(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-29
(45)【発行日】2024-06-06
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61D 19/02 20060101AFI20240530BHJP
B61C 17/04 20060101ALI20240530BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20240530BHJP
B61K 13/00 20060101ALI20240530BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
B61D19/02 Q
B61C17/04 Z
B61D37/00 G
B61K13/00 Z
B61L23/00 Z
(21)【出願番号】P 2020205505
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中桐 隆寿
(72)【発明者】
【氏名】松方 稜
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/145736(WO,A1)
【文献】特開2002-173956(JP,A)
【文献】特開2019-085055(JP,A)
【文献】国際公開第2002/096712(WO,A1)
【文献】特開2000-112404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 19/02
B61C 17/04
B61D 37/00
B61K 13/00
B61L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転士が運転を行う運転室と、乗客が乗り降りするための乗降扉と、を備える鉄道車両において、
前記運転室の前方側天井部に設けられた開口部と、前記開口部からアクセス可能な機器と、を備えること、
前記乗降扉を開閉させる際に前記乗降扉の安全確認を行うための映像が表示される安全確認用モニタを備えること、
前記安全確認用モニタを、前記運転室の天井から吊り下げ保持する吊持構造を備えること、
前記吊持構造は、前記安全確認用モニタを、前記運転士が運転姿勢の状態にあるときに前記運転士の視界の上方に前記映像が位置する第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置と、の間で移動させることが可能な位置変更手段を備えること、
前記安全確認用モニタは、
前記第1位置にあるときには前記開口部の近傍に位置すること、
前記機器をメンテナンスするための前記第2位置にあるときには前記開口部から前記機器へのアクセスを阻害しないこと、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記位置変更手段は、前記鉄道車両の高さ方向と平行な方向に回転軸を有しており、前記安全確認用モニタを、前記回転軸を中心に、前記第1位置と前記第2位置との間で回動させることが可能なこと、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記位置変更手段は、前記鉄道車両の水平方向に平行な直線状のレールを有しており、前記安全確認用モニタを、前記レールに沿って、前記第1位置と前記第2位置との間で移動させることが可能なこと、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の鉄道車両において、
前記鉄道車両の先頭部の、天井側端部に、前記鉄道車両の軌道方向の外側を表面とする表示器を備えること、
前記運転室は、前記表示器の裏面の側に、前記表示器にアクセス可能な開口部を備えること、
前記第1位置は、前記開口部の近傍であること、
前記第2位置は、前記開口部から離れた所定の位置であること、
を特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
運転士が運転を行う運転室と、乗客が乗り降りするための乗降扉と、を備える鉄道車両において、
前記乗降扉を開閉させる際に前記乗降扉の安全確認を行うための映像が表示される安全確認用モニタを備えること、
前記安全確認用モニタを、前記運転室の天井から吊り下げ保持する吊持構造を備えること、
前記吊持構造は、前記安全確認用モニタを、前記運転士が運転姿勢の状態にあるときに前記運転士の視界の上方に前記映像が位置する第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置と、の間で移動させることが可能な位置変更手段を備えること、
前記鉄道車両の先頭部の、天井側端部に、前記鉄道車両の軌道方向の外側を表面とする表示器を備えること、
