(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】リキッド印刷インキ、紙基材、プラスチック基材、容器及び包装材
(51)【国際特許分類】
C09D 11/02 20140101AFI20240530BHJP
C09D 11/08 20060101ALI20240530BHJP
C09D 11/102 20140101ALI20240530BHJP
C09D 11/107 20140101ALI20240530BHJP
C09D 11/106 20140101ALI20240530BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
C09D11/02
C09D11/08
C09D11/102
C09D11/107
C09D11/106
B41M1/30 D
(21)【出願番号】P 2020143408
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】寺川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知生
(72)【発明者】
【氏名】西内 美登里
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 敏生
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110773(JP,A)
【文献】国際公開第2014/112429(WO,A1)
【文献】特開2004-231955(JP,A)
【文献】特開平10-279863(JP,A)
【文献】特開2012-118360(JP,A)
【文献】米国特許第04654082(US,A)
【文献】特開2010-237617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B41M 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂(A)、着色剤(B)、有機溶剤(C)、及び酸化防止剤(D)を含有し、前記酸化防止剤(D)をインキ固形分全量に対し0.01~5.0質量%含有し、
前記バインダー樹脂(A)が、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせであり、前記酸化防止剤(D)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であることを特徴とするリキッド印刷インキ。
【請求項2】
前記ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、前記ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、前記ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、前記アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせの樹脂の質量比が、それぞれ95/5~20/80である請求項1に記載のリキッド印刷インキ。
【請求項3】
請求項1~
2の何れかに記載のリキッド印刷インキを紙基材又はフィルムに印刷した紙基材又はプラスチック基材。
【請求項4】
請求項
3に記載の紙基材又はプラスチック基材を使用した容器、包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表刷り用のグラビアインキやフレキソインキとして使用可能なリキッド印刷インキに関する。
【背景技術】
【0002】
主にグラビア印刷方式、もしくはフレキソ印刷方式にて、紙やフィルム等への包装材料の表刷印刷に使用されるリキッド印刷インキは、ポリアミド樹脂が主成分として使用されている。そして近年では、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤の使用が制限されつつある。これに伴い脱トルエン型のリキッドインキには、印刷適性の観点から、溶剤として芳香族、ケトン系溶剤の代わりに酢酸エチルや酢酸プロピルなどの酢酸エステル類、イソプロピルアルコールやノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルシクロヘキサンなどの非芳香族炭化水素系溶剤又はそれらの混合溶剤が使用される傾向にある。
【0003】
更に表刷印刷に使用されるリキッド印刷インキは、硝化綿/ポリアミド樹脂、もしくは硝化綿/ウレタン樹脂の混合樹脂系を使用したインキや、前記ポリアミド樹脂がダイマー酸とジアミンの反応による熱可塑性ポリアミド樹脂を使用したインキが開示されており、ダイマー酸の反応原料としてトール油脂肪酸など植物性脂肪酸もしくは合成油脂肪酸が使用されたインキや(例えば特許文献1及び2参照)、米ぬか脂肪酸を反応原料とする熱可塑性ポリアミド樹脂を使用したインキが知られている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
一方で脂肪酸は経時的に黄変することが知られている。インキバインダー原料としてこれらの脂肪酸を使用したインキも、インキ保存条件や印字後の保存条件によっては、経時的に黄変が生じることがあった。特に特色等の、色見本に従って色調を指定したカラーインキ等では、製造時に合わせた色調が、使用時には色調がずれるといった問題にもなりうる。
そして、表刷り用リキッド印刷インキでは、フィルム基材の表側に印刷されたインキ皮膜が、直接外力によって擦れたり、他の物質と接蝕する為に、その皮膜強度や各種耐性が要求される。中でも、表の印刷面と印刷面、又は表の印刷面とフィルムの裏面とが密着した際に互いに接着する事のない耐ブロッキング性を兼備する事が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-029122号公報
