(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
A63F7/02 327A
(21)【出願番号】P 2020079190
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】和泉 則教
【審査官】小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定具によって設備に固定される外枠と、
前記外枠に対して所定の開閉構造を介して開閉可能に構成された本体と、
前記開閉構造を有する本体を閉状態で施錠可能な施錠機構と、
前記施錠機構を所定の鍵を使用することで解錠可能な第1解錠手段と、
前記第1解錠手段とは異なる態様で前記施錠機構を解錠可能な第2解錠手段とを備え、
前記本体に取り付けられ、前記第2解錠手段を機能させることができない第1状態と、前記第2解錠手段を機能可能な第2状態に変位可能なロックユニットを有し、
前記ロックユニットは、
前記本体が前記外枠に対して開状態のときは前記第2状態に変位しており、前記本体が前記外枠に対して閉状態となるときに前記外枠に設けられた当接部に接触することにより、前記第2状態から前記第1状態に変位可能であり、
遊技機の裏面側から
前記第1の固定具とは別の第2の固定具を取り外すことで、前記外枠に設けられた前記当接部を取り外し、
前記本体が前記外枠に対して閉状態のときでも前記ロックユニットを前記第1状態から前記第2状態に変位可能とすることで、前記第2解錠手段を解錠可能な状態に変化させることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉式の構造を有する遊技機本体を施錠装置によって閉状態に施錠する構造の先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術の施錠装置は、本体の自由端側の後側に固定状態で装着された上下方向に長尺な取付基板に対し、本体枠施錠部材、扉施錠部材、シリンダ錠等が組み付けられて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年では、施錠構造についても似通った遊技機ばかりが提案されており、斬新な遊技機が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、斬新な遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段の遊技機は、開閉構造を有する本体を閉状態で施錠可能な施錠機構と、前記施錠機構を所定の態様で解錠可能な第1解錠手段と、前記第1解錠手段とは異なる態様で前記施錠機構を解錠可能な第2解錠手段とを備えたことを特徴とする遊技機である。
【0008】
遊技機の本体には、遊技を行う上での各種の構成要素(構造物、電子機器、制御装置等)が設けられている。このうち、遊技を行う上で必要な操作(遊技媒体の投入、発射、借り受け等)をするための構成要素については、遊技者に接近や接触を可能とするため、これらは本体の外部に設置される。一方、遊技の公正を担保するための主要構成要素(遊技盤ユニット、リールユニット、払出装置、制御装置等)については、本体の内部に設置することで、不用意な接近や接触が阻止されている必要がある。
【0009】
本体は開閉構造を有するものであり、本体の閉状態で主要構成要素は内部に設置され、外部からの接近や接触は阻止される。さらに、施錠機構によって本体を閉状態で施錠することにより、不用意に本体が開放されることも阻止されている。これにより、遊技場運営者(管理者)の意に反して遊技者が本体内部の構成要素に接近や接触することはもとより、視認することさえも阻止される。
【0010】
一方、遊技場運営者にとっては、遊技機の電源投入作業をはじめ、遊技機を日常的に保守ないし維持管理する上で、本体は容易に開放できることが望ましい。このため、本解決手段の遊技機は施錠機構の他に第1解錠手段を備えており、第1解錠手段は、施錠機構を所定の態様(例えば、鍵を用いた操作態様)で解錠可能である。これにより、遊技機の稼働時に本体を閉状態で施錠することで遊技の公正を担保しつつ、非稼働時には解錠により本体を開放可能とすることで、遊技場運営者による遊技機の保守管理を容易にすることができる。
【0011】
このように、施錠機構による施錠とその解錠が一通り可能であれば、通常は遊技機の稼働(遊技の提供)とその保守管理(メンテナンス)について特段の不具合は生じないと考えられる。しかしながら、何らかの要因(例えば、鍵の故障等)で通常の解錠ができなくなってしまうと、本体を開放状態にすることができなくなり、保守管理に多大な支障を生じてしまう。
【0012】
そこで本解決手段の遊技機は、第2解錠手段を備える。第2解錠手段は、第1解錠手段とは異なる態様で施錠機構を解錠可能である。これにより、第1解錠手段が機能しなくなった場合であっても、第2解錠手段による解錠が可能となるため、本体を確実に開放状態にすることができる。
【0013】
解決手段2:本解決手段の遊技機は、上記解決手段において、前記本体が閉状態では前記所定の態様以外での前記第1解錠手段による解錠を抑止する抑止手段をさらに備え、前記第2解錠手段は、前記本体が閉状態のまま前記施錠機構を解錠することに伴い、前記抑止手段による抑止を解除可能であることを特徴とする遊技機である。
【0014】
本解決手段によれば、以下の特徴が追加される。
(1)本体が閉状態にある時は、所定の態様以外で第1解錠手段による解錠が抑止される。これは、例えば遊技機の稼働時(遊技の提供時)に、通常とは異なる不正な操作によって施錠機構が解錠されてしまうことを阻止するものであり、不正行為への対策を強化するものである。
(2)上記(1)に挙げた解錠の抑止は、所定の態様による解錠についてまで抑止するものではない。このため、遊技場運営者が正当に所定の態様による解錠を行うことは当然に可能である。
(3)その上で、何らかの要因で第1解錠手段が機能しなくなった場合、所定の態様でも解錠できなくなるが、遊技場運営者が緊急的に所定の態様以外によって第1解錠手段による解錠を試みても、上記(1)によって解錠が抑止されてしまう。こうなると、せっかくの不正行為への対策がかえって妨げとなり、最悪の場合は本体の分解ということにもなりかねない。
(4)この点、本解決手段では、本体が閉状態のままでも、第2解錠手段が施錠機構を解錠することに伴い、上記(1)の解錠の抑止が解除されるので、上記(3)のような不具合を招くことが確実に防止される。
【0015】
解決手段3:本解決手段の遊技機は、上記いずれかの解決手段において、前記第1解錠手段は、前記抑止手段による抑止を解除された状態では、前記所定の態様以外でも前記施錠機構の解錠が可能であることを特徴とする遊技機である。
【0016】
本解決手段によれば、さらに以下の特徴が追加される。
すなわち、第2解錠手段によって第1解錠手段に対する解錠の抑止が解除されると、所定の態様以外によっても第1解錠手段による解錠が可能となる。これにより、何らかの要因で第1解錠手段が所定の態様による解錠をできなくなっていても、それ以外の態様では解錠可能となるので、上記(3)のような不具合を招くことが確実に防止される。
【0017】
このように、上記解決手段の遊技機によれば、施錠装置、施錠機構に関しても斬新な構成を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、斬新な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】遊技盤ユニットの一部を拡大して示す正面図である。
【
図6】上下のフックと鍵受けとの掛かり合いをより詳細に示す図である。
【
図7】専用キーを用いない場合の特殊解錠形態を示した連続図(1/2)である。
【
図8】専用キーを用いない場合の特殊解錠形態を示した連続図(2/2)である。
【
図9】パチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、
図2は、パチンコ機1の背面図である。
【0021】
パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、
図1及び
図2を参照しつつパチンコ機1の全体構成について説明する。
【0022】
ここで、本実施形態では、パチンコ機1に相対するようにして着席した遊技者から見て左側を左とし、遊技者から見て右側を右とし、遊技者から見て上側を上とし、遊技者から見て下側を下とし、遊技者から見て手前側を前とし、遊技者から見て奥側を後として説明している。
【0023】
〔全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0024】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0025】
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0026】
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部(
図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具(例えば、鍵受け)が設けられている。
図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。なお、統一錠ユニット9や施錠具(鍵受け)についてはさらに後述する。
【0027】
また、受皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0028】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技用ユニットが直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、受皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0029】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(遊技球が流下する遊技領域、盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0030】
〔球皿の構成〕
受皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1はカードユニットに接続する機種であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0031】
受皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないカードユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、カードユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではカードユニットに接続する機種の例で説明しているが、パチンコ機1は現金機(カードユニットに接続しない機種)であってもよい。
【0032】
また、受皿ユニット6の上面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きボタン6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きレバー6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きボタン6dを例えば押し込み操作することで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また、遊技者は、下皿球抜きレバー6eを後方へ押し込むことで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0033】
受皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。なお、遊技領域8a内の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0034】
〔枠前面の構成〕
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素として左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうち左トップレンズユニット47にはガラス枠トップランプ46及び左側のガラス枠装飾ランプ48が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のガラス枠装飾ランプ50が組み込まれている。その他にも一体扉ユニット4には、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49の下方にそれぞれ連なるようにして左右のガラス枠装飾ランプ52が設置されており、これらガラス枠装飾ランプ52は、一体扉ユニット4の左右縁部から受皿ユニット6の上側位置にまで回り込むようにして延びている。一体扉ユニット4においてガラス枠トップランプ46や左右のガラス枠装飾ランプ48,50,52等は、ガラスユニットを取り巻くようにして配置されている。
【0035】
上述した各種ランプ46,48,50,52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4の上部において、左トップレンズユニット47及び右上電飾ユニット49にはそれぞれガラス枠上スピーカ54が組み込まれており、左右のガラス枠装飾ランプ52にはそれぞれガラス枠内スピーカ55が組み込まれている。一方、内枠アセンブリ7の右下位置(パチンコ機1の正面からみてハンドルユニット16の左上位置)には内枠スピーカ56が組み込まれており、また外枠ユニット2の左下位置には外枠スピーカ58が組み込まれている。これらスピーカ54,55,56,58は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0036】
〔操作部材〕
また、受皿ユニット6の中央には、上皿6bから前面側上方へ突出するようにして操作ユニット60が設置されている(操作手段)。操作ユニット60は、その中央部に大きなプッシュボタン64を有しており、プッシュボタン64の左側にはハンドルレバー62を有している。操作ユニット60は、演出上で示される様々な場面で操作を受け付けることが可能である。演出上のある場面ではハンドルレバー62が遊技者によって手前側に引き込み操作されたり、別の場面ではプッシュボタン64が押し込み操作されたりする。遊技者は、各種の態様で操作ユニット60を操作することにより、演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0037】
また、プッシュボタン64の周囲には、リング状部65がプッシュボタン64を取り囲むようにして設置されている。リング状部65は、ハンドルレバー62やプッシュボタン64とは異なり、装飾用として設けられた部材であり、ハンドルレバー62の引き込み操作に連動して反時計回りに回転動作する。また、リング状部65は、周方向に一定の間隔で区切られてなる複数のセルを有している。これらのセルは、遊技者による操作を受け付けることはできないが、遊技者に対し操作方法を知らせる場面で有効活用される。
【0038】
遊技者に何らかの操作を要求する場合、操作ユニット60の操作方法を表す縮小版画像が液晶表示器42の画面に表示される。このとき、指定した操作を行うことが可能な時間(操作有効時間)を併せて遊技者に知らせるために、縮小版画像におけるリング状部65は各セルがあたかもランプであるかのように表現される。より具体的には、縮小版画像中のリング状部65は、操作可能な状態になると全てのセルが点灯しているように表され、残り時間の減少に伴いセルが1つずつ消灯していくように表され、残り時間がなくなると全てのセルが消灯したように表される。実際のリング状部65は光源を有しておらず、画面に表示された縮小版画像に表されたリング状部65のように点灯/消灯することはないが、縮小版画像中のリング状部65の点灯/消灯をこのようにして切り替えることにより、遊技者に対して操作の残り時間を感覚的に把握させることができる。
【0039】
さらに、プッシュボタン64は、遊技の進行過程で所定の契機が発生すると、上方に大きく突出する構造に構成されている。プッシュボタン64の突出時には、通常時の約3倍の高さまで飛び出す。プッシュボタン64はその内部に光源を有している。プッシュボタン64は、通常時は1色(例えば青色)又は多色に発光するが、突出時にはさらにカラフルに発光して非常な存在感を発揮することができる。このようなプッシュボタン64の動作により、この場面で要求されているボタンの押し込み操作が特別に重要なものであることを遊技者に認識させることができる。
【0040】
なお、本実施形態では、ハンドルレバー62及びプッシュボタン64は同じ操作ユニット60に搭載されているが、ハンドルレバー62とプッシュボタン64とがそれぞれ独立した操作部材として設けられていてもよい。また、これらの操作部材は、近接した位置に配置されていてもよく、離れた位置に配置されていてもよい。
【0041】
その他に、受皿ユニット6の上面には、貸出操作部14に隣接して方向キー66が設置されている。方向キー66は上下左右の方向を示す4つのキースイッチを十字形状に配列したものであり、各方向別のキースイッチは独立して押し込み操作可能である。遊技者は演出上の様々な場面で方向キー66を押し込み操作することで、液晶表示器の画面上に表示されるカーソル等を任意に移動させることができる。
【0042】
〔装飾ユニット〕
パチンコ機1の前方上部には、装飾ユニット400が取り付けられている。装飾ユニット400は、所定の取り付け部材(ネジやフック等の機械的な機構)によってパチンコ機1に着脱可能である。なお、装飾ユニット400は、パチンコ機1から取り外し不能なものであってもよい。
装飾ユニット400(装飾物)は、箱型の部材であり、光を透過する透明又は半透明の部材により構成されている。
【0043】
装飾ユニット400は、上部に配置された本体部ユニット410と、本体部ユニット410の下部に配置された前ランプユニット420とを含んでいる。
【0044】
本体部ユニット410は、所定の文字情報が表示された立方体形状の部材であり、後方の一体扉ユニット4に配置されたLED(ガラス枠トップランプ46)が発光することにより発光する。
【0045】
また、前ランプユニット420は、円柱形状の部材に半球形状の部材が結合された部材であり、後方の遊技盤ユニット8に配置されたLED(盤面ランプ53)が発光することにより発光する。
【0046】
円柱形状の部材は、右打ちをする際に遊技球を通過させるための通路である上部球通路580の視認性を向上させるために、無色透明であることが好ましく、半球形状の部材は、演出効果を向上させるために、有色透明であることが好ましい。
【0047】
〔裏側の構成〕
図2に示すように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(
図9)を参照しながらさらに後述する。
【0048】
主制御基板ユニット170には、主制御装置が内蔵されており、主制御装置には、性能表示モニタ200が接続されている。性能表示モニタ200は、パチンコ機1を裏側から見て、主制御基板ユニット170の左上の領域に視認可能な態様で主制御装置に配置されており、4つの7セグメントLEDを備えている。4個の7セグメントLEDは左右方向に並べて配置されており、それぞれの7セグメントLEDは、10進数のアラビア数字を表示することができる7つのセグメントと、その右下に位置するドットセグメントとによって構成されている。性能表示モニタ200は、主制御基板ユニット170を覆っている透明ケースを通じて視認可能である。
【0049】
また、主制御装置には、RAMクリアスイッチ304及び設定キー用鍵穴306が設けられている。RAMクリアスイッチ304は、RAMクリア、すなわち主制御装置内に装備されているRAM(RWM)の初期化を行う際に用いられるスイッチであり、本実施形態においては、設定変更用のスイッチとしても兼用される。設定キー用鍵穴306は、パチンコ機1の遊技に関する設定を変更又は参照する上で必要とされる設定キーを差し込むための鍵穴である。
【0050】
RAMクリアスイッチ304は、主制御基板ユニット170を覆っている透明ケースに形成された貫通孔を通じて押下可能に設けられている。なお、RAMクリアスイッチ304は、透明ケース外に配置されていてもよい。また、設定キー用鍵穴306は、キーシリンダが透明ケースを貫通した状態(透明ケースがキーシリンダの周囲を囲んだ状態)で設けられている。したがって、透明ケースが封止されたままの状態で設定キーを差し込み、回転させることが可能である。
【0051】
なお、性能表示モニタ200やRAMクリアスイッチ304、設定キー用鍵穴306の配設位置は、あくまで一例であり、任意の位置に配置することができる。また、性能表示モニタ200やRAMクリアスイッチ304、設定キー用鍵穴306は、主制御装置の外側に設けられて主制御装置に接続される構成としてもよい。
【0052】
