(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】特定システム、及び特定プログラム
(51)【国際特許分類】
G01H 3/00 20060101AFI20240530BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G01H3/00 A
G01H17/00 Z
(21)【出願番号】P 2020119106
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤▲崎▼ 幸市郎
(72)【発明者】
【氏名】浦邉 雅章
(72)【発明者】
【氏名】坂本 悠太
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜太
(72)【発明者】
【氏名】小柳 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和憲
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-122470(JP,A)
【文献】特開2017-083338(JP,A)
【文献】特開2012-008794(JP,A)
【文献】特開2014-126387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0170569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定する特定システムであって、
前記工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、前記工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、前記工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する特定手段、を備
え、
前記工事現場に設けられている前記工事用機械は、複数の工事用機械であり、
前記特定手段は、前記複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を前記発生源工事用機械として特定し、
前記物理量は、振動又は騒音に関する物理量であり、
前記対象箇所は、工事現場における境界上の箇所であり、
前記特定手段は、少なくとも、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械が配置されている位置を示す工事用機械位置情報と、前記対象箇所の位置を示す対象箇所位置情報とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定し、
前記特定システムは、
前記複数の工事用機械に設置されている工事用機械側測定手段であって、前記複数の工事用機械にて発生する物理量を前記工事用機械側物理量として測定する前記工事用機械側測定手段、を備え、
前記工事用機械側物理量情報は、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報であり、
前記特定手段は、
前記工事用機械位置情報と、前記対象箇所位置情報とに基づいて、前記複数の工事用機械と前記対象箇所との間の距離を演算する第1処理と、
前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械の重量を示す重量情報又は前記複数の工事用機械によって行われる作業内容を示す作業内容情報とに基づいて、前記複数の工事用機械から当該複数の工事用機械の周辺の地盤に付与される物理量である付与物理量を演算する第2処理と、
前記第1処理の処理結果及び前記第2処理の処理結果に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する第3処理と、を行う、
特定システム。
【請求項2】
前記特定手段は、
前記第1処理で演算した前記距離と、前記第2処理で演算した前記付与物理量と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報とに基づいて、工事現場の地盤を介して前記複数の工事用機械側から前記対象箇所側に伝搬された当該対象箇所側の物理量であるものとされる伝搬先物理量を演算し、演算した前記伝搬先物理量に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う、
請求項
1に記載の特定システム。
【請求項3】
前記特定手段は、
前記第1処理で演算した前記距離と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、前記対象箇所側許容レベルとに基づいて、前記複数の工事用機械側で許容される工事用機械側許容レベルを演算し、演算した前記工事用機械側許容レベルと、前記第2処理で演算した前記付与物理量とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う、
請求項
1に記載の特定システム。
【請求項4】
前記対象箇所側に設置されている対象箇所側測定手段であって、前記対象箇所側における物理量を対象箇所側物理量として測定する前記対象箇所側測定手段、を備え、
前記特定手段は、
前記第1処理で演算した前記距離と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、前記対象箇所側測定手段が測定した前記対象箇所側物理量とに基づいて、前記工事現場の地盤を介して前記複数の工事用機械側から前記対象箇所側に伝搬された物理量の元となる伝搬元の前記複数の工事用機械側の物理量であるものとされる伝搬元物理量を演算し、演算した前記伝搬元物理量と前記第2処理で演算した前記付与物理量とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う、
請求項
1に記載の特定システム。
【請求項5】
前記対象箇所側測定手段にて測定された物理量を示す情報を前記特定手段側に送信する対象箇所側通信手段と、
少なくとも、前記対象箇所側通信手段を収容する対象箇所側筐体と、を備え、
前記対象箇所側通信手段は、スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器である、
請求項
4に記載の特定システム。
【請求項6】
前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報、又は、前記稼働状況情報を前記特定手段側に送信する工事用機械側通信手段と、を備え、
前記工事用機械側通信手段は、スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器である、
請求項
1から
5の何れか一項に記載の特定システム。
【請求項7】
前記工事現場における第1実測位置における物理量の測定結果と、前記工事現場における第2実測位置における物理量の測定結果と、前記第1実測位置と前記第2実測位置との間の距離とを示す実測情報に基づいて、前記減衰度合情報を補正する補正手段、を備える、
請求項
2から
4の何れか一項に記載の特定システム。
【請求項8】
工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定する特定プログラムであって、
コンピュータを、
前記工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、前記工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、前記工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する特定手段、として機能さ
せ、
前記工事現場に設けられている前記工事用機械は、複数の工事用機械であり、
前記特定手段は、前記複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を前記発生源工事用機械として特定し、
前記物理量は、振動又は騒音に関する物理量であり、
前記対象箇所は、工事現場における境界上の箇所であり、
前記特定手段は、少なくとも、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械が配置されている位置を示す工事用機械位置情報と、前記対象箇所の位置を示す対象箇所位置情報とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定し、
前記特定プログラムは、前記コンピュータを、
前記複数の工事用機械に設置されている工事用機械側測定手段であって、前記複数の工事用機械にて発生する物理量を前記工事用機械側物理量として測定する前記工事用機械側測定手段、として機能させ、
前記工事用機械側物理量情報は、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報であり、
前記特定手段は、
前記工事用機械位置情報と、前記対象箇所位置情報とに基づいて、前記複数の工事用機械と前記対象箇所との間の距離を演算する第1処理と、
前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械の重量を示す重量情報又は前記複数の工事用機械によって行われる作業内容を示す作業内容情報とに基づいて、前記複数の工事用機械から当該複数の工事用機械の周辺の地盤に付与される物理量である付与物理量を演算する第2処理と、
前記第1処理の処理結果及び前記第2処理の処理結果に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する第3処理と、を行う、
特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定システム、及び特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場における騒音又は振動の原因となる重機を特定する技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術においては、工事現場の敷地境界の3点において測定した騒音又は振動レベルに基づいて、騒音又は振動の原因となる重機を特定していたので、重機側の要素が考慮されておらず、騒音又は振動の原因となる重機を特定する精度が低下する可能性があった。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みなされたもので、発生源工事用機械の特定精度を向上させることが可能となる特定システム、及び特定プログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の特定システムは、工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定する特定システムであって、前記工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、前記工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、前記工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する特定手段、を備え、前記工事現場に設けられている前記工事用機械は、複数の工事用機械であり、前記特定手段は、前記複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を前記発生源工事用機械として特定し、前記物理量は、振動又は騒音に関する物理量であり、前記対象箇所は、工事現場における境界上の箇所であり、前記特定手段は、少なくとも、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械が配置されている位置を示す工事用機械位置情報と、前記対象箇所の位置を示す対象箇所位置情報とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定し、前記特定システムは、前記複数の工事用機械に設置されている工事用機械側測定手段であって、前記複数の工事用機械にて発生する物理量を前記工事用機械側物理量として測定する前記工事用機械側測定手段、を備え、前記工事用機械側物理量情報は、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報であり、前記特定手段は、前記工事用機械位置情報と、前記対象箇所位置情報とに基づいて、前記複数の工事用機械と前記対象箇所との間の距離を演算する第1処理と、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械の重量を示す重量情報又は前記複数の工事用機械によって行われる作業内容を示す作業内容情報とに基づいて、前記複数の工事用機械から当該複数の工事用機械の周辺の地盤に付与される物理量である付与物理量を演算する第2処理と、前記第1処理の処理結果及び前記第2処理の処理結果に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する第3処理と、を行う。
【0007】
請求項2に記載の特定システムは、請求項1に記載の特定システムにおいて、前記特定手段は、前記第1処理で演算した前記距離と、前記第2処理で演算した前記付与物理量と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報とに基づいて、工事現場の地盤を介して前記複数の工事用機械側から前記対象箇所側に伝搬された当該対象箇所側の物理量であるものとされる伝搬先物理量を演算し、演算した前記伝搬先物理量に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う。
【0008】
請求項3に記載の特定システムは、請求項1に記載の特定システムにおいて、前記特定手段は、前記第1処理で演算した前記距離と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、前記対象箇所側許容レベルとに基づいて、前記複数の工事用機械側で許容される工事用機械側許容レベルを演算し、演算した前記工事用機械側許容レベルと、前記第2処理で演算した前記付与物理量とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う。
【0009】
請求項4に記載の特定システムは、請求項1に記載の特定システムにおいて、前記対象箇所側に設置されている対象箇所側測定手段であって、前記対象箇所側における物理量を対象箇所側物理量として測定する前記対象箇所側測定手段、を備え、前記特定手段は、前記第1処理で演算した前記距離と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、前記対象箇所側測定手段が測定した前記対象箇所側物理量とに基づいて、前記工事現場の地盤を介して前記複数の工事用機械側から前記対象箇所側に伝搬された物理量の元となる伝搬元の前記複数の工事用機械側の物理量であるものとされる伝搬元物理量を演算し、演算した前記伝搬元物理量と前記第2処理で演算した前記付与物理量とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う。
【0010】
請求項5に記載の特定システムは、請求項4に記載の特定システムにおいて、前記対象箇所側測定手段にて測定された物理量を示す情報を前記特定手段側に送信する対象箇所側通信手段と、少なくとも、前記対象箇所側通信手段を収容する対象箇所側筐体と、を備え、前記対象箇所側通信手段は、スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器である。
【0011】
請求項6に記載の特定システムは、請求項2から4の何れか一項に記載の特定システムにおいて、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報、又は、前記稼働状況情報を前記特定手段側に送信する工事用機械側通信手段と、を備え、前記工事用機械側通信手段は、スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器である。
【0012】
請求項7に記載の特定システムは、請求項2から4の何れか一項に記載の特定システムにおいて、前記工事現場における第1実測位置における物理量の測定結果と、前記工事現場における第2実測位置における物理量の測定結果と、前記第1実測位置と前記第2実測位置との間の距離とを示す実測情報に基づいて、前記減衰度合情報を補正する補正手段、を備える。
【0013】
請求項8に記載の特定プログラムは、工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定する特定プログラムであって、コンピュータを、前記工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、前記工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、前記工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する特定手段、として機能させ、前記工事現場に設けられている前記工事用機械は、複数の工事用機械であり、前記特定手段は、前記複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を前記発生源工事用機械として特定し、前記物理量は、振動又は騒音に関する物理量であり、前記対象箇所は、工事現場における境界上の箇所であり、前記特定手段は、少なくとも、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械が配置されている位置を示す工事用機械位置情報と、前記対象箇所の位置を示す対象箇所位置情報とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定し、前記特定プログラムは、前記コンピュータを、前記複数の工事用機械に設置されている工事用機械側測定手段であって、前記複数の工事用機械にて発生する物理量を前記工事用機械側物理量として測定する前記工事用機械側測定手段、として機能させ、前記工事用機械側物理量情報は、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報であり、前記特定手段は、前記工事用機械位置情報と、前記対象箇所位置情報とに基づいて、前記複数の工事用機械と前記対象箇所との間の距離を演算する第1処理と、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械の重量を示す重量情報又は前記複数の工事用機械によって行われる作業内容を示す作業内容情報とに基づいて、前記複数の工事用機械から当該複数の工事用機械の周辺の地盤に付与される物理量である付与物理量を演算する第2処理と、前記第1処理の処理結果及び前記第2処理の処理結果に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する第3処理と、を行う。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の特定システム、及び請求項8に記載の特定プログラムによれば、稼働状況情報又は工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、工事用機械側の要素を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を向上させることが可能となる。
また、複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を発生源工事用機械として特定することにより、例えば、発生源工事用機械を確実に特定することが可能となる。
また、工事用機械側物理量情報と工事用機械位置情報と対象箇所位置情報とに基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、各位置情報を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
また、工事用機械側物理量情報と、重量情報又は作業内容情報とに基づいて付与物理量を演算することにより、例えば、工事用機械側の実態を付与物理量に反映することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0019】
請求項2に記載の特定システムによれば、工事現場の地盤を介して複数の工事用機械側から対象箇所側に伝搬された当該対象箇所側の物理量であるものとされる伝搬先物理量を演算し、演算した伝搬先物理量に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、発生源工事用機械を特定するために適した物理量を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の特定システムによれば、演算した工事用機械側許容レベルと演算した付与物理量とに基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、比較的単純な処理(例えば、工事用機械側許容レベルと付与物理量とを比較する処理等)を行って発生源工事用機械を特定することができるので、発生源工事用機械を容易に特定することが可能となる。
【0021】
請求項4に記載の特定システムによれば、工事現場の地盤を介して複数の工事用機械側から対象箇所側に伝搬された物理量の元となる伝搬元の複数の工事用機械側の物理量であるものとされる伝搬元物理量を演算し、演算した伝搬先物理量に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、発生源工事用機械を特定するために適した物理量を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0022】