【文献】特開2005-171167号公報
【文献】特開2019-99586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、印刷後の黄変が生じにくく、耐ブロッキング性に優れるグラビアインキ、フレキソインキに適用可能なリキッド印刷インキを提供することにある。また、該リキッド印刷インキを用いた印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バインダー樹脂(A)、着色剤(B)、有機溶剤(C)、及びインキ全量に対し特定量の酸化防止剤(D)を含有するリキッド印刷インキに関する。
【0008】
即ち本発明は、バインダー樹脂(A)、着色剤(B)、有機溶剤(C)、及び酸化防止剤(D)を含有し、前記酸化防止剤(D)をインキ固形分全量に対し0.01~5.0質量%含有することを特徴とする、リキッド印刷インキに関する。
【0009】
また本発明は、前記バインダー樹脂(A)が、繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、又は塩化ビニル系樹脂を含有するリキッド印刷インキに関する。
【0010】
また本発明は、前記バインダー樹脂(A)が、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせであるリキッド印刷インキに関する。
【0011】
また本発明は、前記酸化防止剤(D)が、フェノール系酸化防止剤又はホスファイト系酸化防止剤であるリキッド印刷インキに関する。
【0012】
また本発明は、前記酸化防止剤(D)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるリキッド印刷インキに関する。
【0013】
また本発明は、前記記載のリキッド印刷インキを紙基材又はフィルムにコーティングした紙基材又はプラスチック基材を提供する。
【0014】
また本発明は、前記記載の紙基材又はプラスチック基材を使用した容器、包装材を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリキッド印刷インキは、印刷後の黄変が生じにくく、耐ブロッキング性に優れるグラビアインキ、フレキソインキに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(言葉の定義)
本発明において「部」とは全て「質量部」を示し、「リキッド印刷インキ全量」とは、有機溶剤等の揮発性成分をすべて含んだインキの全量を示し、「リキッド印刷インキ固形分全量」とは、揮発性成分を含まない、不揮発性成分のみの全量を示す。
【0017】
(バインダー樹脂(A))
本発明のリキッド印刷インキに使用するバインダー樹脂(A)としては、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)やセルロースアセテートブチロネート(CAB)などセルロース系樹脂等の繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。
【0018】
(ポリアミド樹脂)
ポリアミド樹脂としては、例えば多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得ることができる有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドである。特に、重合脂肪酸および/またはダイマー酸を含有する酸成分と、脂肪族および/または芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂であることが好ましく、更には一級および二級モノアミンを一部含有するものが好ましい。
ポリアミド樹脂の原料で使用される多塩基酸としては、以下に限定されるものではないが、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、グルタル酸、フマル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、テレフタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、トリメリット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、重合脂肪酸などが挙げられ、その中でもダイマー酸あるいは重合脂肪酸に由来する構造を主成分(ポリアミド樹脂中に50質量%以上)含有するポリアミド樹脂が好ましい。ここで、重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸脂肪酸の環化反応等により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸(ダイマー酸)、三量化重合脂肪酸等を含むものである。なお、ダイマー酸あるいは重合脂肪酸を構成する脂肪酸は、トール油、米ぬか油、パーム油、ヤシ油、大豆油由来など天然油に由来するものを好適に挙げることができ、オレイン酸およびリノール酸から得られるものが好ましい。
多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
【0019】
多価アミンとしては、ポリアミン、一級または二級モノアミンなど挙げることができる。ポリアミド樹脂に使用されるポリアミンとしてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミンを挙げることができ、脂環式ポリアミンとしては、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。また、芳香脂肪族ポリアミンとしてはキシリレンジアミン、芳香族ポリアミンとしてはフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。さらに、一級及び二級モノアミンとしては、n-ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
