(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/481 20060101AFI20240530BHJP
B65D 5/485 20060101ALI20240530BHJP
B65D 81/07 20060101ALI20240530BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240530BHJP
B65D 77/08 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B65D5/481 A
B65D5/485
B65D81/07
B65D81/05 200
B65D77/08 F
(21)【出願番号】P 2020121369
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓人
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237450(JP,A)
【文献】特開2002-225852(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0452126(KR,Y1)
【文献】実開平7-13723(JP,U)
【文献】登録実用新案第3158576(JP,U)
【文献】特開2000-238750(JP,A)
【文献】特開2018-16353(JP,A)
【文献】特開2015-134636(JP,A)
【文献】米国特許第4111353(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/481
B65D 5/485
B65D 81/07
B65D 81/05
B65D 77/08
B65D 85/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部及び角筒状の胴部からなる有底筒状の箱本体と、パックの周縁を掛架支持するパック受け部とを備える包装箱であって、
前記底板部は、谷折線及び該谷折線の両端を結ぶ切れ目によって形成された起立片と、前記谷折線から前記起立片の中間部まで延設されたスリットとを有し、
前記包装箱は、前記スリットよりも長く、前記底板部の裏面側から前記スリットに挿入される挿入部材を更に備え、
前記箱本体の前記底板部の裏面側から前記スリットに挿入部材を挿入しようとすると、前記挿入部材によって、前記起立片の前記スリットよりも先端側が押圧されて、前記起立片が起立され、前記パック受け部が形成されることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装具において、
前記起立片は、前記底板部の裏面側から見たときに、前記スリットが同一直線上に位置するように形成された一対のものからなり、
前記挿入部材は、起立した起立片間の前記スリットの先端どうしの間隔よりも、長く形成された板状をなしていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1又は2記載の包装箱において、
前記挿入部材には、起立した状態における前記起立片の、前記スリットよりも先端側を支持する支持部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の包装箱において、
前記挿入部材は、その上縁部が前記起立状態における起立片の前記底板部からの最大高さよりも高い位置に突出するとともに、前記起立状態における起立片の、前記底板部の裏面側に近い面に隣接する側縁部に、前記起立状態における起立片の前記底板部からの最大高さよりも高い位置と、前記スリットの先端よりも低い位置とをつないで、内側に向かって凹む切欠き部が形成されており、
前記切欠き部には、前記スリットよりも先端側で押圧された前記起立片が、弾性復帰によって入り込むようになっており、該切欠き部の上側の周縁に、入り込んだ前記起立片を抜け止め保持する抜け止め部が設けられていること
を特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の包装箱において、
前記挿入部材は、上縁部に形成された山折線に沿って折り曲げることで逆V字状に形成された一対の板部から構成されており、
前記スリットの基端部には、幅狭部が設けられており、
前記幅狭部の幅は、前記板部の厚さの2倍以上、かつ、前記一対の板部の外側面間の最大距離より小さいことを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載の包装箱において、
前記挿入部材は、上縁部に形成された山折線に沿って折り曲げることで逆V字状に形成された一対の板部から構成されており、
前記底板部の、前記谷折線を挟んで前記スリットの反対側には、同スリットに連通し、前記挿入部材が挿入可能な延長スリットが形成されており、該延長スリットに、幅狭部が設けられており、
前記幅狭部の幅は、前記板部の厚さの2倍以上、かつ、前記一対の板部の外側面間の最大距離より小さいことを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、イチゴパック等のパックの周縁を掛架支持できる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、イチゴやサクランボ等の果物は、果肉が柔らかく傷つきやすい特性がある。そのため、これらの果物を収納したパックを包装箱内に箱詰めする際は、パックの底面が、包装箱底面になるべく接触しないように、包装箱内に、パックの周縁を掛架支持するパック受け部を設けるようにしている。
【0003】
このような構造を有する包装箱として、下記特許文献1には、トレイ型の箱本体と、箱本体内に配置される中仕切部材とを備えた、トレイ状の宙吊り包装箱が記載されている。前記箱本体の底面であって、その中央には、第1のパック受け部として一対の第1支持フラップが形成されていると共に、箱本体両側には、第2のパック受け部として第2支持フラップがそれぞれ形成されている。また、中仕切部材には、複数の嵌合溝が形成されている。
【0004】
上記宙吊り包装箱を組み立てる際には、まず、一対の第1支持フラップを起立状態にした後、中仕切部材を、箱本体の上方開口側から差し込んで、対応する嵌合溝に各第1支持フラップを嵌合させる。その後、各第2支持フラップを起立させて、中仕切部材の対応する嵌合溝にそれぞれ嵌合させる。こうして、すべての支持フラップが起立した状態となるように組み立てられて、パックを掛架支持可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記宙吊り包装箱では、上述したように、各支持フラップを起立させた状態で把持しつつ、中仕切部材の嵌合溝に嵌合させる必要があるため、作業が煩雑であるという不都合がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、パックの周縁を掛架支持するパック受け部を容易に組立てることができる包装箱に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、底板部及び角筒状の胴部からなる有底筒状の箱本体と、パックの周縁を掛架支持するパック受け部とを備える包装箱であって、前記底板部は、谷折線及び該谷折線の両端を結ぶ切れ目によって形成された起立片と、前記谷折線から前記起立片の中間部まで延設されたスリットとを有し、前記包装箱は、前記スリットよりも長く、前記底板部の裏面側から前記スリットに挿入される挿入部材を更に備えていることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、挿入部材はスリットよりも長いため、箱本体の底板部の裏面側からスリットに挿入部材を挿入しようとすると、挿入部材によって、起立片のスリットよりも先端側が押圧されて、起立片が起立され、パック受け部が形成される。よって、起立片を逐一起立させた状態で把持しながら、パック受け部を形成する必要がなく、パック受け部を容易に組立てることができる。