請求項5に記載の特定システムによれば、対象箇所側通信手段及び対象箇所側筐体を備え、対象箇所側通信手段がスマートフォン等により構成されることにより、例えば、対象箇所側通信手段を既存の技術を実現することが可能となり、また、対象箇所側通信手段を対象箇所側筐体に収容して外部環境における塵埃等から保護することができ、また、対象箇所側筐体をコンパクト化することが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の特定システムによれば、工事用機械側通信手段がスマートフォン等により構成されることにより、例えば、工事用機械側通信手段を既存の技術を実現することが可能となる。
【0024】
請求項7に記載の特定システムによれば、減衰度合情報を補正する補正手段を備えることにより、例えば、工事現場の実態を減衰度合情報に反映することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】振動検知システムを説明するための図である。
【
図2】振動検知システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図3】重機側端末を機能概念的に示すブロック図である。
【
図10】発生源重機特定処理のフローチャートである。
【
図12】振動検知システムを説明するための図である。
【
図13】振動検知システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図15】発生源重機特定処理のフローチャートである。
【
図16】振動検知システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図17】重機側端末を機能概念的に示すブロック図である。
【
図18】発生源重機特定処理のフローチャートである。
【
図19】時間に対する振動の大きさを示すグラフである。
【
図20】振動検知システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図21】振動検知システムを説明するための図である。
【
図22】振動検知システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図23】重機側端末を機能概念的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る特定システム及び特定プログラムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0031】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、特定システム、及び特定プログラムに関する。本発明に係る特定システムは、工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定するシステムであり、例えば、発生源工事用機械を特定するための専用システム、あるいは、汎用的に用いられるコンピュータ(一例としては、サーバ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の如き携帯端末等)を備えるシステムに対して、発生源工事用機械を特定するための機能を実装することにより実現されるシステム等を含む概念である。また、特定システムは、例えば、特定手段を備え、任意で、工事用機械側測定手段、対象箇所側測定手段、及び補正手段等を備える。
【0032】
「工事用機械」とは、工事現場において使用される機械であり、具体的には、対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源となり得る機械であり、例えば、重機(一例としては、ショベルカー、クレーン、ブルドーザー、高所作業車等)、あるいは、機器(一例としては、ドリル等)等を含む概念である。また、「工事用機械」は、例えば、工事現場に複数設けられる場合、及び、工事現場に単体として単数(1個又は1台)設けられる場合が想定され、本願発明は両方に適用可能であるが、以下の実施の形態では、主に複数設けられる場合を例示して説明する。
【0033】
「工事現場」とは、工事が行われる現場であり、例えば、屋外の現場、あるいは、屋内の現場等を含む概念である。「対象箇所」とは、工事現場における所定の箇所であり、例えば、工事現場の敷地の境界上の箇所等を含む概念である。なお、この対象箇所については、工事現場の敷地の境界上の箇所に限定されるものではなく、その他の任意に箇所を示すものと解釈してもよい。
【0034】
「物理量」とは、任意の対象に関する物理量であり、具体的には、振動、騒音、及び粉塵等の度合いを示す量であり、一例としては、振動の大きさ、騒音の大きさ、及び粉塵の多さ等を含む概念である。なお、本願においては、「大きさ」を適宜「レベル」とも称する。
【0035】
「対象箇所側許容レベル」とは、工事現場の対象箇所において許容される物理量の上限のレベル(又は上限値、上限量)を示す概念であり、例えば、所定の規定又は規則等に基づいて予め定められているレベル、あるいは、管理者が任意に設定可能なレベル等を含む概念である。
【0036】
「発生源工事用機械」とは、対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源となっている工事用機械を示す概念ある。また、「発生源工事用機械」とは、例えば、工事現場に工事用機械が複数配置されている場合、当該工事現場に配置されている複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を示す概念である。また、「発生源工事用機械」については、例えば、工事現場に工事用機械が単体(つまり、1個又は1台のみ)で配置されている場合、当該工事現場に配置されている工事用機械が発生源工事用機械になり得る。
【0037】
「特定手段」とは、例えば、工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、工事用機械を発生源工事用機械として特定する手段等を含む概念である。また、「特定手段」とは、例えば、複数の工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、複数の工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を発生源工事用機械として特定する手段等を含む概念である。
【0038】
「稼働状況情報」とは、工事用機械の稼働状況を示す情報であり、具体的には、工事用機械が稼働している状態であるか、あるいは、稼働していない状態であるかを示す情報等を含む概念である。なお、「稼働している状態」及び「稼働していない状態」の解釈は任意であるが、本願においては、例えば、工事用機械のエンジンをオンし、又は電源をオンして動作可能となって状態を「稼働している状態」と解釈し、また、工事用機械のエンジンをオフし、又は電源をオフして動作不可能となって状態を「稼働していない状態」と解釈してもよい。
【0039】
「工事用機械側物理量情報」とは、工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す情報であり、例えば、工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報等を含む概念である。「工事用機械側測定手段」とは、工事用機械に設置されている手段であって、工事用機械にて発生する物理量を工事用機械側物理量として測定する手段である。
【0040】
また、「特定手段」とは、例えば、少なくとも、工事用機械側物理量情報と、複数の工事用機械が配置されている位置を示す工事用機械位置情報と、対象箇所の位置を示す対象箇所位置情報とに基づいて、発生源工事用機械を特定する手段等を含む概念である。
【0041】
「工事用機械位置情報」とは、複数の工事用機械が配置されている位置を示す情報であり、つまり、工事現場における複数の工事用機械の位置を示す情報である。「対象箇所位置情報」とは、対象箇所の位置を示す情報である。
【0042】
また、「特定手段」とは、例えば、第1処理、第2処理、及び第3処理を行う手段等を含む概念である。
【0043】
「第1処理」とは、工事用機械位置情報と、対象箇所位置情報とに基づいて、複数の工事用機械と対象箇所との間の距離を演算する処理である。
【0044】
「第2処理」とは、工事用機械側物理量情報と、複数の工事用機械の重量を示す重量情報又は複数の工事用機械によって行われる作業内容を示す作業内容情報とに基づいて、複数の工事用機器から当該工事用機器の周辺の地盤に付与される物理量である付与物理量を演算する処理であり、詳細には、工事用機械側物理量情報と重量情報とに基づいて付与物理量を演算する処理、工事用機械側物理量情報と作業内容情報とに基づいて付与物理量を演算する処理、及び工事用機械側物理量情報と、重量情報と、作業内容情報とに基づいて付与物理量を演算する処理を含む概念である。
【0045】
「第3処理」とは、第1処理の処理結果及び第2処理の処理結果に基づいて、発生源工事用機械を特定する処理である。
【0046】
「第3処理」とは、例えば、第1処理で演算した距離と、第2処理で演算した付与物理量と、工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報とに基づいて、工事現場の地盤を介して複数の工事用機械側から対象箇所側に伝搬された当該対象箇所側の物理量であるものとされる伝搬先物理量を演算し、演算した伝搬先物理量に基づいて、発生源工事用機械を特定する処理等を含む概念である。
【0047】
「第3処理」とは、例えば、第1処理で演算した距離と、工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、対象箇所側許容レベルとに基づいて、複数の工事用機械側で許容される工事用機械側許容レベルを演算し、演算した工事用機械側許容レベルと、第2処理で演算した付与物理量とに基づいて、発生源工事用機械を特定する処理等を含む概念である。
【0048】
「第3処理」とは、例えば、第1処理で演算した距離と、工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、対象箇所側測定手段が測定した対象箇所側物理量とに基づいて、工事現場の地盤を介して複数の工事用機械側から対象箇所側に伝搬された物理量の元となる伝搬元の複数の工事用機械側の物理量であるものとされる伝搬元物理量を演算し、演算した伝搬元物理量と第2処理で演算した付与物理量とに基づいて、発生源工事用機械を特定する処理等を含む概念である。「対象箇所側測定手段」とは、対象箇所側に設置されている手段であって、対象箇所側における物理量を対象箇所側物理量として測定する手段である。
【0049】
「補正手段」とは、工事現場における第1実測位置における物理量の測定結果と、工事現場における第2実測位置における物理量の測定結果と、第1実測位置と第2実測位置との間の距離とを示す実測情報に基づいて、減衰度合情報を補正する手段である。
【0050】
また、「特定手段」とは、例えば、工事用機械側物理量情報と、対象箇所側における物理量である対象箇所側物理量を示す対象箇所側物理量情報に基づいて、発生源工事用機械を特定する手段等を含む概念である。
【0051】
「対象箇所側物理量情報」とは、対象箇所側における物理量である対象箇所側物理量を示す情報であり、例えば、対象箇所側測定手段にて測定された物理量を示す情報等を含む概念である。
【0052】
そして、以下に示す各実施の形態においては、「工事用機械」が重機であり、「物理量」が振動に関する物理量である場合について説明する。具体的には、実施の形態1~4においては、工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定する場合について説明し、また、実施の形態5においては、稼働状況情報に基づいて発生源工事用機械を特定する場合について説明する。詳細には、実施の形態1、3、4においては、対象箇所側測定手段を用いる場合について説明し、実施の形態2においては、対象箇所側測定手段を用いない場合について説明する。また、実施の形態1においては、工事用機械位置情報及び対象箇所位置情報を用いる場合について説明し、また、実施の形態3においては、工事用機械位置情報及び対象箇所位置情報を用いない場合について説明し、また、実施の形態4においては、対象箇所位置情報を用いる場合について説明する。
【0053】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0054】
(実施の形態1)
最初に実施の形態1について説明する。この実施の形態は、工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定する形態であり、特に、工事用機械側測定手段、対象箇所側測定手段、工事用機械位置情報、及び対象箇所位置情報を用いる形態である。
【0055】
(構成)
まず、本実施の形態に係る振動検知システムの構成について説明する。
図1は、振動検知システムを説明するための図であり、
図2は、振動検知システムを機能概念的に示すブロック図であり、
図3は、重機側端末を機能概念的に示すブロック図であり、
図4は、工事現場を示す平面図である。
【0056】
なお、以下の説明では、
図4に示す矩形の敷地を有する工事現場において、図面下側及び図面右側の隣接する位置に、近隣建物(例えば、マンション等)が設けられており、当該近隣建物側の敷地境界における工事現場からの振動を管理する場合を例示して説明する。特に、個別の符号が付されている境界側振動計321~324が設けられている図面下側の敷地境界である仮囲いにおける振動を管理する場合を例示して説明する。
【0057】
また、以下の説明では、相互に区別する必要がない場合、また、重機91~93を重機9と総称し、また、重機側振動計312~313を重機側振動計31と総称し、また、重機側端末101~103を重機側端末1と総称し、境界側端末331~332を境界側端末33と総称し、また、境界側振動計321~324を境界側振動計32と総称して説明する。
【0058】
図1及び
図2の振動検知システム900は、前述の特定システムであり、例えば、重機振動検知システム(図面では符号は不図示であり、他の実施の形態でも同様)、振動管理システム(図面では符号は不図示であり、他の実施の形態でも同様)、及びサーバ装置2を備える。重機振動検知システムは、例えば、重機側振動計31、及び重機側端末1を備える。また、振動管理システムは、例えば、境界側振動計32、及び境界側端末33を備える。そして、振動検知システム900に含まれる重機側振動計31、重機側端末1、境界側振動計32、境界側端末33、及びサーバ装置2について、以下説明する。なお、ここでの各装置が含まれるシステムは例示であり、振動検知システム900が重機側振動計31、重機側端末1、境界側振動計32、境界側端末33、及びサーバ装置2を備える限りにおいて、これらの各装置を上述のように振動管理システム及び振動管理システム等にグルーピングしてもよいし、他の手法でグルーピングしてよいし、あるいは、グルーピングしなくてもよい(他の実施の形態も同様とする)。また、他の実施の形態では、振動管理システム及び振動管理システムについては、簡略化して記載する。
【0059】
(構成‐重機側振動計)
重機側振動計31は、前述の工事用機械側測定手段であり、具体的には、重機9に設置されているものである。この重機側振動計の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の振動センサを用いて構成することができ、また、設置されている重機9における振動(つまり、重機9で発生する振動)を測定し、測定結果を示す情報を重機側端末1に送信するものである。また、重機側振動計31は、例えば、重機91~93に設置されている重機側振動計311~313を有する。そして、この重機側振動計311~313は、重機91~93に設置されているので、
図4に示す重機91~93の位置と重機側振動計311~313の位置とは相互に一致することになる。
【0060】
「重機」9は、前述の工事用機械であり、ここでは、当該重機9がショベルカーである場合において、重機91~93に着目して説明する。
【0061】
(構成‐重機側端末)
重機側端末1は、工事用機械側通信手段であり、外部装置(重機側振動計31及びサーバ装置2)との間で通信を行う端末装置であり、具体的には、重機9と共に移動するものであり、例えば、重機9に常設、又は重機9に後付け設置、又は重機9を運転するために当該重機9に乗車している作業員によって携帯されるもの(例えば、スマートフォン又はタブレット端末等)であることとしてもよい。そして、
図2の重機側端末101~103は、重機91~93に設けられていることになるので、
図4に示す重機91~93の位置と重機側端末101~103の位置とは相互に一致することになる。重機側端末1は、例えば、
図3に示すように、通信部11、タッチパッド12、ディスプレイ13、スピーカ14、位置検出部15、記録部16、及び制御部17を備える。なお、重機側端末1を、重機9に常設、又は重機9に後付け設置する場合、重機9側から供給される電力を用いて重機側端末1を動作させるための電源部を重機側端末1に設けてもよいが、重機側端末1を動作させるための電源に関する技術は任意の技術を適用できるので、詳細の説明は省略する。
【0062】
(構成‐重機側端末‐通信部)
通信部11は、外部装置(重機側振動計31及びサーバ装置2)との間で通信するための通信手段である。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の通信回路等を用いて構成することができる。
【0063】
(構成‐重機側端末‐タッチパッド)
タッチパッド12は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパッド12の具体的な構成は任意であるが、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のものを用いることができる。
【0064】
(構成‐重機側端末‐ディスプレイ)
ディスプレイ13は、制御部17の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。このディスプレイ13の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。なお、上記のタッチパッド12とディスプレイ13と相互に重畳させてタッチパネルとして一体形成しても構わない。
【0065】
(構成‐重機側端末‐スピーカ)
スピーカ14は、制御部17の制御に基づいて各種音声を出力する音声出力手段である。このスピーカ14の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の音響装置を用いて構成することができる。
【0066】
(構成‐重機側端末‐位置検出部)
位置検出部15は、重機側端末1の現在位置(つまり、重機側端末1が設けられている重機9の現在位置)を検出する現在位置検出手段である。この位置検出部15の具体的な構成は任意であるが、例えば、GPS・GNSSに関する公知の技術を用いて現在位置を検出する手段を用いることができる。
【0067】
(構成‐重機側端末‐記録部)
記録部16は、重機側端末1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのフラッシュメモリを用いて構成されている。ただし、フラッシュメモリに代えてあるいはフラッシュメモリと共に、ハードディスク、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(他の装置の記録部も同様とする)。
【0068】
この記録部16には、例えば、重機側端末識別情報(以下、識別情報を「ID」と称する)が格納されている。「重機側端末ID」とは、重機側端末1を一意に識別する情報である。なお、ここでは、重機側端末1は、例えば、重機9に常設、又は重機9に後付け設置、又は重機9を運転するために当該重機9に乗車している作業員によって携帯されるものであり、すなわち、重機9と共に移動するように重機9に設けられているものであるので、「重機側端末ID」は重機9を一意に識別する情報であるものと解釈することもできる。
【0069】
そして、例えば、
図2に示すように、重機91と共に移動する(つまり、重機91に設けられている)重機側端末101の重機側端末IDとして「IDh001」が格納されており、また、重機92と共に移動する(つまり、重機92に設けられている)重機側端末102の重機側端末IDとして「IDh002」が格納されており、また、重機93と共に移動する(つまり、重機93に設けられている)重機側端末103の重機側端末IDとして「IDh003」が格納されていることとして、説明する。
【0070】
(構成‐重機側端末‐制御部)
制御部17は、重機側端末1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。特に、実施の形態に係るプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して重機側端末1にインストールされることで、制御部17の各部を実質的に構成する(他の装置の制御部も同様とする)。
【0071】
(構成‐境界側振動計)
図1及び
図4の境界側振動計32は、前述の対象箇所側測定手段であり、例えば、敷地境界に設けられている仮囲いに設けられているものである。この境界側振動計の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の振動センサを用いて構成することができ、また、設置されている位置(敷地境界上の位置)における振動を測定し、測定結果を示す情報を境界側端末33に送信するものである。また、境界側振動計32は、