【0020】
中でも、米ぬか油由来の、米ぬか脂肪酸を反応原料とするポリアミド樹脂であることが好ましい。また米ぬか脂肪酸を反応原料とする場合は、前記多価アミンには前記脂肪族ジアミンあるいは、脂環式ポリアミンを使用する事が好ましい。
【0021】
前記ポリアミド樹脂の分子量は、本発明のリキッドインキ組成物の高い光沢、耐ブロッキング性を保持する観点から、数平均分子量1000~30,000であることが好ましく、より好ましくは数平均分子量1000~20,000である。数平均分子量が1000以上であることで耐ブロッキング性及び耐熱性に優れ、30,000を超えないことで、低温撓み性を維持できる傾向にある。
【0022】
また前記ポリアミド樹脂の酸価は特に限定されないが、酸価が15mgKOH/g以下が好ましい。またアミン価は特に限定されないが、10mgKOH/g以下であることが好ましい。また軟化点は特に限定されないが、90~150℃であることが好ましく、より好ましくは90~120℃である。
【0023】
前記ポリアミド樹脂の配合量は、インキ固形分全量に対して1~90質量%が好ましく、より好ましくは15~80質量%である。
【0024】
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得たポリウレタン樹脂であれば特に限定されない。ポリオールとしては例えば、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2ブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(1)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、
【0025】
前記低分子ポリオール類(1)と、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(3);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(4);前記低分子ポリオール類(1)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(5);ポリブタジエングリコール類(6);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(7);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(8)等が挙げられる。
【0026】
ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-3,5-フェニレンジイソシアネート、1-エチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-イソプロピル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-4,6-フェニレンジイソシアネート、1,4-ジメチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1-メチル-3,5-ジエチルベンゼンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ジエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1-メチル-ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、ナフタレン-2,7-ジイソシアネート、1,1-ジナフチル-2,2’-ジイソシアネート、ビフェニル-2,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3-3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4-ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロペンチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
また鎖伸長剤を使用することもできる。鎖伸長剤としては例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
中でも、ウレタン樹脂として、前記低分子ポリオール類(1)や、前記ポリエーテルポリオール類(2)と、前記イソシアネートとを反応させたウレタン樹脂が好ましい。
【0030】
ウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000~100,000であることが好ましく、より好ましくは15,000~80,000の範囲である。
また、ウレタン樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0031】
(繊維素系樹脂)
繊維素系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース(硝化綿ともいう)、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。本発明のポリウレタン樹脂(A)の併用では、耐ブロッキング性、耐擦傷性その他のインキ被膜物性が向上することが期待できる。
ニトロセルロース(硝化綿)は、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましい。
【0032】
ニトロセルロース(硝化綿)を使用する事で、顔料への高い分散性が得られる事から、特に表刷り用リキッド印刷インキとして使用すれば、印刷インキ塗膜の強度を向上させることができ好適である。前記ニトロセルロース(硝化綿)としては、窒素含有量が10~13質量%、平均重合度30~500が好ましく、より好ましくは窒素含有量が10~13質量%、平均重合度45~290である。