【0010】
本発明に係る包装箱においては、前記起立片は、前記底板部の裏面側から見たときに、前記スリットが同一直線上に位置するように形成された一対のものからなり、前記挿入部材は、起立した起立片間の前記スリットの先端どうしの間隔よりも、長く形成された板状をなしていることが好ましい。
【0011】
上記態様によれば、挿入部材は、起立した起立片間の前記スリットの先端どうしの間隔よりも、長く形成された板状をなしているので、箱本体の底板部の裏面側からスリットに挿入部材を挿入する際に、一対の起立片のスリットよりも先端側を同時に押圧して起立させることができ、パック受け部の組立て作業性を高めることができる。
【0012】
本発明に係る包装箱においては、前記挿入部材には、起立した状態における起立片の前記スリットよりも先端側を支持する支持部が形成されていることが好ましい。
【0013】
上記態様によれば、箱本体の底板部の裏面側からスリットに挿入部材を挿入して、起立した起立片が自身の付勢力によって底板部側へと復帰しようとしたり、パック受け部に作用したパックの荷重により、起立片が底板部側へと押されたりすると、挿入部材に形成された支持部が、起立片の、スリットよりも先端側を支持するので、起立片を起立した状態に維持することができ、パックを安定して支持することができる。
【0014】
本発明に係る包装箱においては、前記挿入部材は、その上縁部が前記起立状態における起立片の前記底板部からの最大高さよりも高い位置に突出するとともに、前記起立状態における起立片の、前記底板部の裏面側に近い面に隣接する側縁部に、前記起立状態における起立片の前記底板部からの最大高さよりも高い位置と、前記スリットの先端よりも低い位置とをつないで、内側に向かって凹む切欠き部が形成されており、前記切欠き部には、前記スリットよりも先端側で押圧された前記起立片が、弾性復帰によって入り込むようになっており、該切欠き部の上側の周縁に、入り込んだ前記起立片を抜け止め保持する抜け止め部が設けられていることが好ましい。
【0015】
上記態様によれば、箱本体の底板部の裏面側からスリットに挿入部材を挿入し、起立した起立片が弾性復帰する際に、切欠き部に入り込んで、切欠き部の上側の周縁に設けた抜け止め部が、起立片を抜け止め保持するので、起立片の起立した状態が解除されることを防止して、起立片が起立した状態に維持することができ、パックを長期に亘って安定して支持することができる。
【0016】
本発明に係る包装箱においては、前記挿入部材は、上縁部に形成された山折線に沿って折り曲げることで逆V字状に形成された一対の板部から構成されており、前記スリットの基端部には、幅狭部が設けられており、前記幅狭部の幅は、前記板部の厚さの2倍以上、かつ、前記一対の板部の外側面間の最大距離より小さいことが好ましい。
【0017】
上記態様によれば、スリットの基端部に設けた幅狭部の幅は、挿入部材を構成する一対の板部の厚さの2倍以上とされているので、一対の板部を当接させて、挿入部材をスリット内に挿入する際に、挿入しやすくなり、パック受け部の組立て作業性をより高めることができる。
【0018】
また、幅狭部の幅は、一対の板部の外側面間の最大距離より未満であるので、スリット内に挿入され逆V字状に復帰した一対の板部の外側面が、幅狭部の周縁に係止されるため、スリットから挿入部材を抜けにくくすることができる。
【0019】
本発明に係る包装箱においては、前記挿入部材は、上縁部に形成された山折線に沿って折り曲げることで逆V字状に形成された一対の板部から構成されており、前記底板部の、前記谷折線を挟んで前記スリットの反対側には、同スリットに連通し、前記挿入部材が挿入可能な延長スリットが形成されており、該延長スリットに、幅狭部が設けられており、前記幅狭部の幅は、前記板部の厚さの2倍以上、かつ、前記一対の板部の外側面間の最大距離より小さいことが好ましい。
【0020】
上記態様によれば、底板部に形成した延長スリットに設けた幅狭部の幅は、挿入部材を構成する一対の板部の厚さの2倍以上とされているので、一対の板部を当接させて、挿入部材を延長スリット内に挿入する際に、挿入しやすくなり、パック受け部の組立て作業性をより高めることができる。
【0021】
また、幅狭部の幅は、一対の板部の外側面間の最大距離より未満であるので、延長スリット内に挿入され逆V字状に復帰した一対の板部の外側面が、幅狭部に係止されるため、延長スリットから挿入部材を抜けにくくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、パック受け部の組立て時において、起立片を逐一起立させた状態で把持しながらパック受け部を形成する必要がなく、パック受け部を容易に組立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る包装箱の、第1実施形態を示す斜視図である。
【
図3】同包装箱を構成する挿入部材の展開図である。
【
図4】箱本体の底板部裏面側から挿入部材を挿入して、パック受け部を組立てる際の状態を示す、斜視図である。
【
図5】最大限起立した状態の起立片と、挿入部材との関係を示す説明図である。
【
図6A】パック受け部の組立て工程の、第1工程を示す説明図である。
【
図6B】パック受け部の組立て工程の、第2工程を示す説明図である。
【
図6C】パック受け部の組立て工程の、第3工程を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る包装箱の、第2実施形態を示す斜視図である。
【
図9】同包装箱を構成する挿入部材の展開図である。
【
図10】箱本体の底板部裏面側から挿入部材を挿入して、パック受け部を組立てる際の状態を示す、斜視図である。
【
図11A】パック受け部の組立て工程の、第1工程を示す説明図である。
【
図11B】パック受け部の組立て工程の、第2工程を示す説明図である。
【
図11C】パック受け部の組立て工程の、第3工程を示す説明図である。
【
図12A】パック受け部の組立て工程であって、
図11とは直交した断面における、第1工程を示す説明図である。
【
図12B】パック受け部の組立て工程であって、
図11とは直交した断面における、第2工程を示す説明図である。
【
図12C】パック受け部の組立て工程であって、
図11とは直交した断面における、第3工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る包装箱の、第1実施形態について説明する。
【0025】
図1に示すように、第1実施形態の包装箱10は、底板部20及び角筒状の胴部50からなる有底筒状の箱本体11と、略四角箱状をなし、イチゴや、ぶどう、さくらんぼ等が収容された、図示しないパックの周縁を掛架支持するパック受け部13とを備えている。また、包装箱10は、箱本体11とは別体の、挿入部材15を更に備えている。
【0026】
図2を併せて参照すると、底板部20は、一方向に長く延びる略長方形状をなしている。
【0027】
また、胴部50は、底板部20の長手方向に平行な一対の長辺に対して、折目線51aを介して折曲形成され、立設状態で互いに平行に配置される一対の第1側板51,51を有している。
【0028】
各第1側板51の、折目線51aとは反対側の側縁には、連結部53を介して、内板55がそれぞれ連設されている。また、各第1側板51の長手方向両端部には、折目線57aを介してフラップ57,57がそれぞれ連設されている。更に、各内板55の長手方向両端部にも、折目線59aを介してフラップ59,59がそれぞれ連設されている。各内板55の、連結部53とは反対側の側縁であって、長手方向両端部よりもやや内側には、係止溝55a,55aが形成されている。