図4に示すように、振動の管理を要する近隣建物と隣接する敷地境界に設けられており、また、所定間隔を隔てて設けられている。境界側振動計321~324は、自己の不図示の記録部に境界側振動計IDとして、
図2に示すように、「IDb001」~「IDb004」が格納されている。なお、「境界側振動計ID」とは、境界側振動計32を一意に識別するための情報である。
【0072】
(構成‐境界側端末)
図1及び
図4の境界側端末33は、対象箇所側通信手段であり、外部装置(境界側振動計32及びサーバ装置2)との間で通信を行う端末装置であり、例えば、境界敷地に設けられている仮囲いに設けられているものである。そして、
図2に示すように、境界側端末331が、境界側振動計321、322と通信し、境界側端末332が、境界側振動計323、324と通信する場合について説明する。
【0073】
(構成‐サーバ装置)
図2のサーバ装置2は、発生源重機を特定するための装置であり、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0074】
なお、「発生源重機」とは、前述の発生源工事用機械に対応する概念であり、例えば、境界側振動閾値を超えるレベルの振動の発生源となっている重機9を示す概念である。「境界側振動閾値」とは、前述の対象箇所側許容レベルであり、例えば、
図4の近隣建物と隣接する敷地境界で許容される振動の上限レベルである。本願では、近隣建物側への迷惑を低減するために、発生源重機を特定して警報する場合を例示して説明する。
【0075】
(構成‐サーバ装置‐通信部)
図2の通信部21は、外部装置(重機側端末1及び境界側端末33)との間で通信するための通信手段である。この通信部21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、重機側端末1の通信部11と同様にして構成することができる。
【0076】
(構成‐サーバ装置‐記録部)
図2の記録部22は、サーバ装置2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部22は、例えば、地図情報データベース221(データベースを「DB」と称する)、振動計位置情報DB222、重機情報DB223、重機側情報DB224、境界側情報DB225、及び減衰情報DB226を備える。
【0077】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐地図情報DB)
図2の地図情報DB221は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」とは、重機9が配置されている工事現場を含む地図を特定する情報であり、例えば、
図4の平面図に対応する地図を特定する情報である。なお、このような地図情報を格納するための具体的な手法は任意であるが、例えば、所定のアクセス先(一例としては、地図配信用のサーバ等)からダウンロードして格納することとしてもよいし、あるいは、メモリスティック等の記録媒体を介して入力することにより格納することとしてもよい。
【0078】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐振動計位置情報DB)
図2の振動計位置情報DB222は、振動計位置情報を格納する振動計位置情報格納手段である。
図5は、振動計位置情報を例示した図である。「振動計位置情報」とは、境界側振動計32が設置されて位置を特定する情報であり、例えば、
図5に示すように、項目「境界側振動計ID」に対応する情報と、項目「境界側振動計位置情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。項目「境界側振動計ID」に対応する情報は、前述の境界側振動計IDである(
図5では、「IDb001」等)。項目「境界側振動計位置情報」に対応する情報は、境界側振動計32が設置されている位置を示す境界側振動計位置情報(対象箇所位置情報)である。この境界側振動計位置情報は任意であるが、
図5では、地図情報DB221に格納されている地図情報が特定する地図上の位置を示す座標であり、例えば、
図4の境界側振動計321が設置されている位置を示す直交座標系における座標である「Pb101」等を用いることとする。なお、この「Pb101」等は便宜上の記載である。
【0079】
そして、この振動計位置情報において、例えば、
図5の最上段の情報においては、「IDb001」が識別する境界側振動計321の設置位置が、「Pb101」が示す
図4の境界側振動計321が図示されて位置であることが示されている。なお、このような振動計位置情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、管理者が、敷地境界に境界側振動計32を設置し、当該設置した位置を把握した上で、当該位置を示す情報をサーバ装置2に対して任意の手法(例えば、不図示のキーボード又はマウス等の入力手段を用いて入力する手法、あるいは、管理者のコンピュータからサーバ装置2に情報を送信して入力する手法等)で入力することにより、格納されることとしてもよい。
【0080】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐重機情報DB)
図2の重機情報DB223は、重機情報を格納する重機情報格納手段である。
図6は、重機情報を例示した図である。「重機情報」とは、重機9に関連する事項を特定する情報であり、例えば、
図6に示すように、項目「重機側端末ID」に対応する情報と、項目「重機名情報」に対応する情報と、項目「重量情報」に対応する情報と、項目「作業内容情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。項目「重機側端末ID」に対応する情報は、前述の重機側端末IDであり、つまり、重機9を一意に識別するための情報である(
図6では、「IDh001」等)。項目「重機名情報」に対応する情報は、重機の名称を特定する重機名情報である(
図6では、
図4の重機91~93の名称を示す「1号機」~「3号機」等)。項目「重量情報」に対応する情報は、重機9の重量を特定する重量情報である(
図6では、「10トン」等)。項目「作業内容情報」に対応する情報は、重機9が行う作業の内容を特定する作業内容情報である(
図6では、「解体作業」等)。
【0081】
そして、この重機情報において、例えば、
図6の最上段の情報においては、「IDh001」が識別する重機91の名称が「1号機」であること、及び当該重機91の重量が「10トン」であること、及び当該重機91が行う作業の内容が「解体作業」であることが示されている。
【0082】
なお、このような重機情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、重機9に乗車して当該重機9を運転する作業員が、重機側端末1のタッチパッド12を介して、自己が乗り込んで運転する重機9を示す重機名情報及び重量情報を入力し、また、当該重機91を用いて行う作業に対応する作業内容情報を入力した場合に、制御部17が、記録部16に記録されている重機側端末IDを取得し、取得した重機側端末IDと、前述の入力された重機名情報と、重量情報と、作業内容情報とをサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2の制御部23は、重機側端末か1から送信された情報に基づいて、
図6の重機情報を格納することとしてもよい。なお、作業員が、重機情報に関する情報として、設定重量情報、又は機種名やサイズ情報により得られる重量情報を入力することにより、
図6の情報が格納されることとしてもよい。あるいは、重機側端末1が常設又は後付け設置されている場合には、
図6の重機情報の内の任意の情報(例えば、重機側端末ID、重機名情報、及び重量情報)を事前の設定により、予め記録しておいてもよい。そして、この場合、作業内容情報のみを、作業員による入力操作に基づいて格納することとしてもよい。
【0083】
ここでは、例えば、重機91に乗車して当該重機91を運転する作業員が、重機側端末101のタッチパッド12を介して、自己が乗り込んで運転する重機91を示す「重機名情報」=「1号機」及び「重量情報」=「10トン」を入力し、また、当該重機91を用いて行う作業に対応する「作業内容情報」=「解体作業」を入力した場合に、制御部17が、記録部16に記録されている「重機側端末ID」=「IDh001」を取得し、取得した「重機側端末ID」=「IDh001」と、前述の入力された「重機名情報」=「1号機」と、「重量情報」=「10トン」と、「作業内容情報」=「解体作業」とをサーバ装置2に送信する。そして、サーバ装置2の制御部23は、重機側端末か1から送信された各情報に基づいて、
図6の最上段の情報を格納する。あるいは、重機側端末1が常設又は後付け設置されている場合には、
図6の「重機側端末ID」=「IDh001」、「重機名情報」=「1号機」、及び「重量情報」=「10トン」を事前の設定により、サーバ装置2の入力部(キーボード又はマウス等)を介して行われる操作、あるいは、コンピュータから送信される情報に基づいて、予め記録しておき、「作業内容情報」=「解体作業」を、作業員による入力操作に基づいて格納することとしてもよい。
【0084】
なお、この重機情報の格納手法は、上述の格納手法に限らず、前述の振動計位置情報と同様にして、管理者が
図6の各情報をサーバ装置2に入力することにより格納されることとしてもよい。
【0085】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐重機側情報DB)
図2の重機側情報DB224は、重機側情報を格納する重機側情報格納手段である。
図7は、重機側情報を例示した図である。「重機側情報」とは、重機9における振動等に関する情報であり、例えば、重機9側における振動及び重機9の位置に関するログ情報であり、一例としては、
図7に示すように、項目「重機側端末ID」に対応する情報と、項目「重機側振動情報」に対応する情報と、項目「重機位置情報」に対応する情報と、項目「送信時間情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。項目「重機側端末ID」に対応する情報は、
図6の重機情報における同一名称の情報と同様である。項目「重機側振動情報」に対応する情報は、重機9側における振動の大きさを示す重機側振動情報(工事用機械側物理量情報)であり、例えば、重機側振動計31によって測定された振動の大きさを示す情報である(
図7では、便宜上の記載である「Vh101」等)。項目「重機位置情報」に対応する情報は、重機9の現在位置(つまり、重機側端末1の現在位置)を示す重機位置情報(工事用機械位置情報)である。この重機側位置情報は任意であるが、例えば、
図5の境界側振動計位置情報と同様に、地図情報DB221に格納されている地図情報が特定する地図上の位置を示す座標である「Ph101」等を用いることとする。なお、この「Ph101」等は便宜上の記載である。項目「送信時間情報」に対応する情報は、重機側端末1が各情報(つまり、重機側端末ID、重機側振動情報、及び重機位置情報)を送信した時間を示す送信時間情報である。
【0086】
そして、この重機側情報において、例えば、
図7の最上段の情報においては、「14時10分40秒」に対応する時間において、「IDh001」が識別する重機91側の振動の大きさを示す情報(つまり、重機側振動計311で測定された振動の大きさを示す情報)が「Vh101」であり、また、「14時10分40秒」に対応する時間において、「IDh001」が識別する重機91の位置が「Ph101」であることが示されている。なお、このような重機側情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する重機側情報格納処理を実行することにより、格納される。
【0087】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐境界側情報DB)
図2の境界側情報DB225は、境界側情報を格納する境界側情報格納手段である。
図8は、境界側情報を例示した図である。「境界側情報」とは、敷地境界における振動等に関する情報であり、例えば、境界側における振動に関するログ情報であり、一例としては
図8に示すように、項目「境界側振動計ID」に対応する情報と、項目「境界側振動情報」に対応する情報と、項目「送信時間情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。項目「境界側振動計ID」に対応する情報は、
図5の振動計位置情報における同一名称の情報と同様である。項目「境界側振動情報」に対応する情報は、敷地境界側における振動の大きさを示す境界側振動情報(対象箇所側物理量情報)であり、例えば、境界側振動計32によって測定された振動の大きさを示す情報である(
図8では、便宜上の記載である「Vb101」等)。項目「送信時間情報」に対応する情報は、境界側端末33が各情報(つまり境界側振動計ID、及び境界側振動情報)を送信した時間を示す送信時間情報である。
【0088】
そして、この境界側情報において、例えば、
図8の最上段の情報においては、「14時10分40秒」に対応する時間おいて、「IDb001」が識別する境界側振動計321で測定された振動の大きさを示す情報(つまり、敷地境界における境界側振動計321が設置されている位置における振動の大きさを示す情報)が「Vb101」であることが示されている。なお、このような境界側情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する境界側情報格納処理を実行することにより、格納される。
【0089】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐減衰情報DB)
図2の減衰情報DB226は、減衰情報を格納する減衰情報格納手段である。
図9は、減衰ラインを示す図である。なお、
図9においては、横軸において、工事現場の地面における2点間の距離を示し、また、縦軸において、各距離に対応する2点間において振動が減衰する量(つまり、前述の2点において、地盤を介して一方の点側から他方の点側へ伝搬する振動について、一方の点における振動の大きさと、他方の点における振動の大きさとの差分に対応する量)を示している。
図2の減衰情報DB226に格納されている「減衰情報」とは、減衰度合情報であり、具体的には、工事現場の地盤における振動の大きさの減衰の度合いを示す情報であり、例えば、
図9の減衰ラインに対応する情報であり、一例としては、減衰ラインを示す数式情報、テーブル情報、又はグラフ情報等を含む概念である。
【0090】
そして、この減衰情報(つまり、
図9の減衰ライン)においては、例えば、2点間の距離が「4m」である場合において、一方の点から他方の点に振動が地盤を介して伝搬する際の当該振動が減衰する量が「20dB」であり、また、2点間の距離が「15m」である場合において、一方の点から他方の点に振動が地盤を介して伝搬する際の当該振動が減衰する量が「28dB」であること等が示されている。なお、ここでの単位「dB」は一例であり、他の単位を用いてもよい。
【0091】
なお、このような減衰情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、任意の手法(例えば、実験又はシミュレーション等を行って特定する手法)に基づいて、振動検知システム900が適用される工事現場の地盤における減衰ラインを特定し、特定した減衰ラインを示す情報をサーバ装置2に入力した場合に、制御部23が、入力された情報に基づいて前述の減衰ラインを示す減衰情報を格納することとする。
【0092】
(構成‐サーバ装置‐制御部)
図2の制御部23は、サーバ装置2を制御する制御手段であり、機能概念的には、例えば、特定部231を備える。特定部231は、重機側振動情報に基づいて、複数の重機9の内の1つ以上の重機9を発生源重機として特定する特定手段である。なお、この制御部23の各部によって実行される各処理については、後述する。
【0093】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る振動検知システム900によって実行される処理について説明する。例えば、重機側情報格納処理、境界側情報格納処理、及び発生源重機特定処理を実行するが、これらの各処理について説明する。
【0094】
(処理‐重機側情報格納処理)
まず、重機側情報格納処理について説明する。「重機側情報格納処理」とは、
図7の重機側情報を格納して蓄積するための処理である。この重機側情報格納処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、振動検知システム900における各装置の電源をオンした後に、繰り返し実行を開始することとし、重機側情報格納処理の実行を開始したところから説明する(境界側情報格納処理、及び発生源重機特定処理、実施の形態5の重機側稼働状況情報格納処理も同様とする)。
【0095】
まず、
図1及び
図2の重機側振動計31は、所定の測定時間間隔(例えば、0.5秒間隔~1秒間隔等)で振動の大きさを繰り返し測定し、測定結果と当該測定を行った測定時間(詳細には、測定した時刻)とのセットの情報(以下、「重機側測定結果特定情報」)を、所定の蓄積時間(例えば、5秒間等)分蓄積して、当該所定の蓄積時間が経過する毎に直近の蓄積時間に蓄積した「重機側測定結果特定情報」を重機側端末1に送信する。
【0096】
ここでは、例えば、
図2の重機91に設置されている重機側振動計311は、所定の測定時間間隔で重機91の振動の大きさを繰り返し測定し、「重機側測定結果特定情報」を蓄積時間(例えば、14時10分35秒から14時10分40秒まで)分蓄積して、当該蓄積した「重機側測定結果特定情報」である「Vh101」を重機91に設けられている重機側端末101に送信する。
【0097】
次に、
図1及び
図2の重機側端末1の制御部17は、重機側振動計31から送信された「重機側測定結果特定情報」を受信し、また、記録部16の重機側端末IDを取得し、また、不図示の計時手段(例えばタイマー等)の計時結果に基づいて現在の時間を特定し、また、位置検出部15の検出結果に基づいて重機側端末1の現在位置(つまり、重機側端末1が設けられている重機9の現在位置)を特定した上で、前述の取得した重機側端末ID、受信した「重機側測定結果特定情報」、特定した重機9の現在位置を示す情報、及び特定した現在の時間を示す情報を相互に関連付けた状態で、サーバ装置2に送信する(つまり、特定部231側に送信する)。
【0098】
ここでは、例えば、
図2の重機91に設けられている重機側端末101の制御部17は、重機側振動計311から送信された「重機側測定結果特定情報」である「Vh101」を受信し、また、記録部16の重機側端末IDである「IDh001」を取得し、また、不図示の計時手段(例えばタイマー等)の計時結果に基づいて現在の時間である「14時10分40秒」を特定し、また、位置検出部15の検出結果に基づいて重機側端末1の現在位置(つまり、重機側端末1が設けられている重機9の現在位置)である「Ph101」を特定した上で、前述の取得した「重機側端末ID」=「IDh001」、受信した「重機側測定結果特定情報」=「Vh101」、特定した「重機9の現在位置を示す情報」=「Ph101」、及び特定した「現在の時間を示す情報」=「14時10分40秒」を相互に関連付けた状態で、サーバ装置2に送信する。
【0099】
次に、
図1及び
図2のサーバ装置2の制御部23は、重機側端末1から送信された情報を受信し、受信した情報に基づいて、
図7の重機側情報を格納する。
【0100】
ここでは、例えば、
図2のサーバ装置2の制御部23は、重機側端末101から送信された情報(「重機側端末ID」=「IDh001」、「重機側測定結果特定情報」=「Vh101」、「重機9の現在位置を示す情報」=「Ph101」、及び「現在の時間を示す情報」=「14時10分40秒」の情報)を受信し、受信した当該情報に基づいて、
図7の重機側情報における最上段の情報を格納する。そして、各装置が上述の処理を繰り返し実行することにより、
図7の重機側情報が格納されて蓄積されることになる。これにて、重機側情報格納処理を終了する。
【0101】
(処理‐境界側情報格納処理)
次に、境界側情報格納処理について説明する。「境界側情報格納処理」とは、
図8の境界側情報を格納して蓄積するための処理である。
【0102】
まず、
図1及び
図2の境界側振動計32は、重機側振動計31と同様にして、所定の測定時間間隔(例えば、0.5秒間隔~1秒間隔等)で振動の大きさを繰り返し測定し、測定結果と当該測定を行った測定時間(詳細には、測定した時刻)とのセットの情報(以下、「境界側測定結果特定情報」)を、所定の蓄積時間(例えば、5秒間等)分蓄積して、当該所定の蓄積時間が経過する毎に直近の蓄積時間に蓄積した「境界側測定結果特定情報」と、自己の不図示の記録部に格納されている境界側振動計IDとを相互に関連付けた状態で境界側端末33に送信する。
【0103】
ここでは、例えば、
図4の敷地境界に設置されている境界側振動計321は、所定の測定時間間隔で敷地境界の振動の大きさを繰り返し測定し、「境界側測定結果特定情報」を蓄積時間(例えば、14時10分35秒から14時10分40秒まで)分蓄積して、当該蓄積した「境界側測定結果特定情報」である「Vb101」と、自己の不図示の記録部に格納されている境界側振動計IDである「IDb001」とを相互に関連付けた状態で、隣接して設けられている境界側端末331に送信する。
【0104】
次に、
図1及び
図2の境界側端末33は、境界側振動計32から送信された「境界側測定結果特定情報」及び境界側振動計IDを受信し、また、不図示の計時手段(例えばタイマー等)の計時結果に基づいて現在の時間を特定した上で、前述の受信した「境界側測定結果特定情報」及び境界側振動計IDと、特定した現在の時間を示す情報とを相互に関連付けた状態で、サーバ装置2に送信する(つまり、特定部231側に送信する)。
