(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】勾配磁界センサ、及び磁性物検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/022 20060101AFI20240530BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240530BHJP
G01N 27/72 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
G01R33/022
G01R33/02 Z
G01N27/72
(21)【出願番号】P 2020122886
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】長久保 洋介
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/060344(WO,A1)
【文献】特開2015-200524(JP,A)
【文献】特開2005-315812(JP,A)
【文献】特開昭48-84612(JP,A)
【文献】特開2013-57645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 33/04
G01N 27/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源が有する第1電源端子が接続される交流電源接続端子と、
前記交流電源接続端子とグラウンドとの間に接続される第1磁気コアと、
前記交流電源接続端子とグラウンドとの間において前記第1磁気コアと並列に接続される第2磁気コアと、
前記交流電源接続端子と、前記第1磁気コアと前記第2磁気コアとの少なくとも一方との間に接続され、前記第1磁気コアと前記第2磁気コアとの少なくとも一方に流れる交流電流を制御する交流電流制御部と、
前記第1磁気コアに巻回される第1検出コイルと、
前記第2磁気コアに巻回され、且つ、前記第1検出コイルと差動接続される第2検出コイルと、
前記第1検出コイルから出力される第1電圧と、前記第2検出コイルから出力される第2電圧との差分に応じた電圧を検出する検出回路と、
を備え
、
前記交流電流制御部は、前記交流電源接続端子から前記第1磁気コアに流れる第1交流電流と、前記交流電源接続端子から前記第2磁気コアに流れる第2交流電流との少なくとも一方を移相する移相部を含む、
勾配磁界センサ。
【請求項2】
前記交流電源が有する第2電源端子がグラウンドに接地される前記交流電源を備える、
請求項1に記載の勾配磁界センサ。
【請求項3】
前記交流電流制御部は、前記交流電源接続端子から前記第1磁気コアに流れる第1交流電流と、前記交流電源接続端子から前記第2磁気コアに流れる第2交流電流との少なくとも一方の振幅を調整する振幅調整部を含む、
請求項
1又は2に記載の勾配磁界センサ。
【請求項4】
前記交流電流制御部は、前記交流電源接続端子と前記第1磁気コアとの間に接続される第1増幅回路及び第11可変抵抗器の少なくとも一方と、前記交流電源接続端子と前記第2磁気コアとの間に接続される第2増幅回路及び第12可変抵抗器の少なくとも一方とを、前記振幅調整部として含む、
請求項
3に記載の勾配磁界センサ。
【請求項5】
前記交流電流制御部は、前記交流電源接続端子から前記第1磁気コアに流れる第1交流電流と前記交流電源接続端子から前記第2磁気コアに流れる第2交流電流との少なくとも一方の位相を反転させる反転回路を含む、
請求項1から
4のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項6】
前記交流電流制御部は、前記第1磁気コアに前記第1交流電流として流す交流電流を、前記反転回路によって位相を反転させた交流電流と、前記反転回路によって位相を反転させていない交流電流とのいずれかに切り替える第1切替回路と、前記第2磁気コアに前記第2交流電流として流す交流電流を、前記反転回路によって位相を反転させた交流電流と、前記反転回路によって位相を反転させていない交流電流とのいずれかに切り替える第2切替回路との少なくとも一方を含む、
請求項
5に記載の勾配磁界センサ。
【請求項7】
前記交流電流制御部は、前記交流電源接続端子と前記第1磁気コアとの間に接続されるACカップリング用の第1コンデンサと、前記交流電源接続端子と前記第2磁気コアとの間に接続されるACカップリング用の第2コンデンサと含む、
請求項
1から
6のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項8】
直流電源が有する正極電源端子が接続される直流電源接続端子と、
前記直流電源接続端子と前記第1磁気コアとの間に接続される第21抵抗器と、
前記直流電源接続端子と前記第1磁気コアとの間において前記第21抵抗器と直列に接続される第1インダクタと、
前記直流電源接続端子と前記第2磁気コアとの間に接続される第22抵抗器と、
前記直流電源接続端子と前記第2磁気コアとの間において前記第22抵抗器と直列に接続される第2インダクタと、
を更に備える請求項1から
7のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項9】
前記第21抵抗器と、前記第22抵抗器との少なくとも一方は、可変抵抗器である、
請求項
8に記載の勾配磁界センサ。
【請求項10】
前記直流電源が有する負極電源端子がグラウンドに接地される前記直流電源を備える、
請求項
8又は
9に記載の勾配磁界センサ。
【請求項11】
前記検出回路は、PSD(Phase Sensitive Detector)回路を含む、
請求項1から
10のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項12】
前記検出回路は、前記PSD回路から出力される信号から所定の第1周波数以上の成分を除去するローパスフィルタを備える、
請求項
11に記載の勾配磁界センサ。
【請求項13】
前記検出回路は、前記PSD回路から出力される信号から所定の第2周波数以下の成分を除去するハイパスフィルタを備える、
請求項
11又は
12に記載の勾配磁界センサ。
【請求項14】
請求項1から
13のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサを備える、
磁性物検出装置。
【請求項15】
交流電源が有する第1電源端子が接続される交流電源接続端子と、
前記交流電源接続端子とグラウンドとの間に接続される第1磁気コアと、
前記交流電源接続端子とグラウンドとの間において前記第1磁気コアと並列に接続される第2磁気コアと、
前記交流電源接続端子と、前記第1磁気コアと前記第2磁気コアとの少なくとも一方との間に接続され、前記第1磁気コアと前記第2磁気コアとの少なくとも一方に流れる交流電流を制御する交流電流制御部と、
前記第1磁気コアに巻回される第1検出コイルと、
前記第2磁気コアに巻回され、且つ、前記第1検出コイルと差動接続される第2検出コイルと、
前記第1検出コイルから出力される第1電圧と、前記第2検出コイルから出力される第2電圧との差分に応じた電圧を検出する検出回路と、
を備え、
前記検出回路は、PSD(Phase Sensitive Detector)回路と、前記PSD回路から出力される信号から所定の第2周波数以下の成分を除去するハイパスフィルタを備える、
勾配磁界センサ。
【請求項16】
前記検出回路は、前記PSD回路から出力される信号から所定の第1周波数以上の成分を除去するローパスフィルタを備える、
請求項15に記載の勾配磁界センサ。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の勾配磁界センサを備える、
磁性物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配磁界センサ、及び磁性物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの勾配を検出する勾配磁界センサについての研究、開発が行われている。ここで、当該勾配は、当該2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの差分のことである。
【0003】
勾配磁界センサは、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さを検出するため、2つのセンサヘッドを備える。勾配磁界センサでは、これら2つのセンサヘッドのうちの一方が、これら2つの異なる地点のうちの一方における磁界の強さを検出する。また、勾配磁界センサでは、これら2つのセンサヘッドのうちの他方が、これら2つの異なる地点のうちの他方における磁界の強さを検出する。そして、勾配磁界センサは、これら2つのセンサヘッドから出力される信号に応じて、これら2つの異なる地点における磁界の強さの勾配を検出する。これら2つの異なる地点における磁界の強さの勾配は、磁界を変化させることが可能な物体の有無によって変化する。これを利用し、勾配磁界センサは、このような物体を検出対象物とし、検出対象物を検出することができる。
【0004】
ここで、前述した通り、勾配磁界センサは、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの勾配を検出する。一方、一様磁界領域内では、如何なる地点においても同時刻の磁界の強さは、等しい。このため、勾配磁界センサは、当該領域内では、磁界の強さの勾配を検出することがないはずである。なお、一様磁界領域は、本明細書において、一様磁界が印加された領域であり、且つ、一様磁界以外の磁界が印加されていない領域のことである。また、ある領域内に印加された一様磁界は、本明細書において、当該領域内において強さが位置に依らず一様に変化する磁界のことである。
【0005】
しかしながら、勾配磁界センサが備える2つのセンサヘッドのそれぞれは、個体差が大きく、互いに感度が異なることが少なくない。このため、一様磁界領域内であっても、勾配磁界センサは、磁界の強さの勾配を検出してしまう場合があった。このような感度の異なりは、検出対象物の有無の検出における検出精度を低下させる原因となるため、望ましくない。
【0006】
これに関し、直流励磁電流及び交流励磁電流のそれぞれが直列に流される2つのセンサヘッドを備え、2つのセンサヘッドそれぞれに流れる直流励磁電流量を調整することにより、2つのセンサヘッドそれぞれの感度を調整可能な勾配磁界センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に記載されたような勾配磁界センサが備える2つのセンサヘッドのそれぞれは、直流励磁電流とともに交流励磁電流が流される磁気コアと、磁気コアから発生する磁界により電圧が誘起される検出コイルとにより構成されている。そして、当該2つのセンサヘッドそれぞれの検出コイルは、差動接続されている。このため、一様磁界領域内では、当該2つのセンサヘッドそれぞれの感度が互いに等しい場合、2つの検出コイルのそれぞれに誘起される電圧は、振幅が互いに等しくなる。その結果、当該領域内では、当該場合、2つの検出コイルのそれぞれに誘起される電圧は、位相が互いに逆位相であれば、互いに打ち消し合う。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されたような勾配磁界センサが備える2つのセンサヘッドそれぞれの感度が互いに等しい場合であっても、一様磁界領域内において、2つの検出コイルのそれぞれに誘起される電圧は、位相が互いに逆位相にならない場合がある。すなわち、当該場合であっても、当該領域内において、2つの検出コイルのそれぞれに誘起される電圧は、互いに打ち消し合わない場合がある。これは、当該領域内であっても、当該勾配磁界センサが、磁界の強さの勾配を検出してしまうことを意味し、望ましくない。なお、2つの検出コイルのそれぞれに誘起された電圧の位相が互いに逆位相とならない原因としては、当該2つのセンサヘッドを含む磁気回路における磁気結合の影響、当該2つのセンサヘッドそれぞれの磁気コアの磁気特性のバラつき等が挙げられる。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる勾配磁界センサ、及び磁性物検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、交流電源が有する第1電源端子が接続される交流電源接続端子と、