前記運転室は、前記表示器の裏面の側に、前記表示器にアクセス可能な開口部を備えること、
前記第1位置は、前記開口部の近傍であること、
前記第2位置は、前記開口部から離れた所定の位置であること、
を特徴とする鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転室と、乗客が乗り降りするための乗降扉と、を備える鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大人数の団塊世代の運転士の退職を受け、近年、列車運行の効率化の必要性が増大しており、これに伴い、通勤電車等の鉄道車両において、ワンマン運転を行うことが可能な鉄道車両の需要が増大している。
【0003】
ワンマン運転により運行される鉄道車両においては、運転士が、乗客が乗降するための乗降扉の開閉操作を行う。運転士の業務効率化のためには、この開閉操作を、運転姿勢の状態(例えば、運転席に着座し、前方を向いた状態)で行うことができるようにすることが望ましい。よって、乗降扉の開閉操作を行うことができる操作ボタンを運転台に配置する他、乗降扉の安全確認を行うことができるよう、運転室に、乗降扉付近の映像を映し出す安全確認用モニタが必要となる。なお、当該映像は、例えば、特許文献1に開示されるように、駅のプラットホームに設置されたカメラが撮影した映像であり、無線通信により、運転室の安全確認用モニタに表示されるものである。
【0004】
ここで、安全確認用モニタの運転室への配設について着目する。上述したように、乗降扉の開閉は、運転姿勢の状態で行うことができるようにすることが望ましいため、安全確認用モニタを配設する位置は、運転士が運転姿勢の状態で映像を視認できるようにしつつ、運転の際に運転士の視界を遮らない位置である必要がある。よって、例えば、
図11に示す鉄道車両100のように、運転士9の上方視界V1を、運転に必要な程度に確保できるよう、安全確認用モニタ105を、運転室103内において運転士9が運転姿勢の状態(例えば、運転席36に着座し、前方を向いた状態)にあるときに、運転士9の顔の前方斜め上に位置させることが望ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題があった。
各鉄道会社がワンマン運転を導入するに際して、ワンマン運転用に設計製造された鉄道車両を新規に導入する場合の他、ワンマン運転用のものではない既存の鉄道車両を、ワンマン運転用の鉄道車両に改造する場合が想定される。該改造を行う場合、運転室に安全確認用モニタを後付けすることとなる。
【0007】
安全確認用モニタを後付けする場合、運転室またはその近傍に配設されるその他の機器との位置関係が重要となる。例えば、
図11に示す鉄道車両100のように、運転士の顔の前方斜め上には、行先表示器107が配設されている。鉄道車両100のような、一般的な直方体状の鉄道車両であれば、行先表示器107の下方に安全確認用モニタ105を配設しても運転士の上方視界V1を遮ることは無い。
【0008】
しかし、近年、先頭を曲線状としたデザインや、傾斜させたデザインの鉄道車両が増加しているとともに、行先表示器のサイズを大きくする傾向がある。例えば、
図12に示す鉄道車両200は、先頭に向かって緩やかに傾斜する傾斜部214aを有している。傾斜部214aを有するがゆえに、鉄道車両200に用いられる行先表示器7の高さ方向の位置が、鉄道車両100の行先表示器107よりも低くなってしまう。また、行先表示器7は、行先表示器107に比べてサイズが大きくされている。
【0009】
このような中で、鉄道車両100の安全確認用モニタ105と同様に、
図12の破線で表すように、行先表示器7の下方に安全確認用モニタ105を配設したとすると 運転士の上方視界V1が、安全確認用モニタ105によって遮られることとなる。そこで、運転士の上方視界V1が遮られることを防ぐためには、
図12の安全確認用モニタ205のように、吊持構造206によって、行先表示器7の裏側に吊り下げ保持することが考えられる。
【0010】
しかし、行先表示器7のメンテナンスを行う場合には、行先表示器7の裏側の運転室側からアクセスすることが殆どである。行先表示器7の裏側で安全確認用モニタ5を吊り下げ保持すると、行先表示器7のメンテナンスを行おうとしても、安全確認用モニタ205や吊持構造206が邪魔となり、行先表示器7にアクセスできなくなるため、行先表示器7のメンテナンスを行うには、安全確認用モニタ205を取り外さなければならなくなる。安全確認用モニタ205は、重量物であるため、取り外しを一人で行うことが困難であり、メンテナンスの作業効率の低下が懸念される。よって、運転室またはその近辺に配設されるその他の機器のメンテナンス時等に邪魔とならず、運転室に安全確認用モニタを後付け可能な取付構造が望まれる。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、運転室またはその近傍に配設されるその他の機器へのアクセスの邪魔とならないよう、運転室に安全確認用モニタを後付け可能な鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の鉄道車両は次のような構成を有している。