【0105】
ここでは、例えば、
図4の敷地境界に設置されている境界側端末331は、境界側振動計321から送信された「境界側測定結果特定情報」である「Vb101」及び境界側振動計IDである「IDb001」を受信し、また、不図示の計時手段(例えばタイマー等)の計時結果に基づいて現在の時間である「14時10分40秒」を特定した上で、前述の受信した「境界側測定結果特定情報」=「Vb101」及び「境界側振動計ID」=「IDb001」と、特定した「現在の時間を示す情報」=「14時10分40秒」とを相互に関連付けた状態で、サーバ装置2に送信する。
【0106】
次に、
図1及び
図2のサーバ装置2の制御部23は、境界側端末33から送信された情報を受信し、受信した情報に基づいて、
図8の境界側情報を格納する。
【0107】
ここでは、例えば、
図2のサーバ装置2の制御部23は、境界側端末331から送信された情報(「境界側振動計ID」=「IDb001」、「境界側測定結果特定情報」=「Vb101」、及び「現在の時間を示す情報」=「14時10分40秒」の情報)を受信し、受信した当該情報に基づいて、
図8の境界側情報における最上段の情報を格納する。そして、各装置が上述の処理を繰り返し実行することにより、
図8の境界側情報が格納されて蓄積されることになる。これにて、境界側情報格納処理を終了する。
【0108】
(処理‐発生源重機特定処理)
次に、発生源重機特定処理について説明する。
図10は、発生源重機特定処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「発生源重機特定処理」とは、概略的には、サーバ装置2によって行われる処理であり、例えば、工事現場に配置されている複数の重機9の中から、発生源重機を特定して警報する処理である。
【0109】
ここでは、例えば、
図5~
図8等の各情報が格納されている場合において、
図4の重機91~93の内の、重機91が発生源重機となっている場合を例示して説明する。
【0110】
===SA1===
図10のSA1においてサーバ装置2の特定部231は、発生源重機を特定するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、前述の境界側振動閾値(つまり、
図4の近隣建物と隣接する敷地境界で許容される振動の上限レベル)として「Vth1」(「Vth1」は便宜上の記載)が記録部22に記録されていることとする。
【0111】
図8の境界側情報を参照して、各境界側振動計IDに関連付けられている境界側振動情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている境界側振動情報を取得し、また、記録部22に記録されている境界側振動閾値を取得した上で、取得した各境界側振動情報と取得した境界側振動閾値とを比較し、境界側振動閾値を超える境界側振動情報が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいて発生源重機を特定するか否かを判定する。そして、境界側振動閾値を超える境界側振動情報が存在しないものと判定した場合(つまり、全ての境界側振動情報が境界側振動閾値以下であるものと判定した場合)、発生源重機が存在しないことになるので、発生源重機を特定しないものと判定し(SA1のNO)、発生源重機を特定するものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。一方、境界側振動閾値を超える境界側振動情報が存在するものと判定した場合(つまり、少なくとも1個の境界側振動情報が境界側振動閾値よりも大きいものと判定した場合)、発生源重機が存在することになるので、発生源重機を特定するものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。
【0112】
なお、境界側振動情報が境界側振動値を超えるか否かの具体的な判定手法は任意であるが、本実施の形態では、例えば、
図8の境界側振動情報である「Vb101」等については、前述の境界側情報格納処理で説明したように、振動の大きさの測定結果と測定時間のセット複数個分を示している点に着目し、1個の境界側振動情報に対して複数の測定結果(振動の大きさを示す情報)が含まれているので、この複数の測定結果の統計値(例えば、平均値、中央値等)が境界側振動値を超えるか否かに基づいて、境界側振動情報が境界側振動値を超えるか否かを判定する手法を用いてもよいし、あるいは、前述の複数の測定結果の内の少なくとも1個の測定結果が境界側振動値を超える場合に、境界側振動情報が境界側振動値を超えるものと判定し、一方で、前述の複数の測定結果の全てが境界側振動値以下である場合に、境界側振動情報が境界側振動値を超えないものと判定する手法を用いてもよい。そして、本実施の形態では、複数の測定結果の統計値である平均値が境界側振動値を超えるか否かに基づいて、境界側振動情報が境界側振動値を超えるか否かを判定する手法を用いる場合について説明する。
【0113】
ここでは、例えば、
図4の境界側振動計321で測定した振動の大きさが、境界側振動閾値を超える場合を例示して説明する。具体的には、
図8の境界側情報を参照して、「境界側振動計ID」=「IDb001」に関連付けられている境界側振動情報である「Vb101」~「Vb103」の内の、直近の送信時間情報である「14時10分50秒」に関連付けられている「境界側振動情報」=「Vb103」を取得し、また、「境界側振動計ID」=「IDb002」、「IDb003」、「IDb004」についても同様にして、「境界側振動情報=「Vb203」、「Vb303」、「Vb403」を取得し、また、記録部22に記録されている「境界側振動閾値」=「Vth1」を取得する。
【0114】
次に、取得した「境界側振動情報」=「Vb103」、「Vb203」、「Vb303」、「Vb403」各々と、取得した「境界側振動閾値」=「Vth1」とを比較するが、「Vb103」が「Vth1」を超えており、「Vb203」、「Vb303」、「Vb403」が「Vth1」以下である場合、「境界側振動情報」=「Vb103」が「境界側振動閾値」=「Vth1」を超えているものと判定するので、境界側振動閾値を超える境界側振動情報が存在するものと判定し、発生源重機が存在することになるので、発生源重機を特定するものと判定する(SA1のYES)。
【0115】
そして、以下では、境界側振動閾値を超える境界側振動情報である「Vb103」を測定した
図4の境界側振動計321が設けられている位置に対する発生源重機を特定する処理を行う。
【0116】
===SA2===
図10のSA2においてサーバ装置2の特定部231は、SA1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報を測定した境界側振動計32(以下、「アラート検出境界側振動計」とも称する)と、各重機9との間の各距離を演算する。
【0117】
具体的には任意であるが、例えば、
図8の境界側情報を参照して、SA1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報に関連付けられている境界側振動計IDを特定し、
図5の振動計位置情報を参照して、当該特定した境界側振動計IDに関連付けられている境界側振動計位置情報を特定し、特定した境界側振動計位置情報が示す位置を「アラート検出境界側振動計」の設置位置として特定する。次に、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機位置情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている重機位置情報を取得した上で、取得した重機位置情報が示す位置を各重機9の現在位置として特定する。次に、
図2の地図情報DB221の地図情報を参照して、前述の特定した「アラート検出境界側振動計」の設置位置と、特定した各重機9の現在位置との間の各距離を演算する。
【0118】
図11は、工事現場を示す平面図である。ここでは、例えば、
図8の境界側情報を参照して、SA1において境界側振動閾値を超えるとされた「境界側振動情報」=「Vb103」に関連付けられている「境界側振動計ID」=「IDb001」を特定し、
図5の振動計位置情報を参照して、当該特定した「境界側振動計ID」=「IDb001」に関連付けられている「境界側振動計位置情報」=「Pb101」を特定し、特定した「境界側振動計位置情報」=「Pb101」が示す位置(つまり、
図11の境界側振動計321が図示されている位置)を「アラート検出境界側振動計」の設置位置として特定する。
【0119】
次に、
図7の重機側情報を参照して、「重機側端末ID」=「IDh001」に関連付けられている重機位置情報である「Ph101」~「Ph103」の内の、直近の送信時間情報である「14時10分50秒」に関連付けられている「重機位置情報」=「Ph103」を取得し、取得した「重機位置情報」=「Ph103」が示す位置(つまり、
図11の重機91が図示されている位置)を重機91の現在位置として特定する。また、同様にして、「重機側端末ID」=「IDh002」、「IDh003」に関連付けられている「重機位置情報」=「Ph203」、「Ph303」を取得した上で、「重機位置情報」=「Ph203」が示す位置(つまり、
図11の重機92が図示されている位置)を重機92の現在位置として特定し、また、「重機位置情報」=「Ph303」が示す位置(つまり、
図11の重機93が図示されている位置)を重機93の現在位置として特定する。
【0120】
次に、
図2の地図情報DB221の地図情報を参照して、前述の特定した「アラート検出境界側振動計」である境界側振動計321の設置位置と、前述の特定した各重機91~93の現在位置との間の各距離として「D11」~「D13」を演算する。
【0121】
===SA3===
図10のSA3においてサーバ装置2の特定部231は、各重機9の加振力を演算する。「加振力」とは、付与物理量に対応する概念であり、具体的には、重機9から重機の周辺(一例としては、重機9の直下)の地盤に付与される振動の大きさを示す概念である。SA3の処理について具体的には任意であるが、例えば、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機側振動情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている重機側振動情報を取得し、また、
図6の重機情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重量情報及び作業内容情報を取得する。次に、各重機9についての前述の取得した重機側振動情報、重量情報、及び作業内容情報に基づいて、各重機9の加振力を演算する。
【0122】
なお、加振力の具体的な演算手法は任意であるが、例えば、重機側振動情報が示す振動の大きさに対して、重量情報に基づく係数(以下、「重量係数」)、及び作業内容情報に基づく係数(以下、「作業内容係数」)を積算し、積算結果を加振力とする演算を行う場合について説明するが、重機側振動情報、重量情報、及び作業内容情報を用いる限りにおいて、他の任意の演算を行って加振力を求めてもよい。
【0123】
また、ここでの「重量係数」は任意であるが、例えば、重機9の重量が重い程地盤に付与される振動の大きさが大きくなることに着目して、重機9の重量が重い程大きくなる数値を重量係数として用いてもよい。詳細には、例えば、重量情報を入力した場合に、当該重量情報に対応する重量係数が出力される重量係数用演算式を用いて重量係数を演算し、当該演算した重量係数を加振力の演算に用いてもよいし、あるいは、重量情報の範囲と当該範囲に対応する重量係数とが相互に関連付けられている重量係数用テーブル情報を用いて、重量情報に対応する重量係数を特定し、当該特定した重量係数を加振力の演算に用いてもよい。
【0124】
また、ここでの「作業内容係数」は任意であるが、例えば、各作業内容に対して当該作業内容に対応する作業内容係数としての数値が予め定められていることとし、当該数値である作業内容係数を加振力の演算に用いてもよい。なお、作業内容に対応する作業内容係数の決定手法は任意であるが、例えば、各作業内容の作業を行う場合における重機9から地盤へ付与される振動の大きさを任意の手法(例えば、実験又はシミュレーション等で把握する手法等)で把握した上で、把握結果に基づいて決定する手法を用いてもよい。
【0125】
ここでは、例えば、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機側振動情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている重機側振動情報を取得し、また、
図6の重機情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重量情報及び作業内容情報を取得する。次に、各重機9についての前述の取得した重機側振動情報、重量情報、及び作業内容情報に基づいて、各重機9の加振力を演算する。
【0126】
ここでは、例えば、
図7の重機側情報を参照して、「重機側端末ID」=「IDh001」に関連付けられている機側振動情報である「Vh101」~「Vh103」の内の、直近の送信時間情報である「14時10分50秒」に関連付けられている「境界側振動情報」=「Vh103」を取得し、また、
図6の重機情報を参照して、「重機側端末ID」=「IDh001」に関連付けられている「重量情報」=「10トン」及び「作業内容情報」=「解体作業」を取得する。また、「重機側端末ID」=「IDh002」、「IDh003」についても同様にして、
図7の重機側情報を参照して、「重機側端末ID」=「IDh002」、「IDh003」に関連付けられている「境界側振動情報」=「Vh203」、「Vh303」を取得し、また、
図6の重機情報を参照して、「重機側端末ID」=「IDh002」、「IDh003」に関連付けられている「重量情報」=「20トン」、「15トン」と「作業内容情報」=「掘削作業」、「解体作業」を取得する。
【0127】
次に、重機91については、前述の取得した「境界側振動情報」=「Vh103」、「重量情報」=「10トン」、及び「作業内容情報」=「解体作業」に基づいて、加振力を演算する。詳細には、まず、「重量情報」=「10トン」に対応する重量係数と、「作業内容情報」=「解体作業」に対応する作業内容係数とを特定した上で、「境界側振動情報」=「Vh103」に含まれる測定結果(振動の大きさ)の平均値に対して、当該特定した重量係数及び作業内容係数を積算することにより、重機91の加振力として
図11に示す「Vha103」(前述の積算結果)を演算する。また、重機92、93についても同様にして、重機92、93の加振力として
図11に示す「Vha203」、「Vha303」を演算する。なお、「Vha103」、「Vha203」、「Vha303」は便宜上の記載である。
【0128】
===SA4===
図10のSA4においてサーバ装置2の特定部231は、発生源重機を特定する。具体的には任意であるが、例えば、「SA4の第1特定処理」又は「SA4の第2特定処理」を行う。
【0129】
==SA4の第1特定処理==
まず、「SA4の第1特定処理」について説明する。「SA4の第1特定処理」とは、境界側推定振動量を演算し、演算した境界側推定振動量に基づいて発生源重機を特定する処理である。「境界側推定振動量」とは、伝搬先物理量に対応する概念であり、具体的には、工事現場の地盤を介して各重機9側から敷地境界側に伝搬されたものとする当該敷地境界側での振動の大きさを示す概念である。ここでの処理について具体的には、第1ステップ、及び第2ステップを行う。
【0130】
=第1ステップ=
第1ステップについて具体的には、SA2で演算した距離と、SA3で演算した加振力と、
図2の減衰情報DB226の減衰情報とに基づいて、各重機9から「アラート検出境界側振動計」側に伝搬されたものとする当該「アラート検出境界側振動計」側での境界側推定振動量を演算する。
【0131】
以下では、1個の重機9に関する境界側推定振動量を演算する処理について説明する。まず、SA2で演算した距離と、
図2の減衰情報DB226の減衰情報とを取得し、取得した減衰情報に基づいて、当該取得した距離分だけ離れた2点間において振動が減衰する量(以下、「振動減衰量」)を特定する。次に、SA3で演算した加振力を取得し、取得した加振力から前述の特定した「振動減衰量」を減算する演算を行い、演算結果を境界側推定振動量とする。このような処理を、全ての重機9について行うことにより、各重機9に関する境界側推定振動量を演算する。
【0132】
ここでは、例えば、
図11の重機91については、まず、SA2で演算した距離である「D11」と、
図2の減衰情報DB226の減衰情報とを取得し、取得した減衰情報に基づいて、当該取得した「距離」=「D11」分だけ離れた2点間において振動が減衰する「振動減衰量」を特定する。より具体的には、
図9に示すように、「距離」=「D11」に対応する「振動減衰量」=「25」を特定する。次に、SA3で演算した重機91の「加振力」=「Vha103」を取得し、「Vha103」から「25」を減算する演算の演算結果である「Vhb103」を重機91に関する境界側推定振動量とする。また、
図11の重機92、93についても同様にして、重機92に関する境界側推定振動量である「Vhb203」、及び重機93に関する境界側推定振動量である「Vhb303」を演算する。なお、「Vhb103」、「Vhb203」、及び「Vhb303」は便宜上の記載である。
【0133】
=第2ステップ=
第2ステップについて具体的には、記録部22に記録されている境界側振動閾値を取得し、また、第1ステップで演算した境界側推定振動量を取得し、取得した境界側振動閾値と取得した各境界側推定振動量とを比較し、境界側振動閾値を超える境界側推定振動量に関連する重機9を発生源重機として特定する。
【0134】
ここでは、例えば、記録部22に記録されている「境界側振動閾値」=「Vth1」を取得し、また、第1ステップで演算した「境界側推定振動量」=「Vhb103」、「Vhb203」、Vhb303」を取得し、取得した「境界側振動閾値」=「Vth1」と取得した「境界側推定振動量」=「Vhb103」、「Vhb203」、「Vhb303」各々とを比較し、「Vhb103」のみが「Vth1」が超えていることとし、この場合、「Vhb103」に関連する重機91(つまり、「Vhb103」に対応する振動を発生した重機91)を発生源重機として特定する。なお、この場合、重機92、93については、「Vhb203」、「Vhb303」が「Vth1」以下であるので、発生源重機ではないものとする。
【0135】
==SA4の第2特定処理==
次に、「SA4の第2特定処理」について説明する。「SA4の第2特定処理」とは、重機側推定振動量を演算し、演算した重機側推定振動量に基づいて発生源重機を特定する処理である。「重機側推定振動量」とは、伝搬元物理量に対応する概念であり、具体的には、工事現場の地盤を介して各重機9側から敷地境界側に伝搬された振動の大きさの元となる伝搬元の重機9側の振動の大きさを示す概念である。ここでの処理について具体的には、第1ステップ、及び第2ステップを行う。
【0136】
=第1ステップ=
第1ステップについて具体的には、SA2で演算した距離と、SA1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報(つまり、「アラート検出境界側振動計」の測定結果を示す境界側振動情報)と、
図2の減衰情報DB226の減衰情報とに基づいて、「アラート検出境界側振動計」側に伝搬された振動の大きさの元となる各重機9側の重機側推定振動量を演算する。
【0137】
以下では、1個の重機9に関する重機側推定振動量を演算する処理について説明する。まず、前述の「SA4の第1特定処理」の「第1ステップ」と同様にして、SA2で演算した距離と、
図2の減衰情報DB226の減衰情報とを取得し、取得した減衰情報に基づいて、当該取得した距離分だけ離れた2点間において振動が減衰する「振動減衰量」を特定する。次に、SA1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報に対して前述の特定した「振動減衰量」を加算する演算を行い、演算結果を重機側推定振動量とする。このような処理を、全ての重機9について行うことにより、各重機9に関する重機側推定振動量を演算する。
【0138】
ここでは、例えば、
図11の重機91については、まず、SA2で演算した距離である「D11」と、
図2の減衰情報DB226の減衰情報とを取得し、取得した減衰情報に基づいて、当該取得した「距離」=「D11」分だけ離れた2点間において振動が減衰する「振動減衰量」=「25」を特定する。次に、SA1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報である「Vb103」に対して「25」を加算する演算の演算結果である「Vbb103」を重機91に関する重機側推定振動量とする。また、
図11の重機92、93についても同様にして、重機92に関する重機側推定振動量である「Vbb203」、及び重機93に関する重機側推定振動量である「Vbb303」を演算する。なお、「Vbb103」、「Vbb203」、及び「Vbb303」は便宜上の記載である。
【0139】
=第2ステップ=
第2ステップについて具体的には、第1ステップで演算した各重機側推定振動量と、SA3で演算した加振力とを取得し、取得した各重機側推定振動量と加振力とを各重機9において比較し、比較結果に基づいて発生源重機を特定する。具体的な特定手法は任意であるが、例えば、各重機側推定振動量の内の対応する加振力に最も近い重機側推定振動量を特定し、特定した重機側振動量に関連する重機9を発生源重機として特定してもよい。
【0140】