【0029】
各第1側板51は、折目線51aを介して底板部20に対して立設するように折曲されると共に、連結部53を介して、各第1側板51の内側に内板55が重なり合うように折曲される。この際、内板55に形成した係止溝55a,55aは、その側方開口が箱本体11の内方側に向くこととなる。また、フラップ57,59は、第1側板51及び内板55に対して、折目線57a,59aを介して重なり合うように折曲されて、底板部20の短辺側に配置される。
【0030】
また、胴部50は、底板部20の幅方向(長手方向に直交する方向を意味する。以下の説明でも同様。)に平行な一対の短辺に対して、折目線61aを介して折曲形成され、立設状態で互いに平行に配置される一対の第2側板61,61を有している。
【0031】
各第2側板61の、折目線61aとは反対側の側縁には、連結部63を介して、内板65がそれぞれ連設されている。また、各内板65の長手方向両端部には、切込み67aにより切離すると共に、谷折線67bを介して箱本体11内方に向けて谷折される、支持タブ67,67がそれぞれ設けられている。更に、各内板65の、連結部63とは反対側の側縁であって、その長手方向中央部には、挿入溝69がそれぞれ形成されている。
【0032】
各第2側板61は、折目線61aを介して底板部20に対して立設するように折曲されると共に、第1側板51側のフラップ57,59を挟み込むようにして、連結部63を介して内板65が折曲される。そして、内板65に谷折形成された支持タブ67の先端部が、隣接する第1側板51の内板55の係止溝55aに係止することで、一対の第1側板51,51及び一対の第2側板61,61の立設状態が維持され、角筒状(ここでは四角筒状)をなすこととなる。
【0033】
また、底板部20は、第1谷折線21と、該第1谷折線21の両端を結ぶ第1切れ目23によって形成された第1起立片25と、第1谷折線21から第1起立片25の中間部まで延設された第1スリット27とを有している。更に底板部20は、第2谷折線31と、該第2谷折線31の両端を結ぶ第2切れ目33によって形成された第2起立片35と、第2谷折線31から第2起立片35の中間部まで延設された第2スリット37とを有している。以下、起立片25,35やスリット27,37等について詳述する。
【0034】
この第1実施形態の場合、
図2に示すように、底板部20の長手方向両端部に、第1起立片25,25がそれぞれ形成されている。また、底板部20の第1起立片25,25の間であって、底板部20の長手方向中央部に、固定端どうしが近接し且つ自由端どうしが離反する向きで、第2起立片35,35がそれぞれ形成されている。このように、この第1実施形態では、底板部20の長手方向両端部に形成された第1起立片25,25と、これらの第1起立片25,25の間に形成された第2起立片35,35との、4個の起立片を有している。なお、一方の第1起立片25とこれに隣接する一方の第2起立片35、及び、他方の第1起立片25とこれに隣接する他方の第2起立片35は、底板部20の幅方向に沿って延びる略長方形状の開口28を挟んで、その自由端どうしが切離して互いに対向する位置となるように配置されている(後述する第1切れ目23の先端切れ目23b、及び、第2切れ目33の先端切れ目33b切れ目が、互いに平行となるように、第1起立片25及び第2起立片35が配置されている)。
【0035】
また、上記の、一方の第1起立片25とこれに隣接する一方の第2起立片35が、本発明における「一対のもの」からなる起立片25,35を構成し、他方の第1起立片25とこれに隣接する他方の第2起立片35も、本発明における「一対のもの」からなる起立片25,35を構成する。すなわち、この実施形態では、一対の起立片25,35を二対備えた構造となっている。
【0036】
底板部20の各短辺側であって、折目線61aから所定長さだけ箱本体内方に離れた位置には、折目線61aに対して平行な直線状をなした第1谷折線21がそれぞれ形成されている。また、第1切れ目23は、各第1谷折線21の両端から、箱本体内方に向けて次第に拡開するように傾斜する側方切れ目23a,23aと、第1谷折線21に対して平行で、かつ、その両端が側方切れ目23a,23aの先端どうしを連結する先端切れ目23bとからなる。
【0037】
更に、底板部20の第1谷折線21,21の幅方向中央からは、第1起立片25の先端側に向けて、底板部20の長手方向に平行となるように、第1スリット27,27が同一直線上にそれぞれ形成されている。
【0038】
また、底板部20の、各第1谷折線21を挟んで各第1スリット27の反対側には、第1スリット27に連通し、挿入部材15が挿入可能な延長スリット29がそれぞれ形成されている。この延長スリット29と第1スリット27との境界部29aは、やや切欠かれた形状をなしており、挿入部材15を挿入しやすくなっている。
【0039】
一方、底板部20の長手方向中央部には、底板部20の幅方向に沿って延びる直線状をなした一対の第2谷折線31,31が、所定間隔をあけて互いに平行に形成されている。また、第2切れ目33は、各第2谷折線31の両端から、第2起立片35に対して対向配置された第1起立片25側に向けて、内側に凸となるように円弧状に屈曲しつつ拡開する側方切れ目33a,33aと、第2谷折線31に対して平行で、かつ、その両端が側方切れ目33a,33aの先端どうしを連結する先端切れ目33bとからなる。
【0040】
更に、底板部20の第2谷折線31,31の幅方向中央からは、第2起立片35の先端側に向けて、底板部20の長手方向に平行となるように、第2スリット37,37が同一直線上にそれぞれ形成されている。
【0041】
また、底板部20の、各第2谷折線31を挟んで各第2スリット37の反対側には、第2スリット37に連通し、挿入部材15が挿入可能な延長スリット39がそれぞれ形成されている。なお、この実施形態では、隣接配置された第2スリット37,37の反対側に形成された延長スリット39,39は、互いに連通するように連結されており、同一直線上に長く延びる一つのスリットをなしている。また、連結されてなる一つの延長スリット39の長手方向両端と、第2スリット37,37との境界部39aは、やや切欠かれた形状をなしており、挿入部材15を挿入しやすくなっている。
【0042】
なお、
図2に示すように、底板部20を裏面側から見たときに、第1スリット27、延長スリット29、第2スリット37、延長スリット39の全ては、同一直線上に位置するように形成されている。すなわち、上述した一対の起立片25,35は、そのスリット27,37が同一直線上に形成されたものとなっている。また、各スリット27,29,37,39は、上述した境界部29a,39aを除いて、一定幅で形成されており、その幅は、挿入部材15の後述する板部73(
図3,4参照)の厚さの2倍にほぼ適合する大きさとなっている。
【0043】
以上説明した起立片25,35は、
図4に示すように、挿入部材15をスリット27,37に挿入する前の状態では、底板部20と同一高さとなっている。また、各第1起立片25は、挿入部材15を第1スリット27に挿入することで、第1起立片25の、第1スリット27よりも先端側が押圧されて、第1谷折線21を介して谷折りされて、底板部20に対して起立する(
図5,6参照)。更に、各第2起立片35は、挿入部材15を第2スリット37に挿入することで、第2起立片35の、第2スリット37よりも先端側が押圧されて、第2谷折線31を介して谷折りされて、底板部20に対して起立する(
図5,6参照)。なお、