【0033】
ニトロセルロース(硝化綿)の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0034】
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性モノマーが共重合したものであれば特段限定されない。重合性モノマーとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合法も特に限定なく公知の塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合法等で得たものを使用することができる。
アクリル樹脂の重量平均分子量は5,000~200,000であることが好ましく、より好ましくは10,000~100,000の範囲である。
また、アクリル樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0035】
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂としては、アルコールとカルボン酸とを公知のエステル化重合反応を用いて反応させてなるポリエステル樹脂であれば特段限定されない。
アルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2ブチル-1,3プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも多官能アルコールが好ましい。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、リノール酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも多官能カルボン酸が好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は500~6000であることが好ましい。さらに好ましくは1400~5500である
また、ポリエステル樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0036】
(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであれば、特段限定されない。分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、10,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中、酢酸ビニルモノマー由来の構造は1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、被膜物性、耐擦傷性等が良好となる。
また有機溶剤への溶解性の観点からビニルアルコール構造由来の水酸基を含むものも好ましい。水酸基価としては20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
また塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
【0037】
(ロジン系樹脂)
ロジン系樹脂は、ロジン骨格を有する樹脂であれば特に限定されないが、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル、ロジンフェノール、重合ロジンなどが好ましい。軟化点(環球法による)が90~200℃であることが好ましい。
【0038】
中でも、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂が好ましい。特にバインダー樹脂を少なくとも二種の樹脂を含有することが好ましい。
好ましくは、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせであり、バインダー樹脂(A)100質量%中、二種の樹脂が合計で80~100質量%含むことが好ましく、さらに好ましくは90~100質量%であることが最も好ましい。
【0039】
更に、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂は、それぞれ質量比で95/5~20/80であることが好ましい。より好ましくは質量比で90/10~50/50である。この組み合わせにより、リキッド印刷インキに所望される基本性能である耐摩擦性、耐ブロッキング性、耐熱性、耐油等に優れる。
【0040】
(硬化剤)
また、バインダー樹脂(A)に硬化剤を併用してもよい。硬化剤としては有機溶剤系のグラビアインキで汎用の硬化剤を使用すればよいが、最もよく使用されるのはイソシアネート系の硬化剤である。
イソシアネート化合物の添加量としては、硬化効率の観点からリキッド印刷インキ固形分に対し0.3質量%~10.0質量%の範囲が好ましく、1.0質量%~7.0質量%であればより好ましい。
バインダー樹脂(A)は、本発明のリキッド印刷インキに対して0.15~50質量%の範囲であることが好ましく、1~40質量%の範囲で使用することが最も好ましい。
【0041】
(着色剤(B))
有機溶剤型リキッド印刷インキは、着色剤(B)として一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている有機顔料及び/または無機顔料を併用してもよい。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。
【0042】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0043】
前記顔料の平均粒子径は、10~200nmの範囲にあるものが好ましくより好ましくは50~150nm程度のものである。