払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aは内枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受皿ユニット6に向けて案内する。
【0053】
また、外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
【0054】
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。また、アース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
【0055】
上記のように統一錠ユニット9は、内枠アセンブリ7の右側縁部(裏側からみた
図2では左側縁部)に沿って縦長に配置されており、裏側からは、上下2つのフック902b,902a(ラッチ、掛け金)の一部が視認可能である。これら上下のフック902b,902aにそれぞれ対応して、外枠ユニット2には施錠具として上下に2つの鍵受け904,905が設置されている。これら鍵受け904,905は、それぞれ掛止部904a,905aを有しており、裏側からは掛止部904a,905aが視認される。そして、上側ではフック902bが鍵受け905の掛止部905aに掛かり(いわゆる掛止し)、下側ではフック902aが鍵受け904の掛止部904aに掛かっている(いわゆる掛止している)。
【0056】
これにより、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4を含む内枠アセンブリ7が閉状態で施錠されている。そして、パチンコ機1の表側(前面側)ではシリンダ錠6aの鍵穴だけが露出しており、フック902b,902aを含むほとんどの部分は内部(内枠アセンブリ7と外枠ユニット2との間)に隠れている。したがって、パチンコ機1の稼働時(遊技の提供時)には正規の専用キーを用いる以外で統一錠ユニット9を解錠することはできない。
【0057】
図3は、遊技盤ユニット8を単独で示す正面図である。遊技盤ユニット8は、ベースとなる遊技板8bを備えており、この遊技板8bの前面側に遊技領域8aが形成されている。遊技板8bは、例えば透明樹脂板で構成されており、遊技盤ユニット8が内枠アセンブリ7に固定された状態で、遊技板8bの前面はガラスユニットに平行となる。遊技板8bの前面には、略円形状に設置された発射レール(参照符号なし)の内側に遊技領域8aが形成されている。なお、発射レールは遊技板8bの左下隅位置から遊技板8bの右上隅位置まで時計回り方向に延びている。
【0058】
遊技領域8a内には、その中央位置に比較的大型の演出ユニット40が配置されており、この演出ユニット40を中心として遊技領域8aが左側部分、右側部分及び下部分に大きく分かれている。遊技領域8aの左側部分は、通常遊技状態(低確率非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域)であり、遊技領域8aの右側部分は、特殊遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、低確率時間短縮状態、高確率時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域、特定の領域)である。なお、遊技領域8aの左側部分は、高確率非時間短縮状態(有利遊技状態)においても使用される。また、遊技領域8a内には、演出ユニット40の周辺に中始動入賞口26、始動ゲート20、普通入賞口22,24、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31等が分布して設置されている。
【0059】
このうち、中始動入賞口26は、遊技領域8aの下部分の中央に配置されている。始動ゲート20、可変始動入賞装置28、第2可変入賞装置31及び第1可変入賞装置30は、遊技領域8aの右側部分に上からこの順番で配置されている。ここで、第1可変入賞装置30は、中始動入賞口26の右側に配置されており、第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30の右上に配置されている。さらに、左側の3つの普通入賞口22は遊技領域8aの左側部分に配置されており、右側の1つの普通入賞口24(所定の入賞口)は第1可変入賞装置30の左下に配置されている。
【0060】
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で中始動入賞口26、普通入賞口22,24に入球したり、始動ゲート20を通過したり、作動時の可変始動入賞装置28や開放動作時の第1可変入賞装置30、開放動作時の第2可変入賞装置31に入球したりする。ここで、遊技領域8aの左側領域を流下する遊技球は、主に中始動入賞口26に入球するか、普通入賞口22に入球する可能性がある。一方、遊技領域8aの右側領域を流下する遊技球は、主に始動ゲート20を通過するか、作動時の可変始動入賞装置28に入球するか、開放動作時の第1可変入賞装置30に入球するか、開放動作時の第2可変入賞装置31に入球するか、普通入賞口24に入球する可能性がある。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、中始動入賞口26、普通入賞口22,24、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31に入球した遊技球は遊技板(遊技盤ユニット8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0061】
ここで、本実施形態では、遊技領域8a(盤面)の構成上、中始動入賞口26や普通入賞口22に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の左側部分の領域(左打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「左打ち」を実行する)必要がある。
【0062】
一方、可変始動入賞装置28や、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31、普通入賞口24に遊技球を入球させる場合は、遊技領域8a内の右側部分の領域(右打ち領域)に遊技球を打ち込む(いわゆる「右打ち」を実行する)必要がある。
【0063】
本実施形態において、可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、それに伴って右始動入賞口28a(所定の入球口)への入球を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28には、舌片型(ベロタイプ)の開閉部材28bが設けられている。図示の状態にて、開閉部材28bは、盤面より奥に引っ込んだ位置(待避位置)にあり、遊技球が右始動入賞口28aに入球することを不能又は困難にしている。一方、開閉部材28bが盤面より手前側へ突出した位置(駆動位置)に移動すると、開閉部材28bは上方から流下してくる遊技球を受け止め、右始動入賞口28aに遊技球を案内する(右始動入賞口28aへの入球が可能又は容易となる)。なお、可変始動入賞装置28は、開閉部材がその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むように変位して、右始動入賞口を開放する装置であってもよい。
【0064】
第1可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示された場合)であって所定の第1条件(例えば大当り遊技の1ラウンド目から5ラウンド目、又は、7ラウンド目から10ラウンド目であるという条件、小当り遊技の開放状態であるという条件)が満たされた場合に作動し、第1大入賞口30bへの入球を可能にする(特別電動役物、第1特別入球事象発生手段)。
【0065】
第1可変入賞装置30は、中始動入賞口26の右側に配置された装置であり(いわゆる下アタッカ)、例えば1つの開閉部材30aを有している。第1可変入賞装置30は、開閉部材30aが盤面の内部にスライドするタイプの装置である(スライド式のアタッカ)。そして、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。開閉部材30aは、盤面から遊技者側に突出した状態で閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき遊技球は開閉部材30aの上面を転動することになるため、第1大入賞口30bへの入球は不能又は困難(第1大入賞口30bは閉塞中)である。そして、第1可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aが盤面の内部に引き込まれ、第1大入賞口30bを開放する(開放状態)。この間に第1可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない(可能又は容易な)状態となり、第1大入賞口30bへの入球という事象を発生させることができる。
【0066】
第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30と同様に規定の条件が満たされた場合(特別図柄が大当りの態様で停止表示された場合)であって、所定の第2条件(例えば大当り遊技の6ラウンド目であるという条件)が満たされた場合に作動し、第2大入賞口31b(特定の入賞口)への入球を可能にする(特別電動役物、第2特別入球事象発生手段)。
【0067】
第2可変入賞装置31は、第1可変入賞装置30の右上に配置された装置であり(いわゆる上アタッカ)、例えば1つの開閉部材31aを有している。第2可変入賞装置31は、開閉部材31aが盤面の内部にスライドするタイプの装置である(スライド式のアタッカ)。そして、この開閉部材31aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。開閉部材31aは、盤面から遊技者側に突出した状態で閉位置(閉鎖状態)にあり、このとき遊技球は開閉部材31aの上面を転動することになるため、第2大入賞口31bへの入球は不能又は困難(第2大入賞口31bは閉塞中)である。そして、第2可変入賞装置31が作動すると、開閉部材31aが盤面の内部に引き込まれ、第2大入賞口31bを開放する(開放状態)。この間に第2可変入賞装置31は遊技球の流入が不能ではない(可能又は容易な)状態となり、第2大入賞口31bへの入球という事象を発生させることができる。
【0068】