図5には、第1起立片25及び第2起立片35が最大限高く起立した状態が示されている。また、第1起立片25及び第2起立片35は、挿入部材15から押圧力が付与されない状態になると、起立した状態から弾性復帰して、底板部20側へと変形するようになっている。
【0044】
次に
図3~6を参照して、挿入部材15について説明する。
【0045】
図6に示すように、この挿入部材15は、底板部20の裏面側からスリット27,37に挿入されることで、第1起立片25の第1スリット27よりも先端側を押圧し、かつ、第2起立片35の第2スリット37よりも先端側を押圧して、第1起立片25及び第2起立片35を起立させて、パック受け部13を形成するものである。
【0046】
この実施形態の挿入部材15は、スリット27,37が同一直線上に位置する一対の起立片25,35に対応して、起立した一対の起立片25,35間の、スリット27,37の先端どうしの間隔W1よりも、長く形成された板状をなしている。
【0047】
また、この実施形態における挿入部材15は、その上縁に形成された互いに平行な山折線71,71に沿って折り曲げることで、逆V字状に形成された、一対の板部73,73から構成されている。更に、一対の板部73,73は、山折線71,71を設けた上縁部を介して、互いに近接離反して開閉するようになっている。
【0048】
また、一対の板部73,73は、常時は互いに開いて逆V字状に保形されている。そのため、一対の板部73,73を互いに近接させて閉じた状態で放置すると、一対の板部73,73が自身の付勢力によって開き、逆V字状に復帰するようになっている。
【0049】
なお、この実施形態では、一対の板部73,73の厚さが、各スリット27,29,37,39の幅にほぼ適合するので、挿入部材15をスリット内に挿入していく際及び挿入した状態では、一対の板部73,73は互いに近接して閉じた状態となる。
【0050】
各板部73は、底板部20の長手方向両端の長さよりも、やや短く延びる基部75を有している。この基部75の長手方向両端部には、下縁部に対して平行な上縁部を有する、挿入部75a,75aがそれぞれ形成されている。これらの挿入部75aは、第1スリット27内や、この第1スリット27に連通する延長スリット29内に挿入されるようになっている。また、基部75の長手方向中央部にも、下縁部に対して平行な上縁部を有する、挿入部75bが形成されている。この挿入部75bは、第2スリット37内や、この第2スリット37に連通する延長スリット39内に挿入されるようになっている。なお、挿入部75bの高さ(挿入部75bの下縁部から上縁部までの高さ)が、最も高く起立した状態の第2起立片35の第2スリット37の先端よりも低い位置となるように形成されている(
図5参照)。
【0051】
更に、基部75の、一方の挿入部75aと挿入部75bとの間、及び、他方の挿入部75aと挿入部75bとの間からは、突出部77がそれぞれ突出している。各突出部77は、切欠き77aを介して二股状に分離形成されている。
【0052】
また、突出部77の最大高さ、すなわち、基部75の下縁部から突出部77の上縁部までの高さは、起立片25,35の最大高さよりも高くなるように形成されている。そのため、
図1に示すように、箱本体11に挿入部材15を挿入して、パック受け部13を組立てた場合に、パック受け部13を構成する起立片25,35の上端よりも、挿入部材15の突出部77の上縁部が突出して、箱本体11の内部空間が仕切られる。すなわち、挿入部材15は、パック受け部13を押圧して起立させるのみならず、箱本体11内に配置される仕切りとしても機能する。
【0053】
また、突出部77には、起立状態における第1起立片25の、底板部20の裏面側に近い面(挿入部材15によって押圧される被押圧面ともいえる)に、隣接する位置に第1側縁部81が形成されている。更に、突出部77には、起立状態における第2起立片35の、底板部20の裏面側に近い面(挿入部材15によって押圧される被押圧面ともいえる)に、隣接する位置に第2側縁部91が形成されている。
図5に示すように、これらの側縁部81,91は、最も幅広となるように板部73の長手方向に突出した頂部81a,91aを有しており、これらの頂部81a,91aから突出部77の上縁部に向けて次第に幅狭となり、上縁部の両側部は丸みを帯びたR状をなしている。
【0054】
そして、各突出部77の最大幅W2(長手方向一端から他端までの長さ、
図6A参照)が、起立した一対の起立片25,35間の、スリット27,37の先端どうしの間隔W1よりも長く形成されている。その結果、スリット27,37に突出部77を挿入すると、突出部77が、一対の起立片25,35の、スリット27,37よりも先端側を同時に押圧して、一対の起立片25,35を起立させることが可能となっている。
【0055】
更に、第1側縁部81には、第1起立片25の底板部20からの最大高さよりも高い位置と第1スリット27の先端よりも低い位置とをつないで、突出部77の内側に向かって凹む切欠き部83が形成されている。
【0056】
なお、上記の、第1起立片25の底板部20からの最大高さとは、
図5に示すように、第1起立片25が最も高く起立した状態、すなわち、底板部20に対して第1起立片25が90°の角度で起立した状態での高さを意味する。第2起立片35の底板部20からの最大高さも同様の意味である。また、上記の、第1スリット27の先端とは、
図5に示すように、第1起立片25が最も高く起立した状態での、第1スリット27の先端の高さ、すなわち、底板部20に対して第1起立片25が90°の角度で起立した状態での、第1スリット27の先端の高さを意味する。第2スリット37の先端も同様の意味である。
【0057】
また、上記切欠き部83には、第1スリット27よりも先端側で押圧された第1起立片25が、弾性復帰によって入り込むようになっていると共に、該切欠き部83の上側の周縁に、入り込んだ第1起立片25を抜け止め保持する抜け止め部85が設けられている。すなわち、この切欠き部83は、挿入部75aの切欠き部83側の上端から、突出部上縁に向けて且つ斜め内側(切欠き77a側)に向けて傾斜して延びる傾斜部84と、該傾斜部84の上端から斜め外側(切欠き77aとは反対側)に向けて傾斜して延び、第1起立片25の上端部に係止可能とされた、抜け止め部85とから形成されている。
【0058】
また、
図5に示すように、抜け止め部85の最大高さ(挿入部75aの下縁部から、抜け止め部85の外側端部までの高さ)は、起立した状態の第1起立片25が底板部20側へ変形する際に、切欠き部83内に第1起立片25が入り込むことが可能な高さで形成されている。そのため、切欠き部83内に第1起立片25が入り込んだ状態で、第1起立片25の上端部よりも上方に、抜け止め部85が位置するようになっている。
【0059】
更に、傾斜部84の最小高さ(挿入部75aの下縁部から、傾斜部84の下端までの高さ)は、最も高く起立した状態の第1起立片25の第1スリット27の先端よりも低い位置に形成されている。そのため、最も高く起立した状態の第1起立片25が、弾性復帰して底板部20側へ変形する際に、切欠き部83の傾斜部84と第1スリット27の先端との間で、所定のクリアランスが確保されるので、切欠き部83内に第1起立片25が入り込むことが可能となり、第1起立片25の、底板部20側への変形が許容されるようになっている。
【0060】
仮に、切欠き部83の傾斜部84の下端が、第1スリット27の先端よりも高い場合には、第1起立片25が弾性復帰して底板部20側へと変形しようとする際に、第1スリット27の先端内周に傾斜部84が引っ掛かって、切欠き部83内に第1起立片25が入り込むことが不可能となり、第1起立片25の底板部20側への変形が規制される。
【0061】
そして、上記のように、第1起立片25が弾性復帰して、その第1スリット27内に切欠き部83の傾斜部84が入り込んだ状態では、