前記顔料は、水性リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総質量に対して1~60質量%、インキ中の固形分質量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0044】
(有機溶剤(C))
本発明のリキッド印刷インキで使用する有機溶剤(C)としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
【0045】
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しない事がより好ましい。
【0046】
中でもウレタン樹脂や硝化綿への溶解性の観点から、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/メトキシプロパノールの混合液がより好ましい。また、乾燥調整のためにインキ全量の10質量%未満であればグリコールエーテル類を添加する事も出来る。
【0047】
(酸化防止剤(D))
本発明においては、酸化防止剤(D)を、インキ固形分全量に対し 0.01~5.0質量%含有することが特徴である。
使用する酸化防止剤としては特に限定はなく、公知の酸化防止剤を使用することができる。例えばホスファイト系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0048】
ホスファイト系酸化防止剤は各種の化合物が知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー出版発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235~242頁)等に記載された種々の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ホスファイト系酸化防止剤として、例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4―ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト等が挙げられる。商品名では、アデカスタブPEP-36、アデカスタブPEP-4C、アデカスタブPEP-8、アデカスタブPEP-8F、アデカスタブPEP-8W、アデカスタブPEP-11C、アデカスタブPEP-24G、アデカスタブHP-10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブP、アデカスタブQL、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP(以上、いずれも株式会社アデカ製)、Irgafos38、Irgafos126、Irgafos168、IrgafosP-EPQ(以上、いずれもBASF JAPAN Ltd.製)等を例示することができる。これらのなかでも、特にエステル交換反応や加水分解反応を抑制する効果を顕著に示し得ること、酸化防止剤自体の融点が高く樹脂から揮発し難いこと等から、アデカスタブPEP-36、アデカスタブHP-10、アデカスタブ2112、アデカスタブPEP-24G、Irgafos126等がより好ましい。
【0049】
またヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、モノ(またはジ、またはトリ)(α-メチルベンジル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール-ビス-[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]o-クレゾール、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0050】
商品名では、ノクラック200、ノクラックM-17、ノクラックSP、ノクラックSP-N、ノクラックNS-5、ノクラックNS-6、ノクラックNS-30、ノクラック300、ノクラックNS-7、ノクラックDAH(以上、いずれも大内新興化学工業株式会社製)、アデカスタブAO-30、アデカスタブAO-40、アデカスタブAO-50、アデカスタブAO-60、アデカスタブAO-616、アデカスタブAO-635、アデカスタブAO-658、アデカスタブAO-80、アデカスタブAO-15、アデカスタブAO-18、アデカスタブ328、アデカスタブAO-37(以上、いずれも株式会社アデカ製)、IRGANOX-245、IRGANOX-259、IRGANOX-565、IRGANOX-1010、IRGANOX-1024、IRGANOX-1035、IRGANOX-1076、IRGANOX-1081、IRGANOX-1098、IRGANOX-1135、IRGANOX-1222、IRGANOX-1330、IRGANOX-1425WL(以上、いずれもBASF JAPAN Ltd.製)、SumilizerGA-80(以上、住友化学株式会社製)等が挙げられる。
【0051】
さらにフェノール系酸化防止剤として、アクリレート基とフェノール基とを併せもつモノアクリレートフェノール系安定剤を用いることもできる。モノアクリレートフェノール系安定剤としては、例えば、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(商品名:スミライザーGM)、2,4-ジ-t-アミル-6-[1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(商品名:スミライザーGS)等が挙げられる。
【0052】
中でも、下記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0053】
【0054】
前記一般式(1)中、Rは炭素原子数1~34の直鎖また分岐鎖のアルキル基が好ましい。より好ましくは炭素原子数8~18の直鎖また分岐鎖のアルキル基が好ましい。
【0055】