(1)運転士が運転を行う運転室と、乗客が乗り降りするための乗降扉と、を備える鉄道車両において、運転室の前方側天井部に設けられた開口部と、開口部からアクセス可能な機器と、を備えること、乗降扉を開閉させる際に乗降扉の安全確認を行うための映像が表示される安全確認用モニタを備えること、安全確認用モニタを、運転室の天井から吊り下げ保持する吊持構造を備えること、吊持構造は、安全確認用モニタを、運転士が運転姿勢の状態にあるときに運転士の視界の上方に映像が位置する第1位置と、第1位置とは異なる第2位置と、の間で移動させることが可能な位置変更手段を備えること、安全確認要モニタは、第1位置にあるときには開口部の近傍に位置すること、機器をメンテナンスするための第2位置にあるときには開口部から前記機器へのアクセスを阻害しないこと、
を特徴とする。
【0013】
(2)(1)に記載の鉄道車両において、位置変更手段は、鉄道車両の高さ方向と平行な方向に回転軸を有しており、安全確認用モニタを、回転軸を中心に、第1位置と第2位置との間で回動させることが可能なこと、を特徴とする。
【0014】
(3)(1)に記載の鉄道車両において、位置変更手段は、鉄道車両の水平方向に平行な直線状のレールを有しており、安全確認用モニタを、レールに沿って、第1位置と第2位置との間で移動させることが可能なこと、を特徴とする。
【0015】
(1)乃至(3)のいずれかの鉄道車両によれば、安全確認用モニタは、吊持構造により運転室の天井から吊り下げ保持され、吊持構造が備える位置変更手段により、第1位置と第2位置との間で移動させることが可能である。第1位置は、運転士が運転姿勢の状態(例えば、運転席に着座し、前方を向いた状態)にあるときに運転士の視界の上方で、安全確認用モニタに表示される乗降扉の安全確認を行うための映像が確認できる位置である。よって、ワンマン運転を行う場合に、運転士が、運転姿勢の状態のまま、乗降扉の安全確認を行うことができる。つまり、第1位置は、安全確認用モニタの使用位置である。また、第2位置は、第1位置とは異なる位置である。安全確認用モニタが使用位置である第1位置にある場合に、運転室またはその近傍に配設されるその他の機器(以下、単にその他の機器という)との位置関係から、その他の機器にアクセスができない場合には、安全確認用モニタを第2位置に移動させることで、その他の機器にアクセスできるようになる。以上のように、安全確認用モニタを第1位置と第2位置との間で移動させることを可能とすることで、運転室に安全確認用モニタを後付けする場合でも、運転室またはその近傍に配設されるその他の機器へのアクセス性を損なうことなく設置することができる。
【0016】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の鉄道車両において、鉄道車両の先頭部の、天井側端部に、鉄道車両の軌道方向の外側を表面とする表示器を備えること、運転室は、表示器の裏面の側に、表示器にアクセス可能な開口部を備えること、第1位置は、開口部の近傍であること、第2位置は、開口部から離れた所定の位置であること、を特徴とする。
【0017】
(4)に記載の鉄道車両によれば、鉄道車両の先頭部の、天井側端部に、鉄道車両の軌道方向の外側を表面とする表示器(例えば行先表示器)を備えており、表示器の裏面の側に、表示器にアクセス可能な開口部を備えているため、開口部から表示器にアクセスし、表示器のメンテナンスを行うことができる。
【0018】
また、安全確認用モニタの第1位置は、開口部の近傍である。近傍とは、例えば、安全確認用モニタが第1位置にあることで、安全確認用モニタまたは、安全確認用モニタを吊り下げ保持する吊持構造の少なくとも一部が、開口部へのアクセスを阻害し、開口部から表示器にアクセスしにくい、またはアクセスできないほどに、安全確認用モニタと開口部が近いことを言う。この第1位置は、運転士が運転姿勢の状態にあるときに運転士の視界の上方に安全確認モニタを位置させることができる。
【0019】