図6Cに示すように、第1起立片25の、第1スリット27の先端側の内周縁部が、傾斜部84によって支持されるようになっている。その結果、第1起立片25は、底板部20に対して斜めに傾いた状態で支持される。また、この状態では、切欠き部83の上側の周縁に設けた抜け止め部85が、切欠き部83内に入り込んだ第1起立片25の上端部に係止可能となって、第1起立片25を抜け止め保持する。
【0062】
一方、第2側縁部91は、基部75の挿入部75bの上端から、基部75の長手方向に対して直交するように延び、起立した状態の第2起立片35の、第2スリット37よりも先端側を支持する支持部92と、この支持部92の上端から、突出部上縁に向けて且つ斜め内側(切欠き77a側)に傾斜して延びる傾斜部94と、該傾斜部94の上端から斜め外側(切欠き77aとは反対側)に向けて傾斜して延び、第2起立片35の上端部に係止可能とされた、抜け止め部95とを有している。なお、抜け止め部95の外側端部は、支持部92の側縁部よりも突出部外方に向けてやや出っ張った形状をなしている。
【0063】
上記の傾斜部94及び抜け止め部95によって、突出部77の内側に向かって凹む切欠き部93が形成される。この切欠き部93には、突出部77の、切欠き部93より先端側で押圧された第2起立片35が、弾性復帰によって入り込むようになっていると共に、切欠き部93の上側の周縁に設けた抜け止め部95が、入り込んだ第2起立片35の上端部に係止可能となって、第2起立片35を抜け止め保持するようになっている。
【0064】
更に
図6Cに示すように、抜け止め部95の最大高さ(挿入部75bの下縁部から、抜け止め部95の外側端部までの高さ)が、最も高く起立した状態の第2起立片35の底板部20からの最大高さよりも高く形成されている。そのため、第2起立片35の上端部よりも上方に、抜け止め部95が位置するようになっている。
【0065】
また、支持部92の最大高さ(挿入部75bの下縁部から、支持部92の上端までの高さ)が、最も高く起立した状態の第2起立片35の第2スリット37の先端よりも高い位置に形成されている。そのため、最も高く起立した状態の第2起立片35が、弾性復帰して底板部20側へと変形すると、第2起立片35の上端部が、切欠き部93内に入り込むと共に、起立状態における第2起立片35の、第2スリット37の先端側の、底板部20の裏面側に近い面に、支持部92の上端部が当接して、同第2起立片35が底板部20に対して斜めに傾いた状態で支持されるようになっている。この際、上述したように、抜け止め部95の外側端部が、支持部92の側縁部よりも突出部外方に向けてやや出っ張っているので、支持部92によって支持される第2起立片35の上端部に、抜け止め部95が確実に係止可能となっている。
【0066】
更に上述したように、第2スリット37内に挿入される挿入部75bは、その最小高さが、最も高く起立した状態の第2起立片35の第2スリット37の先端よりも低い位置となるように形成されているので、最も高く起立した状態の第2起立片35が、弾性復帰して底板部20側へと変形しようとする際に、挿入部75bの上端と第2スリット37の先端との間で、所定のクリアランスが確保されて、第2起立片35の、底板部20側への変形が許容されるようになっている。
【0067】
次に、上記構成からなる包装箱10の、パック受け部の組立て工程について、
図3~6を参照して説明する。
【0068】
まず、箱本体11を組立てる。すなわち、一対の第1側板51,51を、折目線51a,51aを介して底板部20に対して立設するように折曲すると共に、連結部53を介して、各第1側板51の内側に内板55が重なり合うように折曲する。また、折目線57a,59aを介して、フラップ57,59を重なり合うように折曲して、底板部20の短辺側にそれぞれ配置する。
【0069】
次いで、一対の第2側板61,61を、折目線61a,61aを介して底板部20に対して立設するように折曲すると共に、第1側板51側のフラップ57,59を挟み込むようにして、連結部63を介して内板65を折曲する。更に、各支持タブ67の先端部を、隣接配置された第1側板51の内板55の係止溝55aにそれぞれ係止することで、
図1に示すように、一対の第1側板51,51及び一対の第2側板61,61が角筒状に保持されて、箱本体11が組立てられる。
【0070】
次に、挿入部材15の一対の板部73,73を互いに近接させ閉じた状態にした後、
図4に示すように、一対の起立片25,35のスリット27,37に、挿入部材15の一方の突出部77の側縁部81,91をそれぞれ位置合わせすると共に、もう一対の起立片25,35のスリット27,37に、挿入部材15の他方の突出部77の側縁部81,91をそれぞれ位置合わせする。
【0071】
この状態で、
図6Aに示すように、底板部20の裏面側から、一対の起立片25,35のスリット27,37内に、挿入部材15の突出部77を挿入していく。すると、突出部77の上縁部の両側部によって、一対の起立片25,35の、スリット27,37よりも先端側が押圧されて、一対の起立片25,35が、谷折線21,31を介して起立していく。その後、
図6Bに示すように、突出部77の側縁部81,91が、起立片25,35のスリット27,37内に入り込み、同スリット27,37の先端内周を押圧する。
【0072】
更に、挿入部材15を挿入すると、突出部77の頂部81a,91aが、起立片25,35の、底板部20の裏面側に近い面を押圧して、互いに離間するように押し広げる。また、挿入部材15の挿入部75aが、延長スリット29及び第1スリット27内に挿入され、かつ、第2側板61の内板65に設けた挿入溝69内に挿入されると共に、挿入部75bが延長スリット39及び第2スリット37内に挿入される。その後、
図6Cに示すように、突出部77の頂部81a,91aが、起立片25,35の上端部を超えると、起立片25,35がそれぞれ弾性復帰する。
【0073】
第1起立片25が弾性復帰すると、その第1スリット27内に切欠き部83の傾斜部84が入り込み、抜け止め部85が第1起立片25の上端部に係止して、同第1起立片25が抜け止め保持されると共に、第1起立片25の、第1スリット27の先端側の内周縁部が、傾斜部84によって支持されて、第1起立片25が、底板部20に対して斜めに傾いた状態で支持される。
【0074】
一方、第2起立片35が弾性復帰すると、その上端部が、切欠き部93内に入り込み、抜け止め部95が第2起立片35の上端部に係止可能となって、同第2起立片35が抜け止め保持されると共に、第2起立片35の、第2スリット37の先端側の内面に、支持部92の上端部が当接して、第2起立片35が、底板部20に対して斜めに傾いた状態で支持される。
【0075】
以上のようにして、起立片25,35を起立した状態に支持して、
図1に示すように、箱本体11内にパック受け部13を形成することができる。
【0076】
上記のように、この包装箱10においては、箱本体11の底板部20の裏面側からスリット27,37に挿入部材15を挿入するだけの簡単な作業で、起立片25,35のスリット27,37よりも先端側が押圧されて、起立片25,35が起立されるので、
図1に示すように、、箱本体11内にパック受け部13を形成することができる。そのため、起立片25,35を逐一起立させた状態で把持しながら、パック受け部13を形成する必要がなく、パック受け部13を容易に組立てることができる。
【0077】
そして、包装箱10の箱本体11の内部空間に、パックを収容すると、パックの長手方向両側の下縁部が、パック受け部をなす起立片25,35の上端によって掛架(支持)されると共に、パックの一側縁部の一端部の下縁部が、支持タブ67の上端によって掛架され、かつ、パックの他側縁部の外側に、仕切りをなす挿入部材15の突出部77が配置される。その結果、箱本体11内でのパックの位置ずれを防止しつつ、箱本体11内に複数のパックを収容保持することができる。この実施形態では、箱本体11内に4個のパックを収容保持することができる。
