(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/22 20060101AFI20240530BHJP
【FI】
B65H29/22 B
(21)【出願番号】P 2020139653
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-278245(JP,A)
【文献】特開昭58-002155(JP,A)
【文献】実開昭61-028759(JP,U)
【文献】特開昭49-008315(JP,A)
【文献】特開2001-220054(JP,A)
【文献】特開平04-133943(JP,A)
【文献】特開平01-133861(JP,A)
【文献】特開平06-321405(JP,A)
【文献】特開2012-025545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/22
B65H 31/00-31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を排出する排出ローラと、
前記排出ローラを回転可能に軸支する軸部材と、
前記排出ローラによって排出された媒体を積載する排出台と、
前記排出台に対する前記軸部材の向きを変更可能に支持する支持部材と、
前記軸部材の一端を円弧状に移動させることにより、前記支持部材を基準として前記軸部材の向きを変更する変更機構と、
第1の方向の回転によって第1の駆動力を発生して前記
排出ローラを回転させ、且つ、前記第1の方向とは逆方向の第2の方向の回転によって第2の駆動力を発生して前記変更機構を動作させる単一のモータと、
前記軸部材と前記排出ローラとの間に配置され、且つ、前記第1の駆動力を前記排出ローラに伝達するが、前記第2の駆動力を前記排出ローラに伝達しないように設けられる第1遮断機構と、
前記軸部材と前記変更機構との間に配置され、且つ、前記第2の駆動力を前記変更機構に伝達するが、前記第1の駆動力を前記変更機構に伝達しないように設けられる第2遮断機構と、
を有することを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記第1遮断機構は、ワンウェイクラッチ
である、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記変更機構は、前記軸部材の一端に接続され且つ前記軸部材の回転に応じて回転するピニオン、及び、前記ピニオンと組み合わされ且つ円弧状に配置されたラックを含み、
前記第2遮断機構は、前記軸部材と前記ピニオンとの間に配置され、且つ、前記第2の駆動力を前記ピニオンに伝達するが、前記第1の駆動力を前記ピニオンに伝達しないように設けられ
るワンウェイクラッチ
である、請求項1または2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記軸部材を所定位置に係止させる係止部材と、
前記軸部材に対して前記係止部材側に向かう力を加える弾性部材と、をさらに有し、
前記変更機構は、前記第2の駆動力を伝達された際には、前記軸部材が前記係止部材から離間する方向に前記軸部材の向きを変更する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
第3の駆動力を発生する第2モータと、
前記第3の駆動力によって前記係止部材を移動させる移動機構と、をさらに有する、請求項4に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
前記排出ローラと対向して配置された対向ローラと、
前記対向ローラを回転可能に軸支する第2の軸部材と、をさらに有し、
前記変更機構は、前記軸部材の向きの変更に伴って、前記第2の軸部材の向きも変更させる、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体排出装置は、媒体を搬送しながら撮像し、排出台に排出する。一般に、このような媒体排出装置では、排出された媒体を利用者が容易に分類できるように、媒体の種類等に応じて区別可能に積載することが望まれている。
【0003】
用紙のサイズに応じて排出方向に対する用紙の斜行角度を変える排出手段を備えた排紙装置が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体排出装置では、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御できることが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御することが可能な媒体排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る媒体排出装置は、媒体を排出する排出ローラと、排出ローラを回転可能に軸支する軸部材と、排出ローラによって排出された媒体を積載する排出台と、排出台に対する軸部材の向きを変更可能に支持する支持部材と、支持部材を基準として軸部材の向きを変更する変更機構と、第1の方向の回転によって第1の駆動力を発生して軸部材を回転させ、且つ、第1の方向とは逆方向の第2の方向の回転によって第2の駆動力を発生して変更機構を動作させる単一のモータと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、媒体排出装置は、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】排出機構について説明するための模式図である。
【
図4A】継手部137aの形状について説明するための模式図である。
【
図4B】受け部材136aの形状について説明するための模式図である。
【
図5】排出機構の動作について説明するための模式図である。
【
図6】排出機構の動作について説明するための模式図である。
【
図7】媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
【
図9】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図10A】排出される媒体の様子を示す模式図である。
【
図10B】排出される媒体の様子を示す模式図である。
【
図11A】排出される媒体の様子を示す模式図である。
【
図11B】排出される媒体の様子を示す模式図である。
【
図12】他の変更機構238について説明するための模式図である。
【
図13】他のストッパ339について説明するための模式図である。
【
図14A】移動機構343について説明するための模式図である。
【
図14B】移動機構343について説明するための模式図である。
【
図15】媒体排出装置300の概略構成を示すブロック図である。
【
図16】他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図17】他の実施形態に係る処理回路470の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る媒体排出装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0011】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体排出装置100を示す斜視図である。媒体排出装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体排出装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体排出装置100はプリンタ等でもよい。
【0012】
媒体排出装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0013】
第1筐体101は、媒体排出装置100の上側に配置され、媒体つまり時、媒体排出装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第2筐体102に係合している。
