(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】玄関ドア装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/28 20060101AFI20240530BHJP
E06B 3/00 20060101ALI20240530BHJP
E05B 17/00 20060101ALI20240530BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
E06B7/28 Z
E06B3/00 C
E05B17/00 D
A47G29/12 A
(21)【出願番号】P 2020081474
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴之
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-009187(JP,U)
【文献】実開平06-076587(JP,U)
【文献】特開2020-191976(JP,A)
【文献】特開2019-5443(JP,A)
【文献】特開2019-130288(JP,A)
【文献】実開平6-71496(JP,U)
【文献】特開2005-288065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/00-29/30
B65G61/00
E05B1/00-85/28
E06B3/00-3/02
7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア本体と、
前記ドア本体の室外側面に配置され、室外側から開閉操作可能な蓋部を有する格納箱と、
前記格納箱の内部に折り畳まれた状態で格納され、前記格納箱から引き出されて広げられることによって配達物を収納可能な配達物収納袋と、
を備え、
前記ドア本体は、シリンダー錠を有し、
前記格納箱は、前記シリンダー錠の室外側に配置されるシリンダカバーと一体化している、玄関ドア装置。
【請求項2】
前記配達物収納袋を前記ドア本体に連結するための連結部材をさらに備え、
前記連結部材の端部は、前記ドア本体の内部において、前記シリンダー錠に連結される、請求項
1に記載の玄関ドア装置。
【請求項3】
ドア本体と、
前記ドア本体の室外側面に配置され、室外側から開閉操作可能な蓋部を有する格納箱と、
前記格納箱の内部に折り畳まれた状態で格納され、前記格納箱から引き出されて広げられることによって配達物を収納可能な配達物収納袋と、
前記配達物収納袋を前記ドア本体に連結するための連結部材と、
を備え、
前記格納箱は、背面側において前記ドア本体の内部に連通する部位を有し、
前記連結部材は、前記格納箱における前記ドア本体の内部に連通する部位を通して、前記配達物収納袋を前記ドア本体に連結する、玄関ドア装置。
【請求項4】
前記ドア本体は、シリンダー錠を有し、
前記格納箱は、前記シリンダー錠の室外側に配置されるシリンダカバーと一体化している、請求項3に記載の玄関ドア装置。
【請求項5】
前記連結部材の端部は、前記ドア本体の内部において、前記シリンダー錠に連結される、請求項4に記載の玄関ドア装置。
【請求項6】
ドア本体と、
前記ドア本体の戸先側に配置される袖パネルと、
前記袖パネルの室外側面に配置され、室外側から開閉操作可能な蓋部を有する格納箱と、
前記格納箱の内部に折り畳まれた状態で格納され、前記格納箱から引き出されて広げられることによって配達物を収納可能な配達物収納袋と、
前記配達物収納袋を前記袖パネルに連結するための連結部材と、
を備え、
前記格納箱は、背面側において前記袖パネルの内部に連通する部位を有し、
前記連結部材は、前記格納箱における前記袖パネルの内部に連通する部位を通して、前記配達物収納袋を前記袖パネルに連結する、玄関ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、玄関ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玄関ドアに取り付けられ、受取人不在時の配達物の受け取りが可能な配達物受け取り袋が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。配達物受け取り袋は、折り畳んだ状態で玄関ドアの室外側に配置され、配達者によって広げられて配達物を収納することができるように構成される。
【0003】