また、第2可変入賞装置31の内部には、第2可変入賞装置31に入球した遊技球を誘導するための誘導通路31cが配置されている。誘導通路31cは、第2大入賞口31bから下方に延び、そこから左に曲がって左下方に延びた後、再び下方に延びている。
【0069】
そして、誘導通路31cの上流には、第2カウントスイッチ85が配置されており、誘導通路31cの中流には、確変領域用羽根部材31d及び確変領域用孔31eが配置されており、誘導通路31cの下流には、排出口31f(排出領域)が配置されている。
【0070】
第2可変入賞装置31に入球した遊技球は、最初に第2カウントスイッチ85にて入球したことが検出される。ここで、確変領域用羽根部材31dを作動させる確変領域ソレノイドがONとなっている場合には、確変領域用羽根部材31dが起き上がって遊技球を確変領域用孔31eに導く。一方、確変領域用羽根部材31dを作動させる確変領域ソレノイドがOFFとなっている場合には、確変領域用羽根部材31dが起き上がらないため、遊技球は確変領域用羽根部材31dの上部を通り抜けて、排出口31fに導かれる。
【0071】
〔確変領域(特定領域)〕
また、確変領域用孔31eの内部には、確変領域(参照符号なし)が設けられている。確変領域は、第2可変入賞装置31が閉鎖状態である場合は遊技球が通過不能な領域であり、第2可変入賞装置31が開放状態である場合であって確変領域用羽根部材31dが作動している場合は遊技球が通過可能な領域である。
【0072】
確変領域用羽根部材31dは、大当り遊技中に作動する可能性がある。確変領域用羽根部材31dの動作パターンは、ラウンドの開始と同時に短期間(例えば0.1秒)にわたり確変領域を開放し、その後に数秒(2~3秒程度)閉鎖した後に確変領域を長期間(例えば20秒程度)にわたってロング開放するロング開放パターンと、ラウンドの開始と同時に短期間(例えば0.1秒)にわたり確変領域を開放するだけのショート開放するショート開放パターンとのいずれかを適用する。いずれの動作パターンにより確変領域用羽根部材31dを動作させるかについては、当選図柄によって選択することができる。具体的には、確変図柄での当選時には確変領域をロング開放するロング開放パターンが選択され、通常図柄での当選時には確変領域をショート開放するショート開放パターンが選択される。
【0073】
なお、確変領域用羽根部材31dの動作パターンは、確変領域用羽根部材31dがロング開放するパターンのみを適用し、第1可変入賞装置30がショート開放してラウンドが終了する際には、確変領域用羽根部材31dがロング開放する機会を消滅させるようにしてもよい。また、ラウンドの開始と同時に実行される短期開放では遊技球は確変領域用羽根部材31dまで到達しないので、この作動によって遊技球が確変領域に導かれることは困難である。
【0074】
そして、大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過した場合、大当り遊技の終了後に低確率状態から高確率状態に移行される。なお、この際、非時間短縮状態から時間短縮状態に合わせて移行させてもよい(高確率時間短縮状態)。一方、大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過しなかった場合、大当り遊技の終了後に低確率状態に移行する。なお、この際、非時間短縮状態から時間短縮状態に合わせて移行させてもよい(低確率時間短縮状態)。
【0075】
遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤ユニット8は、その盤面の構成や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。また、本実施形態のように遊技板8bが透明樹脂板(例えばアクリル板)である場合、前面側だけでなく遊技板8bの背後に配置された各種の装飾体(可動体や発光体を含む)による装飾性を付加することができる。
【0076】
その他に演出ユニット40の内部には、演出用の可動体40f(例えば蝶々を模した装飾物)とともに駆動源(例えばモータ、ソレノイド等)が付属している。演出用の可動体40fは、液晶表示器42による画像を用いた演出や発光器による演出に加えて、有形物の動作を伴う演出を実行することができる。これら可動体40fを用いた演出により、二次元の画像を用いた演出とは別の訴求力を発揮することができる。
【0077】
また、演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40kが形成されており、転動ステージ40eから球放出路40kに案内された遊技球は、その真下にある中始動入賞口26に流入しやすくなる。
【0078】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、各種入賞口に入球(入賞)しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。また、普通入賞口22,24や中始動入賞口26、右始動入賞口28a、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示しないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0079】
遊技盤ユニット8の上部には、後ランプユニット430が配置されている。そして、この後ランプユニット430は、前ランプユニット420と重なる位置に配置されている。
後ランプユニット430には、盤面ランプとしてのLED(不図示)が配置されており、このLEDが点灯することにより、前ランプユニット420が発光する。
【0080】
図4は、遊技盤ユニット8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。遊技盤ユニット8には、窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38が設けられている。
【0081】
このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0~4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。なお、ここでは2つのランプ(LED)を使用することとしているが、4つのランプ(LED)を使用して普通図柄作動記憶ランプ33aを構成してもよい。この場合、点灯するランプの個数で作動記憶数を表示することができる。
【0082】
普通図柄作動記憶ランプ33aは、始動ゲート20を遊技球が通過すると、その都度、作動抽選の契機となる通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その通過を契機として普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。なお、本実施形態では、普通図柄作動記憶ランプ33aが未点灯(記憶数が0個)の場合、普通図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で始動ゲート20を遊技球が通過しても表示態様は変化しない。すなわち、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示態様によって表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない通過の回数を表している。
【0083】
また、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により、対応する第1特別図柄又は第2特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。なお、第1特別図柄表示装置34や第2特別図柄表示装置35は、複数のドットLEDを幾何学的(例えば円形状)に配列した形態であってもよい。
【0084】
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせで構成される表示態様により、それぞれ0~4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして、2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。
【0085】
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、中始動入賞口26に遊技球が入球するごとに、中始動入賞口26に遊技球が入球したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その入球を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。また、第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、可変始動入賞装置28に遊技球が入球するごとに、右始動入賞口28aに遊技球が入球したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化し(最大4個まで)、その入球を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化する。なお、本実施形態では、第1特別図柄作動記憶ランプ34aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第1特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で中始動入賞口26に遊技球が入球しても表示態様は変化しない。また、第2特別図柄作動記憶ランプ35aが未点灯(記憶数が0個)の場合、第2特別図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で可変始動入賞装置28に遊技球が入球しても表示態様は変化しない。すなわち、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示態様により表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入球の回数を表している。
【0086】
また、遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b,38c、確率変動状態表示ランプ38d、時短状態表示ランプ38e、発射位置指定ランプ38fにそれぞれ対応するLEDが含まれている。なお、本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に取り付けられている。