【0078】
また、
図2に示すように、起立片25,35は、底板部20の裏面側から見たときに、スリット27,37が同一直線上に位置するように形成された一対のものからなり、挿入部材15は、起立した起立片25,35間の、スリット27,37の先端どうしの間隔W1よりも、長く形成された板状をなしている。そのため、箱本体11の底板部20の裏面側からスリット27,37に挿入部材15を挿入する際に、一対の起立片25,35を同時に押圧して起立させることができ、パック受け部13の組立て作業性を高めることができる。
【0079】
更に、この実施形態においては、挿入部材15には、起立した状態における第2起立片35の、第2スリット37よりも先端側を支持する支持部92が形成されている。これによれば、箱本体11の底板部20の裏面側からスリット37に挿入部材15を挿入して、起立した第2起立片35が自身の付勢力によって底板部20側へと復帰しようとしたり、或いは、パック受け部13に作用したパックの荷重により、第2起立片35が底板部20側へと押されたりすると、
図6Cに示すように、挿入部材15に形成された支持部92が、第2起立片35の、第2スリット37よりも先端側を支持するので、第2起立片35を起立した状態に維持することができ、パックを安定して支持することができる。
【0080】
また、この実施形態においては、箱本体11の底板部20の裏面側からスリット27,37に挿入部材15を挿入し、起立した起立片25,35が弾性復帰する際に、切欠き部83,93に入り込んで、切欠き部83,93の上側周縁に設けた抜け止め部85,95が、起立片25,35の上端部にそれぞれ係止して、起立片25,35を抜け止め保持する。そのため、起立片25,35の起立した状態が解除されることを防止して、起立片25,35が起立した状態に維持することができ、パックを長期に亘って安定して支持することができる。また、抜け止め部85,95を介して、箱本体11に対して挿入部材15を抜け止め保持することができるので、箱本体11から挿入部材15が脱落することを確実に防止することができる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、
図7~12を参照して、本発明に係る包装箱の、第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一部分には同符号を付して、その説明を省略することにする。
【0082】
第1実施形態の包装箱10が、抜け止め部85,95を介して、箱本体11に対して挿入部材15を抜け止め保持可能であったのに対し、第2実施形態の包装箱10Aは、箱本体11Aに対する挿入部材15Aの抜け止め保持構造が異なっている。
【0083】
まず、箱本体11Aについて説明する。箱本体11の底板部20に形成されたスリット27,29,37,39の幅は、挿入部材15Aの、一対の板部73,73の厚さの2倍以上となっている。そのため、挿入部材15Aの一対の板部73,73は、スリット27,29,37,39内に挿入した場合に、一対の板部73,73が互いに離反して開くようになっている(
図12C参照)。
【0084】
図8に示すように、第1スリット27に連通して形成された延長スリット29の、対向配置された内側縁部からは、突片状をなした幅狭部29bが突設されており、延長スリット29の開口幅が幅狭となっている。更に、第2スリット37,37に連通して形成された延長スリット39の長手方向中央であって、対向配置された内側縁部からも、突片状をなした幅狭部39bが突設されており、延長スリット39の開口幅が幅狭となっている。
【0085】
上記の幅狭部29b,39bの幅は、挿入部材15Aの、一対の板部73,73の厚さの2倍以上で、かつ、一対の板部73,73の外側面間の最大距離より小さくなるように形成されている。なお、一対の板部73,73の外側面間の最大距離とは、一対の板部73,73が、山折線71,71を形成した上縁部を介して互いに離反して最大限開いたときの、板部73,73の下縁部の外側面どうしの距離を意味する。
【0086】
また、挿入部材15Aの挿入部75a,75bの高さ(下縁部から上縁部までの高さ)は、底板部20の内面(裏面とは反対側の面)から、起立した状態の起立片25,35の、スリット27,37の先端までの長さよりも小さく形成されている。そのため、起立状態の第1起立片25の、第1スリット27の先端と、上記幅狭部29bとの間に、挿入部75aが配置可能となると共に、起立状態の第2起立片35の、第1スリット37の先端と、上記幅狭部39bとの間に、挿入部75bが配置可能となっている。
【0087】
一対の板部73,73を上記のように構成したため、一対の板部73,73を近接させ閉じた状態で、幅狭部29b,39bを通して延長スリット29,39内に挿入可能となり(
図12B参照)、また、延長スリット29,39やそれらに連通するスリット27,37内に、一対の板部73,73が挿入されると、一対の板部73,73が自身の付勢力によって開いて逆V字状に復帰して、その外側面が、幅狭部29b,39bの周縁に係止されるようになっている(
図12C参照)。この実施形態では、逆V字状に復帰した一対の板部73,73の外側面が、スリット27,37の内周縁に係止されると共に、突片状をなす幅狭部29b,39bの内面(底板部20の裏面とは反対側の面)に係止されて、スリット27,29,37,39から、挿入部材15Aの挿入部75a,75bが抜け出ることが防止されるようになっている。
【0088】
一方、挿入部材15Aは、突出部77Aの形状が、前記実施形態の突出部77と異なっている。
【0089】
すなわち、突出部77Aの、起立状態における第1起立片25の、底板部20の裏面側に近い面に隣接する第1側縁部81Aは、傾斜部84と、この傾斜部84の上端から斜め内側に向けて傾斜して延びる、延出部87とから構成されている。傾斜部84の最小高さは、最も高く起立した状態の第1起立片25の第1スリット27の先端よりも低い位置に形成されており、傾斜部84と第1スリット27の先端との間でクリアランスが確保され、第1起立片25が底板部20側へ変形可能となっている。
【0090】
一方、起立状態における第2起立片35の、底板部20の裏面側に近い面に隣接する第2側縁部91Aは、第2起立片35の、第2スリット37よりも先端側を支持する支持部92と、この支持部92の上端から、突出部上縁部に向けて且つ斜め内側に傾斜して延びる延出部97とから構成されている。支持部92の最大高さは、最も高く起立した状態の第2起立片35の第2スリット37の先端よりも高い位置に形成されており、支持部92の上端部が、第2起立片35の、第2スリット37の先端側の内面に当接して、同第2起立片35を支持するようになっている。
【0091】
次に、上記構成からなる包装箱10Aの、パック受け部の組立て工程について、
図10~12を参照して説明する。なお、箱本体11Aの組立てについては、第1実施形態と同様であるので省略する。
【0092】
すなわち、挿入部材15Aの一対の板部73,73を互いに近接させ閉じた状態にした後、
図10に示すように、組立てられた箱本体11Aの底板部20の裏面側の、一対の起立片25,35のスリット27,37に、挿入部材15Aの一方の突出部77Aの側縁部81A,91Aを位置合わせし、かつ、もう一対の起立片25,35のスリット27,37に、挿入部材15の他方の突出部77Aの側縁部81A,91Aを位置合わせする。
【0093】
この状態で、
図11Aに示すように、底板部20の裏面側から、一対の起立片25,35のスリット27,37内に、挿入部材15Aの突出部77Aを挿入していく。なお、