前記酸化防止剤は、中でもインキ固形分に対して0.01~5.0の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.01~3.0質量%であり、0.05~0.5質量%の範囲であれば更に好ましい。
【0056】
本発明のリキッド印刷インキは、その他、リキッド印刷インキに所望される基本物性を付与することを目的として、塩素化ポリプロピレン、キレート架橋剤、ワックス、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤、体質顔料なども含むこともできる。
【0057】
(塩素化ポリプロピレン)
塩素化ポリプロピレンは、処理、未処理の基材フィルムに対するインク組成物の接着性を向上させるために好適に配合される。塩素化ポリプロピレンは特に限定されない。塩素化ポリプロピレンは、上記有機溶剤に溶解するものであればよい。
【0058】
塩素化ポリプロピレンの塩素化度は、30~50%であることが好ましい。塩素化度が30%未満である場合、塩素化ポリプロピレンは、溶剤への溶解度が低下しやすい。一方、塩素化度が50%を超える場合、インキ組成物は、ポリエチレンやポリプロピレン等の基材フィルムに対して密着性が低下しやすい。塩素化度が上記範囲内であることにより、インキ組成物は、未処理のフィルムに対しても優れた接着性を発揮し得る。
【0059】
塩素化ポリプロピレンは、変性物であってもよい。変性物は特に限定されない。一例を挙げると、塩素化ポリプロピレンの変性物は、塩素化ポリプロピレンに重合性アクリル化合物(アクリル酸、メタクリル酸またはこれらのアルキルエステルなど)または不飽和ポリカルボン酸(マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸など)をグラフト重合したもの、または上記不飽和ポリカルボン酸をグラフト重合させたポリオレフィンを塩素化したもの等である。
【0060】
塩素化ポリプロピレンの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、塩素化ポリプロピレンの含有量は、インキ組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、塩素化ポリプロピレンの含有量は、インキ組成物中、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0061】
(キレート架橋剤)
キレート架橋剤は特に限定されず公知のものを使用できる。一例を挙げると、キレート架橋剤は、チタンキレート、ジルコニウムキレート等である。チタンキレートは、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、オクチレングリコールチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート、n-ブチルリン酸エステルチタン、プロパンジオキスチタンビス(エチルアセチルアセテート)などのチタンキレート等である。ジルコニウムキレートは、ジルコニウムプロピオネート、ジルコニウムアセチルアセテート等である。キレート架橋剤は、併用されてもよい。
【0062】
環境面が要求される場合は、キレート架橋剤は、架橋反応後にアセチルアセトンを発生しないキレート架橋剤であることが好ましい。
【0063】
キレート剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、キレート剤の含有量は、インキ組成物中、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、キレート剤の含有量は、インキ組成物中、8.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以下であることがさらに好ましい。キレート剤の含有量が上記範囲内であることにより、インキ組成物は、経時保存安定性が優れる。また、得られる印刷物は、耐熱性、耐油性、耐塩ビブロッキング性、接着性、耐ブロッキング性に優れる。
【0064】
本発明のリキッド印刷インキに使用できる前記ワックスとしては、オレフィン系ワックス、アマイド系ワックスが分散性が良好で光沢や透明性に優れる事から好ましい。
前記ポリオレフィンワックスとしては、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等が挙げられ、ポリエチレンワックスがより好ましい。
また前記アマイドワックスの中でも、脂肪酸アマイドワックスがより好ましい。
ワックスの添加量としては、インキ固形分全量の0~30質量%の範囲が好ましく、0~20質量%であればより好ましい。
【0065】
前記ワックスのインキへの添加方法としては、従来の印刷インキ製造工程におけるいずれの工程でも添加が可能である。すなわち、顔料とワックスを共に樹脂溶液に練肉分散を行ったものをインキ化しても良く、また事前に練肉分散を経たインキにワックス、またはワックスを事前に微粉化した分散体やパウダーを混合してインキ化してもよい。
ワックスを微粉化する方法としては、ワックスを微粉化できる方法であれば特に限定されないが、例えばジェットミル、ボールミルなどを用いて粉砕する方法が挙げられる。なお、ワックスの微粉体を製造するには、粉砕する以外に溶剤を用いた溶融冷却法やスプレー式の造粒など、粉砕以外の造粒方法も使用可能である。
いずれの添加方法に於いてもインキ中のワックス微粒子の一次平均粒径は0.5μm~15μmの範囲に、さらに好ましくは1~10μmの範囲にあることが望ましい。
【0066】
本発明のリキッド印刷インキに粘着付与剤を使用すれば更に基材との密着強度を向上させる事が出来る。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、脂肪酸系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、スチレン樹脂および水添石油樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。中でもロジン系樹脂が好ましい。
