(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】トラックの側あおり板支持装置
(51)【国際特許分類】
B62D 33/027 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
B62D33/027 Y
(21)【出願番号】P 2020127264
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594122911
【氏名又は名称】亀山 賢次
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀山 賢次
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3060881(JP,U)
【文献】実開昭64-056322(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00623502(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01914112(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台床板の両側位置の長手方向に分割して配置される複数の側あおり板を支持するトラックの側あおり板支持装置において、
前記側あおり板が隣接する境界空間位置に配置され、前記荷台床板に対して回動可能に支持するヒンジ部を有する中間支柱と、
前記荷台床板の下面に固定された床板ブラケットに取り付けられ、前記中間支柱を駆動する支柱駆動アクチュエータと、
前記中間支柱に一端が連結され、他端が前記支柱駆動アクチュエータに連結され、アクチュエータ動作を前記中間支柱の回動動作に変換する動作変換機構と、
前記支柱駆動アクチュエータに接続されるアクチュエータ制御ユニットに対し、前記中間支柱を回動動作させる動作指令を出力する遠隔操作コントローラと、を備え、
前記中間支柱は、前記ヒンジ部を開閉軸として回動したとき、垂直状態になると前記荷台床板の上面に当接する支柱下面を支柱ストッパー面とし、
前記遠隔操作コントローラは、前記中間支柱を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と前記中間支柱を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行し、
前記中間支柱は、支柱外面の下部位置に固定され、前記荷台床板の下方まで延び、下端部に前記ヒンジ部が設けられた延長支柱部を一体に有し、
前記支柱駆動アクチュエータは、後端が前記床板ブラケットにピン支持され、前記荷台床板と平行に配置された油圧シリンダーであり、
前記動作変換機構は、前記油圧シリンダーの伸縮動作を前記中間支柱及び前記延長支柱部の回動動作に変換する第1リンク機構である
ことを特徴とするトラックの側あおり板支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたトラックの側あおり板支持装置において、
前記中間支柱が垂直状態のときにロックレバーをロックピンに係合させることにより前記中間支柱をロック固定する支柱ロック機構と、前記ロックレバーに連結されたレバー駆動アクチュエータと、を備え、
前記遠隔操作コントローラは、前記レバー駆動アクチュエータに接続されるアクチュエータ制御ユニットに対し、前記ロックレバーと前記ロックピンの係合/係合解除の動作指令を出力する
ことを特徴とするトラックの側あおり板支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたトラックの側あおり板支持装置において、
前記遠隔操作コントローラは、前記中間支柱を垂下させる操作開始入力があると、前記中間支柱を垂直位置から回動させる回動動作を開始する前に前記ロックレバーを前記ロックピンから係合解除させる協調制御を実行し、
前記中間支柱を立設させる操作開始入力があると、前記中間支柱を垂直位置まで戻す回動動作が終了した後に前記ロックレバーを前記ロックピンへ係合させる協調制御を実行する
ことを特徴とするトラックの側あおり板支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台床板の両側位置の長手方向に分割して配置される複数の側あおり板を支持するトラックの側あおり板支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックの側あおり板支持装置としては、第1ヒンジ部により荷台床板に対して回動可能に支持される中間支柱と、第1ヒンジ部とは別の第2ヒンジ部により荷台床板に対して回動可能に支持されるストッパー部材と、を有するものが知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-122781号公報
【文献】特開平2-11480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記先行技術にあっては、中間支柱を垂直状態に保ちながら支える機能を、中間支柱とは別体で荷台床板に回動可能なストッパー部材が分担する構成としている。このため、装置構成が複雑になり二箇所のヒンジ部を必要とすることで、回動不良や回動不能に陥る発生原因が増える、という課題があった。加えて、高重量である中間支柱を支えながら、垂直位置から垂下位置まで回動させる作業と垂下位置から垂直位置まで回動させる作業を手作業で行う必要がある。このため、中間支柱を手作業により回動させる作業者の作業負担が過大になる、という課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、装置構成を簡単にして回動不良や回動不能に陥ることを抑えながら、中間支柱を回動する際、手作業から遠隔操作への移行によって負担軽減を達成するトラックの側あおり板支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、荷台床板の両側位置の長手方向に分割して配置される複数の側あおり板を支持するトラックの側あおり板支持装置において、側あおり板が隣接する境界空間位置に配置され、荷台床板に対して回動可能に支持するヒンジ部を有する中間支柱と、荷台床板の下面に固定された床板ブラケットに取り付けられ、中間支柱を駆動する支柱駆動アクチュエータと、中間支柱に一端が連結され、他端が支柱駆動アクチュエータに連結され、アクチュエータ動作を中間支柱の回動動作に変換する動作変換機構と、支柱駆動アクチュエータに接続されるアクチュエータ制御ユニットに対し、中間支柱を回動動作させる動作指令を出力する遠隔操作コントローラと、を備える。中間支柱は、ヒンジ部を開閉軸として回動したとき、垂直状態になると荷台床板の上面に当接する支柱下面を支柱ストッパー面とする。遠隔操作コントローラは、中間支柱を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行する。中間支柱は、支柱外面の下部位置に固定され、荷台床板の下方まで延び、下端部にヒンジ部が設けられた延長支柱部を一体に有する。支柱駆動アクチュエータは、後端が床板ブラケットにピン支持され、荷台床板と平行に配置された油圧シリンダーである。動作変換機構は、油圧シリンダーの伸縮動作を中間支柱及び延長支柱部の回動動作に変換する第1リンク機構である。