【0014】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第2筐体102に係合している。載置台103は、第2筐体102の媒体供給側の側面に、略鉛直方向A1に移動可能に設けられる。載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは載置された媒体が給送されるように媒体搬送路と略同一の高さまで上昇する。排出台104は、排出口107から排出された媒体を保持可能に第1筐体101上に形成され、排出された媒体を積載するトレイである。
【0015】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0016】
図1において矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0017】
図2は、媒体排出装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0018】
媒体排出装置100内部の搬送経路は、第1センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、超音波発信器115a、超音波受信器115b、第1~第7搬送ローラ116a~g、第1~第7従動ローラ117a~g、第1撮像装置118a、第2撮像装置118b、第2センサ119、排出ローラ120及び対向ローラ121等を有している。
【0019】
なお、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g、第1~第7従動ローラ117a~g、排出ローラ120及び/又は対向ローラ121のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g、第1~第7従動ローラ117a~g、排出ローラ120及び/又は対向ローラ121は、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。以下では、第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bをまとめて撮像装置118と称する場合がある。
【0020】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体の搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0021】
第1センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及びブレーキローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1検出信号を生成して出力する。
【0022】
ピックローラ112は、第1筐体101に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。給送ローラ113は、第1筐体101内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、ピックローラ112により給送された媒体を、さらに下流側に向けて給送する。ブレーキローラ114は、第2筐体102内に、給送ローラ113と対向して配置される。給送ローラ113及びブレーキローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。
【0023】
超音波発信器115a及び超音波受信器115bは、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側且つ第1~第7搬送ローラ116a~g及び第1~第7従動ローラ117a~gより上流側に配置される。超音波発信器115a及び超音波受信器115bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器115aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器115bは、超音波発信器115aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器115a及び超音波受信器115bを総じて超音波センサ115と称する場合がある。
【0024】
第1~第7搬送ローラ116a~g及び第1~第7従動ローラ117a~gは、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側に設けられ、給送ローラ113及びブレーキローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。
【0025】
第1撮像装置118aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置118aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置118aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0026】
同様に、第2撮像装置118bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置118bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置118bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0027】
媒体排出装置100は、第1撮像装置118a及び第2撮像装置118bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0028】
第2センサ119は、第1~第7搬送ローラ116a~gより下流側且つ排出ローラ120より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2センサ119は、排出ローラ120より上流側であれば、搬送経路内の何れの位置に配置されてもよい。第2センサ119は、媒体搬送路に対して一方の側(第1筐体101)に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置(第2筐体102)に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光する。第2センサ119と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2センサ119の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2検出信号を生成して出力する。
【0029】
なお、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2センサ119は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0030】
排出ローラ120は、第1筐体101内に、第1~第7搬送ローラ116a~gより下流側に設けられる。対向ローラ121は、第2筐体102内に、排出ローラ120と対向して配置される。排出ローラ120及び対向ローラ121は、第1~第7搬送ローラ116a~g及び第1~第7従動ローラ117a~gにより搬送された媒体を排出台104に排出する。排出ローラ120はモータからの駆動力に従って回転し、対向ローラ121は排出ローラ120の回転に従って従動回転する。
【0031】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。一方、ブレーキローラ114が媒体給送方向の反対方向A7に回転することによって、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ113と接触している媒体のみが分離される。
【0032】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ116a~bが矢印A8~9の方向に回転することによって、撮像装置118の撮像位置に送り込まれ、撮像装置118によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第7搬送ローラ116c~g及び排出ローラ120がそれぞれ矢印A10~15の方向に回転することによって排出口107から排出台104上に排出される。排出台104は、排出ローラ120によって排出された媒体を積載する。