【0087】
統合表示基板89に実装されたこれらのLEDランプは、その点灯又は消灯の切り替えを制御する目的で、異なる4つの制御領域(以下、「コモン」と称する)に区分けされている。見方を変えると、統合表示基板89には4つのコモンが存在し、個々のランプはいずれか1つのコモンに属している。本実施形態においてはダイナミック点灯方式が採用されており、ランプの駆動は割込周期(例えば4ms)の間隔をおいてコモン単位で順に行われる。したがって、統合表示基板89に実装された全てのランプが同時に駆動されることはない。
【0088】
〔施錠機構〕
図5は、パチンコ機1の側面図(右側面図)である。なお、ここでは裏側の構成について、一部の図示を省略している。
【0089】
上記のように、内枠アセンブリ7(本体)は、パチンコ機1で遊技を行う上での主要な構成(遊技盤ユニット8、主制御基板ユニット170、払出制御ユニット172、発射制御基板セット174等)を備えるため、内枠アセンブリ7は、閉状態で統一錠ユニット9により外枠ユニット2に対して施錠されている。
図5中、外枠ユニット2の上部及び下部を部分的に破断して示すように、内枠アセンブリ7の施錠は、上下2つのフック902a,902bがそれぞれ鍵受け904,905(掛止部904a,905a)に掛かることで確実に行われる。以下、統一錠ユニット9及び鍵受け904,905についてより詳しく説明する。
【0090】
統一錠ユニット9は、縦長形状のベースプレート908を有しており、このベースプレート908が内枠アセンブリ7の側縁部に固定されている。ベースプレート908には各種の機構部品が支持されており、機構部品には例えば、ロックユニット900、本体錠前902、扉錠前906等が含まれる。このうち、本体錠前902は、内枠アセンブリ7を外枠ユニット2に対して施錠する機構部品であり、また、扉錠前906は、一体扉ユニット4及び受皿ユニット6を内枠アセンブリ7に対して施錠する機構部品である。ロックユニット900は、内枠アセンブリ7が閉状態にある場合に、シリンダ錠6aを回す以外の操作態様で本体錠前902の施錠が解除されるのを抑止する機構部品である(抑止手段)。なお、ロックユニット900は、その全体がカバー900aに覆われているため、
図5では内部機構が示されていない。
【0091】
〔第1解錠手段〕
本体錠前902は、ベースプレート908と同様に縦長形状をなしており、その下端部にフック902aが形成され、上端部にフック902bが形成されている。また、本体錠前902は、ベースプレート908に対して上下方向にスライド可能に支持されており、上記のように、シリンダ錠6aに専用キーを挿入して時計回りに捻ると(所定の態様)、本体錠前902全体が
図5に示される位置から下方向へスライド変位する。これにより、2つのフック902a,902bがそれぞれ鍵受け904,905(掛止部904a,905a)から外れ、内枠アセンブリ7が解錠された状態になる。
【0092】
ベースプレート908には複数の支持ピン908aが設けられており、これら支持ピン908aは、ベースプレート908の長手方向に間隔を空けて配列されている。支持ピン908aは、頭部が円盤状で、軸部が頭部の外径より細いリベット形状をなしており、軸部の基端にてベースプレート908に固定されている。なお、
図5では各支持ピン908aの頭部のみが示されており、軸部は頭部に隠れているため視認されない(これ以降の図でも同様。)。
【0093】
一方、本体錠前902には、各支持ピン908aに対応する位置に複数の長孔902cが形成されており、各長孔902c内に支持ピン908aが嵌まり込んだ状態にある。このうち、特に最上位置と最下位置では、長孔902cの短径が支持ピン908aの頭部の外径より小さく設定されている。これにより、ベースプレート908からの本体錠前902の脱落が防止されるとともに、ベースプレート908に対する本体錠前902の上下方向へのスライド変位が可能となっている。なお、本体錠前902は図示しないコイルばねを介してベースプレート908に支持されており、コイルばねの引っ張り力で常時、上方向に引き上げられている(いわゆる付勢されている。)。
【0094】
鍵受け904,905は、外枠ユニット2の側辺板材の内面に固定(例えば、ねじ留め)されている。なお、鍵受け904,905のねじ留め位置は、
図5では外枠ユニット2が破断して示されている。このため、
図5では外枠ユニット2の内面に接する(いわゆる当接)する鍵受け904,905の当接面が実線で示されているが、実際にはこれらの当接面は側面に露出していない(これ以降の図でも同様。)。また、上側の鍵受け905は、外枠ユニット2の上辺板材の下面にも固定(ねじ留め)されている。
【0095】
図6は、上下のフック902a,902bと鍵受け904,905(掛止部904a,905a)との掛かり合いをより詳細に示す図である。例えば下側でみると、鍵受け904には上下2つのねじ孔904bが形成されており、これらねじ孔904bを通じて鍵受け904が外枠ユニット2にねじ留めされることになる。また、鍵受け904には上記のように掛止部904aが形成されており、掛止部904aは、ねじ留めされた部位から内側に屈曲して延びている(
図2参照)。フック902aは、掛止部904aの裏面側に回り込んだ状態で鍵受け904と掛かり合い、内枠アセンブリ7を施錠する。なお、上側の鍵受け905についても同様である。
【0096】
このとき、本体錠前902は、図示しないコイルばねの引っ張り力で上方向に引き上げられているため、上下のフック902a,902bと鍵受け904,905(掛止部904a,905a)とが掛かり合って施錠状態を維持している。この状態からシリンダ錠6aに専用キーを挿入して時計回りに捻ると、コイルばねの引っ張り力に抗して本体錠前902が下方向にスライド変位し、上下でフック902a,902bと鍵受け904,905(掛止部904a,905a)との掛かり合いが外れて内枠アセンブリ7は解錠されることになる(第1解錠手段)。なお、内枠アセンブリ7を開放することなく専用キーの捻る力を弱めると、図示しないコイルばねの引っ張り力(復元力)で本体錠前902が上方向にスライド変位し、再び施錠状態となる。
【0097】
〔ロックユニット〕
図6には、カバー部材26aを取り除いた状態でロックユニット900の内部機構が示されている。また、ベースプレート908及び本体錠前902については、中間部分を適宜省略することで上下の部分が示されている。
【0098】
上記のようにロックユニット900は、内枠アセンブリ7が閉じた状態で、シリンダ錠6aを回さずに(所定の態様以外で)本体錠前902が下方向にスライド変位するのを機構的に阻止している。これにより、人為的に裏側からフック902aを押し下げる(又は引き下げる)ことで内枠アセンブリ7が解錠されてしまうことが抑止されている(抑止手段)。以下、この点についてさらに説明する。
【0099】
ロックユニット900は、内部の機構部品として2本のレバー部材920,930を備えている。これらレバー部材920,930は、それぞれ支持ピン922,932を支点として前後方向に回転可能(いわゆる揺動可能)に支持されている。レバー部材920,930は、それぞれ下アーム920a,930a及び上アーム920b,930cを有しており、これら2本のレバー部材920,930は、上下に配列された状態で一連のリンク機構を形成している。すなわち、下側のレバー部材920が回転すると、その上アーム920bが上側のレバー部材930の下アーム930aを押し、レバー部材930全体を回転させる(てこ機構)。
【0100】
下側のレバー部材920には、支点位置から後方に突出した突片920cが形成されており、この突片920cにコイルばね926の下端が引っ掛けられている。一方、コイルばね926の上端はベースプレート908に引っ掛けられており、この状態で、コイルばね926は突片920cを引き上げる方向の引っ張り力を発生している。これにより、下側のレバー部材920には常時、下アーム920aを後方向、上アーム920bを前方向へ回転させる方向の力(いわゆる付勢力)が作用している。
【0101】
また、上側のレバー部材930には、下アーム930aの下端部に捻りばね936の自由端が連結されており、捻りばね936は、そのコイル部分及び固定端(破線で示す)がベースプレート908に固定されている。そして、捻りばね936は、その自由端で下アーム930aを後方向へ常時押しやる力(反発力)を発生させている。これにより、上アーム930cには前方向へ常時押しやる力が作用している。また、上アーム930cには、支点(支持ピン932)から上方向に離れた位置にストッパ930bが形成されている。
【0102】
ロックユニット900はさらに、内部の機構部品としてロック部材902eを備えており、このロック部材902eは本体錠前902に固定されている。ロック部材902eには、後方向に突出した係止部902dが一体に形成されており、この係止部902dは、上側のレバー部材930のストッパ930bの直上に近接して位置している。なお、本体錠前902には別の係止部902fも一体に形成されており、別の係止部902fもまた、後方向に突出している。この係止部902fは、上側のレバー部材930(上アーム930c)の上端直上に近接して位置している。
【0103】
〔施錠時〕
ここで、
図6に示されているように、内枠アセンブリ7が閉状態で統一錠ユニット9により施錠されると、下側のレバー部材920の下アーム920aが鍵受け904(掛止部904a)に当り(いわゆる当接し)、コイルばね926の引っ張り力に抗して前方向に押された状態となる。これにより、下側のレバー部材920は下アーム920aを略真下に向けた姿勢に保持される。また、上側のレバー部材930は、捻りばね936で鉛直な姿勢に保持されており、このときストッパ930bが係止部902dの直下に近接して位置している。
【0104】
この状態で、例えばパチンコ機1(外枠ユニット2)の裏側からフック902aに下向きの力を加え、本体錠前902を押し下げ(又は引き下げ)ようとしても、係止部902dがストッパ930bに当たる(当接する)ため本体錠前902をスライド変位させることができない。また、別の係止部902fも上アーム930cの上端に当たる(当接する)ため、やはり本体錠前902をスライド変位させることができない。したがって、例えばパチンコ機1の稼働時に、不正行為者が内枠アセンブリ7を不正に開放させる目的で外枠ユニット2の裏側へ金属片や針金等を差し入れ、フック902aに力を加えて解錠させることを試みたとしても、そのような不正行為は確実に阻止されることになる。
【0105】