前記交流電源接続端子とグラウンドとの間に接続される第1磁気コアと、前記交流電源接続端子とグラウンドとの間において前記第1磁気コアと並列に接続される第2磁気コアと、前記交流電源接続端子と、前記第1磁気コアと前記第2磁気コアとの少なくとも一方との間に接続され、前記第1磁気コアと前記第2磁気コアとの少なくとも一方に流れる交流電流を制御する交流電流制御部と、前記第1磁気コアに巻回される第1検出コイルと、前記第2磁気コアに巻回され、且つ、前記第1検出コイルと差動接続される第2検出コイルと、前記第1検出コイルから出力される第1電圧と、前記第2検出コイルから出力される第2電圧との差分に応じた電圧を検出する検出回路と、を備える勾配磁界センサである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】磁性物検出装置1の構成の一例を示す図である。
【
図2】勾配磁界センサ12の回路構成の一例を示す図である。
【
図3】勾配磁界センサ12に交流電流調整を行う前後における第1誘起電圧、第2誘起電圧、差動信号、検波信号、検出信号のそれぞれの時間的な変化の一例を示す図である。
【
図4】勾配磁界センサ12に交流電流調整を行う前後において、巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを勾配磁界センサ12が検出した場合の検出信号、差動信号、検波信号のそれぞれの時間的な変化の一例を示す図である。
【
図5】
図4に示した検出信号についての2つのグラフそれぞれの一部を拡大した図である。
【
図6】勾配磁界センサ12Aの回路構成の一例を示す図である。
【
図7】交流電流制御部CC3の回路構成の一例を示す図である。
【
図8】ハイパスフィルタHFを更に備える検出回路DTの回路構成の一例を示す図である。
【
図9】勾配磁界センサ12Dの回路構成の一例を示す図である。
【
図10】複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
<磁性物検出装置の概要>
まず、本実施形態に係る磁性物検出装置の概要について説明する。
【0016】
実施形態に係る磁性物検出装置は、実施形態に係る勾配磁界センサを備える。実施形態に係る勾配磁界センサは、交流電源接続端子と、第1磁気コアと、第2磁気コアと、交流電流制御部と、第1検出コイルと、第2検出コイルと、検出回路を備える。ここで、交流電源接続端子は、交流電源が有する第1電源端子が接続される端子である。第1磁気コアは、交流電源接続端子とグラウンドとの間に接続される磁気コアである。第2磁気コアは、交流電源接続端子とグラウンドとの間において第1磁気コアと並列に接続される磁気コアである。交流電流制御部は、交流電源接続端子と、第1磁気コアと第2磁気コアとの少なくとも一方との間に接続される。そして、交流電流制御部は、第1磁気コアと第2磁気コアとの少なくとも一方に流れる交流電流を制御する。第1検出コイルは、第1磁気コアに巻回されるコイルである。第2検出コイルは、第2磁気コアに巻回されるコイルである。そして、第2検出コイルは、第1検出コイルと差動接続される。検出回路は、第1検出コイルから出力される第1電圧と、第2検出コイルから出力される第2電圧との差分に応じた電圧を検出する回路である。
【0017】
これにより、実施形態に係る勾配磁界センサ、及び実施形態に係る磁性物検出装置は、一様磁界領域内において磁界の強さの勾配を検出してしまうことを抑制することができ、その結果、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。
【0018】
以下では、実施形態に係る磁性物検出装置と、実施形態に係る勾配磁界センサとのそれぞれの構成について、詳しく説明する。
【0019】
<磁性物検出装置の構成>
以下、磁性物検出装置の一例として磁性物検出装置1を例に挙げて、実施形態に係る磁性物検出装置の構成について説明する。ここで、実施形態では、直流電力に応じた電気信号、又は交流電力に応じた電気信号を伝送する導体のことを、伝送路と称して説明する。伝送路は、例えば、基板上にプリントされた導体であってもよく、導体が線状に形成された導線であってもよく、他の導体であってもよい。また、実施形態では、電圧と称した場合、所定の基準となる電位からの電位差を意味し、基準となる電位についての図示及び説明を省略する。ここで、基準となる電位は、如何なる電位であってもよい。実施形態では、一例として、基準となる電位がグラウンド電位である場合について説明する。また、実施形態では、グラウンドと称した場合、同一のグラウンドを示す。
【0020】
図1は、磁性物検出装置1の構成の一例を示す図である。
【0021】
磁性物検出装置1は、検出対象物を磁界により検出する装置である。ただし、検出対象物は、磁界を変化させることが可能な物体のことであり、例えば、磁性体のことである。
【0022】
磁性物検出装置1は、例えば、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との2つのセンサヘッドを備える勾配磁界センサ12と、情報処理装置20を備える。なお、
図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、磁性物検出装置1における情報処理装置20と他の部材とを接続するケーブルについては、省略している。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部を備えない構成であってもよい。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部に代えて、他の部材、他の装置等を、勾配磁界センサ12とともに備える構成であってもよい。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20との全部に加えて、他の部材、他の装置等を、勾配磁界センサ12とともに備える構成であってもよい。
【0023】
枠体CSには、磁性物検出装置1の各部材が取り付けられる。枠体CSは、主として、図示しない天板と、図示しない底板と、天板と底板とを接続する複数の支柱とから構成される。
図1に示した例では、枠体CSの外形状は、ほぼ直方体形状である。なお、枠体CSの外形状は、如何なる形状であってもよい。
【0024】
枠体CSの内部には、第1ローラRL1と、第2ローラRL2とが設けられている。
【0025】
第1ローラRL1は、検出対象物の付着の有無を検査される対象となるシート部材STがロール状に巻かれたローラのことである。第2ローラRL2は、第1ローラRL1から引き出されたシート部材STを所定の経路に沿って搬送させながら巻き取るローラのことである。第2ローラRL2は、図示しないサーボモータ等により回転させられる。これにより、第2ローラRL2は、第1ローラRL1から引き出されたシート部材STを巻き取ることができる。すなわち、第2ローラRL2は、駆動ローラである。そして、第1ローラRL1は、第2ローラRL2の回転に応じてシート部材STが巻き取られながら回転する受動ローラである。なお、当該サーボモータは、例えば、後述する情報処理装置20により制御される。
【0026】
シート部材STは、第1ローラRL1から引き出されて第2ローラRL2により巻き取られるまでの間に、着磁装置11により発生させられた磁界の中を搬送させられる。これにより、シート部材STに付着した検出対象物は、磁化する。シート部材STは、当該磁界の中を搬送させられた後、勾配磁界センサ12が検出対象物の有無を検出可能な所定の検出領域を搬送させられる。そして、シート部材STは、第2ローラRL2に巻き付けられる。
【0027】
ここで、着磁装置11は、所定の磁化領域に所定の強さの磁界を発生させ、磁化領域内に入った磁性体を磁化する装置である。着磁装置11については、既知の装置であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0028】
勾配磁界センサ12は、前述の検出領域における2つの異なる地点のそれぞれに配置されたセンサヘッド、すなわち、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とにより、当該2つの異なる地点における磁界の強さの勾配を検出する。これにより、勾配磁界センサ12から出力される検出信号を取得する情報処理装置20は、検出信号に基づいて、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたか否かを判定することができる。なお、以下では、説明の便宜上、第1センサヘッドS1が配置された地点と第2センサヘッドS2が配置された地点との2つの地点における磁界の強さの勾配を、単に勾配と称して説明する。
【0029】
情報処理装置20は、勾配磁界センサ12と通信可能に接続される。そして、前述した通り、情報処理装置20は、勾配磁界センサ12から出力された検出信号に基づいて、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたか否かを判定する。
【0030】
情報処理装置20は、例えば、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたと判定した場合、前述のサーボモータを制御して第2ローラRL2によるシート部材STの巻き取りを停止させるとともに、シート部材STに検出対象物が付着していたことを報知する報知処理を行う。報知処理は、例えば、情報処理装置20のディスプレイに、シート部材STに検出対象物が付着していたことを示す情報を表示させる処理である。これにより、磁性物検出装置1のユーザは、シート部材STから検出対象物を除去すること、シート部材STを不良品として特定すること等を行うことができる。なお、報知処理は、このような表示処理に代えて、当該情報を示す音声、振動、光等を出力する処理であってもよい。
【0031】
情報処理装置20は、例えば、ノートPC(Personal Computer)、タブレットPC、デスクトップPC、ワークステーション、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等である。なお、情報処理装置20は、マイコン等の他の情報処理装置であってもよい。
【0032】
なお、磁性物検出装置1において、着磁装置11と、勾配磁界センサ12と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部は、一体に構成されてもよい。
【0033】
また、検出対象物の付着の検査を磁性物検出装置1が行う対象は、シート部材STに代えて、検出対象物の有無の検査を行うことが可能な他の物体であってもよい。例えば、勾配磁界センサ12を備えた磁性物探知機は、地中における磁性物の有無を検出する。この場合、当該磁性物探知機は、磁性物検出装置1の一例である。また、地中における磁性物は、当該場合における検出対象物の一例である。
【0034】
<勾配磁界センサの回路構成>
以下、
図2を参照し、勾配磁界センサ12の回路構成について説明する。
図2は、勾配磁界センサ12の回路構成の一例を示す図である。
【0035】
勾配磁界センサ12は、交流電源接続端子CT1と、第1センサヘッドS1と、第2センサヘッドS2と、第0移相回路PS0と、交流電流制御部CC1と、検出回路DTと、検出信号出力端子CT2を備える。また、第1センサヘッドS1は、第1磁気コアCR1と、第1検出コイルCL1を備える。また、第2センサヘッドS2は、第2磁気コアCR2と、第2検出コイルCL2を備える。また、第0移相回路PS0は、入力端子PS01と、出力端子PS02との2つの端子を有する。また、交流電流制御部CC1は、第1入力端子CC11と、第2入力端子CC12と、第1出力端子CC13と、第2出力端子CC14を有する。また、交流電流制御部CC1は、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2を備える。また、検出回路DTは、第1入力端子DT1と、第2入力端子DT2と、出力端子DT3を有する。また、検出回路DTは、位相検波回路PDと、ローパスフィルタLFと、誤差アンプEAと、抵抗R1と、第3コンデンサC3を備える。また、位相検波回路PDは、第1入力端子PD1と、第2入力端子PD2と、出力端子PD3を有する。
【0036】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、交流電源P1と接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12の交流電源接続端子CT1は、伝送路を介して、交流電源P1が有する2つの電源端子のうちの一方である第1電源端子P11と接続される。そして、交流電源P1が有する2つの電源端子のうちの他方である第2電源端子P12は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ここで、交流電源P1は、如何なる交流電源であってもよい。なお、交流電源接続端子CT1と第1電源端子P11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2電源端子P12とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0037】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、情報処理装置20と接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12の検出信号出力端子CT2は、伝送路を介して、情報処理装置20と接続される。なお、検出信号出力端子CT2と情報処理装置20との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0038】