【0033】
図3は、媒体排出装置100の排出機構について説明するための模式図である。
【0034】
図3に示すように、媒体排出装置100の排出機構は、排出ローラ120及び対向ローラ121に加えて、第1壁部材131、第2壁部材132、第3壁部材133、第4壁部材134、モータ135、第1シャフト136、第2シャフト137、変更機構138、ストッパ139及び第3シャフト140等を有する。
【0035】
第1壁部材131は、第1筐体101内において幅方向A4の一端側に固定されるように配置される。第2壁部材132は、第1筐体101内において幅方向A4の他端側に固定されるように配置される。第3壁部材133は、第2筐体102内において幅方向A4の一端側に固定されるように配置される。第4壁部材134は、第2筐体102内において幅方向A4の他端側に固定されるように配置される。
【0036】
モータ135は、第1壁部材131に設けられ、後述する処理回路からの制御に従って、正方向A16及び逆方向A17に回転する。正方向は、第1の方向の一例であり、逆方向は、第1の方向とは逆の第2の方向の一例である。モータ135は、正方向A16の回転によって第1の駆動力を発生し、逆方向A17の回転によって第2の駆動力を発生する。
【0037】
第1シャフト136は、排出台104に対する第2シャフト137の向きを変更可能に支持する支持部材である。第1シャフト136は、第2シャフト137の一端において、第2シャフト137を媒体搬送面と平行な方向に回転移動(揺動)可能に支持する。第1シャフト136の幅方向A4における一端とモータ135の回転軸の間には、ベルトが張架される。第1シャフト136の幅方向A4における他端には、受け部材136aが固定するように設けられる。
【0038】
第2シャフト137は、軸部材の一例であり、排出ローラ120を回転可能に軸支する。第2シャフト137の幅方向A4における一端には継手部137aが設けられる。第2シャフト137の幅方向A4における他端は、第2壁部材132に形成された穴132aを介して媒体搬送路の外側に配置される。第2シャフト137と排出ローラ120との間には第1ワンウェイクラッチ120aが配置されている。第1ワンウェイクラッチ120aは、モータ135により発生された第1の駆動力を排出ローラ120に伝達するが、第2の駆動力を排出ローラ120に伝達しないように設けられる。
【0039】
変更機構138は、第1シャフト136を基準として第2シャフト137の向きを変更する機構である。変更機構138は、第2シャフト137の、第1シャフト136側の端部とは反対の端部側に設けられ、第2シャフト137を媒体搬送面と平行な方向に回転移動(揺動)させる。変更機構138は、ピニオン138a、ラック138b及びばね138c等を含む。
【0040】
ピニオン138aは、第2シャフト137の幅方向A4における継手部137aが設けられた端部と反対側の一端に接続され、第2シャフト137の回転(自転)に応じて回転(自転)する。第1シャフト136とピニオン138aとの間には第2ワンウェイクラッチ138dが配置されている。第2ワンウェイクラッチ138dは、モータ135により発生された第2の駆動力をピニオン138aに伝達するが、第1の駆動力をピニオン138aに伝達しないように設けられる。
【0041】
ラック138bは、第2壁部材132に沿って、媒体搬送面と略平行に、且つ、第2シャフト137の継手部137aを中心として円弧状に延伸するように配置される。ラック138bは、ピニオン138aと歯合し組み合わされるように設けられる。
【0042】
なお、変更機構138は、ピニオン138a及びラック138bの代わりに、ゴムローラ及びゴム板等を用いて、第1シャフト136を基準として第2シャフト137の向きを変更してもよい。その場合、ゴムローラは、ピニオン138aと同様に、第2シャフト137の幅方向A4における継手部137aが設けられた端部と反対側の一端に接続され、第2シャフト137の回転に応じて回転する。第1シャフト136とゴムローラとの間には第2ワンウェイクラッチ138dが配置される。また、ゴム板は、ラック138bと同様に、第2壁部材132に沿って、媒体搬送面と略平行に、且つ、第2シャフト137の継手部137aを中心として円弧状に延伸するように配置される。ゴム板は、ゴムローラと組み合わされるように設けられる。
【0043】
ばね138cは、弾性部材の一例であり、第2シャフト137に対してストッパ139側に向かう力を加える。弾性部材として、ばね138cの代わりにゴム等が使用されてもよい。
【0044】
ストッパ139は、係止部材の一例であり、ばね138cによりストッパ139側に向かう力が加えられた第2シャフト137をストッパ139が配置された所定位置に係止させる。
【0045】
媒体排出装置100は、ばね138c及びストッパ139を用いて、第2シャフト137を所定位置に係止させることにより、追加のモータ等を使用することなく、シンプルな構造で第2シャフト137の位置を制御することが可能となる。したがって、媒体排出装置100は、装置コストの増大を抑制することが可能となる。
【0046】
第3シャフト140は、第2の軸部材の一例であり、対向ローラ121を回転可能に軸支する。第3シャフト140の幅方向A4における一端は、第3壁部材133に回転可能に支持され、第3シャフト140の幅方向A4における他端は、第4壁部材134に回転可能に支持される。また、排出される媒体の厚さに応じて対向ローラ121が上方に移動するように、第3シャフト140は、不図示のばねにより下方に向けて押圧されつつ、高さ方向に移動可能に支持される。
【0047】
図4Aは、第2シャフト137の継手部137aの形状について説明するための模式図である。
【0048】
図4Aは、第2シャフト137を側方から見た図である。
図4Aに示すように、継手部137aは球状に形成され、継手部137aには、円柱状の突起部137bが、第2シャフト137の軸方向と直交する方向に突出するように形成されている。
【0049】
図4Bは、第1シャフト136の受け部材136aの形状について説明するための模式図である。
【0050】
図4Bは、第1シャフト136を受け部材136a側から見た図である。
図4Bに示すように、受け部材136aは、円筒状に形成され、受け部材136aには、凹部136bが形成されている。凹部136bには、スリット136cが形成されている。継手部137aが凹部136bに挿入され、突起部137bがスリット136cに嵌め込まれることにより、第2シャフト137は、受け部材136aに傾動自在且つ回転自在に係合する。
【0051】
即ち、第1シャフト136の受け部材136a及び第2シャフト137の継手部137aは、ユニバーサルジョイントとして機能する。これにより、第2シャフト137は、第1シャフト136に傾動自在に接続するとともに、第1シャフト136からの回転駆動力に従って回転する。
【0052】
図5及び
図6は、媒体排出装置100の排出機構の動作について説明するための模式図である。
【0053】
図5及び
図6は、第1筐体101を第2筐体102から取り出した状態で、第1筐体101を上側から見た模式図である。
図5及び
図6に示すように、モータ135の回転軸と第1シャフト136の間にはベルト135aが張架される。
図5は、モータ135が第1の駆動力を発生している状態を示し、
図6は、モータ135が第2の駆動力を発生している状態を示す。
【0054】
図5に示すように、モータ135が第1の駆動力を発生している場合、モータ135の回転軸は
図3の矢印A16の方向に回転し、それに伴い、第1シャフト136、第2シャフト137及び排出ローラ120は
図3の矢印A15の方向に回転する。即ち、第1の駆動力は、第1シャフト136、第2シャフト137及び第1ワンウェイクラッチ120aを介して排出ローラ120に伝達される。一方、第1の駆動力は、第2ワンウェイクラッチ138dによって遮断され、ピニオン138aに伝達されない。そのため、第2シャフト137は、ばね138cによってストッパ139側に押圧され、ストッパ139と当接する位置で停止する。
【0055】
以下では、