前記ロジン系樹脂は、ロジン骨格を有する樹脂であれば特に限定されないが、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル、ロジンフェノール、重合ロジンなどが好ましい。軟化点(環球法による)が90~200℃であることが好ましい。
【0067】
また、本発明のリキッド印刷インキに可塑剤を加えてもよい。本発明で使用される可塑剤としては、ポリイソプレン、ポリブテン等の液状ゴムやプロセルオイル等が挙げられる。
【0068】
(リキッド印刷インキの製造方法)
本発明のリキッド印刷インキは、前記原料を有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
【0069】
有機溶剤型リキッド印刷インキのインキ粘度は、グラビアインキとして使用する場合であっても、フレキソインキとして使用する場合であっても、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
【0070】
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
【0071】
(印刷物の作成)
本発明のリキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である。
【0072】
本発明の有機溶剤型リキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0073】
(基材)
本発明で使用する基材は、紙基材またはプラスチック基材である。
【0074】
(紙基材)
紙基材は、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。
また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。
【0075】
(プラスチック基材)
プラスチック基材は、プラスチック材料、成形品、フィルム基材、包装材等の基材に使用される基材であればよいが、特に、グラビアロールコーティング(グラビアコーター)、フレキソロールコーティング(フレキソコーター)を使用する場合には、グラビア・フレキソ印刷分野で通常使用されているフィルム基材をそのまま使用できる。
具体的には例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。また基材フィルムにはコロナ放電処理がされていることが好ましく、アルミ、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【0076】
また基材は、前記紙基材やフィルム基材をドライラミネート法や無溶剤ラミネート法、あるいは押出ラミネート法により積層させた積層構造を有する積層体(積層フィルムと称される場合もある)であっても構わない。また該積層体の構成に、金属箔、金属蒸着膜層、無機蒸着膜層、酸素吸収層、アンカーコート層、印刷層、ニス層等があっても構わない。
【0077】
前記単層の紙基材あるいはフィルム基材、積層構造を有する積層体は、業界や使用方法等により、機能性フィルム、軟包装フィルム、シュリンクフィルム、生活用品包装用フィルム、医薬品包装用フィルム、食品包装用フィルム、カートン、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等様々な表現がなされているが、本発明のリキッド印刷インキは特に限定なく使用することができる。
【実施例】
【0078】
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
【0079】
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。
カラム温度:40℃。
移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。
流速:1.0ml/分。
試料濃度:0.4質量%。
試料注入量:100マイクロリットル。
検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
【0080】
(ポリアミド樹脂溶液Paの調製)
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ダイマー酸(ハリダイマー270S;ハリマ化成(株)製)100部、トール油脂肪酸(ハートールFA-1;ハリマ化成(株)製)1部、セバシン酸5部、エチレンジアミン10部、ヘキサメチレンジアミン5部、及びトリフェニルホスフィン0.24部を入れ、系内を窒素雰囲気とし、さらに、窒素気流下均一化の攪拌しながら200℃までゆっくりと昇温する。続いて攪拌しながら200℃にて5時間脱水縮合を行い、ポリアミド樹脂/イソプロピルアルコール/メチルシクロヘキサン(質量比で30/20/40の比率)を添加することにより、固形分30%、軟化点123℃、アミン価2、酸価8、数平均分子量10,000のトール脂肪酸由来のダイマー酸変性ポリアミド樹脂溶液Paを得た。
【0081】
(ポリウレタン樹脂溶液Puの調製)
撹拌機、温度計、ジムロ-ト型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られる数平均分子量5100のポリエステルポリオール264.20部を仕込み、窒素ガスを流し、撹拌しながら50℃に昇温した。続いて、イソホロンジイソシアネート28.01部を加え、イソシアネート基の残存率であるNCO%が1.99%に達する迄90℃で反応させた。冷却後、酢酸n-プロピル157.34部を加え、末端にイソシアネート基を有したウレタンプレポリマー溶液(B2)を得た。