安全確認用モニタの第2位置は、開口部から離れた所定の位置である。所定の位置とは、例えば、安全確認用モニタが第2位置にあることで、安全確認用モニタまたは、安全確認用モニタを吊り下げ保持する吊持構造が、開口部へのアクセスを阻害せず、開口部から表示器にアクセス可能なほどに、安全確認用モニタと開口部が離れていることを言う。よって、表示器のメンテナンスを行う場合には、安全確認用モニタを第1位置から第2位置に移動させることで、開口部から表示器にアクセスすることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の鉄道車両によれば、運転室またはその近傍に配設されるその他の機器へのアクセスの邪魔とならないよう、運転室に安全確認用モニタを後付け可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る鉄道車両の側面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る鉄道車両を軌道方向に平行な方向に切断した側断面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る鉄道車両を軌道方向に平行な方向に切断した側断面図である。
【
図11】従来技術に係る鉄道車両を軌道方向に平行な方向に切断した側断面図である。
【
図12】従来技術に係る鉄道車両を軌道方向に平行な方向に切断した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明に係る鉄道車両の第1の実施形態について、
図1乃至
図6を参照しながら詳細に説明する。
図1は第1の実施形態に係る鉄道車両1Aの側面図である。
図2は、鉄道車両1Aを軌道方向に平行な方向に切断した側断面図である。
図3は、
図2のX1部分の部分拡大図である。
図4は、
図1のA-A断面図である。
図5は、
図4のX2部分の部分拡大図である。
図6は、
図5のB-B断面図である。
【0023】
鉄道車両1Aは、在来線等の通勤車両であり、ワンマン運転用のものではない既存の鉄道車両を、ワンマン運転による走行に用いることが可能なように改造したものである。
【0024】
鉄道車両1Aは、
図1に示されるように、鉄道車両1Aの車体2は、床面をなす台枠11と、台枠11の軌道方向の一方の端部に立設されることで車体2の先頭部をなす前面妻構体12と、台枠11の他方の端部に立設されることで車体2の連結部をなす連妻構体15と、台枠11の枕木方向の両端部に立設されることで車体2の側面をなす側構体13と、前面妻構体12,連妻構体15および側構体13の上端部に配置されることで車体2の屋根をなす屋根構体14とにより略直方体状に構成される。なお、屋根構体14は、前面妻構体12側の端部が、鉄道車両1Aの下方に向かって緩やかに傾斜する傾斜部14aを備えている。
【0025】
そして、車体2は、枕ばね18を介して車輪17を備えた台車16によって支持されている。前面妻構体12には、フロントガラス20Dが設けられている。また、側構体13には、後述する運転室3(
図2参照)に通じる乗務員昇降口20A、客室4(
図2参照)に通じる乗降扉20Bおよび窓20Cが設けられている。さらにまた、台枠11の軌道方向の両端部には、前面妻構体12および連妻構体15よりも車両長手方向の外方に突出するように連結器19が設けられており、隣接する鉄道車両同士を連結することが可能である。
【0026】
また、鉄道車両1Aは、
図2に示すように、先頭部の天井側端部に、行先表示器(表示器の一例)7を有している。行先表示器7は、鉄道車両1Aの軌道方向の外側が表面であり、該表面は、マトリクス上に配列された複数のLEDを発光させることにより鉄道車両1Aの行き先を表示するための表示面7aとなっている。
【0027】
さらに、鉄道車両1Aの先頭部には、
図2に示すように、運転室3が設けられている。運転室3には、運転台35および運転席36が備え付けられており、運転士9は、運転席36に着座し、フロントガラス20Dを通して、車両前方を確認しながら、運転台35に取り付けられた機器の操作により、鉄道車両1Aの運転を行う。また、運転台35の、運転室3の床面37からの高さにより、運転士9の下方視界V2の広さが定まる。なお、鉄道車両1Aは、ワンマン運転用の車両であるため、運転台35は、乗降扉20Bを開閉するための操作ボタン(不図示)を備えており、運転士9は、運転席36に着座した状態で、乗降扉20Bの開閉操作を行うことが可能である。
【0028】
運転室3の前方側天井32には、
図3に示すように、開口部33が設けられている。該開口部33は、行先表示器7の表示面7aとは反対側の裏面の側に位置している。また、開口部33は平板状の蓋34によって塞がれており、行先表示器7のメンテナンスを行う場合には、作業者は、蓋34を取り外し、開口部33から行先表示器7にアクセスすることが可能である。
【0029】
運転室3は、さらに、安全確認用モニタ5が備え付けられている。この安全確認用モニタ5は、吊持構造6によって、運転室3の天井31に吊り下げ保持されており、運転士9が運転姿勢の状態(例えば、運転席36に着座し、前方を向いた状態)にあるときに運転士9の視界の上方に位置されている。この安全確認用モニタ5の吊り下げ位置により、運転士9の上方視界V1の広さが定まる。本実施形態においては、安全確認用モニタ5は、上方視界V1が、運転に必要な程度に確保されるような位置に吊り下げ保持されている。なお、安全確認用モニタ5は、鉄道車両1Aがワンマン運転用に改造されるにあたり、運転室3に後付けされたものである。