図5に示すように、第2シャフト137がストッパ139と当接する位置を初期位置と称する場合がある。初期位置は、第2シャフト137が延伸する方向が、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gの回転軸が延伸する方向と略平行となるように設定される。第2シャフト137が初期位置に配置されている場合、媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gによって搬送されてきた方向と同一方向に向かって排出される。
【0056】
一方、
図6に示すように、モータ135が第2の駆動力を発生している場合、モータ135の回転軸は
図3の矢印A17の方向に回転し、それに伴い、第1シャフト136及び第2シャフト137は
図3の矢印A15の反対方向に回転する。しかし、第2の駆動力は、第1ワンウェイクラッチ120aによって遮断され、排出ローラ120に伝達されない。そのため、排出ローラ120及び対向ローラ121は、回転しない。一方、第2シャフト137の回転に伴って、ピニオン138aは矢印A15の反対方向に回転し、ラック138bに沿って媒体排出方向A3の反対方向に向かって移動する。これにより、第2シャフト137は、ばね138cによって加えられる力に逆らって、ストッパ139から離間する方向に回転移動(揺動)する。
【0057】
以下では、
図6に示すように、第2シャフト137がストッパ139から離間した位置を第1移動位置と称する場合がある。第1移動位置は、第2シャフト137が延伸する方向が、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gの回転軸が延伸する方向に対して傾くように設定される。第2シャフト137が第1移動位置に配置されている場合、媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び/又は第1~第7搬送ローラ116a~gによって搬送されてきた方向に対して先端が左側に傾くように排出される。
【0058】
また、
図6に示す状態において、モータ135が第1の駆動力を発生させると、第2シャフト137は
図3の矢印A15の方向に回転し、排出ローラ120は矢印A15の方向に回転する。一方、第1の駆動力は、第2ワンウェイクラッチ138dによって遮断され、ピニオン138aに伝達されないため、第2シャフト137は、ばね138cによってストッパ139側に押圧され、初期位置に移動する。
【0059】
このように、モータ135は、第1の駆動力を発生して第2シャフト137を回転させ、且つ、第2の駆動力を発生して変更機構138を動作させる。変更機構138は、第2の駆動力が伝達された際には、第2シャフト137がストッパ139から離間する方向に第2シャフト137の向きを変更する。第2シャフト137が第1移動位置に配置された場合の媒体排出方向A3は、第2シャフト137が初期位置に配置された場合の媒体排出方向A3に対して傾いている。
【0060】
図7は、媒体排出装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0061】
媒体排出装置100は、前述した構成に加えて、インタフェース装置151、記憶装置160及び処理回路170等をさらに有する。
【0062】
モータ135は、処理回路170からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120を回転させて媒体を搬送及び排出させる。モータ135が正回転した場合、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g、排出ローラ120は、それぞれ
図2の矢印A5~A15の方向に回転する。排出ローラ120と同様に、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~gと各ローラを回転可能に軸支する軸部材であるシャフトとの間にはワンウェイクラッチが設けられる。各ワンウェイクラッチの働きにより、モータ135が逆回転した場合、モータ135からの第2の駆動力は各ローラに伝達されない。
【0063】
なお、第1~第7従動ローラ117a~g又は対向ローラ121は、各搬送ローラの回転に従って従動回転するのでなく、モータからの駆動力によって回転するように設けられてもよい。その場合、第1~第7従動ローラ117a~g又は対向ローラ121と各ローラを回転可能に軸支する軸部材であるシャフトとの間にはワンウェイクラッチが設けられる。また、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び/又は第1~第7搬送ローラ116a~gを駆動するモータは、排出ローラ120を駆動するモータ135とは別個に設けられてもよい。但し、排出ローラ120の回転軸である第2シャフト137を回転させるモータ、及び、変更機構138を動作させるモータとしては、単一のモータ135が使用される。
【0064】
インタフェース装置151は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置151の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0065】
記憶装置160は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置160には、媒体排出装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置160にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0066】
処理回路170は、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路170は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路170として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0067】
処理回路170は、操作装置105、表示装置106、第1センサ111、超音波センサ115、撮像装置118、第2センサ119、モータ135、インタフェース装置151及び記憶装置160等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路170は、モータ135を制御して媒体を搬送し、撮像装置118を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置151を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路170は、媒体搬送時にモータ135を制御して、媒体の排出方向を変更する。
【0068】
図8は、記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
【0069】
図8に示すように、記憶装置160には、制御プログラム161及び検出プログラム162等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路170は、記憶装置160に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部171及び検出部172として機能する。
【0070】
図9は、媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0071】
以下、
図9に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路170により媒体排出装置100の各要素と協働して実行される。なお、このフローチャートが実行される前に、排出ローラ120の第2シャフト137は初期位置に配置されている。
【0072】
最初に、制御部171は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置151から受信するまで待機する(ステップS101)。操作信号には、利用者により指定されたジョブに関する情報が含まれてもよい。ジョブは、画像読取処理に関する設定であり、例えば読み取らせる媒体の種類(一般用紙/名刺/写真等)毎に設定される。ジョブには、生成される入力画像の色設定(カラー/グレースケール/白黒等)、解像度(200dpi/300dpi/600dpi等)又は読取面(両面/片面)等の設定が含まれる。載置台103に複数の媒体が載置され、まとめて搬送される場合、各媒体について、同一のジョブが設定されてもよいし、異なるジョブが設定されてもよい。