また、交流電源接続端子CT1は、伝送路を介して、第0移相回路PS0が有する入力端子PS01と、検出回路DTが有する第1入力端子DT1とのそれぞれと接続される。そして、第0移相回路PS0が有する出力端子PS02は、伝送路を介して、交流電流制御部CC1が有する第1入力端子CC11と、交流電流制御部CC1が有する第2入力端子CC12とのそれぞれと接続される。なお、交流電源接続端子CT1と入力端子PS01との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、交流電源接続端子CT1と第1入力端子DT1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PS02と第1入力端子CC11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PS02と第2入力端子CC12との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0039】
また、交流電流制御部CC1において、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間には、伝送路を介して、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とが直列に接続される。また、交流電流制御部CC1において、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間には、伝送路を介して、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とが直列に接続される。なお、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。また、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0040】
また、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1が接続される。また、交流電流制御部CC1の第2出力端子CC14とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第2センサヘッドS2の第2磁気コアCR2が接続される。以下では、説明の便宜上、第1出力端子CC13から第1磁気コアCR1に流れる交流電流を、
図2の矢印によって示されるように、第1交流励磁電流AC1と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2出力端子CC14から第2磁気コアCR2に流れる交流電流を、
図2の矢印によって示されるように、第2交流励磁電流AC2と称して説明する。なお、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1磁気コアCR1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2磁気コアCR2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0041】
また、検出回路DTにおいて、第1入力端子DT1は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第1入力端子PD1と接続される。また、位相検波回路PDが有する出力端子PD3は、伝送路を介して、ローパスフィルタLFが有する図示しない入力端子と接続される。また、ローパスフィルタLFが有する図示しない出力端子は、伝送路を介して、誤差アンプEAが有する反転入力端子と接続される。また、誤差アンプEAが有する非反転入力端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。また、誤差アンプEAが有する出力端子は、伝送路を介して、検出回路DTが有する出力端子DT3と、抵抗R1が有する2つの端子のうちの一方とのそれぞれと接続される。また、抵抗R1が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第2入力端子DT2と、第3コンデンサC3が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第3コンデンサC3が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第2入力端子PD2と接続される。また、抵抗R1と第3コンデンサC3とを接続する伝送路は、他の伝送路を介して、検出回路DTが有する第2入力端子DT2と接続される。このように、検出回路DTは、PSD(Phase Sensitive Detector)回路である。なお、第1入力端子DT1と第1入力端子PD1との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PD3とローパスフィルタLFが有する入力端子との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、ローパスフィルタLFが有する出力端子と誤差アンプEAが有する反転入力端子との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する非反転入力端子とグラウンドの間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する出力端子と出力端子DT3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する出力端子と抵抗R1との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R1と第3コンデンサC3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第3コンデンサC3と第2入力端子PD2との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R1と第3コンデンサC3とを接続する伝送路と第2入力端子DT2との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0042】
また、検出回路DTが有する第2入力端子DT2は、伝送路を介して、第1検出コイルCL1が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第1検出コイルCL1が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、第2検出コイルCL2が有する2つの端子のうちの一方と接続される。そして、第2検出コイルCL2が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ただし、第2検出コイルCL2は、第1検出コイルCL1と差動接続される。なお、第2入力端子DT2と第1検出コイルCL1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1検出コイルCL1と第2検出コイルCL2との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2検出コイルCL2とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0043】
<実施形態に係る勾配磁界センサの動作>
次に、勾配磁界センサ12の動作について説明する。
【0044】
上記のような回路構成の勾配磁界センサ12において、交流電源P1は、交流電源接続端子CT1に交流電流を入力する。交流電源接続端子CT1に入力された交流電流は、2つに分岐される。2つに分岐された交流電流の一方は、交流励磁電流として第0移相回路PS0に入力される。また、2つの分岐された交流電流の他方は、参照信号として検出回路DTが有する第1入力端子DT1に入力される。
【0045】
第0移相回路PS0に入力された交流励磁電流は、第0移相回路PS0により移相された後、第1交流励磁電流AC1と第2交流励磁電流AC2との2つの交流励磁電流に分岐される。
【0046】
第1交流励磁電流AC1は、第1移相回路PS1、第1可変抵抗VR11、第1コンデンサC1を介して第1磁気コアCR1に流れる。このため、第1交流励磁電流AC1は、第1移相回路PS1により移相され、第1可変抵抗VR11により振幅が調整される。これにより、第1検出コイルCL1には、第1磁気コアCR1に流れた第1交流励磁電流AC1と、第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、当該電圧は、外部から第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、第1検出コイルCL1に誘起される電圧を、第1誘起電圧と称して説明する。なお、第1コンデンサC1は、AC(Alternating Current)カップリングのためのコンデンサである。第1コンデンサC1の存在により、勾配磁界センサ12では、直流電流が第1出力端子CC13から第1入力端子CC11へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0047】
一方、第2交流励磁電流AC2は、第2移相回路PS2、第2可変抵抗VR12、第2コンデンサC2を介して第2磁気コアCR2に流れる。このため、第2交流励磁電流AC2は、第2移相回路PS2により移相され、第2可変抵抗VR12により振幅が調整される。これにより、第2検出コイルCL2には、第2磁気コアCR2に流れた第2交流励磁電流AC2と、第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、当該電圧は、外部から第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、第2検出コイルCL2に誘起される電圧を、第2誘起電圧と称して説明する。なお、第2コンデンサC2は、ACカップリングのためのコンデンサである。第2コンデンサC2の存在により、勾配磁界センサ12では、直流電流が第2出力端子CC14から第2入力端子CC12へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0048】
勾配磁界センサ12では、このようにして誘起された第1誘起電圧及び第2誘起電圧に応じた信号が、差動信号Voutとして検出回路DTが有する第2入力端子DT2に入力する。検出回路DTの位相検波回路PDは、このようにして入力された差動信号Voutと、交流電源P1から入力された参照信号とのずれに応じた信号を、検波信号としてローパスフィルタLFに入力する。ローパスフィルタLFは、位相検波回路PDから入力された検波信号から所定の第1周波数以上の成分を除去した出力信号を誤差アンプEAの反転入力端子に出力する。誤差アンプEAは、誤差アンプEAの反転入力端子に入力された出力信号の電位とグラウンド電位との電位差に応じた信号を検出信号として、検出信号出力端子CT2と抵抗R1とのそれぞれに出力する。なお、第3コンデンサC3は、ACカップリングのためのコンデンサである。また、第3コンデンサC3が有する端子のうち位相検波回路PDと接続された端子と反対側の端子には、バッファ回路(例えば、ボルテージフォロワ等)が接続される。このバッファ回路については、図を簡略化するため、図示を省略している。
【0049】
抵抗R1に入力された検出信号は、図示しないバッファ回路の存在により、第3コンデンサC3へ入力されることなく、帰還電流として第2入力端子DT2から第1検出コイルCL1に向かって流れていく。
【0050】
このような動作を行う検出回路DTには、調整を行うことにより、差動信号Voutの信号レベルが0[V]である場合、信号レベルが0[V]の検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させ、差動信号Voutの信号レベルが0[V]ではない場合、信号レベルが0[V]ではない検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させることができる。なお、検出回路DTの調整については、既知であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0051】