【発明の効果】
【0007】
上記課題解決手段を採用した結果、装置構成を簡単にして回動不良や回動不能に陥ることを抑えながら、中間支柱を回動する際、手作業から遠隔操作への移行によって負担軽減を達成することができる。加えて、油圧シリンダーの動作変換機構と中間支柱の支柱駆動アクチュエータの構成を、第1リンク機構と油圧シリンダーによる簡潔な構成にすることができ、かつ、荷台床板の下部空間にコンパクトに配置される構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の側あおり板支持装置が適用された貨物トラックを示す側面図である。
【
図2】実施例1の側あおり板支持装置を示す全体システム図である。
【
図3】実施例1の側あおり板支持装置における中間支柱ロック機構の詳細を示す拡大図である。
【
図4】中間支柱を垂下させる操作開始入力があるときに遠隔操作コントローラで実行される中間支柱協調制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】中間支柱を立設させる操作開始入力があるときに遠隔操作コントローラで実行される中間支柱協調制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】遠隔操作入力に基づいて中間支柱の回動が実行されるときの支柱水平状態を示す作用説明図である。
【
図7】遠隔操作入力に基づいて中間支柱の回動が実行されるときの支柱垂下状態を示す作用説明図である。
【
図8】実施例2の側あおり板支持装置を示す全体システム図である。
【
図9】中間支柱を垂下させる操作開始入力があるときに遠隔操作コントローラで実行される中間支柱動作制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】中間支柱を立設させる操作開始入力があるときに遠隔操作コントローラで実行される中間支柱動作制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】遠隔操作入力に基づいて中間支柱の回動が実行されるときの支柱水平状態を示す作用説明図である。
【
図12】遠隔操作入力に基づいて中間支柱の回動が実行されるときの支柱垂下状態を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のトラックの側あおり板支持装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1における側あおり板支持装置は、荷台左右のあおり板を長手方向に2分割した“五方開き荷台”と呼ばれる荷台を備える貨物トラック(トラックの一例)に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「貨物トラックの全体構成」、「側あおり板支持装置の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[貨物トラックの全体構成(
図1)]
図1に基づいて貨物トラックTの全体構成を説明する。貨物トラックTは、
図1に示すように、トラクタキャビン1、シャシフレーム2、前輪3、後輪4,4、五方開き荷台5、中間支柱6を備えている。
【0012】
トラクタキャビン1は、キャビン床板の下部空間にエンジンなどの走行用駆動源や変速機を有するパワートレーンが搭載され、キャビン床板の上部空間をドライバーなどが着座する乗員室とする。シャシフレーム2は、貨物トラックTの前後方向に延設して一対配置され、フレーム上面に五方開き荷台5が、図外の弾性支持機構を介して架装される。
【0013】
前輪3は、シングルタイヤ構成であり、シャシフレーム2に対してフロントサスペンションを介して支持される。後輪4,4は、ダブルタイヤ構成であり、シャシフレーム2に対してリアサスペンションを介して支持される。
【0014】
五方開き荷台5は、トラクタキャビン1と接する荷台前方位置に鳥居部50を有する。そして、あおり板として、第1右側あおり板51と、第2右側あおり板52と、後あおり板53と、図外の第1左側あおり板と、図外の第2左側あおり板とを有し、これら5枚のあおり板により五方に開くことが可能な荷台としている。
【0015】
第1右側あおり板51は、ハンドル操作により緊締を解除可能な鳥居側緊締部51a,51aと支柱側緊締部51b,51bを有し、荷台床板15との間に複数設けられた第1右側あおり板ヒンジ部51c,…を開閉軸として回動する。第2右側あおり板52は、レバー操作により緊締を解除可能な後板側緊締部52a,52aと支柱側緊締部52b,52bを有し、荷台床板15との間に複数設けられた第2右側あおり板ヒンジ部52c,…を開閉軸として回動する。
【0016】
中間支柱6は、隣接する第1右側あおり板51と第2右側あおり板52の境界空間位置に配置される。同様に、隣接する第1左側あおり板と第2左側あおり板の境界空間位置にも図外の左中間支柱が配置される。中間支柱6は、第1右側あおり板51、第2右側あおり板52と同様に、荷台床板15との間に設けられたヒンジ部17を開閉軸として回動する。なお、
図1に示す中間支柱6を正確に表記すると右中間支柱であるが、以下、右中間支柱の“右”を省略して単に“中間支柱6”と表記する。
【0017】
[側あおり板支持装置の詳細構成(
図2、
図3)]
図2及び
図3に基づいて五方開き荷台5の右長手方向に2分割して配置される第1右側あおり板51と第2右側あおり板52を支持する側あおり板支持装置の詳細構成を説明する。側あおり板支持装置は、
図2に示すように、中間支柱6、油圧シリンダー7(支柱駆動アクチュエータ)、第1リンク機構8(動作変換機構)、支柱ロック機構9、空気圧シリンダー10(レバー駆動アクチュエータ)を備える。なお、中間支柱6以外の構成についても、左右それぞれに存在する構成は“右”を省略した表記とする。但し、左右独立に動作させる制御系構成については左右を区別する。