図12Aにも、この状態が示されている。
【0094】
すると、突出部77Aの突出方向上端部の両側部によって、一対の起立片25,35の、スリット27,37よりも先端側が押圧されて、一対の起立片25,35が、谷折線21,31を介して起立していく。その後、
図11Bに示すように、突出部77Aの側縁部81A,91Aを構成する延出部87,97の上端角部によって、起立片25,35の、スリット27,37よりも先端側が押圧されて、更に起立片25,35が起立していく。
【0095】
更に挿入部材15Aを挿入すると、第1起立片25の第1スリット27内に、第1側縁部81Aの傾斜部84が入り込むと共に、挿入部75aが、幅狭部29bを通過して、第1スリット27及び延長スリット29内に挿入され、かつ、第2側板61の内板65に設けた挿入溝69内に挿入される。一方、第2起立片35の第2スリット37よりも先端側の内面に、第2側縁部91Aの支持部92が摺接すると共に、挿入部75bが、幅狭部39bを通過して、延長スリット39及び第2スリット37内に挿入される。
【0096】
すると、
図11Cに示すように、第1起立片25の、第1スリット27の先端側の内周縁部が、傾斜部84によって支持されて、第1起立片25が、底板部20に対して斜めに傾いた状態で支持されると共に、第2起立片35の、第2スリット37の先端側の内面に、支持部92の上端部が当接して、第2起立片35が、底板部20に対して斜めに傾いた状態で支持される。その結果、起立片25,35を起立した状態に支持して、
図7に示すように、箱本体11内にパック受け部13を形成することができる。
【0097】
また、挿入部材15Aをスリット27,29,37,39に挿入する際には、
図12Aに示すように、一対の板部73,73を互いに近接させ閉じた状態で、挿入部75a,75bを、幅狭部29b,39bを通過させて、延長スリット29,39及びスリット27,37内に挿入していく(
図12B参照)。そして、スリット27,37内に挿入部75a,75bが挿入されると、
図12Cに示すように、一対の板部73,73は、自身の付勢力によって開いて逆V字状をなすように復帰し、それらの外側面が幅狭部29b,39bの周縁に係止、ここではスリット27,37の内周縁に係止されると共に、幅狭部29b,39bの内面に係止される。なお、
図12Cには、第2起立片35の第2スリット37や延長スリット39等と、挿入部材15Aとの関係のみが示されているが、これは便宜上のものである。
【0098】
このように、この第2実施形態の包装箱10Aにおいては、延長スリット29,39に設けた幅狭部29b,39bの幅が、挿入部材15Aを構成する一対の板部73,73の厚さの2倍以上とされているので、一対の板部73,73を当接させて、挿入部材15Aをスリット27,37内に挿入する際に挿入しやすくなり、パック受け部13の組立て作業性をより高めることができる。
【0099】
また、幅狭部29b,39bの幅は、一対の板部73,73の外側面間の最大距離より小さいので、スリット27,37内に挿入され逆V字状に復帰した一対の板部73,73が、箱本体11A内でのパックの位置ずれやパックの荷重等によって、スリット27,29,37,39から抜け出ようとしても、一対の板部73,73の外側面が、幅狭部29b,39bの周縁に係止されるので、スリット27,29,37,39から挿入部材15Aを抜けにくくすることができる。
【0100】
更に、幅狭部29b,39bの幅は、一対の板部73,73の厚さの2倍以上とされているので、スリット27,37内に挿入した一対の板部73,73を再度当接させることで、スリット27,29,37,39から挿入部材15Aを容易に抜き出すことができ、包装箱10Aを、箱本体11Aと挿入部材15Aとに分解しやすくして、包装箱10Aを廃棄しやすくなる。
【0101】
[変形例]
【0102】
第1,第2実施形態では、底板部20は略長方形状をなしているが、底板部としては、例えば、三角形や、長方形以外の四角形(正方形等)、五角形、更には、六角形以上の矩形状等であってもよい。また、第1,第2実施形態の胴部50は、底板部20の長方形状に対応して四角筒状をなしているが、胴部としては、例えば、三角筒状や、方形筒状、五角筒状、更には、六角筒状以上の角筒状であってもよい。
【0103】
また、第1,第2実施形態では、第1側板51及び第2側板61は、それぞれ内板55,65を有する二重板状をなしているが、側板としては、一枚の板であってもよく、3枚以上の板を重ね合わせる構造であってもよい。
【0104】
更に、第1,第2実施形態では、第2側板61側に支持タブ67を形成して、これを第1側板51側の係止溝55aに係止させて、胴部50の角筒形状を維持するようになっているが、胴部の角筒形状の維持構造としては、これに限定されるものではない。例えば、(1)第1側板又は第2側板の一方に突片を形成し、第1側板又は第2側板の他方に切込みを形成しておき、立設状態とした側板の突片を、隣接する側板の切込みに係止させることで、胴部の角筒形状を維持したり、(2)第1側板に連設する内板の下端面側、及び/又は、第2側板に連設する内板の下端面側に、差込み片を垂設しておき、底板部の長辺側及び/又は短辺側に、前記差込み片を差込み可能なスリットを形成しておき、立設状態とした側板の差込み片を、底板部のスリットに差込むことで、胴部の角筒形状を維持したりしてもよい。なお、上記(2)の構造の場合には、差込み片を形成しない方の側板の長手方向両側に、第1,第2実施形態と同様の支持タブを形成しておき(ただし、隣接する側板には係止溝を設けない)、側板を立設状態としたときに、支持タブを折曲形成して、パックの周縁を掛架させるようにしてもよい。
【0105】
また、第1,第2実施形態では、支持タブ67は、各第2側板61に連設した内板65の長手方向両側部にそれぞれ形成されていて、四角筒状をなした箱本体11の四隅に、支持タブ67が配置されるようになっているが(箱本体に4個の支持タブ67が配置される構造)、例えば、支持タブを、箱本体の斜めに対向する一対の隅部(対角線上に位置する一対の隅部)のみに配置するようにしてもよい。
【0106】
更に第1,第2実施形態では、底板部20の長手方向両端部に形成された第1起立片25,25と、これらの第1起立片25,25の間に形成された第2起立片35,35との、4個の起立片を有しているが、例えば、(1)底板部20の所定箇所に起立片を一個だけ形成したり、(2)底板部20の長手方向一端部及び/又は他端部のみに、起立片を形成したり、(3)底板部20の幅方向一端部及び/又は他端部のみに、起立片を形成したり、(4)底板部20の長手方向中央部分のみに、起立片を1個又は2個以上形成したり、(5)底板部20の斜めに対向する隅部に、起立片をそれぞれ形成したり(底板部20の対角線上に形成)してもよく、起立片の個数やレイアウトは特に限定されない。
【0107】
また、第1,第2実施形態では、一対の起立片25,35の自由端どうしが、略長方形状の開口28を介して切離されているが、このような開口28は形成しなくともよい。ただし、一対の起立片25,35を一つの挿入部材15で同時に押圧する構造とする場合には、一対の起立片25,35の自由端どうしの間に、スリット27,37に対して同一直線上に配置され、挿入部材が挿入可能なスリットが必要となる。
【0108】
更に第1,第2実施形態では、第1起立片25を形成する第1谷折線21は、底板部20の折目線51aに平行な直線状をなし、第2起立片35を形成する第2谷折線31は、隣接するものどうしが互いに平行な直線状をなしているが、これらの谷折線は、例えば、曲線状をなしていてもよい。また、第1切れ目の側方切れ目や、第2切れ目の側方切れ目としては、例えば、(1)箱本体内方に向けて次第に幅狭となる形状としたり、(2)一定幅で延びる形状としたり、(3)曲面を描きつつ拡開又は幅狭となる形状としたりしてもよく、谷折線の両端から延びる形状であればよい。更に、第1切れ目の先端切れ目や、第2切れ目の先端切れ目としては、例えば、(1)箱本体内方に向けて凸の曲線状をなしていたり、(2)第1谷折線21に向けて凹む曲線状をなしていたりしてもよく、側方切れ目どうしを結ぶ形状であればよい。