ここでは、例えば、第1ステップで演算した「重機側推定振動量」=「Vbb103」、「Vbb203」、「Vbb303」と、SA3で演算した「加振力」=「Vha103」、「Vha203」、「Vha303」とを取得し、取得した「重機側推定振動量」=「Vbb103」と「加振力」=「Vha103」との比較、取得した「重機側推定振動量」=「Vbb203」と「加振力」=「Vha203」との比較、取得した「重機側推定振動量」=「Vbb303」と「加振力」=「Vha303」との比較を行う。これらの比較の内の、「Vbb103」と「Vha103」とが最も近い(前述の比較対象となっている重機側推定振動量と加振力との差分値の内の、「Vbb103」と「Vha103」との差分値が最も小さい)場合、対応する加振力に最も近い重機側推定振動量である「重機側推定振動量」=「Vbb103」を特定し、特定した「重機側推定振動量」=「Vbb103」に関連する重機91を発生源重機として特定する。
【0141】
===SA5===
図10のSA5においてサーバ装置2の特定部231は、SA4で特定した発生源重機側に対して警報を行う。具体的には任意であるが、例えば、
図6の重機情報を参照して、SA4で発生源重機として特定した重機9を一意に識別する重機側端末ID(つまり、重機9に設置、又は重機9に乗車している作業員によって携帯されている重機側端末1を一意に識別する重機側端末ID)を特定し、特定した重機側端末IDと警報情報とを含む警報信号を重機側端末1に送信する。なお、「警報情報」とは、境界側振動閾値を超えるレベルの振動の発生源となっていることを通知するための情報であり、例えば、振動を抑制する運転を促すためのメッセージ情報等を含む情報である。
【0142】
一方、重機側端末1の制御部17は、通信部11を介して前述の警報信号を受信し、受信した警報信号に含まれる重機側端末IDを取得し、取得した重機側端末IDと自己の記録部16に記録されている重機側端末IDとを比較し、これらの重機側端末IDが相互に一致している場合、前述の警報信号に含まれている警報情報を取得し、取得した警報情報をディスプレイ13を介して表示出力したり、あるいは、警報情報をスピーカ14を介して音声出力したりしてもよい。
【0143】
ここでは、例えば、
図6の重機情報を参照して、SA4で発生源重機として特定した重機91を一意に識別する「重機側端末ID」=「IDh001」を特定し、特定した「重機側端末ID」=「IDh001」と警報情報とを含む警報信号を重機側端末1に送信する。一方、重機側端末101の制御部17は、通信部11を介して前述の警報信号を受信し、受信した警報信号に含まれる「重機側端末ID」=「IDh001」を取得し、取得した「重機側端末ID」=「IDh001」と自己の記録部16に記録されている「重機側端末ID」=「IDh001」とが相互に一致しているので、前述の警報信号に含まれている警報情報を出力することにより、警報を行う。なお、この場合、重機側端末102、及び重機側端末103は、警報を行わないことになる。つまり、重機91を運転している作業員は、重機側端末1を介して行われる警報により、自己が運転して重機91が発生源重機となっていることを認識することになるので、重機91の出力を弱めたり、あるいは、重機91を一旦停止させたりすることにより、近隣建物側への迷惑を低減することが可能となる。これにて、発生源重機特定処理を終了する。
【0144】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、重機側振動情報に基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、重機9側の要素を考慮することができるので、発生源重機の特定精度を向上させることが可能となる。
【0145】
また、重機側振動情報と重機位置情報と境界側振動計位置情報とに基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、各位置情報を考慮することができるので、発生源重機の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0146】
また、重機側振動情報と、重量情報及び作業内容情報とに基づいて加振力を演算することにより、例えば、重機9側の実態を加振力に反映することができるので、発生源重機の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0147】
また、工事現場の地盤を介して複数の重機9側から敷地境界側に伝搬された当該敷地境界側の振動の大きさであるものとされる境界側推定振動量を演算し、演算した境界側推定振動量に基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、発生源重機を特定するために適した物理量である境界側推定振動量を考慮することができるので、発生源重機の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0148】
また、工事現場の地盤を介して複数の重機9側から敷地境界側に伝搬された振動の大きさの元となる伝搬元の複数の重機9側の振動の大きさであるものとされる重機側推定振動量を演算し、演算した重機側推定振動量に基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、発生源重機を特定するために適した物理量である重機側推定振動量を考慮することができるので、発生源重機の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0149】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態は、工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定する形態であり、特に、対象箇所側測定手段を用いない形態である。なお、この実施の形態においては、実施の形態1の構成と同様な構成には同一の符号を付し、その説明は省略する(処理も同様とする)。
【0150】
(構成)
まず、本実施の形態に係る振動検知システムの構成について説明する。
図12は、振動検知システムを説明するための図であり、
図13は、振動検知システムを機能概念的に示すブロック図であり、
図14は、工事現場を示す平面図である。
【0151】
図12及び
図13の振動検知システム900Bは、実施の形態1の振動検知システム900において、境界側振動計32、境界側端末33、及び境界側情報DB225を省略し、また、振動計位置情報DB222を境界側位置情報DB21Bに変更し、また、特定部231を特定部22Bに変更したものである。
【0152】
図12及び
図13の振動検知システム900Bは、前述の特定システムであり、例えば、重機振動検知システム(つまり、重機側振動計31及び重機側端末1)、及びサーバ装置2Bを備える。
【0153】
(構成‐サーバ装置)
図13のサーバ装置2Bは、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0154】
(構成‐サーバ装置‐記録部)
記録部22は、例えば、地図情報DB221、境界側位置情報DB21B、重機情報DB223、重機側情報DB224、及び減衰情報DB226を備える。
【0155】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐境界側位置情報DB)
図13の境界側位置情報DB21Bは、境界側位置情報(対象箇所位置情報)を格納する境界側位置情報格納手段である。「境界側位置情報」とは、
図12及び
図14の管理対象点41の位置を示す情報である。なお、「管理対象点」41とは、振動を管理する対象となる位置を示す点であり、例えば、実施の形態1の境界側振動計32が設けられている敷地境界上の位置に対応する位置を示す点である。なお、この管理対象点は、情報処理において用いられる仮想的な点であるが、
図12及び
図14においては、この管理対象点41が説明の便宜上図示されている。そして、境界側位置情報DB21Bにおける境界側位置情報としては、管理対象点411~414等の位置を示す情報が格納されている。なお、このような境界側位置情報を格納する具体的な手法は任意であるが、例えば、管理者が、サーバ装置2に対して任意の手法(例えば、不図示のキーボード又はマウス等の入力手段を用いて入力する手法、あるいは、管理者のコンピュータからサーバ装置2に情報を送信して入力する手法等)で入力することにより、格納されることとしてもよい。
【0156】
(構成‐サーバ装置‐制御部)
図13の制御部23は、機能概念的には、例えば、特定部22Bを備える。特定部22Bは、重機側振動情報に基づいて、複数の重機9の内の1つ以上の重機9を発生源重機として特定する特定手段である。なお、この制御部23の各部によって実行される各処理については、後述する。
【0157】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る振動検知システム900Bによって実行される処理について説明する。例えば、重機側情報格納処理(実施の形態1と同様)、及び発生源重機特定処理を実行するが、発生源重機特定処理について説明する。
【0158】
(処理‐発生源重機特定処理)
発生源重機特定処理について説明する。
図15は、発生源重機特定処理のフローチャートである。
【0159】
ここでは、例えば、
図14の重機91~93の内の、重機91が発生源重機となっている場合を例示して説明する。
【0160】
===SB1===
図15のSB1においてサーバ装置2Bの特定部22Bは、
図14の各管理対象点41と、各重機9との間の各距離を演算する。具体的には任意であるが、例えば、
図13の境界側位置情報DB21Bに格納されている境界側位置情報を参照して、
図14の各管理対象点41の位置を特定する。次に、
図10のSA2の処理と同様にして、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機位置情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている重機位置情報を取得した上で、取得した重機位置情報が示す位置を各重機9の現在位置として特定する。次に、
図14の地図情報DB221の地図情報を参照して、前述の特定した各管理対象点41の位置と、特定した各重機9の現在位置との間の各距離を演算する。
【0161】
ここでは、例えば、
図14に図示されているように、管理対象点411と各重機91~93との現在位置との間の各距離として「D11」~「D13」を演算し、
図14では不図示であるが、他の管理対象点41と重機91~93との現在位置との間の各距離も演算する。
【0162】
===SB2===
図15のSB2においてサーバ装置2Bの特定部22Bは、各重機9の加振力を演算する。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSA3の処理と同様にして、加振力を演算する。ここでは、例えば、
図14に図示されているように、重機91、92、93の加振力として「Vha103」、「Vha203」、「Vha303」を演算する。
【0163】
===SB3===
図15のSB3においてサーバ装置2Bの特定部22Bは、発生源重機を特定する。具体的には任意であるが、例えば、「SB3の第1特定処理」又は「SB3の第2特定処理」を行う。
【0164】
===SB3の第1特定処理===
まず、「SB3の第1特定処理」について説明する。「SB3の第1特定処理」とは、境界側推定振動量を演算し、演算した境界側推定振動量に基づいて発生源重機を特定する処理である。ここでの処理について具体的には、第1ステップ~第4ステップを行う。
【0165】
=第1ステップ=
第1ステップについて具体的には、SB1で演算した距離と、SB2で演算した加振力と、
図13の減衰情報DB226の減衰情報とに基づいて、各重機9から各管理対象点41側に伝搬された当該各管理対象点41側での境界側推定振動量を演算する。なお、ここでの具体的な処理は、
図10の「SA4の第1特定処理」の「第1ステップ」と同様であるので、説明を省略する。ここでは、例えば、管理対象点411側での境界側推定振動量としては、重機91に関して「Vhb103」を演算し、重機92に関して「Vhb203」を演算し、重機93に関して「Vhb303」を演算する。なお、他の管理対象点41側での境界側推定振動量についても、各重機91~93に関して演算する。
【0166】
=第2ステップ=
第2ステップについて具体的には、各管理対象点41について各重機91~93に関する境界側推定振動量を合成することにより、合成された境界側推定振動量である合成境界側推定振動量を演算する。ここでは、例えば、管理対象点411については、「Vhb103」、「Vhb203」、及び「Vhb303」を加算することにより合成し、合成境界側推定振動量として「Vhs411」(加算結果)を演算する。また、他の管理対象点41側での境界側推定振動量についても、同様にして合成する。
【0167】
=第3ステップ=
第3ステップについて具体的には、発生源重機を特定するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、第2ステップで演算した合成境界側推定振動量を管理対象点41に到達する振動の大きさを示すものとして、この合成境界側推定振動量と前述の境界側振動閾値(つまり、
図4の近隣建物と隣接する敷地境界で許容される振動の上限レベル)とを比較し、境界側振動閾値を超える合成境界側推定振動量が存在するか否かを判定し、判定結果に基づいて発生源重機を特定するか否かを判定する。そして、境界側振動閾値を超える合成境界側推定振動量が存在しないものと判定した場合(つまり、全ての合成境界側推定振動量が境界側振動閾値以下であるものと判定した場合)、発生源重機が存在しないことになるので、発生源重機を特定しないものと判定し、処理を終了する。一方、境界側振動閾値を超える合成境界側推定振動量が存在するものと判定した場合(つまり、少なくとも1個の合成境界側推定振動量が境界側振動閾値よりも大きいものと判定した場合)、発生源重機が存在することになるので、発生源重機を特定するものと判定し、第4ステップに移行する。
【0168】
ここでは、例えば、第2ステップで演算した合成境界側推定振動量の内の「Vhs411」のみが、境界側振動閾値を超える場合、境界側振動閾値を超える合成境界側推定振動量が存在するものと判定した上で、発生源重機を特定するものと判定し、第4ステップに移行する。
【0169】
=第4ステップ=
第4ステップについて具体的には、以下の第1の処理又は第2の処理を用いて、発生源重機を特定する。
【0170】
<第1の処理>
第1の処理は、第1ステップで演算した境界側推定振動量と、第2ステップで演算した合成境界側推定振動量とに基づいて、発生源重機を特定する処理である。例えば、第3ステップで境界側振動閾値を超えるものとされた合成境界側推定振動量と、当該合成境界側推定振動量の元となる各境界側推定振動量とを特定した上で、特定した各境界側推定振動量の内の特定した合成境界側推定振動量に最も近い境界側推定振動量を特定し、当該特定した境界側推定振動量に関連する重機9を発生源重機として特定する。
【0171】
ここでは、例えば、第3ステップで境界側振動閾値を超えるものとされた「合成境界側推定振動量」=「Vhs411」と、当該「合成境界側推定振動量」=「Vhs411」の元となる「境界側推定振動量」=「Vhb103」、「Vhb203」、「Vhb303」とを特定した上で、「Vhs411」と、「Vhb103」、「Vhb203」、及び「Vhb303」との差分値の内の「Vhs411」と「Vhb103」との差分値が最も小さい場合、「合成境界側推定振動量」=「Vhs411」に最も近い境界側推定振動量として「Vhb103」を特定し、当該特定した「境界側推定振動量」=「Vhb103」に関連する重機91を発生源重機として特定する。
【0172】
<第2の処理>
第2の処理は、第1ステップで演算した境界側推定振動量に基づいて、発生源重機を特定する処理である。例えば、第3ステップで境界側振動閾値を超えるものとされた合成境界側推定振動量の元となる各境界側推定振動量を特定した上で、特定した各境界側推定振動量の内の最大となっている境界側推定振動量を特定し、当該特定した境界側推定振動量に関連する重機9を発生源重機として特定する。
【0173】
ここでは、例えば、第3ステップで境界側振動閾値を超えるものとされた「合成境界側推定振動量」=「Vhs411」の元となる「境界側推定振動量」=「Vhb103」、「Vhb203」、「Vhb303」とを特定した上で、「Vhb103」、「Vhb203」、「Vhb303」の内の「Vhb103」が最大となっている場合、特定した各境界側推定振動量の内の最大となっている境界側推定振動量として「Vhb103」を特定し、当該特定した「境界側推定振動量」=「Vhb103」に関連する重機91を発生源重機として特定する。
【0174】
===SB3の第2特定処理===
次に、「SB3の第2特定処理」について説明する。「SB3の第2特定処理」とは、重機側振動閾値(工事用機械側許容レベル)を演算し、演算した重機側振動閾値に基づいて発生源重機を特定する処理である。「重機側振動閾値」とは、前述の境界側振動閾値を各重機9の現在位置に換算した情報であり、例えば、各重機9において許容される振動の上限レベルを示す概念である。ここでの処理について具体的には、第1ステップ及び第2ステップを行う。
【0175】
=第1ステップ=
第1ステップについて具体的には、SB1で演算した距離と、記録部22に記録されている境界側振動閾値と、
図13の減衰情報DB226の減衰情報とに基づいて、各管理対象点41に対する各重機9の重機側振動閾値を演算する。
【0176】
以下では、1個の管理対象点41に対する各重機9の重機側振動閾値を演算する処理について説明する。まず、
図10の「SA4の第1特定処理」の「第1ステップ」と同様にして、SB1で演算した距離と、
図13の減衰情報DB226の減衰情報とを取得し、取得した減衰情報に基づいて、当該取得した距離分だけ離れた2点間において振動が減衰する「振動減衰量」を各重機9について特定する。次に、記録部22に記録されている境界側振動閾値に対して前述の特定した「振動減衰量」を加算する演算を各重機9について行い、演算結果を1個の管理対象点41に対する各重機の重機側振動閾値とする。このような処理を全ての管理対象点41について行うことにより、各管理対象点41に対する各重機9の重機側振動閾値を演算する。
【0177】
ここでは、例えば、
図14の管理対象点411に対する各重機91~93の重機側振動閾値については、重機91に関して、
図10の「SA4の第1特定処理」の「第1ステップ」と同様にして、SB1で演算した距離である「D11」と、
図13の減衰情報DB226の減衰情報とを取得し、取得した減衰情報に基づいて、当該取得した「距離」=「D11」分だけ離れた2点間において振動が減衰する「振動減衰量」=「25」(
図9)を特定し、また、同様にして、重機92、93について「振動減衰量」=「27」、「29」(不図示)を特定する。次に、記録部22に記録されている「境界側振動閾値」=「Vth1」に対して前述の特定した「振動減衰量」=「25」、「27」、「29」を各々加算する演算を行い、「Vth91」(便宜上の記載であり、「Vth1」+「25」の演算結果)を重機91の重機側振動閾値を演算し、また、「Vth92」(便宜上の記載であり、「Vth1」+「27」の演算結果)を重機92の重機側振動閾値を演算し、また、「Vth93」(便宜上の記載であり、「Vth1」+「29」の演算結果)を重機93の重機側振動閾値を演算する。
【0178】
=第2ステップ=
第2ステップについて具体的には、SB2で演算した各重機9の加振力と、第1ステップで演算した各重機9の重機側振動閾値とを取得し、取得した加振力と重機側振動閾値とを比較し、比較結果に基づいて発生源重機を特定する。詳細には、例えば、前述の比較において、加振力が重機側振動閾値を超えている場合、当該加振力及び重機側振動閾値に関連する重機9を発生源重機として特定する。
【0179】
ここでは、例えば、SB2で演算した重機91~93の「加振力」=「Vha103」、「Vha203」、「Vha303」と、第1ステップで演算した各重機91~93の「重機側振動閾値」=「Vth91」、「Vth92」、「Vth93」とを取得し、「加振力」=「Vha103」と「重機側振動閾値」=「Vth91」との比較、「加振力」=「Vha203」と「重機側振動閾値」=「Vth92」との比較、「加振力」=「Vha303」と「重機側振動閾値」=「Vth93」との比較を行い、「Vha103」が「Vth91」を超えている場合、当該「Vha103」及び「Vth91」に関連する重機91を発生源重機として特定する。なお、この場合、「Vha203」が「Vth92」以下であり、「Vha303」が「Vth93」であることとし、この場合、重機92、93については、発生源重機としては特定しないことになる。
【0180】
===SB4===
図15のSB4においてサーバ装置2Bの特定部22Bは、SB3で特定した発生源重機側に対して警報を行う。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSA5の処理と同様にして、警報を行う。これにて、発生源重機特定処理を終了する。
【0181】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、特に前述の「SB3の第2特定処理」において、演算した重機側振動閾値と演算した加振力とに基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、比較的単純な処理(例えば、重機側振動閾値と加振力とを比較する処理等)を行って発生源重機を特定することができるので、発生源重機を容易に特定することが可能となる。