【0018】
中間支柱6は、支柱高さと支柱厚みをあおり板高さとあおり板厚と同程度とした直方体形状であり、第1右側あおり板51と第2右側あおり板52が隣接する境界空間位置に配置される。この中間支柱6は、
図2に示すように、支柱外面の下部位置に固定され、荷台床板15の下方まで延びる延長支柱部61を一体に有する。そして、延長支柱部61の下端部と荷台床板15の下面に固定された2枚の支柱支持ブラケット16とを連結する位置には、
図3に示すように、中間支柱6及び延長支柱部61を荷台床板15に対して回動可能にピン支持するヒンジ部17が設けられている。この中間支柱6は、ヒンジ部17を開閉軸として回動したとき、
図3に示すように、垂直状態になると荷台床板15の上面(床パネル面)に当接する支柱下面6aを支柱ストッパー面としている。
【0019】
油圧シリンダー7は、荷台床板15の下面に固定された床板ブラケット18に後端がピン支持され、中間支柱6及び延長支柱部61を、油圧での伸縮動作によってヒンジ部17を中心とする回動軌跡を描くように駆動する支柱駆動アクチュエータである。
【0020】
第1リンク機構8は、中間支柱6と一体に有する延長支柱部61に一端が連結され、他端が油圧シリンダー7に連結され、油圧シリンダー7の伸縮動作を中間支柱6及び延長支柱部61の回動動作に変換する動作変換機構である。第1リンク機構8は、延長支柱部61のうちヒンジ部17より上部内面位置に固定された第1連結ブラケット81と、第1連結ブラケット81に一端をピン支持し、他端を油圧シリンダー7の先端にピン支持する第1連結ロッド82と、を有する。なお、第1リンク機構8は、油圧シリンダー7をリンク機構の一部に組み込んだ構成としている。また、中間支柱6及び延長支柱部61が垂直状態のときに油圧シリンダー7を荷台床板15と平行配置とし、荷台床板15の下部にコンパクトに収納されるように配置される。
【0021】
支柱ロック機構9は、
図2及び
図3に示すように、ロックピン91と、ロックレバー92と、レバーピン93と、スプリング94と、を有する。ロックピン91は、延長支柱部61のうちヒンジ部17の上部位置に固定される。ロックレバー92は、ロックピン91に係合可能なピン係合部92aを有し、荷台床板15の下面に固定された支柱支持ブラケット16に固定されたレバーピン93に回動可能に設けられる。スプリング94は、ロックレバー92と支柱支持ブラケット16とに介装され、ロックレバー92に対してロックピン91へ係合する方向(
図3の左回動方向)に付勢力を発生する。即ち、ロックレバー92が
図3の実線位置にあるとロックピン91へのロック係合が維持される。そして、ロックレバー92が
図3の実線位置から仮想線位置まで回動するとロックピン91とのロック係合が解除される。
【0022】
空気圧シリンダー10は、荷台床板15の下面に固定された床板ブラケット18に後端がピン支持され、先端がロックレバー92にピン支持され、空気圧での伸縮動作によってロックレバー92を駆動するレバー駆動アクチュエータである。なお、ロックレバー92は、荷台床板15の下方位置までレバー端を延ばした構成とすることで、ロックレバー92を把持する手動操作によってもロック係合や係合解除を可能な構成にしている。
【0023】
側あおり板支持装置は、
図2に示すように、油圧制御ユニット11(アクチュエータ制御ユニット)、空気圧制御ユニット12(アクチュエータ制御ユニット)、遠隔操作コントローラ13を、制御系構成として備える。
【0024】
油圧制御ユニット11は、入力側がオイルポンプなどの油圧源111に接続され、出力側が油圧シリンダー7の2つの油圧ポート7a,7bに接続されたアクチュエータ制御ユニットである。油圧制御ユニット11の内部には、油圧ポート7a又は7bへの油供給と油圧ポート7a又は7bからの油排出を行う油圧回路と、油圧回路に設けられる電磁バルブと、電磁バルブ駆動回路を有する周知構成としている。そして、遠隔操作入力に基づいて遠隔操作コントローラ13からの動作指令(有線又は無線)を電磁バルブ駆動回路が入力すると、動作指令に応じて電磁バルブを動作させて油圧シリンダー7への油路切替え制御や油圧制御を行う。なお、図外の左油圧シリンダーに対しても同様の構成を有する。
【0025】
空気圧制御ユニット12は、入力側がコンプレッサや加圧エアータンクなどの空気圧源121に接続され、出力側が空気圧シリンダー10の2つの空気圧ポート10a,10bに接続されたアクチュエータ制御ユニットである。空気圧制御ユニット12の内部には、空気圧ポート10a又は10bへの空気供給と空気圧ポート10a又は10bからの空気排出を行う空気圧回路と、空気圧回路に設けられる電磁バルブと、電磁バルブ駆動回路を有する周知構成としている。そして、遠隔操作入力に基づいて遠隔操作コントローラ13からの動作指令(有線又は無線)を電磁バルブ駆動回路が入力すると、動作指令に応じて電磁バルブを動作させて空気圧シリンダー10への空気路切替え制御を行う。なお、図外の左空気圧シリンダーに対しても同様の構成を有する。
【0026】
遠隔操作コントローラ13は、例えば、トラクタキャビン1の内部位置に取り外し可能に配置されるもので、油圧シリンダー7と空気圧シリンダー10を遠隔操作入力により制御するデバイスである。即ち、中間支柱6を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱6を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作と、ロックレバー92とロックピン91との係合/係合解除の動作を、遠隔操作入力により実行する。そして、油圧シリンダー7と空気圧シリンダー10を動作制御する際、それぞれ別に制御するのではなく、互いに協調させて制御する協調制御を実行するようにしている。即ち、中間支柱6を垂下させる操作開始入力があると、中間支柱6を垂直位置から回動する回動動作を開始する前にロックレバー92をロックピン91から係合解除させる協調制御を実行する。また、中間支柱6を立設させる操作開始入力があると、中間支柱6を垂直位置まで戻す回動動作が終了した後にロックレバー92をロックピン91へ係合させる協調制御を実行する。
【0027】