続いて、撹拌機、温度計、ジムロート型還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた、1リットルの四ツ口フラスコに、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン10.96部、モノエタノールアミン1.37部、酢酸n-プロピル411.00部、n-プロピルアルコール142.00部、ウレタンプレポリマー溶液(B2)449.55部を加え、45℃で4時間反応させて、固形分30%、重量平均分子量48,000、のポリウレタン樹脂溶液Puを得た。
【0082】
(ニトロセルロース樹脂溶液Nの調整)
工業用硝化綿L1/8(ニトロセルロース、固形分70%、JIS K-6703により溶液濃度25.0%における粘度1.6~2.9%品 Nobel社製)28.6部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(質量比で25/25/13/10の比率)の混合液を71.4部加え、充分混合し固形分20%のニトロセルロース樹脂溶液Nを作製した。
【0083】
(セルロースアセテートプロピオネート樹脂溶液Caの調整)
セルロースアセテートプロピオネートCAP482-0.5(Eastman Chemical社製)20部に、イソプロピルアルコール/酢酸ノルマルプロピル(質重量比で50/50の比率)の混合液を80部加え、充分混合し固形分20%のセルロースエステル樹脂溶液Caを作製した。
【0084】
(アクリル樹脂溶液Acの調整)
固形アクリル樹脂(三菱ケミカル(株)製ダイヤナールBR-90)をイソプロピルアルコール/酢酸エチル(質量比で30/25/45の比率)を添加攪拌溶解して30%溶液とし、これをアクリル系樹脂溶液Acとした。
【0085】
(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evの調整)
水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルと酢酸プロピル(質量比で50/50)で固形分20%溶液とし、これを塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evとした。
【0086】
〔実施例1〕
得られたポリアミド樹脂溶液Pa(固形分30質量%)を65部、ニトロセルロース樹脂溶液N(固形分20質量%)を3部、フタロシアニン系青色顔料(DIC(株)製FASTGEN Blue LA5380 B15:3)を10部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤 アデカスタブAO-50(株式会社アデカ製)を0.01部、イソプロピルアルコール15部、酢酸エチル16.99部、メチルシクロヘキサン10部の混合物(計100部)を練肉し藍色リキッド印刷インキを作製した。
【0087】
〔実施例2~10、及び比較例1~4〕
実施例2~10、比較例1~4の藍色リキッド印刷インキについて、表1~3に示す配合に従い、実施例1と同様に藍色リキッド印刷インキを作製した。
【0088】
〔評価項目1:耐熱時の耐黄変性〕
得られた藍色リキッド印刷インキを、質量比率で酢酸ノルマルプロピル/メチルエチルケトン/メチルシクロヘキサン=25/25/50で混合した混合溶剤で離合社製ザーンカップNo3を使用し16秒になるように粘度調整した上で、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下OPPフィルム)に印刷して45℃で乾燥し、印刷物を得た。
更に得られた印刷物を50℃の恒温槽にて4週間保管し、促進試験にて黄変具合を次の5段階にて目視評価した。
(評価基準)
5.全く黄変が見られない。
4.僅かに黄変が見られる。
3.軽度の黄変が見られるが、実用上ない水準である。
2.黄変が見られる。
1.黄変が顕著である。
【0089】
〔評価項目2:耐ブロッキング性〕
得られた藍色リキッド印刷インキを、質量比率で酢酸ノルマルプロピル/メチルエチルケトン/メチルシクロヘキサン=25/25/50で混合した混合有機溶剤を用いて離合社製ザーンカップNo3で16秒になるように粘度調整した後、版深度25μmを有するレーザーグラビア版を取り付けたMD型グラビア印刷機(富士機械株式会社製)を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製 FOR 厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。
次に、得られた印刷物を、4cm×4cmの大きさに切りだし、このインキ塗工面と、これと同じ大きさに切った同フィルムの非処理面とを重ね合わせて、バイスで10kg/cmcの荷重をかけ締め込み、40℃、湿度80%の雰囲気で24時間放置後、印刷面とプラスチックフィルムを手で引き剥がし、インキの剥離の程度から耐ブロッキング性を評価した。
(評価基準)
5:印刷皮膜の剥離が全くなく、剥離抵抗も全く感じられない。
4:印刷皮膜の剥離が全くないが、剥離抵抗が若干感じられない。
3:印刷皮膜が少し剥離し、剥離抵抗が感じられる。
2:印刷皮膜が剥離し、剥離抵抗が強く感じられる。
1:印刷皮膜が殆ど剥離し、剥離抵抗が強く感じられる。
【0090】
表1~3に各藍色リキッド印刷インキの配合、及び評価結果を記す。 尚空欄は未配合である。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
表中の記号の略語を下記に示す。
アデカスタブAO-50:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、株式会社アデカ製
IRGANOX-1135:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF JAPAN Ltd.製
アデカスタブPEP-8:ホスファイト系酸化防止剤、株式会社アデカ製
【0095】
本発明のリキッド印刷インキは、印刷後の黄変が生じにくく、耐ブロッキング性に優れる結果となった。