このように、統一錠ユニット9は、内枠アセンブリ7を閉じた状態で施錠している場合、前面側から正規の専用キーを用いてシリンダ錠6aを回す以外の操作によっては解錠することができないセキュリティ構造となっている。
【0106】
ただし、上記のようなセキュリティ構造は、不測の事態としてシリンダ錠6aに故障等が発生した場合に別の不具合を生じることがある。すなわち、何らかの原因でシリンダ錠6aが破損や動作不良を生じた場合、遊技場運営者は、正規の専用キーでも内枠アセンブリ7を開放(統一錠ユニット9を解錠)することができなくなる。こうなると、業務上必要な電源のON/OFF操作はおろか、RAMの初期化や設定変更といった各種の保守管理のための操作も困難になると考えられる。
【0107】
そこで本実施形態では、専用キーを用いる以外の特殊解錠形態(第2解錠手段)を備えることで、不測の事態でシリンダ錠6aに何らかのトラブルが生じた場合の安全策を用意している。以下、この点について説明する。
【0108】
〔第2解錠手段〕
図7及び
図8は、専用キーを用いない場合の特殊解錠形態を示した連続図である。特殊解錠形態は、例えば以下の手順で行われる。
【0109】
〔鍵受けの取り外し〕
先ず、遊技場運営者(係員)は、パチンコ機1の裏側にアクセスし、外枠ユニット2から下側の鍵受け904を取り外す。鍵受け904の取り外しは、外枠ユニット2に締結している2本のねじを抜くことで可能となる。
図7には、鍵受け904が取り外されたときの状態が示されている(破線矢印参照)。なお、この段階で下側のフック902aについては見かけ上で施錠されていない状態となるが、上側のフック902bは依然として鍵受け905(掛止部905a)と掛かり合った状態であり、全体として解錠されていない。また、上側の鍵受け905は構造上(作業スペースなし)、裏側から取り外すことはできなくなっている(
図2参照)。
【0110】
〔ロックユニットの解除〕
その上で本実施形態では、鍵受け904の取り外しに伴い、ロックユニット900による解錠の抑止が機構的に解除される。すなわち、それまで接触していた鍵受け904(掛止部904a)が取り外されたことにより、
図7中に矢印で示すように下側のレバー部材920がコイルばね926の引っ張り力で回転し、上アーム920bを前方向に変位させる。このとき、
図7中に矢印で示すように上側のレバー部材930(下アーム930a)が前方向へ押され、捻りばね936の反発力に抗してレバー部材930もまた回転する。これにより、上アーム930cが後方向に回転し(倒れ)、係止部902dからストッパ930bが離間してロックを解除(ロックユニット900による解錠の抑止を解除)する。また、このとき合わせて上アーム930cの上端も別の係止部902fから離間する。
【0111】
〔本体錠前のスライド〕
次に、
図8中の矢印で示すように、遊技場運営者(係員)が下側のフック902aを押し下げると、連動して上側のフック902bが鍵受け905(掛止部905a)から離脱する。これにより、統一錠ユニット9による内枠アセンブリ7の施錠は、全体として解錠された状態となる。したがって、内枠アセンブリ7を外枠ユニット2から開放状態とし、遊技場管理者による保守管理の利便性に資することができる。
【0112】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。
図9は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70(主制御用コンピュータ)を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお、主制御装置70は、主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0113】
また、主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、主制御装置70には、乱数回路75や割込コントローラ(割込CTR)192、パラレルI/Oポート79、タイマ回路(PTC)194、シリアル通信回路(SCU)196が装備されている。このうち乱数回路75は、特別図柄抽選の大当り判定用や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0~65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は主制御CPU72に入力される。また、割込コントローラ192は、パラレルI/Oポート79、タイマ回路194、シリアル通信回路196から各割込要求(XINT割込、PTC割込、SCU割込)を受け付け、これらの割込要求を優先順位に基づき制御する。その他にも主制御装置70には、図示しないクロック発生回路、様々な状態を監視し必要に応じてリセットを発生させるリセットコントローラ等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお、回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。なお、主制御装置70のI/Oポートはシリアル形式としてもよい。
【0114】
さらに、主制御装置70には、設定変更装置300、設定キースイッチ302、RAMクリアスイッチ304が設けられている。主制御装置70(主制御CPU72)は、設定変更装置300を動作させることにより設定を変更する。設定変更装置300は、設定(少なくとも特別図柄抽選の当選確率に関する複数段階の設定値)を切り替える装置であり(設定変更手段)、RAMクリアスイッチ304等の操作により作動する。また、設定とは、作動確率の組み合わせをいう。さらに、作動確率とは、条件装置が作動することとなる(大当り遊技が実行されることとなる)特別図柄の組み合わせが表示される確率をいう。設定キースイッチ302は、設定を切り替える上で必須となる設定キーの回転に伴い、その回転状態を示す信号(ON/OFF)を入力する入力装置である。設定の変更の手順は、様々な手法を採用することができるが、例えば、以下の手順で行うことができる。
【0115】
(1)まず、パチンコ機1の電源をOFFにする。
(2)次いで、専用キー(ドアキー)でパチンコ機1の扉を開ける。具体的には、専用キーをシリンダ錠6aの鍵穴に差し込んで右方向に回転し、内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4を開放する。
(3)パチンコ機1の裏側には、設定キーを挿入するための設定キー用鍵穴306と、RAMクリアスイッチ304とが設けられているため、設定キー用鍵穴306に設定キーを挿入し、設定キーを右方向に回転する。
(4)そして、パチンコ機1の電源をONにする。
【0116】
(5)これにより、設定キーが変更位置に回転されたことを示す信号(ON)が設定キースイッチ302により入力され、この入力信号に基づいて設定の変更が可能な状態となる。このとき、図示しないロック機構により安全ロックが掛けられる。したがって、設定キーは、元の位置に戻されない限りは抜き取ることが不可能となる。
【0117】
ここで、設定キーを右方向に回転した状態で、RAMクリアスイッチ304をONにしながら、電源をONにすると、設定の変更が可能な状態となる。一方、設定キーを右方向に回転した状態で、RAMクリアスイッチ304をONにせずに、電源をONにすると、設定の参照が可能な状態となる。
【0118】
(6)設定の変更が可能な状態において、RAMクリアスイッチ304を任意の回数だけ押下することにより、予め設けられた複数段階のうちいずれかの段階に設定を変更することができる。
設定値は、例えば、専用の7セグメントLED、遊技状態表示装置38(特別図柄表示装置等)、性能表示モニタ200に表示することができる。
【0119】
(7)スロット機の場合、目的の設定に達したら、レバーON処理が必要になるが、パチンコ機1にはレバーが存在しないため、レバーON処理の代わりの代替処理(例えば、設定キーを左方向に回転する処理、不図示の設定変更確定ボタンをONにする処理等)を実行したり、レバーON処理を省略したりしてもよい。本実施形態では、目的の設定に達したら、設定キーを反時計回りに回転させて元の位置に戻す。この操作により、設定キーが元の位置に戻されたことを示す信号(OFF)が設定キースイッチ302により入力され、この入力信号に基づいて設定の変更が確定する。
【0120】
(8)そして、設定の変更が確定すると、設定キー用鍵穴306から設定キーを抜き取ることができる状態となる。また、設定の変更が確定したことに伴い、専用の7セグメントLED、遊技状態表示装置38、性能表示モニタ200に設定値を表示している場合には、その表示が消える。
(9)最後に、パチンコ機1の扉を閉める。これにより、設定の変更が完了する。設定の変更が完了すると、通常の遊技が開始される。
【0121】
設定が変更された場合、主制御CPU72は、変更後の設定値をRAM76の設定値バッファに記憶する。設定値バッファは、バックアップの対象となるメモリ領域とすることができる。
【0122】
〔設定変更状態〕
「設定キーON」、「内枠開放状態」、かつ、「RAMクリアスイッチ押下状態」で電源が投入されると、RAMクリア後、設定変更中の状態(設定変更状態、設定変更モード)に移行する。
【0123】
設定変更中の状態では、メイン表示器(遊技状態表示装置38に含まれる各種ランプ)への表示はなされず、遊技球の発射や遊技球の賞球等は一切できない状態となる。また、性能表示モニタ200において、左側2つの7セグメントLED(識別セグ)に「rn.」が表示されるとともに、右側2つの7セグメントLED(比率セグ)に「-1」のように設定値が表示される。また、RAMクリアスイッチ304が押下されると、設定値が1~6の範囲で変化する。そして、「設定キーOFF」となると、設定が確定され、比率セグの表示は「空欄(非表示)1」のように「-」のセグが消灯する(非表示となる)。
【0124】
この状態で、「内枠閉鎖状態」となった場合(実際には閉鎖状態が100ms継続した場合)には、設定変更中の状態が終了し、一旦、電源断前の状態に移行してから、遊技可能状態に移行する。
【0125】
なお、本実施形態では、RAMクリアスイッチ304が設定変更スイッチを兼ねる構成としているが、RAMクリアスイッチ304を兼用せずに設定変更スイッチを別途設ける構成としてもよい。
【0126】
〔設定確認状態〕
一方、「設定キーON」、「内枠開放状態」、かつ、「RAMクリアスイッチ押下でない状態」で電源が投入されると、設定確認中の状態(設定確認状態、設定確認モード)に移行する。
【0127】