【0182】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態は、工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定する形態であり、特に、工事用機械側物理量情報の時間変化に基づいて発生源工事用機械を特定する形態であり、対象箇所位置情報を用いない形態である。なお、この実施の形態においては、実施の形態1の構成と同様な構成には同一の符号を付し、その説明は省略する(処理も同様とする)。
【0183】
(構成)
まず、本実施の形態に係る振動検知システムの構成について説明する。
図16は、振動検知システムを機能概念的に示すブロック図であり、
図17は、重機側端末を機能概念的に示すブロック図である。
【0184】
図1及び
図16の振動検知システム900Cは、実施の形態1の振動検知システム900において、重機側端末1の位置検出部15、サーバ装置2の振動計位置情報DB222を省略し、重機側情報DB224を重機側情報DB21Cに変更し、また、特定部231を特定部22Cに変更したものである。
【0185】
図1及び
図16の振動検知システム900Cは、前述の特定システムであり、例えば、重機振動検知システム(つまり、重機側振動計31、及び重機側端末1C)、振動管理システム(つまり、境界側振動計32、及び境界側端末33)、及びサーバ装置2Cを備える。
【0186】
(構成‐重機側端末)
重機側端末1Cは、重機9に設置又は作業員によって携帯されて当該重機91~93に設けられる重機側端末101C~103Cを備える。また、重機側端末1Cは、例えば、
図17に示すように、通信部11、タッチパッド12、ディスプレイ13、スピーカ14、記録部16、及び制御部17を備える。
【0187】
(構成‐サーバ装置)
図16のサーバ装置2Cは、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0188】
(構成‐サーバ装置‐記録部)
記録部22は、例えば、地図情報DB221、重機情報DB223、重機側情報DB21C、境界側情報DB225、及び減衰情報DB226を備える。
【0189】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐重機側情報DB)
図16の重機側情報DB21Cは、重機側情報を格納する重機側情報格納手段である。「重機側情報」とは、重機9における振動等に関する情報であり、例えば、重機9側における振動に関するログ情報であり、一例としては、
図7の項目「重機位置情報」に対応する情報以外の各情報(つまり、重機側端末ID、重機側振動情報、及び送信時間情報)が関連付けられている。
【0190】
(構成‐サーバ装置‐制御部)
図16の制御部23は、機能概念的には、例えば、特定部22Cを備える。特定部22Cは、重機側振動情報に基づいて、複数の重機9の内の1つ以上の重機9を発生源重機として特定する特定手段である。なお、この制御部23の各部によって実行される各処理については、後述する。
【0191】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る振動検知システム900Cによって実行される処理について説明する。例えば、重機側情報格納処理(実施の形態1と同様)、境界側情報格納処理(実施の形態1と同様)、及び発生源重機特定処理を実行するが、発生源重機特定処理について説明する。
【0192】
(処理‐発生源重機特定処理)
発生源重機特定処理について説明する。
図18は、発生源重機特定処理のフローチャートである。
【0193】
===SC1===
図18のSC1においてサーバ装置2Cの特定部22Cは、発生源重機を特定するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSA1と同様な処理を行う。
【0194】
ここでは、例えば、実施の形態1の場合と同様に、
図4の境界側振動計321で測定した振動の大きさが、境界側振動閾値を超える場合を例示して説明する。この場合、SC1においては、発生源重機を特定するものと判定し(SC1のYES)、SC2に移行する。
【0195】
===SC2===
図18のSC2においてサーバ装置2Cの特定部22Cは、発生源重機を特定する。具体的には任意であるが、例えば、まず、
図8の境界側情報を参照して、「アラート検出境界側振動計」(つまり、SC1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報を測定した境界側振動計32)の境界側振動情報を、送信時間情報の時間が現在の時間に近いものから順に、所定個数分(例えば、数秒、数十秒、数分等の所定時間における振動の測定結果に対応する個数分)取得し(つまり、例えば、SC1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報を含めて所定個数分の境界側振動情報を取得し)、また、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機側振動情報を、送信時間情報の時間が現在の時間に近いものから順に、前述の取得した境界側振動情報と同じ個数分取得する(つまり、例えば、前述の取得した境界側振動情報に対応する時間帯に測定された振動の大きさを示す重機側振動情報を取得する)。次に、取得した各重機側振動情報において、取得した境界側振動情報の特徴と同様な特徴となっている重機側振動情報を特定し、当該重機側振動情報に関連する重機9を発生源重機として特定する。
【0196】
なお、境界側振動情報の特徴と同様な特徴となっている重機側振動情報を特定する手法は任意であるが、例えば、時間の経過に対する振動の大きさの変化(一例としては、変化のタイミング、変化の方向(減少か増加か)、変化の量等)に着目して、最も類似しているものを同様な特徴となっている重機側振動情報として特定する手法を用いてもよい。
【0197】
図19は、時間に対する振動の大きさを示すグラフである。なお、
図19においては、横軸は、時間を示しており、また、縦軸は振動の大きさを示している。また、
図19においては、境界側振動計321で測定した振動の大きさ、重機側振動計311~312で測定した振動の大きさ(つまり、重機91~93における振動の大きさ)の時間に対する変化が例示されている。
【0198】
ここでは、例えば、まず、
図8の境界側情報を参照して、「アラート検出境界側振動計」である境界側振動計321の境界側振動情報として「Vb101」~「Vb103」等を、送信時間情報の時間が現在の時間に近いものから順に、所定個数分取得し、また、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機側振動情報である
図7に図示されている「Vh101」~「Vh103」、「Vh203」、「Vh303」等を、送信時間情報の時間が現在の時間に近いものから順に、前述の取得した境界側振動情報と同じ個数分取得する。次に、取得した各重機側振動情報が、
図19に示す重機側振動計311~313で測定した振動の大きさの時間変化を示しており、また、取得した境界側振動情報が、
図19に示す境界側振動計321で測定した振動の大きさの時間変化を示している場合、
図19の上側の3個の曲線の内の、上から2番目に図示されている曲線の形状が、最下段の曲線の形状に最も類似しているために、
図7の「重機側端末ID」=「IDh001」に関連付けられている重機側振動情報が、境界側振動計321の境界側振動情報に最も類似していることになり、当該
図7の「重機側端末ID」=「IDh001」に関連付けられている重機側振動情報を特定し、当該重機側振動情報に関連する重機91を発生源重機として特定する。
【0199】
なお、ここでの、
図19の上側の3個の曲線の内の、上から2番目に図示されている曲線の形状が、最下段の曲線の形状に最も類似している等の類似の判断については、前述した「時間の経過に対する振動の大きさの変化」を定量的に把握するための任意のコンピュータプログラムを用いて、各曲線の類似度(類似性の度合い)を求めて、当該求めた類似度に基づいて判断してもよいし、あるいは、いわゆる機械学習の技術を用いて生成されるモデルを用いて判断してもよい。
【0200】
===SC3===
図18のSC3においてサーバ装置2Cの特定部22Cは、SC2で特定した発生源重機側に対して警報を行う。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSA5の処理と同様にして、警報を行う(実施の形態4、5でも同様)。これにて、発生源重機特定処理を終了する。
【0201】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、重機側振動情報と境界側振動情報に基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、重機9の位置を考慮せずに発生源重機を特定することができるので、発生源重機を容易に特定することが可能となる。
【0202】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。この実施の形態は、工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定する形態であり、特に、工事用機械側物理量情報の時間変化に基づいて発生源工事用機械を特定する形態であり、対象箇所位置情報を用いる形態である。なお、この実施の形態においては、実施の形態1、3の構成と同様な構成には同一の符号を付し、その説明は省略する(処理も同様とする)。
【0203】
(構成)
まず、本実施の形態に係る振動検知システムの構成について説明する。
図20は、振動検知システムを機能概念的に示すブロック図である。
【0204】
図20の振動検知システム900Dは、実施の形態3の振動検知システム900Cにおいて、振動計位置情報DB222を追加し、また、特定部22Cを特定部22Dに変更したものである。
【0205】
図1及び
図20の振動検知システム900Dは、前述の特定システムであり、例えば、重機振動検知システム(つまり、重機側振動計31、重機側端末1C)、振動管理システム(つまり、境界側振動計32、及び境界側端末33)、及びサーバ装置2Dを備える。
【0206】
(構成‐サーバ装置)
図20のサーバ装置2Dは、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0207】
(構成‐サーバ装置‐記録部)
記録部22は、例えば、地図情報DB221、振動計位置情報DB222、重機情報DB223、重機側情報DB21C、境界側情報DB225、及び減衰情報DB226を備える。
【0208】
(構成‐サーバ装置‐制御部)
図20の制御部23は、機能概念的には、例えば、特定部22Dを備える。特定部22Dは、重機側振動情報に基づいて、複数の重機9の内の1つ以上の重機9を発生源重機として特定する特定手段である。なお、この制御部23の各部によって実行される各処理については、後述する。
【0209】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る振動検知システム900Cによって実行される処理について説明する。例えば、重機側情報格納処理(実施の形態1と同様)、境界側情報格納処理(実施の形態1と同様)、及び発生源重機特定処理を実行するが、発生源重機特定処理について説明する。
【0210】
(処理‐発生源重機特定処理)
発生源重機特定処理について説明する。
【0211】
===SD1===
図18のSD1においてサーバ装置2Dの特定部22Dは、発生源重機を特定するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSA1と同様な処理を行う。
【0212】
ここでは、例えば、実施の形態1の場合と同様に、
図4の境界側振動計321で測定した振動の大きさが、境界側振動閾値を超える場合を例示して説明する。この場合、SD1においては、発生源重機を特定するものと判定し(SD1のYES)、SD2に移行する。
【0213】
===SD2===
図18のSD2においてサーバ装置2Dの特定部22Dは、発生源重機を特定する。具体的には任意であるが、例えば、まず、
図5の振動計位置情報を参照して、境界側振動計32の位置を把握した上で、「アラート検出境界側振動計」(つまり、SD1において境界側振動閾値を超えるとされた境界側振動情報を測定した境界側振動計32)の近傍に設けられている境界側振動計32(以下、「近傍境界側振動計」)を特定する。なお、近傍に設けられているとは、隣に設けられていることを示す概念であるものと解釈してもよいし、あるいは、所定距離(例えば、10m~20m等)以内の範囲内に設けられていることを示す概念であるものと解釈してもよい。次に、
図8の境界側情報を参照して、「アラート検出境界側振動計」の境界側振動情報及び「近傍境界側振動計」の境界側振動情報を、送信時間情報の時間が現在の時間に近いものから順に、所定個数分取得し、また、実施の形態3の場合と同様にして、
図7の重機側情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている重機側振動情報を、送信時間情報の時間が現在の時間に近いものから順に、前述の取得した境界側振動情報と同じ個数分取得する。次に、取得した各重機側振動情報において、取得した「アラート検出境界側振動計」の境界側振動情報及び取得した「近傍境界側振動計」の境界側振動情報の特徴と同様な特徴となっている重機側振動情報を特定し、当該重機側振動情報に関連する重機9を発生源重機として特定する。
【0214】
ここでは、例えば、まず、
図5の振動計位置情報を参照して、境界側振動計32の位置を把握した上で、「アラート検出境界側振動計」である境界側振動計321の近傍に設けられている「近傍境界側振動計」として境界側振動計322(
図4)を特定する。次に、
図8の境界側情報を参照して、「アラート検出境界側振動計」である境界側振動計321の境界側振動情報として「Vb101」~「Vb103」等を取得し、また、「近傍境界側振動計」である境界側振動計322の境界側振動情報として「Vb203」等を取得した上で、実施の形態3の場合と同様にして、
図7に図示されている「Vh101」等を取得する。次に、取得した各重機側振動情報において、取得した「アラート検出境界側振動計」の境界側振動情報及び取得した「近傍境界側振動計」の境界側振動情報の特徴と同様な特徴となっている重機側振動情報として例えば
図7の「重機側端末ID」=「IDh001」を特定し、重機91を発生源重機として特定する。
【0215】
===SD3===
図18のSD3においてサーバ装置2Dの特定部22Dは、SD2で特定した発生源重機側に対して警報を行う。これにて、発生源重機特定処理を終了する。
【0216】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、重機側振動情報と境界側振動情報に基づいて発生源重機を特定することにより、例えば、重機9の位置を考慮せずに発生源重機を特定することができるので、発生源重機を容易に特定することが可能となる。
【0217】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。この実施の形態は、稼働状況情報に基づいて発生源工事用機械を特定する形態である。なお、この実施の形態においては、実施の形態1の構成と同様な構成には同一の符号を付し、その説明は省略する(処理も同様とする)。
【0218】
(構成)
まず、本実施の形態に係る振動検知システムの構成について説明する。
図21は、振動検知システムを説明するための図であり、
図22は、振動検知システムを機能概念的に示すブロック図であり、
図23は、重機側端末を機能概念的に示すブロック図である。
【0219】
図21及び
図22の振動検知システム900Eは、実施の形態1の振動検知システム900において、重機側振動計31、振動計位置情報DB222、重機側情報DB224、及び減衰情報DB226を省略し、また、重機側端末1を重機側端末1Eに変更し、また、特定部231を特定部22Eに変更し、また、重機側稼働状況情報DB21Eを追加したものである。
【0220】
図21及び
図22の振動検知システム900Eは、前述の特定システムであり、例えば、重機振動検知システム(つまり、重機側端末1E)、振動管理システム(つまり、境界側振動計32、及び境界側端末33)、及びサーバ装置2Eを備える。
【0221】
(構成‐重機側端末)
重機側端末1Eは、作業員によって携帯されて当該重機91~93に設けられる重機側端末101E~103Eを備える。また、重機側端末1Eは、例えば、
図23に示すように、通信部11、タッチパッド12、ディスプレイ13、スピーカ14、稼働状況検出部15E、記録部16、及び制御部17を備える。
【0222】
(構成‐重機側端末‐稼働状況検出部)
稼働状況検出部15Eは、重機側端末1Eが設けられている重機9(つまり、重機側端末1Eと共に移動する重機9)が稼働している状態であるか、稼働していない状態であるかを検出する検出手段である。稼働状況検出部15Eの具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、重機9に対して、運転席に作業員が乗車しているか否かを検出する乗車確認センサが設けられており、当該乗車確認センサが検出結果を示す情報を重機側端末1Eに送信するように構成されており、乗車確認センサから乗車していることを検出したことを示す情報を受信した場合に、稼働している状態を検出し、一方で、乗車確認センサから乗車していることを検出したことを示す情報を受信しない場合(又は、乗車確認センサから乗車していないことを検出したことを示す情報を受信した場合)に、稼働していない状態を検出してもよい。又は、重機9が稼働している場合にのみ給電可能となる給電手段(例えば、シガーソケット等)に対して稼働状況検出部15Eを有線接続、又は無線給電機器を使用した上で、当該給電手段が、給電可能となっているか否かを判断し、判断結果に基づいて検出してもよい。又は、重機側端末1Eに搭載されたセンサ類によって稼働状況を検出してもよい。あるいは、その他の任意の手法を用いて検出することとしてもよい。なお、本実施の形態では、給電手段に関する技術を用いて検出する場合について説明する。
【0223】
(構成‐サーバ装置)
図22のサーバ装置2Eは、例えば、通信部21、記録部22、及び制御部23を備える。
【0224】
(構成‐サーバ装置‐記録部)
記録部22は、例えば、地図情報DB221、重機情報DB223、重機側稼働状況情報DB21E、及び境界側情報DB225を備える。
【0225】
(構成‐サーバ装置‐記録部‐重機側稼働状況情報DB)
重機側稼働状況情報DB21Eは、重機側稼働状況情報を格納する重機側稼働状況情報格納手段である。
図24は、重機側稼働状況情報を例示した図である。「重機側稼働状況情報」とは、重機9の稼働状況を特定するための情報であり、例えば、
図24に示すように、項目「重機側端末ID」に対応する情報と、項目「稼働状況情報」に対応する情報と、項目「送信時間情報」に対応する情報とが相互に関連付けられている。なお、項目「重機側端末ID」に対応する情報、及び項目「送信時間情報」に対応する情報は、
図7の同一名称の項目の情報と同様である。項目「稼働状況情報」に対応する情報は、重機9の稼働状況を示す稼働状況情報である(
図24では、稼働している状態を示す「稼働」、及び稼働していない状態を示す「非稼働」)。
【0226】
そして、この重機側稼働状況情報において、例えば、
図24の最上段の情報においては、「IDh001」が識別する重機91が、「14時10分40秒」において稼働している状態であることが示されている。なお、このような重機側稼働状況情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、後述する重機側稼働状況情報格納処理を実行することにより、格納される。
【0227】
(構成‐サーバ装置‐制御部)
図22の制御部23は、機能概念的には、例えば、特定部22Eを備える。特定部22Eは、稼働状況情報に基づいて、複数の重機9の内の1つ以上の重機9を発生源重機として特定する特定手段である。なお、この制御部23の各部によって実行される各処理については、後述する。
【0228】
(処理)
続いて、本実施の形態に係る振動検知システム900Eによって実行される処理について説明する。例えば、重機側稼働状況情報格納処理、境界側情報格納処理(実施の形態1と同様)、及び発生源重機特定処理を実行するが、重機側稼働状況情報格納処理、及び発生源重機特定処理について説明する。
【0229】
(処理‐重機側稼働状況情報格納処理)
まず、重機側稼働状況情報格納処理について説明する。「重機側稼働状況情報格納処理」とは、
図24の重機側稼働状況情報を格納して蓄積するための処理である。
【0230】
まず、
図23の重機側端末1Eの制御部17は、稼働状況検出部15Eの検出結果に基づいて、重機9が稼働している状態であるか、又は稼働して否か状態であるかを特定する。具体的には任意であるが、例えば、重機9の前述の給電手段が給電可能となっている場合、稼働状況検出部15Eは稼働している状態を検出し、この場合、重機9が稼働している状態であるものと特定する。一方、例えば、重機9の前述の給電手段が給電可能となっていない場合、稼働状況検出部15Eは稼働していない状態を検出し、この場合、重機9が稼働していない状態であるものと特定する。次に、記録部16の重機側端末IDを取得し、また、不図示の計時手段(例えばタイマー等)の計時結果に基づいて現在の時間を特定した上で、前述の取得した重機側端末ID、前述の特定結果を示す情報(つまり、稼働している状態を示す情報、あるいは、稼働していない状態を示す情報)、及び特定した現在の時間を示す情報を相互に関連付けた状態で、サーバ装置2Eに送信する。なお、ここでの「特定結果を示す情報(つまり、稼働している状態を示す情報、あるいは、稼働していない状態を示す情報)」については、「稼働状況情報」に対応するものと解釈してもよい。