【0073】
次に、制御部171は、第1センサ111から第1検出信号を取得し、取得した第1検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部171は、処理をステップS101へ戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0074】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部171は、モータ135を正方向A16に回転させるように駆動し、モータ135に第1の駆動力を発生させる(ステップS103)。第1の駆動力により、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gは
図2の矢印A5~A14の方向に回転し、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる。また、第1の駆動力により、排出ローラ120は
図2の矢印A15の方向に回転し、第2シャフト137は初期位置にとどまる。
【0075】
次に、制御部171は、利用者により指定されたジョブに従って、撮像装置118に搬送される媒体を撮像させて入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置142を介して情報処理装置へ送信することにより出力する(ステップS104)。制御部171は、媒体の後端が撮像装置118の撮像位置を通過してから入力画像を取得する。制御部171は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像装置118の撮像位置を通過したと判定する。なお、制御部171は、撮像装置118の周辺に配置された不図示の媒体センサによる媒体の検出結果に基づいて、媒体の後端が撮像装置118の撮像位置を通過したか否かを判定してもよい。
【0076】
次に、検出部172は、媒体の後端が排出ローラ120の手前(例えば排出ローラ120と対向ローラ121のニップ位置から10mm以上且つ50mm以下の距離)に到達したか否かを判定する(ステップS105)。検出部172は、第2センサ119から第2検出信号を定期的に受信し、第2検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第2センサ119の位置、即ち排出ローラ120の手前に到達したと判定する。なお、検出部172は、媒体が第2センサ119の位置に到達したと判定してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が排出ローラ120の手前に到達したと判定してもよい。
【0077】
また、検出部172は、撮像装置118により撮像された画像に基づいて、媒体の後端が排出ローラ120の手前に到達したか否かを判定してもよい。その場合、検出部172は、公知の画像処理技術を利用して、撮像装置118により撮像された画像から媒体の後端を検出し、媒体の後端を検出してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が排出ローラ120の手前に到達したと判定する。
【0078】
次に、制御部171は、第2シャフト137の配置位置を初期位置にするか否かを決定する(ステップS106)。
【0079】
例えば、制御部171は、装置起動後に最初に読み取りの指示が入力された場合、配置位置を初期位置に決定する。そして、制御部171は、載置台103に新たな媒体のセットが載置されて読取の指示が入力されるたびに、直前に媒体が搬送された際の配置位置と異なるように配置位置を変更する。なお、制御部171は、搬送される媒体について指定されたジョブが変化するたびに、直前に媒体が搬送された際の配置位置と異なるように配置位置を変更してもよい。各媒体は媒体の種類毎に区別されるように排出されるため、利用者は媒体を分別しやすくなり、媒体排出装置100は利用者の利便性を向上させることができる。
【0080】
また、制御部171は、媒体の重送が発生したか否かを判定し、媒体の重送が発生していない場合、配置位置を初期位置に決定し、媒体の重送が発生した場合、配置位置を第1移動位置に決定してもよい。その場合、制御部171は、超音波センサ115から定期的に超音波信号を取得し、取得した各超音波信号の信号値が重送閾値未満であるか否かを判定する。制御部171は、超音波信号の信号値が重送閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定し、超音波信号の信号値が重送閾値以上である場合、媒体の重送が発生していないと判定する。重送閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値との間の値に設定される。重送が発生した媒体は他の媒体と区別されるように排出されるため、利用者は再搬送が必要な媒体を認識しやすくなり、媒体排出装置100は利用者の利便性を向上させることができる。
【0081】
また、制御部171は、搬送される媒体が読み取り用の通常用紙であるか仕分け用のセパレータ用紙であるかを判定し、媒体が通常用紙である場合、配置位置を初期位置に決定し、媒体がセパレータ用紙である場合、配置位置を第1移動位置に決定してもよい。その場合、制御部171は、公知の画像処理技術を利用して、入力画像に基づいて媒体が通常用紙であるかセパレータ用紙であるかを判定する。例えば、制御部171は、入力画像に含まれる画素の内、色値(RGB値)がセパレータ用紙に対応する色値である画素の数又は割合が閾値以上である場合、媒体がセパレータ用紙であると判定し、そうでない場合、媒体が通常用紙であると判定する。
【0082】
または、制御部171は、公知のパターンマッチング技術を用いて、入力画像内に、媒体に貼付又は印刷されている特定のバーコード等の特定情報が含まれるか否かを判定してもよい。その場合、媒体排出装置100は、特定情報を含むサンプル画像を予め記憶装置160に記憶しておく。制御部171は、入力画像内で切り出し位置をずらしながら、サンプル画像と同一サイズの領域を切り出し、切り出した領域とサンプル画像の類似の程度を算出する。類似の程度として、例えば正規化相互相関値が使用される。制御部171は、何れかの類似の程度が閾値以上である場合、媒体がセパレータ用紙であると判定し、何れの類似の程度も閾値未満である場合、媒体がセパレータ用紙でないと判定する。セパレータ用紙は通常用紙と区別されるように排出されるため、利用者はセパレータ用紙を認識しやすくなり、媒体排出装置100は利用者の利便性を向上させることができる。
【0083】
また、制御部171は、セパレータ用紙が搬送されるたびに、直前に媒体が搬送された際の配置位置と異なるように配置位置を変更してもよい。各媒体はセパレータ用紙によって分類される媒体の束毎に区別されるように排出されるため、利用者は媒体を分別しやすくなり、媒体排出装置100は利用者の利便性を向上させることができる。
【0084】
第2シャフト137の配置位置を初期位置に決定した場合、制御部171は、処理をステップS111へ移行する。この場合、第2シャフト137が初期位置に配置された状態で、排出ローラ120は回転し続ける。排出ローラ120は、媒体をピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gによって搬送されてきた方向と略同一方向に向けて排出する。
【0085】
一方、第2シャフト137の配置位置を第1移動位置に決定した場合、制御部171は、モータ135を一旦停止させる(ステップS107)。これにより、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120は、一旦停止する。
【0086】