以上のような動作により、勾配磁界センサ12は、勾配を検出する。しかしながら、勾配磁界センサ12は、第1誘起電圧及び第2誘起電圧のそれぞれについての調整を行わない場合、一様磁界領域内においても、勾配を検出してしまう場合がある。これは、検出対象物が存在しないにも拘わらず、検出対象物が存在しているとして誤検出してしまうことに繋がるため、望ましくない。そこで、勾配磁界センサ12は、以下において説明する所定の調整方法によって調整されることにより、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。そこで、以下では、勾配磁界センサ12における第1誘起電圧及び第2誘起電圧のそれぞれについての調整方法について説明する。
【0052】
<勾配磁界センサにおける第1誘起電圧及び第2誘起電圧のそれぞれについての調整方法>
以下、勾配磁界センサ12における第1誘起電圧及び第2誘起電圧のそれぞれについての調整方法について説明する。
【0053】
まず、勾配磁界センサ12により検出される磁界の強さと、勾配磁界センサ12から出力される検出信号との関係について説明する。
【0054】
ある時刻tにおいて第1センサヘッドS1に印加される磁界の強さB1(t)が以下の式(1)によって表され、時刻tにおいて第2センサヘッドS2に印加される磁界の強さB2(t)が以下の式(2)によって表される場合を考える。ただし、ここでは、一例として、一様磁界が勾配磁界センサ12に印加されているとともに、磁化された検出対象物が勾配磁界センサ12の検出領域内を搬送される場合を考えている。なお、以下では、説明の便宜上、検出対象物から第1センサヘッドS1に印加される磁界を、第1磁界と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、検出対象物から第2センサヘッドS2に印加される磁界を、第2磁界と称して説明する。
【0055】
【0056】
ここで、上記の式(1)のB01(t)は、時刻tにおける第1磁界の強さを示す関数である。また、式(2)のB02(t)は、時刻tにおける第2磁界の強さを示す関数である。また、式(1)及び式(2)のBcos(ωnt)は、時刻tにおける一様磁界の強さを示す関数である。ただし、ωnは、一様磁界の強さの時間的な変化についての角振動数を示す。また、Bは、一様磁界の最大の強さを示す。
【0057】
また、時刻tにおける参照信号の大きさが、以下の式(3)に示したVr(t)によって表される場合を考える。ただし、以下の式(3)のAは、参照信号の振幅を示す。また、以下の式(3)のωは、交流信号である参照信号の角振動数を示す。
【0058】
【0059】
また、時刻tにおける差動信号Voutの大きさが、以下の式(4)に示したVi(t)によって表される場合を考える。
【0060】
【0061】
ここで、上記の式(4)に示したθは、第0移相回路PS0による交流励磁電流の移相量を示す。また、式(4)に示したαは、第1移相回路PS1による第1交流励磁電流AC1の移相量を示す。また、式(4)に示したβは、第2移相回路PS2による第2交流励磁電流AC2の移相量を示す。また、式(4)のaは、第1可変抵抗VR11による第1交流励磁電流AC1の振幅の調整量を示す。また、式(4)のbは、第2可変抵抗VR12による第2交流励磁電流AC2の振幅の調整量を示す。また、差動信号Voutは、第1磁界がAM変調された結果として誘起された第1誘起電圧と、第2磁界がAM変調された結果として誘起された第2誘起電圧との差分によって得られる。これらのAM変調の変調指数(すなわち、磁気感度)が、式(4)に示したk1及びk2である。なお、k1は、第1磁界のAM変調の変調指数である。また、k2は、第2磁界のAM変調の変調指数である。
【0062】
位相検波回路PDは、上記の式(3)によって示される参照信号の大きさVr(t)と、上記の式(4)に依って示される差動信号Voutの大きさVi(t)とに基づいて、以下に示す式(5)のような信号を、時刻tにおける検波信号の大きさV0(t)として出力する。
【0063】
【0064】
上記の式(5)の最下段の右辺は、加法定理を用いて、以下の式(6)のように変形できる。
【0065】
【0066】
上記の式(6)の右辺のcos(θ+α)及びcos(θ+β)は、時刻tによって変動しない項、すなわち、直流成分である。この直流成分は、ローパスフィルタLFにより除去可能である。そこで、式(6)から当該直流成分を除去した式が、以下の式(7)である。
【0067】
【0068】
ここで、上記の式(7)において、第0移相回路PS0による移相量θと第1移相回路PS1による移相量αとの和である(θ+α)と、第0移相回路PS0による移相量θと第2移相回路PS2による移相量βとの和である(θ+β)との差(α-β)が-πであることを要請する。この要請は、第1誘起電圧の位相と、第2誘起電圧の位相とを逆位相にさせる要請である。そして、この要請は、第1移相回路PS1の移相量αと、第2移相回路PS2の移相量βとの少なくとも一方を調整することにより、実現可能である。また、上記の式(7)において、第1可変抵抗VR11による調整量aと変調指数k1との積と、第2可変抵抗VR12による調整量bと変調指数k2との積とが等しいこと(すなわち、ak1=bk2)を要請する。この要請は、第1誘起電圧の振幅と、第2誘起電圧の振幅とを等しくさせる要請である。そして、この要請は、第1可変抵抗VR11の調整量aと、第2可変抵抗VR12の調整量bとの少なくとも一方を調整することにより、実現可能である(なお、この調整を行うために変調指数k1及び変調指数k2の値を知る必要はない)。この2つの要請を式(7)に適用すると、式(7)は、式(8)のように変形される。
【0069】
【0070】
上記の式(8)から、上記のような2つの調整を行うことにより、検出信号の大きさV0(t)から一様磁界の成分Bcos(ωnt)を打ち消し合わせることができることが分かる。以下では、説明の便宜上、これら2つの調整を、交流電流調整と称して説明する。すなわち、交流電流調整を行うことにより、勾配磁界センサ12は、一様磁界の強さを検出せずに、勾配を検出することができる。その結果、勾配磁界センサ12は、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。なお、上記の式(8)の右辺の大括弧内第2項は、オフセット成分である。このオフセット成分は、誤差として検出信号に含まれることになる。このオフセット成分の大きさを知るためには、変調指数k1及び変調指数k2の値を知るか、変調指数k1と変調指数k2との比を知る必要がある。しかしながら、このオフセット成分は、後述するように、信号処理により除去することが可能である。信号処理によってオフセット成分を除去する場合、変調指数k1及び変調指数k2の値を知るか、変調指数k1と変調指数k2との比を知る必要はない。なお、このオフセット成分は、一般的に、上記の式(8)の右辺の大括弧内第1項よりも小さい。このため、実施形態では、このオフセット成分を除去せずに誤差として扱う場合について説明する。
【0071】
ここで、
図3は、勾配磁界センサ12に交流電流調整を行う前後における第1誘起電圧、第2誘起電圧、差動信号、検波信号、検出信号のそれぞれの時間的な変化の一例を示す図である。
【0072】
図3に示した4つのグラフのうち「調整前」というラベルによって囲まれた左側の2つのグラフは、交流電流調整を行う前の勾配磁界センサ12における第1誘起電圧、第2誘起電圧、差動信号、検波信号、検出信号のそれぞれの時間的な変化を示す図である。また、当該4つのグラフのうちの「調整後」というラベルによって囲まれた右側の2つのグラフは、交流電流調整を行なった後の勾配磁界センサ12における第1誘起電圧、第2誘起電圧、差動信号、検波信号、検出信号のそれぞれの時間的な変化を示す図である。ただし、これら4つのグラフのうちの上側2つのグラフは、強さが50Hzの正弦波状に変化する一様磁界領域内において巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを検出させた場合におけるグラフである。また、これら4つのグラフのうちの下側2つのグラフは、磁界が印加されていない領域内に配置された勾配磁界センサ12における第1誘起電圧、第2誘起電圧、差動信号、検波信号、検出信号のそれぞれの時間的な変化を示す図である。また、これら4つのグラフの横軸は、経過時間を示す。また、これら4つのグラフの縦軸は、電圧を示す。
【0073】
図3の「調整前」の下側のグラフを見ると、第1誘起電圧と第2誘起電圧の位相が互いに逆位相になっていないため、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されているにもかかわらず、差動信号の信号レベルが0[V]になっていない。このため、
図3の「調整前」の下側のグラフでは、検波信号の信号レベルが0[V]になっておらず、その結果、検出信号の信号レベルも0[V]になっていない。この場合、勾配磁界センサ12は、上記の式(8)における検出信号の大きさV
0(t)から一様磁界の成分Bcos(ω
nt)を打ち消し合わせることができないため、一様磁界領域内に配置されると、一様磁界を検出してしまう。このような事情から、交流電流調整を行う前の勾配磁界センサ12では、
図3の「調整前」の上側のグラフに示される通り、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されている場合における検出信号が、一様磁界領域内において巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを検出させた場合における検出信号に重畳される。その結果、
図3の「調整前」の上側のグラフでは、例えば、-40msec~-20msecの範囲内、20msec~40msecの範囲内等において、検出信号の信号レベルが0[V]とならず、検出信号の信号レベルが0.1[V]付近で振動している。そして、このような検出信号の振動は、勾配磁界センサ12による勾配の検出における誤差となる。このため、交流電流調整を行う前の勾配磁界センサ12では、検出する勾配が小さいと、このような振動による誤差に埋もれて検出信号が見えなくなる可能性が高い。
【0074】
一方、
図3の「調整後」の下側のグラフを見ると、第1誘起電圧と第2誘起電圧の位相が互いに逆位相になっているため、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されている場合において、差動信号の信号レベルが0[V]になっている。このため、
図3の「調整後」の下側のグラフでは、検波信号の信号レベルがほぼ0[V]になっており(実際には、ノイズ等によって小さく振動しているため、完全に0[V]となっているわけではない)、その結果、検出信号の信号レベルがほぼ0[V]になっている。この場合、勾配磁界センサ12は、上記の式(8)における検出信号の大きさV
0(t)から一様磁界の成分Bcos(ω
nt)を打ち消し合わせることができるため、一様磁界領域内に配置された場合であっても、一様磁界を検出しない。このような事情から、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12では、
図3の「調整後」の上側のグラフに示される通り、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されている場合における検出信号が、一様磁界領域内において巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを検出させた場合における検出信号に重畳されない。その結果、
図3の「調整後」の上側のグラフでは、例えば、-40msec~-20msecの範囲内、20msec~40msecの範囲内等において、検出信号の信号レベルがほぼ0[V]になる。その結果、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12では、検出する勾配が小さくても、勾配を示す検出信号が誤差に埋もれることがない。換言すると、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12は、一様磁界の強さを検出せずに、勾配を検出することができる。すなわち、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12は、検出対象物の検出を精度よく行うことができる。
【0075】
また、
図4は、勾配磁界センサ12に交流電流調整を行う前後において、巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを勾配磁界センサ12が検出した場合の検出信号、差動信号、検波信号のそれぞれの時間的な変化の一例を示す図である。