遠隔操作コントローラ13の一例を説明すると、コントローラ本体131に、メインスイッチ132と、スイッチランプ133と、スピーカ134と、タッチパネル135と、を備える。スイッチランプ133は、メインスイッチ132へのオン操作により点灯し、スピーカ134は、メインスイッチ132へのオン操作により音声案内を開始する。タッチパネル135は、メインスイッチ132へのオン操作をすると、左中間支柱垂下開始スイッチ135a、左中間支柱立設開始スイッチ135b、右中間支柱垂下開始スイッチ135c、右中間支柱立設開始スイッチ135d、中間支柱動作ディスプレイ135eを液晶画面上に表示する。即ち、左右の中間支柱6を垂下させる操作開始入力と左右の中間支柱6を立設させる操作開始入力を、4つの開始スイッチ135a,135b,135c,135dの何れかへのタッチ操作により行えるようにしている。
【0028】
遠隔操作コントローラ13は、左中間支柱立設検出スイッチ21、左中間支柱垂下検出スイッチ22、左油圧シリンダーストロークセンサ23、左空気圧シリンダーストロークセンサ24からの検出信号を入力する。また、右中間支柱立設検出スイッチ31、右中間支柱垂下検出スイッチ32、右油圧シリンダーストロークセンサ33、右空気圧シリンダーストロークセンサ34からの検出信号を入力する。
【0029】
左右の中間支柱立設検出スイッチ21,31は、左右の中間支柱6が垂直状態の立設位置であるか否かを検出する。左右の中間支柱垂下検出スイッチ22,32は、左右の中間支柱6が垂下状態の位置であるか否かを検出する。左右の油圧シリンダーストロークセンサ23,33は、左右の油圧シリンダー7のストローク位置を検出する。このストローク位置の情報は、シリンダー長さをあらわすストローク情報として用いる以外に、左右の中間支柱6の回動角度位置に変換し、中間支柱動作ディスプレイ135eでの左右の中間支柱動作を表示する情報として用いる。左右の空気圧シリンダーストロークセンサ24,34は、左右の空気圧シリンダー10のストローク位置を検出し、左右の中間支柱6がロック状態かロック解除状態かを判断する。
【0030】
次に、トラックの側あおり板を支持する背景技術について説明する。そして、実施例1における作用を、「遠隔操作による負担軽減作用」、「遠隔操作による中間支柱の開閉制御作用」、「他の特徴作用」に分けて説明する。
【0031】
[トラックの側あおり板を支持する背景技術]
従来、トラックの側あおり板を支持する中間支柱は、実開昭59-190680号公報に記載されているように、支柱支持枠から中間支柱を抜き取って外し、外した中間支柱を支柱支持枠へ差し込んで取り付ける作業を、手作業により行うものであった。
【0032】
これに対し、中間支柱の着脱作業をより簡単にするため、上記特許文献1,2に記載されているように、中間支柱を荷台床板に回動可能に設けたものが先行技術として提案されている。しかしながら、先行技術にあっては、中間支柱の垂直状態を保ちながら支える機能を、中間支柱とは別体のストッパー部材が分担する構成としている。このため、装置構成が複雑になり二箇所のヒンジ部を必要とすることで、ヒンジ部へ異物(泥や砂など)が入り込む機会が増え、中間支柱が回動不良や回動不能に陥る発生原因が増える、という課題があった。
【0033】
加えて、高重量の中間支柱(例えば、大型トラックの場合、中間支柱の重量が50kg程度に達することがある。)を手で支えながら、中間支柱を垂直位置から垂下位置まで回動させる作業と、中間支柱を垂下位置から垂直位置まで回動させる作業を手作業で行う必要がある。このため、中間支柱を手作業により回動させる作業者の作業負担が過大になる、という課題があった。作業負担が過大になると、一人の作業者が受ける肉体的負荷が増大するだけでなく、例えば、二人の作業者を要したり、長い作業時間を要したりするなど、中間支柱の回動作業性も低下してしまう。
【0034】
[遠隔操作による負担軽減作用(
図2)]
本発明者は、上記背景技術での中間支柱が回動不良や回動不能に陥る発生原因が増えるという課題の解決策を検討した結果、できる限り簡潔な装置構成にすることが有効である。加えて、作業負担が過大になるという課題の解決策を検討した結果、中間支柱を回動させる際に手作業からの脱却を目指すことが有効であるとの結論に達した。そして、中間支柱のヒンジ部を一箇所のみとし、かつ、中間支柱の回動を手作業から遠隔操作へ移行させることで、背景技術の課題を解決できるという点に着目した。
【0035】
上記着目点に基づき本発明は、荷台床板15の両側位置の長手方向に分割して配置される複数の側あおり板を支持する貨物トラックTの側あおり板支持装置において、荷台床板15に対して回動可能に支持するヒンジ部17を有する中間支柱6と、中間支柱6を駆動する油圧シリンダー7と、シリンダー動作を中間支柱6の回動動作に変換する第1リンク機構8と、油圧制御ユニット11に中間支柱6を回動動作させる動作指令を出力する遠隔操作コントローラ13と、を備える。中間支柱6は、ヒンジ部17を開閉軸として回動したとき、垂直状態になると荷台床板15の上面に当接する支柱下面6aを支柱ストッパー面とする。遠隔操作コントローラ13は、中間支柱6を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱6を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行する、という構成を採用した。
【0036】
即ち、ヒンジ部17を開閉軸として中間支柱6を回動したとき、垂直状態になると荷台床板15の上面に当接する支柱下面6aを支柱ストッパー面とし、中間支柱6を垂直状態にする立設機能を与え、中間支柱6とは別体のストッパー部材を廃止している。よって、中間支柱の垂直状態を保ちながら支える機能を、中間支柱とは別体のストッパー部材が分担する先行技術のように二箇所のヒンジ部を必要としない。このため、一箇所のヒンジ部17へ異物が入り込む機会が先行技術に比べて減少し、中間支柱6が回動不良や回動不能に陥る発生原因が最小限に抑えられる。
【0037】
加えて、遠隔操作コントローラ13を設け、中間支柱6を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱6を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行するようにしている。よって、高重量の中間支柱を手で支えながら中間支柱6を回動させる作業を行う必要が無くなる。このため、遠隔操作入力を行うだけで中間支柱6を回動させることができ、中間支柱6を手作業により回動させる場合に比べて中間支柱6を回動する際の負担が大幅に軽減される。この結果、装置構成を簡単にして回動不良や回動不能に陥ることを抑えながら、中間支柱6を回動する際、手作業から遠隔操作への移行によって負担軽減が達成されることになる。
【0038】
[遠隔操作による中間支柱の開閉制御作用(
図1、
図2、
図4~
図7)]