特許文献1に記載の配達物受け取り袋は、帯状の布材からなる係止部材を有し、係止部材を玄関ドアの戸先側に挟み、係止部材の端部に設けられた弾性リング状部材を玄関ドアの室内側のノブもしくはハンドルに掛かり止めすることによって、玄関ドアに取り付けられる。
【0004】
特許文献2に記載の配達物受け取り袋は、配達物受け取り袋に繋げられたワイヤを玄関ドアの室外側のハンドルに巻き掛けることによって、玄関ドアに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-63338号公報
【文献】特開2020-53047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の配達物受け取り袋では次のような問題がある。未使用時の配達物受け取り袋は、玄関ドアの室外側にむき出し状態で配置されるため、玄関ドアの意匠性が低下する。配達物受け取り袋は、玄関ドアのノブもしくはハンドルに掛かり止める、もしくは巻き掛けることによって、玄関ドアに取り付けられるため、ノブもしくはハンドルが破損するおそれがある。住人がノブもしくはハンドルを操作する際に、手が弾性リング状部材もしくはワイヤと接触するおそれがあり、安全性を確保する必要がある。
【0007】
したがって、玄関ドアの意匠性を向上でき、玄関ドアの既存部品の破損防止及び住人の安全性を確保することができる玄関ドア装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態に係る玄関ドア装置は、ドア本体と、前記ドア本体の室外側面に配置され、室外側から開閉操作可能な蓋部を有する格納箱と、前記格納箱の内部に折り畳まれた状態で格納され、前記格納箱から引き出されて広げられることによって配達物を収納可能な配達物収納袋と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る玄関ドア装置を室外側から見た正面図である。
【
図2】一実施形態に係る玄関ドア装置の格納箱の部位を拡大して示す斜視図である。
【
図3】格納箱の蓋部を開放した状態を示す斜視図である。
【
図4】一実施形態に係る玄関ドア装置のドア本体の内部を室内側から破断して示す図である。
【
図5】一実施形態に係る玄関ドア装置における配達物収納袋の使用状態を示す図である。
【
図6】他の一実施形態に係る玄関ドア装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る玄関ドア装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、玄関ドア装置1は、建物躯体の玄関ドア開口部100に開閉可能に納められるドア本体2を有する。ドア本体2は、戸先側に、ドア本体2の開閉操作用のハンドル21と、ハンドル21の上下にそれぞれ配置されるシリンダー錠22,23と、格納箱3と、を有する。
【0011】
格納箱3は、ドア本体2の室外側面2aにおけるハンドル21の下方に配置されている。格納箱3は、
図2及び
図3に示すように、正面視で縦長矩形状の格納箱本体31と、格納箱本体31に対して室外側に向けて開閉可能に取り付けられる蓋部32と、を有する。格納箱本体31は、溶接、ねじ止め、両面テープ等の固定手段によって、格納箱本体31の内部の格納室311が室外側に面するように、ドア本体2の室外側面2aに固定される。
【0012】
蓋部32は、
図3に示すように、蓋部32の上端部を回動軸として、格納箱本体31に対して上下方向に開閉動作するように設けられている。蓋部32は、格納箱本体31に対して閉じた状態を保持するための保持機構(図示せず)を備えてもよい。蓋部32には、開閉操作のための把手(図示せず)が設けられてもよい。蓋部32は、格納箱本体31に対して左右方向に開閉動作するように設けられてもよい。
【0013】
格納箱本体31は、蓋部32によって覆われる格納室311と、蓋部32よりも上方に略矩形状に延出する延出部312と、を有する。
図4に示すように、格納箱本体31の背面31aは閉じた壁面である。この背面31aは、ドア本体2の室外側面2aに接するように配置されてもよいし、格納箱本体31が室外側面2aを貫通することによって、ドア本体2の内部に配置されてもよい。しかし、背面31aは、ドア本体2の室内側面2bよりも室外側に配置される。これに対して、延出部312の背面側には壁面は設けられていない。延出部312の背面側は、ドア本体2の内部に連通している。延出部312の背面側も、ドア本体2の室内側面2bよりも室外側に配置される。