設定変更中の状態と同様に、設定確認中の状態では、メイン表示器への表示はなされず、遊技球の発射や遊技球の賞球等は一切できない状態となる。また、性能表示モニタにおいて、左側2つの7セグメントLED(識別セグ)に「rn.」が表示されるとともに、右側2つの7セグメントLED(比率セグ)に「空欄(非表示)1」のように設定値が表示される。なお、設定確認中の状態では、RAMクリアスイッチ304が押下されても設定値は変化しない。
【0128】
この状態で、「設定キーOFF」、かつ、「内枠閉鎖状態」となった場合(実際には閉鎖状態が100ms継続した場合)には、設定確認中の状態が終了し、一旦、電源断前の状態に移行してから、遊技可能状態に移行する。
【0129】
なお、本実施形態では、遊技可能状態で設定確認を行うことはできないが、遊技可能状態で設定確認を実行可能にしてもよい。
【0130】
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また、遊技盤ユニット8には、中始動入賞口26、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31にそれぞれ対応して中始動入賞口スイッチ80、右始動入賞口スイッチ82、第1カウントスイッチ84及び第2カウントスイッチ85が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、中始動入賞口26、可変始動入賞装置28(右始動入賞口28a)への遊技球の入球を検出するためのものである。また、第1カウントスイッチ84は、第1可変入賞装置30(第1大入賞口)への遊技球の入球を検出し、その数をカウントするためのものである。さらに、第2カウントスイッチ85は、第2可変入賞装置31(第2大入賞口31b)への遊技球の入球を検出し、その数をカウントするためのものである。さらに、確変領域スイッチ95は、第2可変入賞装置31の内部に配置された確変領域を遊技球が通過したことを検出するためのスイッチである(検出手段)。
【0131】
同様に遊技盤ユニット8には、普通入賞口22への遊技球の入球を検出する第1入賞口スイッチ86と、普通入賞口24への遊技球の入球を検出する第2入賞口スイッチ81とが装備されている。なお、左側の3つの普通入賞口22については、共通の入賞口スイッチ86を用いる構成を例に挙げているが、例えば3つの入賞口スイッチを設置して、各普通入賞口22に対する遊技球の入球を個別に検出してもよい。
【0132】
いずれにしても、これらスイッチ類の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお、遊技盤ユニット8の構成上、本実施形態では、第1カウントスイッチ84、第2カウントスイッチ85、第1入賞口スイッチ86、第2入賞口スイッチ81、確変領域スイッチ95からの入賞検出信号は、パネル基板87を経由して送信され、パネル基板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
【0133】
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aは、上述したように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に設置されており、この統合表示基板89にはパネル基板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0134】
また、主制御装置70には、パネル基板87を介して、性能表示モニタ200が接続されている。性能表示モニタ200は、遊技球が各入賞口(始動入賞口、普通入賞口)に入球することによって払い出される賞球数を、遊技領域に発射した遊技球の数を示すアウト数(アウトスイッチで検出された遊技球の数)で除算して算出されるベースを表示するためのモニタである。ベースは、遊技を進行させる制御に用いられる使用領域とは別の領域(使用外領域)を用いて予め設定された区間ごとに算出され、現在の区間のベースと、前回の区間のベースとが、予め設定された間隔ごとに切り替わって表示される。性能表示モニタ200は、主制御CPU72からの制御信号に基づいてその表示動作が制御される。主制御CPU72は、ベースの算出状況に応じて性能表示モニタ200に対する制御信号を出力し、各7セグメントの点灯状態を制御する。
【0135】
遊技盤ユニット8には、全ての入賞口及びアウト口を通過した遊技球を合流させる合流通路が形成されており、この合流通路にアウトスイッチを設けることができる。アウトスイッチは、合流通路を通過する遊技球を検出するものであり、遊技球を検出するたびに検出信号が主制御装置70に入力される。主制御装置70は、アウトスイッチから入力される検出信号に基づいて、アウト球の数を計数することができる。遊技領域8aに発射された遊技球は、必ず、合流通路を通過してパチンコ機1の外部に排出されることから、アウトスイッチは、遊技領域8aに発射された発射球数、つまり、遊技領域8aから排出される排出数(アウト球数)を計数することができる。
【0136】
なお、性能表示モニタ200は、パネル基板87を介して主制御装置70に接続する例で説明しているが、パネル基板87を介さずに主制御装置70に接続してもよく、主制御装置70の内部の構成として性能表示モニタ200を配置してもよい。
【0137】
また、遊技盤ユニット8には、可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30、第2可変入賞装置31及び確変領域の上流にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88、第1大入賞口ソレノイド90、第2大入賞口ソレノイド97及び確変領域用ソレノイド99が設けられている。これらソレノイド88,90,97,99は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、第1可変入賞装置30及び第2可変入賞装置31を開閉動作(作動)させたり、確変領域用羽根部材31dを可動させたりする。なお、これらソレノイド88,90,97,99についてもパネル基板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0138】
その他に一体扉ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また、内枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。一体扉ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また、外枠ユニット2から内枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号から一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。なお、主制御CPU72は、一体扉ユニット4や内枠アセンブリ7の開放状態を検出すると、外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
【0139】
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお、主制御CPU72は賞球指示コマンドとともに、外部情報信号として賞球情報信号を生成する。
【0140】
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(例えばステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って受皿ユニット6に送られる。
【0141】
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また、賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。払出計数スイッチ106の近傍には、払出検知スイッチを配置することができる。
【0142】
また、パチンコ機1には、例えば下皿6cの内部(パチンコ機1の正面からみて奧の位置)に満タンスイッチ161が設置されている。実際に払い出された賞球(遊技球)は流路ユニット173を通じて上皿6bに放出されるが、上皿6bが遊技球で満杯になると、それ以上に払い出された遊技球は上述したように下皿6cへ流れ込む。さらに、下皿6cが遊技球で満杯になると、それによって満タンスイッチ161がONになり、満タン検出信号が払出制御装置92(払出制御CPU94)に入力される。これを受けて払出制御CPU94は、主制御CPU72から賞球指示コマンドを受信してもそれ以上の賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM98に記憶させておく。なお、RAM98の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
【0143】
また、パチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている(球発射手段)。また、受皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また、発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上述したように遊技領域8aに向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお、遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
【0144】
一方、パチンコ機1の表側に位置するハンドルユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。また、タッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がハンドルユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして、発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
【0145】
受皿ユニット6には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお、発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120にカードユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
【0146】