【0030】
安全確認用モニタ5は、
図5に示すように、枕木方向に並ぶ4つの表示画面51を有する。鉄道車両1Aが停車する駅のプラットホームには、乗降扉20Bから乗り降りする乗客の様子を撮影するためのカメラが設置されており、鉄道車両1Aは、該カメラが撮影した映像を、無線通信により受信することができるようになっている。そして、鉄道車両1Aが受信した映像は、安全確認用モニタ5の表示画面51に表示される。安全確認用モニタ5は、表示画面51が運転士9側に向いて配設されるとともに、運転士9が運転姿勢の状態にあるときに運転士9の視界の上方に位置されているため、運転士9は、運転姿勢の状態のまま、視線を上方へずらすことで、表示画面51に表示された映像を見ることができ、乗降扉20Bの安全確認を行うことができる。よって、運転士9は、乗降扉20Bの開閉操作を行うに際し、わざわざ立ち上がる必要がないため、業務の効率化を図ることが可能である。なお、安全確認用モニタ5が有する表示画面51の数は4つに限定されるものではなく、駅のプラットホームに設置されているカメラの台数に応じて増減させても良い。
【0031】
安全確認用モニタ5は、軸部材53により、コの字型のブラケット52に軸支されており、回転軸53aを中心にして、任意の角度に回動させることができる。また、安全確認用モニタ5は、ハンドル54を備えているため、運転士9は、該ハンドル54を用いて、安全確認用モニタ5を回動させ、表示画面51に表示される映像を視認しやすい角度に調整することが可能である。
【0032】
ブラケット52の、天井31側の端面には、吊持構造6が接続されている。吊持構造6は、支柱61と、回転部材62と、蝶番(位置変更手段の一例)63とを備えている。
【0033】
支柱61は、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属製であり、鉄道車両1Aの高さ方向に長手方向を有する直方体状に形成されている。また、支柱61は、天井31側の端部が、天井31または屋根構体14の骨組みに結合されることで、天井31に固定されている。
【0034】
支柱61の、乗務員昇降口20Aとは反対側の端面(
図5中の鉄道車両1A内方側の端面)には、蝶番63が、鉄道車両1Aの高さ方向に2つ並んで取り付けられている。具体的には、それぞれの蝶番63は、第1翼板631と、第1翼板631に対して回動可能に結合された第2翼板632とを有しており、第1翼板631が支柱61にねじ止めされている。なお、本実施形態においては蝶番63が2つ並んで取り付けられているが、蝶番の個数はこれに限定されるものではなく、1つまたは3つ以上の蝶番を用いることとしても良い。
【0035】
第2翼板632の回動は、回転軸63aを中心に行われる。そして、2つの蝶番63の、それぞれの回転軸63aは同軸上に位置するように配列されている。また、第2翼板632は、回転部材62にねじ止めされている。これにより、支柱61と回転部材62とが 蝶番63により結合されており、天井31に固定されている支柱61に対して、回転部材62は、回転軸63aを中心に回動可能とされている。
【0036】
回転部材62は、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属製である。また、回転部材62は、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属の平板を略三角形状とした補強板621が溶接されている。この補強板621を介して、回転部材62が安全確認用モニタ5のブラケット52に接続されている。上述の通り回転部材62は回転軸63aを中心に回動可能であるため、回転部材62と接続されている安全確認用モニタ5は、回転軸63aを中心に回動可能である。なお、本実施形態においては、補強板621は、回転部材62に溶接により結合されるものであるが、回転部材62と補強板621とが一体として1つの部材をなすものとしても良い。
【0037】
安全確認用モニタ5が回動可能とされているため、安全確認用モニタ5は、
図6に示すように、第1位置と、第2位置との間で移動可能となっている。第1位置とは、
図6中に実線で示す位置である。つまり、表示画面51が運転士9側に向くように、安全確認用モニタ5の長手方向が枕木方向に平行とされ、
図2乃至
図5に示すように、運転士9が運転姿勢の状態にあるときに運転士9の視界の上方にある表示画面51に、映像が表示される位置である。この第1位置は、安全確認用モニタ5の使用位置である。第2位置とは、
図6中に二点鎖線で示す位置であり、安全確認用モニタ5の長手方向が、軌道方向に平行となるように、第1位置に対して90度回動させた位置である。
【0038】