例えば、五方開き荷台5の右側方の全長域から積み込んだ荷物を下ろす状況を想定すると、(第1右側あおり板51を開く)→(第2右側あおり板52を開く)→(中間支柱6を開く)という手順により右側方の全長域を開放する。なお、第1右側あおり板51と第2右側あおり板52を開く順序は逆であっても同時であっても良い。
【0039】
第1右側あおり板51を開くときは、鳥居側緊締部51a,51aと支柱側緊締部51b,51bへのハンドル操作により緊締を解除し、複数設けられた第1右側あおり板ヒンジ部51c,…を開閉軸として垂下位置まで回動することにより行う。第2右側あおり板52を開くときは、後板側緊締部52a,52aと支柱側緊締部52b,52bへのハンドル操作により緊締を解除し、複数設けられた第2右側あおり板ヒンジ部52c,…を開閉軸として第1右側あおり板51を垂下位置まで回動することにより行う(
図1を参照)。
【0040】
その後、中間支柱6を開くときは、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を垂下させる開始入力操作をすると、
図4に示すフローチャートにしたがって協調制御が実行され、中間支柱6が自動的に開かれる。
【0041】
メインスイッチ132をオン操作し、液晶画面上に表示された右中間支柱垂下開始スイッチ135cをタッチ操作すると協調制御処理を開始する。ステップS1では、ロックピン91からロックレバー92を解除する指令(空気圧シリンダー10を伸長させる指令)が出力され、次のステップS2では、ロック解除が終了したか否かが判断される。ステップS2でNO(ロック解除未終了)の場合はステップS1へ戻り、ステップS2でYES(ロック解除終了)の場合はステップS3へ進む。ここで、ロック解除の終了判断は、右空気圧シリンダーストロークセンサ34からの検出信号を入力し、伸長ストロークが解除ストロークに到達すると、ロック解除を終了したと判断する。
【0042】
ステップS3では、ロック解除の終了判断に続き、垂直状態の中間支柱6を垂下状態まで回動させる指令(油圧シリンダー7を伸長させる指令)が出力され、次のステップS4では、中間支柱6が垂下状態になるまでの回動が終了したか否かが判断される。ステップS4でNO(支柱回動未終了)の場合はステップS3へ戻り、ステップS4でYES(支柱回動終了)の場合はステップS5へ進む。ここで、支柱回動終了判断は、右油圧シリンダーストロークセンサ33からの伸長ストロークが支柱回動終了ストロークに到達し、かつ、右中間支柱垂下検出スイッチ32からのスイッチ信号を入力すると、中間支柱6が垂下状態になるまでの回動を終了したと判断する。
【0043】
中間支柱6が垂下状態になるまでの回動終了判断に続き、ステップS5では、空気圧シリンダー10と油圧シリンダー7のシリンダー駆動制御を停止し、エンドへ進む。なお、空気圧シリンダー10のシリンダー駆動制御を停止すると、ロックレバー92は、スプリング94による付勢力でロックピン91へ係合する位置へ戻る。
【0044】
このように、中間支柱6の回動動作を開始する前にロックレバー92をロックピン91から係合解除させる協調制御が実行されるため、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を垂下させる開始入力操作をするだけで、垂直状態で閉じている中間支柱6(
図2を参照)が、水平状態の中間支柱6(
図6を参照)を経由し、垂下状態の中間支柱6(
図7を参照)になって開くことができる。
【0045】
上記のように、五方開き荷台5の右側方の全長域を開放しての荷下ろし作業が終了すると、例えば、(中間支柱6を閉じる)→(第1右側あおり板51を閉じる)→(第2右側あおり板52を閉じる)という手順により右側方の全長域を閉鎖する。なお、第1右側あおり板51と第2右側あおり板52を閉じる順序は逆であっても同時であっても良い。
【0046】
中間支柱6を閉じるときは、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を立設させる開始入力操作をすると、
図5に示すフローチャートにしたがって協調制御が実行され、中間支柱6が自動的に閉じられる。
【0047】
メインスイッチ132をオン操作し、液晶画面上に表示された右中間支柱立設開始スイッチ135dをタッチ操作すると協調制御処理を開始する。ステップS6では、垂下状態の中間支柱6を垂直状態まで回動させる指令(伸長させていた油圧シリンダー7を短縮させる指令)が出力される。このとき、少なくとも中間支柱6が垂直状態へ回動する前までに、ロックレバー92をロックピン91から解除した位置にする指令(空気圧シリンダー10を伸長させる指令)が出力される。次のステップS7では、中間支柱6が垂直状態になるまでの回動が終了したか否かが判断される。ステップS7でNO(支柱回動未終了)の場合はステップS6へ戻り、ステップS7でYES(支柱回動終了)の場合はステップS8へ進む。ここで、支柱回動終了判断は、右油圧シリンダーストロークセンサ33からの短縮ストロークが支柱回動終了ストロークに到達し、かつ、右中間支柱立設検出スイッチ31からのスイッチ信号を入力すると、中間支柱6が垂直状態になるまでの回動を終了したと判断する。
【0048】
ステップS8では、垂直状態になるまでの支柱回動終了判断に続き、ロックレバー92をロックピン91へロック係合する指令(空気圧シリンダー10を短縮させる指令)が出力され、次のステップS9では、ロック係合が終了したか否かが判断される。ステップS9でNO(ロック係合未終了)の場合はステップS8へ戻り、ステップS9でYES(ロック係合終了)の場合はステップS10へ進む。ここで、ロック係合の終了判断は、右空気圧シリンダーストロークセンサ34からの検出信号を入力し、短縮ストロークが係合ストロークに到達すると、ロック係合を終了したと判断する。
【0049】
ステップS10では、ロック係合の終了判断に続き、空気圧シリンダー10と油圧シリンダー7のシリンダー駆動制御を停止し、エンドへ進む。なお、空気圧シリンダー10のシリンダー駆動制御を停止すると、ロックレバー92は、スプリング94による付勢力でロックピン91へ係合する位置を維持する。
【0050】
このように、中間支柱6の回動動作が終了した後にロックレバー92をロックピン91へ係合させる協調制御が実行されるため、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を立設させる開始入力操作をするだけで、垂下状態の中間支柱6(
図7を参照)が、水平状態の中間支柱6(
図6を参照)を経由し、垂直状態でロックされている中間支柱6(
図2を参照)になって閉じることができる。その後、立設状態の中間支柱6に対し、第1右側あおり板51と第2右側あおり板52を閉じる作業を行うことで、五方開き荷台5の右側方の全長域を閉鎖することができる。