次に、制御部171は、モータ135を逆方向A17に回転させるように駆動し、モータ135に第2の駆動力を発生させる(ステップS108)。第2の駆動力により、第2シャフト137は第1移動位置に向かって移動する。制御部171は、第2シャフト137を初期位置から第1移動位置に移動させるために必要な所定量だけモータ135を逆方向A17に回転させて、第2シャフト137を第1移動位置に移動させる。一方、第2の駆動力は、各ローラと各ローラの回転軸との間に設けられたワンウェイクラッチによって遮断され、各ローラに伝達されず、各ローラは回転しない。
【0087】
次に、制御部171は、モータ135を一旦停止させる(ステップS109)。
【0088】
次に、制御部171は、モータ135を正方向A16に回転させるように駆動し、モータ135に第1の駆動力を発生させる(ステップS110)。第1の駆動力は、第2ワンウェイクラッチ138dによって遮断され、ピニオン138aに伝達されない。そのため、第2シャフト137は、ばね138cによってストッパ139側に押圧され、初期位置に向かって移動する。一方、第1の駆動力により、排出ローラ120は、矢印A15の方向に回転する。これにより、排出ローラ120は、媒体をピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gによって搬送されてきた方向に対して先端が左側に傾くように排出する。
【0089】
上記の通り、モータ135が正方向A16に回転した場合、第2シャフト137は、
図3の矢印A15の方向に回転しつつ、初期位置に向かって移動する。但し、第2ワンウェイクラッチ138dによって働く力により、第2シャフト137は、初期位置に向かって瞬時に移動しない。第2ワンウェイクラッチ138dの働きにより、第2シャフト137の軸周速度は、ピニオン138aの内周速度(第2ワンウェイクラッチ138dの内周速度)以上となる。即ち、第2シャフト137が初期位置に到達する前に、第2シャフト137の回転(自転)角度は、第1移動位置に移動する前に初期位置に配置されていた時点の(ステップS107の時点の)回転角度に戻る。したがって、排出ローラ120は、媒体を傾くように排出することができる。
【0090】
例えば、第2シャフト137の継手部137aからピニオン138aが配置された位置までの長さLを350[mm]とし、初期位置に配置された第2シャフト137に対する移動位置に配置された第2シャフト137の角度θを5°とする(
図6を参照)。また、ピニオン138aのモジュールmを0.8とし、歯数zを18[歯]とする。その場合、ラック138bの1ピッチは、(π・m)≒2.5[mm]となり、移動位置から初期位置までのラック138bの歯数は、(2π・L)×(θ/360)×(1/π・m)≒12[歯]となる。例えば、媒体の後端を2.5[mm]だけ噛み込んだ状態でステップS107~S110の処理が実行されれば、ピニオンが1~2歯分だけ回転した時に、媒体は排出される。即ち、媒体は、第2シャフト137が初期位置に対して4°程度傾いた状態で排出され、排出ローラ120は、媒体を傾くように排出することができる。
【0091】
次に、制御部171は、第1センサ111から受信する第1検出信号に基づいて、載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS111)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部171は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S111の処理を繰り返す。
【0092】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部171は、モータ135を停止させ(ステップS112)、一連のステップを終了する。これにより、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120は、停止する。
【0093】
図10A、
図10B、
図11A、
図11Bは、排出される媒体の様子を示す模式図である。
図10A~
図11Bは、第2シャフト137が初期位置に配置された状態で1枚目の媒体M1が排出台104に排出された後に、第2シャフト137が第1移動位置に配置された状態で2枚目の媒体M2が排出台104に排出される様子を示している。
【0094】
図10Aは、第2シャフト137が初期位置に配置された状態で1枚目の媒体M1が排出台104に排出された後に、2枚目の媒体M2の後端が排出ローラ120の手前に到達した状態を示している。この状態で、第2シャフト137の配置位置が第1移動位置に決定された場合、モータ135は、一旦停止された後(ステップS107)、逆方向A17に回転される(ステップS108)。
【0095】
これにより、
図10Bに示すように、第2の駆動力により、第2シャフト137は第1移動位置に向かって移動し、排出ローラ120は回転を停止する。排出ローラ120に噛み込まれている媒体M2は、第2シャフト137の移動に伴って、傾くように移動する。第2シャフト137が第1移動位置に移動した状態で、モータ135は、一旦停止された後(ステップS109)、正方向A16に回転される(ステップS110)。
【0096】
これにより、
図11Aに示すように、第1の駆動力により、第2シャフト137は初期位置に向かって移動し始め、排出ローラ120は矢印A15の方向に回転される。排出ローラ120に噛み込まれていた媒体M2は、排出ローラ120によって、媒体M1に対して傾くように、排出台104に排出される。
【0097】
その後、
図11Bに示すように、第2シャフト137は、ばね138cによってストッパ139側に押圧され、初期位置に配置される。
【0098】
以上詳述したように、媒体排出装置100は、単一のモータ135によって、排出ローラ120を回転させて媒体の排出を行うとともに、必要に応じて排出ローラ120の向きも変更して、排出される媒体に傾きを与え、媒体排出方向A3を変更する。これにより、媒体排出装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御することが可能となった。
【0099】
また、媒体排出装置100は、排出される媒体について、ジョブ単位で分類すること、重送が発生した媒体と正常に搬送された媒体とを分類すること、又は、セパレータ用紙と通常用紙とを分類することが可能になった。これにより、媒体排出装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能になった。
【0100】
複数の排出台を高さ方向に並べて配置し、排出される媒体毎に排出する排出台を異ならせる、いわゆるマルチスタッカが使用される場合、媒体排出装置の高さが増大し、装置サイズが増大する。また、マルチスタッカが使用される場合、まとめて搬送された媒体が異なる排出台に排出される可能性があり、搬送させた媒体の順序が不明になる可能性がある。また、排出ローラの回転軸又は排出台の何れかを幅方向にスライド移動させて媒体の排出位置を異ならせる、いわゆるオフセットスタッカが使用される場合、排出ローラの回転軸又は排出台の移動にかかる時間が大きく、媒体読取処理にかかる時間が増大する。また、オフセットスタッカが使用される場合、排出ローラの回転軸又は排出台を移動させるための機構が複雑になり、装置コストが増大する。
【0101】
媒体排出装置100は、排出ローラ120の回転軸である第2シャフト137を媒体搬送路と平行な方向に回転移動(揺動)させることにより、排出される媒体を分類する。これにより、媒体排出装置100は、装置サイズ、装置コスト、及び、媒体読取処理にかかる時間の増大を抑制しつつ、排出される媒体を良好に分類することが可能となった。
【0102】
また、第1ワンウェイクラッチ120a、第2ワンウェイクラッチ138d及び/又は各ローラと各ローラの回転軸との間に設けられるワンウェイクラッチの代わりに、電磁クラッチ又は電磁ブレーキが用いられてもよい。電磁クラッチは、処理回路170からの制御信号に従ってトルクのリミット値を電磁的に変更可能なクラッチであり、例えばマイクロパウダクラッチ又はヒステリシスクラッチ等である。電磁ブレーキは、処理回路170からの制御信号に従ってトルクのリミット値を電磁的に変更可能なブレーキであり、例えばマイクロパウダブレーキ又はヒステリシスブレーキ等である。その場合、ステップS103、S110において、制御部171は、第1の駆動力が各ローラに伝達されないように、電磁クラッチ又は電磁ブレーキを制御する。また、ステップS108において、制御部171は、第2の駆動力が各ローラに伝達されないように、電磁クラッチ又は電磁ブレーキを制御する。