【0109】
また、第1,第2実施形態では、スリット27,29,37,39は、底板部20の長手方向に平行で、かつ、同一直線上に配置されているが、これらのスリットは、起立片の個数やレイアウトに応じて適宜設定することができ、例えば、(1)底板部20の長手方向や幅方向に対して所定角度で傾斜して延びていたり、(2)底板部20の幅方向に平行に延びていたりしていてもよい。更に、第1スリットは境界部を除いて一定幅で延び、第2スリットは幅狭部を除いて一定幅で延びているが、これらのスリットとしては、例えば、(1)長手方向一端を幅広とし長手方向他端に向けて幅狭としたり、(2)長手方向一端を幅狭とし長手方向他端に向けて幅広としたりしてもよく、挿入部材が挿入可能で且つ挿入部材によってスリット先端を押圧可能であればよい。
【0110】
また、第1,第2実施形態の挿入部材15,15Aは、上縁に形成された山折線71,71に沿って折り曲げることで、逆V字状に形成された、一対の板部73,73から構成されているが、挿入部材としては、一枚の板部から形成したり、3枚以上の板部を適宜折り曲げてなる構造としたりしてもよく、特に限定されない。更に、第1,第2実施形態では、一つの挿入部材15,15Aによって、4個の起立片を同時に押圧する構成となっているが、例えば、複数の挿入部材によって、複数の起立片を押圧する構成としてもよい(例えば、箱本体の四隅に起立片を形成しておき、一つの挿入部材によって、対角線上の一対の起立片を押上げ、もう一つの挿入部材によって、対角線上のもう一対の起立片を押上げる構成等が想定される)。ただし、挿入部材としては、スリットよりも長く延びた形状をなしており、スリットへの挿入時に、起立片のスリットよりも先端側を押圧可能である形状であることが必要である。
【0111】
また、第1,第2実施形態の挿入部材15,15Aは、一対の突出部を有しているが、例えば、突出部を1個だけ設けたり、3個以上設けたりしてもよく、起立片の個数やレイアウトに応じて適宜設定することができる。更に、第1実施形態における突出部77は、切欠き77aを介して二股状に分離形成されているが、このような切欠き77aは形成しなくともよく、或いは、2個以上の切欠きを介して、突出部を3片以上に分離形成してもよい。また、第2実施形態における突出部77Aには、切欠き77aは形成されていないが、第1実施形態と同様に、切欠き77aを介して二股状にしたり、2個以上の切欠きを介して3片以上に分離形成してもよい。
【0112】
更に第1実施形態における突出部77の第1側縁部81には、傾斜部84及び抜け止め部85からなる切欠き部83を形成したが、傾斜部84の傾斜角度は適宜設定することができる。また、切欠き部としては、例えば、コ字状としたり、横向きの略V字状や、略U字状、アリ溝状等としたり、抜け止め部を逆テーパ状(外側端部が低く内側端部が高い形状)に形成したりしてもよく、切欠き部内に嵌入した第1起立片を、抜け止め保持可能な形状であればよい。
【0113】
更に、第1実施形態における突出部77の、第1側縁部81側の抜け止め部85の最大高さは、起立した状態の第1起立片25が底板部20側へ変形する際に、切欠き部83内に第1起立片25を嵌入可能な高さで形成されているが、抜け止め部85の最大高さを、第1起立片25の最大高さよりも高く形成してもよい。
【0114】
また、第1実施形態における突出部77の第2側縁部91には、基部75の長手方向に対して直交して延びる支持部92を形成したが、支持部92は、基部75の長手方向に対して所定角度で傾斜していてもよい。更に、第2側縁部91には、傾斜部94及び抜け止め部95からなる切欠き部93が形成されているが、この切欠き部としては、例えば、コ字状としたり、横向きの略V字状や、略U字状、アリ溝状等としたとしたり、抜け止め部を逆テーパ状に形成したりしてもよく、切欠き部内に嵌入した第2起立片を、抜け止め保持可能な形状であればよい。
【0115】
また、第1実施形態における突出部77は、その両側縁部81,91に、抜け止め部85,95を形成したが、どちらか一方の側縁部のみに抜け止め部を形成してもよい。
【0116】
更に、第2実施形態における突出部77の第1側縁部81Aには、傾斜部84及び延出部87が形成されているが、これらの傾斜部や延出部の傾斜角度や形状等は、特に限定されず適宜設定することができ、同様に、突出部77の第2側縁部91Aにおける、支持部92や延出部97の傾斜角度や形状等も、特に限定されず適宜設定することができる。
【0117】
また、第2実施形態においては、第1スリット27に連通する延長スリット29、及び、第2スリット37,37に連通する延長スリット39に、それぞれ幅狭部29b,39bが形成されているが、第1スリット27の基端部や、第2スリット37の基端部に、幅狭部を形成してもよい。
【0118】
この場合も、延長スリット29,39側に幅狭部29b,39bを形成した構成と同様の効果、すなわち、(1)挿入部材15Aをスリット内に挿入しやすくパック受け部13の組立て作業性をより高める、(2)スリット27,29,37,39から挿入部材15Aが抜け出ようとしても、スリット基端部に形成した幅狭部に一対の板部73,73が引っ掛かり、スリット27,29,37,39から抜けにくい、(3)スリット27,37内に挿入した一対の板部73,73を再度当接させることで、スリット27,29,37,39から挿入部材15Aを容易に抜き出して、包装箱10Aを廃棄しやすい、等といった効果が得られる。
【0119】
更に第2実施形態においては、挿入部材15Aの挿入部75a,75bの高さは、底板部20の内面から、起立状態の起立片25,35の、スリット27,37の先端までの長さよりも小さく形成されている。ただし、挿入部材の挿入部の高さを、底板部の内面から起立状態の起立片のスリット先端までの長さよりも長く形成して、スリット内に挿入部材の挿入部が挿入された状態で、幅狭部から、スリット外方に向けて、一対の板部の下縁部が突出する構造としてもよい。この態様の場合も、底板部裏面側から挿入部材をスリット内に挿入して、スリット内に挿入部が挿入された後、一対の板部が逆V字状に復帰する際に、一対の板部の下縁部の外側面が、幅狭部の内側縁部に係止するので、スリットから挿入部材15Aを抜けにくくすることができる。
【0120】
なお、第2実施形態のように、延長スリットやスリット基端部に幅狭部を設ける構造は、第1実施形態に適用することもできる。この場合、起立片を押圧して起立させた挿入部材は、その上端部が抜け止め部によって抜け止め保持されると共に、下端部が幅狭部によって抜け止め保持されるので、スリット内から挿入部材を、より一層抜けにくくすることができるという利点が得られる。ただし、スリット基端部側に幅狭部を設けた場合には、幅狭部の肉厚分だけ、起立片に形成される切欠き部の、上側周縁に位置する抜け止め部の最大高さを、起立片の最大高さよりも高く形成する必要がある。
【符号の説明】
【0121】
10,10A 包装箱
11,11A 箱本体
13 パック受け部
15,15A 挿入部材
20 底板部
25 第1起立片
27 第1スリット
29 延長スリット
29b 幅狭部
35 第2起立片
37 第2スリット
39 延長スリット
39b 幅狭部
50 胴部
51,51 第1側板
73 板部
77,77A 突出部
81,81A 第1側縁部
83,93 切欠き部
85,95 抜け止め部
91,91A 第2側縁部