【0051】
[他の特徴作用]
実施例1では、中間支柱6は、下端部にヒンジ部17が設けられた延長支柱部61を一体に有し、支柱駆動アクチュエータは、荷台床板15と平行に配置された油圧シリンダー7とし、動作変換機構は、油圧シリンダー7の伸縮動作を中間支柱6及び延長支柱部61の回動動作に変換する第1リンク機構8としている。
【0052】
即ち、支柱駆動アクチュエータとしての油圧シリンダー7は、後端が床板ブラケット18にピン支持され、荷台床板15と平行に配置されている。このため、例えば、モータアクチュエータなどと比べた場合、荷台床板15の下部空間にコンパクトに配置することができる。また、中間支柱6は、荷台床板15の下方まで延びる延長支柱部61を一体に有し、下端部にヒンジ部17が設けられている。このため、動作変換機構としての第1リンク機構8は、油圧シリンダー7の伸縮動作を延長支柱部61の回動動作に変換するだけでよく、第1リンク機構8の構成が簡潔になる。よって、中間支柱6を垂直位置と垂下位置との間で回動させる動作変換機構と中間支柱6を駆動する支柱駆動アクチュエータの構成が、第1リンク機構8と油圧シリンダー7による簡潔な構成とされ、かつ、荷台床板15の下部空間にコンパクトに配置可能な構成とされる。
【0053】
実施例1では、中間支柱6をロック固定する支柱ロック機構9と、ロックレバー92に連結された空気圧シリンダー10と、を備える。遠隔操作コントローラ13は、空気圧シリンダー10に接続される空気圧制御ユニット12に対し、ロックレバー92とロックピン91の係合/係合解除の動作指令を出力している。
【0054】
即ち、中間支柱6の支柱下面6aを支柱ストッパー面とし、中間支柱6を垂直状態にする立設機能を与え、立設している中間支柱6を垂直状態のままで支える垂直支持機能を、ロックレバー92をロックピン91に係合させる支柱ロック機構9に分担させている。しかも、ロックレバー92とロックピン91の係合/係合解除の動作の際、手作業ではなく、遠隔操作コントローラ13による遠隔操作により実行するようにしている。よって、立設している中間支柱6を垂直状態のままで支える際、手作業から遠隔操作への移行によって負担軽減が達成される。
【0055】
実施例1では、遠隔操作コントローラ13は、中間支柱6を垂下させる操作開始入力があると、中間支柱6の回動動作を開始する前にロックレバー92をロックピン91から係合解除させる協調制御を実行する。そして、中間支柱6を立設させる操作開始入力があると、中間支柱6の回動動作が終了した後にロックレバー92をロックピン91へ係合させる協調制御を実行するようにしている。
【0056】
例えば、中間支柱6の回動動作と支柱ロック機構9の係合/係合解除動作を遠隔操作により実行する場合、操作者の判断にしたがってそれぞれを独立に実行することが考えられる。しかし、この場合、操作者による順序判断やタイミング判断を要するし、開始操作と終了操作の頻度も増加することになる。これに対し、中間支柱6の回動動作と支柱ロック機構9の係合/係合解除動作の協調制御を実行することで、操作者が中間支柱6の垂下を意図するときは、中間支柱6を垂下させる一つの操作開始入力をするだけで、中間支柱6が垂直位置から垂下位置まで自動的に回動する。また、操作者が中間支柱6の立設を意図するときは、中間支柱6を立設させる一つの操作開始入力をするだけで、中間支柱6が垂下位置から垂直位置まで自動的に回動する。よって、操作者が中間支柱6の垂下、又は、立設を意図するとき、それぞれ一つの操作開始入力をするだけで操作者の負担を軽減しながら、意図通りの中間支柱6の自動回動が達成される。
【0057】
次に、効果を説明する。実施例1の貨物トラックTの側あおり板支持装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0058】
(1) 荷台床板15の両側位置の長手方向に分割して配置される複数の側あおり板を支持するトラック(貨物トラックT)の側あおり板支持装置において、中間支柱6と、支柱駆動アクチュエータ(油圧シリンダー7)と、動作変換機構(第1リンク機構8)と、遠隔操作コントローラ13と、を備える。中間支柱6は、ヒンジ部17を開閉軸として回動したとき、垂直状態になると荷台床板15の上面に当接する支柱下面6aを支柱ストッパー面とする。遠隔操作コントローラ13は、中間支柱6を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱6を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行する。
このため、装置構成を簡単にして回動不良や回動不能に陥ることを抑えながら、中間支柱6を回動する際、手作業から遠隔操作への移行によって負担軽減を達成することができる。
【0059】
(2) 中間支柱6は、支柱外面の下部位置に固定され、荷台床板15の下方まで延び、下端部にヒンジ部17が設けられた延長支柱部61を一体に有する。支柱駆動アクチュエータは、後端が床板ブラケット18にピン支持され、荷台床板15と平行に配置された油圧シリンダー7である。動作変換機構は、油圧シリンダー7の伸縮動作を中間支柱6及び延長支柱部61の回動動作に変換する第1リンク機構8である。
このため、油圧シリンダー7の動作変換機構と中間支柱6の支柱駆動アクチュエータの構成を、第1リンク機構8と油圧シリンダー7による簡潔な構成にすることができ、かつ、荷台床板15の下部空間にコンパクトに配置される構成とすることができる。
【0060】
(3) 中間支柱6が垂直状態のときにロックレバー92をロックピン91に係合させることにより中間支柱6をロック固定する支柱ロック機構9と、ロックレバー92に連結されたレバー駆動アクチュエータ(空気圧シリンダー10)と、を備える。遠隔操作コントローラ13は、レバー駆動アクチュエータ(空気圧シリンダー10)に接続されるアクチュエータ制御ユニット(空気圧制御ユニット12)に対し、ロックレバー92とロックピン91の係合/係合解除の動作指令を出力する。
このため、立設している中間支柱6を垂直状態のままで支える際、手作業から遠隔操作への移行によって負担軽減を達成することができる。
【0061】
(4) 遠隔操作コントローラ13は、中間支柱6を垂下させる操作開始入力があると、中間支柱6を垂直位置から回動させる回動動作を開始する前にロックレバー92をロックピン91から係合解除させる協調制御を実行する。中間支柱6を立設させる操作開始入力があると、中間支柱6を垂直位置まで戻す回動動作が終了した後にロックレバー92をロックピン91へ係合させる協調制御を実行する。