【0014】
ハンドル21の下方のシリンダー錠23は、延出部312に配置されている。延出部312は、ドア本体2の室外側面2aにおいて、シリンダー錠23のシリンダカバーを構成している。すなわち、延出部312はシリンダー錠23のシリンダカバーと一体化している。シリンダー錠23の室外側の端面は、
図2に示すように、延出部312の表面に露出している。
【0015】
格納室311は、
図3に示すように、縦長矩形状に形成され、内部に配達物収納袋4を格納している。配達物収納袋4は、収納袋ケース41と、収納袋ケース41の内部に折り畳まれて収容される収納袋本体42(
図5参照)と、を有する。
【0016】
収納袋ケース41は、収納袋本体42を格納室311内にコンパクトに納めることができるように、折り畳まれた収納袋本体42を収容する。収納袋ケース41は、内部の収納袋本体42と一体に連結されている。
【0017】
収納袋ケース41の背面41aには、
図3中の破線で示すように、後述のロック装置5の掛け金52に対して係止する係止片411を有する。係止片411は、先端がループ状になるように帯状体を折り曲げることによって形成される。係止片411は、収納袋ケース41の背面4aに縫着、溶着等によって固定されている。
【0018】
配達物収納袋4は、ロック装置5を介して、ドア本体2に連結される。ロック装置5は、配達物収納袋4が持ち去られないように、配達物収納袋4をドア本体2に連結する。ロック装置5は、受取人によってロック解除されることによって、配達物収納袋4をロック装置5から、すなわちドア本体2から取り外すことができる。これによって、受取人は、配達物を配達物収納袋4ごと回収して室内に持ち込むことができる。
【0019】
ロック装置5は、ロック装置本体51と、ロック装置本体51から突出する略U字型の掛け金52と、連結ワイヤ53と、を有する。配達物収納袋4の背面41aの係止片411は、掛け金52に係止されている。
【0020】
ロック装置本体51は、例えばダイヤル式、シリンダー式のロック機構を有し、掛け金52のロック及びロック解除を行う。ロック装置本体51は、ロック解除によって掛け金52の一端をロック装置本体51から離脱させる。これによって、受取人は、掛け金52に対する配達物収納袋4の係止片411の係止及び係止解除を行うことができる。
【0021】
連結ワイヤ53は、金属製の索条体からなり、ロック装置本体51内に巻回状態で引出し可能に収容されている。連結ワイヤ53は、巻回方向に付勢されている。ロック装置本体51から引き出された連結ワイヤ53は、ロック装置本体51の側部に設けられる巻取りボタン511の押下操作によって巻回され、ロック装置本体51内に収容される。
【0022】
連結ワイヤ53は、配達物収納袋4を、ロック装置5を介してドア本体2に連結するため連結部材である。連結ワイヤ53の一方の端部は、ロック装置本体51の内部に固定されている。連結ワイヤ53の他方の端部は、ロック装置本体51の外部に延出している。
図4に示すように、連結ワイヤ53の他方の端部は、格納箱本体31の上壁部31bに形成された切り欠き孔313から格納室311の外部に延び、格納箱本体31の延出部312の内部312aに配置されている。
【0023】
延出部312の内部312aに配置される連結ワイヤ53の端部は、
図4に示すように、ループ状に処理された環状部53aを有する。連結ワイヤ53の環状部53aは、延出部312の内部312aにおいて、シリンダー錠23の胴部231の外周に掛け回されることによって、シリンダー錠23に連結されている。
【0024】
連結ワイヤ53の環状部53aの近傍には、
図3に示すように、グロメット54が取り付けられている。グロメット54は、格納室311の内部から切り欠き孔313を塞ぐように取り付けられる。グロメット54は、連結ワイヤ53が切り欠き孔313と直に接触することによる傷付きを防止するとともに、連結ワイヤ53が切り欠き孔313から格納室311の外部に引き出されることを防止する。切り欠き孔313がグロメット54によって塞がれることによって、ドア本体2の気密性も向上する。
【0025】
次に、受取人不在時の玄関ドア装置1の使用方法について
図3及び
図5を用いて説明する。まず、配達者は、
図3に示すように、格納箱3の蓋部32を開放して、格納室311内の配達物収納袋4を取り出す。配達物収納袋4は、収納袋ケース41の背面41aの係止片411によってロック装置5と連結されている。配達者は、ロック装置5の連結ワイヤ53を伸長させることによって、配達物収納袋4をロック装置5ごと格納箱3から引き出す。