また、受皿ユニット6には度数表示基板122及び貸出及び返却スイッチ基板123が内蔵されている。このうち度数表示基板122には、度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。また、貸出及び返却スイッチ基板123には球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号が貸出及び返却スイッチ基板123から遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニットに送信される。また、カードユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120を経由して度数表示基板122に送信される。度数表示基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。また、カードユニットに有価媒体が投入されていなかったり、あるいは投入された有価媒体の残り度数が0になったりした場合、度数表示基板122の表示回路は表示器を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
【0147】
また、パチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124(演出制御用コンピュータ)を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126が回路基板(複合サブ制御基板)上に装備されている。演出制御CPU126は、図示しないCPUコアとともにRAM(RWM)130やeDRAM131等の半導体メモリを内蔵したLSIとして構成されている。なお、演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
【0148】
その他にも演出制御装置124には、VDP152やドライバIC132、音声IC134等の演出を実現する上で必要となる様々な機能部品が搭載されている。このうちVDP152は、液晶表示器42の画面上で再生される演出画面を描画するためのプロセッサである。ドライバIC132は、ランプ46~52や盤面ランプ53、可動体モータ57等のデバイスを制御するICを搭載している。また、音声IC134は、スピーカ54,55,56,58の駆動を制御する。このような演出制御装置124の内部の機能構成については、次の図を参照しながら詳しく後述する。
【0149】
演出制御装置124と主制御装置70とは、例えば図示しない通信用ハーネスを介して相互に接続されている。ただし、これらの間の通信は、主制御装置70から演出制御装置124への一方向のみで行われ、逆方向への通信は行われない。なお、通信用ハーネスには、主制御装置70から演出制御装置124に対して送信される各種演出用のコマンド(以下、「演出コマンド(サブコマンド)」と称する。)のバス幅に応じてパラレル形式を採用してもよいし、それぞれのドライバ(I/O)のハード構成に合わせてシリアル形式を採用してもよい。
【0150】
本実施形態では一体扉ユニット4の内面にサブ接続基板136が設置されており、ドライバIC132や音声IC134からの駆動信号はサブ接続基板136を経由して各種ランプ46~52やスピーカ54,55,56,58に印加されている。また、サブ接続基板136には、ハンドルレバー62、ボタンモータ63、プッシュボタン64、方向キー66の他に図示しない音量調整スイッチが接続されており、遊技者がこれらの操作部材を操作すると、それらの接点信号がサブ接続基板136を通じて演出制御装置124に入力される。なお、ここではサブ接続基板136に各操作部材62,64,66を接続した例を挙げているが、受皿電飾基板を設置する場合、各操作部材62,64,66は受皿電飾基板に接続されていてもよい。
【0151】
ボタンモータ63は、プッシュボタン64に対応したステッピングモータであり、操作ユニット60を制御する不図示の操作ユニット制御装置によって駆動される(切替手段)。操作ユニット制御装置は、演出制御装置124から送信される駆動信号に基づいてボタンモータ63を駆動することにより、プッシュボタン64を通常の状態(初期位置)又は突出した状態(最大可動位置)のいずれかに切り替える(変位させる)。
【0152】
その他、遊技盤ユニット8には、ドライバ接続基板137及びドライバ基板138が設置されており、ドライバ基板138には盤面ランプ53の他に可動体モータ57が接続されている。可動体モータ57は、例えば図示しないリンク機構を介して可動体40fを駆動する。ドライバIC132からの駆動信号は、ドライバ接続基板137及びドライバ基板138を経由して盤面ランプ53及び可動体モータ57にそれぞれ印加される。ドライバ接続基板137とドライバ基板138とは、ハーネスにより接続してもよく、基板同士を接続する接続(基板対基板接続)であってもよい。
【0153】
液晶表示器42は遊技盤ユニット8の裏側に設置されており、遊技盤ユニット8に形成された略矩形の開口を通じてその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤ユニット8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライト(例えば冷陰極管)に印加される交流電源を生成している。
【0154】
その他、内枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162(電源制御手段)が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してカードユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また、上述したように電源制御ユニット162は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
【0155】
外部端子板160は払出制御装置92に接続されており、主制御装置70(主制御CPU72)にて生成された各種の外部情報信号は、払出制御装置92を経由して外部端子板160から外部に出力されるものとなっている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、外部端子板160を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報信号を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ(図示していない)で集計される。なお、ここでは払出制御装置92を経由する構成を例に挙げているが、主制御装置70からそのまま外部情報信号が外部端子板160に出力される構成であってもよい。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。
【0156】
本実施形態によれば、以下の優位性が得られる。
(1)通常は、統一錠ユニット9のロックユニット900により、本体錠前902は施錠状態でロックされる。これにより、不正行為による本体(内枠アセンブリ7)の開放は確実に阻止されている。
上記(1)のようなセキュリティの構造上、シリンダ錠6aが破損した際も本来なら統一錠ユニット9を解錠することができない。
【0157】
(2)そこで、セキュリティ上は専用キー(シリンダ錠6a)以外で容易に本体(内枠アセンブリ7)の開閉をさせることはできないが、遊技場運営者がパチンコ機1を島設備から外し、下側の鍵受け904を外枠ユニット2から取り外すことで、シリンダ錠6aの破損の際も解錠を可能にし、保守管理作業を容易にすることができる。
【0158】
(3)ロックユニット900の構造(内部機構)は、内枠アセンブリ7を閉じた状態にするだけで通常に作動し、上記(1)のセキュリティロックを自動的に作動させることができる。
【0159】
(4)一方、パチンコ機1を島設備から外し、外枠ユニット2の鍵受け904を取り外すと、レバー部材920(ロック解除レバー)がばね(コイルばね926、捻りばね936)の力でフリーとなり、ロックユニット900のセキュリティロックが解除され、本体錠前902を動かすことが可能となり、これによって扉ユニット4及び内枠アセンブリ7を解錠することが可能になる。
【0160】
このように本実施形態のパチンコ機1では、「セキュリティ上の施錠確実性」と「緊急時の解錠容易性」といった互いに相反する主題を高度に両立させ、公正な遊技の提供を担保し、遊技場運営者による適正な保守管理に資するという、格別の優位性を発揮することができる。
【0161】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態で挙げた演出の態様や各種数値はあくまで例示であり、上述した内容に限定されるものではない。
【0162】
本発明は、パチンコ機に適用した実施形態で説明したが、スロット機にも適用可能である。
一実施形態では、下側の鍵受け904を取り外すパターンを例に挙げているが、上側の鍵受け905を取り外すことでロックユニット900がフリーとなり、解除される構成でもよい。
【0163】
一実施形態では、鍵受け904全体を取り外す例を挙げているが、鍵受け904と掛止部904aとを別部品とし、掛止部904aだけを取り外す態様であってもよい。
【0164】
また、鍵受け904のねじを外すことなく、例えばねじを緩めることで鍵受け904が可動する状態となり、それによってロックユニット900が解除される構造であってもよい。
【0165】
また、統一錠ユニット9の詳細な形状や構造、配置はもとより、各種の機構部品はあくまで例示であり、これらを適宜変形して実施可能である。
【0166】
その他の図示したものは全てあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。また、パチンコ機1の構造や盤面構成、具体的な数値等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 パチンコ機
2 外枠ユニット
4 一体扉ユニット
6 受皿ユニット
7 内枠アセンブリ
8 遊技盤ユニット
8a 遊技領域
9 統一錠ユニット
16 ハンドルユニット
20 始動ゲート
28 可変始動入賞装置
33 普通図柄表示装置
33a 普通図柄作動記憶ランプ
34 第1特別図柄表示装置
35 第2特別図柄表示装置
34a 第1特別図柄作動記憶ランプ
35a 第2特別図柄作動記憶ランプ
38 遊技状態表示装置
42 液晶表示器
70 主制御装置
900 ロックユニット
902 本体錠前
902a フック
904 鍵受け