このため、操作者が中間支柱6の垂下を意図するとき、又は、中間支柱6の立設を意図するとき、それぞれ一つの操作開始入力をするだけで操作者の負担を軽減しながら、意図通りの中間支柱6の自動回動を達成することができる。
【実施例2】
【0062】
実施例2は、立設している中間支柱6を垂直状態のままで支える垂直支持機能を、油圧シリンダー7の油室への供給が維持されている加圧油による油圧拘束力にて達成し、実施例1の支柱ロック機構9や空気圧シリンダー10を廃止した例である。
【0063】
図8に基づいて側あおり板支持装置の詳細構成を説明する。実施例2の側あおり板支持装置は、
図8に示すように、中間支柱6、油圧シリンダー7(支柱駆動アクチュエータ)、第2リンク機構8’(動作変換機構)を備える。つまり、実施例1の支柱ロック機構9と空気圧シリンダー10を廃止した構成としている。
【0064】
中間支柱6は、ヒンジ部は、中間支柱6の外面下端部と荷台床板15の側面上端部の間の位置には、
図8に示すように、中間支柱6を荷台床板15に対して回動可能にピン支持するヒンジ部17が設けられている。そして、中間支柱6は、ヒンジ部17を開閉軸として回動したとき、垂直状態になると荷台床板15の上面(床パネル面)に当接する支柱下面6aを支柱ストッパー面としている。
【0065】
油圧シリンダー7は、荷台床板15の下面に固定された床板ブラケット18に後端がピン支持され、中間支柱6を油圧での伸縮動作によってヒンジ部17を中心とする回動軌跡を描くように駆動する支柱駆動アクチュエータである。なお、油圧シリンダー7は、荷台外側に向かって上向きに傾く傾斜配置により設けられている。
【0066】
第2リンク機構8’は、中間支柱6のうちヒンジ部17より上部外面位置に固定された第2連結ブラケット83と、第2連結ブラケット83に一端がピン支持される第2連結ロッド84と、第2連結ロッド84の他端がピン支持されると共に油圧シリンダー7のピストンロッド端がピン支持され、床板ブラケット18に揺動可能にピン支持される揺動プレート85と、を有する。ここで、揺動プレート85は、底辺が荷台床板15に平行な三角形状であり、底辺の荷台外側位置を第2連結ロッド84とのピン支持位置とし、底辺の荷台内側位置を床板ブラケット18とのピン支持位置とし、頂角の位置を油圧シリンダー7とのピン支持位置としている。つまり、第2リンク機構8’は、油圧シリンダー7をリンク機構の一部に組み込み、中間支柱6が垂直状態のとき、揺動プレート85が荷台床板15の下面位置にコンパクトの収納される構成としている。
【0067】
側あおり板支持装置は、制御系構成として、
図8に示すように、油圧制御ユニット11(アクチュエータ制御ユニット)、遠隔操作コントローラ13を備える。つまり、実施例1の空気圧制御ユニット12を廃止した構成としている。
【0068】
油圧制御ユニット11は、油圧源111として、オイルポンプ111aと、加圧油(アキュムレータ圧油)を蓄えるアキュムレータ111bと、を有する。遠隔操作コントローラ13からの動作指令がオフ指令であるとき、バルブ全開位置とし、油圧シリンダー7のピストンを挟んだ2つの油室をアキュムレータ111bからの加圧油供給状態とする電磁バルブを有する。
【0069】
遠隔操作コントローラ13は、中間支柱6を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱6を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行する。また、遠隔操作コントローラ13は、左中間支柱立設検出スイッチ21、左中間支柱垂下検出スイッチ22、左油圧シリンダーストロークセンサ23からの検出信号を入力する。また、右中間支柱立設検出スイッチ31、右中間支柱垂下検出スイッチ32、右油圧シリンダーストロークセンサ33からの検出信号を入力する。なお、他の構成は実施例1と同様であるため、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
次に、
図8~
図12に基づいて、実施例2における遠隔操作による中間支柱の開閉制御作用を説明する。中間支柱6を開くときは、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を垂下させる開始入力操作をすると、
図9に示すフローチャートにしたがって制御が実行され、中間支柱6が自動的に開かれる。
【0071】
メインスイッチ132をオン操作し、液晶画面上に表示された右中間支柱垂下開始スイッチ135cをタッチ操作すると制御処理を開始する。まず、ステップS21では、電磁バルブのバルブ全開位置を解除する指令(油圧シリンダー7の油室への加圧油供給状態を解除する指令)が出力され、次のステップS22では、バルブ全開解除が終了したか否かが判断される。ステップS22でNO(バルブ全開解除未終了)の場合はステップS21へ戻り、ステップS22でYES(バルブ全開解除終了)の場合はステップS23へ進む。
【0072】
ステップS23では、バルブ全開解除の終了判断に続き、垂直状態の中間支柱6を垂下状態まで回動させる指令(油圧シリンダー7を伸長させる指令)が出力され、次のステップS24では、中間支柱6が垂下状態になるまでの回動が終了したか否かが判断される。ステップS24でNO(支柱回動未終了)の場合はステップS23へ戻り、ステップS24でYES(支柱回動終了)の場合はステップS25へ進む。なお、支柱回動終了判断は実施例1と同様に行われる。
【0073】
ステップS25では、中間支柱6が垂下状態になるまでの回動終了判断に続き、油圧シリンダー7のシリンダー駆動制御を停止し、エンドへ進む。なお、油圧シリンダー7のシリンダー駆動制御を停止すると、電磁バルブがバルブ全開位置になり、油圧源111からのアキュムレータ圧を油圧シリンダー7のピストンを挟んだ2つの油室へ供給し続ける加圧油供給状態とされる。
【0074】
このように、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を垂下させる開始入力操作をするだけで、垂直状態で閉じている中間支柱6(
図8を参照)が、水平状態の中間支柱6(
図11を参照)を経由し、垂下状態の中間支柱6(
図12を参照)になって開くことができる。
【0075】
中間支柱6を閉じるときは、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を立設させる開始入力操作をすると、
図10に示すフローチャートにしたがって制御が実行され、中間支柱6が自動的に閉じられる。
【0076】