【0076】
図4に示した「調整前」というラベルによって囲まれた上側の2つのグラフのうちの右側のグラフは、交流電流調整を行う前の勾配磁界センサ12における差動信号及び検波信号の時間的な変化を示す図である。また、当該グラフは、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されている場合における差動信号及び検波信号の時間的な変化を示す図である。一方、
図4に示した「調整後」というラベルによって囲まれた下側の2つのグラフのうちの右側のグラフは、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12における差動信号及び検波信号の時間的な変化を示す図である。当該グラフは、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されている場合における差動信号及び検波信号の時間的な変化を示す図である。これら2つのグラフを比較すると、交流電流調整を行った後における差動信号は、交流電流調整を行う前における差動信号よりも振幅が2桁程度小さくなっていることが分かる。その結果、交流電流調整を行った後における検波信号も、交流電流調整を行う前における検波信号よりも振幅が2桁程度小さくなっている。このような事情から、「調整前」というラベルによって囲まれた下側の2つのグラフのうちの右側のグラフの縦軸の目盛間隔を、「調整前」というラベルによって囲まれた上側の2つのグラフのうちの右側のグラフの縦軸の目盛間隔と同じ目盛間隔に変えた場合、交流電流調整を行った後における差動信号及び検波信号それぞれの振動は、
図3の右下のグラフにおける差動信号及び検波信号それぞれの振動のように、見えなくなる。
【0077】
図4に示した「調整前」というラベルによって囲まれた上側の2つのグラフのうちの左側のグラフは、交流電流調整を行う前の勾配磁界センサ12における検出信号の時間的な変化を示す図である。また、当該グラフは、一様磁界領域内において巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを検出させた場合における検出信号の時間的な変化を示す図である。一方、
図4に示した「調整後」というラベルによって囲まれた下側の2つのグラフのうちの左側のグラフは、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12における検出信号の時間的な変化を示す図である。また、当該グラフは、一様磁界領域内において巻数が1回のコイルによる磁気モーメントを検出させた場合における検出信号の時間的な変化を示す図である。これら2つのグラフを比較すると、勾配磁界センサ12から出力される検出信号のノイズは、交流電流調整により小さくなっていることが分かる。これは、
図4の右下のグラフに示したように、交流電流調整により、磁界が印加されていない領域内に勾配磁界センサ12が配置されている場合における差動信号及び検波信号の振幅が小さくなり、その結果、勾配磁界センサ12が一様磁界を検出しないためである。
【0078】
ここで、
図5は、
図4に示した検出信号についての2つのグラフそれぞれの一部を拡大した図である。
図5に示した「調整前」というラベルによって囲まれた上側のグラフは、交流電流調整を行う前の勾配磁界センサ12における検出信号の時間的な変化を示す図である。一方、
図5に示した「調整後」というラベルによって囲まれた下側のグラフは、交流電流調整を行った後の勾配磁界センサ12における検出信号の時間的な変化を示す図である。これら2つのグラフを比較すると、勾配磁界センサ12から出力される検出信号のノイズは、交流電流調整により小さくなっていることが、
図4に示したグラフと比べてより明確に分かる。
【0079】
このように、これら
図3~
図5に示したグラフから、勾配磁界センサ12は、交流電流調整を行うことにより一様磁界の強さを検出せずに勾配を検出することができ、その結果、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができることが分かる。そして、これを実現させている回路構成の一例が、
図2に示した回路構成である。
【0080】
なお、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第0移相回路PS0を備えない構成であってもよい。何故なら、前述した通り、第0移相回路PS0の移相量θは、前述の2つの要請において如何なる値であっても無関係だからである。ただし、当該勾配磁界センサ12が第0移相回路PS0を備えることにより、当該勾配磁界センサ12では、第1移相回路PS1による移相量αと、第2移相回路PS2による移相量βとの関係α-β=-πを保ったまま、検出信号の振幅を調整することができる。
【0081】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1移相回路PS1と第2移相回路PS2とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。何故なら、前述の2つの要請において、第1移相回路PS1の移相量αと第2移相回路PS2の移相量βとの差が-πであることが重要だからである。これは、当該勾配磁界センサ12が第1移相回路PS1と第2移相回路PS2とのいずれか一方を備えないことが、移相量αと移相量βとのいずれか一方を0とした場合に相当することからも明らかである。
【0082】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR11と第2可変抵抗VR12とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。何故なら、前述の2つの要請において、第1可変抵抗VR11の調整量aと変調指数k1との積と、第2可変抵抗VR12の調整量bと変調指数k2との積とが等しいことが重要だからである。これは、当該勾配磁界センサ12が第1可変抵抗VR11と第2可変抵抗VR12とのいずれか一方を備えないことが、調整量aと調整量bとのいずれか一方を1とした場合に相当することからも明らかである。
【0083】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。ただし、前述した通り、これらはACカップリングのためのコンデンサである。このため、当該勾配磁界センサ12は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との両方を備えている方が望ましい。
【0084】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第1可変抵抗VR11に代えて、又は、第1可変抵抗VR11に加えて、第1交流励磁電流AC1の振幅を増幅する第1増幅回路を備える構成であってもよい。
【0085】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第2可変抵抗VR12に代えて、又は、第2可変抵抗VR12に加えて、第2交流励磁電流AC2の振幅を増幅する第2増幅回路を備える構成であってもよい。
【0086】
以上のように、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、交流電源P1が有する第1電源端子P11が接続される交流電源接続端子CT1と、交流電源接続端子CT1とグラウンドとの間に接続される第1磁気コアCR1と、交流電源接続端子CT1とグラウンドとの間において第1磁気コアCR1と並列に接続される第2磁気コアCR2と、交流電源接続端子CT1と、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2との少なくとも一方との間に接続され、第1磁気コアCR1と第2磁気コアCR2との少なくとも一方に流れる交流電流を制御する交流電流制御部CC1と、第1磁気コアCR1に巻回される第1検出コイルCL1と、第2磁気コアCR2に巻回され、且つ、第1検出コイルCL1と差動接続される第2検出コイルCL2と、第1検出コイルCL1から出力される第1誘起電圧と、第2検出コイルCL2から出力される第2誘起電圧との差分に応じた電圧を、検出信号として検出する検出回路DTと、を備える。これにより、当該勾配磁界センサ12は、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。
【0087】
なお、勾配磁界センサ12は、交流電源P1が有する第2電源端子P12がグラウンドに接地される交流電源P1を備える、構成が用いられてもよい。
【0088】
また、勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、交流電源接続端子CT1から第1磁気コアCR1に流れる第1交流励磁電流AC1と、交流電源接続端子CT1から第2磁気コアCR2に流れる第2交流励磁電流AC2との少なくとも一方を移相する移相部を含む、構成が用いられてもよい。前述の第1移相回路PS1と第2移相回路PS2のそれぞれは、当該位相部の一例である。
【0089】
また、勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第1交流励磁電流AC1と、第2交流励磁電流AC2との少なくとも一方の振幅を調整する振幅調整部を含む、構成が用いられてもよい。前述の第1可変抵抗VR11と第2可変抵抗VR12とのそれぞれは、当該振幅調整部の一例である。
【0090】
また、勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、交流電源接続端子CT1と第1磁気コアCR1との間に接続される第1増幅回路及び第11可変抵抗器の少なくとも一方と、交流電源接続端子CT1と第2磁気コアCR2との間に接続される第2増幅回路及び第12可変抵抗器の少なくとも一方とを、振幅調整部として含む、構成が用いられてもよい。前述の第1可変抵抗VR11は、当該第11可変抵抗器の一例である。また、前述の第2可変抵抗VR12は、当該第12可変抵抗器の一例である。
【0091】
<実施形態の変形例1>
以下、
図6を参照し、実施形態の変形例1について説明する。なお、実施形態の変形例1では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。また、以下では、説明の便宜上、実施形態の変形例1に係る勾配磁界センサ12を、勾配磁界センサ12Aと称して説明する。また、実施形態の変形例1において説明する事項は、実施形態のみならず、後述する実施形態の他の変形例のいずれに適用されてもよい。
【0092】
図6は、勾配磁界センサ12Aの回路構成の一例を示す図である。
【0093】
勾配磁界センサ12Aは、交流電源接続端子CT1と、第1センサヘッドS1と、第2センサヘッドS2と、第0移相回路PS0と、交流電流制御部CC1と、検出回路DTと、検出信号出力端子CT2とに加えて、直流電源接続端子CT3と、直流電流制御部CC2を備える。また、直流電流制御部CC2は、入力端子CC21と、第1出力端子CC22と、第2出力端子CC23を有する。また、直流電流制御部CC2は、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1と、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2を備える。
【0094】
また、勾配磁界センサ12Aは、伝送路を介して、交流電源P1に加えて、直流電源P2とも接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12Aが有する直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電源P2が有する正極電源端子と接続される。そして、直流電源P2が有する負極電源端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ここで、直流電源P2は、如何なる直流電源であってもよい。なお、直流電源接続端子CT3と当該正極電源端子との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、当該負極電源端子とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0095】
また、直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電流制御部CC2が有する入力端子CC21と接続される。なお、直流電源接続端子CT3と入力端子CC21との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0096】
