
前記立体骨組みの前記第1の材料が、金属材料を含み、
前記フェアリングの前記第2の材料が、複合材料を含む、条項2に記載の補助動力装置の囲い。
条項4.
前記金属材料が、チタニウム、耐食性鋼、及び金属マトリックス複合材のうちの少なくとも1つを含み、
前記複合材料が、繊維強化ポリマーである、条項3に記載の補助動力装置の囲い。
条項5.
前記立体骨組みの前記複数の骨組み要素が、
前記立体骨組みの長手軸に沿って互いから間隔を空けられた複数の環状骨組み要素、
前記複数のノードで、前記複数の環状骨組み要素に連結された複数の長手骨組み要素、及び
前記複数のノードの近くで、前記複数の環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結された複数の斜め骨組み要素を備える、条項1から4のいずれか一項に記載の補助動力装置の囲い。
条項6.
前記複数の斜め骨組み要素のうちのそれぞれが、長手方向に隣り合った一対の前記複数の環状骨組み要素と径方向に隣り合った一対の前記複数の長手骨組み要素の交差部分において形成された斜めに対向する一対の前記複数のノードの間で延在する、条項5に記載の補助動力装置の囲い。
条項7.
前記フェアリングが、
前記複数の環状骨組み要素のうちの少なくとも1つに連結された複数の補強材、及び
前記複数の補強材に連結された複数の外板を備える、条項5又は6に記載の補助動力装置の囲い。
条項8.
ドアを更に備え、
前記立体骨組みが、前記立体骨組みの前記長手軸に沿って互い及び前記複数の環状骨組み要素から間隔を空けられた複数の準環状骨組み要素を更に備え、
前記複数の長手骨組み要素が、前記複数のノードで、前記複数の準環状骨組み要素に連結され、
前記複数の斜め骨組み要素が、前記複数のノードの近くで、前記複数の準環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結され、並びに
前記ドアが、前記複数の準環状骨組み要素に連結され、前記複数の準環状骨組み要素に対して移動可能である、条項5から7のいずれか一項に記載の補助動力装置の囲い。
条項9.
航空機の胴体であって、
機体、
前記機体に連結された立体骨組みであって、荷重を支え運ぶように構成され、前記航空機の補助動力装置を収容するための補助動力装置コンパートメントを画定し、複数のノードで共に連結された複数の骨組み要素を備える立体骨組み、及び
前記立体骨組みに連結され、前記立体骨組みを取り囲むフェアリングを備える、胴体。
条項10.
前記機体が、準モノコック構造体であり、前記準モノコック構造体が、
外板、
前記外板に連結された複数のストリンガ、及び
前記外板に連結された複数の骨組みを備える、条項9に記載の胴体。
条項11.
前記立体骨組みが、第1の臨界温度を有する第1の材料から形成され、
前記フェアリングが、第2の臨界温度を有する第2の材料から形成され、
前記第2の臨界温度が、前記第1の臨界温度未満である、条項9又は10に記載の胴体。
条項12.
前記立体骨組みの前記第1の材料が、チタニウム、耐食性鋼、及び金属マトリックス複合材のうちの少なくとも1つを含み、
前記フェアリングの前記第2の材料が、繊維強化ポリマーである、条項11に記載の胴体。
条項13.
前記立体骨組みの前記複数の骨組み要素が、
前記立体骨組みの長手軸に沿って互いから間隔を空けられた複数の環状骨組み要素、
前記立体骨組みの前記長手軸の周りで互いから径方向に間隔を空けられ、前記複数のノードで、前記複数の環状骨組み要素に連結された複数の長手骨組み要素、及び
前記複数のノードの近くで、前記複数の環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結された複数の斜め骨組み要素を備える、条項9から12のいずれか一項に記載の胴体。
条項14.
前記複数の斜め骨組み要素のうちのそれぞれが、長手方向に隣り合った一対の前記複数の環状骨組み要素と径方向に隣り合った一対の前記複数の長手骨組み要素の交差部分において形成された斜めに対向する一対の前記複数のノードの間で延在する、条項13に記載の胴体。
条項15.
前記フェアリングが、
前記複数の環状骨組み要素のうちの少なくとも1つに連結された複数の補強材、及び
前記複数の補強材に連結された複数の外板を備える、条項13又は14に記載の胴体。
条項16.
前記補助動力装置にアクセスするためのドアを更に備え、
前記立体骨組みが、前記立体骨組みの長手軸に沿って互い及び前記複数の環状骨組み要素から間隔を空けられた複数の準環状骨組み要素を更に備え、
前記複数の長手骨組み要素が、前記複数のノードで、前記複数の準環状骨組み要素に連結され、
前記複数の斜め骨組み要素が、前記複数のノードの近くで、前記複数の準環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結され、並びに
前記ドアが、前記複数の準環状骨組み要素に連結され、前記複数の準環状骨組み要素に対して移動可能である、条項13から15のいずれか一項に記載の胴体。
条項17.
航空機を作製する方法であって、
複数の環状骨組み要素と複数の長手骨組み要素を複数のノードで共に連結すること、
立体骨組みを形成するために、複数の斜め骨組み要素を、前記複数のノードの近くで、前記複数の環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結すること、
前記立体骨組みにフェアリングを連結すること、及び
前記航空機の胴体を形成するために、前記立体骨組みを機体に連結することを含む、方法。
条項18.
前記複数の斜め骨組み要素を、前記複数のノードの近くで、前記複数の環状骨組み要素と前記複数の長手骨組み要素のうちの少なくとも一方に連結するステップが、前記複数の斜め骨組み要素のうちのそれぞれを、長手方向に隣り合う一対の前記複数の環状骨組み要素と径方向に隣り合う一対の前記複数の長手骨組み要素の交差部分において形成された斜めに対向する一対の前記複数のノードの間に連結することを含む、条項17に記載の方法。
条項19.
前記航空機の補助動力装置を、前記立体骨組みによって画定された補助動力装置コンパートメント内に収容することを更に含み、
前記立体骨組みが、第1の臨界温度を有する第1の材料から形成され、
前記フェアリングが、第2の臨界温度を有する第2の材料から形成され、
前記第2の臨界温度が、前記第1の臨界温度未満である、条項17又は18に記載の方法。
条項20.
前記第1の臨界温度までの前記補助動力装置コンパートメント内の温度に応じて、前記立体骨組みの前記第1の材料の極限強度を超えないことを更に含む、条項19に記載の方法。
【0058】
開示されたAPUの囲い100、胴体150、航空機200、及び方法1000の様々な実施例が示され説明されたが、本明細書を読んだ当業者には、多数の変形例が想起されるであろう。本出願は、かかる変形例を含み、且つ特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。