メインスイッチ132をオン操作し、液晶画面上に表示された右中間支柱立設開始スイッチ135dをタッチ操作すると制御処理を開始する。まず、ステップS26では、電磁バルブのバルブ全開位置を解除する指令(油圧シリンダー7の油室への加圧油供給状態を解除する指令)が出力され、次のステップS27では、バルブ全開解除が終了したか否かが判断される。ステップS27でNO(バルブ全開解除未終了)の場合はステップS26へ戻り、ステップS27でYES(バルブ全開解除終了)の場合はステップS28へ進む。
【0077】
ステップS28では、バルブ全開解除の終了判断に続き、垂下状態の中間支柱6を垂直状態まで回動させる指令(伸長させていた油圧シリンダー7を短縮させる指令)が出力される。次のステップS29では、中間支柱6が垂直状態になるまでの回動が終了したか否かが判断される。ステップS29でNO(支柱回動未終了)の場合はステップS28へ戻り、ステップS29でYES(支柱回動終了)の場合はステップS30へ進む。ここで、支柱回動終了判断は実施例1と同様である。
【0078】
ステップS30では、中間支柱6が垂直状態になるまでの回動終了判断に続き、電磁バルブをバルブ全開位置とする指令(油圧シリンダー7の油室へ加圧油を供給し続ける加圧油供給状態へ切り替える指令)を出力し、エンドへ進む。なお、油圧シリンダー7のシリンダー駆動制御を停止すると、電磁バルブがバルブ全開位置になり、油圧源111からのアキュムレータ圧を油圧シリンダー7のピストンを挟んだ2つの油室へ供給し続ける加圧油供給状態とされる。
【0079】
このように、遠隔操作コントローラ13に対して中間支柱6を立設させる開始入力操作をするだけで、垂下状態の中間支柱6(
図12を参照)が、水平状態の中間支柱6(
図11を参照)を経由し、垂直状態で油圧拘束力により保持されている中間支柱6(
図8を参照)になって閉じることができる。
【0080】
次に、効果を説明する。実施例2の貨物トラックTの側あおり板支持装置にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0081】
(5) ヒンジ部17は、中間支柱6の外面下端部と荷台床板15の側面上端部の間に有する。支柱駆動アクチュエータは、後端が床板ブラケット18にピン支持された油圧シリンダー7である。動作変換機構は、床板ブラケット18に揺動可能にピン支持される揺動プレート85を有し、油圧シリンダー7の伸縮動作を中間支柱6の回動動作に変換する第2リンク機構8’である。
このため、油圧シリンダー7の動作変換機構と中間支柱6の支柱駆動アクチュエータの構成を、第2リンク機構8’と油圧シリンダー7による簡潔な構成にすることができ、かつ、荷台床板15の下部空間にコンパクトに配置される構成とすることができる。
【0082】
(6) 遠隔操作コントローラ13は、中間支柱6を垂下させる操作開始入力があると、中間支柱6を垂直位置から回動させる回動動作を開始する前に油圧シリンダー7の油室への加圧油供給状態を解除する制御を実行する。中間支柱6を立設させる操作開始入力があると、中間支柱6を垂直位置まで戻す回動動作が終了したとき、油圧シリンダー7の油室へ加圧油を供給し続ける加圧油供給状態へ切り替える制御を実行する。
このため、立設している中間支柱6を垂直状態のままで支える垂直支持機能を、油圧シリンダー7の油室へ供給され続けている加圧油によってピストンに作用する油圧拘束力にて達成することができる。
【0083】
以上、本発明のトラックの側あおり板支持装置を実施例1,2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0084】
実施例1,2では、中間支柱を駆動する支柱駆動アクチュエータとして、油圧シリンダー7を用いる例を示した。しかし、支柱駆動アクチュエータとしては、油圧モータや電動モータなどのように油圧シリンダー以外のアクチュエータであっても良く、油圧シリンダーに限られない。
【0085】
実施例1では動作変換機構として第1リンク機構8を用いる例を示し、実施例2では動作変換機構として第2リンク機構8’を用いる例を示した。しかし、動作変換機構としては、実施例1,2で示したリンク機構に限られるものではなく、例えば、アクチュエータの種類などにより、回転動作を回動動作に変化する機構のように、様々な動作変換機構を適用しても良い。
【0086】
実施例1,2では、遠隔操作コントローラ13として、中間支柱6を垂直位置から垂下位置まで回動させる動作と中間支柱6を垂下位置から垂直位置まで回動させる動作を、遠隔操作入力により実行するコントローラの例を示した。しかし、遠隔操作コントローラとしては、中間支柱の回動制御以外に、荷台のダンプ制御や荷台の姿勢制御などを行う制御システムを搭載したトラックにおいて、複数の制御を統合する統合コントローラに、中間支柱の回動制御を遠隔操作により実行する遠隔操作コントローラを組み込むような例としても良い。
【0087】
実施例1,2では、側あおり板や後あおり板の開閉構造として、緊締部に対するハンドル操作とあおり板に対する手動開閉操作により行う構造例を示した。しかし、側あおり板や後あおり板の開閉構造としては、流体圧シリンダー等のアクチュエータを用い、中間支柱と同様に、遠隔操作によりあおり板を開閉することが可能な開閉構造例としても良い。この場合、荷物の積み下ろし時に開閉される中間支柱と側あおり板による全ての荷台開閉部材を外部からの遠隔操作により自動開閉することができる。
【0088】
実施例1,2では、本発明の側あおり板支持装置を貨物トラックの五方開き荷台に適用する例を示した。しかし、本発明の側あおり板支持装置は、側あおり板と中間支柱を備えるトラックであれば、貨物トラックに限られず、セミトレーラトラックやフルトレーラトラックやダンプトラックなどの様々な種類やタイプのトラックに対して適用することができる。また、荷台床板の両側位置の長手方向に3分割した七方開き荷台などに対しても勿論適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
T 貨物トラック(トラック)
5 五方開き荷台
6 中間支柱
6a 支柱下面
61 延長支柱部
7 油圧シリンダー(支柱駆動アクチュエータ)
8 第1リンク機構(動作変換機構)
8’ 第2リンク機構(動作変換機構)
85 揺動プレート
9 支柱ロック機構
91 ロックピン
92 ロックレバー
10 空気圧シリンダー(レバー駆動アクチュエータ)
11 油圧制御ユニット(アクチュエータ制御ユニット)
12 空気圧制御ユニット(アクチュエータ制御ユニット)
13 遠隔操作コントローラ
15 荷台床板
16 支柱支持ブラケット
17 ヒンジ部
18 床板ブラケット