【0103】
但し、一般に、電磁クラッチ又は電磁ブレーキはワンウェイクラッチより高価であるため、媒体排出装置100は、第1ワンウェイクラッチ120a及び第2ワンウェイクラッチ138dを使用することにより、装置コストの増大を抑制することができる。
【0104】
また、制御部171は、媒体が排出される方向を二つに区分するのでなく、三つ以上に区分してもよい。その場合、
図9のステップS108において、制御部171は、ジョブ毎に、第2シャフト137の初期位置に対する傾き(角度)が異なるように、モータ135を逆方向A17に回転させる量を異ならせる。
【0105】
図12は、他の実施形態に係る媒体排出装置の変更機構238について説明するための模式図である。
【0106】
図12に示すように、変更機構238は、媒体排出装置100の変更機構138の代わりに使用される。変更機構238は、変更機構138が有する各部に加えて、対向ローラ支持部材238eを有する。対向ローラ支持部材238eには、第2シャフト137を通すための穴と、第3シャフト140を通すための穴が形成されている。排出される媒体の厚さに応じて対向ローラ121が上方に移動するように、第3シャフト140を通すための穴は、高さ方向に延伸するように形成されている。対向ローラ支持部材238eは、第2シャフト137の向きの変更と連動して移動可能に、軸受部材238fを介して第2シャフト137に取り付けられる。第3シャフト140は、第3壁部材133及び第4壁部材に支持されず、対向ローラ支持部材238eの向きの変更と連動して移動可能に、軸受部材238fを介して対向ローラ支持部材238eに取り付けられる。これにより、第3シャフト140は、第2シャフト137の向きの変更と連動して移動する。即ち、変更機構238は、第2シャフト137の向きの変更に伴って、第3シャフト140の向きも変更させる。
【0107】
変更機構238により、第2シャフト137が第1移動位置に配置された場合でも、第2シャフト137と第3シャフト140が平行に配置され、排出ローラ120及び対向ローラ121は良好に対向して媒体を噛み込むことができる。したがって、媒体排出装置は、より良好に媒体を排出することができる。
【0108】
特に、第2シャフト137が初期位置から大きく離れても、排出ローラ120及び対向ローラ121は、媒体を良好に噛み込むことができる。そのため、媒体排出装置は、媒体が排出される方向をより多くの段階に良好に区分することが可能となる。
【0109】
以上詳述したように、媒体排出装置は、変更機構238を使用する場合も、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御することが可能となった。
【0110】
図13は、さらに他の実施形態に係る媒体排出装置300のストッパ339について説明するための模式図である。
【0111】
図13は、第1筐体101を第2筐体102から取り出した状態で、第1筐体101を上側から見た模式図である。
図13に示すように、ストッパ339は、媒体排出装置100のストッパ139の代わりに使用される。ストッパ339は、ストッパ139と同様に、第2シャフト137を所定位置に係止させるように設けられる。但し、ストッパ339は、媒体排出方向A3の下流側に移動可能に設けられている。ストッパ339が
図5に示した位置より下流側に配置されることにより、第2シャフト137は、初期位置に対して、第1移動位置とは反対側に傾くように配置可能となる。
【0112】
本実施形態では、
図13に示すように、第2シャフト137が、
図5に示した位置より下流側に配置されたストッパ339と当接する位置を第2移動位置と称する場合がある。第2移動位置は、第2シャフト137が延伸する方向が、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gの回転軸が延伸する方向に対して第1移動位置とは反対側に傾くように設定される。第2シャフト137が第2移動位置に配置されている場合、媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び/又は第1~第7搬送ローラ116a~gによって搬送されてきた方向に対して先端が右側に傾くように排出される。
【0113】
また、本実施形態では、
図5に示すように、ストッパ339が、初期位置に配置される第2シャフト137と当接する位置をストッパ初期位置と称する場合がある。一方、
図13に示すように、ストッパ339が、第2移動位置に配置される第2シャフト137と当接する位置をストッパ移動位置と称する場合がある。
【0114】
図14A及び
図14Bは、ストッパ339の移動機構343について説明するための模式図である。
【0115】
図14Aは、移動機構343を上側から見た模式図であり、
図14Bは、移動機構343を下流側から見た模式図である。
図14A及び
図14Bに示すように、媒体排出装置300は、第2モータ342及び移動機構343を有する。移動機構343は、ウォームホイール343a及びリードスクリュー343b等を有する。
【0116】
第2モータ342は、第2壁部材132に設けられ、処理回路170からの制御に従って矢印A18の方向に回転する。第2モータ342は、矢印A18の方向の回転によって第3の駆動力を発生する。第2モータ342の回転軸には、第2ウォームホイール342aが形成される。
【0117】
ウォームホイール343aは、第2ウォームホイール342aと直交して歯合するように設けられ、第2モータ342の矢印A18の方向への回転に従って矢印A19の方向へ回転する。
【0118】
リードスクリュー343bは、ウォームホイール343aの回転軸に沿って延伸するように、ウォームホイール343aの回転中心に設けられ、ウォームホイール343aの矢印A19の方向への回転に従って矢印A19の方向へ回転する。
【0119】
ストッパ339の下端部には、リードスクリュー343bと歯合する溝を有する穴が形成されており、リードスクリュー343bはその穴を通過するように配置されている。第2壁部材132には、媒体排出方向A3に沿って延伸する穴が形成されており、ストッパ339には、突起部339aが設けられる。突起部339aは、第2壁部材132に形成された穴にスライド可能に支持され、ストッパ339は、リードスクリュー343bの矢印A19の方向への回転に従って回転することなく、その穴に沿って矢印A20の方向へ直進移動する。
【0120】
このように、移動機構343は、第2モータ342による第3の駆動力によってストッパ339を移動させる。これにより、媒体排出装置300は、媒体が排出される方向をより多くの段階に良好に区分することが可能となる。
【0121】
図15は、媒体排出装置300の概略構成を示すブロック図である。
【0122】
媒体排出装置300は、媒体排出装置100が有する各部に加えて、第2モータ342等をさらに有する。
【0123】
第2モータ342は、処理回路170からの制御信号によって、第3の駆動力を発生し、ストッパ339を移動させる。第2モータ342が正回転した場合、ストッパ339は下流側に向かって(ストッパ初期位置からストッパ移動位置に向かって)移動する。一方、第2モータ342が逆回転した場合、ストッパ339は上流側に向かって(ストッパ移動位置からストッパ初期位置に向かって)移動する。
【0124】
ストッパ339の重量は、第2シャフト137の重量と比較して十分に小さく、ストッパ339を移動させるために必要なトルクは、第2シャフト137を移動させるために必要なトルクより十分に小さい。したがって、第2モータ342として、モータ135よりトルクが十分に小さい安価なモータを使用することができる。
【0125】
図16は、媒体排出装置300による媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0126】
以下、
図16に示したフローチャートを参照しつつ、媒体排出装置300の媒体読取処理の動作の例を説明する。
図16に示すフローチャートは、
図9に示したフローチャートの代わりに実行される。
図16のフローチャートのステップS201~S206、S208~S211、S219~S220の処理は、