安全確認用モニタ5は、天井側位置決め部材64およびモニタ側位置決め部材65によって、第1位置において位置決め固定することが可能となっている。天井側位置決め部材64は、天井31側の端部が、例えば屋根構体14の骨組みに結合されることで、天井31に固定されている。モニタ側位置決め部材65は、ブラケット52の、天井31側の端面に、ねじ止めや溶接等により結合されている。そして、天井側位置決め部材64の下端部とモニタ側位置決め部材65の上端部とは、安全確認用モニタ5が第1位置にあるときに、固定ボルト66によって結合可能となっている。天井側位置決め部材64とモニタ側位置決め部材65とが固定ボルト66により結合されると、安全確認用モニタ5は、第1位置に位置決め固定される。これにより、安全確認用モニタ5が、鉄道車両1Aの走行中などに、第1位置から動いてしまうことを防止している。そして、固定ボルト66を取り外せば、第1位置における位置決め固定が解除されるため、第2位置へ向けて移動させることが可能となる。なお、天井側位置決め部材64およびモニタ側位置決め部材65は、固定ボルト66で結合されることで、吊持構造6とともに、第1位置にある安全確認用モニタ5を吊り下げ保持する機能も有している。
【0039】
どのような場合に、安全確認用モニタ5を第2位置に移動させるかというと、例えば行先表示器7のメンテナンスを行う場合である。
【0040】
詳しく説明すると、安全確認用モニタ5が第1位置にあるとき、前方側天井32に設けられている開口部33の近傍に位置している。つまり、安全確認用モニタ5が第1位置にあることで、安全確認用モニタ5や吊持構造6の一部が、開口部33へのアクセスを阻害し、ひいては、開口部33から行先表示器7にアクセスしにくい、またはアクセスできないほどに、安全確認用モニタ5と開口部33が相互に近い位置となっている。このような状態では、行先表示器7のメンテナンスを行おうとしても、作業は困難を極める。安全確認用モニタ5を取り外してしまえば、行先表示器7にアクセス可能になると考えられるが、安全確認用モニタ5は重量物(安全確認用モニタ5のように表示画面51が4つ並ぶもので10kg以上)であるため、行先表示器7のメンテナンスの度に取り外しを行うのは、作業効率の低下が懸念される。
【0041】
そこで、行先表示器7のメンテナンスを行う場合には、安全確認用モニタ5を第2位置に移動させる。第2位置に移動された安全確認用モニタ5は、安全確認用モニタ5や吊持構造6が、開口部33へのアクセスを阻害せず、開口部33から行先表示器7にアクセス可能なほどに、開口部33から離れている。これにより、安全確認用モニタ5を取り外すことなく、行先表示器7にアクセス可能となり、メンテナンスを行うことが容易となる。
【0042】
なお、本実施形態においては、第2位置を第1位置に対して90度回動させた位置としているが、回動させる角度は90度に限定されず、開口部33から行先表示器7にアクセスすることに支障をきたさない程度に回動できれば良いものである。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る鉄道車両の第2の実施形態について、
図7乃至
図10を参照しながら第1の実施形態と異なる点のみ説明する。
図7は、第2の実施形態に係る鉄道車両1Bを軌道方向に平行な方向に切断した側断面図である。
図8は、
図7のX3部分の部分拡大図である。
図9は、
図1のA-A断面図である。
図10は、
図9のX4部分の部分拡大図である。
【0044】
第2の実施形態に係る鉄道車両1Bは、
図1に示すように第1の実施形態に係る鉄道車両1Aと同様に構成されており、鉄道車両1Bの先頭部には、運転室3が設けられている。そして、運転室3には、運転台35と、運転席36と、安全確認用モニタ5とが備え付けられている。第2の実施形態に係る鉄道車両1Bの安全確認用モニタ5は、使用位置である第1位置から、第1位置とは異なる第2位置へスライドさせて移動させることができるようにされている。
【0045】
鉄道車両1Bにおいて安全確認用モニタ5が第1位置で吊り下げ保持されている位置は、第1の実施形態に係る鉄道車両1Aと同一であり、運転士9の上方視界V1は、第1の実施形態に係る鉄道車両1Aと同等に確保されている。
【0046】
安全確認用モニタ5は、一対の吊持構造8によって、運転室3の天井31に吊り下げ保持されている。一対の吊持構造8のそれぞれは、ハンガーレール(レールの一例)81と、移動部材83と、走行体(位置変更手段の一例)84と、を備えている。
【0047】
ハンガーレール81は、スライド式の扉等に用いられる一般的なハンガーレールであり、ステンレス等の金属材料で、内部に中空部81aを有し、下面(
図7乃至
図10における下端面)に開口を有するC型形状に形成したものである。そして、中空部81aを、走行体84が、ハンガーレール81の長手方向に沿って移動することが可能とされている。