また、直流電流制御部CC2において、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間には、伝送路を介して、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とが直列に接続される。また、直流電流制御部CC2において、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間には、伝送路を介して、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とが直列に接続される。なお、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間において、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間において、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0097】
また、直流電流制御部CC2の第1出力端子CC22は、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続されている。なお、第1出力端子CC22と、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12Aが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0098】
また、直流電流制御部CC2の第2出力端子CC23は、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続されている。なお、第2出力端子CC23と、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0099】
次に、勾配磁界センサ12Aの動作について説明する。
【0100】
上記のような回路構成の勾配磁界センサ12Aにおいて、直流電源P2は、直流電源接続端子CT3に直流電流を入力する。直流電源接続端子CT3に入力された直流電流は、直流励磁電流として直流電流制御部CC2に入力される。
【0101】
直流電流制御部CC2に入力された直流励磁電流は、第1直流励磁電流DC1と第2直流励磁電流DC2との2つの直流励磁電流に分岐される。
【0102】
直流電流制御部CC2において、第1直流励磁電流DC1は、第1可変抵抗VR21により大きさが調整される。そして、第1直流励磁電流DC1は、第1出力端子CC22から第1磁気コアCR1に入力する。これにより、第1検出コイルCL1には、第1磁気コアCR1に流れた第1交流励磁電流AC1と、第1磁気コアCR1に流れた第1直流励磁電流DC1と、第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、勾配磁界センサ12Aにおいても、当該電圧は、外部から第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、当該電圧を、第3誘起電圧と称して説明する。なお、第1インダクタL1は、DC(Direct Current)カップリングのためのインダクタである。第1インダクタL1の存在により、勾配磁界センサ12Aでは、交流電流が第1出力端子CC22から入力端子CC21へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0103】
一方、直流電流制御部CC2において、第2直流励磁電流DC2は、第2可変抵抗VR22により大きさが調整される。そして、第2直流励磁電流DC2は、第2出力端子CC23から第2磁気コアCR2に入力する。これにより、第2検出コイルCL2には、第2磁気コアCR2に流れた第2交流励磁電流AC2と、第2磁気コアCR2に流れた第2直流励磁電流DC2と、第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、勾配磁界センサ12Aにおいても、当該電圧は、外部から第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、当該電圧を、第4誘起電圧と称して説明する。なお、第2インダクタL2は、DCカップリングのためのインダクタである。第2インダクタL2の存在により、勾配磁界センサ12Aでは、交流電流が第2出力端子CC23から入力端子CC21へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0104】
勾配磁界センサ12Aでは、このようにして誘起された第3誘起電圧及び第4誘起電圧に応じた信号が、検出回路DTが有する第2入力端子DT2に差動信号Vout2として入力する。検出回路DTの位相検波回路PDは、このようにして入力された差動信号Vout2と、交流電源P1から入力された参照信号とのずれに応じた信号を、検波信号としてローパスフィルタLFに入力する。ローパスフィルタLFは、位相検波回路PDから入力された検波信号から所定の第1周波数以上の成分を除去した出力信号を誤差アンプEAの反転入力端子に出力する。誤差アンプEAは、誤差アンプEAの反転入力端子に入力された出力信号の電位とグラウンド電位との電位差に応じた信号を検出信号として、検出信号出力端子CT2と抵抗R1とのそれぞれに出力する。
【0105】
抵抗R1に入力された検出信号は、図示しないバッファ回路の存在により、第3コンデンサC3へ入力されることなく、帰還電流として第2入力端子DT2から第1検出コイルCL1に向かって流れていく。
【0106】
このような動作を行う検出回路DTには、調整を行うことにより、差動信号Vout2の信号レベルが0[V]である場合、信号レベルが0[V]の検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させ、差動信号Vout2の信号レベルが0[V]ではない場合、信号レベルが0[V]ではない検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させることができる。
【0107】
以上のような動作により、勾配磁界センサ12Aは、勾配を検出する。しかしながら、勾配磁界センサ12Aは、第3誘起電圧及び第4誘起電圧のそれぞれについての調整を行わない場合、実施形態に係る勾配磁界センサ12と同様に、一様磁界領域内においても、勾配を検出してしまう場合がある。これは、検出対象物が存在しないにも拘わらず、検出対象物が存在しているとして誤検出してしまうことに繋がるため、望ましくない。そこで、勾配磁界センサ12Aには、前述の交流電流調整とともに、直流電流調整が行われる。これにより、勾配磁界センサ12Aは、磁界を用いた検出対象物の検出精度を、より確実に向上させることができる。
【0108】
直流電流調整は、すなわち、第1磁気コアCR1に流れる電流の大きさと、第2磁気コアCR2に流れる電流の大きさとを一致させる調整のことである。すなわち、直流電流調整は、第1直流励磁電流DC1の大きさと、第2直流励磁電流DC2の大きさとを等しくする調整である。そして、このような直流電流調整は、第1可変抵抗VR21の抵抗値と、第2可変抵抗VR22の抵抗値との少なくとも一方を調整することにより行うことができる。
【0109】
なお、実施形態の変形例1に係る勾配磁界センサ12Aは、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。また、実施形態の変形例1に係る勾配磁界センサ12Aは、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方に代えて、抵抗値を変化させることができない抵抗素子を備える構成であってもよい。何故なら、第1直流励磁電流DC1と第2直流励磁電流DC2との少なくとも一方の大きさを調整することにより、直流電流調整を行うことが可能だからである。
【0110】
また、実施形態の変形例1に係る勾配磁界センサ12Aは、事前の試験等の結果を踏まえた上で、上記において説明した第1可変抵抗VR21及び第2可変抵抗VR22それぞれの抵抗値と同じ抵抗値の抵抗素子を用意できる場合、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方又は両方に代えて、抵抗値を変化させることができない抵抗素子を備える構成であってもよい。
【0111】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12Aは、第1インダクタL1と第2インダクタL2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。ただし、前述した通り、これらはDCカップリングのためのコンデンサである。このため、当該勾配磁界センサ12Aは、第1インダクタL1と第2インダクタL2との両方を備えている方が望ましい。
【0112】
以上のように、実施形態の変形例1に係る勾配磁界センサ12Aは、実施形態に係る勾配磁界センサ12が備える部材に加えて、直流電源P2が有する正極電源端子が接続される直流電源接続端子CT3と、直流電源接続端子CT3と第1磁気コアCR1との間に接続される第1可変抵抗VR21と、直流電源接続端子CT3と第1磁気コアCR1との間において第1可変抵抗VR21と直列に接続される第1インダクタL1と、直流電源接続端子CT3と第2磁気コアCR2との間に接続される第2可変抵抗VR22と、直流電源接続端子CT3と第2磁気コアCR2との間において第2可変抵抗VR22と直列に接続される第2インダクタL2と、を更に備える。これにより、勾配磁界センサ12Aは、磁界を用いた検出対象物の検出精度を、より確実に向上させることができる。
【0113】
また、勾配磁界センサ12Aは、直流電源P2が有する負極電源端子がグラウンドに接地される直流電源P2を備える、構成が用いられてもよい。
【0114】
<実施形態の変形例2>
以下、
図7を参照し、実施形態の変形例2について説明する。なお、実施形態の変形例2では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。また、以下では、説明の便宜上、実施形態の変形例2に係る勾配磁界センサ12を、勾配磁界センサ12Bと称して説明する。また、実施形態の変形例2において説明する事項は、実施形態の変形例1に適用されてもよい。また、実施形態の変形例2において説明する事項は、実施形態のみならず、後述する実施形態の他の変形例に適用されてもよい。
【0115】
勾配磁界センサ12Bは、交流電流制御部CC1に代えて、交流電流制御部CC3を備える。
【0116】
図7は、交流電流制御部CC3の回路構成の一例を示す図である。なお、
図7では、交流電流制御部CC3と他の部材との接続態様を明確に示すため、交流電流制御部CC3とともに、交流電源P1と、交流電源接続端子CT1と、第0移相回路PS0と、第1磁気コアCR1と、第2磁気コアCR2とのそれぞれを示している。
【0117】
交流電流制御部CC3は、入力端子CC31と、第1出力端子CC32と、第2出力端子CC33を有する。また、交流電流制御部CC3は、反転回路RVCと、第1切替回路SWC1と、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1と、第2切替回路SWC2と、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2を備える。また、反転回路RVCは、入力端子RVC1と、出力端子RVC2を有する。また、第1切替回路SWC1は、第1入力端子SWC11と、第2入力端子SWC12と、出力端子SWC13を有する。また、第2切替回路SWC2は、第1入力端子SWC21と、第2入力端子SWC22と、出力端子SWC23を有する。
【0118】
交流電流制御部CC3が有する入力端子CC31は、伝送路を介して、第0移相回路PS0が有する出力端子PS02と接続される。なお、入力端子CC31と出力端子PS02との間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0119】
また、交流電流制御部CC3において、入力端子CC31は、伝送路を介して、反転回路RVCが有する入力端子RVC1と、第1切替回路SWC1が有する第2入力端子SWC12と、第2切替回路SWC2が有する第2入力端子SWC22とのそれぞれと接続される。なお、入力端子CC31と入力端子RVC1との間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC31と第2入力端子SWC12との間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC31と第2入力端子SWC22との間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0120】