【0231】
ここでは、例えば、重機91が稼働している場合について説明する。この場合、重機9の前述の給電手段が給電可能となっているので、
図22の重機91に設けられている重機側端末101Eの稼働状況検出部15Eは稼働している状態を検出するので、当該重機側端末101Eの制御部17は、重機91が稼働している状態であるものと特定する。次に、記録部16の重機側端末IDである「IDh001」を取得し、また、不図示の計時手段(例えばタイマー等)の計時結果に基づいて現在の時間である「14時10分40秒」を特定した上で、前述の取得した「重機側端末ID」=「IDh001」、前述の特定結果を示す情報(つまり、稼働している状態を示す情報)、及び特定した「現在の時間を示す情報」=「14時10分40秒」を相互に関連付けた状態で、サーバ装置2Eに送信する。
【0232】
次に、
図21及び
図22のサーバ装置2Eの制御部23は、重機側端末1Eから送信された情報を受信し、受信した情報に基づいて、
図24の重機側稼働状況情報を格納する。
【0233】
ここでは、例えば、
図22のサーバ装置2Eの制御部23は、重機側端末101Eから送信された情報(「重機側端末ID」=「IDh001」、特定結果を示す情報(つまり、稼働している状態を示す情報)、及び「現在の時間を示す情報」=「14時10分40秒」の情報)を受信し、受信した当該情報に基づいて、
図24の重機側稼働状況情報における最上段の情報を格納する。そして、各装置が上述の処理を繰り返し実行することにより、
図24の重機側稼働状況情報が格納されて蓄積されることになる。これにて、重機側稼働状況情報格納処理を終了する。
【0234】
(処理‐発生源重機特定処理)
次に、発生源重機特定処理について説明する。
【0235】
===SE1===
図18のSE1においてサーバ装置2Eの特定部22Eは、発生源重機を特定するか否かを判定する。具体的には任意であるが、例えば、
図10のSA1と同様な処理を行う。
【0236】
ここでは、例えば、実施の形態1の場合と同様に、
図4の境界側振動計321で測定した振動の大きさが、境界側振動閾値を超える場合を例示して説明する。この場合、SE1においては、発生源重機を特定するものと判定し(SE1のYES)、SE2に移行する。
【0237】
===SE2===
図18のSE2においてサーバ装置2Eの特定部22Eは、発生源重機を特定する。具体的には任意であるが、例えば、
図24の重機側稼働状況情報を参照して、各重機側端末IDに関連付けられている稼働状況情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている稼働状況情報を取得し(つまり、SE1において境界側振動閾値を超えるものとされた境界側振動情報が示す振動の大きさを示す情報が測定された時間帯に対応する時間帯における稼働状況情報を取得し)、取得した稼働状況情報が「稼働」である場合、当該稼働状況情報に関連付けられている重機側端末IDが識別する重機9を発生源重機として特定する。つまり、SE1において境界側振動閾値を超えるものとされた境界側振動情報が示す振動の大きさを示す情報が測定された時間帯に稼働している重機9を全て、発生源重機として特定する。
【0238】
ここでは、例えば、
図24の重機側稼働状況情報を参照して、「重機側端末ID」=「IDh001」に関連付けられている稼働状況情報の内の、直近の「送信時間情報」=「14時10分50秒」に関連付けられている「稼働状況情報」=「稼働」を取得し、また、「重機側端末ID」=「IDh002」、「IDh003」についても同様にして、「稼働状況情報」=「非稼働」、「稼働」を取得した上で、重機91、93を発生源重機として特定する。
【0239】
===SE3===
図18のSE3においてサーバ装置2Eの特定部22Eは、SE2で特定した発生源重機側に対して警報を行う。これにて、発生源重機特定処理を終了する。
【0240】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、稼働状況情報に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、重機9側の要素を考慮することができるので、発生源重機の特定精度を向上させることが可能となる。
【0241】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0242】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0243】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、サーバ装置2の機能を複数のコンピュータに分散配置したいわゆるクラウドコンピュータによって実現してもよい。
【0244】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。例えば、本願で説明した測定値又は設定値等の数値は、便宜上の記載である。
【0245】
(省略について)
また、上記実施の形態の一部の機能を適宜省略してもよい。例えば、実施の形態3~5において、減衰情報DB226を省略してもよい。
【0246】
(補正部について)
また、上記実施の形態1に対して補正部を設けてもよい。補正部とは、工事現場における第1実測位置における物理量(例えば、振動の大きさ)の測定結果と、工事現場における第2実測位置(例えば、振動の大きさ)における物理量の測定結果と、第1実測位置と第2実測位置との間の距離とを示す実測情報に基づいて、減衰度合情報を補正する補正手段である。この補正部の具体的な実装手法は任意であるが、例えば、
図2のサーバ装置2における制御部23の機能として実装する場合について説明する。
【0247】
処理については例えば、重機9が振動を発生させる点、
図5の振動計位置情報及び
図8の境界側情報に基づいて、境界側振動計32の設置位置及び測定結果(つまり、測定時間及び測定した振動の大きさ)が把握可能となっている点、
図7の重機側情報に基づいて、重機9の現在位置及び重機9の位置での測定結果(詳細には、重機側振動計31の測定結果(つまり、測定時間及び測定した振動の大きさ))が把握可能となってる点、前述の把握可能となっている境界側振動計32の設置位置及び重機9の現在位置に基づいて、境界側振動計32の設置位置(つまり、境界側振動計32側で振動の大きさを測定した位置)と重機9の現在位置(つまり、重機9側で振動の大きさを測定した位置)との間の距離を把握可能となっている点を考慮して、以下の処理を行う。
【0248】
詳細には、補正部は、任意のタイミング(例えば、1日における建設作業開始前のタイミング、昼休み時間のタイミング、あるいは、作業中のタイミング等)に、
図7の重機側情報を参照して、1個の重機側端末IDに関連付けられている重機側振動情報、重機位置情報、送信時間情報を取得する。次に、
図8の境界側情報を参照して、前述の取得した送信時間情報と同じ(同じものがない場合、最も近い)送信時間情報に関連付けられている1個の境界側振動計ID及び境界側振動情報を取得した上で、
図5の振動計位置情報を参照して、前述の取得した境界側振動IDと同じ境界側振動IDに関連付けられている境界側振動計位置情報を取得する。次に、
図2の地図情報DB221に格納されている地図情報を参照して、前述の取得した重機側位置情報が示す重機9の位置と、前述の取得した境界側振動計位置情報が示す境界側振動計32の位置との間の距離を演算し、また、前述の取得した重機側振動情報が示す振動の大きさ(一例としては、統計値であり平均値等)と、前述の取得した境界側振動情報が示す振動の大きさ(一例としては、統計値であり平均値等)との差分値を演算した上で、演算した距離と差分値とに基づいて
図2の減衰情報DB226の減衰情報を補正(つまり、修正)し、補正した後の減衰情報を減衰情報DB226に格納してもよい。そして、この補正した後の減衰情報を用いて実施の形態で説明した各処理を行ってもよい。なお、距離と差分値とに基づいて減衰情報を補正する具体的な手法は任意であるが、後述する具体例において説明する。
【0249】
なお、例えば、重機側位置情報が示す重機9の位置、又は、境界側振動計位置情報が示す境界側振動計32の位置の内の一方が「第1実測位置」に対応し、また、他方が「第2実測位置」に対応するものと解釈してもよい。
【0250】
ここでは、例えば、補正部は、任意のタイミングに、
図7の重機側情報を参照して、1個の重機側端末IDである「IDh001」に関連付けられている「重機側振動情報」=「Vh102」、「重機位置情報」=「Ph102」、「送信時間情報」=「14時10分45秒」を取得する。次に、
図8の境界側情報を参照して、前述の取得した送信時間情報である「14時10分45秒」と同じ送信時間情報に関連付けられている1個の「境界側振動計ID」=「IDb001」及び「境界側振動情報」=「Vb102」を取得した上で、
図5の振動計位置情報を参照して、前述の取得した境界側振動IDである「IDb001」と同じ境界側振動IDに関連付けられている「境界側振動計位置情報」=「Pb101」を取得する。次に、
図2の地図情報DB221に格納されている地図情報を参照して、前述の取得し「重機位置情報」=「Ph102」が示す重機91の位置と、前述の取得した「境界側振動計位置情報」=「Pb101」が示す境界側振動計321の位置との間の距離である「D91」を演算し、また、前述の取得した「重機側振動情報」=「Vh102」が示す振動の大きさ(一例としては、統計値であり平均値等)と、前述の取得した「境界側振動情報」=「Vb102」が示す振動の大きさ(一例としては、統計値であり平均値等)との差分値として「31」を演算した上で、演算した「距離」=「D91」と「差分値」=「31」とに基づいて
図2の減衰情報DB226の減衰情報を補正し、補正した後の減衰情報を減衰情報DB226に格納する。
【0251】
図25は、減衰ラインを示す図である。ここで行う補正は任意であるが、例えば、減衰情報DB226に格納されている補正前の減衰情報に対応する減衰ライン(
図25の実線で図示されている減衰ライン)を、前述の演算した「距離」=「D91」と「差分値」=「31」に基づいて調整して、調整後の減衰量ラインに対応する情報を補正後の減衰情報として減衰情報DB226に格納する。なお、減衰ラインの調整手法も任意であるが、例えば、前述の「差分値」=「31」は、「距離」=「D91」を有する2点間の振動減衰量に対応しているので、
図25に示すように、「距離」=「D91」及び「差分値」=「31」(
図25では、「振動レベル差(振動減衰量)」=「31」)によって規定される調整基準点を通るように調整前の減衰ラインを図面下方にシフトさせて調整する手法を用いてもよい。
【0252】
このように構成した場合、減衰情報を補正する補正部を備えることにより、例えば、工事現場の実態を減衰情報に反映することができるので、発生源重機の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0253】
(位置検出について)
また、上記実施の形態1においては、
図3の位置検出部15に関して、GPS・GNSSに関する公知の技術を用いて現在位置を検出する場合について説明したが、これに限らない。例えば、後述する第1~第6の手法を用いて重機9の現在位置を検出してもよい。
図26~
図30は、工事現場を示す平面図である。なお、この各図においては、主に位置検出について説明するために、
図4の平面図で図示されている一部の情報の図示は省略されている。
【0254】
(位置検出について‐第1の手法)
第1の手法は、比較的遠い位置まで到達する電波を用いる手法である。この手法においては、例えば、
図26に示すように、敷地境界に対して位置検出用発信機51を設置する。この位置検出用発信機51は、自己のIDを含む所定強度の電波を出力する装置である。なお、この電波は、少なくとも工事現場のあらゆる位置まで到達可能となっている。また、重機側端末1の記録部16に対して、地図情報DB221と同様な地図情報DBを設けて、また、
図26の位置検出用発信機51の設置位置を示す情報を記録する。
【0255】
そして、重機側端末1の位置検出部15は、位置検出用発信機51から送信された電波を受信した場合に、記録部16に記録されている情報に基づいて、受信した電波に含まれているIDに着目して、当該電波を送信した位置検出用発信機51の位置を特定し、また、前述の受信した電波の強度を測定して測定結果に基づいて当該位置検出用発信機51から自己の位置までの距離を演算した上で、これらの特定した位置及び演算した距離に基づいて、重機側端末1の現在位置(つまり、重機9の位置であり、後述する各手法でも同様)を検出するように構成してもよい。
【0256】
なお、受信した電波の強度に基づいて位置検出用発信機51から重機側端末1までの距離を演算する手法は任意であるが、例えば、距離が離れるにつれて電波の強度が弱まることに着目して、受信した電波の強度と当該強度に対応する距離との関係を示す情報(例えば、数式情報、あるいは、テーブル情報等)を予め記録部16に記録しておき、当該情報を参照して演算してもよい。また、
図26では、位置検出用発信機51は2個図示されているが、3個以上設けてもよい。また、位置検出用発信機51は、敷地境界以外の任意の位置に設けてもよい(後述する位置検出用発信機52、位置検出用受信機53も同様)。
【0257】
(位置検出について‐第2の手法)
第2の手法は、比較的近い位置までのみ到達する電波を用いる手法である。この手法においては、例えば、
図27に示すように、敷地境界の全周に対して位置検出用発信機52を設置する。この位置検出用発信機52は、自己のIDを含む所定強度の電波を出力する装置である。なお、この電波は、工事現場の一部の領域まで到達可能となっており、一例としては、所定長さ(例えば、10m~15m等)の半径内の領域まで到達可能となっている。そして、
図27に示すように、工事現場における周辺側寄りの第1領域A1に電波が到達し、一方、工事現場における中央寄りの第2領域A2に電波が到達しない場合を例示して説明する。また、前述の第1の手法の場合と同様に、重機側端末1の記録部16に対して、地図情報DB221と同様な地図情報DBを設けて、また、
図27の位置検出用発信機52の設置位置を示す情報を記録する。
【0258】
そして、重機側端末1の位置検出部15は、第1領域A1内では、前述の第1の手法と同様にして、現在位置を検出する。なお、第2領域A2内では位置検出用発信機52からの電波が到達しないので、当該電波に基づいて現在位置を検出することが困難となっているので、現在位置を検出しなくてもよいが、例えば、実施の形態1で説明したGPS・GNSに関する公知の技術を用いて現在位置を検出してもよいし、あるいは、第1の手法で説明した技術を組み合わせて当該第1の手法で説明した技術を用いて現在位置を検出してもよい(第3の手法も同様とする)。
【0259】
(位置検出について‐第3の手法)
第3の手法は、基本的には、第2の手法と同様な手法であり、例えば、
図28に示すように、敷地境界における振動の管理を要する建物に隣接する部分にのみ位置検出用受信機53を設ける手法である。
【0260】
(位置検出について‐第4の手法)
第4の手法は、比較的近い位置までのみ到達する重機側端末1から送信される電波を用いる手法である。この手法においては、例えば、
図29に示すように、敷地境界における振動の管理を要する建物に隣接する部分に対して位置検出用受信機53を設置し、また、重機側端末1が自己の重機側端末IDを含む所定強度の位置検出用の電波を所定時間(例えば、5秒~10秒等)間隔で出力するように構成する。位置検出用受信機53は、重機側端末1から出力される位置検出用の電波を受信する装置であり、自己のIDが記録されている装置である。なお、この電波は、工事現場の一部の領域まで到達可能となっており、一例としては、所定長さ(例えば、10m~15m等)の半径内の領域(例えば、
図29の一点鎖線の円形の領域)まで到達可能となっている。また、サーバ装置2の記録部22に対して、
図29の位置検出用受信機53の設置位置を示す情報を記録する。
【0261】
そして、位置検出用受信機53は、重機側端末1から出力される位置検出用の電波を受信した場合に、受信した電波の強度を測定し、また、受信した電波に含まれる受信側端末IDを取得し、また、自己のIDを取得した上で、測定した強度を示す情報、取得した受信側端末ID、及び自己のIDをサーバ装置2に送信する。一方、サーバ装置2は、地図情報DB221の地図情報及び
図29の位置検出用受信機53の設置位置を示す情報を参照した上で、前述の位置検出用受信機53から受信した情報に基づいて、重機側端末1の現在位置を検出して特定する。
【0262】
なお、ここでは、重機側端末1が位置検出用の電波を出力する場合について説明したが、これに限らず、例えば、当該電波を出力する専用端末(例えば、ビーコン装置等)を重機9に設置し、当該設置した専用端末が出力する電波を利用するように構成してもよい。
【0263】
(位置検出について‐第5の手法)
第5の手法は、重機側端末1(つまり、重機9)が横切る位置に基づいて現在位置を検出する手法である。この手法においては、例えば、
図30に示すように、位置認識用ライン54を設定する。「位置認識用ライン」54とは、重機側端末1の現在位置を検出するために用いられる仮想的な線である。なお、この位置認識用ライン54を実現するための具体的な手法は任意であるが、例えば、比較的指向性の高い電波を出力する電波発信機を設置することにより実現してもよい。
【0264】
詳細には、例えば、重機側端末1が位置認識用ライン54上に設けられている場合に、当該重機側端末1が受信できる程度に比較的高い指向性を有する電波を出力する電波発信機を任意の位置(例えば、位置認識用ライン54上の位置、あるいは、敷地境界上の位置等)に設ける。なお、この電波には各位置認識用ライン54に対応するIDが含まれていることとする。また、重機側端末1の記録部16に対して、地図情報DB221と同様な地図情報DBを設けて、また、
図30の各位置認識用ライン54の位置を示す情報、及び当該各位置認識用ライン54に対応する電波に含まれるIDを示す情報を記録する。
【0265】
そして、重機側端末1の位置検出部15は、重機9が移動して位置認識用ライン54上に移動した場合に、前述の電波発信機からの電波を受信し、記録部16に記録されている地図情報、位置認識用ライン54の位置を示す情報、及び各位置認識用ライン54に対応する電波に含まれるIDを示す情報を参照して、受信した電波に含まれているIDに対応する位置認識用ライン54を、自己が横切った位置認識用ライン54であるものと把握し、把握結果に基づいて自己の現在位置を検出してもよい。
【0266】
なお、
図30では、説明の便宜上、4本の位置認識用ライン54が設けられているが、例えば、工事現場の全体に当該位置認識用ライン54を多数設けてもよく、この場合、重機側端末1の位置検出部15は、重機9が移動している場合、複数本の位置認識用ライン54を横切ることになるが、この横切った位置認識用ライン54の位置及び当該位置認識用ライン54の横切る順序等を考慮して、自己の現在位置を検出するように構成してもい。
【0267】
なお、位置認識用ライン54を、比較的指向性の高い電波を出力する電波発信機を設置することにより実現する場合について説明したが、これに限らず、例えば、地面にセンサ群を設置することにより実現してもよいし、赤外線に関する技術を用いて実現してもよい。
【0268】
(位置検出について‐第6の手法)
第6の手法は、画像認識を用いる手法である。この手法においては、例えば、
図4の境界側端末33に対して、工事現場の全体を撮影可能な撮像手段(例えば、カメラ)を設ける。そして、境界側端末33が、所定時間毎に工事現場の画像を撮像手段にて撮像し、撮像した画像と自己を一意に識別するための境界側端末IDと前述の撮像した画像とを関連付けて、当該関連付けた情報を、サーバ装置2に送信する処理を繰り返し行うように構成する。また、サーバ装置2の記録部22に対して、
図4の境界側端末33の設置位置を示す情報を記録する。
【0269】
そして、サーバ装置2は、各境界側端末33から受信した情報(つまり、工事現場の画像及び境界側端末ID)に基づいて、重機9についての画像認識を行い、当該重機9の位置を検出して特定する。詳細には、例えば、地図情報DB221の地図情報及び前述の受信した情報に含まれている境界側端末IDに基づいて、当該境界側端末IDに関連付けられている画像が撮像された位置を特定した上で、当該画像の画像認識を行い、重機9の位置を検出して特定する。なお、工事現場内に重機9が複数台設けられていることが想定されるので、各重機9の外観が異なっている場合は、当該外観の違いにより各重機9を特定した上で、当該重機9の位置を検出してもよい。あるいは、各重機9の外観が類似している場合、各重機9に対して画像認識により一意に識別するためのマークを付して、当該付したマークに基づいて、各重機9を特定した上で、当該重機9の位置を検出してもよい。
【0270】
(評価について)
また、上記実施の形態1において、各重機9の運転を評価する機能を実装してもよい。例えば、
図7の重機側情報を参照することにより、重機9側での振動の大きさを把握できる点を考慮して、以下のように処理を行ってもよい。サーバ装置2の制御部23が、
図7の重機側情報を参照して、重機側端末ID単位で重機側振動情報を取得し、取得した重機側振動情報が示す所定時間内における振動の大きさに基づいて、重機9の運転を評価してもよい。詳細には、例えば、振動の大きさが、第1範囲から第3範囲(第1範囲が最も小さい範囲であり、第2範囲が第1範囲の次に小さい範囲であり、第3範囲が最も大きい範囲)の内のいずれの範囲に属すかを判定し、判定結果に基づいて、「優」(第1範囲に属する場合)、「良」(第2範囲に属する場合)、「注意」(第3範囲に属する場合)を評価し、評価結果を重機側端末1を介して重機9を運転している作業員に提示してもよい。