【0048】
ハンガーレール81の天井31側の端部には、固定部材82が、例えばボルトやねじを用いて結合されている。そして、ハンガーレール81は、固定部材82のフランジ部82aが、天井31または屋根構体14の骨組みに結合されることで、軌道方向に長手方向を有するように、天井31に固定される。
【0049】
移動部材83は、ステンレス鋼やアルミ合金などの金属製であり、
図10に示すように、例えば断面コの字型に形成したものである。移動部材83の、床面37側の端部は、安全確認用モニタ5のブラケット52にねじ止めや溶接等により結合されている。また、移動部材83の、天井31側の端部には、軌道方向に並ぶ2つの走行体84が、それぞれねじ止めされている。
【0050】
走行体84は、1つにつき4つの滑車を有しており、スライド式の扉等に用いられる一般的な複車である。移動部材83は、ハンガーレール81の中空部81aを、ハンガーレール81の長手方向に沿って移動することが可能な走行体84が結合されているため、ハンガーレール81の長手方向に沿って移動することが可能である。これと同時に、移動部材83と接続されている安全確認用モニタ5は、ハンガーレール81の長手方向に沿って移動可能である。
【0051】
安全確認用モニタ5が移動可能とされているため、安全確認用モニタ5は、
図7および
図8に示すように、第1位置と、第2位置との間で移動可能となっている。第1位置とは、
図7および
図8中に実線で示す位置であり、運転士9が運転姿勢の状態にあるときに運転士9の視界の上方で、表示画面51に表示される映像が確認できる位置である。つまり、安全確認用モニタ5の使用位置である。第2位置とは、
図7および
図8中に二点鎖線で示す位置であり、安全確認用モニタ5を、ハンガーレール81に沿って、軌道方向にスライドさせた位置である。
【0052】
安全確認用モニタ5は、位置決めボルト85により、第1位置において位置決め固定することが可能となっている。詳しく説明すると、安全確認用モニタ5が第1位置にあるときに、位置決めボルト85を、
図8に示すように、ハンガーレール81の中空部81aに挿し込む。すると、中空部81aに挿し込まれた位置決めボルト85が、走行体84の鉄道車両1Bの後方側への移動を阻害するため、安全確認用モニタ5が第1位置において位置決め固定される。これにより、安全確認用モニタ5が、鉄道車両1Bの走行中などに、第1位置から動いてしまうことを防止している。そして、位置決めボルト85を取り外せば、第1位置における位置決め固定が解除されるため、第2位置へ向けて移動させることが可能となる。
【0053】
安全確認用モニタ5の第2位置への移動は、第1の実施形態に係る鉄道車両1Aと同様に、行先表示器7のメンテナンスを行う場合に行われる。
【0054】
詳しく説明すると、安全確認用モニタ5が第1位置にあるとき、前方側天井32に設けられている開口部33の近傍に位置している。これは第1の実施形態に係る鉄道車両1Aと同様に、開口部33から行先表示器7にアクセスしにくい、またはアクセスできないほどに、安全確認用モニタ5と開口部33が相互に近い位置となっている状態である。このような状態では、行先表示器7のメンテナンスを行おうとしても、作業は困難を極める。
【0055】
そこで、行先表示器7のメンテナンスを行う場合には、安全確認用モニタ5を第2位置に移動させる。第2位置に移動された安全確認用モニタ5は、安全確認用モニタ5や吊持構造8が、開口部33へのアクセスを阻害せず、開口部33から行先表示器7にアクセス可能なほどに、開口部33から離れている。これにより、安全確認用モニタ5を取り外すことなく、行先表示器7にアクセス可能となり、メンテナンスを行うことが容易となる。
【0056】
以上説明したように、第1の実施形態に係る鉄道車両1A、または第2の実施形態に係る鉄道車両1Bによれば、
(1)運転士9が運転を行う運転室3と、乗客が乗り降りするための乗降扉20Bと、を備える鉄道車両1A,1Bにおいて、乗降扉20Bを開閉させる際に乗降扉20Bの安全確認を行うための映像が表示される安全確認用モニタ5を備えること、安全確認用モニタ5を、運転室3の天井31から吊り下げ保持する吊持構造6,8を備えること、吊持構造6,8は、安全確認用モニタ5を、運転士9が運転姿勢の状態にあるときに運転士9の視界の上方に映像が位置する第1位置と、第1位置とは異なる第2位置と、の間で移動させることが可能な位置変更手段(例えば、蝶番63、走行体84)を備えること、を特徴とする。
【0057】
(2)(1)に記載の鉄道車両1Aにおいて、位置変更手段は、鉄道車両1Aの高さ方向と平行な方向に回転軸63aを有しており、安全確認用モニタ5を、回転軸63aを中心に、第1位置と第2位置との間で回動させることが可能なこと、を特徴とする。
【0058】