また、反転回路RVCが有する出力端子RVC2は、伝送路を介して、第1切替回路SWC1が有する第1入力端子SWC11と、第2切替回路SWC2が有する第1入力端子SWC21とのそれぞれと接続される。なお、出力端子RVC2と第1入力端子SWC11との間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子RVC2と第1入力端子SWC21との間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0121】
また、第1切替回路SWC1が有する出力端子SWC13と交流電流制御部CC3が有する第1出力端子CC32との間には、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とが直列に接続される。そして、第1出力端子CC32とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1が接続される。この場合、第1交流励磁電流AC1は、第1出力端子CC32から第1磁気コアCR1に流れる交流電流のことである。なお、交流電流制御部CC3が有する第1出力端子CC32とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、第1磁気コアCR1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子SWC13と第1出力端子CC32との間において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0122】
また、第2切替回路SWC2が有する出力端子SWC23と交流電流制御部CC3が有する第2出力端子CC33との間には、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とが直列に接続される。そして、第2出力端子CC33とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第2センサヘッドS2の第2磁気コアCR2が接続される。この場合、第2交流励磁電流AC2は、第2出力端子CC33から第2磁気コアCR2に流れる交流電流のことである。なお、交流電流制御部CC3が有する第2出力端子CC33とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Bが有する機能を損なわない範囲内において、第2磁気コアCR2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子SWC23と第2出力端子CC33との間において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0123】
次に、交流電流制御部CC3の動作について説明する。
【0124】
上記のような回路構成の交流電流制御部CC3において、入力端子CC31から入力された交流電流は、2つに分岐される。
【0125】
2つに分岐された交流電流の一方は、第11交流励磁電流AC11として反転回路RVCに入力される。これにより、第11交流励磁電流AC11の位相は、反転回路RVCにより反転される。そして、反転回路RVCから出力された第11交流励磁電流AC11は、第1切替回路SWC1が有する第1入力端子SWC11と第2切替回路SWC2が有する第1入力端子SWC21とのそれぞれに入力される。
【0126】
一方、2つに分岐された交流電流の他方は、第12交流励磁電流AC12として、第1切替回路SWC1が有する第2入力端子SWC12と第2切替回路SWC2が有する第2入力端子SWC22とのそれぞれに入力される。
【0127】
ここで、第1切替回路SWC1は、入力された第11交流励磁電流AC11と、入力された第12交流励磁電流AC12とのいずれか一方を、第1交流励磁電流AC1として第1移相回路PS1に出力する。また、第2切替回路SWC2は、入力された第11交流励磁電流AC11と、入力された第12交流励磁電流AC12とのいずれか一方を、第2交流励磁電流AC2として第2移相回路PS2に出力する。
【0128】
すなわち、勾配磁界センサ12Bでは、反転回路RVCと、第1切替回路SWC1と、第2切替回路SWC2とのそれぞれによって、第1交流励磁電流AC1と第2交流励磁電流AC2とのそれぞれを、互いに位相が反転している電流とするか、互いに位相が同じ電流とするかを切り替えることができる。その結果、勾配磁界センサ12Bは、第1移相回路PS1と第2移相回路PS2とのそれぞれとして、互いに位相を進ませる移相回路を備える構成であってもよく、互いに位相を遅らせる移相回路を備える構成であってもよく、位相を遅らせる移相回路と位相を進ませる移相回路とを備える構成であってもよい。すなわち、勾配磁界センサ12Bが交流電流制御部CC3を備えることにより、勾配磁界センサ12Bは、回路設計の自由度を向上させることができる。
【0129】
なお、勾配磁界センサ12Bは、第1切替回路SWC1と第2切替回路SWC2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。
【0130】
以上のように、実施形態の変形例2に係る勾配磁界センサ12Bでは、交流電流制御部CC3は、第1交流励磁電流AC1と第2交流励磁電流AC2との少なくとも一方の位相を反転させる反転回路RVCを含む、構成が用いられてもよい。
【0131】
また、勾配磁界センサ12Bでは、交流電流制御部CC3は、第1磁気コアCR1に第1交流励磁電流AC1として流す交流電流を、反転回路RVCによって位相を反転させた交流電流と、反転回路によって位相を反転させていない交流電流とのいずれかに切り替える第1切替回路SWC1と、第2磁気コアCR2に第2交流励磁電流AC2として流す交流電流を、反転回路RVCによって位相を反転させた交流電流と、反転回路RVCによって位相を反転させていない交流電流とのいずれかに切り替える第2切替回路SWC2との少なくとも一方を含む、構成が用いられてもよい。
【0132】
これにより、勾配磁界センサ12Bは、回路設計の自由度を向上させることができる。
【0133】
<実施形態の変形例3>
以下、
図8を参照し、実施形態の変形例3について説明する。なお、実施形態の変形例3では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。また、以下では、説明の便宜上、実施形態の変形例2に係る勾配磁界センサ12を、勾配磁界センサ12Cと称して説明する。また、実施形態の変形例3において説明する事項は、実施形態の変形例1、実施形態の変形例2のそれぞれに適用されてもよい。また、実施形態の変形例3において説明する事項は、実施形態のみならず、後述する実施形態の他の変形例のいずれに適用されてもよい。
【0134】
勾配磁界センサ12Cの検出回路DTは、ハイパスフィルタHFを更に備える。
【0135】
図8は、ハイパスフィルタHFを更に備える検出回路DTの回路構成の一例を示す図である。
【0136】
図8に示した例では、検出回路DTにおいて、誤差アンプEAと抵抗R1との間を接続する伝送路と、出力端子DT3との間には、伝送路を介して、ハイパスフィルタHFが接続される。なお、誤差アンプEAと抵抗R1との間を接続する伝送路と、ハイパスフィルタHFとの間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、ハイパスフィルタHFと、出力端子DT3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0137】
ハイパスフィルタHFは、誤差アンプEAから出力された検出信号から所定の第2周波数以下の成分を除去した信号を、新たな検出信号として出力端子DT3に出力する。これにより、勾配磁界センサ12Cは、前述のオフセット成分を除去することができる。その結果、勾配磁界センサ12Cは、磁界を用いた検出対象物の検出精度を、より確実に向上させることができる。
【0138】
以上のように、勾配磁界センサ12Cでは、検出回路DTは、PSD(Phase Sensitive Detector)回路を含む、構成が用いられてもよい。そして、勾配磁界センサ12Cは、PLL回路から出力される信号から所定の第2周波数以下の成分を除去するハイパスフィルタHFを備える、構成が用いられてもよい。これにより、勾配磁界センサ12Cは、磁界を用いた検出対象物の検出精度を、より確実に向上させることができる。
【0139】
<実施形態の変形例4>
以下、
図9を参照し、実施形態の変形例4について説明する。なお、実施形態の変形例4では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。また、以下では、説明の便宜上、実施形態の変形例4に係る勾配磁界センサ12を、勾配磁界センサ12Dと称して説明する。また、実施形態の変形例4において説明する事項は、実施形態の変形例1、実施形態の変形例2、実施形態の変形例3のそれぞれに適用されてもよい。
【0140】
実施形態の変形例4では、実施形態の変形例2と同様に、直流励磁電流を第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2へと流す。しかしながら、実施形態の変形例4に係る勾配磁界センサ12Dは、実施形態の変形例1に係る勾配磁界センサ12Aと異なり、直流電流制御部CC2を備えない。
【0141】
図9は、勾配磁界センサ12Dの回路構成の一例を示す図である。
【0142】
勾配磁界センサ12Dは、交流電源接続端子CT1と、第1センサヘッドS1と、第2センサヘッドS2と、第0移相回路PS0と、交流電流制御部CC1と、検出回路DTと、検出信号出力端子CT2とに加えて、直流電源接続端子CT3と、抵抗R2と、第3インダクタL3と、第4インダクタL4と、第4コンデンサC4を備える。
【0143】
また、勾配磁界センサ12Dは、伝送路を介して、交流電源P1に加えて、直流電源P2とも接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12Dが有する直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電源P2が有する正極電源端子と接続される。そして、直流電源P2が有する負極電源端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ここで、直流電源P2は、如何なる直流電源であってもよい。なお、直流電源接続端子CT3と当該正極電源端子との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、当該負極電源端子とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0144】
また、直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、抵抗R2が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、抵抗R2が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、第3インダクタL3が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第3インダクタL3が有する2つの端子のうちの他方は、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続される。なお、直流電源接続端子CT3と抵抗R2との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R2と第3インダクタL3との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第3インダクタL3と、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。なお、第3インダクタL3は、DCカップリングのためのインダクタである。第3インダクタL3の存在により、勾配磁界センサ12Dでは、交流電流が、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路から直流電源接続端子CT3へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0145】