【0271】
(加振力について)
また、上記実施の形態1においては、
図10のSA3において
図5の重量情報及び作業内容情報の両方を考慮して、加振力を演算する場合について説明したが、これに限らない。例えば、重量情報のみを考慮して加振力を演算してもよいし、あるいは、作業内容情報のみを考慮して加振力を演算してもよい。
【0272】
(境界側端末について)
また、実施の形態1で説明した境界側端末33が、スマートフォン又はタブレット(つまり、タブレット端末)を含むコンピュータにより構成される通信機器であることとしてもよく、また、境界側端末33を筐体に収容して設置してもよい(他の実施の形態でも同様であり、また、重機側端末1についても同様に構成してもよい)。なお、「スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器」とは、例えば、スマートフォン又はタブレット等のコンピュータにより構成される通信機器であるものと解釈してもよく、すなわち、スマートフォン又はタブレット自体を示すことと解釈してもよいし、あるいは、スマートフォン又はタブレットと他の装置とを組み合わせた装置を示すことと解釈してもよい。すなわち、「スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器」とは、例えば、スマートフォン又はタブレットを少なくとも一部において利用している装置を示すものと解釈してもよい。なお、境界側端末33については、これに限らず、スマートフォン又はタブレット(つまり、タブレット端末)を含むコンピュータ以外の機器によって構成される通信機器であることとしてもよい(重機側端末1についても同様に構成してもよい)。
【0273】
図31は、境界側端末等の配線図である。なお、
図31においては、説明の便宜上、筐体300の内部に設けられている主な構成要素についても、実線にて図示されている。具体的には任意であるが、例えば、境界側端末33としてスマートフォンを用いて、当該スマートフォンである境界側端末33を、筐体300に収容した状態で、敷地境界に設置してもよい。筐体300は、境界側端末33を収容する対象箇所側筐体であり、例えば、開閉可能な箱であり、閉じた場合に筐体300の内部に収容されている構成要素が、当該筐体300によって当該筐体300の外部から隔てられることになり、また、開けた場合に境界側端末33にアクセスしてユーザが当該境界側端末33を操作可能になる。また、筐体300の内部には電源アダプタ303が設けられており、当該電源アダプタ303は、第1電源供給線301を介して筐体300側に供給される所定レベル(例えば、100V)の交流電圧に基づいて、所定レベル(5V又は7V等)の直流電圧を生成し、生成した電圧を筐体300内において境界側端末33に供給したり、当該生成した電圧を、第2電源供給線302を介して境界側振動計32に供給したりする。そして、境界側端末33及び境界側振動計32は、当該供給された電圧に基づいて動作する。また、任意選択的に、境界側端末33に対して外部マイク304を接続してもよい。この場合、境界側端末33が、外部マイク304、もしくは境界側端末33に搭載されたマイクで収音した騒音のレベル測定し、測定結果を任意の表示装置(例えば、敷地境界の仮囲、もしくは工事範囲内に設けられており、敷地の内部及び外部、もしくは外部に向けて情報を表示するための表示装置等)に出力することとしてもよい。なお、この場合、境界側端末33は、境界側振動計32にて測定した振動の大きさも、前述の表示装置に表示する処理を行うこととしてもよい。なお、境界側端末33の構成は、ここで説明したものに限らず、例えば、タブレット端末を用いて実現してもよいし、あるいは、専用装置として実現してもよい(後述する重機側端末1も同様とする)。表示装置として用いたタブレット端末等が通信機能を備えるコンピュータを搭載する場合は、境界側端末33を兼ねてもよい。なお、ここで説明した各要素(筐体300、第1電源供給線301、第2電源供給線302、電源アダプタ303、及び外部マイク304)については、振動検知システム900の構成要素であるものと解釈してもよい(後述の「(重機側端末について)」で説明する各要素も同様である)。
【0274】
(重機側端末について)
また、実施の形態1においては、重機側端末1が重機9に乗車している作業員によって携帯されるものであると説明したが、これに限らず、例えば、「(境界側端末について)」で説明したように、重機側端末1としてスマートフォンを重機9に設置してもよい。また、重機側端末1としてスマートフォンを用いて、当該スマートフォンである重機側端末1を筐体に収容して、当該筐体を重機9に設置することにより、重機側端末1を重機9に設置してもよい。なお、ここでの重機側端末1もしくは筐体が、「工事用機械側筐体」に対応する。具体的には任意であるが、例えば、
図31において、境界側端末33を重機側端末1に置き換えて、また、2個例示されている境界側振動計32を1個の重機側振動計31に置き換えてもよい。
【0275】
(その他について)
また、前述の「(境界側端末について)」で説明したように構成する場合において、「(位置検出について‐第6の手法)」で説明したように、境界側端末33の撮像部(カメラ)を利用する場合も想定される。この場合、筐体300の一部に開口部又は透明部を設けて、当該開口部又は透明部を介して、境界側端末33が、筐体300の内部から外部(つまり、工事現場)を撮像可能となるように、構成してもよい。この場合、透明部又は開口部において、適宜、封止材又は止水材等を設けて、塵埃等が筐体300の内部に入りこむことを防止してもよい。また、境界側端末33が防水防塵機能を有する場合は、端末は筐体300から外部に出してもよい。また、
図31の構成を任意に変更してもよく、例えば、電源アダプタ303と境界側端末33とを相互に別の筐体又はケースに収容してもよい。この場合、別の筐体又はケースに収容されている電源アダプタ303から、境界側端末33に電圧を供給するように構成してもよいし、境界側端末33に別系統から電圧を供給するように構成してもよい。また、
図31の2個の境界側振動計32に対して、相互に別系統から電圧を供給するように構成してもよいし、各振動計にバッテリ又は乾電池を設けて、当該バッテリ又は乾電池から供給される電圧に基づいて各振動計が動作するように構成してもよい。また、このバッテリ又は乾電池については、各振動計において、各振動センサの上部に設けてもよい。また、このバッテリ又は乾電池については、2個の境界側振動計32に対して共通して設けてもよいし、2個の境界側振動計32各々に対して個別に設けてもよい。また、境界側端末33の受信可能範囲内であれば境界側振動計32の個数は2個に限らない。また、境界側振動計32の振動センサが防水機能を有する場合は、振動センサは筐体から外部に出してもよい。また、振動センサはデジタル又はアナログ振動センサのどちらでも良い。また、筐体300を、単管等の任意の設置対象部材に取り付け可能となる取付具を設けてもよい。なお、ここで説明した技術については、上記の「(重機側端末について)」で説明した技術に適用してもよい。
【0276】
(減衰情報について)
また、
図9の減衰情報については、地盤情報によって異なることと解釈してもよい。
【0277】
(単数の重機の場合ついて)
また、上記各実施の形態で説明した技術を、重機9が1台のみ設けられている工事現場に適用し、当該1台の重機9に関して発生源重機を特定してもよい。具体的には任意であるが、例えば、実施の形態1の
図10のSA4における「SA4の第1特定処理」の「第2ステップ」において、記録部22に記録されている境界側振動閾値を取得し、また、第1ステップで演算した境界側推定振動量を取得し、取得した境界側振動閾値と取得した各境界側推定振動量とを比較し、境界側推定振動量が境界側振動閾値を超える場合に、1台の重機9を発生源重機として特定し、一方、境界側推定振動量が境界側振動閾値以下である場合に、1台の重機9を発生源重機でないものと特定する処理を行なってもよい。なお、ここで特記した事項以外は、前述の処理と同様としてもよい。
【0278】
また、例えば、実施の形態5の
図18のSE2において、
図24の重機側稼働状況情報を参照して、1台の重機9を識別する重機側端末IDに関連付けられている稼働状況情報の内の、直近の送信時間情報に関連付けられている稼働状況情報を取得し(つまり、SE1において境界側振動閾値を超えるものとされた境界側振動情報が示す振動の大きさを示す情報が測定された時間帯に対応する時間帯における稼働状況情報を取得し)、取得した稼働状況情報が「稼働」である場合、当該稼働状況情報に関連付けられている重機側端末IDが識別する1台の重機9を発生源重機として特定し、一方、取得した稼働状況情報が「非稼働」である場合、当該稼働状況情報に関連付けられている重機側端末IDが識別する1台の重機9を発生源重機でないものと特定する処理を行なってもよい。なお、ここで特記した事項以外は、前述の処理と同様としてもよい。
【0279】
(組み合わせについて)
また、上記各実施の形態及び変形例で説明した技術を、任意に組み合わせてもよい。特に、実施の形態1と実施の形態3、4とを組み合わせて、実施の形態1において、実施の形態3、4で説明した手法(つまり、振動の特徴に着目する手法)を用いて発生源重機を特定してもよい。
【0280】
(付記)
付記1の特定システムは、工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定する特定システムであって、前記工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、前記工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、前記工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する特定手段、を備える。
【0281】
付記2に記載の特定システムは、付記1に記載の特定システムにおいて、前記工事現場に設けられている前記工事用機械は、複数の工事用機械であり、前記特定手段は、前記複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する。
【0282】
付記3に記載の特定システムは、付記2に記載の特定システムにおいて、前記物理量は、振動又は騒音に関する物理量であり、前記対象箇所は、工事現場における境界上の箇所であり、前記特定手段は、少なくとも、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械が配置されている位置を示す工事用機械位置情報と、前記対象箇所の位置を示す対象箇所位置情報とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する。
【0283】
付記4に記載の特定システムは、付記3に記載の特定システムにおいて、前記複数の工事用機械に設置されている工事用機械側測定手段であって、前記複数の工事用機械にて発生する物理量を前記工事用機械側物理量として測定する前記工事用機械側測定手段、を備え、前記工事用機械側物理量情報は、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報であり、前記特定手段は、前記工事用機械位置情報と、前記対象箇所位置情報とに基づいて、前記複数の工事用機械と前記対象箇所との間の距離を演算する第1処理と、前記工事用機械側物理量情報と、前記複数の工事用機械の重量を示す重量情報又は前記複数の工事用機械によって行われる作業内容を示す作業内容情報とに基づいて、前記複数の工事用機器から当該工事用機器の周辺の地盤に付与される物理量である付与物理量を演算する第2処理と、前記第1処理の処理結果及び前記第2処理の処理結果に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する第3処理と、を行う。
【0284】
付記5に記載の特定システムは、付記4に記載の特定システムにおいて、前記特定手段は、前記第1処理で演算した前記距離と、前記第2処理で演算した前記付与物理量と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報とに基づいて、工事現場の地盤を介して前記複数の工事用機械側から前記対象箇所側に伝搬された当該対象箇所側の物理量であるものとされる伝搬先物理量を演算し、演算した前記伝搬先物理量に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う。
【0285】
付記6に記載の特定システムは、付記4に記載の特定システムにおいて、前記特定手段は、前記第1処理で演算した前記距離と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、前記対象箇所側許容レベルとに基づいて、前記複数の工事用機械側で許容される工事用機械側許容レベルを演算し、演算した前記工事用機械側許容レベルと、前記第2処理で演算した前記付与物理量とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う。
【0286】
付記7に記載の特定システムは、付記4に記載の特定システムにおいて、前記対象箇所側に設置されている対象箇所側測定手段であって、前記対象箇所側における物理量を対象箇所側物理量として測定する前記対象箇所側測定手段、を備え、前記特定手段は、前記第1処理で演算した前記距離と、前記工事現場の地盤における物理量の減衰の度合いを示す減衰度合情報と、前記対象箇所側測定手段が測定した前記対象箇所側物理量とに基づいて、前記工事現場の地盤を介して前記複数の工事用機械側から前記対象箇所側に伝搬された物理量の元となる伝搬元の前記複数の工事用機械側の物理量であるものとされる伝搬元物理量を演算し、演算した前記伝搬元物理量と前記第2処理で演算した前記付与物理量とに基づいて、前記発生源工事用機械を特定する処理を、前記第3処理として行う。
【0287】
付記8に記載の特定システムは、付記7に記載の特定システムにおいて、前記対象箇所側測定手段にて測定された物理量を示す情報を前記特定手段側に送信する対象箇所側通信手段と、少なくとも、前記対象箇所側通信手段を収容する対象箇所側筐体と、を備え、前記対象箇所側通信手段は、スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器である。
【0288】
付記9に記載の特定システムは、付記4から8の何れか一項に記載の特定システムにおいて、前記工事用機械側測定手段にて測定された物理量を示す情報、又は、前記稼働状況情報を前記特定手段側に送信する工事用機械側通信手段と、を備え、前記工事用機械側通信手段は、スマートフォン又はタブレットを含むコンピュータにより構成される通信機器である。
【0289】
付記10に記載の特定システムは、付記5から7の何れか一項に記載の特定システムにおいて、前記工事現場における第1実測位置における物理量の測定結果と、前記工事現場における第2実測位置における物理量の測定結果と、前記第1実測位置と前記第2実測位置との間の距離とを示す実測情報に基づいて、前記減衰度合情報を補正する補正手段、を備える。
【0290】
付記11に記載の特定システムは、付記2に記載の特定システムにおいて、前記物理量は、振動に関する物理量であり、前記対象箇所は、工事現場における境界上の箇所であり、前記特定手段は、前記工事用機械側物理量情報と、前記対象箇所側における物理量である対象箇所側物理量を示す対象箇所側物理量情報に基づいて、前記発生源工事用機械を特定する。
【0291】
付記12に記載の特定プログラムは、工事用機械が配置されている工事現場において、当該工事現場における対象箇所での対象箇所側許容レベルを超える物理量の発生源である発生源工事用機械を特定する特定プログラムであって、コンピュータを、前記工事用機械の稼働状況を示す稼働状況情報、又は、前記工事用機械側における物理量である工事用機械側物理量を示す工事用機械側物理量情報に基づいて、前記工事用機械を前記発生源工事用機械として特定する特定手段、として機能させる。
【0292】
(付記の効果)
付記1に記載の特定システム、及び付記12に記載の特定プログラムによれば、稼働状況情報又は工事用機械側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、工事用機械側の要素を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を向上させることが可能となる。
【0293】
付記2に記載の特定システムによれば、複数の工事用機械の内の1つ以上の工事用機械を発生源工事用機械として特定することにより、例えば、発生源工事用機械を確実に特定することが可能となる。
【0294】
付記3に記載の特定システムによれば、工事用機械側物理量情報と工事用機械位置情報と対象箇所位置情報とに基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、各位置情報を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0295】
付記4に記載の特定システムによれば、工事用機械側物理量情報と、重量情報又は作業内容情報とに基づいて付与物理量を演算することにより、例えば、工事用機械側の実態を付与物理量に反映することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0296】
付記5に記載の特定システムによれば、工事現場の地盤を介して複数の工事用機械側から対象箇所側に伝搬された当該対象箇所側の物理量であるものとされる伝搬先物理量を演算し、演算した伝搬先物理量に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、発生源工事用機械を特定するために適した物理量を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0297】
付記6に記載の特定システムによれば、演算した工事用機械側許容レベルと演算した付与物理量とに基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、比較的単純な処理(例えば、工事用機械側許容レベルと付与物理量とを比較する処理等)を行って発生源工事用機械を特定することができるので、発生源工事用機械を容易に特定することが可能となる。
【0298】
付記7に記載の特定システムによれば、工事現場の地盤を介して複数の工事用機械側から対象箇所側に伝搬された物理量の元となる伝搬元の複数の工事用機械側の物理量であるものとされる伝搬元物理量を演算し、演算した伝搬先物理量に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、発生源工事用機械を特定するために適した物理量を考慮することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0299】
付記8に記載の特定システムによれば、対象箇所側通信手段及び対象箇所側筐体を備え、対象箇所側通信手段がスマートフォン等により構成されることにより、例えば、対象箇所側通信手段を既存の技術を実現することが可能となり、また、対象箇所側通信手段を対象箇所側筐体に収容して外部環境における塵埃等から保護することができ、また、対象箇所側筐体をコンパクト化することが可能となる。
【0300】
付記9に記載の特定システムによれば、工事用機械側通信手段がスマートフォン等により構成されることにより、例えば、工事用機械側通信手段を既存の技術を実現することが可能となる。
【0301】
付記10に記載の特定システムによれば、減衰度合情報を補正する補正手段を備えることにより、例えば、工事現場の実態を減衰度合情報に反映することができるので、発生源工事用機械の特定精度を更に向上させることが可能となる。
【0302】
付記11に記載の特定システムによれば、工事用機械側物理量情報と対象箇所側物理量情報に基づいて発生源工事用機械を特定することにより、例えば、工事用機械の位置を考慮せずに発生源工事用機械を特定することができるので、発生源工事用機械を容易に特定することが可能となる。
【符号の説明】
【0303】
1 重機側端末
1C 重機側端末
1E 重機側端末
2 サーバ装置
2B サーバ装置
2C サーバ装置
2D サーバ装置
2E サーバ装置
9 重機
11 通信部
12 タッチパッド
13 ディスプレイ
14 スピーカ
15 位置検出部
15E 稼働状況検出部
16 記録部
17 制御部
21 通信部
21B 境界側位置情報DB
21C 重機側情報DB
21E 重機側稼働状況情報DB
22 記録部
22B 特定部
22C 特定部
22D 特定部
22E 特定部
23 制御部
31 重機側振動計
32 境界側振動計
33 境界側端末
41 管理対象点
51 位置検出用発信機
52 位置検出用発信機
53 位置検出用受信機
54 位置認識用ライン
91 重機
92 重機
93 重機
101 重機側端末
101C 重機側端末
101E 重機側端末
102 重機側端末
102C 重機側端末
102E 重機側端末
103 重機側端末
103C 重機側端末
103E 重機側端末
221 地図情報DB
222 振動計位置情報DB
223 重機情報DB
224 重機側情報DB
225 境界側情報DB
226 減衰情報DB
231 特定部
300 筐体
301 第1電源供給線
302 第2電源供給線
303 電源アダプタ
304 外部マイク
311重機側振動計
312 重機側振動計
313 重機側振動計
321 境界側振動計
322 境界側振動計
323 境界側振動計
324 境界側振動計
331 境界側端末
332 境界側端末
411 管理対象点
412 管理対象点
413 管理対象点
414 管理対象点
900 振動検知システム
900B 振動検知システム
900C 振動検知システム
900D 振動検知システム
900E 振動検知システム
A1 第1領域
A2 第2領域