(3)(1)に記載の鉄道車両1Bにおいて、位置変更手段は、鉄道車両1Bの水平方向に平行な直線状のレール(例えばハンガーレール81)を有しており、安全確認用モニタ5を、レール(例えばハンガーレール81)に沿って、第1位置と第2位置との間で移動させることが可能なこと、を特徴とする。
【0059】
(1)乃至(3)のいずれかの鉄道車両1A,1Bによれば、安全確認用モニタ5は、吊持構造6,8により運転室3の天井31から吊り下げ保持され、吊持構造6,8が備える位置変更手段(例えば、蝶番63、走行体84)により、第1位置と第2位置との間で移動させることが可能である。第1位置は、運転士9が運転姿勢の状態(例えば、運転席36に着座し、前方を向いた状態)にあるときに運転士9の視界の上方で、安全確認用モニタ5に表示される乗降扉20Bの安全確認を行うための映像が確認できる位置である。よって、ワンマン運転を行う場合に、運転士9が、運転姿勢の状態のまま、乗降扉20Bの安全確認を行うことができる。つまり、第1位置は、安全確認用モニタ5の使用位置である。また、第2位置は、第1位置とは異なる位置である。安全確認用モニタ5が使用位置である第1位置にある場合に、運転室3またはその近傍に配設されるその他の機器((例えば行先表示器7)以下、単にその他の機器という)との位置関係から、その他の機器にアクセスができない場合には、安全確認用モニタ5を第2位置に移動させることで、その他の機器にアクセスできるようになる。以上のように、安全確認用モニタ5を第1位置と第2位置との間で移動させることを可能とすることで、運転室3に安全確認用モニタ5を後付けする場合でも、運転室3またはその近傍に配設されるその他の機器(例えば行先表示器7)へのアクセス性を損なうことなく設置することができる。
【0060】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の鉄道車両1A,1Bにおいて、鉄道車両1A,1Bの先頭部の、天井側端部に、鉄道車両1A,1Bの軌道方向の外側を表面(例えば表示面7a)とする表示器(例えば、行先表示器7)を備えること、運転室3は、行先表示器7の裏面の側に、行先表示器7にアクセス可能な開口部33を備えること、第1位置は、開口部33の近傍であること、第2位置は、開口部33から離れた所定の位置であること、を特徴とする。
【0061】
(4)に記載の鉄道車両1A,1Bによれば、鉄道車両1A,1Bの先頭部の、天井側端部に、鉄道車両1A,1Bの軌道方向の外側を表面とする行先表示器7を備えており、行先表示器7の裏面の側に、行先表示器7にアクセス可能な開口部33を備えているため、開口部33から行先表示器7にアクセスし、行先表示器7のメンテナンスを行うことができる。
【0062】
また、安全確認用モニタ5の第1位置は、開口部33の近傍である。近傍とは、例えば、安全確認用モニタ5が第1位置にあることで、安全確認用モニタ5または、安全確認用モニタ5を吊り下げ保持する吊持構造6,8の少なくとも一部が、開口部33へのアクセスを阻害し、開口部33から行先表示器7にアクセスしにくい、またはアクセスできないほどに、安全確認用モニタ5と開口部33が近いことを言う。この第1位置は、運転士9が運転姿勢の状態にあるときに運転士9の視界の上方に安全確認用モニタ5を位置させることができる。
【0063】
安全確認用モニタ5の第2位置は、開口部33から離れた所定の位置である。所定の位置とは、例えば、安全確認用モニタ5が第2位置にあることで、安全確認用モニタ5または、安全確認用モニタ5を吊り下げ保持する吊持構造6,8が、開口部33へのアクセスを阻害せず、開口部33から行先表示器7にアクセス可能なほどに、安全確認用モニタ5と開口部33が離れていることを言う。よって、行先表示器7のメンテナンスを行う場合には、安全確認用モニタ5を第1位置から第2位置に移動させることで、開口部33から行先表示器7にアクセスすることが可能となる。
【0064】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、運転室3またはその近傍に配設されるその他の機器として行先表示器7を挙げているが、これに限定されない。例えば、灯具などが挙げられ、安全確認用モニタ5が第1位置にあるときは灯具のメンテナンスや交換等が困難な場合に第2位置に移動させるということが考えられる。
【0065】
また、ハンガーレール81は、安全確認用モニタ5を軌道方向に沿って、第1位置と第2位置との間を移動させることができるように配設されているが、鉄道車両1A,1Bの水平方向に平行であれば良く、例えば、安全確認用モニタ5を枕木方向に沿って、第1位置と第2位置との間を移動させることができるように配設しても良い。
【符号の説明】
【0066】
1A 鉄道車両
1B 鉄道車両
3 運転室
5 安全確認用モニタ
6 吊持構造
8 吊持構造
9 運転士
20B 乗降扉
31 天井
63 蝶番(位置変更手段の一例)
84 走行体(位置変更手段の一例)