また、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、第1出力端子CC13側からグラウンド側に向かって、第1磁気コアCR1、第4コンデンサC4の順に、第1磁気コアCR1と、第4コンデンサC4とが直列に接続される。なお、この第4コンデンサC4は、ACカップリングのためのコンデンサである。また、第1磁気コアCR1と第4コンデンサC4とを接続する伝送路と、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2との間を接続する伝送路との間には、他の伝送路を介して、第4インダクタL4が接続される。この第4インダクタL4は、DCカップリングのためのインダクタである。なお、第1磁気コアCR1と第4コンデンサC4との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第4コンデンサC4とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1磁気コアCR1と第4コンデンサC4とを接続する伝送路と、第4インダクタL4との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第4インダクタL4と、第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2との間を接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12Dが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0146】
次に、勾配磁界センサ12Dの動作について説明する。
【0147】
上記のような回路構成の勾配磁界センサ12Dにおいて、直流電源P2は、直流電源接続端子CT3に直流電流を入力する。直流電源接続端子CT3に入力された直流電流は、抵抗R2、第3インダクタL3を介して、第1磁気コアCR1に直流励磁電流DC3として入力される。このため、第1磁気コアCR1には、第1交流励磁電流AC1とともに、直流励磁電流DC3が流れる。また、第1磁気コアCR1に入力された直流励磁電流DC3は、第4インダクタL4を介して、第2磁気コアCR2にも入力される。このため、第2磁気コアCR2には、第2交流励磁電流AC2とともに、直流励磁電流DC3が流れる。なお、第4コンデンサC4及び第4インダクタL4により、第1磁気コアCR1から第2磁気コアCR2に向かって第1交流励磁電流AC1が流れることは、ほぼない。同様に、第4インダクタL4により、第2磁気コアCR2から第1磁気コアCR1に向かって第2交流励磁電流AC2が流れることは、ほぼない。
【0148】
このように、勾配磁界センサ12Dでは、第1磁気コアCR1及び第2磁気コアCR2のそれぞれに対して、同じ大きさの直流電流である直流励磁電流DC3を流すことができる。これにより、勾配磁界センサ12Dは、実施形態の変形例2よりも単純な回路構成を用いて、磁界を用いた検出対象物の検出精度を、より確実に向上させることができる。
【0149】
なお、上記において説明した第1磁気コアCR1は、直列に接続された2以上の磁性体を含む構成であってもよい。この場合、第1磁気コアCR1は、これら2以上の磁性体のうちの一部又は全部は、非磁性の導体によって直列に接続される構成であってもよい。ここで、
図10は、複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成の一例を示す図である。
図10に示した例では、第1磁気コアCR1は、2つの磁性体を含んでいる。より具体的には、当該例では、第1磁気コアCR1は、磁性体CR1Aと、磁性体CR1Bと、非磁性の導体CR1Cと、端子CR1Dと、端子CR1Eを有する。そして、磁性体CR1Aと磁性体CR1Bとは、導体CR1Cによって接続されている。また、磁性体CR1Aが有する端部のうち導体CR1Cと接続されている端部と反対側の端部には、端子CR1Dが設けられている。端子CR1Dは、例えば、
図2において、交流電流制御部CC1の第1出力端子CC13と接続されている端子である。また、磁性体CR1Bが有する端部のうち導体CR1Cと接続されている端部と反対側の端部には、端子CR1Eが設けられている。端子CR1Eは、例えば、
図2において、グラウンドに接地されている端子である。
【0150】
また、上記において説明した第2磁気コアCR2は、直列に接続された2以上の磁性体を含む構成であってもよい。この場合、第2磁気コアCR2は、これら2以上の磁性体のうちの一部又は全部は、非磁性の導体によって直列に接続される構成であってもよい。なお、複数の磁性体を含む第2磁気コアCR2の構成については、複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成と同様の構成であるため、図示による説明を省略する。
【0151】
以上のように、実施形態に係る勾配磁界センサ(上記において説明した例では、勾配磁界センサ12、勾配磁界センサ12A、勾配磁界センサ12B、勾配磁界センサ12C、勾配磁界センサ12D)は、交流電源(上記において説明した例では、交流電源P1)が有する第1電源端子(上記において説明した例では、第1電源端子P11)が接続される交流電源接続端子(上記において説明した例では、交流電源接続端子CT1)と、交流電源接続端子とグラウンドとの間に接続される第1磁気コア(上記において説明した例では、第1磁気コアCR1)と、交流電源接続端子とグラウンドとの間において第1磁気コアと並列に接続される第2磁気コア(上記において説明した例では、第2磁気コアCR2)と、交流電源接続端子と、第1磁気コアと第2磁気コアとの少なくとも一方との間に接続され、第1磁気コアと第2磁気コアとの少なくとも一方に流れる交流電流(上記において説明した例では、第1交流励磁電流AC1)を制御する交流電流制御部(上記において説明した例では、交流電流制御部CC1、交流電流制御部CC3)と、第1磁気コアに巻回される第1検出コイル(上記において説明した例では、第1検出コイルCL1)と、第2磁気コアに巻回され、且つ、第1検出コイルと差動接続される第2検出コイル(上記において説明した例では、第2検出コイルCL2)と、第1検出コイルから出力される第1電圧(上記において説明した例では、第1誘起電圧、第3誘起電圧)と、第2検出コイルから出力される第2電圧(上記において説明した例では、第2誘起電圧、第4誘起電圧)との差分に応じた電圧を検出する検出回路(上記において説明した例では、検出回路DT)と、を備える。これにより、勾配磁界センサは、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。
【0152】
また、勾配磁界センサは、交流電源が有する第2電源端子がグラウンドに接続される交流電源を備える、構成が用いられてもよい。
【0153】
また、勾配磁界センサでは、交流電流制御部は、交流電源接続端子から第1磁気コアに流れる第1交流電流(上記において説明した例では、第1交流励磁電流AC1)と、交流電源接続端子から第2磁気コアに流れる第2交流電流(上記において説明した例では、第2交流励磁電流AC2)との少なくとも一方を移相する移相部(上記において説明した例では、第1移相回路PS1、第2移相回路PS2の少なくとも一方)を含む、構成が用いられてもよい。
【0154】
また、勾配磁界センサでは、交流電流制御部は、交流電源接続端子から第1磁気コアに流れる第1交流電流と、交流電源接続端子から第2磁気コアに流れる第2交流電流との少なくとも一方の振幅を調整する振幅調整部(上記において説明した例では、第1可変抵抗VR11、第2可変抵抗VR12の少なくとも一方)を含む、構成が用いられてもよい。
【0155】
また、勾配磁界センサでは、交流電流制御部は、交流電源接続端子と第1磁気コアとの間に接続される第1増幅回路及び第11可変抵抗器(上記において説明した例では、第1可変抵抗VR11)の少なくとも一方と、交流電源接続端子と第2磁気コアとの間に接続される第2増幅回路及び第12可変抵抗器(上記において説明した例では、第2可変抵抗VR12)の少なくとも一方とを、振幅調整部として含む、構成が用いられてもよい。
【0156】
また、勾配磁界センサでは、交流電流制御部は、交流電源接続端子から第1磁気コアに流れる第1交流電流と交流電源接続端子から第2磁気コアに流れる第2交流電流との少なくとも一方の位相を反転させる反転回路(上記において説明した例では、反転回路RVC)を含む、構成が用いられてもよい。
【0157】
また、勾配磁界センサでは、交流電流制御部は、第1磁気コアに第1交流電流として流す交流電流を、反転回路によって位相を反転させた交流電流(上記において説明した例では、第11交流励磁電流AC11)と、反転回路によって位相を反転させていない交流電流(上記において説明した例では、第12交流励磁電流AC12)とのいずれかに切り替える第1切替回路(上記において説明した例では、第1切替回路SWC1)と、第2磁気コアに第2交流電流として流す交流電流を、反転回路によって位相を反転させた交流電流と、反転回路によって位相を反転させていない交流電流とのいずれかに切り替える第2切替回路(上記において説明した例では、第2切替回路SWC2)との少なくとも一方を含む、構成が用いられてもよい。
【0158】
また、勾配磁界センサでは、交流電流制御部は、交流電源接続端子と第1磁気コアとの間に接続されるACカップリング用の第1コンデンサ(上記において説明した例では、第1コンデンサC1)と、交流電源接続端子と第2磁気コアとの間に接続されるACカップリング用の第2コンデンサ(上記において説明した例では、第2コンデンサC2)と含む、構成が用いられてもよい。
【0159】
また、勾配磁界センサは、直流電源(上記において説明した例では、直流電源P2)が有する正極電源端子が接続される直流電源接続端子(上記において説明した例では、直流電源接続端子CT3)と、直流電源接続端子と第1磁気コアとの間に接続される第21抵抗器(上記において説明した例では、第1可変抵抗VR21)と、直流電源接続端子と第1磁気コアとの間において第21抵抗器と直列に接続される第1インダクタ(上記において説明した例では、第1インダクタL1)と、直流電源接続端子と第2磁気コアとの間に接続される第22抵抗器(上記において説明した例では、第2可変抵抗VR22)と、直流電源接続端子と第2磁気コアとの間において第22抵抗器と直列に接続される第2インダクタ(上記において説明した例では、第2インダクタL2)と、を更に備える、構成が用いられてもよい。
【0160】
また、勾配磁界センサでは、第21抵抗器と、第22抵抗器との少なくとも一方は、可変抵抗器である、構成が用いられてもよい。
【0161】
また、勾配磁界センサは、直流電源が有する負極電源端子がグラウンドに接続される直流電源を備える、構成が用いられてもよい。
【0162】
また、勾配磁界センサでは、検出回路は、PSD(Phase Sensitive Detector)回路を含む、構成が用いられてもよい。
【0163】
また、勾配磁界センサでは、検出回路は、PSD回路から出力される信号から所定の第1周波数以上の成分を除去するローパスフィルタ(上記において説明した例では、ローパスフィルタLF)を備える、構成が用いられてもよい。
【0164】
また、勾配磁界センサでは、検出回路は、PSD回路から出力される信号から所定の第2周波数以下の成分を除去するハイパスフィルタ(上記において説明した例では、ハイパスフィルタHF)を備える、構成が用いられてもよい。
【0165】
また、実施形態に係る磁性物検出装置(上記において説明した例では、磁性物検出装置1)は、上記に記載の勾配磁界センサを備える。これにより、磁性物検出装置は、磁界を用いた検出対象物の検出精度を向上させることができる。
【0166】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1…磁性物検出装置、11…着磁装置、12、12A、12B、12C、12D…勾配磁界センサ、20…情報処理装置、AC1…第1交流励磁電流、AC2…第2交流励磁電流、AC11…第11交流励磁電流、AC12…第12交流励磁電流、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、C3…第3コンデンサ、C4…第4コンデンサ、CC1、CC3…交流電流制御部、CC2…直流電流制御部、CL1…第1検出コイル、CL2…第2検出コイル、CR1…第1磁気コア、CR2…第2磁気コア、CS…枠体、CT1…交流電源接続端子、CT2…検出信号出力端子、CT3…直流電源接続端子、DT…検出回路、DC1…第1直流励磁電流、DC2…第2直流励磁電流、DC3…直流励磁電流、EA…誤差アンプ、HF…ハイパスフィルタ、L1…第1インダクタ、L2…第2インダクタ、L3…第3インダクタ、L4…第4インダクタ、LF…ローパスフィルタ、P1…交流電源、P2…直流電源、PD…位相検波回路、PS0…第0移相回路、PS1…第1移相回路、PS2…第2移相回路、R1、R2…抵抗、RL1…第1ローラ、RL2…第2ローラ、RVC…反転回路、S1…第1センサヘッド、S2…第2センサヘッド、ST…シート部材、SWC1…第1切替回路、SWC2…第2切替回路、Vout…差動信号、Vout2…差動信号、VR11、VR21…第1可変抵抗、VR12、VR22…第2可変抵抗