【0026】
その後、配達者は、収納袋ケース41を開けて内部の収納袋本体42を取り出して広げる。配達者は、
図5に示すように、広げた収納袋本体42内に配達物を収納する。これによって、受取人不在時の配達物が玄関先に置かれる。収納袋本体42内に配達物が収納された後、格納箱3の蓋部32は配達者によって閉じられる。配達物収納袋4は、ロック装置5を介して連結ワイヤ53によってドア本体2に連結されているため、容易に持ち去られることはなく、防犯性が向上する。
【0027】
収納袋本体42は、開閉可能なファスナ421を有する。配達物が収納された後の収納袋本体42のファスナ421は、適宜のロック装置(図示せず)によって、閉状態にロックされてもよい。これによって、防犯性がさらに向上する。
【0028】
帰宅した受取人は、ロック装置5を解除して、係止片411をロック装置5の掛け金52から取り外す。これによって、受取人は、配達物が収納された配達物収納袋4ごと、室内に持ち込むことができる。ロック装置5は、受取人によって巻取りボタン511が押下操作され、連結ワイヤ53が巻回されることによって、再び格納室311に格納される。
【0029】
玄関ドア装置1の配達物収納袋4は、住人が配達者に集荷をしてもらう目的で使用することもできる。この場合は、上記の使用方法において、配達者が行う作業を住人が行う。すなわち、住人が収納袋本体42を広げて荷物を収納し、玄関先に置く。配達者は、玄関先に置かれた荷物を収納袋本体42から取り出して集荷を行う。
【0030】
本実施形態の玄関ドア装置1によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る玄関ドア装置1は、ドア本体2と、ドア本体2の室外側面2aに配置され、室外側から開閉操作可能な蓋部32を有する格納箱3と、格納箱3の内部に折り畳まれた状態で格納され、格納箱3から引き出されて広げられることによって配達物を収納可能な配達物収納袋4と、を備える。これによって、配達物収納袋4は、ドア本体2の室外側面2aに配置される格納箱3内に格納され、未使用状態において配達物収納袋4が直接視認されることがなくなる。そのため、玄関ドア装置1の意匠性が向上する。
【0031】
ドア本体2は、シリンダー錠23を有し、格納箱3は、シリンダー錠23の室外側に配置されるシリンダカバーと一体化している。すなわち、格納箱3の上部に一体に設けられる延出部312が、シリンダー錠23を室外側から覆うように配置され、シリンダー錠23の室外側の端面は、延出部312の表面に露出している。これによって、シリンダー錠23の周りの意匠性も向上する。
【0032】
配達物収納袋4をドア本体2に連結するための連結部材である連結ワイヤ53をさらに備え、連結ワイヤ53の端部は、ドア本体2の内部において、シリンダー錠23に連結される。シリンダー錠23は堅牢な構造物であるため、連結ワイヤ53の端部がシリンダー錠23に連結されることによって、配達物収納袋4がドア本体2から容易に取り外されて持ち去られることを効果的に防止することができ、防犯性が向上する。従来のように、ドアの室内側及び室外側において、ドアのノブもしくはハンドルにワイヤ等を巻き掛ける必要がないため、玄関ドアが誤操作されるおそれはない。ハンドル操作時に手が連結ワイヤ53と接触するおそれはないため、住人の安全性も確保される。玄関ドアの外面の傷付きも回避されるため、玄関ドアの外観及び機能が損なわれるおそれはない。従来のように、ドア本体2の戸先側に挟み込むものが存在しないため、玄関ドア装置1における気密性及び断熱性の機能が損なわれることもない。
【0033】
以上の実施形態では、配達物収納袋4を格納する格納箱3をドア本体2に配置させたが、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、ドア本体2の戸先側に袖パネル6を有する玄関ドア装置1Aの場合には、配達物収納袋4を格納する格納箱3は、袖パネル6の室外側面6aに配置されてもよい。この玄関ドア装置1Aも、上述の玄関ドア装置1と同様の効果を奏することができる。この玄関ドア装置1Aにおいて、ロック装置5の連結ワイヤ53の端部は、袖パネル6の内部に設けられる適宜の係止部材に連結される。
【符号の説明】
【0034】
1,1A 玄関ドア装置、 2 ドア本体、 2a 室外側面、 23 シリンダー錠、 3 格納箱、 32 蓋部、 4 配達物収納袋、 53 連結ワイヤ、 6 袖パネル、 6a 室外側面、