図9のフローチャートのステップS101~S106、S107~S110、S111~S112の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下では、ステップS207、S212~S218について説明する。なお、このフローチャートが実行される前に、ストッパ339はストッパ初期位置に配置され、第2シャフト137は初期位置に配置されている。
【0127】
ステップS206において第2シャフト137の配置位置を初期位置にしないと決定した場合、制御部171は、第2シャフト137の配置位置を第1移動位置にするか第2移動位置にするかを決定する(ステップS207)。
【0128】
例えば、制御部171は、載置台103に新たな媒体のセットが載置されて読取の指示が入力されるたびに、配置位置が、初期位置、第1移動位置、第2移動位置の順に変化していくように配置位置を変更する。なお、制御部171は、搬送される媒体について指定されたジョブが変化するたびに、配置位置が、初期位置、第1移動位置、第2移動位置の順に変化していくように配置位置を変更してもよい。また、制御部171は、媒体の重送が発生した場合、配置位置を第1移動位置に決定し、媒体がセパレータ用紙である場合、配置位置を第2移動位置に決定してもよい。第2シャフト137の配置位置を第1移動位置に決定した場合、制御部171は、ステップS208~S211の処理を実行する。
【0129】
一方、第2シャフト137の配置位置を第2移動位置に決定した場合、制御部171は、モータ135を一旦停止させる(ステップS212)。これにより、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120は、一旦停止する。
【0130】
次に、制御部171は、第2モータ342を正方向に回転させるように駆動し、第2モータ342に第3の駆動力を発生させる(ステップS213)。この第3の駆動力により、ストッパ339はストッパ初期位置からストッパ移動位置に向かって移動する。制御部171は、ストッパ339をストッパ初期位置からストッパ移動位置に移動させるために必要な所定量だけモータ135を正方向に回転させて、ストッパ339をストッパ移動位置に移動させる。このとき、第2シャフト137は、ばね138cによってストッパ339側に押圧されており、ストッパ339とともに移動し、第2移動位置に配置される。
【0131】
次に、制御部171は、モータ135を正方向A16に回転させるように駆動し、モータ135に第1の駆動力を発生させる(ステップS214)。第1の駆動力は、第2ワンウェイクラッチ138dによって遮断され、ピニオン138aに伝達されず、第2シャフト137は、ばね138cによってストッパ139側に押圧され、第2移動位置に留まる。一方、第1の駆動力により、排出ローラ120は、矢印A15の方向に回転する。これにより、排出ローラ120は、媒体をピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第7搬送ローラ116a~gによって搬送されてきた方向に対して先端が右側に傾くように排出する。制御部171は、媒体が確実に排出される量だけモータ135を正方向A16に回転させる。
【0132】
次に、制御部171は、モータ135を再度一旦停止させる(ステップS215)。これにより、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120は、一旦停止する。
【0133】
次に、制御部171は、モータ135を逆方向A17に回転させるように駆動し、モータ135に第2の駆動力を発生させるとともに、第2モータ342を逆方向に回転させるように駆動し、第2モータ342に第3の駆動力を発生させる(ステップS216)。第2の駆動力により、第2シャフト137は初期位置に向かって移動する。制御部171は、第2シャフト137を第2移動位置から初期位置に移動させるために必要な所定量だけモータ135を逆方向A17に回転させて、第2シャフト137を初期位置に移動させる。一方、この第3の駆動力により、ストッパ339はストッパ移動位置からストッパ初期位置に向かって移動する。制御部171は、ストッパ339をストッパ移動位置からストッパ初期位置に移動させるために必要な所定量だけモータ135を逆方向に回転させて、ストッパ339をストッパ初期位置に移動させる。
【0134】
次に、制御部171は、モータ135を一旦停止させる(ステップS217)。これにより、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120は、一旦停止する。
【0135】
次に、制御部171は、モータ135を正方向A16に回転させるように駆動し、モータ135に第1の駆動力を発生させる(ステップS218)。第1の駆動力により、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第7搬送ローラ116a~g及び排出ローラ120は、再度矢印A5~A15の方向に回転する。
【0136】
なお、ステップS207~S211の処理は省略され、制御部171は、ステップS206において第2シャフト137の配置位置を初期位置にしないと決定した場合、第2シャフト137の配置位置を第2移動位置に決定してもよい。
【0137】
以上詳述したように、媒体排出装置300は、ストッパ339を移動可能に設けた場合も、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御することが可能となった。
【0138】
なお、媒体排出装置300は、第2モータ342に代えて、ソレノイドを用いてストッパ339を移動させてもよい。その場合、媒体排出装置300は、媒体排出方向A3に、複数のストッパ339を並べて配置し、各ストッパ339が第2シャフト137と対向する位置から離間できるように、各ストッパ339にソレノイドの可動磁極を取り付ける。制御部171は、ステップS213、S216において、各ストッパ339を第2シャフト137と対向する位置又は対向しない位置に移動させるようにソレノイドを制御することにより、第2シャフト137を特定の位置に配置させる。一般に、ソレノイドはモータより安価であり、媒体排出装置300は、装置コストをより低減させることが可能となる。
【0139】
図17は、さらに他の実施形態に係る媒体排出装置の処理回路470の概略構成を示す図である。
【0140】
処理回路470は、媒体排出装置100の処理回路170の代わりに使用され、処理回路170の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路470は、制御回路471及び検出回路472等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0141】
制御回路471は、制御部の一例であり、制御部171と同様の機能を有する。制御回路471は、操作装置105から操作信号を、第1センサ111から第1検出信号を、超音波センサ115から超音波信号を、検出回路472から媒体の検出結果を受信する。制御回路471は、受信した各情報に基づいて媒体の排出を制御するように、モータ135及び第2モータ342を制御する。また、制御回路471は、撮像装置118から入力画像を取得し、インタフェース装置151に出力する。
【0142】
検出回路472は、検出部の一例であり、検出部172と同様の機能を有する。検出回路472は、第2センサ119から第2検出信号を受信し、受信した第2検出信号に基づいて媒体を検出し、検出結果を制御回路471に出力する。
【0143】
以上詳述したように、媒体排出装置は、処理回路470によって媒体読取処理を実行する場合も、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体の排出方向を適切に制御することが可能となった。
【符号の説明】
【0144】
100 媒体排出装置、104 排出台、120 排出ローラ、120a 第1ワンウェイクラッチ、121 対向ローラ、135 モータ、136 第1シャフト、137 第2シャフト、138 変更機構、138a ピニオン、138b ラック、138c ばね、138d 第2ワンウェイクラッチ、139 ストッパ、140 第3シャフト、342 第2モータ、343 移動機構